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特表2024-509160方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240221BHJP
   C22C 38/60 20060101ALI20240221BHJP
   H01F 1/16 20060101ALI20240221BHJP
   C21D 8/12 20060101ALN20240221BHJP
【FI】
C22C38/00 303U
C22C38/60
H01F1/16
C21D8/12 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553439
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 KR2022020884
(87)【国際公開番号】W WO2023121253
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184135
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0179480
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン,オヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウシン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,キュソク
【テーマコード(参考)】
4K033
5E041
【Fターム(参考)】
4K033AA02
4K033CA00
4K033CA02
4K033CA03
4K033CA05
4K033CA07
4K033CA08
4K033CA09
4K033CA10
4K033EA02
4K033FA00
4K033FA12
4K033HA01
4K033HA03
4K033JA01
4K033JA04
4K033LA01
4K033MA01
4K033MA02
4K033MA03
4K033NA01
4K033NA02
4K033NA03
4K033PA08
5E041AA02
5E041AA19
5E041BC01
5E041BD10
5E041CA02
(57)【要約】
【課題】方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板は電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された線状の変形部を含み、鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔が変更され、変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在することを特徴とする。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、
鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔が変更され、
前記変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在することを特徴とする方向性電磁鋼板。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項2】
敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2を満足することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
[式2]
(0.20×Ks)+1.0≦DG≦(0.36×Ks)+4.3
【請求項3】
鋼板の幅方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部間の間隔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項4】
鋼板の圧延方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部間の間隔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項5】
電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、
鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度が変更され、
前記変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在することを特徴とする方向性電磁鋼板。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項6】
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3を満足することを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
【請求項7】
鋼板の幅方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項8】
鋼板の圧延方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項9】
前記変形部は、一時磁区変形部、永久磁区変形部またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1または5に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項10】
前記変形部は永久磁区変形部を含み、永久磁区変形部の深さは10~30μmであることを特徴とする請求項9に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項11】
鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、
前記測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、および
前記敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔を決定して変形部を形成する段階、を含み、
前記変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式1]
Ks=0.7×Ds+0.3×B8
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項12】
敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2を満足するように変形部を形成することを特徴とする請求項11に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式2]
(0.20×Ks)+1.0≦DG≦(0.36×Ks)+4.3
【請求項13】
鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、
前記測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、
前記敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度を決定して変形部を形成する段階、を含み、
前記変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項14】
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3を満足することを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
【請求項15】
前記鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階で、
鋼板表面に磁力を印加して磁化させる段階、結晶粒界によって形成される漏れ磁束を検出する段階、および検出された漏れ磁束を演算する段階を含んで結晶粒粒径を測定することを特徴とする請求項11または13に記載の磁区微細化方法。
【請求項16】
前記鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階で、磁束密度は
1次コイルと単位面積に印加された磁場によって2次コイル誘起された電圧を単位時間の間積分した値で鋼板の幅方向に単位長さに対して測定することを特徴とする請求項11または13に記載の磁区微細化方法。
【請求項17】
前記変形部を形成する段階は、鋼板にレーザ、電子ビームまたはプラズマのうちの1種以上を照射する段階、酸を用いてエッチングする段階、または粒子を衝突させる段階を含むことを特徴とする請求項11または13に記載の磁区微細化方法。
【請求項18】
前記変形部を形成する段階は、鋼板にレーザを照射して永久磁区変形部または一時磁区変形部を形成する段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の磁区微細化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法に係り、より詳しくは、変圧器作動区間の磁束密度で鉄損に優れた方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は電磁気誘導現象を用いる変圧器鉄心素材として使用されており、このような変圧器は50/60Hz交流で使用しており、このような変圧器は無負荷損を低減することによって変圧器の効率を極大化することができる。
