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特表2024-5091502-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの固化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの固化
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/42 20060101AFI20240221BHJP
   C07C 229/52 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C07C227/42
C07C229/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553222
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2022055089
(87)【国際公開番号】W WO2022184683
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】21160497.0
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ゼルツァー,ダニエル ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】クラインマン,エーファ
(72)【発明者】
【氏名】ビンダー,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】クローネマイヤー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】シュテール,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB99
4H006AD15
4H006BC51
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BR60
4H006BT32
4H006BU46
(57)【要約】
本発明は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化するプロセスであって、(a)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに800s-1以上のせん断速度を加える工程と、(b)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの種結晶を添加する工程とを含むプロセスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化するプロセスであって、
(a)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに800s-1以上のせん断速度を加える工程と、
(b)工程(a)の前記せん断速度を加えながら、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの種結晶を添加する工程と
を含むプロセス。
【請求項2】
前記液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、好ましくは、約54℃超~約70℃、好ましくは約54℃超~約65℃の温度を有する溶融物又は好ましくは約15~約54℃、好ましくは約20~約52℃の温度を有する過冷却溶融物として提供される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記加えられるせん断速度は、900s-1以上、好ましくは1000s-1以上であり、及び/又は前記せん断速度は、前記溶融物若しくは過冷却物を50~600rpm、好ましくは90~500rpm、好ましくは100~250rpmの撹拌速度で撹拌することによって得られる、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程(b)で固化される前記2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの温度は、約15~約54℃、好ましくは約25~約52℃である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
工程(b)において、固化される前記2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル1gあたり0.0001~0.1g、好ましくは0.0005~0.05g、より好ましくは0.001~0.03gの種結晶が添加され、及び/又は
前記種結晶は、ふるい分析によって決定される100000μm未満、好ましくは1~10000μm、より好ましくは5~5000μmの粒子サイズを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程(a)は、約54℃未満、好ましくは約40℃以下の温度まで冷却される、好ましくは押出機、表面掻き取り式熱交換器、冷却ディスク式晶析装置又は好ましくは掻き取り式撹拌機を備えた撹拌槽からなる群から選択される装置内で行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記工程(a)は、表面掻き取り式熱交換器内で行われ、前記プロセスは、
(i-1)液体溶融物が得られるまで、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを加熱する工程と、
