(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】頂部反射防止膜製造用組成物、頂部反射防止膜及び含フッ素組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550682
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2022144187
(87)【国際公開番号】W WO2023131085
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210011889.8
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523316909
【氏名又は名称】甘粛華隆芯材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GANSU HUALONG SEMICONDUCTOR MATERIAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】306, 1-01, Building 5, 333 (08) , Lanbao Rd., Baiyin Dist. Baiyin, Gansu 730900, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 永斌
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AM10N
2H225AM32N
2H225AM58N
2H225AM66N
2H225AM92N
2H225AM99N
2H225AN02N
2H225AN11N
2H225AN12N
2H225AN50N
2H225AN67N
2H225AP01N
2H225BA32N
2H225CA12
2H225CB08
(57)【要約】
本発明は、先端光学材料技術の分野に関し、特に、フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物、フォトレジスト用頂部反射防止膜及び含フッ素組成物に関する。フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物は、含フッ素組成物、アルカリ、酸、界面活性剤を含む。含フッ素組成物は含フッ素重合体を含む。含フッ素組成物は、n=1、2、3、4及び≧5個の含フッ素ポリエーテル基をそれぞれ含む含フッ素重合体を含む。上記の含フッ素重合体の含有量はそれぞれ0~10wt%、30wt~68wt%、32wt~60wt%、0~15wt%及び0~8wt%である。フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素組成物の含有量は1wt~15wt%である。反射防止膜は光の散乱と定在波効果を回避することができ、同時に組成物とフォトレジストのpHがよくマッチングしているため、膜表面の孔や均一性、及び、塗布後の中心点とエッジの厚さの差が大きいという問題を改善し、フォトリソグラフィープロセスの良品率を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部反射防止膜製造用組成物であって、
A)含フッ素組成物であって、以下の構造式を有する含フッ素重合体を含み、
CF
2(CF
3)CF
2-[O-CF(CF
3)CF
2]
n-O-CF(CF
3)COO-R
式中、nは1~8の範囲内にあり、RはH、NH
4のうちの1つ又は複数であり、
前記含フッ素組成物の重量で、nが1の前記含フッ素重合体の含有量aは0~10wt%であり、nが2の前記含フッ素重合体の含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3の前記含フッ素重合体の含有量cは32wt%~60wt%であり、nが4の前記含フッ素重合体の含有量dは0~15wt%であり、n≧5の前記含フッ素重合体の含有量eは0~8wt%であり、且つ、前記含有量b+前記含有量c≧80wt%、前記含有量a、前記含有量d及び前記含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない含フッ素組成物と、
B)水溶性樹脂と、
C)アルカリと、
D)酸と、
E)界面活性剤と、を含み、
前記界面活性剤は、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、メタノールのうちの1つ又は複数であり、前記界面活性剤の含有量は0.1wt%~5wt%であり、前記頂部反射防止膜製造用組成物の総重量に対して、前記含フッ素組成物の含有量は1wt%~15wt%である、ことを特徴とする頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項2】
前記水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸類、ポリウレタン類のうちの1つ又は複数の混合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項3】
前記水溶性樹脂は、含フッ素ポリビニルピロリドン類、含フッ素ポリアクリル酸類、含フッ素ポリウレタン類のうちの1つ又は複数の混合物である、ことを特徴とする請求項2に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項4】
前記頂部反射防止膜製造用組成物の25℃での粘度は1.3~1.5cpであり、前記含フッ素重合体の数平均分子量は600~1300の間にある、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項5】
前記含有量aは0~9wt%であり、前記含有量bは35wt%~68wt%であり、前記含有量cは35wt%~55wt%であり、前記含有量dは3wt%~15wt%であり、前記含有量eは0~6wt%であり、前記含有量a、前記含有量b、前記含有量c、前記含有量d、前記含有量eの合計は100wt%である、ことを特徴とする請求項4に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項6】
前記アルカリは、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカノールアミン、芳香族アミン、アルキルアミンのうちの1つ又は複数であり、前記アルカリの含有量は0.2wt%~2wt%である、ことを特徴とする請求項5に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項7】
前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、シュウ酸、クエン酸、アルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、フッ素原子で置換されたアルキルスルホン酸、フッ素原子で置換されたアルキルカルボン酸、フッ素原子で置換されたアルキルベンゼンスルホン酸、フッ素原子で置換されたアルキルベンゼンカルボン酸及びアミノ酸のうちの1つ又は複数であり、前記酸の含有量は0.3wt%~5wt%である、ことを特徴とする請求項6に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項8】
水及び/又は水溶性有機溶媒をさらに含み、前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素重合体と水溶性樹脂のモル比は1:2~1:30である、ことを特徴とする請求項7に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項9】
前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素重合体と水溶性樹脂のモル比は1:3~1:25であり、及び/又は、前記界面活性剤の含有量は0.3wt%~4wt%であり、及び/又は、前記酸の含有量は0.5wt%~3wt%であり、及び/又は、前記アルカリの含有量は0.2wt%~1wt%であり、及び/又は、前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素組成物の含有量は1.5wt%~12wt%であり、及び/又は、前記含フッ素重合体の数平均分子量は650~1100の間にあり、及び/又は、前記含有量aは0~8wt%であり、及び/又は、前記含有量bは35wt%~65wt%であり、及び/又は、前記含有量cは35wt%~50wt%であり、及び/又は、前記含有量dは5wt%~15wt%であり、及び/又は、前記含有量eは0~4wt%であり、前記含有量a、前記含有量b、前記含有量c、前記含有量d、前記含有量eの合計は100wt%である、ことを特徴とする請求項8に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項10】
