(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】希土類触媒化ポリイソプレン製品
(51)【国際特許分類】
A61F 6/04 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A61F6/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553483
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 SG2022050109
(87)【国際公開番号】W WO2022186778
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523333504
【氏名又は名称】ライフスタイルズ ヘルスケア プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ケーシー
(72)【発明者】
【氏名】ゴウプラサート,チャヤポン
(72)【発明者】
【氏名】ネトルング,チンタナ
(72)【発明者】
【氏名】ブーンブムルング,エティップ
(72)【発明者】
【氏名】ラビンカオ,ペッチャラット
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA06
4C098EE11
(57)【要約】
本明細書に開示されているのは高分子化合物製品であり、高分子化合物製品はエラストマー層を含み、エラストマー層は硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、硬化合成ポリイソプレン粒子は希土類触媒化ポリイソプレンを含む。ポリイソプレン粒子は、硫黄架橋を含み得、かつ/又は早期加硫され得る。本明細書に開示されているのは高分子化合物製品を製造するための方法でもあり、高分子化合物製品はエラストマー層を含み、エラストマー層は硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、硬化合成ポリイソプレン粒子は希土類触媒化ポリイソプレンを含む。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子化合物製品であって、
エラストマー層を含み、前記エラストマー層は早期加硫硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、前記早期加硫硬化合成ポリイソプレン粒子は複数の硫黄架橋及び希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、前記希土類触媒化ポリイソプレン材料は97.0重量%超のシス-1,4異性体成分及び0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の希土類元素成分を含み、
前記合成ポリイソプレン粒子は早期加硫される、高分子化合物製品。
【請求項2】
前記希土類触媒化ポリイソプレン材料は、99.0重量%以上のシス-1,4異性体成分を含む、請求項1に記載の高分子化合物製品。
【請求項3】
前記シス-1,4異性体成分は、約99.5重量%である、請求項1又は2に記載の高分子化合物製品。
【請求項4】
前記希土類触媒化ポリイソプレン材料は、約0.5重量%以下のトランス-1,4異性体成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【請求項5】
前記希土類触媒化ポリイソプレン材料は、約1重量%以下の3,4異性体成分を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【請求項6】
前記製品は、約0.050~約0.065mmの範囲の厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【請求項7】
前記エラストマー層は、ほぼ、10750、10500、10250、10000、9750、9500、9250、9000、8800、8600、8400、8200、8000、7800、7600、7400、7200、7000、6900、6800、6700、6600、若しくは6550g/mol未満、又は約6540g/mol未満の架橋間分子量(M
c)を有する後加硫構造を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【請求項8】
前記合成ポリイソプレン粒子は、おおよそ約1マイクロメートルからの最大中央値粒子直径を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【請求項9】
前記合成ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子内架橋及びポリイソプレン粒子間架橋を介して、互いに結合される、請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【請求項10】
コンドームであって、
エラストマー層を含み、前記エラストマー層は硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、前記硬化合成ポリイソプレン粒子は早期加硫されて硫黄架橋を含み、
前記合成ポリイソプレン粒子は希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、前記希土類触媒化ポリイソプレン材料は、
97.0重量%を超えるシス-1,4異性体成分と、1重量%以下のトランス-1,4異性体成分と、
1重量%以下の3,4異性体成分と、を含む、コンドーム。
【請求項11】
前記エラストマー層は、開放端、閉鎖端、及び前記閉鎖端から前記開放端に延在する管状シースを形成する、請求項10に記載のコンドーム。
【請求項12】
前記希土類触媒化ポリイソプレン材料は、分岐マクロ構造を含む、請求項10又は11に記載のコンドーム。
【請求項13】
前記エラストマー層は、ほぼ、10500、10250、10000、9750、9500、9250、9000、8800、8600、8400、8200、8000、7800、7600、7400、7200、7000、6900、6800、6700、6600、若しくは6550g/mol未満、又は約6540g/mol未満の架橋間分子量(M
c)を有する後加硫構造を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項14】
前記合成ポリイソプレン粒子は、おおよそ約1マイクロメートルからの最大中央値粒子直径を有する、請求項10~13のいずれか一項に記載のコンドーム。
【請求項15】
高分子化合物製品を製造するための方法であって、
97.0重量%を超えるシス-1,4異性体成分を含む希土類触媒化ポリイソプレン材料を含むエマルションを早期加硫することと、前記希土類触媒化ポリイソプレン材料を含む前記エマルションのエラストマーコーティングを型に配置することと、
前記エラストマーコーティングを硬化させて、前記高分子化合物製品のエラストマー層を形成することと、を含み、
前記エラストマー層は、硫黄によって架橋された硬化合成ポリイソプレン粒子と、0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の希土類元素成分とを含む、方法。
【請求項16】
前記高分子化合物製品は、コンドームを含み、前記エラストマー層は、開放端、閉鎖端、及び前記閉鎖端から前記開放端に延在する管状シースを形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記硬化合成ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子内硫黄架橋及びポリイソプレン粒子間硫黄架橋の両方を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記エマルションが前記型に配置される前に、後加硫組成物を前記エマルションに加える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか一項に記載の方法によって製造された、高分子化合物製品。
【請求項20】
前記高分子化合物製品はコンドームである、請求項1~9又は19のいずれか一項に記載の高分子化合物製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月3日に出願された米国仮特許出願第63/155,959号及び2022年1月12日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2022/900058号からの優先権を主張する。各出願の内容は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、希土類金属触媒によって触媒されたポリイソプレンを含む高分子化合物製品を対象とする。具体的には、個人用保護デバイス、より具体的には、手袋及びコンドームは、硬化され、早期加硫された合成ポリイソプレン粒子のエラストマー層を含み、合成ポリイソプレン粒子は希土類金属触媒によって触媒されたポリイソプレンから作られる。
【背景技術】
【0003】
コンドーム、指サック、避妊ペッサリー、検査及び手術用手袋などの手袋、カテーテルチューブ及びカテーテルバルーンなどの医療デバイスなどの個人用保護及び医療デバイスは、通常、高分子化合物材料で作られ、多くの用途の中で化学物質、擦り傷、細菌、ウイルス、及び微生物に対する保護を提供する。高分子化合物材料としては、天然ゴムラテックス(天然ポリイソプレン)、合成ポリイソプレン、又は様々なポリウレタンが挙げられる。天然ゴム製の予防医学デバイスは丈夫である。パラゴムノキ及び/又はグアユールゴムから調達された天然ゴムは、高いレベルの立体規則性を持っている。天然ゴムラテックスのポリイソプレンポリマー成分のうち、約98重量%がシス-1,4イソプレン単位であり、約2重量%がトランス-1,4イソプレン単位である。天然ゴムラテックスは、高い分子量及び広い分子量分布を有する高分岐高分子化合物でもある。天然ゴムのこれらの特性は、強度及び弾力性のユニークな組み合わせを有する加硫処理ゴム生産品をもたらす。ただし、天然ゴムは、一部の感受性のある個体において皮膚アレルギー反応を引き起こすタンパク質も含んでいる。
【0004】
合成ポリイソプレン樹脂は、天然ゴムの利点を提供し、タンパク質アレルギーの可能性を排除するために開発された。アニオン付加重合によって生成されるような、いくつかの合成ポリイソプレンは、通常、低レベルの立体規則性(すなわち、約90~92%のシス-1,4イソプレン)及び低減された分子量からなる。チーグラー・ナッタ触媒(チタン-アルミニウム触媒)によって生成されるものなど、他の合成ポリイソプレンは、より高い分子量及びより高いシス構造(すなわち、約96~98.5%のシス-1,4イソプレン)を提供することができるが、結晶化、高いゲル成分、及び高い灰分に影響を受けやすい。
