(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】骨手術中の、例えば骨切り及び/又は骨穿孔時の組織保護に適した手術器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20240221BHJP
A61B 17/17 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61B17/15
A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552201
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2022055294
(87)【国際公開番号】W WO2022184774
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522411212
【氏名又は名称】ニュークリップ インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ポドゴルスキー ジャン‐ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ラルシュ グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ギラン マリ‐セシル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL21
(57)【要約】
本発明は、骨手術中、例えば骨(S)の骨切り及び/又は骨穿孔時に組織を保護するのに適した手術器具に関する。手術器具(1)は、保護対象の組織と骨(S)との間の皮下保護位置に位置付けられることが意図される保護部分(2)を含む。手術器具(1)はさらに、保護位置において手術器具(1)を骨(S)に仮固定するように設計された仮安定化部分(4)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨手術中、例えば骨(S)の骨切り及び/又は骨穿孔時に組織を保護するのに適した手術器具において、
手術器具(1)は、
-保護対象の組織と骨(S)との間の皮下保護位置に位置付けられることが意図される保護部分(2)であって、
前記骨(S)を担持することが意図される前面(21)を含む保護部分(2)と、
-前記手術器具(1)を把持するのに適した把持部分(3)と、
を含み、
前記手術器具(1)は、前記保護位置において、前記手術器具(1)を前記骨(S)に仮固定するように設計された仮安定化部分(4)を含み、
仮安定化部分(4)は、前記骨(S)内に仮植込み可能な機関(42)、例えばピン又はスクリュを受けることが意図される少なくとも1つの貫通オリフィス(41)を含む
ことを特徴とする手術器具。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通オリフィス(41)は前記保護部分(2)内の前記把持部分(3)の側に形成され、有利な態様としてその前記前面(21)を通って開放することを特徴とする、請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記保護部分(2)は長さ方向軸(2’)を有することと、
前記仮固定部分(4)は、前記長さ方向軸(2’)の片側に植え込まれる少なくとも1つの貫通オリフィス(41)を含むことと
を特徴とする、請求項2に記載の手術器具。
【請求項4】
前記仮固定部分(4)は、前記長さ方向軸(2’)のそれぞれの側に植え込まれる少なくとも1対の貫通オリフィス(41)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の手術器具。
【請求項5】
前記仮固定部分(4)は、前記長さ方向軸(2’)のそれぞれの側に植え込まれ、前記長さ方向軸(2’)の長さにわたり分散される少なくとも2対の貫通オリフィス(41)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の手術器具。
【請求項6】
前記仮固定部分(4)は、有利な態様として発散又は収束する、各々がピン(42)を受けるのに適した少なくとも2つの非平行な貫通オリフィス(41)を含むことを特徴とする、請求項2~5の何れか1項に記載の手術器具。
【請求項7】
前記保護部分(2)は、X線透過性プラスチック材料で製作されることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の手術器具。
