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特表2024-509195衛生的なスパイラル型フィルタ用のバイパス制御スリーブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】衛生的なスパイラル型フィルタ用のバイパス制御スリーブ
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B01D63/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553593
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022018686
(87)【国際公開番号】W WO2022187472
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,387
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430716
【氏名又は名称】ビーエル テクノロジーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティフター,トラビス・ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】パブロビッチ,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】ウィンバリー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スタッフィン-ビーベ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA65
4D006JA30A
4D006JA30C
4D006PC14
(57)【要約】
バイパス制御スリーブは、その外面に沿って円周方向の突起を有する。バイパス制御スリーブの突起は、スリーブの一定の直径部分を間に挟んでスリーブの長さに沿って分布してもよい。突起は、非対称であってもよく、かつ/または急峻かつ/もしくは凹状の湾曲前面を有してもよい。バイパス制御スリーブを作製する方法は、スリーブの外面上に突起を成形することを含む。バイパス制御スリーブを設置する方法は、スパイラル型膜エレメントの端部上にスリーブを摺動させることを備える。スパイラル型膜エレメントに固定されたバイパス制御スリーブの組み合わせは、圧力ハウジング中に設置されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラル型膜エレメントのためのバイパス制御スリーブであって、バイパス制御スリーブは、
a.非対称突起と、
b.急峻かつ/または凹状の湾曲前面を有する突起と、
c.谷部を間に有する突起であって、谷部のそれぞれは、突起の幅の50~200%の範囲内の幅を有する、突起と、
のうちの1つ以上を備え、
突起は、バイパス制御スリーブの周りに円周方向に巻き付く、バイパス制御スリーブ。
【請求項2】
突起は、バイパス制御スリーブの周りを離散した円、螺旋状パターン、または渦巻状パターンで円周方向に巻き付く、請求項1に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項3】
谷部のそれぞれの幅は、突起の幅の50~200%である、請求項1または2に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項4】
谷部のそれぞれは、その幅にわたって一定の直径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項5】
突起は、上流側に凹状の曲線を備える前面と、下流側に凹状の曲線を備える後面と、を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項6】
非対称突起を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項7】
突起の前面は、スリーブの円周に垂直な方向に供給流を半径方向に偏向させるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項8】
隣接する隆起部は、約0.2cm~1.6cmのピーク間距離を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項9】
谷部は、約0.02cm~0.3cmの深さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブ。
【請求項10】
膜エレメント上に固定され、かつ加圧容器内に設置された、請求項1~9のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブを備える組み合わせ。
【請求項11】
バイパス制御スリーブの突起のピークと加圧容器の内壁との間に約0.02cm~0.2cmの空間を備える、請求項10に記載の組み合わせ。
【請求項12】