前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素組成物の含有量は1.5wt%~8wt%であり、及び/又は、前記含有量aは2wt%~8wt%である、ことを特徴とする請求項9に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の頂部反射防止膜製造用組成物から製造された頂部反射防止膜。
【請求項12】
含フッ素組成物であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の頂部反射防止膜製造用組成物を調製するために使用され、以下の構造式を有する含フッ素重合体を含み、
CF
2(CF
3)CF
2-[O-CF(CF
3)CF
2]
n-O-CF(CF
3)COO-R
式中、nは1~8の範囲内にあり、RはH、NH
4のうちの1つ又は複数であり、
前記含フッ素組成物の重量で、nが1の含フッ素重合体の含有量aは0~10wt%であり、nが2の含フッ素重合体の含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3の含フッ素重合体の含有量cは32wt%~60wt%であり、nが4の含フッ素重合体の含有量dは0~15wt%であり、n≧5の含フッ素重合体の含有量eは0~8wt%であり、且つ、前記含有量b+前記含有量c≧80wt%、前記含有量a、前記含有量d及び前記含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない、ことを特徴とする含フッ素組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端光学材料技術の分野に関し、特に、フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物、フォトレジスト用頂部反射防止膜及び含フッ素組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術は、フォトマスク上の半導体回路パターンをシリコンウェーハ上に転写する方法であり、レーザーや電子ビームをフォトマスクに照射することで、ウェーハ上の感光性物質が感光して材料特性を変化させると、パターン転写プロセスを完了する。既存のフォトリソグラフィー技術には、光の散乱という技術的問題があり、その結果、フォトレジストのイメージングの寸法精度が低くなる。現在、主流の解決方法は、フォトレジスト塗布の前後に、低屈折率かつ高透過率の含フッ素化合物の頂部反射防止膜を追加することで、フォトレジスト内での光の干渉を低減し、フォトレジストの厚さの変化によるフォトリソグラフィー線幅の変化を防ぐことである。
【0003】
本発明者らは、現在のフォトリソグラフィー用反射防止膜に使用されている含フッ素化合物には多くの種類があり、例えば、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、含フッ素重合体などはいずれも、含フッ素非環式小分子材料に属している。特許出願CN1666154Aは、主にアルカリ可溶性含フッ素重合体-[CF2CF(ORfCOOH)]-(Rfは、エーテル酸素原子を含み得る直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を表す)、酸、アミン及び溶媒からなる反射防止コーティング組成物を開示している。特許出願CN101568991Aは、特定のナフタリン化合物、重合体(-[CF2CF(ORfCOOH)]- )及び溶媒を含む反射防止膜を形成する組成物を開示している。特許出願JP10069091Aは、パーフルオロアルキルエーテルカルボン酸(F-[CF(CF3)CF2-O]m-CF(CF3)COOH、mは1~10の整数、好ましくは2~4の整数)、N-ビニルピロリドンの単独重合体又は共重合体及び少なくとも1つのアミノ酸誘導体の水溶液を含む、頂部反射防止膜に使用される組成物を開示している。特許出願TW200928594Aは、一般式Rf-O-[CF(CF3)CF2-O]m-CF(CF3)COOHの含フッ素化合物(Rfは部分的又は完全にフッ素置換されたアルキル基であり、mは0~10の整数である)、アミン類化合物及び水溶性重合体を含む頂部反射防止膜用組成物を開示している。
【0004】
しかしながら、含フッ素化合物は、人体内での分解性及び累積性が問題となっている。半導体業界では、環境への影響をできるだけ小さくするために、膜形成組成物の塗布量を減らすことが予想されている。含フッ素化合物の人体における低い分解性及び蓄積性による健康及び環境への問題のため、頂部反射防止膜を形成するとき、塗布する含フッ素化合物の組成物の使用量を減らす必要がある。中国特許出願CN101849209Aは、少なくとも1つの含フッ素化合物及び第四級アンモニウム化合物、ならびにオプションで選択される水溶性重合体、酸、界面活性剤及び水性溶媒を含む、上層反射防止膜を形成するための含フッ素非環式組成物を開示している。この上層反射防止膜を形成するための組成物は、比較的少ない量で塗布されると、上層反射防止膜を形成するための従来の組成物と同じレベルの機能を発揮することができる。中国特許出願CN112034683Bは、頂部反射防止層用の含フッ素非環式組成物を開示している。この組成物は、頂部反射防止層に要求される40~45nmの厚さを達成するために、使用量が多く、塗布後の中心点とエッジの厚さの差が大きく、トップがT字状になるという問題がある。
【0005】
上記の従来技術における頂部反射防止膜用の組成物は、フォトリソグラフィー用の頂部反射防止膜を形成するために使用することができるが、加工性、膜形成性、屈折率、塗布量又は原料コストの点で幾つかの欠点がある。
【発明の概要】
【0006】
従来技術に存在する上記の技術的課題に対し、本発明の目的は、フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物、フォトレジスト用頂部反射防止膜及び含フッ素組成物を提供することである。前記頂部反射防止膜製造用組成物のpH値能は、フォトレジストのpH値とマッチングすることができ、良好な安定性及び膜形成性を持ち、比較的少ない量で塗布され、屈折率が比較的低い頂部反射防止膜を製造することができ、フォトリソグラフィー工程で発生可能なパターンの欠陥を低減し、フォトリソグラフィパターンの質を向上し、塗布後の中心点、エッジの厚さの差が比較的大きいという問題を改善することができ、同時に、頂部反射防止層系に適量の酸を添加することにより、フォトレジスト中のH+の反射防止膜への拡散を抑制し、T字状のトップを形成するという問題を回避することができる。
【0007】
本発明の目的は、以下の技術的解決策により実現される。
フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物であって、
A)含フッ素組成物であって、以下の構造式を有する含フッ素重合体を含み、
CF2(CF3)CF2-[O-CF(CF3)CF2]n-O-CF(CF3)COO-R
式中、nは1~8の範囲内にあり、Rは、H、NH4又は他の類似構造のうちの1つ又は複数であり、
含フッ素組成物の総重量に対して、nが1の含フッ素重合体の含有量aは0~10wt%であり、nが2の含フッ素重合体の含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3の含フッ素重合体の含有量cは32wt%~60wt%であり、nが4の含フッ素重合体の含有量dは0~15wt%であり、n≧5の含フッ素重合体の含有量eは0~8wt%であり、且つ、含有量b+含有量c≧80wt%、含有量a、含有量d及び含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない含フッ素組成物と、
B)水溶性樹脂と、C)アルカリと、D)酸と、E)界面活性剤と、を含む。
【0008】
重量で、頂部反射防止膜製造用組成物は、1wt%~15wt%の含フッ素組成物を含み、好ましくは1.5wt%~12wt%の含フッ素組成物、より好ましくは1.5wt%~8wt%の含フッ素組成物を含む。
【0009】
詳細な研究により、次のことがわかる。本出願による上記の組成物の組成が上記の条件を満たす場合、前記組成物溶液は良好な安定性及び膜形成性を有し、比較的少ない量で塗布されて従来技術中の反射防止膜と同等の性能の反射防止膜を形成することができる。前記反射防止膜の248nmでの屈折率は1.41~1.44であり、波長248nmのレーザー照射下での屈折率を効果的に低下させることができ、フォトレジスト用頂部反射防止膜として使用することができる。
【0010】
詳細な研究により、次のことがわかる。含有量aが10wt%より大きい場合、前記組成物の膜形成性が良好ではなく、膜の表面に孔が生じやすくなる。含有量eが8wt%より大きい場合、前記組成物の膜形成性が良好ではなく、形成された膜の分布が不均一であり、膜の表面に孔が生じやすい。含有量dが15wt%より大きい場合、前記組成物の膜形成性が一般に良好ではなく、形成された膜の分布が不均一であり、膜の表面に孔が生じやすい。
