(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ウリジン及びケトロイシンの同時送達のための組成物及び化合物
(51)【国際特許分類】
C07H 19/067 20060101AFI20240221BHJP
A61K 31/7072 20060101ALI20240221BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240221BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C07H19/067 CSP
A61K31/7072
A61P21/00
A61P7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551096
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022014874
(87)【国際公開番号】W WO2022177740
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523317467
【氏名又は名称】ファーマ サンク,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フォン ボルステル,レイド,ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,デービッド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア,ロランド,アレハンドロ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD03
4C057LL10
4C057LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZC54
(57)【要約】
ウリジン及びケトロイシンの両方を送達する化合物及び組成物は、筋力低下又は筋除脂肪量低下を特徴とする障害の治療において有用である。1つのそのような化合物は、5’-O-ケトロイシル-2’,3’-ジ-O-アセチルウリジンである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物、5’-O-ケトロイシル-2’,3’-ジ-O-アセチルウリジン。
【請求項2】
哺乳動物対象における筋力低下又は筋除脂肪量低下を特徴とする障害を治療する方法であって、前記障害を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項3】
前記障害が、筋消耗状態、ダイナペニア、筋廃用性萎縮、並びに慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、及び慢性心不全と関連する筋消耗及び運動耐性からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記筋消耗状態が、サルコペニア及び悪液質からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、ヒト対象である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
治療有効量の、経口的に生体利用可能なウリジンプロドラッグ及びケトロイシン化合物を含む、医薬組成物。
【請求項7】
前記ウリジンプロドラッグが、ウリジントリアセテートである、請求項6に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記ケトロイシン化合物が、5’-O-ケトロイシル-2’,3’-ジ-O-アセチルウリジン、ケウトロイシン及びその治療上有効な塩からなる群から選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
哺乳動物対象における筋力低下又は筋除脂肪量低下を特徴とする障害を治療する方法であって、請求項6~8のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記対象が、ヒト対象である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記障害が、筋消耗状態、ダイナペニア、筋廃用性萎縮、並びに慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、及び慢性心不全と関連する筋消耗及び運動耐性からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。。
【請求項12】
前記筋消耗状態が、サルコペニア及び悪液質からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、ヒト対象である、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
