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特表2024-509094鋳型での金属の鋳造に使用するための鉛直方向分割型フィーダ及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】鋳型での金属の鋳造に使用するための鉛直方向分割型フィーダ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/08 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B22C9/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551687
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022054539
(87)【国際公開番号】W WO2022180103
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104435.9
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518273699
【氏名又は名称】ヘメックス ファウンドリー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ファンネンスティール アレックス
(72)【発明者】
【氏名】シルマー ハイコ
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093PB01
(57)【要約】
本発明は、鋳型での金属の鋳造に使用するためのフィーダインサート(1、1’ 、1”、1”’、100、100)であって、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)の境界を定めるフィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)を備えたフィーダインサート(1、1’ 、1”、1”’、100、100)に関する。フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)は、液体金属のための流路開口部(8)を有する第1端部(6、6’ 、6”、6”’、106、106’)と、当該第1端部(6、6’ 、6”、6”’、106、106’)の反対側に位置している第2端部(10、10’ 、10”、10”’、110’)と、を有する。フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、流路開口部(8)を通って延在する中心軸(Z)を有する。フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、中心軸(Z)の方向に延在する少なくとも1つの分割面(E)に沿って分離されており、少なくとも第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)によって形成されている。第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)は、互いに連結されて、フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)を形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型での金属の鋳造に使用するためのフィーダインサート(1、1’ 、1”、1”’、100、100)であって、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)の境界を定めるフィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)を備え、
- 前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)は、前記液体金属のための流路開口部(8)を有する第1端部(6、6’ 、6”、6”’、106、106’)と、前記第1端部(6、6’ 、6”、6”’、106、106’)の反対側に位置している第2端部(10、10’ 、10”、10”’、110’)と、を有し、
- 前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、前記流路開口部(8)を通って延在する中心軸(Z)を有し、
- 前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、前記中心軸(Z)の方向に延在する少なくとも1つのパーティション面(E)に沿って分離されており、少なくとも第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)から形成されており、
- 前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び前記第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)は、互いに連結されて、前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)を形成している
ことを特徴とするフィーダインサート。
【請求項2】
前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)は、第1パーティション面(19、19’ 、19”、19”’、119、119’)を有しており、
前記第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、 20”’、120、120’)は、前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び前記第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)を互いに連結するための、前記第1パーティション面(19、19’ 、19”、19”’、119、119’)に対応する第2パーティション面(21、21’ 、21”、 21”’、121、121’)を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のフィーダインサート。
【請求項3】
前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)は、少なくとも1つの第1突出部(22a、22b、22c、22a’、22b’、22a”、22b” 、22c”、22”’、122a、122b、122c、122a’、122b’、122c’)及び少なくとも1つの第1凹部(23a、23b、23c、23a’、23b’、23a”、23b” 、23c”、23”’、123a、123b、123c、123a’、123b’、123c’)を有しており、
前記第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、 20”’、120、120’)は、少なくとも1つの第2突出部(24a、24b、24c)及び少なくとも1つの第2凹部(25a、25b、25c)を有しており、
前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び前記第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)を連結するために、前記第1突出部(22a、22b、22c、22a’、22b’、22a”、22b” 、22c”、22”’、122a、122b、122c、122a’、122b’、122c’)は前記第2凹部(25a、25b、25c)と係合し、前記第2突出部(24a、24b、24c)は前記第1凹部(23a、23b、23c、23a’、23b’、23a”、23b” 、23c”、23”’、123a、123b、123c、123a’、123b’、123c’)と係合する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィーダインサート。
【請求項4】
20mm以下、15mm以下、10mm以下、5mm以下、または、3mm以下、の範囲の間隔が、隣接する前記突出部及び/または前記凹部の間に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載のフィーダインサート。
【請求項5】
前記中心軸(Z)に沿って測定して、合計で、50%以下、40%以下、35%以下、または、30%以下、の部分に、前記突出部または前記凹部が存在しない
ことを特徴とする請求項3または4に記載のフィーダインサート。
【請求項6】
前記突出部は、その中で前記フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’、20、20’ 、20”、 20”’、120、120’)が製造される中子型の入口開口内の残留材料の材料付属物によって形成されている
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項7】
前記第1及び第2フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’、20、20’ 、20”、 20”’、120、120’)を一緒に保持するために、前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)を部分的にまたは完全に周方向に取り囲む保持スリーブ(26)
