(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】可変不透明度の領域を有する切り替え可能光変調器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1675 20190101AFI20240221BHJP
G02F 1/153 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
G02F1/1675
G02F1/153
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553579
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022020310
(87)【国際公開番号】W WO2022197654
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オキーフ, ドナル マーティン
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101AA08
2K101AA22
2K101BA07
2K101BC02
2K101BC13
2K101BC26
2K101BD22
2K101BD23
2K101BD33
2K101BF42
2K101EB01
2K101EB03
2K101EC08
2K101EG51
2K101EK04
2K101EK05
(57)【要約】
電気泳動媒体等の電気光学媒体で充填されたチャンバを含むフィルムであり得る切り替え可能光変調器であって、いくつかのチャンバは、電気光学媒体が、「開放」状態と「閉鎖」状態との間で切り替えられると、より大きい体積のチャンバを有する光変調器のいくつかの領域が、より小さい体積を伴うチャンバを有するエリアより、光学密度の大きい変化を受けるように、異なる体積の電気光学媒体を有する。そのような切り替え可能光変調器は、視認エリアの一部のみが暗くされることが望ましいフロントガラス、ガラス、窓、レンズ、またはバイザの中への組込のために有用である。設計は、2つ(典型的に、光透過性)の電極のみを要求するので、動作は、個々に作動可能なピクセル電極と比較して、簡単化され、コストは、減らされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り替え可能光変調器であって、前記可能光変調器は、
第1の光透過性基板と、
複数の特徴を備えている第2の光透過性基板であって、前記特徴は、前記第1の光透過性基板と実質的に平行であり、前記特徴のうちの少なくともいくつかは、前記特徴と前記第1の光透過性基板との間の異なる直交距離を有する、第2の光透過性基板と、
前記第1の光透過性基板と前記第2の光透過性基板との間に配置され、したがって、複数のチャンバを作成する複数の壁と、
前記複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、
前記第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、
前記第2の光透過性基板に結合された第2の電極と
を備え、
前記第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、前記電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる、切り替え可能光変調器。
【請求項2】
前記電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、前記電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項3】
前記電気光学媒体は、双安定性である、請求項2に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項4】
前記第1の光透過性基板または前記第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項5】
前記第2の光透過性基板の少なくとも一部は、前記第1の光透過性基板に接触している、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項6】
前記第2の光透過性基板の前記特徴のうちの少なくともいくつかと前記第1の光透過性基板との間の前記直交距離は、少なくとも60μm以上である、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項7】
前記第2の光透過性基板の前記特徴のうちの少なくともいくつかと前記第1の光透過性基板との間の前記直交距離は、60μm未満である、請求項6に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の切り替え可能光変調器を含むフロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザ。
【請求項9】
透明な基板と、請求項1に記載の切り替え可能光モジュールと、前記切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステム。
【請求項10】
前記プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである、請求項9に記載の情報ディスプレイシステム。
【請求項11】
切り替え可能光変調器であって、前記切り替え可能光変調器は、
第1の光透過性基板と、
複数のウェルを備えている第2の光透過性基板であって、前記ウェルは、壁および床を有し、前記第1の光透過性基板に結合されると、複数のチャンバを作成し、前記ウェルは、開放幅を有し、前記ウェルのうちの少なくともいくつかは、他のウェルの半分未満の幅である開放幅を有する、第2の光透過性基板と、
前記複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、
前記第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、
前記第2の光透過性基板に結合された第2の電極と
を備え、
前記第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、前記電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる、切り替え可能光モジュール。
【請求項12】
前記電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、前記電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項13】
前記電気光学媒体は、双安定性である、請求項12に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項14】
前記第1の光透過性基板または前記第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項15】
前記第2の光透過性基板の少なくとも一部は、前記第1の光透過性基板に接触している、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項16】
前記ウェルのうちの少なくともいくつかの前記開放幅は、150μm以上である、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項17】
前記ウェルのうちの少なくともいくつかの前記開放幅は、150μm未満である、請求項16に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項18】
請求項11に記載の切り替え可能光変調器を含むフロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザ。
【請求項19】
透明な基板と、請求項1に記載の切り替え可能光モジュールと、前記切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステム。
【請求項20】
前記プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである、請求項19に記載の情報ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年3月15日に出願された米国仮特許出願第63/161,432号の優先権を主張する。本明細書に開示される全ての特許および刊行物は、参照することによって全体として組み込まれる。
【0002】
本発明は、切り替え可能光変調デバイス、すなわち、通過する光または他の電気磁気放射線の量を変調するように設計された可変透過率フィルムデバイスに関する。エレクトロクロミックデバイス、懸濁粒子ディスプレイ(SPD)デバイス、および電気泳動デバイス等のいくつかの異なるタイプの電子的に作動可能な光変調デバイスが、商業的に利用可能であり、エネルギー消費、コントラスト比、および透明度、すなわち、「開放」状態の明度等の種々のコストおよび利益を有する。[便宜上、用語「光」が、通常、本明細書で使用されるであろうが、この用語は、広義の意味において、可視および非可視波長の両方における電気磁気放射線を含むと理解されたい。例えば、下で述べられるように、本発明は、基板に適用され、温度を制御するために、または外部赤外線放射線への暴露を遮断するために、赤外線放射線を変調し得る表面を提供し得る。]
【0003】
より具体的に、本発明は、切り替え可能光変調デバイスに関し、切り替え可能光変調デバイスは、視認媒体の一部のみにわたって光変調を制御するために、電気光学材料(粒子ベースの電気泳動媒体等)を使用する。そのようなデバイスは、入射光を遮断するために、または画像を投影すべき暗い背景を提供するために、視認平面の特定の所定の領域のみにおいて、光透過を減少させることが所望される場合、有益であり得る。本発明の種々の実施形態の中に組み込まれ得る電気泳動媒体の例は、例えば、米国特許第10,809,590号(特許文献1)および10,983,410号(特許文献2)(その両方の内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される電気泳動媒体を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,809,590号明細書
【特許文献2】米国特許第10,983,410号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、電気光学流体層が2つの平行して並んで置かれた基板の表面間に配置された切り替え可能光変調器デバイスを提供する。基板の対向表面は、実施形態の視認面を形成する。電気光学流体層による実施形態の(視認面の)視認エリアの被覆率は、均一ではなく、流体層のステップ変化に従って、異なるエリアのための異なるレベルの光調整をもたらす。ある実施形態において、異なるエリア間の流体層のステップ変化は、エンボス加工(または成型)された透明ポリマー構造の体積のステップ変化によって達成される。エンボス加工された固体ポリマー構造は、視認エリア内に埋め込まれ、デバイスの流体層を空洞に対応する別々の体積の単層に分割する壁特徴も組み込む。これらの空洞内において、エンボス加工されたポリマー構造は、固体透明ポリマーによって占有される体積のパーセンテージを変化させることによって、関連して、流体の体積のパーセンテージを変化させることによって、隣接するエリアまたは空洞に対して、流体層のステップ変化を遂行する。別の実施形態において、空洞の体積は、いくつかの空洞のみが、薄い分離のエリア(すなわち、壁)を空洞の間に含み、他のエリアでは、空洞が、はるかに厚い分離を有するように、空洞の開放幅を減らすことによって、改変されることができる。
【0006】
