IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ システム デシュヤージュの特許一覧

<>
  • 特表-ガラス製の面を洗浄するための装置 図1
  • 特表-ガラス製の面を洗浄するための装置 図2
  • 特表-ガラス製の面を洗浄するための装置 図3
  • 特表-ガラス製の面を洗浄するための装置 図4
  • 特表-ガラス製の面を洗浄するための装置 図5
  • 特表-ガラス製の面を洗浄するための装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ガラス製の面を洗浄するための装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/48 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B60S1/48 B
B60S1/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553139
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022055181
(87)【国際公開番号】W WO2022184727
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】2101942
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ジロー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、フィユー
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AB01
3D225AC03
3D225AD01
3D225AF24
(57)【要約】
本発明は、車両(1)の少なくとも1つのガラス面(4)を洗浄するための装置(2)であって、洗浄流体を少なくとも1つの前記ガラス面(4)に対して噴射するように構成された少なくとも1つのノズル(10)を備える装置(2)において、前記洗浄装置(2)は、前記洗浄流体を分配するための少なくとも1つのライン(8)と、ポンプ(16)と、複数のソレノイド弁(14)または複数のソレノイド弁(14)のセットを備え、各ソレノイド弁(14)は、前記ノズル(10)のうちの1つに接続するとともに、少なくとも1つの加熱要素(36)に連結する洗浄装置(2)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の少なくとも1つのガラス面(4)を洗浄するための装置(2)であって、洗浄流体を前記少なくとも1つのガラス面(4)に対して噴射するように構成された少なくとも1つのノズル(10)を備え、
前記洗浄装置(2)は、前記洗浄流体を分配するための少なくとも1つのライン(8)と、ポンプ(16)と、複数の電気弁(14)または複数の電気弁(14)のセットを備え、
各電気弁(14)は、前記ポンプ(16)と少なくとも1つの前記ノズル(10)との間において、前記分配ライン(8)にそれぞれ配置され、
前記分配ライン(8)は、前記ポンプ(16)が配置される流体入口(20a)と、前記少なくとも1つのノズル(10)が配置される少なくとも1つの流体出口(12)と、を備える、
洗浄装置(2)において、
前記洗浄装置(2)は、前記洗浄流体を加熱するための少なくとも1つの要素(36)を備え、
前記加熱要素(36)は、前記電気弁(14)のうちの1つ、または前記電気弁(14)のセットのうちの1つに連結する、
ことを特徴とする洗浄装置(2)。
【請求項2】
複数の電気弁(14)または電気弁(14)のセットは、前記分配ライン(8)に、液圧接続部材(32)を介して連続的に接続し、
前記少なくとも1つの加熱要素(36)は、2つの液圧接続部材(32)の間に配置される、
請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項3】
前記分配ライン(8)は、前記分配ライン(8)に沿って分散配置された複数の加熱要素(36)を備え、
各加熱要素(36)は、前記電気弁(14)の2つの液圧接続部材(32)の間に配置される、
請求項2に記載の洗浄装置(2)。
【請求項4】
前記分配ライン(8)は、少なくとも1つの主枝部(38)と、少なくとも1つのさらなる枝部(40)と、を備え、前記少なくとも1つのさらなる枝部(40)は、前記電気弁(14)のうちの1つ、または前記電気弁(14)のセットのうちの1つに固有であるとともに、前記少なくとも1つの主枝部(38)に相互接続ポイント(42)により接続し、