【0011】
さらに、出願人は次のことを発見した。特定の光源によって照射されたフォトレジストの部分が光化学反応を起こしてH+を生成し、その結果、光で照射されたフォトレジストの部分のpHが1.5~2.5の間に低下する。頂部反射防止層のpH値が比較的大きい場合、フォトリソグラフィー後のベークプロセスにおいて、H+は頂部反射防止層とフォトレジストとの境界領域に拡散し、同時にその領域のpHが上昇し、現像プロセスでは現像液によって完全に除去することができないため、T字状トップが形成される。頂部反射防止層系に適切な量の酸を加えることによって、フォトレジスト内のH+の反射防止膜への拡散を抑制して、T字状トップの形成を回避することができる。含有量c(五量体)などの大分子量体が増加すると、反射防止膜本体の強度及びフォトレジスト層との親和性が向上する。一方、含有量c(五量体)が30wt%より大きい場合、H+の反射防止膜への拡散が激しくなるため、適切な量の酸を添加してpH値を調整し、フォトレジスト内のH+の反射防止膜への拡散を抑制する必要がある。
【0012】
含有量c(五量体)が60wt%より大きい場合、均一で無孔質の膜を形成することができるが、比較的大きい塗布量が必要となる。含有量b(四量体)が30wt%より小さい場合、均一で無孔質の膜を形成することができるが、比較的大きい塗布量が必要となる。また、前記組成物が界面活性剤を含まない場合、均一で無孔質の膜を形成することができるが、比較的大きい塗布量が必要となり、溶液が不安定で沈殿しやすくなる。前記組成物が酸を含まない場合、組成物のpH値が高すぎるため、それから製造された頂部反射防止膜を使用するフォトリソグラフィープロセス中に、フォトレジストのT-トップが発生する。
【0013】
さらに、前記含フッ素重合体の数平均分子量は600~1300の間、より好ましくは650~1100の間にある。フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物の25℃での粘度は1.3~1.5cpである。
【0014】
さらに、含有量aは0~9wt%であり、好ましくは0~8wt%であり、より好ましくは2wt%~8wt%である。含有量bは35wt%~68wt%であり、好ましくは35wt%~65wt%である。含有量cは35wt%~55wt%であり、好ましくは35wt%~50wt%である。含有量dは3wt%~15wt%であり、好ましくは5wt%~15wt%である。含有量eは0~6wt%であり、より好ましくは0~4wt%である。
【0015】
前記含フッ素重合体は、光酸化、触媒的オリゴマー化、プラズマ又はアニオン重合法を通じて、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを重合し、その後、水、アミン及びエステル類化合物とそれぞれ反応して、カルボキシ基、アミン基及びエステル基を含む対応する含フッ素重合体を形成することができる。
【0016】
さらに、前記含フッ素重合体と水溶性樹脂的のモル比は1:2~1:30であり、好ましくは1:3~1:25である。
【0017】
前記水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸類、ポリウレタン類、含フッ素ポリビニルピロリドン類、含フッ素ポリアクリル酸類、含フッ素ポリウレタン類のうちの1つ又は複数の混合物である。前記水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸類及びポリウレタン類のうちの1つ又は複数であってもよく、又はフッ素原子で上記の水溶性樹脂のアルキル基の全部又は一部の水素原子を置換して得られた水溶性樹脂であってもよい。前記水溶性樹脂の数平均分子量は3000~30000であり、好ましくは4000~26000であり、より好ましくは6000~22000である。
【0018】
前記ポリビニルピロリドン類は、ポリビニルピロリドンであってもよく、又はポリビニルピロリドンと他のモノマーの重合体であってもよい。ポリビニルピロリドン類は単独で使用されてもよく、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0019】
前記ポリアクリル酸類は、ポリアクリル酸であってもよく、又はポリアクリル酸と他のモノマーの重合体であってもよい。ポリアクリル酸類は単独で使用されてもよく、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0020】
前記ポリウレタン類とは、ポリウレタンを指してもよく、又はポリウレタンと他のモノマーの重合体を指してもよい。ポリウレタン類は単独で使用されてもよく、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0021】
さらに、前記アルカリは、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカノールアミン、芳香族アミン、アルキルアミンなどの構造のうちの1つ又は複数であってもよく、好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。頂部反射防止膜製造用組成物の総重量に対して、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの含有量は、0.2wt%~2wt%、好ましくは0.2wt%~1wt%である。
【0022】
さらに、前記酸は、有機酸又は無機酸又はアミノ酸であってもよい。無機酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸である。有機酸は、好ましくはシュウ酸、クエン酸、アルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、及びフッ素原子で前記アルキル基の水素原子の全部又は一部を置換して得られたアルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンスルホン酸及びアルキルベンゼンカルボン酸である。前記アルキル基に含まれる炭素原子の数の範囲は1~20、好ましくは3~15である。アミノ酸は、好ましくはアミノ酢酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、セリン、トレオニン、γ-アミノ酪酸、β-シアノアラニン、アスパラギン酸などである。
【0023】
頂部反射防止膜製造用組成物の総重量に対して、前記酸の含有量は通常0.3wt%~5wt%、好ましくは0.5wt%~3wt%である。
【0024】
さらに、前記界面活性剤は、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、メタノール、ドデシルカルボン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などであり、フォトレジスト用頂部反射防止膜製造用組成物の総重量に対して、その含有量が0.1wt%~5wt%、好ましくは0.3wt%~4wt%である。
【0025】
さらに、頂部反射防止膜製造用組成物は、水及び/又は水溶性有機溶媒をさらに含む。前記水溶性有機溶媒は、アルコール類、ケトン類又はエステル類である。好ましくは、前記水溶性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドである。
【0026】
本発明は、前述した頂部反射防止膜製造用含フッ素組成物のいずれかから製造されたフォトレジスト用頂部反射防止膜をさらに提供する。
【0027】
本発明は、含フッ素重合体を含む含フッ素組成物をさらに提供する。前記含フッ素重合体の構造式は次のとおりである。
CF2(CF3)CF2-[O-CF(CF3)CF2]n-O-CF(CF3)COO-R
式中、nは1~8の範囲内にあり、RはH、NH4のうちの1つ又は複数であり、
前記含フッ素組成物の重量で、nが1の含フッ素重合体の含有量aは0~10wt%であり、nが2の含フッ素重合体の含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3の含フッ素重合体の含有量cは32wt%~60wt%であり、nが4の含フッ素重合体の含有量dは0~15wt%であり、n≧5の含フッ素重合体の含有量eは0~8wt%であり、且つ、前記含有量b+前記含有量c≧80wt%、前記含有量a、前記含有量d及び前記含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、含フッ素重合体の合成重合度及び含フッ素組成物中の含フッ素重合体成分の含有量分布を制御することによって、本発明の特定の組成要件を満たす含フッ素組成物を取得する。この含フッ素組成物は、生産が容易であり、原材料のコストが低く、分解しやすく、毒性が低く、環境に優しいものであり、それから製造された頂部反射防止膜製造用組成物溶液が良好な溶液安定性及び膜形成性を有し、同時に、それから製造された反射防止膜の248nm光源下の屈折率が1.41~1.44であり、使用量が減り、曇りがなく、光散乱と定在波効果を回避することができる。同時に、頂部反射防止膜製造用組成物のpHは、フォトレジストのpHとよくマッチングし、フォトリソグラフィープロセスにおける定在波効果を低減するためにフォトレジスト用頂部反射防止膜として使用することができる。頂部反射防止膜製造用組成物はまた、好ましい界面活性剤を添加することによって、系の粘度を低下させ、表面の孔及び均一性を改善するとともに、塗布後の中心点とエッジの厚さの差が比較的大きいという問題を改善し、フォトリソグラフィープロセスの良品率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】実施例1の組成物溶液の1日目の溶液状況の写真を示す。
