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特表2024-509102熱可塑性フレームの相互接続されたスタックを製造するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】熱可塑性フレームの相互接続されたスタックを製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240221BHJP
   B29C 45/32 20060101ALI20240221BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20240221BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20240221BHJP
   F28F 21/06 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/32
F28F3/00 311
F28D9/00
F28F21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551723
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022054627
(87)【国際公開番号】W WO2022180151
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2027649
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074305
【氏名又は名称】ダッチ・イノベーション・イン・エア・トリートメント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トリップ,フィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・レー,アルテュール
【テーマコード(参考)】
3L103
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3L103DD15
3L103DD93
4F202AA47A
4F202AD05B
4F202AD36B
4F202AG03
4F202AH05
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CB12
4F202CQ10
4F206AA47
4F206AD05B
4F206AD36B
4F206AG03
4F206AH05
4F206JA07
4F206JB12
4F206JF05
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性フレームを積み重ねて、2つの隣接するフレームの対向する側面が接触領域で互いに接触するようにフレームのスタックを得ることによって、2つの側面を有する熱可塑性フレームの相互接続されたスタックを製造する方法を対象とする。積み重ねるとき、積み重ねの長さに沿って延びる長手方向導管が形成され、接触領域において分岐導管が形成される。熱可塑性フレームの相互接続されたスタックは、プラスチック材料の加圧溶融物を細長導管および分岐導管に供給することによって得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側面を有する熱可塑性フレームの、相互接続されたスタックを製造するためのプロセスであって、 熱可塑性フレームを積み重ねてフレームのスタックを得て、2つの隣接するフレームの対向する側面が、接触領域で互いに接触するようにするプロセスにおいて、
フレームを積み重ねた結果として、およびフレーム内に存在する少なくとも1つの開口部の結果として、スタックの長さに沿って延びる少なくとも1つの長手方向導管が形成され、
フレームを積み重ねた結果として、および接触領域におけるフレームの少なくとも片側上またはその中に存在する細長溝の結果として、分岐導管が接触領域に形成され、分岐導管は長手方向導管に流体接続され、
熱可塑性フレームの相互接続されたスタックを得るためにスタックが外部手段によって共に保持されている間に、プラスチック材料の加圧溶融物が細長導管および分岐した導管に供給される、
プロセス。
【請求項2】
プラスチック材料の溶融物は、熱可塑性エラストマーの溶融物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
熱可塑性フレームは、ポリプロピレンフレーム、ポリエチレンフレームまたはポリアミドフレームである、請求項1~2のいずれかに記載のプロセス。
【請求項4】
フレームは射出成形によって得られ、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
フレームは、熱伝達シートからなるインサートを備えるインサート成形品である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
フレームはポリプロピレンフレームであり、インサートはアルミニウムシートであり、プラスチックの加圧溶融物は、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマーの加圧溶融物である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
