(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベース構造に対して移動する刃を備えた丸鋸、及びそのような丸鋸のキックバック状態の検出方法
(51)【国際特許分類】
B23D 47/00 20060101AFI20240221BHJP
B23D 45/04 20060101ALI20240221BHJP
B23D 45/02 20060101ALI20240221BHJP
B27G 19/02 20060101ALI20240221BHJP
B27B 5/20 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B23D47/00 C
B23D45/04 B
B23D45/02 A
B27G19/02 Z
B27B5/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550250
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2022054148
(87)【国際公開番号】W WO2022175489
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518407205
【氏名又は名称】フェストール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュローゲル、マクシミリアン マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルダームート、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ヨシュア
(72)【発明者】
【氏名】ヒルパート、ドミニク
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040BB01
3C040BB11
3C040EE02
3C040GG41
(57)【要約】
被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベースに対して移動する刃を備えた丸鋸、及びそのような丸鋸のキックバック状態の検出方法である。丸鋸は、ベース構造、ユーザ作動アセンブリ、取付構造、及びコントローラを含む。取付構造は、ベース構造とユーザ作動アセンブリとの間の拘束された相対運動を、動作方向に、及び被加工物を切断するための丸鋸の使用時に可能にするよう構成されている。動きセンサは、ユーザ作動アセンブリの動作方向に沿った動きを示す動き信号を生成するように構成されている。コントローラは、動き信号が丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始するようにプログラムされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベースに対して移動する刃を備えた丸鋸であって、
鋸支持体及び被加工物支持体を含むベース構造を備え、
モータ、アーバー、及び動きセンサを含むユーザ作動アセンブリを備え、前記モータはシャフト回転軸を中心に回転するように構成されたモータシャフトを含み、さらに、前記アーバーは前記モータシャフトに動作可能に取り付けられ、丸鋸刃を受けて前記丸鋸を刃回転面内で回転させるように構成されており、
取付構造を備え、前記ユーザ作動アセンブリは、前記被加工物支持体が前記ユーザ作動アセンブリに面するように、前記取付構造を介して前記ベース構造に動作可能に取り付けられており、さらに、前記取付構造は、前記ベース構造と前記ユーザ作動アセンブリとの間の拘束された相対運動を、動作方向に、及び前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に可能にするよう構成されており、
コントローラを備え、前記動きセンサは、前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向に沿った動きを検出し、前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向に沿った前記動きを示す動き信号を生成するように構成されており、さらに、前記コントローラは、前記動き信号を受信し、前記動き信号が前記丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して前記丸鋸のキックバック応答を開始するようにプログラムされている、
丸鋸。
【請求項2】
前記動作方向は直線運動軸に沿った単一の直線運動成分を含み、さらに、前記取付構造は、前記ベース構造に対する前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った制限された直線運動を容易にするように構成されたリニアガイドを含む、請求項1に記載の丸鋸。
【請求項3】
前記動きセンサは、前記直線運動軸と少なくとも実質的に一致した直線検出軸を含む、請求項2に記載の丸鋸。
【請求項4】
前記コントローラは、前記直線検出軸に沿った直線加速度が閾値直線加速度の大きさよりも大きいことを前記動き信号が示す場合、前記キックバック応答を開始するようにプログラムされている、請求項3に記載の丸鋸。
【請求項5】
前記直線検出軸は第1の直線検出軸であり、さらに、前記動きセンサは、
(i)前記第1の直線検出軸に対して少なくとも実質的に垂直であること、
(ii)重力と少なくとも実質的に一致していること、
(iii)水平方向に対して少なくとも実質的に垂直であること、及び
(iv)被加工物支持体に少なくとも実質的に平行であること、
のうち少なくとも1つである第2の直線検出軸を含む、請求項3または請求項4に記載の丸鋸。
【請求項6】
前記コントローラは、
(i)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度とのベクトル和が閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、及び
(ii)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値とのスカラー和が閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、
のうち少なくとも1つを前記動き信号が示す場合、前記キックバック応答を開始するようにプログラムされている、請求項5に記載の丸鋸。
【請求項7】
前記丸鋸は、前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きに選択的に抵抗するように構成された直線運動軸ブレーキ構造を含み、さらに、前記コントローラは、前記キックバック応答として前記直線運動軸ブレーキ構造を作動させるようにプログラムされている、請求項2~請求項6のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項8】
前記動作方向は回転運動軸の周りの単一の回転運動成分を含み、さらに、前記取付構造は、前記ベース構造に対する、前記回転運動軸を中心とした前記ユーザ作動アセンブリの制限された回転運動を容易にするように構成された回転要素を含む、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項9】
(i)前記動きセンサが前記回転運動軸から離間した直線検出軸を含むこと、及び
(ii)前記動きセンサが前記回転運動軸と少なくとも実質的に一致した回転検出軸を含むこと、
のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の丸鋸。
【請求項10】
前記コントローラは、前記回転検出軸の周りの速度が閾値回転速度の大きさよりも大きいことを前記動き信号が示す場合、前記キックバック応答を開始するようにプログラムされている、請求項9に記載の丸鋸。
【請求項11】
(i)前記動きセンサが直線運動軸上に配置されていること、
(ii)前記動きセンサが前記回転運動軸上に配置されていること、
(iii)前記動きセンサが、直線運動のみにさらされるようにリニアガイドのユーザ作動アセンブリ取付部上に配置されていること、及び
(iv)前記動きセンサが、直線運動のみにさらされるように回転要素上に配置されていること、
のうちの少なくとも1つである、請求項8~請求項10のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項12】
バッテリパックが、
(i)前記ユーザ作動アセンブリ、及び
(ii)前記リニアガイドの前記ユーザ作動アセンブリ取付部、
のうち少なくとも1つに取り付けられている、請求項11に記載の丸鋸。
【請求項13】
前記丸鋸は、前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きに選択的に抵抗するように構成された回転運動軸ブレーキ構造を含み、さらに、前記コントローラは、前記キックバック応答として前記回転運動軸ブレーキ構造を作動させるようにプログラムされている、請求項8~請求項12のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項14】
前記コントローラは、前記キックバック応答として前記丸鋸刃の回転を停止させるようにプログラムされている、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項15】
前記丸鋸刃の回転を停止させるために選択的に作動されるように構成されたブレーキアセンブリをさらに含み、また、前記コントローラは、前記キックバック応答として前記ブレーキアセンブリを作動させるようにプログラムされている、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項16】
前記コントローラは、
(i)前記キックバック応答として前記モータへの電流の供給を停止させること、
(ii)前記キックバック応答として前記モータのステータコイルを短絡させること、及び
(iii)前記キックバック応答として前記モータのステータコイルを地絡させること、
のうち少なくとも1つを行うようにプログラムされている、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項17】
前記コントローラは、被加工物接触パラメータを決定するようにさらにプログラムされており、前記丸鋸刃が前記被加工物と接触している場合、前記被加工物接触パラメータは接触値範囲内にあり、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記被加工物接触パラメータは非接触値範囲内にあり、さらに、前記コントローラは、前記被加工物接触パラメータが前記接触値範囲内にある場合にのみ前記キックバック状態が存在すると決定するようにプログラムされている、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項18】
前記被加工物接触パラメータは、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時の前記モータ及び前記丸鋸刃のうち少なくとも1つの角速度を含み、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記角速度は平均自由角速度を定め、さらに、前記接触値範囲は、前記平均自由角速度を少なくとも20回転/分下回る角速度を含む、請求項17に記載の丸鋸。
【請求項19】
前記被加工物接触パラメータは、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時の前記丸鋸刃の電流消費量及び電力消費量のうち少なくとも1つを含み、前記丸鋸の前記モータは最大定格消費量を定めており、さらに、前記接触値範囲は、前記最大定格消費量の50%よりも大きい電力消費量を含む、請求項17または請求項18に記載の丸鋸。
【請求項20】
前記丸鋸は前記丸鋸刃と前記被加工物との間の接触を検出するように構成された接触検出器を含み、さらに、前記接触検出器は前記被加工物接触パラメータを生成するように構成されている、請求項17~請求項19のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項21】
前記被加工物接触パラメータは、前記動き信号の信号対雑音比に少なくとも部分的に基づいている、請求項17~請求項20のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項22】
前記被加工物接触パラメータは、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に測定された前記ユーザ作動アセンブリの加速度の大きさに少なくとも部分的に基づいている、請求項17~請求項21のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項23】
前記被加工物接触パラメータは、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向の速度、及び
(ii)前記動作方向の方向、
のうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的に基づいている、請求項17~請求項22のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項24】
定置式丸鋸、半定置式丸鋸、マイターソー、複合マイターソー、チョップソー、スライディングマイターソー、複合スライディングマイターソー、パネルソー、ベベルソー、及びラジアルアームソーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~請求項23のいずれか一項に記載の丸鋸。
【請求項25】
丸鋸刃を含む丸鋸のキックバック状態の検出方法であって、
前記丸鋸刃を刃回転面内で回転させることと、
前記丸鋸のユーザ作動アセンブリに作動力を印加することと、
前記印加に応答して、前記ユーザ作動アセンブリを前記丸鋸のベース構造に対して動作方向に移動させることと、
前記ユーザ作動アセンブリの動きセンサを用いて、前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向に沿った動きを検出することと、
前記ユーザ作動アセンブリの前記動きが前記丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して、前記丸鋸のキックバック応答を開始することと、
を含む方法。
【請求項26】