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項8】
前記保持スリーブ(26)は、紙スリーブ、プラスチックスリーブ、エラストマースリーブ、ゴムスリーブ、金属スリーブ、再生可能材料から形成された保持スリーブ、実質的に残留物のない可燃性材料から形成された保持スリーブ、から選択されている
ことを特徴とする請求項7に記載のフィーダインサート。
【請求項9】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、前記保持スリーブ(26)を受け入れるための周方向凹部(28)を有する
ことを特徴とする請求項7または8に記載のフィーダインサート。
【請求項10】
前記フィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)は、少なくとも1つのアンダーカットを有している
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項11】
前記フィーダキャビティ(4’ 、4”、104)は、部分的球形である
ことを特徴とする請求項10に記載のフィーダインサート。
【請求項12】
前記第1及び第2フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’、20、20’ 、20”、 20”’、120、120’)は、実質的にアンダーカットが存在しない
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項13】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、前記流路開口部(8)に向かうテーパ状を有しており、それによってフィーダネックを画定している
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項14】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、102、102’)は、当該フィーダ本体(2、2’ 、2”、102、102’)を前記流路開口部(8)を有するベース部(32)と前記中心軸(Z)に沿った同軸キャップ部(34)とに分割する少なくとも1つの周方向脆弱部(30)を有しており、
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、102、102’)は、前記中心軸(Z)の方向に力が加えられる時、当該脆弱部(30)において破断可能であり、
前記ベース部(32)と前記キャップ部(34)とは、入れ子式に互いの部分内に変位可能である
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項15】
前記流路開口部(8)の周りの前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、102、102’)上に配置され、前記中心軸(Z)の方向に延在するカラーを有する金属製アタッチメント
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項16】
前記第1及び第2フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’、20、20’ 、20”、 20”’、120、120’)は、実質的に同一に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項17】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102’)は、前記フィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)に面する内側であって、前記流路開口部(8)の反対側に、センタリングピン先端部(16)を受け入れるためのセンタリングピン凹部(15)を有する
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項18】
前記フィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)に向かって、前記センタリングピン凹部(15)は、挿入用面取り部(17)を有している
ことを特徴とする請求項17に記載のフィーダインサート。
【請求項19】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)は、少なくとも部分的に、発熱性熱質量を含む
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項20】
当該フィーダインサート(1、1’ 、1”、1”’、100、100’)は、約0.5cm~約9cmの範囲、好ましくは約1.2cm~約2.6cmの範囲、のモジュラスを有する
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項21】
前記流路開口部(8)の周りの前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、102、102’)上に配置され、前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118’)及び前記第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)を互いに連結する金属製アタッチメント
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項22】
前記金属製アタッチメント(42)は、少なくとも1つの第1ラッチ要素(141)を有し、
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)は、前記金属製アタッチメント(42)が前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)にラッチされ得るように、前記第1ラッチ要素(141)に対応する少なくとも1つの第2ラッチ要素(142)を有する
ことを特徴とする請求項21に記載のフィーダインサート。
【請求項23】
前記金属製アタッチメント(42)は、バヨネットキャッチの態様で、前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)に固定される
ことを特徴とする請求項21または22に記載のフィーダインサート。
【請求項24】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)は、中心軸(Z)に沿って位置決めされ得るセンタリングピン(12)によって位置決めされるように適合されており、
前記フィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)は、前記中心軸(Z)が水平方向に配置される場合、当該フィーダキャビティ(4、4’ 、4”、4”’、104、104’)の主要な容積割合が、前記中心軸(Z)の上方に位置決めされ得るように構成されている、
鉛直方向に分離可能な鋳型における前記金属の鋳造において使用するための、請求項1乃至23のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項25】
前記フィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)は、
発熱性フィーダ材料から形成されるか、若しくは、少なくとも部分的に発熱性フィーダ材料を含む、
あるいは、
断熱性フィーダ材料から形成されるか、若しくは、少なくとも部分的に断熱性フィーダ材料を含む、
あるいは、
金属、プラスチック、厚紙、それらの混合物、及び、それらの複合材料、からなる群から選択される材料から形成されるか、若しくは、当該材料を含む
ことを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載のフィーダインサート。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれかに記載のフィーダインサート(1、1’ 、1”、1”’、100、100’)を製造するための方法であって、
中子型内で第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118)を射出する工程と、
前記中子型内または別の中子型内で第2フィーダシェル(20、20’ 、20”、20”’、120、120’)を射出する工程と、
前記第1及び第2フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118、20、20’ 、20”、20”’、120、120’)を連結してフィーダ本体(2、2’ 、2”、2”’、102、102)を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記中子型の入口開口によって形成される材料付属物を除去しないかまたは完全には除去しないことによって、前記第1フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118)上に少なくとも1つの第1突出部(22a、22b、22c、22a’、22b’、22a”、22b” 、22c”、22”’、122a、122b、122c、122a’、122b’、122c’)を形成する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記連結する工程は、ポジティブに連結する工程、及び/または、物質同士を接合する工程を含む