加齢性神経筋機能不全は、サルコペニア及び筋廃用性萎縮を含む、いくつかの主要な疾患状態の根底にある。これらの状態の両方は、筋肉及び神経系におけるエネルギー代謝の機能障害、並びに筋量の減少を伴う。これらの状態のための満足のいく治療は、両方の病原因子、欠陥のあるエネルギー代謝及び筋タンパク質の減少に対処するべきである。
【0002】
治療目的のためのウリジンの経口送達は、ヒト及びマウスの両方においておよそ7%という、その不十分な生体利用能によって制限される。ウリジンのエステルプロドラッグは、その生体利用能を改善することが見出されているが、ただ1つ、2’,3’,5,-トリ-O-アセチルウリジン(又はウリジントリアセテート)が、いくつかの臨床目的のために十分なウリジンを送達するのに適当であることが見出されている。経口ウリジントリアセテートの生体利用能は、およそ50%に測定されている(Ashour 1996)。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、2’,3’-ジ-O-アセチル-5’-O-(α-ケトイソカプロイル)ウリジンとしても知られる、化合物5’-O-ケトロイシル-2’,3’-ジ-O-アセチルウリジンを提供する。本発明はまた、治療有効量の、ケトロイシン化合物とウリジンプロドラッグとの組み合わせを含む組成物を提供する。
【0004】
本発明は、サルコペニア(及び悪液質などの他の筋消耗状態)、ダイナペニア(筋力の病理学的低下)、運動不耐性(激しい活動中の耐久力の病理学的低下)、並びに筋廃用性萎縮を治療又は予防するための組成物、化合物及び方法を提供する。慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び慢性心不全を含む、筋消耗及び運動不耐性の高いリスクと関連する状態もまた包含される。具体的には、治療量の、ウリジン及びケトロイシンの両方を送達する組成物及び化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】3-NP、UTA及びNaKLで治療したマウスにおける生存 群1:4%UTA食餌、NaCl飲料水、群2:4%UTA食餌、NaKL飲料水、群3:固形飼料食餌、普通の飲料水、UTA/NaCl強制飼養、群4:固形飼料食餌、普通の飲料水、UTA/NaKL強制飼養、群5:固形飼料食餌、NaKL飲料水、UTA強制飼養
【
図2】3-NP、UTA及びNaKLで治療したマウスにおける体重減少パーセンテージ 群1:4%UTA食餌、NaCl飲料水、群2:4%UTA食餌、NaKL飲料水、群3:固形飼料食餌、普通の飲料水、UTA/NaCl強制飼養、群4:固形飼料食餌、普通の飲料水、UTA/NaKL強制飼養、群5:固形飼料食餌、NaKL飲料水、UTA強制飼養
【発明を実施するための形態】
【0006】
ケトロイシン(アルファ-ケトイソカプロン酸、4-メチル-2-オキソバレレート、KL)は、必須分岐鎖アミノ酸ロイシンの脱アミノ化誘導体である。ロイシンは、骨格筋中のものを含むタンパク質の構成成分であるだけでなく、筋タンパク質維持の調節因子としても作用する。ケトロイシン及びβ-ヒドロキシ-β-メチルブチレートを含むロイシン代謝物は、筋タンパク質合成を活性化又は維持し得る。
【0007】
ケトロイシンはまた、特定の代謝障害の病原因子である。メープルシロップ尿症(MSUD、メープルシロップのものに類似した、尿の特徴的な臭気の故にそう称される)は、酵素複合体、分岐鎖アルファ-ケト酸脱水素酵素の欠損によって引き起こされる希少な遺伝性障害である。これは、分岐鎖アミノ酸及びその脱アミノ化生成物の異化作用の機能障害をもたらし、脳及び他の組織におけるそれらの蓄積を引き起こし、尿及び他の体液の臭気の原因となる。MSUDは、嗜眠、易刺激性及び食欲不振を伴って開始し、異常運動、痙縮の増加、並びに最終的には発作及び深昏睡などの神経学的徴候がそれに続く、進行性の神経機能不全を特徴とする。未治療の場合、進行性の脳損傷は不可避であり、死亡は通常数週又は数ヶ月以内に生じる。ケトロイシンの蓄積は、部分的には、ミトコンドリアATPに由来するエネルギーの、エネルギー利用のサイトゾル部位への中継のための重要な酵素である、クレアチンキナーゼを阻害することによって、脳エネルギー代謝を損なう。
【0008】
したがって、経口ケトロイシンの経口ウリジントリアセテートとの組み合わせが、ウリジントリアセテート又はケトロイシン単独によって付与されるものよりも大きな、重症ミトコンドリアエネルギー不全のモデルにおける死亡に対する保護を提供したことは予想外である。
【0009】
ケトロイシンはまた、短鎖ケト酸である。本開示はまた、5’-エステル置換基としてケトロイシンを含み、酢酸又は他の2個若しくは3個の炭素原子を有するカルボン酸を含む任意選択の2’及び/又は3’置換基を有する、ウリジンのプロドラッグを包含する。リボース部分の5’位におけるケトロイシン置換基は、2’位及び3’位における酢酸置換基と組み合わされて、新規の化合物をもたらし、これは、ウリジン送達の促進を超越して、追加の又は補完的な治療上の利益を提供するプロドラッグ置換基の送達もしながら、ウリジンを循環中に送達する。
【0010】