バイパス制御スリーブの突起のピークと加圧容器の内壁との間に0.01~0.03インチの空間を備える、請求項10または11に記載の組み合わせ。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバイパス制御スリーブを設置する方法であって、スパイラル型膜エレメントの端部上にスリーブを摺動させることを備える、方法。
【請求項14】
スパイラル型膜エレメントの端部上にスリーブを摺動させる前に、バイパス制御スリーブを加熱することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
スパイラル型膜エレメントの端部上にスリーブを摺動させながらバイパス制御スリーブを延伸させることと、エレメントの端部上を摺動した後にスリーブを解放して弾性的に収縮させることと、を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
バイパス制御スリーブは、熱収縮材料を具備し、スパイラル型膜エレメントの端部上にスリーブを摺動させた後にスリーブを加熱することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
スパイラル型膜エレメントの端部上にスリーブを摺動させることは、スパイラル型膜エレメントの長さに沿った位置にスリーブを摺動させることを備える、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
バイパス制御スリーブを作製する方法であって、スリーブの外面上に突起を成形することを備え、突起は、それぞれ、凹状の曲線を含む前面を有し、かつ/または突起が非対称である、方法。
【請求項19】
バイパス制御スリーブは、スパイラル型膜エレメントに固定される前に成形される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スパイラル型膜エレメント、例えば衛生用途に使用することができるスパイラル型膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の考察は、以下に考察するものが従来技術または共通の一般知識として引用可能であることを認めるものではない。
【0003】
スパイラル型膜エレメントは、供給液の濾過または分離を可能にする。供給液は、例えば、溶解または分散したイオン、有機物、タンパク質、微生物および/または懸濁固体を含有してもよい。スパイラル型膜エレメントは、典型的には、有孔の中央管の周りに巻回された複数の層を有する。或る巻回層は、内部透過液収集材料(透過液キャリアシート)によって分離された隣接する折り畳まれた膜シートの2つの二つ割体を備える膜リーフを形成する。供給スペーサシートは、各膜シートの折り目内に配置される。グルーラインは、膜リーフの3つの縁部に沿って隣接する膜シート間で透過キャリアシートを密封する。リーフの第4の縁部は、有孔管に対して開いたままである。使用時に、スパイラル型膜エレメントは、供給溶液を透過液(濾液または流出液としても知られる)および濃縮物(保持液またはブラインとしても知られる)に分離する。
【0004】
スパイラル型膜エレメントは、圧力管または圧力容器とも称される圧力ハウジング中に収容される。加圧された供給液は、圧力ハウジングの上流端で送達され、スパイラル型膜エレメントの端部、具体的には供給スペーサシートの縁部、場合によってはエレメントの外側の周りにも流入する。スパイラル型膜エレメント内では、加圧された供給原料は、供給スペーサシートを通って膜シートの表面を横切って流れる。膜シートは、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過または逆浸透に好適なサイズの分離層を有してもよい。加圧された供給原料の一部は、膜貫通圧によって分離層を通して送られ、透過流を生成する。透過流は、透過キャリアシートに沿って中央の有孔管に流れ、次いで中央管を通って圧力ハウジングの端部の出口に流れる。膜を通過しない加圧された供給原料の成分、すなわち保持液は、供給スペーサシートを通って移動し続け、圧力ハウジングの下流端に収集される。
【0005】
膜エレメントの外径は、典型的には、圧力ハウジングの内径よりも、例えば数mm小さい。圧力ハウジングの内面とスパイラル型膜エレメントの外面との間に環状空間が存在する。環状空間は、狭い許容範囲とも称される低流量の領域である。供給原料の一部は、環状空間を通過することができる。これは、バイパス流と称される。狭い許容範囲の領域では、流体のアクセスが制限されており、したがって固体を除去するかまたは消毒溶液を提供するための洗浄が制限されている。バイパス流の増加は、環状空間の洗浄を改善する。しかしながら、バイパス流はまた、スパイラル型膜エレメントを通過して透過液の生成に寄与する供給原料の体積を減少させる。場合によっては、膜エレメントは、バイパス流を防止するべく環状空間を完全に遮断または封入するために、外側ラップと圧力ハウジングとの間に不浸透性外側ラップおよびブラインシールを有する。バイパス流を防止することは、供給原料のより多くを膜エレメントに押し込むことによって透過液生成を改善することができるが、供給原料が環状空間に滞留する場合がある。環状空間流体は、供給スペーサの環状空間に露出している部分を通して供給チャネルと連通してもよい。
