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特表2024-509171環境内における位置決定システムのコンポーネント位置の決定
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  • 特表-環境内における位置決定システムのコンポーネント位置の決定 図1
  • 特表-環境内における位置決定システムのコンポーネント位置の決定 図2
  • 特表-環境内における位置決定システムのコンポーネント位置の決定 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】環境内における位置決定システムのコンポーネント位置の決定
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240221BHJP
【FI】
G01S5/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553502
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 GB2022050550
(87)【国際公開番号】W WO2022185053
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】2102939.2
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523334028
【氏名又は名称】ユビセンス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UBISENSE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】カーウェン・ルパート・メルドラム
(72)【発明者】
【氏名】ステグレス・ピーター・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォード・アンドリュー・マーティン・ロバート
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062CC12
5J062CC14
5J062FF02
(57)【要約】
【課題】位置決定システムのコンポーネントの、環境内での位置を決定する方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は:(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および環境内の物体で反射された信号を受信することで前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに(ii)前記コンポーネントへの信号の送信または前記コンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、を含む測量装置を用意する過程と;前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で前記測量装置を移動させる過程と;1つ以上のプロセッサに、(i)前記環境の前記三次元マップを作成する手順、および(ii)センサが受信したか又は前記センサから受信したデータを前記マップに関連付ける手順であって、それにより、前記センサの位置を求める手順、を実行させる過程と;を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決定システムの1つ以上のコンポーネントの、環境内での位置を決定する方法であって、
測量装置を用意する過程であって、前記測量装置が:
(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および前記環境内の物体で反射された信号を受信することで、前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに
(ii)前記1つ以上のコンポーネントへの信号の送信または前記1つ以上のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、
を含む、過程と、
前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で前記測量装置を移動させる過程と、
1つ以上のプロセッサに、
(i)前記環境の前記三次元マップを作成する手順、および
(ii)前記1つ以上のコンポーネントが受信したか又は前記1つ以上のコンポーネントから受信したデータを前記マップに関連付ける手順であって、それにより、前記1つ以上のコンポーネントの位置を決定する手順、
を実行させる過程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記関連付ける手順は、前記1つ以上のコンポーネントが受信したか又は前記1つ以上のコンポーネントから受信した、前記測量装置が複数の位置にあるときに得られた前記信号の1つ以上の信号特性を経時的に比較する副手順を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記1つ以上の信号特性が:前記1つ以上のコンポーネントが信号を受信した時刻または前記1つ以上のコンポーネントからの信号を受信した時刻;前記1つ以上のコンポーネントが受信した信号の飛行時間または前記1つ以上のコンポーネントから受信した信号の飛行時間;2つの異なる受信器で受信した信号同士の到着時刻の差;および前記1つ以上のコンポーネントが信号を受信した方向または前記1つ以上のコンポーネントからの信号を受信した方向;のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法において、前記測量装置がクロックを有し、前記1つ以上のコンポーネントがそれぞれクロックを有し、前記1つ以上のコンポーネントについて、前記測量装置が有する前記クロックと該コンポーネントが有する前記クロックとのタイミングオフセットが既知である、方法。
【請求項5】
請求項2または3に記載の方法において、前記測量装置がクロックを有し、前記1つ以上のコンポーネントがそれぞれクロックを有し、当該方法は、さらに、
前記1つ以上のコンポーネントについて、前記測量装置が有する前記クロックと該コンポーネントが有する前記クロックとのタイミングオフセットを決定する過程、
を備える、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記測量装置が有する前記クロックと前記コンポーネントが有する前記クロックとのタイミングオフセットを決定する過程が、
タイミングオフセットについての推定値を複数表したヒストグラムを管理する副過程であって、タイミングオフセットの各推定値に対し、
前記コンポーネントが受信したか又は前記コンポーネントから受信した信号の1つ以上の特性の測定値が実質同一となる2つの時間上事例を特定し、
前記測量装置の位置または経路軌跡が実質同一となる2つの時間上事例を特定し、
