(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】蒸発器プレート型熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20240221BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20240221BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20240221BHJP
F28F 21/06 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F24H9/00 A
F28D9/00
F28F21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551724
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2022054625
(87)【国際公開番号】W WO2022180149
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074305
【氏名又は名称】ダッチ・イノベーション・イン・エア・トリートメント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トリップ,フィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・レー,アルテュール
【テーマコード(参考)】
3L036
3L103
【Fターム(参考)】
3L036AA46
3L103AA05
3L103CC02
3L103CC21
3L103DD15
3L103DD52
3L103DD55
3L103DD93
(57)【要約】
本発明は、給水(1)および排水(2)ならびに射出成形フレーム(5)および熱交換シート(6)のスタック(4)を備える蒸発器プレート型熱交換器に関し、スタックは2つの端部(7、8)および少なくとも4つの側面(9、10、11、12)を有する。スタック(4)は、熱交換シート(6)の間に交互の第1の空間(13)および第2の空間(14)を有する。スタック(4)は、スタック(4)の一方の側面に第1の密閉空間(15)を備え、第1の密閉空間は、第1の空間(13)に流体接続され、第2の空間(14)には流体接続されていない。第1の密閉空間(15)は、給水(1)に流体接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器プレート型熱交換器であって、給水(1)と、射出成形フレーム(5)および熱交換シート(6)のスタック(4)とを備え、スタックは2つの端部(7、8)と、少なくとも4つの側面(9、10、11、12)とを有し、
スタック(4)は、熱交換シート(6)の間に交互の第1の空間(13)および第2の空間(14)を有し、
スタック(4)は、スタック(4)の一方の側面に第1の密閉空間(15)をさらに備え、第1の密閉空間(15)は、第1の空間(13)に流体接続され、かつ第2の空間(14)には流体接続されておらず、
第1の密閉空間(15)は、給水(1)に流体接続されている、蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項2】
スタック(4)は、スタックの反対側に第2の密閉空間(16)をさらに備え、第2の密閉空間(16)は、第1の空間(13)に流体接続され、かつ第2の空間(14)には流体接続されておらず、第2の密閉空間(13)は、排水(2)に流体接続されている、請求項1に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項3】
フレーム(5)および熱交換シート(6)は熱交換プレート(16)に備えられ、熱交換プレート(16)はインサート成形品であり、熱交換シート(6)はインサート成形品のインサートである、請求項1~2のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項4】
スタック(4)は、交互に積み重ねられた第1の熱交換プレート(16a)と、異なる形状の第2の熱交換プレート(16b)とを備える、請求項3に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項5】
第1および/または任意の第2の密閉空間は、射出成形フレーム(5)の開口部(17)によって形成され、結果として生じる2つの開放端部は、閉じた端部フレーム(2a、2b)に存在するように壁によって閉鎖されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項6】
第1の密閉空間(15)は、開放側を有する箱形部品(18)によって形成され、箱形部品(18)は、開放側がスタックの第1の側面(9)に面するようにスタック(4)の第1の側面(9)に固定され、および/または任意選択の第2の密閉空間(13)は、開放側を有する箱形部品(19)によって形成され、箱形部品(19)は、開放側がスタック(4)の第3の側面(11)に面するようにスタック(4)の第3の側面(11)に固定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項7】