ことを特徴とする請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記連結する工程の後に、
前記第1及び第2フィーダシェル(18、18’ 、18”、18”’、118、118、20、20’ 、20”、20”’、120、120’)の周りに周方向に保持スリーブ(26)を配置する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項26乃至28のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型内での金属の鋳造に使用するためのフィーダインサート(feeder insert)であって、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティの境界を定めるフィーダ本体を備え、当該フィーダ本体は、液体金属のための流路開口部の設けられた第1端部と、第1端部の反対側に位置している第2端部とを有し、当該フィーダ本体は、流路開口部を通って延在する中央軸を有している、フィーダインサートに関する。更に、本発明は、このタイプのフィーダインサートの製造方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳型での金属の鋳造において使用されるフィーダインサートが、従来技術において公知である。フィーダインサートは、少なくとも複数の領域において、鋳型を製造するために使用される鋳型材料、例えば鋳型用砂など、によって取り囲まれる。フィーダインサートを取り囲む鋳型材料によって、フィーダインサートは、鋳型内または鋳型の鋳型部分内の予め規定された位置に保持される。ここで、フィーダ本体は、フィーダインサート内での鋳造に使用される液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティの境界を定める。フィーダ本体は、液体金属のための流路開口部が設けられた第1端部を有し、その流路開口部によって、製造されるべき鋳型の鋳型部分のモールドキャビティの複数の領域への接続が確立される。鋳造中に鋳型のモールドキャビティへ充填される金属量の一部は、当該流路開口部を通ってフィーダインサートのフィーダキャビティ中へ流入する。金属が鋳型内で固まると、フィーダインサート内にあって、液体状態に保たれている金属は、鋳型へ戻るように流れ得る。この態様で、鋳型部分の収縮が補償され得る。
【0003】
フィーダ本体は、第2端部を有し、当該第2端部は、第1端部の反対側に位置しており、それによってフィーダキャビティが閉鎖される。その結果、略閉鎖されたフィーダキャビティが構成される。圧縮固化(compacting)作業中に鋳型を製造するために使用される鋳型材料に作用する高圧に対抗することを可能にするために、最終の鋳型部分を形成するための鋳型材料の圧縮固化作業中に全体の高さに関して変更され得るフィーダインサートが頻繁に使用される。
【0004】
EP 1 184 104 A1 には、金属の鋳造において使用するためのフィーダインサートが開示されており、そのフィーダインサートは、フィーダ本体及びフィーダ要素を有し、フィーダ本体及びフィーダ要素の複数の部分が互いに入れ子式に移動されることが可能である。それゆえ、圧縮固化作業中、フィーダ本体及びフィーダ要素は、互いに対して動かされる。このフィーダインサート自体が、実際に証明されている。
【0005】
一方、一体型フィーダインサートが、DE 20 2012 102 546 U1 から知られている。このフィーダインサートは、特に、フィーダ要素とフィーダ本体とが一部品として(すなわち単一ピースとして)形成されている点で、EP 1 184 104 A1 による前述のフィーダインサートとは異なる。これは、個々の要素、特にEP 1 184 104 A1 に記載されたフィーダインサートの保持要素、が破損してしまって鋳型用砂と混合してしまうことを防止することを意図している。また、これは、生産を簡素化することを意図している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このフィーダインサートが同様に機能する場合であっても、前記のタイプのフィーダインサートを改良するニーズがある。特に、このようなフィーダインサートの製造を容易化し、断熱効果を向上させるニーズがある。特定の幾何形状、特に球形に似た形状が、フィーダキャビティ内に収容された液体金属をできるだけ長い間高温の液体状態に維持するのに最適である、ことが示されている。しかしながら、そのようなフィーダインサートは、従来の手段を用いると、多大な費用をかけてしか製造され得ない。このため、本発明の1つの目的は、この解決策を提供することである。そのようなフィーダを製造するためのプロセスは、例えば、DE 10 2015 115 437 A1 に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述のタイプのフィーダインサートに対して、本発明は、フィーダ本体が、中心軸の方向に延在する少なくとも1つのパーティション面(仕切り面)で分離され、フィーダ本体が、少なくとも第1フィーダシェルと第2フィーダシェルとから形成され、第1フィーダシェルと第2フィーダシェルとが互いに連結されて当該フィーダ本体を形成する、という特徴によって前記目的を解決する。
【0008】
本質的に円筒形状を有する典型的なフィーダでは、中心軸は当該円筒体の中心軸である。当該中心軸は、回転対称の軸であり得るが、これは必須ではない。当該中心軸は、流路開口部を通って延在し、流路開口部の中心軸を形成する。これは、液体金属が出入りする際に、当該中心軸が流路開口部を通る流れ方向に存在することを意味する。
【0009】
フィーダ本体は、中心軸の方向に延在する少なくとも1つのパーティション面に沿って分離される。パーティション面は、中心軸を含み得るし、あるいは、それと平行にオフセットされていてもよい。また、フィーダ本体は、2つまたはそれ以上のパーティション面で分離され得て、これらのパーティション面は、互いに角度をなして配向され得る。例えば EP 1 184 104 A1 から公知のフィーダインサートが水平方向に分離されるのとは対照的に、本発明によるフィーダインサートは鉛直方向に分離される。フィーダ本体は、2つまたはそれ以上のフィーダシェル、特には第1フィーダシェルと第2フィーダシェル、によって形成される。フィーダシェルは、フィーダ本体を形成するために組み合わされ、接合され、フィーダキャビティを規定して境界付ける。
【0010】
このようにして、フィーダ本体を2つまたはそれ以上のフィーダシェルに細分化することにより、複雑な幾何形状のフィーダ本体が容易に製造され得る。特に、フィーダ本体は、例えばロストコア技術などによってフィーダキャビティを内部に形成することなく、中心軸の方向にアンダーカットを構成し得る。フィーダシェルを鉛直方向に分離される2つの半部に分割することは、他の点においては、フィーダシェルが一体化して製造されることを許容する。
【0011】
第1及び第2フィーダシェルの互いの接続は、フォームフィットまたは物質同士の接合によって行うことができる。例えば、接着剤、例えばホットメルト接着剤ドット等の接着剤ドット、が第1及び第2フィーダシェルに塗布され得る。フィーダインサートは、使用中、実質的に中心軸の方向に負荷がかかるので、第1及び第2フィーダシェルの連結は、特に大きな力に耐える必要はない。
【0012】
第1の好ましい実施形態では、第1及び第2フィーダシェルを互いに連結するために、第1フィーダシェルは第1パーティション面を有し、第2フィーダシェルは、第1パーティション面に対応する第2パーティション面を有する。第1及び第2パーティション面は、フィーダ本体を形成するためにフィーダシェルが互いに対して配置される面である。第1及び第2パーティション面は、実質的にまたは完全に平坦であり得る。これは、第1及び第2フィーダシェルが、好ましくは接着剤によって、互いに接着される場合に、特に好ましい。
【0013】
好ましい更なる実施形態では、第1フィーダシェルは、少なくとも1つの第1突出部と少なくとも1つの第1凹部とを有し、第2フィーダシェルは、少なくとも1つの第2突出部と少なくとも1つの第2凹部とを有し、第1及び第2フィーダシェルを連結するために、第1突出部は第2凹部に係合し、第2突出部は、第1凹部に係合する。好ましくは、第1及び第2の突出部及び凹部は、第1及び第2パーティション面に形成される。あるいは、第1フィーダシェルは突出部のみを有し得て、第2のフィーダシェルは凹部のみを有し得る。例えば、第1パーティション面に1または複数の第1突出部が設けられ得て、第2パーティション面に第1突出部に対応する1または複数の第1凹部が設けられ得る。突出部及び凹部によって、第1及び第2フィーダシェルは互いにポジティブに連結(確動連結)され得る。従って、突出部及び凹部は、第1及び第2フィーダシェルを積極的に連結するためのポジティブロック要素を共同で形成する。
【0014】
