IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティー・アンド・ジー・コーポレーションの特許一覧

特表2024-509189音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品
<>
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図1
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図2
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図3
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図4
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図5
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図6
  • 特表-音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20240221BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20240221BHJP
   A24B 3/14 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A24D1/20
A24B15/16
A24B3/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553578
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2022010034
(87)【国際公開番号】W WO2023033347
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118608
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、イック ジューン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゲオン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、エウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】フワン、ミン ヒー
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
【Fターム(参考)】
4B043BB01
4B043BB11
4B043BB25
4B043BC01
4B043BC02
4B045AB01
(57)【要約】
音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品が提供される。本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品は、喫煙物質部、フィルタ部および喫煙物質部の少なくとも一部を包んでいるラッパー(wrapper)を含むことができる。この時、喫煙物質部またはラッパーの少なくとも一部には音発生要素として機能する多孔性香料シートが適用されることによって、喫煙者により向上した喫煙体験が提供され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物質部;
フィルタ部;および
前記喫煙物質部の少なくとも一部を包んでいるラッパー(wrapper)を含み、
前記喫煙物質部または前記ラッパーの少なくとも一部には音発生要素として機能する多孔性香料シートが適用される、喫煙物品。
【請求項2】
前記多孔性香料シートはハイドロコロイド物質およびオイル性香料を含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記多孔性香料シートは、
全体100重量部を基準として、
10~30重量部の前記オイル性香料を含む、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記多孔性香料シートは可塑剤をさらに含む、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記多孔性香料シートは増量剤(bulking agent)をさらに含む、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記多孔性香料シートは裁刻された形態で前記喫煙物質部に添加される、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記多孔性香料シートは前記ラッパーの内側に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記多孔性香料シートは複数個のシートを含み、
前記複数個のシートは前記ラッパーの内側に離隔配置される、請求項7に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記多孔性香料シートは複数個のシートを含み、
前記複数個のシートの大きさは下流方向に行くほど増加または減少する、請求項7に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記多孔性香料シートは複数個のシートを含み、
前記複数個のシートの多孔度は下流方向に行くほど増加または減少する、請求項7に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は音発生香料シートおよびこれを含む喫煙物品に関する。より詳細には、喫煙物品に嗅覚的(または味覚的)な効果だけでなく聴覚的な効果をさらに付加することによって、より向上した喫煙体験を提供できる香料シート、これを含む喫煙物品およびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙者により向上した喫煙体験を提供するために、タバコ製品に聴覚的な効果を付与するための多様な研究が進行されている。
