(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】動物の体重減少薬を製造するための桑抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/605 20060101AFI20240221BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240221BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240221BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240221BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240221BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240221BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240221BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240221BHJP
A61K 135/00 20060101ALN20240221BHJP
【FI】
A61K36/605
A61P3/04
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/107
A61K9/14
A61K9/16
A61K135:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553607
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2022080278
(87)【国際公開番号】W WO2022188851
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202110272018.7
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111400867.2
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111460847.4
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522069873
【氏名又は名称】ベイジン ウィ-ハンド-バイオ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING WEHAND-BIO PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.30 Tianfu Street, Daxing Biomedical Industrial Base, Zhongguancun Science Park Beijing, 102600, China
(71)【出願人】
【識別番号】522069884
【氏名又は名称】グアンシー ウィ-ハンド-バイオ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGXI WEHAND-BIO PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.16 Jincheng Road, Qingyuan Town, Yizhou District, Hechi, Guangxi 546300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ユーリン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤンミン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ジーファ
(72)【発明者】
【氏名】チュー シャンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジン イーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティンリン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ユエンユエン
(72)【発明者】
【氏名】シェン チューファン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ シュアイナン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ チュアン
(72)【発明者】
【氏名】リャン チュンファン
(72)【発明者】
【氏名】スン チアンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ ユエンユエン
(72)【発明者】
【氏名】リー ツァイナ
(72)【発明者】
【氏名】レイ レイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ フイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD41C
4C076FF01
4C076FF11
4C088AB34
4C088AC06
4C088BA09
4C088MA17
4C088MA22
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA43
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA70
(57)【要約】
動物の体重減少薬を製造するための桑抽出物の使用であって、前記桑抽出物は、3~99%のアルカロイド、0.2~70%の多糖、0~50%のアミノ酸、0~10%のフラボン、及び0~25%のその他の成分を含む。該桑抽出物は、体重の増加を抑制でき、2型糖尿病合併肥満症に対して良好な治療効果がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の体重減少薬を製造するための桑抽出物の使用であって、前記桑抽出物は、アルカロイド、多糖、アミノ酸、及びフラボンを含み、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 3~99%、