【0005】
したがって、そのような合成ポリイソプレンから製造された製品は、天然ゴム製品と比較して、依然としていくつかの劣った特性を有し得る。
【0006】
個人用保護デバイスなどの製品、より具体的には、薄く、強く、非アレルギー性のコンドーム、指サック、及び高分子化合物手袋などの個人用保護デバイスを製造する必要性は存在する。
【0007】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、製品などの議論は、これらの事項のいずれか又は全てが、従来技術の基礎の一部を形成する、又は添付の特許請求の範囲の各々の優先日の前に存在したように、本開示に関連する分野における一般的な一般的知識であることを認めるものとはみなされない。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に開示されるのは、高分子化合物製品であって、
エラストマー層を含み、エラストマー層は早期加硫硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、早期加硫硬化合成ポリイソプレン粒子は複数の硫黄架橋及び希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、希土類触媒化ポリイソプレン材料は97.0重量%超のシス-1,4異性体成分及び0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の希土類元素成分を含み、
合成ポリイソプレン粒子は早期加硫される、高分子化合物製品である。
【0009】
また、本明細書に開示されるのは、コンドームであって、
エラストマー層を含み、エラストマー層は硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、硬化合成ポリイソプレン粒子は早期加硫されて硫黄架橋を含み、
合成ポリイソプレン粒子は希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、希土類触媒化ポリイソプレン材料は、
97.0重量%を超えるシス-1,4異性体成分と、1重量%以下のトランス-1,4異性体成分と、
1重量%以下の3,4異性体成分と、を含む、コンドームである。
【0010】
また、本明細書に開示されるのは、高分子化合物製品を製造するための方法であって、
97.0重量%を超えるシス-1,4異性体成分を含む希土類触媒化ポリイソプレン材料を含むエマルションを早期加硫することと、希土類触媒化ポリイソプレン材料を含むエマルションのエラストマーコーティングを型に配置することと、
エラストマーコーティングを硬化させて、高分子化合物製品のエラストマー層を形成することと、を含み、
エラストマー層は、硫黄によって架橋された硬化合成ポリイソプレン粒子と、0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の希土類元素成分とを含む、方法である。
【0011】
また、本明細書に開示されるのは、本明細書に記載される方法によって製造された高分子化合物製品でもある。
【0012】
本開示による実施形態は、希土類触媒を使用して触媒された合成ポリイソプレン材料を含む、高分子化合物製品、及び高分子化合物製品を製造するための方法を含み、例えば、実質的に、図面のうちの少なくとも1つに関連して示されかつ/又は説明され、請求項でより完全に説明されるように、開示される。本開示の様々な利点、態様、及び新規の特徴は、以下の説明及び図面からより完全に理解されるであろう。
【0013】
前述の要約は、本開示の各実施形態又は全ての実施態様を説明することを意図するものではなく、期待すべきではない。他の及び更なる実施形態を以下に記載する。
【0014】
本開示の各態様の実施形態は、変更すべきところは変更して、互いの態様に等しく適用され得ることを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の上述の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、その一部が添付の図面に図示されている実施形態を参照することによってなされ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示が他の等しく有効な実施形態を認めることができるため、その範囲を限定するものとみなされないことに留意されたい。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる列挙なしに他の実施形態にあってもよいことを理解されたい。可能であれば、同一の参照番号が、図面に共通する同等の要素を示すために使用されていることを更に理解されたい。
【0016】
【
図1】一実施形態によるコンドームの斜視概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、第1の透過型電子顕微鏡(TEM)画像であり、
図2Bは、
図2Aの注釈付きバージョンである。
【
図3】本開示の実施形態による、第2のTEM画像を示す。
【
図4】本開示の実施形態による、第3のTEM画像を示す。
【
図5】本開示の実施形態による、第4のTEM画像を示す。
【
図6】本開示の実施形態による、第5のTEM画像を示す。
【
図7A-7B】本開示の実施形態による、第6のTEM画像を示し、
図7Bは、
図7Aの注釈付きバージョンである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
用語及び定義
本開示の実施形態を詳細に記載する前に、本明細書で使用される用語は単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、制限することは意図されない。本明細書に記載される実施形態は、必ずしも特定の組成物、材料、設計又は装置に限定されるべきではなく、そのため、変動し得る。本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、文脈で別途定義されない限り、本開示が関連する技術分野の当業者に従来理解される通常の意味を有する。
【0018】
定義は、特定の実施形態を説明するのを助けるために提供され、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるため、特許請求される発明を限定することを意図しない。
【0019】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、別段の記載がない限り、各参考文献が個別に具体的に参考文献として組み込まれることが示されており、その全体が本明細書に記載されている場合と同じ程度まで、参考文献として本明細書に組み込まれる。
【0020】
文脈によって別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。本開示を通して、特に明記されていない限り、又は文脈が別途必要とする場合を除き、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群、又は物質の組成物の群への言及は、それらのステップ、物質の組成物、ステップの群、又は物質の組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含するものとする。したがって、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の態様を含む。例えば、「a」に対する参照は、単一のものだけでなく2つ以上を含み、「an」に対する参照は、単一のものだけでなく2つ以上を含み、「the」に対する参照は、単一のものだけでなく2つ以上を含む。
【0021】
当業者であれば、本明細書の開示は、具体的に記載された以外の変形及び修正の可能性があることを理解するであろう。本開示がそのような全ての変形及び修正を含むことを理解されたい。本開示は、本明細書に個別に又は集合的に言及又は示される実施例、ステップ、特徴、方法、組成物、製剤、及びプロセスの全て、並びに任意の及び全ての組み合わせ、又は任意の2つ以上の当該ステップ又は特徴も含む。
【0022】
用語「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解され、両方の意味又はいずれかの意味を明示的に支持するように解釈される。
【0023】
別段に示されない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、単にラベルとして本明細書で使用され、これらの用語が参照する項目に順序的、位置的、又は階層的要件を課すことを意図しない。更に、「第2の」項目への言及は、より低い番号の項目(例えば、「第1の」項目)及び/又はより高い番号の項目(例えば、「第3の」項目)の存在を必要とせず又は排除しない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1つ以上」という語句は、項目のリストとともに使用されるとき、リスト化された項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の項目のうちの1つのみが必要とされてもよいことを意味する。項目は、特定のオブジェクト、物、又はカテゴリであってもよい。言い換えれば、「のうちの少なくとも1つ」は、リストから任意の項目の組み合わせ又は個数を使用できることを意味し、リスト内の全ての項目が必要なわけではない。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、項目A;項目A及び項目B;項目B;項目A、項目B、及び項目C;又は項目B及び項目Cを意味し得る。いくつかの場合において、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定されないが、項目Aのうちの2個、項目Bのうちの1個、及び項目Cのうちの10個;項目Bのうちの4個及び項目Cのうちの7個;又はいくつかの他の適切な組み合わせを意味し得る。
【0025】
明確にするために、本明細書では別々の実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもあることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴も、別個に、又は任意のサブ組み合わせで提供することができる。
【0026】