前記コンポーネントが有する前記クロックによる、信号特性の上記2つの事例間での時間差が、前記測量装置が有する前記クロックによる、位置または経路軌跡の上記2つの事例間での時間差と実質同一であるとの判定に応じて、前記ヒストグラムのビンのうち、前記コンポーネントが有する前記クロックによる、信号特性の上記2つの事例のうちの一方と、前記測量装置が有する前記クロックによる、位置または経路軌跡の上記2つの事例のうちの一方との時間差がタイミングオフセットの推定値を表すビンの値を増やすことによって、前記ヒストグラムの管理を行う副過程、および
管理された前記ヒストグラムに応じて、前記測量装置が有する前記クロックと前記コンポーネントが有する前記クロックとの間のタイミングオフセットを決定する副過程、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、関連付ける手順が、さらに、前記1つ以上のコンポーネントについて、該コンポーネントの向きについての少なくとも1つの特徴を求める副手順を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記関連付ける手順は、前記コンポーネントの向きについてのヨー特徴を求める副手順を含む、方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法において、前記コンポーネントの向きについてのロール特徴および/またはピッチ特徴が、前記コンポーネントに関連付けられた方位センサによって求められる、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法において、前記関連付ける手順が、さらに、前記位置決定システムの前記1つ以上のコンポーネントについて、該コンポーネントと前記位置決定システムの別のコンポーネントとの間の、該コンポーネントが有するクロックと前記別のコンポーネントが有するクロックとを同期させるのに用いられるネットワークの信号伝播遅延に起因したタイミングオフセットを求める副手順を含む、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記1つ以上のコンポーネントについて求められた位置を精密化する過程であって、前記コンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントについて、
前記コンポーネントの位置を仮決定し、
前記三次元マップのうちの、少なくとも仮決定した位置の領域の中から、前記コンポーネントの形状に対応する形状を検索し、
前記三次元マップ内における前記形状の位置を、前記コンポーネントについて決定された位置として採用することによって、位置を精密化する過程、
を備える、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法において、前記測量装置が自律移動する、方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法において、前記1つ以上のコンポーネントが、前記測量装置に取り付けられた送信器からの信号を受信するように構成されたセンサであるか、あるいは、前記1つ以上のコンポーネントが、前記測量装置に取り付けられたセンサに信号を送信するように構成された送信器であるか、あるいは、前記1つ以上のコンポーネントが、前記測量装置に取り付けられた検出器に向けて信号を反射するように構成されたパッシブマーカである、方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法において、前記1つ以上のコンポーネントの絶対位置が決定されるか、あるいは、前記1つ以上のコンポーネントの相対位置が決定される、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記1つ以上のコンポーネントの相対位置が、前記位置決定システムの前記コンポーネントのうちの1つを基準として、あるいは、前記測量装置の開始位置を基準として決定される、方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記1つ以上のコンポーネントについて決定された位置をユーザが確認または調節することが可能なユーザインターフェースを用意する過程、
を備える、方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法において、前記信号が無線信号である、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記信号が超広帯域無線信号である、方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法において、当該方法が、前記位置決定システムのうちの複数のコンポーネントの、前記環境内での位置を決定する方法であり、前記通信副系統が、前記複数のコンポーネントへの信号の送信または前記複数のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成されており、前記1つ以上のプロセッサが、前記複数のコンポーネントが受信したか又は前記複数のコンポーネントから受信したデータを前記マップに関連付けることによって前記複数のコンポーネントの位置を決定する、方法。
【請求項20】
位置決定システムの1つ以上のコンポーネントの、環境内での位置を決定するように構成されたシステムであって、
(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および前記環境内の物体で反射された信号を受信することで、前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに
(ii)前記1つ以上のコンポーネントへの信号の送信または前記1つ以上のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、
を含み、前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で移動するように構成された測量装置と、
(i)前記環境の前記三次元マップを作成し、かつ、
(ii)前記1つ以上のコンポーネントが受信したか又は前記1つ以上のコンポーネントから受信したデータを前記マップに関連付けることによって前記1つ以上のコンポーネントの位置を決定する、
ように構成された1つ以上のプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項21】
位置決定システムの複数のコンポーネントの、環境内での位置を決定する方法であって、
測量装置を用意する過程であって、前記測量装置が:
(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および前記環境内の物体で反射された信号を受信することで、前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに
(ii)前記複数のコンポーネントへの信号の送信または前記複数のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、
を含む、過程と、
前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で前記測量装置を移動させる過程と、
1つ以上のプロセッサに、
(i)前記環境の前記三次元マップを作成する手順、および
