(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】脳への聴覚入力を回復または増強するための事前形成された神経組織
(51)【国際特許分類】
A61L 27/36 20060101AFI20240221BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/14 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240221BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61L27/36 100
A61L27/36 300
A61L27/38 100
A61L27/20
A61L27/24
A61L27/14
A61L27/52
A61L27/22
A61L27/18
A61L27/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551119
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 US2022017470
(87)【国際公開番号】W WO2022182723
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(71)【出願人】
【識別番号】511291429
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ ガバメント アズ リプリゼンテッド バイ ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアーズ
【住所又は居所原語表記】810 Vermont Avenue, NW Washington, District of Columbia 20420 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】カレン ダニエル ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】ブラント ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】アデウォレ オラダヨ
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB24
4C081CA18
4C081CD01
4C081CD02
4C081CD04
4C081CD08
4C081CD09
4C081CD11
4C081CD12
4C081CD16
4C081CD34
4C081DB03
4C081DC04
(57)【要約】
本明細書において、マトリックスを含む生体適合性構築物と、複数の聴覚ニューロンとを含むシステムが提供され、それは例えば、生きた電極(living electrode)である。そのシステムを作る方法、ならびに、対象における聴覚ニューロンを調節するため、および/または聴覚障害の症状を治療もしくは軽減するために、対象内への植え込み用に同システムを用いる方法もまた、本明細書に開示される。さらに、本明細書に説明されるシステムを含むキットも、本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含む、システム。
【請求項2】
生体適合性構築物が、内面と外面とを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
生体適合性構築物の内面が、管腔コアを規定する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
生体適合性構築物の外面が、少なくとも1つのヒドロゲルを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
ヒドロゲルが、親水性バイオポリマーおよび/または合成ポリマーを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
ヒドロゲルが、少なくとも部分的に架橋され、
該架橋が、任意で、スチフネスを増大させ、多孔度を低減させ、かつ/または劣化時間を増大させる、
請求項4または5記載のシステム。
【請求項7】
親水性バイオポリマーが、アガロース、ヒドロゲル、ヒアルロナン、キトサン、アルギン酸塩、コラーゲン、デキストラン、ペクチン、カラゲーナン、ポリリジン、ゼラチン、ヒアルロン酸、フィブリン、およびメチルセルロースのうち、1つまたは複数を含む、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
親水性バイオポリマーが、アガロースを含む、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
アガロースが、約0.25~30%、約0.25%~3%、約0.5%~3%、約1~20%、約1.5~10%、約2~9%、約2.5~8%、または約3~7%である、請求項7または8記載のシステム。
【請求項10】
アガロースが、約3%である、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
親水性バイオポリマーが、
少なくとも1つの合成ヒドロゲル、または、エチレンオキシド(PEO)およびポリプロピレンオキシド(PPO)の単位からなる両親媒性コポリマーで作られた合成ヒドロゲル
を含む、請求項7記載のシステム。
【請求項12】
ヒドロゲルが、約2~50% w/v、約3~40% w/v、約4~30% w/v、約5~25% w/v、または約10~20% w/vである、請求項7または11記載のシステム。
【請求項13】
ヒドロゲルが、約28.6% w/vである、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
生体適合性構築物の内面が、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)コンポーネントを含む、請求項1~13のいずれか一項記載のシステム。
【請求項15】
ECMコンポーネントが、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
ECMが、コラーゲンを含む、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
コラーゲンが、約0.1~10 mg/ml、または0.1~9 mg/mlの濃度である、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
コラーゲンが、約1 mg/mlの濃度である、請求項16または17記載のシステム。
【請求項19】
ECMが、ラミニンを含む、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
ラミニンが、約0.1~10 mg/ml、または0.1~9 mg/mlの濃度である、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
ラミニンが、約1 mg/mlの濃度である、請求項19または20記載のシステム。
【請求項22】
前記複数の聴覚ニューロンが、少なくとも500個の聴覚ニューロンを含む、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つが、生体適合性構築物と接触している、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項24】
前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンが、細胞体および/または軸索を含む、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項25】
軸索が、長さ約0.5~50 cmである、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分が、
(i)生体適合性構築物の第一端部に;
(ii)生体適合性構築物の第二端部に;
(iii)生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に;および/または
(iv)生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に
ポジショニングされる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項27】
生体適合性構築物の第一端部または第二端部にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの前記一部分が、細胞体を含む、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、またはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの前記一部分が、軸索を含む、請求項26記載のシステム。
【請求項29】
生体適合性構築物のボディが、該ボディの内面を含む、請求項26(iii)または(iv)記載のシステム。
【請求項30】
内面が、管腔コアを含む、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの前記一部分が、軸索を含む、請求項26(iii)もしくは(iv)、または請求項30記載のシステム。
【請求項32】
軸索が、一方向性または二方向性に延在する、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分が、聴覚ニューロンの凝集物を含む、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項34】
前記複数の聴覚ニューロンが、
(a)螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、もしくはII型聴覚ニューロン、またはそれらの組み合わせ;または
(b)生物体の蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、もしくは皮質脳幹核(cortical brainstem nuclei)内に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせ
を含む、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項35】
前記複数の聴覚ニューロンが、複数の螺旋神経節ニューロンであるかまたはこれを含む、請求項34記載のシステム。
【請求項36】
前記複数の聴覚ニューロンが、複数のIC聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む、請求項34記載のシステム。
【請求項37】
アストロサイト、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞、ミクログリア、または内皮細胞などの、1つまたは複数の追加的な細胞をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項38】
前記複数の聴覚ニューロンが、対象から単離される、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項39】
前記複数の聴覚ニューロンが、幹細胞に由来する少なくとも1つの細胞であるかまたはこれを含む、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項40】
幹細胞が、誘導多能性幹細胞(iPSC)、胎生幹細胞、または組織幹細胞のうち、1つまたは複数を含む、請求項39記載のシステム。
【請求項41】
前記複数の聴覚ニューロンが、対象にとって自家性、同種性、または異種性である、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項42】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンが、遺伝子工学操作されるかまたは非遺伝的技法を用いて再プログラミングされる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項43】
前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、センサー、アクチュエーター、受容器、および/またはレポーターを含む、請求項42記載のシステム。
【請求項44】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、レポーターを含む、請求項43記載のシステム。
【請求項45】
レポーターが、蛍光レポーターを含む、請求項44記載のシステム。
【請求項46】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、受容器を含む、請求項43記載のシステム。
【請求項47】
受容器が、磁気受容器、電磁受容器、電気受容器、水受容器(hydroreceptor)、機械受容器、浸透圧受容器、温度受容器、および圧電イオンチャネルのうち、1つまたは複数を含む、請求項46記載のシステム。
【請求項48】
電磁受容器が、赤外線受容器、光受容器、または紫外線受容器のうち、1つまたは複数を含む、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
機械受容器が、機械感覚受容器または固有受容器のうち、1つまたは両方を含む、請求項47記載のシステム。
【請求項50】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、センサーを含む、請求項43記載のシステム。
【請求項51】
センサーが、
光感受性イオンチャネル、カルシウムセンサー、および膜電圧センサーのうち、1つまたは複数を含む光学センサー
を含む、請求項50記載のシステム。
【請求項52】
センサーが、
Aequorin、Cameleon、およびGCaMPのうち、1つまたは複数を含むカルシウムセンサー
を含む、請求項50記載のシステム。
【請求項53】
センサーが、Clomeleonを含む塩化物センサーを含む、請求項50記載のシステム。
【請求項54】
センサーが、Mermaidを含む膜電圧センサーを含む、請求項50記載のシステム。
【請求項55】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、アクチュエーターを含む、請求項43記載のシステム。
【請求項56】
アクチュエーターが、
チャネルロドプシン、ハロロドプシン、およびアーキロドプシンのうち、1つまたは複数を含む光学アクチュエーター
を含む、請求項55記載のシステム。
【請求項57】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、光学センサーを含み、かつ/または、光学アクチュエーターが、光遺伝学的ニューロンである、請求項51または56記載のシステム。
【請求項58】
生体適合性構築物が、管状の構築物である、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項59】
生体適合性構築物が、螺旋状またはY字状(wye)である、請求項1~57のいずれか一項記載のシステム。
【請求項60】
生体適合性構築物が、約240~900度の湾曲を有する、請求項1~57または59のいずれか一項記載のシステム。
【請求項61】
生体適合性構築物の湾曲が、約270度である、請求項60記載のシステム。
【請求項62】
約0.1~40 mmの外径を有する、請求項60または61記載のシステム。
【請求項63】
約1.5 mmの外径を有する、請求項62記載のシステム。
【請求項64】
約0.5~70 mm、または0.1~10 mmの直径を有する、請求項60~61のいずれか一項記載のシステム。
【請求項65】
約7 mmの直径を有する、請求項64記載のシステム。
【請求項66】
約0.1~10 mmのピッチを有する、請求項60~65のいずれか一項記載のシステム。
【請求項67】
約1 mmのピッチを有する、請求項66記載のシステム。
【請求項68】
エクスビボまたはインビトロで、製造されるかまたは組み立てられる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項69】
システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/もしくは対象内の少なくとも1つのニューロンを、調節できる、または調節のために使用できる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項70】
調節することが、一方向性もしくは二方向性の調節であるかまたはこれを含む、請求項69記載のシステム。
【請求項71】
調節することが、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、または対象内の少なくとも1つのニューロンを、刺激または抑制することを含む、請求項69または70記載のシステム。
【請求項72】
刺激することが、電気刺激、光刺激、音波/振動刺激、磁気刺激、またはそれらの組み合わせを含む、請求項71記載のシステム。
【請求項73】
刺激することが、電気刺激および光刺激を含む、請求項71記載のシステム。
【請求項74】
調節することが、モニターおよび/または記録することを含む、請求項69記載のシステム。
【請求項75】
対象内の前記少なくとも1つのニューロンが、聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む、請求項69~74のいずれか一項記載のシステム。
【請求項76】
聴覚ニューロンが、
(a)螺旋神経節ニューロン、ICニューロン、またはそれらの組み合わせ;または
(b)生物体の蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/もしくは皮質脳幹核内に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせ
を含む、請求項75記載のシステム。
【請求項77】
対象内の聴覚路を刺激または抑制できる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項78】
対象内の末梢聴覚路を刺激または抑制できる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項79】
対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に;対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に;および/または対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項80】
植え込まれたシステムが、対象内の少なくとも1つの細胞に接触する、または対象内の聴覚皮質のエリアか、その付近か、もしくはその中の、少なくとも1つの細胞に接触する、請求項79記載のシステム。
【請求項81】
対象内の前記少なくとも1つの細胞が、内因性細胞である、請求項80記載のシステム。
【請求項82】
前記少なくとも1つの細胞が、ニューロンを含む、請求項81記載のシステム。
【請求項83】
ニューロンが、蝸牛、聴神経、聴性脳幹核、皮質脳幹核、螺旋神経節、IC内に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項82記載のシステム。
【請求項84】
システムを対象内の前記少なくとも1つの細胞と接触させることが、該システムの前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つのニューロンと、該対象内の前記少なくとも1つの細胞との間に、シナプスを作り出すように決定される、請求項80記載のシステム。
【請求項85】
シナプスが、ニューロンのシナプスであるかまたはこれを含む、請求項84記載のシステム。
【請求項86】
植え込まれたシステムが、該システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロン、または対象内の前記少なくとも1つの細胞を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する、請求項79~85のいずれか一項記載のシステム。
【請求項87】
生体適合性構築物が、非線形形状を有する、前記請求項のいずれか一項記載のシステム。
【請求項88】
システムを製造するための方法であって、以下の段階を含む、方法:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物を提供する段階;および
(b)該生体適合性構築物を複数の聴覚ニューロンと関連させる段階。
【請求項89】
前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの生育を促進する条件下でシステムを維持する段階を含む、請求項88記載の方法。
【請求項90】
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの生存能を維持する条件下でシステムを維持する段階を含む、請求項88または89記載の方法。
【請求項91】
前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物を形成する段階を含む、請求項88~90のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物が、前記複数の聴覚ニューロンを生体適合性構築物と接触させる段階より前に形成される、請求項91記載の方法。
【請求項93】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項88~92のいずれか一項記載の方法。
【請求項94】
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、対象内に植え込むための方法であって、
対象内の蝸牛、蝸牛神経核、聴覚皮質、または下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に該システムを植え込む段階を含む、方法。
【請求項95】
植え込みが、従来型の微小電極の植え込みと比較して炎症を引き起こす可能性が少ないように決定される、請求項94記載の方法。
【請求項96】
対象が、ヒトである、請求項94または95のいずれか一項記載の方法。
【請求項97】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項94~96のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
対象内の少なくとも1つのニューロンを調節する方法であって、以下の段階を含む、方法:
(i)以下:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階;ならびに
(ii)電気刺激、光刺激、またはその両方で少なくとも1つのニューロンを調節する段階。
【請求項99】
調節する段階が、モニターすること、記録すること、刺激すること、および/または抑制することを含む、請求項98記載の方法。
【請求項100】
対象内の前記少なくとも1つのニューロンが、聴覚ニューロンを含む、請求項98記載の方法。
【請求項101】
聴覚ニューロンが、螺旋神経節ニューロンまたはICニューロンのうち、1つまたは複数を含む、請求項100記載の方法。
【請求項102】
対象が、ヒトである、請求項98~101のいずれか一項記載の方法。
【請求項103】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項98~102のいずれか一項記載の方法。
【請求項104】
聴覚障害を有する対象を治療する方法であって、以下の段階を含む、方法:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階であって、それによって該対象を治療する、段階。
【請求項105】
聴覚障害が、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む、請求項104記載の方法。
【請求項106】
聴覚障害が、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む、請求項104または105記載の方法。
【請求項107】
対象が、ヒトである、請求項104~106のいずれか一項記載の方法。
【請求項108】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項104~107のいずれか一項記載の方法。
【請求項109】
対象における聴覚障害の症状を改善する方法であって、
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階を含む、方法。
【請求項110】
聴覚障害が、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む、請求項109記載の方法。
【請求項111】
聴覚障害が、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む、請求項109または110記載の方法。
【請求項112】
対象が、ヒトである、請求項109~111のいずれか一項記載の方法。
【請求項113】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項109~112のいずれか一項記載の方法。
【請求項114】
対象における聴覚障害の症状の悪化を防ぐ方法であって、
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階を含む、方法。
【請求項115】
聴覚障害が、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む、請求項114記載の方法。
【請求項116】
聴覚障害が、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む、請求項114または115記載の方法。
【請求項117】
対象が、ヒトである、請求項114~116のいずれか一項記載の方法。
【請求項118】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項114~117のいずれか一項記載の方法。
【請求項119】
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;ならびに
(b)複数の聴覚ニューロン、および、これを使用するための指示書
を含むシステムを含む、キット。
【請求項120】
前記キットを使用するための指示書をさらに含む、請求項119記載のキット。
【請求項121】
システムが、請求項1~87のいずれか一項に提供されるシステムを含む、請求項119または120記載のキット。
【請求項122】
刺激子アレイ;および
複数の生きた電極(living electrode)であって、該複数の生きた電極のうち少なくとも1つが該刺激子アレイの要素と光学的に連絡しており、
刺激子相補的(stimulator-complementary)ニューロンを含む近位端と、
該生きた電極内の光遺伝学的ニューロンと神経的に連絡している聴覚ニューロンを含む遠位端と
を該複数の生きた電極の各々が含む、複数の生きた電極
を含み、
該複数の生きた電極が、不揃いな(staggered)遠位端を有している、蝸牛インプラント。
【請求項123】
刺激子アレイがオプトロードアレイであり;かつ
刺激子相補的ニューロンが光遺伝学的ニューロンである、
請求項122記載の蝸牛インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2021年2月24日に提出された米国特許仮出願第63/153,321号および2021年8月17日に提出された同第63/234,048号に対する優先権を主張する。
【0002】
連邦政府の資金援助による研究開発についての記載
本発明は米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与されたNS094340の下で政府の支援によりなされた。米国政府は本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
聴覚障害は世界人口の大きな割合に影響を及ぼしている。聴覚障害者に対する治療選択肢の1つは聴覚インプラントである。しかし、現在利用可能なインプラントは、患者の自然な聴力を回復できない、植え込み時の合併症発生、複雑な音の理解困難など、いくつかの限界を有する。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書において、とりわけ、マトリックスを含む生体適合性構築物と、複数の聴覚ニューロンとを含む、例えば生きた電極(living electrode)などであるシステムが提供される。マトリックスを含む生体適合性構築物と、複数の聴覚ニューロンとを含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを作る方法、ならびに、対象における聴覚ニューロンを調節するため、および/または聴覚障害の症状を治療もしくは軽減するために、対象内への植え込み用に同システムを用いる方法もまた、本明細書に開示される。さらに、本明細書に説明されるシステムを含むキットも本明細書に提供される。
【0005】
本開示は、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロン)を含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを提供する。
【0006】
いくつかの態様において、生体適合性構築物は内面および/または外面を含む。
【0007】
いくつかの態様において、生体適合性構築物の内面は管腔コアを規定する。
【0008】
いくつかの態様において、生体適合性構築物の外面は少なくとも1つのヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、親水性バイオポリマーおよび/または合成ポリマーを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは少なくとも部分的に架橋され、ここで架橋は、任意で、スチフネスを増大させ、多孔度を低減させ、かつ/または劣化時間を増大させる。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーは、アガロース、ヒドロゲル、ヒアルロナン、キトサン、アルギン酸塩、コラーゲン、デキストラン、ペクチン、カラゲーナン、ポリリジン、ゼラチン、ヒアルロン酸、フィブリン、およびメチルセルロースのうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアガロースを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはキトサンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアルギン酸塩を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはデキストランを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはペクチンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはカラゲーナンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはポリリジンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはゼラチンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはヒアルロン酸を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはフィブリンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはメチルセルロースを含む。
【0009】
いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアガロースを含む。いくつかの態様において、アガロースは約0.25~30%、約0.25%~3%、約0.5%~3%、約1~20%、約1.5~10%、約2~9%、約2.5~8%、または約3~7%である。いくつかの態様において、アガロースは約0.25~29%、約0.25~28%、0.25~%、約0.25~27%、約0.25~26%、約0.25~25%、約0.25~24%、約0.25~23%、約0.25~22%、約0.25~21%、約0.25~20%、約0.25~19%、約0.25~18%、約0.25~17%、約0.25~16%、約0.25~15%、約0.25~14%、約0.25~13%、約0.25~12%、約0.25~11%、約0.25~10%、約0.25~9%、約0.25~8%、約0.25~7%、約0.25~6%、約0.25~5%、約0.25~4%、約0.25~3%、約0.25~2%、約0.25~1%、約0.25~0.5%、約0.5~30%、約1~30%、約2~30%、約3~30%、約4~30%、約5~30%、約6~30%、約7~30%、約8~30%、約9~30%、約10~30%、約11~30%、約12~30%、約13~30%、約14~30%、約15~30%、約16~30%、約17~30%、約18~30%、約19~30%、約20~30%、約21~30%、約22~30%、約23~30%、約24~30%、約25~30%、約26~30%、約27~30%、約28~30%、約29~30%である。
【0010】
いくつかの態様において、アガロースは約0.25%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%である。いくつかの態様において、アガロースは約3%である。
【0011】
いくつかの態様において、親水性バイオポリマーは、少なくとも1つの合成ヒドロゲル(例えばプルロニックヒドロゲル)、または、エチレンオキシド(PEO)およびポリプロピレンオキシド(PPO)の単位からなる両親媒性コポリマーで作られた少なくとも1つの合成ヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2~50% w/v、約3~40% w/v、約4~30% w/v、約5~25% w/v、または約10~20% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2~45%、約2~40%、約2~35%、約2~30%、約2~29%、約2~28%、約2~27%、約2~26%、約2~25%、約2~24%、約2~23%、約2~22%、約2~21%、約2~20%、約2~19%、約2~18%、約2~17%、約2~16%、約2~15%、約2~14%、約2~13%、約2~12%、約2~11%、約2~10%、約2~9%、約2~8%、約2~7%、約2~6%、約2~5%、約2~4%、約2~3%、約3~50%、約4~50%、約5~50%、約6~50%、約7~50%、約8~50%、約9~50%、約10~50%、約11~50%、約12~50%、約13~50%、約14~50%、約15~50%、約16~50%、約17~50%、約18~50%、約19~50%、約20~50%、約21~50%、約22~50%、約23~50%、約24~50%、約25~50%、約26~50%、約27~50%、約28~50%、約29~50%、約30~50%、約35~50%、約40~50%、約45~50% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約40%、約45%、約50% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約28.1%、約28.2%、約28.3%、約28.4%、約28.5%、約28.6%、約28.7%、約28.8%、約28.9%、約30% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約28.6% w/vである。