前記検出が被加工物接触パラメータを検出することをさらに含み、前記丸鋸刃が被加工物と接触している場合、前記被加工物接触パラメータは接触値範囲内にあり、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記被加工物接触パラメータは非接触値範囲内にあり、さらに、前記被加工物接触パラメータが前記接触値範囲内にある場合、又は前記被加工物接触パラメータが前記接触値範囲内にある場合のみ、前記キックバック状態が存在すると決定することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記被加工物接触パラメータは、回転時のモータ及び前記丸鋸刃のうち少なくとも1つの角速度を含み、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記角速度は平均自由角速度を定め、さらに、前記接触値範囲は、前記平均自由角速度を少なくとも20回転/分下回る角速度を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被加工物接触パラメータは、回転時の前記丸鋸刃の電流消費量及び電力消費量のうちの少なくとも1つを含み、前記丸鋸のモータが最大定格消費量を定めており、さらに、前記接触値範囲は、前記最大定格消費量の50%よりも大きい消費量を含む、請求項26または請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記丸鋸は前記丸鋸刃と前記被加工物との間の接触を検出するように構成された接触検出器を含み、さらに、前記接触検出器は前記被加工物接触パラメータを生成するように構成されている、請求項26~請求項28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記被加工物接触パラメータは、前記検出の信号対雑音比に少なくとも部分的に基づいている、請求項26~請求項29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記被加工物接触パラメータは、前記検出時に測定された前記ユーザ作動アセンブリの加速度の大きさに少なくとも部分的に基づいている、請求項26~請求項30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記被加工物接触パラメータは、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向の速度、及び
(ii)前記動作方向の方向、
のうち少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいている、請求項26~請求項31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ユーザ作動アセンブリの前記移動は、前記ユーザ作動アセンブリを直線運動軸に沿って並進させることを含む、請求項25~請求項32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記動きの前記検出は、直線検出軸に沿った直線加速度を検出することを含む、請求項25~請求項33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記キックバック応答の前記開始は、前記直線加速度が閾値直線加速度の大きさよりも大きい場合に前記キックバック応答を開始することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記直線検出軸は第1の直線検出軸であり、前記動きセンサは、前記第1の直線検出軸に対して垂直であり、重力に一致しており、水平方向に対して垂直であり、かつ前記丸鋸の被加工物支持体に平行である第2の直線検出軸を含み、さらに、前記キックバック応答の開始は、
(i)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度とのベクトル和が閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、及び
(ii)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値とのスカラー和が閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、
のうち少なくとも1つの場合に前記キックバック応答を開始することを含む、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記キックバック応答の前記開始は、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの直線運動軸に沿った動きを停止させること、及び
(ii)前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きを減衰させること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項33~請求項36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ユーザ作動アセンブリの前記移動は、回転運動軸を中心に前記ユーザ作動アセンブリを回転させることを含む、請求項25~請求項37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記動きの前記検出は、前記回転運動軸の周りの回転速度を検出することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記キックバック応答の前記開始は、前記回転速度が閾値回転速度の大きさよりも大きい場合に前記キックバック応答を開始することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記キックバック応答の前記開始は、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きを停止させること、及び
(ii)前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きを減衰させること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項38~請求項40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記丸鋸刃の回転を停止させるために選択的に作動されるように構成されたブレーキアセンブリを含み、さらに、前記キックバック応答の前記開始は、前記ブレーキアセンブリを作動させて前記丸鋸刃の回転を停止させることを含む、請求項25~請求項41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記キックバック応答の前記開始は、前記丸鋸のモータへの電流の供給を停止させることを含む、請求項25~請求項42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベース構造に対して移動する刃を備えた丸鋸、及びそのような丸鋸のキックバック状態の検出方法に関する。
【0002】
(関連出願)
本願は2021年2月19日に出願された米国仮特許出願第63/151,227号の優先権を主張するものであり、その全体の開示内容が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
丸鋸などの電動工具は、期せずして及び/又は望ましくない形で急速に加速することなどにより、特定の動作条件下で予測不能に動くことがある。このような動きを、本明細書では電動工具の「キックバック(反動、はね返り)状態」と呼ぶことがある。例として、丸鋸を用いて被加工物を切断する際に、被加工物が丸鋸の丸鋸刃の両側面に延在することがある。被加工物が丸鋸刃の側面に引っかかる、及び/又は丸鋸刃の側面を挟み込むことがあると、丸鋸刃の側面と被加工物との間の摩擦力によって丸鋸のキックバックの原動力がもたらされる場合がある。別の例として、丸鋸刃が不意に被加工物に深く切り込み、及び/又は被加工物らしからぬ硬い又は軟らかい領域に入った場合、丸鋸に作用する力の変化がキックバック状態で現れることがある。
【0004】
キックバック状態を検出し、それに応答する機構が開発されている。しかしながら、これらの機構は特定のタイプ又はクラスの電動工具に限定されている場合があり、及び/又は全ての電動工具に有効であるとは限らない。例えば、ある丸鋸は、丸鋸の使用時に丸鋸のベース(基部)に対して固定軸を中心に回転する刃を備えている。これらの丸鋸の場合、キックバック状態の検出は、主に被加工物がユーザに向かって加速されることを防止するためと考えられる。
【0005】
一方、ある丸鋸は、丸鋸の使用時に丸鋸の定置式ベース構造に対して移動する軸を中心に回転する刃を備えている。例として、軸は、定置式ベース構造に対して並進及び/又はピボットすることによって移動することができる。これらの丸鋸の場合、鋸刃と刃が取り付けられている丸鋸の対応部分とが、ユーザに対して及び/又はユーザに向かって並進され、ピボットされ、又はさもなければ期せずして移動されることを制限又は防止するために、キックバック状態を検出することが望ましい場合がある。したがって、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベース構造に対して移動する刃を備える改良された丸鋸、及び/又はそのような丸鋸のキックバック状態を検出する改良された方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベース構造に対して移動する刃を備えた丸鋸、及びそのような丸鋸のキックバック状態の検出方法である。丸鋸は、ベース構造、ユーザ作動アセンブリ、取付構造、及びコントローラを含む。ベース構造は、鋸支持体及び被加工物支持体を含む。ユーザ作動アセンブリは、モータ、アーバー、及び動きセンサを含む。モータは、シャフト回転軸を中心に回転するように構成されたモータシャフトを含む。アーバーは、モータシャフトに動作可能に取り付けられ、丸鋸刃を受けて丸鋸刃を刃回転面内で回転させるように構成されている。ユーザ作動アセンブリは、被加工物支持体がユーザ作動アセンブリに面するように、取付構造を介してベース構造に動作可能に取り付けられている。取付構造は、ベース構造とユーザ作動アセンブリとの間の拘束された相対運動を、動作方向に、及び被加工物を切断するための丸鋸の使用時に可能にするよう構成されている。動きセンサは、ユーザ作動アセンブリの動作方向に沿った動きを検出し、ユーザ作動アセンブリの動作方向に沿った動きを示す動き信号を生成するように構成されている。コントローラは、動き信号を受信し、動き信号が丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始するようにプログラムされている。
【0007】
これらの方法は、丸鋸の丸鋸刃を刃回転面内で回転させることを含む。また、これらの方法は、丸鋸のユーザ作動アセンブリに作動力を加えることと、この印加に応答して、ユーザ作動アセンブリを丸鋸のベース構造に対して動作方向に移動させることとを含む。これらの方法は、ユーザ作動アセンブリの動きセンサを用いて、動作方向に沿ったユーザ作動アセンブリの動きを検出することと、ユーザ作動アセンブリの動きが丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始することとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】本開示による、キックバック状態時に第1の直線検出軸に沿って検出された直線加速度の例の図である。
【
図7】本開示による、キックバック状態時に第2の直線検出軸に沿って検出された直線加速度の例の図である。
【
図8】本開示による、第1の直線検出軸に沿って検出された直線加速度の絶対値と、第2の直線検出軸に沿って検出された直線加速度の絶対値とのスカラー和の例の図である。
【
図9】本開示による、丸鋸刃を含む丸鋸のキックバック状態の検出方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図9は、本開示による、丸鋸10、丸鋸10の構成要素、丸鋸10の使用時に測定されることが可能なパラメータ、及び/又は方法200の例を提供するものである。同様の目的、又は少なくとも実質的に同様の目的を果たす要素は
図1~
図9の各々において同様の番号でラベル付けされており、これらの要素は、本明細書において
図1~
図9の各々を参照して詳しく説明されない場合がある。同様に、
図1~
図9の各々において全ての要素がラベル付けされていない場合があるが、一貫性をもたせるために、それらに関連する参照番号を本明細書において利用することができる。
図1~
図9のうちの1つ以上を参照して本明細書で説明される要素、構成要素及び/又は特徴を、本開示の範囲から逸脱することなく
図1~
図9のうちのいずれにも含めることができ、及び/又はそれとともに利用することができる。
【0010】
一般に、特定の実施形態に含まれる可能性が高い要素を実線で示し、任意の要素を破線で示している。しかしながら、実線で示す要素は全ての実施形態に必須であるとは限らず、いくつかの実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく省略可能である。
【0011】
図1~
図4は本開示による丸鋸10の例の概略図であり、
図5は本開示による丸鋸10の例の略図である。
図1~
図5に示すように、丸鋸10は、ベース構造20、取付構造50、ユーザ作動アセンブリ100、及びコントローラ190を含む。ベース構造20は鋸支持体30及び被加工物支持体40を含み、本明細書では、これに加えて又はこれに代えて、ベース構造20を定置式ベース構造20と呼ぶことができる。ユーザ作動アセンブリ100は、取付構造50によって、取付構造50を介して、及び/又は取付構造50を用いてベース構造20に動作可能に取り付けられている。この取付により、被加工物支持体40は、ユーザ作動アセンブリ100に面し、及び/又は被加工物支持体とユーザ作動アセンブリとの間で被加工物90を支持するように構成されると説明することができる。また、取付構造50は、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の動作方向において制限された、及び/又は拘束された相対運動を可能にする、及び/又は容易にするように構成されている。この動作方向は、運動軸52に沿った方向、及び/又は運動軸52の周りの方向とすることができ、丸鋸の使用、すなわち被加工物90を切断するための丸鋸の使用時に生じることができる。このような相対運動の例として並進運動及び/又はピボット運動が挙げられる。換言すると、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の相対運動は、運動軸52に沿って、及び/又は運動軸52の周りで、ユーザ作動アセンブリ100の丸鋸刃170と被加工物90との間の動作係合及び/もしくは物理的接触を生じさせることができる、又は動作係合及び/もしくは物理的接触を生じさせるために利用されることが可能である。この動作係合は、丸鋸刃による被加工物の切断を可能にし、及び/又はこれを容易にすることができる。
【0012】
ユーザ作動アセンブリ100は、動きセンサ110、モータ150、及びアーバー160を含む。モータ150は、シャフト回転軸154を中心に回転するように構成されたモータシャフト152を含む。アーバー160は、モータシャフト152に動作可能に取り付けられ、及び/又は丸鋸刃170を受けるように構成されて、モータ150から丸鋸刃に原動力を伝達し、ならびに/又は、
図1~
図5のX-Y面に平行、及び/もしくはシャフト回転軸154に対して垂直とすることのできる刃回転面内で丸鋸刃を回転させる。本明細書でより詳しく説明するように、本開示によるユーザ作動アセンブリ100は、被加工物90を切断するための丸鋸の使用時に、ベース構造20に対して並進及び/又はピボットすべく移動するように構成されている。ユーザ作動アセンブリ100のこの動きにより、ユーザ作動アセンブリのアーバー160に取り付けられるか、さもなければユーザ作動アセンブリのアーバー160に受けられる丸鋸刃170を、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、ベース構造に対して並進及び/又はピボットさせるなど、移動させることもできる。
【0013】
動きセンサ110は、運動軸52に沿って、及び/又はその周りで、ユーザ作動アセンブリ100の少なくとも1つの速度(speed)、回転速度(rotational speed)、速度(velocity)、回転速度(rotational velocity)、加速度、及び/又は回転加速度などの動きを検出するように構成されている。動きセンサ110は、これに加えて又はこれに代えて、動作方向に沿ったユーザ作動アセンブリの動きを示す動き信号112を生成するように構成されることが可能である。コントローラ190は、動き信号112を受信し、及び/又は動き信号が丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して丸鋸10のキックバック応答を開始するようにプログラムされている。