(i-2)工程(i-1)で得られた前記液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを表面掻き取り式熱交換器に供給する工程と
を更に含み、その後に工程(a)が続き、前記液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、スクレーパーによって撹拌される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(i-1)において、約54℃超の温度が適用され、及び/又は
前記工程(i-2)は、約54℃超の温度への前記供給物の加熱下で行われ、及び/又は
前記表面掻き取り式熱交換器内の温度は、約54℃未満である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(b)は、固化されたストランドの形態で前記2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
工程(b)は、溶融物懸濁液の形態で前記2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供し、前記溶融物懸濁液は、
(c)前記溶融物懸濁液を熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト又はドラムフレーカ上で約54℃未満、好ましくは約40℃未満の温度において冷却して、固化された溶融物を得る更なる工程と、
(d)任意選択的に、前記固化された溶融物をフレーク又は粒子に粉砕する更なる工程と
によって固化される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
工程(b)は、溶融物懸濁液の形態で前記2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供し、前記溶融物懸濁液は、
(c-i)前記溶融物懸濁液の液滴を形成し、且つそれを熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト上で約54℃未満、好ましくは約40℃未満の温度において冷却して、固化されたトローチを得る更なる工程
によって固化される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
冷却ベルトが適用され、及び前記冷却ベルトは、少なくとも1つの冷却ゾーンを含み、好ましくは、前記少なくとも1つの冷却ゾーンは、約0~約40℃、より好ましくは約10~約38℃、特に約20~約35℃の温度範囲である、請求項10又は11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記冷却ベルトは、少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、好ましくは、第1の冷却ゾーンの温度は、第2の冷却ゾーンの温度よりも高く、より好ましくは、前記第1の冷却ゾーンは、約15~約40℃の温度範囲であり、及び前記第2の冷却ゾーンは、約5~約30℃の温度範囲である、請求項10~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
連続プロセスとして行われ、前記液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、前記スクレーパー冷却器に連続的に供給され、及び前記2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、固化されたストランドの形態又は溶融物懸濁液の形態で前記スクレーパー冷却器から連続的に回収される、請求項7~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
30mm未満、好ましくは5mm超~30mmの粒子サイズを有する、注ぎ入れることが可能な若しくは流動可能な粒子、
30mm未満、好ましくは5mm超~30mmの粒子サイズを有するトローチ、又は
150mm未満、好ましくは1~100mmの粒子サイズを有するフレーク
の形態の固化された2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化するプロセスであって、(a)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに800s-1以上のせん断速度を加える工程と、(b)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの種結晶を添加する工程とを含むプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)は、DHHBとも呼ばれ、ベンゾフェノン誘導体の群に属するUV-Aフィルターである。これは、BASFからUvinul A Plusの商品名で販売されている。これは、54℃の融点を有する。
【0003】
溶媒を含まないDHHB溶融物は、結晶化しにくいことが当技術分野で知られている。過冷却溶融物は、最終的に結晶化するまで、数週間にわたって準安定液体状態のままであり得る。そのように非常にゆっくりと結晶化する生成物を冷却ベルト上でフレーク化又はトローチ化させるような経済的な固化プロセスは、これまで知られていない。現在、DHHBを槽又はドラム缶内で結晶化させ、その後、それを粉砕するなどの方法が適用可能である。しかしながら、これらの方法は、空時収率が悪く、粒子の形状及びサイズが不均一になり、例えばケーキング特性に関する欠点が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、DHHBの固化のための改良されたプロセスを提供することであった。特に、本発明の目的は、従来技術の方法と比較して経済的な利点を有するプロセスを提供することであった。これに関連して、本発明の目的は、特に改善された空時収率を提供するプロセスを提供することであった。更に、均一な粒子形状及びサイズで好ましくは良好な流動性及び/又は良好な貯蔵安定性を示す固化されたDHHBを提供することが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、本発明のプロセスにより、上述の目的の少なくとも1つが達成され得ることが見出された。特に、驚くべきことに、本発明の発明者らは、種結晶添加と組み合わせてDHHB溶融物又は過冷却溶融物に高せん断速度を加えると、DHHBの結晶化が非常に加速され得ることを見出した。