多糖 0.2~70%、
フラボン 0~10%、
アミノ酸 0~50%、
その他の成分 0~25%であり、
より好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であることを特徴とする使用。
【請求項2】
前記動物は、哺乳動物であり、人類及び齧歯類動物を含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記動物は、糖尿病動物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記動物は、健康な動物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
薬は、薬学的に許容される担体を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項6】
薬は、経口投与剤形であり、好ましくは、前記薬は、錠剤、カプセル剤、経口液剤、経口乳剤、丸剤、顆粒剤、シロップ剤、及び散剤であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記糖尿病動物はBMI≧28であることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の体重減少薬を製造するための桑抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生活レベルの向上に連れ、肥満と過体重現象は、世界中で驚くべきスピードで増えている。疫学の研究により、肥満と過体重が糖尿病、心血管疾患、癌、及び早死のリスク要因であることを明らかにした。肥満となる原因は、脂肪細胞体積の増加と脂肪細胞数の増加を含み、そのうち、脂肪細胞数の増加は、前脂肪細胞が成熟脂肪細胞に分化することによってもたらされるが、前脂肪細胞の成熟脂肪細胞への分化は、一連の転写因子の活性化と発現によって完成される。データによれば、糖尿病患者数は世界1位であり、そのうち過体重者の割合が41.0%、肥満者の割合が24.3%である。単純な肥満症患者と比べて、2型糖尿病合併肥満症患者にとって減量し体重を維持することが一層難しい(中国2型糖尿病合併肥胖総合管理専家共識,中華内分泌代謝雑誌,2016,32(08):623-627.)。
【0003】
桑科の植物は、比較的高い栄養価値と薬用価値があるため、古来、薬食両用の貴重な材料と認識され、中国歴代の漢方薬典籍や処方には、桑枝、桑白皮、桑葉、及び桑実などで疾患を治療する記述が多くあり、例えば、早くに『本草綱目』には、「煎じた桑葉汁をお茶の代わりにすれば、喉の渇きを潤せる」、「熟するまで炙って煎じて飲めば、お茶の代わりに渇きを癒やす」との記載がある。桑科の植物は化学成分が主に、フラボン類化合物、多糖類化合物、アルカロイドなどを含み、例えば、現在、血糖低下、脂質低下、抗ウイルス、免疫調節などの薬の製造に広く使用されている。
【0004】
従来技術には、桑抽出物によるダイエット・脂質低下に関する報道があり、例えば、特許出願CN1631246Aには、桑枝抽出物のダイエット・脂質低下作用が開示されており、具体的には、桑枝のエタノール抽出物でNIHマウスの体重を減少させ、血液中のトリグリセリドとコレステロールのレベルを低減できることが開示されているが、その投与方法、線量効果関係はいずれも不明確である。また、特許出願CN102370708Aには、ダイエット・脂質低下薬を製造するための漢方薬である桑葉の水抽出物又はアルコール抽出物の使用が開示されており、ダイエット・脂質低下のための桑抽出物の使用が記載されている。
【0005】
KKAyマウスは、KKマウスに基づいて突然変異遺伝子(ay)を移転させた2型糖尿病動物モデルマウスであり、その発病は、遺伝的感受性素因に環境要因が加わって誘発され、人類2型糖尿病の発現と極めて類似し、かつその個体差が小さく、実験の再現性に優れ、比較的理想的な自発性2型糖尿病動物モデルである。KKAyマウスの臨床症状は、多飲多食多尿に肥満を伴い、高血糖、高インスリン抵抗性、膵島機能不全、肝疾患、腎疾患などの特徴を有する。研究によれば、KKAyマウスの体重、肝脂肪及び精巣上体脂肪の重量が明らかに正常マウスより高い。現在、成分が明確である桑関連抽出物のKKAyマウス体重への影響に関する研究報道はまだない。
【発明の概要】
【0006】
発明者らの研究により、本発明の桑抽出物は動物の体重減少に顕著な影響があることを見出し、これに基づき、本発明は、動物の体重減少薬を製造するための桑抽出物の使用を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記桑抽出物は、アルカロイド、多糖、アミノ酸、及びフラボンを含む。好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 3~99%、
多糖 0.2~70%、
フラボン 0~10%、
アミノ酸 0~50%、
その他の成分 0~25%であり、
より好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であり、
更に好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~25%、
フラボン 0~1%、
アミノ酸 0~20%、
その他の成分 0~20%である。
【0008】
一実施形態において、前記桑抽出物の製造は、粗抽出液を製造する工程と、任意の陽イオン樹脂及び/又は陰イオン樹脂によって分離する工程と、任意の樹脂流出液をアルコール沈殿処理する工程と、任意の濃縮乾燥処理の工程とを含む。好ましくは、前記桑抽出物の製造は、工程1):粗抽出液を製造する工程と、工程2):陽イオン樹脂及び/又は任意の陰イオン樹脂によって分離する工程と、任意の工程3):工程2)の樹脂流出液をアルコール沈殿処理する工程と、任意の工程4):濃縮乾燥処理の工程とを含む。
【0009】
一実施形態において、前記桑抽出物は、下記の工程で製造される。桑枝、桑葉又は桑白皮を粉砕し、水及び/又はアルコール溶液又は酸溶液で加熱還流して抽出し、溶媒の量は生薬の3~20倍であり、1~3回繰り返して抽出し、抽出液を合併し、濃縮し、陽イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった不純物を蒸留水で洗い尽くし、0.2~3Nのアンモニア水で溶出し、溶出液を濃縮して陰イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった部分を収集し、エタノールを加えて、沈殿して不純物を除去し、遠心し、清澄液を減圧濃縮又は噴霧乾燥又は凍結乾燥して、抽出物を得る。