【0014】
被加工物90を切断するための丸鋸10の使用時、そして本明細書でより詳しく説明するように、鋸支持体30が地面の上、テーブルの上、及び/又はスタンドの上などで丸鋸を支持するように、丸鋸10を配置することができる。換言すると、ベース構造20及び/又はその鋸支持体30は、被加工物90を切断するための丸鋸10の使用時に静止することができる。次に、モータ150を用いて回転原動力を丸鋸刃170に加え、例えば丸鋸刃を刃回転面内で回転させる、及び/又はシャフト回転軸154を中心に回転させることができる。この回転と少なくとも部分的に同時に、丸鋸10のユーザはユーザ作動アセンブリ100に作動力を加え、ユーザ作動アセンブリが少なくとも1つの運動軸52の周りの方向、及び/又は少なくとも1つの運動軸52に沿った方向など、動作方向に移動するように促すことができる。
【0015】
いくつかの例において、及び本明細書でより詳しく説明するように、この作動力によって、ユーザ作動アセンブリ100は直線運動軸62の形の運動軸52に沿ってベース構造20に対して移動することができ、よって丸鋸刃170と被加工物90との間の接触及び/又は係合が可能になり、及び/又は容易になる。いくつかの例において、及び本明細書でもより詳しく説明するように、この作動力によって、ユーザ作動アセンブリ100は回転運動軸72の形の運動軸52を中心にベース構造20に対して回転することができ、よって丸鋸刃170と被加工物90との間の接触及び/又は係合が可能になり、及び/又は容易になる。丸鋸刃と被加工物との間の接触及び/又は係合により、丸鋸刃は被加工物を切断することができる。
【0016】
丸鋸刃170による被加工物90のこの切断時にキックバック状態が生じることがある。本明細書で用いられるように、「キックバック状態」という語句は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、丸鋸、又は丸鋸の少なくとも1つの領域、例えばユーザ作動アセンブリ100が、期せずして及び/又は予期せぬ形で移動するか又は移動するように付勢される状態を指すことができる。このような動きは、丸鋸の領域の予期せぬ直線運動及び/もしくは回転運動、ならびに/又は直線加速及び/もしくは回転加速を含むことがあり、丸鋸のユーザを驚かせ、このような動きによってユーザ作動アセンブリが丸鋸のユーザに対して及び/又はユーザに向かって加速し、及び/又は被加工物に損傷を与える可能性がある。
【0017】
しかしながら、本明細書でより詳しく説明するように、丸鋸10のコントローラ190は、キックバック状態の検出時に、及び/又はキックバック状態に応答してキックバック状態が存在すると決定し、及び/又はキックバック応答を開始するように構成されることが可能である。また、本明細書でより詳しく説明するように、本開示によるキックバック応答は、本開示による丸鋸10が丸鋸のユーザを驚かせる可能性を低減し、ユーザに対する及び/もしくはユーザに向かうユーザ作動アセンブリの動き及び/もしくは加速度の大きさを低減し、ならびに/又は、動きセンサ110及び/又はコントローラ190を含まない従来の丸鋸と比較して被加工物に損傷を与える可能性を低減するようなものにすることができる。
【0018】
取付構造50は、ユーザ作動アセンブリ100をベース構造20に動作可能に取り付け、及び/又はユーザ作動アセンブリとベース構造との間の動作方向における拘束された相対運動を可能にするように適合、構成、設計及び/又は構築が可能である任意の適切な構造を含むことができる。前述のように、動作方向は、運動軸52に沿う方向及び/又はその周りとすることができる。いくつかの例において、取付構造50は、丸鋸のユーザからの作動力の受取に応答して、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の拘束された相対運動を可能にするように構成されることが可能である。
【0019】
いくつかの例において、説明するように、動作方向は、直線運動軸62に沿って方向づけることのできるような1つ、すなわち単一の直線運動成分を含むか、又は単一の直線運動成分のみを含むことができる。換言すると、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の拘束された相対運動は、直線運動軸62、すなわち単一の直線運動軸62に沿うことが可能であり、いくつかの例では単一の直線運動軸62のみに沿うことが可能である。さらに換言すると、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の直線相対運動及び/又は並進相対運動は、直線運動軸62、すなわち単一の直線運動軸62に沿うことが可能であり、いくつかの例では直線運動軸62、すなわち単一の直線運動軸62のみに沿うことが可能である。
【0020】
直線運動軸62に沿って、又は直線運動軸62に沿ってのみ拘束された直線運動を可能にし、及び/又は容易にする取付構造50の例において、直線運動軸は、丸鋸刃170の刃回転面に平行に、又は少なくとも実質的に平行に延びることができる。これに加えて又これに代えて、直線運動軸62は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、ユーザに向かって及び/又はユーザから離れるように延びることができる。よって、ユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿ったキックバック動作はとりわけユーザを驚かせることがある。したがって、本開示による丸鋸10は、この直線運動の緩和又は低減などによってキックバック状態に応答するように構成されることが特に有益となりうる。
【0021】
取付構造50は、ベース構造20に対するユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿った制限された直線運動を可能にし、及び/又は容易にするように適合、構成、設計及び/又は構築が可能な任意の適切な構造を含むことができる。例として、取付構造50はリニアガイド60を含むことができる。リニアガイド60の例としては、レール及びシャトル、リニアベアリングアセンブリ、及び/又はガイドレールが挙げられる。リニアガイド60は、
図1、
図3、及び
図5に示すような後退した向き64と、
図2及び
図4に示すような延出した向き66との間で、直線運動軸62に沿った制限された直線運動を可能にし、及び/又は容易にするように構成されることが可能である。
【0022】
取付構造50が直線運動軸62に沿った制限された直線運動を可能にし、及び/又は容易にする丸鋸10の例において、動きセンサ110は、
図1~
図2に示すように、直線運動軸62と一致するか又は少なくとも実質的に一致した直線検出軸114を含むことができる。いくつかのこのような例において、コントローラ190は、直線検出軸114に沿った直線加速度が閾値直線加速度の大きさよりも大きいことを動き信号112が示す場合、キックバック応答を開始するようにプログラムされることが可能である。閾値直線加速度の大きさは、丸鋸のタイプ、丸鋸刃のサイズ、丸鋸の使用時に意図される丸鋸刃の回転速度、製造上の考慮事項、製造業者及び/又はオペレータの好みなど、いくつかの要因のうちの1つ以上に基づいて選択されるか又は予め決定されることが可能である。
図6は、直線検出軸114に沿って測定された加速度の例を、98で示すキックバック状態時の時間の関数として示している。
図6に示すように、キックバック状態は、動きセンサによって測定された加速度の大幅な増加としてはっきりと確認できる。
【0023】
いくつかのこのような例において、動きセンサ110は第1の直線検出軸116及び第2の直線検出軸118を含むことができる。第1の直線検出軸は、
図1~
図2に示すように、直線運動軸62に平行、又は少なくとも実質的に平行とすることができる。第2の直線検出軸は、
図1~
図5に示すように、第1の直線検出軸に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直とすることができる。これに加えて又はこれに代えて、第2の直線検出軸は、
図1~
図2に示すように、重力と一致するか、又は少なくとも実質的に一致することが可能である。
図6は、キックバック状態98時に動きセンサ110によって第1の直線検出軸116に沿って測定された加速度を示しており、
図7は、キックバック状態98時に動きセンサ110によって第2の直線検出軸118に沿って測定された加速度を示している。ここでも、キックバック状態は、動きセンサによって双方向に測定された加速度の大幅な増加としてはっきりと確認できる。
【0024】
いくつかのこのような例において、コントローラ190は、第1の直線検出軸116及び第2の直線検出軸118に沿った直線加速度のベクトル和が閾値直線加速度の大きさよりも大きいことを動き信号112が示す場合、キックバック応答を開始するようにプログラムされることが可能である。いくつかのこのような例において、コントローラ190は、第1の直線検出軸116に沿った直線加速度の絶対値と、第2の直線検出軸118に沿った直線加速度の絶対値とのスカラー和が閾値直線加速度の大きさよりも大きいことを動き信号112が示す場合、キックバック応答を開始するようにプログラムされることが可能である。
図8はこのスカラー和の例を示している。
図8を
図6~
図7と比較することによってわかるように、スカラー和は、キックバック状態98の検出のための信号対雑音比を著しく改善する。
【0025】
説明のように、コントローラ190は、動き信号がキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始するようにさらにプログラムされている。いくつかの例において、コントローラ190は、キックバック状態時にユーザ作動アセンブリ100のユーザに向かう動き及び/もしくは加速を減少させる、又はその可能性を減少させるなど、キックバック応答としてユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿った動きを停止及び/又は減衰させるようにプログラムされることが可能である。いくつかのこのような例において、丸鋸10は、ユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿った動きに選択的に抵抗するか又は動きを停止させるように構成可能な直線運動軸ブレーキ構造68を含むことができる。いくつかのこのような例において、コントローラ190は、キックバック応答として直線運動軸ブレーキ構造68を作動させるようにプログラムされることが可能である。直線運動軸ブレーキ構造68の例としては、ユーザ作動アセンブリの直線運動軸に沿った動きを停止及び/又は減衰させるように構成可能な任意の適切なダンパ、流体ダンパ、ブレーキ、ブレーキパッド、及び/又は摩擦増強装置が挙げられる。例として、ダンパ又は流体ダンパは取付構造50及びユーザ作動アセンブリ100に結合されることが可能である。コントローラ190は、キックバック応答として、ダンパ又は流体ダンパの弁を閉じ、ユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿った動きに対する抵抗を増加させる、すなわちその動きを減衰させるように構成されることが可能である。別の例として、ブレーキパッドを直線運動軸62に沿って取付構造50又はリニアガイド60上に配置することができ、ブレーキカムをユーザ作動アセンブリ100上に配置することができる。コントローラ190は、キックバック応答としてブレーキカムをブレーキパッドと係合させるように構成されることが可能である。
【0026】
いくつかの例において、そして本明細書でより詳しく説明するように、動作方向は1つの、すなわち単一の回転運動成分を含むことができ、又は単一の回転運動成分のみを含むことができ、例えば回転運動軸72の周りとすることができる。換言すると、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の拘束された相対運動を回転運動軸72又は単一の回転運動軸72の周りとすることができ、いくつかの例ではその周りのみとすることができる。さらに換言すると、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の回転相対運動を回転運動軸72、すなわち単一の回転運動軸72の周りとすることができ、及びいくつかの例ではその周りのみとすることができる。
【0027】
回転運動軸72の周りの拘束された回転運動を可能にし、及び/又は容易にする取付構造50の例において、回転運動軸は、丸鋸刃170の刃回転面に対して垂直に、又は少なくとも実質的に垂直に延びることができ、及び/又はモータ150の軸回転軸154に平行に、又は少なくとも実質的に平行に延びることができる。取付構造50は、回転運動軸72の周りの、ベース構造20に対するユーザ作動アセンブリ100の制限された回転運動を可能にし、及び/又は容易にするように適合、構成、設計及び/又は構築が可能である任意の適切な構造を含むことができる。例として、取付構造50は回転要素70を含むことができる。回転要素70の例としては、ピボット及び/又は回転軸受が挙げられる。回転要素70は、
図3~
図5に示すようなピボットされていない向き74と、
図1~
図2に示すようなピボットされた向き76との間の回転運動軸72に沿った制限された回転運動を可能にし、及び/又は容易にするように構成されることが可能である。
【0028】
いくつかの例において、取付構造50は、おそらく
図1と
図2との間の推移によって最もよく示される、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の直線運動軸62に沿った拘束された相対運動、又は、おそらく
図1と
図3との間の推移によって最もよく示される、回転運動軸72の周りでのベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の拘束された相対運動を可能にするように構成されることが可能である。あるいは、いくつかの例において、取付構造50は、おそらく
図1と
図4との間の推移によって最もよく示される、直線運動軸62に沿った及び回転運動軸72の周りでの双方における、ベース構造20とユーザ作動アセンブリ100との間の拘束された相対運動を可能にするように構成されることが可能である。いくつかのこのような例では、動きセンサ110をユーザ作動アセンブリ100内の回路基板180上に配置することができる。これに加えて又はこれに代えて、動きセンサ110を、直線運動軸62上にもしくは直線運動軸62に沿って、及び/又は回転運動軸72上に配置することができる。動きセンサ110は、直線運動のみにさらされるように、シャトルなどのリニアガイド60のユーザ作動アセンブリ取付部61、又は回転要素70上に配置されることが可能である。いくつかのこのような例では、バッテリパックを、ユーザ作動アセンブリ100又はリニアガイド60のユーザ作動アセンブリ取付部に取り付けることが可能である、又は取付可能としてもよい。
【0029】
いくつかのこのような例では、動きセンサがベース構造20に対してユーザ作動アセンブリ100と共に並進し、かつ回転するように動きセンサ110をユーザ作動アセンブリ100内に取り付けることができる。いくつかのこのような例において、第1の直線検出軸116などの直線検出軸114は、
図1~
図2に示すように、ユーザ作動アセンブリ100がピボットされた向き76にある場合、又はその場合のみ直線運動軸62と一致することができる。
【0030】