【請求項8】
前記保護部分(2)は、前記前面(21)の片側に開放し、前記保護部分(2)の長さ方向軸(2’)を画定する、金属材料で製作される溝(23)を含むことを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の手術器具。
【請求項9】
骨手術案内手段(7)、有利な態様として骨切り案内手段(10)及び/又は少なくとも1つのピン(9)の植込み案内手段(8)を含むことを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載の手術器具。
【請求項10】
前記植込み案内手段(8)は、前記骨(S)に作られることが意図される切断線の直下の、前記保護部分(2)の長さ方向軸(2’)に平行に延びる近位側軸(81’)を画定し、前記切断線の案内に関係するピン(91)を位置付ける近位側オリフィス(81)を含むことを特徴とする、請求項9に記載の手術器具。
【請求項11】
前記植込み案内手段(8)は、前記骨(S)に作られることが意図される切断線と交差する遠位側軸(82’)を画定し、切断停止ピン(9)及び第二の切断線を案内するピン(9)から選択される少なくとも1つのピン(92)を位置付ける遠位側オリフィス(82)を含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の手術器具。
【請求項12】
前記遠位側オリフィス(82)は、有利な態様として前記保護部分(2)の前記長さ方向軸(2’)に関し、その中心が有利な態様として所望のヒンジポイント(C)と一致する円弧状行程にわたる移動を可能にするアセンブリ手段(83)により担持されることを特徴とする、請求項11に記載の手術器具。
【請求項13】
少なくとも1つのアクセサリ、例えば前記案内手段(7)を受けるのに適した、有利な態様として前記保護部分(2)と前記把持部分(3)との間に形成された受容手段(11)であって、
前記アクセサリの相補的基底部(112)を受けるのに適したインタロック手段(111)を含む受容手段(11)を含むことを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載の手術器具。
【請求項14】
骨手術手技を実施するための、例えば骨(S)の骨切り及び/又は骨穿孔の際の機器において、
-請求項1~13の何れか1項に記載の手術器具(1)と、
-前記手術器具(1)を前記骨(S)の前記保護位置に仮固定するのに適した、前記骨(S)内への少なくとも1つの仮植込み可能機関(42)、例えばピン又はスクリュと、
-おそらくは切断線を作る切断用ブレードと、
-おそらくは骨接合プレート(P)と、
-おそらくは、前記骨(S)内に固定するための、前記骨接合プレートの貫通オリフィスに挿入してそれを前記骨(S)の表面に固定することが意図されるねじ群と、
を含むことを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨手術中の、例えば骨切り及び/又は骨穿孔時の組織保護に適した手術器具の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
骨手術は、整形外科医により病気や事故の後に骨を修復することを目的として行われる。
【0003】
それは特に、骨接合術、すなわち、骨折や骨の機械的問題を、強化のために骨断片を相互に固定することを目的として体内、骨上、又は外的固定具を使って体外に設置された骨接合インプラント(スクリュ、プレート、ピン等)を使って治療できるようにする方法を含む。
【0004】
この種の介入には、骨への様々な動作、例えば骨切り及び/又は骨穿孔が必要となる。
【0005】
しかしながら、これらの介入は、特に介入領域を取り囲む様々な(軟部及び脈管)組織に関して繊細なものであり得る。
【0006】
介入のリスクを低下させるために、皮下の、骨と保護すべき軟部/脈管部分との間に位置付けられることになる、「軟部及び脈管保護ティシュ」又は「保護用手術器具」とも呼ばれる手術器具を実装することが一般的である。
【0007】
しかしながら、実際に、このような現在の保護用手術器具は完全に満足できるものとは言えない。
【0008】
実際、介入の前に、外科医は保護用手術器具を適正に位置付ける。
【0009】
しかし、介入中に様々な操作によってこの保護用手術器具が移動し、その結果として、その保護の役割を確実に果たすことができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