【0012】
いくつかの態様において、生体適合性構築物の内面は、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)コンポーネントを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントは、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはラミニンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはフィブロネクチンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはヒアルロン酸を含む。
【0013】
いくつかの態様において、ECMコンポーネントはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1~9 mg/ml、約0.1~8 mg/ml、約0.1~7 mg/ml、約0.1~6 mg/ml、約0.1~5 mg/ml、約0.1~4 mg/ml、約0.1~3 mg/ml、約0.1~2 mg/ml、約0.1~1 mg/ml、約0.1~0.9 mg/ml、約0.1~0.8 mg/ml、約0.1~0.7 mg/ml、約0.1~0.5 mg/ml、約0.5~10 mg/ml、約0.6~10 mg/ml、約0.7~10 mg/ml、約0.8~10 mg/ml、約0.9~10 mg/ml、約1~10 mg/ml、約2~10 mg/ml、約3~10 mg/ml、約4~10 mg/ml、約5~10 mg/ml、約6~10 mg/ml、約7~10 mg/ml、約8~10 mg/ml、約9~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1 mg/ml、約0.2 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.9 mg/ml、約1 mg/ml、約1.1 mg/ml、約1.2 mg/ml、約1.3 mg/ml、約1.4 mg/ml、約1.5 mg/ml、約1.6 mg/ml、約1.7 mg/ml、約1.8 mg/ml、約1.9 mg/ml、約2 mg/ml、約3 mg/ml、約4 mg/ml、約5 mg/ml、約6 mg/ml、約7 mg/ml、約8 mg/ml、約9 mg/ml、約10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約1 mg/mlの濃度である。
【0014】
いくつかの態様において、ECMコンポーネントはラミニンを含む。いくつかの態様において、ラミニンは約0.1~9 mg/ml、約0.1~8 mg/ml、約0.1~7 mg/ml、約0.1~6 mg/ml、約0.1~5 mg/ml、約0.1~4 mg/ml、約0.1~3 mg/ml、約0.1~2 mg/ml、約0.1~1 mg/ml、約0.1~0.9 mg/ml、約0.1~0.8 mg/ml、約0.1~0.7 mg/ml、約0.1~0.5 mg/ml、約0.5~10 mg/ml、約0.6~10 mg/ml、約0.7~10 mg/ml、約0.8~10 mg/ml、約0.9~10 mg/ml、約1~10 mg/ml、約2~10 mg/ml、約3~10 mg/ml、約4~10 mg/ml、約5~10 mg/ml、約6~10 mg/ml、約7~10 mg/ml、約8~10 mg/ml、約9~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、ラミニンは約0.1 mg/ml、約0.2 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.9 mg/ml、約1 mg/ml、約1.1 mg/ml、約1.2 mg/ml、約1.3 mg/ml、約1.4 mg/ml、約1.5 mg/ml、約1.6 mg/ml、約1.7 mg/ml、約1.8 mg/ml、約1.9 mg/ml、約2 mg/ml、約3 mg/ml、約4 mg/ml、約5 mg/ml、約6 mg/ml、約7 mg/ml、約8 mg/ml、約9 mg/ml、約10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、ラミニンは約1 mg/mlの濃度である。
【0015】
いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、約50~5000個の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロンなど、例えば本明細書に説明される聴覚ニューロン)を含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、約50~4500、約50~4000、約50~3500、約50~3000、約50~2500、約50~2000、約50~1500、約50~1000、約50~900、約50~800、約50~700、約50~600、約50~550、約50~500、約50~450、約50~400、約50~300、約50~200、約50~100、約100~5000、約200~5000、約300~5000、約400~5000、約500~5000、約1000~5000、約2000~5000、約3000~5000、または約4000~5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、少なくとも50個の聴覚ニューロン、少なくとも100個の聴覚ニューロン、少なくとも200個の聴覚ニューロン、少なくとも300個の聴覚ニューロン、少なくとも400個の聴覚ニューロン、少なくとも450個の聴覚ニューロン、少なくとも500個の聴覚ニューロン、少なくとも550個の聴覚ニューロン、少なくとも600個の聴覚ニューロン、少なくとも700個の聴覚ニューロン、少なくとも800個の聴覚ニューロン、少なくとも900個の聴覚ニューロン、少なくとも1000個の聴覚ニューロン、少なくとも2000個の聴覚ニューロン、少なくとも3000個の聴覚ニューロン、少なくとも4000個、または少なくとも5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、少なくとも500個の聴覚ニューロンを含む。
【0016】
いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、例えばヒトなどの生物の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/または皮質脳幹核(cortical brainstem nuclei)中に存在するニューロンの、1つまたは複数の特性を有するニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、生物(例えばヒト)の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/もしくは皮質脳幹核中に存在するニューロンに由来するニューロン、もしくはそれらの組み合わせであるかまたはこれを含む。
【0017】
いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つは生体適合性構築物と接触している。
【0018】
いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体および/または軸索を含む。いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体を含む。いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは軸索を含む。いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体および軸索を含む。いくつかの態様において、軸索は長さ約0.5~50 cmである。
【0019】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、(i)生体適合性構築物の第一端部に;(ii)生体適合性構築物の第二端部に;(iii)生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に;かつ/または、(iv)生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に;ポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物の第一端部にポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物の第二端部にポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に、ポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に、ポジショニングされる。
【0020】
いくつかの態様において、生体適合性構築物の第一端部または第二端部にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、細胞体を含む。
【0021】
いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、軸索を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディは、ボディの内面を含む。いくつかの態様において、内面は管腔コアを含む。
【0022】
いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、軸索を含む。いくつかの態様において、軸索は一方向性または二方向性に延在する。いくつかの態様において、軸索は一方向性に延在する。いくつかの態様において、軸索は二方向性に延在する。
【0023】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分は、聴覚ニューロンの凝集物を含む。
【0024】
いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、またはII型聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数の螺旋神経節ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数のIC聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数の皮質聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数のI型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数のII型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。
【0025】
いくつかの態様において、例えば生きた電極など、本明細書に開示するシステムは、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞、ミクログリア、または内皮細胞など、1つまたは複数の追加的な細胞をさらに含む。
【0026】
いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象から単離される。
【0027】
いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、幹細胞に由来する少なくとも1つの細胞であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)、胎生幹細胞、または組織幹細胞のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、幹細胞はiPSCを含む。いくつかの態様において、幹細胞は胎生幹細胞を含む。いくつかの態様において、幹細胞は組織幹細胞を含む。
【0028】
いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって自家性、同種性、または異種性である。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって自家性である。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって同種性である。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって異種性である。
【0029】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンは、遺伝子工学操作されるかまたは非遺伝的技法を用いて再プログラミングされる。いくつかの態様において、少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは、センサー、アクチュエーター、受容器、および/またはレポーターを含む。
【0030】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはレポーターを含む。いくつかの態様において、レポーターは蛍光レポーターを含む。
【0031】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは受容器を含む。いくつかの態様において、受容器は、磁気受容器、電磁受容器、電気受容器、水受容器(hydroreceptor)、機械受容器、浸透圧受容器、温度受容器、および圧電イオンチャネルのうち、1つまたは複数を含む。
【0032】
いくつかの態様において、電磁受容器は、赤外線受容器、光受容器、または紫外線受容器のうち、1つまたは複数を含む。
【0033】
いくつかの態様において、機械受容器は、機械感覚受容器または固有受容器のうち、1つまたは両方を含む。
【0034】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはセンサーを含む。いくつかの態様において、センサーは、光感受性イオンチャネル、カルシウムセンサー、および膜電圧センサーのうち、1つまたは複数を含む光学センサーを含む。
【0035】
いくつかの態様において、センサーは、Aequorin、Cameleon、およびGCaMPのうち、1つまたは複数を含むカルシウムセンサーを含む。
【0036】
いくつかの態様において、センサーは、Clomeleonを含む塩化物センサーを含む。
【0037】
いくつかの態様において、センサーは、Mermaidを含む膜電圧センサーを含む。
【0038】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはアクチュエーターを含む。いくつかの態様において、アクチュエーターは、チャネルロドプシン、ハロロドプシン、およびアーキロドプシンのうち、1つまたは複数を含む光学アクチュエーターを含む。
【0039】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは光学センサーを含み、かつ/または、光学アクチュエーターは光遺伝学的ニューロン(optogenetic neuron)である。
【0040】
いくつかの態様において、生体適合性構築物は管状の構築物である。いくつかの態様において、生体適合性構築物は螺旋状またはY字状(wye)である。いくつかの態様において、生体適合性構築物は約240~900度の湾曲を有する。いくつかの態様において、生体適合性構築物の湾曲は約270度である。
【0041】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは約0.1~40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1~35 mm、約0.1~30 mm、約0.1~25 mm、約0.1~20 mm、約0.1~15 mm、約0.1~12 mm、約0.1~11 mm、約0.1~10 mm、約0.1~9 mm、約0.1~8 mm、約0.1~7 mm、約0.1~6.5 mm、約0.1~6 mm、約0.1~5 mm、約0.1~4 mm、約0.1~3 mm、約0.1~2 mm、約0.1~1 mm、約0.1~0.5 mm、約0.2~40 mm、約0.3~40 mm、約0.4~40 mm、約0.5~40 mm、約1~40 mm、約2~40 mm、約3~40 mm、約4~40 mm、約5~40 mm、約6~40 mm、約7~40 mm、約8~40 mm、約9~40 mm、約10~40 mm、約11~40 mm、約12~40 mm、約15~40 mm、約20~40 mm、約25~40 mm、約30~40 mm、または約35~40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1 mm、約0.5 mm、約1 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約6.5 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mm、約11 mm、約12 mm、約13 mm、約14 mm、約15 mm、約20 mm、約25 mm、約30 mm、約35 mm、または約40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約1.5 mmの外径を有する。
【0042】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは約0.5~70 mm、約0.5~60 mm、約0.5~50 mm、約0.4~50 mm、約0.5~30 mm、約0.5~20 mm、約0.5~10 mm、約1~70 mm、約2~70 mm、約3~70 mm、約4~70 mm、約5~70 mm、約6~70 mm、約7~70 mm、約8~70 mm、約9~70 mm、約10~70 mm、約20~70 mm、約30~70 mm、約40~70 mm、約50~70 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1~10 mm、約0.2~9 mm、約0.3~8 mm、約0.4~7 mm、約0.5~6.5 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.5 mm、約1 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約6.5 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mm、約20 mm、約30 mm、約40 mm、約50 mm、約60 mm、約70 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約7 mmの直径を有する。
【0043】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは約0.1~10 mm、約0.1~8 mm、約0.1~6 mm、約0.1~4 mm、約0.1~3 mm、約0.1~2 mm、約0.1~1.5 mm、約0.1~1 mm、約0.5~10 mm、約0.6~10 mm、約0.7~10 mm、約0.8~10 mm、約0.9~10 mm、約1~10 mm、約2~10 mm、約4~10 mm、約6~10 mm、約8~10 mmのピッチを有する。いくつかの態様において、システムは約0.1 mm、約0.2 mm、約0.3 mm、約0.4 mm、約0.5 mm、約0.6 mm、約0.7 mm、約0.8 mm、約0.9 mm、約1 mm、約1.1 mm、約1.2 mm、約1.3 mm、約1.4 mm、約1.5 mm、約1.6 mm、約1.7 mm、約1.8 mm、約1.9 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mmのピッチを有する。いくつかの態様において、システムは約1 mmのピッチを有する。
【0044】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは、エクスビボまたはインビトロで、例えば組み立てられるなど製造される。いくつかの態様において、システムは、エクスビボで、例えば組み立てられるなど製造される。いくつかの態様において、システムは、インビトロで、例えば組み立てられるなど製造される。
【0045】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/もしくは対象内の少なくとも1つのニューロンの、少なくとも1つの活動を、調節および/もしくはアセスメントできる、または調節および/もしくはアセスメントのために使用できる。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および対象内の少なくとも1つのニューロンの、少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。
【0046】
いくつかの態様において、調節する段階は、一方向性もしくは二方向性の調節であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、調節する段階は、一方向性の調節であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、調節する段階は、二方向性の調節であるかまたはこれを含む。
【0047】
いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/または対象内の少なくとも1つのニューロンの、少なくとも1つの活動を刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および対象内の少なくとも1つのニューロンの、少なくとも1つの活動を刺激または抑制する段階を含む。
【0048】
いくつかの態様において、刺激する段階は、電気刺激;光刺激;音波もしくは振動刺激;磁気刺激;またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、刺激する段階は電気刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は光刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は音波もしくは振動刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は磁気刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は電気刺激および光刺激を含む。
【0049】
いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターおよび/または記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターする段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターおよび記録する段階を含む。
【0050】
いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つのニューロンは、聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、前庭ニューロン、蝸牛ニューロン、螺旋神経節ニューロン、ICニューロン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0051】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは、対象内の少なくとも1つの聴覚路の少なくとも1つの活動を刺激または抑制できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つの聴覚路の少なくとも1つの活動を刺激できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つの聴覚路の少なくとも1つの活動を抑制できる。
【0052】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは、対象内の少なくとも1つの末梢聴覚路の少なくとも1つの活動を刺激または抑制できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つの末梢聴覚路の少なくとも1つの活動を刺激できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つの末梢聴覚路の少なくとも1つの活動を抑制できる。
【0053】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含む、本明細書に開示されるシステムが、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に;対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に;および/または対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛の中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)の中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核の中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質の中に植え込まれる。
【0054】
いくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含む、本明細書に開示される複数のシステムが、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に;対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に;および/または対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第一のシステムと、本明細書に開示される第二のシステムとが、対象内に植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第一のシステムと、本明細書に開示される第二のシステムとは同じであり、例えば、本明細書に開示される2つの同様のシステムが対象内に植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第一のシステムと、本明細書に開示される第二のシステムとは異なり、例えば、本明細書に開示される2つの異なるシステムが対象内に植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第三のまたはさらなる(例えば、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、などの)システムが対象内に植え込まれる。
【0055】
いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の蝸牛付近に植え込まれる。いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛の中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の下丘(IC)に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の下丘(IC)付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の下丘(IC)の中に植え込まれる。
【0056】
いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の蝸牛神経核に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の蝸牛神経核付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の蝸牛神経核の中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の聴覚皮質に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の聴覚皮質付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の聴覚皮質の中に植え込まれる。
【0057】
いくつかの態様において、本明細書に開示される、植え込まれたシステム、または複数の植え込まれたシステムは、対象内の少なくとも1つの細胞に接触する、または対象内の聴覚皮質のエリアか、その付近か、もしくはその中の、少なくとも1つの細胞に接触する。いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つの細胞は内因性細胞である。いくつかの態様において、少なくとも1つの細胞はニューロンを含む。いくつかの態様において、ニューロンは、例えば本明細書に説明されるような、聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、生物(例えばヒト)の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/もしくは皮質脳幹核中に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせの、1つまたは複数の特性を有するニューロンを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロンまたはICニューロンのうち、1つまたは複数を含む。
【0058】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステムまたは複数のシステムを対象内の少なくとも1つの細胞と接触させる段階は、システムの前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つのニューロンと、対象内の少なくとも1つの細胞との間に、シナプスを作り出すように決定される。いくつかの態様において、シナプスは、ニューロンのシナプスであるかまたはこれを含む。
【0059】
いくつかの態様において、本明細書に開示される、植え込まれたシステム、または複数の植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/または対象内の少なくとも1つの細胞を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、本明細書に開示される、植え込まれたシステム、または複数の植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンを調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、本明細書に開示される、植え込まれたシステム、または複数の植え込まれたシステムは、対象内の少なくとも1つの細胞を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。
【0060】
いくつかの態様において、生体適合性構築物は非線形形状を有する。
【0061】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステムは刺激子アレイをさらに含む。いくつかの態様において、刺激子アレイはオプトロードアレイであるかまたはこれを含む。
【0062】
本明細書において、例えば蝸牛インプラントなどであるシステムが提供される:同システムは
刺激子アレイと;
複数の生きた電極であって、その複数の生きた電極のうち少なくとも1つは刺激子アレイの要素と光学的および/または電気的に連絡しており、(1)刺激子相補的(stimulator-complementary)ニューロンを含む近位端と、(2)生きた電極内の光遺伝学的ニューロンと神経的に連絡している聴覚ニューロンを含む遠位端とを、複数の生きた電極の各々が含んでいる、複数の生きた電極と
を含み、
その複数の生きた電極は、不揃いな(staggered)遠位端を有している。
【0063】
いくつかの態様において、刺激子アレイはオプトロードアレイであるかまたはこれを含む。
【0064】
いくつかの態様において、刺激子相補的ニューロンは光遺伝学的ニューロンであるかまたはこれを含む。
【0065】
例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを製造する方法であって、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物を提供する段階;および(b)生体適合性構築物を複数の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロン)と関連させる段階を含む方法もまた本明細書に提供される。
【0066】
いくつかの態様において、本明細書に説明される方法は、複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの生育を促進する条件下でシステムを維持する段階を含む。いくつかの態様において、本明細書に説明される方法は、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの生存能を維持する条件下でシステムを維持する段階を含む。
【0067】
いくつかの態様において、本明細書に説明される方法は、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物を形成する段階をさらに含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物は、前記複数の聴覚ニューロンを生体適合性構築物と接触させる段階より前に形成される。
【0068】
本開示は、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロン)を含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを、対象内に植え込むための方法であって、対象内の蝸牛、下丘(IC)、蝸牛神経核、または聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中にシステムを植え込む段階を含む方法を提供する。
【0069】
いくつかの態様において、植え込みは、従来型の微小電極の植え込みと比較して炎症を引き起こす可能性が少ないように決定される。