【0006】
或る産業では、いくらかのバイパス流を意図的に提供するスパイラル型膜エレメントが必要である。例えば、乳製品産業における膜エレメントは、クロスフロー膜モジュールの衛生3A規格の要件を満たさなければならない。これらの規格を満たすには、環状空間を洗い流すためのいくらかのバイパス流が必要である。これらの産業で使用される膜エレメントは、衛生モジュールまたは衛生エレメントと称される。衛生エレメントのいくつかの例は、米国特許第5,985,146号明細書、米国特許第7,208,808号明細書、米国特許第8,668,828号明細書および、米国特許第8,940,168号明細書に記載されている。衛生モジュールはまた、典型的には、膜リーフの周りにケージを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,985,146号明細書
【特許文献2】米国特許第7,208,808号明細書
【特許文献3】米国特許第8,668,828号明細書
【特許文献4】米国特許第8,940,168号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
典型的には、2つ以上のスパイラル型膜エレメントが1つの圧力ハウジング中に収容される。例えば、乳製品産業では、5つまたは6つのスパイラル型膜エレメントが1つの圧力ハウジング中に収容されてもよい。圧力ハウジング中の膜エレメントの中央管は、直列に接続され、供給原料もハウジング中の膜エレメントをほぼ直列に通過する。完全なシステムでは、多くの圧力ハウジングが存在してもよい。圧力ハウジングは、典型的には、ラック上で水平に配向され、これは最大10mの高さに達することができる。時々、膜エレメントは、圧力ハウジングから取り外され、新しい膜エレメントと交換される。これは、一般に、圧力ハウジングがラック中に設置されたままである間に、膜エレメントを圧力ハウジングの内外に摺動させることによって行われる。しかしながら、或るブラインシールは、膜エレメントを圧力ハウジングの内または外に摺動させることを困難にする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、スパイラル型膜エレメント用のバイパス制御スリーブ、バイパス制御スリーブを作製する方法、およびバイパス制御スリーブを設置する方法を記載している。バイパス制御スリーブの外面は、非対称突起と、一定の直径のセグメントによって分離された突起と、急峻なまたは凹状の前面を有する突起と、のうちの1つ以上を有してもよい。少なくともいくつかの例では、バイパス制御スリーブは、低いバイパス流でバイパス制御スリーブの周りの環状空間に衛生状態を提供するのに十分な乱流を提供する。バイパス制御スリーブは、スパイラル型エレメントの一端または両端においてスパイラル型エレメントの長さの一部のみに沿って提供されてもよい。バイパス制御スリーブは、突起を提供するために予め成形された材料であってもよく、スパイラル型エレメントの端部上に摺動されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】丸みを帯びたピークを有する、従来技術のバイパス制御スリーブ設計の一部の断面を示す図である。
図1B】三角形のピークを有する、従来技術のバイパス制御スリーブ設計の一部の断面を示す図である。
図2】非対称ピーク、急峻で凹状のピークの前面、およびピークを分離する谷部を有し、任意選択的に非対称ピークまたは湾曲ピークスリーブと呼ばれる新規なバイパス制御スリーブの表面の一部を示す図である。
図3A】スパイラル型膜エレメントの端部に固定された、図2のようなバイパス制御スリーブを示す図である。
図3B】スパイラル型膜エレメントの全長に沿って延在する、図2のようなバイパス制御スリーブを示す図である。
図4図2のような従来技術のバイパス制御スリーブ(三角形および丸みを帯びた)とバイパス制御スリーブ(湾曲ピーク)との間の流量比較グラフである。
図5図2のような従来技術のバイパス制御スリーブ(三角形および丸みを帯びた)ならびにバイパス制御スリーブ(湾曲ピーク)の流速を示す、計算流体力学によって決定されたセルレイノルズ数の比較を示す図である。
図6】バイパス制御スリーブ試験システムの概略図である。
図7】三角形のピークスリーブおよび湾曲ピークスリーブを有するスパイラル型膜モジュールの特定の圧力降下における供給流を示すグラフである。
図8】三角形のピークシェルおよび湾曲ピークシェルのそれぞれについての10psidにおける、生成されたRO透過液のガロンに対するgpmでのハウジング流のグラフである。
図9】三角形のピークシェルおよび湾曲ピークシェルのそれぞれについての供給溶液の%Brixに対するkWでの再循環ポンプ出力のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