空洞の体積は、その壁構造の内面と、その並んで置かれた基板の内面とによって画定される。2つの極限または限界エリアが存在し、一方は、空洞の体積が、流体のみ(100%流体)で、他方は、空洞の体積が、固体ポリマーのみ(0%流体)で充填される。後者のエリアでは、光変調器は、エリアが中心視認エリア内にあり得る場合でも、光透過を調整することができない。しかしながら、動作の便利および簡単のために、これらの異種空洞の全ては、2つのみの基板から組み立てられ得、最終ディスプレイのみが、好ましくは、酸化インジウムスズ(ITO)等の光透過性材料から構築された上部および底部電極層を含む。いくつかの実施形態において、大部分の空洞は、2つの極限の中間にあるであろう。故に、いくつかの空洞は、体積Xを有し得、いくつかの空洞は、2Xと3Xとの間の体積を有し、いくつかの他の空洞は、少なくとも3Xの体積を有するであろう。Xは、約1nLであり得るが、1~10nL等、より大きくあり得るか、または、0.1~1nL等、より小さくあり得る。他の実施形態において、視認エリア内のいずれの空洞も、体積比0%流体を有しないであろう。実施形態において、各々が流体を含む少なくとも2つ以上の隣接する空洞の間の流体層のパーセンテージ体積ステップ変化は、少なくとも1%、より好ましくは、少なくとも1.5%、最も好ましくは、少なくとも1.75%であり、各々が流体を含む少なくとも2つ以上の近隣空洞の間の流体層パーセンテージ体積ステップ変化は、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも15%、最も好ましくは、少なくとも17.5%である。誤解を避けるために、近隣空洞は、光変調器の視認エリア内の任意の2つの空洞を指し、近隣エリアは、各々が同じパーセンテージ体積の流体を有するが、2つのエリアに関するパーセンテージ値が異なる複数の空洞を各エリアが備えている任意の2つのエリアを指す。
【0007】
実施形態において、流体層のパーセンテージ体積ステップ変化は、空洞のための、拡大解釈すれば、エリア(同じパーセンテージ体積の流体を伴う空洞を有する)のための選択可能光透過率の範囲内のステップ変化と一致する。上で記載されるように、2つの極限または限界例が存在し、一方は、空洞の体積が、流体のみ(100%流体)で充填され、この場合における切り替え可能(すなわち、選択可能)光透過率の実施形態の範囲は、光変調器が任意の空洞のために達成し得る最低最小透過率値から、最低最大透過率値までである。他方の極限では、流体のための0%体積またはそれに近い空洞は、変調器の最大透過率値であろうが、その最大値から眼によって区別不能な最小透過率値を伴う無視可能である切り替え範囲を有する。
【0008】
実施形態において、光状態は、選択可能であり、第1の光状態は、空洞の最大光透過率に対応し、第2の光状態は、その最小透過率に対応する。デバイスは、第1および第2の光状態の各々に関する光透過率値における差異を有する空洞、拡大解釈すれば、エリアによって特徴付けられる。同じ光状態で動作される各々が流体を含む少なくとも2つ以上の隣接する空洞は、少なくとも1%、より好ましくは、少なくとも1.5%、最も好ましくは、少なくとも1.75%の光透過率値の差異を有し、各々が流体含む少なくとも2つ以上の近隣空洞間の差異は、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも15%、最も好ましくは、少なくとも17.5%である。
【0009】
いくつかの実施形態において、同じ流体は、空洞の少なくとも66%を充填し(但し、同じパーセンテージ体積を伴わない)、より好ましくは、同じ流体は、流体を有する空洞の100%を充填する。いくつかの実施形態において、流体は、積層ステップにおいて、空洞を充填し、積層ステップは、底部基板上に事前に形成(かつそれに接合)されたエンボス加工されたポリマー構造を流体層をそれらの間に伴って上部基板に適用する。好ましくは、積層ステップは、基板がローラ間を垂直に進行し、流体が、NIP点の上方の基板の間の貯留部内に保持され、基板がNIP点を通過するにつれて、ローラによって、エンボス加工されたポリマー内の空洞の中に充填および積層されるように向けられた一対のNIPローラを使用する。基板の平行面の間の直交距離は、基板がNIP点を通過するとき、ポリマー壁構造によって決定される。好ましくは、ポリマー壁構造の上部は、積層後、またはそれと同時に、UV光(または他の放射線)硬化段階において、上部基板に接合される。
【0010】
一側面では、切り替え可能光変調器が、本明細書に説明され、切り替え可能光変調器は、第1の光透過性基板と、複数の特徴を備えている第2の光透過性基板であって、特徴は、第1の光透過性基板と実質的に平行であり、特徴のうちの少なくともいくつかは、特徴と第1の光透過性基板との間の異なる直交距離を有する、第2の光透過性基板と、第1の光透過性基板と第2の光透過性基板との間に配置され、したがって、複数のチャンバを作成する複数の壁と、複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、第2の光透過性基板に結合された第2の電極とを含み、第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる。いくつかの実施形態において、電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる。いくつかの実施形態において、電気光学媒体は、双安定性である。いくつかの実施形態において、第1の光透過性基板または第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている。いくつかの実施形態において、第2の光透過性基板の少なくとも一部は、第1の光透過性基板に接触する。いくつかの実施形態において、第2の光透過性基板の特徴のうちの少なくともいくつかと第1の光透過性基板との間の直交距離は、少なくとも60μm以上である。いくつかの実施形態において、第2の光透過性基板の特徴のうちの少なくともいくつかと第1の光透過性基板との間の直交距離は、60μm未満である。そのような切り替え可能光変調器は、フロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザの中に組み込まれることができる。そのような切り替え可能光変調器は、透明基板と、切り替え可能光変調器と、切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステムの中に組み込まれることができる。いくつかの実施形態において、プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタ(near-to-eye projector)である。
【0011】
別の側面では、切り替え可能光変調器が、本明細書に説明され、切り替え可能光変調器は、第1の光透過性基板と、複数のウェルを備えている第2の光透過性基板であって、ウェルは、壁および床を有し、第1の光透過性基板に結合されると、複数のチャンバを作成し、ウェルは、開放幅を有し、ウェルのうちの少なくともいくつかは、他のウェルの半分未満の幅である開放幅を有する、第2の光透過性基板と、複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、第2の光透過性基板に結合された第2の電極とを含み、第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる。いくつかの実施形態において、電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる。いくつかの実施形態において、電気光学媒体は、双安定性である。いくつかの実施形態において、第1の光透過性基板または第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている。いくつかの実施形態において、第2の光透過性基板の少なくとも一部は、第1の光透過性基板に接触する。いくつかの実施形態において、ウェルのうちの少なくともいくつかの開放幅は、150μm以上である。いくつかの実施形態において、ウェルのうちの少なくともいくつかの開放幅は、150μm未満である。そのような切り替え可能光変調器は、フロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザの中に組み込まれることができる。そのような切り替え可能光変調器は、透明基板と、切り替え可能光変調器と、切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステムの中に組み込まれることができる。いくつかの実施形態において、プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである。
【0012】
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の説明に照らして、明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、直接、視認レンズの内部平面上に情報を表示するための短焦点/ニア・トゥ・アイプロジェクタを含む例示的拡張現実眼鏡の正面(外側)および背面(内側)図を示す。
【0014】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、直接、フロントガラスの内部平面上に情報を表示するための短焦点プロジェクタを含む例示的車両フロントガラス(本事例では、旅客機)の外側および内側図を示す。
【0015】
【
図3】
図3は、拡張現実眼鏡のためのレンズの形状における左光変調フィルム10と、右光変調フィルム20とを有する拡張現実眼鏡実施形態101を示す。
【0016】
【
図4A】
図4Aは、切り替え可能光変調器実施形態の第1の実施形態を通した円形切口または断面の拡大図を示す。
【0017】
【
図4B】
図4Bは、
図4Aにおける線AAから得られた断面を示し、異なる深度、故に、異なる体積を有するチャンバを詳述する。
【0018】
【
図5】
図5Aおよび5Bは、光変調フィルム実施形態の第2の実施形態を通した円形切口または断面の拡大図を示し、チャンバの開放幅は、異なる体積の電気光学媒体を提供するように変動させられる。
【0019】
【
図6】
図6Aおよび6Bは、切り替え可能光変調器を作成するためのエンボス加工プロセスを図示する。いくつかの実施形態において、エンボス加工された構造は、熱的に硬化または光硬化される。
【0020】
【
図7】
図7は、上部および底部透明電極を伴う切り替え可能光変調器を組み立てるための方法を図示する。
【0021】
【
図8】
図8Aおよび8Bは、暗い(8A)および明い(8B)状態における個々の光変調空洞を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面は、本概念による1つ以上の実装を描写するが、限定ではなく、例にすぎない。
【0023】
切り替え可能光変調器が、本明細書に詳述され、それは、フィルムであり得るが、窓、フロントガラス、または眼鏡等の視認基板の中に直接組み込まれることもある。切り替え可能光変調器は、電気泳動媒体等の電気光学媒体で充填される多くのチャンバを含み、いくつかのチャンバは、電気光学媒体の異なる体積を有し、それによって、光変調器の電気光学媒体の全てが「開放」と「閉鎖」状態との間で切り替えられると、光変調器のいくつかの領域(すなわち、より大きい体積のチャンバを有する領域)が、他の領域(すなわち、より小さい体積を伴うチャンバを有する領域)と比較して、光学密度におけるより大きい変化を受ける。設計は、2つの電極(典型的に、光透過性)のみを要求するので、動作は、個々に作動可能なピクセル電極と比較して、簡単化され、コストは、減らされる。本明細書に説明される光変調器は、電気信号およびスイッチに応答して、光減衰、色、正透過率、または拡散反射のうちの1つ以上を変化させ、2つ以上の光状態を提供する。好ましくは、光状態は、可視光に対して透明である1つの極限状態(第1の光状態)と、光を強く減衰させる別の(第2の光状態)とを含む。そのような切り替え可能光変調器は、視認エリアの一部のみが暗くされることが望ましいフロントガラス、ガラス、窓、レンズ、またはバイザの中への組込のために有用である。