【0006】
本発明は、第1の態様では、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化するプロセスであって、(a)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに800s-1以上のせん断速度を加える工程と、(b)工程(a)のせん断速度を加えながら、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの種結晶を添加する工程とを含むプロセスに関する。
【0007】
以下では、第1の態様のプロセスの好ましい実施形態を更に詳細に説明する。それぞれの好ましい実施形態は、単独で及び他の好ましい実施形態との組み合わせにおいて適切であることが理解されるべきである。
【0008】
第1の態様の好ましい実施形態A1では、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、好ましくは、約54℃超~約70℃、好ましくは約54℃超~約65℃の温度を有する溶融物又は好ましくは約15~約54℃、好ましくは約20~約52℃の温度を有する過冷却溶融物として提供される。
【0009】
第1の態様の好ましい実施形態A2では、加えられるせん断速度は、900s-1以上、好ましくは1000s-1以上であり、及び/又はせん断速度は、溶融物若しくは過冷却物を50~600rpm、好ましくは90~500rpm、好ましくは100~250rpmの撹拌速度で撹拌することによって得られる。
【0010】
第1の態様の好ましい実施形態A3では、工程(b)で固化される2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの温度は、約15~約54℃、好ましくは約25~約52℃である。
【0011】
第1の態様の好ましい実施形態A4では、工程(b)において、固化された溶融物となる2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル1gあたり0.0001~0.1g、好ましくは0.0005~0.05g、より好ましくは0.001~0.03gの種結晶が添加され、及び/又は種結晶は、ふるい分析によって決定される100000μm未満、好ましくは1~10000μm、より好ましくは5~5000μmの粒子サイズを有する。
【0012】
第1の態様の好ましい実施形態A5では、工程(a)は、約54℃未満、好ましくは約40℃以下の温度まで冷却される、好ましくは押出機、表面掻き取り式熱交換器、冷却ディスク式晶析装置又は好ましくは掻き取り式撹拌機を備えた撹拌槽からなる群から選択される装置内で行われる。
【0013】
第1の態様の好ましい実施形態A6では、工程(a)は、表面掻き取り式熱交換器内で行われ、プロセスは、
(i-1)液体溶融物が得られるまで、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを加熱する工程と、
(i-2)工程(i-1)で得られた液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを表面掻き取り式熱交換器に供給する工程と
を更に含み、その後に工程(a)が続き、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、スクレーパーによって撹拌される。
【0014】
第1の態様の好ましい実施形態A7では、工程(i-1)において、約54℃超の温度が適用され、及び/又は
工程(i-2)は、約54℃超の温度への供給物の加熱下で行われ、及び/又は
表面掻き取り式熱交換器内の温度は、約54℃未満である。
【0015】
第1の態様の好ましい実施形態A8では、工程(b)は、固化されたストランドの形態で2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供する。
【0016】
第1の態様の好ましい実施形態A9では、工程(b)は、溶融物懸濁液の形態で2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供し、溶融物懸濁液は、
(c)溶融物懸濁液を熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト又はドラムフレーカ上で約54℃未満、好ましくは約40℃未満の温度において冷却して、固化された溶融物を得る更なる工程と、
(d)任意選択的に、固化された溶融物をフレーク又は粒子に粉砕する更なる工程と
によって固化される。
【0017】
第1の態様の好ましい実施形態A10では、工程(b)は、溶融物懸濁液の形態で2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供し、溶融物懸濁液は、
(c-i)溶融物懸濁液の液滴を形成し、且つそれを熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト上で約54℃未満、好ましくは約40℃未満の温度において冷却して、固化されたトローチを得る更なる工程
