(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ハイブリッドアコースティックピアノ
(51)【国際特許分類】
G10C 3/00 20190101AFI20240221BHJP
G10C 3/26 20190101ALI20240221BHJP
【FI】
G10C3/00 170
G10C3/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552067
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 ES2022070242
(87)【国際公開番号】W WO2022180295
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523322900
【氏名又は名称】ゴゴレフ セルゲイ
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ゴゴレフ セルゲイ
(57)【要約】
ハイブリッドアコースティックピアノ、具体的には、弦が叩かれるピアノであり、このタイプのピアノは、グループ化された複数の弦を含み、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)は、1つの鍵に関連付けられ、それらの弦のうちの1本の弦(1a)は、同じくチューニングされた他の2本又は3本の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされ、機構は、ペダルが休止状態にあるときに、即ち、ペダルが踏まれていないときに、鍵を押すと、ハンマーは、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)のうちの少なくとも2本の同じくチューニングされた弦(1a、1b)を叩き、ペダルが踏まれたときに、機構は、ハンマーを右に移し、鍵を押すと、3本の弦が叩かれ、これらの弦のうちの1本の弦は、他の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされた弦(1a)である。
【選択図】
図2(B)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドアコースティックピアノ、具体的には、弦が叩かれるピアノであって、このタイプのピアノは、鍵に連結されたハンマー(3)に位置する3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)毎に、ファスナー(2)によってグループ化された複数の弦と、ペダルの踏みにより前記弦のグループに対して前記ハンマー(3)の位置を移動させる、ペダルに関連付けられた機構(4)とを含み、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)は、1つの鍵に関連付けられ、これらの弦のうちの1本の弦(1a)は、同じくチューニングされた他の2本又は3本の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされ、前記機構(4)は、
前記ペダルが休止状態にあるときに、即ち、前記ペダルが踏まれていないときに、前記鍵を押すと、前記ハンマー(3)は、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)のうちの少なくとも2本の同じくチューニングされた弦(1b、1c)を叩き、
前記ペダルが踏まれたときに、前記機構(4)は、前記ハンマー(3)を右に移し、前記鍵を押すと、3本の弦が叩かれ、これらの弦のうちの1本の弦は、他の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされた弦(1a)である、ことを特徴とするハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項2】
前記ハンマー(3)は、前記ペダルが休止位置にあるときに、各ハンマー(3)が各グループの3本の弦のうちの2本の弦(1b、1c)だけを叩くように、3本の弦(1a、1b、1c)の前記グループに対して位置決めされ、
前記機構(4)は、前記ペダルが踏まれたときに、前記ハンマー(3)を移すことにより、各ハンマーは、各グループの前記3本の弦(1a、1b、1c)を同時に叩き、
前記ペダルが休止位置にあるときに前記ハンマー(3)が叩く前記2本の弦(1b、1c)は、同じくチューニングされ、前記ペダルが踏まれると、前記ハンマー(3)も叩く第3本目の弦(1a)は、他の前記2本の弦とは異なってチューニングされる、ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項3】