その結果、介入時に終始、最適に保護できるようにする技術的解決策が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
最新技術の前述の欠点を克服するために、本発明は、骨手術中の、例えば骨切り及び/又は骨穿孔時の組織保護に適した手術器具を提案する。
【0012】
この手術器具は、
-保護対象の組織と骨との間の皮下保護位置に位置付けられることが意図される保護部分であって、
前記骨を担持することが意図される前面を含む保護部分と、
-前記手術器具を把持するのに適した把持部分と、
を含む。
【0013】
また、本発明によれば、前記手術器具は、前記保護位置において、前記手術器具を前記骨に仮固定するように設計された仮安定化部分を含む。
【0014】
それゆえ、実際に、外科医は本発明による手術器具を、介入領域の周囲の様々な(軟部及び脈管)組織の最適な保護を確保するために適切に位置付けることができる。
【0015】
この位置決めは、この手術器具を骨に確実に仮固定する仮安定化部分の実装により安定化される。
【0016】
外科医は、介入中にこの手術器具が移動するリスクを生じさせることなく、様々な操作を行うことができる。
【0017】
手術器具はそれゆえ、介入中、終止、その最適な保護の役割を確保できる。
【0018】
この手術器具は最後に、適時に骨から分離することができる。
【0019】
本発明による製品の他の非限定的で有利な特徴は、個別に、又は技術的に可能なあらゆる組合せとして、以下の通りであり、
-仮安定化部分は、前記骨内に仮植込み可能機関、例えばピン又はスクリュを受けることが意図される少なくとも1つの貫通オリフィスであって、有利な態様として、保護部分内の把持部分の側に形成され、有利な態様としてその前面を通って開放する少なくとも1つの貫通オリフィスを有し、好ましくは、保護部分は長さ方向軸を有し、仮固定部分は、前記長さ方向軸の片側に植え込まれる少なくとも1つの貫通オリフィスであって、有利な態様として、固定されるか、保護部分の長さ方向軸の長さにわたり移動可能である少なくとも1つの貫通オリフィス、好ましくは前記長さ方向軸のそれぞれの側に植え込まれる少なくとも1対の貫通オリフィス、好ましくは前記長さ方向軸のそれぞれの側に植え込まれ、長さ方向軸の長さにわたり分散される少なくとも2対の貫通オリフィスを含み、より好ましくは、仮固定部分は、有利な態様として、発散又は収束する、各々がピンを受けるのに適した少なくとも2つの非平行な貫通オリフィスを含む。
-保護部分は、X線透過性プラスチック材料で製作される。
-保護部分は、前記前面の片側に開放し、前記保護部分の長さ方向軸を画定する、金属材料で製作される溝を含む。
-前記手術器具は、骨手術案内手段、有利な態様として骨切り案内手段及び/又は少なくとも1つのピン植込み案内手段であって、有利な態様として保護部分と把持部分との間に形成され、有利な態様として一体部品として製作されるか直接取り付けられる骨手術案内手段を含み、好ましくは、少なくとも1つのピン植込み案内手段は、前記骨に作られることが意図される切断線の直下の、保護部分の長さ方向軸に平行に延びる近位側軸を画定し、切断線の案内に関係するピンを位置付ける近位側オリフィス及び/又は前記骨に作られることが意図される切断線と交差する遠位側軸を画定し、切断停止ピン(所望の骨ヒンジポイントにある)及び第二の切断線を案内するピンから選択される少なくとも1つのピンを位置付ける遠位側オリフィスを含み、さらにより好ましくは、遠位側オリフィスは、有利な態様として保護部分の長さ方向軸に関し、その中心が有利な態様として所望のヒンジポイント(有利な態様として溝の端に対応する)と一致する円弧状行程にわたる移動を可能にするアセンブリ手段、例えば前記遠位側オリフィスを担持し、スライドガイドにより担持されるスライダにより担持され、最も好ましくは、植込み案内手段は回転アセンブリ手段により担持されて、保護部分と植込み案内手段(近位側オリフィスを含む)との間でこの近位側オリフィスに平行な回転軸に沿った旋回運動が可能となる。
-前記手術器具は、少なくとも1つのアクセサリ、例えば骨手術案内手段を受けるのに適した、有利な態様として、保護部分と把持部分との間に形成された受容手段であって、有利な態様として前記アクセサリの相補的な基底部を受けるのに適したインタロック手段を含む受容手段を含む。
【0020】
本発明はまた、骨手術手技を実施するための、例えば骨切り及び/又は骨穿孔の際の機器に関する。
【0021】
この機器は、
-おそらくは骨手術案内手段を備える本発明による手術器具と、