(ii)前記複数のセンサが受信したか又は前記複数のセンサから受信したデータを前記マップに関連付ける手順であって、それにより、前記複数のセンサの位置を求める手順、
を実行させる過程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境内の物体の特性測定評価に関する。一例として、該物体は位置決定システムの送信器、受信器、パッシブマーカ等であり得る。
【背景技術】
【0002】
図1に、位置決定システムの一形態を示す。本システムは、環境内における固定された既知の位置に設けられた複数のセンサ1を有する。同例において、該環境は部屋である。本システムは、さらに、送信器2を有する。該送信器は、上記環境内での位置が追跡されるユニット3によって運搬される。センサ1は、送信器2からの信号を受信する。本システムは、該センサの位置が既知であるため、例えば、該センサに上記送信器からの信号が到着した時刻や角度を用いることで、上記送信器の位置を決定できる。
【0003】
この種のシステムを設置する際には、上記センサが上記環境内の適切な構造体に取り付けられる。次に、上記センサの位置を特定済みとするためのデータを収集する必要がある。同データは、送信器の位置を決定するのに今後利用されるデータである。同データの収集には、時間がかかり得る。一般的には、レーザ三角測量法で1つ以上の基準点から上記センサの距離及び方向を測定して上記環境を測量することによって行われる。
【0004】
上記の例では、上記センサが固定位置にあるのに対し、上記送信器は移動可能となっている。それ以外のアプローチも可能である。例えば、上記送信器を固定位置とするのに対し、位置を追跡されるユニットによって上記センサが運搬されるようにしてもよい。さらなる別のアプローチとして、上記環境内にパッシブマーカを固定すると共に、位置を追跡されるユニットに該パッシブマーカの認識が可能な検出器を運搬させるというアプローチもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置がどの場所に位置しているのかを決定するための環境測量方法の改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、添付の特許請求の範囲に記載の方法が提供される。他の態様では、添付の特許請求の範囲に記載のシステムが提供される。以下の説明で述べるその他の構成については、本明細書で本発明の態様としてそれぞれ明記されているか否かに関係なく、請求項に記載されてよいものとする。
【0007】
提供するのは、位置決定システムの1つ以上のコンポーネントの、環境内での位置を決定する方法である。本方法は、
測量装置を用意する過程であって、前記測量装置が:
(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および前記環境内の物体で反射された信号を受信することで、前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに
(ii)前記1つ以上のコンポーネントへの信号の送信または前記1つ以上のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、
を含む、過程と、
前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で前記測量装置を移動させる過程と、
1つ以上のプロセッサに、
(i)前記環境の前記三次元マップを作成する手順、および
(ii)前記1つ以上のコンポーネントが受信したか又は前記1つ以上のコンポーネントから受信したデータを前記マップに関連付ける手順であって、それにより、前記1つ以上のコンポーネントの位置を決定する手順、
を実行させる過程と、
を備える。
【0008】
前記関連付ける手順は、前記1つ以上のコンポーネントが受信したか又は前記1つ以上のコンポーネントから受信した、前記測量装置が複数の位置にあるときに得られた前記信号同士について、該信号の1つ以上の信号特性を経時的に比較する副手順を含み得る。
【0009】
前記1つ以上の信号特性は:前記1つ以上のコンポーネントが信号を受信した時刻または前記1つ以上のコンポーネントからの信号を受信した時刻;前記1つ以上のコンポーネントが受信した信号の飛行時間または前記1つ以上のコンポーネントから受信した信号の飛行時間;2つの異なる受信器で受信した信号同士の到着時刻の差;および前記1つ以上のコンポーネントが信号を受信した方向または前記1つ以上のコンポーネントからの信号を受信した方向;のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0010】
前記測量装置は、クロックを有し得る。前記1つ以上のコンポーネントは、それぞれクロックを有し得る。前記1つ以上のコンポーネントのうちのコンポーネントについて、前記測量装置が有する前記クロックと該コンポーネントが有する前記クロックとのタイミングのオフセットは既知であり得る。
【0011】
前記測量装置は、クロックを有し得る。前記1つ以上のコンポーネントは、それぞれクロックを有し得る。本方法は、さらに、前記1つ以上のコンポーネントのうちのコンポーネントについて、前記測量装置が有する前記クロックと該コンポーネントが有する前記クロックとのタイミングオフセットを決定する過程、を備え得る。
【0012】
前記測量装置が有する前記クロックと前記コンポーネントが有する前記クロックとのタイミングオフセットを決定する過程は、
タイミングオフセットについての推定値を複数表したヒストグラムを管理する副過程であって、タイミングオフセットの各推定値ごとに、
前記コンポーネントが受信したか又は前記コンポーネントから受信した信号の1つ以上の特性の測定値が実質同一となる2つの時間上事例を特定し、
前記測量装置の位置または経路軌跡が実質同一となる2つの時間上事例を特定し、
前記コンポーネントが有する前記クロックによる、信号特性の上記2つの事例間での時間差が、前記測量装置が有する前記クロックによる、位置または経路軌跡の上記2つの事例間での時間差と実質同一であるとの判定に応じて、前記ヒストグラムのビンのうち、前記コンポーネントが有する前記クロックによる、信号特性の上記2つの事例のうちの一方と、前記測量装置が有する前記クロックによる、位置または経路軌跡の上記2つの事例のうちの一方との時間差がタイミングオフセットの推定値を表すビンの値を増やすことによって、前記ヒストグラムの管理を行う副過程、および
管理された前記ヒストグラムに応じて、前記測量装置が有する前記クロックと前記コンポーネントが有する前記クロックとの間のタイミングオフセットを求める副過程、
を含み得る。
【0013】
関連付ける手順は、さらに、前記1つ以上のコンポーネントのうちのコンポーネントについて、該コンポーネントの向きについての少なくとも1つの特徴を求める副手順を含み得る。
【0014】
関連付ける手順は、前記コンポーネントの向きについてのヨー特徴を求める副手順を含み得る。
【0015】
前記コンポーネントの向きについてのロール特徴および/またはピッチ特徴は、前記コンポーネントに関連付けられた方位センサによって求められ得る。
【0016】