加熱要素(36)が、前記少なくとも1つのさらなる枝部(40)に配置された前記電気弁(14)または前記電気弁(14)のセットに連結する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄装置(2)。
【請求項5】
前記分配ライン(8)は、前記分配ライン(8)の前記主枝部(38)に単一の相互接続ポイント(42)により接続する複数のさらなる枝部(40)を備える、
請求項4に記載の洗浄装置(2)。
【請求項6】
前記電気弁(14)のセットは、前記分配ライン(8)の前記少なくとも1つのさらなる枝部(40)に配置され、
前記加熱要素(36)は、前記相互接続ポイント(42)と前記電気弁(14)のセットとの間に配置される、
請求項4および5のいずれか一項に記載の洗浄装置(2)。
【請求項7】
前記電気弁(14)のセットは、前記分配ライン(8)の前記少なくとも1つのさらなる枝部(40)に配置され、
前記加熱要素(36)は、前記電気弁(14)のセットと当該電気弁のセットに関連付けられた前記ノズル(10)のうちの1つとの間に配置される、
請求項4および5のいずれか一項に記載の洗浄装置(2)。
【請求項8】
前記加熱要素(36)は、前記少なくとも1つの電気弁(14)に組み込まれる、
請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項9】
前記洗浄装置(2)は、前記加熱要素を制御するためのモジュールを備え、
前記モジュールは、前記電気弁または前記電気弁(14)のセットに対する制御命令のファンクションとして、前記加熱要素(36)に対する予熱命令を生成するように構成される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の洗浄装置(2)。
【請求項10】
少なくとも1つのガラス面(4)と、
前記少なくとも1つのガラス面(4)を洗浄するための請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(2)と、を備える自動車(1)であって、
前記洗浄装置(2)は、前記流体を前記少なくとも1つのガラス面(4)に対して噴霧可能である、自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に取り付けられる洗浄装置に関する。より詳細には、このような車両のガラス面を洗浄するためのシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のガラス面の構成がどのようなものでも、乗っている人(乗員)の快適性だけでなく特に運転安全性のためにも、ガラス面が適切に洗浄されて、ガラス面がこれを通して見ることを妨げ得る汚れで覆われていないことが必要である。一例として、車両のフロントガラスまたはリアガラスを、車両の乗員が車両の走行中の道路環境で発生しそうな事象を容易に認識できるように効果的に洗浄する必要があることが理解されよう。また、運転支援装置の一部をなすセンサも同様に、この運転支援装置が組み込まれた車両の自律性の程度に関係なく、取得した情報の信頼性が高く、運転支援が効果的かつ安全であるように、効果的に洗浄する必要があることが理解されよう。
【0003】
種々のタイプの洗浄装置が知られている。それらの中から、網羅的ではないが、ガラス面に沿って摺動して汚れを除去するための電動の機械的手段、または、空気や洗浄液からなる洗浄流体を噴射するための手段を備える装置を特定することが特に可能である。
【0004】
洗浄流体を噴射する洗浄装置は、特に、固定式または可動式の1つ以上のノズルを備えている。ノズルは、配置された自動車のガラス面に対して洗浄流体を噴射するように構成されている。ノズルに洗浄流体を供給するために、このような洗浄装置は、洗浄装置内における流体の通過または流れの遮断を保証する電気弁により、ノズルの各々に接続した少なくとも1つのポンプを備えている。
【0005】
上述のような洗浄装置により、ガラス面のほとんどの汚れを効果的に落とすことができるが、それでもやはり、一回の洗浄動作で、例えばガラス面に乾燥後に付着した特定の汚れや昆虫等の特定の有機物を除去するには、不十分なことがある。したがって、ガラス面が完全に透明になるまで複数回の洗浄動作を実施する必要があるが、これにより処理時間が長くなり得るとともに洗浄液にかかるコストが高くなり得る。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服すること、および車両に取り付けられる洗浄装置であって、車両のガラス面または光学面を汚している固体破片を効果的に取り除き得る洗浄装置を提供することである。本発明は、特に、洗浄流体を加熱することで洗浄効果を上げるための少なくとも1つの加熱要素を備える洗浄装置を提案する。したがって、光学面に関連する光学検出システムの有効性および/または車両の使用に関する視認性が向上する。