【
図1b】実施例1の組成物溶液の14日目の溶液状況の写真を示す。
【
図1c】比較例7の組成物溶液の3日目の溶液状況の写真を示す。
【
図1d】比較例7の組成物溶液の14日目の溶液状況の写真を示す。
【
図2】実施例1の組成物から形成された膜の顕微鏡写真を示す。
【
図3】実施例2の組成物から形成された膜の顕微鏡写真を示す。
【
図4】比較例1の組成物から形成された膜の顕微鏡写真を示す。
【
図5】比較例4の組成物から形成された膜の顕微鏡写真を示す。
【
図6】比較例5の組成物から形成された膜の顕微鏡写真を示す。
【
図7】実施例1の組成物から製造された頂部反射防止膜をフォトリソグラフィープロセスに使用して形成されたフォトレジストパターンを示す。
【
図8】比較例6の組成物から製造された頂部反射防止膜をフォトリソグラフィープロセスに使用して形成されたフォトレジストパターンを示す。
【
図9a】実施例1のサンプルから製造された頂部反射防止膜の中心点の厚さを測定したSEM写真を示す。
【
図9b】実施例1のサンプルから製造された頂部反射防止膜のエッジ点の厚さを測定したSEM写真を示す。
【
図10a】比較例9のサンプルから製造された頂部反射防止膜の中心点の厚さを測定したSEM写真を示す。
【
図10b】比較例9のサンプルから製造された頂部反射防止膜のエッジ点の厚さを測定したSEM写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の内容について、幾つかの例示的な実施例を参照して説明する。これらの実施例は、当業者が本発明の内容をよりよく理解して、それを実現できるようにするためだけに説明されており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語およびその変形は、「含むがそれに限定されない」を意味する無制限の用語として解釈されるべきである。「基づく」という用語は、「少なくとも部分的に基づく」と解釈されるべきである。「1つの実施例」及び「1種類の実施例」という用語は、「少なくとも1つの実施例」と解釈されるべきである。「別の実施例」という用語は、「少なくとも1つの他の実施例」と解釈されるべきである。
【0032】
本実施例は、頂部反射防止膜を製造するための含フッ素重合体、即ち、パーフルオロポリエーテルカルボン酸を調製する方法を開示する。
【0033】
パーフルオロポリエーテルカルボン酸の調製
(1)まず、溶媒50mlのアセトニトリル及び50mlのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを1Lの重合釜内に入れ、次に、5gの触媒KFを重合釜に入れ、均一に撹拌混合した後、高純度窒素で3回置換し、負圧を-0.1MPaにするまで吸引し、設定温度0℃まで冷却し、50gのヘキサフルオロプロピレンオキシドを供給し、定期的な供給(50g/h)を使用して反応プロセスを制御し、温度を0~10℃の間で制御した。ヘキサフルオロプロピレンオキシドを1000g添加した後、常圧に戻し、反応が完了した後、2時間撹拌を続け、撹拌を停止し、室温に戻し、混合物を得た。
(2)混合物を層状にし、下層の生成物を遠心分離及び濾過して反応生成物1を分離し、反応生成物1を蒸留装置に入れた。精留精製により、純度99%以上(ガスクロマトグラフィーにより純度を測定した)のパーフルオロポリエーテルアシルフルオリドを得た。
(3)上記のパーフルオロポリエーテルアシルフルオリドを1Lの酸変換釜内に入れ、パーフルオロポリエーテルアシルフルオリドと水の体積比が1:3となるように水を加え、4時間加熱還流し、90℃まで加熱を続け、解乳化後、静置分液して上部の水を除去し、上記の解乳化と静置分液のステップを2回繰り返した後、温度を110℃まで昇温し、残りの水及びフッ化水素を除去し、パーフルオロポリエーテルカルボン酸を得た。
【0034】
パーフルオロポリエーテルアシルフルオリドの重合度を制御することによって、以下の一般式構造を有するパーフルオロポリエーテルカルボン酸をそれぞれ得た。
CF2(CF3)CF2-[O-CF(CF3)CF2]n-O-CF(CF3)COOH
【0035】
重合体全体の重量に対して、nが1のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Aの含有量aは0~10wt%であり、nが2のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Bの含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Cの含有量cは32wt%~60wt%であり、nが4のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dの含有量dは0~15wt%であり、n≧5のパーフルオロポリエーテルカルボン酸は、nが5のパーフルオロポリエーテルカルボン酸E及びnが8のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Fを含み、パーフルオロポリエーテルカルボン酸Eとパーフルオロポリエーテルカルボン酸Fの合計含有量eは0~8wt%であり、含有量b+含有量c≧80wt%、含有量a、含有量d及び含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない。
〈実施例1〉
【0036】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、55wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、38wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、3wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0037】
0.0064モルのパーフルオロポリエーテルカルボン酸を2wt%の水溶液として調製し、次に、パーフルオロポリエーテルカルボン酸とポリビニルピロリドンのモル比が10:1となるように、2wt%のポリビニルピロリドン水溶液とブレンドし、透明な溶液が得られるまで撹拌した。次いで、撹拌条件下で、溶液に2wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液を添加した。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの使用量は0.584gであった。その後、界面活性剤イソプロパノール1.32gを添加し、シュウ酸2.0gを添加して、pH値を2.0~2.5に調整した。濾過して組成物溶液を得た。
【0038】
計算すると、重量で、前記組成物溶液の組成は、1.727wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.027wt%のポリビニルピロリドン、0.221wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.499wt%のイソプロパノール、0.756wt%のシュウ酸、96.77wt%の水であった。
〈実施例2〉
【0039】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、40wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、48wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、10wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0040】
イソプロパノールの代わりに1.32gの界面活性剤ヘキサフルオロイソプロパノールを使用した以外、実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得した。重量で、前記組成物溶液の組成は、1.74wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.026wt%のポリビニルピロリドン、0.21wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.475wt%のヘキサフルオロイソプロパノール、0.72wt%のシュウ酸、96.829wt%の水であった。