-前記手術器具を前記骨の保護位置に仮固定するのに適した、前記骨内への少なくとも1つの仮植込み可能機関、例えばピン又はスクリュと、
-おそらくは切断線を作る切断用ブレードと、
-おそらくは骨接合プレートと、
-おそらくは、骨内に固定するための、前記骨接合プレートの貫通オリフィスに挿入してそれを骨の表面に固定することが意図されるねじ群と、
を含む。
【0022】
本発明はまた、骨手術の方法に関し、この手術方法は、
a)準備ステップであって、その間に
-前記手術器具の保護部分が保護すべき組織と骨との間に、おそらくはX線撮影法を援用して位置付けられ、
-前記手術器具は前記骨に仮固定され、
-おそらくは、切断線の案内に関与するピン(有利な態様として、切断線を案内することに関与する1つのピン又は各々が切断線の案内に関与する2つのピン)と切断停止ピン(所望の骨ヒンジポイントにある)から選択される少なくとも1つのピンの植込みの、
準備ステップと、
b)骨手術ステップと、
c)手術器具を取り外すステップと、
d)適当であれば、有利な態様として骨開放の形態の骨切り術ステップと、ねじ群を用いて骨接合プレートを固定するステップと、
を含む。
【0023】
もちろん、本発明の様々な特徴、変形型、及び実施形態は、相互に矛盾し、又は排他的でないかぎり、各種の組合せで相互に関連付けることができる。
【0024】
それに加えて、本発明の多様なその他の特徴は、本発明の非限定的な実施形態を示す下記のような図面に関する以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】骨に仮固定されて骨手術中の組織(図示せず)の保護を確実にする保護部品を含む本発明による手術器具の全体的な斜視図である。
【
図4】ねじによる保護部品の骨への仮固定を示す略図である。
【
図5】オリーブピンを使用する保護部品の骨への仮固定を示す略図である。
【
図6】植込み案内手段を備え、骨に仮固定されて骨手術中に組織の保護を確実にする保護部品を含む、本発明による手術器具の全体的な斜視図である。
【
図8】骨から分離された、
図6による手術器具を示す側面図である。
【
図9】
図6による保護部品を備える植込み案内手段の斜視分離図である。
【
図10】
図6による植込み案内手段の端面図である。
【
図11】
図6による植込み案内手段の側面図である。
【
図12】切断案内手段を備える手術器具を示す略図である。
【
図14】本発明による手術器具の実装後の、骨接合プレートを備える骨の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これらの図中、異なる図に共通する構造及び/又は機能的要素には同じ参照番号が付されている可能性があることに留意されたい。
【0027】
図に示される本発明による手術器具1は、骨手術中、例えば骨Sの骨切り及び/又は骨穿孔時に組織を保護するのに適している。
【0028】
実際には、このような手術器具1は、「軟部及び脈管組織保護器」又は「手術器具」又は「付属器具」とも呼ばれ、皮下の保護対象の軟部/脈管部分と骨Sとの間に位置付けられることが意図される。
【0029】
この手術器具1は、骨Sの骨切り及び/又は骨穿孔時に軟部及び脈管部分を保存する役割を有する。
【0030】
このために、一般的に、手術器具1は、
-保護対象の組織(図示せず)と骨Sとの間の皮下保護位置内に位置付けられることが意図される保護部分2と、
-手術器具1を把持するのに適した把持部分3(有利な態様として医師が手で握るハンドル)と、
を含む。
【0031】
この場合、保護部分2と把持部分3はここで、単体の保護部品5を構成する。
【0032】
保護部品5はここで、スパチュラ、ストリップ、又はプレートの全体的形状である。
【0033】
保護部品5は有利な態様として、長さ方向軸5’を含み、その長さにわたり保護部分2と把持部分3が分散される(特に
図2参照)。
【0034】
保護部分
一般に、保護部分2は、一方で保護対象組織(図示せず)と他方で外科医が施術する骨Sとの間に保護スクリーンとして使用されることが意図される。
【0035】
特に
図3に示されるように、保護部分2は有利な態様として2つの反対面、すなわち、
-骨Sと当接することが意図され、骨切り/骨穿孔動作中に接触表面として使用可能な前面21と、
-保護対象の組織(図示せず)と面する、反対の後面22
を含む。
【0036】
保護部分2はここでは長さ方向軸2’を含み、有利な態様として、これは保護部品5の長さ方向軸5’と同軸である。
【0037】