【0003】
最近では、キャビティ(cavity)フィルタに顆粒またはカプセルを投入することによって、揺れるたびに音が発生するシガレットが提案されたことがある。しかし、提案されたシガレットの場合、フィルタ部位が揺れる時にのみ音が発生するため喫煙中に音が持続的に発生し難く、喫煙者が直接フィルタ部位を揺さぶらなければならないという短所がある。
【0004】
一方、インドネシアで広く愛用されているクレテック(kretek)タバコは前記のような研究の産物ではないが、喫煙中に燃焼音を発生させる製品である。クレテックタバコは、喫煙時にクローブ物質が燃焼しながらぱちーぱち(またはクリティック-クリティック)というクラックリングサウンド(crackling sound)を発生させ、「クレテック」という名称もこのような特徴から由来したものである。このようなクラックリングサウンドは、喫煙時に聴覚的な効果を加えて喫煙行為が遊戯的な行為として認知されるようにすることによって、喫煙者により向上した喫煙体験を提供することができる。しかし、クローブ物質特有の香りは喫煙者に拒否感を与え得るため、タバコ製品に普遍的に適用されることは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとする技術的課題は、喫煙物品に嗅覚的(または味覚的)な効果だけでなく聴覚的な効果をさらに付加できる香料シートおよびこの製造方法を提供することである。
【0006】
本開示の幾つかの実施例を通じて解決しようとする他の技術的課題は、喫煙中に音が発生することによってより向上した喫煙体験を提供できる喫煙物品およびこの製造方法を提供することである。
【0007】
本開示の技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は下記の記載から本開示の技術分野での通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
技術的課題を解決するための、本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品は、喫煙物質部、フィルタ部および前記喫煙物質部の少なくとも一部を包んでいるラッパー(wrapper)を含み、前記喫煙物質部または前記ラッパーの少なくとも一部には音発生要素として機能する多孔性香料シートが適用され得る。
【0009】
幾つかの実施例において、前記香料シートはハイドロコロイド物質およびオイル性香料を含むことができる。
【0010】
幾つかの実施例において、前記香料シートは、全体100重量部を基準として、10~30重量部の前記オイル性香料を含むことができる。
【0011】
幾つかの実施例において、前記香料シートは可塑剤をさらに含むことができる。
【0012】
幾つかの実施例において、前記香料シートは増量剤(bulking agent)をさらに含むことができる。
【0013】
幾つかの実施例において、前記香料シートは裁刻された形態で前記喫煙物質部に添加され得る。
【0014】
幾つかの実施例において、前記香料シートは前記ラッパーの内側に配置され得る。
【発明の効果】
【0015】
前述した本開示の幾つかの実施例によると、喫煙物品内で音発生要素として機能する多孔性香料シートが製造され得る。製造された香料シートは喫煙物品に嗅覚的(または味覚的)な効果だけでなく聴覚的な効果をさらに付加することによって喫煙者により向上した喫煙体験を提供することができる。
【0016】
また、多孔性香料シートを投入することによって喫煙中に音が発生する喫煙物品が容易に製造され得る。
【0017】
本開示の技術的思想による効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は下記の記載から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品を概略的に示す例示的な図面である。
【0019】
図2】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの適用方式を説明するための例示的な図面である。
【0020】
図3】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートの他の適用方式を説明するための例示的な図面である。
【0021】
図4】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートのさらに他の適用方式を説明するための例示的な図面である。
図5】本開示の幾つかの実施例に係る香料シートのさらに他の適用方式を説明するための例示的な図面である。
【0022】
図6】本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品を概略的に示す例示的な図面である。
【0023】
図7】本開示のさらに他の幾つかの実施例に係る喫煙物品を概略的に示す例示的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本開示の好ましい実施例を詳細に説明する。本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確となるであろう。しかし、本開示の技術的思想は以下の実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし、以下の実施例は本開示の技術的思想を完全なものとし、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0025】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本開示の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0026】
他の定義がない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われ得る。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本開示を制限しようとするものではない。本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含む。
