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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電池監視ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240221BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554027
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022056485
(87)【国際公開番号】W WO2022189671
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021106060.5
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】マルティーン ツォスケ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ベイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス コイトマン
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ケーニッヒ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA11
5G503EA08
5H030AA01
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
本発明は、電池監視ユニット(10)に関し、電池監視ユニット(10)は、電池監視ユニット(10)に結合され、少なくとも二つの電池群(22)を備える電池(1)の、互いに並列に接続されている少なくとも二つの電池セル(24)を備える電池群(22)ごとに、電圧(14A、14B)を受信するよう構成されたインタフェース(12)を備え、インタフェース(12)から受信した、少なくとも二つの直列接続された電池群(22)の電圧(14A、14B)を互いに比較し、比較の結果に基づいて信号(18)を出力するよう構成される、評価ユニット(16)が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池監視ユニット(10)に結合され、少なくとも二つの電池群(22)を備える電池(1)の、互いに並列に接続されている少なくとも二つの電池セル(24)を備える電池群(22)ごとに、電圧(14A、14B)を受信するよう構成されたインタフェース(12)を含む、電池監視ユニット(10)であって、
前記インタフェース(12)から受信した、少なくとも二つの直列接続された電池群(22)の前記電圧(14A、14B)を互いに比較し、前記比較の結果に基づいて信号(18)を出力するよう構成される、評価ユニット(16)が設けられることを特徴とする、電池監視ユニット(10)。
【請求項2】
前記評価ユニット(16)が、前記インタフェース(12)から受信した前記電圧(14A、14B)を比較するために、前記電圧の差分値、及び/又は前記電圧の商、を求め、前記差分値及び/又は前記商に基づいて信号を出力するよう構成される、請求項1に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項3】
前記評価ユニット(16)が、それぞれの差分値が所定の閾値を超えるか、又はそれぞれの商が1から所定の限度までずれている場合に、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項2に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項4】
前記評価ユニット(16)が、前記差分値と、前記差分値を生成する前記電池群(22)のうちの少なくとも一つの電圧値との比が、0.01:1.0から0.25:1.0、好ましくは0.05:1.0から0.20:1.0、となる場合に、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項2又は3に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項5】
前記比較の結果の、好ましくは前記それぞれの差分値及び/又は前記商の、推移を記録し、前記推移が所定の推移からずれている場合に前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項6】
前記評価ユニット(16)が、前記それぞれの差分値に基づいて、前記それぞれの電池群(22)の総抵抗値を求めるよう構成され、前記総抵抗値が、前記電池群(22)の動作状態に特有である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項7】
前記評価ユニット(16)が、電流/電圧特性曲線を備え、前記それぞれの比較及び前記電流/電圧特性曲線に基づいて、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項8】
前記インタフェース(12)を介して前記電池(1)の特性データを受信し、前記データを中央ユニット(100)に送信し、前記送信された特性データに応じた少なくとも一つの電流/電圧特性曲線を、前記中央ユニット(100)から受信するよう構成される、電池監視ユニット(10)であって、前記評価ユニット(16)が、前記それぞれの比較及び前記電流/電圧特性曲線に基づいて、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項9】
前記特性データが、電池の種類、電池群ごとの並列接続された電池セルの数、セルの種類、直列接続された電池群の数、前記電池(1)の用途、及び/又は前記電池(1)の動作データを含む、請求項8に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項10】