【0010】
一実施形態において、前記桑抽出物は、下記の工程で製造される。桑枝、桑葉又は桑白皮を粉砕し、水及び/又はアルコール溶液又は酸溶液で加熱還流して抽出し、溶媒の量は生薬の3~20倍であり、1~3回繰り返して抽出し、抽出液を合併し、濃縮し、陽イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった不純物を蒸留水で洗い尽くし、0.2~3Nのアンモニア水で溶出し、溶出液を濃縮して陰イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった部分を収集し、減圧濃縮又は噴霧乾燥又は凍結乾燥、抽出物を得る。
【0011】
一実施形態において、前記桑抽出物は、下記の工程で製造される。桑枝、桑葉又は桑白皮を粉砕し、水及び/又はアルコール溶液又は酸溶液で加熱還流して抽出し、溶媒の量は生薬の3~20倍、1~3回繰り返して抽出し、抽出液を合併し、濃縮し、陽イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった不純物を蒸留水で洗い尽くし、0.2~3Nのアンモニア水で溶出し、溶出液を減圧濃縮又は噴霧乾燥又は凍結乾燥して、抽出物を得る。
【0012】
本発明で言う「動物」とは、動物の種類が特に制限されず、腸器官を有するいかなる動物であってもよく、哺乳動物が好ましく、ラット、マウス及びヒトがより好ましく、ヒトが最も好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記動物は、糖尿病動物である。好ましくは、前記糖尿病動物はボディマス指数BMI≧28である。
【0014】
好ましくは、前記動物は、健康な動物である。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記薬は、細胞中の脂肪蓄積を低減することによって動物の体重を減少する。好ましくは、前記細胞は、肝細胞及び/又は精巣上体脂肪細胞である。より好ましくは、前記細胞は、肝細胞である。
【0016】
好ましくは、前記薬は、薬学的に許容される担体を更に含む。前記担体は、投与経路又は投与方法に適した、人体に毒性のない不活性成分である。前記担体は、固体又は液体の補助剤であってもよい。固体補助剤は、例えば、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、α化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、アスパラテーム、リン酸水素カルシウム、乳酸ナトリウム、ポロキサマー、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、キサンタンガム、ポビドン、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、及びタルク粉末を含む。液体補助剤は、例えば、水、エタノール、シロップ、及びグリセリンを含む。
【0017】
好ましくは、前記薬は、経口投与剤形であり、更に好ましくは、前記薬は、錠剤、カプセル剤、経口液剤、経口乳剤、丸剤、顆粒剤、シロップ剤、及び散剤である。
【0018】
本発明の桑抽出物は、自発性糖尿病肥満症モデルマウスの体重増加を抑制できるだけでなく、成分が明確であり、品質が制御可能であり、副作用がなく、安全性が高く、コストが低く、糖尿病肥満症患者に新たな選択肢を与え、ダイエット薬の開発・スクリーニングに新たな品種を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例9において桑抽出物の長期投与によるKKAyマウス体重への影響を示し、(A)は投与前と投与後の各群の体重であり、(B)は投与前後の体重変化である。DM群と比較して、**はP<0.01、***はP<0.001を表す。
【
図2】実施例11において臨床で8週間投与後の個体の体重変化図である。
【
図3】実施例11において臨床で24週間投与後の個体の体重変化図である。
【
図4】実施例13において消化管投与と高脂肪給餌のC57マウスの体重変化図である。
【
図5】実施例13において注射投与と高脂肪給餌のC57マウスの体重変化図である。
【
図6】パルミチン酸による肝臓トリグリセリドとコレステロールの蓄積に対する異なる投与量のSZ-Aの影響を示す。SZ-Aは桑枝抽出物SZ-A処理群、METはメトホルミン陽性対照群、PAはパルミチン酸刺激インスリン抵抗モデル群、BSAはHepG2細胞正常対照群(0.25%BSA処理)を表す。正常対照群と比較して、**はP<0.01を表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面及び実施例によって本発明について更に詳しく説明する。これらの例示的説明によって、本発明の特徴と利点をより明確にする。
【0021】
ここの専門用語「例示的」とは、「例、実施例として、又は説明的」である。ここで「例示的」に説明されたいかなる実施例は、他の実施例よりも優れる又は好適だと解釈すべきではない。
【0022】
また、以下説明された本発明の異なる実施形態にかかる構成要件は、互いに阻害しない限り、組み合わせることができる。
【0023】
本発明にかかる成分含有量は、開示されている方法に準じて測定する(公開番号がCN111077247A及びCN110393738Aである特許に記載の方法を参考)。
【0024】
実施例1 桑抽出物の製造1
新鮮な桑枝(細歯桑粤桑11号)を1000kg取って、粉砕した後、4000Lの水を加えて、加熱還流法で2h抽出し、抽出液を合併し、不溶物を濾出して、粗抽出液を得た。固形分の含有量が4質量%になるまで粗抽出液を加熱濃縮し、50℃に保って陽イオン樹脂カラムの試料液とした。
【0025】
D113型マクロ孔弱酸性フェニルプロペン系陽イオン樹脂150kgでカラムを充填し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが8.5になるまで溶出し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、更にカラム体積の5倍量の脱イオン水でリンスして、活性化を完了した。濃縮処理された抽出液を供試した後、1000Lの2.5mol/Lアンモニア水で溶出し、溶出速度が6BV/hであり、陽イオンカラムの流出液がpH>7と測定された時点で溶出液を収集し、収集液が900Lになった時点で、収集を終了し、収集液をそのまま陰イオンカラムを通過させて精製した。