〈実施例3〉
【0041】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、8wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、54wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、36wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、1wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、1wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Fであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0042】
ポリビニルピロリドンの代わりに0.11gのポリアクリル酸を使用し、イソプロパノールの代わりに界面活性剤メタノールを使用した以外は、実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得した。前記ポリアクリル酸はMw=3000、50wt%水溶液であった。
【0043】
重量で、前記組成物溶液の組成は、1.709wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.042wt%のポリアクリル酸、0.223wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.504wt%のメタノール、0.764wt%のシュウ酸、96.758wt%の水であった。
〈実施例4〉
【0044】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、32wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、58wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、6wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Eであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0045】
シュウ酸の代わりにクエン酸を使用し、イソプロパノールの代わりに界面活性剤ドデシルカルボン酸を使用した以外は、実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得した。
【0046】
重量で、前記組成物溶液の組成は、1.750wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.024wt%のポリビニルピロリドン、0.201wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.455wt%のドデシルカルボン酸、0.690wt%のクエン酸、96.880wt%の水であった。
〈実施例5〉
【0047】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、61wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、37wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0048】
イソプロパノールの代わりにヘキサフルオロイソプロパノールを使用した以外は、実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得した。
【0049】
重量で、前記組成物溶液の組成は、1.729wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.027wt%のポリビニルピロリドン、0.219wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.495wt%のヘキサフルオロイソプロパノール、0.75wt%のシュウ酸、96.78wt%の水であった。
〈実施例6〉
【0050】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、65wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、32wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、1wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Fであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0051】
シュウ酸の代わりにパーフルオロヘキサンスルホン酸を使用した以外は、実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得した。
【0052】
重量で、前記組成物溶液の組成は、1.725wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.027wt%のポリビニルピロリドン、0.223wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.504wt%のイソプロパノール、0.763wt%のパーフルオロヘキサンスルホン酸、96.758wt%の水であった。
〈実施例7〉
【0053】
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、52wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、48wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Cであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表1に示す。
【0054】
シュウ酸の代わりにアミノ酢酸を使用した以外は、実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得した。
【0055】
重量で、前記組成物溶液の組成は、1.733wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物、0.026wt%のポリビニルピロリドン、0.216wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、0.488wt%のイソプロパノール、0.74wt%のアミノ酢酸、96.797wt%の水であった。
〈比較例1〉
【0056】
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得し、下記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を使用した。
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、11wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、48wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、38wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、3wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
〈比較例2〉
【0057】
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得し、下記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を使用した。
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、28wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、56wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、12wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
〈比較例3〉
【0058】
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得し、下記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を使用した。
