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特表2024-509111燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼
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  • 特表-燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼 図1
  • 特表-燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼 図2
  • 特表-燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼 図3
  • 特表-燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/355 20240101AFI20240221BHJP
   B64C 3/34 20060101ALI20240221BHJP
   B64C 11/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B64D27/355
B64C3/34
B64C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552054
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 GB2022050330
(87)【国際公開番号】W WO2022180355
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2102723.0
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508305926
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム タロック
(57)【要約】
翼ボックス;燃料タンク;燃料電池を含む燃料電池システム;燃料タンクから燃料電池システムまで燃料を送達するように構成された燃料ライン;翼ボックスによって支持されている推進システム;および燃料電池システムから推進システムまで電力を送達するように構成された電力ラインを含む航空機翼。燃料タンクおよび燃料電池システムは、翼ボックス内部に位置設定され、推進システムは翼ボックスの外部に位置設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼ボックス;燃料タンク;燃料電池を含む燃料電池システム;前記燃料タンクから前記燃料電池システムまで燃料を送達するように構成された燃料ライン;前記翼ボックスによって支持されている推進システム;および前記燃料電池システムから前記推進システムまで電力を送達するように構成された電力ラインを含む航空機翼において、前記燃料タンクおよび前記燃料電池システムが、翼ボックス内部に位置設定され、前記推進システムが前記翼ボックスの外部に位置設定されている、航空機翼。
【請求項2】
前記燃料タンクが水素燃料タンクである、請求項1に記載の航空機翼。
【請求項3】
前記推進システムが前記翼ボックスの下に懸吊されている、請求項1ないし2のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項4】
前記燃料電池システムがさらにバッテリを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項5】
前記推進システムがモータを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項6】
前記推進システムが電力制御システムを含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項7】
前記推進システムがプロペラを含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項8】
前記電力ラインが可撓性である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項9】
前記翼ボックスが上部カバー、下部カバー;前部スパーおよび後部スパーを含む、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項10】
前記電力ラインが前記前部スパーまたは前記後部スパーを貫通する、請求項9に記載の航空機翼。
【請求項11】
前記推進システムがパイロンにより支持されている、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の航空機翼。
【請求項12】
前記燃料タンクが円筒形である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の航空機翼。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクおよび燃料電池を含む航空機翼に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、水素エネルギーの固定翼の航空機が記載されている。水素燃料タンクが、パイロンを介して翼の下に懸吊されており、翼の中に燃料電池スタックが具備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第207631504号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様は、翼ボックス;燃料タンク;燃料電池を含む燃料電池システム;燃料タンクから燃料電池システムまで燃料を送達するように構成された燃料ライン;翼ボックスによって支持されている推進システム;および燃料電池システムから推進システムまで電力を送達するように構成された電力ラインを含む航空機翼において、燃料タンクおよび燃料電池システムが、翼ボックス内部に位置設定され、推進システムが翼ボックスの外部に位置設定されている、航空機翼を提供する。
【0005】
任意選択的には、燃料タンクは水素燃料タンクである。
【0006】
任意選択的には、推進システムは翼ボックスの下に懸吊されている。
【0007】
任意選択的には、燃料電池システムはさらにバッテリを含む。
【0008】
任意選択的には、推進システムはモータを含む。
【0009】
任意選択的には、推進システムは電力制御システムを含む。
【0010】
任意選択的には、推進システムはプロペラを含む。
【0011】
任意選択的には、電力ラインは可撓性である。
【0012】
任意選択的には、翼ボックスは上部カバー、下部カバー;前部スパーおよび後部スパーを含む。
【0013】
任意選択的には、電力ラインは前部スパーまたは後部スパーを貫通する。
【0014】