【0027】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得るものと理解されるべきである。
【0028】
本開示で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0029】
まず、本開示の多様な実施例で使われる幾つかの用語について明確にすることにする。
【0030】
以下の実施例において、「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)またはタバコ代用物に基づいているか否かにかかわらず、喫煙可能な任意の製品または喫煙体験を提供できる任意の製品を意味し得る。例えば、喫煙物品はシガレット、シガー(cigar)および小さいシガー(cigarillo)等のような喫煙可能製品を含むことができる。他の例として、喫煙物品は燃焼型喫煙物品と加熱型喫煙物品を含むことができる。
【0031】
以下の実施例において、「喫煙物質」(smoking material)とは、煙(smoke)および/またはエアロゾル(aerosol)を発生させるか、喫煙に利用される物質を意味し得る。例えば、喫煙物質はタバコ物質を含むことができる。タバコ物質は例えば、タバコ葉の細片、タバコの茎またはこれらから加工された物質などを含むことができる。より具体的な例として、タバコ物質は粉砕されたタバコの葉、粉砕された再生タバコ、膨化刻み、膨化主脈および板状葉などを含むことができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0032】
以下の実施例において、「上流」(upstream)または「上流方向」は喫煙者の口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」(downstream)または「下流方向」は喫煙者の口部から近づく方向を意味し得る。上流および下流という用語は喫煙物品を構成する要素の相対的な位置を説明するために利用され得る。例えば、図1に例示された喫煙物品100で、フィルタ部120は喫煙物質部110の下流または下流方向に位置し、喫煙物質部110はフィルタ部120の上流または上流方向に位置する。
【0033】
以下の実施例において、「長さ方向」(longitudinal direction)は喫煙物品の長さ方向軸に相応する方向を意味し得る。
【0034】
以下の実施例において、「パフ(puff)」はユーザ(喫煙者)の吸入(inhalation)を意味し、吸入とはユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0035】
以下の実施例において、「シート(sheet)」はその厚さより実質的に大きな幅および長さを有する薄層要素を意味し得る。当該技術分野で、シートという用語はウェブ(web)、フィルム(film)等の用語と混用されて使われてもよい。
【0036】
以下の実施例において、「香料シート(flavor sheet or flavoring sheet)」はシート形態で製造された香料含有材料を意味し得る。
【0037】
以下では、本開示の多様な実施例について詳細に説明する。
【0038】
本開示の多様な実施例によると、喫煙物品に嗅覚的(または味覚的)な効果だけでなく聴覚的な効果をさらに付加できる香料シートが提供され得る。換言すると、喫煙物品で音発生要素として機能できる香料シートが提供され得る。提供された香料シートは多孔性を有するように製造されることによって、燃焼(または加熱)されることにより音を発生させることができる。例えば、燃焼(または加熱)されることにより香料シート内に形成された気孔(または気孔を形成する膜)が破裂しながら音が発生され得る。それだけでなく、提供された香料シートは内部に固定された香料を喫煙中に徐々に放出することによって、喫煙物品の香り発現性および香り持続性も向上させることができる。
【0039】
実施例に係る香料シートは液状(例えば、スラリー状態)のシート組成物を製造する段階と製造されたシート組成物を乾燥する段階を通じて製造され得る。ここで、液状は液体状態だけでなく、液体と固体が混合された状態(例えば、スラリー状態)を含むものであり得る。例えば、香料シートはシート組成物を所定の基材上に塗布(キャスティング)し乾燥させることによって製造され得る。しかし、これに限定されるものではなく、具体的な製造方式は変わることもある。
【0040】
シート組成物の細部組成は多様に設計され得る。
【0041】
幾つかの実施例において、シート組成物は蒸溜水(water)および/またはエタノールなどの溶媒、ハイドロコロイド物質およびオイル性香料を含むことができる。このようなシート組成物から製造された香料シートは、多孔性を有するため喫煙物品内で音発生要素として機能することができる。例えば、親水性のハイドロコロイド物質と親油性の香料が溶媒とともに配合されながら組成物内に多数の気孔が形成され、このようなシート組成物が乾燥されることにより多孔性香料シートが製造され得る。以下、シート組成物の各構成物質について説明することにする。
【0042】
蒸溜水、エタノールなどの溶媒はスラリー状シート組成物の粘度を調節するための要素であり得る。
【0043】
次に、ハイドロコロイド物質は香料を被覆して固定する物質であるとともに、シートを形成するシート形成剤であり得る。ハイドロコロイド物質の例としては、ゼラチン、寒天(agar)、ジェランガム、ペクチン(pectin)、グアガム、キサンタンガム、グルコマンナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン類などが挙げられるが、これに限定されるものではない。ハイドロコロイド物質は溶媒(例えば、蒸溜水、エタノール)と接触する際に自主的に粘性を帯びるため、別途の接着剤がなくても喫煙物品のラッパーなどに付着され得るが、これによって香料シートの配置工程が簡素化され得、接着剤による安全性の問題から自由となり得る。