フレームを積み重ねた結果として、少なくとも2本の長手方向導管が形成され、少なくとも2本の長手方向導管は、互いに流体接続されておらず、2本の細長導管は、それぞれ、別個の分岐導管に流体接続される、請求項1~6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
外部手段は、開位置および閉位置を有する容器であって、容器は、閉位置にあるとき、相互接続されたスタックのネガ形状である内部形状を有し、かつ、容器は、熱可塑性フレームのスタックの位置決めと、開位置にあるときの熱可塑性フレームの相互接続されたスタックの除去とを可能にし、容器には、プラスチックの加圧溶融物のための少なくとも1つの入口が設けられ、この少なくとも1つの入口は、容器が閉じた位置にあるとき、少なくとも1つの長手方向導管に流体接続される、請求項1~7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
追加のチャンバを有するスタックを得るために、スタックに追加のチャンバを追加し、容器は、追加されたチャンバを有する相互接続されたスタックのネガ型である内部形状を有し、追加された部品は、容器に供給されるプラスチック材料の溶融物によってスタックに接続される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
相互接続されたフレームのスタックは、プレート型熱交換器の一部となるように適合されている、請求項1~9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
2つの側面を有する、熱可塑性フレームの相互接続スタックであって、2つの隣接するフレームの対向する側面は、接触領域において融着によって接続される、スタック。
【請求項12】
熱可塑性フレームは、ポリプロピレンフレーム、ポリエチレンフレームまたはポリアミドフレームである、請求項11に記載のの相互接続スタック。
【請求項13】
フレームは射出成形によって得られる、請求項11~12のいずれかに記載の相互接続スタック。
【請求項14】
フレームは、熱交換シートからなるインサートを備えるインサート成形品である、請求項13に記載の相互接続スタック。
【請求項15】
フレームはポリプロピレンフレームであり、インサートはアルミニウムシートであり、融着は、熱可塑性エラストマーの加圧溶融物の存在下で、隣接するフレームの対向する側面を加圧することによって得ることができる、請求項14に記載の相互接続スタック。
【請求項16】
追加のチャンバは、スタックの側面に接続される、請求項11~15のいずれかに記載の相互接続スタック。
【請求項17】
追加のチャンバは、フレームと同じ熱可塑性材料から出来ており、融着によってスタックの側面に接続される射出成形部品である、請求項16に記載の相互接続スタック。
【請求項18】
プレート型熱交換器の一部としての、請求項14~17のいずれかに記載の相互接続されたスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの側面を有する熱可塑性フレームの、相互接続されたスタックの製造方法に関する。スタックは、プレート型熱交換器の一部として使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
このようなプロセスを欧州特許第2068107号明細書で説明する。この特許公報には、射出成形によって第1の樹脂フレームを作製する方法が記載されている。熱交換シートをフレームと組み合わせ、得られたフレームを積み重ねる。フレームは、フレームの角部を超音波溶融することによって互いに接続される。溶融樹脂が凝固すると、フレーム間の結合が生じる。
【0003】
米国特許出願公開第2018/0266774号明細書及び国際公開第2018/132014号は、インサート成形品として得られる熱交換フレームを記述している。熱交換フレームは、相互接続されたフレームのスタックを得るために、スナップ嵌め接続によって接続される。
【0004】
熱可塑性フレームの積層プロセスの問題は、スナップ嵌め接続が使用される場合、得られるスタックの強度である。超音波溶融は、複数のフレームを1つのスタックに接続するときに面倒なプロセスであるため、不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第2068107号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0266774号明細書
【特許文献3】国際公開第2018/132014号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の方法の問題を有さない、熱可塑性フレームの相互接続されたスタックを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、以下の方法によって達成される。2つの側面を有する熱可塑性フレームの。相互接続されたスタックを製造するためのプロセスであって、
熱可塑性フレームを積み重ねてフレームのスタックを得て、2つの隣接するフレームの対向する側面が、接触領域で互いに接触するようにするプロセスにおいて、
フレームを積み重ねた結果として、およびフレーム内に存在する少なくとも1つの開口部の結果として、スタックの長さに沿って延びる少なくとも1つの長手方向導管が形成され、
フレームを積み重ねた結果として、および接触領域におけるフレームの少なくとも片側上またはその中に存在する細長溝の結果として、分岐導管が接触領域に形成され、分岐導管は長手方向導管に流体接続され、