変圧器の無負荷損を低減するために変圧器動作区間の磁束密度で鉄損に優れた電磁鋼板を使用することが好ましい。
【0003】
方向性電磁鋼板は、Siを多量に含有し、溶解、鋳造、熱延、熱延板焼鈍、冷延、1次再結晶焼鈍および高温焼鈍工程などを経て2次再結晶粒の集合組織を圧延方向と同一なGoss方位({110}<001>)に配向させた機能性鋼板である。
このような方向性電磁鋼板の磁化特性は、微視的に磁区の移動と回転時に発生する磁化容易性によって決定され、具体的には、製品鋼板の2次再結晶粒内に存在する180°磁区(Basic Magnetic Domain)の形態によって決定される。
【0004】
方向性電磁鋼板の磁区微細化技術は、鋼板の表面にレーザ、プラズマ、エッチングなどの方法によって溝を形成して自由表面(Free surface)を形成し、ここに鋼板の表面に絶縁コーティング層をさらに形成して圧延方向に張力を付与すると、溝形成によって静磁気エネルギー(Magnetostatic Energy)が減少する静磁気効果が発生し、これを最少化するために磁場印加時2次結晶粒内180゜磁区幅を減少させることによって結局鉄損特性を改善させる。
このような理由で磁区微細化処理された方向性電磁鋼板は、鉄損特性が改善されて変圧器用鉄心材料として多く使用されている。
【0005】
この磁区微細化技術は、鋼板の表面に自由表面による静磁気効果を得るために溝を形成する。しかし、このような静磁気効果は、溝の深さが同一な場合、Goss集合組織の方位比と2次再結晶の大きさによって決定され、このようなGoss集合組織の方位比と2次再結晶の大きさは電磁鋼板の製造工程条件によって変化する。
また、電磁鋼板を製造する過程で2次再結晶を形成する最終高温焼鈍はコイルで巻かれている状態のバッチ炉で行われる場合が多く、このように製造されたコイルはその大きさが大きいためコイルの位置、即ち、内部、中間、表面での最終高温焼鈍の条件が異なる。このため、最終高温焼鈍が行われた後、最終コイル製品の位置によって2次再結晶粒の方向と大きさに差が発生する。
【0006】
したがって、コイルの幅/長さ方向による2次再結晶粒大きさおよび配向性の差は、2次再結晶以後またはその以前に溝を形成させる場合、同一の溝の深さ条件でも溝の走査線間隔と角度変化によって鉄損値の変化を示すため鋼板の幅方向に互いに異なる走査線間隔と角度で溝を形成させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とするところは、方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法を提供することにある。具体的に、2次再結晶大きさおよび2次再結晶粒の配向特性によって磁区微細化のためのレーザの照射条件を調節して鉄損改善率を高めた方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方向性電磁鋼板は、電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔が変更され、変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在することを特徴とする。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【0009】
敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2を満足することができる。
[式2]
(0.20×Ks)+1.0≦DG≦(0.36×Ks)+4.3
鋼板の幅方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部間の間隔が形成されることがよい。
鋼板の圧延方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部間の間隔が形成されることが好ましい。
【0010】
本発明の方向性電磁鋼板は、電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向(TD方向)の角度が変更され、変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在することが好ましい。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【0011】
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向(TD方向)の角度(A、°)が下記式3を満足することができる。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|A|≦(-0.25×Ks)+6.5
鋼板の幅方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度が形成できる。
鋼板の圧延方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度が形成できる。
変形部は、一時磁区変形部、永久磁区変形部またはこれらの組み合わせを含むことがよい。
変形部は永久磁区変形部を含み、永久磁区変形部の深さは10~30μmであることがよい。
【0012】
本発明の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、および敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔を決定して変形部を形成する段階、を含み、この時、変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成することを特徴とする 。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【0013】
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向(TD方向)の角度(AG、°)が下記式3を満足することがよい。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
鋼板の結晶粒粒径は、鋼板表面に磁力を印加して磁化させる段階、結晶粒界によって形成される漏れ磁束を検出する段階、および検出された漏れ磁束を演算して結晶粒粒径を測定することができる。
鋼板の磁束密度は、連続磁束密度測定器を通じて鋼板の幅方向および長さ方向の磁束密度変化を測定することが好ましい。
【0014】
変形部を形成する段階は、鋼板にレーザ、電子ビームまたはプラズマのうちの1種以上を照射して表面エッチング防止のための塗布液を除去する段階、酸を用いてエッチングする段階、または粒子を衝突させる段階を含むことがよい。
変形部を形成する段階は、鋼板にレーザを照射して永久磁区変形部または一時磁区変形部を形成する段階を含むことができる。
【0015】
本発明の方向性電磁鋼板はSi:2.0~6.5重量%とその他の不可避不純物を含み、残部はFeからなり、最終高温焼鈍によって表面にはフォルステライト層が形成されており、内部には2次再結晶が形成された鋼板であって、前記鋼板は2次再結晶の大きさおよび磁束密度値によって下記式(1)によって決定される鉄損敏感指数(Ks)値が0.9~3.2であり、前記鋼板の表面に圧延方向と交差する方向にレーザを照射して10~35μm深さの溝が形成されることを特徴とする。
0.9≦(0.7Ds+0.3B)/10≦3.2---------(1)
(ここで、Ds:2次再結晶の大きさ、B:2次再結晶が完了した鋼板の磁束密度)
圧延方向と交差して形成された溝は点状の連続あるいは不連続的な溝であることがよい。また前記圧延方向と交差して形成された溝は連続あるいは不連続的に形成された線状形状の溝であり、前記線状の溝は鋼板幅方向に2つ以上に分けられて形成されることがよい。
【0016】
点状あるいは線状の溝は、レーザの照射間隔が2.0~4.5mmであり、照射角度は0~5°範囲で形成できる。
点状または線状の溝はパルスレーザでナノ秒、ピコ秒あるいはフェムト秒レーザのうちのいずれか一つを使用し、走査速度は最大50m/s以下で前記溝が形成できる。
このような前記鋼板は重量%でC:0.10%以下(0%を除外する)、Mn:0.005~1.0%、Nb+V+Ti:0.05%以下(0%を除外する)、Cr+Sn:0.8%以下(0%を除外する)、Al:3.0%以下(0%を除外する)、P+S:0.09%以下(0%を除外する)、〔Sn%+Sb%-0.7Cr%≦0.07〕の式を満足し、希土類およびその他の不純物の総合が0.5%以下(0%を除外する)をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、Si:2.0~6.5重量%とその他の不可避不純物を含み、残りはFeからなるスラブを加熱した後、熱間圧延と冷間圧延を行って冷延鋼板を製造する段階、前記冷延鋼板を700~900℃温度で雰囲気ガスの露点温度を40~70℃に、表面のFeSiO/SiO比を0.5~3.0に制御して、前記鋼板の表面に酸化層を形成した脱炭および/または窒化段階(または1次再結晶焼鈍段階)、前記鋼板の表面にMgOを含む焼鈍分離剤を塗布する段階、前記鋼板の表面にはフォルステライト層を形成し、鋼板の内部には2次再結晶が形成される最終高温焼鈍段階(または2次再結晶焼鈍段階)、前記2次再結晶が形成された鋼板に対して前記2次再結晶の大きさと磁束密度を測定して前記鋼板が下記式(1)によって定義される敏感指数(Ks)値を計算する段階、前記敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔を決定して変形部を形成する段階、および前記溝が形成された鋼板に対してコロイダルシリカと金属リン酸塩の単独あるいは複合絶縁コーティング液で絶縁コーティングする段階を含む。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【0018】