バイパス制御リングとも称され得るバイパス制御スリーブを備えたスパイラル型膜エレメントが本明細書に記載されている。バイパス制御スリーブは、スパイラル型膜エレメントの周りに適合するように構成されたスリーブである。バイパス制御スリーブは、スパイラル型膜の外側と圧力容器の内壁との間の環状空間内の供給原料の流れを乱す。エレメントの外側の供給原料の流れを乱すと、環状空間を洗浄し、全体のバイパス流量を減少させるのに役立つ乱流を生成する。
【0012】
図1Aおよび図1Bは、突起を有する従来技術のバイパススリーブまたはリング設計の一部を示す。図1Aは、丸みを帯びた、または凸状の円形ピーク設計102を有する突起を示し、一方、図1Bは、尖った、または三角形のピーク設計104を有する突起を示す。両方の従来技術の設計は、対称的なピーク形状を提供する。図1Aの丸みを帯びたピーク設計102は、隣接する突起の間に短い谷部106を有し、谷部は、その幅に沿って一定の直径を有するスリーブの部分を含む。丸みを帯びたピーク設計の谷部106は、突起108の幅の50%未満の幅を有する。図1Bの設計は、第1の突起110の下流側116の端部が隣接する突起112の上流側118の開始部となるように点114で交わる隣接する突起110、112を含む。図1Bの設計は、隣接する突起間に有意な谷部(すなわち、一定の直径の部分)を有していない。
【0013】
図2は、主にそれらの相対寸法が異なる、例示的な第1のバイパス制御スリーブ202および例示的な第2のバイパス制御スリーブ204を示す。各バイパス制御スリーブは、離散した突起または突起間に谷部208を有する隆起部206を有してもよい。隆起部および谷部は、スリーブの円周の周りに延在する。隆起部は、スリーブの長さに沿って、離散した円を繰り返して、または螺旋状もしくは渦巻状のパターンで円周の周りに延在してもよい。谷部および隆起部は、スリーブの全長に沿って、またはスリーブの一部のみに沿って配置されてもよい。谷部208は、谷部の幅に沿って本質的に一定の直径(すなわち、1mm以下で変動する)を有してもよい。谷部208の幅は、隆起部206の幅の50~200%の範囲内であってもよい。
【0014】
各隆起部206は、上流側210および下流側212を備える。上流側は、急勾配または凹状の湾曲部として含み得る前面を備える。一例では、隆起部の前面の湾曲部は、略垂直に、またはスリーブの円周に垂直に向きながらピークで終了してもよい。液体が隆起部206の上流側に沿って流れると、液体は、半径方向外側に偏向され得る。半径方向の液体偏向は、乱流を増加させ、圧力容器の内側とスリーブとの間の環状空間を通過する供給流を乱す、あるいは減速し得る。
【0015】
図2の例では、各隆起部の下流側は、隆起部が非対称であるように、隆起部の上流側とは異なる、すなわち、より長く、より急勾配ではなく、および/またはより緩やかに湾曲している。非対称の隆起部の或る例では、後面は、例えば凹状の曲線で湾曲していてもよいが、前面に対してあまり急峻ではない初期傾斜および/またはより大きな曲率半径を有する。或る例では、後面は、連続的に湾曲していてもよい。下流側の長さ、傾斜および/または曲率は、渦の形成を抑制し得る。特に渦が最小化されると、水は隆起部の下流側に追従する。これにより、流れる水が谷部へと下方に引き込まれる。谷部を流れる水は、隆起部上流側によって上方に迂回し、圧力容器の内部とスリーブとの間の環状空間の水の流れを乱す。
【0016】
図2に示すスリーブ202、204は非対称隆起部206を含み、それらの間に谷部208が配置される。各隆起部206の前面210の遠位(すなわち、半径方向外側)端部は、凹状の曲線または急峻な正の傾斜を有し、一方、後面212の遠位端部もまた、凹状の曲線または負の傾斜を有する。このようにして、前面210および後面は、概して鋭いピーク、遷移、または勾配の不連続部によって接続される。各隆起部206の下流側または後面212は、隆起部のピークから、当接する谷部で終わる曲線、またはピークと谷部との間の連続的な凹状の曲線まで、緩やかな、ほぼ直線状の傾斜を有してもよい。或る例では、スリーブの長さに沿った隆起部は、同じ幅を有してもよく、スリーブの長さに沿った谷部は、同じ幅を有してもよい。他の例では、隆起部および/または谷部の幅は、スリーブの長さに沿って変動してもよい。
【0017】
スリーブの各ピークの頂部と圧力容器の内側との間の空間は、0.02~0.2cm(0.008~0.08インチ)であってもよい。
【0018】
隣接する隆起部のピーク間の距離は、約0.2cm~約1.6cm(0.08~0.6インチ)であってもよい。
【0019】
隣接する隆起部間の谷部の深さは、約0.02cm~0.3cm(0.008~0.12インチ)であってもよい。谷部の深さは、ピークの高さと谷部の床との間の距離である。
【0020】