【0026】
D218型マクロ孔強塩基性アクリル系陰イオン樹脂62.5kgでカラムを充填し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出し、1.5mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが3.5になるまで溶出し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出して、活性化を完了した。収集された陽イオン樹脂の溶出液を陰イオン樹脂に供試し、流出液を収集し、流出液が870Lになった時点で終了した。
【0027】
収集液を遠心処理して不純物を除去し、更に逆イオン浸透膜で濃縮し、濃縮後の液体比重が1.25であり、アルコール沈殿タンク内に移して、撹拌羽根で500rpmで撹拌しながら無水エタノール25Lを加えた。エタノールの添加終了後に撹拌を停止し、アルコール沈殿を24h行い、上澄み液を取って、減圧濃縮して抽出物のエキスを得た。
【0028】
流出液を減圧濃縮して桑枝抽出物エキスを得、そのアルカロイドの含有量が52%、多糖の含有量が22%、フラボンの含有量が0.8%、アミノ酸の含有量が20%であった。
【0029】
実施例2 桑抽出物の製造2
新鮮な桑枝(桑特優2号)を10kg取って、粉砕した後、150Lの水を加えて、2回に分けて加えて、1回につき煎煮法で3h抽出し、抽出液を合併し、不溶物を濾出した。固形分の含有量が8質量%になるまで抽出液を加熱濃縮し、アルコール沈殿タンクに移して、撹拌羽根で300rpmで撹拌しながら2367.9gの無水エタノール(3L)を加えた。エタノールの添加終了後に撹拌を停止し、アルコール沈殿を24h行い、上澄み液を取って陽イオン樹脂カラムの試料液とした。002SC型強酸性スチレン系陽イオン樹脂5kgでカラムを充填し、実施例1の方法に従って陽イオン樹脂を活性化した。濃縮・アルコール沈殿処理された抽出液を供試した後、100Lの5mol/L塩化カリウムで溶出し、溶出速度が5BV/hであり、20%のケイタングステン酸で流出液を測定し、白色沈殿を生じた時から収集を開始し、収集液が25Lになった時点で、収集を終了し、収集液をそのまま陰イオンカラムを通過させて精製した。
【0030】
711型強塩基性スチレン系陰イオン樹脂10kgでカラムを充填し、実施例3の方法に従って陰イオン樹脂を活性化した。収集された陽イオン樹脂の溶出液を陰イオン樹脂に供試し、流出液を収集し、流出液が15Lになった時点で終了した。収集液を改めて陽イオン樹脂に供試し、上記方法に従って陽イオン樹脂及び陰イオン樹脂をこの順に使って更に2回分離した。
【0031】
3回のカラム分離を経て得られた収集液を、遠心処理して不純物を除去し、更に逆イオン浸透膜で濃縮して、濃縮後の液体比重が1.25であり、アルコール沈殿タンク内に移して、撹拌羽根で1000rpmで撹拌しながら無水エタノール125gを加えた。エタノールの添加終了後に撹拌を停止し、アルコール沈殿を24h行い、上澄み液を取って、減圧濃縮して抽出物であるエキスを得た。別途、新鮮な桑白皮及び桑葉(桑特優2号)を取って抽出し、抽出方法とパラメータは上記方法と同一である。
【0032】
得られた桑枝抽出物において、アルカロイドの含有量が98%、多糖の含有量が0.2%、フラボンの含有量が0.05%、アミノ酸の含有量が0であった。
【0033】
得られた桑白皮抽出物において、アルカロイドの含有量が95%、多糖の含有量が2%、フラボンの含有量が0.1%、アミノ酸の含有量が1%であった。
【0034】
得られた桑葉抽出物において、アルカロイドの含有量が90%、多糖の含有量が4%、フラボンの含有量が0.1%、アミノ酸の含有量が3%であった。
【0035】
実施例3 桑抽出物の製造3
新鮮な桑枝(広東桑)を1000kg取って、粉砕した後、11500Lの水を加えて、加熱還流で2h抽出し、抽出液を合併し、不溶物を濾出して、粗抽出液を得た。粗抽出液を遠心して不純物を除去してから、更に逆イオン浸透膜で固形分の含有量が1質量%になるまで濃縮し、陽イオン樹脂カラムの試料液とした。
【0036】
D001型マクロ孔強酸性スチレン系陽イオン樹脂300kgでカラムを充填し、実施例1の方法に従って陽イオン樹脂を活性化した。濃縮処理された粗抽出液を供試し、5000Lの0.04mol/L硝酸アンモニウムで溶出し、溶出速度が5BV/hであり、20%のケイタングステン酸で流出液を測定し、白色沈殿を生じた時から収集を開始し、収集液が1000Lになった時点で、収集を終了した。
【0037】
陽イオンカラム分離を経て得られた収集液を、ナノ濾過膜で濃縮し、減圧濃縮して抽出物であるエキスを得た。
【0038】
得られた桑枝抽出物において、アルカロイドの含有量が15%、多糖の含有量が20%、フラボンの含有量が7%、アミノ酸の含有量が45%であった。
【0039】
実施例4 桑抽出物の製造4
乾燥した桑枝(粤桑11号)を333kg取って、粉砕した後、4000Lの水を加えて、加熱還流法で2回に分けて抽出し、1回につき1h還流し、抽出液を合併し、濾過して、1kg生薬量/Lになるまで抽出液を濃縮した。
【0040】
D113型マクロ孔弱酸性フェニルプロペン系陽イオン樹脂150kgでカラムを充填し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが8.5になるまで溶出し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、更にカラム体積の5倍量の脱イオン水でリンスして、活性化を完了した。濃縮処理された抽出液を供試した後、1000Lの2.5mol/Lアンモニア水で溶出し、溶出速度が6BV/hであり、陽イオンカラムの流出液がpH>7と測定された時点で溶出液を収集し、収集液が900Lになった時点で、収集を終了し、収集液をそのまま陰イオンカラムを通過させて精製した。
【0041】
D218型マクロ孔強塩基性アクリル系陰イオン樹脂125kgでカラムを充填し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出し、1.5mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが3.5になるまで溶出し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出して、活性化を完了した。収集された陽イオン樹脂の溶出液を陰イオン樹脂に供試し、pHが8超の流出液を収集し、流出液が870Lになった時点で終了した。
