IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳新能源科技有限公司の特許一覧

特表2024-509242電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置
<>
  • 特表-電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置 図1
  • 特表-電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置 図2
  • 特表-電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置 図3
  • 特表-電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/02 20060101AFI20240221BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240221BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240221BHJP
【FI】
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M50/591 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554848
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2021081625
(87)【国際公開番号】W WO2022193253
(87)【国際公開日】2022-09-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】応 豆
(72)【発明者】
【氏名】劉 勝奇
(72)【発明者】
【氏名】王 可飛
【テーマコード(参考)】
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA13
5H043EA07
5H043GA22
5H043KA13E
5H043KA22E
5H043KA26E
5H043KA27E
5H043KA30E
5H043KA45E
5H043LA02E
5H043LA13E
5H043LA14E
5H043LA21E
5H043LA23E
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA09
5H050DA20
5H050EA12
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA27
5H050EA28
5H050FA04
5H050FA17
5H050HA01
5H050HA03
5H050HA04
5H050HA08
5H050HA12
(57)【要約】
電気化学装置及び前記電気化学装置を用いた電子装置を提供する。前記電気化学装置は、極シートを備え、前記極シートは第1集電体と、前記第1集電体から突出する第1極シートと、前記第1集電体の少なくとも一方の表面に設けられた第1活物質層と、前記第1集電体における前記第1極シートに近い側辺に沿って設けられ、前記第1活物質層に隣接する絶縁層と、を備え、前記絶縁層は、前記第1極シートに近い側に設けられた第1領域と、前記第1極シートから遠く且つ前記第1活物質層に隣接して設けられた第2領域と、を含み、前記第1領域の前記絶縁層の厚さは、前記第2領域の前記絶縁層の厚さよりも小さい。本願の電気化学装置は、絶縁層の厚さと第1活物質層の厚さとの比率及び絶縁層の薄く削る形状を制御し、ロールプレス中の極シートの力の均一性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極シートを備え、前記極シートは、
第1集電体と、
前記第1集電体から突出する第1極シートと、
前記第1集電体の少なくとも一方の表面に設けられた第1活物質層と、
前記第1集電体における前記第1極シートに近い側辺に沿って設けられ、前記第1活物質層に隣接する絶縁層と、を備え、
前記絶縁層は、前記第1極シートに近い側に設けられた第1領域と、前記第1極シートから遠く且つ前記第1活物質層に隣接して設けられた第2領域と、を含み、
前記第1領域の前記絶縁層の厚さは、前記第2領域の前記絶縁層の厚さよりも小さいことを特徴とする電気化学装置。
【請求項2】
前記第1領域は、第1表面を含み、
前記第1表面が位置する平面は、前記第1集電体が位置する平面と交差して鋭角αを形成し、
前記第2領域の厚さは、Hであり、前記絶縁層の幅はWであり、W/H≧cotαであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記鋭角αの範囲が5°~75°であることを特徴とする請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記第2領域の厚さHの範囲は20μm~100μmであり、前記絶縁層の幅Wの範囲は1mm~10mmであることを特徴とする請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記第1活物質層の厚さLの範囲は、30μm~200μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記第2領域の厚さは、Hであり、前記第2領域の厚さHと前記第1活物質層の厚さLとが、0.3≦H/L≦0.8の