取付構造50が回転運動軸72の周りの制限された回転運動を可能にし、及び/又は容易にする丸鋸10の例では、動きセンサ110の少なくとも1つの直線検出軸114を回転運動軸72から離間することができる。このような構成は、動きセンサ110による回転運動軸72の周りの回転運動の測定を可能にし、及び/又は容易にすることができる。これに加えて又はこれに代えて、動きセンサ110は、
図1~
図4に示すように、回転運動軸72と一致するか又は少なくとも実質的に一致することが可能な回転検出軸120を含むことができる。いくつかのこのような例において、コントローラ190は、回転検出軸120の周りの回転速度が閾値回転速度の大きさよりも大きいことを動き信号112が示す場合、キックバック応答を開始するようにプログラムされることが可能である。閾値回転速度の大きさは、丸鋸のタイプ、丸鋸刃のサイズ、丸鋸の使用時に意図される丸鋸刃の回転速度、製造上の考慮事項、製造業者及び/又はオペレータの好みなど、いくつかの要因のうちの1つ以上に基づいて選択されるか又は予め決定されることが可能である。例として、ダンパ又は流体ダンパを取付構造50及びユーザ作動アセンブリ100に結合し、直線運動軸62の方向及び回転運動軸72の周りの動きを減衰させることができる。コントローラ190は、キックバック応答として、ダンパ又は流体ダンパの弁を閉じ、ユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿った動きに対する抵抗を増加させる、すなわちその動きを減衰させるように構成されることが可能である。別の例として、回転ブレーキを、アタッチメント構造50及びユーザ作動アセンブリ100上に、又はこれらの間に配置することができる。コントローラ190は、キックバック応答として回転ブレーキを作動又は係合させるように構成されることが可能である。
【0031】
説明のように、コントローラ190は、動き信号がキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始するようにさらにプログラムされている。いくつかの例において、コントローラ190は、キックバック状態時にユーザ作動アセンブリ100の回転運動軸の周りの動き及び/又は加速を減少させる、又はその可能性を減少させるなど、キックバック応答としてユーザ作動アセンブリ100の回転運動軸72の周りの動きを停止及び/又は減衰させるようにプログラムされることが可能である。いくつかのこのような例において、丸鋸10は、ユーザ作動アセンブリ100の回転運動軸72の周りの動きに選択的に抵抗するか又は動きを停止させるように構成可能な回転運動軸ブレーキ構造78を含むことができる。いくつかのこのような例において、コントローラ190は、キックバック応答として回転運動軸ブレーキ構造78を作動させるようにプログラムされることが可能である。回転運動軸ブレーキ構造78の例としてはユーザ作動アセンブリの、回転運動軸の周りの動きを停止及び/又は減衰させるように構成可能な任意の適切なダンパ、流体ダンパ、ブレーキ、ブレーキパッド及び/又は摩擦増強装置が挙げられる。
【0032】
本開示による丸鋸10は、ベース構造20、ユーザ作動アセンブリ100、取付構造50及びコントローラ190を含み、ベース構造20の被加工物支持体40がユーザ作動アセンブリ100に面するように構成された任意の適切なタイプ及び/もしくはクラスの丸鋸を含むことができ、ならびに/又は任意の適切なタイプ及び/もしくはクラスの丸鋸とすることができる。丸鋸10の例としては、定置式丸鋸、半定置式丸鋸、マイターソー、複合マイターソー、チョップソー、スライディングマイターソー、複合スライディングマイターソー、パネルソー、ベベルソー、及び/又はラジアルアームソーが挙げられる。全ての場合において、本開示による丸鋸10は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、鋸支持体30が丸鋸を支持し、ベース構造20を、固定された状態、少なくとも実質的に固定された状態、静止した状態、又は少なくとも実質的に静止した状態に保つように構成されている。しかしながら、説明するように、ユーザ作動アセンブリ100は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、ベース構造20に対して、及び/又は取付構造50を介して移動するように構成されている。
【0033】
本明細書で用いられるように、「定置式丸鋸」という語句は、被加工物を切断するための定置式丸鋸の使用時に固定位置に配置され、及び/又は固定位置に取り付けられるように構成された丸鋸を指す。このような定置式丸鋸は一般に比較的重く、少なくとも被加工物を切断するための定置式丸鋸の使用時に、ユーザによって容易に持ち上げられ、及び/又は動かされるようには構成されていない。
【0034】
本明細書で用いられるように、「半定置式丸鋸」という語句は、一般的には対応するタイプの定置式丸鋸よりも軽量であるが、被加工物を切断するための定置式丸鋸の使用時に、依然として固定位置に配置され、及び/又は固定位置に選択的に取り付けられるように構成された半携帯式丸鋸を指す。このような半定置式丸鋸は一般に、ユーザによって容易に持ち上げられ、及び/又は動かされるように構成されているが、被加工物を切断するための定置式丸鋸の使用前及び/又は使用後に限る。換言すると、本開示による丸鋸10は、手持ち式丸鋸、すなわち、鋸の使用時にユーザによって被加工物に対して手動で保持され、支持され、移動されるように構成された丸鋸ではない。
【0035】
マイターソー、複合マイターソー、チョップソー、スライディングマイターソー、複合スライディングマイターソー、パネルソー、ベベルソー、及びラジアルアームソーは全て、静止するように構成され、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に丸鋸を動作可能に支持するように構成された鋸支持体を含む。換言すると、このような丸鋸は、被加工物を切断するための定置式丸鋸の使用時にユーザによって容易に持ち上げられ、及び/又は動かされるようには構成されていない。マイターソー、複合マイターソー、ベベルソー、及びチョップソーは一般に回転要素70を含むが、リニアガイド60を含まなくてもよい。パネルソー及びラジアルアームソーは一般にリニアガイド60を含むが、回転要素70を含まなくてもよい。スライディングマイターソー及びスライディング複合マイターソーは一般に、リニアガイド60及び回転要素70の双方を含む。複合マイターソー、複合スライディングマイターソー、及び/又はベベルソーなどの複合鋸は一般に、被加工物内で複合(すなわち、多方向)角度を切断するように構成されている。
【0036】
ベース構造20は、鋸支持体30及び被加工物支持体40を含み、及び/又はこれらを画定することができる任意の適切な構造を含むことができる。ベース構造20の例としては、金属ベース構造20、ポリマーベース構造20、モノリシックベース構造20、一体型ベース構造20、及び/又はベース構造20を画定する構成要素のアセンブリが挙げられる。
【0037】
鋸支持体30は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、丸鋸10を支持するように、すなわち動作可能に支持するように構成されることが可能である。この支持体により、被加工物を切断するための丸鋸の使用時にベース構造20を静止させ、又は少なくとも実質的に静止させることができる。
【0038】
いくつかの例において、鋸支持体30は鋸支持面32を含む、及び/又は画定することができ、この鋸支持面32は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、テーブル、スタンド、床、及び/又は地面などの別の物の上に載せる、及び/又はその上に置くように構成されることが可能である。換言すると、鋸支持体30は、地面によって直接的及び/又は間接的に支持されるように構成されていてもよいし、被加工物を切断するための丸鋸の使用時にユーザによって移動され、支持され、及び/又は持ち上げられるように構成されていなくてもよい。
【0039】
いくつかのこのような例において、鋸支持面32は、少なくとも被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、水平な、又は少なくとも実質的に水平な鋸支持面32を含むことができ、及び/又はそのような鋸支持面32とすることができる。いくつかのこのような例において、鋸支持面32は、少なくとも被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、下向き、又は少なくとも実質的に下向きとすることが可能である。鋸支持体30の例としては、スタンド、及び/又はベース構造20の下面が挙げられる。
【0040】
被加工物支持体40は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に被加工物90を支持するように、又は動作可能に支持するように構成されることが可能である。これは、任意の適切な方法で達成可能である。例として、被加工物支持体40は被加工物支持面42を有する、及び/又は画定することができ、被加工物支持面42をベース構造20の上面で画定することができる。いくつかのこのような例では、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に被加工物90を被加工物支持面42上に配置することができる。いくつかのこのような例において、被加工物支持面42は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時にユーザ作動アセンブリ100に面することができ、及び/又は被加工物支持体とユーザ作動アセンブリとの間で被加工物を支持するように構成されることが可能である。
【0041】
いくつかのこのような例において、被加工物支持面42は、水平な、もしくは少なくとも実質的に水平な被加工物支持面42を含むことができ、及び/又はそのような被加工物支持面42とすることができる。いくつかのこのような例において、被加工物支持面42は上向き、又は少なくとも実質的に上向きとすることが可能である。いくつかのこのような例において、被加工物支持面42は鋸支持面32と対向することができ、及び/又は鋸支持面32に平行、もしくは少なくとも実質的に平行とすることが可能である。
【0042】
ユーザ作動アセンブリ100は、取付構造50を介してベース構造20に動作可能に取り付けられることのできる任意の適切な構造を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、ユーザ作動アセンブリ100は、動きセンサ110を含み、モータ150を含み、アーバー160を含み、及び/又は丸鋸刃170を受けるように構成可能であり、及び/又は刃回転面内での丸鋸刃の回転のための回転原動力をもたらすように構成可能な、任意の適切な構造を含むことができる。
【0043】
動きセンサ110は、動き方向に沿った、及び/又は動き方向の周りのユーザ作動アセンブリ100の動きを検出し、及び/又は動き信号112を生成するように適合、構成、設計、及び/又は構築が可能な任意の適切な構造を含むことができる。例として、動きセンサ110は微小電気機械システム(MEMS)の動きセンサを含むことができ、及び/又は微小電気機械システム(MEMS)の動きセンサとすることができる。動きセンサ110は、単一の検出軸に沿って、2つの垂直検出軸に沿って、及び/又は3つの直交検出軸に沿って加速度を検出するように構成されることが可能である。これに加えて又はこれに代えて、動きセンサ110は、単一の検出軸を中心とした、2つの垂直検出軸を中心とした、及び/又は3つの直交検出軸を中心とした回転を検出するように構成されることが可能である。具体的な例において、動きセンサ110は、シャフト回転軸154に対して垂直の、及び/又は刃回転面に平行な加速度検出面内で加速度を検出するように構成されることが可能である。別の具体的な例において、動きセンサ110は、シャフト回転軸154に平行とすることができる回転検出軸を中心とした回転を検出するように構成されることが可能である。このような回転は、本明細書では、シャフト回転軸154に対して垂直であり、及び/又は刃回転面に平行である回転検出面内での検出を指すこともある。
【0044】
モータ150は、モータシャフト152を含み、及び/又はシャフト回転軸154を中心にモータシャフトを回転させるように適合、構成、設計及び/又は構築が可能な任意の適切な構造を含むことができる。モータ150の例としては、電動モータ、交流電動モータ、直流電動モータ、ブラシレス直流電動モータ、可変速モータ、及び/又は単速モータが挙げられる。
【0045】
アーバー160は、丸鋸刃170をモータシャフト152に動作可能に取り付け、及び/又はモータシャフトの回転に応答して丸鋸刃を刃回転面内で回転させるように適合、構成、設計及び/又は構築が可能な任意の適切な構造を含むことができる。アーバー160の例としては、シャフトアーバー、フラットヘッドアーバー、六角ヘッドアーバー、凹状六角アーバー、及び/又は圧縮アーバーが挙げられる。
【0046】
コントローラ190は、動き信号112を受信し、動き信号がキックバック状態を示すと決定し、及び/又は動き信号がキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始するように適合、構成、設計、及び/又はプログラムが可能な任意の適切な構造及び/又は装置を含むことができる。例として、コントローラ190は、電子コントローラ、専用コントローラ、特殊用途コントローラ、ディスプレイ装置、論理装置、記憶装置、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体を有する記憶装置のうちの1つ以上を含むことができる。
【0047】
コンピュータ可読記憶媒体がある場合、本明細書では、コンピュータ可読記憶媒体を非一時的コンピュータ可読記憶媒体と呼ぶこともある。この非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータが実行可能な命令、プログラム及び/又はコードを含む、定義する、収容する及び/又は記憶することができ、これらのコンピュータ実行可能命令は、丸鋸10及び/又はそのコントローラ190に、方法200の任意の適切な部分、すなわちサブセットを実行するよう命令することができる。このような非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例としては、CD-ROM、ディスク、ハードドライブ、フラッシュメモリなどが挙げられる。本明細書で使用されるような、コンピュータ実行可能命令を有するストレージ、すなわちメモリ、装置及び/又は媒体、ならびに本開示によるコンピュータ実装方法及び他の方法は、米国特許法第101条(35U.S.C.101)に従って特許を受けることができるとみなされる主題の範囲内にあると考えられる。
【0048】
いくつかの例では、
図1~
図4に示すように、ユーザ作動アセンブリ100は回路基板180を含むことができる。回路基板180がある場合、回路基板180はコントローラ190及び/もしくは動きセンサ110を含むことができ、ならびに/又はコントローラ190及び/もしくは動きセンサ110定めることができる。これに加えて又はこれに代えて、コントローラ190を別の方法でユーザ作動アセンブリ100内に組み込み、及び/又はユーザ作動アセンブリ100に動作可能に取り付けることができる。
【0049】
説明したように、コントローラ190は、動き信号112がキックバック状態を示すことに応答して丸鋸のキックバック応答を開始する、又は選択的に開始するようにプログラムされている。コントローラ190が任意の適切なキックバック応答を開始することができることは本開示の範囲内である。例として、コントローラ190は、キックバック応答として、モータ150への電流の供給を停止させ、及び/又はモータ150のステータコイルを短絡させる、もしくは地絡させるようにプログラムが可能である。