突出部と凹部とは、突出部が対応する凹部内でクランプし、第1及び第2フィーダシェルがこのクランプのみによって一緒に保持されるように、設計され得る。この目的のために、突出部は、対応する凹部に対して僅かにオーバーサイズで形成され得て、一般に円錐形または切頭円錐形(錐台形)であり得て、クランプレッジ、クランプナブまたはクランプリッジのようなクランプ要素を有し得て、及び/または、何らかの種類の返し部(barb)を有し得る。そのような返し部は、金属で形成され得て、それぞれのフィーダシェルのシューティング中(射出中)またはその後に、それぞれの突出部上に配置され得る。更に、1若しくは複数の突出部の周囲及び/または1若しくは複数の凹部内に、何らかの種類のクランプリングを配置することも可能であり、それは、突出部と凹部とが一緒にクランプすることを可能にする。
【0015】
更に好ましい実施形態では、第1及び第2フィーダシェルは、1または複数のピンによって連結され得る。この目的のために、第1及び第2フィーダシェルは、対応する第1及び第2ピン受容部を有し、これらのピン受容部は、例えば、盲孔(止まり孔)または貫通孔として形成され得る。ピンが、対応する孔の中に延在するように配置され得て、ポジティブロック、及び/または、圧力嵌め、及び/または、物質と物質との接合態様、によってそこに保持され得る。特に簡単な解決策は、最初に第1フィーダシェルのピン受容部に載置され、第2フィーダシェルとの連結中には第2フィーダシェルの第2ピン受容部内に入る、木製ピンを使用することである。木製ピンの代替品として、ピンは、他の材料、好ましくは、成形コンパウンド、金属、プラスチック、紙、段ボール、から選択される材料、で製造され得る。ピンは、中実であっても、部分的に中空であってもよい。
【0016】
好ましくは、20mm以下、15mm以下、10mm以下、5mm以下、または、3mm以下、の範囲の間隔が、隣接する各2つの突出部または凹部の間に設けられる。好ましくは1mm刻みでの中間の範囲も、設けられる。突出部または凹部は、第1及び第2パーティション面に沿って設けられる。これらは、係合時、フィーダキャビティから半径方向外側にバリアを形成する。完全に平坦なパーティション面が設けられている場合、隣接するパーティション面の間にギャップ(隙間)が形成され得て、フィーダ本体の内部から半径方向外側への直線通路を形成し得る。使用時には、ここに液体金属が溜まり得て、これが、鋳造工程でいわゆるフィンを発生させ得る。係合する突出部及び凹部はこれを遮断し、フィンが短いことを保証し、すなわち、隣接する2つの突出部または凹部間の間隔と同程度の長さだけにする。更に、2つのフィーダシェル間に直接の通路がないため、より良好な断熱性が生成される。
【0017】
好ましい実施形態によれば、中心軸に沿って測定して、合計で、50%以下、40%以下、35%以下、または、30%以下、の部分(セクション)に、突出部または凹部が存在しない。突出部または凹部が存在しない部分は、好ましくは、第1フィーダシェルと第2フィーダシェルとの間の直接の通路を最小化するように、可能な限り小さく選択される。突出部は、好ましくは、その中でフィーダシェルが製造された中子型の入口開口を貫く残留材料の材料付属物を完全には除去しないことによって、形成される。フィーダインサート、従って本発明のフィーダシェルも、いわゆる中子型内で成形材料から射出される。中子型は、成形キャビティを有する型であり、その内部に空気圧によって成形材料が導入される(すなわち、射出される)。このような中子型は、一般に、成形材料を導入するために、いわゆるショットノズルが接続される、少なくとも1つの(通常は複数の)注入口を有する。これらの注入口は、成形キャビティと完全な面一にすることができないため、そこに材料付属物が形成される。これらを完全には除去しないことにより、フィーダシェルは、第1及び第2フィーダシェルをポジティブに連結(確動連結)するための、本発明の範囲内の突出部として使用され得る突出部を有する。これにより、製造工程が更に簡素化され、作業工程の一部または全部を省略し得る。
【0018】
第1及び第2フィーダシェルを連結状態で一緒に保持するために、好ましくは、フィーダ本体を部分的にまたは完全に周方向に取り囲む保持スリーブが設けられる。これは、フィーダシェルが、例えば突出部と凹部との係合によって、互いにポジティブに連結されるのみである場合に、特に好ましい。保持スリーブは、好ましくは、輸送及び使用時の取り扱いを簡単化するべく、フィーダシェルを互いに固定するために設けられる。保持スリーブがフィーダ本体を完全に取り囲んでいる場合、特に簡単である。もっとも、保持スリーブは、フィーダ本体を部分的にのみ取り囲む場合もあり得て、この目的のために、第1及び第2フィーダシェル上に、対応するホルダが設けられ得る。
【0019】
好ましくは、保持スリーブは、紙スリーブ、プラスチックスリーブ、エラストマースリーブ、ゴムスリーブ、金属スリーブ、再生可能材料から形成された保持スリーブ、実質的に残留物のない可燃性材料から形成された保持スリーブ、または、それらの組み合わせ、として形成される。紙スリーブは、例えば飲料ボトルラベルから知られているように、単片であり得るか、あるいは、接着剤ボンドによって閉じられる紙ストリップとして形成され得るか、あるいは、接着剤ボンドによってフィーダ本体に取り付けられ得る。プラスチックスリーブは、特に、できるだけ少ない材料を使用するために、プラスチックフィルムとして形成され得る。エラストマーやゴムのスリーブは、好ましくは、張力下でフィーダ本体を好ましくは完全に取り囲むバンドとして、設計される。
【0020】
金属スリーブまたはプラスチックスリーブが、単一ピースまたは複数ピースの、オープンリング、またはクローズドリング、またはパーシャルリング、として設計され得る。例えば、クローズドの金属製またはプラスチック製のリングが、組み立てられたフィーダシェル上に上方から単純に滑り込まれ得て(嵌め込まれ得て)、それらを互いに固定し得る。代替的に、ホースクランプの態様の金属リングが使用され得て、2つのフィーダシェルを互いに固定し得る。例えば実質的にC字形であり得るオープンリングが、クランプの要領で、中心軸に対して横方向に第1及び第2フィーダシェル上にスライドされ得る。このようなパーシャルリングは、第1及び第2フィーダシェルを一緒に保持するのに十分な張力を有する他の材料で形成されてもよい。
【0021】
再生可能材料で製造される保持スリーブは、紙スリーブと実質的に同様であり得て、例えば、麻のような繊維状材料から形成され得る。当該保持スリーブは、前述のタイプの1つであって、好ましくは、実質的に残留物(残渣)のない可燃性であるように設計される。これにより、鋳型内の鋳型用砂をデブリのない状態に保つことができる。
【0022】
保持スリーブのより良好な保持のために、保持スリーブを受容するための周方向凹部が、フィーダ本体上に設けられ得る。当該周方向凹部は、第1及び第2フィーダシェル上に延在し、例えば周方向溝として形成され得る。代替的には、フィーダ本体上に周方向に延在する保持リッジ(保持棚部)が設けられ得て、保持スリーブがフィーダ本体の軸方向の少なくとも一方に滑り落ちるのを防止する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、フィーダキャビティは、少なくとも1つのアンダーカットを有する。アンダーカットという用語は、好ましくは、フィーダ本体が一部品で製造される場合に成形コアがそこから除去されなければならない流路開口部を指す。好ましくは、アンダーカットは、中心軸の方向に理解されるべきである。好ましくは、フィーダキャビティは、部分球形または球形である。体積に対する表面積の比が特に有利であるため、球形は、フィーダキャビティ内に受容される液体金属の特に長い温度持続性をもたらす、ということが知見されている。この比率が小さければ小さいほど、すなわち、表面積に対する体積の比率が小さければ小さいほど、フィーダキャビティ内に受容された液体金属はすぐに冷えてしまい、鋳造中の成形部品の収縮を十分に補償することができなくなる。このような鋳型は、フィーダキャビティに対して小さな流路開口部を必要とし、この流路開口部は、フィーダ本体の外側から始まって、フィーダ本体の内側、すなわちフィーダキャビティ内で広がる。この結果、アンダーカットが発生する。本発明によれば、このようなフィーダ本体は、2つのフィーダシェルから形成され得る。これによって、これらのフィーダシェルは、好ましくは、アンダーカットがなく、製造が容易である。例えば、部分球形のフィーダキャビティが、2つのフィーダシェルによって形成され得て、これらのフィーダシェルは、内部に当該部分球形の半球を画定し得て、各々それぞれアンダーカットがなく、従って、製造が容易である。
【0024】
好ましい更なる発展形態では、フィーダ本体は、流路開口部に向かってテーパを有しており、それによってフィーダネックを画定している。好ましくは、フィーダ本体は、流路開口部が円形である場合、流路開口部に向かって実質的に切頭円錐形状にテーパ状である。もっとも、フィーダ本体が細長い円錐形に似るように、流路開口部を細長くすることもできる。これにより、ノッチが形成され得て、それは、金属の凝固の後、その中で硬化しているであろう金属と共にフィーダインサートを取り外すことを容易化する。
【0025】