変形部を形成する段階で溝を形成することができ、形成された溝は点状の連続あるいは不連続的な形状であってもよい。
変形部を形成する段階で形成された溝は連続あるいは不連続的に線状の溝を形成し、前記線状の溝は鋼板幅方向に2つ以上に分割されて形成できる。
変形部を形成する段階で形成された点状あるいは線状の溝は、照射間隔が2.0~4.5mmであり、照射角度は0~5°範囲で形成できる。
変形部を形成する段階でレーザを照射することができ、前記レーザは30W出力以上のパルスレーザであり、ナノ秒、ピコ秒あるいはフェムト秒レーザのうちのいずれか一つを用いることができる。
【0019】
このようなレーザの走査速度は最大50m/s以下であることがよい。
変形部を形成する段階と絶縁コーティングする段階の間に平坦化焼鈍段階や、1次絶縁コーティング段階または形状のみを校正した2次再結晶完了段階のうちのいずれか一つ以上の中間段階をさらに含むことができる。
本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板の磁区微細化方法に使用した鋼板は重量%でC:0.10%以下(0%を除外する)、Mn:0.005~1.0%、Nb+V+Ti:0.05%以下(0%を除外する)、Cr+Sn:0.8%以下(0%を除外する)、Al:3.0%以下(0%を除外する)、P+S:0.09%以下(0%を除外する)、〔Sn%+Sb%-0.7Cr%≦0.07〕の式を満足し、希土類およびその他の不純物を合量で0.5%以下(0%を除外する)をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によれば、最終高温焼鈍を完了した鋼板の表面に線状の溝を形成するようにレーザ走査条件を調節し、2次再結晶の大きさと集合組織の集積度の程度を磁束密度値を根拠にして鉄損敏感指数を導出して最適の鉄損敏感指数範囲内の鋼板に対してレーザ照射間隔と照射角度を制御することによって高い鉄損改善効果を確保することが可能であった。
また、本発明の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、最終高温焼鈍後鋼板の長さおよび幅方向に2次再結晶粒大きさと磁束密度値によって照射間隔と角度を制御することによって優れた鉄損改善特性を有する方向性電磁鋼板を製造することが可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図2】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図3】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図4】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図5】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図6】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図7】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図8】本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
図9】本発明の一実施形態による結晶粒粒径の測定方法を説明した模式図である。
図10】本発明の一実施形態による結晶粒粒径の測定方法を説明した模式図である。
図11】本発明の一実施形態による方法で結晶粒粒径を測定した結果である。
図12】本発明の一実施形態による方法で結晶粒粒径を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1、第2および第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これら用語はある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、される単数形態は文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。明細書で使用される“含む”の意味は特定特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるものではない。
また、特に言及しない限り、%は重量%を意味し、1ppmは0.0001重量%である。
ある部分が他の部分“の上に”または“上に”あると言及する場合、これは直ぐ他の部分の上にまたは上にあり得るか、その間に他の部分が伴われることがある。対照的に、ある部分が他の部分“の真上に”あると言及する場合、その間に他の部分が介されない。
異なるように定義しない限り、ここに使用される技術用語および科学用語を含む全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一な意味を有する。通常使用される辞典に定義された用語は関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると解釈され、定義されない限り理想的または公式的な意味として解釈されない。
【0023】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
本発明は、鋼板の結晶粒粒径および磁束密度で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部の間隔および/または変形部および圧延垂直方向の角度を調節して磁性を向上させることを目的とする。
方向性電磁鋼板の場合、製造工程が非常に複雑であり、結晶粒の粒径および磁束密度を制御する因子が多様に存在する。理想的には方向性電磁鋼板の全長にわたって同一な粒径の結晶粒を形成し、磁束密度を同一に調節することが好ましいが、現実的には鋼板の幅方向(TD方向)および圧延方向(RD方向)に結晶粒粒径および磁束密度に偏差が多く発生する。
従来はこのような結晶粒粒径偏差が存在するにもかかわらず、機械的に同一間隔の変形部を適用していたが、本発明では結晶粒の粒径および磁束密度から計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔および/または変形部および圧延垂直方向の角度を多様に変形させ、結晶粒の粒径および磁束密度の偏差が存在するとしても、電磁鋼板の磁性を総合的に向上させたものである。
【0024】
図1図3は、本発明の一実施形態によって磁区微細化された方向性電磁鋼板100の模式図を示す。
本発明の電磁鋼板100の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部20を含み、鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部20間の間隔が変更され、変形部20間の間隔(DG)が互いに異なる少なくとも2領域が存在する。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【0025】
図1および図2に示したとおり、本発明は、磁束密度が同一であると仮定し、図1のように結晶粒粒径が比較的に小さい場合、変形部間の間隔(DG)を比較的に広く形成する。また、同一鋼板内で図2のように結晶粒粒径が比較的大きい場合、変形部間の間隔(DG)を比較的に狭く形成する。
結晶粒粒径が変わる場合、結晶粒内部の磁気的安定条件が変わるため、磁区と呼ばれる内部構造に差が発生するようになる。即ち、同一なGoss方位で結晶粒粒径が大きい場合、磁区が類似した群が大きく位置しているようになり、結晶粒粒径が小さい場合、磁区が類似した群が小さく位置しているようになる。
【0026】
反面、結晶粒粒径が比較的に小さい場合、磁区微細化を比較的大きな変形部間間隔(DG)で行っても問題がないが、結晶粒粒径が比較的に大きい場合、間隔(DG)を小さくすることが必要である。結晶粒粒径が小さいにもかかわらず、小さい変形部間間隔(DG)で磁区微細化する場合、境界を中心にして磁化に有利でない磁区が多く発生して鉄損が劣化する問題が発生する虞がある。したがって、各結晶粒粒径に対応して変形部間の間隔を変更することによって、鉄損をさらに向上させることができる。
また、図1および図3に示したとおり、本発明で結晶粒粒径が同一であると仮定し、図1のように磁束密度が比較的に小さい場合、変形部間の間隔(DG)を比較的大きく形成する。また、同一鋼板内で図3のように磁束密度が比較的大きい場合、変形部間の間隔(DG)を比較的に小さく形成する。図3では、磁束密度が比較的に高いという意味で暗い色で表示した。
変形部20が存在する時、磁束密度は必然的に劣化する。また、変形部が多数存在する場合、即ち、変形部間の間隔(DG)が小さい場合、磁束密度がそれに比例して劣化する。
【0027】
本発明では、磁束密度によって、変形部の間隔を調節することによって、磁束密度が相対的に低い領域では変形部によって劣化する磁束密度の量を減らし、磁束密度が相対的に高い領域では変形部によって劣化する磁束密度の量を相対的に増やすことによって、鋼板全長にわたる磁束密度をさらに向上させることができる。