【0050】
別の例として、コントローラ190は、キックバック応答として丸鋸刃170及び/又はモータ150の回転を停止させ、及び/又は止めるようにプログラムされることが可能である。より具体的な例として、丸鋸10及び/又はそのユーザ作動アセンブリ100は、丸鋸刃170の回転に選択的に抵抗し、及び/又は回転を止めるように構成可能なブレーキアセンブリ80を含むことができる。いくつかのこのような例において、コントローラ190は、キックバック応答としてブレーキアセンブリ80を作動させるようにプログラムされている。ブレーキアセンブリ80の例としては、機械式ブレーキアセンブリ、ブレーキパッド、ブレーキアクチュエータ、及び/又はブレーキカムが挙げられ、これらは、丸鋸刃170及び/又はモータシャフト152と選択的に係合し、これらの動きに摩擦抵抗するように構成されることが可能である。ブレーキアセンブリ80の別の例としては、カウンタフィールドブレーキのようなモータ150の電気ブレーキが挙げられる。
【0051】
さらに別の例として、コントローラ190は、例えば直線運動軸ブレーキ構造68の作動により、ユーザ作動アセンブリ100の直線運動軸62に沿った動きを停止させるようにプログラムされることが可能である。別の例として、コントローラ190は、例えば回転運動軸ブレーキ構造78の作動により、ユーザ作動アセンブリ100の回転運動軸72を中心とする回転を停止させるようにプログラムされることが可能である。
【0052】
いくつかの例において、コントローラ190は、丸鋸刃と被加工物との間の接触、すなわち物理的な接触を示すことができる被加工物接触パラメータを決定するようにプログラムされることが可能である。いくつかのこのような例において、コントローラはさらに、 丸鋸が被加工物と接触しており、動き信号がキックバック状態を示すことを被加工物接触パラメータが示す場合、又はその場合のみ、丸鋸のキックバック応答を開始するようにプログラムされることが可能である。このような構成により、動き信号がキックバック状態を示すかもしれないが、丸鋸が被加工物の切断に利用されていない状況の際に、キックバック応答が誤って開始される可能性、すなわち望まれずに開始される可能性を低減することができる。換言すると、丸鋸が被加工物の切断に能動的に利用されていない時間の間に丸鋸をぶつけたり、揺すったり、素早く動かしたりした場合、キックバック応答を開始することは望ましくなく、コントローラは、被加工物接触パラメータを利用してこのようなキックバック応答の望ましくない開始を回避することができる。被加工物接触パラメータの例は、方法200を参照して本明細書に開示される。
【0053】
丸鋸10は、従来の丸鋸に含めることの可能な他の構成要素又は追加の構成要素を含むことができる。例として、
図1~
図4に破線で示すように、丸鋸10及び/又はそのユーザ作動アセンブリ100は把持領域130を含むことができる。把持領域130がある場合、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に丸鋸のユーザによって保持及び/又は把持されるように把持領域130を構成することができる。例として、ユーザは、把持領域130により、及び/又は把持領域130を利用して丸鋸刃170を被加工物90と接触させることができる。
【0054】
別の例として、また
図1~
図4に破線で示すように、丸鋸10及び/又はそのユーザ作動アセンブリ100はスイッチ140を含むことができる。スイッチ140がある場合、ユーザによって選択的に作動させ、例えば丸鋸の少なくとも1つの他の構成要素に電流を選択的に流すようにスイッチ140を構成することができる。具体的な例では、スイッチ140の作動により、丸鋸10は丸鋸刃170を刃回転面内で回転させることができる。
【0055】
さらに別の例として、また
図1~
図4に破線で示すように、丸鋸10は電源185を含むことができる。電源185がある場合、電源185は、モータ150及び/又はコントローラ190のような丸鋸10の少なくとも1つの他の構成要素に電力を供給するように適合、構成、設計、及び/又は構築が可能である。電源185の例としては、任意の適切な交流電源、直流電源、電源コード、及び/又はバッテリが挙げられる。
【0056】
図9は、本開示による、丸鋸刃を含む丸鋸のキックバック状態の検出方法200の例を示すフローチャートである。丸鋸の例は、
図1~
図4の丸鋸10を参照して本明細書に開示される。キックバック状態の例も本明細書に開示される。
【0057】
方法200は、210において丸鋸刃を回転させることと、220において作動力を加えることを含む。また、方法200は、230においてユーザ作動アセンブリを移動させることと、240において動きを検出することを含む。方法200は、250において被加工物接触パラメータを検出することを含むことができ、260においてキックバック応答を開始することを含むことができる。
【0058】
210における丸鋸刃の回転は、丸鋸刃を刃の回転面内で回転させることを含むことができる。これは、丸鋸刃を回転させ、例えば230における移動時、及び/又は移動に応答して被加工物の切断を可能にし、及び/又は容易にすることを含むことができる。刃回転面の例が本明細書に開示される。
【0059】
210における回転を任意の適切な方法で達成することができる。例として、210における回転は、丸鋸のモータに電流を流すことを含むことができる。この印加に応答して、モータは、210における回転を生じることができる回転原動力を丸鋸刃にもたらすことができる。別の例として、210における回転は、丸鋸のスイッチを作動させてモータに電流を流すことを含むことができ、210における回転はスイッチの作動に応答している。モータの例は、モータ150を参照して本明細書に開示される。スイッチの例は、スイッチ140を参照して本明細書に開示される。
【0060】
210における回転は、方法200の間の任意の適切なタイミング及び/又は順序で実行可能である。例として、210における回転は、220における印加、230における移動、240における検出、250における検出、及び/又は260における開始の前、及び/又はそれと少なくとも部分的に同時に実行可能である。
【0061】
220における作動力の印加は、丸鋸のユーザ作動アセンブリに作動力を加えることを含むことができる。これは、作動力を加えて230における移動を可能にし、容易にし、及び/又は生じることを含むことができる。いくつかの例では、220における印加を丸鋸のユーザによって行うことができる。換言すると、丸鋸のユーザによって作動力を丸鋸の把持領域などに加えることができる。ユーザ作動アセンブリの例は、
図1~
図4のユーザ作動アセンブリ100を参照して本明細書に開示される。把持領域の例は、把持領域130を参照して本明細書に開示される。
【0062】
220における印加は、方法220の間の任意の適切なタイミング及び/又は順序で実行可能である。例として、220における印加は、210における回転の後に、及び/又はそれと少なくとも部分的に同時に実行可能である。さらなる例として、220における印加は、230における移動、240における検出、250における検出、及び/又は260における開始の前、及び/又はそれと少なくとも部分的に同時に実行可能である。具体的な例では、220における印加を210における回転の開始の前に実行することができる。いくつかのこのような例では、この後に行う210における回転の開始によって丸鋸のキックバック状態を生じることができる。キックバック状態の例は本明細書に開示される。
【0063】
230におけるユーザ作動アセンブリの移動は、ユーザ作動アセンブリを丸鋸のベース構造に対して動作方向に移動させることを含むことができる。230における移動は、方法200の間の任意の適切なタイミング及び/又は順序で実行可能である。例として、230における移動は、210における回転の後に、及び/又はそれと少なくとも部分的に同時に実行可能である。さらなる例として、230における移動は、220における印加の後に、それと少なくとも部分的に同時に、及び/又はそれに少なくとも部分的に応答して実行可能である。さらなる例として、230における移動は、240における検出、250における検出、及び/又は260における開始の前、及び/又は少なくとも部分的に同時に実行可能である。具体的な例では、230における移動を210における回転の開始の前に実行することができる。いくつかのこのような例では、この後に行う210における回転の開始によって丸鋸のキックバック状態を生じることができる。
【0064】
いくつかの例において、230における移動は、ユーザ作動アセンブリを直線運動軸に沿って、すなわち単一の直線運動軸に沿って並進させることを含むことができる。いくつかのこのような例では、直線運動軸を刃回転面に平行、又は少なくとも実質的に平行とすることができる。直線運動軸の例は、直線運動軸62を参照して本明細書に開示される。
【0065】
いくつかの例において、230における移動は、回転運動軸を中心に、又は単一の回転運動軸を中心にユーザ作動アセンブリを回転させることを含むことができる。いくつかのこのような例において、回転運動軸は刃回転面に対して垂直に、又は少なくとも実質的に垂直に延びることができる。回転運動軸の例は、回転運動軸72を参照して本明細書に開示される。
【0066】
240における動きの検出は、ユーザ作動アセンブリの動作方向に沿った動きを検出することを含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、240における検出は、ユーザ作動アセンブリの動きセンサによる、動きセンサを介した及び/又は動きセンサを利用した検出を含むことができる。動きセンサの例は、動きセンサ110を参照して本明細書に開示される。
【0067】
230における移動がユーザ作動アセンブリを直線運動軸に沿って並進させることを含む方法200の例において、240における検出は、ユーザ作動アセンブリの直線検出軸に沿った直線加速度を検出することを含むことができる。本明細書でより詳しく説明するように、直線運動軸は、被加工物を切断するための丸鋸の使用時に、ユーザに向かって、及び/又はユーザから離れるように延びることができる。この点を考慮すると、いくつかの例において、230における検出は、丸鋸のユーザに向かうユーザ作動アセンブリの直線加速度を検出することを含むことができる。230における移動が回転運動軸を中心にユーザ作動アセンブリを回転させることを含む方法200の例において、240における検出は、ユーザ作動アセンブリの回転速度を回転運動軸の周りで検出することを含むことができる。
【0068】
240における検出は、方法200の間の任意の適切なタイミング及び/又は順序で実行可能である。例として、240における検出は、210における回転、220における印加、230における移動、250における検出、及び/又は260における開始の前、後、及び/又はそれと少なくとも部分的に同時に実行可能である。
【0069】
250における被加工物接触パラメータの検出は、丸鋸刃と被加工物との間の接触を示しうる任意の適切な被加工物接触パラメータを検出することを含むことができる。換言すると、丸鋸刃が被加工物と接触している場合、被加工物接触パラメータを接触値範囲内とすることができる。対照的に、丸鋸刃が被加工物から離間している、すなわち被加工物と接触していない場合、被加工物接触パラメータを、接触値範囲と異なりうる非接触値範囲内とすることができる。このような構成において、260における開始は、被加工物接触パラメータが接触値範囲内にある場合、又はその場合のみ、キックバック応答を開始することを含むことができる。換言すると、方法200が250における検出を含む場合、接触値範囲内の値を有する被加工物接触パラメータを、260における開始の前に満たさなければならない前提条件とすることができる。
【0070】
いくつかの例において、被加工物接触パラメータは、210における回転時の丸鋸刃の角速度、丸鋸刃の毎分回転数、モータシャフトの角速度及び/又はモータシャフトの毎分回転数を含むことができる、及び/又はこれらとすることができる。このような構成において、丸鋸刃が被加工物から離間している場合、及び/又は被加工物がモータに負荷を加えていない場合、丸鋸刃は平均自由角速度を定めることができ、接触値範囲は平均自由角速度を下回る閾値角速度減少量である角速度を含むことができる。閾値角速度減少量の例としては、少なくとも20回転/分(RPM)、少なくとも25RPM、少なくとも30RPM、少なくとも35RPM、少なくとも40RPM、少なくとも50RPM、少なくとも60RPM、少なくとも70RPM、少なくとも80RPM、少なくとも90RPM、少なくとも100RPM、少なくとも150RPM、少なくとも200RPM、少なくとも300RPM、少なくとも400RPM、少なくとも500RPM、少なくとも600RPM、少なくとも700RPM又は少なくとも800RPMの減少量が挙げられる。
【0071】
換言すると、丸鋸刃と被加工物との間の接触は丸鋸刃の回転に対する抵抗を生じ、丸鋸刃の角速度を丸鋸刃の平均自由角速度よりも小さい値まで下げる場合がある。また、説明したように、キックバック状態は被加工物による丸鋸刃の引っかかり及び/又は挟み込みの結果として生じうる。この引っかかり及び/又は挟み込みは、平均自由角速度と比較すると丸鋸刃の角速度をさらに減少させることがあり、丸鋸刃が実際に被加工物と接触していることを示すために丸鋸刃の角速度のこの減少量を利用することができる。
【0072】
このような例において、250における検出は丸鋸刃の角速度を検出することを含むことができ、任意の適切な方法で達成することができる。例として、丸鋸刃の角速度の検出は、丸鋸の回転カウンターを利用することなどにより丸鋸刃の角速度を測定することを含むことができる。別の例として、丸鋸刃の角速度の検出は丸鋸刃の角速度を計算することを含むことができ、例えば、丸鋸のモータのモータモデルに少なくとも部分的に基づくことができる。いくつかのこのような例において、丸鋸刃の角速度の計算は、モータに供給される電流の大きさ及び/又は電流の電圧の大きさに少なくとも部分的に基づいて計算することを含むことができる。
【0073】
いくつかの例において、被加工物接触パラメータは210における回転時の丸鋸刃の電力消費量を含むことができ、及び/又は電力消費量とすることができる。このような構成において、モータは最大定格電力消費量を定めることができ、接触値範囲は、最大定格電力消費量の閾値パーセンテージよりも大きい電力消費量を含むことができる。最大定格電力消費量の閾値パーセンテージの例としては、50%、60%、70%、80%、もしくは90%、又は少なくとも50%、60%、70%、80%、もしくは90%のパーセンテージが挙げられる。
【0074】
換言すると、丸鋸刃と被加工物との間の接触は丸鋸刃の回転に対する抵抗を生じ、モータの電力消費量を増加させる場合がある。また、説明したように、キックバック状態は被加工物による丸鋸刃の引っかかり及び/又は挟み込みの結果として生じうる。この引っかかり及び/又は挟み込みはモータの電力消費量をさらに増加させることがあり、丸鋸刃が実際に被加工物と接触していることを示すためにこの電力消費量の増加を利用することができる。
【0075】
このような例において、250における検出はモータの電力消費量を検出することを含むことができ、任意の適切な方法で達成することができる。例として、モータの電力消費量の検出は、モータに供給される電流の大きさと、電流の電圧の大きさとに少なくとも部分的に基づいてモータの電力消費量を計算することを含むことができる。
【0076】
いくつかの例において、丸鋸は、丸鋸刃と被加工物との間の接触を検出するように構成可能な接触検出器を含むことができる。いくつかのこのような例において、接触検出器は、被加工物接触パラメータを生じる、及び/又は生成するように構成されることが可能である。接触検出器の例としては、電気的接触検出器、容量性接触検出器、電磁接触検出器及び/又は機械的接触検出器が挙げられる。