更なる好ましい実施形態では、フィーダ本体は、当該フィーダ本体を流路開口部を有するベース部と中心軸に沿った同軸キャップ部とに分割する少なくとも1つの周方向脆弱部を備え、中心軸の方向に力が加えられる時、当該フィーダ本体は当該脆弱部において破断可能であり、ベース部とキャップ部とは入れ子式に互いの部分内に変位可能である。これにより、入れ子式のフィーダインサートが形成され得る。流路開口部を有するベース部は、鋳型または鋳型ボックスに固定配置される。鋳型内に鋳型用砂が充填される時、フィーダ本体上にかかる圧力が上昇し、キャップ部(フィーダインサートの従来の向きではベース部の鉛直上方に配置されている)が押し下げられる。フィーダ本体は、脆弱部で破断し、キャップ部は、下方に移動する。この場合、ベース部がキャップ部内に入り込むか、あるいは、キャップ部がベース部内に入り込む。最も単純なケースでは、ベース部がキャップ部内に入り込む。この目的のために、ベース部は、キャップ部の内径よりも僅かに小さいかそれに等しい外径を有することが望ましい。脆弱部は、壁厚(肉厚)を低減された部分、複数の穿孔を有する部分、別個に形成されたベース部とキャップ部との間のクランプ、または、他の態様の壊れやすい接続部、として形成され得る。
【0026】
更なる実施形態では、中心軸の方向に延在するカラーを有する金属製アタッチメントが、流路開口部の周りのフィーダ本体上に配置される。このような金属製アタッチメントは、ブレーカーコアとも呼ばれ得て、フィーダインサートと金型との間の取り付け点において金属を更に収縮させるように作用する。カラーは、フィーダインサートの取り付け面積を低減し、フィーダインサートの金型上への配置を更に容易化する。金属製アタッチメントは、更に、第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルを互いに固定するために使用可能である。この目的のために、金属製アタッチメントは、好ましくは、少なくとも部分的に、半径方向に第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルを取り囲み、それらの連結を固定する。
【0027】
第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルは、実質的に同一に形成されることが、更に好ましい。それらは、完全に同一に形成され得る。突出部と凹部とを適宜に配置することにより、2つのフィーダシェルを形成するために、同一の部品を使用することが可能であり、2つの異なる金型を提供することが不要である。また、このようにすることで、組み立てが簡素化される。
【0028】
フィーダ本体上にセンタリングピン先端部のための受容部として少なくとも1つの凹部を設けることによって、フィーダインサートを受け入れる鋳型モデルまたは鋳型板に対するフィーダインサートの位置安定性及び/または所望のアライメントが、単純な方法で維持され得る。更に、鋳型を構成する鋳型材料の圧縮固化作業の最中、フィーダ本体またはキャップ要素の案内が、フィーダ本体上に設けられた凹部によってもたらされ、そのような圧縮固化作業の間、キャップ要素は、ベース要素に対して、それゆえセンタリングピンに対して、動かされ得る。
【0029】
好ましい更なる発展形態では、センタリングピン凹部は、フィーダキャビティに向けて配向された挿入用面取り部を有する。これは、ボールフィーダとして設計されたフィーダ本体に、特に有利である。挿入用面取り部は、センタリングピンがより容易に当該凹部に入ることを許容して、当該凹部の周囲の材料の欠けや破損が防止され得る。欠けた材料は、フィーダで受容される液体金属を汚染し得て、鋳造部品の品質を低下させ得るであろう。また、特に、これは、フィーダインサートのロボット案内配置を容易化する。
【0030】
本発明の1つの好ましい更なる発展形態によれば、フィーダ本体は、少なくとも部分的に、発熱性熱質量を含む。このような発熱性熱質量のおかげで、フィーダキャビティ内での液体金属の凝固のふるまいは、狙い通りに影響を受け得る。フィーダ本体が発熱性質量で構成されているまたは後者をより多く含むほど、フィーダインサート中にある液体金属は前記発熱性質量によってより長く液体に保たれ得て、それゆえ、鋳造部分への補充作業をより長くすることが可能になる。フィーダ本体は、好ましくは、所定の複数の点でまたは部分的に、このような発熱性質量を備える。
【0031】
好ましくは、フィーダインサートは、約0.5cm~約9cmの範囲、更に好ましくは約1.2cm~約2.6cmの範囲、のモジュラスを有する。容積と熱を出力する表面積との間の、約0.5cm~約9cmという示された比は、好ましくは、フィーダインサートを具体化し、それにより、製造されるべき鋳造部分の良好な密封性の供給が達成され得る。本発明の1つの好ましい実施形態では、本発明によるフィーダインサートのモジュラスは、約1.2~約2.6cmの範囲内にある。
【0032】
更なる実施形態では、フィーダインサートは、流路開口部を取り囲むフィーダ本体上に配置され、第1フィーダシェルと第2フィーダシェルとを互いに連結する金属製アタッチメントを備える。2つのフィーダシェルは、金属製アタッチメントによってのみ、互いに保持されてもよいし、金属製アタッチメントが付加的に設けられてもよい。金属製アタッチメントは、好ましくは、例えば深絞り加工によって一体的に形成されてもよい。
【0033】
好ましくは、金属製アタッチメントは、少なくとも1つの第1ラッチ要素を有し、フィーダ本体は、金属製アタッチメントがフィーダ本体にラッチ(係止)され得るように、第1ラッチ要素に対応する少なくとも1つの第2ラッチ要素を有する。例えば、金属製アタッチメントは、フィーダ本体に形成されたラッチ凹部にポジティブに係合可能な突出部を有する。特に好ましくは、金属製アタッチメントは、バヨネットキャッチの要領でフィーダ本体に固定され得る。
【0034】
好ましい実施形態によれば、フィーダインサートは、鉛直方向に分離可能な鋳型における金属の鋳造において使用するために提供され、前記フィーダ本体は、中心軸に沿って位置決めされ得るセンタリングピンによって位置決めされるように設計されており、前記フィーダキャビティは、前記中心軸の水平方向の配置の場合、当該フィーダキャビティの主要な容積割合が、前記中心軸の上方に位置決めされ得るように構成される。本発明による対応するフィーダインサートは、1つの好ましい実施形態では、サイドフィーダとして使用され得て、そのおかげで、鋳型へのその上側からの慣習的な高密度供給の代わりに、鋳型のサイド領域に存在する鋳型の重要な領域も補充され得る。本発明によるフィーダインサートの好ましい実施形態によれば、フィーダ本は、フィーダ本体の中心軸に対して非対称的な形態であり、その中心軸は、好ましくは、フィーダ本体上の流路開口部または当該流路開口部を通ってフィーダキャビティ内へ突出するセンタリングピンによって画定される。
【0035】
本発明によるフィーダインサートの一実施形態によれば、フィーダキャビティの非対称的な形態は、フィーダ本体の中心軸に対して、当該中心軸の一方の側でのフィーダ本体の不均一な形態によって、達成される。このように構成されるフィーダインサートを使用した、対応する高シール性の供給のために、フィーダインサートは、鋳型モデルまたは鋳型板で好ましい方向に位置決めされる。更なる改良形態では、フィーダ本体が、フィーダキャビティを規定するその内側に奇数の材料ウェブを有し、中心軸の水平方向配置の場合、中心軸の上方よりも中心軸の下方により多数の材料ウェブが配置される。
【0036】
更に好ましい実施形態では、フィーダ本体は、発熱性フィーダ材料から形成されるか、または、少なくとも部分的に発熱性フィーダ材料を有する。代替的または付加的に、フィーダ本体は、断熱性フィーダ材料から形成されるか、または、少なくとも部分的に断熱性フィーダ材料を有する。代替的または付加的に、フィーダ本体は、金属、プラスチック、板紙、それらの混合物、及び、それらの複合材料(コンポジット)、からなる群から選択される材料で形成されるか、または、当該材料を有する。
【0037】
発熱性フィーダ材料を使用することによって、フィーダインサート内にある金属が当該発熱性フィーダ材料によって比較的長期間にわたって液体状態に保たれ得るため、高レベルの経済効率と、特に、鋳造プロセス中の良好なシール性の(密封を維持した)供給と、が達成される。一方、結合剤を使用して結合される鋳型用砂、特にケイ砂、もまた、簡単にフィーダ材料として使用され得る。一方、鋳型要素の少なくとも複数の部分を構成するために、発熱性材料が好ましくは頻繁に使用される。フィーダインサートの幾つかの領域が、異なる特性(発熱性または断熱性)の異なる材料から形成され得る。代替例として、フィーダ本体は、発熱性構成部分と断熱性構成部分とを備える均質材料混合物から形成され得る。
【0038】
本発明の別の態様は、前述の好ましい実施形態のいずれかによるフィーダコアを製造するための方法であって、中子型内で第1フィーダシェルを射出(シュート)する工程と、前記中子型内または別の中子型内で第2フィーダシェルを射出する工程と、第1及び第2フィーダシェルを連結してフィーダ本体を形成する工程と、を備えた方法に関する。第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルを中子型内に射出する工程は、同時または実質的に同時に行われ得る。また、第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルは、同一の射出(ショット)型内で、交互に1つずつ、または、それぞれ順次に、形成され得る。これは、第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルが実質的に同一に形成される場合、特に好ましい。前述のように、第1フィーダシェル及び第2フィーダシェルを連結してフィーダ本体を形成することは、ポジティブロックによっても、物質同士の接合によっても、実施され得る。