【0007】
より詳細には、本発明は、車両の少なくとも1つのガラス面を洗浄するための装置であって、洗浄流体を前記少なくとも1つのガラス面に対して噴射するように構成された少なくとも1つのノズルを備え、前記洗浄装置は、前記洗浄流体を分配するための少なくとも1つのラインと、ポンプと、複数の電気弁または複数の電気弁のセットを備え、各電気弁は、前記ポンプと少なくとも1つの前記ノズルとの間において、前記分配ライン上にそれぞれ配置され、前記分配ラインは、前記ポンプが配置される流体入口と、前記少なくとも1つのノズルが配置される少なくとも1つの流体出口と、を備える、洗浄装置において、前記洗浄装置は、前記洗浄流体を加熱するための少なくとも1つの要素を備え、前記加熱要素は、前記電気弁のうちの1つ、または前記電気弁のセットのうちの1つに連結する、ことを特徴とする洗浄装置に関する。
【0008】
ガラス面とは、一方で、車両の車室のガラスのうちの1つ、特にフロントガラスまたはリアガラス、あるいは他方で、車両に取り付けられた検出システムのガラス面、例えば、光学センサの光学面であり得る透明な表面を意味すると理解される。
【0009】
また、ガラス面とは、検出システムからの信号の通過を許容するあらゆるタイプの光学面を意味すると理解される。したがって、ガラス面は、ガラス、プラスチック材料、または、検出システムからの信号の通過を許容する当業者に知られたあらゆるタイプの材料から作られ得る。
【0010】
そして、ノズルは、特に電気弁の作用下で、洗浄液をガラス面に対して噴出するように構成される。具体的には、電気弁の機能は、洗浄流体の分配ラインにおける流れを、特に、前記分配ラインにおける前記洗浄流体の通過を電気弁に関連付けられたノズルの方向において可能としたり遮断したりすることにより、少なくとも部分的に制御することである。
【0011】
本発明によれば、概説したように、加熱要素は、電気弁または電気弁のセットに連結する。本例において、加熱要素は、この電気弁または電気弁のセットに液圧的に接続し、加熱要素を通過する洗浄流体が、加熱要素が連結された電気弁または電気弁のセットを必然的に通過するように連結されていることが理解されるべきである。加熱要素と電気弁または電気弁のセットとの間の連結は、加熱要素と電気弁との間に洗浄装置の部品が介在しないという点において、直接的な連結と表現することができる。
【0012】
加熱要素の機能は、分配ライン内をノズルの方向において流れる洗浄流体を加熱することである。より正確には、加熱要素は、前記電気弁または電気弁のセットに関連付けられた単数または複数のノズルが噴射する洗浄流体が、自動車のガラス面を洗浄するというその機能の点でより効果的な加熱された洗浄流体であるような態様において、電気弁または電気弁のセットに連結される。
【0013】
本発明の1つの特徴によれば、複数の電気弁または電気弁のセットは、前記分配ラインに、液圧接続部材を介して連続的に接続し、前記少なくとも1つの加熱要素は、2つの液圧接続部材の間に配置される。
【0014】
液圧接続部材により、洗浄流体が分配ラインから電気弁に通過することが可能となる。加熱要素のこのような配置により、分配ラインにおいて加熱要素の下流を流れる洗浄流体が加熱されることが理解されるであろう。したがって、加熱要素の下流に配置された液圧接続部材に関連付けられた電気弁に接続するノズルは、前記加熱要素により加熱された洗浄流体を噴霧することが意図されている。一方、加熱要素の上流に配置された液圧接続部材に関連付けられた電気弁に接続するノズルは、ポンプに存在する流体のものと実質的に同一の温度を有する加熱されていない洗浄流体を噴霧することが意図されている。加熱要素に対して液圧接続部材が上流および下流であるという概念は、洗浄流体が加熱要素およびこの液圧接続部材を通過する順序と関連していることが理解されるであろう。したがって、洗浄流体が加熱要素を最初に通過し、液圧接続部材を次に通過する場合、液圧接続部材は加熱要素の下流にある。
【0015】
電気弁および加熱された洗浄液を有することが有用である関連するノズルを特に対象とするように、加熱要素を分配ラインの正確な位置にのみ設けることが選択され得る。一例として、加熱された洗浄液は、潰れた昆虫等の固体破片をガラス面から除去するのに特に有用であり、かつ、昆虫は、側方に配置された光学面ではなく前方に配置された光学面に存在しやすいため、加熱要素は、前方ノズルに関連付けられた液圧接続部材のすぐ上流に設けられ得る。