前記受信した電圧(14A、14B)並びに/又は前記比較のそれぞれの結果、好ましくは前記差分値及び/若しくは前記商、を前記中央ユニットに送信するよう構成される、電池監視ユニット(10)であって、前記受信した電流/電圧特性曲線が、対応する特性データを有する複数の電池(1)について前記中央ユニットが評価した電圧、及び/又は前記比較の結果に基づく、請求項8又は9に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項11】
前記評価ユニット(16)が、前記少なくとも二つの直列接続された電池群(22)用のそれぞれの電流センサから、前記インタフェース(12)を介して電流の流量を受信し、前記それぞれの電流の流量に基づいて、前記信号(18)を出力し続けるよう更に構成される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項12】
前記評価ユニット(16)が、リアル・タイム又は所定の時間間隔で、前記それぞれの比較を実行するよう構成される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項13】
前記信号(18)が、前記電池(1)についての警告、メンテナンス信号、及び/又は制御信号を含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項14】
前記比較が、隣り合う電池群(22)に対してそれぞれ実行される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)を備え、少なくとも二つの電池群(22)を備える、走行用電池であって、各電池群(22)が、並列に相互接続されている複数の円筒形電池セル(24)を備える、走行用電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳細には、並列接続及び/又は直列接続されており、互いに並列に接続されている電池セルで構成される電池群の接続を監視する、電池監視ユニットに関し、更に、電気自動車用電池群によって構成されている、対応する電池又は走行用電池に関する。
【背景技術】
【0002】
走行用電池として使用される電気化学エネルギー貯蔵装置、特にリチウムイオン電池では、典型的には、電池群に編成された複数の電池セルが、直列及び/又は並列に相互接続されて電池を形成する。したがって、このセル集合体において、例えば電気自動車及びハイブリッド自動車用の特定の走行用電池に向けた、電池のそれぞれの最終的な用途にとって望ましい総容量及び総電圧が実現する。
【0003】
電圧タップは、並列に相互接続されている電池セルによって構成される電池群間に存在し、これらの電池群に印加される電圧を、それぞれに判定することができる。判定された電圧は、例えば、電池管理システムに送信され得、そこで、電池セルの充電中の過電圧又は電池セルの放電中の不足電圧の発生を検出でき、それに応じて、好適な手段、例えば充電プロセスを終了することにより、回避することができる。
【0004】
かかる電池の電池群は、典型的には、特にハイブリッド自動車及び電気自動車に使用される場合、数100Vの総電圧が供給されるように、更に相互接続されており、各電池セルに印加される電圧は通常、直列接続のため、わずか数ボルトしかない。しかし、かかる電池に故障が発生した場合、例えば、電池群の一部又はすべての電池セルの電気接続が破損すると、電池電圧の一部分、又は極端な場合には、多くの場合800V以上に達することさえある総電池電圧が、回路のこの箇所に印加されることになる。これは、かかる場合に、アークによる短絡を引き起こす可能性があり、電池又は車両全体に深刻な損傷をもたらすことがある。
【0005】
電池群の電池セルの破損は、連続して発生することがあり、それぞれの電池群の電圧の、対応する段階的な変化に関連する場合がある。
【0006】
特定の電池群について測定された電圧が、公称値又は過去に保存された値を超えると、電池を停止させるシステムが知られているが、かかる方法の信頼性は、限られた程度でしかない。この理由は、かかる値が、特定の電池構成に対して、又は具体的な場合に監視されるべき個々の電池と正確に一致しない電池系列に対して、設定されている場合があるためである。更に、電池の状態は、電池の寿命にわたって大幅に変化することがあり、例えば、電池の寿命、充電及び放電時間、用途特有の負荷、動作時間、動作条件、並びに/又は環境条件の影響を受ける。したがって、かかる一般的な公称値は、個々の電池及び/又は電池の状態には適用できない場合があるため、この値は、より大きい許容誤差範囲を含む必要がある。しかし、その結果、特定の状況では、電池の危険な状態が、遅い段階でしか判定され得ない。
【0007】
したがって、故障の早期検出を実現する、好ましくは複数の電池及び/又は複数の電池の種類に使用できる、より正確な電池監視を可能にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既知の従来技術から出発して、改善された電池監視を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する電池監視ユニットによって実現する。有益な実施形態は、従属請求項、説明、及び図から導き出すことができる。
【0010】
したがって、電池監視ユニットが提案されており、電池監視ユニットは、電池監視ユニットに結合され、少なくとも二つの電池群を備える電池の、互いに並列に接続されている少なくとも二つの電池セルを備える電池群ごとに、それぞれの電圧タップを介して電圧を受信するよう構成された、インタフェースを備える。本発明によれば、受信した、電池の少なくとも二つの直列接続された電池群の電圧を互いに比較し、比較の結果に基づいて信号を出力するよう構成される、評価ユニットが提供される。
【0011】