ケトロイシン置換基を有するウリジンのプロドラッグ又はウリジントリアセテート+ケトロイシンの組み合わせのいずれかについての主な臨床的適応は、筋廃用性萎縮(例えば、長期入院の間の運動抑制及び運動不足によって引き起こされる筋量及び筋力の減少)並びにサルコペニア(除脂肪筋量の減少)又はダイノペニア(筋量の減少を伴うか若しくは伴わない、筋力の減少)を含むがこれらに限定されない、骨格筋消耗障害の予防及び治療のためのものである。サルコペニア及びダイノペニアのより高いリスク及び発生率は、慢性腎疾患、COPD及び慢性心不全を含む併存疾患を有する人々において見出され、本開示の化合物及び組成物は、これらの状態の治療及び予防に好適である。がん関連悪液質、体重及び筋量の病理学的減少もまた、本開示の薬剤を用いて治療可能又は予防可能である。
【0011】
本発明の化合物及び組成物の適切な用量は、1日当たり1~3回経口で与えられる、1用量当たり1~5グラムのウリジン、有利には、1用量当たり2~4グラムの等価物をヒト対象に送達する。ウリジントリアセテート+ケトロイシン(一般的には、ケトロイシンナトリウム又は他の塩の形態にある)の組み合わせにおいて、ケトロイシンは、ウリジンのモル量の1~最大4倍の範囲のモル当量で、配合製剤中に存在する。ケトロイシンの分子量は、ウリジントリアセテートについての370と比較して、およそ130ダルトンである。
【0012】
実施例1:2’,3’-ジ-O-アセチル-5’-O-(α-ケトイソカプロイル)ウリジンの合成
5’-O-(tert-ブチルジメチルシリル)ウリジンの調製
【化1】
イミダゾール(32.68g、480mmole)及びtert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン(36.2g、240mmole)を、0℃まで冷却したDMF(300mL)中のウリジン(48.84g、200mmole)の溶液に順次添加した。混合物を、0℃で4時間、かつ室温で17時間撹拌した。TLC(シリカゲル、10%MeOH/DCM)は、反応の完了を示した。DMFを、高真空下でロータリーエバポレーターを使用して除去した。粗生成物を、酢酸エチル中に溶解し、水(3×500mL)で洗浄した。有機層を、無水MgSO
4で乾燥させ、濃縮して、88%収率のモノシリル化ウリジンを、微量のシリル不純物を含む結晶化合物として得、これを
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ0.11(s、6H)、0.92(s、9H)、3.84(dd、1H、J=1.8、11.7Hz)、4.02(dd、1H、J=2.2、11.7Hz)、4.10~4.30(m、3H)、5.68(d、1H、J=8.1Hz)、5.88(d、1H、J=2.2Hz)、8.07(d、1H、J=8.0Hz)によって確認した。
【0013】
5’-O-(tert-ブチルジメチルシリル)-2’,3’-ジ-O-アセチルウリジンの調製
【化2】
5’-O-(tert-ブチルジメチルシリル)ウリジン(52.0g、145mmole)をDCM(700mL)中に溶解し、DMAP(40g、328mmole)及び無水酢酸(35mL、371mmole)を順次添加した。反応混合物を室温で4時間アルゴン下で撹拌した。TLC(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサン)は、反応の完了を示した。反応混合物を、分液漏斗中に移し、水(2×500mL)で洗浄した。有機層を、無水MgSO
4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサン)を使用して精製して、66.0g(100%)の生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ0.11(s、6H)、0.92(s、9H)、2.05(s、3H)、2.11(s、3H)、3.81(m、1H)、3.90(m、1H)、4.19~4.20(m、1H)、5.27~5.33(m、2H)、5.72(dd、1H、J=1.8、8.0Hz)、6.28(d、1H、J=6.6Hz)、7.84(d、1H、J=8.1Hz)、8.78(s、1H)、
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ-5.48、-5.45、18.45、20.54、20.83、25.99、63.34、71.88、73.52、83.94、85.47、103.41、139.64、150.88、163.24、169.77、170.07。
【0014】
2’,3’-ジ-O-アセチルウリジンの調製
【化3】
4グラムのパラ-トルエンスルホン酸を、0℃まで冷却した乾燥MeOH(100mL)及び乾燥DCM(250mL)中の5’-O-(tert-ブチルジメチルシリル)-2’,3’-ジ-O-アセチルウリジン(66.0g、0.149mole)の溶液に添加した。反応混合物を、0℃で3時間、次いで室温で一晩撹拌した。TLC(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサンは、出発物質の消費を示した。反応混合物を、トリエチルアミンでクエンチし、蒸発乾固した。粗生成物を、シリカゲル及びヘキサン/酢酸エチル(1:1)を使用してクロマトグラフにかけて、39.5g(81%)の生成物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ2.08(s、3H)、2.13(s、3H)、2.73(s、1H)、3.85(dd、1H、J=2.2、12.1Hz)、3.94(dd、1H、J=2.2、12.1Hz)、4.21(q、1H、J=2.2Hz)、5.45~5.49(AB、2H)、5.78(dd、1H、J=1.9、8.1Hz)、6.06(m、1H)、7.75(d、1H、J=8.1Hz)、8.90(s、1H)、