【0016】
本発明の1つの特徴によれば、前記分配ラインは、前記分配ラインに沿って分散配置された複数の加熱要素を備え、各加熱要素は、前記電気弁の2つの液圧接続部材の間に配置される。
【0017】
分配ライン上において2つの液圧接続部材の間に分散配置された複数の加熱要素、すなわち、各電気弁または電気弁のセットに連続的に分配する液圧バスとして設計された分配ラインに沿って分散配置された複数の加熱要素は、分配ラインの端部に配置された電気弁または電気弁のセットが加熱された洗浄液を受ける必要があると考えられる場合に、洗浄液がポンプの反対側の分配ラインの端部において十分に加熱されることを保証し得る点で有利に利用される。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、前記分配ラインは、少なくとも1つの主枝部と、少なくとも1つのさらなる枝部と、を備え、前記少なくとも1つのさらなる枝部は、前記電気弁のうちの1つ、または前記電気弁のセットのうちの1つに固有であるとともに、前記少なくとも1つの主枝部に相互接続ポイントにより接続し、加熱要素が、前記少なくとも1つのさらなる枝部に配置された前記電気弁または前記電気弁のセットに連結する。
【0019】
分配ラインのこのような構成により、さらなる枝部に配置された電気弁または電気弁のセットに対して加熱要素を連結することで、前記さらなる枝部のみを流れる洗浄流体を加熱できることが理解されるであろう。したがって、特定の電気弁を通過する洗浄流体の正確な加熱をすることが、加熱要素によるこの加熱が分配ラインの他の部分に影響を及ぼすことなく可能となる。同様に、分配ラインは、各々が分配ラインの主枝部に別個の相互接続ポイントにより接続する複数のさらなる枝部を備え得ることが理解されるであろう。
【0020】
本発明の1つの特徴によれば、前記分配ラインは、前記分配ラインの前記主枝部に単一の相互接続ポイントにより接続する複数のさらなる枝部を備える。
【0021】
このような構成は、洗浄流体をさらなる枝部の各々に均等に分配することができるという点において有利に利用される。さらなる枝部は、主枝部と同一の相互接続ポイントを有する。
【0022】
本発明の1つの特徴によれば、前記電気弁のセットは、前記分配ラインの前記少なくとも1つのさらなる枝部に配置され、前記加熱要素は、前記相互接続ポイントと前記電気弁のセットとの間に配置される。
【0023】
加熱要素のこのような配置から、さらなる枝部に配置された電気弁のセットの電気弁の各々を通過することが意図された洗浄流体を加熱できることが理解されるであろう。
【0024】
本発明の1つの代替例によれば、前記電気弁のセットは、前記分配ラインの前記少なくとも1つのさらなる枝部に配置され、前記加熱要素は、前記電気弁のセットと当該電気弁のセットに関連付けられた前記ノズルのうちの1つとの間に配置される。
【0025】
加熱要素のこのような配置により、電気弁のセットの電気弁のうちの1つに接続するノズルのうちの1つにより噴霧されることが意図された洗浄流体を加熱できることが理解されるであろう。したがって、洗浄装置のノズルのうちの1つに意図された洗浄流体を正確に加熱することが、洗浄装置の他のノズルにより噴霧されることが意図された洗浄流体に影響を及ぼすことなく可能となる。
【0026】
本発明の別の代替例によれば、前記加熱要素は、少なくとも1つの前記電気弁に組み込まれる。組み込まれるという表現は、電気弁および加熱要素が同一のハウジングに収容されるとともに、必要に応じて共通の電子回路を有するということを意味すると理解される。
【0027】
本発明の1つの特徴によれば、前記洗浄装置は、前記加熱要素を制御するためのモジュールを備え、前記モジュールは、前記電気弁または前記電気弁のセットに対する制御命令のファンクション(関数)として、前記加熱要素に対する予熱命令を生成するように構成される。
【0028】
本例において、洗浄流体が加熱要素を通過すると即座に加熱効果を提供することが求められていることが理解されるであろう。非限定的な例として、予熱は、電気弁または関連する電気弁のセットを開放する命令の数秒前に加熱要素を作動させるステップからなり得る。代替的に、予熱命令は、洗浄流体が常に閾温度値よりも高い温度を有することを保証するように、例えば継続時間が外気温に依存し得る定期的な間隔で周期的に生成され得る。この目的は、電気弁がいつトリガされるかに関係なく、洗浄流体の有効性を確実とすることである。
【0029】