電池群は、機械的電気的に一体に統合された電池モジュールとして、又は電池モジュール内若しくは電池内の論理ユニットとして、形成されていてもよい。電池群は、電池内の機械的構造及び空間配置に関係なく、並列に相互接続された少なくとも二つの電池セルで構成されており、電池群自体の電圧タップを備えていることを特徴とする。
【0012】
典型的には、同じ数の電池セルが、各電池群に設けられ、電池群の電池セルは、並列に接続されている。電池が動作状態のときに、それぞれの電池セルが、その動作状態について定められた電圧を有する場合、少なくとも二つの電池群の電圧を比較すると、一般的な測定の変動は別として、実質的に同様の電圧が得られるであろう。しかし、電池群内の一つ又は複数の電池セルが、定められた通りに機能していない場合、取り出された電池群の電圧は、電池群の対における、他のそれぞれの電池群とは相異なるものとなろう。言い換えると、少なくとも二つの直列接続された電池群の電圧タップで取り出された電圧を比較することによって、通常の状態又は予想される状態からずれた小さな電圧の変化さえも、検出することができる。
【0013】
個々の電池群の電圧タップ間で取り出された電圧の比較は、測定値を減算することにより、特に容易に実現し得る。電池が、通常動作で予想通りに動作している場合、差は実質的にゼロであり、電圧に差が生じると、差はゼロから離れる。
【0014】
電池群の電圧タップ間で取り出された電圧の比較は、測定値の商を生成することによっても実現し得る。電池が通常動作で動作しているとき、商は実質的に1であり、測定された電圧が異なると、商は1から離れる。
【0015】
測定された電圧の比較は、他の計算比較の選択肢によっても、実行することができる。
【0016】
このようにして、電圧のわずかな差でさえ、例えば、セル損失又はセル損失が差し迫っていることを示し得るため、電池の状態の非常に正確な監視が可能となる。これは、電池群での多くの並列化がなされ、電池群ごとの、対応するそれぞれの並列接続された電池セルの数が多い場合に、特にこれにより、さもなければ重大な、又は危険な故障さえ引き起こす場合がある、既存の故障の早期検出が可能となるので、特に有益である。
【0017】
安全対策として、例えば、電池セル内に膜ベースの(membrane-based)電流遮断装置(CID:current-interrupt device)が設けられてもよく、電流遮断装置は、例えば、経年劣化、生産時の故障、又は過負荷、及びそれに伴う電池セル内の圧力の高まりに起因して、電池セル内でガスが過剰に発生した場合に、電気接触を選択的に遮断する。かかる遮断の早期検出により、それぞれの電池群の残りの電池セルの、対応して増加する電流の流れに基づく、連鎖反応の誘発を防止することが可能である。したがって、安全性が大幅に向上する。したがって、電池群内の一つ又は複数の電池セルのかかる停止は、提案されている電池監視ユニットを用いて検出することができる。
【0018】
更に、電池監視ユニットによれば、具体的な電池構成に関係なく、全体的に電池の監視を実行することが可能である。この理由は、電池の少なくとも二つの直列接続された電池群の相対比較のおかげで、個々の電圧の絶対値と、種類及び/又は構成に応じてそれぞれの電池群について定められた電圧との比較を、不要にすることができるためである。
【0019】
同様に、例えば比較のために差分値を判定することが、電力又は対応する電池群に関係なく、全般に信号の出力が実行され得ることを可能にする。電池の耐用年数又は寿命にわたる、例えば電池の寿命、充電及び放電時間、用途特有の負荷、動作時間、動作条件、及び/又は環境条件に起因する、電池の状態のどんな起こり得る変化も、電池のそれぞれの電池群について、動作中に大幅に変わることはないので、同様に、自動的に考慮に入れることができる。したがって、電池の状態の正確な監視が実現され、寿命全体にわたる故障の早期検出が可能となる。
【0020】
電池監視ユニットは、例えば、別個のモジュールとして形成されてもよく、又は電池の制御ユニット内に統合される構成要素として形成されてもよい。電池監視ユニットは、少なくとも二つの直列接続された電池群について、受信した電圧又は測定値を評価し、対応する比較を判定又は計算する、評価ユニットを備える。インタフェースは、例えば、それぞれの電圧タップとの電気的結合を可能にする、ハードウェア構成要素として存在してもよく、及び/又は、対応する測定信号若しくはデータを送信するコンピュータ可読論理回路を、少なくとも部分的に備えていてもよい。
【0021】
比較、及び例えば差分値の判定は、様々な直列接続された電池群について、更に実行することができる。差分値は、例えば、互いに直に隣り合っていない電池群、及び/又は複数の電池群によって相互接続され、共に一つの電池群を形成している電池群について、判定することができる。それぞれの差分値は、実質的に同時に又は連続して判定することができるため、信号が出力される際に、複数の差分値を考慮に入れることができるか、又は信号を、個々の差分値ごとに出力することができる。
【0022】
例えば、複数の電池群の場合、隣り合っていない電池群の電圧を互いに比較でき、この比較をそれぞれの、後続の電池群又は隣り合う電池群に対して繰り返すことができるため、個々の電池群における潜在的な故障の存在を、これらの電圧値から推測又は決定することができる。しかし、並べて配置された複数の電池群、例えば二つの隣り合う電池群を、並べて配置された、対応する数の一致しない電池群と比較することも可能であり得る。このようにして、例えば、電池群の特定の領域における、潜在的な故障の有無又は存在に関する決定を、引き出すことができる。
【0023】
同様に、ある一定レベルの安全の冗長化が実現され得、各電池群と、一つ若しくは複数の電池群との、又は他のすべての電池群との比較値、例えば差分値が、個々に判定される。それぞれの電池群すべてを互いに比較することにより、例えば電圧の変動をマスクすることができ、監視精度を更に高めることができる。
【0024】