【0077】
いくつかの例において、被加工物接触パラメータは、240における検出に少なくとも部分的に基づいて生成される動き信号の信号対雑音比を含むことができ、及び/又はこれに少なくとも部分的に基づくことが可能である。例として、動き信号の信号対雑音比は、丸鋸刃が被加工物と接触していない場合と比較して、丸鋸刃が被加工物と接触している場合に減少する可能性がある。これを
図6~
図8に示す。これらの図において、99で示す時間間隔よりも前の時間について示されるように、動き信号内の雑音は丸鋸刃と被加工物との間の接触の前に比較的低くなる。対照的に、99で示す時間について示されるように、動き信号内の雑音は丸鋸刃と被加工物との間の接触後に比較的高くなる。
【0078】
いくつかの例において、被加工物接触パラメータは、240における検出時に測定されたユーザ作動アセンブリの加速度の大きさに少なくとも部分的に基づくことが可能である。いくつかの例において、被加工物接触パラメータは、ユーザ作動アセンブリの動作方向の速度、及び/又は動作方向の方向、すなわちベクトルの向きに少なくとも部分的に基づくことが可能である。
【0079】
260におけるキックバック応答の開始は、ユーザ作動アセンブリの動きが丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して、丸鋸のキックバック応答を開始することを含むことができる。いくつかの例において、260における開始は、210において回転を停止させることを含む。いくつかのこのような例において、丸鋸は、丸鋸刃の回転を停止させるために選択的に作動されるように構成されたブレーキアセンブリを含むことができる。いくつかのこのような例において、260における開始は、ブレーキアセンブリを作動させて丸鋸刃の回転を停止させることを含むことができる。ブレーキアセンブリの例は、ブレーキアセンブリ80を参照して本明細書に開示される。いくつかの例において、260における開始は、丸鋸のモータへの電流の供給を停止させることを含むことができる。
【0080】
230における移動がユーザ作動アセンブリを直線運動軸に沿って並進させることを含み、及び/又は、240における検出がユーザ作動アセンブリの直線検出軸に沿った直線加速度を検出することを含む方法200の例において、260における開始は、直線加速度が閾値直線加速度の大きさよりも大きい場合にキックバック応答を開始することを含むことができる。いくつかのこのような例において、260における開始は、ユーザ作動アセンブリの直線運動軸に沿った動きを停止させること、及び/又は、丸鋸の直線運動軸ブレーキ構造を利用するなど、ユーザ作動アセンブリの直線運動軸に沿った動きを減衰させることを含むことができる。直線運動軸ブレーキ構造の例は、直線運動軸ブレーキ構造68を参照して本明細書に開示される。
【0081】
いくつかのこのような例では、直線検出軸を第1の直線検出軸とすることができ、また、動きセンサは第2の直線検出軸を含むこともできる。第2の直線検出軸は、第1の直線検出軸に対して垂直とすることができ、重力と一致させることができ、水平方向に対して垂直とすることができ、及び/又は被加工物支持体に平行とすることができる。第1の直線検出軸の例は、第1の直線検出軸116を参照して本明細書に開示される。第2の直線検出軸の例は、第2の直線検出軸118を参照して本明細書に開示される。このような構成において、260における開始は、第1の直線検出軸に沿った直線加速度と第2の直線加速度軸に沿った直線加速度とのベクトル和が閾値直線加速度の大きさよりも大きい場合にキックバック応答を開始することを含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、260における開始は、第1の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値と第2の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値とのスカラー和が閾値直線加速度の大きさよりも大きい場合にキックバック応答を開始することを含むことができる。キックバック応答を開始することができる直線加速度の絶対値のスカラー和の例としては、5メートル/秒2(m/s2)より大きい加速度、8m/s2より大きい加速度、10m/s2より大きい加速度、15m/s2より大きい加速度、及び20m/s2より大きい加速度が挙げられる。
【0082】
230における移動が回転運動軸を中心にユーザ作動アセンブリを回転させることを含み、及び/又は、240における検出がユーザ作動アセンブリの回転検出軸の周りの回転速度を検出することを含む方法200の例において、260における開始は、回転速度が閾値回転速度の大きさよりも大きい場合にキックバック応答を開始することを含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、260における開始は、ユーザ作動アセンブリの回転運動軸の周りの動きを停止させること、及び/又は、丸鋸の回転運動ブレーキ構造を利用するなど、ユーザ作動アセンブリの回転運動軸の周りの動きを減衰させることを含むことができる。回転運動ブレーキ構造の例は、回転運動ブレーキ構造68を参照して本明細書に開示される。
【0083】
本開示では、方法を一連のブロック又はステップとして示し、説明したフロー図、すなわちフローチャートに関連して、例示的で非排他的な例のうちのいくつかを説明し、及び/又は提示した。付随する説明に具体的に記載されない限り、2つ以上のブロック(又はステップ)が異なる順序で及び/又は同時に生じることを含め、ブロックの順序がフロー図に示した順序とは異なっていてもよいことは本開示の範囲内である。ブロック又はステップのうちの1つ以上を論理として実施できることも本開示の範囲内であり、ブロック又はステップを論理として実施するものと説明することもできる。ある用途において、ブロック又はステップは、機能的に等しい回路又は他の論理装置によって実行されるべき表現及び/又は動作を表すことができる。図示のブロックは、応答、動作の実行、状態の変更、出力又は表示の生成、及び/又は決定をコンピュータ、プロセッサ及び/又は他の論理装置に行わせる実行可能な命令を表すことができるが、これらは必須ではない。
【0084】
本明細書で使用される、第1のエンティティ(実体)と第2のエンティティとの間に配置される「及び/又は」という用語は、(1)第1のエンティティ、(2)第2のエンティティ、ならびに(3)第1のエンティティ及び第2のエンティティのうちの1つを意味する。「及び/又は」を用いて列挙された複数のエンティティは同様に解釈されるべきである、すなわち、そのように結合されたエンティティのうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定されるエンティティ以外の他のエンティティは、具体的に特定されるこれらのエンティティに関連するかしないかにかかわらず、任意選択で存在することができる。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「~を含む(comprising)」などの非限定的な(オープンエンド)言語と併せて使用される場合、ある実施形態ではAのみ(B以外のエンティティを任意選択で含む)を指し、別の実施形態ではBのみ(A以外のエンティティを任意選択で含む)を指し、さらに別の実施形態ではAとBの双方(他のエンティティを任意選択で含む)を指すことができる。これらのエンティティは、要素、動作、構造、ステップ、演算、値などを指すことができる。
【0085】
本明細書で使用される、1つ以上のエンティティのリストに関連する「少なくとも1つ」という語句は、エンティティのリスト内のエンティティのうち任意の1つ以上から選択される少なくとも1つのエンティティを意味すると理解されるべきであるが、エンティティのリスト内に具体的に列挙された1つ1つのエンティティのうちの少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、エンティティのリスト内のエンティティのいずれの組み合わせも除外するものではない。また、この定義は、「少なくとも1つ」という語句が指し示すエンティティのリスト内の具体的に特定されたエンティティ以外のエンティティが、具体的に特定されたこれらのエンティティに関連するかしないかにかかわらず、任意選択で存在できることを許容する。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同様に「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同様に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、ある実施形態では少なくとも1つ、任意選択で1つより多くのAを含み、Bは存在しない(及び任意選択でB以外のエンティティを含む)ことを指し、別の実施形態では少なくとも1つ、任意選択で1つより多くのBを含み、Aは存在しない(及び任意選択でA以外のエンティティを含む)ことを指し、さらに別の実施形態では少なくとも1つ、任意選択で1つより多くのAを含み、かつ少なくとも1つ、任意選択で1つより多くのBを含む(及び任意選択で他のエンティティ)ことを指すことができる。換言すると、「少なくとも1つ」、「1つ以上」及び「及び/又は」といった語句は、作用として接続詞及び離接詞の双方である非限定的な表現である。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ以上」、「A、B又はCのうちの1つ以上」及び「A、B及び/又はC」という表現の各々は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの双方、A及びCの双方、B及びCの双方、A、B及びCの全て、ならびに任意選択で少なくとも1つの他のエンティティと組み合わせた前述のもののいずれかを意味することができる。
【0086】
特許、特許出願又は他の参考文献が参照により本明細書に援用され、(1)本開示の組み込まれていない部分又は他の組み込まれた参考文献のいずれかと矛盾する態様で用語を定義し、及び/又は(2)他の点で矛盾する場合、本開示の組み込まれていない部分が支配するものとし、その中の用語又は組み込まれた開示内容は、その用語が定義され、及び/又は組み込まれた開示内容が元々存在していた参考文献に関してのみ支配するものとする。
【0087】
本明細書で使用される、「適合される」及び「構成される」という用語は、要素、構成要素又は他の主題が所与の機能を実行するように設計及び/又は意図されていることを意味する。したがって、「適合される」及び「構成される」という用語の使用は、所与の要素、構成要素又は他の主題が所与の機能を単に実行する「ことができる」ことを意味するのではなく、要素、構成要素及び/又は他の主題がその機能を実行するために具体的に選択され、作成され、実装され、利用され、プログラムされ及び/又は設計されることを意味すると解釈されるべきである。特定の機能を実行するように適合されているものとして記載されている要素、構成要素及び/又は他の記載された主題を、その機能を実行するように構成されるものとして追加的又は代替的に説明することができ、その逆もまた同様であることも、本開示の範囲内である。
【0088】
本明細書で使用される、「例えば」という語句、「例として」という語句、及び/又は単に「例」という用語は、本開示による1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態及び/又は方法に関連して使用される場合、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態及び/又は方法が本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態及び/又は方法の例示的で非排他的な例であることを伝えるように意図される。したがって、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態及び/又は方法は、限定的、必須、又は排他的/網羅的であることを意図したものではなく、構造的及び/又は機能的に類似する及び/又は同等の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態及び/又は方法も本開示の範囲内である。
【0089】
本明細書で使用される、程度又は関係を修正する際の「少なくとも実質的に」は、記載された「実質的な」程度又は関係のみならず、記載された程度又は関係の全範囲も含むことができる。記載された程度又は関係の実質的な量は、記載された程度又は関係の少なくとも75%を含むことができる。例えば、ある材料から少なくとも実質的に形成される物体は、物体の少なくとも75%がその材料から形成される物体を含み、また、その材料から完全に形成される物体を含む。別の例として、第2の長さと少なくとも実質的に同じ長さである第1の長さは、第2の長さの75%以内である第1の長さを含み、第2の長さと同じ長さである第1の長さも含む。
【0090】
本開示による丸鋸及び方法の例示的で非排他的な例を、以下に列挙する段落に提示する。以下に列挙する段落を含む、本明細書に記載の方法の個々のステップを、記載の動作を実行する「ためのステップ」と追加的に又は代替的に呼ぶことができることは本開示の範囲内である。
【0091】
A1.被加工物を切断するための丸鋸の使用時に定置式ベースに対して移動する刃を備えた丸鋸であって、
鋸支持体及び被加工物支持体を含むベース構造を備え、
モータ、アーバー、及び動きセンサを含むユーザ作動アセンブリを備え、前記モータはシャフト回転軸を中心に回転するように構成されたモータシャフトを含み、さらに、前記アーバーは前記モータシャフトに動作可能に取り付けられ、前記丸鋸刃を受けて前記丸鋸を刃回転面内で回転させるように構成されており、
取付構造を備え、前記ユーザ作動アセンブリは、前記被加工物支持体が前記ユーザ作動アセンブリに面するように、前記取付構造を介して前記ベース構造に動作可能に取り付けられており、さらに、前記取付構造は、前記ベース構造と前記ユーザ作動アセンブリとの間の拘束された相対運動を、動作方向に、及び前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に可能にするよう構成されており、
コントローラを備え、前記動きセンサは、前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向に沿った動きを検出し、前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向に沿った前記動きを示す動き信号を生成するように構成されており、さらに、前記コントローラは、前記動き信号を受信し、前記動き信号が前記丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して前記丸鋸のキックバック応答を開始するようにプログラムされている、
丸鋸。
【0092】
A2.前記取付構造は、前記丸鋸のユーザからの作動力の受取に応答して、前記ベース構造と前記ユーザ作動アセンブリとの間の前記拘束された相対運動を可能にするように構成されている、A1項に記載の丸鋸。
【0093】
A3.前記動作方向は、1つ、すなわち単一の直線運動成分を含むか、又は単一の直線運動成分である、A1項~A2項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0094】
A4.前記直線運動成分は、1つ、すなわち単一の直線運動軸に沿っている、A3項に記載の丸鋸。
【0095】
A5.前記直線運動軸は、前記刃回転面に平行に、又は少なくとも実質的に平行に延びている、A4項に記載の丸鋸。
【0096】