本開示によるバイパス制御スリーブは、スパイラル型膜エレメントの外径に適合する内径を有する。バイパス制御スリーブは、400mm(16”)以下、または350mm(14”」以下、または300mm(12”)以下、または250mm(10”)以下、または200mm(8”)以下、または150mm(6”)以下の長さを有してもよい。バイパス制御スリーブは、100mm(4”)以上の長さを有してもよい。別の例では、バイパス制御スリーブは、スパイラル型膜エレメントの実質的に全長に及ぶ長さを有してもよい。各スパイラル型膜エレメント、または圧力容器中の一連のエレメントは、好ましくは、例えばスパイラル型膜の下流端上に、少なくとも1つのバイパス制御スリーブで固定される。代替的または追加的に、スパイラル型膜エレメントまたは一連のエレメントは、エレメントまたは一連のエレメントの上流端にバイパススリーブで固定されてもよい。2つ以上のバイパス制御スリーブが使用されてもよい。例えば、バイパス制御スリーブは、膜エレメントの上流端に固定され、膜エレメントの下流端に別のものが固定されてもよい。別の例では、バイパス制御スリーブは、各端部に固定されてもよく、1つ以上のスリーブはまた、スパイラル型膜エレメントの長さに沿って位置付けられてもよい。1つ以上のスリーブは、スパイラル型膜エレメントの一部または全長に及んでもよい。複数のスパイラル型膜が同じ加圧容器内で直列に接続されている例では、スパイラル型膜エレメントは、加圧容器内に直列に置かれる前に1つ以上のバイパススリーブで固定されてもよい。
【0021】
図3Aおよび図3Bは、多重バイパス制御スリーブ304を有するスパイラル型膜エレメント302の例を示す。図3Aは、スパイラル型膜の上流端および下流端に取り付けられたバイパス制御スリーブを示す。示される例では、多重バイパス制御スリーブ304は、スパイラル型膜エレメント302の各端部上に置かれている。あるいは、示される多重スリーブ304と同じ全長の単一のバイパス制御スリーブ304が使用されてもよい。図3Bは、実質的にその全長に沿って延在するバイパススリーブ304を有するスパイラル型膜エレメント302を示す。あるいは、一方のより長いスリーブ304は、エレメントの全長を覆うために使用されてもよい。
【0022】
使用時には、環状空間を流れる供給物の一部は、スリーブのピークの上方を流れ、一方、環状空間を流れる供給物の残りは、隆起部の急峻に湾曲した上流側に接触し、ピークの上方を流れる供給物の部分に向かって半径方向に偏向される。これにより、環状空間中に乱流が発生し、エレメントの外側を通る流量が減速して制限される。エレメントを通る流れが少ないと、より多くの供給物がエレメントを通過することが可能になり、製品回収の増加に寄与する。乱流はまた、環状空間を精練して、空間中の固体の蓄積または細菌の増殖の防止を助けるのに寄与し得る。
【0023】
本開示によるバイパス制御スリーブは、プラスチックまたは他の材料で作製されてもよい。バイパス制御スリーブは、例えば、成形または機械加工されることができる。食品との接触に許容される好適な材料の例には、ポリプロピレン、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(EIHMWPE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、および熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性ポリマーが含まれる。食品との接触に許容される他の好適な材料の例には、エラストマー、フルオロエラストマー、および熱硬化性ポリウレタンが含まれる。Raychem半剛性修飾ポリオレフィンなどの熱収縮材料は、バイパス制御スリーブに好適な材料の他の例である。半剛性熱収縮材料は、バイパス制御スリーブを形成するために成形されてもよい。任意選択的に、バイパス制御スリーブは、ナイロン、ABS、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドまたはステンレス鋼などの材料で作製されることができる。バイパス制御スリーブは、PEまたはUHMWPEなどの低摩擦材料、例えばステンレス鋼またはガラス繊維との低摩擦係数を有する材料で作製されることができる。バイパス制御スリーブは、エラストマー(エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、シリコーンゴムもしくはニトリルブタジンゴムなど)またはフルオロエラストマー(少なくともヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFもしくはVF2)とのコポリマー、少なくともテトラフルオロエチレン(TFE)と、フッ化ビニリデン(VDFもしくはVF2)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのターポリマー、または少なくともテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)とのコポリマーなど)で作製されることができる。フルオロエラストマーは、約66~約70%のフッ素含有量を有してもよい。フルオロエラストマーは、ASTM D1418およびISO 1629のFKM指定に分類され得、Viton(TM)の名称で販売され得る。エラストマーまたはフルオロエラストマーで作製されたバイパス制御スリーブは、ステンレス鋼またはガラス繊維との高い摩擦係数を有してもよい。グリセリンなどの潤滑剤は、エラストマーまたはフルオロエラストマーで作製されたバイパス制御スリーブを挿入するのを助けるために使用されてもよい。潤滑剤は、バイパス制御スリーブが挿入された後に、潤滑剤を洗い流すことなどによって除去され得る。