第1の密閉空間(15)は、細長い平行な開口部(20)または、より小さい開口部の平行な列によって第1の空間(13)に流体接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項8】
熱交換シートはアルミニウムシートである、請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項9】
スタックにおける2つの連続する熱交換シートは、第1の空間に面する側面を有し、面する側面には親水性材料の層が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項10】
熱交換プレート(16)のフレーム(5)は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ナイロン(ポリアミド、PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはポリ塩化ビニル(PVC)で出来ている、請求項1~9のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項11】
フレーム(5)は、正方形の形状または矩形の形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項12】
相互接続された射出成形フレームの複数のスタック(21、21a、22、23)を備え、各スタックには閉じた端部フレームが設けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項13】
スタック(21、22、23)は、同じ数の相互接続された射出成形フレーム(5)を有する、請求項12に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項14】
相互接続されたフレーム(5)の数は、15~50の間である、請求項1~13のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項15】
フレーム(5)は、正方形の形状または矩形の形状を有し、それによって箱形スタック(21、21a、22、23)をもたらし、スタック(21、21a、22、23)は、それらのそれぞれの側面(9、10、11、12)が一列に並ぶように一列に配置され、スタックの第2の側面(10)は、第1のガス流のためのヘッダ(24)に接続され、かつ第2のガス流のためのヘッダ(25)に接続され、スタックの第4の側面(12)は、第2のガス流のためのヘッダ(26)および第1のガス流のためのヘッダ(27)に接続されている、請求項14に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項16】
ヘッダ(24、25、26、27)は、同じ寸法および形状の相互接続されたモジュール要素(28)から構成される、請求項15に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項17】
モジュール要素(28)は、中空直方体形状のガス流要素(30)であり、各ガス流要素(30)は、内部空間(34)と、6つの開放面(35)と、8つの頂点(36)と、8つの頂点(36)を相互接続する12の縁部(37)とを有し、
1つのヘッダ(24、25、26、27)の第1のガス流要素(30)の、少なくとも1つの開放面(35)の4つの縁部(37)は、それぞれの接続開放面(35)で同じヘッダの第2の中空直方体形状のガス流要素(30)の開放面(35)の4つの縁部(37)に気密に接続され、
それぞれの接続開放面(35)で、第1のガス流要素(30)の開放面(35)の4つの縁部(37)は、接続フレーム(38)によって第2の中空直方体形状のガス流要素(30)の開放面(35)の4つの縁部(37)に気密に接続され、
接続フレーム(38)には、第1のガス流要素(30)の開放面の4つの縁部に接続するための手段が設けられ、第2の中空直方体形状のガス流要素(30)の開放面(35)の4つの縁部(37)に接続するための接続手段が設けられている、請求項16に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項18】
1つまたは複数のスタック(4)の一方の側面で、一方のヘッダ(24、25、26、27)の中空直方体形状のガス流要素(30)は、他方のヘッダ(24、25、26、27)の中空直方体形状のガス流要素(30)に接続されている、請求項17に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項19】