本明細書全体を通して、本開示の様々な態様及び構成要素は、範囲形式で提示することができる。範囲形式は、簡便さのために含まれており、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、具体的に示されない限り、その範囲内の全ての可能なサブ範囲及び個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1~5までの範囲の説明は、整数が必要である場合、又は文脈から暗示されている場合を除き、1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、3~5などの具体的に開示されたサブ範囲、並びに列挙された範囲、例えば、1、2、3、4、4.5及び5内の個々の及び部分的な数を有するとみなされるべきである。これは、開示された範囲の広さに関係なく適用される。特定の値が必要な場合、これらは明細書に示される。
【0027】
本明細書を通して、「含む(comprise)」という用語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を含むが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を除外しないことを、意味すると理解される。
【0028】
本明細書を通して、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、特許請求される組成物の特性に実質的に影響を与える可能性がある要素は除外するが、特性に実質的に影響を与えない要素は含み得ることを意図している。
【0029】
本明細書における「含む(comprising)」、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」という用語は、「から本質的になる(consisting essentially of)」、「から本質的になる(consist essentially of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」及び「からなる(consists of)」という用語とそれぞれ、いかなる場合でも、任意選択的に置換可能であることが意図される。
【0030】
本明細書では、別途記載のない限り、「約」という用語は、用語に接続される任意の数値又は値における10%の許容範囲を包含する。
【0031】
「エマルション」、「分散液」、「ラテックス」、及び「懸濁液」という用語は、一般的に類似しており、ゴム粒子などの物質の小さな粒子が流体溶媒(水及び/又はアルコール及び/又は他の有機流体など)と混合されているが、少なくとも部分的に未溶解であり、攪拌(機械的懸濁液)及び/又は周囲の媒体(コロイド懸濁液)中の分子力によって分散されたままであるシステムを示す。本明細書で考慮されるエマルションは、例えば、グアニジン、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、チオ尿素、ジチオカルバメート、及びキサントゲン酸塩などの促進剤などのゴム又はエラストマー製剤及び化合物の典型的かつ好適な成分を更に含み得る。特定の用途に応じて、促進剤の例示的な非限定的な例としては、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)、ヘプタアルデヒド-アニリン縮合生成物(BA)、ジフェニルグアニジン(DPG)、N,N’-ジオルトトリルグアニジン(DOTG)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MBTS)、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、亜鉛-O,O-ジ-N-ホスホロジチオエート(ZBDP)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、2-(4-モルホリノチオ)-ベンゾチアゾール(MBS)、N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)、エチレンチオ尿素(ETU)、ジペンタメチレンチオ尿素(DPTU)、ジブチルチオ尿素(DBTU)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、及び/又はイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ZIX)のうちの1つ以上を挙げ得る。本明細書で考慮されるエマルションは、活性剤、例えば、酸化亜鉛など、架橋剤及び硬化剤、例えば、元素硫黄、一硫化ドナー、二硫化ドナー、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド及びテトラエチルチウラムジスルフィドなど、並びに/又は多硫化ドナー、例えば、キサントゲン多硫化物及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどを更に含み得る。本明細書で考慮されるエマルションは、抗酸化剤及び/又は抗オゾン剤を更に含み得る。フェノール系抗酸化剤が使用され得る。少なくとも1つの好適な抗酸化剤は、p-クレゾール及びジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物(Wingstay L(登録商標))である。本明細書で考慮されるエマルションは、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム及びポリビニルアルコールなどを更に含み得る。本明細書で考慮されるエマルションは、当業者に既知の、レオロジー改質剤、例えば、様々な粘土及びアルミノケイ酸塩など、pH調整剤、例えば、水酸化カリウムなどの水酸化物など、顔料、加工剤、及び/又は充填剤を更に含み得る。
【0032】
「高分子化合物」という用語は、一般に、単独重合体、共重合体、例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互共重合体、三元重合体などを含むが、これらに限定されない。更に、特に限定されない限り、「高分子化合物」という用語は、分子の全ての可能な幾何学的構成を含む。これらの構成には、アイソタクティック、シンジオタクティック、及びランダムな対称性が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
「熱可塑性」という用語は、一般に、特定の温度を超えて可逆的に柔軟になり、成形可能になり、加熱可能になり、冷却時に固化する高分子化合物材料を含む。「熱硬化性」という用語は、一般に、加熱及び固化後に強化する高分子化合物材料を含み、初期形成後に再加熱及び再形成することはできない。「熱可塑性エラストマー」(TPE)という用語は、熱可塑性部分及び熱硬化性部分の両方を含む共重合体の分類を示し、両方の部分の特性を有する材料を生成する。「ゴム」という用語は、一般に、天然ゴムラテックス又は合成エラストマーから製造されるエラストマーを示す。
【0034】
ポリイソプレン製品
本開示に記載される実施形態は、上で簡潔に要約され、以下でより詳細に説明される、製品、例えば、個人用保護具、例えば手袋、コンドーム、例えば壁が薄いコンドームなどの高分子化合物製品を含む。いくつかの実施形態は、凝固剤を使用せずに形成される手袋又はコンドームを含み得る。他の実施形態は、凝固剤を使用して形成される手袋又はコンドームを含み得る。実施形態は、希土類触媒化合成ポリイソプレン材料を使用して作られる手袋を含み得る。実施形態は、希土類触媒化合成ポリイソプレン材料を使用して形成されるコンドームを含み得る。実施形態は、希土類触媒化合成ポリイソプレン材料を使用し、かつ凝固剤を使用しないで作られるコンドームを含み得る。使用される場合、凝固剤系は、1つ以上の塩、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、及び/又は硫酸アルミニウムなど、これらに限定されない、とともに製剤化され得る。これらの塩は、約5~約40%、例えば、約5~約25%の範囲であり得、かつ/又は5、10、15、20、25、30、35、又は40%と同じ量であり得るか、ほぼその量と同じであり得るか、又は少なくともその量であり得る。凝固剤系は、1つ以上の粘着防止剤、例えば炭酸カルシウム、シリカ及び/又はステアリン酸カルシウムなどを含み得る。1つ以上の粘着防止剤は、約1~約10%の範囲であり得、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%と同じ量であり得るか、ほぼその量と同じであり得るか、又は少なくともその量であり得る。凝固剤系は、1つ以上の界面活性剤又は湿潤剤、例えば、エトキシレート基及び/又はスルホネート基を含む1つ以上の界面活性剤も含み得る。1つ以上の界面活性剤及び/又は湿潤剤は、約0.05~約2.0%の範囲の量であり得、例えば、0.05、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2.0%と同じ量であり得るか、ほぼその量と同じであり得るか、又は少なくともほぼその量であり得る。凝固剤系は、1つ以上の消泡剤も含み得、約0.01~約0.1%の量であり得、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09又は0.1%と同じ量であり得るか、ほぼその量と同じであり得るか、又は少なくともほぼその量であり得る。凝固剤系は、水を含み得る。
【0035】
本明細書に記載される製品、例えばコンドームは、当技術分野で知られている既知の標準、例えば、ISO23409:2011、ISO4074:2015、ASTM D3492-16、SS EN ISO17294-1:2004、ISO17294-2:2016及び/又はUS EPA Method 200.8 Revision 5.4、1994のうちの1つ以上を利用して、特定の特性を同定及び/又は定量化するために試験され得る。
【0036】
本明細書に記載の製品は、1つ以上の特性、例えば、破裂圧力、破裂体積、破断力、引張強度、及び/又は破断点伸びのうちの1つ以上を評価及び/又は定量化するために分析されてもよい。
【0037】
一実施形態において、本明細書で定義される製品の破裂圧力は、例えば、ISO23409:2011、ISO4074:2015、及び/又はASTM D3492-16のうちの1つ以上に従って測定された、約1.0kPa~約1.5kPaの範囲であり得る。別の実施形態において、製品の破裂圧力は、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、又は1.50kPaであるか、ほぼそれであるか、少なくともそれであるか、又は少なくともほぼそれである。
【0038】