前記機構(4)は、その横変位により前記ハンマー(3)を右に移動させるように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項4】
前記機構(4)は、角運動を前記ハンマー(3)に加えるように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項5】
各グループの弦(1a、1b、1c)の前記第3本目の弦(1a)は、他の2本の弦(1b、1c)がチューニングされるメインピッチに対して4Hzの差でチューニングされる、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項6】
各グループの弦(1a、1b、1c)の前記第3本目の弦(1a)は、他の前記2本の弦(1b、1c)がチューニングされる前記メインピッチより4Hz低くチューニングされる、ことを特徴とする請求項5に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項7】
前記グループは、弦(1a、1b、1c、1d)を有するときに、これらの弦は、グループ化され、各グループにおいて、これらの弦は、同じ前記ファスナー(2)にある、ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項8】
4本の弦(1a、1b、1c、1d)のグループにおいて、
前記ハンマー(3)は、前記ペダルが休止位置にあるときには、各ハンマー(3)が各グループの前記4本の弦のうちの3本の弦(1b、1c、1d)だけ、具体的には、最左弦(1d)と前記2本の中央左弦(1c)及び中央右弦(1b)とを叩くように位置決めされ、
前記機構(4)は、前記ペダルが踏まれると、前記ハンマー(3)を移動させることにより、各ハンマーは、4本の弦のうちの3本の弦だけ、具体的には、各グループの2本の中央左弦(1c)及び中央右弦(1b)と最右弦(1a)とを同時に叩き、
前記ペダルが休止位置にあるときに前記ハンマー(3)が叩く前記3本の弦(1b、1c、1d)は、同じくチューニングされ、前記ペダルが踏まれると、前記ハンマー(3)が叩く、2本の中央左弦(1c)及び中央右弦(1b)に隣接する第4本目の右弦(1a)は、他の3本の弦とは異なってチューニングされる、ことを特徴とする請求項7に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項9】
前記機構(4)は、その横変位により前記ハンマー(3)を右に移動させるように構成される、ことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項10】
各グループの弦(1a、1b、1c、1d)の前記第4本目の右弦(1a)は、他の3本の弦(1b、1c、1d)がチューニングされるメインピッチに対して1Hzの差でチューニングされる、ことを特徴とする請求項8又は9に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項11】
各グループの弦(1a、1b、1c、1d)の前記第4本目の右弦(1a)は、他の前記3本の弦(1b、1c、1d)がチューニングされるメインピッチに対して4Hzの差でチューニングされる、ことを特徴とする請求項8又は9に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【請求項12】
各グループの弦(1a、1b、1c、1d)の前記第4本目の右弦(1a)は、他の前記3本の弦(1b、1c、1d)がチューニングされるメインピッチに対して8Hzの差でチューニングされる、ことを特徴とする請求項8又は9に記載のハイブリッドアコースティックピアノ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の名称に記載されるように、本発明は、さらに詳細に説明され、本分野の現在の技術水準に対する新規性を暗示する利点及び特徴を、その使用目的に寄与するハイブリッドアコースティックピアノに関する。
【0002】
本発明の主題は、ピアノ、具体的には、弦が叩かれる伝統的なピアノ、好ましくは、グランドピアノに関するが、アップライトピアノを排除せず、それは、ペダル、通常、左ペダルに関連付けられたハンマーを移す(displace)機構を有することにより区別され、当該機構は、上記ペダルが踏まれると、演奏中の鍵の音を弱めるのではなく、音の音色を変化させ、例えば、アコーディオンチューニングが生じる方式で改造されており、これは、各鍵に関連付けられた3本又は4本の弦のうちの1本の弦(少なくとも一部)が他の弦のピッチとは異なるピッチでチューニング(tune)されているためである。
【0003】
〔本発明の適用分野〕