本発明で、結晶粒粒径とは、圧延面(ND面)を基準にした粒径である。また結晶粒粒径とは、結晶粒と同一な面積を有する仮想の円を想定してその円の粒径を意味する。
それぞれの結晶粒または最小領域に対して変形部の間隔(DG)を全部異なるようにすることが理想的であるが、速く移動する鋼板設備内でこれを実現することは事実上難しい。
本発明では、鋼板の幅方向(TD方向)に区間を分けて、各区間 別に含まれる結晶粒10の粒径および磁束密度によって各区間別に異なる変形部20間の間隔(DG)が形成できる。具体的に、各区間に含まれる結晶粒10の平均粒径および磁束密度を求め、その敏感指数(Ks)によって変形部間の間隔(DG)が設定できる。具体的に、鋼板の全体幅に対して2~9個の区間に分けることができる。
図4は、鋼板の圧延垂直方向(TD方向)に区間を分けて、変形部間の間隔を異なるように形成した模式図を示した。
【0028】
別の方法として、鋼板の圧延方向(RD方向)に区間を分けて、各区間別に含まれる結晶粒10の粒径および磁束密度によって各区間別に異なる変形部20間の間隔(DG)が形成できる。具体的に、各区間に含まれる結晶粒10の平均粒径および磁束密度を求め、その敏感指数(Ks)によって変形部間の間隔(DG)が形成できる。具体的に、鋼板の圧延方向(RD方向)に対して1~50cm長さ間隔で区間を分けることができる。
【0029】
図5には、鋼板の圧延方向(RD方向)に区間を分けて、変形部間の間隔を異なるように形成した模式図を示した。図4および図5では説明のために区間別に結晶粒の粒径が急変することと表現したが、実際鋼板では区間境界前、後に勾配(gradient)を有して結晶粒粒径および磁束密度が変わることになる。鋼板の圧延垂直方向(TD方向)および圧延方向(RD方向)、即ち、格子形に区間を分けて、変形部間の間隔を異なるように形成することも可能である。
上記のとおり、本発明の一実施形態では、結晶粒粒径および磁束密度を全て反映した敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔(DG)が変更される。結晶粒粒径または磁束密度それぞれ単独で変形部間の間隔(DG)を決定する場合、鋼板全長にわたって磁束密度の偏差が激しくなり、鉄損の偏差が激しくなって窮極的に鋼板全長にわたる磁性が劣位になる虞がある。さらに具体的に、鋼板全長の各領域で敏感指数(Ks)が大きい場合、相対的に変形部間の間隔(DG)が狭くなり、敏感指数(Ks)が小さい場合、相対的に変形部間の間隔(DG)が広くなる。
【0030】
さらに具体的に、敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)は下記式2を満足することがよい。
[式2]
(0.25×Ks)+1.2≦DG≦(0.35×Ks)+4.2
式2を満足しない場合、鉄損および磁束密度特性が顕著に劣位になる。既存のように結晶粒粒径および磁束密度と関係なく一律的に変形部の間隔(DG)を付与した場合、結晶粒粒径および磁束密度の偏差によって上記式2を満足しなくなり、鉄損および磁束密度特性が劣化する虞がある。
さらに具体的に、敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2-1を満足することが好ましい。
[式2-1]
(0.23×Ks)+1.4≦DG≦(0.3×Ks)+3.5
【0031】
より好ましくは、敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2-2を満足することがよい。
[式2-2]
(0.25×Ks)+1.2≦DG≦(0.35×Ks)+4.2
さらに好ましくは、敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2-3を満足することである。
[式2-3]
(0.3×Ks)+1.9≦DG≦(0.3×Ks)+2.3
変形部は一時磁区変形部、永久磁区変形部またはこれらの組み合わせを含むことができる。一時磁区変形部は、鋼板表面に熱衝撃を付与して磁区を微細化した変形部である。一時磁区変形部は、外観上には他の鋼板表面と区別できない。一時磁区変形部は塩酸濃度5%で10分浸漬時溝形態にエッチングされる部分であって、エッチングされない他の鋼板表面部分と区別が可能である。永久磁区変形部は、鋼板表面にグルーブ(または溝)を形成して磁区を微細化した変形部である。永久磁区変形部の深さは10~30μmであることがよい。
【0032】
図1図3に示したとおり、変形部は電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向(RD方向)と交差する方向に形成できる。変形部の形状としては図1図3に示したとおり、線状に形成できる。または、例示していないが、圧延方向(RD方向)と交差する方向に配列された点状に形成できる。
線状の変形部20または点状の変形部は、圧延方向に沿って複数形成され、このような線状の変形部20または点状の変形部は連続的にまたは不連続的に形成でき、このような線状の変形部20または点状の変形部は鋼板圧延垂直方向(TD方向)に最少でも2つ以上に分けて形成できる。以下では線状の変形部20として説明する。
図1図3のように、圧延方向(RD方向)と交差する方向に線状の変形部20が形成される電磁鋼板は、後述の最終高温焼鈍工程によってフォルステライト(Forsterite)層が鋼板の表面に形成され、フォルステライト層が形成された鋼板の表面と線状の変形部20上には連続的に絶縁コーティング層40が形成される。
【0033】
この電磁鋼板10は鋼板内部に2次再結晶が形成されており、電磁鋼板10に形成された2次再結晶の粒径および磁束密度は下記式1によって決定される鉄損敏感指数(Index of sensitivity on core loss、Ks)値が0.9~3.2であることが好ましい。
0.9≦(0.7Ds+0.3B)/10≦3.2------------(1)
(ここで、Ds;2次再結晶の粒径、B;2次再結晶が完了した鋼板の磁束密度を示す。)
鉄損敏感指数は、電磁鋼板の2次再結晶粒大きさ(単位:mm)と磁束密度(800A/m磁場強度で測定した磁束密度)値を計算した後、単位を削除した指数である。
【0034】
本発明で鉄損敏感指数(Ks)を導入した理由は次の通りである。
電磁鋼板の表面に変形部を形成する磁区微細化技術は、鋼板の表面に自由表面による静磁気効果を得るために線状の溝を形成する。しかし、静磁気効果は溝深さが同一な場合、Goss集合組織方位と2次再結晶粒子の大きさによって決定されるが、このようなGoss集合組織の方位と2次再結晶粒子の大きさは電磁鋼板の製造工程条件に依存して変化する。
即ち、方向性電磁鋼板は、熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、脱炭窒化(または1次再結晶焼鈍)、最終高温焼鈍(または2次再結晶焼鈍)過程を通じて2次再結晶が形成される。このように形成される2次再結晶は、他の前の工程条件によっても影響を多く受けるが、最終高温焼鈍工程の昇温過程で1次結晶粒の結晶粒成長のための駆動力と粒界および粒内析出物と偏析元素による抑制力によって決定される。さらに、最終高温焼鈍工程は電磁鋼板をコイルで巻き取った状態でバッチ炉で長時間処理する工程であるため、最終高温焼鈍工程中で析出物分解が始まりながら2次再結晶が開始される温度はバッチ炉内部の温度プロファイルと析出物大きさおよび分布によって、そしてコイル内部、中間、外部など位置によって互いに異なる温度履歴を有するため、コイルの幅/長さ方向に2次再結晶粒の大きさは差が発生する。
【0035】
このため、電磁鋼板に変形部20を形成して静磁気効果を極大化するためにはGoss集合組織の方位と2次再結晶粒粒径を確認し、これにより磁区微細化条件を制御することが必要である。
本発明で、Goss集合組織の方位は電磁鋼板の磁束密度を測定してGoss集合組織の集積度の程度を間接的に確認し、2次再結晶の粒径は結晶粒界漏れ磁束(Stray Field)を測定するホールセンサ(Hall-Sensor)方式を用いて測定する。
【0036】
次に、鉄損敏感指数(Index of sensitivity on core loss、Ks)値を0.9~3.2に限定した理由について説明する。
本発明による鉄損敏感指数の値は、その値が高い場合、変形部の間隔(DG)が相対的に広い時、最大鉄損改善率を得ることができる。しかし、鉄損敏感指数値が過度に低い場合、2次結晶粒が過度に小さくて後述のように2.0~4.5mmの変形部間隔(DG)で鉄損改善効果をほとんど得ることができず、鉄損敏感指数値が過度に大きい場合、2次結晶粒の粒径が過度に大きくて変形部間隔(DG)が良好な条件でも鉄損改善効果が微小になる。さらに具体的に、鉄損敏感指数(Index of sensitivity on core loss、Ks)値は1.2~2.0であることができる。
【0037】
図6図8は、本発明のまた他の一実施形態によって磁区微細化された方向性電磁鋼板100の模式図を示した。
本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板は電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度が変更され、変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在する。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
変形部および圧延垂直方向の角度(θ)とは鋼板の圧延面(ND面)上で、線状の変形部の場合、変形部の長さ方向および鋼板の圧延垂直方向(TD方向)間の角度を意味し、点状の変形部の場合、変形部の配列方向および鋼板の圧延垂直方向(TD方向)間の角度(θ)を意味する。本発明の一実施形態で、角度の負/正の区分なく表示する。