【0070】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0071】
対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節および/またはアセスメントする方法であって、(i)(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロン)を含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを、対象に提供する段階;ならびに(ii)電気刺激、光刺激、またはその両方で少なくとも1つのニューロンを調節する段階を含む方法が、本明細書に提供される。
【0072】
いくつかの態様において、アセスメントする段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンをモニター、記録、刺激、および/または抑制することを含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンをモニターする段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンを記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンを刺激する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンを抑制する段階を含む。
【0073】
いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つのニューロンは聴覚ニューロンを含む。
【0074】
いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、皮質脳幹核中に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせの、1つまたは複数の特性を有するニューロンを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、前庭ニューロン、蝸牛ニューロン、螺旋神経節ニューロン、またはICニューロンのうち、1つまたは複数を含む。
【0075】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0076】
本開示は、聴覚障害を有する対象を治療する方法であって、以下の段階:(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロンを含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを対象に提供する段階であって、それによって対象を治療する、段階、を含む方法を、さらに提供する。
【0077】
いくつかの態様において、聴覚障害は、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、聴覚障害は、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤、騒音、もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む。
【0078】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0079】
対象における聴覚障害の症状を改善する方法であって、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロンなど、例えば本明細書に説明されるようなニューロン)を含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを、対象に提供する段階を含む方法が、本明細書に提供される。
【0080】
いくつかの態様において、聴覚障害は、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、聴覚障害は、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む。
【0081】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0082】
対象における聴覚障害の症状の悪化を防ぐ方法であって、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロン(例えば前庭ニューロンおよび/または蝸牛ニューロンなど、例えば本明細書に説明されるようなニューロン)を含む、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを、対象に提供する段階を含む方法もまた、本明細書に提供される。
【0083】
いくつかの態様において、聴覚障害は、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、聴覚障害は、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む。
【0084】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0085】
本開示は、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物、および(b)複数の聴覚ニューロンと、これを使用するための指示書と、を含むシステムを含むキットを提供する。
【0086】
いくつかの態様において、キットは、これを使用するための指示書をさらに含む。
【0087】
いくつかの態様において、本明細書に説明されるキットは、本明細書に説明されるシステムを含む。
【0088】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットは、本明細書に開示される、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステムは、(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含むマトリックスを含む生体適合性構築物;および(b)複数の聴覚ニューロンを含む。
【0089】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物は内面および/または外面を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物の内面は管腔コアを規定する。
【0090】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物の外面は少なくとも1つのヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、親水性バイオポリマーおよび/または合成ポリマーを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは少なくとも部分的に架橋され、ここで架橋は、任意で、スチフネスを増大させ、多孔度を低減させ、かつ/または劣化時間を増大させる。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーは、アガロース、ヒドロゲル、ヒアルロナン、キトサン、アルギン酸塩、コラーゲン、デキストラン、ペクチン、カラゲーナン、ポリリジン、ゼラチン、ヒアルロン酸、フィブリン、およびメチルセルロースのうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアガロースを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはキトサンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアルギン酸塩を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはデキストランを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはペクチンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはカラゲーナンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはポリリジンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはゼラチンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはヒアルロン酸を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはフィブリンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはメチルセルロースを含む。
【0091】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアガロースを含む。いくつかの態様において、アガロースは約0.25~30%、約0.25%~3%、約0.5%~3%、約1~20%、約1.5~10%、約2~9%、約2.5~8%、または約3~7%である。いくつかの態様において、アガロースは約0.25~29%、約0.25~28%、0.25~%、約0.25~27%、約0.25~26%、約0.25~25%、約0.25~24%、約0.25~23%、約0.25~22%、約0.25~21%、約0.25~20%、約0.25~19%、約0.25~18%、約0.25~17%、約0.25~16%、約0.25~15%、約0.25~14%、約0.25~13%、約0.25~12%、約0.25~11%、約0.25~10%、約0.25~9%、約0.25~8%、約0.25~7%、約0.25~6%、約0.25~5%、約0.25~4%、約0.25~3%、約0.25~2%、約0.25~1%、約0.25~0.5%、約0.5~30%、約1~30%、約2~30%、約3~30%、約4~30%、約5~30%、約6~30%、約7~30%、約8~30%、約9~30%、約10~30%、約11~30%、約12~30%、約13~30%、約14~30%、約15~30%、約16~30%、約17~30%、約18~30%、約19~30%、約20~30%、約21~30%、約22~30%、約23~30%、約24~30%、約25~30%、約26~30%、約27~30%、約28~30%、約29~30%である。
【0092】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、本明細書に開示されるシステム内のアガロースは約0.25%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%である。いくつかの態様において、アガロースは約3%である。
【0093】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、親水性バイオポリマーは、少なくとも1つの合成ヒドロゲル(例えばプルロニックヒドロゲル)、または、エチレンオキシド(PEO)およびポリプロピレンオキシド(PPO)の単位からなる両親媒性コポリマーで作られた少なくとも1つの合成ヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2~50% w/v、約3~40% w/v、約4~30% w/v、約5~25% w/v、または約10~20% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2~45%、約2~40%、約2~35%、約2~30%、約2~29%、約2~28%、約2~27%、約2~26%、約2~25%、約2~24%、約2~23%、約2~22%、約2~21%、約2~20%、約2~19%、約2~18%、約2~17%、約2~16%、約2~15%、約2~14%、約2~13%、約2~12%、約2~11%、約2~10%、約2~9%、約2~8%、約2~7%、約2~6%、約2~5%、約2~4%、約2~3%、約3~50%、約4~50%、約5~50%、約6~50%、約7~50%、約8~50%、約9~50%、約10~50%、約11~50%、約12~50%、約13~50%、約14~50%、約15~50%、約16~50%、約17~50%、約18~50%、約19~50%、約20~50%、約21~50%、約22~50%、約23~50%、約24~50%、約25~50%、約26~50%、約27~50%、約28~50%、約29~50%、約30~50%、約35~50%、約40~50%、約45~50% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約40%、約45%、約50% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約28.1%、約28.2%、約28.3%、約28.4%、約28.5%、約28.6%、約28.7%、約28.8%、約28.9%、約30%である。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約28.6% w/vである。
【0094】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物の内面は、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)コンポーネントを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントは、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはラミニンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはフィブロネクチンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはヒアルロン酸を含む。
【0095】
いくつかの態様において、ECMコンポーネントはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1~9 mg/ml、約0.1~8 mg/ml、約0.1~7 mg/ml、約0.1~6 mg/ml、約0.1~5 mg/ml、約0.1~4 mg/ml、約0.1~3 mg/ml、約0.1~2 mg/ml、約0.1~1 mg/ml、約0.1~0.9 mg/ml、約0.1~0.8 mg/ml、約0.1~0.7 mg/ml、約0.1~0.5 mg/ml、約0.5~10 mg/ml、約0.6~10 mg/ml、約0.7~10 mg/ml、約0.8~10 mg/ml、約0.9~10 mg/ml、約1~10 mg/ml、約2~10 mg/ml、約3~10 mg/ml、約4~10 mg/ml、約5~10 mg/ml、約6~10 mg/ml、約7~10 mg/ml、約8~10 mg/ml、約9~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1 mg/ml、約0.2 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.9 mg/ml、約1 mg/ml、約1.1 mg/ml、約1.2 mg/ml、約1.3 mg/ml、約1.4 mg/ml、約1.5 mg/ml、約1.6 mg/ml、約1.7 mg/ml、約1.8 mg/ml、約1.9 mg/ml、約2 mg/ml、約3 mg/ml、約4 mg/ml、約5 mg/ml、約6 mg/ml、約7 mg/ml、約8 mg/ml、約9 mg/ml、約10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約1 mg/mlの濃度である。
【0096】
いくつかの態様において、ECMコンポーネントはラミニンを含む。いくつかの態様において、ラミニンは約0.1~9 mg/ml、約0.1~8 mg/ml、約0.1~7 mg/ml、約0.1~6 mg/ml、約0.1~5 mg/ml、約0.1~4 mg/ml、約0.1~3 mg/ml、約0.1~2 mg/ml、約0.1~1 mg/ml、約0.1~0.9 mg/ml、約0.1~0.8 mg/ml、約0.1~0.7 mg/ml、約0.1~0.5 mg/ml、約0.5~10 mg/ml、約0.6~10 mg/ml、約0.7~10 mg/ml、約0.8~10 mg/ml、約0.9~10 mg/ml、約1~10 mg/ml、約2~10 mg/ml、約3~10 mg/ml、約4~10 mg/ml、約5~10 mg/ml、約6~10 mg/ml、約7~10 mg/ml、約8~10 mg/ml、約9~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、ラミニンは約0.1 mg/ml、約0.2 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.9 mg/ml、約1 mg/ml、約1.1 mg/ml、約1.2 mg/ml、約1.3 mg/ml、約1.4 mg/ml、約1.5 mg/ml、約1.6 mg/ml、約1.7 mg/ml、約1.8 mg/ml、約1.9 mg/ml、約2 mg/ml、約3 mg/ml、約4 mg/ml、約5 mg/ml、約6 mg/ml、約7 mg/ml、約8 mg/ml、約9 mg/ml、約10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、ラミニンは約1 mg/mlの濃度である。
【0097】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは、例えば本明細書に説明されるような約50~5000個の聴覚ニューロンを含む複数の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、約50~4500、約50~4000、約50~3500、約50~3000、約50~2500、約50~2000、約50~1500、約50~1000、約50~900、約50~800、約50~700、約50~600、約50~550、約50~500、約50~450、約50~400、約50~300、約50~200、約50~100、約100~5000、約200~5000、約300~5000、約400~5000、約500~5000、約1000~5000、約2000~5000、約3000~5000、または約4000~5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、少なくとも50個の聴覚ニューロン、少なくとも100個の聴覚ニューロン、少なくとも200個の聴覚ニューロン、少なくとも300個の聴覚ニューロン、少なくとも400個の聴覚ニューロン、少なくとも450個の聴覚ニューロン、少なくとも500個の聴覚ニューロン、少なくとも550個の聴覚ニューロン、少なくとも600個の聴覚ニューロン、少なくとも700個の聴覚ニューロン、少なくとも800個の聴覚ニューロン、少なくとも900個の聴覚ニューロン、少なくとも1000個の聴覚ニューロン、少なくとも2000個の聴覚ニューロン、少なくとも3000個の聴覚ニューロン、少なくとも4000個、または少なくとも5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、少なくとも500個の聴覚ニューロンを含む。
【0098】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つは生体適合性構築物と接触している。
【0099】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体および/または軸索を含む。いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体を含む。いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは軸索を含む。いくつかの態様において、複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体および軸索を含む。いくつかの態様において、軸索は長さ約0.5~50 cmである。
【0100】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、(i)生体適合性構築物の第一端部に;(ii)生体適合性構築物の第二端部に;(iii)生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に;かつ/または、(iv)生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に;ポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物の第一端部にポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物の第二端部にポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に、ポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に、ポジショニングされる。
【0101】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物の第一端部または第二端部にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、細胞体を含む。
【0102】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、軸索を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディは、ボディの内面を含む。いくつかの態様において、内面は管腔コアを含む。
【0103】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、軸索を含む。いくつかの態様において、軸索は一方向性または二方向性に延在する。いくつかの態様において、軸索は一方向性に延在する。いくつかの態様において、軸索は二方向性に延在する。
【0104】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分は、聴覚ニューロンの凝集物を含む。
【0105】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、例えばヒトなどの生物の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/または皮質脳幹核中に存在するニューロンの、1つまたは複数の特性を有するニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、例えばヒトなどの生物の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/または皮質脳幹核中に存在するニューロンに由来するニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、またはII型聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数の螺旋神経節ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数のIC聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数の皮質聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数のI型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、複数のII型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。
【0106】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムは、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞、ミクログリア、または内皮細胞など、1つまたは複数の追加的な細胞をさらに含む。
【0107】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象から単離される。
【0108】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、幹細胞に由来する少なくとも1つの細胞であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)、胎生幹細胞、または組織幹細胞のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、幹細胞はiPSCを含む。いくつかの態様において、幹細胞は胎生幹細胞を含む。いくつかの態様において、幹細胞は組織幹細胞を含む。いくつかの態様において、幹細胞に由来する聴覚ニューロンは、例えばヒトなどの生物の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/または皮質脳幹核中に存在するニューロンの、1つまたは複数の特性を有する。
【0109】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって自家性、同種性、または異種性である。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって自家性である。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって同種性である。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは対象にとって異種性である。
【0110】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンは、遺伝子工学操作されるかまたは非遺伝的技法を用いて再プログラミングされる。いくつかの態様において、少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは、センサー、アクチュエーター、受容器、および/またはレポーターを含む。
【0111】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはレポーターを含む。いくつかの態様において、レポーターは蛍光レポーターを含む。
【0112】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは受容器を含む。いくつかの態様において、受容器は、磁気受容器、電磁受容器、電気受容器、水受容器、機械受容器、浸透圧受容器、温度受容器、および圧電イオンチャネルのうち、1つまたは複数を含む。
【0113】
いくつかの態様において、電磁受容器は、赤外線受容器、光受容器、または紫外線受容器のうち、1つまたは複数を含む。
【0114】
いくつかの態様において、機械受容器は、機械感覚受容器または固有受容器のうち、1つまたは両方を含む。
【0115】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはセンサーを含む。いくつかの態様において、センサーは、光感受性イオンチャネル、カルシウムセンサー、および膜電圧センサーのうち、1つまたは複数を含む光学センサーを含む。
【0116】
いくつかの態様において、センサーは、Aequorin、Cameleon、およびGCaMPのうち、1つまたは複数を含むカルシウムセンサーを含む。
【0117】
いくつかの態様において、センサーは、Clomeleonを含む塩化物センサーを含む。
【0118】
いくつかの態様において、センサーは、Mermaidを含む膜電圧センサーを含む。
【0119】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはアクチュエーターを含む。いくつかの態様において、アクチュエーターは、チャネルロドプシン、ハロロドプシン、およびアーキロドプシンのうち、1つまたは複数を含む光学アクチュエーターを含む。
【0120】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは光学センサーを含み、かつ/または、光学アクチュエーターは光遺伝学的ニューロンである。
【0121】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物は管状の構築物である。
【0122】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物は螺旋状またはY字状である。いくつかの態様において、生体適合性構築物は約240~900度の湾曲を有する。いくつかの態様において、生体適合性構築物の湾曲は約270度である。
【0123】
いくつかの態様において、生体適合性構築物を含むシステムは約0.1~40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1~35 mm、約0.1~30 mm、約0.1~25 mm、約0.1~20 mm、約0.1~15 mm、約0.1~12 mm、約0.1~11 mm、約0.1~10 mm、約0.1~9 mm、約0.1~8 mm、約0.1~7 mm、約0.1~6.5 mm、約0.1~6 mm、約0.1~5 mm、約0.1~4 mm、約0.1~3 mm、約0.1~2 mm、約0.1~1 mm、約0.1~0.5 mm、約0.2~40 mm、約0.3~40 mm、約0.4~40 mm、約0.5~40 mm、約1~40 mm、約2~40 mm、約3~40 mm、約4~40 mm、約5~40 mm、約6~40 mm、約7~40 mm、約8~40 mm、約9~40 mm、約10~40 mm、約11~40 mm、約12~40 mm、約15~40 mm、約20~40 mm、約25~40 mm、約30~40 mm、または約35~40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1 mm、約0.5 mm、約1 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約6.5 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mm、約11 mm、約12 mm、約13 mm、約14 mm、約15 mm、約20 mm、約25 mm、約30 mm、約35 mm、または約40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約1.5 mmの外径を有する。
【0124】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物を含むシステムは約0.5~70 mm、約0.5~60 mm、約0.5~50 mm、約0.4~50 mm、約0.5~30 mm、約0.5~20 mm、約0.5~10 mm、約1~70 mm、約2~70 mm、約3~70 mm、約4~70 mm、約5~70 mm、約6~70 mm、約7~70 mm、約8~70 mm、約9~70 mm、約10~70 mm、約20~70 mm、約30~70 mm、約40~70 mm、約50~70 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1~10 mm、約0.2~9 mm、約0.3~8 mm、約0.4~7 mm、約0.5~6.5 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.5 mm、約1 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約6.5 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mm、約20 mm、約30 mm、約40 mm、約50 mm、約60 mm、約70 mmの直径を有する。いくつかの態様において、生体適合性構築物を含むシステムは約7 mmの直径を有する。
【0125】
いくつかの態様において、生体適合性構築物を含むシステムは約0.1~10 mm、約0.1~8 mm、約0.1~6 mm、約0.1~4 mm、約0.1~3 mm、約0.1~2 mm、約0.1~1.5 mm、約0.1~1 mm、約0.5~10 mm、約0.6~10 mm、約0.7~10 mm、約0.8~10 mm、約0.9~10 mm、約1~10 mm、約2~10 mm、約4~10 mm、約6~10 mm、約8~10 mmのピッチを有する。いくつかの態様において、システムは約0.1 mm、約0.2 mm、約0.3 mm、約0.4 mm、約0.5 mm、約0.6 mm、約0.7 mm、約0.8 mm、約0.9 mm、約1 mm、約1.1 mm、約1.2 mm、約1.3 mm、約1.4 mm、約1.5 mm、約1.6 mm、約1.7 mm、約1.8 mm、約1.9 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mmのピッチを有する。いくつかの態様において、生体適合性構築物を含むシステムは約1 mmのピッチを有する。
【0126】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用されるシステムは、エクスビボまたはインビトロで、例えば組み立てられるなど製造される。いくつかの態様において、システムは、エクスビボで、例えば組み立てられるなど製造される。いくつかの態様において、システムは、インビトロで、例えば組み立てられるなど製造される。
【0127】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用されるシステムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動、および/もしくは対象内の少なくともニューロンの少なくとも1つの活動を、調節および/もしくはアセスメントできる、または調節および/もしくはアセスメントのために使用できる。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および対象内の少なくとも1つのニューロンの、少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。
【0128】
いくつかの態様において、調節する段階は、一方向性もしくは二方向性の調節であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、調節する段階は、一方向性の調節であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、調節する段階は、二方向性の調節であるかまたはこれを含む。
【0129】
いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/または対象内の少なくとも1つのニューロンを、刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンを刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンを刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および対象内の少なくとも1つのニューロンを、刺激または抑制する段階を含む。
