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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】地震散逸器
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20240221BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
E04H9/02 331Z
F16F15/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553514
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 IB2022051714
(87)【国際公開番号】W WO2022185174
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】773359
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523334121
【氏名又は名称】ビーアールエル・パテンツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ジョン・エクストン
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC19
2E139BA19
2E139BA24
3J048AA06
3J048AC01
3J048BE12
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
耐震デバイスは、第1の構造物と係合するように構成されたハウジングと、第2の構造物と係合するように構成されたベースプレートメンバの一部を収容するように構成された複数対のクロスメンバとを有する。各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバに対する各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力をベースプレートメンバに与えるように互いに向かって付勢されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐震デバイスであって、
第1の構造物と係合するように構成されたハウジングと、
前記ハウジングに関連する複数対のクロスメンバであって、各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバまたはベースプレートメンバの一部を受け入れるように構成された複数対のクロスメンバと、を含み、
前記ベースプレートメンバは、第2の構造物と係合するように構成され、
前記各対のクロスメンバは、前記ベースプレートメンバに対する前記各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力を前記ベースプレートメンバに与えるように互いに向かって付勢されている、耐震デバイス。
【請求項2】
前記クロスメンバは、前記ベースプレートメンバに復元力を与えるように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記復元力は、再センタリング力を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記軸方向移動は、前記クロスメンバまたは前記クロスメンバ対の長手方向軸に沿って、または平行な移動を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ベースプレートメンバは、前記長手方向軸に対して実質的に垂直に延びる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の構造物上に、前記ベースプレートメンバが設置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記クロスメンバ対は、前記ベースプレートメンバに対して垂直に配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記クロスメンバ対は、それぞれ中心を有し、前記中心で重なり合う、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記クロスメンバ対は、互いに実質的に等しい角度で配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記クロスメンバ対は少なくとも2つ存在する、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記各クロスメンバ対の端部が前記ハウジングの壁に当接する、請求項1~10いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記クロスメンバ対は、前記ハウジングの壁に対して平行に移動自在である、請求項1~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのクロスメンバ対は、前記ベースプレートメンバの移動を制御する移動制御領域を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ベースプレートメンバは、プレートと、1つ以上の突出メンバとを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の構造物は被支持構造物を含み、前記第2の構造物は支持構造物を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
地震散逸器を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の耐震デバイスを含む構造物。
