(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コロナウイルスに対して保護するためのワクチン産生のための完全合成長鎖核酸
(51)【国際特許分類】
C12N 15/50 20060101AFI20240221BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240221BHJP
C07K 14/165 20060101ALI20240221BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240221BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240221BHJP
A61K 39/215 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C12N15/50 ZNA
C12N15/63 Z
C07K14/165
C12P21/02 C
A61P31/14
A61K39/215
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553192
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2021074738
(87)【国際公開番号】W WO2022184287
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/055401
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522350069
【氏名又は名称】ロケットヴァックス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】クリステン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】クミルジャノビック ウラニック,ナタサ
(72)【発明者】
【氏名】クミルジャノビック,ウラジミール
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG31
4B064AG32
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE10
4B064DA01
4C085AA03
4C085BA71
4C085CC01
4C085CC08
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA31
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本発明は、SARS-CoV-2および関連コロナウイルスのエンベロープタンパク質、ウイルスエンベロープおよびウイルスエンベロープの断片を高度に精製された形態で産生するバイオテクノロジー製造プロセスで使用できる完全合成長鎖核酸を記載し、これはワクチンとして、COVID-19および他のウイルス性疾患に対して保護するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4,000塩基を有する完全合成長鎖核酸であって、前記核酸が、
a)4つの配列部分A~Dのうち少なくとも2つを任意の配置で含み、ここで
i)配列部分Aが、配列番号50で定義される配列、もしくは配列番号50で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含み;
ii)配列部分Bが、配列番号48で定義される配列、もしくは配列番号48で定義される配列に対して少なくとも98.3%の配列同一性を有する配列を含み;
iii)配列部分Cが、配列番号49で定義される配列、もしくは配列番号49で定義される配列に対して少なくとも97.2%の配列同一性を有する配列を含み;
iv)配列部分Dが、配列番号17で定義される配列、もしくは配列番号17で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含むか;または
配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を包含し;
b)1.)ORF7aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列部分;および/または
2.)ORF3aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列部分を含むことを特徴とする、核酸。
【請求項2】
定義された配列中に少なくとも8,000塩基、好ましくは少なくとも20,000塩基を有することを特徴とする、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
ORF関連核酸配列部分を1つ以下で含むか、または全く含まないことを特徴とし、前記ORF関連核酸配列部分がORF6またはORF8によりコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、請求項1または2に記載の核酸。
【請求項4】
ORF関連核酸配列部分を含まず、前記ORF関連核酸配列部分がORF6またはORF8によりコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、請求項3に記載の核酸。
【請求項5】
a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%の配列同一性を有する配列、ならびに
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、請求項1から4の一項に記載の核酸。
【請求項6】
a)配列番号53によって定義されるORF6配列、もしくは配列番号53と少なくとも94.1%の配列同一性を有する配列、および/または
b)配列番号55によって定義されるORF8配列、もしくは配列番号55と少なくとも99%の配列同一性を有する配列をさらに含む、請求項7に記載の核酸。
【請求項7】
配列部分A~Cが配列番号19または対応するリボ核酸配列に対応することを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の核酸。
【請求項8】
4つの配列部分A~Dのうち少なくとも3つ、または前記配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を有する4つの配列部分のうち少なくとも3つを任意の配置で含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の核酸。
【請求項9】
4つの配列部分A~D、または前記配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を有する4つの配列部分を任意の配置で含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の核酸。
【請求項10】
4つの配列部分A~Dのうち2つまたは3つを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項11】
4つの配列部分A~Dのうち3つを含むことを特徴とする、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
配列番号28および/または配列番号29または対応するリボ核酸配列をさらに含むことを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の核酸。
【請求項13】
1,000,000塩基の最大サイズ、好ましくは200,000塩基の最大サイズを有することを特徴とする、請求項1から12の一項に記載の核酸。
【請求項14】
請求項1から13の一項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項15】
配列番号46および配列番号47によって定義される配列を含む、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
プラスミドベクターである、請求項14から15のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項17】
請求項1から13の一項に記載の2つ以上の核酸を含むキット。
【請求項18】
前記核酸が少なくとも1つのプラスミド、好ましくは2つ以上のプラスミドに存在する、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
請求項14から16に記載の少なくとも1つのベクターを含む、バイオテクノロジー産生ユニット。
【請求項20】
請求項14から16の一項に記載のベクターを使用して、請求項17または18の一項に記載のキット、または請求項19に記載のバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、請求項1から3の一項に記載の少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質であって、請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの核酸をパッケージングする、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質。
【請求項21】
請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの核酸と、請求項14から16の一項に記載のベクターを使用して、特に請求項20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む産生生物において、請求項17または18の一項に記載のキットを使用して、請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチン。
【請求項22】
タンパク質成分a、b1、c1、またはd1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含み、
(i)前記タンパク質成分aが、
a)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号14に記載の配列、もしくは配列番号14と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号18に記載の配列、もしくは配列番号18と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
(ii)前記タンパク質成分b1が、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号6に記載の配列、もしくは配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号21に記載の配列、もしくは配列番号21と少なくとも90%の配列同一性を含み、
(iii)前記タンパク質成分c1が、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Mに類似した配列番号10に記載の配列、もしくは配列番号10と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2の膜タンパク質Mに類似した配列番号22に記載の配列、もしくは配列番号22と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
(iv)前記タンパク質成分d1が、
a)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号2に記載の配列、もしくは配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号26に記載の配列、もしくは配列番号26と少なくとも90%の配列同一性を有する配列
を含む、請求項21に記載のワクチン。
【請求項23】
コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)請求項1から13の一項に記載のヌクレオチド酸配列を、バイオテクノロジー産生ユニット、特に細胞株に導入するステップであって、
前記タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも2つをコードする核酸ベースmRNAが翻訳により調製される、ステップ、
b)ステップa)の前記バイオテクノロジー産生ユニットからタンパク質成分を得るステップ、および
c)得られたタンパク質成分を精製して、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
【請求項24】
請求項20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)請求項1から13の一項に記載のヌクレオチド酸配列をバイオテクノロジー産生ユニットに導入するステップであって、前記バイオテクノロジー産生ユニットが、タンパク質成分a、b1、c1、およびd1からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも1つをコードするヌクレオチド酸を含む、ステップ、
b)ステップa)の前記バイオテクノロジー産生ユニットから、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を得るステップ、ならびに
c)得られたタンパク質成分を精製して、請求項20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
【請求項25】
コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)請求項14から16の一項に記載のベクターを増幅バイオテクノロジー産生ユニットに導入するステップ、
b)前記増幅バイオテクノロジー産生ユニットにおいて、請求項1から13の一項に記載のヌクレオチド酸を増幅するステップ、
c)ステップb)で増幅されたヌクレオチド酸を得るステップ、
d)請求項23または24に記載の方法を使用して、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1に記載の完全合成長鎖核酸に関する。本発明はさらに、これらの核酸の2つ以上と、核酸を含む少なくとも1つのプラスミドを含むバイオテクノロジー産生ユニットとを含むキットに関する。本発明はさらに、前記核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関する。さらに、本発明は、核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物を含むワクチン、特にコロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチン、ならびにワクチンを産生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンの急速な開発および利用可能性は、多くのウイルスおよび細菌と戦う上で重要である。適切なワクチンの産生は、多段階的な、複雑なプロセスであり、高い投資にもかかわらず、常に成功するわけではない。典型的には、適切なワクチンの開発には数年を要する。これらの長期の開発時間は、特に新しく生じる病原体、変異病原体に関する主要な問題からなり、これは、疫学的な観点から、新しい疾患の出現に対して、できたとしても遅すぎる反応しか可能でないためである。対照的に、新しい、または重度に変異した病原体の解析、同定およびさらなる検出は今では、数週間、または数日以内でも可能であり、これは、この1世紀の間での大きな進歩である。
【0003】
この文脈において、ウイルスは特別な標的であるが、これは、ウイルスが他の種からヒトへの拡散を引き起こす高度な変異頻度を保有するためである。これらのウイルスの急速な拡散により、ウイルスは現在の医学に対する主要な課題となっている。現在(2020)の、新規に出現したウイルスの検出/同定と、ワクチンの開発の間の通常の時間は、典型的には数年である。わずかな場合、十分に事前知識があれば、試験的なワクチンが数ヶ月以内に供給され得る。しかし、この期間、数千人または数百万人の人々が感染するまでの典型的な時間よりもはるかに長い。このような急速な拡散はまた、現代社会の高い移動性の直接的な結果である。
【0004】
新しいウイルスの同定の直後に、十分な量および最高品質のワクチンが利用可能であり、新しいウイルスの最初の激増地点に何とかして近接した全てのヒトの全国的なワクチン接種が可能であることが理想的である。さらに、このようなワクチンの理想的な方法は、ウイルスの進化および適応に反応できることであろう。このような理想的な産生可能性は、現在の当業者には実現不可能であると考えられる。
【0005】
特に直近の過去では、コロナの大流行によって、ワクチン産生の適切なツールの開発の妥当性が劇的に増大した。コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンの開発は、長期間の大流行および関連する世界的な危機を含む証明されている唯一の手段であることは、一致して同意されている。
【0006】
この背景において、本発明の課題は、大量および高品質のコロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンの産生を可能にする設備を提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1に記載の完全合成長鎖核酸によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、実施形態および従属請求項に反映されている。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明は、とりわけ、以下の実施形態に関する:
1.少なくとも4,000塩基を有する完全合成長鎖核酸であって、核酸が、
a)任意の配置の4つの配列部分A~Dのうち少なくとも2つを含み、ここで
i)配列部分Aが、
a)配列番号50で定義される配列、もしくは配列番号50で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列;または、
b)配列番号3で定義される配列、もしくは配列番号3で定義される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
ii)配列部分Bが、
a)配列番号48で定義される配列、もしくは配列番号48で定義される配列に対して少なくとも98.3%の配列同一性を有する配列;または
b)配列番号7で定義される配列、もしくは配列番号7で定義される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み;
iii)配列部分Cが、
a)配列番号49で定義される配列、もしくは配列番号49で定義される配列に対して少なくとも97.2%の配列同一性を有する配列;または
b)配列番号11で定義される配列、もしくは配列番号11で定義される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
iv)配列部分Dが、配列番号17で定義される配列、もしくは配列番号17で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含むか;または
配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を包含し;
b)1.)ORF7aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列部分;および/または
2.)ORF3aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列部分を含まないことを特徴とする、長鎖核酸。
2.定義された配列中に少なくとも8,000塩基、好ましくは少なくとも20,000塩基を有することを特徴とする、実施形態1に記載の核酸。
3. 1つ以下のORF関連核酸配列部分を含むか、または全く含まないことを特徴とし、ORF関連核酸配列部分が、ORF6またはORF8によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、実施形態1または2に記載の核酸。