【0130】
いくつかの態様において、刺激する段階は、電気刺激;光刺激;音波もしくは振動刺激;磁気刺激;またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、刺激する段階は電気刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は光刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は音波もしくは振動刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は磁気刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は電気刺激および光刺激を含む。
【0131】
いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターおよび/または記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターする段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターおよび記録する段階を含む。
【0132】
いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つのニューロンは、聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、ICニューロン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0133】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用されるシステムは、対象内の聴覚路を刺激または抑制できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の聴覚路を刺激できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の聴覚路を抑制できる。
【0134】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用されるシステムは、対象内の末梢聴覚路を刺激または抑制できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の末梢聴覚路を刺激できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の末梢聴覚路を抑制できる。
【0135】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用される、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含むシステムが、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に;対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に;および/または対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛の中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の下丘(IC)の中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の蝸牛神経核の中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが、対象内の聴覚皮質の中に植え込まれる。
【0136】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用される、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含む、本明細書に開示される複数のシステムが、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に;対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に;および/または対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第一のシステムと、本明細書に開示される第二のシステムとが、対象内に植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第一のシステムと、本明細書に開示される第二のシステムとは同じであり、例えば、本明細書に開示される2つの同様のシステムが対象内に植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第一のシステムと、本明細書に開示される第二のシステムとは異なり、例えば、本明細書に開示される2つの異なるシステムが対象内に植え込まれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される第三のまたはさらなるシステムが対象内に植え込まれる。
【0137】
いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の蝸牛付近に植え込まれる。いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛の中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の下丘(IC)に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の下丘(IC)付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の下丘(IC)の中に植え込まれる。
【0138】
いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の蝸牛付近に植え込まれる。いくつかの態様において、第一のシステムが対象内の蝸牛の中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の蝸牛神経核に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の蝸牛神経核付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の蝸牛神経核の中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の聴覚皮質に植え込まれる。いくつかの態様において、第二のシステムが対象内の聴覚皮質付近に植え込まれる。いくつかの態様において、システムが対象内の聴覚皮質の中に植え込まれる。
【0139】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用される、植え込まれたシステムは、対象内の少なくとも1つの細胞に接触する、または対象内の聴覚皮質のエリアか、その付近か、もしくはその中の、少なくとも1つの細胞に接触する。いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つの細胞は内因性細胞である。いくつかの態様において、少なくとも1つの細胞はニューロンを含む。いくつかの態様において、ニューロンは、例えば本明細書に説明されるような、聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロンまたはICニューロンのうち、1つまたは複数を含む。
【0140】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用されるシステムを対象内の少なくとも1つの細胞と接触させる段階は、システムの前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つのニューロンと、対象内の少なくとも1つの細胞との間に、シナプスを作り出すように決定される。いくつかの態様において、シナプスは、ニューロンのシナプスであるかまたはこれを含む。
【0141】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットにおいて使用される、植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/または対象内の少なくとも1つの細胞を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンを調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、対象内の少なくとも1つの細胞を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。
【0142】
本明細書に開示されるいずれかの方法またはキットのいくつかの態様において、生体適合性構築物は非線形形状を有する。
【0143】
本開示に包含されるこれらおよび他の態様を、以下および添付の特許請求の範囲において、より詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
以下の、本発明の例示的態様の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことによってよりよく理解されるであろう。本発明を例証する目的のために非限定的な態様を図面に示す。ただし理解されるべき点として、本発明は、図面に示される態様のとおりの正確な配置および手段に限定されるわけではない。
【0145】
【
図1】マイクロTENNバイオハイブリッド・ニューラルインターフェースの模式図を提供する。ヒドロゲル足場が、ニューロン集団から関心対象の標的組織(このケースにおいて蝸牛内の螺旋神経節細胞、または下丘内のネイティブな聴覚ニューロン)に向かう軸索の成長を導き、一方で、細胞体は電気刺激または光刺激用にアクセス可能なままである。
【
図2A】
図2は、マイクロTENNにおける同時的な光刺激および記録を示す。光学アクチュエーターおよび蛍光カルシウムレポーターを両方とも発現するように形質導入された皮質ニューロンマイクロTENNは、光で制御およびモニターできる。
図2A:10 DIVにおける位相画像および共焦点再構築。左側の凝集物はChR2を形質導入され、右側の凝集物はカルシウムレポーターRCaMPを形質導入されている。
図2B:記録中の蛍光顕微鏡観察下における
図2AのRCaMP+凝集物。
図2C:刺激後の
図2Bの共焦点再構築。単一のニューロンを含有するROIを手作業で定義した(白い輪郭)。
図2D:刺激中の
図2A~2CのRCaMP+凝集物内におけるROIの正規化ピクセル強度。灰色の線は、凝集物の平均ROI(黒い実線)を得るために平均化した、代表的なユーザー定義ROIを示す。単一系列の1 Hz, 100 ms刺激パルスのタイムスタンプが、横座標に沿った青いバンドとして示されている。入力凝集物の刺激によるピクセル強度の変化が、内因性の高振幅徐波活動内で生じる鋭いスパイクとして見られる。
図2E:刺激中(左)および光刺激後(右)のマイクロTENN活動を示す、赤い挿入図の拡大図。
図2F:刺激強度にわたる平均的な最大ΔF/Fo。統計的比較から、対照波長(620nm)での刺激は465nmでの刺激より有意に低い最大ΔF/Foをもたらすことが明らかになった(*=p<0.05)。スケールバー:100 μm。これらの結果から、現提案における特徴となっているものと同様の構築物における、光学誘発応答が検証された。
【
図3】解剖学的に着想された(anatomically-inspired)マイクロTENNを示す。インビトロで黒質線条体路をエミュレートするドーパミン作動性マイクロTENNの共焦点再構築:長く投射した軸索路を伴う別々のニューロンの集団。
【
図4】7 DIVにおけるSGN外植片の複合免疫組織化学による顕微鏡写真。Hoechst(核)、GFAP(アストロサイト)、tuj-1(軸索/ニューロン細胞体)、およびsynapsin(シナプス)に対する抗体が示されている。スケールバー = 100 μm。
【
図5-1】
図5は、カルシウムイメージングを示す。
図5A:18 DIVにプレーティングした螺旋神経節凝集物(1, 2)の位相画像。
図5B:凝集物にGCaMPを形質導入し、ライブのカルシウムイメージング記録でニューロン活動が明らかになった(B, B', B'')。(
図5C, 5D)両方の凝集物について、単一のニューロンを含有するROIを同定し、MATLABで平均ピクセル強度を解析した。
【
図6】植え込み可能マイクロカラム内の凝集SGNを用いたSGN LEを示す。
図6A:14 DIVにおける、太い軸索路を投射している螺旋神経節LEの位相画像。
図6B:免疫標識した
図6AのLEであり、細胞核(DAPI)(
図6C)、軸索(ベータチューブリン-III)(
図6D)、ペリフェリン(
図6E)を染色している。スケールバー:500 μm。
【
図7】蝸牛用構築物の設計を示す。
図7A:生きた電極の位相差顕微鏡写真であり、中心から外れた中央マイクロカラムを伴うベンドを示している。軸索路の配向が中心から外れていることによりマイクロカラムの湾曲が見える。この材料は可撓性であり、変形して蝸牛の湾曲に対応できる。下のパネルは、3D印刷した270度の構築物を示しており、中央チャネル(矢印)をより目立たせるために、完成度を
図7B:50%、
図7C:75%としている。
【
図8】マイクロTENNを作製するための新規のニューロン「凝集(aggregate)」方法を示す。逆ピラミッド形マイクロウェル内で穏やかな遠心を用いる「強制的細胞凝集」法を適用した。次に、これらのニューロン凝集物をヒドロゲルマイクロカラムの端部に精密に播種した。数日間のDIVにわたって、マイクロカラムの長さに沿った強健な一方向性の軸索伸展が観察された。
【
図9】成体Sprague-Dawleyラットの右耳蝸牛への外科的アプローチを示す。
図9A:耳骨胞を開いて、蝸牛岬の上およびアブミ骨脚間を走行するアブミ骨動脈(縞模様の矢印)を露出させた。
図9B:蝸牛基底回転における蝸牛開窓術(cochleostomy)(白い矢印)。
図9C:耳嚢を除去して、螺旋神経節を取り囲む骨性の蝸牛軸を露出させた(黒い矢印)。
【
図10】将来の構築物設計の模式図を提供する。
図10A:単一のオプトロードおよびニューロン細胞体凝集物。
図10B:オプトロードおよび細胞体のペアの二次元アレイ。構築物のこの部分は耳骨胞内または脳幹実質外部に留まる。
図10C:蝸牛用構築物の模式図であり、耳骨胞内に位置するオプトロードおよびニューロン凝集物を示している。黒い線は、蝸牛に沿ったさまざまなポジションで終端している軸索路を表す。
図10D:下丘用構築物の模式図であり、脳幹実質外部に位置するオプトロードおよびニューロン凝集物を示している。線は、下丘の体積内のさまざまな位置で終端している軸索路を表す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
定義
本明細書において用いる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈に別段の明示がない限り複数への言及を含む。
【0147】
具体的に記述されるかまたは文脈から明らかであるのでない限り、本明細書において用いる「約(about)」という用語は、例えば平均の2標準偏差以内など、当技術分野における通常の許容差の範囲内として理解される。「約」は、述べられた値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内として理解されうる。文脈から別段に明らかでない限り、本明細書に提供されるすべての数値は約という用語によって修飾される。
【0148】
本明細書において用いる「シナプス(synapse)」は、そこをまたいで化学的な連絡が流れる、ニューロン(例えば聴覚ニューロン)と別の細胞との間の接合部を指す。
【0149】
本明細書に提供される範囲は、その範囲内のすべての値の簡略表記として理解される。例えば、1から50という範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50(ならびに、文脈に別段の明示がない限りそれらの分数)からなる群に由来する、任意の数字、数字の組み合わせ、または部分範囲を含むものとして理解される。
【0150】
本明細書において用いる「生体適合性構築物(biocompatible construct)」という用語は、例えばインビボで(例えばある期間にわたって)生きた組織と接触状態に置かれた時に、そうした組織に著しい害を引き起こさない、マトリックスを含む構築物を指す。ある一定の態様において、生体適合性構築物は、(例えばある期間にわたって)細胞に対して毒性でない。ある一定の態様において、生体適合性構築物は、(例えばある期間にわたって)対象内に置かれまたは植え込まれた時に、著しい炎症もしくは他の免疫反応、または他の有害作用を誘発しない。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスは足場を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスは、内面、外面、または内面および外面の両方を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスの内面は管腔コアを規定する。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスの内面は、本明細書に開示されるコンポーネントを含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスの外面は、本明細書に開示されるコンポーネントを含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物は、1つまたは複数の追加的なコンポーネントを含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物は、管状の構築物、湾曲した構築物、Y字形の構築物、または非線形の構築物である。
【0151】
概して、「工学操作された(engineered)」という用語は、人の手によって操作されている(manipulated)という局面を指す。例えば、細胞または生物体は、操作されておらず他の点では同一である細胞など、適切な参照細胞と比較して、その遺伝的な、エピジェネティックな、および/または表現型の同一性が変更されるように操作を受けたのであれば、「工学操作された」とみなされる。いくつかの態様において、工学操作された細胞は、関心対象となる特定の作用物質(例えば、タンパク質、核酸、および/またはその特定の形態)を、そうした適切な参照細胞と比較して異なる量で、かつ/または異なるタイミングに基づいて、含有しかつ/または発現するように操作された細胞である。当技術分野において慣例でありかつ理解されているように、工学操作された細胞の後代もまた、実際の操作は先代に行われたのであっても、「工学操作された」ものとして参照されるのが典型的である。
【0152】
本明細書において用いる「生きた電極(living electrode)」という用語は、マトリックスを含む生体適合性構築物と;複数の細胞(例えば聴覚ニューロン)とを含むシステムを指す。いくつかの態様において、生きた電極は、一方向性または二方向性に延在する、例えば軸索および/または樹状突起などの、1つまたは複数の神経突起伸展を含む。いくつかの態様において、生きた電極は対象内に植え込むことができる。いくつかの態様において、生きた電極は、前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの活動、または生きた電極が植え込まれた対象内の少なくとも1つの細胞の活動を調節するための、アクセス可能なインターフェースを含む。
【0153】
本明細書において用いる「対象(subject)」という用語は、生物体、典型的には哺乳動物(例えばヒト)を指す。いくつかの態様において、対象は聴覚障害に苦しんでいる。いくつかの態様において、対象は聴覚障害を罹患しやすい。いくつかの態様において、対象は、聴覚障害の、1つまたは複数の、症状または特性を呈する。いくつかの態様において、対象は聴覚障害の症状または特性を呈さない。いくつかの態様において、対象は、聴覚障害の易罹患性またはリスクの特性である、1つまたは複数の特徴を伴う人である。いくつかの態様において、対象は患者である。いくつかの態様において、対象は、診断および/または療法が行われ、かつ/または行われたことがある個人である。
【0154】
本明細書において用いる「聴覚ニューロン(auditory neuron)」という用語は、例えばヒトなどの生物の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/または皮質脳幹核中に存在するニューロンの、1つまたは複数の特性を有するニューロンを指す。いくつかの態様において、特性は、物理的特性および/または細胞特性を含む。いくつかの態様において、物理的特性は、サイズ、形状、凝集パターン、および/または運動性を含む。いくつかの態様において、細胞特性は、実体(例えば、脂質、ポリペプチド、および/もしくはポリヌクレオチド)の発現パターン;分化能;増殖能;本明細書に説明されるような聴覚ニューロンに典型的に関連するシグナル伝達経路;ならびに/または、刺激に対する生理学的もしくは電気生理学的な応答など、刺激に対する応答能を含む。いくつかの態様において、特性は、(例えばニューロンなど、例えば細胞とともに)シナプスを形成する能力、および/または、信号を伝達する能力を含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、例えばヒトなどの生物の、蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/もしくは皮質脳幹核中に存在するニューロンに由来するか、またはこれから得られるニューロンである。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、蝸牛内に存在するニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節内に存在するニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、聴神経内に存在するニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、聴性脳幹核内に存在するニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、皮質脳幹核内に存在するニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、II型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、複数の聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、II型聴覚ニューロン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0155】
詳細な説明
世界人口の15%が何らかの程度の難聴を有し、5%超が障害性の聾に苦しんでいると推定されている。増幅だけでは充分でないところまで難聴が進行した場合は蝸牛インプラント術が標準ケアとなっている。蝸牛インプラント(CI)は蝸牛の損傷部分をバイパスして聴神経を直接刺激する。蝸牛インプラント術の影響は誇張されるものではなく、植え込みを受けた人の大多数が自身のデバイスから大きな恩恵を得る。しかし、成功しているとはいえ、蝸牛インプラントは自然な聴力を回復させるわけではなく、最も成功した患者らであっても、雑音中の発話理解、電話での会話、音楽など複雑な音の鑑賞には困難を有する。
【0156】
CI電極設計の基礎は1960年代に最初のインプラントが開発されて以来本質的に変わらないままであり、蝸牛の基底から蝸牛の長さに沿って挿入される、さまざまな数のリードを伴う直線アレイである。電極設計の進歩には、蝸牛の周波数特定性機構を活かした多チャネルアレイ;蝸牛管の形状を模しかつリードを螺旋神経節により近くポジショニングするための、あらかじめ湾曲した設計;および、挿入時の損傷を低減しかつ適切な蝸牛階内への留置を確実にするためのスチフネス低減が含まれる。これらの進歩があるとはいえ、電流波及および交差刺激によって、利用可能な独立チャネルの数が限定される。正常な聴力を近似するには30~50の独立チャネルが必要であると推定されているが、現在の技術で実現されるのは10未満であることが多い。
【0157】
これらの限界を補償するためにいくつかの戦略が開発されている。術前イメージングは、個々の患者に対して電極サイズをより精密に選ぶために用いられる;術後の画像ガイド下プログラミング技法は、干渉している電極の選択的な無効化について情報を与えるとともに、初期の周波数プログラミングの推定値を提供できる;そして、術中蝸牛電図法は挿入時の外傷をリアルタイムでモニターできる。電流および蝸牛内の刺激部位をより精密にガイドし、生体信号パターンを模すために、刺激およびエンコードの戦略もまた開発されている。
【0158】
蝸牛インプラント術による恩恵が受けられない患者に対して、米国内では一つだけ中枢インプラントが承認されている。聴性脳幹インプラント(ABI)は、蝸牛神経核(CN)の表面に対して置かれるように意図された電極のフラットアレイを有する。蝸牛インプラントの成功とは対照的に、世界で1000例をわずかに超えるABIがこれまで留置されたにすぎず、ほとんどの症例において性能も蝸牛インプラントに及んでいない。CNの周波数特定性の配置を活かすべく表面電極および貫入電極の両方を含むABIの修正が試みられたが、アウトカムにおける向上は達成されなかった。代替的な中枢インプラントである、単一のシャンクに沿った20個のリング電極を備える聴性中脳インプラント(AMI)は、下丘(IC)内に植え込むことが意図された。前臨床データは有望であったが、小規模の臨床試験においてアウトカム目標は達成されず、そのデバイスは研究用に留まっている。上述した障害を克服し、次世代の聴覚インプラントを送達することを意図した、新たなバイオエンジニアリングの取り組みの例もまた、本明細書に開示される。
【0159】
蝸牛に対する変更
蝸牛環境を変更し、既存の電極技術の性能を向上させるために、いくつかの方法が開発されている。これらの多くは、電極と、残存する螺旋神経節細胞との間で、ニューロンの生育を誘導し、それにより電流波及の潜在可能性を低減させることに基づいている。インビトロ研究では、螺旋神経節細胞において神経突起伸展を促進できるいくつかの因子が見いだされており、それには成長ホルモン、脳由来神経栄養因子、グリア細胞株由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、およびエリスロポイエチンが含まれる。代替的に、電極自体のコーティングの評価も行われており、それには、神経突起の伸長(outgrowth)を促進するための配向コラーゲンおよび微細テクスチャリングが含まれる。ラミニンコーティング電極、BDNF遺伝子導入、および蝸牛階内への成長因子の慢性投与は、鼓室階内への神経伸長を誘導することが示され、植え込まれた電極との直接接触を可能にする可能性がある。
【0160】
植え込み後の残存聴力を温存し、音響的および電気的聴力の両方を提供することを試みる技法は、電気のみの刺激と比較して優れたアウトカムを示している。このゆえ、遅発性難聴を予防するために蝸牛内の直後および長期の炎症反応を低減する方法に大きな関心が寄せされている。ポリマーまたはシリコーン繊維による電極のコーティングが線維芽細胞の生育を防ぐことに役立っているほか、植え込み後に蝸牛内で抗炎症薬を徐放させる複数の技法も存在する。
【0161】
再生医療技法
感音性難聴につながる蝸牛有毛細胞および螺旋神経節ニューロンの損傷は、特定のまれな条件以外は、現在のところ不可逆的である。蝸牛インプラントについて上述した問題は、蝸牛の自然な機能を回復できることによって回避できる可能性がある。蝸牛内の有毛細胞および聴覚ニューロンの温存または再生について、ならびに、難聴の特定の遺伝形式について、遺伝子治療が提唱されている。これらの技法は、追加的な損傷を引き起こさずに治療用薬剤を内耳内に導入できることを要し、この制約に対処するためにいくつかのナノテクノロジー技法が開発されている。誘導多能性幹細胞を含む、幹細胞に基づく療法もまた、有毛細胞および聴神経細胞の両方の再生について有望であると示されている。そうした再生医療戦略をサポートするための足場として作用するための脱細胞化した蝸牛が研究されている。
【0162】
光刺激
光刺激は、電流波及に伴う問題を回避できる可能性があり、かつ複雑な音をシミュレートするために必要な周波数と強度との分解能を有するので、従来の電気刺激に対する代替として提唱されている。ウイルスに基づく螺旋神経節細胞の光遺伝学的形質転換、および線形の多チャネルマイクロLEDアレイは、動物モデルにおいて聴覚系を刺激できることが示されている。そうした技術を臨床設定に適用できるまでには、克服すべきいくつかの重要な技術的課題がある。
【0163】
圧電
圧電材料は電気エネルギーと機械エネルギーとの間を変換する能力を有し、これは聴覚用途に自然につながる特質である。圧電材料は、薄膜、エレクトロスピニング繊維、およびナノ粒子として聴覚用途向けに研究されている。圧電材料はまた、完全インプラント可能な聴力システムを開発する鍵としても提唱されている。光遺伝学技術と同様に、次世代聴覚インプラントの基礎を形成するための圧電材料の潜在可能性は大きいが、克服すべき大きな技術的ハードルが残っている。
【0164】
したがって、上述した障害を克服できる聴覚インプラントを開発するという満たされていないニーズが存在する。
【0165】
近年、脳経路の再建および中枢神経系の再生に対する、移植可能なマイクロ組織工学ニューラルネットワーク(micro-tissue engineered neural network)(マイクロTENN)の開発において、大きな進歩がある。いくつかの態様において、マイクロTENNは、例えば少なくとも1つの生きた電極などを含む、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含むシステムとも呼ばれる。いくつかの態様において、本明細書に開示される構築物は、例えばカスタム化可能な柔らかいヒドロゲル足場などの生体適合性構築物内にニューロン集団を播種することによってインビトロで生成され、そのニューロン表現型は関心対象の用途に合わせて適合可能である。いくつかの態様において、これらの足場内に含有されるニューロンは、あらかじめ形成されたチャネルに沿って神経突起を伸展させ、一方で細胞体は規定の位置に留まる。いくつかの態様において、マイクロTENN内の、移植された各ニューロンの軸索は、例えば標的組織内の1つまたは複数のニューロンの細胞体上などに直接的にシナプス形成し、それにより電流波及の潜在可能性をなくす。いくつかの態様において、本構築物は、軸索が関心対象位置に向けられ、一方で細胞体はアクセス可能なままとなるように、置かれてもよい。移植されたニューロンを刺激するために使用される従来の電極またはオプトロードを含む、ニューラルインターフェースの非有機コンポーネントは、脳実質または蝸牛の外部に留まる。この技法は植え込み時にもたらす外傷が非常に少なく、かつ、従来の電極の生体力学的ミスマッチに由来する慢性炎症を引き起こす可能性が低い。いくつかの態様において、マイクロTENNのこの構成は、軸索がネイティブなニューロンと相互作用するシナプス特異的な刺激と組み合わせて、ニューロン組織を刺激または記録するための、アクセス可能なインターフェースを作り出す――いくつかの態様において「生きた電極」(LE)とも呼ぶ。いくつかの態様において、本構築物において利用されるニューロンは、上述した光刺激の恩恵を利用するために光遺伝学的に機能付与されてもよい。
【0166】
本開示は、例えば聴覚ニューロンを調節するため、および/または聴覚障害を治療もしくは予防するなどのために、対象内に植え込むことができる、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含む(例えば少なくとも1つの生きた電極を含む)システムを、初めて提供する。いくつかの態様において、聴覚系への適用は、既存のソリューションに対していくつかの潜在的利点を有する。いくつかの態様において、例えば足場などのマトリックスを含む生体適合性構築物は、ICまたはCNの複雑な3D解剖学的構造を伴って設計されてもよい。ICおよびCNは両方とも基本的な周波数特定性の構造を有するが、発話などの複雑な音はこの単純化モデルに従わない可能性がある。いくつかの態様において、これらの複雑な音を再現するには、神経核の体積全体にわたる精密なシミュレーションが必要となる可能性が高い。いくつかの態様において、例えば生きた電極など、本明細書に開示されるシステムの生体適合性は、慢性炎症の問題を回避しながら、聴覚神経核のより大きな体積をアクセス可能にする可能性がある。いくつかの態様において、蝸牛の用途について、軸索を、蝸牛の長さに沿って延在させて、確立された植え込み技法を利用できるように、長さ数センチメートルに成長させることが可能であることが先行研究で示されている。いくつかの態様において、植え込まれたニューロンの細胞体は乳様突起内に留まってもよく、そこで例えば光学的または電気的のいずれかで刺激されるなどし、一方で、その軸索は蝸牛の長さに沿ったさまざまな深さで終端するようにポジショニングされる。いくつかの態様において、例えば生きた電極の構築物など、本明細書に開示されるシステムは、螺旋神経節のニューロン集団と生理学的に相互作用してもよい。いくつかの態様において、そうしたインビボの相互作用は、上述したネイティブなSGNの伸長戦略による恩恵を受ける。いくつかの態様において、刺激の特異性は、例えば標準的な電極技術を利用した選択肢より優れるなどの潜在可能性を有する。
【0167】
聴覚インプラントは、ヒトの感覚を回復させるための、広く利用可能な唯一の方法である。最初の単チャネル蝸牛インプラントが信頼できる聴性感覚を提供することが示されて以来、数十年間で著しい進歩がなされ、そしてそれらは概して、蝸牛の自然な構造と機能とから着想されて、解剖学的および生理学的によりフレンドリーな設計に進んできた。しかし今日まで、これらの設計は、従来の電極技術の限界内に制約されたままである。結果は、難聴に苦しむ数十万人の患者を勇気づけるものではあるが、アウトカムを自然な聴力に近づくものに進歩させるには、補綴物インターフェースの根本的な再考が必要になるであろう。電極特質、薬剤溶出、表面コーティング、および蝸牛の適応などを含む、従来の電極技術を最適化するための方法が進歩を続けている一方で、光遺伝学、圧電材料、ナノテクノロジー、および生きた電極などを含む、複数の追加的な研究ラインが、聴力を回復するためのまったく新規の方法の基礎を形成するのに有望である可能性がある。したがって本開示は、例えば聴覚ニューロンを調節するため、および/または聴覚障害を治療もしくは予防するなどのために、対象内に植え込むことができる、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含む(例えば少なくとも1つの生きた電極を含む)システムを、とりわけ提供する。
【0168】
生体適合性構築物と聴覚ニューロンとを含むシステム
本明細書において、とりわけ、マトリックスを含む生体適合性構築物と、複数の聴覚ニューロンとを含むシステム(例えば生きた電極)が開示される。本明細書に開示されるシステムは、インビトロまたはエクスビボで、例えば組み立てられるなど製造されうる。本明細書に開示されるシステムは、対象内に植え込むことができ、かつ対象内の聴覚ニューロンを調節するために使用できる。いくつかの態様において、本明細書に開示されるシステムは、少なくとも1つの生きた電極であるかまたはこれを含む。