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ20.64、20.85、62.03、71.41、73.19、83.69、87.86、103.45、140.93、150.71、163.28、169.97、170.28。
【0015】
2’,3’-ジ-O-アセチル-5’-O-(α-ケトイソカプロイル)ウリジンの調製
【化4】
ジクロロメチルメチルエーテル(5.00mL、56.5mmol)をα-ケトイソカプロン酸(5.0g、38.5mmol)に滴下し、その間に気体HClが発生する。添加が完了した後、混合物を48~52℃で30分間加熱する。次いで、混合物を氷浴で迅速に冷却する。混合物を、氷浴によって冷却した180mLのDCM中の2’,3’-ジ-O-アセチルウリジン(12.6g、38.4mmol)及びピリジン(9.0mL、112mmol)の混合物に、シリンジを介してゆっくりと添加する。混合物を室温まで一晩加温した。5mLの水を添加し、溶媒を蒸発させた。残渣を、酢酸エチル(3×250mL)及び1M HCl(2×200mL)、0.1M HCl(100mL)、並びにブライン(200mL)の間で分配した。合わせた有機相を無水MgSO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、14.2gの生成物を白色泡状固体として得た(84%)。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ0.97~0.99(m、6H)、2.10(s、3H)、2.14(s、3H)、2.18~2.24(m、1H)、2.72~2.85(m、2H)、4.37~4.41(m、2H)、4.48~4.55(m、1H)、5.35~5.40(m、2H)、5.86(dd、1H、J=2、8Hz)、6.25(d、1H、J=6Hz)、7.77(d、1H、J=8Hz)、9.14(br s、1H)、
13C NMR(100MHz、CDCl
3)δ20.35、20.51、22.35、22.39、24.14、47.45、64.59、70.66、72.35、79.87、86.30、103.74、139.88、150.51、160.02、162.77、169.43、169.73、193.08。
【0016】
実施例2:ミトコンドリア機能不全のマウスモデルにおける経口ウリジントリアセテート及びケトロイシンの保護効果
ウリジントリアセテートとケトロイシンとの組み合わせを、ミトコンドリア酸化的リン酸化の進行性及び致死性の機能障害のモデルにおいて評価した。ミトコンドリア電子伝達系の複合体IIの不可逆的阻害剤である、3-ニトロプロピオン酸(3-NP)。3-NPの毎日の投与は、生存のためのベースラインエネルギー必要量についての閾値が突破されるまで、ミトコンドリア貯蔵エネルギー容量の進行性の減少をもたらし、心不全及び中枢神経系機能不全の両方から死亡をもたらす。
【0017】
本研究において、ウリジントリアセテートを、経口ボーラスとしての強制飼養によるか、又はげっ歯類固形飼料中への4%w/wの濃度での組み込みによるかのいずれかとして投与した。同様に、ケトロイシン(そのナトリウム塩、NaKLの形態にある)を、強制飼養によって、又は飲料水中にそれを溶解することによって、異なる群において投与した。塩化ナトリウム(NaCl)を、ケトロイシン塩からのナトリウム負荷を占めるように、いくつかの群において対照物質として使用した。
化学物質:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カタログ番号H3785、ロット番号SLBS5701、CAS9004-65-3、SIGMA-Aldrich。強制飼養のためのウリジントリアセテート(UTA)、アイテム、D000156、ロット番号Q000001095、Almac Sciences、食餌中のウリジントリアセテート(UTA)、アイテム及びロット番号、D000302、2148-070、プロジェクト番号1314A0071A、R-104 ロットQ000003578、Almac Sciencesからの材料の回収、塩化ナトリウム(NaCl)、VWR、カタログ番号BDH9286-500G、ロット番号1976C500、CAS7647-14-5、4-メチル-2-オキソ吉草酸ナトリウム塩(ケトロイシン:NaKL)、カタログ番号M326425、ロット番号1-AWT-36-1、CAS4502-00-5、Toronto Research Chemicals、及び3-ニトロプロピオン酸(3NP)、カタログ番号N5636、ロット番号11101616、CAS504-88-1、SIGMA-Aldrich。