4. ORF関連核酸配列部分を含まず、ORF関連核酸配列部分が、ORF6またはORF8によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、実施形態3に記載の核酸。
5.a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%の配列同一性を有する配列、ならびに
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、実施形態1~4の1つに記載の核酸。
6.a)配列番号53によって定義されるORF6配列、もしくは配列番号53と少なくとも94.1%の配列同一性を有する配列、および/または
b)配列番号55によって定義されるORF8配列、もしくは配列番号55と少なくとも99%の配列同一性を有する配列をさらに含む、実施形態7に記載の核酸。
7.配列部分A~Cが配列番号19に記載の配列または対応するリボ核酸配列に対応することを特徴とする、実施形態1~6の1つに記載の核酸。
8.4つの配列部分A~Dのうち少なくとも3つ、または配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を有する4つの配列部分のうち少なくとも3つを任意の配置で含むことを特徴とする、実施形態1~7のいずれかに記載の核酸。
9.4つの配列部分A~D、または配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を有する4つの配列部分を任意の配置で含むことを特徴とする、実施形態1~8のいずれかに記載の核酸。
10.4つの配列部分A~Dのうち2つまたは3つを含むことを特徴とする、実施形態1~6のいずれか1つに記載の核酸。
11.核酸が、4つの配列部分A~Dのうち3つを含むことを特徴とする、実施形態10に記載の核酸。
12.配列番号15
配列番号28
配列番号29および
配列番号30
からなる少なくとも1つの配列をさらに含むか、または
配列番号15、配列番号28、配列番号29および配列番号30の配列部分によるデオキシリボ核酸配列または対応するリボ核酸配列の1つを含むことを特徴とする、実施形態1~11の1つに記載の核酸。
13.1,000,000塩基の最大サイズ、好ましくは200,000塩基の最大サイズを有することを特徴とする、実施形態1~12の1つに記載の核酸。
14.実施形態1~13の1つに記載の核酸を含むベクター。
15.配列番号46および配列番号47によって定義される配列を含む、実施形態14に記載のベクター。
16.プラスミドベクターである、実施形態14~15のいずれか1つに記載のベクター。
17.実施形態1~13の1つに記載の2つ以上の核酸を含むキット。
18.核酸が少なくとも1つのプラスミド、好ましくは2つ以上のプラスミドに存在する、実施形態17に記載のキット。
19.実施形態14~16に記載の少なくとも1つのベクターを含む、バイオテクノロジー産生ユニット。
20.実施形態14~16の1つに記載のベクターを使用して、実施形態17または18のいずれかに記載のキット、または実施形態19に記載のバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、実施形態1~3の1つに記載の少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質であって、実施形態1~13の1つに記載の少なくとも1つの核酸をパッケージングする、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質。
21.実施形態1~13の1つに記載の少なくとも1つの核酸と、実施形態14~16の1つに記載のベクターを使用して、特に実施形態20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む産生生物において、実施形態17または18の1つに記載のキットを使用して、実施形態1~13の1つに記載の少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチン。
22.タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含み、
(i)タンパク質成分aが、
a)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号14に記載の配列、もしくは配列番号14と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号18に記載の配列、もしくは配列番号18と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
(ii)タンパク質成分b1が、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号6に記載の配列、もしくは配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号21に記載の配列、もしくは配列番号21と少なくとも90%の配列同一性を含み、
タンパク質成分b2が、MHV59Aのエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号8に記載の配列、もしくは配列番号8と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む同等のタンパク質を含み、
(iii)タンパク質成分c1が、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Mに類似した配列番号10に記載の配列、もしくは配列番号10と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2の膜タンパク質Mに類似した配列番号22に記載の配列、または配列番号22と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
タンパク質成分c2が、MHV59Aの膜タンパク質Mに類似した配列番号12に記載の配列、もしくは配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む同等のタンパク質を含み、
(iv)タンパク質成分d1が、
a)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号2に記載の配列、もしくは配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号26に記載の配列、もしくは配列番号26と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
タンパク質成分d2が、MHV59Aのヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号4に記載の配列、もしくは配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む同等のタンパク質を含む、実施形態21に記載のワクチン。
23.コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)実施形態1~13の1つに記載のヌクレオチド酸配列を、バイオテクノロジー産生ユニット、特に細胞株に導入するステップであって、
タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも2つをコードする核酸ベースmRNAが翻訳により調製される、ステップ、
b)ステップa)のバイオテクノロジー産生ユニットからタンパク質成分を得るステップ、および
c)得られたタンパク質成分を精製して、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
24.実施形態20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)実施形態1~13の1つに記載のヌクレオチド酸配列をバイオテクノロジー産生ユニットに導入するステップであって、バイオテクノロジー産生ユニットが、タンパク質成分a、b1、c1、およびd1からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも1つをコードするヌクレオチド酸を含む、ステップ、
b)ステップa)のバイオテクノロジー産生ユニットから、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を得るステップ、ならびに
c)得られたタンパク質成分を精製して、実施形態20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
25.コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)実施形態14~16の1つに記載のベクターを増幅バイオテクノロジー産生ユニットに導入するステップ、
b)増幅バイオテクノロジー産生ユニットにおいて、実施形態1~13の1つに記載のヌクレオチド酸を増幅するステップ、
c)ステップb)で増幅されたヌクレオチド酸を得るステップ、
d)実施形態23または24に記載の方法を使用して、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】SARS-CoV2のヌクレオキャプシドタンパク質(N)(配列番号35)、エンベロープタンパク質(E)(配列番号36)、膜タンパク質(M)(配列番号37)、およびスパイク糖タンパク質(S)(配列番号38)をコードするモノシストロン発現プラスミドのプラスミドマップ。プラスミドマップ内側の数字は、DNAの塩基対座標を示す。N、E、M、およびSのタンパク質コード配列は矢印で表されており、配列表に記載されている配列番号1、2、3、および4(N)、5、6、7、および8(E)、9、10、11、および12(M)、13、および14(S)のDNA配列およびタンパク質配列を表している。
【
図2】実施例2に示すように、モノシストロン発現プラスミドpcDNA34 syn N(配列番号35)(下図)と共に細胞株におけるワクチン産生に使用できるポリシストロン発現構築物COVAX191ΔN(配列番号33および39)(上図)のゲノムマップ。数字は、COVAX191ΔNについてのキロベース(K)でのDNA座標を指し、pcDNA34 syn N構築物(配列番号35)についての塩基対の位置を指す。ポリタンパク質1a、1b、E、M S(上図)およびヌクレオキャプシドタンパク質syn N(下図)のタンパク質コード配列は矢印で表されている。
【
図3】ヌクレオキャプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)、膜タンパク質(M)、およびスパイク糖タンパク質(S)のモノシストロンのプラスミドベースの発現構築物のアガロースゲル電気泳動サイズ分離。ゲルの左側は、ヌクレオキャプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)および膜タンパク質(M)に対するMHV A59(MHV)由来の構築物を示す。ゲルの右側は、ヌクレオキャプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)、膜タンパク質(M)、およびスパイク糖タンパク質(S)に対するSARS-CoV2に基づいて得られた構築物を示す。
【
図4】環状の40,556bpのDNA構築物COVAX191ΔN(配列番号40)(上図)および38,383bpのDNA構築物COVAX191ΔNΔHE(配列番号40)(下図)の対応するDNA配列決定カバーグラフを有する模式図。矢印は、複製ポリタンパク質1A、1B(1A、1B)、ヘマグルチニンエステラーゼ(HE)、スパイク糖タンパク質(S)、エンベロープタンパク質(E)、および膜タンパク質(M)のCDSを再構成したタンパク質コード配列の位置を示す。COVAX191ΔNおよびCOVAX191ΔNΔHEの完全なゲノムは、単一の酢酸リチウム酵母形質転換を用いて6つの合成DNAブロックからアセンブルし、補助栄養URA3マーカーで選択した。
【
図5】SARS-CoV-2ゲノムおよび作製した欠失バリアントの模式図。
【
図6】ORF7aのトランス相補的発現のためのpcDNA3.1/Hygro(+)_ORF7aのベクターマップ(配列番号61)
【
図7】表S1:サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)(酵母)におけるCOVAX191のDNAアセンブリ効率
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも4,000塩基を有する完全合成長鎖核酸であって、核酸が、4つの配列部分A-Dの少なくとも2つを任意の配置で含み、i)配列部分Aが、a)配列番号1で定義される配列、もしくは配列番号1で定義される配列と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、またはb)配列番号3で定義される配列、もしくは配列番号3で定義される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、ii)配列部分Bが、a)配列番号5で定義される配列、もしくは配列番号5で定義される配列と少なくとも98.3%の配列同一性を有する配列、またはb)配列番号7で定義される配列、もしくは配列番号7で定義される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、iii)配列部分Cが、a)配列番号9で定義される配列、もしくは配列番号9で定義される配列と少なくとも97.2%の配列同一性を有する配列、またはb)配列番号11で定義される配列、もしくは配列番号11で定義される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、iv)配列部分Dが、配列番号13で定義される配列、もしくは配列番号13で定義される配列と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含むか、または配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸に対応するリボ核酸配列を包含することを特徴とする、核酸に関する。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、少なくとも4,000塩基を有する完全合成長鎖核酸に関し、核酸は、a)4つの配列部分A~Dのうち少なくとも2つを任意の配置で含み、i)配列部分Aは、配列番号50で定義される配列、もしくは配列番号50で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含み;ii)配列部分Bは、配列番号48で定義される配列、もしくは配列番号48で定義される配列に対して少なくとも98.3%の配列同一性を有する配列を含み;iii)配列部分Cは、配列番号49で定義される配列、もしくは配列番号49で定義される配列に対して少なくとも97.2%の配列同一性を有する配列を含み;iv)配列部分Dは、配列番号17で定義される配列、または配列番号17で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含むか;または配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を包含する;およびb)1.)核酸配列部分は、ORF7aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする;および/または2)核酸配列部分は、ORF3aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする。
【0012】
本発明による核酸によって、言及されたワクチンの産生を有意に加速させることが可能になり、これは、ウイルスまたは変異に対して、特にコロナウイルスSARS-CoV-2に対して、非常に特異的な明確に定義されたワクチンをもたらす。
【0013】
以下にさらに示すように、本発明による核酸配列において構成される配列部分の特異的な配列特徴によって、核酸が完全合成によって、したがってオーダーメイドで産生されることが可能になる。本発明による核酸は、そのため、特定の実施形態においてRNAではなくDNAであることのみならず、天然に存在する配列と対照的に、化学的合成によって核酸の完全合成産生が可能になっている配列においても、コロナウイルスに天然に存在する核酸とは異なるものである。
【0014】
したがって、最終的に、本発明による核酸によって、分子的な精度で定義されているタンパク質成分を発現することが可能になる。これらのタンパク質成分がワクチンとして投与されると、最適な免疫化がそれによってワクチンレシピエントにおいて得られる。同時に、可能性のある副作用の危険性は、定義が不正確なタンパク質成分に高度に蔓延しているものであるが、これが大幅に最小化される。また、タンパク質発現に使用される一般的な発現システムを利用してタンパク質成分が産生され得るということは、ワクチンが大量に非常に迅速に産生され得ることを意味する。これは、コロナウイルスSARS-Cov-2のような、拡散によって大流行の比率が想定され、そのため封じ込めに広範なワクチン投与が必要なウイルスにとっては非常に重要なことである。
【0015】
以下の用語および概念を本発明の文脈で使用するものとする:
【0016】
用語「核酸」は、DNA、RNAおよびその任意の修飾のいずれかを指す。核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。修飾は、さらなる電荷、分極率、水素結合、静電気相互作用および流動性を核酸リガンド塩基または核酸リガンド全体に取り込む他の化学基を提供するものを含むが、これに限定されない。そのような修飾としては、2’-位糖修飾、5-位ピリミジン修飾、8-位プリン修飾、環外アミンにおける修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨード-ウラシルの置換、骨格修飾、メチル化、異常な塩基対の組合せ、例えばイソ塩基イソシチジンとイソグアニジンが挙げられるが、これらに限定されない。修飾としてはまた、キャッピング等の3’および5’修飾も含まれ得る。
【0017】
完全合成。化学的な観点からは、核酸は、反復単位、所謂塩基を有する非常に洗練された分子である。本文脈における、用語「完全合成」は、本発明による核酸は、化学的試薬を使用した一連の化学反応ステップによって産生されることを意味する。酵素等の生化学補助剤は、また、個々の後期産生ステップ、例えば既に長いオリゴマーの接合の間にも使用し得る。後者は、同様に任意に合成性であり得る。完全合成核酸は、化学的産生プロセスを可能にし、以下の配列特徴の1つまたは複数において天然に存在する核酸とは異なる配列特徴を有する:
i)当業者にとって公知である、1つまたは複数の制限酵素部位、特にIIS型制限エンドヌクレアーゼの制限酵素部位が存在しないこと、
ii)対応する天然に存在する核酸と比較して、完全合成核酸内に9を超える同一塩基の連続単位を有する反復核酸配列が存在しないか、または頻度が減少していること、
iii)対応する天然に存在する核酸と比較して、12を超える塩基を有する反復塩基対配列が存在しないか、または頻度が減少していること、
iv)対応する天然に存在する核酸と比較して、その逆相補的配列として、当業者に公知の12を超える塩基単位からなる間接的反復塩基対セグメントが存在しないか、または頻度が減少していること、
v)対応する天然に存在する核酸と比較して、当業者に公知の9を超える連続的な重複塩基単位(ジヌクレオチド反復)の反復を有する核酸配列が存在しないか、または頻度が減少していること、および
vi)対応する天然に存在する核酸と比較して、当業者に公知の5を超える連続的な三重塩基単位(トリヌクレオチド反復)の反復を有する核酸配列が存在しないか、または頻度が減少していること。
【0018】