【請求項18】
地震散逸装置であって、
第1の構造物と係合するように構成されたハウジングと、
前記ハウジングに関連する複数対のクロスメンバであって、各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバの一部を受け入れるように構成された複数対のクロスメンバと、を含み、
前記各対のクロスメンバは、前記ベースプレートメンバに対する前記各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力を前記ベースプレートメンバに与えるように互いに向かって付勢されている、地震散逸装置。
【請求項19】
前記クロスメンバは、前記ベースプレートメンバに復元力を与えるように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記復元力は、再センタリング力を含む、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記ベースプレートメンバをさらに含み、前記ベースプレートメンバは、前記クロスメンバによって受け入れられるための1つ以上の突出メンバを含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
構造物用の地震散逸方法であって、
ベースプレートメンバを複数対のクロスメンバに受け入れるステップと、
前記ベースプレートメンバに対する前記各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力を前記ベースプレートメンバに与えるように、前記各対のクロスメンバを互いに向けて付勢するステップと、を含む、方法。
【請求項23】
本明細書で開示される任意の新規な特徴または特徴の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、本明細書の目的では、耐震デバイスおよび/または免震装置と呼ばれる、一般に地震散逸器または散逸器などの多くの用語で呼ばれる耐震デバイスに関する。耐震デバイスは、一般的に、地震または同様の地震障害から建物などの構造物を保護するために使用される。
【背景技術】
【0002】
地震からの保護は、特に地震のリスクが高い地域では建物に有益である。環太平洋地域の国々など、多くの国が壊滅的な地震を経験しており、構造物の耐震安全性は大きな問題となっている。
【0003】
耐震デバイスは、地震時に地盤が揺れた場合に、構造物が地盤の移動に完全に追従するのを防止する方法を提供する。これにより、耐震デバイスは、地震時に構造物に加わる力や加速度を低減し、構造物の損傷を防止するように設計されている。これには、ある程度の移動が発生するか、一定量のエネルギーを吸収または散逸するか、またはこれら2つの特性の組み合わせを許容するように耐震デバイスを設計する必要がある。
【0004】
多くの耐震デバイスが提案されているが、そのほとんどは力を吸収するのに役立つ何らかの形の弾性または弾力性のある材料に依存しており、多くの場合、地面の移動によって生じるエネルギーの一部を吸収するために別の材料に依存しているか、摩擦を使用している。
【0005】
既知の形態の耐震デバイスには、ゴムや鉛などの材料が含まれる。ゴムは、力の大きさや方向の急激な変化が基礎から構造物に直ちに伝わらないようにエネルギーを吸収し、構造物を基礎に対して静止位置に戻すことを可能にする弾性材料として機能する。鉛はエネルギーを熱として放出するダンパーの役割を果たすことができる。これらの既知のデバイスの問題点の1つは、比較的高価で専門的な構造物を必要とし、材料のメンテナンスや交換が必要になることである。例えば、ゴムが損傷することがある。
【0006】
耐震デバイスに関するいくつかの他の提案は、必ずしもその弾性限界内で変形する材料を使用せず、通常は機械的摩擦または何らかの他の手段を利用しているが、これらの提案は、構造物または構造物要素間の移動軸に関して、通常は単一の軸のみを通る非常に限定された数の基礎を提供することを意図している。他の製品では塑性変形する材料を使用しているため、突然の余震が発生した場合に装置が故障する可能性があり、重大な地震が発生した後は少なくとも修理または交換が必要になる。
地震発生時に散逸、再センタリング、および/または免震性能を提供するが、コスト、設置手順、およびメンテナンスの点で比較的効率的な耐震デバイスが必要である。
目的
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、従来の提案の欠点を少なくともある程度克服する、または少なくとも1つの有用な代替手段を提供する耐震デバイス、特に散逸器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本開示は、地震散逸器であって、
被支持構造物と係合するように構成されたハウジングと、
ハウジングに関連する複数対のクロスメンバであって、各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバまたはベースプレートメンバの一部を受け入れるように構成された複数対のクロスメンバと、を含み、
ベースプレートメンバは、支持構造物と係合するように構成され、
各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバに対する各対のクロスアームの軸方向移動に抵抗する摩擦力をベースプレートメンバに与えるように互いに向かって付勢されている、地震散逸器を提供する。
【0009】
各対のクロスメンバの輪郭は、デバイスを静止位置に戻すための復元力または再センタリング力を与えてもよい。
【0010】
第1の構造物は、被支持構造物を含んでもよい。被支持構造物は、通常、散逸器の上方に垂直に配置される。被支持構造物は、建物、貯蔵タンク、貯蔵棚、および機器を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0011】