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記第1活物質層の塗工の重量が、0.06mg/mm~0.35mg/mmであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記第1活物質層の圧密密度が2g/cc~6g/ccであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記絶縁層は、ベーマイト、アルミナ、ジルコニア、酸化ホウ素又は六方晶窒化ホウ素のうちの少なくとも1種を含む無機粒子と、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースナトリウムのうちの少なくとも1種を含む結着剤とを含むことを特徴とする請求項1記載の電気化学装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気化学装置を含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に、電気化学装置およびそれを応用した電気化学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー密度電池への需要が高まるにつれて、一般には、電池容量の向上を実現するために、塗工の重量の大きい活物質層を極シート上に設けて電池容量の向上を図る必要がある。しかしながら、塗工の重量(厚い電極)が大きいと、一般的に活物質層の厚さが大きくなり、極シートエッジに被覆されたバリ防止のための絶縁層と活性層の間に比較的に明らかな厚さ段差が存在し、極シートの外観に影響を与え、さらに、絶縁コーティングスラリー流体は、塗布装置表面の余計応力による膨張効果と、乾燥過程におけるスラリー表面張力による流延現象との二重の影響により、絶縁コーティングのエッジに、厚辺の形態を生じる。絶縁コーティングの厚辺は、極シート巻回時にドラムエッジ現象の発生を招き、深刻な場合に極シートが破断する可能性があり、同時に、極シートがロールプレスされると極シートの張力分布が不均衡になり、整列度が要求を満たさなくなり、極シート加工の寸法に影響を与える。
【0003】
このような問題を解決するために、従来技術は、電極を作製する際に絶縁層の塗布サイズを電極の実際に必要なサイズよりも大きくし、その後、極シートエッジの厚辺領域を切除する。しかし、絶縁コーティングの塗布サイズを電極の実際に必要なサイズよりも大きくし、厚辺が存在すると、材料の過度な浪費を引き起こすことがある。どのようにして厚い電極の極シートの外観を改善し、絶縁層のドラムエッジ現象を除去することができるソリューションを見つけることができ、高エネルギー密度の需要を満たすと同時に電池製品の良率を高めることは、当業者が考慮する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における極シートのコーティングが厚すぎによる問題を解決するために、本願実施例は電気化学装置を提供し、前記電気化学装置は、極シートを備え、前記極シートは第1集電体と、前記第1集電体から突出する第1極シートと、前記第1集電体の少なくとも一方の表面に設けられた第1活物質層と、前記第1集電体における前記第1極シートに近い側辺に沿って設けられ、前記第1活物質層に隣接する絶縁層と、を備え、前記絶縁層は、前記第1極シートに近い側に設けられた第1領域と、前記第1極シートから遠く且つ前記第1活物質層に隣接して設けられた第2領域と、を含み、前記第1領域の前記絶縁層の厚さは、前記第2領域の前記絶縁層の厚さよりも小さい。
【0005】
可能な実施形態では、前記第1領域は、第1表面を含み、前記第1表面が位置する平面は、前記第1集電体が位置する平面と交差して鋭角αを形成し、前記第2領域の厚さは、Hであり、前記絶縁層の幅はWであり、W/H≧cotαである。
【0006】
可能な実施形態では、前記鋭角αの範囲が5°~75°である。
【0007】
可能な実施形態では、前記第2領域の厚さHの範囲は20μm~100μmであり、前記絶縁層の幅Wの範囲は1mm~10mmである。
【0008】
可能な実施形態では、前記第1活物質層の厚さLの範囲は、30μm~200μmの範囲である。
【0009】
可能な実施形態では、前記第2領域の厚さは、Hであり、前記第2領域の厚さHと前記第1活物質層の厚さLとが、0.3≦H/L≦0.8の関係を満たす。
【0010】
可能な実施形態では、前記第1活物質層の塗工の重量が、0.06mg/mm~0.35mg/mmである。
【0011】
可能な実施形態では、前記第1活物質層の圧密密度が2g/cc~6g/ccである。
【0012】
可能な実施形態では、前記絶縁層は、ベーマイト、アルミナ、ジルコニア、酸化ホウ素又は六方晶窒化ホウ素のうちの少なくとも1種を含む無機粒子と、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースナトリウムのうちの少なくとも1種を含む結着剤とを含む。
【0013】
本願はさらに、前述の電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0014】
従来技術に比べて、本願の電気化学装置では、第1活物質層の外側には、厚さが異なる第1領域及び第2領域を有する絶縁層が設けられ、第1活物質層に近い第2領域の厚さを、第1活物質層から遠い第1領域の厚さよりも大きく、すなわち、絶縁層が極シートの縁に近い領域を薄く削るが、この薄く削る領域が第1活物質層まで延びないように制御し、厚辺形態を除去する場合、第1活物質層の活物質の損失を回避し、電気化学装置のエネルギー密度を高めた上で厚辺形態を除去して極シートのドラムエッジの問題を克服し、第1活物質層と絶縁層との間の厚さ差を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願の実施例に係る電気化学装置の平面模式図である。
