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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】マスクプレート及びマスク装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20240221BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20240221BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H10K71/16 166
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554394
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2022106818
(87)【国際公開番号】W WO2023093089
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111434210.8
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】韓冰
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG33
4K029CA01
4K029HA01
4K029HA03
(57)【要約】
本願の実施例は、被蒸着基板を蒸着するためのマスクプレートを提供し、マスクプレートはパネル領域を含み、パネル領域は、蒸着部と非蒸着部とを含み、少なくとも一部の前記非蒸着部は、前記蒸着部の第1の方向における一方側に位置し、前記非蒸着部は、第1のセクションと、少なくとも1つの第2のセクションとを含み、第1のセクションと蒸着部とが隣接する境界線で囲まれて非蒸着領域が形成され、少なくとも1つの第2のセクションは、非蒸着領域内に位置し、蒸着部、第1のセクション及び第2のセクションのうちの境界が隣接する二者の質量空間比は異なり、質量空間比は、自体が占有する空間の総体積に対する各部材自体の質量の比である。第1のセクションと蒸着部との質量空間比が異なることにより、第1のセクションと蒸着部との間にも材料急変境界が形成され、これらの材料急変境界によりマスクプレートの耐変形能を向上させ、製品蒸着時にマスクプレートと被蒸着基板とが効果的に接触できないことによる蒸着不良の問題を改善することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被蒸着基板を蒸着するためのマスクプレートであって、
前記マスクプレートは、パネル領域を含み、前記パネル領域は、蒸着部と非蒸着部とを含み、少なくとも一部の前記非蒸着部は、前記蒸着部の第1の方向における一方側に位置し、前記非蒸着部は、第1のセクションと、少なくとも1つの第2のセクションとを含み、前記第1のセクションと前記蒸着部とが隣接する境界線で囲まれて非蒸着領域が形成され、前記少なくとも1つの前記第2のセクションは、前記非蒸着領域内に位置し、前記蒸着部、前記第1のセクション及び前記第2のセクションのうちの境界が隣接する二者の質量空間比は異なり、前記質量空間比は、各部材自体の質量の、それ自体が占有する空間の総体積に対する比である、マスクプレート。
【請求項2】
前記蒸着部、前記第1のセクション及び前記第2のセクションのうちの境界が隣接する任意の二者の質量空間比が異なり、前記第1のセクションと前記蒸着部との境界の隣接箇所に第1の境界線が形成され、前記第1の境界線は、直線又は曲線で延在する第1の急変線を含み、前記第1の急変線の延在方向又はその接線の延在方向と前記第1の方向とが平行であり、又は両者の夾角が鋭角をなす、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項3】
前記非蒸着領域の形状は、台形であり、前記第2のセクションの形状は三角形であり、複数の前記第2のセクションは、前記非蒸着領域内に間隔をあけて分布し、前記第1の境界線に近接して設けられた前記第2のセクションの一辺は、前記第1の境界線と平行に設けられている、請求項2に記載のマスクプレート。
【請求項4】
前記第2のセクションは、二等辺三角形であり、複数の前記第2のセクションの形状は同じである、請求項3に記載のマスクプレート。
【請求項5】
前記第1のセクションと前記第2のセクションとの境界の隣接箇所に第2の境界線が形成され、少なくとも一部の前記第2の境界線が直線又は曲線で延在し、少なくとも一部の前記第2の境界線の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の前記第1の境界線の延在方向又はその接線の延在方向とが互いに平行であり、又は、少なくとも一部の前記第2の境界線の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の前記第1の境界線の延在方向又はその接線の延在方向との夾角が鋭角である、請求項2に記載のマスクプレート。
【請求項6】
前記第2のセクションの一部の辺は、前記第2の境界線と平行に設けられている、請求項5に記載のマスクプレート。
【請求項7】
2つ以上の前記第2のセクションの少なくとも一部の辺は、前記第2の境界線と平行に設けられている、請求項6に記載のマスクプレート。
【請求項8】
前記第1の境界線は、直線又は曲線で延在する第2の急変線をさらに含み、前記第2の急変線の延在方向又はその接線の延在方向は、前記第1の方向に垂直であり、前記第2の境界線は、前記第2の急変線に隣接する第2のサブ線を含み、前記第2のサブ線は、直線又は曲線で延在し、前記第2のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第2の急変線又は前記第2の急変線の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、前記第2のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第2の急変線又は前記第2の急変線の接線の延在方向との夾角は鋭角である、請求項5に記載のマスクプレート。
【請求項9】
前記第2のサブ線は、互いに間隔をあけて分布する複数の短線を含む、請求項8に記載のマスクプレート。
【請求項10】
複数の前記第2のセクションは、前記非蒸着領域に間隔をあけて分布し、前記第2のセクションは、前記短線を形成するためのエッジを含み、複数の間隔をあけて分布する該エッジは、複数の前記短線を含む前記第2のサブ線を形成するために用いられる、請求項9に記載のマスクプレート。
【請求項11】
前記第2の境界線は、前記第1の急変線に隣接する第1のサブ線を含み、前記第1のサブ線は、直線又は曲線で延在し、前記第1のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第1の急変線又は前記第1の急変線の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、前記第1のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第1の急変線又は前記第1の急変線の接線の延在方向との夾角は鋭角である、請求項5に記載のマスクプレート。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2のセクションは、複数の前記第2のセクションを含み、前記複数の前記第2のセクションは、前記非蒸着領域内に間隔をあけて分布している、請求項5に記載のマスクプレート。