によって固化される。
【0018】
第1の態様の好ましい実施形態A11では、冷却ベルトが適用され、及び冷却ベルトは、少なくとも1つの冷却ゾーンを含み、好ましくは、少なくとも1つの冷却ゾーンは、約0~約40℃、より好ましくは約10~約38℃、特に約20~約35℃の温度範囲である。
【0019】
第1の態様の好ましい実施形態A12では、冷却ベルトは、少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、好ましくは、第1の冷却ゾーンの温度は、第2の冷却ゾーンの温度よりも高く、より好ましくは、第1の冷却ゾーンは、約15~約40℃の温度範囲であり、及び第2の冷却ゾーンは、約5~約30℃の温度範囲である。
【0020】
第1の態様の好ましい実施形態A13では、プロセスは、連続プロセスとして行われ、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、表面掻き取り式熱交換器に連続的に供給され、及び2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、固化されたストランドの形態又は溶融物懸濁液の形態で表面掻き取り式熱交換器から連続的に回収される。
【0021】
第2の態様では、本発明は、
30mm未満、好ましくは5mm超~30mmの粒子サイズを有する、注ぎ入れることが可能な若しくは流動可能な粒子、
30mm未満、好ましくは5mm超~30mmの粒子サイズを有するトローチ、又は
150mm未満、好ましくは1~100mmの粒子サイズを有するフレーク
の形態の固化された2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する前に、本発明を理解するために重要な定義を示す。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、文脈上明確に指示されない限り、それぞれの複数形も包含する。本発明に関連して、「約」という用語は、対象とする特徴の技術的効果が依然として確保されると当業者が認識するであろう精度の幅を指す。この用語は、典型的には、示された数値から±15%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%、特に±3%のずれを指す。「含む」という用語は、非限定的であることが理解されるべきである。本発明の趣旨における「からなる」という用語は、「含む」という用語の好ましい実施形態であると見なされる。以下において、ある群が少なくともある決まった数の実施形態を含むと定義される場合、これは、これらの実施形態のみからなる好ましい群も包含することを意味する。本明細書に記載される特定の方法、手順、試薬などは、変動する可能性があるため、本発明は、それらに限定されるものではないことが理解されるべきである。本明細書において使用する用語は、特定の実施形態を記載する目的のみに使用され、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。他に定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術及び科学用語は、当業者が一般に理解する意味と同義である。
【0024】
本明細書で使用される「注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子」という用語は、注ぎ入れること又は顆粒化することができ、安全であり、処理装置による取り扱いが容易である(例えば、粉末と比較した場合に低下した静電特性を有する)任意の固体形態を指す。
【0025】
本明細書で使用される「トローチ」という用語は、注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子の下位概念の形態であり、好ましくは半球構造である。トローチは、好ましくは、液体のままの溶融物又は溶融物懸濁液を介して得られ、それらを小滴に分割し、前記トローチが形成されるように平らな表面上に配置することができる。溶融物又は溶融物懸濁液が結晶化した後、トローチを剥がして瓶に入れることができる。
【0026】
本明細書で使用される「フレーク」という用語は、液体のままの溶融物又は溶融物懸濁液を平らな表面上に流し広げることによって得ることができる特定の固体形態を指し、好ましくは、得られる層は、0.1~10mm、より好ましくは0.2~8mm、又は0.2~5mm、又は0.2~2mmの厚さを有する。溶融物又は溶融物懸濁液が結晶化した後、通常のように固体層が平面から剥がされて瓶に入れられ、薄層は、通常、破壊することによって所望のフレークサイズに粉砕される。
【0027】
注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子、トローチ及びフレークの製造プロセスは、不連続で(バッチプロセス)又は連続して行うことができ、連続的なプロセスでは、例えば連続的に循環するスチールベルトを本発明の目的のためのモールドとして使用することができる。
【0028】
本発明によるプロセスに関する好ましい実施形態を以下に記載する。本発明の好ましい実施形態は、単独で又は互いの組み合わせにおいて好ましいことが理解されるべきである。
【0029】
上に示したように、本発明は、一実施形態において、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化するプロセスに関し、このプロセスは、
(a)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに800s-1以上のせん断速度を加える工程と、