熱可塑性フレームの相互接続されたスタックを得るためにスタックが外部手段によって共に保持されている間に、プラスチック材料の加圧溶融物が細長導管および分岐導管に供給される、
プロセスである。
【0008】
本出願人らは、強固に接続されたフレームのスタックが、このプロセスによって得られることを見出した。接触領域において、隣接するフレームの材料間の融着が起こる。それによって、プラスチック溶融物は、フレームの融合表面と混合し、強力な結合をもたらす。この結合は、前述のスナップ嵌め接続よりも強い。さらなる利点は、これらの結合が水密であることであり、これは、スナップ嵌め接続を使用する場合に常に当てはまるわけではない。1つの動作を実行することによって、すなわちプラスチック材料の加圧溶融物を供給することによって、多数のフレームを同時に接続することができる。これは、各個々のフレームを成長中のスタックに接続する必要がある、従来技術の超音波溶接方法とは対照的である。
【0009】
さらなる利点は、フレームが水密に接続されることである。これは、スタックが蒸発器プレート型熱交換器の一部として使用される場合に特に有利である。このプロセスにより、蒸発が起こる空間に水を加えることができる水室を有するスタックを作ることができ、蒸発が起こらないと思われるフレーム間の空間に水が漏れることはない。そのような設計は、前述の漏出が生じるリスクなしに、そのような区画に加圧水を供給することを可能にする。
【0010】
本発明はまた、2つの側面を有する熱可塑性フレームの、相互接続されたスタックに関し、2つの隣接するフレームの対向する側面は、接触領域において融着によって接続される。
【0011】
熱可塑性フレームは、ポリプロピレンフレーム、ポリエチレンフレームまたはポリアミドフレームであってもよい。好ましくは、フレームは射出成形によって得られる。スタックが、ガス流路の1つにおいて水が蒸発するプレート型熱交換器として使用される場合、フレームはポリプロピレンフレームであることが有利である。
【0012】
射出成形されたフレームは、熱交換が行われる表面を備えてもよく、この表面は、射出成形品の一部であり、同じ熱可塑性材料で作られる。好ましくは、表面は熱交換シートであり、前述の欧州特許第2068107号明細書に記載されているように、射出成形後にフレームと組み合わせることができる。好ましくは、フレームは、熱交換シートからなるインサートを含む、オーバーモールドとも呼ばれるインサート成品である。熱交換シートは、紙シート、プラスチックシート、または好ましくは金属シートであってもよい。金属シートはアルミニウムシートであることが好ましい。このようなインサート成形またはオーバーモールド成形の例は、前述の米国特許出願公開第2018/0266774号明細書及び国際公開第2018/132014号に記載されている。
【0013】
フレームは、正方形、矩形、菱形、または六角形の形状を有してもよい。好ましくは、スタックは6つの辺を有する六角形の形状を有し、さらに好ましくは、スタックは4つの辺を有する正方形または矩形の形状を有する。
【0014】
フレームには、長手方向導管を形成するフレーム内に存在する1つの開口部が設けられる。長手方向導管は、スタックの長さに沿って延びる。分岐導管の必要な長さを最小限に抑えるために、積み重ねるときに複数の長手方向導管を形成することが好ましい。したがって、フレームには、長手方向導管を形成する複数の開口部が設けられることが好ましい。
【0015】
好ましくは、少なくとも2つの長手方向導管は、フレームを積み重ねた結果として形成され、少なくとも2つの長手方向導管は、互いに流体接続されておらず、2つの細長導管はそれぞれ別個の分岐導管に流体接続される。
【0016】
例えば、正方形または矩形の形状を有するフレームの場合、フレームのそれぞれの四隅にフレームに開口部を有することが好ましい場合がある。したがって、そのような正方形または矩形のフレームは、好適には、少なくとも4つの開口部を有する。
【0017】
スタックの両端には、各長手方向導管の端部として入口が存在する。加圧された溶融物が一方の端部でスタックに入り、反対側の端部でスタックから出ることを回避するために、長手方向導管の一方の開口部が閉じられることが好ましい。この1つの開口部のこの閉鎖は、スタックを共に保持するための外部手段によって達成されてもよい。例えば、スタックは、2つのプレートの間に保持されてもよく、加圧された溶融物が供給されるときにスタックに反力を及ぼし、それによってフレームが互いに分離することを回避する。長手方向導管の入口と整列する開口部を有する1つのプレートと、そのような開口部のない反対側のプレートとを提供することによって、長手方向導管およびその分岐導管が、加圧された溶融物を供給するだけで逃げることができないデッドエンドシステムを形成するシステムが達成される。
【0018】
長手方向導管および分岐部の形状および寸法は、プラスチック材料の溶融物がシステム全体を満たすことができるようなものである。そのような形状および設計は、プラスチック材料のそのような溶融物のための射出成形型を設計するための周知の設計規則を使用して得られるものとしてよい。
【0019】