いくつかの実施形態において、完全合成核酸は、Venetz, J. E., et al. , 2019, Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(16), 8070-8079および/またはそのSI添付に記載の方法にしたがって、部分的に産生されるか、および/または配列特徴を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、完全合成核酸は、化学的産生プロセスを可能にし、上述の配列特徴、特に上述の配列特徴i)~vi)の2つ以上において天然に存在する核酸と異なる配列特徴を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、完全合成核酸は、化学的産生プロセスを可能にし、上述の配列特徴、特に上述の配列特徴i)~vi)の3つ以上において天然に存在する核酸と異なる配列特徴を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、完全合成核酸は、化学的産生プロセスを可能にし、上述の配列特徴、特に上述の配列特徴i)~vi)の4つ以上において天然に存在する核酸と異なる配列特徴を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、完全合成核酸は、化学的産生プロセスを可能にし、上述の配列特徴、特に上述の配列特徴i)~vi)の5つ以上において天然に存在する核酸と異なる配列特徴を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、完全合成核酸は、化学的産生プロセスを可能にし、上述の配列特徴、特に上述の配列特徴i)~vi)の6つにおいて天然に存在する核酸と異なる配列特徴を含む。長鎖オリゴヌクレオチドは、長年、短い断片、典型的には60、100または200塩基の産生断片で市販されていた。大幅に長いオリゴヌクレオチドは、容易には入手可能ではなく、これは、今日使用されている合成は、長い核酸を適切な量産生するにはエラー率が高すぎるためである。1000塩基未満のそのような断片はしたがって、短鎖と呼ばれ、一方で1000塩基以上の核酸は長鎖と呼ばれる。1000~5000塩基の長鎖核酸は、現在では相当な費用で(例えば、Twist Bioscience,Life-technologiesによって)産生し得る。5000塩基を超える長鎖核酸は、非常に複雑であるが、化学的に明確に定義された分子である。それぞれの分子は、位置、種類、分子の他の部分との結合によって、古典的な有機化学の観点から完全に記載することができる。したがって、2つの同一の長鎖核酸は、その大きさおよび数万から数百万の原子を含んでいるという事実にもかかわらず、全ての成分が同一であり、同一に連結しているという点で、同一である。
【0024】
核酸合成時の末端基、保護基の任意の残基、その他の補助剤についての説明。上述の記載は、核酸中の塩基の種類に言及したものである。当業者は、合成が末端で切断される様々な補助剤を用いて行われることを認識している。しかし、時にはそのような基の残基が残るか、または分子の他の部分が合成段階の前または後に誘導体化される。そのような基は当業者に知られており、特に、ポリAテール、修飾DNA塩基、固相合成からの切断可能なリンカー、ビオチンまたはストレプトアビジン等の生化学基、およびその他のものが含まれる。
【0025】
他の可能な修飾および標準的な方法で使用される修飾は、蛍光マーカーに関する。これらの修飾またはその残基は、上述の記載に影響を及ぼすべきではなく、同一の核酸群は、位置および塩基の種類ごとにその位置のn個の塩基が全ての塩基に対して同一であれば、同一であるとみなされるべきである。言い換えれば、本発明の核酸は、本発明が必要とする塩基配列を有していれば、上記の修飾または残基を有する核酸も含むものである。
【0026】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、特別な特性を有する核酸に関する。これらの特別な特性は、塩基配列、すなわち配列において構成され、本発明の核酸が特定の特性を有する場合にのみ得られるものである。これらの特性は、直接的には特定の分子の部分であるか、または特定の分子の包括的な化学的な記載全体である。しかし、簡略化のため、本文の記載では塩基配列を示し、常に特定の分子を意味していることを明確にする。したがって、塩基配列は実用的な記述形態に過ぎず、分子またはそのlUPAC名を直接示すよりも、明らかに本発明の文章表現により適している。
【0027】
本発明の分子は、特定の配列の存在によって特別な特性を獲得するが、これは、化学において通常「R」と略記され、その後「R」を記載することによってより詳細に記載することができる、1つまたは複数の分子部分を有する古典的な化学剤群の記述に類似している。したがって、本発明では、有機化学におけるこの通常の手順と類似して、本発明の長鎖完全合成核酸の特別な特性の原因となる配列群が記載される。
【0028】
本発明の核酸は、コロナウイルスのエンベロープタンパク質の4種類のタンパク質のうち、少なくとも2種類のタンパク質をコードする完全合成核酸を含むことを特徴とする。
【0029】
用語「コロナウイルスのエンベロープタンパク質の種類」は、本明細書で使用する場合、コロナウイルスのA群、B群、C群、またはD群のタンパク質を指す。用語「A群」タンパク質は、本明細書で使用する場合、コロナウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質(N型)の群を指す。用語「B群」は、本明細書で使用する場合、コロナウイルスのエンベロープタンパク質(E型)の群を指す。用語「C群」タンパク質は、本明細書で使用する場合、コロナウイルスの膜タンパク質(M型)を指す。用語「D群」タンパク質は、本明細書で使用する場合、コロナウイルスのグリコシル化表面タンパク質(S型)を指す。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された核酸は、少なくとも1つのA群タンパク質と少なくとも1つのB群タンパク質とをコードする核酸を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸は、少なくとも1つのA群タンパク質と少なくとも1つのC群タンパク質とをコードする核酸を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸は、少なくとも1つのA群タンパク質と少なくとも1つのD群タンパク質とをコードする核酸を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸は、少なくとも1つのB群タンパク質と少なくとも1つのC群タンパク質とをコードする核酸を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸は、少なくとも1つのB群タンパク質と少なくとも1つのD群タンパク質とをコードする核酸を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の核酸は、少なくとも1つのC群タンパク質と少なくとも1つのD群タンパク質とをコードする核酸を含むことを特徴とする。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明の核酸は、
(a)明確に定義された塩基配列の4,000塩基超を含み、
(b)コロナウイルスの4種類のエンベロープタンパク質をコードする4つの配列群A~Dに割り当てられた、特に重要な4つの配列のうち少なくとも2つを含み、ここで、
i)第1の配列群Aは、コロナウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質Nのエンベロープタンパク質をコードし、
ii)第2の配列群Bは、コロナウイルスのエンベロープタンパク質E型のエンベロープタンパク質をコードし、
iii)第3の配列群Cは、コロナウイルスの膜タンパク質M型のエンベロープタンパク質をコードし、
iv)第4の配列群Dは、コロナウイルスのグリコシル化表面タンパク質Sのエンベロープタンパク質をコードする
ことを特徴とする。
【0032】
本明細書で開示される配列部分Aは、配列番号1または配列番号3に記載の配列を含み、配列番号2または配列番号4に記載の対応するタンパク質配列をコードしている。いくつかの実施形態において、配列番号50によって定義される配列、または配列番号50と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、配列部分Aは、配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、配列部分Aは、配列番号2と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも 99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、配列部分Aは、配列番号4と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、配列部分Aは、配列番号2および配列番号4と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0037】
本明細書中に開示される配列部分Bは、配列番号5または配列番号7に記載の配列を含み、配列番号6または配列番号8に記載の対応するタンパク質配列をコードしている。いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号48によって定義される配列、または配列番号48と少なくとも98.3%、少なくとも98.6%、少なくとも99.1%、または少なくとも99.5%の配列同一性を有する配列を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号8と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号6および配列番号8と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0042】
本明細書内で開示される配列部分Cは、配列番号9または配列番号11に記載する配列を含み、配列番号10または配列番号12に記載する対応するタンパク質配列をコードしている。いくつかの実施形態において、配列部分Cは、配列番号49によって定義される配列、または配列番号49と少なくとも97.2%、少なくとも97.4%、少なくとも97.6%、少なくとも97.8%、少なくとも98%、少なくとも98.2%、少なくとも98.4%、少なくとも98.6%、少なくとも98.8%、少なくとも99%、少なくとも99.2%、少なくとも99.4%、少なくとも99.6%、または少なくとも99.8%の配列同一性を有する配列を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、配列部分Cは、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号12と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号10と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号10および配列番号12と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0047】
本明細書中に開示される配列部分Dは、配列番号13に記載する配列を含み、これは配列番号14に記載する対応するタンパク質配列をコードしている。いくつかの実施形態において、配列部分Dは、配列番号17によって定義される配列、もしくは配列番号17と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、配列部分Bは、配列番号14と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む。
【0049】
参照配列に対する用語「パーセント(%)配列同一性」は、配列のアラインメントを行い、最大パーセント配列同一性を達成するために必要であればギャップを導入した後の、配列同一性の一部として保存的置換を考慮しない場合の、参照配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基と同一である候補配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセント比率として定義する。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のアライメントは、当業者の範囲内である様々な方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公に利用できるコンピューターソフトウェアを使用して達成できる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大限のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするための適切なパラメータを決定することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明のヌクレオチド酸配列は、タンパク質生成物の特性を変更することなく、または実質的に変更しないことにより(例えば、ヌクレオチド酸配列またはその生成物の産生プロセスを促進するために)変更される。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明のヌクレオチド酸配列の変更は、以下の群から選択される少なくとも1つの変更を含む:
1)タンパク質生成物の特性を変更しない、または実質的に変更することがない、参照配列に対する塩基置換、挿入、または欠失、
2)コドンを同義形で置き換えること、および
3)(代替)ORF、予測される遺伝子内部転写開始点、および/または翻訳速度を微調整する配列モチーフ(予測または潜在)(例えば、リボソーム停止モチーフ)等のタンパク質コード配列内に存在する仮説的遺伝エレメントの数の減少。
【0052】
本発明の変更されたヌクレオチド酸配列の遺伝子が機能的であり続けるかどうかを試験することにより、アミノ酸コードを超える追加情報が適切に機能するために必要とされる遺伝子を同定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヌクレオチド酸配列は、コードされたタンパク質生成物の生物学的機能を改善するために変更される。
【0054】
このような生物学的機能としては、安定性の向上、産生の促進(例えば、追加の複製開始配列の挿入)、複製制限が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヌクレオチド酸配列は、類似の構造を有するが、変異ウイルスのタンパク質の機能等、代替の生物学的機能を有する少なくとも1つの目的の代替タンパク質をコードするように変更される。
【0056】
当業者は、目的の少なくとも1つの代替タンパク質をコードする配列(例えば、変異ウイルスのヌクレオチド酸配列)を解析し、関連する変更(例えば、変異)を本明細書に記載する最も類似したヌクレオチド酸配列に実施することにより、そのような変更されたヌクレオチド配列を得ることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される最も類似したヌクレオチド酸配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、および/または配列番号17により定義される配列である。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される最も類似したヌクレオチド酸配列は、配列番号1、配列番号5、配列番号9、配列番号13によって定義される配列である。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるコロナウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるSARS-CoV-2は、系統B.1.1.207、系統B.1.1.7、クラスター5、501 M2バリアント、系統P.1、系統B.1.429/CAL.20Cおよび系統B.1.525からなる群から選択されるSARS-CoV-2バリアントである。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるSARS-CoV-2は、群19A、20A、20C、20G、20H、20B、20D、20F、20I、および20Eから選択されるNextstrainクレイドによって記載されるSARS-CoV-2バリアントである。
【0060】
いくつかの実施形態において、目的の少なくとも1つの代替タンパク質をコードする配列は、少なくとも1つのSARS-CoV-2バリアントに特徴的なタンパク質をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのSARS-CoV-2バリアントに特徴的なタンパク質は、配列番号18、配列番号21、配列番号22および/または配列番号26と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列によってコードされるタンパク質である。
【0061】
この関連する変更の実施は、例えば、本明細書に記載されるヌクレオチド酸配列のパーセント比率を超えない、少なくとも1つの塩基の挿入、欠失、置換、および/または修飾により達成することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される最も類似したヌクレオチド酸配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、および/または配列番号17によって定義される配列である。
【0063】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される最も類似したヌクレオチド酸配列は、配列番号1、配列番号5、配列番号9、および/または配列番号13によって定義される少なくとも1つの配列である。
【0064】
いくつかの実施形態において、挿入、欠失、または修飾は、本明細書に記載される化学試薬を用いた一連の化学反応ステップを用いた本発明の核酸のデノボ合成によって達成され得る。
【0065】
変更された配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、および/または配列番号17によって定義されるヌクレオチド酸配列と比較して、より多い位置または異なる位置における変更された配列の化学的産生プロセスを可能にするおよび/または改善する配列特徴(例えば、上述の配列特徴i)~vi))を含んでいてもよい。
【0066】
IUPAC分類可能な分子へのそれらの可能な変換は、当業者には知られている。上記で定義されたデオキシリボ核酸の代替として、対応するリボ核酸も存在し得る。言い換えれば、配列部分A~Dに記載するデオキシリボ核酸配列に加えて、本発明による定義は、対応するリボ核酸配列も含む。これらにおいて、対応するリボ核酸は、チミン(T)がウラシル(U)に置換された上記定義の配列部分を有する。
【0067】
MHVおよびSARS-CoV-2のエンベロープタンパク質E、M、NおよびSをコードする本発明の長鎖核酸の塩基対配列、および、該当する場合には、MHVのRNA依存性RNAポリメラーゼは、第1のステップにおいて、遺伝暗号の冗長性を考慮して、対応するタンパク質の天然のアミノ酸配列から出発する計算によって、多数の配列バリアントが形成される複雑な開発の結果を表している。
【0068】
特に、SARS-CoV-2のタンパク質E、M、Nおよび/またはSをコードする本発明の長鎖核酸の塩基対配列は、第1のステップにおいて、遺伝暗号の冗長性を考慮して、対応するタンパク質の天然のアミノ酸配列から出発する計算によって、多数の配列バリアントが形成される複雑な開発の結果を表している。
【0069】
結果として得られた配列樹から、第2のステップにおいて、第1に、生物学的機能性の観点で天然配列に最も類似し、第2に、化学的産生プロセスを可能にする最適な配列特性をも有する、コードされた各エンベロープタンパク質のそれぞれについての塩基対配列が決定された。
【0070】
さらに、この配列は、野生型ウイルスの構造タンパク質を組み合わせてコードしている。これにより、T細胞エピトープを含む免疫系にとって利用可能な広範なエピトープが可能になる(例えば、Grifoni, A., et al. , 2020, Cell, 181(7), 1489-1501を参照)。この広範のエピトープによって、既存の免疫の有無にかかわらず、患者における広範なウイルスバリアントに対する免疫が可能になり得る。
【0071】
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、本発明の核酸が、制限された複製能を有するが元のウイルスと同様の抗原効果を有する組合せウイルス様タンパク質を効率的に産生することを可能にするという知見に基づくものである。
【0072】