(b)工程(a)のせん断速度を加えながら、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの種結晶を添加する工程と
を含む。
【0030】
好ましい実施形態では、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、溶融物又は過冷却溶融物として提供される。
【0031】
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、約54℃の融点を有する。融点は、潜在的な不純物に応じて変動し得る。したがって、本発明によるプロセスの温度の値に言及する場合、それは、前記温度値の±2℃、好ましくは±1℃を指すことが理解されるべきである。例えば、約54℃のDHHBの融点の温度値に言及する場合、それは、54℃±2℃、好ましくは±1℃の温度範囲を指す。
【0032】
好ましい実施形態では、溶融物は、約54℃超~約70℃、好ましくは約54℃超~約65℃の温度を有する。
【0033】
好ましい実施形態では、過冷却溶融物は、約15~約54℃、好ましくは約20~約52℃の温度を有する。
【0034】
好ましい実施形態では、加えられるせん断速度は、900s-1以上、好ましくは1000s-1以上、より好ましくは1500s-1以上、更に好ましくは2000s-1以上、特に5000s-1以上である。好ましいせん断速度は、800~100000s-1、好ましくは900~50000s-1、より好ましくは1000~30000s-1の範囲である。更に別の好ましい実施形態では、加えられるせん断速度は、800~50000s-1、好ましくは900~30000s-1、特に900~20000s-1の範囲である。
【0035】
そのような高いせん断速度により、核生成が始まるまでの時間が更に短縮され、それにより固化プロセスの効率が増加する。
【0036】
本明細書において使用される「せん断速度」という用語は、液体DHHBに漸進的なせん断変形が加えられる速度を指す。一般的に、せん断速度は、一方が一定の速度で移動しており、もう一方が静止している2枚の平行板間を流れる流体について、以下の式に基づいて決定することができる。
γ=v/h
式中、「γ」は、毎秒単位で測定されるせん断速度であり、「v」は、メートル/秒単位で測定される移動する板の速度であり、「h」は、メートル単位で測定される2枚の平行板間の距離である。この原理に基づいて、せん断速度を加えるために使用される装置の回転速度及び寸法によってせん断速度が予め決定される。
【0037】
好ましい実施形態では、溶融物又は過冷却溶融物は、50rpmを超える、より好ましくは80rpmを超える、特に100rpmを超える撹拌速度で撹拌される。溶融物又は過冷却溶融物は、50~600rpm、好ましくは80~500rpm、より好ましくは100~250rpmの撹拌速度で撹拌されることも好ましい。
【0038】
好ましくは、高せん断速度は、50~600rpm、好ましくは80~500rpm、好ましくは100~250rpmの撹拌速度で溶融物又は過冷却物を撹拌することによって得られる。
【0039】
好ましい実施形態では、種結晶は、約30~約60℃、より好ましくは約35~約55℃、更に好ましくは約40℃~約54℃未満の温度で添加される。
【0040】
好ましい実施形態では、種結晶の添加後、固化される2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの温度は、約15℃~約54℃未満、好ましくは、約25~約52℃の範囲に維持される。
【0041】
好ましい実施形態では、工程(b)において、固化される2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル1gあたり0.0001~0.1g、好ましくは0.0005~0.05g、より好ましくは0.001~0.03gの種結晶が添加される。
【0042】
好ましい実施形態では、種結晶は、ふるい分析によって決定される100000μm未満、好ましくは1~10000μm、より好ましくは5~5000μmの粒子サイズを有する。
【0043】
これに関連して、粒子サイズの決定は、好ましくは、2つのふるいを使用して行われ、第1のふるいは、第2のふるいよりも広い幅を有する。好ましくは、1.5mmの振幅が適用され、2つのふるいは、Retschふるい装置内に配置され、メッシュの幅が広い方のふるいが上側の位置に配置される。試料を上側に配置されたふるいにかけた後、ふるい分けが行われる。得られる3つの画分の残留物が変化するかどうかを確認するために、1~20分の間隔で残留物が秤量される。通常、3つの画分の分布は、5~10分後にそれ以上変化しなくなる。
【0044】
好ましくは、粒子サイズの決定は、2つのふるいを使用して行われ、第1のふるいは、5mmのメッシュ幅を有し、第2のふるいは、0.1mmのメッシュ幅を有する。好ましくは、1.5mmの振幅が適用され、2つのふるいは、Retschふるい装置内に配置され、5mmのメッシュ幅のふるいが上側の位置に配置される。試料を上側に配置されたふるいにかけた後、ふるい分けが行われる。得られる3つの画分の残留物が変化するかどうかを確認するために、1~20分の間隔で残留物が秤量される。通常、3つの画分の分布は、5~10分後にそれ以上変化しなくなる。第1の画分は、0.1mm未満の粒子サイズを有する粒子を含み、第2の画分は、0.1~5mmの粒子サイズを有する粒子を含み、第3の画分は、5mmを超える粒子サイズを有する粒子を含む。
【0045】
好ましい実施形態では、工程(a)は、約54℃未満、好ましくは約40℃以下の温度まで冷却される、好ましくは押出機、表面掻き取り式熱交換器、冷却ディスク式晶析装置又は好ましくは掻き取り式撹拌機を備えた撹拌槽からなる群から選択される装置内で行われる。