保護部分2は有利な態様として、溝23を含み、これは有利な態様として直線状であり、有利な態様として金属材料で製作される(再び長さ方向の金属溝を形成する)。
【0038】
この溝23は有利な態様として、保護部分2に直接取り付けられ、金属材料で製作される部品からなる。
【0039】
溝23は、保護部分2の前面21の側に開放し、ここでこの保護部分2の長さ方向軸2’を画定する。
【0040】
この溝23は、切断用ブレードの案内にかかわるのに特に有益である。
【0041】
溝23は、金属材料で製作されている場合、有利な点として、より高い機械的強度を有し、これはまた、手術器具12をX線方式により位置付ける際に視覚的な参照マークとしても使用できる。
【0042】
保護部分2の前面21は、有利な態様として、
-主平坦部分211と、
-湾曲し、平坦部分211から突出する末端部分212
を含む。
【0043】
この形状により、前面21は骨Sの円周に適合し、その一部に引っかかる。
【0044】
一般に、保護部分2又は、さらに保護部品5は、X線透過性プラスチック材料で製作される(その溝23は例外であり、これは有利な態様として金属材料で製作される)。
【0045】
把持部分
同様に、把持部分3はここで、長さ方向軸3’を含み、これは有利な態様として保護部品5の長さ方向軸5’に平行である。
【0046】
把持部分3はここで、保護部分2に関してその後面22の側に折り畳まれる。
【0047】
仮安定化部分
本発明によれば、手術器具1は、この手術器具1を骨の保護位置に仮固定するように設計された仮安定化部分4を含む(特に
図1参照)。
【0048】
この場合、保護部分2、把持部分3、及び仮安定化部分4はここで、単体の保護部品5を構成する。
【0049】
保護部分2、把持部分3、及び仮安定化部分4は、有利な態様として、保護部品5の長さ方向軸5’の長さにわたり分散される。
【0050】
この場合、仮安定化部分4は有利な態様として少なくとも1つの貫通オリフィス41を含み、これは骨S内に仮に植え込まれるのに適した仮植込み可能機関42を受けることが意図される。
【0051】
仮植込み可能機関42はそれゆえ、一方で仮安定化部分4の貫通オリフィス41と、他方で骨Sと協働する。
【0052】
仮植込み可能機関42は様々な形状をとることができ、例えば表面が平滑なピン(
図1)、スクリュ(
図4)、又はさらにオリーブピン(
図5)である。
【0053】
オリーブピン又はスクリュにより、平滑ピンを収束又は発散状態にすることができない場合に、手術器具1をよりよく安定させることができる。
【0054】
このような仮植込み可能機関42は、有利な態様として長さ方向軸42’を含む。
【0055】
さらに、前記少なくとも1つの貫通オリフィス41は、有利な態様として保護部分2の、把持部分3の側に形成される。
【0056】
貫通オリフィス41は有利な態様として長さ方向軸41’を画定し、これは有利な態様として関連する仮植込み可能機関42の仮植込み軸を画定することが意図される。
【0057】
換言すれば、貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は有利な態様として、関連する仮植込み可能機関42の長さ方向軸42’に関して同軸である。
【0058】
前記少なくとも1つの貫通オリフィス41は、有利な態様として保護部分2の前面21を通って、有利な態様としてこの同じ保護部分の後面22を通じて開放する。
【0059】
貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は、有利な態様として保護部分2の前面21と反対に延びる。
【0060】
貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は有利な態様として、
図3に示されるように、保護部分2の前面21に関して(特にその平坦部分211に関して)5°~90°の範囲の角度を画定する。
【0061】
好ましくは、前記少なくとも1つの貫通オリフィス41は、保護部分2の長さ方向軸2’の片側に植え込まれる。換言すれば、前記少なくとも1つの貫通オリフィス41は、保護部分2の長さ方向軸2’に関して、有利な態様として溝23に関して横方向にオフセットされる。
【0062】
前記少なくとも1つの貫通オリフィス41はここで、保護部分2の長さ方向軸2’の長さに沿って固定される。図示されていない代替的実施形態によれば、前記少なくとも1つの貫通オリフィス41は、前記保護部分2の長さにわたり、この保護部分2の長さ方向軸2’に平行な方向に移動可能である(例えば、並進移動可能なキャリッジにより担持される)。