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、32wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、61wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、3wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
〈比較例4〉
【0059】
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得し、下記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を使用した。
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、42wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、38wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、16wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
〈比較例5〉
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得し、下記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を使用した。
重合度の異なる上記のパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、46wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、38wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、3wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、9wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Eであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
〈比較例6〉
【0060】
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得したが、シュウ酸を使用していなかった。上述の方法により製造された、重合度の異なるパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、55wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、38wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、3wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Dであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
〈比較例7〉
【0061】
実施例1と同じ方式で組成物溶液を取得したが、界面活性剤イソプロパノールを使用していなかった。
【0062】
以下の方法を使用して、調製された各組成物の溶液安定性、膜形成性、最小塗布量及び屈折率、ならびに調製された頂部反射防止膜のフォトリソグラフィープロセスにおける適用性を評価した。結果を表2及び添付図面に示す。
〈比較例8〉
【0063】
特許CN112034683Bの配合比率を使用して、界面活性剤及び有機酸を添加せずに、上記の開示された方法により調製された重合度の異なるパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、10wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、66wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、19wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、1wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Eであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
【0064】
以下の方法を使用して、調製された各組成物の溶液安定性、膜形成性、最小塗布量及び屈折率、ならびに調製された頂部反射防止膜のフォトリソグラフィープロセスにおける適用性を評価した。結果を表2に示す。
〈比較例9〉
【0065】
特許CN112034683Bの配合比率を使用して、界面活性剤及び有機酸を添加せずに、上記の開示された方法により調製された重合度の異なるパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、58wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、28wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、8wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Eであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
【0066】
以下の方法を使用して、調製された各組成物の溶液安定性、膜形成性、最小塗布量及び屈折率、ならびに調製された頂部反射防止膜のフォトリソグラフィープロセスにおける適用性を評価した。結果を表2に示す。
〈比較例10〉
【0067】
特許CN112034683Bの実施例4の配合比率を使用して、界面活性剤及び有機酸を添加せずに、上記の開示された方法により調製された重合度の異なるパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、58wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、32wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、及び2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Eであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
【0068】
以下の方法を使用して、調製された各組成物の溶液安定性、膜形成性、最小塗布量及び屈折率、ならびに調製された頂部反射防止膜のフォトリソグラフィープロセスにおける適用性を評価した。結果を表2に示す。
〈比較例11〉
【0069】
特許CN112034683Bの実施例4の配合比率を使用して、界面活性剤イソプロパノール及びシュウ酸を添加し、上記の開示された方法により調製された重合度の異なるパーフルオロポリエーテルカルボン酸を混合した。混合比率は、重量で、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸A、58wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸B、32wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸C、4wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸D、2wt%のパーフルオロポリエーテルカルボン酸Eであった。その結果、パーフルオロポリエーテルカルボン酸組成物を得、その具体的な組成を表2に示す。
【0070】
以下の方法を使用して、調製された各組成物の溶液安定性、膜形成特性、最小塗布量及び屈折率、ならびに調製された頂部反射防止膜のフォトリソグラフィープロセスにおける適用性を評価した。結果を表2に示す。
数平均分子量の測定方法
【0071】
パーフルオロポリエーテルカルボン酸の数平均分子量は、酸価法により次のように測定した。
測定されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸1mlをピペッティングし、そのデータm(g)を量り記録し、35mlの水と15mlの無水エタノールを加え、標定濃度c(mol/ml)の水酸化ナトリウム溶液を使用して滴定し、pH=7まで滴定したとき、消費された水酸化ナトリウムの体積v(ml)を記録した。パーフルオロポリエーテルカルボン酸の数平均分子量は、次の式に従って計算した。
パーフルオロポリエーテルカルボン酸の数平均分子量=m/cv。
溶液安定性の評価方法
【0072】
調製された反射防止膜製造用組成物の溶液250mlを500mlビーカーに入れ、静置し、溶液の状況を目視で観察し、沈殿綿状物が出現した時間を安定時間h(日単位で)として記録し、その安定性を評価し、14日を観察の締切時間とした。h値が大きいほど、溶液の安定性が優れている。