【0044】
幾つかの実施例において、シート組成物は多様なハイドロコロイド物質のうち改質されたセルロースを含むことができる。ここで、「改質されたセルロース」は分子構造内で特定の作用基が置換されたセルロースを意味し得る。改質されたセルロースの例としては、HPMC、MC、CMC、ECが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、HPMCはヒドロキシプロピル基およびメチル基(またはメトキシ基)が置換された比率および分子量によって約4~40000の範囲内の等級(grade)を有することができる。等級により、改質されたセルロースの粘度が決定され得る。より具体的には、HPMCの物理化学的特性はメトキシ基の比率、ヒドロキシプロピル基の比率および分子量と関係があるが、アメリカ薬局方(USP)によると、HPMCの種類はメトキシ基およびヒドロキシプロピル基の比率によってHPMC1828、HPMC2208、HPMC2906およびHPMC2910などに分類され得る。ここで、前の二つの数字はメトキシ基の比率で、後の二つの数字はヒドロキシプロピル基の比率を意味し得る。本発明者などの持続的な実験結果、改質されたセルロースを含むシート組成物から製造された香料シートは、シート物理性および香り保有量が優秀なものと確認された。
【0045】
次に、オイル性香料の例としては、植物、木、その実などから抽出された天然オイル(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、枯れ草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、丁香、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイヒ、キャラウェイ、ジャスミン、ショウガ、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カッシア、コーヒー、セロリ、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、桃エキスなど)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0046】
一方、幾つかの実施例において、シート組成物はLM-ペクチン(low methoxyl pectin)をさらに含んでもよい。LM-ペクチンは、エステル化が比較的に少なく行われた低エステルペクチンまたは低メトキシルペクチンであり、具体的には、分子構造の内部にカルボキシ基(carboxyl group)が約50%未満で含有されたペクチンを意味し得る。LM-ペクチンは、カラギナンとは異なって、放冷時にゲル化しない特性を有するので、スラリー状シート組成物の粘度を低減することができる(例えば、約600cp~800cp程度)。また、乳化剤がなくとも、スラリー状シート組成物の製造が可能であるため、乳化剤による安全性問題から自由となり得る。
【0047】
LM-ペクチンは分子構造の内部にカルボキシ基を約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満で含有することができる。LM-ペクチンの分子構造の内部にカルボキシ基含量が少なくなるほど、LM-ペクチンを含むスラリーの粘度が低くなり得る。
【0048】
また、幾つかの実施例において、シート組成物は増量剤(bulking agent)をさらに含んでもよい。増量剤は蒸溜水以外の構成成分の合計質量(すなわち、乾物質量)を増加させて、製造される香料シートの体積を増加させることができ、香料シートの本来の機能に影響を及ぼさない物質であり得る。具体的には、増量剤は香料シートの体積を増加させるものの、スラリーの粘度を実質的に上昇させないと同時に、香料シートの香料保持機能に悪影響を及ぼさない特性を有することができる。また、増量剤は香料シートの体積増加を通じて気孔の大きさも増加させることによって香料シートの音発生機能を強化させることができる。
【0049】
好ましくは、増量剤はデンプン類、変性デンプン、またはデンプン加水分解物であってもよい。しかし、これに限定されるものではない。
【0050】
ここで、変性デンプンは酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸二デンブン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸二デンブン、リン酸一デンブン、リン酸化リン酸二デンブンなどを示す。
【0051】
また、デンプン加水分解物とは、デンプンを加水分解する工程を含むプロセスによって得られる物質を示す。デンプン加水分解物は、例えば、デンプンを直接加水分解して得られる物質(すなわち、デキストリン)、またはデンプンを加熱処理した後に加水分解して得られる物質(すなわち、難消化性デキストリン)を含んでもよい。増量剤は、例えば、デキストリン(dextrin)であって、さらに具体的にシクロデキストリン(cyclodextrin)であり得る。
【0052】
デンプン加水分解物は、一般的に、約2~約40の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物、好ましくは約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物であり得る。約2~約20の範囲に含まれるDE値を有するデンプン加水分解物として、例えば、パインデックス#100(松谷化学工業(株))、パインファイバー(松谷化学工業(株))、TK-16(松谷化学工業(株))が用いられ得る。
【0053】