【0039】
本方法は、好ましくは、前記中子型の入口開口によって形成される材料付属物を除去しないかまたは完全には除去しないことによって、前記第1フィーダシェル上に少なくとも1つの第1突出部を形成する工程、を更に備える。当該突出部を形成するために、材料付属物は、部分的に除去され得るか、あるいは、部分的または完全に円滑化され得る。代替的に、突出部が、フィーダシェル上に別途追加的に形成され得る。
【0040】
本方法は、第1及び第2フィーダシェルの周りに周方向に保持スリーブを配置する工程、を備えることが更に好ましい。一方で、保持スリーブを配置する工程は、予め形成された保持スリーブを中心軸とほぼ同軸にフィーダ本体上に被せる工程を有し得る。この点で、第1及び第2フィーダシェルの周りに周方向に保持スリーブを配置する工程は、好ましくは、保持スリーブを組み立てるまたは提供する工程を有する。前述のように、保持スリーブは、様々な材料で形成され得る。もっとも、第1及び第2フィーダシェルの周りに周方向に保持スリーブを配置する工程は、保持スリーブを製造する工程を有し得る。例えば、既に互いに連結されている第1及び第2フィーダシェルの周囲に紙ストリップ(帯状の紙)が巻き付けられ、保持スリーブが第1及び第2フィーダシェルの周囲に配置される時にこの態様によって保持スリーブが組み立てられる、ということが考えられ得て、好ましい。この場合、第1及び第2フィーダシェルの周りに保持スリーブを配置する工程は、第1及び第2フィーダシェルの周囲に(ひいては中心軸周りに)材料を巻き付ける工程を含む。
【0041】
更なる実施形態では、第1及び第2フィーダシェルを連結する工程は、少なくとも1つのピン受容部内にピンを挿入する工程を有し、当該ピンは、好ましくは、成形コンパウンド、金属、プラスチック、紙、または、厚紙(段ボール)、からそれぞれ形成される。当該ピンは、好ましくは、鋳型穴内またはピン受容部内に挿入され得るように形成され、その結果、プレス後に2つのフィーダシェルを互いにしっかりと連結する。複数のピンが、同様に設けられ得る。
【0042】
以下、本発明の実施の形態が、図面を参照して説明される。これらは、必ずしも実施形態を縮尺通りに示すことは意図されておらず、むしろ、説明に有用な場合には、図面は、概略化された及び/または僅かに歪められた形態である。図面から直接的に認識可能な教示についての追加に関しては、関連する従来技術が参照される。本発明の精神から逸脱することなく、実施形態の形状及び詳細に関する様々な修正及び変更がなされ得ることが、理解されるべきである。本明細書、図面、及び、特許請求の範囲に開示される本発明の特徴は、単独でまたは組み合わせて考慮される本発明の更なる発展形態にとって本質的なものであり得る。更に、本明細書、図面、及び/または、特許請求の範囲に開示される特徴の少なくとも2つの組み合わせの全てが、本発明の範囲に含まれる。本発明は、以下に示され説明される好ましい実施形態の正確な形態または詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲の主題と比較して限定され得る主題に限定される。指定の範囲については、指定された範囲内の値もまた、限定値として開示されていて、所望のように使用され特許請求されることが可能であることが意図されている。簡単のため、以下では、同一または類似の部分、あるいは、同一または類似の機能を有する部分、には同一の参照符号が使用される。
【0043】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細が、好ましい実施形態についての以下の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】第1の実施形態によるフィーダインサートの断面を示す。
図2】第1の実施形態の2つのフィーダシェルの斜視図を示す。
図3a】非圧縮状態にある、図1によるフィーダインサートの断面図を示す。
図3b】圧縮状態にある、図1によるフィーダインサートの断面図を示す。
図4a】非圧縮状態にある、第2の実施形態によるフィーダインサートの断面図を示す。
図4b】圧縮状態にある、図4aによるフィーダインサートの断面図を示す。
図5a】非圧縮状態にある、第3の実施形態によるフィーダインサートの断面図を示す。
図5b】圧縮状態にある、図5aによるフィーダインサートの断面図を示す。
図6a】非圧縮状態にある、第4の実施形態によるフィーダインサートの断面図を示す。
図6b】圧縮状態にある、図6aによるフィーダインサートの断面図を示す。
図7】第5の実施形態によるフィーダインサートの断面図を示す。
図8】第6の実施形態によるフィーダインサートの斜視図を示す。
図9図8によるフィーダインサートの断面図を示す。
図10a】第6の実施形態のフィーダインサートと共に使用される金属製アタッチメントの断面図を示す。
図10b図10aの金属製アタッチメントの斜視図を示す。
図11】第7の実施形態によるフィーダインサートの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、鋳型(詳細には図示せず)での金属の鋳造に使用される、本発明による第1の実施形態のフィーダインサート1を示す。フィーダインサート1は、フィーダ本体2を備え、当該フィーダ本体2は、液体金属を受け入れるためのフィーダキャビティ6を画定している(境界を定めている)。フィーダ本体2は、液体金属のための流路開口部8が設けられている第1端部6を有する。フィーダ本体2は、更に、第1端部6の反対側に位置する第2端部10を有し、フィーダ本体2の第2端部10は閉鎖されている。
【0046】
図1に示される実施形態では、鋳型板14または鋳型モデル上に配置されたセンタリングピン12が、フィーダ本体2内に挿入されている。センタリングピン12は、フィーダインサート1の正確な位置を保証するように機能する。但し、センタリングピン12は、フィーダインサート1自体の一部ではなく、鋳型製造中にフィーダインサート1を位置決めする役割を果たすだけであり、鋳造鋳型の少なくとも1つの鋳型部分の製造後には取り外される。図1に示される例示的な実施形態では、センタリングピン12のセンタリング先端部16が、フィーダ本体2の第2端部10を貫通して延在している。もっとも、これは絶対に必要ではなく、センタリング先端部16を有するセンタリングピン12は、フィーダー体2の内部で終端してもよい。
【0047】
フィーダ本体2は、更に、中心軸Zを有する。当該中心軸Zは、図1では鉛直方向に流路開口部8の中心を通って延びている。図1によるフィーダインサート1では、当該中心軸Zは、更に、センタリングピン12のセンタリング軸と一致している。フィーダインサート1は、パーティション面Eに沿って分割されており、当該パーティション面は、図1では図面面内に延在しており、従って中心軸Zに対して平行であって当該中心軸Zを含んでいる。フィーダ本体2は、第1フィーダーシェル18及び第2フィーダーシェル20(図2参照)から形成され、これらは互いに連結され得て、フィーダ本体2を形成し得る。図1による断面もまた、図面面内にあるため、図1では、第1フィーダシェルのみが視認可能である。他方、図2は、分解されたフィーダインサート1を示しており、第1及び第2フィーダーシェル18、20が視認され得る。
【0048】
フィーダインサート1またはフィーダ本体2は、それぞれ、鉛直方向に分割され、フィーダシェル18、20の各々は、別々に製造され得る。このようにして、図1に示されるような複雑な形状も、簡略化された態様で製造され得る。図1に示される例示的な実施形態のフィーダキャビティ4は、アンダーカットを有しており、当該アンダーカットは、流路開口部8から始まって、フィーダキャビティ4において広がり、第2端部10の方向に再び先細状(テーパ状)である。このようなフィーダキャビティ4を一部品のフィーダ本体2で製造可能にするためには、内部においてロストコアを使用することが必要があった。あるいは、このようなフィーダキャビティ4は、リフトオフ製造技術を用いて製造される必要があった。従来技術では、このような鋳型は、典型的には、フィーダ本体2を水平方向に分割することによって、すなわち、鉛直方向に互いから分離され得る下部フィーダ部分と上部フィーダ部分とから構成することによって、形成されていた。それにも関わらず、従来方法には(製造できる)幾何学的形状に限界があった。しかしながら、そのような限界は、本発明による鉛直方向の分割により、もはや存在しない。
【0049】
第1フィーダシェル18は、第1パーティション面19を有し、第2フィーダシェル20は、第2パーティション面21を有する。第1及び第2パーティション面19、21は、フィーダシェル18、20が共に組み立てられる時に、互いに当接するように構成されている。第1フィーダシェル18の第1パーティション面19には、3つの突出部、すなわち、1番目の第1突出部22a、2番目の第1突出部22b、及び、3番目の第1突出部22cが設けられている。更に、第1フィーダシェル18の第1パーティション面19には、1番目の第1凹部23a、2番目の第1凹部23b、及び、3番目の第1凹部23c、が更に設けられている。第2フィーダシェル20または第2パーティション面21は、それぞれ、第1フィーダシェル18または第1パーティション面19に対応し、1番目の第2突出部24a、2番目の第2突出部24b、及び、3番目の第2突出部24cを有しており、更に、1番目の第2凹部25a、2番目の第2凹部25b、及び、3番目の第2凹部25cを有している。図2から容易に理解され得るように、2つのフィーダシェル18、20の突出部と凹部とは、互いに協働し得る。2つのフィーダシェル18、20が接合される時、1番目の第1突出部22aが1番目の第2凹部25aに係合し、1番目の第2突出部24aが1番目の第1凹部23aに係合する。残りの凹部及び突出部についても同様の関係である。すなわち、2番目の第1突出部22bは2番目の第2凹部25bに係合し、2番目の第1突出部24bは2番目の第1凹部23bに係合し、3番目の第1突出部22cは3番目の第2凹部25cに係合し、3番目の第2突出部24bは3番目の第1凹部23cに係合する。