【0042】
陰イオンカラム分離を経て得られた収集液を、精密濾過膜で濾過して不純物を除去し、更に逆イオン浸透膜で濃縮し、濃縮後の液体比重が1.1であり、アルコール沈殿タンク内に移して、撹拌羽根で400rpmで撹拌しながら無水エタノール15kgを加えた。エタノールの添加終了後に撹拌を停止し、アルコール沈殿を24h行い、上澄み液を取って、減圧濃縮して桑枝抽出物エキスを得た。試料の含有量は、アルカロイドの含有量が80%、多糖の含有量が5%、フラボンの含有量が0.1%、アミノ酸の含有量が4%であった。
【0043】
実施例5 桑抽出物の製造5
乾燥した桑枝(粤桑11号)を400kg取って、粉砕した後、4000Lの水を加えて、加熱還流法で2回に分けて抽出し、1回につき1h還流し、抽出液を合併し、濾過して、1kg生薬量/Lになるまで抽出液を濃縮した。
【0044】
D218型マクロ孔強塩基性アクリル系陰イオン樹脂62.5kgでカラムを充填し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出し、1.5mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが3.5になるまで溶出し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出して、活性化を完了した。収集された抽出濃縮液を陰イオン樹脂に供試し、流出液を収集した。
【0045】
陰イオンカラム分離を経て得られた収集液を、精密濾過膜で濾過し不純物を除去し、更に逆イオン浸透膜で濃縮し、更には減圧濃縮して乾燥した桑枝抽出物エキスを得た。試料の含有量は、アルカロイドの含有量が3%、多糖の含有量が70%、フラボンの含有量が10%、アミノ酸の含有量が10%であった。
【0046】
実施例6 桑抽出物の製造6
新鮮な桑枝(細歯桑粤桑11号)を1500kg取って、粉砕した後、6000Lの水を加えて、加熱還流法で2h抽出し、抽出液を合併し、不溶物を濾出して、粗抽出液を得た。固形分の含有量が4質量%になるまで粗抽出液を加熱濃縮し、50℃に保って陽イオン樹脂カラムの試料液とした。
【0047】
D113型マクロ孔弱酸性フェニルプロペン系陽イオン樹脂100kgでカラムを充填し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが8.5になるまで溶出し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、更にカラム体積の5倍量の脱イオン水でリンスして、活性化を完了した。濃縮処理された抽出液を供試した後、1000Lの2.5mol/Lアンモニア水で溶出し、溶出速度が6BV/hであり、陽イオンカラムの流出液がpH>7と測定された時点で溶出液を収集し、収集液が900Lになった時点で、収集を終了し、収集液をそのまま陰イオンカラムを通過させて精製した。
【0048】
D218型マクロ孔強塩基性アクリル系陰イオン樹脂62.5kgでカラムを充填し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出し、1.5mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが3.5になるまで溶出し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出して、活性化を完了した。収集された陽イオン樹脂の溶出液を陰イオン樹脂に供試し、流出液を収集し、流出液が870Lになった時点で終了した。流出液を減圧濃縮して桑枝抽出物エキスを得、そのアルカロイドの含有量が30%、多糖の含有量が35%、フラボンの含有量が2%、アミノ酸の含有量が25%であった。
【0049】
実施例7 桑抽出物の製造7
新鮮な桑枝(細歯桑粤桑11号)を1000kg取って、粉砕した後、4000Lの水を加えて、加熱還流法で2h抽出し、抽出液を合併し、不溶物を濾出して、粗抽出液を得た。固形分の含有量が4質量%になるまで粗抽出液を加熱濃縮し、50℃に保って陽イオン樹脂カラムの試料液とした。
【0050】
D113型マクロ孔弱酸性フェニルプロペン系陽イオン樹脂100kgでカラムを充填し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが8.5になるまで溶出し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、更にカラム体積の5倍量の脱イオン水でリンスして、活性化を完了した。濃縮処理された抽出液を供試した後、1000Lの2.5mol/Lアンモニア水で溶出し、溶出速度が6BV/hであり、陽イオンカラムの流出液がpH>7と測定された時点で溶出液を収集し、収集液が900Lになった時点で、収集を終了し、収集液をそのまま陰イオンカラムを通過させて精製した。
【0051】
D218型マクロ孔強塩基性アクリル系陰イオン樹脂62.5kgでカラムを充填し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出し、1.5mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが3.5になるまで溶出し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出して、活性化を完了した。収集された陽イオン樹脂の溶出液を陰イオン樹脂に供試し、流出液を収集し、流出液が870Lになった時点で終了した。流出液を減圧濃縮して桑枝抽出物エキスを得、そのアルカロイドの含有量が40%、多糖の含有量が25%、フラボンの含有量が0.5%、アミノ酸の含有量が25%であった。
【0052】
実施例8 桑抽出物の製造8
乾燥した桑枝(粤桑11号)を333kg取って、粉砕した後、4000Lの水を加えて、加熱還流法で2回に分けて抽出し、1回につき1h還流し、抽出液を合併し、濾過して、1kg生薬量/Lになるまで抽出液を濃縮した。
【0053】
D113型マクロ孔弱酸性フェニルプロペン系陽イオン樹脂150kgでカラムを充填し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが8.5になるまで溶出し、2mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが4.5になるまで溶出し、更にカラム体積の5倍量の脱イオン水でリンスして、活性化を完了した。濃縮処理された抽出液を供試した後、1000Lの2.5mol/Lアンモニア水で溶出し、溶出速度が6BV/hであり、陽イオンカラムの流出液がpH>7と測定された時点で溶出液を収集し、収集液が900Lになった時点で、収集を終了し、収集液をそのまま陰イオンカラムを通過させて精製した。