第2の構造物は、支持構造物を含んでもよい。支持構造物は、通常、散逸器の下方に垂直に配置される。支持構造物は、基礎を含んでもよいが、これに限定されない。
【0012】
別の態様では、本開示は、
ベースプレートメンバと、
被支持構造物と係合するように構成されたハウジングと、
ハウジングに関連する複数対のクロスメンバであって、各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバを受け入れるように構成された複数対のクロスメンバと、を含み、
各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバに対する各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力をベースプレートメンバに与えるように互いに向かって付勢されている、システムを提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、
ベースプレートメンバを複数対のクロスメンバに受け入れるステップと、
ベースプレートメンバに対する各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力をベースプレートメンバに与えるように、各対のクロスメンバを互いに向けて付勢するステップと、を含む、構造物の地震散逸方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、地震散逸装置であって、
第1の構造物と係合するように構成されたハウジングと、
ハウジングに関連する複数対のクロスメンバであって、各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバの一部を受け入れるように構成された複数対のクロスメンバと、を含み、
各対のクロスメンバは、ベースプレートメンバに対する各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力をベースプレートメンバに与えるように互いに向かって付勢されている、地震散逸装置を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、耐震デバイスであって、
第1の構造物と係合するように構成されたハウジングと、
ハウジングに関連する複数対のクロスメンバであって、各対のクロスメンバは、突出メンバを受けるように構成され、
突出メンバは、第2の構造物と係合するように構成され、
各対のクロスメンバは、突出メンバに対する各対のクロスメンバの軸方向移動に抵抗する摩擦力を突出メンバに与えるように互いに向かって付勢されている。
【0016】
他の態様はまた、本明細書において個別にまたは一括して言及または示されているパーツ、要素、および特徴のうちの2つ以上のパーツ、要素、または特徴のうちのいずれかまたはすべての組み合わせを含むシステム、装置、または方法を含んでもよく、本明細書で言及されている特定の整数が、本発明の関連する分野において既知の同等物を有する場合、これらの既知の同等物は、別個に説明されているように本明細書に組み込まれているとみなされる。
【0017】
さらなる態様は、添付の特許請求の範囲にも見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明の1つまたは複数の実施形態を説明する:
図1】木造構造物システムにおけるデバイスの等角図である。
図2】コンクリート構造システムに適合するように構成されたデバイスの概略図である。
図3】マスティンバー構造システムに適合するように構成されたデバイスの概略図である。
図4図1に示す装置の正面図である。
図5図1に示す装置を示す側面図である。
図6図4および図5の平面図である。
図7図4図5および図6の装置の断面図である。
図8】拡大部分を含む図7の装置の平面断面図である。
図9】ベースプレートアセンブリのみの等角図である。
図10】ハウジングアセンブリの等角図である。
図11図9および10に示される要素を組み合わせた等角図である。
図12図8のクロスメンバパーツ81の拡大平面図である。
図13図8におけるクロスメンバパーツ81の拡大立面図である。
図14】前述した図12および図13におけるクロスメンバ端部の拡大図である。
図15図1の装置の平面断面図であって、平面を横切る主方向における移動の極端な状態を示している。
図16図1の装置の平面断面図であり、コーナーを横切る主方向への移動の極端な状態を示している。 本文書では、開示されている様々な構造物、実施形態、または例における同じ特徴を表すために、添付図面全体にわたって同じ符号を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書では、通常、発明の特徴を説明するための背景を提供するために、特許明細書およびその他の書類を含む外部情報源が参照されている。別段の記載がない限り、いかなる国・地域においても、そのような情報源への引用は、そのような情報源が技術水準またはその分野の公知技術の一部を構成することを認めるものと解釈してはならない。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、「および」または「または」、あるいはその両方を意味する。本明細書で使用される用語「comprising」は、「少なくとも一部からなる」を意味する。本明細書および特許請求の範囲における用語「...を含む...」を含む記述を解釈する時、各記述における該用語で始まる特徴に加えて、他の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」や「含む(comprises)」などの関連用語は、同様に解釈される。
【0021】