A6.前記取付構造は、前記ベース構造に対する前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った制限された直線運動を容易にするように構成されたリニアガイドを含む、A4項~A5項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0097】
A7.前記リニアガイドは、後退した向きと延出した向きとの間で、前記ベース構造に対する前記ユーザ作動アセンブリの前記制限された直線運動を可能にし、及び/又は容易にするように構成されている、A6項に記載の丸鋸。
【0098】
A8.前記動きセンサは、前記直線運動軸と一致した、又は少なくとも実質的に一致した直線検出軸を含む、A4項~A7項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0099】
A9.前記コントローラは、前記直線検出軸に沿った直線加速度が閾値直線加速度の大きさよりも大きいことを前記動き信号が示す場合、前記キックバック応答を開始するようにプログラムされている、A8項に記載の丸鋸。
【0100】
A10.前記直線検出軸は第1の直線検出軸であり、さらに、前記動きセンサは、
(i)前記第1の直線検出軸に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直であること、
(ii)重力と一致している、又は少なくとも実質的に一致していること、
(iii)水平方向に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直であること、及び
(iv)前記被加工物に平行、又は少なくとも実質的に平行であること、
のうち少なくとも1つである第2の直線検出軸を含む、A8項~A9項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0101】
A11.前記コントローラは、
(i)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度とのベクトル和が閾値直線加速度/前記閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、及び
(ii)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値とのスカラー和が閾値直線加速度/前記閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、
のうち少なくとも1つを前記動き信号が示す場合、前記キックバック応答を開始するようにプログラムされている、A10項に記載の丸鋸。
【0102】
A12.前記コントローラは、
(i)前記キックバック応答として前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きを停止させること、及び
(ii)前記キックバック応答として前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きを減衰させること、
のうち少なくとも1つを行うようにプログラムされている、A4項~A11項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0103】
A13.前記丸鋸は、前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きに選択的に抵抗するように構成された直線運動軸ブレーキ構造を含み、さらに、前記コントローラは、前記キックバック応答として前記直線運動軸ブレーキ構造を作動させるようにプログラムされている、A4項~A11項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0104】
A14.前記動作方向は、1つ、すなわち単一の回転運動成分を含むか、又は単一の回転運動成分である、A1項~A13項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0105】
A15.前記回転運動成分は回転運動軸の周りにある、A14項に記載の丸鋸。
【0106】
A16.前記回転運動軸は、前記刃回転面に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直である、A15項に記載の丸鋸。
【0107】
A17.前記取付構造は、前記ベース構造に対する、前記回転運動軸を中心とした前記ユーザ作動アセンブリの制限された回転運動を容易にするように構成された回転要素を含む、A15項~A16項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0108】
A18.前記回転要素は、ピボットされていない向きとピボットされた向きとの間で、前記ベース構造に対する前記ユーザ作動アセンブリの前記制限された回転運動を可能にするように構成されている、A17項に記載の丸鋸。
【0109】
A19. A8項~A11項のいずれか一項に従属する場合、前記直線検出軸は、前記ユーザ作動アセンブリが前記ピボットされた向きにある場合に前記直線運動軸と一致する、A18項に記載の丸鋸。
【0110】
A20.前記動きセンサの直線検出軸/前記直線検出軸は前記回転運動軸から離間している、A15項~A19項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0111】
A21.前記動きセンサは、前記回転運動軸と一致した、又は少なくとも実質的に一致した回転検出軸を含む、A15項~A20項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0112】
A22.前記コントローラは、前記回転検出軸の周りの速度が閾値回転速度の大きさよりも大きいことを前記動き信号が示す場合、前記キックバック応答を開始するようにプログラムされている、A21項に記載の丸鋸。
【0113】
A23.前記コントローラは、
(i)前記キックバック応答として前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きを停止させること、及び
(ii)前記キックバック応答として前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きを減衰させること、
のうち少なくとも1つを行うようにプログラムされている、A15項~A22項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0114】
A24.前記丸鋸は、前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きに選択的に抵抗するように構成された回転運動軸ブレーキ構造を含み、さらに、前記コントローラは、前記キックバック応答として前記回転運動軸ブレーキ構造を作動させるようにプログラムされている、A15項~A23項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0115】
A25.定置式丸鋸、半定置式丸鋸、マイターソー、複合マイターソー、チョップソー、スライディングマイターソー、複合スライディングマイターソー、パネルソー、ベベルソー、及びラジアルアームソーのうちの少なくとも1つを含む、A1項~A24項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0116】
A26.手持ち式丸鋸ではない、A1項~A25項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0117】
A27.前記鋸支持体は、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に前記丸鋸を動作可能に支持するように構成されている、A1項~A26項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0118】
A28.前記鋸支持体は鋸支持面を画定する、A1項~A27項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0119】
A29.前記鋸支持面は、水平な、又は少なくとも実質的に水平な鋸支持面を含む、A28に記載の丸鋸。
【0120】
A30.前記鋸支持面は下向きであり、又は少なくとも実質的に下向きである、A28項~A29項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0121】
A31.(i)前記鋸支持体は、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に、地面によって直接的に支持されるように構成されていること、
(ii)前記鋸支持体は、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に、前記地面によって間接的に支持されるように構成されていること、及び
(iii)前記鋸支持体は、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時にユーザ/前記ユーザによって移動されるように構成されていること、
のうちの少なくとも1つである、A1項~A30項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0122】
A32.前記被加工物支持体は、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に前記被加工物を支持するように構成された被加工物支持面を画定する、A1項~A31項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0123】
A33.前記被加工物支持面は、水平な、又は少なくとも実質的に水平な被加工物支持面である、A32項に記載の丸鋸。
【0124】
A34.前記被加工物支持面は上向きであり、又は少なくとも実質的に上向きである、A32項~A33項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0125】
A35.前記被加工物支持面は、
(i)鋸支持面/前記鋸支持面に対向していること、
(ii)前記鋸支持面に平行であること、
(iii)前記鋸支持面に少なくとも実質的に平行であること、
のうちの少なくとも1つである、A32項~A34項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0126】
A36.前記動きセンサは、微小電気機械システム(MEMS)動きセンサを含むか又は微小電気機械システム(MEMS)動きセンサである、A1項~A35項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0127】
A37.前記動きセンサは、
(i)単一の検出軸に沿って加速度を検出すること、
(ii)2つの垂直検出軸に沿って加速度を検出すること、
(iii)3つの直交検出軸に沿って加速度を検出すること、
(iv)前記単一の検出軸を中心とした回転を検出すること、
(v)前記2つの垂直検出軸を中心とした回転を検出すること、及び
(vi)前記3つの直交検出軸を中心とした回転を検出すること、
のうちの少なくとも1つを行うように構成されている、A1項~A36項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0128】
A38.前記動きセンサは、
(i)前記シャフト回転軸に対して垂直であること、及び
(ii)前記刃回転面に平行であること、
のうち少なくとも1つである加速度検出面内で加速度を検出するように構成されている、A1項~A37項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0129】
A39.前記動きセンサは、
(i)シャフト回転軸に対して垂直であること、
(ii)前記刃回転面に平行であること、及び
(iii)加速度検出面/前記加速度検出面に平行であること、
のうち少なくとも1つである回転検出面内での回転を検出するように構成されている、A1項~A38項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0130】
A40.前記ユーザ作動アセンブリは、前記コントローラ及び前記動きセンサの双方を備えた回路基板を含む、A1項~A39項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0131】
A41.前記ユーザ作動アセンブリは前記コントローラを含む、A1項~A40項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0132】
A42.前記コントローラはさらに、B1項~B28項のいずれかの方法の、いずれかの任意の適切なステップを実行するようにプログラムされている、A1項~A41項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0133】
A43.前記コントローラは、前記キックバック応答として前記丸鋸刃の回転を停止させるようにプログラムされている、A1項~A42項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0134】
A44.前記丸鋸刃の回転を停止させるために選択的に作動されるように構成されたブレーキアセンブリをさらに含み、また、前記コントローラは、前記キックバック応答として前記ブレーキアセンブリを作動させるようにプログラムされている、A43項に記載の丸鋸。
【0135】
A45.前記コントローラは、前記キックバック応答として前記モータへの電流の供給を停止させるようにプログラムされている、A43項~A44項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0136】
A46.前記コントローラは、被加工物接触パラメータを決定するようにさらにプログラムされており、前記丸鋸刃が前記被加工物と接触している場合、前記被加工物接触パラメータは接触値範囲内にあり、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記被加工物接触パラメータは非接触値範囲内にあり、さらに、前記コントローラは、前記被加工物接触パラメータが前記接触値範囲内にある場合、又は前記接触値範囲内にある場合のみ、前記キックバック状態が存在すると決定するようにプログラムされている、A43項~A45項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0137】
A47.前記被加工物接触パラメータは、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時の前記モータ及び前記丸鋸刃のうち少なくとも1つの角速度を含み、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記角速度は平均自由角速度を定め、さらに、前記接触値範囲は、前記平均自由角速度を下回る閾値角速度減少量である角速度を含み、必要に応じて、前記閾値角速度減少量は、少なくとも20回転/分(RPM)、少なくとも25RPM、少なくとも30RPM、少なくとも35RPM、少なくとも40RPM、少なくとも50RPM、少なくとも60RPM、少なくとも70RPM、少なくとも80RPM、少なくとも90RPM、少なくとも100RPM、少なくとも150RPM、少なくとも200RPM、少なくとも300RPM、少なくとも400RPM、少なくとも500RPM、少なくとも600RPM、少なくとも700RPM又は少なくとも800RPMである、A46項に記載の丸鋸。
【0138】
A48.前記コントローラは、前記丸鋸刃の前記角速度を測定するようにプログラムされている、A47項に記載の丸鋸。
【0139】