したがって、スタックを一緒に保持するための外部手段は、スタックがその間に配置される上述の2枚のプレートであってもよい。好ましくは、外部手段は、上述の2つの壁を有するスタックを配置することができる開放容器である。加えて、スタックの側面および底部は、容器によって支持されてもよい。より好ましくは、スタックの全ての側面の支持を可能にする閉鎖容器が使用される。これは、加圧された溶融物の供給が、スタックの側面が膨張することをもたらす可能性があり、そのような支持体が、プラスチック材料の溶融物がスタックから漏出することを回避するため、有利である。この膨張に対抗するために存在する外壁を有することによって、スタックの形状を維持することができる。
【0020】
より好ましくは、容器は、開位置と閉位置とを有し、閉位置にあるときに相互接続されたスタックのネガ型である内部形状を有し、容器は、開位置にあるときに熱可塑性フレームのスタックの位置決め及び熱可塑性フレームの相互接続されたスタックの取外しを可能にし、容器には、プラスチックの加圧溶融物のための入口が設けられ、入口は、容器が閉位置にあるときに長手方向導管に流体接続される。そのような容器は、プラスチック、好ましくは金属容器であってよい。容器は、周知の積層造形法または除去造形法によって作製することができる。
【0021】
スタックの形状はまた、スタックの側面に加えられる任意の追加の1つまたは複数のチャンバを含んでもよい。適切には、上側および下側には、スタックの熱交換器フレーム間の空間の一部から水を供給又は収集するためのチャンバが設けられてもよい。これらのチャンバは、スタックの上側および下側に単一のプラスチック部品を追加することによって形成されてもよい。この部分は上側へ開口し、他の部分は下側へ開口している。追加されたチャンバは、熱を交換するガスのためのガスヘッダ及び/又はフレーム間の空間の一部から水を供給又は収集するチャンバであってもよい。この部品は射出成形部品であってもよい。好ましくは、部品は、フレームと同じ熱可塑性材料から作られる。好ましくは、追加された部品は、プラスチック材料の溶融物を容器に供給することによって、好ましくは束された部品がスタックに接続されるように、スタックに接続される。追加された外部部品を有するスタックを製造する場合、開放位置および閉鎖位置を有する容器は、相互接続されたスタックおよび1つまたは2つの追加された部品のネガ型である内部形状を有することが好ましい。その場合、溶融物の流路は、追加された部品の側面をスタックの側面に接続するようなものとなる。プラスチックの溶融物は、好ましくは、この接触領域および長手方向導管(単数または複数)に同時に供給される。フレームは、例えば、フレームを積み重ねた結果としてスタックの片側に2つの平行な縦溝を形成する2つの窪みを備えてもよい。これらの溝は、部品の側面が溝に入ることを可能にし、プラスチック材料の溶融物の流れを可能にするように設計される。このようにして、部品は、スタックの上側および下側の一方または両方の固定位置に配置され、本発明によるプロセスにおいてスタックに接続されることができる。
【0022】
この容器は、金属から作製されてもよく、除去加工によって製造されてもよい。あるいは、容器は、金属およびプラスチックを含む様々な材料から積層造形技術によって製造されてもよい。この容器は、型とも呼ばれ、スタック内の特定の固定数のフレーム用に設計することができる。したがって、この型は、単純かつ迅速なプロセスで均一なサイズの複数のスタックを製造することを可能にする。好ましくは、15~50のフレーム数を有するスタックが、このプロセスによって作製される。
【0023】
フレームには、接触領域においてフレームの少なくとも1つの側部上またはその中に存在する細長溝がさらに設けられる。この細長溝は、フレームが積み重ねられたときに、接触領域で分岐導管を形成する。好適には、溝に面する隣接フレームの接触領域は平坦である。このようにして、溝の開放端がこの表面に対して配置されると、導管が形成される。フレームは、これらの結果として生じる分岐導管が細長導管に流体接続されるように設計される。スタックが外部手段によって共に保持されている間に、プラスチック材料の加圧溶融物を細長導管および分岐導管に供給することによって、熱可塑性フレームの相互接続されたスタックが得られる。
【0024】
プラスチック材料の溶融物は、好適には、フレームの熱可塑性材料と適合する材料である。このようにして、隣接するフレームの2つの対向する接触面の材料は、プラスチック材料の溶融物と融合し、フレーム間の強力な接続をもたらす。さらに、プラスチック材料の溶融物は、溶融物が長手方向導管及びその分岐導管に入ることを可能にする流動特性を有するべきである。したがって、大きい寸法およびより大きい寸法の長手方向導管および分岐導管を有するフレームは、より小さい寸法のフレームがスタックのために使用されるときと比較して、プラスチックのより粘稠な溶融物を使用してもよい。プラスチック材料の溶融物は、好ましくは熱可塑性エラストマーの溶融物である。ポリプロピレンフレームに適した組み合わせの例は、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマーの溶融物である。
【0025】
したがって、本発明はまた、2つの側面を有する熱可塑性フレームの相互接続されたスタックに関し、2つの隣接するフレームの対向する側面は、接触領域において融着によって接続されることであって、フレームはポリプロピレンフレームであり、インサートはアルミニウムシートであり、融着は、熱可塑性エラストマー、好ましくはスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマーの加圧溶融物の存在下で、隣接するフレームの対向する側面を加圧することによって得ることができる。
【0026】