【0038】
図6および図7に示したとおり、本発明の一実施形態で、磁束密度が同一であると仮定し、図6のように結晶粒粒径が比較的に小さい場合、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を比較的に小さく形成する。また、同一鋼板内で図7のように結晶粒粒径が比較的大きい場合、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を比較的大きく形成する。
結晶粒粒径が変わる場合、結晶粒内部の磁気的特性が異なるため磁区と呼ばれる内部構造に差が出る。即ち、結晶粒粒径が大きい場合、磁区が類似した群が大きく位置するようになり、結晶粒粒径が小さい場合、磁区が類似した群が小さく位置するのである。
【0039】
反面、結晶粒粒径が比較的に小さい場合、磁区微細化を比較的に小さい変形部および圧延垂直方向の角度(θ)で行っても問題がないが、結晶粒粒径が比較的に大きい場合、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を大きくすることが必要である。結晶粒粒径が小さいにもかかわらず、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を大きく磁区微細化する場合、反磁場効果減少によって磁区材の鉄損改善率が減少する問題が発生する虞がある。したがって、各結晶粒粒径に対応して変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を変更することによって、鉄損をさらに向上させることができる。
また、図6および図8に示したとおり、本発明の一実施形態で結晶粒粒径が同一であると仮定し、図6のように磁束密度が比較的に小さい場合、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を比較的に小さく形成する。また、同一鋼板内で図8のように磁束密度が比較的大きい場合、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を比較的大きく形成する。図8では、磁束密度が比較的に高いという意味で暗い色で表示した。
【0040】
変形部20が存在する時、磁束密度は必然的に劣化する。また、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が大きい場合、磁束密度に対比して鉄損改善効果が急激に減少することになる。
本発明の一実施形態では、磁束密度によって、変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を調節することによって、磁束密度が相対的に低い領域では変形部によって劣化する磁束密度の量を減らし、磁束密度が相対的に高い領域では変形部によって劣化する磁束密度の量を相対的に増やすことによって、鋼板全長にわたる磁束密度をさらに向上させることができる。
それぞれの結晶粒または最小領域に対して変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を全部異なるようにすることが最も理想的であるが、速く移動する鋼板設備内でこれを実現することは事実上難しい。
本発明の一実施形態では、鋼板の圧延垂直方向(TD方向)に区間を分けて、各区間別に含まれる結晶粒10の粒径および磁束密度によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が形成できる。具体的に、各区間に含まれる結晶粒10の平均粒径および磁束密度を求め、その敏感指数(Ks)によって変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が形成できる。具体的に、鋼板の全体幅に対して2~9個の区間に分けることができる。
【0041】
図4では鋼板の圧延垂直方向(TD方向)に区間を分けた例を説明したので、重複する説明は省略する。
本発明では、鋼板の圧延方向(RD方向)に区間を分けて、各区間別に含まれる結晶粒10の粒径および磁束密度によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が形成できる。具体的に、各区間に含まれる結晶粒10の平均粒径および磁束密度を求め、その敏感指数(Ks)によって変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が形成できる。具体的に、鋼板の圧延方向(RD方向)に対して1~50cm長さ間隔で区間を分けることができる。
図5では鋼板の圧延方向(RD方向)に区間を分けた例を説明したので、重複する説明は省略する。鋼板の圧延垂直方向(TD方向)および圧延方向(RD方向)、即ち、格子形に区間を分けて、変形部間の間隔を異なるように形成することも可能である。
【0042】
上記のように、本発明の一実施形態では、結晶粒粒径および磁束密度を全て反映した敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が変更される。結晶粒粒径または磁束密度それぞれ単独で変形部および圧延垂直方向の角度(θ)を決定する場合、鋼板全長にわたって磁束密度の偏差が激しくなるか鉄損の偏差が激しくなって窮極的に鋼板全長にわたる磁性が劣位になる虞がある。さらに具体的に、鋼板全長の各領域で敏感指数(Ks)が大きい場合、相対的に変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が大きく、敏感指数(Ks)が小さい場合、相対的に変形部および圧延垂直方向の角度(θ)が小さく変更される。
【0043】
さらに具体的に、敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3を満足することが好ましい。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
その他の変形部に関する説明は上記のものと共通するので、重複する説明は省略する。
より好ましくは、敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3-1を満足することができる。
[式3-1]
(-0.4×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.3×Ks)+6.5
さらに好ましくは、敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3-2を満足することができる。
[式3-2]
(-0.35×Ks)+3≦|AG|≦(-0.35×Ks)+4.5
式3~3-2中、|AG|はAGの絶対値を意味し、左辺または右辺が0未満に計算される場合、0と解釈する。
【0044】
本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、および敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔を決定して変形部を形成する段階、を含む。この時、変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成することができる。
まず、鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する。本発明の一実施形態で結晶粒粒径を測定する方法としては、実時間で結晶粒粒径を測定して後述の変形部形成時に測定された結晶粒粒径を反映することができる方法であれば、制限なく使用することができる。
【0045】
鋼板の結晶粒粒径を測定する方法の一例として、漏れ磁束法(Magnetic Flux Leakage Method)を使用することができる。具体的に、結晶粒粒径を測定する段階は、鋼板表面に磁力を印加して磁化させる段階、結晶粒界によって形成される漏れ磁束を検出する段階、および検出された漏れ磁束を演算して結晶粒径を測定する段階を含むことができる。
結晶粒は、結晶粒内部と結晶粒界(結晶粒境界)に磁気的特性(Magnetic Property)の差が存在する。これによって、該当する位置に磁気センサが位置すれば、結晶粒境界で磁場の変化によって測定信号の大きさに大きな変化が発生する。
【0046】
図9は、磁場の変化について示した図である。矢印で表示した部分は、測定信号の大きさに変化が発生した部分であり、結晶粒界が存在することと確認することができる。
この方法を用いて結晶粒の境界を測定して結晶粒の粒径を測定することができる。これと共に、センサをスキャン方向の垂直方向に平行に配置するようになると、センサ間隔によって結晶粒を高解像度の2次元イメージで示すことができて結晶粒粒径を明確に区分することができる。
再び説明すれば、磁化器(電磁石または永久磁石)で一定方向に鋼板を磁化させ、鋼板に存在する欠陥によって外部に漏れる磁場をHall Sensor、GMRなど磁気センサで測定して欠陥を検出する。磁化器に発生される磁場が強磁性体鋼板に特定方向に磁化をさせ、結晶粒内部領域は磁場が均一に流れるが、結晶粒界では漏れ磁束が発生するようになり、漏れる磁束の垂直成分をホールセンサ(Hall sensor)などの磁気センサで測定する。
測定された結晶粒界から結晶粒粒径を求める方法には面積測定法、重畳部位測定法などの多様な方法があり、特に制限されない。一例として、面積測定法は、一定面積に任意の線を引いた後、結晶粒界と接する領域の個数を測定した後、それを全体面積で割って換算することによって結晶粒粒径を求めることができる。図10ではこれを模式化して示した。図10は、一定面積に対して対角に2つの線を引いた後、結晶粒界と接する領域(円で表示した部分)の個数を計測して換算したのである。