【0169】
生体適合性構築物
本明細書に開示される生体適合性構築物は、例えば本明細書に開示されるようなマトリックスを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物は、第一端部と、第二端部と、ボディとを含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスは、内面および/または外面を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物の内面は管腔コアを規定する。
【0170】
いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスは足場を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスは、例えば、本明細書に説明されるような内面のコンポーネント、および/または本明細書に説明されるような外面のコンポーネントなど、本明細書に説明されるコンポーネントを含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のマトリックスは、例えば本明細書に開示されるような、1つまたは複数の追加的なコンポーネントを含む。
【0171】
一例として、本明細書に開示される生体適合性構築物の外面は、(例えば本明細書に説明されるような)少なくとも1つのヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、親水性バイオポリマーおよび/または合成ポリマーを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは少なくとも部分的に架橋され、ここで架橋は、任意で、スチフネスを増大させ、多孔度を低減させ、かつ/または劣化時間を増大させる。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーは、アガロース、ヒドロゲル、ヒアルロナン、キトサン、アルギン酸塩、コラーゲン、デキストラン、ペクチン、カラゲーナン、ポリリジン、ゼラチン、ヒアルロン酸、フィブリン、およびメチルセルロースのうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアガロースを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはキトサンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアルギン酸塩を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはデキストランを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはペクチンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはカラゲーナンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはポリリジンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはゼラチンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはヒアルロン酸を含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはフィブリンを含む。いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはメチルセルロースを含む。
【0172】
いくつかの態様において、親水性バイオポリマーはアガロースを含む。いくつかの態様において、アガロースは約0.25~30%、約0.25%~3%、約0.5%~3%、約1~20%、約1.5~10%、約2~9%、約2.5~8%、または約3~7%である。いくつかの態様において、アガロースは約0.25~29%、約0.25~28%、0.25~%、約0.25~27%、約0.25~26%、約0.25~25%、約0.25~24%、約0.25~23%、約0.25~22%、約0.25~21%、約0.25~20%、約0.25~19%、約0.25~18%、約0.25~17%、約0.25~16%、約0.25~15%、約0.25~14%、約0.25~13%、約0.25~12%、約0.25~11%、約0.25~10%、約0.25~9%、約0.25~8%、約0.25~7%、約0.25~6%、約0.25~5%、約0.25~4%、約0.25~3%、約0.25~2%、約0.25~1%、約0.25~0.5%、約0.5~30%、約1~30%、約2~30%、約3~30%、約4~30%、約5~30%、約6~30%、約7~30%、約8~30%、約9~30%、約10~30%、約11~30%、約12~30%、約13~30%、約14~30%、約15~30%、約16~30%、約17~30%、約18~30%、約19~30%、約20~30%、約21~30%、約22~30%、約23~30%、約24~30%、約25~30%、約26~30%、約27~30%、約28~30%、約29~30%である。
【0173】
いくつかの態様において、アガロースは約0.25%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%である。いくつかの態様において、アガロースは約3%である。
【0174】
いくつかの態様において、親水性バイオポリマーは、少なくとも1つの合成ヒドロゲル(例えばプルロニックヒドロゲル)、または、エチレンオキシド(PEO)およびポリプロピレンオキシド(PPO)の単位からなる両親媒性コポリマーで作られた少なくとも1つの合成ヒドロゲルを含む。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2~50% w/v、約3~40% w/v、約4~30% w/v、約5~25% w/v、または約10~20% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2~45%、約2~40%、約2~35%、約2~30%、約2~29%、約2~28%、約2~27%、約2~26%、約2~25%、約2~24%、約2~23%、約2~22%、約2~21%、約2~20%、約2~19%、約2~18%、約2~17%、約2~16%、約2~15%、約2~14%、約2~13%、約2~12%、約2~11%、約2~10%、約2~9%、約2~8%、約2~7%、約2~6%、約2~5%、約2~4%、約2~3%、約3~50%、約4~50%、約5~50%、約6~50%、約7~50%、約8~50%、約9~50%、約10~50%、約11~50%、約12~50%、約13~50%、約14~50%、約15~50%、約16~50%、約17~50%、約18~50%、約19~50%、約20~50%、約21~50%、約22~50%、約23~50%、約24~50%、約25~50%、約26~50%、約27~50%、約28~50%、約29~50%、約30~50%、約35~50%、約40~50%、約45~50% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約40%、約45%、約50% w/vである。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約28.1%、約28.2%、約28.3%、約28.4%、約28.5%、約28.6%、約28.7%、約28.8%、約28.9%、約30%である。いくつかの態様において、ヒドロゲルは約28.6% w/vである。
【0175】
いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物の内面は、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)コンポーネントを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントは、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはラミニンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはフィブロネクチンを含む。いくつかの態様において、ECMコンポーネントはヒアルロン酸を含む。
【0176】
いくつかの態様において、ECMコンポーネントはコラーゲンを含む。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1~9 mg/ml、約0.1~8 mg/ml、約0.1~7 mg/ml、約0.1~6 mg/ml、約0.1~5 mg/ml、約0.1~4 mg/ml、約0.1~3 mg/ml、約0.1~2 mg/ml、約0.1~1 mg/ml、約0.1~0.9 mg/ml、約0.1~0.8 mg/ml、約0.1~0.7 mg/ml、約0.1~0.5 mg/ml、約0.5~10 mg/ml、約0.6~10 mg/ml、約0.7~10 mg/ml、約0.8~10 mg/ml、約0.9~10 mg/ml、約1~10 mg/ml、約2~10 mg/ml、約3~10 mg/ml、約4~10 mg/ml、約5~10 mg/ml、約6~10 mg/ml、約7~10 mg/ml、約8~10 mg/ml、約9~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約0.1 mg/ml、約0.2 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.9 mg/ml、約1 mg/ml、約1.1 mg/ml、約1.2 mg/ml、約1.3 mg/ml、約1.4 mg/ml、約1.5 mg/ml、約1.6 mg/ml、約1.7 mg/ml、約1.8 mg/ml、約1.9 mg/ml、約2 mg/ml、約3 mg/ml、約4 mg/ml、約5 mg/ml、約6 mg/ml、約7 mg/ml、約8 mg/ml、約9 mg/ml、約10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、コラーゲンは約1 mg/mlの濃度である。
【0177】
いくつかの態様において、ECMコンポーネントはラミニンを含む。いくつかの態様において、ラミニンは約0.1~9 mg/ml、約0.1~8 mg/ml、約0.1~7 mg/ml、約0.1~6 mg/ml、約0.1~5 mg/ml、約0.1~4 mg/ml、約0.1~3 mg/ml、約0.1~2 mg/ml、約0.1~1 mg/ml、約0.1~0.9 mg/ml、約0.1~0.8 mg/ml、約0.1~0.7 mg/ml、約0.1~0.5 mg/ml、約0.5~10 mg/ml、約0.6~10 mg/ml、約0.7~10 mg/ml、約0.8~10 mg/ml、約0.9~10 mg/ml、約1~10 mg/ml、約2~10 mg/ml、約3~10 mg/ml、約4~10 mg/ml、約5~10 mg/ml、約6~10 mg/ml、約7~10 mg/ml、約8~10 mg/ml、約9~10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、ラミニンは約0.1 mg/ml、約0.2 mg/ml、約0.3 mg/ml、約0.4 mg/ml、約0.5 mg/ml、約0.6 mg/ml、約0.7 mg/ml、約0.8 mg/ml、約0.9 mg/ml、約1 mg/ml、約1.1 mg/ml、約1.2 mg/ml、約1.3 mg/ml、約1.4 mg/ml、約1.5 mg/ml、約1.6 mg/ml、約1.7 mg/ml、約1.8 mg/ml、約1.9 mg/ml、約2 mg/ml、約3 mg/ml、約4 mg/ml、約5 mg/ml、約6 mg/ml、約7 mg/ml、約8 mg/ml、約9 mg/ml、約10 mg/mlの濃度である。いくつかの態様において、ラミニンは約1 mg/mlの濃度である。
【0178】
生体適合性構築物の物理的特性
本明細書に開示される生体適合性構築物は、本明細書に説明される1つもしくは複数の特性を有してもよく、かつ/または、本明細書に開示されるシステム(例えば生きた電極)の一部であってもよい。いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物は管状の構築物である。いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物は螺旋状またはY字状である。いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物は非線形形状を有する。
【0179】
螺旋状またはY字状である生体適合性構築物は約240~900度の湾曲を有してもよい。いくつかの態様において、生体適合性構築物の湾曲は約240~850度、約240~800度、約240~750度、約240~700度、約240~650度、約240~600度、約240~550度、約240~500度、約240~450度、約240~400度、約240~350度、約240~300度、約240~290度、約240~280度、約240~270度、約240~260度、約240~250度、約250~900度、約260~900度、約270~900度、約280~900度、約290~900度、約300~900度、約350~900度、約400~900度、約450~900度、約500~900度、約550~900度、約600~900度、約650~900度、約700~900度、約750~900度、約800~900度、約850~900度である。いくつかの態様において、生体適合性構築物の湾曲は約240度、約250度、約260度、約270度、約280度、約290度、約300度、約350度、約400度、約450度、約500度、約550度、約600度、約650度、約700度、約750度、約800度、約850度、または約900度である。
【0180】
いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物を含むシステムは約0.1~40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1~35 mm、約0.1~30 mm、約0.1~25 mm、約0.1~20 mm、約0.1~15 mm、約0.1~12 mm、約0.1~11 mm、約0.1~10 mm、約0.1~9 mm、約0.1~8 mm、約0.1~7 mm、約0.1~6.5 mm、約0.1~6 mm、約0.1~5 mm、約0.1~4 mm、約0.1~3 mm、約0.1~2 mm、約0.1~1 mm、約0.1~0.5 mm、約0.2~40 mm、約0.3~40 mm、約0.4~40 mm、約0.5~40 mm、約1~40 mm、約2~40 mm、約3~40 mm、約4~40 mm、約5~40 mm、約6~40 mm、約7~40 mm、約8~40 mm、約9~40 mm、約10~40 mm、約11~40 mm、約12~40 mm、約15~40 mm、約20~40 mm、約25~40 mm、約30~40 mm、または約35~40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1 mm、約0.5 mm、約1 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約6.5 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mm、約11 mm、約12 mm、約13 mm、約14 mm、約15 mm、約20 mm、約25 mm、約30 mm、約35 mm、または約40 mmの外径を有する。いくつかの態様において、システムは約1.5 mmの外径を有する。
【0181】
いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物を含むシステムは約0.5~70 mm、約0.5~60 mm、約0.5~50 mm、約0.4~50 mm、約0.5~30 mm、約0.5~20 mm、約0.5~10 mm、約1~70 mm、約2~70 mm、約3~70 mm、約4~70 mm、約5~70 mm、約6~70 mm、約7~70 mm、約8~70 mm、約9~70 mm、約10~70 mm、約20~70 mm、約30~70 mm、約40~70 mm、約50~70 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.1~10 mm、約0.2~9 mm、約0.3~8 mm、約0.4~7 mm、約0.5~6.5 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約0.5 mm、約1 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約6.5 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mm、約20 mm、約30 mm、約40 mm、約50 mm、約60 mm、約70 mmの直径を有する。いくつかの態様において、システムは約7 mmの直径を有する。
【0182】
いくつかの態様において、本明細書に開示される生体適合性構築物を含むシステムは約0.1~10 mm、約0.1~8 mm、約0.1~6 mm、約0.1~4 mm、約0.1~3 mm、約0.1~2 mm、約0.1~1.5 mm、約0.1~1 mm、約0.5~10 mm、約0.6~10 mm、約0.7~10 mm、約0.8~10 mm、約0.9~10 mm、約1~10 mm、約2~10 mm、約4~10 mm、約6~10 mm、約8~10 mmのピッチを有する。いくつかの態様において、システムは約0.1 mm、約0.2 mm、約0.3 mm、約0.4 mm、約0.5 mm、約0.6 mm、約0.7 mm、約0.8 mm、約0.9 mm、約1 mm、約1.1 mm、約1.2 mm、約1.3 mm、約1.4 mm、約1.5 mm、約1.6 mm、約1.7 mm、約1.8 mm、約1.9 mm、約2 mm、約3 mm、約4 mm、約5 mm、約6 mm、約7 mm、約8 mm、約9 mm、約10 mmのピッチを有する。いくつかの態様において、システムは約1 mmのピッチを有する。
【0183】
聴覚ニューロン
聴覚ニューロンは蝸牛から皮質に情報を伝える。例示的な聴覚ニューロンには、螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、またはII型聴覚ニューロンが含まれる。
【0184】
聴覚障害の治療に、および/または難聴がある対象における聴力回復に使用するための、本明細書に開示されるシステムは、(例えば本明細書に説明されるような)生体適合性構築物と、複数の聴覚ニューロンとを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、またはII型聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、複数の螺旋神経節ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、複数のIC聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、複数の皮質聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、複数のI型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、複数のII型聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。
【0185】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、例えば本明細書に説明されるような、約50~5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、約50~4500、約50~4000、約50~3500、約50~3000、約50~2500、約50~2000、約50~1500、約50~1000、約50~900、約50~800、約50~700、約50~600、約50~550、約50~500、約50~450、約50~400、約50~300、約50~200、約50~100、約100~5000、約200~5000、約300~5000、約400~5000、約500~5000、約1000~5000、約2000~5000、約3000~5000、または約4000~5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、少なくとも50個の聴覚ニューロン、少なくとも100個の聴覚ニューロン、少なくとも200個の聴覚ニューロン、少なくとも300個の聴覚ニューロン、少なくとも400個の聴覚ニューロン、少なくとも450個の聴覚ニューロン、少なくとも500個の聴覚ニューロン、少なくとも550個の聴覚ニューロン、少なくとも600個の聴覚ニューロン、少なくとも700個の聴覚ニューロン、少なくとも800個の聴覚ニューロン、少なくとも900個の聴覚ニューロン、少なくとも1000個の聴覚ニューロン、少なくとも2000個の聴覚ニューロン、少なくとも3000個の聴覚ニューロン、少なくとも4000個、または少なくとも5000個の聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、少なくとも500個の聴覚ニューロンを含む。
【0186】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つは生体適合性構築物と接触している。
【0187】
いくつかの態様において、前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体および/または軸索を含む。いくつかの態様において、前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体を含む。いくつかの態様において、前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは軸索を含む。いくつかの態様において、前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンは細胞体および軸索を含む。
【0188】
いくつかの態様において、軸索は、長さ約0.5~50 cm、約0.5~49 cm、約0.5~48 cm、約0.5~47 cm、約0.5~46 cm、約0.5~45 cm、約0.5~44 cm、約0.5~43 cm、約0.5~42 cm、約0.5~41 cm、約0.5~40 cm、約0.5~39 cm、約0.5~38 cm、約0.5~37 cm、約0.5~36 cm、約0.5~35 cm、約0.5~34 cm、約0.5~33 cm、約0.5~32 cm、約0.5~31 cm、約0.5~30 cm、約0.5~29 cm、約0.5~28 cm、約0.5~27 cm、約0.5~26 cm、約0.5~25 cm、約0.5~24 cm、約0.5~23 cm、約0.5~22 cm、約0.5~21 cm、約0.5~20 cm、約0.5~19 cm、約0.5~18 cm、約0.5~17 cm、約0.5~16 cm、約0.5~15 cm、約0.5~14 cm、約0.5~13 cm、約0.5~12 cm、約0.5~11 cm、約0.5~10 cm、約0.5~9 cm、約0.5~8 cm、約0.5~7 cm、約0.5~6 cm、約0.5~5 cm、約0.5~4 cm、約0.5~3 cm、約0.5~2 cm、約0.5~1、約0.6~50 cm、約0.7~50 cm、約0.8~50 cm、約0.9~50 cm、約1~50 cm、約2~50 cm、約3~50 cm、約4~50 cm、約5~50 cm、約6~50 cm、約7~50 cm、約8~50 cm、約9~50 cm、約10~50 cm、約11~50 cm、約12~50 cm、約13~50 cm、約14~50 cm、約15~50 cm、約16~50 cm、約17~50 cm、約18~50 cm、約19~50 cm、約20~50 cm、約21~50 cm、約22~50 cm、約23~50 cm、約24~50 cm、約25~50 cm、約26~50 cm、約27~50 cm、約28~50 cm、約29~50 cm、約30~50 cm、約31~50 cm、約32~50 cm、約33~50 cm、約34~50 cm、約35~50 cm、約36~50 cm、約37~50 cm、約38~50 cm、約39~50 cm、約40~50 cm、約41~50 cm、約42~50 cm、約43~50 cm、約44~50 cm、約45~50 cm、約46~50 cm、約47~50 cm、約48~50 cm、または約49~50 cmである。
【0189】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの一部分は、(i)生体適合性構築物の第一端部に;(ii)生体適合性構築物の第二端部に;(iii)生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に;かつ/または、(iv)生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に;ポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物の第一端部にポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物の第二端部にポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に、ポジショニングされる。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に、ポジショニングされる。
【0190】
いくつかの態様において、生体適合性構築物の第一端部または第二端部にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、細胞体を含む。
【0191】
いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、軸索を含む。いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディは、ボディの内面を含む。いくつかの態様において、内面は管腔コアを含む。
【0192】
いくつかの態様において、生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分は、軸索を含む。いくつかの態様において、軸索は一方向性または二方向性に延在する。いくつかの態様において、軸索は一方向性に延在する。いくつかの態様において、軸索は二方向性に延在する。
【0193】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分は、聴覚ニューロンの凝集物を含む。
【0194】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは対象から単離される。
【0195】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは、幹細胞に由来する少なくとも1つの細胞であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)、胎生幹細胞、または組織幹細胞のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、幹細胞はiPSCを含む。いくつかの態様において、幹細胞は胎生幹細胞を含む。いくつかの態様において、幹細胞は組織幹細胞を含む。
【0196】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは対象にとって自家性、同種性、または異種性である。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは対象にとって自家性である。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは対象にとって同種性である。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンは対象にとって異種性である。
【0197】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンは、遺伝子工学操作されるかまたは非遺伝的技法を用いて再プログラミングされる。いくつかの態様において、前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは、センサー、アクチュエーター、受容器、および/またはレポーターを含む。
【0198】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはレポーターを含む。いくつかの態様において、レポーターは蛍光レポーターを含む。
【0199】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは受容器を含む。いくつかの態様において、受容器は、磁気受容器、電磁受容器、電気受容器、水受容器、機械受容器、浸透圧受容器、温度受容器、および圧電イオンチャネルのうち、1つまたは複数を含む。
【0200】
いくつかの態様において、電磁受容器は、赤外線受容器、光受容器、または紫外線受容器のうち、1つまたは複数を含む。
【0201】
いくつかの態様において、機械受容器は、機械感覚受容器または固有受容器のうち、1つまたは両方を含む。
【0202】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはセンサーを含む。いくつかの態様において、センサーは、光感受性イオンチャネル、カルシウムセンサー、および膜電圧センサーのうち、1つまたは複数を含む光学センサーを含む。
【0203】
いくつかの態様において、センサーは、Aequorin、Cameleon、およびGCaMPのうち、1つまたは複数を含むカルシウムセンサーを含む。
【0204】
いくつかの態様において、センサーは、Clomeleonを含む塩化物センサーを含む。
【0205】
いくつかの態様において、センサーは、Mermaidを含む膜電圧センサーを含む。
【0206】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンはアクチュエーターを含む。いくつかの態様において、アクチュエーターは、チャネルロドプシン、ハロロドプシン、およびアーキロドプシンのうち、1つまたは複数を含む光学アクチュエーターを含む。
【0207】
いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンは光学センサーを含み、かつ/または、光学アクチュエーターは光遺伝学的ニューロンである。
【0208】
本明細書に開示されるシステムを使用する方法
本明細書に開示されるような生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含むシステムは、対象内の聴覚ニューロンを調節するため、聴覚障害を有する対象を治療するため、対象における難聴の症状を改善するため、または対象における聴力を回復させるために使用できる。いくつかの態様において、対象は聴覚障害を有すると決定されている。いくつかの態様において、対象は聴覚障害の特性である症状を有する。いくつかの態様において、対象は聴覚障害をきたすリスクがある。いくつかの態様において、対象は聴覚障害を有する。
【0209】
いくつかの態様において、聴覚障害は、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、聴覚障害は、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む。
【0210】
いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0211】
いくつかの態様において、本明細書に説明される方法は、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物を形成する段階をさらに含む。いくつかの態様において、前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物は、前記複数の聴覚ニューロンを生体適合性構築物と接触させる段階より前に形成される。
【0212】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、方法は、本明細書に開示されるシステムを対象内に植え込む段階を含む。いくつかの態様において、システムは、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;または、対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる。いくつかの態様において、システムは、対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、システムは、対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に植え込まれる。いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、対象内の少なくとも1つの細胞に接触する、または対象内の聴覚皮質のエリアか、その付近か、もしくはその中の、少なくとも1つの細胞に接触する。いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つの細胞は内因性細胞である。いくつかの態様において、少なくとも1つの細胞は、例えば本明細書に説明されるような、聴覚ニューロンを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロンまたはICニューロンのうち、1つまたは複数を含む。
【0213】
いくつかの態様において、システムを対象内の少なくとも1つの細胞と接触させる段階は、システムの前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つのニューロンと、対象内の少なくとも1つの細胞との間に、シナプスを作り出すように決定される。いくつかの態様において、シナプスは、ニューロンのシナプスであるかまたはこれを含む。
【0214】
いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動、および/または対象内の少なくとも1つの細胞の少なくとも1つの活動を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、対象内の少なくとも1つの細胞の少なくとも1つの活動を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。いくつかの態様において、植え込まれたシステムは、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動、および対象内の少なくとも1つの細胞の少なくとも1つの活動を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する。
【0215】