関連付ける手順は、さらに、前記位置決定システムの前記1つ以上のコンポーネントのうちのコンポーネントについて、該コンポーネントと前記位置決定システムの別のコンポーネントとの間の、該コンポーネントが有するクロックと前記別のコンポーネントが有するクロックとを同期させるのに用いられるネットワークの信号伝播遅延に起因したタイミングオフセットを求める副手順を含み得る。
【0017】
本明細書に記載の方法は、さらに、前記1つ以上のコンポーネントについて求められた位置を精密化する過程であって、同コンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントについて、該コンポーネントの位置を仮決定し、前記三次元マップのうちの、少なくとも仮決定した位置の領域の中から、前記コンポーネントの形状に対応する形状を検索し、前記三次元マップ内における前記形状の位置を、前記コンポーネントについて求められた位置として採用することによって、位置の精密化を行う過程、を備え得る。
【0018】
前記測量装置は、自律移動し得る。
【0019】
前記1つ以上のコンポーネントは、前記測量装置に取り付けられた送信器からの信号を受信するように構成されたセンサであり得る。あるいは、前記1つ以上のコンポーネントは、前記測量装置に取り付けられたセンサに信号を送信するように構成された送信器であり得る。あるいは、前記1つ以上のコンポーネントは、前記測量装置に取り付けられた検出器に向けて信号を反射するように構成されたパッシブマーカであり得る。
【0020】
前記1つ以上のコンポーネントの位置は、絶対位置として決定されてもよいし、相対位置として決定されてもよい。
【0021】
前記1つ以上のコンポーネントの相対位置は、前記位置決定システムの同コンポーネントのうちのひとつを基準として、あるいは、前記測量装置の開始位置を基準として決定され得る。
【0022】
本明細書に記載の方法は、さらに、前記1つ以上のコンポーネントについて決定された位置をユーザが確認または調節することが可能なユーザインターフェースを用意する過程、を備え得る。
【0023】
前記信号は、無線信号であり得る。前記信号は、超広帯域無線信号であってもよい。
【0024】
本方法は、前記位置決定システムの複数のコンポーネントの、前記環境内での位置を決定する方法であり得て、前記通信副系統は、前記複数のコンポーネントへの信号を送信または前記複数のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成され得て、前記1つ以上のプロセッサは、前記複数のコンポーネントが受信したか又は前記複数のコンポーネントから受信したデータを前記マップに関連付けることによって前記複数のコンポーネントの位置を決定できる。
【0025】
その他に提供されるのは、位置決定システムの1つ以上のコンポーネントの、所定の環境内での位置を決定するように構成されたシステムである。本システムは、
(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および前記環境内の物体で反射された信号を受信することで、前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに
(ii)前記1つ以上のコンポーネントへの信号の送信または前記1つ以上のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、
を含み、前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で移動するように構成された測量装置と、
(i)前記環境の前記三次元マップを作成し、かつ、
(ii)前記1つ以上のコンポーネントが受信したか又は前記1つ以上のコンポーネントから受信したデータを前記マップに関連付けることによって前記1つ以上のコンポーネントの位置を決定する、
ように構成された1つ以上のプロセッサと、
を備える。
【0026】
その他に提供されるのは、一例であるが、位置決定システムの複数のコンポーネントの、環境内での位置を決定する方法である。本方法は、
測量装置を用意する過程であって、前記測量装置が:
(i)送信器および受信器を有し、前記受信器から送られた信号および前記環境内の物体で反射された信号を受信することで、前記環境の形状の三次元マップを生成することが可能に構成された測距副系統、ならびに
(ii)前記複数のコンポーネントへの信号の送信または前記複数のコンポーネントからの信号の検出を行うように構成された通信副系統、
を含む、過程と、
前記測距副系統および前記通信副系統を作動させながら前記環境内で前記測量装置を移動させる過程と、
1つ以上のプロセッサに、
(i)前記環境の前記三次元マップを作成する手順、および
(ii)前記複数のセンサが受信したか又は前記複数のセンサから受信したデータを前記マップに関連付ける手順であって、それにより、前記複数のセンサの位置を決定する手順、
を実行させる過程と、
を備える。
【0027】
本方法は、さらに、前記複数のセンサについて求められた位置を精密化する過程であって、同センサのうちの少なくとも1つのセンサについて、
該センサの位置を仮決定し、
前記三次元マップのうちの、少なくとも仮決定した位置の領域の中から、前記センサの形状に該当する形状を検索し、
前記三次元マップ内における前記形状の位置を、前記センサについて求められた位置として採用することによって、位置を精密化する過程、
を備え得る。
【0028】
以下では、添付の図面を参照しながら、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】位置決定システムの概要を示す図である。
図2】測量作業時の位置決定システムの概略図である。
図3】測量装置およびデータ処理部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図2に、センサ装置1が設置された環境を示す。これらのセンサの位置は、測量装置10によって決定される。該測量装置は、移動可能なユニットである。該測量装置は、前記環境の形状のマップを生成することが可能な走査部11を具備する。該走査部は、任意の適切な種類のものであり得る。一例として、レーザスキャナ、LIDARユニット等が挙げられる。前記測量装置は、前記環境を移動し回る。移動している際に、前記環境の形状を走査する。また、前記測量装置は、送信器18を運搬する。送信器18は、センサ1にて検出が可能な信号を送信する。本明細書では、送信器のことをタグと称する場合がある。送信器は、超広帯域無線信号(例えば、UWB信号等)などの無線信号を送信し得る。送信器18からの通信を受け取ることで前記センサが検出した情報は、前記走査部が収集した情報と関連付けられる。これにより、前記センサの位置を決定できる。
【0031】