好ましくは、電池監視ユニットの評価ユニットは、比較を実行し、例えば少なくとも隣り合う電池群ごとに、差分値を判定するよう構成される。「隣り合う」という用語は、例えば、一つの電池群の電圧が、一つの電池群がまさに電力端子のより近くに配置されている、別の電池群の電圧と比較されるような、電力端子の方向における意味、又は対応する直列の電圧タップの連続した配置であると理解されたい。
【0025】
このようにして、個々の電池群に関して存在し得るどんな故障をも判定することができ、取り出された電圧をそれぞれの電池群に関連づける構成データは不要である。言い換えると、信号は、特定の個々の電池群について出力でき、電池の状態の非常に正確な監視を、同様に実現することができる。
【0026】
更に好ましくは、電池監視ユニットの評価ユニットは、それぞれの差分値が所定の閾値を超えた場合に、信号を出力するよう構成される。閾値は、例えば、一つ又は複数の電池セルの電圧に一致する、電圧の増加に特有な値であってもよく、電池セルは、例えば、規格化された電力を供給し得る。閾値は、同様に、オーム抵抗値の所定の増加に対して選択されてもよく、抵抗値は、一つ又は複数の電池セルの破損など、潜在的な故障の存在に特有である。これに関して、特定の電流の流量における電池群の両端間の電圧降下を測定することができ、電圧降下から、この電池群のオーム抵抗値を推測又は決定することができる。
【0027】
電池監視ユニットの評価ユニットはまた、代替的又は追加的に、差分値と、差分値を生成する電池群のうちの少なくとも一つの電圧値との比が、0.01:1.0から0.25:1.0、好ましくは0.05:1.0から0.20:1.0、となる場合に、信号を出力するよう構成され得る。
【0028】
言い換えると、差分値は、特定の電池群の取り出された電圧の、好ましくはそれぞれのより低い電圧の、割合として求められ得、この割合が、電圧の1パーセントから25パーセントの間、若しくは5パーセントから20パーセントの間、又はこの値を超える場合に、信号を出力することができる。例えば、差分値が約15パーセントを超えた場合に、信号を出力できる。この割合は、信号の出力に関する電圧の典型的な変動が無視されるような形で、予め設定され得、故障が、十分な確率で存在するか、又は特定の故障が、割合として事前に定められることさえある。割合は、したがって、超過した場合に検査又は措置が必要となるように、選択され得る。
【0029】
かかる実施形態の別の利点は、電池の監視が、概して、電池構成に関係なく実行されることである。したがって、電力の絶対値又は閾値は必要なく、ひいては、電池の対応する構成に関係なく、電池の種類ごとに電池の状態の監視を実行することができる。したがって、電圧の絶対値に対応することなく、割合が、閾値としての役割を果たすことができる。これは、耐用年数にわたる電池の特性の起こり得る変化に関しても有益である。というのは、特に、それぞれの電池群の特性が、例えば充電サイクル及び動作条件のために、時間の経過と共に同様に変化すると想定され得るからである。定められた比又は割合は、耐用年数に関係なく、故障検出にとって意味深長であるか、又は意味のあるものであり得る。
【0030】
信号の出力を更により特定のものにするか、又は様々な動作状態を考慮に入れるために、アイドル状態と、既知の電流の流量の下での負荷がかかった状態との両方で、差分値を判定でき、対応する差分値を互いに比較することができる。このようにして、電池セルの様々な充電状態の影響を、計算によって取り除き、信号を出力するときに考慮に入れることができる。
【0031】
かかる検査は、電池の正常動作中又は通常動作中に、永続的に又は断続的に行われ得る。更に、どんな製造上の欠陥も、例えば、この欠陥が、生産工場における製造直後のラインでの最終検査としてチェック又は検査される場合、この手段を用いて検出することもできる。
【0032】
例えば、製造上の故障又は製造公差に起因して、対応する接続リブ又はバスバーが正しく配置されておらず、これにより、電池群又はそれぞれの並列接続された電池セルの、溶接接合部のすべて又は大部分が正しく実行されなかった場合に存在することがある、例えば電池群全体又は電池群の部分領域の溶接接合部の欠陥を、このようにして判定することができる。電池を利用するときに、場合によっては、過度の境界抵抗のために、こうした溶接接合部が破損するであろう。したがって、電流の小さい流出で差分値を検査することには、かかる望ましからざる、場合によっては危険な状態を、検出して回避できるという利点がある。
【0033】
同様に、特に故障を遡及して確実に検出できるので、電池セルの電気的接触に関する工程上の要件を、比較的最小限に抑えることができる。したがって、生産を、簡素化するか又は容易にし、場合によっては、より迅速でよりコスト効率よく実行することができる。
【0034】
それぞれの電池群の挙動、又は耐用年数にわたるそれぞれの電池群の経過は、更にばらつくことがあり、同様に、動作状態に応じて変動又はばらつきが生じることがある。更に、個々の電池セルに潜在的な故障があるにもかかわらず、電流遮断装置が作動されない場合がある。しかし、個々の電池セルの特質は、電池の耐用年数にわたって劣化することがあり、この特質は、対応する電圧に反映される。
【0035】
電池監視ユニットの評価ユニットは、したがって、それぞれの比較値、例えば差分値の推移又は過程を記録し、その推移が所定の推移からずれている場合に、信号を出力するよう構成され得る。このようにして、悪い傾向を早い段階で検出でき、またそれぞれの電池群を特定でき、これによりこの電池群の欠陥のある電池セル、欠陥のある電池セルを備える電池群、欠陥のある電池セルを備える電池群を具備する電池モジュール、又は電池全体を、その後必要に応じて交換することができる。所定の推移は、電池監視ユニットに保存され得、記録された推移と共に、比較、例えば差分値の判定の一部として、又は信号の出力時に、考慮に入れることができる。
【0036】
所定の推移には、例えば、特定の耐用年数での差分値の予想される推移が含まれてもよく、又は、例えば統計的評価及び相関関係を用いて、記録された推移と比較される、より複雑な多項式の推移が定められてもよく、信号は、相関関係が、特定された許容誤差範囲からずれた場合に出力することができる。