任意選択的には、推進システムはパイロンにより支持されている。
【0015】
任意選択的には、燃料タンクは円筒形である。
【0016】
ここで本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、航空機の平面図である。
図2図2は、図1の航空機の正面図である。
図3図3は、燃料電池システムおよび推進システムを示す左舷翼の平面図である。
図4図4は、上部カバが取外された状態の翼ボックス一部の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および2に示されている航空機1は、胴体2と一対の翼3、4を含んでいる。各翼は、上部カバー10、下部カバー11、前部スパー12および後部スパー13を含む翼ボックス5を含む。
【0019】
上部カバー10は図1に示されており、図4には翼ボックス5の一部が、内部部品が見えるようにする目的で上部カバー10が取外された状態で示されている。図3は、さまざまな内部部品が示されている、左舷の平面図である。
【0020】
翼ボックス5は、翼ボックスをベイ(bay)に分割する複数のリブを格納している。各リブは、カバー10、11の両方、およびスパー12、13の両方に取付けられている。リブのうちの2つが14とラベル付けされ、図4に示されている。
【0021】
複数の円筒形水素燃料タンクが翼ボックス5の内部に位置設定されている。燃料タンクは図3に示されておらず、図4は、水素燃料タンク20、21の2つのみを示している。この例では、各燃料タンク20、21は、リブ対の間でそれぞれのベイ20a、21aの内部に位置設定されている。翼ボックス5は、それぞれのベイ内部に各々収容されたさらなる水素燃料タンク(図示せず)を格納し得る。変形実施形態においては、水素燃料タンクは、リブを通って翼幅方向に広がっていてよい。
【0022】
この例において、翼ボックスは、多数の燃料タンク20、21を収容しているが、変形実施形態では、単一の燃料タンクのみを収容していてよい。
【0023】
燃料電池システム30も同様に、翼ボックス5内部で、図4に示されているリブ14の対の間のベイ内に位置設定されている。燃料電池システム30は、燃料電池32とバッテリ33を含む。第1の燃料ライン40が、燃料タンク20から燃料電池システム30まで水素燃料を送達するように構成されており、第2の燃料ライン41が、燃料タンク21から燃料電池システム30まで水素燃料を送達するように構成されている。
【0024】
燃料電池32は、水素燃料の化学エネルギを、バッテリ33内に貯蔵される電気エネルギへと変換する電気化学電池(または電池スタック)である。
【0025】
推進システム50が、翼ボックス5によって支持されている。図3に示されているように、推進システム50は、翼ボックス5の外部に位置設定されている。推進システム50は、電力制御ユニット51、モータ52およびシュラウド付きプロペラ53を含む。
【0026】
この例において、推進システム50は、図3に示されたパイロン53によって翼ボックス5の下に懸吊されている。変形実施形態において、推進システム50は、翼ボックス5の上に位置設定されるかまたは、他の任意の位置で翼ボックスにより支持されてもよい。
【0027】
電力ライン60が、燃料電池システム30から推進システム50まで電力を送達するように構成される。電力制御ユニット51が、バッテリからの電力およびパイロットからの制御入力を受け取り、モータ52に対し電力を適宜出力するように構成されている。モータ52は、電力制御ユニット51からの電力を運動へと変換し、その運動をプロペラまたはタービン53に伝達するように構成されている。
【0028】
この例では、電力ライン60は前部スパー12を貫通しているが、変形実施形態では、電力ライン60は、後部スパー13または翼ボックス5の他の任意の部品を貫通していてよい。
【0029】
航空機1の飛行中、推進システム50と翼ボックス5の間には大量の相対的な運動が存在し得る。電力ライン60は、撓むことで過度に損傷することなくこの相対的な運動に対応できるように、可撓性を有する。
【0030】
翼ボックス5内部に燃料電池システム30を位置設定することは、水素燃料ライン40、41がこの相対的な運動に対応する必要がないことを意味する。
【0031】
上述の例において、燃料タンク20、21は、水素燃料タンクであるが、他の例においては、燃料タンクは、化学エネルギを電気エネルギに変換するために燃料電池が使用できる他のあらゆるタイプの燃料を格納することができる。
【0032】
要約すると、上述の本発明の実施形態は、翼ボックス5;1つ以上の燃料タンク20、21;燃料電池32を含む燃料電池システム30;燃料タンクから燃料電池システムまで燃料を送達するように構成された1つ以上の燃料ライン40、41;翼ボックス5によって支持されている推進システム50;および燃料電池システム30から推進システム50まで電力を送達するように構成された電力ライン60を含む航空機翼3を提供する。燃料タンク20、21および燃料電池システム30は、翼ボックス内部に位置設定され、推進システム50は、翼ボックスの外部に位置設定されている。
【0033】
この配置には、特許文献1と比べていくつかの利点がある。第1に、特許文献1中の航空機は、その胴体の機首上に組付けられたプロペラを有するが、プロペラが燃料電池スタックにより駆動されていることの開示は全く無い。したがって、第1の利点は、燃料電池からの電力によって動力供給される推進システム50が提供されているという点にある。第2に、特許文献1中の燃料タンクと燃料電池の間の水素燃料ラインは、翼の下に懸吊された燃料タンクと翼の間の相対的な運動に対応しなければならない。第2の利点は、水素燃料ライン40、41がこのような運動に対応する必要がなく、そのため水素燃料ラインは破断する傾向が少ないという点にある。第3の利点は、翼ボックス5内に燃料タンク20、21を位置設定することにより、燃料タンクが損傷の危険性にさらされることが少なくなるという点にある。第4の利点は、翼組付け型の推進システム50は燃料電池システム30に近く、配置がコンパクトなものとなる、という点にある。翼組付け型推進システム50は同様に、飛行操縦性の向上および、航空機が地上にあるときの推進システム50の点検または修理が容易になること、といったさまざまな他の利点も提供する。
【0034】
「or(または)」なる語が出現した場合、それは、「and/or(および/または)」を意味するものとみなされるべきであり、したがって、言及されているアイテムは必ずしも互いに排他的でなく、任意の適切な組合せで使用可能となる。
【0035】
以上では1つ以上の好ましい実施形態を参考にして、本発明について説明してきたが、添付のクレーム中に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更または修正を加えることができるということが認識されるものである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】