ここで、「DE」は、dextrose equivalentの略語であり、DE値は、デンプンの加水分解の程度、すなわちデンプンの糖化率を示す。本開示でDE値は、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法によって測定された値であり得る。加水分解されたデンプン(デンプン加水分解物)の特性、例えば、デンプン加水分解物の分子量やデンプン加水分解物を構成する糖分子の配列などの特性は、デンプン加水分解物の分子ごとに一定でなく、任意の分布またはバリエーション(variation)を持って存在している。デンプン加水分解物の特性の分布やバリエーション、またはカットされる区間の差異などによって、デンプン加水分解物は、その分子ごとに異なる物性特徴(例えばDE値)が発現することができる。このように、デンプン加水分解物は、異なる物性特徴を示す分子の集合であるが、ウィルシュテッター・シューデル(Willstatter-Schudel)法を用いた測定結果(すなわちDE値)は、デンプンの加水分解の程度を示す代表値として扱われている。
【0054】
好ましくは、デンプン加水分解物は、約2~約5のDE値を有するデキストリン、約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンおよびこれらの混合物からなる群から選択され得る。約2~約5のDE値を有するデキストリンとして、例えばパインデックス#100(松谷化学工業(株))が活用され得る。約10~約15のDE値を有する難消化性デキストリンとして、例えばパインファイバー(松谷化学工業(株))が活用され得る。
【0055】
また、幾つかの実施例において、シート組成物は可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤は香料シートに適切な柔軟性を付与することによってシートの物理性を向上させることができる。可塑剤は例えばグリセリンおよびプロピレングリコールのうち少なくとも一つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
また、幾つかの実施例において、シート組成物は乳化剤をさらに含んでもよい。乳化剤は脂溶性が強い香料と水溶性のハイドロコロイド物質間の架橋の役割を遂行することによって、香料シートの香り保有量および香り保持性を増大させることができる。乳化剤の例としてはレシチンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0057】
前述したシート組成物から製造された香料シートは多様な含量比(組成比)を有することができる。
【0058】
幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、約10~30重量部のオイル性香料を含むことができ、好ましくは約12~28重量部、約14~26重量部のオイル性香料を含むことができる。このような数値範囲内で、適切な水準の香り発現性と音効果が保障され得、シートもよく形成され得る。例えば、オイル性香料の含量が過度に少ない場合には香り発現性が低下し、気孔がよく形成されないため音もよく発生しないことがある。その反対に、オイル性香料の含量が過度に多い場合には、多数の気孔が発生したりシート形成剤の含量が減少したりするなどによりシートがよく形成されないことがある。
【0059】
また、幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、約2~約15重量部の水分、約25~約90重量部の改質されたセルロースおよび約10~約30重量部のオイル性香料を含むことができる。
【0060】
また、幾つかの実施例において、香料シートは、全体100重量部を基準として、約2~約15重量部の水分、約1~約60重量部のハイドロコロイド物質、約1~約60重量部のLM-ペクチンおよび約10~約30重量部のオイル性香料を含むことができる。
【0061】
幾つかの実施例において、可塑剤は、香料シート全体100重量部を基準として、約0.1~15重量部だけ含まれ得る。このような数値範囲内で適切な柔軟性を有するシートが形成され得る。例えば、可塑剤が過度に少なく添加される場合にはシートの柔軟性が低下して工程中に香料シートが容易に破損し得、可塑剤が過度に多く添加される場合にはシートがよく形成されないことがある。
【0062】
本開示の多様な実施例によると、喫煙中に音が発生する喫煙物品が提供され得る。具体的には、前述した多孔性香料シートが喫煙物品に適用されることによって喫煙中に音が発生し得、これに伴い、喫煙者により向上した喫煙体験が提供され得る。以下では、本開示の多様な実施例に係る喫煙物品(例えば、100)に対して添付された図面により詳細に説明することにする。
【0063】
図1は、本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品100を概略的に示す例示的な図面である。
【0064】
図1に図示された通り、喫煙物品100はフィルタ部120、喫煙物質部110およびラッパー130を含むことができる。ただし、図1には本開示の実施例に関連する構成要素のみが図示されている。したがって、本開示が属した技術分野の通常の技術者であれば、図1に図示された構成要素の他に他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。また、図1は、本開示の多様な実施例に係る喫煙物品の一部の例示を図示しているだけであり、喫煙物品の細部構造は図1に図示ものと異なってもよい。喫煙物品の細部構造の他の例示に関しては図6および図7を参照することにする。以下、喫煙物品100の各構成要素について説明する。
【0065】
フィルタ部120は喫煙物質部110で発生した煙および/またはエアロゾルに対する濾過機能を遂行することができる。このために、フィルタ部120はフィルタ(濾過)物質を含むことができる。フィルタ物質の例としては、セルロースアセテート繊維、紙などが挙げられるが、本開示の範囲はこれに限定されるものではない。フィルタ部120はフィルタ物質(プラグ)を包んでいるラッパー130をさらに含むものであってもよい。
【0066】
フィルタ部120は喫煙物質部110の下流に位置して喫煙物質部110の下流末端と連結され得る。例えば、フィルタ部120と喫煙物質部110は円柱(ロッド)状を有して長さ軸方向に整列され、チッピングラッパー(tipping wrapper)により連結され得る。チッピングラッパーはフィルタ部120の少なくとも一部と喫煙物質部110の少なくとも一部を共にラッピングしてフィルタ部120と喫煙物質部110を連結することができる。フィルタ部120が喫煙物品100の下流末端を形成する場合、フィルタ部120は喫煙者の口部と接触するマウスピースとして機能してもよい。