【0037】
好ましくは、電池監視ユニットの評価ユニットは、それぞれの比較、例えば差分値、に基づいて、それぞれの電池群(又は複数の電池群)の総抵抗値を求めるよう構成され、総抵抗値は、電池群の動作状態に特有である。このようにして、動作状態で予想されるオーム抵抗値が、差分値の評価部及び信号の出力部に入力され得、この抵抗値は、例えば最大動作又は全負荷の場合に、比較的高温であることに起因して、より高くなることがある。しかし、例えば通常動作時の総抵抗値が、定められた又は想定された総抵抗値と相異なり、この抵抗値が、それに対してより高い場合、より高い総抵抗値は、セル破損の存在に特有であり得、したがって信号を出力することができる。
【0038】
更に、電池監視ユニットの評価ユニットは、電流/電圧特性曲線を備え、それぞれの差分値及び電流/電圧特性曲線に基づいて信号を出力するよう構成され得る。特定の故障の存在に特有であり得る、それぞれの特定の差分値に対するそれぞれの電池群の対応する抵抗値の変化を、例えば実験値に基づく、電流/電圧特性曲線に基づいて、計算することができる。言い換えると、特性曲線に基づいて、より正確な故障検出を行うことができる。
【0039】
サーバ又は中央車両制御システムなどの中央ユニットから、特性曲線を供給することも可能であり得る。したがって、好ましくは、電池監視ユニットの評価ユニットは、インタフェースを介して電池に関する特性データを受信し、前記データを中央ユニットに送信又は通知し、送信された特性データに応じた少なくとも一つの電流/電圧特性曲線を、中央ユニットから受信するよう構成されてもよく、電池監視ユニットは、それぞれの差分値及び電流/電圧特性曲線に基づいて、信号を出力するよう構成される。電池監視ユニットは、対応するデータを送受信するために、通信モジュールを備えてもよく、又は電池の制御ユニットの通信モジュールと通信可能に結合されてもよい。とりわけ、少なくとも一つの特性曲線の取得では、更新された特性曲線が利用可能であり得、それぞれの電池の特性曲線を特定できるように、特定の特性データを考慮に入れることができるという利点がある。
【0040】
特性データには、電池の種類、電池群ごとの並列接続された電池セルの数、セルの種類、直列接続された電池群の数、電池の用途、及び/又は電池に関する動作データが含まれてもよい。したがって、特性曲線を更に特定することができ、この特性曲線は、電池、電池の構造、電池の使用法、及び/又は電池の耐用年数にわたる経過に合わせて調整され得る。これにより、例えば総抵抗値の変化を、比較、例えば差分値と特性曲線とに基づいて非常に正確に判定でき、したがって潜在的な故障の早期検出を、更に向上させることができる。どんな閾値も必要に応じて適合させることができ、許容誤差範囲を小さくすることができる。
【0041】
更に、特性データに基づいて、その電池に関連する特性曲線だけの取得を可能とすることもできる。中央ユニットから供給される特性曲線は、実際に取り出された電圧の実験値、及び/又は比較データ、及び/又は同等の特性データを有する電池について実際に判定された差分値に基づき得る。したがって、好ましくは、電池監視ユニットは、受信した電圧、及び/又はそれぞれの比較データ、及び/又はそれぞれの差分値を中央ユニットに送信するよう構成され、受信した電流/電圧特性曲線は、対応する特性データを有する複数の電池について中央ユニットが評価した電圧、及び/又は比較データ、及び/又は差分値に基づいている。
【0042】
したがって、例えば、対応する数の車両の複数の電池のデータを、一元的に収集し、匿名化した形で評価することができ、特性曲線は、収集したデータ及び対応する電池の状態に基づいて、適合される。したがって、好ましくは、電池監視ユニットから受信した特性曲線は、対応する電池状態を有する電池の実験値に一致する。その結果、故障検出を更に正確に行うことができ、(実際の)特性曲線に基づいて、同様に検出され、さもなければ信号を出力させることになる電圧の変化を、実験値に基づいて無視することができる。
【0043】
上記で説明されたように、対応する電流の流量は、取り出された電圧又は比較、例えば電圧の変化に特有である判定された差分値に対応する、電流/電圧特性曲線に基づいて判定され得る。したがって、電流の流量及び差分値に基づいて、それぞれの電池群の総抵抗値が計算又は判定され得、これにより、潜在的に発生する故障に関して、より正確な決定が可能になる。更に好ましくは、電池監視ユニットは、総抵抗値の潜在的な増加を更に正確に判定するために、少なくとも二つの直列接続された電池群用のそれぞれの電流センサから、インタフェースを介して電流の流量を受信し、更にそれぞれの電流の流量に基づいて、信号を出力するよう構成される。
【0044】
これにより、不明な変数の数を減らすことができ、加えて、特性曲線に基づいて予想される電流の流量をフィードバックすることができるため、出力される信号の信頼性を更に高めることができる。
【0045】
電池監視ユニットの評価ユニットはまた、リアル・タイム又は特定の時間間隔で、比較を実行し、例えば、比較、例えばそれぞれの差分値を判定するよう構成され得る。このようにして、電池の状態を継続的に監視できるため、重大な故障の場合には、直ちに信号を出力できる。しかし、電池の安全性は、電池監視ユニットによって、特に、わずかな故障の兆候さえも検出できるような形で、それぞれの差分値を判定することで高められるので、差分値の定期的又は断続的な判定が、やはり行われるか又は十分なものであり得る。差分値の判定は、例えば、正常動作中又は通常動作中にだけ行われてもよく、判定は、好ましくは1分から1時間、より好ましくは5分から10分、の時間間隔内に実行される。
【0046】
信号には、電池についての警告、メンテナンス信号、及び/又は制御信号が含まれ得る。
【0047】