前述のように、本発明による核酸は、少なくとも4,000塩基または塩基対を有する。好ましくは、少なくとも8,000塩基、特に好ましくは少なくとも20,000塩基を、定義された配列で有する。さらに、核酸は、1,000,000塩基の最大サイズ、好ましくは200,000塩基の最大サイズを有することが好ましい。
【0073】
大きな配列は、産生、増幅および/または発現が困難であることが繰り返し示されているが、塩基数が多いことは、元のウイルスと類似の抗原効果を有するウイルス様タンパク質の特定の組合せを一貫して産生するために有益である。
【0074】
本明細書で提供される手段および方法によって、本発明による核酸をある長さの範囲で産生することができる(例えば、実施例1~3を参照)。
【0075】
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、特定の長さ範囲の長さを有する本発明の核酸が、制限された複製能を有するが、元のウイルスと類似の抗原効果を有する組合せウイルス様タンパク質を効率的に産生することを可能にするという知見に基づいている。
【0076】
本発明による核酸は、単一の長鎖核酸の形態で存在しても、個別の長鎖核酸に分割されていてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明による核酸は、単一の長鎖核酸の形態で存在しても、または最大4つの個別の長鎖核酸に分割されていてもよい。
【0078】
個別の長鎖核酸への分離は、本発明の核酸の増幅を促進し得る(実施例3)。
【0079】
さらなる好ましい実施形態によれば、配列部分A~Dは、配列番号16の配列にしたがって配置される。
【0080】
また、配列部分Dが配列番号17からなり、配列番号18に記載のタンパク質配列をコードすることが好ましい。
【0081】
さらなる好ましい実施形態によれば、配列部分A~Cは、配列番号19の配列にしたがって配置され、それによって配列部分Aは、配列番号26に記載のタンパク質配列をコードし、配列部分Bは、配列番号21に記載のタンパク質配列をコードし、配列部分Cは、配列番号22に記載のタンパク質配列をコードし、さらに配列部分A~Cは、配列番号20、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25および配列番号27をコードする配列によって拡張されていてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明によるヌクレオチド酸配列であって、配列番号19または対応するリボ核酸配列と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列によって定義される、ヌクレオチド酸配列に関する。
【0083】
本明細書内に開示される配列部分A~Dに、配列番号15または配列番号30に記載の、コロナウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼの配列番号31および配列番号32に記載の、ポリタンパク質をコードする配列を含む、配列部分Eの核酸配列を補充することが特に好ましい。
【0084】
配列番号15または配列番号30に記載の配列は、本発明による核酸の構成要素を表し、したがって、配列部分A~Dの2つ以上の配列と組み合わせて同一分子内に存在することができる。また、独立した分子の構成要素として、本発明による核酸とともにキット中に存在することも考えられる。IUPAC分類可能な分子への可能な移行は、当業者に知られている。
【0085】
配列部分Eの存在は、対応するタンパク質の遺伝子発現のために、RNAがDNAプラスミドの代わりにバイオテクノロジー産生ユニットに導入される場合に関連するものである。この点で、配列部分Eが、配列番号33または配列番号34に記載のRNAの形態でキットに導入され、キット中に存在することも考えられる。これは、以下の具体的な実施例との関連でさらに説明する。
【0086】
これらの具体的な配列は、第1に天然配列との類似性またはその生物学的機能性に関して、第2に化学的産生プロセスに関して特に好都合であることが示されている。
【0087】
他の好ましい実施形態によれば、核酸は、4つの配列部分A~Dのうち少なくとも3つを任意の配置で含む。この点において、核酸が、4つの配列部分A~Dを任意の配置で含むことが特に好ましい。
【0088】
特定の実施形態において、本発明は、4つの配列部分A~Dのうち2つまたは3つを含むことを特徴とする、本発明による核酸に関する。
【0089】
特定の実施形態において、本発明は、4つの配列部分A~Dのうち3つを含むことを特徴とする、本発明による核酸に関する。
【0090】
したがって、いくつかの実施形態において、配列は、野生型ウイルスの2つまたは3つの構造タンパク質またはそれと同等の機能を有するタンパク質の組合せをコードする。これにより、T細胞エピトープを含む免疫系は広範囲のエピトープを利用可能にできる(例えば、Grifoni, A.et al., 2020, Cell, 181(7), 1489-1501を参照)。この広範なエピトープは、既存の免疫の有無にかかわらず、患者において広範なウイルスバリアントに対する免疫を可能にし得る。
【0091】
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、本発明の核酸が、制限された複製能を有するが元のウイルスと同様の抗原効果を有する組合せウイルス様タンパク質の効率的産生を可能にするという知見に基づくものである。
【0092】
さらに、核酸が、
配列番号15
配列番号28
配列番号29および
配列番号30
の群からなる少なくとも1つの配列をさらに含むことが好ましい。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明の核酸は、配列番号15、配列番号28、配列番号29および配列番号30の配列部分によるデオキシリボ核酸配列または対応するリボ核酸配列の1つを含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号28、または対応するリボ核酸配列を含むことを特徴とする、本発明による核酸に関する。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号29、または対応するリボ核酸配列を含むことを特徴とする、本発明による核酸に関する。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号28および配列番号29、または対応するリボ核酸配列を含むことを特徴とする、本発明による核酸に関する。
【0097】
本発明の核酸は、標準的な方法によって細胞株または他の産生生物に組み込み、ウイルスの断片またはエンベロープ全体の産生を刺激することができるという特別な性質を有する。この目的のために必要な標準的な方法は、当業者に知られており、具体例の文脈で記載される。
【0098】
特定の実施形態において、本発明は、1つ以下のORF関連核酸配列部分を含むか、または全く含まないことを特徴とし、各ORF関連核酸配列部分が、ORF6またはORF8によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、本発明の核酸に関する。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明は、1つのORF関連核酸配列部分を含むことを特徴とし、各ORF関連核酸配列部分が、ORF6またはORF8によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、本発明の核酸に関する。
【0100】
本発明者らは、元のウイルスの効果的な複製可能性に有用であると考えられる特定のORFが省略されているにもかかわらず、ウイルス粒子が増幅され、次いで翻訳されてアセンブリが成功し得ることを見出した。結果として得られたウイルス粒子は、依然として細胞に感染することができ、非感染性ウイルス断片の産生を誘導することができる。
【0101】
本発明者らは、SARS-CoV-2ウイルスゲノム(
図5参照)のORF6およびORF8を省略、機能不全または欠失させても、ウイルスアセンブリが依然として可能であることを見出した。
【0102】
特定の実施形態において、本発明は、1つのORF関連核酸配列部分が、ORF3aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、本発明の核酸に関する。
【0103】
本明細書中で使用される「SARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有する配列」という語句は、配列番号60によって定義される配列によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有する配列を指す。SARS-CoV-2アミノ酸配列の構造および機能は、当技術分野において公知である(例えば、Yadav, Rohitash et al., 2021, Cells 10,4 821;Arya, Rimanshee et al, 2021, Journal of molecular biology 433.2: 166725; Gorkhali, R., et al., 2021, Bioinformatics and Biology Insights, 15, 11779322211025876; Redondo N, et al., 2021, Front Immunol. Jul 7;12:708264)に記載されている。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有する配列は、配列番号60に含まれる配列、または配列番号60に含まれる配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列である。このような%配列変動は、例えば、配列番号60中のSARS-CoV-2バリアントの1つ以上の変異、または挿入、欠失および/または置換から、好ましくは、コードされたアミノ酸配列の機能を変化させることなく、または実質的に変化させることなく配列を変化させる保存的挿入、欠失および/または置換に由来し得る。
【0104】
ORF3aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能、ならびにORF3a配列およびその変異は、当技術分野において公知である(例えば、Bianchi M, et al., 2021, Int J Biol Macromol. 2021;170:820-826を参照のこと)。ORF3a配列における最も一般的な変異は、V13L、Q57H、Q57H+A99V、G196VおよびG252Vである。いくつかの実施形態において、ORF3aの機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号20をコードする配列、または配列番号20をコードする配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する、配列番号20をコードする配列である。いくつかの実施形態において、ORF3aの機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号52に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列番号52によって定義される配列である。このような%配列変動は、例えば、Bianchi M, et al., 2021, Int J Biol Macromol. 2021;170:820-826に記載されている1つまたは複数の変異、または挿入、欠失および/もしくは置換、好ましくはコードされたアミノ酸配列の機能を変化させることなく、または実質的に変化させることなく配列を変化させる保存的挿入、欠失および/もしくは置換に由来する。
【0105】
ORF6によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能、ならびにORF6配列およびその変異は、当技術分野で公知である(例えば、Hassan, Sk Sarif, Pabitra Pal Choudhury, and Bidyut Roy, 2021, Meta Gene 28:100873を参照のこと)。いくつかの実施形態において、ORF6の機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号23をコードする配列、または配列番号23をコードする配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列である。いくつかの実施形態において、ORF6の機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号53に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列番号53によって定義される配列である。このような%配列変動は、例えば、Hassan, Sk Sarif, Pabitra Pal Choudhury, and Bidyut Roy, 2021, Meta Gene 28: 100873に記載されている1つまたは複数の変異、または挿入、欠失および/もしくは置換、好ましくは、コードされているアミノ酸配列の機能を変化させることなく、または実質的に変化させることなく配列を変化させる保存的挿入、欠失および/もしくは置換に由来し得る。
【0106】
ORF7aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能、ならびにORF7a配列およびその変異は、当技術分野において公知である(例えば、Yashvardhini, Niti, et al., 2021, Biomedical Research and Therapy 8.8: 4497-4504を参照のこと)。いくつかの実施形態において、ORF7aの機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号24をコードする配列、または配列番号24をコードする配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列である。いくつかの実施形態において、ORF7aの機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号54に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列番号54によって定義される配列である。このような%配列変動は、例えば、Yashvardhini, Niti, et al., 2021, Biomedical Research and Therapy 8.8: 4497-4504に記載されている1つまたは複数の変異、または挿入、欠失および/もしくは置換、好ましくは、コードされているアミノ酸配列の機能を変化させることなく、または実質的に変化させることなく配列を変化させる保存的挿入、欠失および/もしくは置換に由来し得る。
【0107】
ORF8によってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能、ならびにORF8配列およびその変異は、当技術分野において公知である(例えば、Badua, Christian Luke DC, Karol Ann T. Baldo, and Paul Mark B. Medina., 2021, Journal of medical virology 93.3: 1702-1721; Hassan, Sk Sarif, et al., 2021, Computers in biology and medicine 133: 104380を参照のこと)。いくつかの実施形態において、ORF8の機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号25をコードする配列、または配列番号25をコードする配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列である。いくつかの実施形態において、ORF8の機能を有するアミノ酸配列をコードするORF関連核酸配列部分は、配列番号55に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列番号55によって定義される配列である。このような%配列変動は、例えば、Badua, Christian Luke DC, Karol Ann T. Baldo, and Paul Mark B. Medina., 2021, Journal of medical virology 93.3: 1702-1721に記載される1つまたは複数の変異、または挿入、欠失および/もしくは置換、好ましくは、コードされるアミノ酸配列の機能を変化させることなく、または実質的に変化させることなく配列を変化させる保存的挿入、欠失および/もしくは置換に由来し得る。
【0108】
本発明者らは、SARS-CoV-2ウイルスゲノムのORF6、ORF7aおよびORF8に相当する配列を省略、機能不全または欠失させることができ、ウイルスの組立てが依然として可能であることを見出した。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、
a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、ならびに
c)配列番号54によって定義されるORF7a配列、もしくは配列番号54と少なくとも99.5%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、核酸に関する。
【0110】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、
a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
c)配列番号54によって定義されるORF7a配列、もしくは配列番号54と少なくとも99.5%の配列同一性を有する配列、ならびに
d)配列番号55によって定義されるORF8配列、もしくは配列番号55と少なくとも99%、少なくとも99.3%、もしくは少なくとも99.6%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、核酸に関する。
【0111】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、
a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
c)配列番号54によって定義されるORF7a配列、もしくは配列番号54と少なくとも99.5%の配列同一性を有する配列、ならびに
d)配列番号53によって定義されるORF6配列、もしくは配列番号53と少なくとも94.1%、少なくとも94.7%、少なくとも95.2%、少なくとも95.8%、少なくとも96.3%、少なくとも96.8%、少なくとも97.4%、少なくとも97.9%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、もしくは少なくとも99.6%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、核酸に関する。
【0112】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、
a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、
c)配列番号54によって定義されるORF7a配列、もしくは配列番号54と少なくとも99.5%の配列同一性を有する配列、
d)配列番号53によって定義されるORF6配列、もしくは配列番号53と少なくとも94.1%、少なくとも94.7%、少なくとも95.2%、少なくとも95.8%、少なくとも96.3%、少なくとも96.8%、少なくとも97.4%、少なくとも97.9%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、もしくは少なくとも99.6%の配列同一性を有する配列、ならびに