本明細書に開示されるシステムを使用する方法は、少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節および/またはアセスメントする段階を含む。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動、および/もしくは対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を、調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。いくつかの態様において、システムは、システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動、および対象内の少なくとも1つのニューロンの少なくとも1つの活動を調節できる、または調節のために使用できる。
【0216】
いくつかの態様において、調節する段階は、一方向性もしくは二方向性の調節であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、調節する段階は、一方向性の調節であるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、調節する段階は、二方向性の調節であるかまたはこれを含む。
【0217】
いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/または対象内の少なくとも1つのニューロンを、刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンを刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、対象内の少なくとも1つのニューロンを刺激または抑制する段階を含む。いくつかの態様において、調節する段階は、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および対象内の少なくとも1つのニューロンを、刺激または抑制する段階を含む。
【0218】
いくつかの態様において、刺激する段階は、電気刺激;光刺激;音波もしくは振動刺激;磁気刺激;またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、刺激する段階は電気刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は光刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は音波もしくは振動刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は磁気刺激を含む。いくつかの態様において、刺激する段階は電気刺激および光刺激を含む。
【0219】
いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターおよび/または記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターする段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、記録する段階を含む。いくつかの態様において、アセスメントする段階は、モニターする段階および記録する段階を含む。
【0220】
いくつかの態様において、対象内の少なくとも1つのニューロンは、聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む。いくつかの態様において、聴覚ニューロンは、螺旋神経節ニューロン、ICニューロン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0221】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、システムは、対象内の聴覚路を刺激または抑制できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の聴覚路を刺激できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の聴覚路を抑制できる。
【0222】
本明細書に開示されるいずれかの方法のいくつかの態様において、システムは、対象内の末梢聴覚路を刺激または抑制できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の末梢聴覚路を刺激できる。いくつかの態様において、システムは、対象内の末梢聴覚路を抑制できる。
【実施例】
【0223】
以下の実験的な実施例を参照することによって本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は例証のみを目的として提供されるのであり、そのように指定されるのでない限り限定的な意図はない。ゆえに、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものとして解釈されるべきではなく、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるすべてのバリエーションを包含するものとして解釈されるべきである。
【0224】
さらなる説明を伴うことなく、当業者は、前述の説明と以下の例証的な実施例とを用いて、本発明の構成要素を利用しそして特許請求される方法を実際に行うことができると考えられる。したがって、以下の実際例は、本発明の好ましい態様を具体的に指摘するのであり、本開示の残りの部分をいかなる形でも限定するものとして解釈されるべきでない。
【0225】
実施例1:研究計画
背景および重要性
世界人口の15%が何らかの程度の難聴を有し、5%超が障害性の聾に苦しんでいると推定されている。さらに、難聴が社会的隔離につながるというエビデンスが増えており、認知症および認知力低下と相関付けられている。成人難聴の最も多い原因には加齢、騒音曝露、聴器毒性、および内耳の疾患が含まれ、後天性の難聴は蝸牛有毛細胞の劣化および喪失と関連することが多い。難聴による障害は退役軍人母集団に特に多く、それは著しい騒音曝露が難聴をもたらしたことによるものであり、軍務関連の障害で最も頻度が高いのは耳鳴である。多くの場合、軽度~中等度の難聴は従来型の補聴器で充分に社会復帰可能となる。しかし、難聴が重度になった場合、または発話の弁別能が損なわれた場合は、もはや補聴器では充分でない。蝸牛インプラント術は、ヒトの感覚を回復できる唯一の技術であり、著明な聾がある患者に対する標準ケアとなっている。世界では200,000名を超える患者がインプラント術を受けており、米国だけでも60,000名を超える。蝸牛インプラントは作動中に耳鳴抑制を提供できるというエビデンスもある。蝸牛インプラント術は近年、一側性聾の患者についてFDAにより承認され、この母集団における主な治療利益の1つは耳鳴抑制である。重度難聴がある多くの人を勇気づけるものではあるが、蝸牛神経または蝸牛自体のいずれかの損傷のために蝸牛インプラントの恩恵を得られない患者群も存在する。これら患者にとって聴覚認知に対する唯一の選択肢は、聴性脳幹インプラントを通じた中枢聴覚路の直接刺激である。
【0226】
蝸牛インプラント: 蝸牛インプラントは、電気インパルスを使用して、蝸牛の損傷部分をバイパスして聴神経を直接刺激する。外科的手法およびコーディング戦略の進歩により、植え込みを受けた人の大多数が自身のデバイスから大きな恩恵を得られるようになった。これらの向上は、アウトカム測定に用いられる尺度の多くが患者の成績の全体像を捉えきれないほどに顕著であり、インプラントが有しうる影響をより良好に定義するために生活の質のアウトカムが強調されることが増えている。ほとんどの蝸牛インプラントユーザーは生活の質の著明な向上を報告しており、小児および高齢者を含む特定の部分母集団でも明確な向上が示されている。興味深いことに、生活の質の尺度は、発話理解スコアなど従来のアウトカム尺度と緩やかな相関があるにすぎないことが見いだされており、それは、成功の従来の尺度を超える影響を示している。しかし、成功しているとはいえ、蝸牛インプラントは自然な聴力を回復させるわけではない。最も成功した患者らであっても、雑音中の発話理解、電話での会話、音楽など複雑な音の鑑賞には困難を有する。電極設計の進歩はあるものの、1960年代に最初のインプラントが開発されて以来、基本原理は本質的に変わらないままであり、正円窓またはその付近の蝸牛の基底から蝸牛の長さに沿って挿入される、さまざまな数のリードを伴う直線電極アレイである。
【0227】
現在利用可能である、米国において標準的な電極設計には、12リード(MED-EL)、16リード(Advanced Bionics)、および22リード(Cochlear Ltd)がある。理論上、チャネル数が多いほど刺激特異性の増大および性能の向上につながる。実際には、電極間の電流波及および交差刺激が追加チャネルの恩恵を限定する。現代のすべての設計は電極と聴神経との間に空間を残している。このことは、電解質に富んだ周囲の流体に電流が波及することを可能にし、ゆえに、所与の時刻に独立して活性化できる電極数を低減させる。この問題と、電極留置の非一貫性とが相まって、画像ガイド下プログラミング技法の開発が必須となってきた;同技法では、互いに干渉する可能性が高い電極を選択的に不活性化し、それによってクロストークを低減させるが、聴覚情報を伝えるために利用できるチャネル数もまた限定してしまう。正常な聴力を近似するには約30~50の独立チャネルが必要であると推定されているが、現在の技術で実現されるのは10未満であることが多い。刺激用に利用できる独立チャネルの数を増やすことは、雑音中の発話理解および音楽鑑賞など、より大きな課題となる聴取状況のために必要となる。電極をあらかじめ曲げることによってリードと螺旋神経節細胞との間の距離を低減させる試みがなされているが、臨床成績に有意な上昇はなく、そして、あらかじめ曲げた電極は、側壁電極より、挿入時に蝸牛の繊細な構造に損傷を引き起こしやすい。電流波及の潜在可能性を低減させるために試されている別の方法は、電極と、残存している螺旋神経節細胞との間で、ニューロンの生育を誘導することである。インビトロ研究では、培養した螺旋神経節細胞において神経突起伸展を促進できるいくつかの因子が見いだされており、それには成長ホルモン、脳由来神経栄養因子、グリア細胞株由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、およびエリスロポイエチンが含まれる。加えて、電極自体のコーティングの評価も行われており、それには、他にもあるが特に、線維芽細胞の生育を防ぐためのポリマーまたはシリコーン繊維、ならびに、神経突起の伸長を促進するための配向コラーゲン(38)および微細テクスチャリングが含まれる。具体的には、ラミニンコーティング電極は「骨らせん板を通り鼓室階に入る神経突起の伸展」を促進することが見いだされており、BDNF遺伝子導入は「骨らせん板における線維トラック全体にわたる[SGN]線維の再生、ならびに鼓室階および中央階の両階内への異所性分枝」を誘導できる可能性があり、そして蝸牛階内への成長因子の慢性投与は「蝸牛軸壁にて貫通小管(canaliculi perforantes)を通り鼓室階内まで貫通さえする[ように]線維を誘導」した。光刺激もまた電流波及を回避するための代替法として提唱されており、聴覚刺激のための時間特性およびダイナミックレンジ特性がより優れていることが示されているが、蝸牛内のネイティブな細胞への光感受性の誘導と、光源の導入とが、重大な技術的課題であることがわかっている。これらの方法は、研究室内では有望であるものの、いずれも臨床適用性に達していない。現在の蝸牛インプラントの電極設計を通じて実現可能な聴力の忠実度において、限界に達していると見られ、自然な聴力を近似できる聴覚経験を提供するには、電極技術における根本的な進歩が必要とされる。
【0228】
中枢インプラント: 蝸牛インプラント術による恩恵が受けられない患者に対して、米国内では現在、一つだけ中枢インプラントが承認されている。このデバイスは、12歳を過ぎた神経線維腫症II型(NFII)の患者に対してFDA認可されているが、手術もしくは外傷により蝸牛神経が切断もしくは損傷した患者、瘢痕もしくは骨化により蝸牛がアクセス不能である患者、または頭蓋底腫瘍への外科的アクセスのために蝸牛が除去された患者など、解剖学的理由により蝸牛インプラント術を受けられない患者も恩恵を受ける潜在可能性がある。
【0229】
聴性脳幹インプラント(ABI)は蝸牛インプラントのプラットフォームをベースとしているが、蝸牛内への挿入が意図されている直線アレイの代わりに、蝸牛神経核(CN)の二次ニューロンを刺激することが意図された、脳幹の表面に対して置かれる電極フラットアレイが存在する。数十万名の患者に植え込まれている蝸牛インプラントとは対照的に、世界で1000例をわずかに超えるABIがこれまで留置されたにすぎない。オープンセットスピーチ(open set speech)(視覚的な手がかりなしでの発話理解)に達した患者が少数いるが、大多数の患者はサウンドアウェアネス(sound awareness)を超えるところまでほとんど達しない。これらのデバイスを植え込まれるほとんどの患者は、脳幹の正常な解剖学的構造をひずませる大きな前庭神経鞘腫を有していた者で、それが留置の正確性に悪影響を及ぼす可能性がある。他の適応でABIを植え込まれる患者は結果がいくぶん良好であるが、ほとんどの症例において蝸牛インプラントの成績には及ばない。
【0230】
蝸牛神経核への挿入に伴う解剖学的問題のいくつかを回避し、新規の電極設計を導入するために、代替的な中枢インプラントが作製された。聴性中脳インプラント(AMI)は、その長さに沿って20個のリング電極を備える単一のシャンクである、下丘(IC)内に植え込むことが意図された電極を有する。前臨床データは有望であったが、5名のNF-2患者を対象とした臨床試験では、いくらかのサウンドアウェアネスが実現されたものの、オープンセットスピーチの認識に達した者はいなかった。このデバイスはまだ研究用であり、臨床利用可能ではない。
【0231】
両タイプの電極アレイは、CNまたはICの複雑な3D解剖学的構造と特異的に相互作用できないことが批判の中心となっている。AMIの貫通性のシャンク電極であっても、単一の軸に沿った異なる深さで別個の刺激を提供できるだけであり、その長さまたは幅に沿ってはできない。ICおよびCNは両方とも基本的な周波数特定性の構造を有するが、発話などの複雑な音はこの単純化モデルに従わない可能性がある。これらの複雑な音を再現するには、神経核の体積全体にわたる精密なシミュレーションが必要となる可能性が高い。この限界を克服するため、表面電極および貫通電極を両方とも備えた代替的な電極設計(貫通型ABIまたはPABIと呼ばれる)が試みられた。貫通電極は聴性感覚を実現するために必要な充電レベルが表面電極より低いことが見いだされたが、何らかでも聴性感覚を提供できたものはほとんどなく、標準的なABI表面電極を植え込まれた患者と比較してPABI患者ではむしろ成績がやや劣っていた。ゆえに、蝸牛インプラントのアウトカムに近づくことができた中枢インプラントはこれまでなく、多くの場合はサウンドアウェアネスに達するにすぎない。
【0232】
蝸牛インプラントに対する中枢インプラントの理論上の利点は、蝸牛の繊細な3D解剖学的構造は電極挿入時に損傷されやすく、長期留置される異物でよくみられる慢性の炎症反応をきわめてきたしやすいことであり、その両者とも残存聴力の損失を引き起こす。蝸牛をバイパスして中枢インプラントを留置することはこれらの問題を回避でき、聴力低下過程の早期においてインプラント術が自然な聴力を増強できる潜在可能性があることである。この利点は脳幹アクセスの合併症発生率の増大によって相殺されてしまう。低侵襲頭蓋底手技の進歩によって、この限界が克服され、補聴器による恩恵を充分に受けていない患者に対して現在の蝸牛インプラントと同程度の手術リスクで中枢インプラント術が実行可能になる可能性がある。
【0233】
聴力回復のための再生医療技法: 耳に入ってくる音響エネルギーは、コルチ器内に位置する内有毛細胞(IHC)を介して螺旋神経節ニューロンにおいて電気信号に変換される。後天性の難聴はこれらの細胞の劣化と最終的な喪失とによる二次的なものであることが最も多く、そしてヒトにおいてこれらの細胞は再生能力がない。医学的介入に反応する可能性がある、特定の形態のまれな難聴も存在する。突発性難聴は数時間から数日かけて発症する感音性難聴であり、内耳のウイルス侵入とそれに続く炎症反応とに起因すると考えられている。早期に発見されれば、ステロイドが回復可能性を向上させうるといういくらかのエビデンスがある。同様に、自己免疫性内耳疾患の患者において免疫抑制が聴力を回復させ、またはさらなる聴力喪失を防ぐ可能性がある。これは、ステロイド治療に対して反応性の、両耳の進行性難聴によって特性付けられる、極めてまれな疾患である。この疾患は単独で、または、より系統的な難聴の一部として、生じる可能性がある。これらコンデションは両方ともまれであり、概して、感音性難聴は今日クリニックで行える治療では不可逆的であると考えられている。
【0234】
蝸牛内の有毛細胞および聴覚ニューロンの温存もしくは再生、または遺伝的な形態の難聴の治療など、潜在可能性があるいくつかの目標について、聴力回復のための遺伝子治療が提唱されている。これらの技法は、追加的な損傷を引き起こすことなく内耳内に治療用薬剤を導入できることを必要とし、この制約に対処するためにいくつかの新規のナノテクノロジー技法が開発されている。誘導多能性幹細胞を含む幹細胞ベースの療法が有毛細胞および聴神経細胞の両方の再生について有望であることが示されている。現在、ヒトのAtonal転写因子(Hath1)cDNAを含有する組換えアデノウイルス5(Ad5)ベクターであるCGF166を利用して、米国の遺伝子治療臨床試験が1件進行中であるが、現時点で臨床使用が承認された遺伝子または細胞ベースの療法はない。
【0235】
生きた電極の技術: 本開示の発明者らは、脳経路を再建するための、解剖学的に着想されたマイクロ組織工学ニューラルネットワーク(マイクロTENN)を作製する技法の先駆けとなってきた(Struzyna, L. A. et al. Tissue Eng Pt A 21, 2744-2756 (2015), Cullen, D. K. et al. Tissue Eng Pt A 18, 2280-2289 (2012), Struzyna, L. A. et al. J Vis Exp Jove e55609 (2017) doi:10.3791/55609, Harris, J. P. et al. J Neural Eng 13, 016019 (2016))。これらは、移植可能な、組織工学操作された「生きた足場」であり、中枢神経系の再生を促進できる。その構築物は、控えめな規模のニューロン集団を柔らかいヒドロゲル足場内に播種することによってインビトロで生成される。ヒドロゲル足場のニューロン表現型および構成は、関心対象の用途に合わせてカスタム化される。これらの足場内に含有されるニューロンは、足場内のあらかじめ形成されたチャネルに沿って神経突起を伸展させ、一方で細胞体は規定の位置に留まる。従来の電極は、電極リード周囲の体積内のすべての細胞体について標的組織の脱分極をもたらす電流を誘導するが、一方で、マイクロTENN内の、移植された各ニューロンの軸索は、標的組織内の1つまたは複数のニューロンの細胞体上に直接的にシナプス形成し、それにより電流波及の潜在可能性をなくす。構築物は、軸索が脳実質内の関心対象位置に向けられ、一方で細胞体は表面でアクセス可能なまま(
図1)となるように、置かれる。移植されたニューロンを刺激するために使用される従来の電極またはオプトロードを含む、ニューラルインターフェースの非有機コンポーネントは、脳実質の外部に留まる。いくつかの態様において、この技法は植え込み時にもたらす外傷が非常に少なく(58)、かつ、従来の電極の生体力学的ミスマッチに由来する慢性炎症を引き起こす可能性が低い。
【0236】
いくつかの態様において、マイクロTENNのこの構成は、軸索がネイティブなニューロンと相互作用するシナプス特異的な刺激と組み合わせて、ニューロン組織を刺激または記録するための、アクセス可能なインターフェースを作り出す――いくつかの態様において、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含むシステムとして、本明細書において本質的に「生きた電極」(LE)とも呼ぶ。いくつかの態様において、構築物は、アクセス可能なニューロン細胞体の光ベースの活性化またはモニタリングを可能にするために、チャネルロドプシンによる形質導入を介してさらに機能付与される(
図2A~2F)。
図3に、パーキンソン病患者においてドーパミン作動性の軸索入力を回復するために生成された――このケースにおいてはビルドされた――、マイクロTENNの例を示す。複数のニューロンサブタイプを使用して、一次大脳皮質(グルタミン酸作動性)ニューロン、後根神経節ニューロン、GABA作動性ニューロン、およびドーパミン作動性ニューロンを含むマイクロTENNを生成することに成功している。
【0237】
重要なことに、聴覚系へのこの技術の応用はまだ探索されておらず、いくつかの重要な点で現在の中枢および蝸牛インプラントに対して具体的な利点を有する。いくつかの態様において、既存の取り組みからの最も直接的な移行は中枢インプラントに対するものである。いくつかの態様において、ICまたはCNの複雑な3D解剖学的構造を念頭においてヒドロゲル足場を設計することができる。例えば、上述の構築物のグループをカスタムの三次元構成に組み合わせて、生きた電極が複数あるアレイを作製することができる。いくつかの態様において、神経核の長さおよび幅に沿った精密な位置でシナプス形成するように軸索を導くことができるのみならず、いずれかの神経核の周波数特定性の構成に達するための精密な深さにも導くことができ、一方で、移植されたニューロン細胞体は、脳幹表面上で、または頭蓋骨表面上でさえ、アクセス可能なままとなる。先行研究から、軸索を長さ数センチメートルまで成長させることが可能であることが示されている。脳表面上のニューロン体の個々の凝集物を空間的に分離し、一方で、ICまたはCNの体積のよりコンパクトな三次元配置に合致するように軸索投射を精密にターゲティングするために、この長さを利用できる。いくつかの態様において、刺激の特異性は、標準的な電極技術を利用したいずれの選択肢をも上回るという潜在可能性を有する。むしろ、光刺激と電気刺激とは相補的な利点を有する可能性があることが示されており、理想的なインプラントは両方の要素を伴う可能性がある。蝸牛のユニークな解剖学的制限に対する本技術の応用にも同様の原理があてはまるであろうが、本明細書に説明されるような追加的な革新が必要であろう。
【0238】
臨床移行および重要性: 本明細書に説明される実験は、根本的に新しい再生医療インターフェース技術を聴力回復に応用するための最初の段階を表す。蝸牛インプラントにおける近年の著しい技術進歩をもってしても、もたらされる聴覚経験は正常な聴力には及ばず、中枢インプラントはなおさらに後れている。これらの性能限界のため、補聴器では充分に対処できない難聴に苦しんでいるがインプラント術の適応とならない多数の患者が存在する。例えばLEなど、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含むシステムを、低侵襲の技法で植え込みできること、そしてインプラント術に伴うニューロン組織の損傷が全体的にないことを鑑みると、例えばLEなど、本明細書に開示されるシステムを、かなりの残存聴力がある患者、または耳鳴があり聴力温存が要件である患者に植え込みできる可能性がある。いくつかの態様において、インプラントによって提供される聴力の忠実度における向上、または残存聴力に対するリスクを伴わずに植え込み可能であることは、補聴器と蝸牛インプラントとの間のギャップの中で生活している患者に選択肢を与える可能性があり、またはそうした患者の生活の質に大きな影響を有する可能性がある。障害性の聾に対する進歩したインプラントは対象人口全体に恩恵をもたらすと考えられる。
【0239】
いくつかの態様において、例えば生きた電極など、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含むシステムの、聴覚系への適用は、インプラント可能な聴力デバイスで利用可能になる聴覚経験の質を高める可能性がある。
【0240】
いくつかの態様において、マイクロTENNは、小型の管状ヒドロゲル内に封入された、長く投射した軸索路を伴う別々のニューロンの集団からなる、例えば生きた3D神経構築物などである構築物である(Struzyna, L. A. et al. Tissue Eng Pt A 21, 2744-2756 (2015), Cullen, D. K. et al. Tissue Eng Pt A 18, 2280-2289 (2012), Struzyna, L. A. et al. J Vis Exp Jove e55609 (2017) doi:10.3791/55609, Harris, J. P. et al. J Neural Eng 13, 016019 (2016), Struzyna, L. A et al. Curr Opin Solid State Mater Sci 18, 308-318 (2014), Struzyna, L. A., et al Neural Regen Res 10, 679-685 (2015))。いくつかの態様において、ヒドロゲルカラムの内部は、インビトロでニューロン生存と神経突起伸展とを支持するように最適化されているが、インビボで例えば数週間かけて分解する、カスタム化可能な細胞外マトリックス(ECM)を含有する。聴覚系の人工的刺激についてのこれまでの試みでは光または電気刺激が利用されてきたが、本開示は、いくつかの態様においてネイティブなニューロンを刺激し聴覚認知を誘導するために直接的なニューロンのシナプスが利用されるという点において、根本的に異なるアプローチを提供する。いくつかの態様において、これは、電流波及または電界効果に悩まされない、標的化されかつ特異的な刺激を提供する。さらに、本構築物のサイズおよび形態の要素は、定位的ガイダンスを用いた低侵襲インプラント術を可能にし、かつ、システムのすべての非有機コンポーネントが脳実質の外部に留まることも可能にする。本構築物は、良好に耐容され、生存し、かつネイティブな神経系内に統合することが示されている。いくつかの態様において、本開示は、マイクロTENNを作製するため、そしてこれらを中枢および末梢聴覚路の刺激用の「生きた電極」として適用するための、螺旋神経節細胞の使用を提供する。いくつかの態様において、ヒトにおける将来的な応用向けに、例えば回収された組織に頼ることの制約を回避するなどのため、誘導多能性幹細胞を使用してSGNマイクロTENNが作製されてもよい。いくつかの態様において、生きた電極の技術は、現在の技術を上回る聴力回復を可能にしうる聴覚系刺激の革新的なアプローチを提供する。
【0241】
まとめ: 障害性の聾は世界人口の5%に影響を及ぼしており、米国の退役軍人にとって最も一般的な健康上の懸念の1つとなっている。高度に特異的な聴覚系の刺激は今日の技術で可能ではなく、インプラント可能な聴力デバイスによる聴覚経験は正常な聴力に遠く及ばない。技術および手術技法の洗練が蝸牛インプラントのレシピエントについてのアウトカムを向上させているが、現在の設計で実現可能な性能には限界があるようである。いくつかの態様において、本開示は、例えば螺旋神経節細胞などをあらかじめ播種した、例えばヒドロゲル構築物などの生体適合性構築物の、例えば蝸牛または下丘内への植え込みを介して聴力を回復させるなどのための、生きた電極の技術の適用を提供する。いくつかの態様において、本アプローチは、例えば難聴などに苦しむ患者のために聴力を回復させるための、そして難聴がどのように治療されるかを変えるための、潜在可能性を有する。
【0242】
実施例2:生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含むシステムの、聴覚設定における使用
本実施例は、生体適合性構築物と複数の聴覚ニューロンとを含む、例えば生きた電極などのシステムの、聴覚設定における適用を説明する。
【0243】
螺旋神経節細胞の回収および培養:
P0 Sprague-Dawley仔ラットの側頭骨から螺旋神経節細胞を回収した。螺旋神経節細胞を単離するため、顕微解剖により立体鏡下で蝸牛を単離した。螺旋神経節は、蝸牛から取り出した後に、さらに外植片培養用に200~300 μmのセグメントに分けるか(
図4)、または静かにマイクロピペット粉砕した後に酵素的に分離するかのいずれかを行った。後者については、螺旋神経節を37℃の0.25%トリプシン + 1 mM EDTA中で分離した後、トリプシン/EDTAを除去して0.15 mg/ml DNaseのHBSS溶液に置換した。分離した組織 + DNaseを3000 RPMで3分間遠心してから、DNaseを除去し、細胞をニューロン培地中に再懸濁した。PLL(0.05 mg/mL、無菌細胞培養水溶液)に一晩浸漬したポリスチレン製ペトリ皿にニューロンをプレーティングした。次にペトリ皿を無菌細胞培養水中ですすいでから、ラミニン(20 μg/mL、無菌細胞培養水溶液)に一晩浸漬したうえでプレーティングおよび培養に供した。次に、標準的な細胞培養条件(37℃、5% CO2)下で細胞をインキュベートした。インビトロ培養日数(DIV)2日ごとに半量培地交換を行った。組織学的検査を後述のように行った。培地は、Neurobasal培地、B-27(1x)、glutamax(0.5 mM)、ペニシリン-ストレプトマイシン(20 U/mL)、およびBDNF(5 ng/ml)から成っていた。代表的な凝集物を
図4に示す。
【0244】
別個のSGN集団同士が相互作用する能力を調べるために、螺旋神経節を分離し、上述のように凝集させた。次に、PLL(50 μg/mL)およびラミニン(20 μg/mL)であらかじめコーティングしたポリスチレン製ペトリ皿に凝集物をプレーティングし、37℃、5% CO2、48時間ごとの半量培地交換にて、培地(上述)中で生育させた。培地表面への凝集物の付着と軸索の伸長とが陽性であることを位相差顕微鏡観察により5 DIVまで確認した後、ニューロン活動の光学イメージングを可能にするために、凝集培養物にウイルス形質導入を一晩行って蛍光カルシウムレポーターGCaMP6(Addgene/Penn Vector Core)(力価:約5x109 vg/mL)を発現させた。形質導入後、凝集物を生育させ、QIClickカメラおよびNIS Elements BR 4.13.00と組み合わせたNikon Eclipse Ti-S顕微鏡を用いてGCaMP発現/ニューロン活動をモニターした。カルシウム過渡応答を可視化するために1秒あたり10~15フレームで記録を取得した。
【0245】
隣り合った凝集物の間に同期的かつ自発的なシグナル伝達活動がみとめられ、2つの別個のSGN集団間における機能的なシナプス形成が示された(
図5A~5D)。同様に、SGNと、中枢(皮質および脳幹の両方)由来の凝集物との間でも、同期的かつ自発的な記録が測定された。
【0246】
SGNマイクロTENNの作製:
先に示した三段階の工程でマイクロTENNを構築した。簡潔には、3%アガロースマイクロカラムをガラス毛管と鍼灸針とで望ましいサイズ(外径: 398 μm; 内径: 160 μm)にモールドし、望ましい長さにカットした。形成されたマイクロカラムチャネルをUV光下で(30分間)滅菌し、ラット尾I型コラーゲン(1.0 mg/mL)とマウスラミニン(1.0 mg/mL)とを含むECMを満たした。
【0247】
培養SNGをマイクロTENN上に播種するために、細胞を分離し、PDMS製の逆ピラミッド形ウェル内で遠心(200 x g、5分間)することによって単細胞懸濁液を球状凝集物にした。遠心後、SGN凝集物をニューロン培地中で48時間インキュベートしてから、立体鏡下で精密ピンセットを用いてECM充填マイクロカラムの一端に注意深く置いた。Micro-TENNをニューロン培地中で2 DIVごとの半量培地置換にて生育させた。
【0248】
免疫細胞化学: 平板培養物とマイクロTENNとを4%ホルムアルデヒド中で35分間固定し、0.3% Triton X100 + 4%ウマ血清のPBS溶液で60分間透過処理し、一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。一次抗体インキュベーション後のサンプルを、蛍光標識した二次抗体(1:500; Life Technologies & Invitrogenより入手)とともに18°~24℃で2時間インキュベートした。最後に、Hoechst(33342, 1:10,000, ThermoFisher)を18°~24℃で10分間添加してから、PBS中ですすいだ。NIS Elements AR 4.60.00と組み合わせたNikon A1RMP+ 多光子共焦点顕微鏡上でサンプルをイメージングした。各蛍光チャネルについて、Z平面内における10~20 μmの連続スライスを取得した。呈示されるすべての共焦点像が、共焦点zスライスの最大強度投射である。一次抗体は、軸索標識用のTuj-1/ベータ-IIIチューブリン(1:500, T8578, Sigma-Aldrich)、II型SGN標識用のペリフェリン(1:500, ab4666, Abcam)、および/または、アストロサイト標識用のグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)(1:500, ab53554, Abcam)であった。これは、本発明者らがマイクロカラム内のSGN凝集物播種を用いてマイクロTENNを作製できたことを示していた(
図6A-6E)。
【0249】
蝸牛用構築物: 蝸牛の湾曲した構造内への植え込みをより行いやすい構築物を作製するために、新規の技法を開発した。湾曲が最大270度までの単管腔の螺旋マイクロカラムを、ヒト蝸牛の幾何学形状を参照として利用して、コンピューター支援モデリング(Autodesk Inventor, Autodesk Inc.)を介して設計した。外径1.5 mm、全体的な直径7 mm、垂直ピッチ1 mmですべてのバリアントをモデル化した。直径850 μmの1つの管腔で単管腔構築物をモールドし、プルロニックヒドロゲル(28.6% w/w, Advanced Solutions)からの押出しバイオプリンティング(BioAssemblyBot, Advanced Solutions)によって3Dプリントした。支持材料の幾何学形状はバイオプリンターのフロントエンド(TSIM, Advanced Solutions)によって必要に応じて自動的に生成され、マイクロカラム自体のプリント前に同じプルロニックヒドロゲルからプリントされた。プリントパラメーターは、持続的な押出しを実現し、かつギャップ形成またはオーバープリントを最少にするように最適化した(ノズル圧 55 psi, ノズル速度 4 mm/s, 線幅 0.159 mm, レイヤー高 0.05 mm, ノズル直径 0.159 mm)。ビルド忠実度を特性付けるために、水平にした40x70 mm ガラス製顕微鏡スライド(Fisher)上に構築物を6分間にわたって直接プリントし、測定し、イメージングした。プルロニックヒドロゲルは不透明であり、したがって光学顕微鏡観察によるイメージングが困難であるので、全体にわたってデジタルキャリパー(Mitutoyo)により内寸および外寸を直接検証できるように、50、75、および100%の完成度まで構築物をプリントした。次に構築物をイメージングした(D3400, Nikon);完成度50および75%の構築物を、堆積した支持材料も含めて、参照用に呈示する(
図7Bおよび7C)。プリントしたすべての構築物は、列挙したすべての寸法においてモデル仕様の±100ミクロン以内であると決定された。
【0250】