例えば、判定された差分値に基づいて、特定の電池群内の少なくとも一つの電池セルが破損しているか、又は所定の時間内に破損しそうであることを、評価又は判定することができる。この場合、例えば通信モジュールを用いて、故障の有無又は存在に対するユーザの注意を引く、警告信号が出力されるだけで、場合によっては十分であり得る。メンテナンス信号は、同様に、電池及び車両へのどんな潜在的な損傷をも避けるために、措置が必要であること、例えば、特定の電池群又は電池モジュールを検査若しくは修理する必要があること、又は対応する電池セル、電池群、電池モジュール、若しくは電池全体を交換する必要があることを示すように、例えば警告信号の一部として出力することができる。
【0048】
更に、例えば急な故障の場合には、保護対策を開始する制御信号が出力され得る。このようにして、最大電流負荷が制限されるように、電池の電力を限定することができる。電池はまた、電流の流れを防ぐために、接触器によって消費側から絶縁され得る。したがって、故障の早期検出及び対応する信号の出力のおかげで、電池の安全性、及び構成要素に影響を与えない機能も、大幅に高められ得る。たとえ潜在的な故障を早期に検出することによって、例えば経年劣化又は過負荷による、上記で説明された膜ベースの電流遮断装置の起こり得る連鎖反応を大幅に回避できても、やはりかかる保護対策が、緊急事態における、十分な電池の安全性を確保するために設けられ得る。
【0049】
電池監視ユニットは、複数の用途及び電池の種類に対して好適であり得る。好ましくは、電池監視ユニットは、走行用電池を監視するよう構成される。電池監視ユニットは、これにより、例えば電気自動車の走行用電池用モジュールとして形成されてもよい。
【0050】
上記の目的は、本発明に従った電池監視ユニットを備える、走行用電池によって更に達成される。
【0051】
走行用電池は、例えば、それぞれが並列接続された電池セルを備える、対応する直列接続された電池群を表してもよく、電池監視ユニットのインタフェースと通信可能であり及び/又は電気的に結合された電圧タップが、電池群ごとに設けられている。更に好ましくは、各電池群は、複数又は多数の円筒形電池セルを備えてもよい。インタフェースは、電池監視ユニットの独立型構成要素として、又は監視ユニットがそれに応じて設計されている場合には、走行用電池の制御ユニットの一部として存在してもよい。走行用電池は、消費側からの絶縁を可能にする接触器を更に備えてもよく、電池の特定の用途向けに構成又は設計され得る、電力端子を更に備える。好ましくは、走行用電池は、電気自動車用に構成される。
【0052】
本発明の好ましい更なる実施形態を、以下の図面の説明によって、より詳細に説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】電池監視ユニットの概略図である。
図2】隣り合う電池群の電圧を供給する、直列接続された電池群の配置の概略図である。
図3】代替的に複数の電池群の電圧を供給する、図2に従った配置の概略図である。
図4】代替的に隣り合っていない電池群の電圧を供給する、図2に従った配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下において、好ましい実施形態を、図を参照することにより、説明することにする。因みに、様々な図における同一の、同様の、又は類似の要素には、同一の参照符号が与えられており、重複を避けるために、これらの要素の説明の繰返しは、部分的に省略することにする。
【0055】
図1では、任意選択で、電池の制御ユニットに通信可能に接続できるモジュールとして形成された、電池監視ユニット10が、概略的に示されている。電池監視ユニット10は、矢印で概略的に示されているように、電池1の、互いに並列に接続されている少なくとも二つの電池セル24を備える電池群22から、電圧14A、14Bを受信するよう構成された、インタフェース12を備える。それぞれの電池群22の電圧14A、14Bは、例えば、電圧タップ28A、28B、~28Eを介して供給される。これについては、図2から図4を参照して、以下でもう一度明確に提示することにする。
【0056】
互いに直列に接続された二つの電池群の、第1の電圧14A及び第2の電圧14Bは、インタフェース12を介して受信され、また本実施形態によれば、評価ユニット16によって受信され、評価ユニット16は、本明細書で説明されている具体的な実施形態では、受信した電圧14A、14Bを互いに比較し、受信した電圧14A、14Bから差分値を求める。別法として、電圧14A、14Bから商を生成することもできる。
【0057】
互いに比較されるべき電圧14A、14Bはそれぞれ、2本の導線を介して測定することができ、電池群は、互いに隣り合っていてもよく、又は互いに離間されていてもよい。
【0058】
言い換えると、14A、14Bの電圧が測定される電池群間に、一つ又は複数の別の電池群が存在していてもよい。電圧14A、14Bはまた、同様に、複数の電池群について、それぞれの導線を介して、順に測定されてもよい。
【0059】
電圧14A、14Bはそれぞれ、一つの電池群の両端間で、又は複数の電池群の両端間で測定されてもよく、したがって、以下の図で示されるように、電池群の対ではなく、複数の電池群が、同様に、対応する数の別の電池群と比較されてもよい。
【0060】
差分値は、その後、例えば絶対値又は割合の形で存在し得る、閾値と比較される。絶対値は、負の値と正の値との両方を包含し得るため、それぞれの電池群について、過電圧と不足電圧との両方を考慮に入れることができる。更に、判定される又は取得される差分値は、差分値を生成する電池群の取り出された電圧の、好ましくはそれぞれのより低い電圧の、割合として存在してもよく、したがってこの割合が、閾値と見なされ得る所定の割合と比較される。
【0061】
差分値と閾値との比較に基づいて、閾値を超えた場合、それに応じて信号18を、インタフェース12を介して出力することができる。しかし、別法として、特定の大きさの差分値、又は所定の最小差分値より大きい差分値により、信号18が、例えば適切な回路を介して自動的に出力されるように、実現されてもよい。