【0063】
好ましくは、仮安定化部分4は少なくとも1対の貫通オリフィス41を含む。
【0064】
1対の貫通オリフィス41の2つの貫通オリフィス41は、この保護部分2の長さ方向軸2’のそれぞれの側(有利な態様として、溝23のそれぞれの側)に植え込まれる。
【0065】
1対の貫通オリフィス41のこれら2つの貫通オリフィス41は、有利な態様としてこの保護部分2の長さ方向軸2’に関して横方向に配置される。
【0066】
前記少なくとも2つの貫通オリフィス41は、有利な点として非平行であり、好ましくは保護部分2を起点に発散又は収束する。
【0067】
例えば、1対の貫通オリフィス41の貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は、それらの間に2°~60°の範囲の角度を画定する(
図2参照)。
【0068】
この「非平行の」形状により、保護部分2を骨Sに最適に安定化させることができ、有利な点としてねじを使用しない。
【0069】
好ましい実施形態によれば、1対の貫通オリフィス41の2つの貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は同じ平面内に延びることができる(これらの貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は、
図3に示されるように、保護部分2の前面21に関して同じ角度を画定する)。1対の貫通オリフィス41の2つの貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は、有利な態様として、この平面内で非平行である(
図2に示される)。
【0070】
代替的に、1対の貫通オリフィス41の2つの貫通オリフィス41の長さ方向軸41’は、保護部分2の前面21に関して(及び、特にその平坦部分211に関して)異なる角度を画定する。
【0071】
より好ましくは、仮安定化部分4は有利な態様として、少なくとも2対の貫通オリフィス41(ここでは、2対の貫通オリフィス41)を含み、これらはこの保護部分2の長さ方向軸2’の長さにわたり分散される。
【0072】
この実施形態により、骨S上の仮植込み機関42の位置決めを調整できる。
【0073】
案内手段
図6以降に示される好ましい実施形態によれば、手術器具1は骨手術を実行するための案内手段7を含む。
【0074】
すると、手術器具1により、有利な点として、最初のステップで軟部組織、その後、2回目に切断支援具を固定することができる。
【0075】
案内手段7は例えば、
-少なくとも1つのピンの植込みを案内するのに適した植込み案内手段8(
図6~11)及び/又は
-骨Sの切断を案内するのに適した切断案内手段10(
図12及び13)
で構成できる。
【0076】
案内手段7(骨手術用)は、有利な態様として、保護部分2と案内部分3との間に形成される(特に
図8参照)。
【0077】
植込み案内手段8を
図6~11に関して以下に説明する。
【0078】
植込み案内手段8は、有利な態様として保護部分2の前面21の反対側で、ピン91、92を受け、案内するのに適した(有利な態様として、管状コンジット又はバレルの形態の)少なくとも1つのオリフィス81、82を含む。
【0079】
植込み案内手段8は、有利な態様として、保護部分2の長さ方向軸2’に平行に延びる近位側軸81’を画定する近位側オリフィス81を含む。
【0080】
近位側オリフィス81は、有利な態様として切断線の案内にかかわる近位側ピン91を位置付けるようになされる。
【0081】
それゆえ近位側オリフィス81は、管状コンジットの形態であり、近位側ピン91を、近位側オリフィス81の近位側属81’と近位側ピン91の長さ方向軸91’が同軸となるように案内する。
【0082】
換言すれば、近位側軸81’は、有利な態様として、保護部分2の溝23に平行に、前記溝23の真下に延びる。
【0083】
この近位側オリフィス81は、骨Sに作られることが意図される切断線の真下に延びることが意図される。近位側オリフィス81は、その近位側軸81’が骨Sに作られることが意図される切断線に平行となるような向きのままである。
【0084】
切断線は、有利な態様として溝23を通り、近位側ピン91に対して接線方向の平面Pにより画定される(
図7)。
【0085】