インプラント術: 生きた電極のインビボインプラント術を生体ラットのIC内に行った。成体雄Sprague-Dawleyラットを麻酔し、定位フレーム内に固定した。頭蓋骨の上で切開を行い、下丘の上で開頭術を行った。末端が下丘の中心核内に位置し、かつ細胞体凝集物が小脳の表面でアクセス可能なままになるように、定位座標を用いて生きた電極を挿入した。動物は3週間時点で健康であり、生体内の多光子顕微鏡観察では植え込んだ凝集物内の生細胞が明らかになり、そして、GCaMP発現ニューロンの自発的活動の高速蛍光顕微鏡観察によって自発的な発火がモニターされた。
【0251】
本明細書に開示されるデータは、培養SGNを単離できること、培養中でSNG凝集物を維持できること、および別個のSGN細胞集団間の相互作用を誘導できることを示している。さらに、ヒドロゲルマイクロカラム足場を通る軸索の成長が成功し、蝸牛インプラント術用のあらかじめ曲げた構築物も開発できた。さらに、生きた電極のIC内への植え込みが行われ、3週間時点で構築物および動物の両方が生存能を備えていた。SGN細胞は、以前に使用された皮質由来ニューロンと同様に振る舞い、そして中枢由来のニューロン凝集物の両方とインビトロで相互作用することが示された;これは、以降の研究が成功する見込みが高いことを示していた。重要な点として、これらのデータは、SGNを用いて生きた電極を高い信頼性で作製しかつ植え込みできることを示している。
【0252】
研究デザインおよび方法
概要および仮説: 聴力リハビリテーションのための現在のインターフェースは重大な欠点を抱えている。蝸牛インプラントは、臨床的に成功してはいるものの、当初から同様の電極設計に頼っており、正常な聴力を近似するために必要な独立チャネルの約20%しか実現できていない。中枢インプラントはそれより劣っており、大多数のケースにおいてサウンドアウェアネスをほとんど上回っていない。これら技術の進歩に対する主要な制限の1つは、電極と神経組織との間のインターフェースである。本開示は、バイオエンジニアリングおよび再生医療技法を通じて、聴覚系を人工刺激するためのマシン-ニューラルインターフェースの本質を変える見込みがある新しい技術を提供する。1つの仮説は、生きた電極の技術を、蝸牛および下丘への統合を介して、聴力リハビリテーションに適用できるというものである。螺旋神経節細胞を播種した時に、ラットの下丘内または蝸牛内のいずれかに植え込まれる生きた電極として作用する、2つの別個のマイクロTENN設計を開発した。この研究は、生きたニューロン足場と、外傷後および神経変性疾患後の中枢神経系機能の回復のためのその応用とに関する、以前の研究に基づいている。本実施例は、足場の播種のために新規の細胞タイプを利用するとともに(中枢由来ニューロンの代わりに螺旋神経節ニューロン)、以前のように中枢にではなく蝸牛内に留置するように設計されたマイクロカラム足場の新しい形状ファクターを開発する。いくつかの態様において、本研究で提唱されるアウトカムの1つは、2つのバイオハイブリッド・ニューラルインターフェースである。いくつかの態様において、中枢性に下丘内に、または末梢性に蝸牛内に挿入されるように設計されたインプラント可能な足場上で、SGNがあらかじめ成育される。いくつかの態様において、構築物は両方とも、移植されたSGNからの神経突起を標的組織と相互作用するように方向付けることができ、一方で、移植されたSNGの細胞体は刺激用にアクセス可能なままとなる――それによって聴覚刺激用のいわゆる「生きた電極」を作製する。このプロセスにおいて開発された技法もまた、聴覚プロセスの理解を広げそして最終的に聴力を回復させるために適用される、再生医療バイオエンジニアリングの将来の研究への複数の道の基礎となる。
【0253】
科学的根拠: 聴力を回復するために蝸牛内の損傷を元に戻すための、臨床的に利用可能な治療は存在しない。有毛細胞の再生医療技法が向上しているとはいえ、克服すべき重大なハードルが存在する。蝸牛の物理的構造を再確立しなければならず、かつ、退行した螺旋神経節ニューロンを、再生育させそして新しい有毛細胞とともにシナプス形成するように誘導しなければならない。現在、重度難聴のリハビリテーションについて最も成功している戦略は、蝸牛の複雑な構造を完全にバイパスして蝸牛神経を直接刺激することである。このアプローチは多くのケースにおいて、著しい難聴がある患者が読唇なしで発話の理解を取り戻すことを可能にしてきたが、正常な聴力には遠く及ばない。現行技術の主な限界の1つは、蝸牛に沿った電流波及と、それに続く伝送信号の忠実度の低下とを限定するために、植え込まれる電極を螺旋神経節細胞の充分近くにポジショニングすることである。この距離を低減するために数多くの方法が試みられているが、著しい臨床インパクトを有するものはこれまでない。これら細胞との直接的な相互作用と、刺激の選択性の増大とは、植え込み後の聴力アウトカムに劇的な向上をもたらす潜在可能性を作り出すと考えられる。本開示は、聴力の回復のために組織工学と再生医療技法とを組み合わせる。いくつかの態様において、例えば生きた電極である、本明細書に開示されるシステムの技術は、現在の選択肢の限界のいくつかを克服する。第一に、電流波及を受ける蝸牛内の標準的な電極の代わりに、ネイティブなニューロン組織の直接的なシナプス刺激がいくつかの態様において実現される。いくつかの態様において、これは、刺激用に利用できる独立チャネルの数を増大させ、ゆえに聴覚経験の忠実度を増大させる。第二に、先行研究で脳実質内への植え込みの安全性が示されており、自然な構造の損傷によるさらなる難聴のリスクを伴わずに聴力を増強できる可能性がある。いくつかの態様において、下丘または蝸牛神経核の複雑な3D解剖学的構造を念頭に置いた構築物を、耐容性の良好なパッケージに入れた設計は、中枢インプラントによる聴力の結果が蝸牛インプラント術のそれに近づくことを可能にしうる。さらに、生きた電極の概念が首尾よく示されることは、前庭機能または視力の回復など、さらなる用途に扉を開くと考えられる。
【0254】
本実施例は、末梢または中枢聴覚系内に植え込むための生きた電極を開発する3つの目的を説明する。第一の目的は、ラット胎仔またはラット新生仔からの螺旋神経節ニューロンの回収および培養と;蝸牛または下丘のいずれかへの植え込み用に設計されたマイクロカラム足場上へのこれら細胞の播種と;細胞凝集物の光刺激パラメーターの記述とを最適化することに焦点を当てる。第二の目的は、移植された細胞のインビボでの挙動を特性付けることである。これら研究の目的は、細胞の生存を定量化し、移植されたニューロンの挙動を特性付けることである。最後の目的は、聴覚系上に移植されたこれら足場の刺激の効果を、聴覚皮質における電気生理学的記録と生得的行動モデルとを介して定量化すること、および、生きた電極を標準的な電極刺激と比較することである。
【0255】
螺旋神経節ニューロンを用いた、生きた電極のバイオファブリケーション、および、インビトロにおけるそれらの機能の光学的制御の検証
(a)螺旋神経節ニューロン(SGN)の回収および培養、ならびに、インビトロでの生存、シナプス形成、および光遺伝学的形質転換の評価;ならびに(b)カスタムのマイクロカラム足場上へのSGNのインビトロ播種。 SGNは、ラット新生仔の側頭骨から回収し、培養し、光刺激用に形質導入し、そしてSGN由来および中枢由来の別個のニューロン集団とインビトロでシナプス形成するように誘導できる。これらの培養SGNは、次に、蝸牛または中枢インプラント術用に設計された生きたSGN電極を形成するために、カスタムのマイクロカラム足場内で生育させることができる。
【0256】
聴覚路における自然な解剖学的および生理学的なポジションを鑑み、これら研究のための主要なニューロン集団として螺旋神経節細胞を利用した。いくつかのグループが、出生前および出生後の齧歯類から螺旋神経節細胞の回収および培養に成功したと報告している。しかし、プレーティング前に細胞が分離されるかを含めて、これらの培養に用いられる技法には重大な違いが存在する。最適化のための変数には、SGN回収のタイミング、培養する螺旋神経節がインタクトであるか分離されているか、および播種前の培養期間などが含まれる。これら条件のすべてを試験するとともに、細胞の生存能、培養中における関心対象のニューロンの(支持細胞に対する)割合、および神経突起伸展の傾向をアセスメントするために免疫組織化学解析を行う。生存能はカルセインAM(生細胞を標識)およびエチジウムホモダイマー(死細胞の核を標識)で評価し、神経突起伸展は免疫組織化学(軸索の細胞骨格成分を認識する抗体を使用)で評価する。
【0257】
SGCの回収および培養: 螺旋神経節細胞を単離するために、胎仔期および新生仔期の特定のタイムポイント(E18, P0, P5, P10)のSprague-Dawleyラットから顕微解剖により立体鏡下で蝸牛を単離する。螺旋神経節は、蝸牛から取り出した後に、さらに外植片培養用に200~300 μmのセグメントに分けるか、または静かにマイクロピペット粉砕した後に酵素的に分離するかのいずれかを行う。後者については、螺旋神経節を37℃の0.25%トリプシン + 1 mM EDTA中で分離した後、トリプシン/EDTAを除去して0.15 mg/ml DNaseのHBSS溶液に置換する。分離した組織をDNaseとともに3000 RPMで3分間遠心してから、DNaseを除去し、細胞をニューロン培地中に再懸濁する。PLL(0.05 mg/mL、無菌細胞培養水溶液)に一晩浸漬したポリスチレン製ペトリ皿にニューロンをプレーティングする。次にペトリ皿を無菌細胞培養水中ですすいでから、ラミニン(20 μg/mL、無菌細胞培養水溶液)に一晩浸漬したうえでプレーティングおよび培養に供する。次に、標準的な細胞培養条件(37℃、5% CO2)下で細胞をインキュベートする。2 DIVごとに半量培地交換を行う。予備データにおいて説明したように、培地は、Neurobasal培地、B-27(1x)、glutamax(0.5 mM)、ペニシリン-ストレプトマイシン(20 U/mL)、およびBDNF(5 ng/ml)から成る。螺旋神経節組織ではなく脳皮質組織を収集したことを除いて、中枢由来ニューロンの回収および培養にもここで説明した分離プロトコルと同様の技法を使用した。
【0258】
SGN培養用の異なる培地調合が文献において報告されている;さらなる最適化には、異なる培地中で生育させたSGN培養物および/または構築物の間で、生育、ニューロンの生存、および機能を直接比較することが必要となるであろう。BDNFはインビトロおよびインビボの両方でSGNの生存を促進することが示されており、機能的な神経再支配における潜在可能性が示唆されている(69, 70)。しかし、BDNFの恩恵は、濃度と、胎仔期/生後期の単離タイムポイントによって決定されるSGNの日齢との両方に依存し、II型SGN vs. I型SGNに支配的に影響する可能性がある。培地および条件に加えて、いくつかの態様において、SGN構築物について最良の遠心速度、持続時間、および遠心後のインキュベーション期間を決定するために、凝集プロトコルも最適化を必要とするであろう。加えて、マイクロカラムには、凝集物または同様のサイズにした螺旋神経節外植片のいずれかが播種される可能性があり、その選択が構築物の成長にどのように影響するかは未解決問題である。
【0259】
軸索間の相互作用が、別個のSGN凝集物の生理学的な連結に充分であるかを試験するために、前述したような螺旋神経節の分離および凝集に続いて、螺旋神経節凝集物をアガロースマイクロカラム内に播種して二方向性の(すなわち凝集物2つの)マイクロTENNを生成する。マイクロTENNアーキテクチャー内部における生育上の制約の潜在可能性についての対照として、2D培養にも凝集物をプレーティングする。少なくとも7 DIVの培養後、マイクロTENNおよび対照凝集物を蛍光免疫標識用にホルムアルデヒドで固定する。選択される抗体は、シナプス前マーカー(シナプトフィジン)およびシナプス後マーカー(PSD-95)、ならびにニューロン細胞体および軸索(ベータチューブリン-III)を標的にする。免疫標識したサンプルを、シナプスマーカーと軸索とのオーバーラップを通じて軸索間シナプスを同定した状態で、共焦点または2光子顕微鏡観察を用いてイメージングする。軸索間シナプスを軸索樹状突起間および軸索細胞体間シナプスからさらに区別するために、(例えばMAP-2による)樹状突起の免疫標識を通じて軸索間シナプスのさらなる検証が示される可能性がある。
【0260】
光遺伝学的形質転換: 2つの光遺伝学的形質転換を行う;1つは活性化のモニタリングを報告するため、1つは光刺激を可能にするためである。カルシウムイメージング用に、GCaMP6遺伝子を乗せたAAVベクター(Penn Viral Vector Core)で、16~24時間、SGNに形質導入する。次に、残ったウイルス粒子を除去するために全量培地交換を行う。ウイルス形質導入の4~5日後から、標準的な蛍光または共焦点顕微鏡を用いてカルシウム活動を観察できる。次に、この活動を顕微鏡ソフトウェア(NIS-Elements, Nikon)を用いて動画として記録する。次に、NIS-Elementsにおいて手動で描いた関心領域、または自動化Matlabスクリプトを用いて、蛍光活動を測定する。光遺伝学的な刺激のために、光活性化オプシン遺伝子(例えばChR2, CrimsonR)を乗せたAAVベクター(Penn Viral Vector Core)で、1.34 x 10
10ゲノムコピー/mLの力価にて、16~24時間、SGNに形質導入する。オプシンタンパク質が成熟できるように、刺激実験はウイルス形質導入から約2週間遅らせる。200 μm 光ファイバー(Thorlabs)に連結された適切な波長のLEDからなるLEDアレイを用いて光刺激を行う。このシステムは多チャネルLEDドライバー(Thorlabs)およびデジタル・アクイジション・ボード(National Instruments)によって駆動される。刺激パラメーターは以下に定義する。Ca
2+依存性の光活動レポーターを導入した細胞はニューロン活性化をリアルタイムでモニターするために使用でき、一方で、光活性化オプシンを伴う細胞は電気刺激の代わりに光を用いて刺激できる(
図2A~2Fの例を参照されたい)。
【0261】
本明細書に開示される技法は、回収したSGNがホスト蝸牛内のネイティブなSGNと相互作用しかつこれを刺激できる能力を頼りとしている。SGN-SGN相互作用および刺激が可能であることはこれまでに報告されていない。末梢由来ニューロンはこの挙動を行うように誘導できることが示されており(例えば後根神経節ニューロンが他の後根神経節ニューロンとシナプス形成するなど)、隣り合ったSGN集団間の同期的な受動的ニューロン活動が観察されている。これをさらに試験するため、1つのSGN集団にCa2+依存性の光活動を誘導し、一方、別のSGN集団は光活性化オプシンを有するようにする。2つの集団を球状凝集物になるよう誘導し(後述)、互いの近くで培養する。軸索の伸長をモニターする。2つの集団間に相互作用があることが明らかになったら、オプシン集団を光学的に刺激した際のCa2+依存性の光活動を第一の群からモニターする。Ca2+依存性の光活動が確認されれば、それは、2つの集団間の相互作用と、移植したSGNの軸索がネイティブなSGNの活動をインビボで誘導できることとを示す。移植したSGNが下丘内のネイティブなニューロンを刺激できることの(ゆえにインビボ回路をより良好に表す)指標として、同様の実験デザインで、中枢由来の集団と相互作用しかつその活動を誘導するSGNの能力を試験する。
【0262】
光刺激パラメーター: インビボで形質導入した聴覚系ニューロンの光遺伝学的刺激に対する応答は先行研究で評価されているが、LE作製用に形成された細胞凝集物は、形質導入したネイティブなニューロンとはパフォーマンスが異なる可能性がある。これを評価するために、前述のように凝集物を互いの近くで培養する。次に、活性化の閾値、ならびに周波数および強度の応答曲線を確立するために、先行する聴覚系の光遺伝学的試験に由来する光刺激パターンを行う。オプシン形質導入した凝集物の刺激は、関心対象の凝集物から2 mmに位置する上述の光ファイバーを介して印加される光の473 nmパルスを介して行う。光強度は、パワーメーターに接続した高感度好熱性センサー(high-sensitivity thermophile sensor)から2 mmのところにファイバーをポジショニングすることによって校正する。刺激は、露光1~20 uJ/mm2、パルス持続時間0.1~10 ms、周波数0~70 hzの間で変動させ、その間にGCaMP由来の凝集物からの発光を記録する。関心対象のパラメーターの各々について閾値(背景の10%超)と最大値とを決定するために応答曲線を生成する。刺激するSGNならびに(皮質および脳幹の)中枢ニューロンと、レポーター凝集物とのすべての組み合わせについて、この試験を繰り返す。刺激される凝集物におけるオプシン形質導入を省いて、同様の培養条件で対照試験を行う。
【0263】
本明細書に説明される実験によって、一貫性があり質が高いSGN集団を提供する回収および培養の条件を最適化できると期待される。さらに、これらニューロン集団の別々の集団を近くで共培養することは、それらの間の軸索の伸びとシナプス形成とを誘導し、それはCa2+依存性の光活動を介して検出できると予期される。これは、移植したSGNが生体ラットの蝸牛内でネイティブなSGNとシナプス形成する能力を有することを示唆する可能性がある。中枢インプラント術を見越してSGNを中枢由来ニューロンと共培養する時も同様の挙動が予期される。続いて、後者のペアを逆にして、中枢由来ニューロンがSGNにおいて脱分極を誘導する能力を試験する。所与の動物から得られる中枢ニューロンの数はSGNのそれをはるかに上回るので、このことは構築物の生産量増大を可能にする可能性がある。さらに、螺旋神経節細胞を活性化するための光刺激の利用は確立されており、入力刺激のバリエーションに対する応答が予想可能である。既報である聴覚路の光刺激の成功を鑑みると、ChR2を導入したニューロン凝集物は同様の刺激パラメーターを呈する可能性があると予測される。
【0264】
以上の段階が上首尾に完了した後に、SGN集団をマイクロカラム足場内に播種する。2つのカスタムヒドロゲル足場を開発する。いくつかの態様において、第一の足場は下丘内への植え込みに利用し、先に使用したものと同様である。この足場は、植え込んだSGNの神経突起が下丘とシナプス形成することを可能にし、一方で、その細胞体が表面上にとどまり記録または刺激のためにアクセス可能であることを可能にする。いくつかの態様において、第二の足場も同様であるが、蝸牛の湾曲にも合致し、かつ、蝸牛軸を通って走行するネイティブな螺旋神経節細胞に向かってSGN軸索をガイドする。
【0265】
構築物の設計: いくつかの態様において、足場は、ネイティブなニューロン組織と相互作用するように移植SGNからの神経突起の伸展をガイドし、一方ではこれらSGNの細胞体がアクセス可能なままになるように設計された、3Dヒドロゲルマイクロカラムを含む。マイクロカラムは、神経突起の付着と伸展とを可能にするために膠原性のECMを内部に伴う3%アガロースを含む。これらの足場を作製するため、加温したDulbeccoリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)中にアガロースを溶解する。次に、足場の外寸について適切な形状の型を作製し、そして細い針を用いて各マイクロカラムの管腔となる空間を作製する。次に、溶解したアガロースをこの型に充填してゲル化させる。次に型を取り外すと、中空のボアを伴うアガロースシェルが残る。次に15分間のUV光曝露によってマイクロカラムを滅菌する。次にマイクロカラムにコラーゲンECM溶液(ニューロン増殖培地中のラット尾I型コラーゲン、0.2~2.0 mg/mL)を充填する。次にコラーゲンを重合させてから、組織培養インキュベーター(37℃, 5% CO2)内で培養した細胞を播種する。ヒドロゲルを構築する先行研究で留意された点として、足場の物理的特質が、割れまたは座屈を伴わない変形を可能にして、あらかじめ形成された形状を超えて蝸牛の形状へのいくらかの一致を可能にする。いくつかの態様において、構築物設計の追加的なカスタム化に3Dプリンティング技術が利用される。
【0266】
カスタム足場上へのSGN播種: 培養したSGNをマイクロカラム上に播種するために、細胞を分離し、PDMS製の逆ピラミッド形ウェル内で遠心(200 x g、5分間)することによって単細胞懸濁液を球状凝集物にする(
図8)。遠心後、SGN凝集物をニューロン培地中で48時間インキュベートしてから、立体鏡下で精密ピンセットを用いてECM充填マイクロカラムの一端に注意深く置く。次に、得られた構築物を上述のようなニューロン培地中で(2 DIVごとの半量培地置換にて)生育させて、生きたSGN電極を形成する。
【0267】
蝸牛の独特な物理的制約を鑑み、複数の足場形状を作製し、そしてさまざまなインプラント技法によって、回収した生体ラット蝸牛上で試験する。生きた動物への挿入をシミュレートするためにマイクロカラムのインビボ挿入を行い、留置の位置および挿入時に誘発された損傷について蝸牛を組織学的に解析する。生きた電極について最適化する領域には、マイクロカラムの直径および形状;カスタムマイクロカラム形状を3Dプリンティングするための技法;マイクロカラムに充填するECMのタイプおよび濃度;SGNの播種密度;ならびに培養のタイミングが含まれる。SGN細胞体を収容するこの構築物の部分は、蝸牛インプラント術については側頭骨の耳骨胞内に、ICインプラント術については脳幹表面上に留まって、記録および刺激用のアクセスを可能にする。
【0268】
マイクロカラムについて最終的な構成が確立されたら、SGNを播種し、1、2、4、7、および14 DIVにわたって生育させてから組織学的解析を行う。所与のタイムポイントで、神経突起の数、神経突起の長さ、および細胞生存能を評価する。次に、構築物を4%ホルムアルデヒド中で固定してTriton Xで透過処理する。軸索の成長を特異的に評価するための抗体で組織を染色する;それには、前述したように、樹状突起において見られる微小管関連タンパク質であるMAP-2、軸索に豊富に存在する微小管要素であるβ-チューブリンIII、および、アストロサイト中で発現する中間径フィラメントタンパク質であるグリア線維性酸性タンパク質が含まれる。SGN構築物における成長を特性付けるために、QIClickカメラおよびNIS Elements BR 4.13.00と組み合わせたNikon Eclipse Ti-S顕微鏡を用いて、生きたSGN電極の位相画像を撮る。ImageJ(National Institutes of Health, MD)を用いて、各位相画像内で最も長い神経突起を手作業で同定する。各タイムポイントにおけるこの最長突起の長さの変化を、前回タイムポイントからのDIV数で除したものを、成長率として定量化する。長さの測定結果はすべて、(1 DIVに同定した)ソース凝集物の縁部に対する、最長突起の終点の長さ方向距離として、標準化する。
【0269】
下丘用の生きたSGN電極の作製は、神経系における用途向けに先に作製したものと同様である。いくつかの態様において、蝸牛用の生きた電極は、蝸牛の解剖学的構造に一致することを可能にする様式で――あらかじめ設計された形状と構築物の可撓性との組み合わせを通して――作製できると期待される。いくつかの態様において、回収したSGNは、高い生存能を伴って足場上に播種され、そして中枢由来ニューロンによる先行研究と同様の速度で神経突起伸展を示すと予想される。
【0270】
生きた電極のインビボにおける送達、生存、および統合の実証
(a)蝸牛用および(b)中枢用の生きたSGN電極のインビボインプラント術、ならびに生存および統合の評価 いくつかの態様において、生きたSGN電極をラットの蝸牛または下丘内に植え込むことができ、そして移植したニューロンは生存しかつ適切な標的ニューロンとシナプス形成できる。
【0271】
インプラント術: マイクロカラムの播種が成功し、SGN生存能および神経突起伸展の充分なエビデンスが得られた後、上述のように最適化した生きた電極を生体ラットに植え込む。蝸牛インプラント術については、より標準的な電極について先述されたプロトコルと同様に、麻酔したラットの蝸牛の正円窓を介して(または、後述するような蝸牛への代替的なアプローチを介して)足場を挿入する。ラットをイソフルランで麻酔し、片耳後方の毛を除去して、そのエリアをベタジンで清浄する。耳後部切開とその下の筋系の切開とにより側頭骨の耳骨胞を露出させる。次に、手術用顕微鏡を利用して、耳骨胞をドリルで除去し、正円窓を露出させる。正円窓からの挿入が行われると予測される。そうであるならば、正円窓窩を除去し、正円窓膜を切開する。次に、抵抗が生じるかまたは構築物が完全に挿入されるまで、正円窓を通して構築物を静かに前進させる。ニューロン細胞体の凝集物は耳骨胞内でアクセス可能なまま留まる。次に耳後部の皮膚切開を閉じる。
【0272】
下丘への挿入については、ラットをイソフルランで麻酔し、定位フレーム内にマウントする。頭部を剃毛してベタジンで清浄した後に、下丘の上方で切開および小開頭を行う。次に、生きたSGN電極を、定位フレーム上にマウントされたHamiltonシリンジ内に引き、針注入を介して送達する;その後に、構築物を最小の力で送達するために、Hamiltonシリンジを不動にし、一方で針をゆっくり持ち上げる。ここでも、ニューロン細胞体の凝集物は脳の表面上に留まって、後の光刺激を可能にする。脳から針を除去した後、開頭部を骨蝋で密封し、皮膚を縫合する。両方のプロトコルについて、ラットにメロキシカム(2.0 mg/kg)を投与し、回復まで術後をモニターする。この全般的な手技をルーチンに行った。
【0273】
植え込み後に動物を手術から回復させ、植え込み後1、2、4、8、または12週間生存させて、そのタイムポイントで脳または側頭骨を回収する。LEで生理学的活動をモニターできる能力を評価するために、安楽死および組織回収の前に生体内蛍光顕微鏡観察を行って、IC植え込み電極からの自発的なGCaMP活動を定量化する。ラットを麻酔し、口蓋バーで定位フレーム内に確実固定する。次に、上述のように蛍光顕微鏡観察を行う。内因性ニューロン活動をモニターするための、GCaMP誘導した生きた電極の利用を、以前と同様に行い、上述したICインプラントの成功にも利用した。麻酔した動物を、生きた電極の細胞体のモニター中の広帯域聴覚刺激にも呈する。いくつかの態様において、聴覚刺激後の活動の増大から、聴覚路内のネイティブなニューロン集団との生理学的な相互作用を確認し、そして、活性化のタイミングをICからのABR信号の公知のタイミングと比較する。各タイムポイントについて、刺激記録の程度を組織学的評価と比較する;それは、将来の研究においてシナプス形成の非侵襲的モニタリングを可能にする可能性がある。組織学的解析用に、動物を経心的にヘパリン食塩水で灌流し、次に10%中性緩衝ホルマリンで灌流する。摘出した脳または側頭骨をPBS中ですすぎ、次に30%ショ糖に浸漬する。2-メチルブタン中で急速冷凍した後、脳を-80℃で保存するかまたはただちに薄切する(厚さ20 μm)。蝸牛の組織学的解析用に、先述のように蝸牛の脱ミネラル化および固定を行う。免疫組織化学用に、組織を4%ホルムアルデヒド中で35分間固定し、0.3% Triton X100 + 4%ウマ血清のPBS溶液で60分間透過処理し、一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートする。一次抗体インキュベーション後のサンプルを、蛍光標識した二次抗体(1:500; Life Technologies & Invitrogenより入手)とともに18°~24℃で2時間インキュベートする。最後に、Hoechst(33342, 1:10,000, ThermoFisher)を18°~24℃で10分間添加してから、PBS中ですすぐ。NIS Elements AR 4.60.00と組み合わせたNikon A1RMP+ 多光子共焦点顕微鏡上でサンプルをイメージングする。各蛍光チャネルについて、Z平面内における10~20 μmの連続スライスを取得する。呈示されるすべての共焦点像が、共焦点zスライスの最大強度投射である。一次抗体は、軸索標識用のTuj-1/ベータ-IIIチューブリン(1:500, T8578, Sigma-Aldrich)、II型SGN標識用のペリフェリン(1:500, ab4666, Abcam)、および/または、アストロサイト標識用のGFAP(1:500, ab53554, Abcam)である。
【0274】
生きた電極を生体ラットの蝸牛内または下丘内のいずれかに植え込む。1、2、4、8、および12週時点で組織学的解析を行い、各タイムポイントを10回反復する。無細胞のヒドロゲル構築物を植え込むことによって、タイムポイントあたり2匹の追加ラットを対照とする。蝸牛インプラントの代替的なアプローチを試験するため、追加で5匹のラットを用いる。したがって、助成金期間の全過程でラット110匹(2群 x タイムポイント5回 x 反復10回 + 対照5匹 + 代替的な蝸牛インプラント5匹)が使用されると推定される。
【0275】
いくつかの態様において、生きたSGN電極の下丘内への植え込みは、ネイティブな細胞上への軸索伸展とシナプス形成との成功につながると期待される。この技法は以前に行われたものと同様である。上述に開示したように、IC内への植え込みは、3週間時点で動物および植え込んだニューロンの両方の生存能を伴ってすでに実現されている。中枢インプラント術とは技術的に異なるとはいえ、いくつかの態様において、蝸牛を介して移植されたSGNも同様に生存し、神経突起を伸展させてネイティブな螺旋神経節細胞上にシナプス形成すると期待される。さらに、細胞の生存能および軸索の成長速度も以前の研究と同様であると期待される。
【0276】
鼓室階内における直接的な軸索の相互作用はまだ得られないとしても、いくつかの態様において、螺旋神経節の細胞体への直接的なアクセスは、上述したような複数の蝸牛開窓術を通じて、または蝸牛の耳嚢の表層部分を完全に除去することによって、実現できる(
図9)。いくつかの態様において、この方法は蝸牛の自然な構造を破壊しうる一方で、螺旋神経節の全長への直接的なアクセスを可能にする潜在可能性がある。その方法はまた、蝸牛に入る際に蝸牛神経自体へのアクセスも可能にする潜在可能性がある。これらの技法は、ヒト以外への植え込みに、より適用可能であるが、植え込まれた生きた電極がネイティブなSGNと相互作用することが示されれば技術を大きく進歩させると考えられ、一方で、より低侵襲なインプラント技法の開発が可能である。上述に開示したように、培養SGN集団内の軸索間の相互作用はすでに確立されている。いくつかの態様において、SGNが足場上への播種後に生存能を保たない可能性、または適切な神経突起伸展を示さない可能性もあり、この場合は軸索路の生育に使用されるECMに神経栄養因子が添加されてもよい。いくつかの態様において、効果的に成長するようにSGNを誘導できないならば、代わりに中枢由来または末梢由来のニューロンが用いられてもよい。いくつかの態様において、ネイティブなSGNの軸索を鼓室階内に誘導できるものの、正円窓を通る構築物の挿入が蝸牛の物理的制約によって妨げられるならば、正円窓の拡張または蝸牛開窓術のアプローチが行われる。これらのケースにおいては、正円窓の前下方延長部(anterior-inferior extension)をドリル穿孔するか、または完全に別の前下方蝸牛開窓術(anterior-inferior cochleostomy)を行うかのいずれかとなる。いくつかの態様において、構築物が適切に留置され、SGNが生存能を保っているが、SGN上へのシナプス形成を伴う蝸牛に沿った軸索の伸展のエビデンスがないのであれば、SGNの代わりに中枢由来ニューロンが利用されてもよい。いくつかの態様において、生きた電極の管腔内に含まれるECMの組成の変更、または神経栄養因子の導入もまた、シナプス性相互作用の向上を誘導する可能性がある。
【0277】
聴覚入力を脳に伝達するための生きた電極の有効性のアセスメント
植え込まれた生きたSGN電極の刺激の神経電気生理学的評価および行動的評価
いくつかの態様において、ラットの蝸牛または下丘内における生きたSGN電極の植え込みおよび統合後に、移植したニューロンの電気刺激または光刺激のいずれかが、聴覚皮質における検出可能な信号と、測定可能な行動的変化とにつながる可能性があり、それらは聴覚路に対する影響を示す。
【0278】
電気生理学的な記録: 移植した生きたSGN電極が聴覚皮質において信号を生成する能力の初回の確認を、失聴させたラットにおいて完了する。単チャネル構築物を上述のように蝸牛または下丘内に植え込み、上述した最適な時間にわたって統合させる。電気生理学的記録時に、ラットをイソフルランで麻酔し、選択的な蝸牛毒性を有する抗生物質ネオマイシンの直接的な両側蝸牛灌流によって失聴させた。93 dB ピーク等価音圧レベルでの片耳クリック刺激による聴性脳幹反応(ABR)(83)の不在によって、両耳において失聴を検証する。次に動物の頭部を定位フレーム内に確実固定する。植え込んだ生きたSGN電極の上方のエリアを(ICについては開頭切開部の再開創、蝸牛については耳後部切開を介して)露出させ、聴覚皮質の上層に第二の開頭術を行う。移植したSGNの、露出した細胞体を、光学的に刺激し、聴覚皮質から記録を行う。目的1で説明したものと同様に光刺激パラメーターを試験し、聴覚皮質における記録を介して刺激‐応答の比較を行う。LE刺激を標準的な電極刺激と比較するために、遠位側1 mmの絶縁を除去した、単チャネルのテフロン絶縁白金/イリジウムワイヤを、上述のような定位座標を介してIC内に、または正円窓もしくは蝸牛開窓術アプローチを介して蝸牛内に、留置する。刺激パラメーターは既報の同様の研究を指針とする。簡潔には、振幅閾値を、聴覚皮質において再現可能な信号を生成できる最小の振幅として定義する。初期パラメーターは、100マイクロ秒のパルス間インターバルを伴う、100マイクロ秒の二相性パルスとする。電流は0.1 mAで開始し、信頼できる信号が検出されるまで0.1 mAのステップで増大させる。閾値振幅レベルが確立されたら、周波数およびパルス幅を調整し、刺激‐応答曲線を生成する。これは、蝸牛またはICにおける、生きた単チャネル刺激と標準的な単チャネル刺激との直接比較を可能にする。すべての試験について、定位座標を介して聴覚皮質内に留置したプレーナー32チャネル4プロングプローブ(Neuronexus)から、Intan 128ch 刺激/記録システム(Intan)を用いて、32 kHzで電気生理学的信号を持続的に記録する。局所場電位(LFP)の解析に広帯域信号を用いる。初期スパイク検出用に、広帯域信号をオンラインでデジタル高域通過フィルター(0.6~6 kHz)に通過させる。スパイクソーティングを、KlustaKwikおよびSpikeSort 3Dソフトウェア(Neuralynx)を用いてオフラインで行い、続いてクラスターの手動調整を行う。それに続くクラスター解析はカスタムのMatlabスクリプトを用いて行う。
【0279】
行動反応: 上述の電気生理学的記録によって、聴覚路の活性化が生きた電極の技法によって可能であることは確認できるが、そうした活性化によって誘導される聴覚経験についての洞察は得られない。聴覚系内への生きた電極の適合をさらに試験するために、聴覚性驚愕反射(ASR)の顕在化および修正を調べる。ASRは突然の大きな音響刺激に対する、齧歯類において生得的な行動反応であり、トレーニングを必要とせず、かつ中枢聴覚路の研究用モデルとしてよく確立されている。このプロセスは複雑なタスクまたは行動トレーニングの必要なく容易に測定できる。ASRは、聴覚刺激に先行してより弱い刺激を――聴覚刺激または聴覚路の電気刺激のいずれかを介して――行うことによって、高い信頼性で減弱でき、これはプレパルス抑制(PPI)として公知である。生きた電極がこれらの応答を顕在化できるかを評価するために、生きた電極による蝸牛の刺激でASRを誘導し、蝸牛またはICインプラントの、生きた電極のシミュレーションが、PPIを修正する能力を評価する。
【0280】