本発明の1つの特徴によれば、加熱要素は、エネルギーを貯蔵するとともに洗浄流体の通過に対してエネルギーを放出しやすい受動貯蔵部材、および例えば相変化材料から構成され得る。
【0030】
本発明の種々の特徴によれば、加熱要素は、PTC(正温度係数)効果を有する要素、またはワイヤやスリーブの形態にある抵抗素子から構成され得る。加熱要素は、その形態に応じて、洗浄流体が通過するパイプに接触して配置される、またはこのパイプの内部か洗浄流体タンク内に収容されるように構成される。
【0031】
本発明は、さらに、少なくとも1つのガラス面と、前記少なくとも1つのガラス面を洗浄するための上述の少なくとも1つの装置と、を備える自動車であって、前記洗浄装置は、前記流体を前記少なくとも1つのガラス面に対して噴霧可能である自動車に関する。
【0032】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、図面を参照しつつ指示として以下に示す説明を読むことで、より明確に明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、自動車に組み込まれた洗浄装置の概略図であって、自動車は、少なくとも1つのガラス面と、洗浄流体を分配するための少なくとも1つのラインを備えた洗浄装置と、を備えている図である。
図2図2は、図1の洗浄装置の少なくとも1つのノズルおよび少なくとも1つの電気弁の概略図であって、電気弁は少なくとも1つの加熱要素に連結されている図である。
図3図3は、第1実施形態による図1の洗浄装置の概略図である。
図4図4は、第2実施形態による図1の洗浄装置の概略図であって、ラインは、主枝部と、相互接続ポイントにより主枝部に連結されたさらなる枝部と、を備えている図である。
図5図5は、第3実施形態による図1の洗浄装置の概略図であって、複数のさらなる枝部が、単一の相互接続ポイントにより、分配ラインの主枝部に連結されている図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態による図1の洗浄装置の概略図であって、本発明の第3実施形態に対する加熱要素の配置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
最初に、図面は本発明についてその実施のために詳細に示しているが、当然ながら、これらの図面は、必要に応じて本発明をより明確に定義するために使用され得ることが理解されるべきである。また、これらの図面は、本発明の例示的な実施形態のみを示すことにも留意すべきである。最後に、図面を通じて、同一の参照符号は同一の要素を示す。
【0035】
図1は、本発明による洗浄装置2であって、車両1の少なくとも1つのガラス面4を洗浄することができる洗浄装置2が取り付けられた自動車1を概略的に示す。このようなガラス面4は、例えば、車両1のフロントガラス4aまたはリアガラス4bであり得る。あるいは、車両1に取り付けられた光学検出システム6の光学面4cであり得る。
【0036】
洗浄装置2は、洗浄流体を分配するためのすくなくとも1つのライン8であって、前記洗浄流体を流すことができるラインと、分配ライン8の少なくとも1つの流体出口12に配置されて洗浄流体を噴出するための装置であって、本例においてノズル10の形態をとる装置と、を備えている。ノズル10は、ガラス面4のうちの少なくとも1つの洗浄に各々関連付けられるような態様において、車両1に配置されている。さらに、洗浄装置2は、分配ライン8に配置された複数の電気弁14または複数の電気弁14のセットを備えている。各電気弁14は、分配ライン8の特定部分における洗浄流体の通過を、この電気弁に対応する1つ以上のノズルの方向において可能とする、または遮断するように制御される。少なくとも1つのノズル10および複数の電気弁14または複数の電気弁14のセットについて、詳細な説明の残りの部分でより詳細に後述する。
【0037】
さらに、洗浄装置2は、ポンプ16および洗浄流体貯蔵タンク(図示せず)を備えている。ポンプ16は、洗浄流体を貯蔵タンクから回収し、分配ライン8に洗浄流体を連続的に供給するように構成されている。より詳細には、ポンプ16の出口18が、分配ライン8の第1端部20に接続して、分配ライン8の流体入口20aが形成されている。この結果、分配ライン8は、車両1に沿って、この第1端部20から第2端部22まで延びている。図示例において、分配ライン8の第2端部22は、第1端部20の反対側にあり、洗浄流体が分配ライン8の第1端部20から第2端部22までの経路に沿って配置された電気弁の各々の方向において連続的に分配されやすいように、閉鎖されている。
【0038】