ビヒクル:懸濁液中のUTA、NaKL、又はNaClを、0.75%HPMC中で調製した。飲料水中のNaCL又はNaKLを、水中に溶解することによって調製した。3-NP溶液を、水中で調製した。
投薬製剤:調製:UTAを、0.75%HPMC中に50mg/mlで懸濁した。
NaKLを、0.75%HPMC中に100mg/mlで懸濁するか、又は飲料水中に15.8mg/mlで含めるものとする。NaKLを受けない群は、NaKLによって寄与されるナトリウムと等モルである量のNaCLを、強制飼養によって(38.4mg/ml)又は飲料水中で(6.1mg/ml)受けた。飲料水中のNaKLを、調製後に濾過滅菌した。NaKLを含む飲料水を、4日ごとに交換した。
3NPを、秤量し、水中に溶解し、1N NaOHでpH7に中和し、無菌濾過した。最終濃度は6.5mg/mlになる。
投薬:いくつかの群のマウスに、50mg/mlのUTA(0.02ml/g bw、用量:1,000mg/Kg)を含有するUTA懸濁液、又は100mg/mlのNaKL(0.02ml/g bw、用量:2,000mg/Kg)、若しくは38.42mg/mlのNaCl(0.02ml/g bw、用量:768mg/Kg)もまた含有する同様のUTA懸濁液を強制飼養した。いくつかのマウスは、飲料水中のNaKL(15.6mg/ml、104mM)又は等モル量のNaCL(6.1mg/ml)を有するであろう。
マウスに、65mg/Kgの用量のために6.5mg/mlの3-NPをip注射した(0.01ml/g bw)。
動物:雌性CD-1マウス。
【表1】
一般実験計画:実験のために、50匹のマウスを、各10匹の動物の5つの群に分けた。群1、群2、群3、群4、及び群5。
群1に、4%UTAの食餌を給餌し、他の群の飲料水中のNaKLによって寄与されるものと等モルの量のNaCl(104mM、6.1mg NaCl/ml)を含有する水にアクセスさせた。マウスに、5PMに6.5mg/mlの3-NP(0.01ml/g bw)を腹腔内注射した。
群2に、4%UTAの食餌を給餌し、15.6mg NaKL/ml、104mMのNaKLを含有する水にアクセスさせた)。マウスに、PM5に6.5mg/mlの3-NP(0.01ml/g bw)を腹腔内注射した。
群3に、7AM、及び4PMに1000mg/KgのUTA及び768mg/KgのNaClを強制飼養し、マウスに、5PMに6.5mg/mlの3-NP(0.01ml/g bw)を腹腔内注射した。
群4に、7AM、及び4PMに1000mg/KgのUTA+2000mg/KgのNaKLを強制飼養し、5PMに6.5mg/mlの3-NP(0.01ml/g bw)を腹腔内注射した。
群5に、7AM及び4PMに1000mg/KgのUTAを強制飼養し、15.6mg/mlのNaKLを含有する水にアクセスさせた。マウスに、5PMに6.5mg/mlの3-NP(0.01ml/g bw)を腹腔内注射した。
群1及び群2におけるマウスは、月曜日5-6-19に4%UTA食餌を開始した。群1、2、及び5におけるマウスは、月曜日5-6-19にそのそれぞれの飲料水治療を開始した。これは、マウスが、3NP注射のいずれかの副作用を飲料水又は食餌の変化と関連付け、それによって、必要な栄養及び水分摂取に対する嫌悪を引き起こす機会を回避するためであった。マウス3、4、及び5は、水曜日5-8-19に7AM及び4PMの強制飼養治療を開始した。全てのマウスは、水曜日5-8-19に5PMの3NP治療を開始した。
マウスを食餌及び飲料水治療に配置する前の月曜日5-6に群を組織化したときに、体重を評価した。体重を、再び火曜日5-7に再び評価した。体重減少及び死亡を、治療を開始する前の水曜日5-8日に始めて毎日朝に評価し、治療を、死亡の発生及び程度に応じて、少なくとも14日間継続するように計画した。
【表2】
【0018】
両方の薬剤を強制飼養によって与えたウリジントリアセテートとNaKLとの組み合わせは、強制飼養によって又は固形飼料中で与えたいずれかの薬剤単独よりも、死亡の予防において際立って有効であり、また、それぞれ、ウリジントリアセテート及びNaKLの両方を固形飼料及び飲料水中で一緒に投与したときよりも有効であった。これは、固形飼料又は飲料水中での投与後の、全身のウリジン並びにNaKL(及びその代謝物)のより小さいがより長期の上昇に対する、経口ボーラス投薬後に得られた、血漿のウリジン及びケトロイシンのより高いピーク濃度のより大きな有効性に起因する可能性がある。経口強制飼養によって与えたウリジントリアセテート及び飲料水中のNaKL(群5)は、ウリジントリアセテート及びNaKLの経口強制飼養ボーラス投与(群3)は別として、他の群よりも死亡に対して有効であった。
【0019】
NaKL有り又は無しでのボーラス(強制飼養)ウリジントリアセテート(群3~5)は、それをその固形飼料中で受けた動物におけるより大きな1日当たりの総ウリジントリアセテート用量(約8000mg/kg/日)にもかかわらず、げっ歯類固形飼料中の4%(w/w)ウリジントリアセテート(群1及び2)よりも良好な体重減少に対する保護を提供した。ボーラスUTAは、固形飼料中のUTAよりも高いピーク血漿ウリジン濃度をもたらし、これは、一定のより低いレベルの全身曝露に対して、周期的な高ピークウリジンによって保護機構がより良好に活性化されることを示す。
【表3】
【国際調査報告】