本発明の適用分野は、楽器の製造に特化し(dedicate)、特にピアノの分野に着目する産業セクターに属する。
【背景技術】
【0004】
よく知られているように、弦が叩かれる伝統的なピアノのペダルのうちの1つのペダル、通常、グランドピアノ上の左ペダルは、単弦ペダルとも呼ばれ、減音機能を実行する。このため、ピアノのハンマー機構は、右に数ミリメートル移されるように動作することにより、上記ペダルが踏まれたときに、ハンマーは、少数の弦を叩くため、ピアノの音が小さくなる。
【0005】
ピアノの鍵の多くは、その鍵に対応するハンマーによって叩かれた、1つのグループとされる(grouped together)3本の弦に対応することに留意すべきである。このペダルは、ピアノを(柔らかく)するために使用されることが多いが、音色及び聞こえ度(sonority)のニュアンスとしても使用されている。
【0006】
また、いくつかの伝統的なピアノモデルは、通常、最高音の鍵において、1つの鍵に関連付けられた4本の弦のグループを含む。しかし、このような場合、ハンマー機構は、減音ペダルが踏まれるか否かに応じて、各グループの弦のうちの2本又は3本の弦だけを叩き、第4本目の弦は、他の3本の弦を異なる高さに固定した部品とは異なる部品に固定されていることに加えて、ハンマーによって叩かれることはないので、その音が共振効果(sympathetic vibration effect)のみによるものとなる。
【0007】
本発明の目的は、新たなタイプのピアノを提供することであり、当該ピアノにおいて、同じペダルシステムとそれに関連する機構を利用してハンマーを変位させて、上記減音機能を、伝統的なピアノ音をアコースティック音に変換させる革新的な機能に置き換えることにより、ピアノは、両モードで互いに交換可能に演奏できるハイブリッド楽器となる。
【0008】
現在、数多くの音楽家は、新しい音色を探して、彼らの作品の音及び和音(harmony)を変化させる。したがって、本発明は、新たな和音を追加することでピアノ音の多様性を高めることができるため、任意のジャンルの作曲者、特に、ジャズの作曲者及び音楽家、現代音楽、全ての即興的に演奏する者に対して興味のある提案である。
【0009】
また、現在の技術水準を参考にすると、ピアノの無数の種類及びモデルが知られているが、少なくとも、本出願人は、本発明に特許請求された技術的特徴と同一又は類似の技術的特徴を有する任意の他のピアノの存在を知らない。
【発明の概要】
【0010】
本発明により提案されているハイブリッドアコースティックピアノは、上記課題に対する理想的な解決手段として構成され、それを可能にして区別する特徴詳細は、この明細書に添付する最後の特許請求の範囲に都合よく含まれる。
【0011】
具体的には、上述したように、本発明に係る、弦が叩かれるピアノ、好ましくは、グランドピアノは、そのペダルのうちの1つのペダル、通常、左ペダルに関連付けられたハンマーを移す機構を有することにより区別され、当該機構は、上記ペダルが踏まれると、演奏中の鍵の音を弱めるのではなく、音の音色を変化させ、例えば、アコーディオンチューニングが生じる方式で設計されており、これは、各鍵に関連付けられた3本又は4本の弦のうちの1本の弦(少なくとも一部)が他の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされているためである。
【0012】
本発明は、一般に、ピアノの各音符が3本又は4本の弦を有するピアノパート、即ち、大体、第30鍵から第88鍵までで実施される。およそ第12鍵から第30鍵までの低音鍵は、低音鍵における新しい音色が高音鍵における音色ほど快適ではないが、本発明に提案されるようにチューニングすることもできる。
【0013】
通常、これまで存在している伝統的なピアノにおいて、ペダルが踏まれたときに、ペダルに関連する機構は、ハンマーを右に数ミリメートル(2.5~3mm)移すことにより、ハンマーは、各鍵に連結された3本又は4本の弦のグループを叩くのではなく、これらの弦のうちの2本の弦だけを叩く。全ての弦が通常同じくチューニングされるため、この変位により、生じた音がより柔らかくされ、即ち、小さく聞こえる。
【0014】
一方、本発明の主題であるピアノは、上述したように、各鍵に連結された各グループの3本又は4本の弦とは異なってチューニングされた弦を含み、ペダルが休止状態にあるときに、即ち、ペダルが踏まれていないときに、鍵を押すと、ハンマーは、各グループの弦のうちの少なくとも2本の同じくチューニングされた弦を叩き、ペダルが踏まれたときに、機構は、ハンマーを右に移し、鍵を押すと、3本の弦が叩かれ、これらの弦のうちの1本の弦は、異なってチューニングされる。
【0015】