一方のヘッダ(24、25、26、27)の中空直方体形状のガス流要素(30)は、他方のヘッダ(24、25、26、27)の中空直方体形状のガス流要素(30)に接続され、2つのヘッダ間の接続において、接続されたヘッダ(24、25、26、27)を流体的に接続および切断することを可能にするバルブ(48)が存在する、請求項18に記載の蒸発器プレート型熱交換器。
【請求項20】
第1の密閉空間は加圧水を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の蒸発器プレート型熱交換器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形フレームおよび熱交換シートのスタックを備える蒸発器プレート型熱交換器に関し、スタックは、2つの端部および少なくとも4つの側面を有する。スタックは、熱交換シート間に交互の第1および第2の空間および第1の空間に流体接続された給水および排水を有する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第3444550号明細書は、層ごとの積層造形プロセスのために設計され、それによって構築されるプレート型熱交換器を記載している。プレート自体の内部には、プレート間の空間に水を供給するためのチャネルが存在する。
【0003】
米国特許出願公開第2003/0230092号明細書は、ガスコンディショニングシステムの一部としての熱成形プラスチックまたは金属フレームのスタックを記載している。フレームのスタックは、交互の第1および第2の空間を有する。第1の空間には、
図2に示されるように、第1の空間の上方の空間に水が噴霧される。説明によれば、水は、好ましくは射出システムを介して供給される。第2の空間には、
図3に示されるように、乾燥剤流体が供給貫通孔および供給貫通孔から分岐する横方向チャネルを通して供給される。供給貫通孔は、スタックの長さに沿って延びる。第2の空間ごとに、横方向チャネルがフレームに存在する。この横方向チャネルから乾燥剤流体が重力によって第2の空間に供給される。
【0004】
第1の空間に水を追加するための米国特許出願公開第2003/0230092号明細書の設計の問題は、その複雑さである。噴霧水は、単純な解決策のように見えるが、噴霧設備およびそのような噴霧設備を収容するための空間を含む。さらに、各第1の空間への均一な水の供給は達成することが困難であることが見出される。米国特許出願公開第2003/0230092号明細書はまた、供給貫通孔および横方向チャネルの導管システムによって乾燥剤流体を供給するシステムを記載している。スタックが蒸発器プレート型熱交換器として使用されるとき、そのようなシステムは水を供給するために使用されることもできることが想定され得る。しかしながら、このようなシステムの問題は、例えば供給貫通孔における給水の圧力勾配のために、各第2の空間への水の均一な供給がないことである。そのような均一な分配は、各横方向チャネルの設計を適合させることによって達成され得る。しかし、これにより、設計が非常に複雑化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第3444550号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0230092号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より簡単な給水および排水設計を有する蒸発器プレート型熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、以下の蒸発器プレート型熱交換器によって達成される。給水と、射出成形フレームおよび熱交換シートのスタックとを備える、蒸発器プレート型熱交換器であって、スタックは2つの端部と少なくとも4つの側面とを有し、
スタックは、熱交換シートの間に交互の第1および第2の空間を有し、
スタックは、スタックの一方の側面に第1の密閉空間をさらに備え、第1の密閉空間は、第1の空間に流体接続され、かつ第2の空間には流体接続されておらず、第1の密閉空間は、給水部に流体接続されている。
【0008】
出願人は、ある量の水が第1の密閉空間に存在するとき、前記第1の密閉空間に流体接続されたすべての第1の空間への均一な水の供給が達成され得ることを見出した。水は、好ましくは重力および任意選択的に圧力の支援によって、様々な第1の空間上にそれ自体を容易に分配することができる。これは、第1の空間への噴霧または水の噴射とは異なる。設計は、以下で説明されるようにフレームを積み重ねるときに第1の密閉空間が取得され得るか、または以下で説明されるように単にスタックに追加し得るという点でさらに単純である。
【0009】