図1を参照すると、第1ノズル10aは、本車両の運転支援装置および/または操縦支援装置を特に制御することを目的とする道路状況の自動分析、すなわち車両1の電子機器による分析に使用される光学検出システム6の光学面4cを洗浄することが意図されている。第2ノズル10bは、車室のガラス面4、または、車両1のドライバーによる直接的な分析のみに使用される光学検出システム6のうちの1つの光学面4cを洗浄することが意図されている。
【0039】
本例における分配ライン8は、車両1の前部に配置された第1部分26と、車室に配置された第2部分28と、を有している。各部分26、28は、車両の対応する部分で蛇行して、車両の当該部分に存在するすべてのノズル10に分配する。本例において、単一のポンプ16が分配ライン8に設けられているため、これらの部分26と部分28との間には、液圧的連続性が達成されていることが理解されよう。
【0040】
図2を参照して、洗浄装置2のノズル10、および、それらと電気弁14および分配ライン8との協働について、より詳細に説明する。電気弁14および分配ライン8は、この図2に概略的に示すような、これらのノズル10のうちの少なくとも2つに共通する。各ノズル10は、分配ライン8を流れる洗浄流体が、最初に電気弁14を通過し、次にノズル10を通過するような態様において、電気弁14に流体的に関連付けられている。したがって、電気弁14が開放構成にある場合、分配ライン8内をこれに関連付けられたノズル10に向けて流れる洗浄流体の通過が可能とされる。次いで、洗浄流体は、ノズル10により、ノズル10に関連付けられた光学検出システム6の光学面4cに対して噴射される。
【0041】
洗浄装置2は、その分配ラインに、電気弁14のセットをさらに備え得ることを考慮すべきである。電気弁14のセットは、グループ化された少なくとも2つの電気弁14であって、必要に応じて同時に制御されることにより洗浄流体を同時に受ける電気弁14を意味すると理解される。電気弁のセットは、複数のノズル10が自動車の同一のガラス面4に向いているとき、または複数のノズルが隣り合うガラス面および/または同一の検出機能を有する光学検出システムにそれぞれ関連付けられたガラス面に向いているときに特に形成される。したがって、以下の説明において、洗浄装置2の電気弁14のうちの1つに関する特徴は、複数の電気弁14または電気弁14のセットに準用されることが理解されるであろう。
【0042】
洗浄装置2は、電気弁14を分配ライン8に接続するための少なくとも1つの液圧接続部材32を備えている。液圧接続部材32は、洗浄流体が前記分配ライン8からノズル10に向けて通過することを確保しやすい形状を有している。概略的な図示例において、液圧接続部材32は、洗浄流体を電気弁の各々の方向に分配することができる液圧バスをさらに形成する分配ライン8を貫通しやすい、管状で細長い注射器の形状を有し得る。液圧接続部材32を分配ライン8に組み付ける際、樹脂(図示せず)を使用して、液圧接続部材32と分配ライン8との間の接続領域を、この接続領域の気密性を確保するように包囲してもよい。液圧接続部材は、本例において、洗浄流体の流れフローに対して実質的に垂直なタッピングの形態で示されているが、本発明の文脈から逸脱することなく、流体が分配ラインと流体をノズルに導き得るラインとの間を連続的に流れることができる限り、例えばY字状のフィッティングから構成され得ることに留意されたい。
【0043】
また、洗浄装置2は、電気弁14およびノズル10を分配ライン8に固定するための少なくとも1つの機械的保持部材34を備えている。図示例において、機械的保持部材34は、分配ライン8を少なくとも部分的に包囲するクランプの形状をとっている。例えば、弾性変形性を有する保持部材であって、そのスタート地点に分配ライン8の寸法より実質的に小さい寸法を有する溝を形成する保持部材が想定され得る。オペレータは、分配ライン8に係合できるように機械的接続部材34を強制的に変形させる必要があるが、機械的保持部材34の弾性復帰により、前記ライン上でのその所定位置に確実に保持される。
【0044】
洗浄装置2は、洗浄流体を加熱するための少なくとも1つの要素36を備えている。加熱要素36は、洗浄装置2の電気弁14のうちの1つに連結している。本発明の一例によれば、加熱要素36は、洗浄流体が流れるパイプに接触する抵抗素子の形態をとり得る。この加熱要素の機能は、加熱要素が連結された電気弁を通過することが意図された洗浄流体を確実に加熱することにより、前記洗浄流体による洗浄の効果を向上させ得ることである。具体的には、高温の洗浄流体は、ガラス面から破片、特に固形破片を取り除くのに、低温の洗浄流体よりも高い洗浄効果を有する。換言すれば、加熱要素36は、電気弁14に、前記電気弁14に接続したノズル10により噴射される洗浄流体の加熱を保証するように連結されている。加熱要素36の電気弁14に対する連結は、このようにして2つの部品間に形成される液圧接続が、洗浄流体が加熱要素を通過した後に必ず電気弁または電気弁のセットを通過する、またはその逆となることを伴うような態様とされる。