したがって、3本の弦のグループの場合、ペダルが休止状態にあるときに、ハンマーは、各鍵に関連付けられた3本の弦のうちの2本の弦だけを叩き、ペダルが踏まれたときに、機構は、ハンマーを右に移し、鍵を押すと、各鍵の3本の弦が叩かれる。
【0016】
また、ペダルが踏まれたときにのみ叩かれる第3本目の弦が他の弦とは異なってチューニングされるため、生じた音は、新しい音色、例えばアコーディオンチューニングを有する。
【0017】
次に、各鍵に関連付けられた4本の弦のグループにおいて、ペダルが作動されていないときに、各ハンマーは、同じくチューニングされた、4本の弦の左側から数えて第1本目の3本の弦、即ち、最左弦(left wire)と、2本の中央左弦及び中央右弦とを叩く。ペダルが作動されたときに、機構は、ハンマーのセットを右に移動させることにより、各ハンマーは、現在、右に位置する3本の弦、即ち、ペダルが踏まれていないときに既に叩かれた、同じくチューニングされた2つの中央左弦及び中央右弦と、異なってチューニングされた最右弦(right wire)とを叩き、最左弦が触れられない。
【0018】
本発明の特徴により、新しい音色は、ペダルが踏まれたときにのみ出るため、演奏者は、ピアノ音色を使用する大部分の作品(work)中で、通常通りのピアノ音色で快適に演奏することができる。
【0019】
この実施形態において、休止位置にあるとき、及びペダルが踏まれたときに、音量が失われないため、各音符の3本の弦の音は、伝統的なピアノ上の音と同様である。
【0020】
この実施形態において、各音域(register)における所望の音色を取得することができる。これらが独立であるためである。例えば、第1音域において、左下弦のチューニングピッチを1Hz、4Hz又は8Hzなどに下げる。第2音域において同様であり、チューニングピッチを1Hz、4Hz又は8Hzなどに下げる。或いは、必要があれば、各弦に2つの同じくチューニングされた音域のうちの1つを残して、伝統的な音色を取得する。
【0021】
このために、より具体的には、本発明のハイブリッドアコースティックピアノは、ペダルに関連付けられた機構を含み、当該機構は、ハンマーのセットを移動させることにより、ハンマーの各グループの弦での衝撃点が2.5~3mmの変位で右に変化し、上記変位は、好ましくは、少なくとも、高音域のハンマーに影響を与える。
【0022】
任意的に、代替的な実施形態において、少なくとも、各鍵に関連付けられた3本の弦のグループに対して、当該機構は、ペダルが踏まれると、3本の弦を叩くように各鍵のハンマーの取付角度を変化させる方式で構成される。
【0023】
同時に、ピアノ、前述したように、好ましくは、グランドピアノの高音域の各音符の最右弦のチューニングは、異なるピッチ、好ましくは、メインピッチより低いピッチ、好ましくは、メインピッチより4Hz低いピッチで行われ、即ち、2ピッチのチューニングは、4Hzの差で行われ、このチューニング後のグランドピアノの音は、第2グランドピアノの音色である。しかし、1Hzの差を有するピッチでチェレスタ(celesta)の音を模擬するか、又は8Hzでフランスアコーディオンの音を模擬することも可能であり、4Hzの差を有するため、イタリアアコーディオンの音を模擬するのに役立つ。
【0024】
したがって、音域の変化は、左ペダルを踏むことにより実行され、これにより、当該機構は、左ペダルが踏まれるときにハンマーを右に移動させる。ペダルが踏まれていない場合には、通常発音の(同じくチューニングされる)2本又は3本の左弦が音を出し、ペダルが踏まれた場合には、異なってチューニングされる3本の弦が音を出す。
【0025】
従来のグランドピアノにおいて、ペダルが踏まれていない場合には、各グループの全ての3本の弦が音を出し、ペダルが踏まれた場合には、2本の右弦が音を出し、これは、全く逆である。
【0026】
これにより、ペダルの機能性が大幅に変化する。知られているピアノにおいて、ペダルは、踏まれたときに楽器音をより静かに(quiete)するために使用され、本発明のピアノにおいて、ペダルは、グランドピアノにおける新しい音色、即ち、新しいアコースティック音を出すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
説明を完全にし、かつ本発明の特徴をより容易に理解するために、この説明には、その不可欠な部分を構成する一連の図面が添付されているが、これらの図面は、例示的なものであり、以下に限定されるものではない。
【0028】
【
図1(A)】従来のピアノの様々な鍵の3本の弦のグループの、関連付ける鍵の対応するハンマー上の配置の模式図を示し、従来技術による配置を示し、ペダルが踏まれていないときのハンマー機構の位置を示す。
【
図1(B)】従来のピアノの様々な鍵の3本の弦のグループの、関連付ける鍵の対応するハンマー上の配置の模式図を示し、従来技術による配置を示し、ペダルが踏まれたときに機構がハンマーを右に移した場合を示す。