【0054】
D218型マクロ孔強塩基性アクリル系陰イオン樹脂62.5kgでカラムを充填し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出し、1.5mol/Lの塩酸溶液で溶出液のpHが3.5になるまで溶出し、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で溶出液のpHが9.0になるまで溶出して、活性化を完了した。収集された陽イオン樹脂の溶出液を陰イオン樹脂に供試し、pHが8超の流出液を収集し、流出液が870Lになった時点で終了した。
【0055】
陰イオンカラム分離を経て得られた収集液を、精密濾過膜で濾過し不純物を除去し、更に逆イオン浸透膜で濃縮し、濃縮後の液体比重が1.1であり、アルコール沈殿タンク内に移して、撹拌羽根で400rpmで撹拌しながら無水エタノール15kgを加えた。エタノールの添加終了後に撹拌を停止し、アルコール沈殿を24h行い、上澄み液を取って、減圧濃縮して桑枝抽出物エキスを得た。試料の含有量は、アルカロイドの含有量が63%、多糖の含有量が23%、フラボンの含有量が1%、アミノ酸の含有量が5%であった。
【0056】
実施例9 桑抽出物の自発性2型糖尿病KKAyマウス体重への影響
12週齢のメスKKAyマウスを、3週間にわたって高脂肪給餌した後、随時血糖値、空腹時血糖値及び体重などの指標によって、3群(DM群、SZ-A 160(mg桑抽出物/kg)、SZ-A 320(mg桑抽出物/kg))に平均に分けて、1群あたり8匹とし、実施例8の桑抽出物を一日1回消化管投与し、約6週間連続して投与し、投与前後のマウス体重変化について、例えば、表1、表2及び
図1に示すように記録した。
【0057】
【0058】
桑抽出物の投与前、各群のマウスの体重平均値はともに43g程度であった。桑抽出物を約6週間投与した後、桑抽出物の2つの投与量群のマウスは体重が明らかに減少した。DM群と比べて、SZ-A160投与量群のマウスは体重が2.0g減少し、体重減少率が4.2%であった。DM群と比べて、SZ-A320投与量群のマウスは体重が4.1g減少し、体重減少率が8.6%であった。投与期間中、SZ-Aの2つの投与量群のマウスは体重の増加速度も明らかに低下した。DM群のマウスの体重は平均で4.4g増加したのに対して、SZ-A160投与量群は平均で2.6g増加し、SZ-A320投与量群は平均で0.1g増加したことから、桑抽出物はKKAyマウスの体重増加への顕著な抑制作用を有する。
【0059】
【0060】
実施例10 臨床試験1
実施例1の桑枝抽出物を取って、補助剤を適量加えて、均一に混合し、水を加えて軟質材とし、粒子化して乾燥し、ステアリン酸マグネシウムを加えて、均一に混合し、打錠して、桑枝抽出物の製剤を得、1錠につき総アルカロイド50mgを含む。
【0061】
臨床例と治療:
(1)43歳、84.2キロ、身長170cmの中国人男性、2型糖尿病発見から3ヶ月、実施例1の桑抽出物を含む錠剤を一日3回、1回2錠経口服用、24週間服用、体重が10.2キロ減。
(2)65歳、68.3キロ、身長173cmの男性、2型糖尿病発見から7ヶ月、高脂血症を合併、実施例1の桑抽出物を含む錠剤を一日3回、1回2錠経口服用、24週間持続、体重が6.3キロ減。
(3)64歳、75.0キロ、身長168cmの男性、2型糖尿病発見から12ヶ月、アカルボースを2ヶ月服用後に停止、8ヶ月以降実施例1の桑抽出物を含む錠剤を一日3回、1回2錠経口服用、24週間持続、体重が7キロ減。
(4)48歳、81.0キロ、身長164cmの女性、2型糖尿病発見から8ヶ月、高脂血症を合併、実施例1の桑抽出物を含む錠剤を一日3回、1回2錠経口服用、24週間持続、体重が7キロ減。
【0062】
実施例11 臨床試験2
1.実験目的:
桑枝抽出物による糖尿病患者の体重減少を検証する。
【0063】
2.実験方法
2.1 実験群分け
無作為化、二重盲検、ダブルダミー、アカルボース錠の並行群、多施設共同、非劣性試験デザインを用いた。年齢が18~70歳、19kg/m2≦BMI≦30kg/m2、7%≦HbA1C≦10%、血糖コントロール不良の2型糖尿病被験者600例を、無作為に桑枝総アルカロイド錠群(SZ-A、N=360)とアカルボース(グルコバイ(登録商標))群(CON、N=240)とに分けた。全員がインフォームド・コンセントに署名した。
【0064】
主な除外基準は、下記の通りである。1)α-グルコシダーゼ阻害薬にアレルギー症又は不耐症であり、2)1回目の訪問観察と2回目の訪問観察との間のFBSレベル変化>2.5mmol/L(>45mg/dL)であり、3)既往に深刻な糖尿病合併症(糖尿病網膜症の増殖段階、糖尿病腎臓病ステージV、糖尿病ケトアシドーシス、糖尿病高浸透圧性昏睡、糖尿病性乳酸アシドーシス)があり、4)例えば、抗糖尿病漢方薬又はグルココルチコイドとの併用療法がグルコース代謝に影響を与え、5)高脂血症に不規則な脂質低下薬の服用歴を伴い、6)慢性胃腸機能不全、顕著な消化吸収障害、又は内分泌疾患、例えば、甲状腺機能亢進症、コルチゾール過剰症、及び先端巨大症を患い、7)深刻な心臓病、心筋梗塞、不安定狭心症、慢性心不全、又は血圧コントロール不良であり、8)肝臓又は腎臓の機能障害があり、9)妊娠中である。
【0065】
2.2 投与方法
実験群には、錠剤を経口投与し(錠剤の製造方法は、実施例1の抽出物に、補助剤を適量加えて、均一に混合し、水を加えて軟質材とし、粒子化して乾燥し、ステアリン酸マグネシウムを加えて、均一に混合し、打錠して、桑枝抽出物の製剤を得、1錠につき総アルカロイド50mgを含む)、開始投与量を1回1錠、一日3回とし、4週間後に1回2錠、一日3回に増やした。対照群には、アカルボースを1回1錠、一日3回経口投与した。
【0066】
3.実験データの測定と処理
3.1 測定指標
(1)投与の1週間~24週間にわたって、各群の身長、体重及び体重増加を毎日観察・記録した。
【0067】
3.2 統計分析
SPSS 20.0ソフトウェアを用いてデータ処理し、群間差異はT-検定を用いた。
【0068】
4.実験結果
8週間、24週間投与した後、各群の二型糖尿病患者の異なるBMI群別実験データの結果は、表3、4、及び
図2、
図3に示したとおりである。