e)配列番号55によって定義されるORF8配列、もしくは配列番号55と少なくとも99%、少なくとも99.3%、もしくは少なくとも99.6%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、核酸に関する。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、3’UTR、5’UTR、TRS-L、TRS-B:S、TRS-B:orf3a、TRS-B:E、TRS-B:M、TRS-B:orf6、TRS-B:orf7a、TRS-B:orf8および/またはTRS-B:Nをさらに含む、核酸に関する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、配列番号57によって定義される3’UTRおよび/または配列番号56によって定義される5’UTRをさらに含む、核酸に関する。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による核酸であって、TRS-L、TRS-B:S、TRS-B:orf3a、TRS-B:E、TRS-B:M、TRS-B:orf6、TRS-B:orf7a、TRS-B:01T8および/またはTRS-B:Nをさらに含み、配列ACGAACで定義される、核酸に関する。
【0116】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号41によって定義される配列、または配列番号41と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号42によって定義される配列、または配列番号42と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号43によって定義される配列、または配列番号43と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号44によって定義される配列、または配列番号44と少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヌクレオチド酸配列は、対応するリボ核酸配列を指す。
【0121】
SARS-CoV-2のORF6およびORF8は、I型インターフェロンシグナル伝達経路を阻害し(Li, J. Y., et al. , 2020, Virus research, 286, 198074)、したがって十分な免疫応答を阻害する。したがって、ベクター中のSARS-CoV-2のORF6および/またはORF8の配列を欠失または省略することによって、コードされたウイルス粒子の再現性を制限するだけでなく、その抗原性が増加する。
【0122】
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、本発明のヌクレオチド酸配列が、驚くべき抗原性および制限された複製能を有するウイルス粒子またはその一部をコードするという知見に基づくものである。
【0123】
いくつかの実施形態において、本発明の核酸配列は、ベクターまたはベクターの一部である。
【0124】
本明細書で使用される、用語「ベクター」は、それ自体および/または他の核酸分子を細胞内に移送または輸送することができる核酸分子を指す。移送された核酸は、一般的にベクター核酸分子に連結され、すなわち挿入される。ベクターは、細胞内での自律的な複製を指示する配列を含んでいても、または宿主細胞DNAへの組み込みを可能にするのに十分な配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるベクターは、プラスミド(例えば、DNAプラスミドまたはRNAプラスミド)、シャトルベクター、トランスポゾン、コスミド、細菌人工染色体、およびウイルスベクターからなる群から選択されるベクターである。
【0125】
特定の実施形態において、本発明は、配列部分Bを含まず、配列部分Aの調節が少なくとも1つのアクセサリータンパク質を含まない、本発明によるベクターに関する。
【0126】
特定の実施形態において、本発明は、プラスミドベクターである、本発明によるベクターに関する。
【0127】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるプラスミドベクターは、選択マーカーおよび複製起点を決定する配列を有する。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号46および配列番号47によって定義される配列を含む、本発明によるベクターに関する。
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明は、RNAポリメラーゼプロモーターをコードする少なくとも1つの配列と、ネガティブ鎖RNAの合成を可能にする、および/またはポジティブ鎖RNAの合成を可能にする配列を含む少なくとも1つの非翻訳領域とを含む、本発明によるベクターに関する。
【0129】
いくつかの実施形態において、本発明は、T7プロモーターをコードする少なくとも1つの配列と、ネガティブ鎖RNAの合成を可能にする、および/またはポジティブ鎖RNAの合成を可能にする配列を含む少なくとも2つの非翻訳領域とを含む、本発明によるベクターに関する。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号28によって定義されるT7プロモーターをコードする少なくとも1つの配列と、配列番号56および57に記載する配列を含む少なくとも2つの非翻訳領域とを含む、本発明によるベクターに関する。
【0131】
いくつかの実施形態において、本発明は、プラスミドベクターである、本発明によるベクターに関する。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号45に定義される配列を含む、本発明によるベクターに関する。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のヌクレオチド酸配列は、配列番号45と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のベクターは、i)配列番号45と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有し、ii)配列番号47によって定義される選択マーカーおよび配列番号46によって定義される複製起点を含む、配列を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のベクターは、少なくとも1つのトランスフェクションエンハンサー、例えばオリゴヌクレオチド、リポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックス、デンドリマー、無機ナノ粒子および細胞侵入ペプチドからなる群から選択されるトランスフェクションエンハンサーと組み合わせて使用される。
【0136】
本明細書に記載のベクターは、増幅バイオテクノロジー産生ユニットにおいて、本発明の核酸配列の効率的な移送および/または増幅に使用することができる(実施例3)。
【0137】
増幅バイオテクノロジー産生ユニット(例えば、酵母細胞)における増幅の生成物は、単離され、その後、さらなるバイオテクノロジー産生ユニット(例えば、ヒト細胞)において翻訳され得る。
【0138】
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、本明細書に記載のベクターが、本明細書に記載の核酸の効率的な増幅および複製能が制限されているが、高い抗原性を有する組合せウイルス様タンパク質の効率的な産生を可能にするという知見に基づくものである。本発明の核酸は、上記の手順を経て、タンパク質および他の構成要素を含む分散物の産生をもたらす。
【0139】
当業者に知られている適切な分離方法、例えば遠心分離またはクロマトグラフィーを用いて、これらの構成要素を、必要に応じて、使用した産生細胞株または他の産生補助物または生物の残渣からも分離し、それによってそれらを精製することが可能である。
【0140】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の構成要素は、クロマトグラフィー、沈殿化、超遠心分離、接線流濾過、および酵素消化の群から選択される少なくとも1つの分離方法を用いて精製される。
【0141】
これらの任意に精製されたウイルスエンベロープまたはその断片は、ワクチンの基礎を表し、これは、次いで、適用の種類に応じて異なる剤形に移される。
【0142】
一般的に、この目的のためにアジュバント、保存性を向上させるための安定剤、塩および緩衝剤が使用される。このため、ワクチンはここで記載した長鎖の完全合成核酸の生成物である。
【0143】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明によるベクターを使用して、本発明によるキット、または本発明によるバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関し、ここで、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質は、本発明による少なくとも1つの核酸をパッケージングする。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明によるベクターを使用して、本発明によるキットを使用して、または本発明によるバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープに関する。
【0145】
本明細書において使用する、用語「ウイルスエンベロープ」は、ヌクレオチド酸配列(本発明のヌクレオチド酸配列等)の安定化機能を有するタンパク質層等のタンパク質アセンブリを指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のウイルスエンベロープは、ヒト細胞への本発明のヌクレオチド酸配列の同化を可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のウイルスエンベロープは、スパイクタンパク質、エンベロープタンパク質および膜タンパク質を含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明によるベクターを使用して、本発明によるキット、または本発明によるバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープの断片に関する。
【0147】
本明細書において使用する、用語「ウイルスエンベロープの断片」は、不完全なウイルスエンベロープを形成する、少なくとも2つのアセンブルされたタンパク質を指す。
【0148】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明によるベクターを使用して、本発明によるキット、または本発明によるバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープタンパク質に関する。
【0149】
本明細書において使用する、用語「ウイルスエンベロープタンパク質」は、ウイルスエンベロープの一部を形成することができる少なくとも1つのタンパク質を指す。
【0150】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明によるベクターを使用して、本発明によるキット、または本発明によるバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関し、ここで、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質は、本発明による少なくとも1つの核酸をパッケージングする。
【0151】
本明細書において使用する、用語「パッケージングされる」は、少なくとも部分的に飲み込まれる、および/または結合されることを指す。いくつかの実施形態において、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープのフラグメントおよび/またはウイルスエンベロープタンパク質中の本発明のパッケージングヌクレオチド酸は、ヒト細胞への侵入を可能にする。
【0152】
本発明の核酸および/またはベクターの生成物は、生成物がウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質で具現化されている場合、対応する機能性ウイルスに対して特に高い抗原的類似性を示す。したがって、誘発/誘導された免疫反応により、機能性ウイルスとの実際の接触に特に有益な免疫反応が誘導される可能性が高い。
【0153】
ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質にパッケージングされたヌクレオチド酸は、対象のヒト細胞に移送され、ヒト細胞におけるウイルスタンパク質の産生を誘導することが可能である。この結果、複製能が制限された抗原性ウイルス様タンパク質の露出が長期化し、増強される。
【0154】
したがって、本発明は、少なくとも部分的に、本明細書に記載のベクターにより、複製能が制限されているが、元のウイルスと類似の抗原性を有する組合せウイルス様タンパク質を効率的に産生できるという知見に基づくものである。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療に使用するための本発明のベクターに関する。
【0156】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療に使用するための本発明のバイオテクノロジー産生ユニットに関する。
【0157】
いくつかの実施形態において、本発明は、治療に使用するための本発明のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関する。
【0158】
本明細書において使用する、用語「治療」(および「治療する」または「治療すること」等のその文法的変形)は、治療される個体の自然経過を変更する試みにおける臨床介入を指し、予防のためまたは臨床病理の経過中のいずれでも実施することが可能である。治療の望ましい効果としては、疾患の発症または再発の防止、症状の緩和、疾患の直接的または間接的な病理学的結果の軽減、疾患進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、寛解または予後の改善等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
いくつかの実施形態において、本発明は、SARS-CoV-2感染の治療に使用するための、本発明のベクター、バイオテクノロジー産生ユニット、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関する。
【0160】
いくつかの実施形態において、本発明は、SARS-CoV-2感染の予防に使用するための、本発明のベクター、バイオテクノロジー産生ユニット、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またウイルスエンベロープタンパク質に関する。
【0161】
いくつかの実施形態において、本発明は、活性SARS-CoV-2感染の治療に使用するための、本発明のベクター、バイオテクノロジー産生ユニット、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片、および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関する。
【0162】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による少なくとも1つの核酸と、産生生物において本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンに関する。
【0163】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による少なくとも1つの核酸と、産生生物において本発明によるベクターを使用することによって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンに関する。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による少なくとも1つの核酸と、産生生物において本発明によるキットを使用することによって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンに関する。
【0165】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による少なくとも1つの核酸と、本発明によるベクターを使用して、特に本発明によるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む産生生物において、本発明によるキットを使用して、本発明による少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンに関する。
【0166】
本明細書において使用される、用語「ワクチン」は、宿主において免疫応答を誘導/誘発することができ、感染症および/または疾患を治療および/または予防することを可能にする、任意の剤または組成物を指す。したがって、そのような剤の非限定的な例としては、タンパク質、ポリペプチド、タンパク質/ポリペプチド断片、免疫原、抗原、ペプチドエピトープ、エピトープ、タンパク質、ペプチドまたはエピトープの混合物、ならびに(目的のポリペプチド、タンパク質またはその断片をコードする)核酸、遺伝子および/または遺伝子の一部が挙げられる。
【0167】
本明細書において使用する、用語「コロナウイルスSARS-CoV-2に対する」は、SARS-CoV-2感染の治療および/または予防を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のSARS-CoV-2感染症はCOVID-19である。
【0168】
コロナウイルスの構造タンパク質は、免疫応答を誘発することが示されている(例えば、Li, J. Y., et al. , 2020, Virus research, 286, 198074; Walls, A. C., et al., 2020, Cell, 181(2), 281-292. e6; Chen, Z, et al., 2004, Clinical chemistry, 50(6), 988-995; Peng, Y., et al., 2020, Nature immunology, 21(11), 1336-1345を参照されたい。)提供される手段および方法は、免疫回避機構を低減した、同等のエピトープおよび/または同等の粒子を有するワクチンの製造および投与により、同等の免疫応答を誘導/誘発することができる。いくつかの実施形態において、ワクチンは、対象において複製能が制限された粒子の産生を誘導する。
【0169】
これにより、これらのワクチンは、しばしば動物血清に由来し、したがって分子的に一貫性のない古典的なワクチンとは大きく異なる。動物生物からの産生は、伝統的に選択された方法である。しかし、分子的に不明確な生成物は、大規模な品質問題、および製造バッチごとの産生の変動をもたらす。このことは、長い承認期間、および発見が単に遅くなることがしばしばである副作用とも関連している。分子的に明確な生成物組成は、本発明による核酸を用いて得ることができるため、好都合である。
【0170】
さらに、本明細書に記載のワクチンは、明確に定義され、かつ幅広い抗原性エピトープを提供する。この結果、ワクチンは、免疫応答を増強するアジュバントの必要性が低いか、または全く必要としないという利点がある。免疫応答を増強するこのようなアジュバントは、典型的には、一部の患者におけるアレルギー反応等の副作用と関連している。さらに、本明細書に記載のワクチンの主要な活性成分は、タンパク質ベースであり、したがって、他のワクチン(例えば、RNAワクチン)と比較してより耐熱性である。したがって、本発明のワクチンは、その安定性により、容易に輸送および保管が可能である。
【0171】
したがって、本発明は、少なくとも部分的に、本明細書に記載のワクチンがコロナウイルスSARS-CoV-2に対して特に有用であるという知見に基づく。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による2つ以上の核酸を含むキットに関する。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号35、配列番号36、配列番号37、および配列番号38の群から選択される少なくとも2つの核酸を含むキットに関する。
【0174】
このベクターの組合せにおいて、キットは、ヒト細胞におけるウイルスタンパク質の産生を可能にする。
【0175】