一実施形態において、本明細書で定義される製品の破裂体積は、27.5L、30.0L、32.5L、35.0L、37.5L、40.0L、42.5L、45.0L、47.5L、50.0L、52.5L、55.0L、57.5L、又は60.0Lと同じであり得るか、ほぼそれと同じであり得るか、少なくともそれであり得るか、又はほぼ少なくともそれであり得る。破裂体積は、ISO23409:2011、ISO4074:2015、及び/又はASTM D3492-16のうちの1つ以上に従って測定し得る。
【0039】
一実施形態において、本明細書で定義される製品の破断力は、40N、45N、50N、55N、60N、65N、70N、75N、80N、85N、90N、95N、100N、105N、110N又は115Nと同じであり得るか、ほぼそれと同じであり得るか、少なくともそれであり得るか、又はほぼ少なくともそれであり得る。破断力は、ISO23409:2011、ISO4074:2015、及び/又はASTM D3492-16のうちの1つ以上に従って測定し得る。
【0040】
一実施形態において、本明細書で定義される製品の引張強度は、10kPa、11kPa、12kPa、13kPa、14kPa、15kPa、16kPa、17kPa、18kPa、19kPa、20kPa、21kPa、22kPa、23kPa、24kPa、25kPa、26kPa、27kPa、28kPa、29kPa、30kPa、31kPa、32kPa、33kPa、34kPa、又は35kPaと同じであり得るか、ほぼそれと同じであり得るか、少なくともそれであり得るか、又はほぼ少なくともそれであり得る。引張強度は、ISO23409:2011、ISO4074:2015、及び/又はASTM D3492-16のうちの1つ以上に従って測定し得る。
【0041】
一実施形態において、本明細書で定義される製品の破断点伸びは、700%、725%、750%、775%、800%、825%、850%、875%、900%、925%、950%、975%、1000%、1025%、1050%、1075%、又は1100%と同じであり得るか、ほぼそれと同じであり得るか、少なくともそれであり得るか、又はほぼ少なくともそれであり得る。破断点伸びは、ISO23409:2011、ISO4074:2015、及び/又はASTM D3492-16のうちの1つ以上に従って測定し得る。
【0042】
1つ以上の実施形態において、高分子化合物製品は硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、硬化合成ポリイソプレン粒子は希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、硬化合成ポリイソプレン粒子は硫黄によって架橋される。1つ以上の実施形態において、高分子化合物製品は希土類触媒化ポリイソプレン粒子を含み、希土類触媒化ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子内硫黄架橋、ポリイソプレン粒子間硫黄架橋、又はポリイソプレン粒子内硫黄架橋、ポリイソプレン粒子間硫黄架橋の両方を含む。1つ以上の実施形態において、本発明の高分子化合物製品の硬化合成希土類触媒化ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子内硫黄架橋及びポリイソプレン粒子間硫黄架橋の両方を含む。1つ以上の実施形態において、合成ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子間硫黄架橋によって互いに結合される。1つ以上の実施形態において、ポリイソプレン粒子内硫黄架橋及びポリイソプレン粒子間硫黄架橋は、高分子化合物製品中で均一である。
【0043】
1つ以上の実施形態において、製品(例えば、手袋及び/又はコンドーム)の形成に使用されるポリイソプレン粒子、例えば、希土類触媒化ポリイソプレン粒子のほぼ5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、少なくともそれ、ほぼ少なくともそれは、早期加硫され、例えば、早期加硫されて、ポリイソプレン粒子間架橋、例えば硫黄架橋などを導入される。「%」は、数を表す分数、w/w%又はw/v%であり得る。
【0044】
1つ以上の実施形態において、製品(例えば、手袋及び/又はコンドーム)の形成に使用されるポリイソプレン粒子、例えば、希土類触媒化ポリイソプレン粒子の95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、又は5%未満又はほぼそれ未満は、早期加硫されておらず、例えば、ポリイソプレン粒子内架橋、例えば硫黄架橋などを導入される。「%」は、数を表す分数、w/w%又はw/v%であってもよい。
【0045】
1つ以上の実施形態において、硫黄架橋、例えば、ポリイソプレン粒子内及び/又はポリイソプレン粒子間架橋は、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、又はポリスルフィド架橋を含み得る。本明細書では、ポリスルフィド架橋は、少なくとも3個の硫黄原子を含む。また別の実施形態において、ほぼ5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、少なくともそれ、又はほぼ少なくともそれのポリイソプレン粒子内及び/又は粒子間架橋は、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、又はポリスルフィド架橋を含む。
【0046】
1つ以上の実施形態において、高分子化合物製品(例えば、手袋又はコンドーム)は、後加硫組成物を含み、後加硫組成物は、早期加硫された合成ポリイソプレン粒子を含み、早期加硫された合成ポリイソプレン粒子はポリイソプレン粒子の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の量、ほぼその量、少なくともその量、又はほぼ少なくともその量で存在する。「%」は、数を表す分数、w/w%又はw/v%であり得る。
【0047】
アニオン性ポリイソプレンゴムで作られた従来技術のコンドームは、残留モノマー(100%変換)が存在せず、無色の製品であるとの利点があるが、欠点は、90~92重量%のシス-1,4-構造の成分が低いことである。更に、チーグラー・ナッタ法によるポリイソプレンで作られた従来技術のコンドームは、結晶化、高ゲル成分、及び/又は高灰分のうちの1つ以上の影響を受けやすいという欠点を有し得る。
【0048】
希土類ポリイソプレンゴムで作られる、本明細書に開示される手袋及びコンドームを含む、高分子化合物製品は、単純な重合プロセス、安定したゲル形成品質、低い灰分及び/又はゲル成分、並びに/又は97.5重量%以上、98重量%以上、98.5重量%以上、99重量%以上、及び99.5重量%以上を含む、97重量%以上のシス1,4成分の利点を提供し得る。ここで、ゲル重量%は、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5重量%未満であり得る。一実施形態において、ゲル重量%は、無視してもよく又は本質的にゼロであり得る。ここで、灰分重量%は、約3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05重量%未満であり得る。一実施形態において、灰分重量%は、無視してもよく又は本質的にゼロであり得る。
【0049】
本明細書で使用されるポリイソプレンゴムは、例えば、本明細書に記載される1つ以上の製品の形成において、約150cps未満、例えば、約90~約120cpsの範囲の粘度を有し得る。一実施形態において、本明細書で使用されるポリイソプレンゴムは、例えば樹脂の形態で、150cps、145cps、140cps、135cps、130cps、125cps、120cps、115cps、110cps、105cps、100cps、95cps、90cps、85cps、80cps、75cps、70cps、65cps、60cps、55cps、又は50cps未満又はほぼそれ未満の粘度を有する。
【0050】
本明細書で使用されるポリイソプレンゴムは、残留溶媒、例えば、ポリイソプレンゴムの形成に使用される1つ以上の有機溶媒を含み得る。一実施形態において、イソプレンゴムは、1つ以上の溶媒を、1500ppm、1250ppm、1000ppm、750ppm、500ppm、250ppm、100ppm、又は50ppm未満、又はほぼそれ未満を含む。
【0051】
一実施形態において、希土類ポリイソプレンゴムは、シス1,4成分を、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、又は99.5%と同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又はほぼ少なくともそれを有し得る。
【0052】
本発明者らは、本明細書に記載される希土類触媒化ポリイソプレン樹脂から作られるコンドームなどの高分子化合物製品が、強化された特性を有することができることを予想外に観察した。例えば、より高いシス成分(97超、及びいくつかの実施形態において具体的には99%超)では、希土類触媒化ポリイソプレン樹脂は、より低いシス成分のポリイソプレン樹脂(例えば、アニオン重合及びチーグラー・ナッタ重合)より、架橋可用性が高く、より高い物理的特性をもたらす。本開示による実施形態のいずれか、全て、又はいくつかは、例えば、断面厚さが0.050~0.075mmの厚さを有するコンドームを含む。代わりに、断面厚さは、約0.030~約0.075mm、例えば、約0.030~約0.065mm、約0.050~約0.065mm、又は約0.060mm~約0.075mmの範囲であり得る。断面厚さは、約0.075mm未満であり得るか、0.050、0.055、0.060、0.060、0.065、又は0.070mmと同じであり得るか、ほぼそれと同じであり得るか、少なくともそれであり得るか、又はほぼ少なくともそれであり得る。別の実施形態において、断面厚さは、0.075、0.070、0.065、0.060、0.055、0.050、0.045、0.040、0.035、又は0.030mm未満であるか、又はほぼそれ未満である。更に別の実施形態において、平均断面厚さは、ほぼ、0.075、0.070、0.065、0.060、0.055、0.050、0.045、0.040、0.035、又は0.030mm、それ未満であるか、又はほぼそれ値未満である。
【0053】
希土類触媒には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)を含む、1つ以上の希土類金属を含む触媒が含まれる。ネオジム系触媒は、好ましくは、1つ以上の実施形態で使用される。例示的な希土類触媒としては、三塩化ランタン(LaCl3)及び三塩化ネオジム(NdCl3)が挙げられるが、これらに限定されない。触媒は、Ln(AlMe4)3触媒であり得、Lnは、例えば、La、Ce、Pr、Nd、Gd又はYであり得る。1つ以上の実施形態による高分子化合物製品の残留希土類成分は、0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の範囲にあり、その間の全ての値及びサブ範囲である。