有利な実施形態によれば、植込み案内手段8は回転アセンブリ手段85によって担持され、それによって保護部分2と植込み案内手段8(特に近位側オリフィス81を含む)との間の、この近位側オリフィスに平行な回転軸に沿った、保護部分2と植込み案内手段8(特に近位側オリフィス81を含む)との間の、この近位側オリフィス81に平行な回転軸85’に沿った旋回運動が可能となる(特に
図10参照)。
【0086】
この技術的特徴は、切断面を調整する上で興味深い。
【0087】
補足的又は代替的に、植込み案内手段8は、骨Sに作られることが意図される切断線から離れた位置に形成される遠位側オリフィス82を含む。
【0088】
この遠位側オリフィス82は、前記骨Sに作られることが意図される切断線と交差して、切断停止ピン(所望の且つヒンジポイントCにある)と第二の切断線を案内するためのピンから選択される少なくとも1つの遠位側ピン92を位置付ける遠位側軸82’を画定する。
【0089】
遠位側オリフィス82は管状コンジットの形態で、遠位側ピン92を、この遠位側オリフィス82の遠位側軸82とこの遠位側ピン92の長さ方向軸92’が同軸となるように案内する。
【0090】
遠位側ピン92の異なる角形成を可能にするために、遠位側オリフィス82は、有利な態様としてアセンブリ手段83によって担持され、それによって円弧状行程Aにわたって運動可能となる(特に
図11に示される)。
【0091】
それゆえ、遠位側オリフィス82の遠位側軸82’は、保護部分2の長さ方向軸2’に関して(適切であれば近位側オリフィス81の近位側軸81’関して)調整可能な角度を有する。
【0092】
円弧状行程Aの中心Eは有利な態様として、所望の、「開放位置」とも呼ばれるヒンジポイントCと一致する(
図7参照)。
【0093】
円弧状行程Aのこの中心Eは、有利な態様として、溝23の端に対応する。
【0094】
好ましくは、円弧状行程Aの中心Eは、骨Sが占める必要のある空間、特に開放位置にあることが意図される。
【0095】
好ましくは、円弧状行程Aの中心Eにより、骨の表面及びプラトからの所定の距離にある理論上の点の位置を特定できる(例えば、理論上の点は外側皮質部から10~11mmにある)。
【0096】
このために、アセンブリ手段83はここで、スライダ831を含み、これは遠位側オリフィス82を担持し、それ自体はスライドガイド832により担持される。
【0097】
スライドガイド832は円弧の形状を有し、スライダ831及びそれに関連するその遠位側オリフィス82の円弧状行程を画定する。
【0098】
図6~11は、同じスライダ831と、両方の行程端部位置にあるその遠位側オリフィス82を示しており、図解のために、これらの図中、行程端部の位置のうち、遠位側である一方は破線で囲まれている。
【0099】
遠位側オリフィス82の角度は、関連する遠位側ピン92の所望の機能に応じて調整され、これは上方に移動する。
【0100】
前述のように、遠位側ピン92は切断停止ピン(所望の骨ヒンジポイントCにある)及び第二の切断線を案内するピンの一方の機能を果たすことができる。
【0101】
好ましくは、スライダ831には並進ロック手段835が設けられ、これは外科医が手術計画を考慮して調整した後にスライドガイド832の長さに沿ったスライダ831の位置をロックするのに適している。
【0102】
これらの並進ロック手段835は例えばねじからなり、これらは2つの位置:
-前記ねじがスライドガイド832と協働するロック位置と、
-前記ねじがスライドガイド832から離間されるアンロック位置
との間で操作される。
【0103】
切断案内手段10を
図12及び13に関して以下により詳しく説明する。
【0104】
切断案内手段10は、切断線のための切断面101’を画定するスロット101を含む。
【0105】
切断面101’は有利な態様として、この保護部分2の長さ方向軸2’及び、有利な態様として溝23を通過する。
【0106】
このような切断案内手段10は例えば、前後平面内で鋸刃を十分に案内するのに有益である。
【0107】
一般に、案内手段7はここでは直接取り付けられる。
【0108】
実際に、手術器具1は、少なくとも1つのアクセサリ、この場合は前述の案内手段7を受けるのに適した受容手段11を含む(アクセサリと案内手段7は、簡潔にするために同じ参照番号7で示されている)。
【0109】
受容手段11は有利な態様として、ここでは保護部品5上の保護部分2と把持部分3との間に形成される。
【0110】
この場合、受容手段11は、
-保護部品5上に形成されるインタロック手段111と、
-アクセサリ7が設けられる相補的基底部112と、
を含む。
【0111】