また、本発明は、前記核酸に加えて、2つ以上の核酸を含むキットに関し、ここで、核酸は、前記請求項の一項に記載のデオキシリボ核酸(DNA)および/または対応する塩基対配列を有する対応するリボ核酸(RNA)である。言い換えれば、対応するリボ核酸は、チミン(T)がウラシル(U)に置換されている、上記で定義された配列部分を有する。
【0176】
本明細書に記載するキットは、必要なバイオテクノロジー産生ユニットおよび試薬を集めることによって調製することができる。キットに含まれる核酸がDNAの形態で存在する場合、少なくとも1つのプラスミド、好ましくは2つ以上のプラスミドで存在することがさらに好ましい。これにより、後述の具体例の文脈でも記載するように、対応するバイオテクノロジー産生ユニットに容易に核酸を導入することができる。
【0177】
本発明の具体的な実施形態において、本発明の(文脈で調製される)キットまたは本発明の方法および使用は、さらに取扱説明書を含むか、または取扱説明書とともに提供され得る。例えば、前記取扱説明書は、本明細書で提供される、本発明による診断用途において、本発明のキットを用いること(方法)を当業者にガイドすることができる。特に、前記取扱説明書は、本明細書で提供される方法または用途を使用または適用するためのガイダンスを含んでもよい。
【0178】
したがって、本発明は、少なくとも部分的に、ウイルス粒子および/またはその一部を効率的かつ安全に産生することが可能になるという知見に基づく。
【0179】
他の態様によれば、本発明は、したがって、上記で定義された少なくとも1つのプラスミド、特に2つ以上のプラスミドを含むバイオテクノロジー産生ユニットにも関する。本発明のこのさらなる態様の基礎となる産生ユニットは、通常、記載される目的のために当業者に知られている産生生物または細胞株である。
【0180】
他の態様によれば、本発明はまた、対応する長鎖完全合成核酸を適当な産生生物または細胞株で適用することから得られる生成物に関する。これらの生成物は、エンベロープタンパク質のクラスに属し、しばしば、追加の糖または脂肪酸基を有する。具体的には、このさらなる態様は、これにより、上記で定義された核酸を使用して、またはキットを使用して遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質に関する。
【0181】
ここで重要なのは、この割り当てが数学的に曖昧でないことであり、核酸iは、それに正確に依存する生成物iを産生する。少しでも異なる核酸jは、それに正確に依存する他の生成物jを産生する。生成物と核酸の間の2つの関係は曖昧でなく、記述可能である。生成物kのそれぞれの種類は、核酸kに割り当てることができる。したがって、核酸と生成物、すなわちウイルスエンベロープまたはその断片との間に直接的な関係を表すように正当化される。
【0182】
個々の分離可能な特徴の代替案がここで「実施形態」として提示される場合、そのような代替案は、本明細書に開示される本発明の別々の実施形態を形成するために自由に組み合わせることができることは理解される。
【0183】
ウイルスエンベロープのアセンブリは、生物および種類によって、異なる速度で行われ、清浄度が異なるため、実際には、エンベロープおよびその断片は常に一緒に見出されることは言及すべきである。しかし、必要であれば、一般的な方法で分離することができる。
【0184】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のエンベロープは、クロマトグラフィー、沈殿化、超遠心分離、接線流濾過、および酵素消化の群から選択される少なくとも1つの精製方法を用いて精製される。
【0185】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の長鎖核酸の直接生成物は、このように、任意の精製ステップおよび可能な補助手段によってワクチンに変換される。具体的には、このさらなる態様は、したがって、特に1つまたは複数の上記のタンパク質成分またはその一部を含む産生生物において上記で定義した少なくとも1つの核酸またはキットを使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物を含むワクチンに関する。
【0186】
このワクチンは、典型的には、上記の添加物および典型的には少量の濃度の上記のウイルスエンベロープおよび/または断片を含む生理的食塩水溶液である。
【0187】
本明細書に記載のワクチンは、他のワクチンよりもアジュバントの効果への依存度が低いが、ワクチンは、ワクチンの効果を高めるために依然としてアジュバントを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、ワクチンは、無機化合物(例えば、ミョウバンカリウム、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化リン酸カルシウム)、油(例えば、パラフィン油、ピーナッツ油)、細菌生成物、サポニン、サイトカイン(例えば、IL-1、IL-2、IL-12)およびスクワレンの群から選択される少なくとも1つのアジュバントを含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、経口投与、直腸投与、吸入、鼻腔投与、非経口(parental)投与、筋肉内投与、皮下投与および皮内投与の群から選択される少なくとも1つの投与経路によって投与される。
【0189】
典型的なワクチンは、剤形に応じて、注射されるか、または粘膜から塗布することができる。
【0190】
上述したように、ワクチンは、具体的には、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンである。具体的には、タンパク質成分a、b1、b2、c1またはc2、d1またはd2からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含み、これによって、
(i)タンパク質成分aは、SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号14および配列番号18で定義される配列を含み;
(ii)タンパク質成分b1は、SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号6および配列番号21に記載された配列を含み、タンパク質成分b2は、MHV59Aのエンベロープタンパク質Eに類似した、配列番号8に記載の配列または同等のタンパク質を含み;
(iii)タンパク質成分c1は、SARS-CoV-2の膜タンパク質Mに類似した配列番号10および配列番号22に記載の配列を含み、タンパク質成分(c2)は、MHV59Aの膜タンパク質Mに類似した配列番号12に記載の配列、または同等のタンパク質を含み;
(iv)タンパク質成分d1は、SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号2および配列番号26に記載の配列を含み、タンパク質成分d2は、MHV59Aのヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号4に記載の配列または同等のタンパク質を含む。
【0191】
タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2は、対応する天然に存在する類似体と類似しているが同一ではないことに留意すべきであるが、これは、それらが、対応する天然核酸の配列と異なる配列の合成核酸から産生されるという事実に起因するものである。
【0192】
本明細書内に開示されるタンパク質成分aは、配列番号14および配列番号18に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分aは、配列番号14と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、タンパク質成分aは、配列番号18と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0194】
本明細書中に開示されるタンパク質成分b1は、配列番号6および配列番号21に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分b1は、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、タンパク質成分b1は、配列番号21と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0196】
本明細書内に開示されるタンパク質成分b2は、配列番号8に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分b2は、配列番号8と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0197】
本明細書内に開示されるタンパク質成分c1は、配列番号10および配列番号22に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分c1は、配列番号10と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、タンパク質成分c1は、配列番号22と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0199】
本明細書内に開示されるタンパク質成分c2は、配列番号12に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分c2は、配列番号12と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0200】
本明細書内に開示されるタンパク質成分d1は、配列番号2および配列番号26に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分d1は、配列番号2と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、タンパク質成分d1は、配列番号26と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0202】
本明細書内に開示されるタンパク質成分d2は、配列番号4に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質成分d2は、配列番号4と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む。
【0203】
本明細書に記載のアミノ酸配列に対して一定の%配列同一性を有するタンパク質成分は、例えば、少なくとも1つアミノ酸の、しかし配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号21、配列番号22、および/または配列番号26のアミノ酸配列に対して10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、または0.1%以下のアミノ酸の挿入、欠失、置換および/または修飾によって得ることができる。このような挿入、欠失、置換および/または修飾は、所望の挿入、欠失、置換および/または修飾をコードする本明細書に記載の対応するヌクレオチド酸配列(例えば、本明細書に記載されるタンパク質成分の変異バリアントをコードするSARS-CoV-2バリアントのヌクレオチド酸配列)に基づいて達成することができる。
【0204】
挿入、欠失、置換および/または修飾は、翻訳後修飾の結果でもあり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンパク質成分は、産生プロセスを改善するために翻訳後修飾される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンパク質成分は、抗原性、タンパク質安定性、薬物動態、薬力学、薬剤との相互作用およびアジュバントとの相互作用の群から選択されるタンパク質特性等、記載のタンパク質成分の少なくとも1つのタンパク質特性を改善するために翻訳後修飾される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンパク質成分は、官能基の付加、他のタンパク質またはペプチドへの連結、アミノ酸の化学修飾(例えば、シトルリン化、脱アミノ化、脱アミド化、エリミニル化)、ジスルフィド架橋、システインアミノ酸連結、ペプチド結合切断、イソアスパラギン酸形成、ラセミ化、およびタンパク質スプライシングの群から少なくとも選択される技術によって翻訳後修飾される。
【0205】
したがって、本明細書に記載のアミノ酸配列は必ずしも、本明細書に記載のヌクレオチド酸配列と重複する、比例した%配列同一性を有していない。いくつかの実施形態において、本発明のアミノ酸配列は、変更されたヌクレオチド酸配列が本明細書に記載のヌクレオチド酸配列と異なるより、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号21、配列番号22、および/または配列番号26に記載の配列から少なくとも10%、少なくとも9%、少なくとも8%、少なくとも7%、少なくとも6%、少なくとも5%、少なくとも4%、少なくとも3%、少なくとも2%、少なくとも1%、少なくとも0.9%、少なくとも0.8%、少なくとも0.7%、少なくとも0.6%、少なくとも0.5%、少なくとも0.4%、少なくとも0.3%、少なくとも0.2%、少なくとも0.1%以上異なる。
【0206】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、b1、b2、c1またはc2、d1またはd2からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む本発明によるワクチンに関し、ここで、
(i)タンパク質成分aは、
a)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号14に記載の配列、もしくは配列番号14と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号18に記載の配列、もしくは配列番号18と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含み、
(ii)タンパク質成分b1は、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号6に記載の配列、もしくは配列番号6と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号21に記載の配列、もしくは配列番号21と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含み、
タンパク質成分b2は、MHV59Aのエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号8に記載の配列、もしくは配列番号8と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む同等のタンパク質を含み、
(iii)タンパク質成分c1は、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号10に記載の配列、もしくは配列番号10と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2の膜タンパク質Mに類似した配列番号22に記載の配列、もしくは配列番号22と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含み、
タンパク質成分c2は、MHV59Aの膜タンパク質Mに類似した配列番号12に記載の配列、もしくは配列番号12と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む同等のタンパク質を含み、
(iv)タンパク質成分d1は、
a)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号2に記載の配列、もしくは配列番号2と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号26に記載の配列、もしくは配列番号26と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含み、
タンパク質成分d2は、MHV59Aのヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号4に記載の配列、もしくは配列番号4と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、もしくは少なくとも99.9%の配列同一性を有する配列を含む同等のタンパク質を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、b1、c1、およびd1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0208】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分b1、c1、およびd1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0209】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、c1、およびd1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0210】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、b1、およびd1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0211】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、b1、およびc1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0212】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分aおよびc1を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0213】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分aおよびd1を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0214】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分c1およびd1を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0215】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分aとb1、およびc1とd1を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0216】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、b1、c1、およびd1からなる群から選択される少なくとも3つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0217】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質成分a、b1、c1、およびd1からなる群から選択される3つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含む、本発明によるワクチンに関する。
【0218】
本明細書に記載されたタンパク質成分を含む本発明によるワクチンは、実質的かつ広範な免疫応答を誘発することができる。同時に、ワクチンは、対象の体内で複製されないという点で、複製能が制限されている場合がある。そのような限定された複製能は、例えば、効率的な複製のために必要な配列を省略または変更することによって達成することができる。
【0219】
したがって、本発明は、少なくとも部分的に、本明細書に記載のタンパク質成分の組合せを含むワクチンが、抗原性をほぼ維持しながら、複製能において所望の制限を示すことができるという知見に基づく。