【0024】
本明細書に説明されるデバイスは、任意の電気光学媒体と共に使用され得、それによって、媒体の透過率は、媒体を横断する電場(すなわち、駆動電圧)の印加を用いて改変されることができる。そのような電気光学媒体は、エレクトロクロミック媒体、液晶媒体、回転する懸濁粒子(SPD)、または電気泳動媒体を含み得、それによって、荷電粒子は、特定の電極に向かって、またはそれから離れるように移動し、光学状態を変化させる。電気泳動媒体は、特に、好ましく、ディスプレイの中に組み込まれると、結果として生じるディスプレイは、液晶ディスプレイ等の他の電気光学媒体と比較して、良好な明るさおよびコントラスト、広い視認角度、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。
【0025】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学的特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイであって、第1または第2の表示状態のいずれかを示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、任意の所与の要素が駆動された後、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろうようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒色および白色状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。本タイプのディスプレイは、適切に、双安定ではなく「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書において、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0026】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連する企業に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化およびマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、それらの各々は、それ自体、流体媒体中の電気泳動的に移動可能な粒子を含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルは、それら自体、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、それらは、キャリア媒体(典型的に、高分子フィルム)内に形成される複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
(a) 電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b) カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c) マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d) マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e) 電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f) バックプレーン、接着剤層、他の補助層、およびディスプレイ内で使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g) カラー形成およびカラー調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h) ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i) ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j) 米国特許第6,241,921および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016//0012710号参照)
【0027】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、典型的にはポリマーフィルムであるキャリア媒体内に形成された複数の空洞内に保持される。例えば、国際出願公開第WO02/01281号および公開済み米国特許第6,788,449号を参照されたい(両方は、現E Ink California,LLCであるSiPix Imaging,Inc.に譲渡されている)。
【0028】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子が、ディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射性モードで動作する。しかしながら、電気泳動デバイスは、一方のディスプレイ状態が実質的に不透明であり、一方が光透過性であるいわゆる「シャッタモード」で動作するように作製されることもできる。例えば、前述の米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、および米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと同様であるが、電場強度の変動に依拠する誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作することができる。米国特許第第4,418,346号を参照されたい。DC場が、電源およびコントローラ(図示せず)を使用して、デバイスの電極を介して媒体に印加されると、暗または明粒子が、視認表面に向かって移動し、それによって、光学状態を暗から明に変化させる。交流電場が電極のうちの1つに印加されると、荷電顔料粒子は、カプセルの壁に駆動され、カプセルを通した光の透過のための開口(すなわち、開放状態)をもたらす。両方の実施形態において、溶媒が、非極性であり、電荷制御剤および/または安定剤を備えているので、光学状態(黒色/白色、開放/閉鎖)は、電場を維持する必要なく、長期間(数週間)にわたって、維持されることができる。結果として、デバイスは、1日に数回のみ、「切り替えられ」、非常にわずかな電力を消費し得る。
【0029】
上で議論されるように、本発明の切り替え可能光変調器は、要求時に視認エリアの一部のみが暗くされるようにする能力を提供する。そのような切り替え可能光変調器のための重要な用途は、拡張現実(AR)およびいわゆるヘッドアップディスプレイである。AR眼鏡101のための基本設計が、
図1Aおよび1Bに示される。外側(すなわち、正面)から見ると、
図1Aに示されるように、AR眼鏡101は、かなり典型的に見られることができ、左レンズ110と、右レンズ120と、フレーム115とを含む。
図1Bに示される、眼鏡の内側を見ると、AR眼鏡101は、
図1Bに示されるように、小型短焦点プロジェクタ(すなわち、メッセージ122または画像をレンズの表面上に投影するように構成されたニア・トゥ・アイプロジェクタ118)をさらに含み得る。好適なニア・トゥ・アイプロジェクタは、Osram(Sunnyvale,CA)から利用可能である。例えば、レンズ表面上の特殊コーティングを使用して、透明な表面上に投影されるメッセージ122を視認することが可能であるが、全体的視認体験は、
図1Bに示されるように、投影されたメッセージ122の背景が暗くされると、改良される。
【0030】
GoogleグラスTM等のいくつかの商業用実施形態において、画像は、レンズの外部表面上の別個の視認表面上に投影されるが、しかしながら、それは、有用な視認エリアを固定された視認表面のそれのみに限定する。視認表面が、固定された位置にあり、多かれ少なかれ光学的に不透明であるので、ユーザは、実際に、視認表面全体(すなわち、外部画像視認表面を有する眼に面した完全なレンズ)を通して見ることができない。加えて、視認エリアの1つのみの部分での近接距離における繰り返される視認は、片方のみの眼が短距離集束のほぼ全てを行っているので、眼精疲労にもつながる。対照的に、本明細書に説明されるように、可変透過率および異なる不透明度のゾーン(またはエリア)の追加を用いることで、投影されたメッセージ122は、視認エリアの周囲に移動させられること、および、部分的透明性を伴ってビュー内の実際のオブジェクトの上にオーバーレイされることさえできる。
【0031】
しかしながら、本明細書に説明される設計および技法は、AR眼鏡に限定されない。
図2Aおよび2Bに図示されるように、同じタイプの光変調フィルムはまた、自動車、オートバイ、飛行機、ヘリコプタ、船舶、ボート、バス、電車等の車両のためのフロントガラスの中にも組み込まれることができる。
図2Aでは、ジェット旅客機の外部が、真正面に見られ、フロントガラス(すなわち、コックピット窓、すなわち、フロントガラス、すなわち、天蓋)の左部分210と、右部分220とを示す。
図2Aにおける内側を見ると、例えば、Epson(Los Alamitos,CA)から利用可能であるような短距離プロジェクタ218が、情報をユーザ、例えば、パイロットに表示するために使用されることができる。類似短焦点方法は、しばらく前から、「ヘッドアップディスプレイ」を用いて、飛行機および自動車において使用されているが、しかしながら、そのようなヘッドアップディスプレイシステムは、典型的に、別個の視認表面を要求し、ユーザは、その視認表面を通して視認しながらの機能性のみを有する。代替として、フロントガラスの領域は、投影された情報の可視性を改良するために、特殊部分的反射性コーティングを有し得るが、しかしながら、その領域を移動させる方法が存在せず、それは、ブラインドスポットをフロントガラス内に作成し得る。
【0032】
総合的に、本明細書に説明される本発明は、光変調フィルムを提供し、光変調フィルムは、標準的な光学および窓材料上でのそのような短焦点情報ディスプレイを可能にしながら、「通常」視認条件に戻るためのオプションも提供する。例えば、いくつかの実施形態は、光変調フィルムを眼鏡のレンズの中に組み込み得る。デバイスは、他の活性層または光ガイドを備えている光学スタックの1つの活性層であることができる。AR眼鏡実施形態において、デバイスは、2つ以上の光状態を使用して、場面から眼に進入する光の量を選択的に調整し、結果として、AR眼鏡によって作成されたデジタル画像の知覚される明るさを選択的に変化させる。場面から眼に進入する光透過の異なるレベル間で選択的に切り替わるために、実施形態層は、デジタル画像の形成に関わる層より場面の近くにあるように(または装着者の眼から離れるように)、光学スタック内に位置しなければならない。
【0033】
いくつかの実施形態において、切り替え可能光変調器は、可撓性基板を有し、完成されたアセンブリは、十分に可撓性であり、レンズの湾曲表面に形状適合し、接合する。フィルムデバイスは、かなりの構造的強度を有し、流体層を空洞内に区画化し、各空洞は、自己シールされ、隣接する空洞から隔離された別々の流体体積を保持する。実施形態の構造的強度は、そのポリマー構造およびポリマーシール材料の選択に由来する。構造的強度は、レンズに恒久的に積層されることに耐え、通常の使用における機械的衝撃および環境極限(太陽光および屋外温度)に対する抵抗を有するために必要なそれを含む。
【0034】
フィルムのための他の実施形態は、光シャッタ、光減衰器、可変光透過率シート、可変吸光率シート、可変光反射率シート、一方向ミラー、車両内の透明開口部、またはサンバイザとしての使用を含む。
【0035】