上述の方法によって得られる上述の相互接続されたフレームのスタックは、プレート型熱交換器の一部として好適に使用される。プレート型熱交換器は、国際公開第2018/132014号に記載されるプロセスにおいて使用されてもよい。
【0027】
本発明は、以下の図によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】インサート成形品としてアルミニウムシートを備えたフレームを示す図である。
図2】フレームを示す図である。
図3a】本発明による方法を示す図である。
図3b】本発明による方法を示す図である。
図3c】本発明による方法を示す図である。
図3d】本発明による方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、インサート成形品としてアルミニウムシート2が設けられたフレーム1を示す。フレームの設計は、第1のガス流のための入口3および第1のガス流のための出口4を示す。フレーム1には、フレームが積み重ねられたときに長手方向導管を形成する4つの開口部(5,6,7,8)をさらに設けられる。フレームはさらに、シート2の平面から、この図の観察者に対して上方に延びる隆起部(10)によって形成される溝のシステム(9)が設けられる。35×38cmの高さ及び幅を有するフレームの場合、隆起部(10)は3mm延在し得る。図1では見えないフレームの反対側は平坦である。図2に示すように、フレーム1がフレーム(1a)の平坦な下側によって覆われると、溝は分岐導管を形成する。これらの溝の寸法は、5~20mmの断面積を有してもよい。隆起部(10)のシステム(9)と開口部(5,6,7,8)との間には、図示のように流体接続が存在する。この結果、スタックが形成されると、長手方向導管が分岐導管に流体接続される。スタックは、水平位置で好適に使用される。したがって、スタックの側面およびフレームの側面(1,1a)は、上側(11)、下側(12)および側部(13,14)と呼ばれる。
【0030】
図1及び図2はまた、プラスチック材料の溶融物で充填されない開口部(18)を示す。相互接続されたスタック内には、上側(11)に沿って延びる、水のための空間が存在する。水のためにこの空間に入口(図示せず)を設けることによって、およびフレーム1とフレーム(1a)との間の特定の空間に開口部(図示せず)を設けることによって、蒸発プレート型熱交換器が得られてもよい。この空間からの水は、その水が蒸発し得るこれらの空間に供給される。下側には、プラスチック材料の溶融物で充填されていない開口部(19)が存在してもよい。この空間は、上記の空間から蒸発しなかった水を収集するために使用されてもよい。次いで、下側(12)に沿って延びるこれらの下側空間に水が入ることを可能にする開口部(図示せず)が存在する。収集された水の排出部(図示せず)が、この水を排出するために存在する。
【0031】
図2は、フレーム(1a)を示す。このフレームは、第2のガス流のための入口(15)及び第2のガス流のための出口(16)を示すことを除いて、フレーム1と同じである。フレーム1およびフレーム(1a)が交互に積み重ねられるとき、入口(3)の列は下半分の片側に存在し、出口(15)の列は、この側(13)の上半分の同じ側(13)に存在する。これにより、スタックの下側に第1のガスを供給するためのヘッダを取り付け、第2のガス流を収集するためのヘッダを、スタックの上側に隆起部(17)を利用して取り付けることができる。
【0032】
図3a~3dは、本発明によるプロセスを示す。図3aは、金型(20)と、閉位置にある容器としての金型(20)を囲むカバー(21)とを示す。金型(20)内には、8つのフレーム(1,1a)のスタック(22)が配置される。金型(20)の内部形状は、ちょうどスタック(22)を金型内に位置決めすることを可能にするものである。フレームの厚さは縮尺通りではない。分かりやすくするために、本発明をより良く例示できるように、より厚いフレームが描かれている。スタック(22)は、4本の長手方向導管(23)を備え、そのうちの2本が示されている。これらの導管は、フレーム(1,1a)の開口部(5,6,7,8)によって形成される。カバー(21)には、プラスチックの加圧溶融物のための4つの入口(25)が設けられている。これらの入口(25)は、図示のように長手方向導管(23)に流体接続される。長手方向導管(23)は、概略的に示すように分岐導管(24)に接続される。
【0033】
図3bにおいて、プラスチックの溶融物は、入口(25)を通して図3aのスタック(22)の長手方向導管(23)に供給される。2つの隣接するフレーム(1,1a)の間の接触面において、溶融物は、より小さい矢印(26)によって示されるように、個々の長手方向導管(23)から分岐導管(24)を通して流れる。プラスチックの溶融物の供給は、図3cに示されるように、分岐導管の全てが溶融物(27)で充填されると停止する。溶融物が固化した後、カバー(21)を持ち上げることによって、接続されたスタック(22)を金型(20)から取り外す。接続されたスタック(22)は、入口(25)内の固化プラスチックによってカバー(21)に接続され、長手方向導管(23)内の固化プラスチックと1つの塊を形成する。この接続を単に切断することによって、接続されたスタック(22)が得られ、カバー(21)は、洗浄後、金型(20)を再使用して、同じ形状を有する次のスタックを作製することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
【国際調査報告】