【0062】
この場合、信号18には、任意選択で、求められたそれぞれの差分値の大きさに応じて、警告信号、及び場合によっては制御信号が含まれる。このようにして、求められた差分値が、例えば、近い将来に一つ又は複数の電池セルが破損し得る可能性を示す場合、警告信号を出力することができ、特に差分値が重大な潜在的故障を示す場合には、制御信号を出力することができる。
【0063】
信号18は、例えば、最大電流負荷が制限されるように、電池の電力を限定することにより、安全対策を開始することができる。同様に、電流の流れ、及び例えば、電流遮断装置が作動しているときの連鎖反応の誘発を防ぐために、電池を、接触器によって消費側から絶縁することができる。
【0064】
図1では、対応する矢印で示されているように、評価ユニット16と通信可能であり双方向に結合された、任意選択の通信モジュール20が更に示されている。通信モジュール20は、例えば、中央ユニット100及び/又は電池の制御装置との通信を可能にすることができる。通信モジュール20を介して、別の用途特有の信号又はデータも、送信することができる。このようにして、例えば、メンテナンス信号をメンテナンス・サービスへ送信することもでき、そこで警告信号を、例えばディスプレイ上に表示することができる。中央ユニット100は、例えば、中央車両制御システムであってもよい。
【0065】
図2から図4には、電池1を構成する、直列接続された電池群22の配置の概略図が示され、負荷は、ここでは電力端子26に接続されている。
【0066】
電池群22は、とりわけ、電池群のそれぞれの動作状態を検査するための電圧14A、14Bを供給し、図1に示された電池監視ユニット10は、インタフェース12を介して、電圧14A、14Bを受信することができる。
【0067】
この配置は、この場合、電池モジュールを概略的に表しており、直列接続された電池群22の数は、限定されないものと理解されたい。各電池群22は、それぞれの電池群22内で並列に接続されている、所定の数(やはり、図中で限定されるものではない)の電池セル24を更に備える。
【0068】
ここで概略的に示されている電池モジュールは、例えば、電気自動車の走行用電池を構成するよう設計され得、それに応じて、電力端子26を介してそれぞれの負荷に、電気的に接続又は結合され得る。電池1を構成するために、典型的には、複数の電池モジュールが存在し、複数の電池モジュールは、例えば、所望の容量及び公称電圧を実現するために互いに直列又は並列に接続されている。
【0069】
図2によれば、隣り合う電池群22の電圧14A、14Bは、対応する電圧タップ28A、28B、28Cを介して取り出される。したがって、図の上側の電池群22の電圧14Aは、電圧タップ又は導線28A及び28Bを介して測定され、直に隣り合う電池群22(図において真下に配置されている)の電圧14Bは、電圧タップ22B及び22Cを介して測定される。隣り合う電池群22について、電池監視ユニット10で判定される差分値により、特定の又は具体的な個々の電池群22について、信号18を出力することが可能となり、同様に、電池の状態の非常に正確な監視を実現することができる。この場合、特定の電池群22内の潜在的な故障は、このようにして、隣り合う電池群22に関する差分値、及び差分値の判定に基づいて、判定することができる。
【0070】
故障30は、この例では、図中に配置されている上側の電池群22おける、配置の中の右側にある電池セル24に対して、記号を用いて示されている。したがって、閾値の超過は、この特定の電池群22の電圧の増加を示し得、その結果、例えば、電池セル24の膜ベースの電流遮断装置が作動されることにより、この故障30の早期検出が可能になり、潜在的な連鎖反応による更なる損傷を回避することができる。
【0071】
代替となる差分値の判定が、図3及び図4に示されており、図3による実施形態では、電池群22の一つの群、すなわち上側の二つの電池群22の取り出された電圧14Aが、下側の二つの電池群22の一つの群の、取り出された電圧14Bと比較されるか、又は供給される。したがって、電圧タップ28A及び28Cが電圧14A用に使用され、一方、電圧タップ28C及び28Eが電圧14B用に使用される。それぞれの電池群22が多様であることにより、監視を簡素化することができ、例えば、電池群の特定の領域における、潜在的な故障の存在に関する決定又は評価を得ることができる。領域に関する、信号18を用いたかかる指示は、例えば、多数の直列接続された電池群を備える電池にとって、有益であり得る。更に、この手段により、必要な計算能力も全体的に低減できるか、又は差分値の判定及び信号の出力が、改善された時間的分割によって実行できるように、既存の計算能力を利用することができる。
【0072】
別の代替例が図4に示されており、隣り合っていない電池群22の電圧14A、14Bが、受信されるか又は供給されている。電圧タップ24A、24B及び24C、24Dを介した電圧14A、14Bのかかる検出は、例えば、隣り合う電池群22が、特定の動作条件下で、場合によっては互いに影響を与える可能性がある場合に有益であり得、これにより、動作上の変動を無視することができる。このようにして、特定の状況下では、求められた差分値が、より意味深長な場合があり、存在し得る閾値には、より小さい動作上の許容誤差範囲が含まれてもよい。
【0073】
更に、差分値の判定は、このようにして、連続する電池群22について行うか又は実行することもでき、この実施形態によれば、最初に、上側の電池群22の電圧14Aが、隣り合う電池群22の電圧14Bと比較され、その後続けて、その下に配置された電池群22と比較されるなどにより、ひいては、ある一定の安全の冗長化が実現される。かかる差分値のかかる連続的な(又は並行した)判定は、例えば、図2及び図4の組合せによって示される。有益な実施形態では、電圧14Aは、それぞれ個々の電池群22のすべての電圧と比較される。このようにして、隣り合う電池群22の電圧だけでなく、互いに直に隣り合っていない電池群22の、電池群の対の電圧も、それぞれの差分値を求めるために、互いに比較することができる。