上述のような生きた電極のインプラント時に、先に説明したようなカスタムの頭部固定デバイスを、ICまたは蝸牛インプラント部位の上層のエリアを覆うことを回避するように修正したうえで取り付ける。上述に開示したように、適切な時間にわたってインプラントを統合させる。試験のため、先に開発した連続力トランスデューサー(continuous force transducer)上にマウントしたカスタムの拘束リグ内に動物を置く。このリグは、覚醒状態の動物の頭部をしっかり固定することを可能にし、一方で、動物によってかけられる下向きの力の持続的な記録をモニターできる。リグは、聴覚刺激の導入用の校正済みスピーカーと、植え込んだ生きた電極を光刺激するための光ファイバー配線用のアクセスとを備えた、遮音ブース内に収容される。実験セットアップを検証し、ベースライン記録を確立するために、植え込みを行っていない動物を試験する。次に、聴覚刺激によって誘導されるASRのプレパルス抑制を生きた電極の刺激によって調節できる可能性について、蝸牛またはIC用のいずれかの生きた電極を植え込んだ動物を試験する。両群について、反対側の耳に刺激を呈示する。聴覚刺激に対するPPI刺激の位置がPPIの程度に影響を及ぼすわけではないことが示されている。PPIについて刺激‐応答関係を確立するために、上述に定義したパラメーターの範囲内で光刺激パラメーターを調整する。さらに、上述のような単チャネルの標準的な電極で同様の試験を行い、生きた電極と標準的な電極との間で比較を行う。最後に、ASRを誘導するための、蝸牛用の標準電極および生きた電極の刺激の能力を評価する。驚愕反応が顕在化するまで振幅を増大させて、刺激パラメーターを上述のように定義する。蝸牛の非音響性の直接刺激がASRを顕在化または抑制する能力について、公表されたデータは存在しない。いくつかの態様において、この反射に関するニューロンアークはICを必要としないので、ICの刺激がASRをトリガーするとは予測されないが、ICの電気刺激はASRのPPIを調節させることが示されている。
【0281】
行動試験のプロトコルは先に開発されており、齧歯類における中枢聴覚処理も先に報告されている。中枢聴覚路の記録、聴覚に基づく動物行動モデルの設計および解釈、ならびにニューロン記録データの処理もまた、先に開示されている。
【0282】
動物数: 生きた電極を蝸牛内または下丘内のいずれかに統合させた後にラットの電気生理学的記録および行動記録を行う。電気生理学的記録については、植え込みしたラット20匹と、1群あたり対照10匹とが必要になると予測される。セットアップを検証するために、生きた電極を植え込んでいない追加のラット5匹を、同様の記録用セットアップに供する。次に、上述に概説した比較試験を行うために、同じこれらの動物に標準的な電極を植え込む。同様に、行動解析について、植え込みしたラット20匹と、対照10匹と、植え込みしないラット5匹とを用いる。ゆえに、これらの実験のために130匹のラットを用いる。
【0283】
本明細書に開示される実験は、聴覚皮質において信頼可能かつ予測可能な信号の変化を誘導するための、蝸牛またはICのいずれかにおける生きた電極の有効性を確立すると期待される。さらに、ASRの活性化の基礎的な行動解析と、プレパルス抑制を介したその抑制とを、評価する。統計解析: 本明細書に説明されるすべての実験にわたって、科学的妥当性のために必要な最小数の動物を使用し、動物は適宜、複数の実験に使用する。(差が存在する場合に)有意差を得るために必要な群サイズを推定するために、検出力解析を行った(パワー=0.90, α=0.05)すべてのデータについて正規性を調べ、非正規データについては調整を行う。生きたSGN電極のタイプ、処置、および時間を独立変数とし、アウトカム尺度(上述のとおり)を従属変数として、適宜ANOVAを行う。群間に差が存在する場合は、事後のペアワイズ比較を行う。すべての統計的検定について、p<0.05を有意性の要件とする。
【0284】
結論: 聴力回復における、臨床的に意義のある進歩には、生体工学および再生医学の新規の技法が必要になると予測される。この重要な臨床ニーズに対する生きた電極の技術の適用が本明細書に説明される。
【0285】
科学的進歩: 説明されるような実験は主として聴覚リハビリテーションのための生きた電極インプラントの開発を意図しているが、本研究はまた、さらに続く検討のための複数の道の基礎も形成する。本研究は、末梢および中枢の聴覚リハビリテーションに対する複数のアプローチの有効性を比較する前臨床評価およびトランスレーショナル評価を行うための研究計画の開発も可能にする――それには、ニューロン工学、手術技法、機能的アウトカム尺度、行動、神経生理学、および組織学が含まれる。この実験フレームワークは、今後数十年において革新をもたらしかつ将来の技術を吟味するために利用できる。
【0286】
より具体的には、利用されうる進歩した組織工学技法は、いくつかの態様において、他の聴覚療法を系統的に評価するための、そして、時間およびリソース集約的なインビボモデルへの依存を低減させる潜在可能性がある、バイオフィデリックな(biofidelic)テストベッドを作り出すために利用できる可能性がある。いくつかの態様において、このことの現れとして可能であるものの1つは、多細胞の生きた電極を含む、モジュール式かつカスタム化可能な「インビトロ蝸牛」である。いくつかの態様において、これは、一端上で中枢由来の凝集物に、そして他端上で培養蝸牛有毛細胞に伸展した軸索を伴って、中心部にSGN凝集物を含む。いくつかの態様において、聴覚路の3つの初期細胞タイプが呈示され、その各々を独立に、そしてそれらの間の接続も、試験および操作できる。いくつかの態様において、音を伝達するための複雑な解剖学的構造は欠いているものの、複数の重要な探求のラインを精査することが可能である:それには、遠位の軸索/SGN細胞体が蝸牛インプラントと関連する際の電気刺激、有毛細胞またはSGNについての再生医療技法、蝸牛内の信号処理の計算モデル、耳毒性および耳保護性の薬剤など、多数ある。いくつかの態様において、構築物の作製技法が進歩するにつれて、このモデルは生きた蝸牛により近づくように進化を続けるであろう。いくつかの態様において、このプロジェクトの実行中に進歩すると考えられる1つのさらなる技法は、生理学的なニューロン活動のモニターとしての生きた電極の使用である。いくつかの態様において、生きた電極は、上述したように発光モニターとして機能付与できる生物学的インプラントである。さらなる洗練は、従来の電極技術によって現在もたらされている限界を伴わない、中枢聴覚路を研究するための複数の新たな道を開く見込みがある。さらに、これらのインビトロおよび小動物の技法は、さらに進んだ行動トレーニングを行える、現在進行中の霊長類モデル、そして最終的にはヒトの臨床試験にも寄与することができる。
【0287】
いくつかの態様において、SGNの培養および評価においてさらなる進歩がなされると期待される。これは複数の聴覚病理について重要な細胞タイプであり、聴力の回復に対する複数のアプローチの進歩に極めて重要となるであろう。いくつかの態様において、上述したように、鼓室階内へのSGN軸索の効果的な伸長は、既存の蝸牛インプラント技術のパフォーマンスを劇的に向上させる潜在可能性を有する。いくつかの態様において、上述した技法は、成長因子およびECMタンパク質――それぞれ有望であることが独立に示されている――の両方を組み合わせるモダリティを導入することによって、これら研究をさらに進めるのに役立つ。第二に、有毛細胞の喪失は螺旋神経節細胞の喪失につながることが示されている。いくつかの態様において、蝸牛有毛細胞の再生医療技法は、聴覚路によって利用されるためにはSGNが軸索を再成長させる能力に頼ることになると考えられ、そして、SGNの再生医療技法は、有毛細胞との相互作用、および中枢聴覚路内への統合の、両方を必要とすると考えられる。さらに、隠れ難聴およびシナプトパシーが難聴の原因として認識されることが増えているが、現在のところあまり理解されていない。SGNをインビトロで直接研究すること、ならびに、上述したようなインビトロ蝸牛モデルにおいてSGNと有毛細胞および脳幹ニューロンの両方との相互作用を研究できることは、診断および治療のモダリティを向上させる道を築く可能性がある。まとめると、本明細書に説明した仕事は、生きた電極のインプラントの開発をはるかに超えて、聴力科学の進歩に寄与する見込みがある。
【0288】
将来の方向: いくつかの態様において、本提唱の研究は、聴覚リハビリテーション用の2つの新規の生きた電極のための基礎を形成する。いくつかの態様において、1つは蝸牛内に末梢性に植え込まれることが意図され、1つは下丘内に中枢性に植え込まれることが意図される。本明細書に呈示される方法は単チャネルインプラントをもたらすが、いくつかの態様において、臨床適用性を向上させるために多チャネルインプラントが必要になると考えられ、そしてその構成を標的組織の形態学に合わせてカスタム化しなければならない。いくつかの態様において、多チャネルインプラントは、マイクロメートルより小さい特徴に対応できる3DプリンティングシステムであるNanoScribe Photonic Professional GT(Nanoscribe GmbH, Eggenstein-Leopoldshafen, ドイツ)を利用してナノ3Dプリントした構築物に基づくと考えられる。
【0289】
いくつかの態様において、IC用および蝸牛用の設計は、ニューロン細胞体の凝集物の分布と、オプトロードインターフェースとについて、共通の要素を共有すると考えられるが、軸索チャネルのコンフォメーションにおいては異なると考えられる。いくつかの態様において、共通の要素について、ニューロン細胞体の凝集物は、別個の波長で光を伝える3つ組のオプトロードによって各凝集物を刺激できるように、空間が空けられる。いくつかの態様において、ニューロン細胞体の凝集物の各々は、これらの光の波長の各々に応答するように光遺伝学的に形質転換した細胞の細胞集団を含有する。いくつかの態様において、3つ組のオプトロードの二次元アレイが、ニューロン細胞体の凝集物の同様のアレイと対にされる。いくつかの態様において、細胞体凝集物の下側から発するチャネルは、下丘の三次元体積全体にわたって、または蝸牛の長さに沿って、軸索を分布させるように設計される。いくつかの態様において、完全に植え込まれた時でも、構築物のオプトロード/凝集物部分は、脳幹の表面上、または蝸牛の外部の耳骨胞内に座する(
図10)。いくつかの態様において、インプラントの非有機部分が脳幹の実質内に導入されることはなく、蝸牛の管腔の構造に合致する必要もない。
【0290】
態様の列挙
以下に態様の列挙を提供するが、その番号付けは重要度を定めるものとして解釈されるべきでない。
・態様1は、以下を提供する:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステム。
・態様2は、以下を提供する:
生体適合性構築物が、内面と外面とを含む、態様1記載のシステム。
・態様3は、以下を提供する:
生体適合性構築物の内面が、管腔コアを規定する、態様1、2記載のシステム。
・態様4は、以下を提供する:
生体適合性構築物の外面が、少なくとも1つのヒドロゲルを含む、態様1~3記載のシステム。
・態様5は、以下を提供する:
ヒドロゲルが、親水性バイオポリマーおよび/または合成ポリマーを含む、態様1~4記載のシステム。
・態様6は、以下を提供する:
ヒドロゲルが、少なくとも部分的に架橋され、
該架橋が、任意で、スチフネスを増大させ、多孔度を低減させ、かつ/または劣化時間を増大させる、
態様1~5記載のシステム。
・態様7は、以下を提供する:
親水性バイオポリマーが、アガロース、ヒドロゲル、ヒアルロナン、キトサン、アルギン酸塩、コラーゲン、デキストラン、ペクチン、カラゲーナン、ポリリジン、ゼラチン、ヒアルロン酸、フィブリン、およびメチルセルロースのうち、1つまたは複数を含む、態様1~6記載のシステム。
・態様8は、以下を提供する:
親水性バイオポリマーが、アガロースを含む、態様1~7記載のシステム。
・態様9は、以下を提供する:
アガロースが、約0.25~30%、約0.25%~3%、約0.5%~3%、約1~20%、約1.5~10%、約2~9%、約2.5~8%、または約3~7%である、態様1~8記載のシステム。
・態様10は、以下を提供する:
アガロースが、約3%である、態様1~9記載のシステム。
・態様11は、以下を提供する:
親水性バイオポリマーが、
少なくとも1つの合成ヒドロゲル、または、エチレンオキシド(PEO)およびポリプロピレンオキシド(PPO)の単位からなる両親媒性コポリマーで作られた合成ヒドロゲル
を含む、態様1~10記載のシステム。
・態様12は、以下を提供する:
ヒドロゲルが、約2~50% w/v、約3~40% w/v、約4~30% w/v、約5~25% w/v、または約10~20% w/vである、態様1~11記載のシステム。
・態様13は、以下を提供する:
ヒドロゲルが、約28.6% w/vである、態様1~12記載のシステム。
・態様14は、以下を提供する:
生体適合性構築物の内面が、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)コンポーネントを含む、態様1~13記載のシステム。
・態様15は、以下を提供する:
ECMコンポーネントが、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~14記載のシステム。
・態様16は、以下を提供する:
ECMが、コラーゲンを含む、態様1~15記載のシステム。
・態様17は、以下を提供する:
コラーゲンが、約0.1~10 mg/ml、または0.1~9 mg/mlの濃度である、態様1~16記載のシステム。
・態様18は、以下を提供する:
コラーゲンが、約1 mg/mlの濃度である、態様1~17記載のシステム。
・態様19は、以下を提供する:
ECMが、ラミニンを含む、態様1~18記載のシステム。
・態様20は、以下を提供する:
ラミニンが、約0.1~10 mg/ml、または0.1~9 mg/mlの濃度である、態様1~19記載のシステム。
・態様21は、以下を提供する:
ラミニンが、約1 mg/mlの濃度である、態様1~20記載のシステム。
・態様22は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、少なくとも500個の聴覚ニューロンを含む、態様1~21記載のシステム。
・態様23は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つが、生体適合性構築物と接触している、態様1~22記載のシステム。
・態様24は、以下を提供する:
前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロンが、細胞体および/または軸索を含む、態様1~23記載のシステム。
・態様25は、以下を提供する:
軸索が、長さ約0.5~50 cmである、態様1~24記載のシステム。
・態様26は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの一部分が、
(i)生体適合性構築物の第一端部に;
(ii)生体適合性構築物の第二端部に;
(iii)生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中に;および/または
(iv)生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中に
ポジショニングされる、態様1~25のシステム。
・態様27は、以下を提供する:
生体適合性構築物の第一端部または第二端部にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの前記一部分が、細胞体を含む、態様1~26記載のシステム。
・態様28は、以下を提供する:
生体適合性構築物のボディの一部分に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの前記一部分が、軸索を含む、態様1~27記載のシステム。
・態様29は、以下を提供する:
生体適合性構築物のボディが、該ボディの内面を含む、態様1~28記載のシステム。
・態様30は、以下を提供する:
内面が、管腔コアを含む、態様1~29記載のシステム。
・態様31は、以下を提供する:
生体適合性構築物のボディ全体に、これに沿って、もしくはこれの中にポジショニングされた、前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの前記一部分が、軸索を含む、態様1~30記載のシステム。
・態様32は、以下を提供する:
軸索が、一方向性または二方向性に延在する、態様1~31記載のシステム。
・態様33は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分が、聴覚ニューロンの凝集物を含む、態様1~32記載のシステム。
・態様34は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、
(a)螺旋神経節ニューロン、下丘(IC)聴覚ニューロン、皮質聴覚ニューロン、I型聴覚ニューロン、もしくはII型聴覚ニューロン、またはそれらの組み合わせ;または
(b)生物体の蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、もしくは皮質脳幹核内に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせ
を含む、態様1~33のシステム。
・態様35は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、複数の螺旋神経節ニューロンであるかまたはこれを含む、態様1~34記載のシステム。
・態様36は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、複数のIC聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む、態様1~35記載のシステム。
・態様37は、以下を提供する:
アストロサイト、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞、ミクログリア、または内皮細胞などの、1つまたは複数の追加的な細胞をさらに含む、態様1~36記載のシステム。
・態様38は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、対象から単離される、態様1~37記載のシステム。
・態様39は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、幹細胞に由来する少なくとも1つの細胞であるかまたはこれを含む、態様1~38記載のシステム。
・態様40は、以下を提供する:
幹細胞が、誘導多能性幹細胞(iPSC)、胎生幹細胞、または組織幹細胞のうち、1つまたは複数を含む、態様1~39記載のシステム。
・態様41は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンが、対象にとって自家性、同種性、または異種性である、態様1~40記載のシステム。
・態様42は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンが、遺伝子工学操作されるかまたは非遺伝的技法を用いて再プログラミングされる、態様1~41のシステム。
・態様43は、以下を提供する:
前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、センサー、アクチュエーター、受容器、および/またはレポーターを含む、態様1~42記載のシステム。
・態様44は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、レポーターを含む、態様1~43記載のシステム。
・態様45は、以下を提供する:
レポーターが、蛍光レポーターを含む、態様1~44記載のシステム。
・態様46は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、受容器を含む、態様1~45記載のシステム。
・態様47は、以下を提供する:
受容器が、磁気受容器、電磁受容器、電気受容器、水受容器(hydroreceptor)、機械受容器、浸透圧受容器、温度受容器、および圧電イオンチャネルのうち、1つまたは複数を含む、態様1~46記載のシステム。
・態様48は、以下を提供する:
電磁受容器が、赤外線受容器、光受容器、または紫外線受容器のうち、1つまたは複数を含む、態様1~47記載のシステム。
・態様49は、以下を提供する:
機械受容器が、機械感覚受容器または固有受容器のうち、1つまたは両方を含む、態様1~48記載のシステム。
・態様50は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、センサーを含む、態様1~49記載のシステム。
・態様51は、以下を提供する:
センサーが、
光感受性イオンチャネル、カルシウムセンサー、および膜電圧センサーのうち、1つまたは複数を含む光学センサー
を含む、態様1~50記載のシステム。
・態様52は、以下を提供する:
センサーが、
Aequorin、Cameleon、およびGCaMPのうち、1つまたは複数を含むカルシウムセンサー
を含む、態様1~51記載のシステム。
・態様53は、以下を提供する:
センサーが、Clomeleonを含む塩化物センサーを含む、態様1~52記載のシステム。
・態様54は、以下を提供する:
センサーが、Mermaidを含む膜電圧センサーを含む、態様1~53記載のシステム。
・態様55は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、アクチュエーターを含む、態様1~54記載のシステム。
・態様56は、以下を提供する:
アクチュエーターが、
チャネルロドプシン、ハロロドプシン、およびアーキロドプシンのうち、1つまたは複数を含む光学アクチュエーター
を含む、態様1~55記載のシステム。
・態様57は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つの遺伝子工学操作ニューロンが、光学センサーを含み、かつ/または、光学アクチュエーターが、光遺伝学的ニューロンである、態様1~56記載のシステム。
・態様58は、以下を提供する:
生体適合性構築物が、管状の構築物である、態様1~57記載のシステム。
・態様59は、以下を提供する:
生体適合性構築物が、螺旋状またはY字状(wye)である、態様1~58記載のシステム。
・態様60は、以下を提供する:
生体適合性構築物が、約240~900度の湾曲を有する、態様1~59記載のシステム。
・態様61は、以下を提供する:
生体適合性構築物の湾曲が、約270度である、態様1~60記載のシステム。
・態様62は、以下を提供する:
約0.1~40 mmの外径を有する、態様1~61記載のシステム。
・態様63は、以下を提供する:
約1.5 mmの外径を有する、態様1~62記載のシステム。
・態様64は、以下を提供する:
約0.5~70 mm、または0.1~10 mmの直径を有する、態様1~63記載のシステム。
・態様65は、以下を提供する:
約7 mmの直径を有する、態様1~64記載のシステム。
・態様66は、以下を提供する:
約0.1~10 mmのピッチを有する、態様1~65記載のシステム。
・態様67は、以下を提供する:
約1 mmのピッチを有する、態様1~66記載のシステム。
・態様68は、以下を提供する:
エクスビボまたはインビトロで、製造されるかまたは組み立てられる、態様1~67記載のシステム。
・態様69は、以下を提供する:
システム内の前記複数のニューロン中の少なくとも1つのニューロン、および/もしくは対象内の少なくとも1つのニューロンを、調節できる、または調節のために使用できる、態様1~68記載のシステム。
・態様70は、以下を提供する:
調節することが、一方向性もしくは二方向性の調節であるかまたはこれを含む、態様1~69記載のシステム。
・態様71は、以下を提供する:
調節することが、システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロン、または対象内の少なくとも1つのニューロンを、刺激または抑制することを含む、態様1~70記載のシステム。
・態様72は、以下を提供する:
刺激することが、電気刺激、光刺激、音波/振動刺激、磁気刺激、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~71記載のシステム。
・態様73は、以下を提供する:
刺激することが、電気刺激および光刺激を含む、態様1~72記載のシステム。
・態様74は、以下を提供する:
調節することが、モニターおよび/または記録することを含む、態様1~73記載のシステム。
・態様75は、以下を提供する:
対象内の前記少なくとも1つのニューロンが、聴覚ニューロンであるかまたはこれを含む、態様1~74記載のシステム。
・態様76は、以下を提供する:
聴覚ニューロンが、
(a)螺旋神経節ニューロン、ICニューロン、またはそれらの組み合わせ;または
(b)生物体の蝸牛、螺旋神経節、聴神経、聴性脳幹核、および/もしくは皮質脳幹核内に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせ
を含む、態様1~75記載のシステム。
・態様77は、以下を提供する:
対象内の聴覚路を刺激または抑制できる、態様1~76記載のシステム。
・態様78は、以下を提供する:
対象内の末梢聴覚路を刺激または抑制できる、態様1~77記載のシステム。
・態様79は、以下を提供する:
対象内の蝸牛か、その付近か、もしくはその中に;対象内の下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に;対象内の蝸牛神経核か、その付近か、もしくはその中に;および/または対象内の聴覚皮質か、その付近か、もしくはその中に、植え込まれる、態様1~78記載のシステム。
・態様80は、以下を提供する:
植え込まれたシステムが、対象内の少なくとも1つの細胞に接触する、または対象内の聴覚皮質のエリアか、その付近か、もしくはその中の、少なくとも1つの細胞に接触する、態様1~79記載のシステム。
・態様81は、以下を提供する:
対象内の前記少なくとも1つの細胞が、内因性細胞である、態様1~80記載のシステム。
・態様82は、以下を提供する:
前記少なくとも1つの細胞が、ニューロンを含む、態様1~81記載のシステム。
・態様83は、以下を提供する:
ニューロンが、蝸牛、聴神経、聴性脳幹核、皮質脳幹核、螺旋神経節、IC内に存在するニューロン、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~82記載のシステム。
・態様84は、以下を提供する:
システムを対象内の前記少なくとも1つの細胞と接触させることが、該システムの前記複数の聴覚ニューロンのうち少なくとも1つのニューロンと、該対象内の前記少なくとも1つの細胞との間に、シナプスを作り出すように決定される、態様1~83記載のシステム。
・態様85は、以下を提供する:
シナプスが、ニューロンのシナプスであるかまたはこれを含む、態様1~84記載のシステム。
・態様86は、以下を提供する:
植え込まれたシステムが、該システム内の前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロン、または対象内の前記少なくとも1つの細胞を調節するための、アクセス可能なインターフェースを提供する、態様1~85記載のシステム。
・態様87は、以下を提供する:
生体適合性構築物が、非線形形状を有する、態様1~86記載のシステム。
・態様88は、以下を提供する:
システムを製造するための方法であって、以下の段階を含む、方法:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物を提供する段階;および
(b)該生体適合性構築物を複数の聴覚ニューロンと関連させる段階。
・態様89は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の少なくとも1つのニューロンの生育を促進する条件下でシステムを維持する段階を含む、態様1~88記載の方法。
・態様90は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロン中の前記少なくとも1つのニューロンの生存能を維持する条件下でシステムを維持する段階を含む、態様88~89記載の方法。
・態様91は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物を形成する段階を含む、態様88~90記載の方法。
・態様92は、以下を提供する:
前記複数の聴覚ニューロンの少なくとも一部分の凝集物が、前記複数の聴覚ニューロンを生体適合性構築物と接触させる段階より前に形成される、態様88~91記載の方法。
・態様93は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様88~92記載の方法。
・態様94は、以下を提供する:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、対象内に植え込むための方法であって、
対象内の蝸牛、蝸牛神経核、聴覚皮質、または下丘(IC)か、その付近か、もしくはその中に該システムを植え込む段階を含む、方法。
・態様95は、以下を提供する:
植え込みが、従来型の微小電極の植え込みと比較して炎症を引き起こす可能性が少ないように決定される、態様94記載の方法。
・態様96は、以下を提供する:
対象が、ヒトである、態様94、95記載の方法。
・態様97は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様94~96記載の方法。
・態様98は、以下を提供する:
対象内の少なくとも1つのニューロンを調節する方法であって、以下の段階を含む、方法:
(i)以下:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階;ならびに
(ii)電気刺激、光刺激、またはその両方で少なくとも1つのニューロンを調節する段階。
・態様99は、以下を提供する:
調節する段階が、モニターすること、記録すること、刺激すること、および/または抑制することを含む、態様98記載の方法。
・態様100は、以下を提供する:
対象内の前記少なくとも1つのニューロンが、聴覚ニューロンを含む、態様98、99記載の方法。
・態様101は、以下を提供する:
聴覚ニューロンが、螺旋神経節ニューロンまたはICニューロンのうち、1つまたは複数を含む、態様98~100記載の方法。
・態様102は、以下を提供する:
対象が、ヒトである、態様98~101記載の方法。
・態様103は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様98~102記載の方法。
・態様104は、以下を提供する:
聴覚障害を有する対象を治療する方法であって、以下の段階を含む、方法:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階であって、それによって該対象を治療する、段階。
・態様105は、以下を提供する:
聴覚障害が、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む、態様104記載の方法。
・態様106は、以下を提供する:
聴覚障害が、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む、態様104~105記載の方法。
・態様106は、以下を提供する:
対象が、ヒトである、態様104~106記載の方法。
・態様108は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様104~107記載の方法。
・態様109は、以下を提供する:
対象における聴覚障害の症状を改善する方法であって、
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階を含む、方法。
・態様110は、以下を提供する:
聴覚障害が、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む、態様109記載の方法。
・態様111は、以下を提供する:
聴覚障害が、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む、態様109、110記載の方法。
・態様112は、以下を提供する:
対象が、ヒトである、態様109~111記載の方法。
・態様113は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様109~112記載の方法。
・態様114は、以下を提供する:
対象における聴覚障害の症状の悪化を防ぐ方法であって、
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;および
(b)複数の聴覚ニューロン
を含むシステムを、該対象に提供する段階を含む、方法。
・態様115は、以下を提供する:
聴覚障害が、伝音性難聴、感音性難聴、または混合性難聴のうち、1つまたは複数を含む、態様114記載の方法。
・態様116は、以下を提供する:
聴覚障害が、後天性聴覚障害、突発性聴覚障害、二次性難聴 (薬剤誘発性もしくは外傷誘発性の難聴)、自己免疫性内耳疾患、耳硬化症、メニエール病、老人性難聴、または聴神経腫のうち、1つまたは複数を含む、態様114、115記載の方法。
・態様117は、以下を提供する:
対象が、ヒトである、態様114~116記載の方法。
・態様118は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様114~117記載の方法。
・態様119は、以下を提供する:
(a)第一端部と、第二端部と、ボディとを含む生体適合性構築物;ならびに
(b)複数の聴覚ニューロン、および、これを使用するための指示書
を含むシステムを含む、キット。
・態様120は、以下を提供する:
前記キットを使用するための指示書をさらに含む、態様119記載のキット。
・態様121は、以下を提供する:
システムが、態様1~87のいずれか一つに提供されるシステムを含む、態様119、120記載のキット。
・態様122は、以下を提供する:
刺激子アレイ;および
複数の生きた電極(living electrode)であって、該複数の生きた電極のうち少なくとも1つが該刺激子アレイの要素と光学的に連絡しており、
刺激子相補的(stimulator-complementary)ニューロンを含む近位端と、
該生きた電極内の光遺伝学的ニューロンと神経的に連絡している聴覚ニューロンを含む遠位端と
を該複数の生きた電極の各々が含む、複数の生きた電極
を含み、
該複数の生きた電極が、不揃いな(staggered)遠位端を有している、蝸牛インプラント。
・態様123は、以下を提供する:
刺激子アレイがオプトロードアレイであり;かつ
刺激子相補的ニューロンが光遺伝学的ニューロンである、
態様122記載の蝸牛インプラント。
【0291】
同等物
当業者は、単にルーチンの実験法のみを用いることによって、本明細書に説明される本発明の具体的態様に対する多数の同等物を、認識するかまたは確認しうるであろう。理解されるべき点として、別段の提示がない限り、または、矛盾もしくは不一致が生じることが当業者に明らかとなるのでない限り、本発明は、列挙される請求項のうち1つまたは複数に由来する、1つまたは複数の限定、要素、条項、説明的用語などが、その同じ基本請求項に従属する別の請求項内に(または適宜、他の任意の請求項内に)導入される、すべてのバリエーション、組み合わせ、および並べ替えを包含する。さらに、これも理解されるべき点として、特定の排除が本明細書に具陳されているかにかかわらず、本発明の任意の態様または局面が特許請求の範囲から明示的に排除されうる。本発明の範囲は、上述の説明に限定されることは意図されておらず、添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【国際調査報告】