【0047】
磁束密度は、1次コイルと単位面積に印加された磁場によって2次コイル誘起された電圧を単位時間の間積分した値で鋼板の幅方向に単位長さに対して測定することができる。
結晶粒粒径および磁束密度は同時にまたは順次に測定可能である。上記のように、鋼板の圧延垂直方向、圧延方向または圧延垂直方向および圧延方向に区間を分けて、各区間別に測定された平均結晶粒粒径および平均磁束密度によって各区間別に異なる変形部間の間隔を形成することができる。
【0048】
次に、測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて敏感指数(Ks)を計算する。敏感指数については説明したので、具体的な説明は省略する。
次に、敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔を決定して変形部を形成する。
敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2を満足するように変形部を形成することができる。
[式2]
(0.20×Ks)+1.0≦DG≦(0.36×Ks)+4.3
変形部を形成する方法としては多様な方法を制限なく使用することができる。具体的に、鋼板にレーザ、電子ビームまたはプラズマのうちの1種以上を照射する段階、酸を用いてエッチングする段階、または粒子を衝突させる段階を含むことができる。
【0049】
一例として、鋼板に永久変形部20を形成するために使用したレーザは300W平均出力を有しビーム品質がM2≦1.80である非連続あるいは連続発振レーザビームを使用することができる。この範囲のレーザを使用して電磁鋼板の表面にビームを照射することによって鋼板の溶融熱以上の熱源が鋼板に吸収されるようにし、これによって溶融、気化および爆発現象が同時に起こるようになり、グルーブを形成する。
連続波レーザを照射する場合、溶融-爆発過程で溶融物爆発で発生するスパッタ(Spatter)の飛散程度はレーザ照射時に使用する不活性ガス種類によって多少差はあるが、完全に抑制することは難しく、非連続波レーザを照射する場合、気化熱以上の熱を鋼板に供給することによってスパッタ飛散をある程度最少化することはできるが、気化時に微細なホコリが一部発生することがあり連続波レーザ照射と対比して遅い走査速度を示すことになる。
したがって電磁鋼板の表面のグルーブ付近に形成されるスパッタまたはヒルアップ(Hill-up)などの欠陥が形成されることを最少化するためにはパルスレーザを使用することがよい。このようなパルスレーザとしては30W出力以上のナノ秒、ピコ秒またはフェムト秒レーザを使用し、走査速度は最大50m/s以下とすることができる。変形部20間の間隔は2.0~4.5mmであってもよく、変形部20の圧延方向への幅は10~40μmであってもよい。
【0050】
本発明のまた他の一実施形態による方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、および敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度を決定して変形部を形成する段階、を含み、変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成する。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【0051】
結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、敏感指数(Ks)を計算する段階、および変形部を形成する段階は上記のものと同一なので、重複する説明は省略する。変形部および圧延垂直方向の角度を決定する方法も上記の方向性電磁鋼板に関連して具体的に説明したので、重複する説明は省略する。
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3を満足することができる。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
変形部は、一時磁区変形部、永久磁区変形部またはこれらの組み合わせを含むことができる。一時磁区変形部は、鋼板表面に熱衝撃を付与して磁区を微細化した変形部である。以下では説明の便宜性のために変形部を線状の溝(またはグルーブ)で単一化して表現する。
【0052】
本発明によるレーザ磁区微細化は鉄損敏感指数値が0.9~3.2である鋼板に対して圧延方向と交差する方向にレーザを照射して10~35μm深さの線状の変形部20を2.0~4.5mm範囲の照射間隔とし、レーザビームの照射角度は0~5°範囲で照射することが好ましい。レーザビームによって形成される線状の変形部の幅は10~40μmであることがよい。
電磁鋼板に線状の溝20を形成するために使用したレーザは300W平均出力を有しビーム品質がM2≦1.80である非連続あるいは連続発振レーザビームを使用することが好ましい。この範囲のレーザを使用して電磁鋼板の表面にビームを照射することによって鋼板の溶融熱以上の熱源が鋼板に吸収されるようにし、これによって溶融、気化および爆発現象が同時に起こし、溝を形成する。
【0053】
連続波レーザを照射する場合、溶融-爆発過程で溶融物の爆発で発生するスパッタ(Spatter)の飛散程度はレーザ照射時に使用する不活性ガスの種類によって多少差はあるが、完全に抑制することは難しく、非連続波レーザを照射する場合、気化熱以上の熱を鋼板に供給することによってスパッタ飛散をある程度少なくすることはできるが、気化時に微細なホコリが一部発生することがあり、連続波レーザ照射と対比して遅い走査速度を示すことになる。
したがって電磁鋼板の表面の溝部に形成されるスパッタまたはヒルアップ(Hill-up)などの欠陥が形成されることを最少化するためにはパルスレーザを使用することが好ましい。このようなパルスレーザとしては30W出力以上のナノ秒、ピコ秒またはフェムト秒レーザを使用し、走査速度は最大でも50m/s以下とすることが好ましい。
方向性電磁鋼板はSi:2.0~6.5重量%とその他の不可避不純物を含み、残りはFeからなるスラブを加熱した後、熱間圧延と冷間圧延を行って冷延鋼板を製造する。
【0054】
ここで、方向性電磁鋼板はSi以外に、重量%でC:0.10%以下(0%は除外する)、Mn:0.005~1.0%、Nb+V+Ti:0.05%以下(0%は除外する)、Cr+Sn:0.8%以下(0%は除外する)、Al:3.0%以下(0%は除外する)、P+S:0.09%以下(0%は除外する)、〔Sn(重量%)+Sb(重量%)-0.7Cr(重量%)≦0.07〕の式を満足し、希土類およびその他の不純物を合計で0.5%以下を含むことができる。本発明は方向性電磁鋼板の磁区微細化に関する発明であって、方向性電磁鋼板の鋼成分と関係なく変形部形成による磁性向上効果があり、上記の鋼成分に限定されるわけではない。以下では補充的に方向性電磁鋼板の組成を限定した理由を説明する。
【0055】
[C:0.10%以下(0%は除外する)]
炭素(C)は鋼中に不可避的に混入される元素であるが、磁気時効による磁気特性を悪化させるので適正な含量で制御されることが好ましい。鋼板内にCの含量が過度に少ない場合、製造工程で相変態が十分に起きずに鋼板の微細組織を不均一化して結局2次再結晶組織が不安定になる虞があり、Cが過度に多く含まれれば製造工程中に炭化物が粗大になり析出量が過度になった結果、脱炭が十分に行われずにGoss集合組織の集積度が低下し、2次再結晶集合組織を毀損する虞がある。したがって、鋼板のC含有量は0.10%以下、さらに好ましくは0.001~0.040%である。
【0056】
[Si:2.0~6.5%]
ケイ素(Si)は、方向性電磁鋼板の基本組成であって鋼板の比抵抗を増加させて鉄損を低める役割を果たす。Siが過度に少ない場合、比抵抗が減少するようになって渦電流損が増加して鉄損特性が劣化してSi添加効果を期待することができない。Siが過度に多い場合、鋼板の脆性が増加し靭性が減少して圧延過程で板破断が発生することがあり、製造工程中に窒化物を十分に形成することができなくなり、最終高温焼鈍過程で2次再結晶形成に必要な十分な結晶粒の抑制力を確保することができなくなる。したがって、Siは2.0~6.5%が好ましい。
【0057】
[Mn:0.005~1.0%]
マンガン(Mn)は、比抵抗を増加させて渦電流損を減少させることによって全体鉄損を減少させる効果があり、粗鋼状態でSと反応してMn系硫化物を形成するだけでなく、Siと共に窒化処理によって導入される窒素と反応して(Al、Si、Mn)Nの析出物を形成する。これによって1次再結晶粒の成長を抑制して2次再結晶を起こすだけでなく、最終製品の表面品質に影響を与える重要な元素である。しかし、Mnが過度に少なく含まれる場合、最終製品の表面品質が悪くなることがある。また、Mnが過度に多く含まれる場合、オーステナイト相分率が非常に増加してGoss集合組織が毀損され磁束密度が減少し脱炭焼鈍時に酸化層が過度に形成されて脱炭を妨害することがある。したがって、Mnは0.005~1.0%が好ましい。
【0058】
[Nb+V+Ti:0.05%以下(0%は除外する)]
ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、チタン(Ti)は製造工程中にCとNと反応して析出物を形成する元素であるが、過度に多く添加する場合、2次再結晶焼鈍以後にも鋼板に残存し、鋼板の磁気的特性を低下させるので、Nb、V、Tiのうちから選択された元素1種以上が合計として0.05%以下に制御することが好ましい。
【0059】