本発明の設置の状況、および可能な全体的なアセンブリおよび予想される使用環境の例を提供するために、基礎システム2上に支持された基礎床フレーム1の概略図が示されている例が図1に示されている。構造物設計の要件に応じて、そのようなアセンブリは典型的な構造物の周りに複数回複製できる。被支持構造物および支持構造物は、任意の形態の適切なタイプを含んでもよく、適切なシステムは本発明が関連する分野の当業者には既知であるため、本明細書では詳細には説明しない。図2および図3は、そのような2つの代替構成を示している。第1の構造物、例えば床下枠1は、本明細書では一般に被支持構造物と呼ばれる。第2の構造物、例えば基礎2は、本明細書では一般に支持構造物と呼ばれる。ほとんどの実施形態では、被支持構造物および支持構造物は散逸器装置の上方および下方に位置するが、システムはこのような構成に限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明に関連する耐震デバイスシステムは、図1に参照符号3で示される複数の耐震デバイスを含む。
【0023】
図1では、一対の支持台1と基礎杭2とに耐震デバイス3が接続されていることが示されている。これは好ましい構成であり、以下の例で説明するが、被支持構造物1と散逸器3との間の他の構造物係合配置も可能であることを理解すべきである。また、一実施形態によれば、構造物1は木造フレームとして示されているが、他の被支持構造物および他の支持構造物2は、本明細書で開示されている耐震デバイス3とともに使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0024】
図2および図3を参照すると、被支持構造物1、支持構造物2および耐震デバイス3の他の2つの構成の断面図が示されている。
【0025】
図4および図5に示すように、耐震デバイスは、被支持構造物に接続するように構成されたハウジング4と、支持構造物に接続するように構成されたベースプレートメンバ5とを含む。ハウジング4は、以下の説明から明らかなように、単に1つ以上の外壁を含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ハウジングは完全なハウジングを含む必要はない。例えば、支持構造物または被支持構造物は、ハウジングの一部を提供してもよい。また、いくつかの実施形態では、ハウジングは、支持構造物に接続するように関連してもよく、または構成されてもよく、ベースプレートメンバは、被支持構造物に接続するように構成されてもよい。
【0026】
図示の実施形態では、カバープレート6は、ハウジング4の上部に取り付けられ、ベースプレートメンバ5に垂直に連結されるが、境界内で横方向にスライドすることができるようになっている。
【0027】
図6は、実施形態によるアセンブリのパーツの平面図を示す。
【0028】
図7は、耐震デバイスの内部構造の最初の断面図を示す。カバープレート6とベースプレートメンバ5とは、複数の細長いアセンブリ7によってハウジング4の両側に接続されている。これらのアセンブリには、ナットおよびボルトアセンブリ、または同じ機能を実現するその他のアセンブリを含めることができる。これは、他の接続構成も可能であるが、細長いアセンブリ7をベースプレートメンバ5およびカバープレート6に溶接することによって影響する可能性がある。一例では、メンバ7の関連部分にネジを切り、ナットをネジ部分と係合させて相互に張力をかけて、ハウジング4がこれらの間に位置する状態でカバープレート6をベースプレートメンバ5にしっかりと配置することができる。上記のように、必要に応じて、ハウジング4を被支持構造物1の他の部分に動作可能に接続し、ベースプレートメンバ5を支持構造物2の他の部分に接続してもよい。
【0029】
図8を参照すると、散逸器装置3が拡大部分断面で示されている。一実施形態では、例えば、ベースプレートメンバ5に直接または間接的に依存する部分を含む1つまたは複数の突起7が設けられる。一実施形態では、突起7はピンを含む。一実施形態では、ピンは細長い。図示の実施形態では、6つの細長いメンバ7がある。しかしながら、当業者に明らかなように、いくつかの実施形態では、6個未満の細長いメンバ7、または6個以上の細長いメンバ7があってもよい。細長いメンバ7は、ハウジング4の中心を通って突き出ているが、それに接続されていない。図示の例では、細長いメンバ7は、カバープレート6およびベースプレートメンバ5に接続されている。
【0030】
図8から分かるように、ハウジング4は境界内を他の要素とは異なり自由に移動してもよい。図1に戻ると、上部構造物1は、垂直面内(すなわち、下部構造物2の縦軸と平行な面内)で固定されたまま、水平面内(すなわち、下部構造物2の縦軸と略直交または略垂直な面内)で下部構造物2に対して横方向に自由に移動できることが示されている。
【0031】
ベースプレートメンバ5は、ハウジング4の周囲を越えて水平に延びている。この延長部は、図1および図5に示すように、上記のように耐震デバイス3が移動した場合に、被支持構造物1に適切な垂直面の設置を提供するためのものである。
【0032】
ハウジング4は、ベースプレートメンバ5およびカバープレート6に対してスライド可能に構成された上下のインターフェースを有する。明確化のために、図9に示す要素は、図10に示す要素とは異なる移動をしており、これら2つの図を組み合わせた図を図11に示す。
【0033】
図8は、ハウジング4の全体形状を示す。この例では、ハウジングは平面視で六角形である。しかしながら、本開示を全体的に考慮すると、他の幾何学的形状が可能であることを当業者は理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、4つなどのより少ない側面、または8つなどのより多くの側面があってもよい。
【0034】
ハウジング4内のアセンブリは、ハウジング4とプレート5、6との間の相対的な水平移動を制御する機構を提供する。したがって、支持構造物2と被支持構造物1との間の移動を制御する機構は、図8および図12図16を参照して説明される。
【0035】