【0054】
一実施形態において、高分子化合物製品中の残留希土類成分は、100mg/kg、90mg/kg、80mg/kg、70mg/kg、60mg/kg、50mg/kg、40mg/kg、30mg/kg、20mg/kg、10mg/kg、5mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.2mg/kg、又は0.1mg/kgと同じ、ほぼそれと同じ、それ未満、又はほぼそれ未満である。別の実施形態において、高分子化合物製品中の残留希土類成分は、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、又は100mg/kgと同じ、ほぼそれと同じ、それ超、又はほぼそれ超である。また別の実施形態において、高分子化合物製品中の残留希土類成分は、これらの列挙された値のうちのいずれかの範囲にある。
【0055】
本開示の実施形態は、コンドームを更に含む。実施形態は、凝固剤を使用せずに形成されるコンドームを更に含む。実施形態は、開放端、閉鎖端、及び閉鎖端から開放端に延在する管状シースを含むコンドームを含む。
図1は、一実施形態によるコンドームの斜視概略図である。本明細書に開示される希土類触媒化ポリイソプレン(PI)コンドーム100は、閉鎖端104及び開放端108を備える。管状シャフト106は、閉鎖端104から開放端108に延在し、開放端108は、閉鎖端104の乳首端102の反対側に開口部110を有する。任意選択的に、コンドームは、ビーズ114を更に含む。コンドームの管状シャフトは、希土類触媒化PI粒子を含み、これは、水性希土類触媒化PIラテックス組成物によって提供され得る。水性ラテックス組成物は、約55重量%~約68重量%、又は約55重量%~約60重量%の範囲であり、例えば、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、又は68重量%であるか、ほぼそれであるか、少なくともそれであるか、又はほぼ少なくともそれである。組成物は、50重量%~55重量%の範囲の組成物固体成分をもたらすために、追加の水、好ましくは脱イオン水を更に含み得る。任意選択的に、水性ラテックス組成物は、1つ以上の増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース)及び/又は安定剤/界面活性剤を更に含み得る。別の実施形態において、1つ以上の感熱剤を使用してもよい。着色剤及び/又は顔料を、任意選択的に、水性ラテックス組成物に加えてよい。
【0056】
方法
本明細書に開示されるのは、合成ポリイソプレン製品を製造するための方法であり、この方法は、希土類触媒を使用して触媒された合成ポリイソプレン樹脂のエマルションを使用することを含む。一般に、希土類触媒化ポリイソプレン材料の合成ポリイソプレン粒子は、97.0重量%以上のシス-1,4-ポリイソプレンを含む。
【0057】
合成ポリイソプレン粒子は、おおよそ0.2~2マイクロメートルの範囲の中央値粒子直径を含み得る。好ましくは、約0.7マイクロメートルである。一実施形態において、合成ポリイソプレン粒子は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0マイクロメートルと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれである中央値粒子直径を含む。1つ以上の実施形態において、合成ポリイソプレン粒子は、約1マイクロメートル、又は1マイクロメートルの最大中央値粒子直径を含む。別の実施形態において、合成ポリイソプレン粒子は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0マイクロメートルと同じ、又はほぼそれと同じ最大中央値粒子直径を含む。
【0058】
本明細書において、本方法は、安定剤、pH制御剤、酸化防止剤、及び防腐剤などの従来のエマルション添加剤とともに、早期加硫組成物及び後加硫組成物を更に含み得る。通常、合成ポリイソプレンラテックス組成物は、乾燥ゴム(PHR)100重量部に換算して提供される。化合中、ラテックス組成物の成分は、水に懸濁し得る。
【0059】
希土類触媒化合成ポリイソプレン材料、例えば樹脂のpHは、約9.0~約12.0の範囲のpHを有し得る。一実施形態において、pHは、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12.0、12.1、12.2、12.3、12.4、又は12.5と同じであるか、ほぼそれであるか、少なくともそれあるか、又はほぼ少なくともそれある。別の実施形態において、pHは、12.5、12.4、12.3、12.2、12.1、12.0、11.9、11.8、11.7、11.6、11.5、11.4、11.3、11.2、11.1、11.0、10.9、10.8、10.7、10.6、10.5、10.4、10.3、10.2、10.1、10.0、9.9、9.8、9.7、9.6、9.5、9.4、9.3、9.2、9.1、又は9.0と同じであるか、ほぼそれであるか、それ未満であるか、又はほぼそれある。また別の実施形態において、pHは、これらの列挙された値のうちのいずれかの範囲にある。
【0060】
一実施形態において、pH調整剤、例えば、水酸化アンモニウム及び/又は水酸化カリウムが使用/存在し得る。別の実施形態において、pH調整剤は使用/存在しない。別の実施形態において、1つ以上のpH調整剤は、0を超えるが、約5PHR以下の量で、例えば、0を超えるが、0.25PHR、0.50PHR、0.75PHR、1.00PHR、1.25PHR、1.50PHR、1.75PHR、2.00PHR、2.25PHR、2.50PHR、2.75PHR、3.00PHR、3.25PHR、3.50PHR、3.75PHR、4.00PHR、4.25PHR、4.50PHR、4.75PHR、又は5.00PHRと同じ、又はほぼそれと同じ範囲の量で存在し得る。更に別の実施形態において、pH調整剤は、これらの列挙された値のうちのいずれかの間の範囲に存在する。
【0061】
一般に、早期加硫組成物は、0.6~1.8PHR、例えば、約0.6~約1.2PHRの範囲の硫黄を含み得る。一実施形態において、硫黄は、早期加硫組成物中に、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、0.9PHR、1.0PHR、1.1PHR、1.2PHR、1.3PHR、1.4PHR、1.5PHR、1.6PHR、1.7PHR、又は1.8PHRと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれの量で存在し得る。別の実施形態において、硫黄は、早期加硫組成物中に、1.8PHr、1.7PHR、1.6PHR、1.5PHR、1.4PHR、1.3PHR、1.2PHR、1.1PHR、1.0PHR、0.9PHR、0.8PHR、0.7PHR、又は0.6PHRと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれの量で存在し得る。更に別の実施形態において、硫黄は、これらの列挙された値のうちのいずれかの範囲の量で、早期加硫組成物中に存在し得る。
【0062】
ここで、促進剤パッケージは、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)及び/又はジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)促進剤、及び/又はジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)促進剤、ジイソプロピルキサントゲン多硫化物(DIXP)促進剤、及び/又はジペンタメチレンチウラム四硫化物(DPTT)促進剤を含み得る。早期加硫組成物は、合計促進剤成分が0.6~2.5PHRの範囲にあることを含み得る。1つ以上の促進剤が存在し得る。一実施形態において、早期加硫組成物中の促進剤成分の合計は、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、0.9PHR、1.0PHR、1.1PHR、1.2PHR、1.3PHR、1.4PHR、1.5PHR、1.6PHR、1.7PHR、1.8PHR、1.9PHR、2.0PHR、2.1PHR、2.2PHR、2.3PHR、2.4PHR、又は2.5PHRと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれの量にある。別の実施形態において、早期加硫組成物中の促進剤成分の合計は、2.5PHR、2.4PHR、2.3PHR、2.2PHR、2.1PHR、2.0PHR、1.9PHR、1.8PHR、1.7PHR、1.6PHR、1.5PHR、1.4PHR、1.3PHR、1.2PHR、1.1PHR、1.0PHR、0.9PHR、0.8PHR、0.7PHR、又は0.6PHRと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれの量にある。更に別の実施形態において、早期加硫組成物中の促進剤成分の合計は、これらの列挙された値のうちのいずれかの間の範囲の量にある。
【0063】
早期加硫組成物は、酸化亜鉛活性剤を含み得る。
【0064】
早期加硫組成物は、1つ以上の抗酸化剤及び/又は抗オゾン剤を含み得る。例えば、約0.1~1.5PHRの範囲の1つ以上の1つ以上の抗酸化剤及び/又は抗オゾン剤、例えば、0.1PHR、0.2PHR、0.3PHR、0.4PHR、0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、0.9PHR、1PHR、1.1PHR、1.2PHR、1.3PHR、1.4PHR、又は1.5PHRと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれ。
【0065】