【請求項13】
複数の前記第2のセクションは、前記第1の方向に延びて前記蒸着部を二等分する中心線に関して対称に分布している、請求項12に記載のマスクプレート。
【請求項14】
前記第2のセクション自体は、前記第1の方向に延びる軸線に関して軸対称に設けられている、請求項12に記載のマスクプレート。
【請求項15】
隣接する2つの前記第2のセクションの隣接する境界線は、互いに平行に設けられ、又は夾角が鋭角をなす、請求項12に記載のマスクプレート。
【請求項16】
前記第2のセクションは複数の開口を含み、前記開口は前記マスクプレートの厚さ方向に沿って前記第2のセクションを貫通して設けられ、又は、前記開口は、前記第2のセクションの表面が凹んで形成されている、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項17】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、いずれも多角形である、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項18】
前記蒸着部、前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける少なくとも二者の材料が同じである、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項19】
複数の前記第2のセクションは、第2の方向に沿って一列に分布している、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項20】
フレームと、前記フレームに設けられたマスクプレートと、を含み、前記マスクプレートは、請求項1~19のいずれか1項に記載のマスクプレートである、マスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月29日に提出された名称が「マスクプレート」である中国特許出願第202111434210.8号の優先権を要求し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、表示デバイスの製造という技術分野に関し、特にマスクプレート及びマスク装置に関する。
【背景技術】
【0003】
表示技術の発展に伴い、ますます多くの表示パネル及び表示装置が人々の日常生活及び作業に応用されている。ユーザ体験を向上させるために、従来の表示パネル構造には、一般的に、例えばカメラ、赤外線センサなどのセンサモジュールが集積されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、比較的高い画面占有率を満たすために、通常、表示パネルの一端の中間領域に透光性の穴開け領域を設け、穴開け領域内にセンサモジュールを設けている。現段階の表示パネルの製造において、通常、金属マスクプレートを用いて有機発光材料を蒸着する。表示パネルの形状の変化により、いくつかの特殊な形態の製品のマスクプレート設計の複雑さが徐々に高くなり、マスクプレートが変形してしわが非常によりやすく、製品の蒸着時にマスクプレートと被蒸着基板とが効果的に接触できず、蒸着不良の現象が現れる。
【0005】
本願の実施例は、蒸着の歩留まりを向上させることを目的とするマスクプレート及びマスク装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様の実施例は、被蒸着基板を蒸着するためのマスクプレートを提供し、マスクプレートは、パネル領域を含み、パネル領域は、蒸着部と非蒸着部とを含み、少なくとも一部の非蒸着部は、蒸着部の第1の方向における一方側に位置し、非蒸着部は、第1のセクションと、少なくとも1つの第2のセクションとを含み、第1のセクションと蒸着部とが隣接する境界線で囲まれて非蒸着領域が形成され、少なくとも1つの第2のセクションは、非蒸着領域内に位置し、蒸着部、第1のセクション及び第2のセクションのうちの境界が隣接する二者の質量空間比は異なり、質量空間比は、各部材自体の質量の、それ自体が占有する空間の総体積に対する比である。
【0007】
本願の第1の態様の実施形態によれば、蒸着部、第1のセクション及び第2のセクションのうちの境界が隣接する任意の二者の質量空間比が異なり、第1のセクションと蒸着部との境界の隣接箇所に第1の境界線が形成され、第1の境界線は、直線又は曲線で延在する第1の急変線を含み、第1の急変線の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の方向とが平行であり、又は両者の夾角が鋭角をなす。
【0008】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、第1のセクションと第2のセクションとの境界の隣接箇所に第2の境界線が形成され、少なくとも一部の第2の境界線が直線又は曲線で延在し、少なくとも一部の第2の境界線の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の第1の境界線の延在方向又はその接線の延在方向とが互いに平行であり、又は、少なくとも一部の第2の境界線の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の第1の境界線の延在方向又はその接線の延在方向との夾角が鋭角である。
【0009】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、第1の境界線は、直線又は曲線で延在する第2の急変線をさらに含み、第2の急変線の延在方向又はその接線の延在方向は、第1の方向に垂直であり、第2の境界線は、第2の急変線に隣接する第2のサブ線を含み、第2のサブ線は、直線又は曲線で延在し、第2のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、第2の急変線又は第2の急変線の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、第2のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、第2の急変線又は第2の急変線の接線の延在方向との夾角は、鋭角である。
【0010】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、第2のサブ線は、互いに間隔をあけて分布する複数の短線を含む。