【0045】
分配ライン8に上述の液圧接続部材32を介して互いに連続的に接続した洗浄装置2の2つの電気弁14が見える図2に示す1つの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの加熱要素36は、2つの電気弁14の2つの液圧接続部材32の間に配置されている。洗浄装置2のこのような構成により、加熱要素36の機能は、洗浄流体の流れに応じて加熱要素36の下流に配置されるノズル10の洗浄流体を加熱することであることが理解されるであろう。
【0046】
同様に図2で見ることができる本発明の別の例によれば、加熱要素36は、電気弁14内に直接的に組み込まれ得る。直接的に組み込まれるという用語は、加熱要素36および電気弁14が、同一ハウジング内で単一の要素を形成するとともに、その電子部品が互いに関連付けられ得ることを意味すると理解される。一例として、このハウジングは、加熱要素に対して制御命令を発し得るとともに、必要に応じて加熱要素の動作と電気弁または電気弁のセットの動作とを同期させるように電気弁または電気弁のセットと通信可能である制御モジュールを備え得る。制御モジュールは、電気弁または電気弁のセットに対する制御命令のファンクションとして、加熱要素に対する予熱命令を特に生成することで、装置の全体的な電気消費を制限しつつも効果的であるように加熱期間を最適化し得る。
【0047】
上述の2つの例示的な実施形態は、加熱要素のいくつかの可能な構成を可視化するよう同じ図2に示されているが、例示的な実施形態の一方または他方が単独で実施され得ることに留意されたい。
【0048】
次に、本発明のいくつかの実施形態について、各々が本発明の一実施形態を示す図3図6により説明する。実施形態の各々の異なる特徴のみが以下の説明で説明されることを考慮すべきである。共通の要素については、上述の図1および図2を参照されたい。
【0049】
図3は、分配ラインに沿って連続的に配置された複数の電気弁14であって、この分配ラインに液圧接続部材32を介して液圧的に接続する電気弁14を有する洗浄装置2を概略的に示す。洗浄装置は、分配ライン8に沿って分散配置された複数の加熱要素36も備えている。より詳細には、加熱要素36の各々は、2つの連続する液圧接続部材32の間において、分配ライン8に配置されている。図示例において、第1加熱要素36aが、ポンプ16に対して第2加熱要素36bよりも近くに配置されている。第1加熱要素36aは、分配ラインに沿って配置された第2液圧接続部材と第3液圧接続部材との間に配置されている。第2加熱要素36bは、分配ライン8の第2端部22に最も近い2つの液圧接続部材32の間に配置されている。
【0050】
分配ライン8を流れる洗浄流体は、加熱要素に触れるとすぐに加熱されること、加熱要素の下流の電気弁14に関連付けられたノズル10は、加熱要素の上流の電気弁14に関連付けられたノズル10とは対照的に、加熱された洗浄流体を供給されることが理解されるであろう。図示例において、分配回路において2つの第1電気弁に関連付けられた2つのノズル10、すなわち、第1端部20の最も近くに配置された2つの電気弁は、第1加熱要素36aの上流にあるため、これら2つのノズルを流れる洗浄流体は加熱されない。一方で、第1加熱要素36aの下流の他のノズルは、第1加熱要素36aが動作して流体を加熱するように制御されている場合、加熱された洗浄流体を受けることが意図されている。この文脈において、分配ラインの第2端部22に接近する第1加熱要素36aからの距離が大きいほど、加熱された流体が上昇した温度を有する程度が小さくなることが理解され得る。したがって、洗浄流体を再加熱して第1加熱要素36aを通過した直後の温度に戻すためには、第2加熱要素36bを、特に分配ライン8の第2端部22の近傍に設けることが有利である。
【0051】
図4は、第2実施形態による洗浄装置2を概略的に示す。第2実施形態による洗浄装置2では、分配ライン8が、少なくとも1つの主枝部、本例において例えば主枝部38と、少なくとも1つのさらなる枝部、本例において例えばさらなる枝部40と、を備えている。より正確には、本例における主枝部38は、図1を参照して説明したことに従う液圧分配バスの形成に寄与する。さらなる枝部40は、主枝部38に取り付けられつつ、洗浄装置2の電気弁14の少なくとも1つ、本例において電気弁14のセットのうちの1つに固有である。換言すれば、電気弁14のセットはさらなる枝部40に流体的に接続し、後者は主枝部38に相互接続ポイント42により接続している。