【0067】
フィルタ部120はロッドの形態で製造されるので、場合により「フィルタロッド120」と称されてもよく、円柱型、内部に中空を含むチューブ型、リセス型などのように多様な形態で製造され得る。
【0068】
次に、喫煙物質部110は燃焼または加熱されることによって煙および/またはエアロゾルを発生させることができる喫煙物質を含むことができる。喫煙物質部110は喫煙物質を包んでいるラッパー130をさらに含むものであってもよい。
【0069】
喫煙物質部110はフィルタ部120の上流に位置してフィルタ部120の上流末端と連結され得る。喫煙物質部110で発生した煙および/またはエアロゾルはパフによってフィルタ部120を経て喫煙者の口部に伝達され得る。
【0070】
喫煙物質部110もロッドの形態で製造されるので、場合により「喫煙物質ロッド110」と称されてもよい。
【0071】
喫煙物質は例えばタバコ物質を含むことができる。タバコ物質は例えば、タバコ葉の細片、タバコの茎またはこれらから加工された物質などを含むことができる。より具体的な例として、タバコ物質は粉砕されたタバコの葉、粉砕された再構成タバコ、膨化刻み、膨化主脈および板状葉などを含むことができる。しかし、これに限定されるものではない。また、タバコ物質はタバコ刻み、タバコ粒子(particle)、タバコシート(sheet)、タバコビーズ(beads)、タバコ顆粒(granule)またはタバコ抽出物の形態を有し得るが、これに限定されるものではない。
【0072】
幾つかの実施例において、喫煙物質は湿潤剤(保湿剤)、香味剤および/または有機酸(organic acid)のような添加物質をさらに含むことができる。例えば、湿潤剤はグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含んでもよい。湿潤剤はタバコ物質内の水分を適正水準に維持して固有の味をやわらかくし、霧化量を豊富にすることができる。また、香味剤は例えば甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモム、セロリ、コロハ、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、バラオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、ケイヒ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、ケイヒ、イランイラン、サルビア、スペアミント、ショウガ、コエンドロ、クローブ抽出物(またはクローブ物質)またはコーヒーなどを含んでもよい。
【0073】
次に、ラッパー130は喫煙物質部110および/またはフィルタ部120の少なくとも一部を包んでいるものを意味し得る。ラッパー130は喫煙物質部110またはフィルタ部120の個別のラッパーを指し示すものであってもよく、チッピングラッパーなどのように喫煙物質部110とフィルタ部120の少なくとも一部を共に包んでいるラッパーを指し示すものであってもよく、喫煙物品100に利用されたすべてのラッパーを総称するものであってもよい。ラッパー130は多孔性または非多孔性のラッピングペーパー(wrapping paper)からなってもよいが、本開示の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、ラッパー130は金属ホイル(foil)またはラッピングペーパーと金属ホイルの重ね合わせの形態からなってもよい。
【0074】
本開示の多様な実施例によると、図示された通り、音発生要素として機能する香料シート10が喫煙物質部110および/またはラッパー130に適用され得る。そのようにすることによって、喫煙中に音が発生し得、喫煙者により向上した喫煙体験が提供され得る。ただし、その具体的な適用方式は実施例により変わり得る。
【0075】
幾つかの実施例では、図2に図示された通り、香料シート10の裁刻物11が刻み(111;e.g.葉タバコ刻み、板状葉刻みなど)と配合されて喫煙物質部110に投入され得る。このような場合、裁刻物11が喫煙物質部110内に均一に分布されるため、喫煙中に一定の大きさの音が持続的に発生することができる。
【0076】
また、幾つかの実施例では、図3に図示された通り、香料シート10がタバコシート20とともに喫煙物質部110に投入され得る。ここで、タバコシート20はシート形態で製造されたタバコ物質であって、例えば板状葉のような再構成タバコであり得るが、これに限定されるものではない。本例示で、香料シート10はタバコシート20と適切に混合されて(例えば、香料シート10をタバコシート20に積層するか、共にぐるぐる巻くなど)喫煙物質部110に投入され得る。
【0077】
また、幾つかの実施例では、図4または図5に図示された通り、香料シート10がラッパー130の内側に配置(適用)され得る。例えば、図4に図示された通り、香料シート10が喫煙物品100の長さ方向に延びるように配置され得る。このような場合、喫煙中に一定の大きさの音が持続的に発生することができる。他の例として、図5に図示された通り、複数個の香料シート10-1~10-3がラッパー130の内側に離隔配置され得る。この時、配置間隔を同一にしてもよく、異なるようにしてもよい。このような場合、喫煙中に所定の時間間隔をおいて音が発生し得るところ、喫煙者に変わった喫煙体験が提供され得る。
【0078】
前記の実施例において、ラッパー130の少なくとも一部が金属ホイルからなる場合には、香料シート10が金属ホイルの内側に配置され得る。このような場合、金属ホイルを通じて伝達された熱によって香料シート10の香り発現および音発生がさらに促進され得る。
【0079】
香料シート10をラッパー130に配置する方式は多様であり得る。
【0080】