【0011】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、第2の境界線は、第1の急変線に隣接する第1のサブ線を含み、第1のサブ線は、直線又は曲線で延在し、第1のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線又は第1の急変線の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、第1のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線又は第1の急変線の接線の延在方向との夾角は、鋭角である。
【0012】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、少なくとも1つの第2のセクションは、複数の第2のセクションを含み、複数の第2のセクションは、非蒸着領域内に間隔をあけて分布している。
【0013】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、複数の第2のセクションは、第1の方向に沿って延び且つ蒸着部を二等分する中心線に関して対称に分布している。
【0014】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、第2のセクション自体は、第1の方向に沿って延びる軸線に関して軸対称に設けられている。
【0015】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、隣接する2つの第2のセクションの隣接する境界線は、互いに平行に設けられ、又は夾角が鋭角をなす。
【0016】
本願の第1の態様の前記いずれかの実施形態によれば、第2のセクションは複数の開口を含み、開口はマスクプレートの厚さ方向に沿って第2のセクションを貫通して設けられ、又は、開口は、第2のセクションの表面が凹んで形成されている。
【0017】
本願は、フレームと、フレームに設けられた上記第1の態様のいずれかの実施例に係るマスクプレートと、を備えるマスク装置をさらに提供する。
【0018】
本願の実施例に係るマスクプレートにおいて、マスクプレートは、完全な表示パネルを蒸着するためのパネル領域を含む。パネル領域は、表示パネルの通常表示領域を蒸着するための蒸着部と表示パネルにおける穴開け領域を蒸着するための非蒸着部とを含む。非蒸着部は、第1のセクションと第2のセクションとを含み、少なくとも1つの第2のセクションは、第1のセクションにより囲まれて形成された非蒸着領域内に位置し、第1のセクションと第2のセクションとの間に材料急変境界を形成できるように、第1のセクションと第2のセクションとの質量空間比が異なる。第1のセクションと蒸着部との質量空間比が異なることにより、第1のセクションと蒸着部との間にも材料急変境界を形成することが可能であり、これらの材料急変境界によりマスクプレートの耐変形能を向上させることができる。且つ、マスクプレートの異なる位置の受ける力をより均等にし、しわが発生しにくく、製品の蒸着時にマスクプレートと被蒸着基板とが効果的に接触できないことによる蒸着不良の問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の他の特徴、目的及び利点は、図面を参照して以下の非限定的な実施例の詳細な説明を読むことにより明らかになる。ここで、同一または類似の符号は、同一または類似の特徴を示す。
【0020】
図1】表示パネルの構造概略図である。
図2】本願の第1の態様の実施例に係るマスクプレートの構造概略図である。
図3図2におけるI箇所の部分拡大構造概略図である。
図4】本願の第1の態様の別の実施例に係る図2のI箇所の部分拡大構造概略図である。
図5】本願の第1の態様のさらに別の実施例に係る図2のI箇所の部分拡大構造概略図である。
図6】本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置の構造概略図である。
【符号の説明】
【0021】
10 マスクプレート
20 フレーム
30 表示パネル
31 表示領域
32 非表示領域
100 蒸着部
200 非蒸着部
210 第1のセクション
220 第2のセクション
211 開口
300 第1の境界線
310 第1の急変線
320 第2の急変線
400 第2の境界線
410 第1のサブ線
420 第2のサブ線
421 短線
MA パネル領域
P 中心線
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本願の包括的な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が提案される。しかしながら、当業者には明らかなように、本願は、これらの特定の詳細のいくつかを必要とせずに実施され得る。以下の実施例の説明は、本願の例を示して本願をよりよく理解するために提供されるに過ぎない。図面及び以下の説明において、少なくとも一部の公知の構造及び技術は、本願に不必要な曖昧さを避けるために示されておらず、また、明瞭化のために、一部の構造の寸法が誇張されている場合がある。また、以下に説明する特徴、構造又は特性は、任意の適切な方式で1つ又は複数の実施例に組み合わせることができる。
【0023】
図1は、表示パネル30の構造概略図である。表示パネル30は、表示領域31と非表示領域32とを含み、非表示領域32は、例えば、穴開け領域であってもよく、非表示領域32は、カメラ、イヤピースなどの部品を配置するために用いられる。
【0024】
マスクプレートを利用して表示パネル30を蒸着して形成する過程において、マスクプレートにおける表示パネル30を蒸着するためのパネル領域MA内に、通常、蒸着領域と非蒸着領域とを設置する必要がある。非蒸着領域は、通常、遮蔽板構造であり、マスクプレートが引っ張られると、蒸着領域と非蒸着領域とで受ける力の違いにより変形してしわになり、製品の蒸着時にマスクプレートと被蒸着基板とが効果的に接触できず、蒸着不良の現象が現れる。
【0025】
本願は、上記技術的問題を解決するためになされるものである。本願をよりよく理解するために、以下、図2図5を参照して本願の実施例に係るマスクプレート及びマスク装置を詳細に説明する。
【0026】
図2及び図3を参照すると、図2は、本願の第1の態様の実施例に係るマスクプレート10の構造概略図である。図3図2におけるI箇所の部分拡大構造概略図である。
【0027】
図2及び図3に示すように、本願の実施例に係るマスクプレート10は、被蒸着基板を蒸着するために用いられ、マスクプレート10は、パネル領域MAを含む。このパネル領域MAは、蒸着部100と、蒸着部100に設けられた非蒸着部200とを含む。前記非蒸着部200は、少なくとも一部が第1の方向において前記蒸着部100の一方側に設けられ、即ち、少なくとも一部の非蒸着部200が蒸着部100の第1の方向における一方側に位置する。第1の方向は、例えば、図1に示す縦方向、図2及び図3に示す横方向であってよい。非蒸着部200の一部、又は非蒸着部200の主要部分、非蒸着部200の全部が蒸着部100の図1の縦方向における一方側に位置してもよいし、前記非蒸着部200の一部、又は非蒸着部200の主要部分、非蒸着部200の全部が蒸着部100の図2及び図3の横方向における一方側に位置してもよい。
【0028】