【0052】
第2実施形態において、加熱要素36は、さらなる枝部40に配置された電気弁14のセットに連結されている。加熱要素それ自体は、さらなる枝部に配置されている。さらなる枝部40における加熱要素36の特定の配置により、分配ライン8のさらなる枝部40を通過する洗浄流体の一部のみを加熱することができる。換言すれば、加熱作用、およびこの加熱作用を実施するのに必要な電気エネルギーの消費は、分配ラインの一部分およびその中を流れる流体の一部分に限定される。加熱は、例えば、車両の前部に配置されているために潰れた昆虫等の固体汚れで覆われやすいガラス面に関連付けられたノズルを対象とする。より正確には、加熱要素36は、本例において、電気弁14のセットの上流に、すなわち、相互接続ポイント42と電気弁14のセットとの間に配置されている。したがって、加熱要素36は、洗浄流体を、それがさらなる枝部40に配置された電気弁のセットを通過する前に確実に加熱する。
【0053】
このようにして、このさらなる枝部に存在する電気弁の下流に配置されたすべてのノズル10に、加熱された洗浄流体が供給される。
【0054】
本発明の第2実施形態に記載のような分配ライン8は、各々が主枝に別個の相互接続ポイントによる接続する複数のさらなる枝部を備え得ることを考慮すべきである。
【0055】
図5は、洗浄装置2の第3実施形態を概略的に示す。第3実施形態は、分配ライン8が、分配ライン8の主枝部38に単一の相互接続ポイント42により接続する複数のさらなる枝部40を備えるという事実により上述の第2実施形態から区別される。図示例において、分配ライン8は、主枝部38に単一の相互接続ポイント42により接続する3つのさらなる枝部40を備えている。さらなる枝部40の各々は、別個の電気弁14のセットのうちの1つに固有である。加熱要素36は、分配ライン8のさらなる枝部40のうちの1つの電気弁14のセットのうちの1つと相互接続ポイント42との間に配置されている。
【0056】
第2実施形態について説明したことに従って、分配ライン8上の加熱要素36の位置により、加熱要素36が連結された電気弁14のセットを支承するさらなる枝部40を通過する洗浄流体のみを加熱することができる。そして、加熱要素36は、当該さらなる枝部40の電気弁14のセットのすべての電気弁14を通過する洗浄流体を加熱することができる。
【0057】
図6は、第3実施形態の代替例を形成する本発明の第4実施形態を示す。加熱要素36は、第4実施形態では電気弁14のセットとノズル10との間に配置されている。より正確には、加熱要素36は、電気弁14のセットの電気弁14のうちの1つと、前記電気弁に関連付けられたノズル10との間に配置されている。上記のように、加熱要素は、特に1つのさらなる枝部に関連付けられるが、本例において電気弁のセットの下流に配置されることにより、分配ライン8のさらなる枝部40のうちの1つに支承された電気弁14のセットの電気弁14のうちの1つのみを通過する洗浄流体を加熱することができる。このような実施形態は、洗浄流体に的を絞って加熱できるという点で有利に利用される。換言すれば、加熱要素36は、分配ライン8のさらなる枝部40のうちの1つに支承された電気弁14のセットの電気弁14のうちの1つに関連付けられたノズル10のうちの1つによりガラス面のうちの1つに対して噴霧されることが意図された洗浄流体のみを加熱する。同様に、加熱は、車両の前部に配置されているために潰れた昆虫等の固体汚れで覆われやすいガラス面に関連付けられたノズルを特に対象とする。
【0058】
上述のような洗浄装置は、簡易な手段により、自動車に備えられたガラス面をより良好に洗浄することができるという点で有利に利用される。特に、電気弁に連結する少なくとも1つの加熱要素の配置により、この電気弁に関連付けられた1つ以上のノズルにより雲霧されることが意図された洗浄流体を加熱することが可能となる。このことは、液体を加熱するために必要なエネルギー消費を厳密に最小限度に制限することを目的として、ガラス面のうちの1つに噴射されることが意図された洗浄液の一部の特定の加熱を実施するのに特に有利であり得る。
【0059】
ただし、上述の発明は、排他的に記載され図示された手段および構成に限定されるものではなく、すべての同等の手段または構成、およびそのような手段または構成の任意の組み合わせにも適用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】