幾つかの例では、香料シート10をラッピングペーパーに重ね合わせ(付着)する工程を通じてラッピング材料が製造され、製造されたラッピング材料がラッパー130として利用され得る。この時、香料シート10がハイドロコロイド物質を含む場合には、別途の接着剤なしに香料シート10がラッピングペーパーに付着され得る。例えば、香料シート10に水、エタノールなどの液体を噴射すれば接着剤なしにも香料シート10がラッピングペーパーに付着され得るが、これはハイドロコロイド物質が例示された液体と接触する際に自主的に粘性を帯びるためである。この場合、接着剤による安全性問題から自由となり得るという長所がある。
【0081】
他の幾つかの例では、香料シート10の原料であるシート組成物をラッピングペーパーに塗布して乾燥するコーティング工程を通じてラッピング材料が製造され、製造されたラッピング材料がラッパー130として利用されてもよい。
【0082】
一方、幾つかの例では、香料シート10がラッパー130の少なくとも一部を構成してもよい。すなわち、香料シート10自体が喫煙物品100のラッパー130として機能することができる。この時、ラッパー130の少なくとも一部は香料シート10のみで構成されてもよく、香料シート10とラッピングペーパーが一体化した形態で構成されてもよい。このような場合、香料シート10をラッパー130に配置する工程(例えば、重ね合わせ工程、コーティング工程)の遂行が不要であるところ、喫煙物品100の製造工程がより簡素化され得る。
【0083】
一方、本開示の幾つかの実施例では、香料シート10の大きさ(例えば、長さ、厚さ)、多孔度、配置位置、配置間隔および/または配置形態などを変更することによって、喫煙時の音発生パターンが調節され得る。
【0084】
例えば、図5に例示された通り、香料シート10-1~10-3を一定間隔だけ離隔配置することによって、喫煙の際に一定の間隔で音が発生するようにすることができる。
【0085】
他の例として、下流方向に行くほどラッパー130に配置された香料シート10の大きさが増加したり減少するようにすることによって、喫煙が進行されるにつれて音が次第に大きくなったり小さくなるようにすることができる。このような場合、音の変化を通じて喫煙終了時点を喫煙者に知らせる効果が達成され得る。
【0086】
さらに他の例として、下流方向に行くほどラッパー130に配置された香料シート10の多孔度が増加したり減少するようにすることによって、喫煙が進行されるにつれて音が次第に大きくなったり小さくなるようにすることができる。このような場合にも、音の変化を通じて喫煙終了時点を喫煙者に知らせる効果が達成され得る。本例示で、香料シート10の多孔度は、例えばオイル性香料の含量、増量剤の含量、乾燥条件などに基づいて調節され得るであろうが、これに限定されるものではない。
【0087】
さらに他の例として、下流方向に行くほど香料シート10の配置間隔を広くなったり狭くなるようにすることによって、喫煙が進行されるにつれて音発生の間隔が大きくなったり小さくなるようにしてもよい。
【0088】
これまで図1図5を参照して本開示の幾つかの実施例に係る喫煙物品100について説明した。前述したことによると、多孔性香料シート10を適用することによって喫煙中に音が発生する喫煙物品100が容易に製造され得、喫煙者により向上した喫煙体験が提供され得る。
【0089】
以下では、本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品200、300について図6および図7を参照して説明することにする。ただし、本開示の明瞭さのために、前述された喫煙物品100と重複する内容に対する説明は省略することにする。
【0090】
図6は、本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品200を示す例示的な図面である。
【0091】
図6に図示された通り、喫煙物品200は喫煙物質部210とフィルタ部220を含むことができ、フィルタ部220は複数のセグメント221、222を含むことができる。
【0092】
喫煙物質部210は前述した喫煙物質部110に対応し得る。したがって、これに対する説明は省略することにする。
【0093】
次に、フィルタ部220は第1セグメント221と第2セグメント222で構成され得る。もちろん、フィルタ部220は第3セグメント(図示されず)をさらに含んでもよい。
【0094】
第1セグメント221は喫煙物質部210で発生した煙および/またはエアロゾルに対する冷却機能を遂行することができる。したがって、場合により第1セグメント221は「冷却セグメント221」または「冷却部221」と称されてもよい。
【0095】
第1セグメント221は多様な形態で製造され得る。一例として、第1セグメント221は紙材質で形成され、中空を含む円筒形態の紙管であり得る。他の例として、第1セグメント221は高分子物質または生分解性高分子物質で製作されたものであってもよい。例えば、第1セグメント221はポリ乳酸(PLA)繊維で製作され得るが、これに限定されない。さらに他の例として、第1セグメント221は複数個の孔が穿設されたセルロースアセテートフィルタで製作され得る。さらに他の例として、第1セグメント221は中空を含むチューブフィルタであり得る。例えば、第1セグメント221は中空を含むセルロースアセテートフィルタであり得る。しかし、これに限定されるものではなく、冷却機能を遂行できるのであれば、第1セグメント221は例示されたものとは異なる形態で製造されてもよい。
【0096】
次に、第2セグメント222は第1セグメント221を通過した煙および/またはエアロゾルに対する濾過機能を遂行することができる。したがって、場合により第2セグメント222は「フィルタセグメント222」または「フィルタ部222」と称されてもよい。または第2セグメント222はマウスピース部位に位置するところ、「マウスピースセグメント222」または「マウスピース部222」と称されてもよい。
【0097】
幾つかの実施例において、第2セグメント222は少なくとも一つのカプセル240を含むことができる。ここで、カプセル240は香味を発生させる機能を遂行してもよく、エアロゾルを発生させる機能を遂行してもよい。例えば、カプセル240は香料を含む液体を皮膜で包んだ構造であり得る。また、カプセル240は球状または円筒状を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0098】