非蒸着部200は、第1のセクション210と第2のセクション220とを含み、第1のセクション210と蒸着部100との隣接する境界線により囲まれて非蒸着領域が形成され、少なくとも1つの第2のセクション220は前記非蒸着領域内に位置する。前記蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220では、少なくとも一組の、境界が隣接し且つその質量空間比が異なる二者を備える。言い換えれば、前記蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220の三者のうち、少なくとも一組の要素を備える。例えば、蒸着部100と第1のセクション210とであってもよく、前記蒸着部100と第1のセクション210とは隣接し且つ質量空間比が異なる。又は、少なくとも一組の要素を備え、例えば、第1のセクション210と第2のセクション220とであってもよく、前記第1のセクション210と第2のセクション220とは隣接し且つ質量空間比が異なる。
【0029】
好ましくは、前記蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220の三者において、境界の隣接する任意の二者の質量空間比は異なる。すなわち、上記蒸着部100と第1のセクション210とは隣接し且つ質量空間比が異なり、また、第1のセクション210と第2のセクション220とは隣接し且つ質量空間比も異なる。前記質量空間比は、各部材自体の質量の、それ自体が占有する空間の総体積に対する比である。占有空間の総体積は、実体部分の体積及び実体内に設けられた空洞部分の体積を含む。
【0030】
パネル領域MAは、マスクプレート10における単一の表示パネル30を蒸着形成するための領域である。蒸着部100は、表示パネル30の表示領域31を蒸着形成するためのものであり、非蒸着領域は、表示パネル30の非表示領域32を形成するためのものである。マスクプレート10に、1つのパネル領域MAのみが設けられてもよいし、マスクプレート10に複数のパネル領域MAが設けられてもよく、例えば、複数のパネル領域MAは、マスクプレート10に行列状に分布している。
【0031】
蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220のうちの境界の隣接する任意の二者の質量空間比が異なるとは、蒸着部100と第1のセクション210との境界が隣接する場合、蒸着部100と第1のセクション210との質量空間比が異なり、第1のセクション210と第2のセクション220との境界が隣接する場合、第1のセクション210と第2のセクション220との質量空間比が異なることをいう。蒸着部100は、表示パネル30の表示領域31を蒸着形成するために用いられ、例えば、マスクプレート10が精密マスクプレートである場合、蒸着部100は、複数の蒸着開口(図示せず)を有し、蒸着開口により表示パネル30のサブ画素を形成することができる。
【0032】
蒸着部100の質量空間比とは、蒸着部100の総質量を蒸着部100の外郭が占める空間の総体積で除したものである。例えば、蒸着部100に蒸着開口が設けられる場合、蒸着部100の外郭が占める空間の総寸法は、蒸着部100における蒸着開口が占める空間の体積を含む。
【0033】
同様に、第1のセクション210の質量空間比とは、第1のセクション210の総質量を第1のセクション210の外郭が占める空間の総体積で除したものである。第2のセクション220の質量空間比とは、第2のセクション220の総質量を第2のセクション220の外郭が占める空間の総体積で除したものである。
【0034】
本願の実施例に係るマスクプレート10において、マスクプレート10は、完全な表示パネル30を蒸着するためのパネル領域MAを含む。パネル領域MAは蒸着部100と非蒸着部200とを含み、蒸着部100は表示パネル30の正常な表示領域31を蒸着するために用いられ、非蒸着部200は表示パネル30における穴開け領域を蒸着するために用いられる。非蒸着部200は、第1のセクション210と第2のセクション220とを含み、少なくとも1つの第2のセクション220は、第1のセクション210により囲まれて形成された非蒸着領域内に位置し、第1のセクション210と第2のセクション220との質量空間比が異なることにより、第1のセクション210と第2のセクション220との間に材料急変境界が形成される。第1のセクション210と蒸着部100との質量空間比が異なることにより、第1のセクション210と蒸着部100との間にも材料急変境界が形成され、これらの材料急変境界は、マスクプレート10の耐変形能を向上させることが可能であり、且つマスクプレート10の異なる位置の受ける力をより均等にし、しわが発生しにくく、製品蒸着時にマスクプレート10と被蒸着基板とが効果的に接触できないことによる蒸着不良の問題を改善することができる。
【0035】
好ましくは、蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220の材料は同じであってもよく、蒸着部100に蒸着開口、凹溝等を設けることにより蒸着部100の質量空間比を低減させてもよく、第2のセクション220に貫通孔又は凹溝等を設けることにより第2のセクション220の質量空間比を低減させてもよい。
【0036】
図3図5を参照すると、図4は、本願の第1の態様の別の実施例に係る図2のI箇所の部分拡大構造概略図である。図5は本願の第1の態様の更に別の実施例に係る、図2のI箇所の部分拡大構造概略図である。
【0037】
いくつかの好ましい実施例では、第1のセクション210と蒸着部100との境界の隣接箇所に第1の境界線300が形成され、第1の境界線300は、直線又は曲線で延在する第1の急変線310を含み、前記第1の急変線310の延在方向又はその接線の延在方向と前記第1の方向とが平行であるか又は両者の夾角が鋭角をなす。例えば、第1の急変線310の延在方向又はその接線の延在方向と前記第1の方向との夾角は、45度未満の鋭角であってもよく、例えば、第1の急変線310の延在方向又はその接線の延在方向と前記第1の方向との夾角は、30度未満の鋭角であり、0度であることが好ましい。ここでの夾角が小さくなるほど、応力分散の効果が高くなり、耐変形能が良くなる。
【0038】
好ましくは、引き続き図4を参照すると、第1の急変線310が直線である場合、第1の急変線310の延在方向と第1の方向との夾角は鋭角である。他の実施例では、第1の急変線310が直線である場合、第1の急変線310の延在方向と第1の方向とは互いに平行であってもよい。図4は第1の急変線310が直線であることを例として説明し、他の実施例において、第1の急変線310は曲線であってもよい。
【0039】
第1の急変線310が曲線である場合、第1の急変線310の接線の延在方向と第1の方向との夾角は鋭角である。または、引き続き図5を参照すると、第1の急変線310が曲線である場合、第1の急変線310の接線の延在方向は、第1の方向に平行である。
【0040】
前記非蒸着部100は、少なくとも一部が第1の方向において前記蒸着部200の一方側に設けられている。また、前記第1の急変線310の延在方向又はその接線の延在方向は、前記第1の方向と平行であるか又は両者の夾角が鋭角をなす。第1の方向に沿ってマスクプレート10が引っ張られる場合、即ち、引張方向が前記第1の方向である場合、前記非蒸着部100と前記蒸着部200とは引張方向に沿って離れる傾向がある。第1の急変線310と第1の方向との間の夾角が小さいため、第1の急変線310をこのように設置することにより、その上に受けた応力歪みを低減させ、マスクプレート10の第1の方向における耐変形能を向上させ、マスクプレート10のしわがさらに発生しにくくなる。