詳細を説明すると、図2には、センサ1が設置された環境が描かれている。前記センサは、該環境における不動の部材に接着剤か、または、ねじのような物理的な連結手段で取り付けられ得る。このような部材の例としては、壁4、天井、固定位置の機械などが挙げられる。実際の環境では、一部のセンサが特定の場所から見えなくなることが予想され得る。例えば、図2のセンサ1’は、場所によっては、物体5で見えなる場合がある。前記センサを位置決定システムとして機能させるために、該センサの位置が既知であることが望ましい。位置決定システムのなかには、一部又は全てのセンサ1の位置が分かっていなくても物体の位置を推定できるものがあるが、センサの位置が分かっていれば、センサ以外の物体の位置をより早く又はより正確に決定することができる。前述したような種類の位置決定システムは、センサ同士が互いに協働することで実現される(図1参照)。各センサ1は、位置を把握したい対象であるユニットが運搬する送信器からの信号を受信する。信号を受信したセンサは、受信した信号の特性を検出する。このような特性の一例は、信号を受信した時刻である。該信号が送信された時刻が既知であれば、例えば、送信器のクロックと受信センサのクロックとの間のオフセットが既知となることで、該信号がそのセンサに到着するまでの時間を推定することが可能になる。これにより、該送信器から該センサまでの距離を知ることができる。あるいは、信号の送信時刻が既知でなくとも、(クロックのオフセットが分かっている)2つの受信センサ間での該信号の相対的な到着時間(「到着時刻差」)により、送信器からこれら2つの各センサまでの距離の差の指標(「擬似距離」)を知ることができる。上記特性の他の例としては、送信信号の受信方向が挙げられる。これは、フェーズド受信アンテナアレイやその他のメカニズムによって推定され得る。各センサは、互いにおよび/またはサーバと通信を行うことにより、センサ同士が収集したデータの集約が可能であり得る。一つの送信器についての複数のセンサによる距離及び/又は擬似距離及び/又は方向の推定値が、各センサの既知の位置に基づいて統合されることにより、同送信器の位置の推定が得られる。
【0032】
図3に、測量装置10の詳細を示す。前記測量装置は、走査部11、プロセッサ14、メモリ15、バッテリ16、インターフェース17および送信器18を具備する。
【0033】
本例の走査部11は、LIDARスキャナとして知られることもあるレーザスキャナである。該レーザスキャナは、1つ以上のレーザ発光部12および1つの以上のレーザ受光部13を有する。前記レーザ発光部の発光は、パルス状であってもよいし、経時的に変化するものであってもよい。これにより、発光部12からの通信が前記環境内の物体で反射されて受光部13で受光されることで、その往復に要した時間の推定が可能となる。これにより、前記環境内の該物体までの距離が分かる。該発光部12又は各発光部12の発光方向は、経時的に変化する。これを実現するために、前記走査部は、測量装置10の本体に対して回転するようにモータで駆動され得る。前記走査部による距離の各測定値は、前記環境内で光が反射された地点を表す。時間とともに、前記走査部はこのような測定値を多数蓄積し得る。これらは、前記環境内の物体を含む、前記環境の三次元物理形状を表す空間点群を構成する。
【0034】
前記測量装置は、運搬可能なものである。前記測量装置は、前記環境を移動し回ることが可能なものとされる。例えば、前記測量装置は、車輪付きの台車に搭載してユーザが押すことが可能なものであってもよいし、自律移動が可能なものであってもよい。あるいは、バックパックのような、ユーザが身につけることが可能な物品に前記測量装置を保持させるようにしてもよい。前記測量装置は移動が可能なので、複数の位置から前記環境の形状を収集することが可能である。その結果の一つとして、前記環境のうちの、例えば物体5のように一部の場所から見えない部分のイメージ化が可能となる。別の結果として、様々な場所における空間点群が蓄積されることにより、これらを相関させて精度を上げることが可能となる。前記測量装置が移動するにつれて、収集される空間点群の特徴と、その時点までに収集した空間点群の特徴との比較が可能となる。これにより、前記測量装置の動きの推定が可能となり得る。この動き推定は、前記測量装置に任意の構成要素として含まれ得る加速度センサからの情報と組み合わされることで向上し得る。バッテリ16は、前記測量装置が移動し回る際の動力を供給する。
【0035】
メモリ15は、プロセッサ14が自身の機能を実施するために該プロセッサ14で実行が可能な命令を非過渡的に記憶している。同機能には、空間走査部11の制御、該空間走査部から受け取ったデータの処理、および該空間走査部から受け取ったデータの遠隔処理を目的とするインターフェース17を介した送信が含まれ得る。
【0036】
データ処理装置20が設けられる。データ処理装置20は、プロセッサ21およびメモリ22を有する。該メモリは、プロセッサ21が自身の機能を実施するために該プロセッサ21で実行が可能な命令を非過渡的に記憶している。前記データ処理装置は、前記測量装置およびセンサ1からのデータを受け取り得る。前記データ処理装置は、該データを統合することによって前記センサの位置を推定する。該推定は、送信器2の位置を推定するのに後で利用され得る。
【0037】
送信器2の位置は、様々な方法で特定され得る。一例を示すと:
1.各送信器は、信号を随時送信する。該信号は、非連続通信の一部であってもよいし、連続通信または拡張通信に含まれるデータであってもよい。該信号は、例えば無線等でワイヤレスに送信される。該信号は、複数のセンサで受信される。各センサが信号を受信した時刻は、送信器からの各センサの距離に影響される。
2.信号を受信した各センサは、送信器からの該信号の到着時刻を測定する。
3.位置が既知である別々のセンサでの同じ送信器の信号の到着時刻を比較することで、送信器の位置の推定が可能となる。これを実現するために、該センサ同士のクロックが互いに同期済みとされ得るか、または互いのクロック間のオフセットが明らかにされ得る。あるいは、各センサが信号の受信を即座に中央装置に報告して該中央装置が報告元のセンサと該中央装置との間の信号遅延についての事前情報から到着時刻を推定するようにしてもよい。一例として、各センサのクロック同士が完全に同期済みでタイミングオフセットがゼロに固定されている場合を考える。送信器からの信号がセンサAとセンサBに同時に到着したとの測定結果になった場合、その送信器はAとBから等距離にあると推測され得る。実際のところ、センサ同士の同期は、有線ネットワークを介して(何らかのタイミングソースから)各センサに分配される信号によって行われる。これは、必ずしも、中央の何らかの場所からの「スター型接続」ネットワークでなくてもよい。あるセンサから次のセンサへの「デイジーチェーン型接続」であってもよいし、「スター型接続」と「デイジーチェーン型接続」との任意の何らかのかたちの組合せであってもよい。分散型のクロックソースでは、センサクロックの周波数同士が確実に互いにロックされるようになっている(すなわち、クロック同士が同じ速度で「ティック」を生じる)。しかし、タイミング用ケーブルに沿った(有限の速度での信号伝播による)信号の遅延により、別々のセンサのクロック間には一定のオフセットが発生してしまう。これは、位置計算における追加の不確定要素となり得る。例えば、タグがセンサAとセンサBから等距離にあるとする。センサAのクロックとセンサBのクロックは、相異なる遅延(遅延dAおよび遅延dB)をもって有線ネットワーク経由で同期されている。該タグからの通信のAおよびBでの到着時刻の測定値をtAおよびtBとすると、(tA-dA)=(tB-dB)となる。tAおよびtBを推測するには、dAおよびdBが明らかになっているのが望ましい。本システムでは、(前記測量装置によって決定される)タグの位置についての情報が、各センサでの信号の到着時刻の観測値や、各センサでの信号の到着角度の観測値や、(加速度計などの)別の手段で得られた各センサの向きについての任意の情報や、(レーザ走査データでの直接特定などといった)別の手段で得られた各センサの位置についての他の情報と組み合わされることにより、未知のケーブル遅延を求めることができる。つまり、タグを搭載した前記測量装置の位置と同様に各センサの位置が正確に分かっている場合、同タグから各センサまでの無線信号の伝播時間を計算し、各センサでの該信号の到着時刻の測定値をこれらの伝播時間と比較することで、タイミング用ケーブルの(未知であるが一定の)遅延を求めることができる。一般的には、センサで測定したデータと測量装置のデータを使ってセンサの位置を決定する際の処理により、センサの位置だけでなく、方向やタイミング用ケーブルによるオフセットも同時に明らかにすることができる。ケーブルによるセンサのタイミング遅延、センサの向きおよびセンサの位置の演算は、アンサンブル最適化として実行され得る。