インタロック手段111は、2つの側方リブ111aを含み、有利な態様としてこれらは保護部品5の縁部に形成され、2つの側方エントレイルズ(entrails)111bがそこにアクセスして、相補的基底部112の組み立て/分解が行われる。
【0112】
相補的基底部112にはすると、
図10に示されるように、有利な態様として、相互に反対側に開放する2つの相補的溝112aが設けられる(概してC字型の相補的基底部を形成する)。
【0113】
インタロック手段111上の相補的基底部112のインタロッキングは、有利な態様として軸方向の並進運動により得られる。
【0114】
受容手段11は有利な態様とて、組み立てられた状態でロック手段113を含む。
【0115】
これらのロック手段113は例えばねじからなり、これは相補的基底部112により担持され、2つの位置、
-前記ねじがインタロック手段111と協働するロック位置と、
-前記ねじがインタロック手段111から離間されるアンロック位置
との間で操作される。
【0116】
図示されていない代替的な方法では、案内手段7は手術器具1の少なくとも1つの他の部分と一体部品として製作される。
【0117】
換言すれば、保護部品5は有な態様として、取り外し可能であるか、一体部品として製作される案内手段7を含む。
【0118】
骨手術手技を実行するための機器
一般に、本発明はまた、骨手術手技を実行するための、例えば骨Sの骨切り及び/又は骨穿孔時の機器にも関する。
【0119】
この機器は、例えばキット又はセットの形態で、
-本発明による手術器具1と、
-骨S内への、この手術器具1を前記骨Sの保護位置に仮固定するのに適した少なくとも1つの仮植込み可能な機関42、例えばピン又はスクリュと、
-おそらくは骨に切断線を作るための切断用ブレード(図示せず)と、
-おそらくは骨接合プレートP(
図14)と、
-おそらくは、骨S内に固定するための、骨接合プレートPの貫通オリフィスP11、P21に挿入してそれを骨Sの表面に固定することが意図される(
図14)と、
を含む。
【0120】
骨接合プレートPは、骨切り術にしたがって、2つの骨断片F1、F2に固定され、外科医が行う修正がずれないようにすることが意図される。
【0121】
このような骨接合プレートPについては、例えば文献、仏国特許第2980967号に詳しく記載されている。
【0122】
限定することなく、この骨接合プレートPは2つの長尺状の部分P1、P2で構成され、これらは各々、2つの骨断片F1、F2のうちの1つに固定されることが意図される。
【0123】
骨接合プレートPは、ここでは概してL字型を呈しており、それゆえ、
-骨Sの第一の断片F1(ここでは、近位側断片)に当てて位置付けられるように意図された第一の部分P1(ここでは、近位側部分)と、
-同じ骨Sの第二の断片F2(ここでは、遠位側断片)に当てて位置付けられるように意図された第二の部分P2(ここでは、遠位側部分)
を含む。
【0124】
これら2つの部分P1、P2(第一/第二の部分)の各々には、骨断片F1、F2のうちの1つの固定ねじVを受けるための貫通オリフィス群P11、P21が設けられている。
【0125】
骨手術方法
本発明はまた、骨手術方法にも関し、これは、
a)準備ステップであって、その間に
-手術器具1の保護部分2が保護すべき組織(図示せず)と骨Sとの間に、おそらくはX線撮影法を援用して位置付けられ、
-手術器具1は骨Sに仮安定化部分4の実装によって、適当な場合は前記少なくとも1つの仮植込み可能機関42の植込みによって仮固定され、
-おそらくは、切断線の案内に関与する近位側ピン91及び/又は前述の遠位側ピン92(例えば、切断停止ピンと第二の切断線を案内するピンから選択される)から選択される少なくとも1つのピン9の植込みの、
準備ステップと、
b)骨手術ステップ、例えば骨切り及び/又は骨穿孔、好ましくは骨Sを切って2つの骨断片F1、F2を接続する骨ヒンジCを形成するステップ(
図14)
と、
c)仮安定化部分4を無効化することによって、適切であれば前記少なくとも1つの仮植込み可能機関42を外すことによって手術器具1を取り外すステップと、
d)適当であれば、この場合は骨開放の形態の骨切り術ステップと、ねじV群を用いて骨接合プレートPを固定するステップ(
図14)と、
を含む。
【0126】
骨手術ステップ及び/又は骨切り術ステップは有利な態様として、前述の近位側ピン91及び/又は遠位側ピン92により支援される。
【0127】
骨開放運動は、術者により行われる。この開放運動は例えば、2つの骨断片F1及びF2間に楔(又は、他の適当な器具、例えばMehari鉗子)を挿入することによって実行される。
【国際調査報告】