プレート型熱交換器は、好ましくはいわゆる固定プレート型熱交換器である。このような固定プレート型熱交換器は、一般に、2つのガス間で熱を交換するために使用される。このようなプレート型熱交換器は、機械的換気熱回収(MVHR)に使用を見出し得る。1つまたは複数のガスは、ほとんどの場合、空気である。固定プレート型熱交換器はまた、空気と他のガス間または2つの他のガス間で熱を交換するために使用されてもよい。一実施形態では、第1の密閉空間にガス流が存在しない間に、温水が第1の密閉空間に供給されてもよい。温水は、その実施形態では、隣接する第2の空間を流れる第2の空気流の温度を上昇させることができる。次いでプレート型熱交換器は、温水のための排水が供給される。排水は、本出願において以下でさらに説明される通りであり得る。プレート型熱交換器はまた、第1の密閉空間を流れるガスの湿度を高めるための加湿器として使用されてもよい。そのような用途では、第2の空間が存在しないことさえ想定し得る。
【0010】
熱交換器は、垂直フラットパネル設計、水平フラットパネル設計、またはセル状設計を有してもよい。そのようなプレート型熱交換器のスタックは、スタックの側面に沿って延びる、少なくとも4つのヘッダを有する。スタックにおける第1の空間は、スタックにおいて隣接するフレーム間の開口部および第1のヘッダを介してガス状媒体の入口に流体接続されてもよい。スタックにおける第1の空間は、スタックにおいて隣接するフレーム間の開口部および第2のヘッダを介して、第1のガス流の出口にさらに流体接続されている。スタックにおける第2の空間は、スタックにおいて隣接するフレーム間の開口部および第3のヘッダを介して第2のガス状媒体の入口に流体接続されてもよく、スタックにおける第2の空間は、スタックにおいて隣接するフレーム間の開口部および第4のヘッダを介して第2の媒体の出口にさらに流体接続されている。
【0011】
フレームおよび熱交換シートは、熱交換プレートに適切に備えられる。フレームは、好ましくは射出成形によって得られる。熱交換プレートは、適切にはインサート成形作業製品であり、熱交換シートはインサート成形品のインサートである。そのようなインサート成形品は、米国特許出願公開第2018/0266774号明細書に記載されているように得られてもよく、熱交換シートは、最初に射出成形のための事前設定された金型に置かれる。シートを配置した後、フレームは熱交換シート上に直接射出成形されて熱交換プレートを形成する。好ましくは、シートの少なくとも2つの側面が射出材料によって完全に封入され、より好ましくはシートのすべての側面が射出材料によって完全に封入される。これにより、シートとフレームの間の効果的な封止接続が確保される。フレームは、シートを平らな表面に伸ばすときにシートの形状をさらに制御する。
【0012】
好ましくは、熱交換シートはアルミニウムシートである。スタックでは、スタックにおける2つの連続する熱交換シートは、第1の空間に面する側面を有する。これらの面する側面には、親水性材料の層が設けられていることが好ましい。
【0013】
フレームは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ナイロン(ポリアミド、PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはポリ塩化ビニル(PVC)で作製されてもよい。ポリプロピレンが特に適していることが見出されている。
【0014】
適切には、スタックは、交互に積み重ねられた第1の熱交換プレートおよび各々が熱交換シートを備える異なる形状の第2の熱交換プレートを備える。シートはまた、熱を交換する異なるガス流のための所望のガス入口およびガス出口を得るように異なって配向され得る同じ設計であってもよい。
【0015】
フレームのスタックは、スタックの各端部に異なる形状の端部フレームを備えてもよい。これらの端部フレームは、好ましくは前述のインサートを有さない。代わりに、端部フレームは、インサートの位置に閉じた壁を有する。この壁は、好ましくはスタックの一体部分である。
【0016】
このような固定プレート型熱交換器のフレームは、正方形、矩形、菱形の熱交換または六角形の形状を有してもよい。好ましくは、スタックが6つの側面を有することになる六角形を有し、さらにより好ましくは、スタックが4つの側面を有することになる正方形の形状または矩形の形状を有する。
【0017】
フレームは、接着剤などの任意の手段によって互いに接続してもよい。好ましくは、接着剤の使用を回避する機械的接続が使用される。適切な機械的接続は、フレームがスナップ嵌合接続によって接続することである。より好ましくは、フレームは、フレームのプラスチック材料間の融着によって接続される。融着は、フレームのプラスチック材料が溶融してそれらの相互界面で融着するように温度を局所的に上昇させることによって達成され得る。この温度上昇は、プラスチック材料の溶融物を局所的に追加することによって得られてもよい。プラスチック材料の溶融物は、好ましくは熱可塑性エラストマーの溶融物である。ポリプロピレンフレームに適した組み合わせの一例は、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマーの溶融物である。
【0018】
蒸発器プレート型熱交換器には、蒸発しなかった水を排出するための排水口がさらに設けられることが適切である。この排水口は、第1の空間の下側の単純な開口部で構成されてもよい。より好ましくは、スタックは、スタックの第1の密閉空間とは反対側に第2の密閉空間をさらに備え、第2の密閉空間は第1の空間に流体接続され、第2の空間(14)に流体接続されず、第2の密閉空間は排水口に流体接続されている。