図3は、AR眼鏡において使用するために好適な実施形態101を示す。デバイスは、左側(LHS)光変調フィルム10と、右側(RHS)フィルム20とを備えている。LHSフィルム(10)は、第1の光状態において示され、RHSフィルム(20)は、第2の光状態において示される。デバイス101は、異なる光透過率範囲を有する4つのエリアを有する。これらは、1050、1051、1052、および1053によって示される。エリア1050では、空洞は、透明固体ポリマー(60)で体積比100%充填され、流体が存在しない(または無視可能である)。光透過率は、最大値にあり、切り替え可能範囲が存在しない。そのエリアは、第1および第2の光状態では、それぞれ、フィルム10および20によって示されるように同じ外観を有する。エリア1050の光透過率は、両方の光状態において、90%~95%の高さに達し得る。
【0036】
エリア1051では、空洞は、透明固体ポリマー(60)で体積比75%、および電気光学流体(50)で体積比25%充填される。光透過率範囲は、フィルム20に示される第2の光状態の透過率値(および切り替え範囲の幅)を犠牲にして、フィルム10に示されるようなその第1の光状態のために高い値を有することが好ましい。光透過率の変化にもかかわらず、そのエリアは、眼が輝度(すなわち、明るさ)の変化に比較的に影響されないので、第1および第2の光状態において、類似した外観を有する。例として、エリア1051の光透過率は、その第1の光状態で、約80%であり、第2の光状態で、約50%であることができる。
【0037】
エリア1052では、空洞は、透明固体ポリマー(60)で体積比50%、および電気光学流体(50)で体積比50%充填される。光透過率範囲は、エリア1051に関して前述のものよりわずかに低いが、依然として、フィルム20に示される第2の光状態の透過率値(および切り替え範囲の幅)を犠牲にして、フィルム10に示されるようなその第1の光状態のために高い値を有することが好ましい。第1の光状態から第2の光状態に切り替わると、光透過率の変化は、場面の輝度(すなわち、明るさ)の変化、およびAR眼鏡によって作成され、エリア1052に対応する視野内に位置するデジタル画像の知覚される明るさの変化として、AR眼鏡の装着者の眼に見えるであろう。例として、エリア1052の光透過率は、その第1の光状態で、約70%であり、第2の光状態で、約30%であることができる。
【0038】
エリア1053では、空洞は、透明固体ポリマー(60)で体積比ほぼゼロパーセンテージ、および電気光学流体(50)で体積比ほぼ100%充填されている。光透過率範囲は、フィルム10(LHS)に示される第1の光状態の透過率値を犠牲にして、フィルム20(RHS)に示されるようなその第2の光状態のために最小値を有することが好ましいが、全体的ダイナミックレンジ(第2の光状態と第1の光状態のための透過率値の比率)は、エリア1053のために最適であり得る。第1の光状態から第2の光状態に切り替わると、光透過率の変化は、場面の輝度(すなわち、明るさ)の変化、およびAR眼鏡によって作成され、エリア1053に対応する視野内に位置するデジタル画像の知覚される明るさの変化として、AR眼鏡の装着者の眼に最も明らかであろう。エリア1053は、デジタル画像と眼鏡を通して視認される場面との間の最良コントラストを作成する。例として、エリア1053の光透過率は、その第1の光状態で、約60%、第2の光状態で、約5%であることができる。
【0039】
実施形態のAR眼鏡を通して視認される場面から眼に進入する光の量の任意の低減は、装着者の視野内に投影または形成される、デジタル画像とのコントラストを改良するであろうことを理解されたい。その結果、デバイス101内で第2の光状態を選択することは、その光透過が第1および第2の光状態において同じである場合でも、エリア1050の視野内に形成されるデジタル画像のコントラストを改良するであろう。
【0040】
図4Aは、実施形態102を示し、光変調フィルムの円形切口または断面の拡大図であり、光変調フィルムは、平行な並んで置かれた底部基板82および上部基板92を有する。両方の基板の内側面は、透明電極層(
図4Aに別個に示されない;
図7参照)を有する。電気光学層(32)は、基板の内側面の間の全ての要素を備えている。そのセル間隙は、面間の直交距離(d)である。層32は、電気光学流体50と、エンボス加工された透明固体ポリマー60とを含む。流体50は、固体ポリマー60内で壁特徴65によって別々の空洞に分割され、各空洞は、透明固体ポリマー構造によって充填されたその体積の事前に定義されたパーセンテージを有する。パーセンテージは、底部基板82上でのエンボス加工(または成型)プロセスステップにおいて設定される。その結果、エンボス加工ステップ、より正しくは、エンボス加工ツール表面は、電気光学流体(50)に関するその後の体積比パーセンテージ充填を決定する。
【0041】
図4Aは、エンボス加工プロセスステップにおいて、固体ポリマー構造60で体積比約50%充填されている、空洞42の例を示す。続いて、フィルム102の組立および流体積層ステップにおいて、流体50は、残りの空洞の体積(体積比50%)を充填し、
図4Aにおける(基板の面に対する)その直交寸法は、1042によって示される。空洞43は、固体ポリマー構造60をほぼ有しない。流体50は、空洞の体積(100%体積比)を充填し、
図4Aにおける(基板の面に対する)その直交寸法は、1043によって示される。空洞41は、エンボス加工プロセスステップにおいて、固体ポリマー構造60で体積比ほぼ100%充填されている。空洞内の固体ポリマーの最上部表面は、壁65の上部と同じレベルにある。続いて、フィルム102の組立および流体積層ステップでは、流体50は、NIPローラによって、空洞41によって占有されるエリアから排出される。NIPローラによって印加される圧縮力は、底部基板(82)上のエンボス加工されたポリマー(60)の最上部表面を上部基板92の内側面と密接に接触させ、電気光学流体50をこれらの接触エリアから搾り出す。
【0042】
図4A(および実施形態102)は、
図3の光変調器101が構築される方法を示す。空洞41が、
図3におけるエリア1050を画定するために使用される(またはエリア1050は、空洞41を備えている)。空洞42およびエリア1052、および空洞43およびエリア1053も同様である。連続した空洞の直交高さのさらなる詳細は、線A-Aに沿った実施形態102の横方向スライスを示す
図4Bに見られることができる。
図4Bから分かるように、実施形態102のいくつかの部分は、底部基板82と上部基板92との間の電気光学体積を有しない。
図4Aから分かるように、空洞43は、可変深度d
1、d
2、d
3を有する。当然ながら、4つ以上の異なる深度も、可能である。典型的に、上部基板92と底部基板82の上部特徴86との間の直交距離dは、100μm未満であり、いくつかの領域では、上部基板92と底部基板82との間に体積が存在しない。いくつかの領域では、上部基板92と底部基板82の上部特徴86との間の直交距離dは、100μm~5μm、例えば、80μm~10μm、例えば、60μm~15μm、例えば、50μm~20μmである。
【0043】
有利なこととして、実施形態101(
図3参照)では、最高光透過率を伴うエリア(1050)は、レンズ面の中心に位置し、概して、実施形態101を組み込むAR眼鏡を装着している人物の観察者が、覗き込み、アイコンタクトを有するであろう、場所に対応する。同様に、最高の第1の光状態透過率を伴うエリア(1051)は、中心に位置し、まっすぐ前方を向いて(または横を向いて)離れたオブジェクトを見るとき、最大可視性を有するための視認者による必要性(またはその所望)によって画定される。同じ特徴は、中心視認エリアが、常時、透明な視認経路を提供するが、しかしながら、透過状態を切り替えるであろうエリアは、視認エリアの周縁上にあり、段階的であるという点で、例えば、フロントガラスの中に組み込まれることができる。エリア1050または1051のいずれかを有する実施形態において、光変調器は、有利なこととして、重要な視認エリアに最小のぼやけを有するように最適化される。
【0044】
対照的に、実施形態101におけるエリア1053は、場面内の離れたオブジェクトを視認するために重要ではなく、有利なこととして、その光透過率は、第1の光状態であっても最小にされ、装着者の視野のこのエリア内に位置するデジタルオブジェクトの明るさとのコントラストを最大にすることができる。エリア1052は、読書時等、オブジェクトの近傍の視認を対象とする。デジタルオブジェクトは、装着者による再集束を要求せずに、近傍のオブジェクト上に重ねられ、文脈を追加する。多くのシナリオでは、近傍のオブジェクトの明るさは、屋内にいるときのデジタルオブジェクトの明るさに類似することができ、したがって、このエリア1053のための第1の光状態透過率は、これらの条件のために最適化される。屋外にいるとき、第2の光状態は、場面内の近傍のオブジェクトの明るさを減らすために使用されることができる。
【0045】
使用時、第2の光状態は、屋内で使用され、デジタル画像の知覚に好ましく、装着者の視野内の内部環境からの注意をそらすものを減らすことができる。屋外での使用時、第1の光状態は、デジタル画像が要求されないとき、またはデジタル画像が1053を通して視認されるもの等の局所領域に制限されるとき、使用されることができる。
【0046】
図3および4Aでは、実施形態101および102は、異なるエリア1050、1051、1052、および1053の光透過率において、知覚可能な差異を有するように示される。好ましい実施形態において、1つのエリアから別のエリアへの移行は、殆ど知覚不能である。何故なら、2つのエリアの間で、移行エリアが、実装されるからであり、それぞれのエリア(1051および1053等)間の体積パーセンテージのステップ変化は、例えば、1~5mmにわたって段階的ステップ変化で遂行される。移行エリアでは、1つの空洞から別の空洞への体積パーセンテージのステップ変化は、それぞれのエリア間の差異の1/10以下であることができる。
【0047】
図4Aでは、空洞41、42、および43は、同じ形状(六角形)および同じサイズであるように示されるが、しかしながら、いくつかの実施形態は、異なるサイズ、形状、または体積等のある程度の無作為化を伴って成形された空洞を有する。実施形態において、基板の内面間の直交距離のみが、全ての空洞に関して同じである。空洞42内のエンボス加工されたポリマー60の上部表面は、
図4Aでは、基板の面と平行であるように示される。他の実施形態において、空洞42と同様の体積パーセンテージ(すなわち、50%)を有する空洞内のポリマー60は、非平面突出部の形態にある。そのような実施形態において、隣接または近隣空洞間の体積パーセンテージのステップ変化は、それぞれの突出部の体積における差異によって実装される。例えば、円錐形形状の突出部を有する空洞は、半球形状の突出部を有する空洞(同じ半径および半径に等しい直交高さと仮定する)の体積パーセンテージの半分を有する。
【0048】
図5Aおよび5Bは、代替実施形態700を示し、空洞72および73は、開放幅wによって画定されるような可変断面を有するが、全ての空洞は、同じ深度を有する。例えば、空洞73は、開放幅w
1を有する一方、空洞72は、開放幅w
2を有する。いくつかの領域では、ウェル73/72にわたる開放幅wは、500μm~25μm、例えば、300μm~40μm、例えば、200μm~50μm、例えば、150μm~60μmである。空洞72および73が、例えば、上で説明されるように、電気泳動媒体で充填されると、光変調デバイスは、暗状態にあるとき、デバイスにわたって可変量の不透明度を提供する。中心領域710は、空洞を有しておらず、基部透明ポリマー材料のみであり、したがって、AR眼鏡のために使用されるとき、中心視野は、妨げられない。いくつかの実施形態において、デバイスの周縁74は、
図5Aおよび5Bに示されるように、それらが暗状態にあるとき、空洞の色合いに合致するように事前に着色される。周縁74は、より暗いので、デバイスが暗状態に切り替えられると、光漏出は、ほとんどない。周縁は、例えば、塗料、着色フィルム、および上層等を用いて、着色されることができる。
【0049】
図5Aおよび5Bの実施形態において、閉鎖状態における光学密度が視野にわたって変動させるように、様々な濃度の電気泳動粒子を使用することが有益であり得る。例えば、視野の中心に向かって、電気泳動媒体は、より少ない顔料装填量を有し得る一方、周縁に向かって、顔料装填量は、より多い。加えて、可変面積および可変深度の空洞を使用すること(すなわち、