【0046】
これに関連して、冷却可能且つ撹拌可能なあらゆる装置が使用され得ることが理解されるべきである。
【0047】
好ましい実施形態では、このプロセスは、連続プロセスである。
【0048】
好ましくは、連続運転プロセスは、表面掻き取り式熱交換器と、DHHB溶融物をその溶融温度より高い温度で貯蔵可能な貯蔵槽とを使用することを含む。溶融物懸濁液を生成するために、貯蔵槽からDHHB溶融物を供給することができる表面掻き取り式熱交換器が使用される。表面掻き取り式熱交換器では、冷却された内表面(掻き取り面とも呼ばれる)によって液体のDHHBが冷却され、スクレーパーによって撹拌される。本発明によれば、種結晶が添加される。結晶化の開始後、結晶は、冷却された内表面に生成し、表面掻き取り式熱交換器に含まれるスクレーパーによって掻き取られる。開始段階において、生成した溶融物懸濁液は、生成した溶融物懸濁液中で望まれる固形分含有量に到達するまで貯蔵槽に送り返される。結晶化が有意に開始すると直ちに、DHHB溶融物懸濁液の濁度の増加を観察することができる(例えば、濁度プローブのシグナルにより)。更に、結晶化が有意に開始すると、茶色がかった色から明るい黄色への色の変化を観察することができる。
【0049】
所望の固形分含有量に達すると直ちに、溶融物懸濁液を熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト(より好ましくは複数の温度ゾーンを有するもの)に連続的に適用することができる。
【0050】
好ましい実施形態では、工程(a)は、表面掻き取り式熱交換器内で行われ、プロセスは、
(i-1)液体溶融物が得られるまで、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを加熱する工程と、
(i-2)工程(i-1)で得られた液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを表面掻き取り式熱交換器に供給する工程と
を更に含み、その後に工程(a)が続き、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、スクレーパーによって撹拌される。
【0051】
好ましくは、工程(i-1)において、約54℃超の温度が適用される。工程(i-1)において、約54℃超~約70℃、より好ましくは約54℃超~約65℃の温度が適用されることも好ましい。
【0052】
好ましくは、工程(i-2)は、約54℃超の温度への供給物の加熱下で行われる。工程(i-2)は、約54℃超~約70℃、より好ましくは約54℃超~約65℃の温度への供給物の加熱下で行われることも好ましい。
【0053】
好ましくは、表面掻き取り式熱交換器内の温度は、約54℃未満、好ましくは約52℃未満である。
【0054】
好ましくは、表面掻き取り式熱交換器の内表面は、約50℃未満、より好ましくは約40℃未満、更に好ましくは約30℃未満、特に約20℃未満の温度を有する。表面掻き取り式熱交換器の内表面の温度が約1~約50℃、より好ましくは約2~約40℃、更に好ましくは約3~約30℃、特に約5~約20℃であることも好ましい。
【0055】
これに関連して、表面掻き取り式熱交換器は、その内表面を介して冷却されることが理解されるべきである。したがって、表面掻き取り式熱交換器内の温度について言及する場合、それは、冷却された内表面を介して冷却される溶融物/溶融物懸濁液のおよその温度を指す。内表面の温度に言及する場合、それは、表面掻き取り式熱交換器の内表面の温度を指す。
【0056】
好ましい実施形態では、工程(i-1)において、約54℃超の温度が適用され、工程(i-2)は、約54℃超の温度への供給物の加熱下で行われ、表面掻き取り式熱交換器内の温度は、約54℃未満である。
【0057】
好ましい実施形態では、工程(a)は、撹拌槽内で行われ、プロセスは、
(ii-1)液体溶融物が得られるまで、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを加熱する工程、
(ii-2)工程(ii-1)で得られた液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを好ましくは撹拌しながら冷却して、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの過冷却溶融物を得る工程、
(ii-3)過冷却された2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの溶融物を撹拌槽に供給する工程
を更に含み、その後に工程(a)が続く。
【0058】
好ましくは、工程(ii-1)では、約54℃超の温度が適用される。工程(ii-1)において、約54℃超~約70℃、より好ましくは約54℃超~約65℃の温度が適用されることも好ましい。
【0059】
好ましくは、工程(ii-2)において、過冷却溶融物は、約54℃未満の温度を有する。工程(ii-2)において、過冷却溶融物が約15~約54℃、好ましくは約20~約52℃の範囲の温度を有することも好ましい。
【0060】
好ましい実施形態では、工程(ii-1)において、約54℃超の温度が適用され、工程(ii-2)において、過冷却溶融物は、約54℃未満の温度を有する。
【0061】
好ましい実施形態では、工程(b)は、溶融物懸濁液を提供する。
【0062】
本発明によれば、「溶融物懸濁液」という用語は、固体を含む溶融物を意味することが理解されるべきである。例えば、DHHBの溶融物懸濁液は、液体、すなわち溶融形態のDHHBと固体形態のDHHBとを含む。
【0063】
工程(b)によって提供される溶融物懸濁液は、溶融物懸濁液を更に冷却して固化させるために、任意の適切な容器に注ぎ入れることができる。