図2】本願の実施例に係る電気化学装置の極シートの平面模式図である。
図3図2のIII-III方向の断面模式図である。
図4】本願の一実施例に係る電子装置の斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本願の内容をより包括的に説明する。図面には、本願の例示的な実施例が示されている。しかし、本願は多くの異なる形態で実施することができ、ここで記載された例示的な実施例に限定されると解釈すべきではない。これらの例示的な実施例を提供することは、本願を徹底かつ完全にし、本願の範囲を当業者に十分に伝えるためである。同様の符号は、同一または類似の要素を表す。
【0017】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施例を説明するためにのみ使用され、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、文脈が特に明確に示されない限り、単数形「一」、「一つ」及び「これ」は、複数形も含むことを意図する。さらに、本明細書で使用する場合、「含む」および/または「備える」および/または「有する」、整数、ステップ、操作、コンポーネントおよび/またはコンポーネントであり、1つ以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、コンポーネント、コンポーネント、および/またはそのグループの存在または追加を除く。
【0018】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本願に属する分野の一般的な技術者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。さらに、一般的な辞書で定義されているような用語は、関連する技術および本願の内容における意味と一致する意味を持つと解釈されるべきであり、理想化されている、または正式すぎる意味として解釈されない限り、明示的に定義されていない。
【0019】
以下に図面に関連して例示的な実施例について説明する。図面を参照して図面に描かれたコンポーネントは必ずしも比例して表示されていないことに注意し、一方、同一または類似の構成要素には、同一または類似の符号表現または類似の技術用語が付与される。
【0020】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施例についてさらに詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、本願の一実施例は、極シート10を含む電気化学装置1を提供する。一実施例では、本願の電気化学装置1はリチウムイオン電池を例に挙げて本願を説明したが、本願の電気化学装置10はリチウムイオン電池に限定されない。
【0022】
図2は、本願の一実施例に係る電気化学装置1の極シート10の部分拡大模式図であり、図示するように、極シート10は、第1集電体11と、第1タブ12と、第1活物質層13と、絶縁層14と、を備えている。ここで、第1極シート12は、第1集電体11から突出し、第1活物質層13は、第1集電体11の少なくとも一方の面に設けられ、絶縁層14は、第1集電体11の第1極シート12に近い側辺に沿って設けられ、第1活物質層13に隣接している。絶縁層14は、第1タブ12に近い側に設けられる第1領域141と、第1領域141と第1活物質層13との間に設けられ、第1領域141及び第1活物質層13に隣接する第2領域142とを含む。第1領域141に位置する絶縁層14の厚さは、第1集電体11の絶縁層14が設けられる表面と垂直する方向において、第2領域142に位置する絶縁層14の厚さよりも小さい。一実施例では、第1領域141に位置する絶縁層14の厚さは、第2領域142に位置する絶縁層14の厚さよりも小さいことは、第1領域141の各位置に位置する絶縁層14の厚さが、第2領域142に位置する絶縁層14の厚さよりも小さいことを意味する。他の実施例では、第1領域141に位置する絶縁層14の厚さは、第2領域142に位置する絶縁層14の厚さよりも小さいことは、第1領域141に位置する絶縁層14の最大厚さが、第2領域142に位置する絶縁層14の最小厚さよりも小さいことを意味する。
【0023】
第1活物質層13の外側には、厚さが異なる第1領域141及び第2領域142を有する絶縁層14が設けられ、第1活物質層13に近い第2領域142の厚さを、第1活物質層13から遠い第1領域141の厚さよりも大きく、すなわち、絶縁層14が極シート10の縁に近い領域を薄く削るが、この薄く削る領域が第1活物質層13まで延びないように制御し、厚辺形態を除去する場合、第1活物質層13の活物質の損失を回避し、電気化学装置10のエネルギー密度を高めた上で厚辺形態を除去して極シート10のドラムエッジの問題を克服し、第1活物質層13と絶縁層14との間の厚さ差を低減する。
【0024】