早期加硫組成物は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、1つ以上のアニオン性表面活性剤(例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、及び/又は硫酸塩)及び/又は非イオン性表面活性剤を含み得る。界面活性剤は、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、又はカプリル酸カリウムなどの脂肪酸の塩であり得る。いくつかの実施形態は、2つ以上の界面活性剤、例えば、カプリル酸カリウム、オクタン酸のカリウム塩としても知られると、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)とを含む。例示的な実施形態は、0.3~おおよそ1.5PHRの範囲のカプリル酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、及びポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルを有する界面活性剤パッケージを含む。抗酸化剤及び防腐剤パッケージは、0.3~おおよそ1.0PHRの範囲のp-クレゾール及び、任意選択的に、ジシクロペンタジエンのブチル化された反応生成物を含む。1つ以上の界面活性剤が存在し得る。一実施形態において、1つ以上の界面活性剤は、約0.3PHR~約3.0PHR、例えば、約0.8PHR~約1.0PHRの範囲で存在する。一実施形態において、早期加硫組成物中の総界面活性剤成分は、0.3PHR、0.4PHR、0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、0.9PHR、1.0PHR、1.1PHR、1.2PHR、1.3PHR、1.4PHR、1.5PHR、1.6PHR、1.7PHR、1.8PHR、1.9PHR、2.0PHR、2.1PHR、2.2PHR、2.3PHR、2.4PHR、2.5PHR、2.6PHR、2.7PHR、2.8PHR、2.9PHR、又は3.0PHRと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれの量にある。別の実施形態において、早期加硫組成物中の合計界面活性剤成分は、3.0PHR、2.9PHR、2.8PHR、2.7PHR、2.6PHR、2.5PHR、2.4PHR、2.3PHR、2.2PHR、2.1PHR、2.0PHR、1.9PHR、1.8PHR、1.7PHR、1.6PHR、1.5PHR、1.4PHR、1.3PHR、1.2PHR、1.1PHR、1.0PHR、0.9PHR、0.8PHR、0.7PHR、0.6PHR、0.5PHR、0.4PHR、又は0.3PHRと同じ、ほぼそれと同じ、それ未満、又はほぼそれ量未満の量にある。更に別の実施形態において、早期加硫組成物中の合計界面活性剤成分は、これらの列挙された値のうちのいずれかの間の範囲の量にある。
【0066】
早期加硫パッケージ中の硫黄は、例えば、高い可溶性硫黄成分を有する、通常、S8環構造の元素硫黄である。早期加硫組成物は、促進剤を更に含む。例えば、S8硫黄環構造を崩壊又は破壊する可能性のある促進剤は、ジチオカルバミン酸亜鉛である。「高い可溶性硫黄成分」という表現は、水性ラテックスエマルション中のラテックス粒子に浸透して硬化中に架橋し、コンドーム及び/又は手袋のような商業的に許容される製品を形成するのに十分な量の可溶性硫黄が存在することを意味する。ラテックス中の合成ラテックス粒子の早期加硫は、所定の温度で所望の程度の早期加硫まで一定期間にわたって行われる。合成ラテックス粒子の最初の化合後の異なる点における早期加硫の程度は、4つの試験のうちの少なくとも1つによって監視され得る。任意の適切な溶媒を使用する平衡膨潤試験は、合成ラテックスから乾燥したフィルムの平衡膨潤を測定する。緩和弾性率試験は、溶解したラテックスから乾燥したフィルムの100%伸長(MR100)での緩和弾性率の加硫を測定する。同様に、早期加硫緩和弾性率試験(PRM)は、早期加硫フィルムの100%伸長での緩和弾性率を測定する。
【0067】
トルエン膨潤指数(TSI)試験を使用して、乾燥した成型フィルム試料をトルエンに浸し、膨潤率を計算することによって、架橋のレベルを測定し得る。複合ラテックスのフィルムを成型して、0.10~0.15mmのフィルム厚さを生成し、フィルムを50+/-3℃で10分間乾燥させ、かつ/又はフィルムが完全に乾燥するまで周囲温度に放置する。コーンスターチ又は炭酸カルシウム(CaCO3)などの粉末でフィルムを剥がし、フィルム表面が固着しないようにする。ダイカッターで円板状試料を切断する。円板状フィルムをトルエンに60分間浸す。膨潤したフィルムの直径を測定する。膨潤したフィルムの直径から元の円板の直径を差し引いて、元のフィルムの直径で割って膨潤%を計算する。ラテックス粒子は、早期加硫硫黄が粒子内に組み込まれるにつれ、非架橋段階(指数は220%超)から部分架橋段階(指数は220%未満)に進み、次に半架橋段階(指数は180%未満)に進み、最終的に完全架橋段階(指数は100%未満)に進む。
【0068】
本開示の実施形態による化合方法は、ラテックスを化学添加剤と一緒に混合し、定期的に攪拌し、例えば、イソプロパノール指数試験を使用して、合成ポリイソプレン粒子への早期加硫剤の浸透を調べることを含む。ポリイソプレンラテックスは、ZDBC又はZDECによって触媒される硫黄との末梢反応、すなわち、外面が硬化し、内部分子の架橋を防止することにより、凝集及び「焼入」する固有の傾向を有する。界面活性剤の存在及び開放された硫黄のS8鎖の生成によって、硫黄は粒子中に拡散する。言い換えると、硫黄の粒子への拡散、すなわち「無心焼入」が起こり得、内部分子の架橋が可能になる。無心焼入構造を含むラテックス製品又は生成物は、それ以外の焼入構造を有する同様のラテックス製品又は生成物よりも強い。
【0069】
残留硫黄濃度は、当該技術分野で既知のプロセス、例えば、マレーシアゴム研究所による試験方法UPB/P/004によって測定され得る。残留硫黄は、約0.8~約1.5%の範囲であり得る。例えば、残留硫黄は、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、又は1.5%、ほぼそれ、少なくともそれ、又は少なくともほぼそれの量で存在し得る。
【0070】
TSIはイソプロパノール指数試験で代用することができ、イソプロパノール指数試験は、早期加硫硫黄が粒子内に取り込まれるにつれて、ラテックス粒子が非常に粘着性のある感触(指数は約1.0)から、粘着性の程度が低くなる(指数は3)ことを示す。1つ以上の実施形態において、イソプロパノール指数が3になると、早期加硫が許容される。
【0071】
早期加硫組成物は、粒子内領域を早期加硫するために、水性合成ポリイソプレンエマルション中の合成ポリイソプレンラテックス粒子に硫黄を提供する。早期加硫中、硫黄の環構造は、促進剤、例えば、ジチオカルバミン酸亜鉛の触媒作用によって破壊され、促進剤は、ポリイソプレン粒子を貫通し、最初にその中のイソプレン二重結合と相互作用する。
【0072】
理論に拘束されることを意図するものではないが、ポリイソプレン粒子への早期加硫組成物の成分の貫通は、拡散プロセスの関数であると考えられ、拡散プロセスは時間の線形関数であり得る。成分の貫通は、温度の指数関数を含み、熱的に活性化されたプロセスを反映する。したがって、早期加硫ステップ中に温度を数度上昇させると、早期加硫速度が増加する。例えば、室温での早期加硫は、約3~5日又は最大約9日であり得、一方、例えば、約50~70℃での早期加硫は、約3~7時間かかり得る。合成ポリイソプレン粒子の早期加硫がない場合、架橋は主に合成ポリイソプレン粒子の周辺(すなわち、焼入)で起こり、弱い粒子をもたらす。以下に論ずるように、後加硫時にのみ粒子内の粒子間領域を架橋しようとすると、粒子内領域が過剰に架橋され、その結果、ラテックス生成物の延伸特性が劣ることになる。
【0073】
後加硫組成物は、非晶質又は多硫化を含み、これは、ラテックスエマルション温度、例えば、20~40℃では不溶であるが、加硫又は硬化温度、例えば、110~150℃(例えば、ほぼ、又は少なくともほぼ、110、115、120、125、130、135、140、145、若しくは150℃、又はそれらの間の任意の範囲)で可溶性である。一般に、後加硫組成物は、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、ジエチルジチオカルミン酸ナトリウム(SDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)、チウラム化合物、及びキサントゲンなどの促進剤を含む。好適なキサントゲンの例としては、ジイソプロピルキサントゲンポリスルフィド(DIXP)、ジイソプロピルキサントゲン、テトラエチルチウラムジスルフィド、及びキサントゲンスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。DIXPは、その多硫酸ドナー特性のために好適なキサントゲンである。後加硫組成物は、チウラム促進剤を更に含み得る。多硫化チウラム促進剤の例は、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)である。チウラム化合物の別の例は、テトラベンジルチウラムジスルフィドである。酸化亜鉛は、活性剤として添加されてもよい。
【0074】
後加硫組成物は、合成ポリイソプレンの粒子間又は粒子間領域を架橋する能力を提供し、それによって、高品質で実質的に均一に硬化された合成ポリイソプレン生成物を保証する。
【0075】
後加硫組成物は、例えば、100~150℃(例えば、ほぼ、又は少なくともほぼ、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、若しくは150℃、又はそれらの間の任意の範囲)の温度で、粒子間架橋を活性化する。加えて、後加硫プロセスは、合成ポリイソプレン粒子を硫黄とも架橋する。このような後加硫は、より大きな強度及び伸び特性を有する、より均質なラテックスコーティングをもたらす。製造された組成物は、20℃~25℃で最大おおよそ5日間安定であり得、生産ラインに有用である。
【0076】
表1は、高分子化合物製品を製造するための希土類(RE)触媒化合成ポリイソプレン樹脂ラテックス組成物の例示的な実施形態を示す。ラテックス組成物は、好ましくは水性である。
【表1】
【0077】
表1による水性合成ラテックスエマルションの典型的な混合シーケンスは、
第I相:20~30℃で3~5日。硫黄、ZDEC/ZDBC、カプリル酸カリウム及びポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルを有する界面活性剤パッケージを含む、早期加硫のための化学物質を添加。
第II相:浸漬する前。TSI指数100%未満の場合に、DXP、SDBC、SDEC、テトラベンジルチウラムジスルフィド及び界面活性剤を含む、後加硫の硫黄源及び促進剤の添加。
【0078】
表2は、高分子化合物製品を製造するための希土類(RE)触媒化合成ポリイソプレン樹脂ラテックス組成物の特性の例示的な実施形態を示す。
【表2】
【0079】
表3は、例示的なアニオン性ポリイソプレンと、例示的なジーグラー・ナッタ触媒化合成ポリイソプレン樹脂と、例示的な希土類触媒化合成ポリイソプレン樹脂との早期加硫挙動の比較を示す。
【表3】
【0080】