図4A、4B、5A、および5Bに例示される原理を組み合わせること)も可能である。いくつかの事例では、空洞が、十分に小さく、十分に密接する場合、眼は、電気泳動媒体の光学深度における差異に気付かないであろうが、より小さい空洞間での進入する増加した光の量により、不透明度の勾配を知覚するであろう。
【0050】
上記に示されるように、本発明は、双安定電気泳動流体の空洞を含む光変調フィルムを提供する。光変調フィルムは、切り替え可能であるので、ユーザが、要求時、入射する光の強度を改変することを可能にする。加えて、媒体は、双安定であるので、光減衰状態は、追加のエネルギーを光変調フィルムに提供する必要なく、しばらくの間、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、数日、例えば、数ヶ月、安定するであろう。
【0051】
さらに、本発明は、ロールツーロール処理を使用して、切り替え可能な光変調フィルムのコスト効果的製造を可能にする。故に、他の組立プロセス中、デバイスの中に組み込まれ得る切り替え可能な光変調フィルムの大判シートを生産するように実行可能である。そのようなフィルムは、補助的光学的に透明な接着剤層と、剥離シートとを含み、それによって、光変調フィルムが仕上げられた製品として出荷および流通されることを可能にし得る。光変調フィルムは、例えば、会議室の窓、建物内の外窓、およびサンルーフおよび天窓のためのアフターマーケットの光制御のためにも使用され得る。
【0052】
電気光学デバイスは、通常、電気泳動材料層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの1つは、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層のうちの一方または両方は、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極にパターン化され、他方は、行電極に対して直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交点によって画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一の連続した電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、それらの各々が、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。いくつかの実施形態において、2つの光透過性電極層が、使用され、それによって、光が電気泳動ディスプレイを通過することを可能にする。
【0053】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学的特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイを指すために、本明細書で使用され、第1または第2の表示状態のいずれかを示すように有限持続時間のアドレスパルスを用いて任意の所与の要素が駆動された後、アドレスパルスが終了した後、その状態は、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、持続するであろう。
【0054】
フィルムの変調特性を変化させるために、第1および第2の光透過電極層は、電位の源に結合され得る。源は、例えば、バッテリ、電力供給源、光電池、またはある他の電位源であり得る。源は、単純D.C.電位を提供し得るか、または、時変電圧、例えば、下記に説明されるように、「波形」を提供するように構成され得る。第1および第2の光透過電極層は、電極、ワイヤ、またはトレースを介して、源に結合され得る。いくつかの実施形態において、トレースは、例えば、トランジスタスイッチであり得るスイッチで中断され得る。第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間の電位は、典型的に、少なくとも1ボルト、例えば、少なくとも2ボルト、例えば、少なくとも5ボルト、例えば、少なくとも10のボルト、例えば、少なくとも15ボルト、例えば、少なくとも18ボルト、例えば、少なくとも25ボルト、例えば、少なくとも30ボルト、例えば、少なくとも30ボルト、例えば、少なくとも50ボルトである。
【0055】
双安定電気泳動流体は、双安定であるので、電気泳動粒子は、電場の印加を伴わずにその分布を維持するであろう。この特徴は、本明細書にリストアップされたE Ink Corporation特許に詳しく説明されているが、主に、電気泳動粒子が枯渇凝集を介して安定化されるように、双安定電気泳動流体中に分散型ポリマー(例えば、ポリイソブチレンまたはポリメタクリル酸ラウリル)の特定の混合物を有することから生じる。故に、第1の状態では、電気泳動粒子は、電位が第1の光透過電極層と第2の光透過電極層との間に印加されていないにもかかわらず、分散させられた状態において安定する。好適な電位の印加を用いることで、電気泳動粒子は、好適にバイアスされた電極層に向かって移動し、光透過勾配を細長いチャンバの高さに沿って作成する。電気泳動粒子が、所望の電極層に駆動されると、源は、電極層から結合解除され、電位をオフにすることができる。しかしながら、双安定電気泳動流体の双安定性により、電気泳動粒子は、長い期間、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、数日、第2の状態のままであるであろう。光変調フィルムの状態は、逆極性電圧を用いて、収集された電気泳動媒体を電極から離れるように駆動することによって、逆転されることができる。
【0056】
電気泳動媒体の内相は、荷電顔料粒子を懸濁流体中に含む。本発明の可変透過率媒体において使用される流体は、典型的に、低誘電定数(好ましくは、10未満、望ましくは、3未満)であろう。特に好ましい溶媒は、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、およびIsopar(登録商標)(ExxonMobil)またはIsane(登録商標)(Total)等の石油蒸留物、リモネン、例えば、l-リモネン等のテルペン、およびトルエン等の芳香族炭化水素を含む。特に、好ましい溶媒は、低誘電定数(2.3)と比較的に高屈折率(1.47)を組み合わせるので、リモネンである。内相の屈折率は、Cargille-Sacher Laboratories Inc.(Cedar Grove,NJ)から利用可能なCargille(登録商標)屈折率合致流体等の屈折率合致剤の添加を用いて修正され得る。本発明のカプセル化された媒体では、粒子の分散の屈折率が、カプセル化材料のものと可能な限り厳密に合致し、ぼやけを減らすことが好ましい。この屈折率合致は、溶媒の屈折率が封止剤のそれと近いとき、最良に達成される(一般に利用可能なポリマー封止剤を採用するとき)。大部分の事例では、550nmにおいて1.51~1.57、好ましくは、550nmにおいて約1.54の屈折率を伴う内相を有することが有益である。
【0057】
荷電顔料粒子は、種々の色および組成であり得る。加えて、荷電顔料粒子は、表面ポリマーで官能化され、状態安定性を改良し得る。そのような顔料は、米国特許公開第9,921,451号(参照することによってその全体として組み込まれる)に説明される。例えば、荷電粒子が白色である場合、それらは、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、Sb2O3、BaSO4、PbSO4等の無機顔料から形成され得る。それらは、高屈折率(>1.5)を伴い、あるサイズ(>100nm)であり、白色を示すポリマー粒子、または所望の屈折率を有するようにエンジニアリングされた複合粒子でもあり得る。黒色荷電粒子は、CI顔料黒色26または28等(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)またはカーボンブラックから形成され得る。他の色(非白色および非黒色)は、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20等の有機顔料から形成され得る。他の例は、Clariant Hostaperm Red D3G70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD;Sun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。色粒子は、CI顔料青色28、CI顔料緑色50、CI顔料黄色227等の無機顔料から形成されることもできる。荷電粒子の表面は、米国特許第6,822,782号、第7,002,728号、第9,366,935号、および第9,372,380号、および米国公開第2014-0011913号(それらの全ての内容は、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、要求される粒子の電荷極性および電荷レベルに基づいて、公知の技法によって修正され得る。
【0058】
粒子は、本来の電荷を示し得るか、または、電界制御剤を使用して明示的に荷電され得るか、または、溶媒または溶媒混合物中に懸濁されると電荷を獲得し得る。好適な電界制御剤は、当技術分野において周知である。それらは、性質上、ポリマー性または非ポリマー性であり得るか、または、イオン性または非イオン性であり得る。電界制御剤の例は、限定ではないが、Solsperse 17000(活性ポリマー分散剤)、Solsperse 9000(活性ポリマー分散剤)、OLOA 11000(スクシンイミド無灰分散剤)、Unithox 750(エトキシレート)、Span(登録商標) 85(ソルビタントリオレエート)、Petronate L(スルホン酸ナトリウム)、Alcolec LV30(大豆レシチン)、Petrostep B100(石油スルホン酸塩)またはB70(硫酸バリウム)、AerosolOT、ポリイソブチレン誘導体またはポリ(エチレン-co-ブチレン)誘導体等を含み得る。懸濁流体および荷電顔料粒子に加え、内相は、安定化剤、界面活性剤、および電界制御剤を含み得る。安定化材料は、溶媒中に分散させられると、荷電顔料粒子上に吸着され得る。この安定化材料は、粒子がその分散状態にあるとき、可変透過率媒体が実質的に非透過性であるように、粒子を互いから分離されたままに保つ。当技術分野において公知のように、荷電粒子(典型的に、上で説明されるように、カーボンブラック)を低誘電定数の溶媒中に分散させることは、界面活性剤の使用によって補助され得る。そのような界面活性剤は、典型的に、極性「頭部基」と、溶媒と相溶性がある(または、その中に可溶性である)非極性「尾部基」とを備えている。本発明では、非極性尾部基は、飽和または不飽和炭化水素部分、または、例えば、ポリ(ジアルキルシロキサン)等の炭化水素溶媒中に可溶性の別の基であることが好ましい。極性基は、アンモニウム、スルホン酸塩またはホスホン酸塩、または酸性または塩基性基等のイオン性材料を含む任意の極性有機官能性であり得る。特に、好ましい頭部基は、カルボン酸またはカルボキシレート基である。本発明と共に使用するために好適な安定化剤は、ポリイソブチレンおよびポリスチレンを含む。いくつかの実施形態において、ポリイソブテニルコハク酸イミドおよび/またはソルビタントリオレエートおよび/または2-ヘキサデカン酸等の分散剤が、添加される。
【0059】
本発明の双安定電気泳動媒体は、典型的に、電荷制御剤(CCA)を含み、電荷供与剤を含み得る。これらの電気泳動媒体成分は、典型的に、低分子量界面活性剤、ポリマー剤、または1つ以上の成分の混成物を備え、電気泳動粒子上の電荷を安定化させる役割、または、そうでなければ、その符号および/または大きさを修正する役割を果たす。CCAは、典型的に、以降、頭部基と称されるイオンまたは他の極性基を備えている分子である。正または負のイオン頭部基のうちの少なくとも1つは、好ましくは、以降、尾部基と称される非極性鎖(典型的に、炭化水素鎖)に付着させられる。CCAは、逆ミセルを内相内に形成し、電気泳動流体として典型的に使用される非常に非極性の流体中の導電性につながる荷電逆ミセルの小集団であると考えられる。