A49.前記コントローラは、前記モータのモータモデルに少なくとも部分的に基づいて前記丸鋸刃の前記角速度を計算するようにプログラムされている、A47項~A48項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0140】
A50.前記コントローラは、前記モータに供給される電流の大きさ及び前記電流の電圧の大きさに少なくとも部分的に基づいて前記丸鋸刃の前記角速度を計算するようにプログラムされている、A47項~A49項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0141】
A51.前記被加工物接触パラメータは、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時の前記丸鋸刃の電流消費量及び電力消費量のうちの少なくとも1つを含み、前記丸鋸の前記モータは最大定格消費量を定めており、さらに、前記接触値範囲は、前記最大定格消費量の閾値パーセンテージよりも大きい消費量を含み、必要に応じて、前記最大定格消費量の前記閾値パーセンテージは、50%、60%、70%、80%、又は90%である、A46項~A50項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0142】
A52.前記丸鋸は前記丸鋸刃と前記被加工物との間の接触を検出するように構成された接触検出器を含み、さらに、前記接触検出器は前記被加工物接触パラメータを生成するように構成されている、A46項~A51項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0143】
A53.前記接触検出器は、
(i)電気的接触検出器、
(ii)容量性接触検出器、
(iii)電磁接触検出器、及び
(iv)機械的接触検出器、
のうち少なくとも1つを含む、A52項に記載の丸鋸。
【0144】
A54.前記被加工物接触パラメータは、前記動き信号の信号対雑音比に少なくとも部分的に基づいている、A46項~A53項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0145】
A55.前記被加工物接触パラメータは、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に測定された前記ユーザ作動アセンブリの加速度の大きさに少なくとも部分的に基づいている、A46項~A54項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0146】
A56.前記加工物接触パラメータは、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向の速度、及び
(ii)前記動作方向の方向、
のうち少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいている、A46項~A55項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0147】
A57.前記ユーザ作動アセンブリは把持領域をさらに含み、前記把持領域は、前記被加工物を切断するための前記丸鋸の使用時に前記丸鋸のユーザ/前記ユーザによって把持されて前記丸鋸刃を前記被加工物と接触させるように構成されている、A1項~A56項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0148】
A58.前記ユーザ作動アセンブリは、前記丸鋸の少なくとも1つの他の構成要素に電流を選択的に流すためにユーザ/前記ユーザによって選択的に作動されるように構成されたスイッチをさらに含む、A1項~A57項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0149】
A59.前記ユーザ作動アセンブリは前記丸鋸刃をさらに含み、前記丸鋸刃は前記アーバーを介して前記モータに動作可能に取り付けられている、A1項~A58項のいずれか一項に記載の丸鋸。
【0150】
B1.丸鋸刃を含む丸鋸のキックバック状態の検出方法であって、
前記丸鋸刃を刃回転面内で回転させることと、
前記丸鋸のユーザ作動アセンブリに作動力を加えることと、
前記印加に応答して、前記ユーザ作動アセンブリを前記丸鋸のベース構造に対して動作方向に移動させることと、
前記ユーザ作動アセンブリの動きセンサを用いて、前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向に沿った動きを検出することと、
前記ユーザ作動アセンブリの前記動きが前記丸鋸のキックバック状態を示すことに応答して、前記丸鋸のキックバック応答を開始することと、
を含む前記方法。
【0151】
B2.前記検出が被加工物接触パラメータを検出することをさらに含み、前記丸鋸刃が前記被加工物と接触している場合、前記被加工物接触パラメータは接触値範囲内にあり、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記被加工物接触パラメータは非接触値範囲内にあり、さらに、前記被加工物接触パラメータが前記接触値範囲内にある場合、又は前記被加工物接触パラメータが前記接触値範囲内にある場合のみ、前記キックバック状態が存在すると決定することを含む、B1項に記載の方法。
【0152】
B3.前記被加工物接触パラメータは、前記回転時のモータ及び前記丸鋸刃のうち少なくとも1つの角速度を含み、前記丸鋸刃が前記被加工物から離間している場合、前記角速度は平均自由角速度を定め、さらに、前記接触値範囲は、前記平均自由角速度を下回る閾値角速度減少量である角速度を含み、必要に応じて、前記閾値角速度減少量は、少なくとも20回転/分(RPM)、少なくとも25RPM、少なくとも30RPM、少なくとも35RPM、少なくとも40RPM、少なくとも50RPM、少なくとも60RPM、少なくとも70RPM、少なくとも80RPM、少なくとも90RPM、少なくとも100RPM、少なくとも150RPM、少なくとも200RPM、少なくとも300RPM、少なくとも400RPM、少なくとも500RPM、少なくとも600RPM、少なくとも700RPM又は少なくとも800RPMである、B2項に記載の方法。
【0153】
B4.前記被加工物接触パラメータの前記検出は、前記丸鋸刃の前記角速度を測定することを含む、B3項に記載の方法。
【0154】
B5.前記被加工物接触パラメータの前記検出は、前記丸鋸のモータのモータモデルに少なくとも部分的に基づいて前記丸鋸刃の前記角速度を計算することを含む、B3項~B4項のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
B6.前記丸鋸刃の角速度の前記計算は、前記モータに供給される電流の大きさ及び前記電流の電圧の大きさに少なくとも部分的に基づいて前記丸鋸刃の前記角速度を計算することをさらに含む、B5項に記載の方法。
【0156】
B7.前記被加工物接触パラメータは、前記回転時の前記丸鋸刃の電流消費量及び電力消費量のうちの少なくとも1つを含み、前記丸鋸のモータ/前記モータは最大定格消費量を定めており、さらに、前記接触値範囲は、前記最大定格消費量の閾値パーセンテージよりも大きい消費量を含み、必要に応じて、前記最大定格消費量の前記閾値パーセンテージは、50%、60%、70%、80%、又は90%である、B2項~B6項のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
B8.前記丸鋸は前記丸鋸刃と前記被加工物との間の接触を検出するように構成された接触検出器を含み、さらに、前記接触検出器は前記被加工物接触パラメータを生成するように構成されている、B2項~B7項のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
B9.前記接触検出器は、
(i)電気的接触検出器、
(ii)容量性接触検出器、
(iii)電磁接触検出器、及び
(iv)機械的接触検出器、
のうち少なくとも1つを含む、B8項の方法。
【0159】
B10.前記被加工物接触パラメータは、前記検出の信号対雑音比に少なくとも部分的に基づいている、B2項~B9項のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
B11.前記被加工物接触パラメータは、前記検出時に測定された前記ユーザ作動アセンブリの加速度の大きさに少なくとも部分的に基づいている、B2項~B10項のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
B12.前記加工物接触パラメータは、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記動作方向の速度、及び
(ii)前記動作方向の方向、
のうち少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいている、B2項~B11項のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
B13.前記作動力の印加は前記丸鋸のユーザによって行われる、B1項~B12項のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
B14.前記ユーザ作動アセンブリの前記移動は、前記ユーザ作動アセンブリを1つの、すなわち単一の直線運動軸に沿って並進させることを含む、B1項~B13項のいずれか一項に記載の方法。
【0164】
B15.前記直線運動軸は、前記刃回転面に平行に、又は少なくとも実質的に平行に延びている、B14項に記載の方法。
【0165】
B16.前記動きの前記検出は、直線検出軸に沿った直線加速度と、必要に応じて前記丸鋸のユーザ/前記ユーザに向かう直線加速度を検出することを含む、B14項~B15項のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
B17.前記キックバック応答の前記開始は、前記直線加速度が閾値直線加速度の大きさよりも大きい場合に前記キックバック応答を開始することを含む、B16項に記載の方法。
【0167】
B18.前記直線検出軸は第1の直線検出軸であり、前記動きセンサは、前記第1の直線検出軸に対して垂直であり、重力に一致しており、水平方向に対して垂直であり、かつ前記丸鋸の被加工物支持体に平行である第2の直線検出軸を含み、さらに、前記キックバック応答の開始は、
(i)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度とのベクトル和が閾値直線加速度/前記閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、及び
(ii)前記第1の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値と前記第2の直線検出軸に沿った直線加速度の絶対値とのスカラー和が閾値直線加速度/前記閾値直線加速度の大きさよりも大きいこと、
のうち少なくとも1つの場合に前記キックバック応答を開始することを含む、B16項~B17項のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
B19.前記キックバック応答の前記開始は、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きを停止させること、及び
(ii)前記ユーザ作動アセンブリの前記直線運動軸に沿った動きを減衰させること、
のうちの少なくとも1つを含む、B14項~B18項のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
B20.前記ユーザ作動アセンブリの前記移動は、1つの、すなわち単一の回転運動軸を中心に前記ユーザ作動アセンブリを回転させることを含む、B1項~B19項のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
B21.前記回転運動軸は、前記刃回転面に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直である、B20項に記載の方法。
【0171】
B22.前記動きの前記検出は、前記回転運動軸の周りの回転速度を検出することを含む、B20項~B21項のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
B23.前記キックバック応答の前記開始は、前記回転速度が閾値回転速度の大きさよりも大きい場合に前記キックバック応答を開始することを含む、B22項に記載の方法。
【0173】
B24.前記キックバック応答の前記開始は、
(i)前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きを停止させること、及び
(ii)前記ユーザ作動アセンブリの前記回転運動軸の周りの動きを減衰させること、
のうちの少なくとも1つを含む、B22項~B23項のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
B25.前記キックバック応答の前記開始は前記回転を停止させることを含む、B1項~B24項のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
B26.前記丸鋸刃の回転を停止させるために選択的に作動されるように構成されたブレーキアセンブリを含み、さらに、前記キックバック応答の前記開始は、前記ブレーキアセンブリを作動させて前記丸鋸刃の回転を停止させることを含む、B1項~B25項のいずれか一項に記載の方法。
【0176】
B27.前記キックバック応答の前記開始は、前記丸鋸のモータへの電流の供給を停止させることを含む、B1項~B26項のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
B28.A1項~A59項のいずれかに記載の前記丸鋸の好適な構造を含む、B1項~B27項のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
B29.実行されると、B1項~B28項のいずれかに記載の方法のいずれかの好適なステップを実行するよう丸鋸のコントローラに指示するコンピュータ実行可能命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本明細書に開示された丸鋸及び方法は電動工具産業に適用可能である。
【0180】
前述の開示内容は、独立した有用性を有する複数の別個の発明を包含すると考えられる。これらの発明の各々はその好ましい形態で開示されたが、本明細書に開示され、例示されたその特定の実施形態は、多数の変形が可能であるため限定的な意味で考えられるべきではない。本発明の主題は、本明細書に開示された種々の要素、特徴、機能及び/又は特性の全ての新規かつ非自明な組み合わせ及び部分的組み合わせ(サブコンビネーション)を含む。同様に、「1つの(a)」又は「第1の(a first)」要素、又はその等価物が請求項に記載されている場合、このような請求項は1つ以上のこのような要素の組み込みを含むものと理解されるべきであり、2つ以上のこのような要素を必要とするものでも除外するものでもない。
【0181】
以下の特許請求の範囲は、開示された発明のうちの1つに関連し、新規かつ非自明である特定の組み合わせ及び部分的組み合わせを具体的に指摘するものであると考えられる。特徴、機能、要素及び/又は特性の他の組み合わせ及び部分的組み合わせで具現化される発明は、本願もしくは関連出願において、本請求項の補正又は新しい請求項の提示により請求することができる。このような補正された請求項又は新しい請求項は、これらが異なる発明に関連するか、同じ発明に関連するかにかかわらず、又は出願当初の請求項に対して範囲が異なるか、より広いか、より狭いかもしくは等しいかにかかわらず、本開示の発明の主題内に含まれるものとみなされる。
【国際調査報告】