本開示は更に、合成ポリイソプレン高分子化合物製品を形成する方法を提供する。この方法は、希土類触媒化ポリイソプレン材料のエラストマーコーティングを型に配置することと、エラストマーコーティングを硬化させて、高分子化合物製品のエラストマー層を形成することとを含む。配置ステップは、凝固剤を含まない又は凝固剤でコーティングされた成形型を、希土類触媒化ポリイソプレン材料のエマルション、早期加硫された粒子を有する表1に記載の水性ラテックス組成物であり得る、に浸すこと、成形型の表面に早期加硫された合成ポリイソプレンの個々の粒子を有するラテックス又はエラストマーコーティングの薄層を少なくとも1回形成すること、を含み得る。型は、当該技術分野で知られているように、任意の適切な型であり得る。本発明の組成物は、コンドームの成形型に塗り重ねるのに特に有用である。
【0081】
表2~3のRE PI樹脂、及び他のRE触媒化製剤を使用し得る、表1に開示される希土類触媒化製剤の実施形態は、コンドームを作ることができ、このコンドームは、アニオン触媒化ポリイソプレン及びチーグラー・ナッタ触媒化ポリイソプレンよりも、ポリイソプレン分子のシス特性、例えば、シス-1,4異性体をより多く含み、合成希土類触媒化ポリイソプレンで作られる製品の強度特性を改善する。
【0082】
また、表1の例示的な希土類触媒化製剤は、総固形分成分が潜在的により低く、より薄いコンドーム(例えば、約0.030mm~約0.065mmの範囲の厚さ、例えば、約0.050mm~約0.065mm)を製造できる。そして、表1の例示的な希土類触媒化製剤は、浸漬プロセス中に、粘度(例えば、約30~約40cps)が潜在的に低く、それによって薄いコンドームを製造できる。粘度が低いため、製造中のラインスピードも速くできる。
【0083】
更に、表1の希土類触媒化製剤は、より小さい粒径を生成し、より薄いフィルムを可能にし、使用中の感度を向上させる。より小さい粒子はまた、改善された架橋を示し、これは、より薄い生成物の加工性を改善する。例えば、洗浄プロセス中にコンドーム又は手袋が崩れるのを防ぎ、粉末が内側と外側の両方に均等にコーティングされることを可能にし、したがって、欠陥を低減する。
【0084】
表4は、表1に上述したように、早期加硫された希土類触媒化ポリイソプレン樹脂を使用してコンドームを製造するための典型的な浸漬方法を列挙する。
【表4】
【0085】
界面活性剤で安定化され、早期加硫された合成ポリイソプレンラテックス組成物を使用してコンドームを浸漬する方法は、通常5日以内、例えば、合成ポリイソプレンラテックスエマルションタンクの平均寿命内である。コンドーム型を最初の浸漬において組成物に浸す。ラテックスコーティングの壁厚は、浸漬タンク内の組成物の総固形分の関数である、ラテックスの粘度によって制御される。浸漬中の型の移動速度も、壁の厚さに影響を及ぼす。型をコーティングするラテックスコーティングを、おおよそ60~100℃でおおよそ1~3分間乾燥させる。型上のラテックスコーティングを、任意選択的に、組成物中に再び浸して、第2の浸漬コーティングを塗布する。2回目の浸漬後のラテックスコーティングを、約60~80℃で約1~3分間乾燥させる。コンドームの開放端を巻き上げて、コンドームの閉鎖端の先端の遠位端に、縁取り環を形成する。
【0086】
コーティングは、例えば、コーティングを約110~150℃で約8~15分間加熱して、コンドームのエラストマー層を形成することによって、後加硫できる。例示的な実施形態には、おおよそ120℃でおおよそ12分間オーブン内において加熱することによって達成される後加硫を含む。この期間中、粒子間領域は架橋される。粒子内領域も、更なる架橋を受け、より均質なラテックス生成物を生成する。コンドームは、任意選択的に、おおよそ70~80℃の水中で約1~2分間浸出され、コンドームから残留界面活性剤及び架橋剤を除去する。その後、コンドームは型から剥がされる。コンドームなどのラテックス製品は、低立体規則性の合成ポリイソプレンを使用した場合でも、より高い強度と改良された伸縮性を示す。合成ポリイソプレン製品は、ラテックス感受性の問題を引き起こし、炎症を引き起こすタンパク質を含まない。
【0087】
本開示による実施形態は、型を湿らせるための凝固剤溶液の使用を含み、凝固剤溶液は5%の硝酸カルシウムの例示的な水溶液を含み得るが、硝酸カルシウムの濃度が6~40%の範囲の水溶液など、当業者に既知の他の濃度が可能である。塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどの他の塩及び/又はそれらの混合物を使用してもよい。更に、凝固剤溶液は、水性、アルコール性、又は水性及びアルコール性溶液/溶媒の混合物であり得る。弱い酸溶液は、当業者に既知のように、ギ酸、酢酸、及び他の低pKa酸(例えば、約3~約7の範囲のpKaを有する酸)などの凝固剤として、使用されてもよい。
【0088】
本開示による実施形態は、早期加硫及び後加硫の方法の使用を含み、その技術は、一同一出願人による米国特許第8,087,412号、同第8,464,719号、同第9,725,539号、及び同第10,538,609号に開示され、これらは参照によりその全体が組み込まれる。架橋間分子量(Mc)を決定するための方法は、米国特許第8,087,412号、同第8,464,719号、同第9,725,539号、及び同第10,538,609号に開示されている。
【0089】
一実施形態において、早期加硫及び/又は後加硫のラテックス製剤、又はラテックス製剤を含む又はそれからなる製品、例えば個人用保護デバイス、例えばコンドームのMcは、10750、10500、10250、10000、9750、9500、9250、9000、8800、8600、8400、8200、8000、7800、7600、7400、7200、7000、6900、6800、6700、6600、又は6550g/mol未満であるか、又はほぼそれ未満である。一実施形態において、Mcは、約6540g/mol未満である。
【実施例】
【0090】
実施例1
表1の製剤によりコンドームを製造した。表5-1、5-2及び5-3は、希土類触媒化ポリイソプレン樹脂を使用して製造された本明細書に記載のコンドームの例示的な特性を示す。
【表5】
【表6】
【表7】
A ISO23409:2011、ISO4074:2015、及びASTM D3492-16に準拠した試験。
B ATR及び熱分解FFIRの両方を使用した。次いで、
13C NMR分析を行って、シス異性体のレベル及びトランス又は3,4異性体の証拠を特異的に調べた。
13C NMR分析は、30度のパルス、3秒のパルス遅延、及び40,000のパルスによって、d-クロロホルム中のいくつかの溶媒膨潤ストリップ上で行われた。
13C NMRスペクトルは、シス1,4ポリイソプレンに関連するピークのみを示した。
C コーティングされていないコンドーム。元素分析は、SS EN ISO17294-1:2004、ISO17294-2:2016(修正)及びUS EPA Method200.8 Revision5.4,1994(修正)に従って行われ、質量分析計(ICP-SFMS)によるICP-MSを利用するように修正された。
【0091】
分子量分布を測定し、架橋密度を計算する方法では、コンドーム試料から円板を切断し、平衡になるまで円板状試料をトルエンで膨潤させる必要がある。円板は、最初に秤量され、膨潤した後、再び秤量される。膨潤ゴムの平衡体積分率(V
r)は、以下の式を用いて計算した。この式では、P
rはゴムの密度(0.92g/cm
3)であり、P
sはトルエンの密度(0.862g/cm
3)であり、W
rは膨潤前のゴムの重量であり、W
sは膨潤したゴムの重量である。
【数1】
【0092】
体積分率を以下に示すフローリー・レーナーの方程式で使用して、架橋密度を計算した。この式において、nは架橋密度であり、V
sは膨潤溶媒であるトルエンのモル体積であり、106.3cm
3/molであり、V
rは膨潤ゲル中のゴム相の体積分率であり、χはトルエン-シスポリソプレン相互作用パラメータであり、0.39である。
【数2】
【0093】
架橋間分子量は、以下の式によって計算した。
【数3】
【0094】
以下に示される表6は、本開示の実施形態に従って製造された合成ポリイソプレンコンドームのいくつかについて、架橋間の測定された分子量及び対応する架橋密度を報告する。架橋間分子量が高いほど、架橋密度が低くなる。
【0095】
提示されたデータは、本開示のプロセスが、架橋間に非常に一貫した分子量を有する合成ポリイソプレンコンドームをもたらし、適切な機械的特性を有するコンドームを提供することを示す。本実施形態に従うコンドームの架橋間分子量(M
c)は、6,540g/molであり得る。本実施形態に従う架橋密度は、0.000141mol/cm
3であり、これは、0.000159mol/cm
3の架橋密度を有する天然ゴムの架橋密度に匹敵する。
【表8】
【0096】
図2Aは、コンドームの表面の第1の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示し、
図2Bは、本開示の実施形態による、
図2Aの注釈付きバージョンである。
図3は、本開示の実施形態による、コンドームの表面の第2のTEM画像を示す。
図4は、本開示の実施形態による、コンドームの表面の第3のTEM画像を示す。
図5は、本開示の実施形態による、コンドームの表面の第4のTEM画像を示す。
図6は、本開示の実施形態による、コンドームの表面の第5のTEM画像を示す。
図7Aは、コンドームの表面の第6のTEM画像を示し、
図7Bは、本開示の実施形態による、
図7Aの注釈付きバージョンである。
【0097】
図2A、
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7AのTEM画像で研究したコンドームは、以下のように調製した。各コンドームをプロパン-2-オールで洗浄して潤滑剤を除去して、次いで少量のタルクを含有するプロパン-2-オールに浸して接着を防止し、それによって取り扱いを容易にした。次いで、コンドームを空気乾燥した。平行な2枚刃のカッターを使い、刃の間隔を公称10mmにして、コンドームから多数の環を切断した。これらの環は、2つの分析方法、すなわちTEMによるネットワーク可視化及び平衡膨潤によるV
r測定に使用される。
【0098】
ネットワークの可視化のために、まずコンドームの断片をソックスレー抽出器内で高温のアセトンを使って一晩抽出した。その後、試料を乾燥させ、1重量%の過酸化ベンゾイル開始剤及び2重量%のジブチルフタレート可塑剤を含有するスチレン溶液中で平衡まで膨潤させ、切片化を助けた。次いで、膨潤したフィルムを、過剰なスチレン溶液を含むカプセルに入れ、スチレンが完全に重合し、良好な切片を生成するのに十分に硬くなるまで、50~55℃で加熱した。
【0099】