【0069】
8週間投与後、BMI≧28kg/m2の患者では、実験群は対照群と比べて体重が顕著に減少し、平均変化量がそれぞれ-0.503kg及び0.210kg(P=0.016)であった。24週間投与後、BMI≧28kg/m2の患者では、実験群は対照群と比べて体重が顕著に減少し、平均変化量がそれぞれ-1.228kg及び-0.182kg(P=0.022)であった。その他のBMI群では、体重変化が統計的に有意ではなかった。
【0070】
【0071】
これらから明らかなように、BMI≧28kg/m2の糖尿病患者は桑枝抽出物を服用した後、2型糖尿病を治療できるだけでなく、減量の目的も達成できた。
【0072】
実施例12 臨床試験例3
1.実験目的
桑枝抽出物による健康なヒトの体重減少を検証する。
【0073】
2.実験方法
2.1 実験器具と材料
体重計。
【0074】
2.2 実験デザイン
非糖尿病患者で、計17例、そのうち、男性11例、女性6例で、ともに健康なヒトで、服用期間中に正常飲食し、服用期間が0.7~8ヶ月で、服用量を50又は100mg/回、服用回数を2~3回/日とした。
【0075】
2.3 測定指標
実験前と実験終了時に、以下の身体指標:体重、身長、を測定した。
【0076】
減量の判断基準:(1)優れた効果あり、体重減少率が10%以上であり、(2)顕著な効果あり、体重減少率が5%以上10%未満であり、(3)効果あり、体重減少率が3%以上5%未満であり、(4)効果なし、体重減少率が3%未満である。
【0077】
3.実験結果
優れた効果ありは2例、顕著な効果ありは9例、効果ありは5例、効果なしは1例で、総有効率が94%であった。また、各被験者が服用した後に副作用がなかったことから、当該薬は非糖尿病患者に対して減量作用の効果が顕著である。被験者の情報及び実験結果を下記の表5に示した。
【0078】
総有効率=(優れた効果あり例数+顕著な効果あり例数+効果あり例数)/例数*100%。
TID:1日3回服用を表す
BID:1日2回服用を表す
【表5】
【0079】
実施例13 高脂肪給餌C57マウスの体重減少実験
1.消化管投与
6週齢健康なオスC57マウス30匹を無作為に、正常群、モデル群、SZ-A群に分けて、1群あたり10匹とした。そのうち、正常群マウスは基礎飼料給餌を、モデル群及びSZ-A群は高脂肪給餌を行った。14週間飼育した後、各群のマウスに、対応する薬を毎日消化管投与し、6週間連続して投与し、SZ-A群は、桑枝総アルカロイド400mg/kg/dで消化管投与し、正常群及びモデル群は、相応な投与量の溶媒を消化管投与し、薬で治療する間、マウスの体重をモニタリングした。投与終了後、すべてのマウスを12時間断食させた後、体重を量った。
【0080】
結果は、
図4に示されたように、モデル群マウスの平均体重が50.3g、投与群マウスの平均体重が43.7gであったことから、SZ-Aは明らかに高脂肪給餌マウスの体重を減少できる。
【0081】
2.注射投与
(1)動物モデル構築:6週齢C57マウス30匹を無作為に3群に分けて、第1の群は正常飲食給餌を、第2の群及び第3の群は高脂肪給餌を行い、14週間飼育を続けた。
(2)投与処理:第3の群は、体重に応じて、桑枝総アルカロイド200mg/kgで腹腔内注射を行い、注射投与の期間を6週間とした。第1の群及び第2の群はそれぞれ、体重に応じて生理食塩水を注射した。1日1回投与した。
(3)体重測定:投与処理後、天秤でマウスの体重を測定し記録した。
結果は、
図5に示されたように、モデル群の平均体重が50.6gであったのに対して、投与群の平均体重が42.8gであったことから、SZ-Aの注射は、高脂肪給餌による肥満を顕著区に軽減できる。
【0082】
実施例14 インビトロ細胞試験
1.対数増殖期にあるHepG2細胞を消化した後、10%FBSを含むDMEM(高グルコース)完全合成培地で細胞密度を2×105個/mlに調整し、2ml/穴で6穴プレートに移した。
【0083】
2.24h培養後、モデル細胞を無作為に、SZ-A群(50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/mlの実施例1の桑枝抽出物SZ-A)、メトホルミン群(200μmol/LのMET)、及びパルミチン酸刺激モデル群(PA)に分けたと同時に、HepG2細胞を正常対照群(0.25%BSA)とした。正常対照群(0.25%BSA)及びモデル群(PA)以外の各群はそれぞれ、対応する薬やパルミチン酸を加えて、パルミチン酸刺激モデルを複製し、各群の平行穴を3個にした。
【0084】
3.24h培養後、予熱したPBSを加えて1回洗浄した後、6穴プレートの各穴に1%PMSFを含むTriton x-100溶解液400μlを加えた。氷上又は4℃において1h溶解しピペットで軽く吹き付けて、溶解液と細胞とを十分に接触させた。溶解された液体を遠心することなく渦巻かせた後、そのまま10μlのトリグリセリド及び10μlの総コレステロールを測定した。
【0085】
試験結果は、
図6に示されたように、肝臓の脂肪蓄積が過剰になると、脂肪肝を形成しやすい。パルミチン酸PAでHepG2肝細胞を刺激すると、脂肪肝の形成を模倣できる。異なる投与量のSZ-Aを加えると、SZ-Aがパルミチン酸に起因した肝臓でのトリグリセリド及びコレステロールの蓄積を抑制できることが分かった。SZ-Aの作用効果はMETに相当する。
【0086】
以上の方法を参照して、実施例2~7で製造された桑抽出物(投与量が25μg/ml)でモデル細胞を処理し、細胞中のトリグリセリド及び総コレステロールをそれぞれ測定した。結果によれば、PA群と比べて、桑抽出物で処理された後、パルミチン酸に起因した肝臓でのトリグリセリド及びコレステロールの蓄積はいずれもある程度低減した。具体的な結果を下記の表6に示した。
【0087】
【0088】
上述の実施例から明らかなように、桑抽出物は良好な体重制御作用を有する。長期にわたって桑抽出物を投与すれば、マウス及びヒトの体重増加を抑制でき、2型糖尿病マウス及び糖尿病患者の体重増加を抑制できる上、臓器の脂肪蓄積にも抑制作用を有する。
【0089】
以上、好適な実施形態を挙げて本発明を説明したが、これらの実施形態は例示的なもので、説明の役割を果たすものにすぎない。これらに基づいて、本発明を様々な置換・改良することが可能であり、これらの置換・改良はすべて本発明の技術的範囲に包含される。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の体重減少薬を製造するための桑抽出物の使用であって、前記桑抽出物は、アルカロイド、多糖、アミノ酸、及びフラボンを含み、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 3~99%、