【0019】
第1および/または第2の密閉空間は、フレームを積み重ねた結果として適切に形成され、フレームは開口部を有する。フレームは、積み重ねられたときに第1の密閉空間を形成する少なくとも1つの開口部を有し、フレームは、積み重ねられたときに第2の密閉開口部を形成する少なくとも1つの開口部を有する。これらの第1および第2の密閉空間は、スタックの長さに沿って延びる。これらの空間の結果として生じる開放端部は、各端部では壁によって閉鎖されている。この閉鎖は、前述の端部フレームによって達成されてもよい。
【0020】
第1および第2の密閉空間はまた、開放側を有する箱形部品であってもよい。この箱形部品は、第1の密閉空間を得るために、箱形部品の開放側がスタックの第1の側面に面するように、スタックの第1の側面に適切に固定される。別の箱形部品は、第2の密閉空間を得るために、箱形部品の開放側がスタックの第3の側面に面するように、スタックの第3の側面に適切に固定される。箱形部品は、水密エンクロージャが得られるようにスタックに接続される。箱形部品は、丸みを帯びた角部などを有してもよい。フレームを積み重ねることによって形成された内部密閉空間と追加された箱形部品との組み合わせも可能である。例えば、第2の密閉空間と組み合わされた第1の密閉空間としての箱形部品は、フレームを積み重ねた結果として形成される。
【0021】
上述の第1および第2の密閉空間は、同じ設計および形状を有してもよく、または異なる形状であってもよい。例えば、第1の密閉空間は、第2の密閉空間よりも体積が大きくても小さくてもよい。積み重ねられた結果として形成される空間が、箱形部品を追加した結果として形成される空間と組み合わされるという組み合わせを、熱交換器の一部とすることも可能である。
【0022】
使用中、水は、好ましくは重力によって、第1の密閉空間からスタックの第1の空間へ流れる。第1の空間では、水の全部または一部が蒸発する。蒸発していない水は、好ましくは重力によって、スタックの第1の空間から第2の密閉空間へ排出される。この水流を達成するために、スタックは、第1の密閉空間はスタックの上または上部に配置され、第2の密閉空間はスタックの下または下部に配置されるように水平に配置される。使用中、一定量の水が第1の密閉空間に存在する。この水量は、第1の空間に供給される水を補償するために給水を介して真水を供給することによって維持される。十分な圧力降下で第1の密閉空間から第1の空間への開口部を設計することにより、すべての第1の空間にわたって均一な水の分配が達成されることができる。これらの開口部は、複数のチャネルであってもよいし、第1の空間ごとに細長い平行な開口部であってもよい。好ましくは、第1の密閉空間から第1の空間への開口部は、フレームに存在するようにシートの実質的に全幅より上に延びるスリットまたは、より小さい開口部の列である。このようにして、シートの大部分の領域が濡れて、蒸発冷却プロセスで使用される。1つの細長い開口部またはスリットは、第1の密閉空間を1つの第1の空間と接続する。このようなスリットは、フレームを積み重ねるときに形成されてもよい。異なるように設計されたフレームを使用することにより、第1の密閉空間が第1の空間に流体接続され、スタックにおける第2の空間には流体接続されていないフレームのスタックを達成し得る。水がこれらの開口部を通って第1の空間に流れるための駆動力は、第1の密閉空間における水柱である。この駆動力は、例えばポンプによって第1の密閉空間における水圧を意図的に増加させることによって十分に増加されてもよい。したがって、本発明はまた、第1の密閉空間が加圧水を含む、本発明による蒸発器プレート型熱交換器の使用に関する。開口部は、好ましくは所与の水圧で既知の量の水が各第1の空間に流入するように設計される。
【0023】
第2の密閉空間では、非蒸発水が回収される。第1の空間と、この第2の密閉空間の間の1つまたは複数の開口部は、好ましくは水が前記第2の密閉空間へ容易に流れるように設計される。したがって、上側の1つまたは複数の開口部とは対照的に、これらの開口部を介して前記第2の密閉空間へ流れる水には、これらの圧力降下は存在しないか、または非常に低い。開口部は、例えば、第1の空間の傾斜した下部の下端にある単一の開口部であってもよい。この水は、排水を介してこの空間から排出される。排水は、例えばポンプによって増強されてもよい。回収された水は、第1の空間に再利用されてもよい。
【0024】
水は、第1の密閉空間に連続的または断続的に供給されてもよい。断続的な供給は、例えば、シートに親水性材料が設けられているときに可能である。
【0025】