図8を参照すると、ハウジング4には複数対のクロスメンバ8が受け入れられることがわかる。各対のクロスメンバは、第1クロスアーム81と第2クロスアーム82とを含む。さらに後述するように、クロスアーム81、82は、互いに付勢されて一緒に動作する。
図示の例では、付勢手段は、クロスアーム対8の両側にクランプ機構10を含む。好ましい実施形態では、クランプ機構はボルトおよびナットの形態であるが、当業者には、他の機構も同様の目的を達成することができることが理解されるであろう。ボルト10は、バネ機構9によって予め引張されており、クロスアーム81、82を互いに案内する力を与える。図14は、ボルト10がバネアセンブリ9を拘束して、クロスアーム8がボルト10の端部から離れて一対の対向するクロスアームに向かって付勢される付勢手段の一例を示している。印加される付勢力は、ばね特性の変更または皿ワッシャスタックワッシャの選択(ワッシャの数または積層および/またはばね定数など)と、ボルト10に印加される張力とによって調整することができる。印加された力は、各クロスアーム81、82の内面と隣接するメンバ7の外面との間の摩擦係数とともに、各クロスアーム8の長手方向軸線に沿ったメンバ7と各クロスアーム8との間の相対移動を阻止する摩擦力を発生させる。これにより、被支持構造物1と支持構造物2との間の移動が、相対移動に抵抗し、エネルギー吸収を助ける力を与えることにより制御される。
【0036】
各対のクロスメンバ8は、複数の細長いメンバ7を受け入れる。示された例では、各対8は、デバイスを横断するペア7a~7fのうちの2つを受け入れる。6つのメンバ7a~7fは、ベースプレート5の重心を中心として等間隔に配置されている。3対のクロスアーム8がある。第1対はメンバ7a、7fを受け入れる。第2対は、7b、7eを受け入れる。第3対は、7c、7dを受け入れる。図7に示すように、対8は、一方が他方よりも上方に位置しており、各対8の端部は、ハウジング4の対応する壁に当接している。これにより、クロスアーム対8は、ハウジング4に対して軸方向に移動することができず、隣接するハウジング壁4に対して平行に移動することができる。
【0037】
さらに、各アーム81、82は、その内面に輪郭が付けられ、1つ以上の移動制御領域11を提供する。図8中の矢印11a、11bは、第1のクロスアーム対(7a、7f)を受け入れる)の移動制御領域を示す。各アーム81、82の内面(すなわち、他のアームに対向する面)に輪郭を与えることにより、移動制御領域が形成され、これにより、アーム81、82間の距離は、メンバ7の規定された静止位置において最も広く、規定された静止位置からの各アームに沿った距離ほど小さくなる。以下でさらに説明するように、このような配置は、ベースプレートをハウジングに対して所望のまたは要求される静止位置に戻すための復元力を与える。図示の実施形態では、地震発生時に被支持構造物1と支持構造物2との間の相対移動の間にメンバ7とクロスアーム8対8との間で増加する再センタリング力と見なすことができ、地震発生後に被支持構造物1を支持構造物2に対して元の位置に戻すようにメンバ7を初期の静止位置に戻すように促すことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、各アーム81、82は1つの内面のみに輪郭を付けてもよい。また、各移動制御領域11が同一の輪郭を有するように構成される必要はない。図12は、一実施形態におけるアーム81の輪郭を概略的に示す平面図であるが、この輪郭は、耐震デバイスが異なる特性を達成できるように変化させてもよい。輪郭は、所望のまたは要求される地震散逸の程度または性能を提供するために、バネ構造と共に構成され得る。クランプアセンブリ10が通過するために存在する穴を強調するために、この同じ部分が図13の立面図で再度示されている
【0039】
図15および図16を参照すると、デバイス3が上述した静止位置から離れて動作している場合のデバイス3の2つの部分平面図が示されている。図15は、ベースプレートメンバ5および細長いメンバ7に対して左に押されたハウジング4を示しており、要素5および7はハウジング4の平坦面に向かって移動しており、これは本明細書では平坦面移動として知られている。クロスメンバ対8は、その軸方向に異なる程度の移動を示し、クランプアセンブリ10上のバネ機構9による圧縮によって異なる程度に押し広げられる。クロスメンバ対はまた、デバイス3の全体的な移動を可能にするために、直交するハウジング4の側面に沿って異なる程度の移動を示している。図16は、図15に示した特徴と同様の特徴を示しているが、この場合、ハウジング4の移動は、パーツ5、7に対してハウジング4の角に向かって上向きに行われ、本明細書では角を横切る移動として知られている。
【0040】
図15および図16は、この好ましい実施形態の両極端の移動を概略的に示しているが、デバイス3は、これら2つの移動特性の組み合わせにより、平面および角度を跨いで水平面内であらゆる方向に移動することができる。
【0041】
以上の説明から、図4から図14に示す構成により、複数(この例では3つ)の主要な移動軸が可能となり、地震時に通常発生する多軸の移動が制御されることが明らかであるいくつかの実施形態では2つの直交軸が提供されてもよく、他の実施形態では4つ以上の軸が提供されてもよいことが分かるであろう。この装置は、移動に抵抗し、エネルギーを吸収するだけでなく、構造物をその初期の静止位置に戻すように適合されている。
【符号の説明】
【0042】
1 被支持構造物、支持台、床下枠、基礎床フレーム、上部構造物
2 支持構造物、基礎杭、基礎システム、基礎、下部構造物
3 耐震デバイス、散逸器装置、散逸器
4 ハウジング壁
5 ベースプレートメンバ
6 カバープレート
7 突起
8 クロスメンバ、クロスアーム
9 バネ機構、バネアセンブリ
10 ボルト、クランプ機構、クランプアセンブリ
11 移動制御領域
81 第1クロスアーム
82 第2クロスアーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】