【
図2(A)】本発明のピアノの様々な鍵の3本の弦のグループの、関連付ける鍵の対応するハンマー上の配置の模式図であり、ペダルが踏まれていないときの弦のグループの配置が示される。
【
図2(B)】本発明のピアノの様々な鍵の3本の弦のグループの、関連付ける鍵の対応するハンマー上の配置の模式図であり、ペダルが踏まれたときに機構がハンマーを右に移す場合の弦のグループの配置が示される。
【
図3】
図2(B)に示されるのと類似する描写を示し、この場合、本発明の一例において、機構は、ペダルが踏まれると、ハンマーを斜めに移動させる。
【
図4】従来技術の模式図を再度示し、この場合、従来のピアノの様々な鍵の4本の弦のグループを、関連付ける鍵のハンマー上に配置することを示し、ペダルが踏まれていないときにハンマーが有する位置により描写される弦のグループの配置を示す。
【
図5(A)】本発明の主題であるハイブリッドアコースティックピアノの様々な鍵の4本の弦のグループの配置の模式図を示し、ペダルが踏まれていないときの、これらの弦の、関連付ける鍵の対応するハンマー上の配置が示される。
【
図5(B)】本発明の主題であるハイブリッドアコースティックピアノの様々な鍵の4本の弦のグループの配置の模式図を示し、ペダルが踏まれたときに機構がハンマーを右に移す場合の、これらの弦の、関連付ける鍵の対応するハンマー上の配置が示される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
前述の図面を考慮して、使用された符号を参照しながら、本発明のハイブリッドアコースティックピアノの非限定的で例示的な実施形態が見られ、具体的には、以下に詳述するように、その鍵の一部に示される3本及び4本の弦のグループの配置及び特性が見られる。
【0030】
したがって、上記図面に見られるように、本発明のハイブリッドアコースティックピアノ、特に、弦が叩かれるピアノは、既知の方法で、鍵(図示せず)に連結されたハンマー(3)に位置する3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)毎に、ファスナー(fastener)(2)によってグループ化された複数の弦と、ペダル(図示せず)の踏みにより弦のグループに対して一連の上記ハンマー(3)の位置を移動させる、ペダルに関連付けられた機構(4)とを含む。
【0031】
上記既知の構成に基づいて、本発明のピアノは、本質的な区別として、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)が1つの鍵に関連付けられ、これらの弦のうちの1本の弦(1a)が第3本目の弦及び第4本目の弦(第1本目)と見なされ、それぞれ、同じくチューニングされた他の2本又は3本の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされ、機構(4)は、以下のように構成される。
ペダルが休止状態にあるときに、即ち、ペダルが踏まれていないときに、鍵を押すと、ハンマー(3)は、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)又は4本の弦(1a、1b、1c、1d)のうちの少なくとも2本の同じくチューニングされた弦(1b、1c)を叩く。
ペダルが踏まれたときに、機構(4)は、ハンマー(3)を右に移し、鍵を押すと、3本の弦が叩かれ、これらの弦のうちの1本の弦は、他の弦のピッチとは異なるピッチでチューニングされた弦(1a)である。
【0032】
図1を参照すると、見てわかるように、従来技術(
図1(A)及び
図1(B))によれば、本明細書に記載されたタイプのピアノは、鍵を演奏すると、各ハンマー(3)が押された鍵に対応するグループの全ての3本の弦(1a、1b、1c)を叩く(
図1(A))といった方法で、鍵(図示せず)に連結されたハンマー(3)と一致する、同じくチューニングされた3本の弦(1a、1b、1c)毎にファスナー(2)によってグループ化された複数の弦を含み、ペダル(図示せず)に関連付けられた機構(4)もあり、当該機構(4)は、ペダルが踏まれると、ハンマー(3)を片側、具体的には、右側に横方向に移すことにより、各ハンマー(3)は、各グループの3本の弦のうちの2本の弦(1a、1b)だけを叩き(
図1(B))、ペダルが休止位置にあるときに、ハンマー(3)は、再度、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)を叩く(
図1(A))。
【0033】
図2(A)及び
図2(B)に示されるように、本発明の主題であるピアノは、鍵に連結されたいくつかのハンマー(3)に位置する3本の弦(1a、1b、1c)毎に、ファスナー(2)によってグループ化された複数の弦と、ペダル(図示せず)が踏まれると、弦のグループに対してハンマー(3)の位置を移動させる、ペダルに関連付けられた機構(4)とを含み、区別される。