【0024】
バイパス制御スリーブを、バイパス制御スリーブを、設置のために膨張させてその内径を増大させるために加熱させることができる。次いで、加熱されたバイパス制御スリーブを、スパイラル型膜エレメントの端部の上に滑らせ、冷却させることができる。冷却すると、バイパス制御スリーブは、収縮して、スパイラル型膜エレメント上に緊密に嵌る。任意選択的に、バイパス制御スリーブは、冷却されると、スパイラル型膜エレメントの端部よりも小さい内径を有する。これは、バイパス制御スリーブをスパイラル型膜エレメント上の定位置に保持するのに役立ち、また、スパイラル型膜エレメントを圧縮してもよい。あるいは、バイパス制御スリーブは、降伏させることなく伸張させることができる。この場合、伸張されたバイパス制御スリーブは、エレメントの上に置かれ、次いで解放され、バイパス制御スリーブがその元のサイズに弾性的に収縮することを可能にし、これにより、エレメントにぴったりと嵌るか、またはエレメントを圧縮し得る。別の代替形態では、バイパス制御スリーブが熱収縮材料から形成される場合、バイパス制御スリーブは、スパイラル型膜の上に置かれ、それを収縮させるために加熱され得る。熱収縮材料とバイパス制御スリーブのサイズとは、その収縮がスパイラル型膜エレメント上に緊密に嵌るように選択される。任意選択的に、バイパス制御スリーブは、収縮されると、スパイラル型膜エレメントの端部よりも小さい内径を有する。これは、バイパス制御スリーブをスパイラル型膜エレメント上の定位置に保持するのに役立ち、また、スパイラル型膜エレメントを圧縮してもよい。使用され得る熱収縮材料の一例は、250%(分)の最終伸びを有し、125℃を超える温度、例えば約150℃の温度で収縮する、Raychem半剛性修飾ポリオレフィンである。
【0025】
バイパス制御スリーブは、エレメントの円周を約0.2~約0.4cm減少させるのに十分にエレメントを圧縮してもよい。バイパス制御スリーブは、高温の供給流との接触を含み得る標準的な動作条件の間に、バイパス制御スリーブを定位置に保持する、供給チャネルが開くのを防止する、エレメントが伸縮するのを防止する、またはそれらの任意の組み合わせを行うのに十分な力でエレメントに対して圧縮してもよい。例えば、バイパス制御スリーブは、圧縮力が、基礎となる摩擦係数およびバイパス制御スリーブの構造による干渉と組み合わせて、バイパス制御スリーブを下流に押すために加えられる力よりも大きくなるように、エレメントを十分に圧縮してもよい。例えば、3.5”平方の断面積を有し、15psiの圧力降下に面するバイパス制御スリーブの場合、制御スリーブを下流に押すために加えられる力は、約52.5ポンドである。
【0026】
バイパス制御スリーブの外径は、最初は圧力ハウジングの内径よりわずかに大きくても小さくてもよい。それよりもわずかに大きい場合、またはスパイラル型膜エレメント上に設置されたときにバイパス制御スリーブが伸張したままである場合、バイパス制御スリーブが設置された後であるが、スパイラル型膜エレメントが圧力ハウジングに挿入される前または挿入されるときに、バイパス制御スリーブの外径が縮小されることができる。例えば、バイパス制御スリーブは、その直径を縮小するために機械加工または熱的に修正(すなわち、改造されている)されることができる。別の選択肢では、バイパス制御スリーブは、圧力ハウジング中、例えば、スパイラル型膜エレメントが圧力ハウジング自体を通って、または圧力ハウジングに対して摺動する固定具中に置かれるときに圧縮される。バイパス制御スリーブを有するエレメントは、ハウジングにそれらを挿入する、ハウジング中でそれらを摺動させる、かつ/またはハウジングからそれらを取り外すのに必要な力を有してもよく、これは、既存のケージ付き衛生エレメントおよび/またはシェル付き衛生エレメント、例えばDow Hypershell(TM)RO8038またはSuez AF8038衛生ROモジュールに必要な力以下、例えば少なくとも10%以下、少なくとも20%以下、または少なくとも30%以下である。
【0027】
任意選択的に、1つ以上の追加のバイパス制御スリーブは、スパイラル型膜エレメントの長さに沿った1つ以上の位置に置かれることができる。バイパス制御スリーブは、比較的剛性であり、任意選択的にプレストレスがかけられており、濾過操作または消毒手順中にスパイラル型膜エレメントの膨張または巻き戻しに抵抗するのを助けることができる。しかしながら、スパイラル型膜モジュールの下流端上の1つのバイパス制御スリーブで十分であると予想される。
【0028】
以下の表1は、図1Aの丸みを帯びたピーク設計、図1Bの三角形のピーク設計、および図2に示される例による、湾曲ピーク(すなわち非対称)設計について、68.95kPa(10psi)の圧力差でのバイパス流量を比較した計算流体力学(CFD)解析の結果を示す。解析における設計のそれぞれについてのピーク壁間距離は、0.1cm(0.04インチ)であった。表に見られるように、湾曲ピーク設計は、2つの従来技術の例に対する改善(すなわち、バイパス流量の減少)を示す。68.95kPaの圧力差で、図2によるスリーブは、三角形のピーク形状よりも約20%の改善および丸みを帯びたピーク形状よりも約60%の改善を示した。