試料の超薄切片を、ダイヤモンドナイフを使用して、室温で超微細切除によって調製した。切片を水で満たされた槽上で収集し、次いで、TEMグリッド上で収集する前に、キシレン蒸気で伸ばさせた。次いで、全ての切片を四酸化オスミウム蒸気で7分間染色した。四酸化オスミウムは、炭素-炭素二重結合と反応し、それによって、不飽和基を含有する高分子化合物の電子密度を増加させる。したがって、ポリイソプレンなどの不飽和高分子化合物は、ポリスチレンと比較して、TEMで暗く見える。
【0100】
ラテックス粒子内のゴムは、架橋されており、したがってスチレン膨潤ゴムネットワークを生成している。ゴムネットワークは、ラテックス粒子の内部、及びラテックス粒子の間にも見える。ゴムラテックス粒子は、拡散境界を有するが、識別することができる。これは、これらの領域におけるスチレン膨潤によって引き起こされる、ラテックス粒子の分離に抵抗する傾向があることを示す。ゴムネットワークが弱く、スチレンが構造に浸透している領域である、ポリスチレン「隙間」もある。いくつかの隙間には、より電子密度の高い物質の小さな暗い粒子が含まれている。粒子なしで観察された隙間において、粒子が顕微鏡写真切片の平面の上又は下にあった可能性がある。
【0101】
スケールバー寸法の不確実性は、全てのTEM顕微鏡写真で±10%である。
【0102】
図2Bは、形状205、210、215、220、225、230、及び235によって注釈される、5マイクロメートル(μm)のスケールを有し、PI粒子の輪郭を示す。架橋は、厚さ全体にわたって実質的に均一である。
【0103】
図7Bは、形状240及び245によって注釈される、1マイクロメートル(μm)のスケールを有し、PI粒子の輪郭を示す。架橋は、厚さ全体にわたって実質的に均一である。
【0104】
例示的な実施例
本開示は、以下の例示的な実施形態の1つ以上に依存し得る。
【0105】
実施形態(a).高分子化合物製品であって、エラストマー層を含み、エラストマー層は早期加硫硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、早期加硫硬化合成ポリイソプレン粒子は複数の硫黄架橋及び希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、希土類触媒化ポリイソプレン材料は97.0重量%超のシス-1,4異性体成分及び0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の希土類元素成分を含み、合成ポリイソプレン粒子は早期加硫される、高分子化合物製品。
【0106】
実施形態(b).希土類触媒化ポリイソプレン材料は、シス-1,4異性体成分を97.75重量%以上、97.50重量%以上、98.00重量%以上、98.25重量%以上、98.50重量%以上、98.75重量%以上、99.00重量%以上、又は99.25重量%以上含む、実施形態(a)に記載の高分子化合物製品。
【0107】
実施形態(c).シス-1,4異性体成分は、約99.5重量%以上である、実施形態(a)又は(b)に記載の高分子化合物製品。
【0108】
実施形態(d).希土類触媒化ポリイソプレン材料は、0.50重量%以下のトランス-1,4異性体成分、任意選択的に、ほぼ、0.50、0.45、0.40、0.35、0.30、0.25、0.20、0.15又は0.10重量%、それ未満、又はほぼそれ未満のトランス-1,4異性体成分を含む、実施形態(a)~(c)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0109】
実施形態(e).希土類触媒化ポリイソプレン材料は、3.00重量%以下の3,4異性体成分、任意選択的に、ほぼ、3.00、2.75.2.50、2.25、2.00、1.75、1.50、1.25、1.00、0.75又は0.50重量%、それ未満、又はほぼそれ未満の3,4異性体成分を含む、実施形態(a)~(d)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0110】
実施形態(f).製品は、約0.050~約0.075mmの範囲内、約0.050~約0.065mmの範囲内、約0.060~約0.075mmの範囲内、約0.030~約0.065の範囲内、約0.030~約0.075の範囲内の厚さ、又はほぼ、0.075、0.070、0.065、0.060、0.055、若しくは0.050、0.045、0.040、0.035、若しくは0.030mmの、若しくはほぼそれ未満の厚さを有する、実施形態(a)~(e)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0111】
実施形態(g).エラストマー層は、10750、10500、10250、10000、9750、9500、9250、9000、8800、8600、8400、8200、8000、7800、7600、7400、7200、7000、6900、6800、6700、6600、若しくは6550g/mol未満、ほぼそれ未満、又は6540g/mol未満、若しくは約6540g/mol未満の架橋間分子量(Mc)を有する後加硫構造を含む、実施形態(a)~(f)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0112】
実施形態(h).合成ポリイソプレン粒子は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、若しくは2.0マイクロメートルと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、若しくは少なくともほぼそれ、又はおおよそ1マイクロメートルからの中央値又は最大中央値粒子直径を有する、実施形態(a)~(g)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0113】
実施形態(i1).合成ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子内架橋及びポリイソプレン粒子間架橋を介して、互いに結合される、実施形態(a)~(h)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0114】
実施形態(i2).高分子化合物製品は、手袋及びコンドームから任意選択的に選択される個人用保護具である、実施形態(a)~(i2)のいずれか1つに記載の高分子化合物製品。
【0115】
実施形態(j).コンドームであって、エラストマー層を含み、エラストマー層は硬化合成ポリイソプレン粒子を含み、硬化合成ポリイソプレン粒子は早期加硫されて硫黄架橋を含み、合成ポリイソプレン粒子は希土類触媒化ポリイソプレン材料を含み、希土類触媒化ポリイソプレン材料は97.0重量%を超えるシス-1,4異性体成分と、1重量%以下のトランス-1,4異性体成分と、1重量%以下の3,4異性体成分と、を含む、コンドーム。
【0116】
実施形態(k).エラストマー層は、開放端、閉鎖端、及び閉鎖端から開放端に延在する管状シースを形成する、実施形態(j)に記載のコンドーム。
【0117】
実施形態(l).希土類触媒化ポリイソプレン材料は、分岐マクロ構造を含む、実施形態(j)又は(k)に記載のコンドーム。
【0118】
実施形態(m).エラストマー層は、10750、10500、10250、10000、9750、9500、9250、9000、8800、8600、8400、8200、8000、7800、7600、7400、7200、7000、6900、6800、6700、6600、若しくは6550g/mol未満、若しくはほぼそれ未満、又は6,540g/mol未満、若しくは約6,540g/mol未満の架橋間分子量(Mc)を有する後加硫構造を含む、実施形態(j)~(l)のいずれか1つに記載のコンドーム。
【0119】
実施形態(n).合成ポリイソプレン粒子は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、若しくは2.0マイクロメートルと同じ、ほぼそれと同じ、少なくともそれ、若しくは少なくともほぼそれ、又はおおよそ1マイクロメートルからの中央値又は最大中央値粒子直径を有する、実施形態(j)~(m)のいずれか1つに記載のコンドーム。
【0120】
実施形態(o).高分子化合物製品を製造するための方法であって、97.0重量%を超えるシス-1,4異性体成分を含む希土類触媒化ポリイソプレン材料を含むエマルションを早期加硫することと、希土類触媒化ポリイソプレン材料を含むエマルションのエラストマーコーティングを型に配置することと、エラストマーコーティングを硬化させて、高分子化合物製品のエラストマー層を形成することとを含み、エラストマー層は、硫黄によって架橋された硬化合成ポリイソプレン粒子と、0.1mg/kg以上かつ100mg/kg以下の希土類元素成分とを含む、方法。
【0121】
実施形態(p).高分子化合物製品は、コンドームを含み、エラストマー層は、開放端、閉鎖端、及び閉鎖端から開放端に延在する管状シースを形成する、実施形態(o)に記載の方法。
【0122】
実施形態(q).硬化合成ポリイソプレン粒子は、ポリイソプレン粒子内硫黄架橋及びポリイソプレン粒子間硫黄架橋の両方を含む、実施形態(o)又は(p)に記載の方法。
【0123】
実施形態(r).エマルションが型に配置される前に、後加硫組成物をエマルションに加える、実施形態(o)~(q)のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
実施形態(s).実施形態(o)~(r)のいずれか1つに記載の方法によって製造された、製品。
【0125】
実施形態(t).製品はコンドームである、実施形態(a)~(i2)又は(s)のいずれか1つに記載の製品。
【0126】
理解を容易にするために、同一の参照番号が、可能であれば、図面に共通する同等の要素を指定するために使用されている。図面は、縮尺通りに描かれておらず、明確にするために簡略化され得る。一実施形態の要素及び特徴は、更なる列挙なしに、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが期待される。
【0127】
本明細書に記載の実施形態に対する様々な変更及び修正が当業者には明らかであることを理解されたい。そのような変更及び修正は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、及び付随する利点を消滅させることなく行うことができる。したがって、そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0128】
本開示の広範な一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対して多数の変更及び/又は修正が行われ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【国際調査報告】