蒸発器プレート型熱交換器は、好ましくは相互接続された射出成形フレームの複数のスタックを備える。各スタックには、それ自体の第1および第2の密閉空間が設けられる。これらの第1および第2の密閉空間は、独自の給水および排水を有するという点で、流体的に接続されていない。端部フレームを含む、好ましくは15~50の間の相互接続されたフレームを有するスタックは、大規模に簡単に製造することができることが見出される。同じ数の相互接続された射出成形フレームを有するスタックを組み合わせることにより、異なるサイズの熱交換器をモジュール式に組み立てることが可能である。これにより、スタックの単一の設計で異なるサイズのプレート型熱交換器を製造することが可能になる。別個のスタックの第1の密閉空間および第2の密閉空間への水の供給および排出は、単一の供給源から供給されてもよく、組み合わされてもよい。
【0026】
このようなモジュール設計のためのフレームは、好ましくは正方形の形状または矩形の形状を有し、箱形スタックをもたらす。2つ以上のスタックは、スタックのそれぞれの第1の側面および第2の側面が一列に並ぶように一列に適切に配置され、スタックの第3の側面は、第1のガス流のための入口および第2のガス流のための出口に接続され、スタックの第4の側面は、第2のガス流のための入口および第1のガス流のための出口に接続される。好ましくは、第1のガス流のための入口は、一列に配置された2つ以上のスタックの第1の空間と流体連通するヘッダを備える。好ましくは、第2のガス流のための入口は、一列に配置された2つ以上のスタックの第2の空間と流体連通するヘッダを備える。好ましくは、第2のガス流のための入口は、一列に配置された2つ以上のスタックの第2の空間と流体連通するヘッダを備える。好ましくは、第2のガス流のための出口は、一列に配置された2つ以上のスタックの第2の空間と流体連通するヘッダを備える。
【0027】
本発明は、
図1~
図11を利用して説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】インサート成形された熱交換シートを設けた射出成形フレームの拡張スタックを示す図である。
【
図2】フレームが、その好ましい水平方向に配向されたスタック(4)を形成するように接続されることを示す図である。
【
図3a】フレームのいずれの側がスタックの側面に対応するかを示すために、フレームを参照番号を附して示す図である。
【
図3b】フレームのいずれの側がスタックの側面に対応するかを示すために、フレームを参照番号(9、10、11、12)を附して示す図である。
【
図4】スタックの上側に第1の密閉空間を形成するために箱形部品が追加された相互接続されたフレームのスタックの外部を示す図である。
【
図6】
図1~
図5のスタックがヘッダと組み合わされ得る方法を簡略化して示す図である。
【
図7】正方形フレームの3つのスタックを示す図である。
【
図8】
図6および
図7に示されるヘッダの一部として使用され得るモジュール要素(28)を示す図である。
【
図9】開口部および4つの縁部を設けた接続フレームを示す図である。
【
図10】
図8のモジュール部材の細部をその頂点のうちの一方を示す図である。
【
図11】5つの流体相互接続されたガス流要素から構成されたヘッダおよび5つの流体相互接続されたガス流要素から構成されたヘッダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、インサート成形された熱交換シート(6)を設けた射出成形フレーム(5)の拡張スタック(4)を示す。
図2では、フレーム(5)は、その好ましい水平方向に配向されたスタック(4)を形成するように接続される。フレーム(5)には、フレーム(5)が積み重ねられて接続されたときに第1および第2の密閉空間(15、16)を形成する開口部(17)が設けられる。スタック端部フレーム(2a、2b)の両端に設けられるものは、これらの開口部(17)を有さず、したがってスタック(4)のこれらの端部で第1および第2の密閉空間を囲む。
【0030】
フレーム(5)の間には、
図2に示されるように、第1の空間(13)および第2の空間(14)が形成される。
図2に見られることができるように、第1の空間(13)は側面(10)の上部で開口しており、第2の空間(14)は側面(10)の下部で開口している。これにより、
図6ならびに
図7および
図11に示されるように、互いの上方の第1および第2の空間に別々のガス流のためのガスヘッダ(図示せず)を配置することが可能である。フレーム(5)の厚さの
図2における寸法は、側壁(10)の開口部の位置決めをより明確に示すために縮尺通りではない。第1および第2の空間のためのこれらの交互の開口部を達成するために、フレーム(5)は、適切には交互の異なる設計からなる。これらの交互に積み重ねられた第1の熱交換プレート(16a)および異なる形状の第2の熱交換プレート(16b)は、各々熱交換シート(6)を備える
図3に示される。さらなる相違は、スタック(4)のフレーム(16a)において、第1および第2の密閉空間(15、16)がチャネル(20a、20b)によって第1の空間(13)に接続されることである。
図3では、フレームのいずれの側がスタック(4)の側面に対応するかを示すために、フレーム(16a、16b)が参照番号(9、10、11、12)を伴って示されている。
図11に示されるように、ヘッダに接続するための隆起部(12a)および(10a)が存在する。
【0031】