[Cr+Sn:0.8%以下(0%は除外する)]
クロム(Cr)はGoss集合組織の形成を促進して鉄損を低減させる目的で添加され、Snは結晶粒成長を抑制して窮極的に磁束密度を向上させる目的で添加される。したがって、このような目的範囲内でこれら元素はその合計で0.8%以下添加することが好ましい。
【0060】
[Al:3.0%以下(0%は除外する)]
アルミニウム(Al)は製造工程中で析出されたAl系窒化物以外に1次再結晶工程中に窒化処理によって導入されたNと鋼中に固溶状態で存在するAl、Si、Mnと結合して(Al、Si、Mn)NおよびAlN形態の窒化物を形成して強い結晶粒成長抑制剤として役割を果たす。しかし、Alを過度に多く含む場合、析出物が不均一で2次再結晶の形成が不安定となり、鋼板の磁気的特性が低下するため、3.0%以下に添加することが好ましい。
【0061】
[P+S:0.09%以下(0%は除外する)]
リン(P)は結晶粒界に偏析して結晶粒界の移動を妨害し、同時に結晶粒成長を抑制する補助的な役割を果たす。Sは過度に多く添加されれば2次再結晶形成を不安定にする。また、PとSは電磁鋼板を製造する過程に不可避的に添加される元素であって、P、S合計で0.09%以下に制御することが好ましい。
【0062】
[Sn%+Sb%-0.7Cr%≦0.07]
スズ(Sn)とクロム(Cr)は上記の通りであり、アンチモン(Sb)は結晶粒界に偏析して結晶粒の成長を抑制して2次再結晶を安定化させる効果がある。これら三つの元素は全て2次再結晶組織の形成と相互関係があるので、Sn、Sb、0.7×Crは合計で0.07以下に制御することが好ましい。
【0063】
[希土類およびその他不純物総合が0.5%以下]
本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板は、セリウム(Ce)やプラセオジミウム(Pr)のような希土類およびその他の不純物を含むことができ、いかなる希土類および不純物が含まれてもその合計は0.5%以下であることが好ましい。希土類および不可避不純物は製鋼および方向性電磁鋼板の製造過程で意図的に投入されるか不可避的に混入される不純物を意味する。不可避不純物については広く知られているので、具体的な説明は省略する。本発明の一実施形態で上記の合金成分以外の元素の追加を排除するのではなく、本発明の技術思想を害しない範囲内で多様に含まれてもよい。追加元素をさらに含む場合、残部のFeを置き換えて含む。
【0064】
その次に、前記組成を有する鋼板を連続鋳造法でスラブを製造した後、通常の方法で加熱して熱間圧延を行い、必要によって選択的に熱延板焼鈍を行った後、冷間圧延を行って厚さ0.1~0.5mm範囲で製造する。ここで、冷間圧延は1回冷間圧延または中間焼鈍を間に置く2回以上の冷間圧延を実施することができる。
そして、冷間圧延された冷延鋼板を同時脱炭窒化するか、または脱炭後窒化工程を通じて1次再結晶焼鈍を実施する。同時脱炭窒化による1次再結晶焼鈍の場合、焼鈍工程中に変形された冷間圧延の組織が再結晶を含んで脱炭焼鈍するようになる。このために、窒素、水素、水分が混合されている混合ガス雰囲気で実施するようになる。そして脱炭後窒化の場合、脱炭後アンモニアガスを使用して鋼板に窒素イオンを導入する窒化処理を実施することもできる。
【0065】
同時脱炭窒化を行う場合、炉内に装入された冷延鋼板を700~900℃区間で雰囲気ガスの露点温度を40~70℃とし、表面のFeSiO/SiO比を0.5~3.0に制御して電磁鋼板の表面に酸化層を形成する。
その後、このような電磁鋼板の表面にMgOを基本とする焼鈍分離剤を塗布した後、1,000℃以上に昇温して長時間均熱焼鈍して2次再結晶を起こすことによって鋼板の{110}面が圧延面に平行で、<001>方向が圧延方向に平行なGoss方位の集合組織を形成するようになる。このような最終高温焼鈍工程によって鋼板の表面にはフォルステライト層を形成し、鋼板の内部には2次再結晶が形成される。
【0066】
このように最終高温焼鈍段階によって鋼板の内部に形成された2次再結晶に対して、2次再結晶はコイル位置別に再結晶開始温度の差があるので、生成された2次再結晶の大きさと磁束密度をコイル位置別に測定する。
この時、測定された2次再結晶の大きさと磁束密度を式(1)によって定義される鉄損敏感指数(Ks)値が0.9~3.2範囲であってもよい。
前記電磁鋼板の表面にレーザを照射して圧延方向と交差する方向に10~35μm深さの線状の溝を形成する。この時、レーザビームの照射間隔は2.0~4.5mmとし、レーザビームの照射角度は0~5°範囲で照射することが好ましい。
【0067】
磁区微細化方法は、上記のパルスレーザを使用して鋼板の表面に線状の溝を形成する。
そして、線状の溝が形成された鋼板に対してコロイダルシリカと金属リン酸塩の単独あるいは複合絶縁コーティング液でコーティングした後、焼鈍して電磁鋼板の表面に絶縁コーティング層を形成する。
このような絶縁コーティング層を形成する方法は特に制限なく使用することができ、一例として、リン酸塩を含む絶縁コーティング液を塗布する方式で絶縁被膜層を形成することができる。このような絶縁コーティング液は、コロイダルシリカと金属リン酸塩を含むコーティング液を使用することが好ましい。この時、金属リン酸塩はAlリン酸塩、Mgリン酸塩、またはこれらの組み合わせであってもよく、絶縁コーティング液の重量に対するAl、Mg、またはこれらの組み合わせの含量は15重量%以上であることがよい。
【0068】
そして、絶縁コーティングを実施した以後にSRA(Stress Relief Annealing)段階をさらに含むことができる。SRA時温度は700~900℃であってもよい。
以下では実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、このような実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明はこれに限定されるのではない。
【実施例
【0069】
実験例1
下表1の組成を有するスラブで熱間圧延と冷間圧延して0.23mm厚さの冷延鋼板を製造した。表1で、元素%は重量%を意味する。
【表1】
【0070】
このような冷延鋼板に対して840℃の温度で湿っている水素と窒素およびアンモニア混合ガス雰囲気(露点温度69℃、FeSiO/SiO比は1.2に制御した)中で150秒間維持し、1次再結晶焼鈍を含む脱炭焼鈍と窒化処理を行った。この鋼板に焼鈍分離剤であるMgOを塗布して2次再結晶焼鈍し、2次再結晶焼鈍は1,150℃まで25体積%窒素および75体積%水素の混合雰囲気中で行い、1,150℃到達後には100体積%水素雰囲気で8時間程度維持後に炉冷した。
【0071】
以上の最終高温焼鈍工程によって2次再結晶焼鈍を完了した鋼板に対して2次再結晶粒大きさと集合組織の集積度の程度を間接的に確認することができる磁束密度値を測定した。
ここで、2次再結晶粒子の大きさは結晶粒界漏れ磁束(Stray Field)を測定するホールセンサ(Hall-Sensor)方式を用いて測定し、磁束密度値(B8、Tesla)は800A/m磁場強度で磁束密度測定器で測定した。図9および図10では、結晶粒を磁束漏れ法で分析した写真を示す。
このように測定された鋼板の2次再結晶粒子の大きさと磁束密度値を根拠にして数式(1)を用いて鉄損敏感指数を計算した。
【0072】
その後、計算された各鉄損敏感指数値を変化させ同時にレーザビームの照射間隔を2.0~4.5mmに変化させながら鋼板の表面に圧延方向と交差する方向に線状の溝を形成した。
磁区微細化に使用したレーザは300W出力を有するパルスレーザを使用し、走査速度と走査距離はそれぞれ0.5m/s、60mmであり、照射角度は1°以下で照射して線状の溝を形成した。この時、形成された線状の溝の深さは20μmであり、線状の溝の幅は15μmであった。
このように線状の溝が形成された鋼板の表面にコロイダルシリカナノ粒子と金属リン酸塩を混合したコーティング溶液を塗布し、870℃温度条件で55秒間熱処理して方向性電磁鋼板用絶縁コーティング層を形成した。
絶縁コーティング層を形成した以後にSRA(Stress Relief Annealing)処理を840℃で実施した。
【0073】
このように線状の溝が形成され絶縁コーティング層も形成された鋼板に対してSRA処理前後に鋼板の鉄損値を測定して下記表2に整理し、これら測定値を基準にして鉄損改善率を計算した。
【表2】
【0074】
上記表2から確認できるように、0.9~3.2範囲の鉄損敏感指数値を有する鋼板では敏感指数(Ks)値が高いほど、そして照射間隔が相対的に広い場合に、鉄損がさらに改善されることが分かる。
しかし、敏感指数(Ks)値が0.8より低くなると、2次結晶粒の大きさが過度に小さくなり、2.0~4.5mm照射間隔でも鉄損改善効果をほとんど得ることができなかった。また、敏感指数(Ks)値が2.7を超過した場合にも2次結晶粒の大きさが過度に大きくなり、当該照射間隔条件では鉄損改善効果が低く、鉄損が改善されないことが分かる。
また、敏感指数(Ks)値が適正範囲にあっても変形部間の間隔が式2を満足しない程度に過度に狭いか又は過度に広い場合、鉄損改善効果が充分でないことを確認することができる。
【0075】
次に、鉄損敏感指数(Ks)値によるレーザの照射角度依存性を確認するために表2のレーザ照射間隔を2.0mmにした条件で電磁鋼板を製造し、レーザによって線状の溝を形成しながら照射角度を0~5°に変化sだせ、残り実験と測定は表2の条件と同一にした後、SRA処理前後に鋼板の磁束密度を磁束密度測定器で測定して下記表3に示した。このように測定された鉄損値を基準にして鉄損改善率を計算した。
【表3】
【0076】