次に、ラッパー230は前述したラッパー130に対応し得る。したがって、これに対する説明は省略することにする。
【0099】
前述した通り、喫煙物質部210および/またはラッパー230には音発生要素として機能する多孔性香料シート10が適用され得る。そうすることによって、喫煙物品200の香り発現性および香り持続性が増進され得、喫煙中に音が発生することによって喫煙者により向上した喫煙体験が提供され得る。
【0100】
一方、図6に図示されてはいないが、喫煙物品200は末端に配置されたプラグ(図示されず)をさらに含んでもよい。例えば、プラグは喫煙物品200の上流末端に配置され、喫煙物品200の全体の長さを適切に調節する機能を遂行することができる。また、喫煙物品200がエアロゾル発生装置(図示されず)に挿入される場合、プラグは喫煙物質部210がエアロゾル発生装置内部の適切な位置に配置されるように調節する機能を遂行してもよい。
【0101】
図7は、本開示のさらに他の幾つかの実施例に係る喫煙物品300を概略的に示す例示的な図面である。
【0102】
図7に図示された通り、喫煙物品300は喫煙物質部310およびフィルタ部320を含むことができ、喫煙物質部310およびフィルタ部320それぞれは複数のセグメント311、312、321、322を含むことができる。
【0103】
図示された通り、喫煙物質部310は第1セグメント311と第2セグメント312で構成され得る。もちろん、喫煙物質部310は第3セグメント(図示されず)をさらに含んでもよい。
【0104】
第1セグメント311は保湿剤を含むことができる。例えば、第1セグメント311は保湿剤が含浸された捲縮紙を含むことができる。保湿剤は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0105】
次に、第2セグメント312はタバコ物質のようなニコチン発生基材を含むことができる。ニコチン発生基材は、例えば、タバコ刻み、タバコ粒子、タバコシート、タバコビーズ、タバコ顆粒を含むことができる。他の例として、ニコチン発生基材はタバコ抽出物が含浸された捲縮紙を含んでもよい。ニコチン発生基材が加熱される場合、ニコチン発生基材からニコチンが発生してフィルタ部320にニコチンが移行され得る。
【0106】
次に、フィルタ部320も複数のセグメント321、322を含むことができる。例えば、フィルタ部320は冷却機能を遂行する第3セグメント321と濾過機能を遂行する第4セグメント322を含むことができる。前述した図6のフィルタ部220に対する内容がフィルタ部320に同一に適用され得るため、さらなる説明は省略することにする。
【0107】
次に、ラッパー330は前述したラッパー130に対応し得る。したがって、これに対する説明は省略することにする。
【0108】
前述した通り、喫煙物質部310および/またはラッパー330には音発生要素として機能する香料シート10が適用され得る。そうすることによって、喫煙物品300の香り発現性および香り持続性が増進され得、喫煙中に音が発生することによって喫煙者により向上した喫煙体験が提供され得る。
【0109】
これまで図6および図7を参照して本開示の他の幾つかの実施例に係る喫煙物品200、300について説明した。
【0110】
以下では、実施例および比較例を通じて、前述した香料シート10の構成および効果についてより明確に説明することにする。ただし、以下の実施例は本開示の一部の例示に過ぎないので、本開示の範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0111】
実施例1~2
【0112】
下記の表1の調液に開示されている組成のシート組成物を基材上に塗布し乾燥して、下記の表1の完成品に開示されている組成を有する香料シートを製造した。
【0113】
【表1】
【0114】
比較例1~3
【0115】
下記の表2の調液に開示されている組成のシート組成物を基材上に塗布し乾燥して、下記の表2の完成品に開示されている組成を有する香料シートを製造した。
【0116】
【表2】
【0117】
実験例:オイル性香料の含量による香料シート製造作業性、品質、音発現程度評価
【0118】
実施例1~2および比較例1~3に係る香料シートに対してシート組成物(調液)を基材に塗布、基材して香料シートを製造するに際しての作業性(容易性)、製造された香料シートの品質および音発現の有無に対して評価する実験を進行した。
【0119】
ここで香料シートの品質は、香料シートに形成された気孔の程度と柔軟性の程度が使用に適合しているか否かに対して評価を進行した。実験結果は下記の表3に示した。
【0120】
香料シートの作業性が優秀な場合、品質が使用に適合な場合、音が発現する場合は○で表記し、その反対に作業性が悪く、品質が使用に適合でない場合、音が発現しない場合は×で表記した。
【0121】
【表3】
【0122】
表3を参照すると、オイル性香料をそれぞれ14.9重量%および25.3重量%を含む実施例1および実施例2の場合、シート製造作業性、シート品質および音発現程度がすべて優秀であることを確認することができた。
【0123】
これに反し、オイル性香料を2.8重量%含むか含まない比較例1および比較例3の場合は音が発現せず、オイル性香料を34.5重量%含む比較例2の場合は製造作業性が悪く、シート品質が使用に適合しておらず、声も発現しないことを確認することができた。このような結果は、オイル性香料の適正含量の添加が香料シートの製造作業性、物理性を向上させることができ、音発現性も向上させることができることを示すものと判断される。
【0124】
これまで実施例および比較例を通じて、前述した香料シート10の構成および効果についてより明確に説明した。
【0125】
以上、添付された図面を参照して本開示の実施例を説明したが、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり、限定的ではないものと理解されるべきである。本開示の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本開示によって定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】