【0060】
本発明の媒体中で有用な電荷制御剤の非限定的クラスは、有機硫酸塩またはスルホン酸塩、金属石鹸、ブロックまたはコームコポリマー、有機アミド、有機双性イオン、および有機リン酸およびホスホン酸を含む。有用な有機硫酸塩およびスルホン酸塩は、限定ではないが、ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、石油スルホン酸カルシウム、中性または塩基性ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム、中性または塩基性ジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、およびラウリル硫酸アンモニウムを含む。有用な金属石鹸は、限定ではないが、ナフテン酸、オクタン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびミリスチン酸等のカルボン酸の塩基性または中性バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、コバルト、カルシウム、銅、マンガン、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、および鉄の塩等を含む。有用なブロックまたはコームコポリマーは、限定ではないが、(A)p-トルエンスルホン酸メチルで4級化された2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレートのポリマーと(B)ポリ(2-エチルヘキシルメタクリレート)のABジブロックコポリマー、およびポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)の油溶性尾部を伴い、ポリ(メチルメタクリレート-メタクリル酸)の油溶性アンカ基上にペンダントした約1,800の分子量を有するコームグラフトコポリマーを含む。有用な有機アミド/アミンは、限定ではないが、OLOA 371または1200(Chevron Oronite Company LLC(Houston,Tex.)から利用可能)またはSolsperse 17000(Lubrizol(Wickliffe,OH)から利用可能:Solsperseは、登録商標である)等のポリイソブチレンスクシンイミド、およびN-ビニルピロリデンポリマーを含む。有用な有機両性イオンは、限定ではないが、レシチンを含む。有用な有機リン酸およびホスホン酸は、限定ではないが、飽和および不飽和酸置換基でリン酸化されたモノ-およびジ-グリセリドのナトリウム塩を含む。CCAのための有用な尾部基は、200~10,000の範囲内の分子量のポリ(イソブチレン)等のオレフィンのポリマーを含む。頭部基は、スルホン酸、リン酸、またはカルボン酸またはアミド、または代替として、第1級、第2級、第3級、または第4級アンモニウム基等のアミノ基であり得る。
【0061】
本発明の媒体において使用される電荷補助剤は、下記にさらに詳細に説明されるように、電気泳動粒子表面上の電荷をバイアスし得る。そのような電荷補助剤は、ブレンステッドまたはルイス酸または塩基であり得る。
【0062】
粒子分散安定剤が、カプセルまたは他の壁または表面への粒子凝集または付着を防止するために添加され得る。電気泳動ディスプレイ中の流体として使用される典型的高抵抗率液体に関して、非水性界面活性剤が、使用され得る。これらは、限定ではないが、グリコールエーテル、アセチレングリコール、アルカノールアミド、ソルビトール誘導体、アルキルアミン、第4級アミン、イミダゾリン、酸化ジアルキル、およびスルホコハク酸塩を含む。
【0063】
米国特許第7,170,670号に説明されるように、電気泳動媒体の双安定性は、約20,000超の数平均分子量を有するポリマーを流体中に含むことによって改良されることができ、このポリマーは、本質的に、電気泳動粒子上で非吸収性であり、ポリ(イソブチレン)は、この目的のための好ましいポリマーである。
【0064】
加えて、例えば、米国特許第6,693,620号に説明されるように、その表面上に不動化された電荷を伴う粒子は、反対電荷の電気二重層を包囲流体中に構成する。CCAのイオン頭部基は、電気泳動粒子表面上の荷電基とイオン対にされ、不動化されたまたは部分的に不動化された荷電種の層を形成し得る。この層の外側に、流体中にCCA分子を備えている荷電(逆)ミセルを備えている拡散層が存在する。従来のDC電気泳動では、印加される電場は、滑りが、拡散層内で生じ、粒子が流体に対して移動するように、力を固定された表面電荷に与え、反対力を移動性対電荷に与える。滑り面における電位は、ゼータ電位として知られる。
【0065】
本発明の光変調器では、透明状態は、電気泳動粒子の場依存集約によってもたらされ、そのような場依存集約は、液滴の側方壁への電気泳動粒子の誘電泳動移動の形態(
図8Aおよび8B参照)または「連鎖」、すなわち、液滴内の電気泳動粒子の鎖の形成をとるか、または、可能性として、他の方法においてであり得る。達成される集約の正確なタイプにかかわらず、電気泳動粒子のそのような場依存集約は、観察者が電気泳動媒体を視認する視認表面と垂直な方向において視認されるとき、粒子に各液滴の小割合の視認可能エリアのみを占有させる。光透過性または開放状態では、各液滴の視認可能エリアの主要部分は、電気泳動粒子がなく、光は、それを通して自由に通過することができる。対照的に、非光透過性または閉鎖状態では、電気泳動粒子は、各液滴の全体的視認可能エリア全体を通して分散させられ、光は、それを通過できない(粒子は、懸濁流体の体積全体を通して均一に分散させられるか、または、電気泳動層の1つの主要表面に隣接する層内に集中させられ得る)。
【0066】
従来の理論によって、電気泳動粒子の場依存集約/集合、故に、開放状態の形成は、高周波数場(典型的に、少なくとも10Hz)の電気泳動媒体への印加によって、および、不規則的形状の液滴、高伝導性電気泳動粒子、および低伝導性低誘電定数の懸濁流体の使用によって促進されることが、示されることができる。逆に言えば、懸濁流体中への電気泳動粒子の分散または電気泳動層の1つの主要表面に隣接したその集中、故に、閉鎖状態の形成は、低周波数場(典型的に、10Hz未満)の電気泳動媒体への印加によって、および、高度に荷電された電気泳動粒子、より高い伝導性でより高い誘電定数の懸濁流体、および荷電された液滴壁の使用によって促進される。
【0067】
換言すると、誘電泳動ディスプレイまたは鎖状化ディスプレイ(すなわち、粒子が電気粘性流体におけるように集約するもの)における閉鎖時間(すなわち、誘電泳動移動からの回復)を短縮するために、変調器を開放するための高周波数高電圧波形と、それを閉鎖するための低周波数低電圧波形とを使用して、動作電圧および波形の両方を変動させることが有利である。波形のこれらの変化は、両方の方向における応答を最適化するために、米国特許第7,327,511号に説明されるもののように、パターン化された電極またはドープされた金属または半導体材料等の種々の伝導性粒子材料のいずれかと結合されることができる。
【0068】
本発明の光変調フィルムは、エンボス加工、フォトリソグラフィ、またはアブレーションを含む様々な方法を使用して、形成されることができる。一実施形態において、例えば、1つ以上の基板を含むスタックの全体が、縁シールでシールされることができる。縁シールは、下記に説明されるシール組成物のいずれかを含み得る。縁シールは、光変調層および基板の周囲に連続し得るか、または、縁シールは、スタックの一部のみ、例えば、光変調層の外側縁のみを覆い得る。いくつかの実施形態において、縁シールは、追加の保護層、例えば、水に不浸透性の層、例えば、透明ポリエチレンを含み得る。保護層は、湿気またはガス障壁特性を提供し得る。保護層および/または縁シールの縁は、湿気またはガス障壁特性を提供する熱またはUV硬化性または熱活性化縁シール材料でシールされ得る。ある実施形態において、縁シールは、2つの保護基板によって挟まれる。いくつかの実施形態において、縁シールは、実際に、スタック全体を包み込み、それによって、シールされたアセンブリを作成するであろう。示されないが、1つ以上の電気接続は、縁シールを横断して、電気接続を第1および第2の電極に提供する必要があり得ることを理解されたい。そのような接続は、可撓性リボンコネクタによって提供され得る。
【0069】
図6Aおよび6Bは、3次元マイクロ構造(円形部分)をその表面上に伴うエンボス加工ツール(611)を用いたエンボス加工プロセスを図示する。
図6Aおよび6Bに示されるように、エンボス加工ツール(611)が、少なくとも20μm厚、例えば、少なくとも40μm厚、例えば、少なくとも50μm厚、例えば、少なくとも60μm厚、例えば、少なくとも80μm厚、例えば、少なくとも100μm厚、例えば、少なくとも150μm、例えば、少なくとも200μm厚、例えば、少なくとも250μm厚のエンボス加工組成物(612)に適用される。エンボス加工組成物が、硬化された(例えば、放射によって)、または高温エンボス加工可能材料が、熱および圧力によってエンボス加工された後、エンボス加工された材料は、エンボス加工ツールから剥離され(
図6B参照)、必要寸法の細長いチャンバを残し、例えば、ウェルの高さは、光変調層(エンボス加工組成物)の厚さ以下であり、ウェルの深度は、5μm~150μmであり、チャンバの開放幅は、50μm~5mmである。
【0070】
従来のエンボス加工ツールを使用すると、硬化または高温エンボス加工された材料は、時として、硬化または高温エンボス加工された材料とエンボス加工ツールの表面との間の望ましくない強い接着力により、ツールから完全に剥離しない。この場合、一部の硬化または高温エンボス加工された材料が、エンボス加工ツールの表面に移され、またはその上にくっ付けられ、不均一表面をプロセスから形成されるオブジェクト上に残し得る。
【0071】
上で説明される問題は、特に、硬化されるエンボス加工組成物または高温エンボス加工される材料がある支持層に良好に接着しないときに懸念される。例えば、支持層が、ポリマー層である場合、ポリマー層と硬化または高温エンボス加工されるエンボス加工組成物との間の接着力は、それらのうちの一方が親水性であり、他方が疎水性である場合、弱い。したがって、エンボス加工組成物および支持層の両方が疎水性であること、または、両方が親水性であることが好ましい。
【0072】
エンボス加工層または支持層を形成するための好適な親水性組成物は、極性オリゴマーまたはポリマー材料を含み得る。米国特許第7,880,958号に説明されるように、そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR(Rは、アルキル基である))、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオド)、シアノ(-CN)、スルホン酸塩(-SO3)等の基のうちの少なくとも1つを有するオリゴマーまたはポリマーから成る群から選択され得る。極性ポリマー材料のガラス遷移温度は、好ましくは、約100℃を下回り、より好ましくは、約60℃を下回る。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の具体的例は、限定ではないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ(2-ヒドロキシルエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシ官能化ポリエステルアクリレート(BDE 1025、Bomar Specialities Co(Winsted,CT)等)またはアルコキシル化アクリレート、例えば、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えば、SR504、Sartomer Company)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR9035、Sartomer Company)、またはエトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、SR494、Sartomer Company)を含み得る。