多糖 0.2~70%、
フラボン 0~10%、
アミノ酸 0~50%、
その他の成分 0~25%で
ある使用。
【請求項2】
前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~25%、
フラボン 0~1%、
アミノ酸 0~20%、
その他の成分 0~20%であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 30~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 40~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記動物は、哺乳動物であり、人類及び齧歯類動物を含むことを特徴とする請求項1
~5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記動物は、糖尿病動物であることを特徴とする請求項1
~6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記動物は、健康な動物であることを特徴とする請求項1
~6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
薬は、薬学的に許容される担体を更に含むことを特徴とする請求項1
~5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
薬は、経口投与剤形で
あることを特徴とする請求項1
~5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記薬は、錠剤、カプセル剤、経口液剤、経口乳剤、丸剤、顆粒剤、シロップ剤、及び散剤であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記糖尿病動物はBMI≧28であることを特徴とする請求項
7に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一実施形態において、前記桑抽出物は、アルカロイド、多糖、アミノ酸、及びフラボンを含む。好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 3~99%、
多糖 0.2~70%、
フラボン 0~10%、
アミノ酸 0~50%、
その他の成分 0~25%であり、
より好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であり、
更に好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 50~99%、
多糖 0.2~25%、
フラボン 0~1%、
アミノ酸 0~20%、
その他の成分 0~20%である。
更に好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 30~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%であり、
更に好ましくは、前記桑抽出物に対して、各成分の重量含有量が、
アルカロイド 40~99%、
多糖 0.2~35%、
フラボン 0~2%、
アミノ酸 0~30%、
その他の成分 0~20%である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
一実施形態において、前記桑抽出物は、下記の工程で製造される。桑枝、桑葉又は桑白皮を粉砕し、水及び/又はアルコール溶液又は酸溶液で加熱還流して抽出し、溶媒の量は生薬の3~20倍であり、1~3回繰り返して抽出し、抽出液を合併し、濃縮し、陽イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった不純物を水(好ましくは蒸留水)を任意に用いて洗い尽くし、0.2~3Nのアンモニア水で溶出し、溶出液を濃縮して陰イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった部分を収集し、エタノールを加えて、沈殿して不純物を除去し、遠心し、清澄液を濃縮(好ましくは減圧濃縮)又は乾燥(好ましくは噴霧乾燥又は凍結乾燥)して、抽出物を得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一実施形態において、前記桑抽出物は、下記の工程で製造される。桑枝、桑葉又は桑白皮を粉砕し、水及び/又はアルコール溶液又は酸溶液で加熱還流して抽出し、溶媒の量は生薬の3~20倍であり、1~3回繰り返して抽出し、抽出液を合併し、濃縮し、陽イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった不純物を水(好ましくは蒸留水)を任意に用いて洗い尽くし、0.2~3Nのアンモニア水で溶出し、溶出液を濃縮して陰イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった部分を収集し、濃縮(好ましくは減圧濃縮)又は乾燥(好ましくは噴霧乾燥又は凍結乾燥)して、抽出物を得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
一実施形態において、前記桑抽出物は、下記の工程で製造される。桑枝、桑葉又は桑白皮を粉砕し、水及び/又はアルコール溶液又は酸溶液で加熱還流して抽出し、溶媒の量は生薬の3~20倍、1~3回繰り返して抽出し、抽出液を合併し、濃縮し、陽イオン交換樹脂を通過させて、吸着されなかった不純物を水(好ましくは蒸留水)を任意に用いて洗い尽くし、0.2~3Nのアンモニア水で溶出し、溶出液を濃縮(好ましくは減圧濃縮)又は乾燥(好ましくは噴霧乾燥又は凍結乾燥)して、抽出物を得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
D001型マクロ孔強酸性スチレン系陽イオン樹脂300kgでカラムを充填し、製造例1の方法に従って陽イオン樹脂を活性化した。濃縮処理された粗抽出液を供試し、5000Lの0.04mol/L硝酸アンモニウムで溶出し、溶出速度が5BV/hであり、20%のケイタングステン酸で流出液を測定し、白色沈殿を生じた時から収集を開始し、収集液が1000Lになった時点で、収集を終了した。
【国際調査報告】