表3に示したとおり、敏感指数(Ks)値が本発明の範囲内である0.9と1.8範囲で、そして照射角度を0~5°までの範囲で7.3%以上の鉄損改善率を確保することができる。
【0077】
実験例2
上記のとおり実験例1と同様の方法で方向性電磁鋼板を製造し、試片を準備した。試片を複数の領域に分けて平均結晶粒粒径および磁束密度を測定し、各領域別に敏感指数(Ks)値が0.9~1.8範囲で多様に分布することを確認した。
各領域別に式2-3を満足するように変形部間隔を調節し、実験例1と同じ方法で変形部を形成し、これを実施例とした。変形部角度は3°で固定した。
比較例1~3は変形部間隔をそれぞれ2.0mm、2.9mm、4.5mmで一様に適用し、一部領域で式2-3を満足しなかった。比較例4および比較例5は敏感指数(Ks)値でない結晶粒粒径または磁束密度のみを反映して変形部間隔を調節し、一部領域で式2-3を満足しなかった。
【0078】
実施例と比較例1~5中の最大鉄損(W17/50)および最小磁束密度(B8)を測定して下記表4に示した。
【表4】
表4に示したとおり、変形部間隔を敏感指数(Ks)によって適切に制御した実施例が比較例1~3に比べて磁性が数等改善されることを確認することができる。比較例4および比較例5も一部領域で式2-3を満足せず、磁性改善が充分でないことを確認することができる。
【0079】
実験例3
上記の実験例1のような方法で方向性電磁鋼板を製造し、試片を準備した。試片を複数の領域に分けて平均結晶粒粒径および磁束密度を測定し、各領域別に敏感指数(Ks)値が0.9~1.8範囲で多様に分布することを確認した。
各領域別に式3-2を満足するように変形部および圧延垂直方向の角度を調節し、実験例1のような方法で変形部を形成し、これを実施例とした。変形部間隔は2.9mmに固定した。
比較例5~8は変形部および圧延垂直方向の角度をそれぞれ0°、3°、5°で一様にして、一部領域で式3-2を満足しなかった。比較例9および比較例10は敏感指数(Ks)値でない結晶粒粒径または磁束密度のみを反映して変形部間隔を調節し、一部領域で式3-2を満足しなかった。
【0080】
実施例と比較例6~10中の最大鉄損(W17/50)および最小磁束密度(B8)を測定して下記表5に示した。
【表5】
【0081】
表5に示したとおり、変形部間隔を敏感指数(Ks)によって適切に制御した実施例が比較例6~8に比べて磁性が数等改善されるのを確認することができる。比較例9および比較例10も一部領域で式3-2を満足せずに磁性改善が充分でないのを確認することができる。
【0082】
本発明は実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施できるということを理解することができる。したがって、上記した実施例は全ての面で例示的なものであり限定的ではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0083】
100:方向性電磁鋼板
10:結晶粒
20:変形部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、
鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔が変更され、
前記変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在することを特徴とする方向性電磁鋼板。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項2】
敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2を満足することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
[式2]
(0.20×Ks)+1.0≦DG≦(0.36×Ks)+4.3
【請求項3】
鋼板の幅方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部間の間隔が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項4】
鋼板の圧延方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部間の間隔が形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項5】
電磁鋼板の表面に、圧延方向に沿って複数形成された変形部を含み、
鋼板全長にわたって下記式1で計算される敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度が変更され、
前記変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在することを特徴とする方向性電磁鋼板。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項6】
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3を満足することを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
【請求項7】
鋼板の幅方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度が形成されたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項8】
鋼板の圧延方向に区間を分けて、各区間別敏感指数(Ks)によって各区間別に異なる変形部および圧延垂直方向の角度が形成されたことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項9】
前記変形部は、一時磁区変形部、永久磁区変形部またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項10】
前記変形部は永久磁区変形部を含み、永久磁区変形部の深さは10~30μmであることを特徴とする請求項9に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項11】
鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、
前記測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、および
前記敏感指数(Ks)に対応して変形部間の間隔を決定して変形部を形成する段階、を含み、
前記変形部間の間隔が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式1]
Ks=0.7×Ds+0.3×B8)/10
(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項12】
敏感指数(Ks)と変形部間の間隔(DG、mm)が下記式2を満足するように変形部を形成することを特徴とする請求項11に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式2]
(0.20×Ks)+1.0≦DG≦(0.36×Ks)+4.3
【請求項13】
鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階、
前記測定された結晶粒粒径および磁束密度値に基づいて下記式1の敏感指数(Ks)を計算する段階、
前記敏感指数(Ks)に対応して変形部および圧延垂直方向の角度を決定して変形部を形成する段階、を含み、
前記変形部および圧延垂直方向の角度が互いに異なる少なくとも2領域が存在するように変形部を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式1]
Ks=(0.7×Ds+0.3×B8)/10(式1中、Ksは敏感指数を示し、Dsは結晶粒の粒径(mm)、B8は800A/m磁場強度で測定した磁束密度(T)を示す。)
【請求項14】
敏感指数(Ks)と変形部および圧延垂直方向の角度(AG、°)が下記式3を満足することを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
[式3]
(-0.45×Ks)+0.8≦|AG|≦(-0.25×Ks)+6.5
【請求項15】
前記鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階で、
鋼板表面に磁力を印加して磁化させる段階、結晶粒界によって形成される漏れ磁束を検出する段階、および検出された漏れ磁束を演算する段階を含んで結晶粒粒径を測定することを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の磁区微細化方法。
【請求項16】
前記鋼板の結晶粒粒径および磁束密度を測定する段階で、磁束密度は
1次コイルと単位面積に印加された磁場によって2次コイル誘起された電圧を単位時間の間積分した値で鋼板の幅方向に単位長さに対して測定することを特徴とする請求項11乃至請求項15のいずれか一項に記載の磁区微細化方法。
【請求項17】
前記変形部を形成する段階は、鋼板にレーザ、電子ビームまたはプラズマのうちの1種以上を照射する段階、酸を用いてエッチングする段階、または粒子を衝突させる段階を含むことを特徴とする請求項11乃至請求項16のいずれか一項に記載の磁区微細化方法。
【請求項18】
前記変形部を形成する段階は、鋼板にレーザを照射して永久磁区変形部または一時磁区変形部を形成する段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の磁区微細化方法。
【国際調査報告】