【0073】
エンボス加工ツール(611)は、直接、組成物(612)をエンボス加工するために使用され得る。より典型的に、エンボス加工ツール(611)は、プレーンドラム上に搭載され、エンボス加工組成物(612)の上でのエンボス加工スリーブの回転を可能にする。エンボス加工ドラムまたはスリーブは、通常、金属(例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、鉄、チタン、コバルト等)、前述の金属のいずれかから派生される合金、またはステンレス鋼等の伝導性材料から形成される。異なる材料が、ドラムまたはスリーブを形成するために使用され得る。例えば、ドラムまたはスリーブの中心は、ステンレス鋼から形成され得、ニッケル層が、ステンレス鋼と、銅層であり得る最外層との間に挟まれる。
【0074】
光変調層を形成するための組成物中の成分の例は、限定ではないが、アクリレート、メタクリレート、アリール、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、多官能エポキシド、およびそのオリゴマーまたはポリマー等を含み、限定ではないが、多官能ビニル等の熱可塑性または熱硬化性材料またはその前駆体を含み得る。多官能アクリレートおよびそのオリゴマーが、多くの場合、使用される。多官能エポキシドと多官能アクリレートの組み合わせも、光変調層の望ましい物理機械的特性を達成するために有用である。ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレート等の可撓性を与える低Tg(ガラス遷移温度)結合剤または架橋結合可能オリゴマーも、エンボス加工されたプライバシ層の撓曲抵抗を改良するために添加され得る。
【0075】
光変調層のための組成物のさらなる例は、極性オリゴマーまたはポリマー材料を含み得る。そのような極性オリゴマーまたはポリマー材料は、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COO)、アルコキシ(-OR(Rは、アルキル基である))、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはイオド)、シアノ(-CN)、スルホン酸塩(-SO3)等の基のうちの少なくとも1つを有するオリゴマーまたはポリマーから成る群から選択され得る。極性ポリマー材料のガラス遷移温度は、好ましくは、約100℃を下回り、より好ましくは、約60℃を下回る。好適な極性オリゴマーまたはポリマー材料の具体的例は、限定ではないが、ポリヒドロキシ官能化ポリエステルアクリレート(BDE 1025、Bomar Specialities Co(Winsted,Conn.)等)またはアルコキシル化アクリレート、例えば、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR504)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR9035)、またはエトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer CompanyからのSR494)を含み得る。
【0076】
代替として、光変調層組成物は、(a)少なくとも1つの二官能UV硬化性成分と、(b)少なくとも1つの光開始剤と、(c)少なくとも1つの金型剥離剤とを含み得る。好適な二官能成分は、約200より高い分子量を有し得る。二官能アクリレートが、好ましく、ウレタンまたはエトキシ化バックボーンを有する二官能アクリレートが、特に、好ましい。より具体的に、好適な二官能成分は、限定ではないが、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR230)、トリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR272)、テトラエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR268)、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、SartomerからのSR295、SR344、またはSR610)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、SartomerからのSR603、SR644、SR252、またはSR740)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、SartomerからのCD9038、SR349、SR601、またはSR602)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(例えば、SartomerからのCD540、CD542、SR101、SR150、SR348、SR480、またはSR541)、およびウレタンジアクリレート(例えば、SartomerからのCN959、CN961、CN964、CN965、CN980、またはCN981;CytecからのEbecryl 230、Ebecryl 270、Ebecryl 8402、Ebecryl 8804、Ebecry l8807、またはEbecryl 8808)を含み得る。好適な光開始剤は、限定ではないが、ビス-アシル-ホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-イソプロピル-9H-キサンタン-9-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィドおよび1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンまたは2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オンを含み得る。好適な金型剥離剤は、限定ではないが、オルガノ修飾シリコーンコポリマー、例えば、シリコーンアクリレート(例えば、CytecからのEbercryl 1360またはEbercyl 350)、シリコーンポリエーテル(例えば、MormentiveからのSilwet 7200、Silwet 7210、Silwet 7220、Silwet 7230、Silwet 7500、Silwet 7600、またはSilwet 7607)を含み得る。組成物は、随意に、以下の成分:共開始剤、単官能UV硬化性成分、多官能UV硬化性成分、または安定剤のうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0077】
切り替え可能光変調器は、他の方法で形成されることもできることを理解されたい。
図7に図示されるある実施形態において、空洞900は、別個に製造され、次いで、例えば、
図7に示されるように、透明電極の間に位置付けられる。例えば、マイクロセル構造が、上で説明されるように、エンボス加工基板920によって、製造され得る。形成されると、マイクロセルは、顔料粒子、流体、およびポリマー結合剤で充填される。充填されたマイクロセルは、次いで、上部基板930または好適なシール層でシールされ、それは、次いで、第1の基板930でオーバーコーティングされ、挟まれた空洞900は、
図7に描写されるように、透明電極940/950の間に配置される。いくつかの事例では、上部基板930および上部電極950は、Saint Gobain(Courbevoie,France)から利用可能な商業用PET-ITO等の単一フィルムの中に統合される。マイクロセルを電気泳動材料で充填し、電極を貼り付ける他の方法も、本発明の可変透過率構造を構築するために使用され得る。例えば、第1の透明電極は、マイクロセルの底部に付着させられ得、伝導性透明シール材料が、充填されたマイクロセルの上を覆って広げられ、第2の透明電極を形成し得る。代替構造体では、開放ハニカム様構造の壁が、形成されることができ、壁の上部および底部は、シールされ、電気光学媒体で充填されたチャンバを作成することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、シール組成物は、空洞が電気泳動流体で充填された後、オーバーコーティングされ得、そうすると、充填された空洞は、例えば、UV放射線を用いて、または熱または湿気によって、シール組成物を硬化することによって、シールされる。いくつかの実施形態において、シールされた細長い空洞は、第2の透明伝導性フィルムに積層され、第2の透明伝導性フィルムは、光学的に透明な接着性層で事前にコーティングされ得、接着性層は、感圧式接着剤、高温融解接着剤、熱、湿気、または放射線硬化性接着剤であり得る。[光学的に透明な接着剤のための好ましい材料は、アクリル、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、酢酸ラク酸セルロ-ス、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-ビニル酢酸コポリマー、エポキシド、多官能アクリレート、ビニル、ビニルエーテル、およびそのオリゴマー、ポリマー、およびコポリマーを含む。]切り替え可能光変調フィルムの仕上げられたシートは、例えば、ナイフの刃を用いて、またはレーザカッタを用いて、切断され得る。切断されたシートは、別の光学的に透明な接着剤を使用して、基板、例えば、レンズに積層され得、剥離シートが、仕上げられた切り替え可能光変調フィルム上に設けられ得、それによって、フィルムは、区分シートまたはロールにおいて出荷され、例えば、ディスプレイ、窓、または他のデバイス/基板の中への組込のために使用されるべきとき、あるサイズに切断され得る。
【0079】
開放状態と閉鎖状態との間の電気泳動粒子の運動は、
図8Aおよび8Bに図示される。上で説明されるように、空洞901は、多官能アクリレートまたはメタクリレート、多官能ビニルエーテル、多官能エポキシド、テレフタル酸ポリエチレン(PETE)または他の高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、または変性ポリ塩化ビニル(PVC)等の可撓性ポリマーから構築され得る。空洞901は、エンボス加工、フォトリソグラフィ、接触印刷、真空形成、または他の好適な方法を用いて、製造され得る。この構造体において、空洞901は、透明な材料から作製される正面電極と背面電極との間に挟まれる。荷電顔料粒子は、電気泳動粒子903が空洞全体を通して分散させられる閉鎖状態(
図8A)と、電気泳動粒子903が集合させられ、光がセルを通して進行するための自由経路を増加させる、開放状態(
図8B)との間で、電場によって駆動されることができる。粒子は、群または鎖の中に集合させられることができる粒子は、電気泳動粒子903が入射光を遮断しないように、空洞の壁に対して駆動されることができるか、または、粒子は、捕捉領域の中に、例えば、セルの底部(
図8Aおよび8Bには図示せず)内に収集されることができる。空洞901は、
図8Aおよび8Bでは、正方形として示されるが、空洞901は、六角形、円錐体、半球体、正方形、または他の多面体等の他の形状をとるように形成されることができることを理解されたい。
図8Aおよび8Bに示されるように、空洞901は、可変深度から形成され得、したがって、閉鎖(
図8A)状態と開放(
図8B)状態との間の減衰の総変化は、閉鎖状態で見るために、より少ない量の顔料を有する空洞(1042)に関して、したがって、より短い深度を有する空洞に関して、あまり明白ではないであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り替え可能光変調器であって、前記可能光変調器は、
第1の光透過性基板と、
複数の特徴を備えている第2の光透過性基板であって、前記特徴は、前記第1の光透過性基板と実質的に平行であり、前記特徴のうちの少なくともいくつかは、前記特徴と前記第1の光透過性基板との間の異なる直交距離を有する、第2の光透過性基板と、