【0220】
さらに、本発明は、請求項1~10の一項に記載の少なくとも1つの核酸をトランスフェクションによって、バイオテクノロジー産生ユニット、特に細胞株に導入する連続的なステップを含む、核酸ベースのmRNAから出発する、タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2からなる群より選択される少なくとも2つのタンパク質成分が翻訳により調製され、その得られたタンパク質成分を精製することを含む、ワクチンを産生する方法に関する。
【0221】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の連続的なステップ:
a)実施形態10~14の1つに記載のベクターを、バイオテクノロジー産生ユニット、特に細胞株に導入するステップであって、
タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも2つをコードする核酸ベースのmRNAが翻訳によって調製される、ステップ、
b)ステップa)のバイオテクノロジー産生ユニットからタンパク質成分を得るステップ;ならびに
c)得られたタンパク質成分を精製して、本発明によるワクチンを得るステップ
を含む、本発明によるワクチンを産生する方法に関する。
【0222】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による少なくとも1つのベクターを含むバイオテクノロジー産生ユニットに関する。
【0223】
用語「バイオテクノロジー産生ユニット」および「産生生物」は、本明細書において互換的に用いられ、本発明の核酸が発現のために導入された少なくとも1つの宿主細胞、例えばこのような細胞の子孫、生物およびこのような細胞および/またはこのような細胞の子孫を含むバイオテクノロジー産生ユニットを指す。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これは、継代回数に関係なく、初代形質転換細胞およびそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と完全に同一の核酸含有量でなく、変異を含んでいてもよい。本明細書において、一次形質転換細胞においてスクリーニングまたは選択されたものと同一の機能または生物学的活性を有する変異子孫が含まれる。
【0224】
用語「増幅バイオテクノロジー産生ユニット」は、大きなベクター(例えば、4000塩基超、10000塩基超、35000塩基超)の増幅を可能にする任意のバイオテクノロジー産生ユニットを指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の増幅バイオテクノロジー産生ユニットは、酵母細胞を含む。
【0225】
特定の実施形態において、宿主細胞は、幹細胞である。他の実施形態において、宿主細胞は分化した細胞である。
【0226】
本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、バイオテクノロジー産生ユニットの細胞の生成物がバイオテクノロジー産生ユニットのさらなる細胞に入ることができるように、SARS-CoV-2のウイルス侵入を可能にする細胞を含む場合、特に有用である。このバイオテクノロジー産生ユニットの細胞のその後の感染は、ベクターを宿主細胞に持ち込むプロセスを容易にし、加速させる。
【0227】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、SARS-CoV-2のウイルス侵入を可能にする細胞を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、ヒトACE2受容体または機能的なヒト様ACE2受容体を発現する細胞を含む。SARS-CoV-2のウイルス侵入を可能にするヒト様ACE2受容体は、当業者に知られている(例えば、Damas, J., et al., 2020, Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(36), 22311-22322を参照)。
【0228】
いくつかの場合、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、HEK293、MDCK、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、SF9、Vero、MRC5、Per.C6、PMK、およびWI-38の群から選択される少なくとも1つの細胞種を含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、少なくとも部分的にヒトである細胞、または少なくとも部分的にヒト細胞株の細胞である細胞を含む。
【0230】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、本発明のヌクレオチドまたは、バイオテクノロジー産生ユニットの細胞において完全に複製可能であるが、ヒト身体の細胞において複製可能ではないか、または実質的に複製可能ではないという点で、選択的に複製可能である本発明のベクターを含むウイルス粒子の産生を可能にする細胞を含む。この選択的複製可能性は、ウイルス粒子の複製のための相補的なタンパク質を含む細胞によって達成される(例えば、実施例を参照)。
【0231】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、ウイルス複製のための少なくとも1つのタンパク質を発現することができる細胞を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオテクノロジー産生ユニットは、本発明のヌクレオチド酸配列または本発明のベクターにコードされていない、ウイルス複製のための少なくとも1つのタンパク質成分を発現することができる細胞を含む。
【0232】
本発明のベクターによる宿主細胞の形質導入は、安定的または一過性の形質導入によって達成することができる(例えば、Stepanenko, A. A., and Heng, H. H., 2017, Mutation Research/Reviews in Mutation Research, 773, 91-103を参照)。
【0233】
第1の実施形態による産生ユニットにDNAを導入する場合、通常、この目的に適したプラスミドを用いて行われる。
【0234】
あるいは、DNAは、任意の種類のベクターによって、バイオテクノロジー産生ユニットに導入されてもよい。
【0235】
一方、第2の実施形態にしたがってRNAを導入する場合、RNA依存性RNAポリメラーゼをコードする配列(配列番号30に記載)が、タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2をコードする配列に加えて導入される。この配列により、まず鋳型として存在するポジティブRNA鎖からネガティブRNA鎖を形成し、そこから対応するメッセンジャーRNAを産生することが可能となる。
【0236】
この手順の第2の実施形態の文脈において、得られたワクチンが、酵素転写によって得ることができる完全合成長鎖リボ核酸(配列番号33または34に記載)をさらに含むことが好ましい。
【0237】
この手順の第2の実施形態の文脈において、得られたワクチンが、配列番号28に記載の配列のT7転写を介して得ることができる、完全合成長鎖リボ核酸(配列番号33または34に記載)をさらに含むことがまた好ましい。
【0238】
「a」、「an」、「the」は、本明細書において、冠詞の文法的目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ、または1つ以上)を指すために使用される。
【0239】
「または」は、選択肢のいずれか一方、両方、またはその任意の組合せを意味すると理解されるべきである。
【0240】
「および/または」は、選択肢のいずれか1つ、または両方を意味すると理解されるべきである。
【0241】
本明細書を通じて、文脈上他に必要とされない限り、語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」は、記載されたステップまたは要素、またはステップもしくは要素の群を含むことを意味するが、他のステップまたは要素、またはステップもしくは要素の群を除外しないことは理解されるであろう。
【0242】
用語「含む(include)」および「含む(comprise)」は同義的に使用される。「好ましくは」は、他の選択肢を排除しない一連の選択肢のうちの1つの選択肢を意味する。「例えば」は、言及された例に制限されない1つの例を意味する。「からなる(consisting of)」は、句「からなる」の後に続くものを全て含み、かつ、それに限定されることを意味する。
【0243】
本明細書を通じて、「一実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(an embodiment)」、「具体的な実施形態(a particular embodiment)」、「関連する実施形態(a related embodiment)」、「特定の実施形態(a certain embodiment)」、「追加の実施形態(an additional embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「特定の実施形態(a specific embodiment)」または「さらなる実施形態(a further embodiment)」またはそれらの組合せへの言及は、その実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じた様々な場所における前述の語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。また、一実施形態における特徴の積極的な記載は、特定の実施形態における特徴を除外するための根拠となることが理解される。本発明は、添付の図と組み合わせた以下の設計例によってさらに説明されるが、これらは特許請求の範囲に記載された発明の範囲を制限するものではない。
【0244】
(図面の説明)
(
図1)SARS-CoV2のヌクレオキャプシドタンパク質(N)(配列番号35)、エンベロープタンパク質(E)(配列番号36)、膜タンパク質(M)(配列番号37)、およびスパイク糖タンパク質(S)(配列番号38)をコードするモノシストロン発現プラスミドのプラスミドマップ。プラスミドマップ内側の数字は、DNAの塩基対座標を示す。N、E、M、およびSのタンパク質コード配列は矢印で表されており、配列表に記載されている配列番号1、2、3、および4(N)、5、6、7、および8(E)、9、10、11、および12(M)、13、および14(S)のDNA配列およびタンパク質配列を表している。
(
図2)実施例2に示すように、モノシストロン発現プラスミドpcDNA34 syn N(配列番号35)(下図)と共に細胞株におけるワクチン産生に使用できるポリシストロン発現構築物COVAX191ΔN(配列番号33および39)(上図)のゲノムマップ。数字は、COVAX191ΔNについてのキロベース(K)でのDNA座標を指し、pcDNA34 syn N構築物(配列番号35)についての塩基対の位置を指す。ポリタンパク質1a、1b、E、M S(上図)およびヌクレオキャプシドタンパク質syn N(下図)のタンパク質コード配列は矢印で表されている。
(
図3)ヌクレオキャプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)、膜タンパク質(M)、およびスパイク糖タンパク質(S)のモノシストロンのプラスミドベースの発現構築物のアガロースゲル電気泳動サイズ分離。ゲルの左側は、ヌクレオキャプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)および膜タンパク質(M)に対するMHV A59(MHV)由来の構築物を示す。ゲルの右側は、ヌクレオキャプシドタンパク質(N)、エンベロープタンパク質(E)、膜タンパク質(M)、およびスパイク糖タンパク質(S)に対するSARS-CoV2に基づいて得られた構築物を示す。
(
図4)環状の40,556bpのDNA構築物COVAX191ΔN(配列番号40)(上図)および38,383bpのDNA構築物COVAX191ΔNΔHE(配列番号40)(下図)の対応するDNA配列決定カバーグラフを有する模式図。矢印は、複製ポリタンパク質1A、1B(1A、1B)、ヘマグルチニンエステラーゼ(HE)、スパイク糖タンパク質(S)、エンベロープタンパク質(E)、および膜タンパク質(M)のCDSを再構成したタンパク質コード配列の位置を示す。COVAX191ΔNおよびCOVAX191ΔNΔHEの完全なゲノムは、単一の酢酸リチウム酵母形質転換を用いて6つの合成DNAブロックからアセンブルし、補助栄養URA3マーカーで選択した。
(
図5)SARS-CoV-2ゲノムおよび作製した欠失バリアントの模式図。
(
図6)ORF7aのトランス相補的発現のためのpcDNA3.1/Hygro(+)_ORF7aのベクターマップ(配列番号61)
(
図7)表S1:サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)(酵母)におけるCOVAX191のDNAアセンブリ効率
【実施例】
【0245】
以下の実施例は、エンベロープタンパク質E、M、NおよびSをコードする本発明の長鎖核酸がどのように産生され、細胞を刺激するバイオテクノロジープロセスにおいて使用されコロナウイルスエンベロープまたはその断片を産生するかを例示するものである。
【0246】
産生のために、本発明による(デジタル)配列は、化学的DNA合成のプロセスによって、対応する物理的に存在する長鎖完全合成核酸分子に移送される。
【0247】
[実施例1]
最初の実施例では、エンベロープタンパク質E、M、NおよびSをコードする、結果として得られた長鎖完全合成核酸はモノシストロンである、すなわち、個別のプロモーター(SV40、CMV、EF-1、ニワトリbアクチンプロモーターまたはハイブリッドプロモーター)および他の任意の翻訳開始シグナル(Kozakコンセンサス配列)および核mRNA輸出シグナル(Chuck Wood配列)の制御下で真核細胞用の発現プラスミドに産生されている。配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38および
図1で明らかにされた配列は、このような発現系の一例として機能する。他の発現プラスミド、対応する耐性遺伝子およびプロモーターを用いた他の実施形態も可能であり、当業者に知られている。
【0248】
結果として得られた4つの発現プラスミドを大腸菌(Escherichia coli)で増幅し、標準的な化学物理的手順で精製し、次に真核細胞株(FIEK293、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、SF9、Vero)へトランスフェクションにより導入する。トランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポフェクション、エレクトロポレーション等の標準的な手順で行われる。
【0249】
トランスフェクション後、細胞は、トランスフェクトされたプラスミドDNAから出発して、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳を開始し、そこからエンベロープタンパク質E、M、NおよびSが翻訳によって発現される。これらのタンパク質は細胞内で自発的にアセンブルしてコロナウイルスのエンベロープを形成し、その後、細胞からエキソサイトーシスによって培養培地中に放出され、ここで5~7日後に蓄積される。
【0250】
エンベロープタンパク質、ウイルスエンベロープおよびその断片の精製には、化学物理的プロセスが使用される。この目的のために、細胞培養上清が遠心分離によって細胞から分離される。次のステップで、ウイルスエンベロープは、クロマトグラフィーカラム分離法により、培養培地中の不純物および他の成分からさらに分離される。このように得られたコロナウイルスのエンベロープからなる純粋形態の物質がワクチンの基礎を形成し、これは、次いで用途の種類に応じて様々な投与形態に変換される。典型的には、この目的のためにアジュバント、保存性を向上させるための安定剤、塩、および緩衝剤が使用される。したがって、ワクチンは、ここに記載した長鎖の完全合成核酸の生成物である。
【0251】
[実施例2]
第2の実施例において、エンベロープタンパク質E、MおよびSをコードする長鎖完全合成核酸は、RNA依存性RNAポリメラーゼをコードする完全合成核酸とともに発現される。配列番号39および配列番号40によって明らかにされ、
図2に示される、このポリシストロン発現系において、エンベロープタンパク質E、MおよびSは、RNA依存性RNAポリメラーゼを含むネガティブRNA鎖から直接転写される。配列群A~Dのエンベロープタンパク質の全てのクラスがRNA依存性に発現されない場合、実施例1に記載するような追加の発現プラスミドを用いて、細胞株におけるウイルスエンベロープのバイオテクノロジー産生のためのエンベロープタンパク質の完全セットを発現させることができる。実施例2では、Nタンパク質をコードする発現プラスミドをこの目的のために使用する(配列番号35)(
図2参照)。
【0252】
プラスミドの精製、長鎖核酸のトランスフェクション、ならびにウイルスエンベロープの精製は、実施例1に記載したプロセス順序にほぼ従っている。しかし、プロセスは、トランスフェクションの前に、配列番号39および配列番号40に記載の長鎖核酸を、T7 RNAポリメラーゼによって配列番号33および配列番号34に記載の対応するRNA形態に変換する追加のステップを含む。このポジティブRNA鎖は、細胞株におけるRNA依存性RNAポリメラーゼの産生をもたらし、そこからネガティブRNA鎖を産生させる。このネガティブRNA鎖からメッセンジャーRNA(mRNA)の転写が次いで行われ、これによりウイルスエンベロープのエンベロープタンパク質の産生およびアセンブリがもたらされる。
【0253】
このようにして産生されたワクチンは、対応するデオキシリボ核酸の遺伝子発現によって得られたエンベロープタンパク質に加えて、配列番号39および配列番号40の配列のT7転写を介して発現する完全合成長鎖リボ核酸を含む点で第1の実施例1に記載のワクチンと相違する。
【0254】
第2の実施例2は、Nタンパク質を発現するヘルパー細胞株で自己増殖するウイルスエンベロープを産生するという第1の適用例に対する利点を有する。これが可能であるのは、このようにして形成されたウイルスエンベロープが、RNA依存性RNAポリメラーゼとエンベロープタンパク質E、M、およびSとをコードするポジティブRNA鎖をさらに含むためである。これらのウイルスエンベロープが細胞に取り込まれると、細胞自体が刺激を受けてウイルスエンベロープを産生する。ワクチン産生細胞株の場合のように、細胞がNタンパク質をエピソーム的に発現する場合、自己複製ウイルスエンベロープが形成される。これは産生プロセスを単純化し、高価なトランスフェクション試薬なしで行うことができる。標的細胞がN-タンパク質を発現していない場合、そこからウイルスエンベロープも形成されるが、その場合はパッケージングされたRNA鎖を欠いており、もはや自己複製することはできない。これらのウイルスエンベロープは、実施例1に示した製造プロセスにより産生されたウイルスエンベロープと同じ化学的/物理的構造を有し、同じ抗原性を有する。実施例2は、さらなるヘルパー細胞株および産生生物におけるウイルスエンベロープ、断片、ウイルスエンベロープタンパク質の産生ならびにRNAワクチンとしての直接適用を可能にする。
【0255】
方法
細菌および酵母株の培養
大腸菌(E. coli)DH5alphaをLuria-Broth(LB)内で37℃で培養した。サッカロミセス・セレビシエVL6-48N(Kouprina et al., 2006 Methods in Mol. Biol. 349, 85-101)は、酵母ペプトンデキストロース(YPD)培地またはウラシルを含まない合成ドロップアウト(SD)培地で、30℃で培養した。
【0256】
配列設計およびデノボDNA合成