【0064】
好ましい実施形態では、工程(b)は、固化されたストランドの形態で2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供する。
【0065】
好ましい実施形態では、工程(b)は、溶融物懸濁液の形態で2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供し、溶融物懸濁液は、
(c)溶融物懸濁液を熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト又はドラムフレーカ上で約54℃未満、好ましくは約40℃未満の温度において冷却して、固化された溶融物を得る更なる工程と、
(d)任意選択的に、固化された溶融物をフレーク又は粒子に粉砕する更なる工程と
によって固化される。
【0066】
好ましい実施形態では、工程(b)は、溶融物懸濁液の形態で2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを提供し、溶融物懸濁液は、
(c-i)溶融物懸濁液の液滴を形成し、且つそれを熟成ベルト、好ましくは冷却ベルト上で約54℃未満、好ましくは約40℃未満の温度で冷却して、固化されたトローチを得る更なる工程
によって固化される。
【0067】
好ましい実施形態では、冷却ベルトが適用され、及び冷却ベルトは、少なくとも1つの冷却ゾーンを含む。好ましくは、少なくとも1つの冷却ゾーンは、約0~約40℃、より好ましくは約10~約38℃、特に約20~約35℃の温度範囲である。
【0068】
好ましい実施形態では、冷却ベルトは、少なくとも2つの冷却ゾーンを含み、より好ましくは、第1の冷却ゾーンの温度は、第2の冷却ゾーンの温度よりも高い。好ましくは、第1の冷却ゾーンの温度は、第2の冷却ゾーンの温度よりも約5℃、より好ましくは約10℃高い。好ましくは、第1の冷却ゾーンは、約15~約40℃、好ましくは22~38℃の温度範囲であり、及び第2の冷却ゾーンは、約5~約30℃、より好ましくは10~20℃の温度範囲である。
【0069】
好ましい実施形態では、このプロセスは、連続プロセスとして行われ、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、表面掻き取り式熱交換器又は押出機に連続的に供給され、及び2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、固化されたストランドの形態又は溶融物懸濁液の形態で表面掻き取り式熱交換器又は押出機から連続的に回収される。
【0070】
冷却ベルトの滞留時間後に2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルが依然として完全に固化していない場合、冷却ベルトの次に熟成ベルトを使用することができる。
【0071】
第2の態様では、本発明は、
30mm未満、好ましくは5mm超~30mmの粒子サイズを有する、注ぎ入れることが可能な若しくは流動可能な粒子、
30mm未満、好ましくは5mm超~30mmの粒子サイズを有するトローチ、又は
150mm未満、好ましくは1~100mmの粒子サイズを有するフレーク
の形態の固化された2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに関する。
【0072】
好ましい実施形態では、注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子は、ふるい分析によって決定される0.01~30mm、より好ましくは0.1~30mm、更に好ましくは5mm超~30mm、特に10~25mmの粒子サイズを有する。
【0073】
注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子の粒子サイズを決定するための任意の適切な方法を利用することができる。
【0074】
注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子の粒子サイズは、ふるい分析によって決定することができる。好ましくは、粒子サイズの測定は、2つのふるいを使用して行われ、第1及び第2のふるいは、例えば、1~30mmの決定に適したメッシュ幅を有する。好ましくは、1.5mmの振幅が適用され、2つのふるいは、Retschふるい装置内に配置され、メッシュの幅が広い方のふるいが上側の位置に配置される。試料を上側に配置されたふるいにかけた後、3つの画分の分布に変化が検出されなくなるまで1~20分間ふるい分けが行われる。
【0075】
注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子の粒子サイズは、ノギスに従って決定することもできる。これに関連して、フェレー径のFeretmax.が粒子サイズを決定することが理解されるべきである。
【0076】
ふるい分けは、好ましくは、20mm未満、より好ましくは10mm未満、特に5mm以下の粒子サイズを有する注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子に対して使用される。
【0077】
画像分析又はノギスは、好ましくは、5mmを超える、より好ましくは10mmを超える粒子サイズを有する、注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子に対して使用される。
【0078】
好ましくは、注ぎ入れることが可能な又は流動可能な粒子は、0.35g/mL以上、より好ましくは0.35~0.5g/mLのかさ密度を有する。
【0079】
好ましい実施形態では、トローチは、1~30mm、より好ましくは2~30mm、更に好ましくは5mm超~30mm、特に6~20mmの粒子サイズを有する。