前記第1の光透過性基板と前記第2の光透過性基板との間に配置され、したがって、複数のチャンバを作成する複数の壁と、
前記複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、
前記第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、
前記第2の光透過性基板に結合された第2の電極と
を備え、
前記第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、前記電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる、切り替え可能光変調器。
【請求項2】
前記電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、前記電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項3】
前記電気光学媒体は、双安定性である、請求項2に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項4】
前記第1の光透過性基板または前記第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項5】
前記第2の光透過性基板の少なくとも一部は、前記第1の光透過性基板に接触している、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項6】
前記第2の光透過性基板の前記特徴のうちの少なくともいくつかと前記第1の光透過性基板との間の前記直交距離は、少なくとも60μm以上である、請求項1に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項7】
前記第2の光透過性基板の前記特徴のうちの少なくともいくつかと前記第1の光透過性基板との間の前記直交距離は、60μm未満である、請求項6に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の切り替え可能光変調器を含むフロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザ。
【請求項9】
透明な基板と、請求項1に記載の切り替え可能光モジュールと、前記切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステム。
【請求項10】
前記プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである、請求項9に記載の情報ディスプレイシステム。
【請求項11】
切り替え可能光変調器であって、前記切り替え可能光変調器は、
第1の光透過性基板と、
複数のウェルを備えている第2の光透過性基板であって、前記ウェルは、壁および床を有し、前記第1の光透過性基板に結合されると、複数のチャンバを作成し、前記ウェルは、開放幅を有し、前記ウェルのうちの少なくともいくつかは、他のウェルの半分未満の幅である開放幅を有する、第2の光透過性基板と、
前記複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、
前記第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、
前記第2の光透過性基板に結合された第2の電極と
を備え、
前記第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、前記電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる、切り替え可能光モジュール。
【請求項12】
前記電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、前記電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項13】
前記電気光学媒体は、双安定性である、請求項12に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項14】
前記第1の光透過性基板または前記第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項15】
前記第2の光透過性基板の少なくとも一部は、前記第1の光透過性基板に接触している、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項16】
前記ウェルのうちの少なくともいくつかの前記開放幅は、150μm以上である、請求項11に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項17】
前記ウェルのうちの少なくともいくつかの前記開放幅は、150μm未満である、請求項16に記載の切り替え可能光モジュール。
【請求項18】
請求項11に記載の切り替え可能光変調器を含むフロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザ。
【請求項19】
透明な基板と、請求項
11に記載の切り替え可能光モジュールと、前記切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステム。
【請求項20】
前記プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである、請求項19に記載の情報ディスプレイシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の説明に照らして、明白となるであろう。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
切り替え可能光変調器であって、前記可能光変調器は、
第1の光透過性基板と、
複数の特徴を備えている第2の光透過性基板であって、前記特徴は、前記第1の光透過性基板と実質的に平行であり、前記特徴のうちの少なくともいくつかは、前記特徴と前記第1の光透過性基板との間の異なる直交距離を有する、第2の光透過性基板と、
前記第1の光透過性基板と前記第2の光透過性基板との間に配置され、したがって、複数のチャンバを作成する複数の壁と、
前記複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、
前記第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、
前記第2の光透過性基板に結合された第2の電極と
を備え、
前記第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、前記電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる、切り替え可能光変調器。
(項目2)
前記電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、前記電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる、項目1に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目3)
前記電気光学媒体は、双安定性である、項目2に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目4)
前記第1の光透過性基板または前記第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている、項目1に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目5)
前記第2の光透過性基板の少なくとも一部は、前記第1の光透過性基板に接触している、項目1に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目6)
前記第2の光透過性基板の前記特徴のうちの少なくともいくつかと前記第1の光透過性基板との間の前記直交距離は、少なくとも60μm以上である、項目1に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目7)
前記第2の光透過性基板の前記特徴のうちの少なくともいくつかと前記第1の光透過性基板との間の前記直交距離は、60μm未満である、項目6に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目8)
項目1に記載の切り替え可能光変調器を含むフロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザ。
(項目9)
透明な基板と、項目1に記載の切り替え可能光モジュールと、前記切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステム。
(項目10)
前記プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである、項目9に記載の情報ディスプレイシステム。
(項目11)
切り替え可能光変調器であって、前記切り替え可能光変調器は、
第1の光透過性基板と、
複数のウェルを備えている第2の光透過性基板であって、前記ウェルは、壁および床を有し、前記第1の光透過性基板に結合されると、複数のチャンバを作成し、前記ウェルは、開放幅を有し、前記ウェルのうちの少なくともいくつかは、他のウェルの半分未満の幅である開放幅を有する、第2の光透過性基板と、
前記複数のチャンバ内に配置された電気光学媒体と、
前記第1の光透過性基板に結合された第1の電極と、
前記第2の光透過性基板に結合された第2の電極と
を備え、
前記第1の電極と第2の電極との間での駆動電圧の印加は、前記電気光学媒体に第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わらせる、切り替え可能光モジュール。
(項目12)
前記電気光学媒体は、非極性溶媒中に分散させられた荷電顔料粒子を備え、前記電気光学媒体は、分散させられた粒子状態と集合させられた粒子状態との間で移動することによって、第1の吸光状態と第2の光透過性状態との間で切り替わる、項目11に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目13)
前記電気光学媒体は、双安定性である、項目12に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目14)
前記第1の光透過性基板または前記第2の光透過性基板は、アクリレート、メタクリレート、ビニルベンゼン、ビニルエーテル、または多官能エポキシドを含むポリマーを備えている、項目11に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目15)
前記第2の光透過性基板の少なくとも一部は、前記第1の光透過性基板に接触している、項目11に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目16)
前記ウェルのうちの少なくともいくつかの前記開放幅は、150μm以上である、項目11に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目17)
前記ウェルのうちの少なくともいくつかの前記開放幅は、150μm未満である、項目16に記載の切り替え可能光モジュール。
(項目18)
項目11に記載の切り替え可能光変調器を含むフロントガラス、窓、眼鏡、ゴーグル、またはバイザ。
(項目19)
透明な基板と、項目1に記載の切り替え可能光モジュールと、前記切り替え可能光変調器上に情報を投影するように構成されたプロジェクタとを備えている情報ディスプレイシステム。
(項目20)
前記プロジェクタは、ニア・トゥ・アイプロジェクタである、項目19に記載の情報ディスプレイシステム。
【国際調査報告】