【0041】
いくつかの好ましい実施例では、引き続き図3及び図4を参照すると、第1のセクション210と第2のセクション220との境界の隣接箇所に第2の境界線400が形成され、少なくとも一部の第2の境界線400が直線又は曲線で延在し、少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向又はその接線の延在方向とが互いに平行である。又は少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向又はその接線の延在方向との夾角が鋭角である。例えば、少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向又はその接線の延在方向との夾角は、45度未満の鋭角であってもよい。例えば、少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向又はその接線の延在方向との夾角は、30度未満の鋭角である。ここでの夾角が小さくなるほど、応力分散の効果が良くなり、耐変形能が良くなる。少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向又はその接線の延在方向と少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向又はその接線の延在方向との夾角が0度であり、即ち、少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向又はその接線の延在方向と少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向又はその接線の延在方向とが互いに平行であることは、最適な実施形態である。
【0042】
第1の境界線300及び第2の境界線400がいずれも直線である場合、少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向は、少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向と平行であり、又は、少なくとも一部の第2の境界線400の延在方向と少なくとも一部の第1の境界線300の延在方向との夾角は、鋭角である。一部の第1の境界線300と一部の第2の境界線400とが互いに平行である場合、該一部の第1の境界線300の異なる位置から該一部の第2の境界線400の異なる位置までの距離は等しい。
【0043】
第1の境界線300及び第2の境界線400がいずれも曲線である場合、少なくとも一部の第2の境界線400の接線の延在方向は、少なくとも一部の第1の境界線300の接線の延在方向と平行であり、又は、少なくとも一部の第2の境界線400の接線の延在方向と少なくとも一部の第1の境界線300の接線の延在方向との夾角は鋭角である。一部の第1の境界線300の接線の延在方向と一部の第2の境界線400の接線の延在方向とが互いに平行である場合、該一部の第1の境界線300の異なる位置から該一部の第2の境界線400の異なる位置までの距離は等しい。
【0044】
これらの好ましい実施例において、第1の方向に沿ってマスクプレート10が引っ張られる場合、少なくとも一部の第2の境界線40は、第1の境界線30が受ける引張力を分担することが可能であり、マスクプレート10の第1の方向における耐変形能を向上させ、マスクプレート10のしわがさらに発生しにくくなる。
【0045】
引き続き図3及び図4を参照すると、いくつかの好ましい実施例では、第1の境界線300は、直線又は曲線で延在する第2の急変線320をさらに含み、第2の急変線320の延在方向又はその接線方向は、前記第1の方向に垂直である。第2の境界線400は、第2の急変線320に隣接する第2のサブ線420をさらに含み、第2のサブ線420は、直線又は曲線で延在し、第2のサブ線420の延在方向又はその接線の延在方向と、第2の急変線320又は第2の急変線320の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、第2のサブ線420の延在方向又はその接線の延在方向と、第2の急変線320又は第2の急変線320の接線の延在方向との夾角は、鋭角である。
【0046】
第2の急変線320及び第2のサブ線420がいずれも直線である場合、第2のサブ線420の延在方向は、第2の急変線320の延在方向と平行であり、又は、第2のサブ線420の延在方向と第2の急変線320の延在方向との夾角は鋭角である。
【0047】
第2の急変線320及び第2のサブ線420がいずれも曲線である場合、第2のサブ線420の接線の延在方向は、第2の急変線320の接線の延在方向と平行であり、又は、第2のサブ線420の接線の延在方向と第2の急変線320の接線の延在方向との夾角は鋭角である。
【0048】
これらの好ましい実施例において、第2のサブ線420は、第2の急変線320の受ける力を分担することが可能であり、更にマスクプレート10の変形/しわの問題を改善することができる。
【0049】
好ましくは、第2のサブ線420は、互いに間隔をあけて分布する複数の短線421を含む。同一の第2のサブ線420に応力が集中する状況を分散し、マスクプレート10の変形/しわの問題をさらに改善することができる。
【0050】
第2のサブ線420が複数の間隔をあけて分布する短線421を含む設置方式は様々であり、例えば、複数の第2のセクション220は非蒸着領域に間隔をあけて分布し、第2のセクション220は短線421を形成するためのエッジを含み、複数の間隔をあけて分布する該エッジは複数の短線421を含む第2のサブ線420を形成することができる。
【0051】
引き続き図3図5を参照すると、いくつかの好ましい実施例では、第2の境界線400は、第1の急変線310に隣接する第1のサブ線410を含み、第1のサブ線410は、直線又は曲線で延在し、第1のサブ線410の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線310又は第1の急変線310の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、第1のサブ線410の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線310又は第1の急変線310の接線の延在方向との夾角は、鋭角である。例えば、第1のサブ線410の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線310又は第1の急変線310の接線の延在方向との夾角は、45度未満の鋭角であってもよい。例えば、第1のサブ線410の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線310又は第1の急変線310の接線の延在方向との夾角は、30度未満の鋭角である。ここでの夾角が小さくなるほど、応力分散の効果が良くなり、耐変形能が良くなる。第1のサブ線410の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線310又は第1の急変線310の接線の延在方向との夾角が0度であり、即ち、第1のサブ線410の延在方向又はその接線の延在方向と、第1の急変線310又は第1の急変線310の接線の延在方向とが互いに平行であることは、最適な実施形態である。