【0050】
第1の実施形態の第1及び第2フィーダシェル18、20(図1乃至図3b参照)は、更に、当該フィーダシェル18、20が同一に形成されていることを特徴とする。これは、突出部と凹部との巧みな配置によって実現され得る。結果として、同一の部品が使用され得て、フィーダシェル18、20は、同一のコアシューティングマシンにおいて製造され得る。
【0051】
突出部22a~22c、24a~24c及び凹部23a~23c、25a~25cは、共に、第1及び第2フィーダシェル18、20を結合できるポジティブロック要素として作用する。図1に示される例示的な実施形態では、第1及び第2フィーダシェル18、20の接合位置を維持するために、保持カラー26が更に設けられている。保持カラー26は、当該保持カラー26の軸方向の位置を固定するために、周方向凹部28内に受容されている。もっとも、当該凹部28は必須ではなく、図2に示される例示的な実施形態では設けられていない。例えば、保持カラー26は、紙、ゴム、エラストマー材料、金属、または、他の材料、で形成され得る。保持カラー26は、特に大きな力に耐える必要はなく、第1及び第2フィーダシェル18、20が輸送中や鋳型板14上での位置決め中に分離するのを防止する役割を果たすだけで足りる。好ましくは、保持スリーブ26は、鋳造プロセス中に残渣(残留物)なく燃焼する材料で形成される。この態様では、フィーダインサート1を取り囲む鋳型用砂が、他の材料の残渣がない状態に維持され得る。
【0052】
様々な突出部22a~22c、24a~24c及び凹部23a~23c、25a~25cが、第1及び第2パーティション面19、21上に配置されており、これらの要素のうちの隣接するもの同士の間の距離Aが、所定の値より大きくならないように、好ましくは20mmより大きくならないように、配置されている(図1参照)。いわゆるフィン(の生成)を回避するためには、当該距離は短ければ短いほどよい。図1及び図2から容易に推測され得るように、流路開口8からフィーダキャビティ4に入る液体金属は、パーティション面19、21の間を流れ得て、そこからフィーダインサート1の外側に向かって流れ出る可能性がある。しかしながら、突出部と凹部との相互係止(インターロック)によって、所定のバリアが形成される。一方で、これは、フィーダキャビティ4から外部への熱輸送を防止するためにも有利であり、他方で、これは、材料の流れを遮断してフィン(すなわち、第1及び第2パーティション面19、21の間に残る凝固金属)が形成されないことを保証するためにも有利である。これらの面がより短いほど、鋳造工程にとっては有利である。同様に、相互係止要素(すなわち、突出部及び凹部)ができるだけ大きな面積を占めることが好ましい。図1及び図2から推測され得るように、軸方向の(すなわち、中心軸Zに沿って見た)第1及び第2パーティション面19、21のフリー面積(すなわち、突出部または凹部がない面積)は、比較的小さく、好ましくは、フィーダ本体2の全長に関して測定して、50%未満である。これはまた、断熱性の向上にもつながり、フィンの形成を防止する。
【0053】
更に、本実施形態によるフィーダインサート1は、いわゆる入れ子式フィーダとして形成されて、脆弱部30を備えている。当該脆弱部30において、フィーダ本体2は破断され得て圧縮され得る。これは、特に、図3a及び図3bを参照して示される。従って、フィーダ本体2は、ベース部32とキャップ部34とから構成され、これらは脆弱部30によって互いから分離されている。脆弱部30は、図1乃至図3bから容易に推測され得るように、壁厚(肉厚)が低減された部分として形成されている。ベース部32は、第2直径D2(キャップ部34の領域におけるフィーダキャビティ4の内径)と等しいかそれより小さい第1外径D1を有する。このような態様により、脆弱部30が破断する時、ベース部32はキャップ部34内に没入し得る。
【0054】
図3aに示されるように、フィーダインサート1が鋳型用砂36に包まれて、図3bに示されるように、当該鋳型用砂36が圧縮される時、特にフィーダ本体2の第2端部10に力Fが作用して、センタリングピン先端部16が当該第2端部10を突き破り、キャップ部34がベース部32に向かって下方に移動する。ベース部32は固定されている(すなわち、鋳型板14に当接している)ので、フィーダ本体2の材料は脆弱部30の領域で破断し、キャップ部34がベース部32の上方に押し込まれる。結果として、フィーダキャビティ4の容積が減少する。
【0055】
また、ベース部32は、僅かに円錐形をしている。これは、その外面38及び内面40の両方において、流路開口部8に向かって先細状(テーパ状)になっている。この態様で、狭窄部が形成され得て、鋳造工程完了後にフィーダキャビティ4内に位置する凝固金属が、容易に叩き落とされ得る。テーパは、ノッチエフェクトを有するノッチを形成する役割を果たす。更に、テーパ状であること、特に外面38がテーパ状であることは、フィーダインサート1のより小さなフットプリントを提供する。
【0056】
図1に示される例示的な実施形態は、脆弱部30を示しているが、脆弱部30が設けられていない場合には、テーパ付きのベース部32を有するこのようなフィーダインサート1も好適であり、本明細書に開示される、ということが理解されるべきである。
【0057】
図4a及び図4bは、本発明の第2の実施形態を示す。この場合も、フィーダインサート1’は、液体金属を受け取るためのフィーダキャビティ4’を画定するフィーダ本体2’を備える。同一及び類似の要素は、第2の実施形態では、アポストロフィ(’)付きの符号で示されている。特に、第1の実施形態に対する相違点が、以下において強調される。
【0058】
第1の実施形態からの主要な相違点は、フィーダキャビティ4’が部分球状(part-spherical)に形成されている点である。本実施形態でも、フィーダ本体2’は、2つのフィーダシェル18’、20’から形成され、そのうちの1つのフィーダシェル18’のみが、図4a及び図4bに示されている。本実施形態でも、第2フィーダシェル20’は、第1のフィーダシェル18’と同一に形成されている。このことは、第1突出部22a’、第1突出部22b’、第1凹部23a’及び第1凹部23b’から容易に理解され得る。
【0059】
フィーダ本体2’の幾何形状は、特にフィーダ本体2’のキャップ部34も実質的に部分球状に形成されている点で、第1の実施形態(図1乃至図3b)のそれとは異なる。この点で、第1の突出部22a’及び第1の凹部23a’もまた、部分円弧状または弓形に形成されている。第2の実施形態(図4a及び図4b)によるフィーダインサート1’も、入れ子式フィーダとして形成されており、第1の実施形態(図1乃至図3b)のそれに対応する機能を有する脆弱部30を有する。
【0060】
球形が、特に好ましい。なぜなら、球形は、容積に対する表面積の比が特に好ましいからである。この態様では、フィーダキャビティ4に受け入れられる金属の温度が高く維持され得て、他の幾何形状の場合よりも長い時間、液体状態を維持し得る。
【0061】
第2の実施形態(図4a及び図4b)のフィーダ本体2’も、アンダーカットを有し、流路開口部8から第2端部10’の方向に始まって、フィーダキャビティ4’は最初に中心軸Zに沿って広がり、その後再び先細りになっている。フィーダにとって、球形は、(従来は)製造が特に複雑であり得るが、本発明の文脈では、2つのフィーダシェル18’、20’(に分割されていること)のために容易かつ経済的に製造され得るので、特に好ましい。
【0062】
図5a及び図5bに示される第3の実施形態は、本質的には、図4a及び図4bに示される第2の実施形態に基づいている。特に、第2の実施形態(図4a及び図4b)に対する相違点が、以下において強調される。
【0063】
第2の実施形態(図4a及び図4b)とは対照的に、第3の実施形態(図5a及び図5b)では、金属製アタッチメント42が設けられている。当該金属製アタッチメント42は、流路開口部8の周囲に配置されており、中心軸Zの方向に軸方向に延在するカラー44を有している。ここに示される実施形態では、金属製アタッチメント42は、外面38の円錐状領域を覆っているが、第1直径D1を有する円筒部分39は覆っていない。前述の原理で説明されたように、円筒部分39は、(図5bに示されるように)脆弱部30が破断する時に、フィーダ本体2’のキャップ部34内に入り込むことが意図されているため、金属製アタッチメント42はここに配置されていない方が有利である。
【0064】