【0029】
【表1】
【0030】
図4は、0.1016cm(0.04インチ)のピークと壁とのギャップ(ピークから圧力容器の内側までの距離)を有する上記の3つの設計、および0.05cm(0.02インチ)のピークと壁とのギャップを有する追加の湾曲(非対称)スリーブ設計について、圧力の変化が増加する際の流量をガロン/分で比較するグラフを示す。
【0031】
湾曲スリーブ設計に起因するバイパス流の減少は、濾過プロセスの回収率を高めるのに役立ち得る。理論に束縛されるものではないが、例えば図2に示されるような急峻な前面を有する非対称ピーク設計は、乱流を増加させ、それによって丸みを帯びたまたは三角形のピーク形状に対してバイパス流を減少させると仮定される。
【0032】
図5は、同じ流れおよびピーク壁間距離を有する湾曲(非対称)、三角形および丸みを帯びた隆起部を有するスリーブの周りのバイパス流のレイノルズ数を示すCFDモデリング実験の結果を示す。図5に示されるように、湾曲(丸みを帯びた)スリーブの値の流れは、層流を含む。理論によって制限されることを意図するものではないが、本発明者らは、流れる水が湾曲(非対称)スリーブの谷部に引き込まれ、それによりバイパス流が減少すると考えている。
【0033】
図6は、スパイラル型膜エレメントの周りに、異なる試験において湾曲ピーク設計または三角形のピーク設計のいずれかを有するバイパス制御スリーブモジュール610を備えたケージ付きスパイラル型RO膜エレメントを使用する例示的な試験システムを示す概略図である。上流プロセス、例えばスイートホエイまたは酸ホエイプロセスからの限外濾過透過液(UF透過液)602は、試験システムへの供給物として使用され、供給タンク604に添加されてもよい。次いで、UF透過液は、供給ポンプ606および再循環ポンプ608を介してモジュール610に向かって圧送されてもよい。透過液612は、システムから排出され、一方、濃縮物614は、部分的に供給タンク604に戻され、再循環ポンプ608を介して部分的に再循環されてモジュール610に戻る。ベースライン圧力は供給ポンプの出口で決定される。再循環ポンプは、モジュール610を通る流れを制御するために圧力を上昇させる。システムの圧力降下は、ブースト圧力とベースライン圧力との間の圧力差(すなわち、再循環ポンプ608の入口と出口との間の圧力差)として決定され、これはエレメントの入口とエレメントの濃縮物出口との間の圧力差と同じである。一例では、濃縮物614の75~77%がエレメントに再循環され、濃縮物614の23~25%が供給タンク604に戻される。例示的なシステムでは、制御バルブ(図示せず)は、供給タンク戻り部分と再循環部分との間の濃縮物の流れを調整するように構成される。例示的なシステムでは、システムの温度を約12~16℃に制御するように、再循環濃縮物と供給タンクとの間の経路に熱交換器が配置されてもよい。
【0034】
例示的な試験では、本開示による湾曲ピークを有するバイパス制御スリーブ(図2の第2のバイパス制御スリーブ204と同様)は、図1Bの三角形のピーク設計104(三角形のピーク)と同様のバイパス制御スリーブを有するDow Flimtec(TM)Hypershell(TM)RO8038と比較された。エレメントの周りの三角形のピークスリーブは、長さ38インチ(965.2mm)、一端で633.5mm、中間部分で634.5mm、および第2の端部で634.5mmの円周を有する一体型スリーブを備えていた。湾曲ピーク設計のバイパススリーブ設定は、湾曲ピークプロファイルを有する2つのバイパス制御スリーブセグメントを備えていた。2つのスリーブセグメントは、エレメントの両端に置かれた。同じタイプの膜エレメントは、湾曲ピークバイパススリーブおよび三角形のピークバイパススリーブの両方と共に使用された。湾曲ピークバイパス制御スリーブセグメントは、それぞれ長さが13.5インチであり、633mmの円周を有していた。エレメントは、長さが38インチであり、バイバス制御スリーブセグメントは、各端部の13.5インチを覆い、約11インチのエレメントの中央のケージ付部分が露出したままであった。スリーブ間の露出したケージ付エレメントは、621mmの円周を有していた。表2は、それぞれが直径8インチのハウジングに収容されている、この試験で使用された三角形のピークおよび湾曲ピークバイパス制御スリーブのそれぞれの追加のパラメータを示す。
【0035】
【表2】
【0036】
所与の流量に基づいて、例えば8~12psidのエレメントを通る最適化された圧力降下を達成するために、典型的には、再循環ポンプは、必要な圧力降下を達成するために、供給物の流量を増加させるためにより多くのエネルギーを消費する必要がある(供給物は、供給タンクからの供給物および再循環濃縮物を含む)。上記の三角形のピークと湾曲ピークバイパススリーブとを比較する例示的な純水試験では、三角形のピークと比較して湾曲ピーク設計に起因するハウジング流の4.5%の減少が、再循環ポンプの平均4.4%の出力低下をもたらした。図7は、上述のような三角形のピークおよび湾曲ピーク設計設定のそれぞれについて、指定された圧力降下での供給流を示すグラフを示す。グラフに示されるように、湾曲ピーク設計を有するハウジングを通る供給流は、同じ圧力降下での三角形のピークと比較して、所与の圧力降下でより少ない。表3は、三角形のピークを有するシステムと比較した湾曲ピークバイパススリーブを有するシステムにおける流量の減少、および所与の圧力降下に対する再循環ポンプの出力の対応する減少を示す。