モノシストロンおよびポリシストロン発現構築物のDNA配列は、添付の配列表(配列番号1~40)に開示されている配列部分からアセンブルした。合成上の制限は、遺伝子間配列内の同義コドン置換および所望の塩基置換を適用することにより、コンピューター的に除去された。最適な逆合成アセンブリ経路を決定するために、合成最適化DNA設計は、商業的供給元による低コストでの合成に適切な、より小さなDNA断片に階層的に分割された。分割戦略は、4ステップの階層的なアセンブリプロセスとして設計した。1.4kb(キロベース)のサイズのサブブロックは5.4kbのブロックにアセンブルされ、さらに16kbのサイズのセグメントにアセンブルされ、次いで35~40kbの最終COVAX構築物にアセンブルされた。線状DNAアセンブリ部分は、末端に相同性重複部を有し、ネスト化3’プレフィックスおよび5’サフィックス配列を有し、アセンブルされたDNA部分をベクターに組み込み、最終COVAX DNA設計の階層的アセンブリを可能にするものであった。DNAアセンブリ部分は、配列が確認されたクローン性プラスミド構築物および二本鎖線状DNAとして、低コストのDNA合成により商業的供給元から入手した。
【0257】
モノシストロン発現構築物の作製
SARS-2 CoVのSタンパク質、SARS-CoV-2またはMHVのMタンパク質、Nタンパク質およびEタンパク質の完全なタンパク質コード配列をカバーする合成核酸配列は、配列が確認された合成DNAからポリメラーゼ増幅技術(PCR)により増幅された。開始コドンの前の翻訳開始部位はオリゴヌクレオチドプライマーによって導入した。PCR生成物は分子量に応じてアガロースゲル電気泳動で分離し、次いでヌクレオスピンカラム(NucleoSpin Gel and PCR Clean up Kit, Macherey nail)上で精製した。PCR生成物は、Topo-TAクローニングキット(TOPO-TA cloning kit, ThermoFisher)を用いてpcDNA3.4ベクターにクローニングした。プラスミドの分子量はアガロースゲル電気泳動で決定し(
図3)、DNA配列はサンガー配列決定により確認した。
【0258】
ポリシストロンCOVAX DNA構築物の作製:
ポリシストロニックCOVAX DNA構築物のDNA組立て部分は、IIS型制限酵素(BbsI、BspQI、PacIおよびPmeI(New England Biolabs))を用いた制限消化によってプラスミドから遊離した。等モル量のDNAインサート(100ng、0.115pmol)と線状化ベクターpXMCS2(100ng、0.038pmol)をT5エキソヌクレアーゼ、フュージョンポリメラーゼおよびTaq DNAリガーゼとともに50℃で1時間インキュベートした。等温アセンブリ後、構築物を大腸菌DFI5α細胞にエレクトロポレーションした(BioRad MiniPulser)。細胞をLB培地中で1時間インキュベートした後、LBプレート上にプレートアウトした。酢酸リチウム形質転換法(Gietz et al 2007, Nature Protocols, 2, 31-34)にしたがって、プラスミドpMR10Y(pMR10::CEN/ARS::URA3、Christen et al. 2015, ACS Synthetic Biology, 4, 927-934)を用いた酵母組み換えによりブロックからセグメントおよび完全COVAX構築物をアセンブルした。サッカロミセス・セレビシエVL6-48Nを5mlのYPDで一晩増殖させ、50mlのYPDで1:20に希釈して4時間インキュベートした。1,000rcfで5分間遠心分離して細胞を回収し、25mlの蒸留水で洗浄し、3,000rcfで5分間遠心分離した。ペレットを1mlの酢酸リチウム混合液(0.1M酢酸リチウム,0.01M Tris-HCl、pH7.5、0.001M EDTA、pH8.0)に溶解した。次に、100μlの一本鎖サケ精子DNA(1w/v% サケ精子DNA(ssDNA)、0.01M Tris-HCl、pH 7.5、0.001M EDTA、pH8.0)および6mlのPEG-混合物(40w/v% ポリ(エチレングリコール)3015~3685g/mol、0.01M Tris-HCl、pH7.5、0.001M EDTA、pH8.0)を添加した。PEG細胞混合物から、710μlのアリコートを、100ngの消化DNAブロックと250ngの線状化pMR10Yベクター(PacI、Pmel)と組み合わせた。サンプルは30℃で30分間インキュベートした。インキュベート後、70μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を添加し、サンプルを42℃で15分間熱ショックにかけた。1000rcfで2分間遠心分離して細胞を回収した後、ウラシルを含まないSDプレートにプレートアウトし、30℃で3日間、コロニーが見えるようになるまで培養した(表S1参照)。
【0259】
COVAX DNA構築物の配列の検証
アセンブルしたDNA構築物の配列検証は、Nextera DNA Flex Library Prep-Kitを使用してiSeq装置(Illumina)で実施した。ura+酵母形質転換体のゲノムDNAを、製造者が指定するタグ付けプロトコルにしたがって断片化および処理した。読み取った配列からデノボで配列を計算し、作成したコンティグをCLC Genomics Workbenchソフトウェア(Quiagen)を用いて参照配列と比較した。COVAX191ΔNとCOVAX191ΔHENの完全なアセンブリは、完全閉鎖配列カバレッジプロット(
図4)により確認された。
【0260】
[実施例3]
環状配列(ウイルス配列、T7プロモーター、およびポリAシグナル、ならびにベクター、全てが1つの酵母人工染色体(「YAC」)中にある)の1つをそれぞれ含む酵母クローンを増殖させ、収穫して、そのYACを抽出した。このように得られたYACを制限酵素Eaglで切断し、ポリA-シグナルの直後に線状化した二本鎖DNA分子を得た。これらのDNA分子をProteinase Kによる標準的な処理によってRNaseフリーにした後、Trizol(フェノール/クロロホルム)抽出を行い、ワクチンウイルスゲノムに対応する一本鎖RNAを、T7ポリメラーゼを用いたインビトロ転写により得た。このようにして得られたRNAを適切な細胞株(HEK293TまたはVero細胞)にトランスフェクトした。陽性対照の場合、全長構築物「GBsyn_V33」未変更HEK293またはVero細胞は、RNAゲノムの複製、サブゲノムmRNAの生成、ひいてはウイルスタンパク質への翻訳を支持した。これらは、ポジティブ鎖RNAゲノム、および細胞膜由来の成分とともに、子孫ウイルス、この場合は野生型天然SARS-CoV-2ウイルスを形成した。欠失変異体の場合、ウイルスゲノムで欠失した遺伝子をDNAの形態で細胞株にトランスフェクトし、タンパク質の一過性の発現をもたらし、それによって子孫ウイルスの生成を可能にするのに必要な欠失因子を提供する。あるいは(そして好ましいことに)、選択圧下でこれらの細胞を培養すると、遺伝子の細胞ゲノムへの安定した組み込みが引き起こされ、そこからタンパク質が連続的に発現される(発現とは、遺伝子からのmRNAの生成およびその後のタンパク質への翻訳であると理解する)。このような細胞は、ワクチンウイルスゲノムに欠損した遺伝子から作製されたタンパク質を一過性または安定的のいずれかで発現しており、構造タンパク質の完全セットと、1つまたはいくつかの遺伝子が欠失したワクチンウイルスゲノムによって特徴づけられるワクチンウイルスの連続産生を可能にしている。このようにして得られたワクチンウイルスは、清澄化(ワクチンウイルスから細胞の分離)、ベンゾアーゼによるDNA消化、限外濾過/ダイアフィルトレーション(「UF/DF」)、そして最後に無菌濾過(0.22μm濾過)により特徴づけられる所謂下流処理(DSP)プロセスで精製された。
【0261】
[実施例4]
追加の欠失またはORF7aを有する、実施例1~3に記載の方法に従う完全合成ベクターの新規合成:新規合成は、配列番号60、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44を参照配列とする。それによって、ORF7aをコードするヌクレオチド配列の機能性および/または発現は、配列番号60のヌクレオチド27388~27393、配列番号41のヌクレオチド27000~27365、配列番号42のヌクレオチド27196~27561、配列番号43のヌクレオチド27000~27365、または配列番号44のヌクレオチド27474~27839の欠失および/または機能不全の実施によって除去し得る。したがって、ORF7a単独の欠失またはE-タンパク質、ORF6および/またはORF8単独と組み合わせた欠失が達成され得る。
【0262】
このようなベクターの発現を容易にするために、配列番号61を含むプラスミドを、ORF7aのトランス相補的発現のために使用することができる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4,000塩基を有する完全合成長鎖核酸であって、前記核酸が、
a)4つの配列部分A~Dのうち少なくとも2つを任意の配置で含み、ここで
i)配列部分Aが、配列番号50で定義される配列、もしくは配列番号50で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含み;
ii)配列部分Bが、配列番号48で定義される配列、もしくは配列番号48で定義される配列に対して少なくとも98.3%の配列同一性を有する配列を含み;
iii)配列部分Cが、配列番号49で定義される配列、もしくは配列番号49で定義される配列に対して少なくとも97.2%の配列同一性を有する配列を含み;
iv)配列部分Dが、配列番号17で定義される配列、もしくは配列番号17で定義される配列に対して少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列を含むか;または
配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を包含し;
b)1.)ORF7aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列部分;および/または
2.)ORF3aによってコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列部分を含まないことを特徴とする、核酸。
【請求項2】
定義された配列中に少なくとも8,000塩基、好ましくは少なくとも20,000塩基を有することを特徴とする、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
ORF関連核酸配列部分を1つ以下で含むか、または全く含まないことを特徴とし、前記ORF関連核酸配列部分がORF6またはORF8によりコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、請求項1または2に記載の核酸。
【請求項4】
ORF関連核酸配列部分を含まず、前記ORF関連核酸配列部分がORF6またはORF8によりコードされるSARS-CoV-2アミノ酸配列の機能を有するアミノ酸配列をコードする、請求項3に記載の核酸。
【請求項5】
a)1.)配列番号51によって定義されるORF1ab配列、もしくは配列番号51と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、または
2.)i)配列番号59によって定義されるORF1b配列、もしくは配列番号59と少なくとも98.5%の配列同一性を有する配列、および
ii)配列番号58によって定義されるORF1a配列、もしくは配列番号58と少なくとも98.6%の配列同一性を有する配列、ならびに
b)配列番号52によって定義されるORF3a配列、もしくは配列番号52と少なくとも99%の配列同一性を有する配列
をさらに含む、請求項1から4の一項に記載の核酸。
【請求項6】
a)配列番号53によって定義されるORF6配列、もしくは配列番号53と少なくとも94.1%の配列同一性を有する配列、および/または
b)配列番号55によって定義されるORF8配列、もしくは配列番号55と少なくとも99%の配列同一性を有する配列をさらに含む、請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
前記配列部分A~Cが、配列番号19に記載の配列、または対応するリボ核酸配列に対応することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の核酸。
【請求項8】
4つの配列部分A~Dのうち少なくとも3つ、または前記配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を有する4つの配列部分のうち少なくとも3つを任意の配置で含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の核酸。
【請求項9】
4つの配列部分A~D、または前記配列部分A~Dによるデオキシリボ核酸配列に対応するリボ核酸配列を有する4つの配列部分を任意の配置で含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の核酸。
【請求項10】
4つの配列部分A~Dのうち2つまたは3つを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項11】
4つの配列部分A~Dのうち3つを含むことを特徴とする、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
配列番号28および/または配列番号29または対応するリボ核酸配列をさらに含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の核酸。
【請求項13】
1,000,000塩基の最大サイズ、好ましくは200,000塩基の最大サイズを有することを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の核酸。
【請求項14】
請求項1から13の一項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項15】
配列番号46および配列番号47によって定義される配列を含む、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
プラスミドベクターである、請求項14から15のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項17】
請求項1から13のいずれかに記載の2つ以上の核酸を含むキット。
【請求項18】
前記核酸が少なくとも1つのプラスミド、好ましくは2つ以上のプラスミドに存在する、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
請求項14から16に記載の少なくとも1つのベクターを含む、バイオテクノロジー産生ユニット。
【請求項20】
請求項14から16の一項に記載のベクターを使用して、請求項17または18の一項に記載のキット、または請求項19に記載のバイオテクノロジー産生ユニットを使用して、請求項1から3の一項に記載の少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができるウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質であって、請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの核酸をパッケージングする、ウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質。
【請求項21】
請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの核酸と、請求項14から16の一項に記載のベクターを使用して、特に請求項20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む産生生物において、請求項17または18の一項に記載のキットを使用して、請求項1から13の一項に記載の少なくとも1つの核酸を使用した遺伝子発現によって得ることができる生成物とを含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチン。
【請求項22】
タンパク質成分a、b1、c1、またはd1からなる群から選択される少なくとも2つの分子的に正確に定義されたタンパク質成分を含み、
(i)前記タンパク質成分aが、
a)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号14に記載の配列、もしくは配列番号14と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のSタンパク質に類似した配列番号18に記載の配列、もしくは配列番号18と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
(ii)前記タンパク質成分b1が、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号6に記載の配列、もしくは配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Eに類似した配列番号21に記載の配列、もしくは配列番号21と少なくとも90%の配列同一性を含み、
(iii)前記タンパク質成分c1が、
a)SARS-CoV-2のエンベロープタンパク質Mに類似した配列番号10に記載の配列、もしくは配列番号10と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2の膜タンパク質Mに類似した配列番号22に記載の配列、もしくは配列番号22と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含み、
(iv)前記タンパク質成分d1が、
a)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号2に記載の配列、もしくは配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有する配列、または
b)SARS-CoV-2のヌクレオキャプシドホスホタンパク質Nに類似した配列番号26に記載の配列、もしくは配列番号26と少なくとも90%の配列同一性を有する配列
を含む、請求項21に記載のワクチン。
【請求項23】
コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)請求項1から13の一項に記載のヌクレオチド酸配列を、バイオテクノロジー産生ユニット、特に細胞株に導入するステップであって、
前記タンパク質成分a、b1、b2、c1、c2、d1またはd2からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも2つをコードする核酸ベースmRNAが翻訳により調製される、ステップ、
b)ステップa)の前記バイオテクノロジー産生ユニットからタンパク質成分を得るステップ、および
c)得られたタンパク質成分を精製して、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
【請求項24】
請求項20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)請求項1から13の一項に記載のヌクレオチド酸配列をバイオテクノロジー産生ユニットに導入するステップであって、前記バイオテクノロジー産生ユニットが、タンパク質成分a、b1、c1、およびd1からなる群から選択されるタンパク質成分の少なくとも1つをコードするヌクレオチド酸を含む、ステップ、
b)ステップa)の前記バイオテクノロジー産生ユニットから、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を得るステップ、ならびに
c)得られたタンパク質成分を精製して、請求項20に記載のウイルスエンベロープ、ウイルスエンベロープの断片および/またはウイルスエンベロープタンパク質を含む、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
【請求項25】
コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを産生する方法であって、以下の連続的なステップ:
a)請求項14から16の一項に記載のベクターを増幅バイオテクノロジー産生ユニットに導入するステップ、
b)前記増幅バイオテクノロジー産生ユニットにおいて、請求項1から13の一項に記載のヌクレオチド酸を増幅するステップ、
c)ステップb)で増幅されたヌクレオチド酸を得るステップ、
d)請求項23または24に記載の方法を使用して、コロナウイルスSARS-CoV-2に対するワクチンを得るステップ
を含む、方法。
【国際調査報告】