【0052】
図3及び図4に示すように、第1の急変線310及び第1のサブ線410がいずれも直線である場合、第1のサブ線410の延在方向は、第1の急変線310の延在方向と平行である。又は、他の実施例において、第1のサブ線410の延在方向と第1の急変線310の延在方向との夾角は鋭角である。
【0053】
図5に示すように、第1の急変線310及び第1のサブ線410がいずれも曲線である場合、第1のサブ線410の接線の延在方向は、第1の急変線310の接線の延在方向と平行である。又は、他の実施例において、第1のサブ線410の接線の延在方向と第1の急変線310の接線の延在方向との夾角は鋭角である。
【0054】
これらの好ましい実施例において、第1のサブ線410は、第1の急変線310の受ける力を分担することが可能であり、更にマスクプレート10の変形/しわの問題を改善することができる。
【0055】
いくつかの好ましい実施例において、引き続き図3及び図4を参照すると、少なくとも1つの第2のセクション220は、複数の第2のセクション220を含み、即ち、第2のセクション220は、複数であり、複数の第2のセクション220は、非蒸着領域内に間隔をあけて分布している。
【0056】
これらの好ましい実施例において、複数の第2のセクション220を設けることにより、一方では、複数の第2のセクション220と第1のセクション210との間に複数の材料が急変する急変線を形成することが可能であり、更にマスクプレート10の変形/しわを改善することができる。他方では、複数の第2のセクション220が非蒸着領域内に間隔をあけて分布し、マスクプレート10が引っ張られる際に、非蒸着領域の受ける力を改善することができる。
【0057】
いくつかの好ましい実施例において、引き続き図3及び図4を参照すると、マスクプレート10は、第1の方向に沿って延びて蒸着部100を二等分する中心線Pを含み、複数の第2のセクション220は、マスクプレート10の異なる領域の構造強度が一致するように、該中心線Pに関して対称に分布されている。第1の方向に沿ってマスクプレート10が引っ張られるとき、マスクプレート10の受ける力をよりバランスさせ、力のアンバランスによる応力の累積により、マスクプレート10が変形し、しわがよることを改善する。図3及び図4において、一点鎖線で中心線Pの位置を示し、一点鎖線は本願の実施例に係るマスクプレート10の構造を限定するものではない。
【0058】
いくつかの好ましい実施例では、引き続き図3及び図4を参照すると、第2のセクション220自体の第1の方向に沿って延びる軸線は軸対称に設けられている。第1の方向に沿ってマスクプレート10が引っ張られるとき、マスクプレート10の受ける力をよりバランスさせ、力のアンバランスによる応力の累積により、マスクプレート10をしわに変形させることを改善する。
【0059】
いくつかの好ましい実施例では、第2のセクション220の数が複数である場合、隣接する2つの第2のセクション220の隣接する境界線の夾角は鋭角をなし、例えば、隣接する2つの第2のセクション220の隣接する境界線は互いに平行に設けられてもよい。隣接する2つの第2のセクション220の隣接する境界線とは、隣接する2つの第2のセクション220が互いに近接する2つの境界線であり、例えば、図3における第1の第2のセクション220の下境界線と第2の第2のセクション220の上境界線とである。隣接する2つの第2のセクション220の隣接する境界線が互いに平行に設置されることにより、この2つの境界線の受ける力をバランスさせ、マスクプレート10の耐変形能を向上させ、さらにマスクプレート10の変形/しわの問題を改善することができる。
【0060】
いくつかの好ましい実施例では、図4に示すように、第2のセクション220は、貫通して設けられた複数の開口211を含む。開口211が、第2のセクション220の質量空間比を低減することで、第2のセクション220と第1のセクション10との間に材料の急変境界を形成し、さらにマスクプレート10の耐変形能を向上させ、マスクプレート10のしわをさらに改善することができる。開口211の形状は様々であり、開口211は円形孔、楕円形孔、多角形孔及びこれらの組み合わせなどであってもよい。
【0061】
好ましくは、開口211の設置方式は様々であり、例えば、開口211はマスクプレートの厚さ方向に沿って第2のセクション220を貫通して設置され、又は開口211は第2のセクション220の表面が凹んで形成されている。
【0062】
また、これらの好ましい実施例において、蒸着部100は、表示パネル30の表示領域31を蒸着形成するため、蒸着部100に蒸着開口を有し、蒸着部100の質量空間比が低減し、第1のセクション210に対してパターニング処理を行わなくても、蒸着部100と第1のセクション210との間に材料の急変境界を形成することができる。第2のセクション220に開口211が設けられた後、第1のセクション210に対してパターニング処理を行わなくても、第1のセクション210と第2のセクション220との間に材料の急変境界を形成させることができる。従って、蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220のうちの隣接する二者、例えば蒸着部100、第1のセクション210及び第2のセクション220のうちのいずれかの隣接する二者の間の質量空間比が異なり、且つ製造方法が簡単で便利である。
【0063】
好ましくは、引き続き図3及び図4を参照すると、第1のセクション210及び第2のセクション220はいずれも多角形であるため、多くの第1の境界線300及び第2の境界線400を互いに平行に設置することができる。第1のセクション210と第2のセクション220との形状は同じであっても異なっていてもよく、例えば、第2のセクション220は三角形であってもよく、第1のセクション210は四角形であってもよく、第1のセクション210と第2のセクション220とがいずれも多角形を呈することにより、第1のセクション210と第2のセクション220とがいずれも直線形の外縁線を有し、さらに多くの第1の境界線300と第2の境界線400とが互いに平行に設置されればよい。
【0064】
他の好ましい実施例において、第1のセクション210と第2のセクション220とは、いずれも円弧状の辺を有するため、多くの第1の境界線300と第2の境界線400とを互いに平行にすることができる。
【0065】
好ましくは、引き続き図3及び図4を参照すると、非蒸着領域の形状は台形であり、第2のセクション220の形状は三角形であり、複数の第2のセクション220は非蒸着領域内に間隔をあけて分布し、第1の境界線300に近接して設置された第2のセクション220の一辺は第1の境界線300と平行に設置され、マスクプレート10が引っ張られると、該第2のセクション220の前記辺が第1の境界線300の受ける力を分担することが可能であり、マスクプレート10の受ける力をよりバランスさせることができる。他の実施例において、非蒸着領域の形状は矩形などであってもよく、第1のセクション210の形状は四角形、五角形などの形状であってもよい。好ましくは、第2のセクション220の形状は、台形、多角形、円弧形、又は他の図形であってもよい。