【0080】
トローチの粒子サイズを決定するための任意の適切な方法を利用することができる。
【0081】
トローチの粒子サイズは、画像分析に従って決定することができる。したがって、最終製品から100個のトローチがランダムに選択される。粒子サイズが決定され、そこから平均粒子サイズが導き出される。
【0082】
トローチの粒子サイズは、ノギスに従って決定することもできる。これに関連して、フェレー径のFeretmax.が粒子サイズを決定することが理解されるべきである。粒子サイズが5mmを超えるトローチについては、ノギス法の使用が好ましい。
【0083】
好ましくは、トローチは、0.35g/mL以上、より好ましくは0.35~0.5g/mLのかさ密度を有する。
【0084】
好ましい実施形態では、フレークは、1~100mm、より好ましくは5~90mm、更に好ましくは5mm超~85mm、更に好ましくは7~80mm、特に10~80mmの粒子サイズを有する。
【0085】
フレークの粒子サイズを決定するための任意の適切な方法を利用することができる。
【0086】
フレークの粒子サイズは、画像分析に従って決定することができる。したがって、最終製品から100個のフレークがランダムに選択される。粒子サイズが決定され、そこから平均粒子サイズが導き出される。
【0087】
フレークの粒子サイズは、ノギスに従って決定することもできる。これに関連して、フェレー径のFeretmax.が粒子サイズを決定することが理解されるべきである。粒子サイズが5mm以上のフレークについては、ノギス法の使用が好ましい。
【0088】
好ましくは、フレークは、0.35g/mL以上、より好ましくは0.35~0.5g/mLのかさ密度を有する。
【0089】
本発明を以下の実施例によって更に例示する。
【実施例
【0090】
比較例1:種結晶添加を用いない低せん断速度での冷却プレート実験
DHHB溶融物の薄層(1~3mm)の固化挙動を評価するために、冷却プレートの温度を20℃に固定して冷却プレート実験を行った。実験では、DHHB溶融物の薄層をサーモスタット冷却プレート表面(材料:ステンレス鋼)の表面に配置した。約50s-1の低せん断速度を加えるために、スパチュラを使用して液体DHHB溶融物を数分間穏やかに撹拌した。2時間以内に結晶化は観察されなかった。
【0091】
比較例2:種結晶添加を用いない高せん断速度
以下の実施例は、欧州特許第2155660B1号明細書の実施例6に沿ったものである:5kgのDHHBを5Lのアルミニウム製容器に注ぎ入れる。溶融物を、電気モーターによって撹拌されるPTFEプロペラ撹拌機(直径60mm)によって撹拌する。溶融物を25℃において250rpm(約1000s-1)の撹拌速度で撹拌する。11時間撹拌した後、溶融物の粘度が大幅に上昇し、その結果、それ以上撹拌できなくなる。最初の結晶は、5時間撹拌した後に観察される。完全な固化は、24時間後に達成される。
【0092】
比較例3:せん断速度なし、種結晶添加あり
以下の実施例は、欧州特許第2155660B1号明細書の実施例10に沿ったものである:DHHB種結晶粒子を5kgのDHHB溶融物に添加する。種結晶粒子(<100μm)が添加される溶融物の温度は、約40℃である。その後、DHHB溶融物を室温まで放冷する。最初の結晶は、10日後に観察される。完全な固化は、2か月後に達成される。実験中、溶融物は、撹拌されない。
【0093】
本発明の実施例1:高せん断速度(800s-1以上)、種結晶添加あり
この実験では、約90Lの溶融物体積をカバーする表面掻き取り式熱交換器を使用した。貯蔵タンクから表面掻き取り式熱交換器にDHHBの溶融物を供給し、そこでこれをその溶融温度未満(すなわち約54℃未満)に冷却した。スクレーパーの撹拌速度は、実験全体を通して120rpmに維持した。DHHB溶融温度が54℃を下回ると直ちに、溶融物にDHHB種結晶粒子を添加した。約200μm未満のDHHB粉末を種結晶粒子として使用した。約2~3時間後、結晶化が有意に開始することが観察された。結晶化プロセスを監視するために、DHHB溶融物の試料を表面掻き取り式熱交換器から採取した(30分ごと)。結晶化の開始は、目視(濁度の増加)及びスクレーパーのトルクの増加によって観察することができた。生成物の茶色がかった色から黄色への色の変化も観察することができた。DHHB溶融物懸濁液中の望まれる(高い)固形分含有量に達した後、溶融物懸濁液を冷却ベルト上に流し広げた。冷却ベルト上に溶融物懸濁液を塗布するために使用されるツールに応じて、DHHBのトローチ又はDHHBの層が冷却ベルト上に生成された。冷却ベルトは、2つの異なる冷却ゾーンから構成されていた。冷却ベルトの長さの第1のセクションは、30℃に維持される一方、第2のセクションは、15℃に維持された。この温度プロファイルは、DHHBのトローチ又はDHHBの層が冷却ベルトの端で掻き落とされるまで、高度に固化が進行することが確認された。DHHBの層を冷却ベルト上に塗布すると、DHHBフレークが生成された(本発明の実施例1.1)。DHHBのトローチ(本発明の実施例1.2)及びDHHBフレーク(本発明の実施例1.1)の完全な固化は、冷却ベルトから掻き落とした後、室温で約2~3時間熟成させた後に達成された。特に、追加の熟成ベルト上で室温において熟成を行うこともできる。更なる実験パラメータが表1にまとめられている。
【0094】
得られたトローチ(本発明の実施例1.2)は、3.5~4.5mmの平均高さ及び7~9.5mmの平均直径を有する。したがって、本発明に従って理解されるそれらの粒子サイズは、7~9.5mm(すなわちFeretmax.)である。
【0095】
【表1】
【0096】
種結晶を高せん断速度と組み合わせて利用すると、DHHB溶融物懸濁液の完全な固化を驚くほど速く得ることができる。
【国際調査報告】