【0037】
【表3】
【0038】
上記の結果は、先に示したように、633mmの円周を有する湾曲ピークバイパス制御スリーブを、633.5mm~634.5mmの円周を有する三角形のピーク制御スリーブと比較した。CFDモデリングを行って、630.07mm~634.86mmの円周で湾曲ピークバイパススリーブを使用して流量が決定された。CFDモデルは、8インチの内径を有するハウジング中の8インチ長のバイパス制御スリーブを想定している。バイパス制御スリーブの他のすべてのパラメータは、試験間でピーク壁間ギャップのみが変化するように固定された。以下の表4に示されるCFDモデルの結果は、上述の試験で使用された三角形のピークスリーブのピーク壁間ギャップを、ほぼ同じピーク壁間ギャップまで増加させる効果を示している。表4に見られる減少した流量に基づいて、湾曲ピークバイパス制御スリーブ設定が、三角形のピークスリーブのピーク壁間距離と同じまたはそれに近いピーク壁間距離を含む場合、エネルギー性能に対するさらに大きな応答が予想される。
【0039】
【表4】
【0040】
別の例示的な試験では、純水の代わりに140ガロンのUF透過液がシステムに添加された。容量140ガロンの供給タンクが使用され得るが、特定の例では、140ガロン未満の供給タンク容量が使用され、UF透過液が1gpmの増分で添加された。1gpmのRO透過液がエレメントからシステムを出たので、合計140ガロンの供給物がシステムに導入されるまで1gpmの供給物が供給タンクに添加され、その時点で、もはや新鮮な供給物が供給タンクに添加されなかった。エレメントからの濃縮物は、UF透過液が約4%Brix~最大約20%Brix、例えば約4.5%Brix~約18.5%Brixに濃縮されるまで供給タンクに戻り再循環され続け、その時点で試験が終了した。140ガロンのUF透過液のバッチ処理中に、比較される2つのエレメント設定が試験期間全体にわたって10psidで実行され、供給圧力が設定透過流量を維持するために調整された。両方が約130分間実行され、供給物(UF透過液)を約4%Brix~18.5%Brixまで濃縮された。供給物がラクトースを含有する例では、出発原料は、約4.5%のラクトースを有し、次いでこれを試行終了までに最大約20%のラクトースに濃縮される。
【0041】
図8は、三角形のピークスリーブおよび湾曲ピークスリーブのそれぞれについて、再循環ポンプ608の入口と出口との間の10psidにおける、生成されたRO透過液のガロンに対するgpmでのハウジング流のグラフである。ハウジング流は、再循環ポンプとエレメントの入口との間で測定された。RO透過液が増加すると、濃縮物が供給タンクに戻り再循環するため、UF透過液供給物は、より濃縮される。図8に見られるように、湾曲ピークバイパススリーブは、RO透過液が最大約100ガロン増加するにつれて、三角形のピークスリーブと比較してより低い流量を維持し、その時点で、両方のシステムの流量は、ほぼ同じに収束した。結果は、湾曲ピーク設計が、特にUF透過液濃度が4.5%-15%Brixの範囲にある場合に、UF透過液処理の初期段階中に三角形のピーク設計よりも有意な改善を提供することを示している。例えば、湾曲ピーク設計のシェルは、三角形のピークスリーブと比較して、必要なハウジング流を6%減少させ、対応する8.4%の出力を減少させた。例えば、濃度が15%~20%Brixに増加した場合、2つのシステムは、同様の結果を提供するが、湾曲ピークは、依然としてわずかに改善された結果を提供し、三角形のピークスリーブと比較して必要なハウジング流は、≦0.5%減少し、対応する電力は、≦1.7%減少した。三角形のピークスリーブは、湾曲ピーク設計のバイパスシェルと比較して、供給物の粘度に大きく依存し得る。
【0042】
図9は、上述の三角形のピークスリーブおよび湾曲ピーク設計バイパスシェルのそれぞれについて、供給溶液が濃縮されたときの供給溶液のBrixに対するkWでの再循環ポンプ出力のグラフを提供する。14.5%Brix未満では、グラフは、三角形のピークスリーブと比較して、湾曲ピーク設計バイパスシェルを使用した流量(およびそれに応じて電力使用量)の有意な改善を示している。14.5%Brixを超えると、改善は、それほど重要ではないが、それでも三角形のピーク設計よりもわずかに改善する。
【0043】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また、任意の装置またはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実施を当業者にとって可能にするために、実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含んでもよい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】