【0066】
好ましくは、一部の第2のセクション220の辺が第2の境界線400と平行に設置され、マスクプレート10が引っ張られると、該辺が第2の境界線400の受ける力を分担することが可能であり、マスクプレート10の受ける力をよりバランスさせることができる。
【0067】
好ましくは、2つ以上の第2のセクション220のエッジが第2の境界線400と平行に設置され、即ち、第2のサブ線420が複数の短線421を含み、各第2のセクション220における第2の境界線400と平行に設置された辺が短線421を形成し、複数の短線421が第2のサブ線420を形成する。
【0068】
好ましくは、複数の第2のセクション220は、第2の方向に沿って一列に分布されている。他の実施例において、複数の第2のセクション220は、複数行複数列に分布されてもよい。好ましくは、第2の方向は第1の方向と交差し、例えば、第2の方向は第1の方向と直交する。
【0069】
好ましくは、第2のセクション220は二等辺三角形であり、且つ複数の第2のセクション220の形状が同じであることにより、第2のセクション220を非蒸着領域に均一に分布させ、且つ第2のセクション220の対向する2つの辺を平行に設置することができる。
【0070】
好ましくは、第2のセクション220の数は奇数であり、一列の第2の方向における中間位置にある第2のセクション220は、中心線Pに関して対称に設けられている。あるいは、第2のセクション220の数は偶数であり、複数の第2のセクション220は中心線Pに関して対称に設けられている。
【0071】
好ましくは、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100のうちのいずれかの二者の間の材料が異なり、即ち、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100の材料がそれぞれ異なる。ここで、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100のうちのいずれかの二者の間の材料が異なるとは、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100において材料の種類が同じ配合比が異なること、又は第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100において材料の種類が異なることであってもよく、第1のセクション210と第2の部分との間に材料急変線を形成し、第2のセクション220と蒸着部100との間に材料急変線を形成できればよい。
【0072】
図6を参照すると、図6は、本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置の構造概略図である。
【0073】
図6に示すように、本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置は、フレーム20と、フレーム20に設けられるマスクプレート10とを備える。マスクプレート10は、上記いずれかの第1の態様の実施例におけるマスクプレート10であってもよい。本願の第2の態様の実施例に係る蒸着装置は、上記いずれかの第1の態様の実施例に係るマスクプレート10を含むため、本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置は、上記いずれかの第1の態様の実施例に係るマスクプレート10が有する有益な効果を有し、ここでは説明を省略する。
【0074】
好ましくは、マスク装置のフレーム20内に1つのマスクプレート10が設けられてもよく、又はマスク装置のフレーム20内に2つ以上のマスクプレート10が設けられてもよい。
【0075】
以上、好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それらに様々な変更を加えることができ、且つそれらの構成要素を等価物で置き換えることができる。特に、各実施例に記載された各技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、任意に組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれるすべての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被蒸着基板を蒸着するためのマスクプレートであって、
前記マスクプレートは、パネル領域を含み、前記パネル領域は、蒸着部と非蒸着部とを含み、少なくとも一部の前記非蒸着部は、前記蒸着部の第1の方向における一方側に位置し、前記非蒸着部は、第1のセクションと、少なくとも1つの第2のセクションとを含み、前記第1のセクションと前記蒸着部とが隣接する境界線で囲まれて非蒸着領域が形成され、前記少なくとも1つの前記第2のセクションは、前記非蒸着領域内に位置し、前記蒸着部、前記第1のセクション及び前記第2のセクションのうちの境界が隣接する二者の質量空間比は異なり、前記質量空間比は、各部材自体の質量の、それ自体が占有する空間の総体積に対する比である、マスクプレート。
【請求項2】
前記蒸着部、前記第1のセクション及び前記第2のセクションのうちの境界が隣接する任意の二者の質量空間比が異なり、前記第1のセクションと前記蒸着部との境界の隣接箇所に第1の境界線が形成され、前記第1の境界線は、直線又は曲線で延在する第1の急変線を含み、前記第1の急変線の延在方向又はその接線の延在方向と前記第1の方向とが平行であり、又は両者の夾角が鋭角をなす、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項3】
前記非蒸着領域の形状は、台形であり、前記第2のセクションの形状は三角形であり、複数の前記第2のセクションは、前記非蒸着領域内に間隔をあけて分布し、前記第1の境界線に近接して設けられた前記第2のセクションの一辺は、前記第1の境界線と平行に設けられており及び/又は、
前記第2のセクションは、二等辺三角形であり、複数の前記第2のセクションの形状は同じである、請求項2に記載のマスクプレート。
【請求項4】
前記第1のセクションと前記第2のセクションとの境界の隣接箇所に第2の境界線が形成され、少なくとも一部の前記第2の境界線が直線又は曲線で延在し、少なくとも一部の前記第2の境界線の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の前記第1の境界線の延在方向又はその接線の延在方向とが互いに平行であり、又は、少なくとも一部の前記第2の境界線の延在方向又はその接線の延在方向と、少なくとも一部の前記第1の境界線の延在方向又はその接線の延在方向との夾角が鋭角であ及び/又は、
前記第2のセクションの一部の辺は、前記第2の境界線と平行に設けられており、及び/又は、
2つ以上の前記第2のセクションの少なくとも一部の辺は、前記第2の境界線と平行に設けられている、請求項2に記載のマスクプレート。