【0038】
中央処理装置は、必ずしも設けられる必要はない。センサ同士が同期済みであり、かつ、センサ同士でクロックタイミングのオフセットも既知であれば、センサ同士で信号の到着時刻に関するメッセージをやり取りすることができる。その場合、1つ以上のセンサが位置推定をそれ自体で行えばよい。
【0039】
本システムは次のように動作する。
【0040】
センサ1が設置された後、前記測量装置が前記環境内を移動する。前記測量装置は、前記環境の三次元点によるマップ、および当該測量装置の移動経路の推定を得る。これにより、前記マップを導き出す元となった相対位置が、既知のものとなる。あわせて、送信器18が送信を行い、該送信がセンサ1で受信される。各センサは、該送信器からの該送信についての特徴的な情報(例えば、方向および/または飛行時間等)を検出する。
【0041】
前記測量装置が収集した情報と各センサが収集した情報が統合される。これは、任意の適切な場所で実施され得る。好都合には、データ処理部20で行われ得る。
【0042】
前記測量装置が収集した情報と各センサが収集した情報とが関連付けられることで、各センサの位置が決定できる。該位置は、絶対位置で決定されてもよいし、各センサのうちのひとつのセンサ、前記測量装置の開始位置などの任意の基準点を基準として決定されてもよい。以下では、これを行い得る方法を幾つか紹介する。これらは、個別に用いられてもよいし、任意に組み合わされてもよい。いずれの場合にしろ、最良フィットまたは最小化処理によって総合的な推定を生成するようにしてもよい。
【0043】
1.前記測量装置のクロックは、各センサのクロックに対してオフセットを有する。該オフセットは、既知の場合がある。これにより、本システムは、各センサによって測定が行われた際に前記測量装置がその移動経路に沿ったどの場所に居たのかを知ることができる。この情報により、前記測量装置が複数の位置にあったときの、前記センサから当該測量装置が運搬する送信器18までの距離及び/又は方向を経時的に比較し、各センサの位置を推定することが可能となる。言い換えれば、ある時点において、前記測量装置が収集した情報から、前記環境に対する前記測量装置の位置を決定できる。同時に、各センサが収集した情報から、前記測量装置に保持された送信器に対する各センサの位置を決定することも可能になる。したがって、その時点での、前記環境に対する前記測量装置の位置を示す情報と前記測量装置に運搬された送信器に対する各センサの位置を示す情報とを関連付けることにより、前記環境に対する該センサの位置の推定が可能となる。
【0044】
2.前記測量装置の移動経路は、経時的に変化し得る。例えば、同経路は、二次元又は三次元のカーブを含み得る。各センサが収集したデータも、同様の変化を表し得る。例えば、2つのセンサからの距離情報を経時的に比較することで、前記測量装置がカーブを移動したことや速度が変化したことが分かり得る。前記測量装置が検出した経路と前記センサ装置の動きの変化を比較することで、各センサの測定値と前記測量装置の測定値との相対的なタイミングの推測が行われ得る。そして、これら2種類のデータセットを関連付けることで、各センサの位置の推定が可能となる。これにより、前記測量装置と各センサを同期させる必要がなくなり得る。別の例では、これに代えて又はこれに加えて、各センサの測定値と前記測量装置の測定値との相対的なタイミングの推測が、次のようにして行われ得る。前記測量装置が前記環境内の同じ場所(例えば、空間内の同じ点)を再訪することで、同推定が行われ得る。例えば、前記測量装置は、自律移動するものとされ得て、かつ、前記環境の同じ経路を複数回「巡回」するものであるとする。あるいは、前記測量装置が、自律移動するもの又はユーザが手動で移動させるものとされ得て、かつ、(例えば、意図的に又は偶然で)前記環境内の同じ場所を再訪したとする。「再訪事例候補」は、測定値同士が閾値を超える時間間隔(例えば、10秒超の間隔等)で隔てられている事例同士であって、センサで受信された1つ以上の信号特性(例えば、到着角度、到着時刻、該センサのクロックと別の少なくとも1つのセンサのクロックとのタイミングオフセットが(存在するのであれば)分かっている場合の到着時刻差等)が実質同一である(例えば、到着角度についての特性であれば5°以内の方位角及び/又は仰角である、到着時刻差や到着時刻についての特性であれば3ナノ秒以内である等)2つの時間上事例、さらには、前記測量装置の位置または経路軌跡(例えば、時間に対する位置の一次微分等)が実質同一である(例えば、1メートル以内の位置、経路軌跡を測定する基準フレームにおける任意の直交基底ベクトルが0.2m/s以内等)2つの時間上事例を求めることによって特定され得る。「再訪事例候補」には、それぞれ、時間オフセットが対応付けられ得る。例えば、ある特性を有する第一の信号をセンサが受信した(あるいは、該センサから別のユニットに報告がなされた)時刻としての、該センサのクロックによる時刻をtとし、実質同一の特性を有する第二の信号を該センサが受信した(あるいは、該センサから別のユニットに報告がなされた)時刻としての、該センサのクロックによる時刻をtとする。すると、これら2つの受信事象間の時間量(例えば、時刻差等)はt-tと表すことができる。また、第一の位置が訪問されたか又は第一の経路軌跡が使用された時刻としての、前記測量装置のクロックによる時刻をtとし、実質同一の位置である第二の位置が訪問された時刻または実質同一の経路軌跡である第二の経路軌跡が使用された時刻をtとする。すると、これら2つの位置事象間または経路軌跡事象間の時間量(例えば、時刻差等)はt-tと表すことができる。そして、t-tが、t-tと実質同一であるか否か(例えば、10秒以内、より好ましくは5秒以内等)が判断され得る。t-tがt-tと実質同一であると判断された「再訪事例候補」は、いずれも、各測定値が前記環境内の同じ位置に対応している可能性が高いことを意味している。よって、t-t(あるいは、t-t)で表される該センサのクロックと前記測量装置のクロックとの時間オフセットは、該センサの測定値と前記測量装置の測定値との時間オフセット(例えば、相対的なタイミング等)を正確に表している可能性が高い。ここで、時間オフセットについての各推定値(例えば、t-tの値等)のビンからなるヒストグラムが管理され得る。各センサごとに、ヒストグラムが1つ管理され得る。変形例として、2つ以上のセンサのクロック同士が同期していることが分かっている場合、それら2つ以上のセンサでの受信事象の測定値によって特定される時間オフセットの推定値を、同じヒストグラムで照合するようにしてもよい。