突出するカラー44は、フィーダ本体2’を鋳型板14から幾らか離すと同時に、接触面積を低減させるように機能する。ここで、当該カラー44の内径は、本質的にセンタリングピン12の外径に対応する。他の全ての点で、フィーダ本体2’は、第3の実施形態(図4a及び図4b)のそれに対応する。金属製アタッチメント42は、好ましくは単一部品であり、ベース部42の円錐部分を半径方向において取り囲む(好ましくは完全に取り囲む)。この態様により、2つのフィーダシェル18’、20’が更に固定され、従って、保持スリーブ26の機能が支援される。
【0065】
図6A及び図6Bは、鋳造鋳型の側面に取り付けるために使用される、いわゆるサイドフィーダを示す。このようなサイドフィーダの場合、第1及び第2フィーダシェル18”、20”は、図6a及び図6bから容易に推測され得るように、先行する例示的な実施形態の場合のように同一に形成されることはできない。むしろ、フィーダシェル18”、20”は、パーティション面に沿って実質的に鏡面対称に形成される必要があり、且つ、突出部と凹部とが、各々、互いに相補的である必要がある。図6A及び図6Bに示される例示的な実施形態では、第1フィーダシェル18”は、1番目の第1突出部22a”、2番目の第1突出部22b”、及び、3番目の第1突出部22c”が形成された第1パーティション面19”を有する。これらは、時計回りまたは反時計回りの方向に従って、1番目の第1凹部23a”、2番目の第1凹部23b”、及び、3番目の第1凹部23c”と交互に配置されている。突出部と凹部とが交互に配置されることにより、第1及び第2フィーダシェル18”、20”の連結がより良好になる。保持スリーブ26が、ここに示される例示的な実施形態においても設けられているが、これは絶対に必要なものではない。フィーダシェル18”、20”は、例えば接着剤を介しての物質対物質の接合によって連結されてもよい。
【0066】
この場合、サイドフィーダとして形成されるフィーダインサート1”も、いわゆる入れ子式フィーダとして形成される。また、それは、脆弱部30と、ベース部32と、キャップ部34と、を有しており、ベース部32の外径は、キャップ部34の内径よりも小さいかそれに等しい。図6bは、圧縮形態を示しており、キャップ部34がベース部32に対して下方に移動して、脆弱部30が既に破断している。更に、この例示的な実施形態では、センタリングピン12も設けられており、当該センタリングピン12は、サイドフィーダとして形成されたフィーダインサート1”を鋳型板14に保持するように機能する。
【0067】
図6a及び図6bから推測され得るように、フィーダキャビティ4”の幾何形状は非常に複雑である。本発明に従って、フィーダ本体2”を、中心軸Zに平行であるかまたは中心軸Zを含むパーティション面Eに沿って、第1フィーダシェル18”と第2フィーダシェル20”とに分割することによって、この複雑な幾何形状が容易に低コストで製造され得る。
【0068】
次に、図7は、第5の実施形態によるフィーダーインサート1”’を示す。このフィーダインサート1”’は、本質的に、第2及び第3の実施形態(図4a乃至図5b)によるフィーダインサート上に配向されており、これによって、第2及び第3の実施形態とは対照的に、第5の実施形態によるフィーダーインサート1”’は、入れ子式フィーダとして形成されてはいない。このため、それは、ベース部を有しておらず、フィーダ本体2”’のみを有しており、当該フィーダ本体2”’は、本質的に、第2及び第3の実施形態によるキャップ部に対応している。それにもかかわらず、それは、特に、中心軸Z、突出部22”’及び凹部23”’を有する第1パーティション面19”’を含む第1及び第2フィーダシェル18”’、20”’(図7には第1フィーダシェル18”’のみが示されている)などの、本発明による他の特徴を有する。それは、球状フィーダと呼ばれ得て、球状または部分球状のフィーダキャビティ4”’を有する。第5の実施形態による第1及び第2フィーダシェル18”’、20”’は、互いに同一であり得る。また、保持スリーブ(図示せず)のための凹部28が設けられている。残りの特徴については、先行する実施形態が参照される。
【0069】
図8乃至図11において、参照符号は、「100」が加算された数値が用いられている。先行する実施形態と同一の参照符号が使用される時、第1の実施形態と同一の要素が指定され、この点で、前述の説明が完全に参照される。
【0070】
図8及び図9は、まず、図5a及び図5bによる例示的な実施形態に基づく第6の実施形態を示す。以下では、これが全面的に参照され、本質的に異なる点が説明される。
【0071】
図5a及び図5bの実施形態に対する第1の相違点は、図8及び図9によるフィーダ本体102が、図10a及び図10bに示すような金属製アタッチメント42と協働するように構成されている点である。図10a及び図10bに示される例示的な実施形態では、金属製アタッチメント42は、ここでは突起またはラグとして形成されている第1ラッチ要素141を有する。これらは、金属製アタッチメント42を深絞り加工する製造工程中に、直接的に設けられ得る。フィーダ本体102は、対応する第2ラッチ要素142を有し、それは、ここでは、L字型溝143の形態である。金属製アタッチメント42の第1ラッチ要素141は、バヨネットキャッチの態様で、これと協働し得る。金属製アタッチメント42は、まず、下方から軸方向に、組み立てられたフィーダシェル118、120上に載置され、この時、第1ラッチ要素141が中心軸Zと平行に整列された溝143の部分に入る。次いで、金属製アタッチメント42の第1ラッチ要素141が、溝143内に挿入される。その後、金属製アタッチメント42は、中心軸Zの回りに、図示の例示的な実施形態の場合には時計回りに、回転される。好ましくは、溝143内に狭窄部144が設けられ、溝143の前方端の前方の断面が狭くされる。この時、第1ラッチ要素141は、力を用いて狭窄部144を乗り越えるように押され得て、移動方向にその後方側へと移動され得る。これにより、金属製アタッチメント42は、逆回転に対して固定される。この態様により、輸送中の紛失がない。
【0072】
金属製アタッチメント42とフィーダ本体102、102’との間の同一タイプの連結(接続)が、図11の例示的な実施形態でも設けられている。
【0073】
第6の実施形態(図8及び図9)における別の相違点は、センタリングピン先端部16用の凹部15に挿入用面取り部17が設けられている点である。これは、フィーダインサート100がセンタリングピン12上に載置される時に、当該先端部がフィーダキャビティ104の天井に不意に当たって材料を破損させない、ということを保証する。フィーダ本体102の材料は、好ましくは発熱性材料であり、その破片がフィーダキャビティ104に入る溶融材料(溶湯)を汚染する可能性があり、これは、鋳造部品の品質の低下をもたらし得る。従って、好適な挿入用面取り部は、鋳造部品の品質を改善するように機能する。
【0074】
本明細書に示される実施形態によれば、フィーダ本体102の下方領域、具体的にはベース部32、に面取り部150が更に設けられる。このような面取り部を有しない図4a乃至図5bに示されるような実施形態では、天井から脱落した材料がベース部32の環状肩部152上に残る可能性がある、ということが実験で示された。前述されたように、この材料は、その後の鋳造工程において鋳造部品の品質に悪影響を及ぼし得る。面取り部150は、破損して離脱し得る材料が、流路開口部8に向かって落下することを許容し、それは、センタリングピン12が引き抜かれる時にフィーダキャビティ104から除去され得る。従って、面取り部150も、鋳造部品の品質を改善するように機能する。
【0075】
更に、図8及び図9の第6の実施形態では、キャップ部34の流路開口部8とは反対側の領域が平坦化され、平坦面160を有している。当該平坦面160は、輸送中にフィーダインサート100を静置することを許容する。これは、輸送及び取り扱いを簡略化する。
【0076】
図11は、図3a及び図3bの例示的な実施形態に基づくが、図10a及び図10bに示される金属製アタッチメント42を追加的に使用した、第7の例示的な実施形態を示す。詳細な説明及び利点については、前記が参照される。
【符号の説明】
【0077】
1、1’ 、1”、1”’、100、100’ フィーダインサート
2、2’ 、2”、2”’、102、102’ フィーダ本体
4、4’ 、4”、4”’、104、104’ フィーダキャビティ
6、6’ 、6”、6”’、106、106’ 第1端部
8 流路開口部
10、10’ 、10”、10”’、110、110’ 第2端部
12 センタリングピン
15 センタリングピン先端部用の凹部
16 センタリングピン先端部
17 挿入用面取り部
18、18’ 、18”、18”’、118、118’ 第1フィーダシェル
19、19’ 、19”、19”’、119、119’ 第1パーティション面
20、20’ 、20”、20”’、120、120’ 第2フィーダシェル
21、21’ 、21”、21”’、121、121’ 第2パーティション面
22a~22c 第1突出部
23a~23c 第1凹部
24a~24c 第2突出部
25a~25c 第2凹部
26 保持スリーブ
28 保持スリーブ用の凹部
30 脆弱部
32 ベース部
34 キャップ部
36 鋳型用砂
38 外面
39 円筒部
40 内面
42 金属製アタッチメント
44 カラー
141 第1ラッチ要素
142 第2ラッチ要素
143 L字型溝
144 狭窄部
150 面取り部
152 環状肩部
160 平坦面
A 距離
D1 第1直径
D2 第2直径
E パーティション面
Z 中心軸
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
【国際調査報告】