図2において、給水(1)および排水(2)は、それぞれ閉鎖された第1および第2の密閉空間(15、16)に接続された導管として示されている。第1の密閉空間(15)は、給水(1)に流体接続され、第2の密閉空間(16)は、排水(2)に流体接続されている。これらの流体接続は、密閉空間に到達されるまで、側面(9)および(11)からフレームの接続されたスタックに穴を開けることによって行われてもよい。
【0032】
図4は、スタックの上側(9)に第1の密閉空間(15)を形成するために箱形部品(18)が追加された、相互接続されたフレーム(5)のスタック(4)の外部を示す。箱形部品(18)の開放側は、スタック(4)の側面(9)に面する。さらに、スタック(4)の下側(11)に第2の密閉空間(16)を形成するために、箱形部品(19)が追加される。箱形部品(19)の開放側は、スタック(4)の側面(11)に面する。箱形部品の形状は、実際には、スタックの側面に接続されるのに適した開放側を有する任意の形状であってもよい。
【0033】
図5は、第1の空間(13)における
図4の断面
図AA’を示す。インサート成形された熱交換シート(6)を有するフレーム(5)が示されている。箱形部品(18)では、第1の空間(13)へのスリット状の開口部(20)の上方に示されている。さらに、スリット状の開口部(20c)が、第1の空間(13)と第2の密閉空間(16)とを接続するように示されている。
【0034】
図6は、
図1~
図5のスタックがヘッダと組み合わされ得る方法を簡略化して示している。スタック(4)は、一端(7)から示されている。側面(10)の上端には、第1のガス流(実線)を第1の空間(13)に供給するための第3のガス流ヘッダ(24)が示されている。側面(12)の上端には、第2のガス流(点線)を第2の空間(14)に供給するための第1のガス流ヘッダ(26)が示されている。側面(12)の下端には、第1の空間(13)からガスを収集するための第4のガス流ヘッダ(27)が示されている。側面(10)の下端には、第2の空間(14)からガスを収集する第2のガス流ヘッダ(25)が示されている。これらのヘッダは、明らかに、この図に示されていないガス供給源およびガス排出システムにさらに接続されている。
【0035】
図7は、正方形フレーム(5)の3つのスタック(21、22、23)を示し、スタック(21、22、23)は同じ寸法を有する。スタック(21、22、23)は、それぞれの側面(9、10、11、12)が一列に並ぶように一列に配置される。したがって、一方のスタック(21)の閉じた端部フレームは、スタックの列における次のスタック(21a)の閉じた端部フレームに面する。さらに、4つのスタック(21、21a、22、23)の第1の密閉空間および第2の密閉空間は別個の空間であり、したがって単一の空間を形成するように接続されていない。すべてのスタック(21、21a、22、23)の側面(10)および(12)には、
図6に示されるようにヘッダ(24、25、26、27)が設けられている。各ヘッダは、スタック(21、21a、22、23)とは対照的に、例えば
図6のように共通ヘッダ(26)から3つのスタック(21、21a、22、23)の別個の第1の空間に第1のガス流(
図6および
図7に実線で示す)を供給することを可能にする共通空間を具備する。
【0036】
そのようなヘッダは、同じサイズおよび形状の相互接続されたモジュール要素(28)から構成されることが好ましい。このようにして、異なる数のそのような標準化されたスタック(21、21a、22、23)を組み合わせるときに、異なるサイズのヘッダを容易に組み立てることができる。この図では、4つのモジュール要素(28)を組み合わせることによって1つのヘッダが得られる。スタック長ごとに、1つのスタック(21)の側面(10)に沿って2つ~4つのモジュール要素が存在するように、より多くのモジュール要素が使用されることも可能である。そのようなモジュール要素(28)はまた、適切には、ヘッダ(24)およびヘッダ(25)が接続され、ヘッダ(26)およびヘッダ(27)がスタックに接続されることを可能にする。例えば、
図3aおよび
図3bの隆起部(10a、12a)によって示される。ヘッダ(24)および(25)は、バルブによって流体接続および切断され得る。これにより、図示のプレート型熱交換器は、国際公開第2016/206714号に記載されているプロセスで使用されるのに特に適している。
【0037】
図8は、
図6および
図7に示されるヘッダの一部として使用され得るモジュール要素(28)を示す。モジュール要素(28)は、適切には、この図に示されるような中空立方体形状のガス流要素(30)である。ガス流要素(30)は、内部空間(34)、6つの開放面(35)、8つの頂点(36)、および8つの頂点(36)を相互接続する12の縁部(37)を有する。
【0038】
図9は、開口部(39)および4つの縁部(40)を設けた接続フレーム(38)を示す。縁部(40)に沿って、フレームの平面に垂直な両方向に向けられた押出部が見られる。これらの押出部は、