【0074】
適用可能な場合、実施形態で提示されているすべての個々の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いに組み合わされてもよく、及び/又は交換されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 電池
10 電池監視ユニット
12 インタフェース
14A 第1の電圧
14B 第2の電圧
16 評価ユニット
18 信号
20 通信モジュール
22 電池群
24 電池セル
26 電力端子
28A~28E 電圧タップ
30 故障
100 中央ユニット
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池監視ユニット(10)に結合され、少なくとも二つの電池群(22)を備える電池(1)の、互いに並列に接続されている少なくとも二つの電池セル(24)を備える電池群(22)ごとに、電圧(14A、14B)を受信するよう構成されたインタフェース(12)を含む、電池監視ユニット(10)であって、
前記インタフェース(12)から受信した、少なくとも二つの直列接続された電池群(22)の前記電圧(14A、14B)を互いに比較し、前記比較の結果に基づいて信号(18)を出力するよう構成される、評価ユニット(16)が設けられ
前記評価ユニット(16)が、前記インタフェース(12)から受信した前記電圧(14A、14B)を比較するために、前記電圧の差分値、及び/又は前記電圧の商、を求め、前記差分値及び/又は前記商に基づいて信号を出力するよう構成され、
前記評価ユニット(16)が、前記それぞれの差分値に基づいて、前記それぞれの電池群(22)の総抵抗値を求めるよう構成され、前記総抵抗値が、前記電池群(22)の動作状態に特有である、電池監視ユニット(10)。
【請求項2】
前記評価ユニット(16)が、それぞれの差分値が所定の閾値を超えるか、又はそれぞれの商が1から所定の限度までずれている場合に、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項3】
前記評価ユニット(16)が、前記差分値と、前記差分値を生成する前記電池群(22)のうちの少なくとも一つの電圧値との比が、0.01:1.0から0.25:1.0、好ましくは0.05:1.0から0.20:1.0、となる場合に、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項又はに記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項4】
前記比較の結果の、好ましくは前記それぞれの差分値及び/又は前記商の、推移を記録し、前記推移が所定の推移からずれている場合に前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項5】
前記評価ユニット(16)が、電流/電圧特性曲線を備え、前記それぞれの比較及び前記電流/電圧特性曲線に基づいて、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項6】
前記インタフェース(12)を介して前記電池(1)の特性データを受信し、前記データを中央ユニット(100)に送信し、前記送信された特性データに応じた少なくとも一つの電流/電圧特性曲線を、前記中央ユニット(100)から受信するよう構成される、電池監視ユニット(10)であって、前記評価ユニット(16)が、前記それぞれの比較及び前記電流/電圧特性曲線に基づいて、前記信号(18)を出力するよう構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項7】
前記特性データが、電池の種類、電池群ごとの並列接続された電池セルの数、セルの種類、直列接続された電池群の数、前記電池(1)の用途、及び/又は前記電池(1)の動作データを含む、請求項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項8】
前記受信した電圧(14A、14B)並びに/又は前記比較のそれぞれの結果、好ましくは前記差分値及び/若しくは前記商、を前記中央ユニットに送信するよう構成される、電池監視ユニット(10)であって、前記受信した電流/電圧特性曲線が、対応する特性データを有する複数の電池(1)について前記中央ユニットが評価した電圧、及び/又は前記比較の結果に基づく、請求項又はに記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項9】
前記評価ユニット(16)が、前記少なくとも二つの直列接続された電池群(22)用のそれぞれの電流センサから、前記インタフェース(12)を介して電流の流量を受信し、前記それぞれの電流の流量に基づいて、前記信号(18)を出力し続けるよう更に構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項10】
前記評価ユニット(16)が、リアル・タイム又は所定の時間間隔で、前記それぞれの比較を実行するよう構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項11】
前記信号(18)が、前記電池(1)についての警告、メンテナンス信号、及び/又は制御信号を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項12】
前記比較が、隣り合う電池群(22)に対してそれぞれ実行される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電池監視ユニット(10)を備え、少なくとも二つの電池群(22)を備える、走行用電池であって、各電池群(22)が、並列に相互接続されている複数の円筒形電池セル(24)を備える、走行用電池。
【国際調査報告】