膜形成性の評価方法
【0073】
スピンコータを用いてシリコンウェーハ(4インチ、ホウ素をドープした、厚さ約525μm、直径約100mm)上に各反射防止膜製造用組成物の溶液を塗布し、100℃で90秒間ベークし、冷却した後、対応する膜を形成した。形成された膜の状況を目視で観察し、金属顕微鏡により顕微鏡観察を行い、顕微鏡写真を撮影して、組成物の膜形成性を評価した。
最小塗布量評価方法
【0074】
スピンコータを用いてポジ型フォトレジストをシリコンウェーハ上に塗布し、次に、130℃のホットプレート上で60秒間プリベークして、シリコンウェーハ上に厚さが800nmのフォトレジスト膜を形成した。膜厚測定装置を用いて膜厚を測定した。その後、上記と同じスピンコータを用いて、反射防止膜を形成するための組成物をフォトレジスト膜上に塗布し、90℃のホットプレート上で60秒間プリベークして、フォトレジスト膜上に厚さが45nmの反射防止膜を形成した。目視で観察して、塗布された反射防止膜組成物はフォトレジスト膜のエッジ部分を覆い、均一に塗布された膜を形成することができる最小使用量を、反射防止膜を形成する最小塗布量として記録し、結果を表1及び表2に示す。
屈折率の測定方法
【0075】
シリコンウェーハ(4インチ、ホウ素をドープした、厚さ約525μm、直径約100mm)上に、スピンコータを用いて各反射防止膜製造用組成物の溶液を塗布し、100℃で90秒間ベークし、冷却した後、対応する膜を形成した。楕円偏光計を使用してテストし、248nmでの屈折率を測定した。
粘度の測定方法
【0076】
デジタル粘度計を用いて、まず20分間予熱し、同時に器具が地面と平行になるようにベースナットを調整し、回転子及び回転筒を取り付け、その後、測定される液体を注入した(0号回転子を使用)。冷却循環ポンプを使用して温度を25℃に設定し、循環カップを接続し、循環カップ内の水温を25℃に達させた。回転筒を完全に水に浸し、一定温度になるまで20分間放置した。回転速度60r/min、回転時間10分間で、液体粘度を測定し、5回測定を繰り返して平均値を求め、結果を表1及び表2に示す。
フォトリソグラフィープロセス中の適用性評価方法
【0077】
フォトレジストを塗布したシリコンウェーハ(4インチ、ホウ素をドープした、厚さ約525μm、直径約100mm)上に、スピンコータを用いて各反射防止膜製造用組成物の溶液を塗布し、100℃で90秒間ベークし、冷却した後、フォトレジストの頂部反射防止膜として使用する被覆膜を形成した。塗布後のサンプルを248nmフォトリソグラフィー機でフォトマスクを通して露光処理し、次に、100℃で60秒間ベークし、その後、2.38wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)現像液により60秒間現像した。現像後のシリコンウェーハを冷凍切断し、切片に金をスプレーした後、走査型電子顕微鏡の下に置いて観察し、欠陥を探し、スクリーンショットを撮って、使用中のフォトレジストに対する頂部反射防止膜の影響を評価した。
注:1)表中のパーセントは重量パーセントであり、数平均分子量はパーフルオロポリエーテルカルボン酸の数平均分子量を指す。
【0078】
2)含有量a、b、c、d、eはそれぞれ本出願の明細書で定義されたものであり、例えば、含有量aは、nが1のパーフルオロポリエーテルカルボン酸成分の含有量である。
【0079】
表1からわかるように、本出願の実施例1~7に係る、本出願の組成要件を満たすパーフルオロポリエーテルカルボン酸、水溶性樹脂、酸及び界面活性剤などによって調製された組成物は、良好な溶液安定性を有し、2.0~2.3mlの最小塗布量で、表面が均一で孔のない膜を取得することができ、良好な膜形成性を有する。同時に、それから製造された反射防止膜は、248nmでの屈折率が1.41~1.44であり、波長248nmのレーザー照射下での屈折率を効果的に低下させることができ、光散乱や定在波効果が発生せず、フォトレジスト用頂部反射防止膜として使用することができる。一方、比較例2のパーフルオロポリエーテルカルボン酸は、nが2のパーフルオロポリエーテルカルボン酸成分を28wt%含有し、即ち、成分bの含有量が30wt%より小さいので、表面が均一で孔のない膜を取得する前記組成物の最小塗布量は3.8mlとなった。比較例3のパーフルオロポリエーテルカルボン酸は、nが3のパーフルオロポリエーテルカルボン酸成分を61wt%含有し、即ち、成分cの含有量が60wt%より大きいので、表面が均一で孔のない膜を取得する前記組成物の最小塗布量は4.5mlとなった。比較例7の組成物は、界面活性剤イソプロパノールを使用しなかったので、表面が均一で孔のない膜を取得する前記組成物の最小塗布量は5.5mlとなった。比較例8、9は、特許CN112034683Bの配合比率を使用し、界面活性剤及び有機酸を添加しなかったが、最小塗布量は2.5mlであり、粘度は実施例1~7よりも著しく大きかった。比較例10は、特許CN112034683Bの実施例4の配合比率を使用した。比較例11は、特許CN112034683Bの実施例4の配合比率に基づいて、界面活性剤イソプロパノール及びシュウ酸を添加した。
【0080】
また、
図1a、1b、1c及び1dからわかるように、本出願の要件を満たす実施例1の組成物溶液は、14日間静置しても依然として透明なままであり、沈殿綿状物が出現せず、良好な溶液安定性を有する。界面活性剤イソプロパノールを使用しなかった比較例7の組成物溶液は、安定性が良好ではなく、静置3日目で沈殿物が出現し、静置14日目までも溶液中に明らかな沈殿物が存在した。
【0081】
図2~6からわかるように、本出願の要件を満たす実施例1及び2の組成物は、表面が均一で孔のない膜を取得することができ、良好な膜形成性を有する(
図2~3を参照)。一方、比較例1のパーフルオロポリエーテルカルボン酸は、nが1のパーフルオロポリエーテルカルボン酸成分を11wt%含有し、即ち、成分aの含有量が10wt%より大きいので、それによって調製された組成物の膜形成性が良好ではなく、形成された膜には明らかな孔が多数箇所にあった(
図4を参照)。比較例4のパーフルオロポリエーテルカルボン酸は、nが4のパーフルオロポリエーテルカルボン酸成分を16wt%含有し、即ち、成分dの含有量が15wt%より大きいので、それによって調製された組成物の膜形成性が悪く、形成された膜は、分布が明らかに不均一で、孔が多かった(
図5を参照)。比較例5のパーフルオロポリエーテルカルボン酸は、n≧5のパーフルオロポリエーテルカルボン酸成分を9wt%含有し、即ち、成分eの含有量が8wt%より大きいので、それによって調製された組成物の膜形成性が悪く、形成された膜は、分布が不均一で、明らかな孔が多数箇所にあった(
図6を参照)。
【0082】
図7~8からわかるように、本出願の要件を満たす実施例1の組成物から製造された頂部反射防止膜がフォトリソグラフィープロセスに使用された場合、フォトレジストパターンの形成が正常であった(
図7を参照)。一方、比較例6の組成物にはシュウ酸が使用されなかった。前記組成物から製造された頂部反射防止膜がフォトリソグラフィープロセスに使用された場合、フォトレジストにT-トップが発生した(
図8を参照)。その原因は次のとおりである。特定の光源によって照射されたフォトレジストの部分が光化学反応を起こしてH
+を生成し、その結果、光で照射されたフォトレジストの部分のpHが1.5~2.5の間に低下する。頂部反射防止層のpH値が比較的大きい場合、フォトリソグラフィー後のベークプロセスにおいて、H
+は頂部反射防止層とフォトレジストとの境界領域に拡散し、同時にその領域のpHが上昇し、現像プロセスでは現像液によって完全に除去することができないため、T字状トップが形成される。頂部反射防止層系に適切な量の酸を加えることによって、フォトレジスト内のH
+の反射防止膜への拡散を抑制して、T字状トップの形成を回避することができる。
【0083】
比較例10及び比較例11からわかるように、イソプロパノール及びシュウ酸の添加により、膜層の表面が不均一で孔が多数箇所にあるという問題を改善し、同時に粘度及び塗布量を低減した。これは、イソプロパノールが溶解を促進する役割を果たし、パーフルオロポリエーテル酸の水への溶解度を高め、配合溶液の均一性を最適化するためである。同時に、イソプロパノールの使用により、系の粘度が低下し、撹拌プロセス中に配合系が均一になりやすくなり、粘度の低下により塗布量も低減された。
【0084】
実施例1及び比較例9を選択してサンプルを調製し、開示された最小塗布量評価方法に従って塗布実験を行った。実施例1で得られた組成物の膜層の中心点及びエッジ点の厚さはそれぞれ
図9a及び
図9bに示すように、両方とも253Aであった。
【0085】
比較例9で得られた組成物の膜層の中心点及びエッジ点の厚さはそれぞれ
図10a及び
図10bに示すように、それぞれ332Aと228Aであった。
【0086】