【請求項5】
前記第1の境界線は、直線又は曲線で延在する第2の急変線をさらに含み、前記第2の急変線の延在方向又はその接線の延在方向は、前記第1の方向に垂直であり、前記第2の境界線は、前記第2の急変線に隣接する第2のサブ線を含み、前記第2のサブ線は、直線又は曲線で延在し、前記第2のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第2の急変線又は前記第2の急変線の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、前記第2のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第2の急変線又は前記第2の急変線の接線の延在方向との夾角は鋭角であ及び/又は、
前記第2のサブ線は、互いに間隔をあけて分布する複数の短線を含み、及び/又は、
複数の前記第2のセクションは、前記非蒸着領域に間隔をあけて分布し、前記第2のセクションは、前記短線を形成するためのエッジを含み、複数の間隔をあけて分布する該エッジは、複数の前記短線を含む前記第2のサブ線を形成するために用いられる、請求項に記載のマスクプレート。
【請求項6】
前記第2の境界線は、前記第1の急変線に隣接する第1のサブ線を含み、前記第1のサブ線は、直線又は曲線で延在し、前記第1のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第1の急変線又は前記第1の急変線の接線の延在方向とは、互いに平行であり、又は、前記第1のサブ線の延在方向又はその接線の延在方向と、前記第1の急変線又は前記第1の急変線の接線の延在方向との夾角は鋭角である、請求項に記載のマスクプレート。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2のセクションは、複数の前記第2のセクションを含み、前記複数の前記第2のセクションは、前記非蒸着領域内に間隔をあけて分布しており及び/又は、
複数の前記第2のセクションは、前記第1の方向に延びて前記蒸着部を二等分する中心線に関して対称に分布しており、及び/又は、
前記第2のセクション自体は、前記第1の方向に延びる軸線に関して軸対称に設けられており、及び/又は、
隣接する2つの前記第2のセクションの隣接する境界線は、互いに平行に設けられ、又は夾角が鋭角をなす、請求項に記載のマスクプレート。
【請求項8】
前記第2のセクションは複数の開口を含み、前記開口は前記マスクプレートの厚さ方向に沿って前記第2のセクションを貫通して設けられ、又は、前記開口は、前記第2のセクションの表面が凹んで形成されており及び/又は、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションは、いずれも多角形であり、及び/又は、
前記蒸着部、前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける少なくとも二者の材料が同じであり、及び/又は、
複数の前記第2のセクションは、第2の方向に沿って一列に分布している、請求項1に記載のマスクプレート。
【請求項9】
フレームと、前記フレームに設けられたマスクプレートと、を含み、前記マスクプレートは、請求項1~のいずれか1項に記載のマスクプレートである、マスク装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
前記非蒸着部200は、少なくとも一部が第1の方向において前記蒸着部100の一方側に設けられている。また、前記第1の急変線310の延在方向又はその接線の延在方向は、前記第1の方向と平行であるか又は両者の夾角が鋭角をなす。第1の方向に沿ってマスクプレート10が引っ張られる場合、即ち、引張方向が前記第1の方向である場合、前記非蒸着部200と前記蒸着部100とは引張方向に沿って離れる傾向がある。第1の急変線310と第1の方向との間の夾角が小さいため、第1の急変線310をこのように設置することにより、その上に受けた応力歪みを低減させ、マスクプレート10の第1の方向における耐変形能を向上させ、マスクプレート10のしわがさらに発生しにくくなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
これらの好ましい実施例において、第1の方向に沿ってマスクプレート10が引っ張られる場合、少なくとも一部の第2の境界線400は、第1の境界線300が受ける引張力を分担することが可能であり、マスクプレート10の第1の方向における耐変形能を向上させ、マスクプレート10のしわがさらに発生しにくくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
いくつかの好ましい実施例では、図4に示すように、第2のセクション220は、貫通して設けられた複数の開口211を含む。開口211が、第2のセクション220の質量空間比を低減することで、第2のセクション220と第1のセクション10との間に材料の急変境界を形成し、さらにマスクプレート10の耐変形能を向上させ、マスクプレート10のしわをさらに改善することができる。開口211の形状は様々であり、開口211は円形孔、楕円形孔、多角形孔及びこれらの組み合わせなどであってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
好ましくは、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100のうちのいずれかの二者の間の材料が異なり、即ち、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100の材料がそれぞれ異なる。ここで、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100のうちのいずれかの二者の間の材料が異なるとは、第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100において材料の種類が同じ配合比が異なること、又は第1のセクション210、第2のセクション220及び蒸着部100において材料の種類が異なることであってもよく、第1のセクション210と第2のセクション220との間に材料急変線を形成し、第2のセクション220と蒸着部100との間に材料急変線を形成できればよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
図6に示すように、本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置は、フレーム20と、フレーム20に設けられるマスクプレート10とを備える。マスクプレート10は、上記いずれかの第1の態様の実施例におけるマスクプレート10であってもよい。本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置は、上記いずれかの第1の態様の実施例に係るマスクプレート10を含むため、本願の第2の態様の実施例に係るマスク装置は、上記いずれかの第1の態様の実施例に係るマスクプレート10が有する有益な効果を有し、ここでは説明を省略する。
【国際調査報告】