t-tがt-tと実質同一であると判断された「再訪事例候補」が特定されるたびに、前記ヒストグラム内のビンのうちの、t-t(あるいは、t-t)に対応するビンの値が、(例えば、1だけ)増やされ得る。再訪事例候補の評価が多数行われた後、前記ヒストグラムのビンのうち、値を増やされた回数が最も多いビンが、該センサの測定値と前記測量装置の測定値との時間オフセット(例えば、相対的なタイミング等)を正確に表している可能性が高いと判断され得る。該センサが収集したデータと前記測量装置が収集したデータとを関連付ける時間オフセットには、前記ヒストグラムのうちの最も値が増えたビンに対応する時間オフセットが採用されてもよい。変形例として、増やされた値が多いほうの上位の複数のビンに対応する時間オフセット同士を平均又は統合したもの(例えば、対応する各ビンが値を増やされた回数に基づく重みによる加重合計等)を、該センサが収集したデータと前記測量装置が収集したデータとを関連付けるのに用いる時間オフセットの値としてもよい。本明細書で説明するように、センサによる測定値と前記測量装置による測定値との時間オフセットが推定されると、該センサが測定したデータセットと前記測量装置が測定したデータセットとの2種類のデータセット同士(例えば、該センサが測定した信号特性と、同時測定された前記測量装置の位置と)を関連付けることにより、該センサの位置を推定することが可能となる。
【0045】
3.各センサ1から得られた情報同士の統合は、各センサの向きの全て又は一部が既知であると、より簡単になり得る。各センサ1は、例えば重力センサ等の方位センサを有し得る。このようなセンサの情報は、各センサによって得られる距離及び/又は方向を互いに関連付ける際に、かつ、前記測量装置によって得られる経路情報と関連付ける際に役立ち得る。センサの向きが既知であれば、自身以外の装置の位置及び/又は向きをより決定しやすくなる。センサの向きは、空間内で該センサのピッチ、ロール及びヨーとして表され得る。これらの角度は、前記環境内に固定された基準となる向きに対する相対角度として表され得る。(慣例どおりの意味の)ピッチおよびロールは、センサの加速度計の測定値を利用して自機の向きを局所重力ベクトルと比較することによって求められ得る。(局所重力ベクトル周りの回転である)ヨーについては、そのように簡単に測定することができない。センサの向きのこの成分に関しては、レーザスキャナやセンサの測定値を総合的に使用することで校正が可能である。
【0046】
4.以上の方法によってセンサの位置が推定された後は、前記測量装置が作成した1つ以上の前記三次元マップの検索を介して、その推定の精度の向上が行われ得る。該マップ内の、センサの推定位置近傍にある点を分析することにより、該センサの形状に合致する形状が特定され得る。該形状は、同分析を実行する装置に予めプログラムされた形状であり得る。そのような形状の場所が特定されることで、前記測量装置から該センサまでの距離が明らかとなって前記三次元マップに反映される。前記測量装置の経路沿いの、該距離の測定元となる位置も明らかとなる。このような測定により、センサの位置の推定が精密化され得る。センサの位置の推定は、このような距離測定が何回も行われることによってなおいっそう精密化することが可能である。センサが特徴的な形状を有していれば、この処理は行い易くなる。そのような形状は、前記三次元マップ内での該センサの特定をより容易にする形状であり得る。例えば、センサは、所定の正多角形の形状の外周または外面、より好ましくは、正多角形でない多角形の形状の外周または外面を有するものとされ得る。あるいは、所定の形状の凹部を有するものであってもよい。一例として、センサの外面は、2つ以上、3つ以上又は4つ以上の隣接する面同士が互いに90°超の角度を成す複数の平坦面を有するものであり得る。これに加えて又はこれに代えて、上記の方法によってセンサの位置が推定された後は、任意で、本システムのユーザにより、センサの推定位置が正確と思われるか否かの視覚的な(例えば、ユーザインターフェースを介した)確認が行われてもよい。ユーザは、(例えば、前記ユーザインターフェースを介して)1つ以上の推定位置が正確であるとの判断、および/または、1つ以上の推定位置が不正確であるとの判断、および/または、1つ以上の推定位置の(例えば、センサの位置をより正確に表していると考えられる位置への)調節を入力し得る。このユーザ入力過程は、前記測量装置が作成した前記三次元マップ内での、センサ位置の仮推定に基づいた前記検索が行われる前に実行されてもよいし、あるいは、その後に実行されてもよい。ユーザからの前記入力を受けた後に、任意で、ユーザからの入力に応じて(例えば、センサ位置の推定を向上させたいとの判断に応じて)、本方法のセンサ位置推定過程が1回又は複数回繰り返されてもよい。これに代えて又はこれに加えて、本システムは、機械学習が可能なものであってもよく、将来のセンサ位置推定を向上させるためにユーザ入力から学習を行うようにしてもよい。他の例では、このユーザ入力過程が、センサ及び/又は前記測量装置がデータを収集する前に実行され得る。
【0047】
本明細書の説明にもあるように、位置決定システムは、複数のセンサを有し得る。本明細書に記載のシステム及び方法は、位置決定システム内の全センサの位置を推定するように用いられる。変形例として、本明細書に記載のシステム及び方法は、位置決定システム内の一部のセンサ(例えば、総数未満の数のセンサ)の位置を推定するように用いられ得る。一例として、本明細書に記載のシステム及び方法は、位置決定システム内の1つのセンサの位置を推定するように用いられ得る。任意の構成として、本システムのユーザが、位置決定システム内のどのセンサの位置を推定してどのセンサの位置を推定しないのかを選択することが可能とされてもよい。例えば、この構成は、既存の位置決定システムに1つ以上のセンサ追加される場合(例えば、該システムの1つ以上の古いセンサを交換する場合や新しいセンサを同システムに追加する場合)に有益であり得る。該位置決定システム内のそれ以外のセンサの位置は既知である場合があり、その場合には、該システム内の全センサの位置を再推定することは不要とも考えられ得る。よって、この例では、本明細書に記載のシステム及び方法が、位置決定システムに追加された1つ又は複数のセンサの位置のみを推定するように用いられ得る。
【0048】
これまでの説明では、センサ(受信器)は固定されているのに対し、送信器は測量ユニットに取り付けられている。それ以外の配置構成も可能である。複数の送信器を前記環境内に固定し、センサ(受信器)を測量ユニットに取り付けるという構成も可能である。あるいは、固定される複数のパッシブマーカを前記環境内に固定し、測量ユニットに取り付けられた検出器によって該パッシブマーカを検出するという構成(例えば、センサからの反射波による検出構成等)も可能である。
【0049】
前述の例では、前記測量装置からのデータを、各センサの位置を決定するのに役立てた。前記測量装置の補助により、各センサに関するそれ以外のデータを決定することも可能である。下記は、一部の例である:
【0050】