同じ製造プロセス下で、実施例1の組成物の頂部反射防止膜は、特許CN112034683Bの解決策を使用した比較例9と比較して、膜層の中心点及びエッジ点の厚さの均一性がより良好である。
【0087】
このことからわかるように、本出願の要件を満たす頂部反射防止膜の組成物の溶液は、良好な溶液安定性、良好な膜形成性を有し、比較的少ない塗布量で基板上に所定の膜厚で均一な反射防止膜を形成することができる。前記反射防止膜は、248nm光源下で1.41~1.44の屈折率を有し、光散乱及び定在波効果の発生を回避することができ、正常のフォトレジストパターンを形成するようにフォトレジスト用頂部反射防止膜として使用することができる。
【0088】
比較例1~11に記載されているように、本出願の限定された特徴の要件を超える組成物は、溶液安定性及び/又は膜形成性が良くない問題があり、その結果、フォトレジスト用頂部反射防止膜として使用することができない。あるいは、最小塗布量が比較的大きいという問題、又は、製造された頂部反射防止膜により、フォトリソグラフィープロセス中にフォトレジストにT-トップが発生するか、若しくは膜層の中心点とエッジ点の厚さが不均一になるという問題が存在する。
【0089】
特定の界面活性剤の使用により、系の粘度が低下し、撹拌プロセス中に配合系が均一相になりやすくなり、形成された膜の厚さが均一になると同時に、粘度の低下により塗布量も低減される。
【0090】
当業者であれば、上述した各実施形態は本発明を実現するための具体例であり、実際の適用においては、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々な変更を加えることができることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部反射防止膜製造用組成物であって、
A)含フッ素組成物であって、以下の構造式を有する含フッ素重合体を含み、
CF
2(CF
3)CF
2-[O-CF(CF
3)CF
2]
n-O-CF(CF
3)COO-R
式中、nは1~8の範囲内にあり、RはH、NH
4のうちの1つ又は複数であり、
前記含フッ素組成物の重量で、nが1の前記含フッ素重合体の含有量aは0~10wt%であり、nが2の前記含フッ素重合体の含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3の前記含フッ素重合体の含有量cは32 wt%~60wt%であり、nが4の前記含フッ素重合体の含有量dは0~15wt%であり、n≧5の前記含フッ素重合体の含有量eは0~8wt%であり、且つ、前記含有量b+前記含有量c≧80wt%、前記含有量a、前記含有量d及び前記含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない含フッ素組成物と、
B)水溶性樹脂と、
C)アルカリと、
D)酸と、
E)界面活性剤と、を含み、
前記界面活性剤は、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、メタノールのうちの1つ又は複数であり、前記界面活性剤の含有量は0.1wt%~5wt%であり、前記頂部反射防止膜製造用組成物の総重量に対して、前記含フッ素組成物の含有量は1wt%~15wt%である、ことを特徴とする頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項2】
前記水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸類、ポリウレタン類のうちの1つ又は複数の混合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項3】
前記水溶性樹脂は、含フッ素ポリビニルピロリドン類、含フッ素ポリアクリル酸類、含フッ素ポリウレタン類のうちの1つ又は複数の混合物である、ことを特徴とする請求項2に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項4】
前記頂部反射防止膜製造用組成物の25℃での粘度は1.3~1.5cpであり、前記含フッ素重合体の数平均分子量は600~1300の間にある、ことを特徴とする請求項
1のいずれか一項に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項5】
前記含有量aは0~9wt%であり、前記含有量bは35wt%~68wt%であり、前記含有量cは35wt%~55wt%であり、前記含有量dは3wt%~15wt%であり、前記含有量eは0~6wt%であり、前記含有量a、前記含有量b、前記含有量c、前記含有量d、前記含有量eの合計は100wt%である、ことを特徴とする請求項4に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項6】
前記アルカリは、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカノールアミン、芳香族アミン、アルキルアミンのうちの1つ又は複数であり、前記アルカリの含有量は0.2wt%~2wt%である、ことを特徴とする請求項5に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項7】
前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、シュウ酸、クエン酸、アルキルスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、フッ素原子で置換されたアルキルスルホン酸、フッ素原子で置換されたアルキルカルボン酸、フッ素原子で置換されたアルキルベンゼンスルホン酸、フッ素原子で置換されたアルキルベンゼンカルボン酸及びアミノ酸のうちの1つ又は複数であり、前記酸の含有量は0.3wt%~5wt%である、ことを特徴とする請求項6に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項8】
水及び/又は水溶性有機溶媒をさらに含み、前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素重合体と水溶性樹脂のモル比は1:2~1:30である、ことを特徴とする請求項7に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項9】
前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素重合体と水溶性樹脂のモル比は1:3~1:25であり、及び/又は、前記界面活性剤の含有量は0.3wt%~4wt%であり、及び/又は、前記酸の含有量は0.5wt%~3wt%であり、及び/又は、前記アルカリの含有量は0.2 wt%~1wt%であり、及び/又は、前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素組成物の含有量は1.5wt%~12wt%であり、及び/又は、前記含フッ素重合体の数平均分子量は650~1100の間にあり、及び/又は、前記含有量aは0~8wt%であり、及び/又は、前記含有量bは35wt%~65wt%であり、及び/又は、前記含有量cは35wt%~50wt%であり、及び/又は、前記含有量dは5wt%~15wt%であり、及び/又は、前記含有量eは0~4wt%であり、前記含有量a、前記含有量b、前記含有量c、前記含有量d、前記含有量eの合計は100wt%である、ことを特徴とする請求項8に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項10】
前記頂部反射防止膜製造用組成物における含フッ素組成物の含有量は1.5wt%~8wt%であり、及び/又は、前記含有量aは2wt%~8wt%である、ことを特徴とする請求項9に記載の頂部反射防止膜製造用組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の頂部反射防止膜製造用組成物から製造された頂部反射防止膜。
【請求項12】
含フッ素組成物であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の頂部反射防止膜製造用組成物を調製するために使用され、以下の構造式を有する含フッ素重合体を含み、
CF
2(CF
3)CF
2-[O-CF(CF
3)CF
2]
n-O-CF(CF
3)COO-R
式中、nは1~8の範囲内にあり、RはH、NH
4のうちの1つ又は複数であり、
前記含フッ素組成物の重量で、nが1の含フッ素重合体の含有量aは0~10wt%であり、nが2の含フッ素重合体の含有量bは30wt%~68wt%であり、nが3の含フッ素重合体の含有量cは32wt%~60wt%であり、nが4の含フッ素重合体の含有量dは0~15wt%であり、n≧5の含フッ素重合体の含有量eは0~8wt%であり、且つ、前記含有量b+前記含有量c≧80wt%、前記含有量a、前記含有量d及び前記含有量eは、同時に0であるか、又はいずれかが0であるか、又は同時に0ではない、ことを特徴とする含フッ素組成物。
【国際調査報告】