ハンマー(3)は、ペダルが休止位置にあるときに(
図2(A))、各ハンマー(3)が各グループの3本の弦のうちの2本の弦(1b、1c)、具体的には、中央弦(1b)及び最左弦(1c)だけを叩くように、3本の弦(1a、1b、1c)のグループに対して位置決めされる。
機構(4)は、ペダルが踏まれたときに、ハンマー(3)を移すことにより、各ハンマーは、各グループの3本の弦(1a、1b、1c)を同時に叩く(
図2(B)及び
図3)。
また、ペダルが休止位置にあるときにハンマー(3)が叩く2本の弦(1b、1c)は、同じくチューニングされ、ペダルが踏まれると、ハンマー(3)も叩く第3本目の弦(1a)は、他の2本の弦とは異なってチューニングされる。
【0034】
好ましくは、
図2(B)に示されるように、機構(4)は、その横変位によりハンマー(3)を右に移動させるように構成される。
【0035】
任意的に、
図3に示されるように、ハンマー(3)を移動させる機構(4)は、角運動を上記ハンマー(3)に加えるように構成される。
【0036】
好ましくは、各グループの弦(1a、1b、1c)の第3本目の弦(1a)は、他の2本の弦(1b、1c)がチューニングされるメインピッチに対して4Hzの差でチューニングされる。
【0037】
好ましくは、各グループの弦(1a、1b、1c)の第3本目の弦(1a)は、他の2本の弦(1b、1c)がチューニングされるメインピッチより4Hz低くチューニングされる。
【0038】
次に、
図4を参照すると、見てわかるように、従来技術によれば、4本の弦(1a、1b、1c、1d)を1つのグループとするピアノにおいて、これらの全ての弦が同じくチューニングされることに加えて、4本の弦のうちの3本の弦(1a、1b、1c)だけは、1つのファスナー(2)に取り付けられ、ペダルが踏まれていないときに、上記3本の弦(1a、1b、1c)(
図1に示される位置)が叩かれ、ペダルが踏まれたときに、機構(4)がハンマー(3)を移すことにより、これらの弦のうちの2本の弦(図示されない位置)だけが叩かれるといった方法で、ハンマー(3)により叩かれ、どちらの場合にも、ペダルが踏まれるか否かにかかわらず、第4本目の弦(1d)は、独立したファスナー(2’)に取り付けられ、共鳴して振動するだけで、叩かれない。また、各グループ(1)の4本の弦(1a、2b、1c、1d)が同じくチューニングされる。
【0039】
これに対比すると、
図5(A)及び
図5(B)に見られるように、本発明のハイブリッドアコースティックピアノにおいて、高音鍵に連結されたグループが4本の弦(1a、1b、1c、1d)を有するときに、これらの全ての弦は、グループ化され、各グループにおいて、これらの弦は、同じファスナー(2)にある(in the same fastener (2))。
【0040】
また、上記4本の弦(1a、1b、1c、1d)のグループにおいて、ハンマー(3)は、ペダルが休止位置にあるときに、各ハンマー(3)が各グループの4本の弦のうちの3本の弦(1b、1c、1d)だけ、具体的には、最左弦(1d)と2本の中央左弦(1c)及び中央右弦(1b)とを叩くように位置決めされる。次に、本発明のピアノの機構(4)は、ペダルが踏まれると、ハンマー(3)を移動させることにより、各ハンマーは、4本の弦のうちの3本の弦だけ、具体的には、各グループの2本の中央左弦(1c)及び中央右弦(1b)と最右弦(1a)とを同時に叩く。
【0041】
同様に、本発明のピアノにおいて、ペダルが休止位置にあるときにハンマー(3)が叩く各グループの3本の弦(1b、1c、1d)は、同じくチューニングされ、ペダルが踏まれると、ハンマー(3)が叩く、2本の中央左弦(1c)及び中央右弦(1b)に隣接する右の第4本目の弦(1a)は、他の3本の弦とは異なってチューニングされる。
【0042】
好ましくは、
図5(B)における矢印で示されるように、機構(4)は、その横変位によりハンマー(3)を右に移動させるように構成される。
【0043】
とにかく、好ましくは、各グループの4本の弦(1a、1b、1c、1d)のうちの第4本目の右弦(1a)は、他の3本の弦(1b、1c、1d)がチューニングされるメインピッチに対して1Hzの差でチューニングされるか、又は、他の3本の弦(1b、1c、1d)がチューニングされるメインピッチに対して4Hzの差でチューニングされるか、又は、メインピッチに対して8Hzの差でチューニングされる。他の3本の弦(1b、1c、1d)がチューニングされる。
【0044】
本発明の本質及び本発明の実施方法を十分に説明しているため、当業者が本発明の範囲及びそれから導出された利点を理解するためにその説明を詳細に解釈する必要がないと考えられる。
【国際調査報告】