1.前記測量装置からのデータに応じて、センサの向きを決定できる。前記測量装置が前記環境内にあるとき、センサは、該センサに対する前記測量装置の方向を推定し得るのに加えて、該センサからのデータと前記測量装置からのデータとを関連付けることが可能な装置にその推定方向を報告し得る。前記環境内での前記測量装置の位置が既知であり、前記測量装置によって前記環境内のセンサの位置を決定できるから、前記環境を基準としたときの、該センサに対する前記測量装置の向きを決定できる。センサが報告する、該センサに対する前記測量装置の方向と、前記環境を基準としたときの、該センサに対する前記測量装置の方向とのオフセットを利用して、該センサが以降報告する方向についての修正が可能である。
【0051】
2.前記センサは、自身の測定値を中央装置20に報告して処理に供し得る。該測定値には、タイミングのデータが含まれ得る。前記中央装置にとって、センサを基準クロックと同期させたり、該センサと該基準クロックとの又は該センサと別のセンサのクロックとのタイミングオフセットを把握したりするうえで、該センサから送信された信号が自身(中央装置20)に到着するまでの遅延を把握しておくことは有益であり得る。この遅延またはオフセットは、多数ある方法のうちのどの方法で推定されてもよい。まず、前記環境内での前記中央装置の位置が前記測量装置によって決定され得て、かつ/あるいは、当該位置がユーザによって前記中央装置に入力され得る。次に、前記環境内でのセンサの位置が既知となることで、該センサと前記中央装置との間の距離を求めることが可能となる。第一のアプローチでは、この距離がタイミングの遅延に比例すると解釈され得る。第二のアプローチでは、各センサが、位置を特定したい対象である装置上の送信器から信号を受信し得ると共に、該信号を前記中央装置に報告して処理に供し得る。前記中央装置が両信号を受信した相対的なタイミングにより、送信器の位置が三辺測量法で推定され得る。各センサは同じ送信信号について報告を行うので、信号の受信時刻間のオフセットは、送信器と各センサとの間の距離を表し得る。中央装置20が受信報告を受ける時刻は、信号の送信時刻からT(送信器とセンサとの間の信号伝播遅延)+P(センサの処理遅延(一定と見なされ得る))+C(センサと中央装置との間の例えば配線による信号伝播遅延)だけ遅れていると考えられ得る。前記測量装置が前記環境内にあり、該測量装置の送信器18が信号を送信し、同信号がセンサによって検出されて中央装置20に報告されたとする。送信器とセンサとの間の距離が既知であるので、送信器からセンサまでの信号伝播時間Tの推定が可能となる。処理時間Pは、中央装置20にとって既知のものであり得る。前記測量装置は、自身が信号を送信した時刻を前記中央装置に報告し得る。中央装置20は、センサからの報告の受信時刻も分かっている。送信時刻と前記中央装置による信号受信時刻との差からTを減算することで、PやCなどといった残りの遅延の大きさの推定が可能となる。前記中央装置は、該遅延の値を記憶し得るとともに、センサがそれ以降報告するデータを、その記憶した値を用いて補正し得る。第三のアプローチでは、各センサが、該センサにとってのローカルなクロックのティックを示し得る点滅光照明を有し得る。この照明の点灯が前記測量装置によって検出されて中央装置20に報告されることにより、該中央装置はそのセンサのローカルなクロックのタイミングを推定することが可能となり得る。
【0052】
センサに向けた信号の信号遅延も、該センサのクロックを調節するのに有用であり得る。クロックの設定を行う装置から各センサへの信号遅延が既知であると、各センサでのクロック設定信号の到着時刻を推定できるようになるため、該クロックをより正確に設定することが可能となる。
【0053】
測量ユニットは、レーザ測距以外の技術によって前記環境の形状のマップを作成するものであってもよい。例えば、超音波測距法等を用いることが可能である。
【0054】
いくつかの例では、位置決定システムのセンサについては、下記のうちの少なくとも1つが決定されるのが望ましくあり得る:(1)前記環境内での該センサの位置(例えば、xyz座標といった絶対位置や相対位置)かつ/あるいは;(2)該センサの向き(例えば、(i)ロール及び/又は(ii)ピッチ及び/又は(iii)ヨー等)かつ/あるいは;(3)1つ以上の他のセンサに対する又は本位置決定システムの前記中央装置に対する、該センサの(もし存在するならば)信号伝播遅延によるタイミングオフセット。本明細書で説明したように、本明細書に記載のシステム及び方法は、各センサが測定したデータセットと前記測量装置が測定したデータセットと(例えば、センサが測定した信号特性と、同時測定された前記測量装置の位置と)を関連付けることによってセンサの位置(すなわち、上記(1))を推定するように用いられ得る。好ましい一例として、センサの位置は、該センサにて測定された信号特性である到着角度と、同時測定された前記測量装置の位置とを関連付けることによって推定され得る。本明細書で説明したように、任意の構成として、本明細書に記載のシステム及び方法は、センサが測定したデータセットと前記測量装置が測定したデータセットとを関連付けることによってセンサの向き(例えば、(i)ロール及び/又は(ii)ピッチ及び/又は(iii)ヨー等)を決定するのにも用いられ得る。本明細書で説明したように、これに代えて、別の任意の構成として、センサのロールおよびピッチ(すなわち、上記(2)の(i)及び(ii))は、該センサに設けられた方位センサ(例えば、重力センサ、加速度計等)によって求められてもよい。任意の構成として、センサに関連した信号伝播遅延に伴った(もし存在するならば)タイミングオフセット(すなわち、上記(3))は、既知のものであり得るか又は別途決定できるほか、本明細書に記載のシステム及び方法に対して入力されてもよい。本明細書で説明したように、これに代えて、別の任意の構成として、本明細書に記載のシステム及び方法は、センサが測定したデータセットと前記測量装置が測定したデータセットとを関連付けることにより、センサにまつわる信号伝播遅延に伴った(もし存在するならば)タイミングオフセット(すなわち、上記(3))を推定するようにも用いられ得る。本明細書で説明したように、好ましい一例として、本明細書に記載のシステム及び方法は、センサが測定したデータセットと前記測量装置が測定したデータセットとを関連付けることによって、あるセンサに対し:前記環境内での該センサの位置(例えば、xyz座標といった絶対位置や相対位置);(2)該センサの向き(上記の(iii)ヨー);および(3)1つ以上の他のセンサに対する又は本位置決定システムの中央装置に対する、該センサの(もし存在するならば)信号伝播遅延によるタイミングオフセット;を推定するように用いられ得る。好ましい本例では、該センサの向き(上記の(i)ロールおよび(ii)ピッチ)が、該センサに設けられた方位センサ(例えば、重力センサ、加速度計等)で求められ得る。
【0055】
本願の出願人は、本明細書に記載した個々の単独の各構成および2つ以上の該構成による任意の組合せを、そのような構成又は構成の組合せが本明細書で開示した課題を解決するものであるか否かに関係なく、また、特許請求の範囲に限定されることなく、かつ、当業者の一般常識に照らして本明細書の内容全体に基づいて実施が可能である構成又は構成の組合せである限り、以上のとおり開示しているものとする。本発明の態様は、そのような個々の任意の構成又は構成同士の任意の組合せからなり得る。当業者であれば、前述の説明を踏まえて、本発明の範疇で様々な変更が施され得るということが自明であろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】