図3に見られるように、ガス流要素(30)の縁部(37)に接続することができる適切な片持ちスナップ嵌合接続(41)である。
【0039】
図10は、
図8のモジュール部材の細部をその頂点(36)のうちの一方に示しており、一方の開放面には接続フレーム(38)が設けられ、隣接する開放面には囲い壁要素(45)が設けられている。囲い壁要素(45)としての接続フレーム(38)には、両方とも、接続フレーム(38)の平面または囲い壁要素(45)の平面に対して垂直方向に多数の突起(46)が設けられる。突起(46)には、その端部に鋭い縁部(47)が設けられ、これらの縁部は、それらが縁部(37)と片持ちスナップ嵌合接続を形成するような寸法にされている。示されているように、接続フレーム(38)および囲い壁要素(45)の突起(46)の位置は、これらの要素の縁部に沿って同じ位置にはない。これにより、モジュール部材の隣接する開放面に、その共通の縁部(37)上のスナップ嵌合接続によって、接続フレーム(38)、囲い壁要素(45)または他の要素を設けられることができる。
【0040】
したがって、好ましくは、モジュール要素は、中空直方体形状のガス流要素であり、各ガス流要素は、内部空間、6つの開放面、8つの頂点、および8つの頂点を相互接続する12の縁部を有し、
1つのヘッダ(24、25、26、27)の第1のガス流要素の少なくとも1つの開放面の4つの縁部は、同じヘッダの第2の中空直方体形状のガス流要素と、それぞれの接続開放面で第2の中空直方体形状のガス流要素の開放面の4つの縁部に気密に接続され、
それぞれの接続開放面で、第1のガス流要素の開放面の4つの縁部は、接続フレームによって第2の中空直方体形状のガス流要素の開放面の4つの縁部に気密に接続され、
接続フレームには、第1のガス流要素の開放面の4つの縁部に接続するための手段が設けられ、第2の中空直方体形状のガス流要素の開放面の4つの縁部に接続するための接続手段が設けられている。
【0041】
好ましくは、1つまたは複数のスタックの一方の側面で、一方のヘッダの中空直方体形状のガス流要素は、他方のヘッダの中空直方体形状のガス流要素と接続される。複数のガス流要素の列がスタックの列または別のガス流要素の列に接続されるとき、製造公差のために接続が不可能であることが起こり得る。これは、スタックの1つまたは複数の間および/またはガス流要素の1つまたは複数の間に気密ベローズを使用することによって軽減されてもよく、ベローズは、スタックおよび/またはガス流要素の間の可変距離を可能にする。
【0042】
好ましくは、一方のヘッダの中空直方体形状のガス流要素は、他方のヘッダの中空直方体形状のガス流要素に接続され、2つのヘッダ間の接続において、接続されたヘッダを流体的に接続および切断することを可能にするバルブが存在してもよい。
【0043】
そのような接続されたヘッダが
図11に示されており、5つの流体相互接続されたガス流要素(30)から構成されたヘッダ(26)および5つの流体相互接続されたガス流要素(30)から構成されたヘッダ(27)を示している。ヘッダ(26)および(27)は、見る人には開放されており、見えない後壁で閉じられている。開放側は、1つまたは複数のスタック(4)の側面(12)に接続される。それらの端部で、ヘッダ(26、27)は、ガス供給導管およびガス排出導管に接続され得るガス入口流れ要素(42)およびガス出口要素(43)に接続される。モータ(45)は、バルブ(46)を動作させて、ガス入口流れ要素(42)からのガス供給を遮断し得る。モータ(47)は、ヘッダ(26)およびヘッダ(27)を流体的に接続および切断するバルブ(48)を動作させ得る。
【0044】
中空直方体形状のガス流要素は、適切にはポリマーで作製される。好ましくは、中空直方体形状のガス流要素は、単一の射出成形作業製品である。接続フレームはまた、好ましくはポリマーで作製され、好ましくは単一の射出成形品である。
【0045】
中空直方体形状のガス流要素の寸法は変えてもよい。プレート型熱交換器と組み合わせて使用されるとき、0.1mの縁部の最小寸法がおよび0.3mのエッジの最大寸法を有する要素を使用することが好ましく、これは、2つの頂点間の縁部に沿った距離である。
【0046】
中空直方体形状のガス流要素、接続フレーム、長方形の形状のフレームおよび/または長方形の形状の閉じたフレームは、ポリマーで作製されてもよい。好ましくは、射出成形に使用され得るポリマー。適切なポリマーは、ポリプロピレン(PP)および/またはポリオキシメチレン(POM)である。
【0047】
接続フレームは、好ましくは、中空直方体形状のガス流要素の側面とほぼ同じ寸法を有する。接続フレームは、隔壁を提供するために閉じられているか、または第1の中空直方体形状のガス流要素と第2の中空直方体形状のガス流要素との間の流体連通を可能にするために、その中心に開口部が設けられている。この開放空間は、好ましくは、中空直方体形状のガス流要素の開放面とほぼ同じ形状である。フレームの残りの縁部には、第1のガス流要素の開放面の4つの縁部に接続するための手段が設けられ、第2の中空直方体形状のガス流要素の開放面の4つの縁部に接続するための接続手段が設けられている。
【国際調査報告】