本願実施例の正極において、正極については特に制限はなく、本願目的を達成できればよい。例えば、正極は通常、正極集電体及び正極活物質層を含む。正極集電体には特に制限されないが、通常、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、または複合集電体のうちの少なくとも1つが含まれる。正極活物質層は、正極活物質を含み、正極活物質としては特に制限されず、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リチウムリッチマンガン系材料、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、またはチタン酸リチウムのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0025】
本願実施例の負極において、負極については、特に制限はなく、本願目的を達成できればよい。例えば、負極は通常、負極集電体と負極活物質層とを含む。ただし、負極集電体は特に制限されず、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔及び複合集電体の少なくとも1種を含むことができる。負極活物質層は、負極活物質を含み、負極活物質は、特に制限されず、人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ソフトカーボン、ハードカーボン、ケイ素、シリコンカーボン、チタン酸リチウムなどの少なくとも一種を含むことができる。
【0026】
なお、極シート10は正極又は負極であってもよく、本願実施例では極シート10を正極とする例を本願に説明する。これに対して、第1活物質層13は、正極活物質層又は負極活物質層であってもよく、本願実施例では正極活物質層を例を本願に説明する。一実施例では、第1タブ12は、第1集電体11から突出し、すなわち、第1タブ12は、第1集電体11の縁よりも第1集電体11の中心領域から離れる方向に突出する。本実施例では、第1タブ12が第1集電体11から突出することは、第1タブ12が第1集電体11と一体構造であり、第1集電体11の縁から延出させて形成してもよく、他の実施例では、第1タブ12が第1集電体11と非一体構造であり、第1タブ12は、極シート10に絶縁層14を塗布する前に、第1集電体11に例えば溶接によって接続してもよい。
【0027】
一実施例では、第1活物質層13は、第1集電体11の少なくとも一方の表面に設けられ、例えば、第1活物質層13は、第1集電体11の反対側の表面に設けられてもよい。
【0028】
本実施例では、絶縁層14は、第1集電体11の表面に塗布して第1活物質層13に隣接しており、絶縁層14は、第1集電体11の縁に設けられ、第1集電体11の切断後の縁を少なくとも覆って、その縁に位置する切断バリを覆い、バリがセパレータを突き刺されることを回避することができ、かつ、絶縁層14は、第1集電体11と第1タブ12との境界の少なくとも一部の領域も覆って、第1タブ12における第1集電体11に隣接する一端部の切断バリを被覆して、バリがセパレータを突き刺されることを回避することができる。
【0029】
図3に示すように、第1領域141は、第1面143を有し、第1面143が位置する面と第1集電体11が位置する面とが交差して鋭角αを形成し、第2領域142の厚さはHであり、前記絶縁層の幅はWであり、W/H≧cotαである。
【0030】
一実施例では、絶縁層14における極シートの厚さ方向に沿った断面は台形であり、具体的には、絶縁層14は、第1活物質層13に隣接する側(即ち、第2領域142)の厚さと略等しく、絶縁層14は、第1活物質層13から離れて第1タブ12に近い側が第1領域141であり、絶縁層14の厚さは、第1領域141と第2領域142の境界から、第1タブ12側に向かって、第1面143が第1集電体11と交差して鋭角αを形成するまで徐々に減少する。
【0031】
一実施例では、W/H<cotαであれば、第1集電体11を切断して第1タブ12を得る過程において、絶縁層14の極シートの厚さ方向に沿った断面は、略台形ではなく、略三角形となる。即ち、第1活物質層13の絶縁層14に近い部分が除去され、電気化学装置1の全体のエネルギー密度が低下してエネルギー損失をもたらし、第1活物質層13と絶縁層14との境界がぼやけてしまうおそれがある。
【0032】
一実施例においては、鋭角αの範囲が5°~75°である。鋭角αが5°よりも小さいと、絶縁層14が薄肉化の過程でこの角度の需要を実現できない可能性があり、鋭角αが75°よりも大きいと、第1領域141における絶縁層14の平均厚さが大きくなりすぎて、極シート10の端部が膨らむ可能性がある。一実施例では、鋭角αは、CCDカメラを用いて絶縁層14の断面の画像を取得し、その画像において鋭角αに対応する領域で角度測定を行って得られる。
【0033】
一実施例では、絶縁層14の厚さ、即ち第2領域の厚さは、万分尺やCCDカメラによって測定できる。例えば、単位所定の長さの極シート10を切り取り又は選択し、この極シート10の少なくとも1つの面は、第1領域141および第2領域142の断面を含み、極シート10上の第2領域142を万分尺を用いて複数回測定して絶縁層14の厚さを求め、例えば、第2領域142の厚さをそれぞれ15回測定し、その後、複数回測定した平均値を第2領域142の厚さとし、あるいは、CCDカメラを用いて、第1領域141および第2領域142の断面を含む面の画像を撮像し、CCDカメラが合わせた測定器具(例えばソフトウェア)によって絶縁層14の厚さを取得し、異なる画像又は同一の画像の異なる部位を複数回(例えば15回)繰り返し取得し、複数回の測定された厚さの平均値を取得して絶縁層14の厚さを得る。
【0034】
一実施例では、絶縁層14の幅は、CCDカメラによって測定することができる。例えば、連続する第1領域141及び第2領域142を含む絶縁層14の画像を、CCDカメラを用いて撮像し、具体的には、低倍率の状態のCCDカメラを用いて画像を取得し、CCDカメラが合わせた測定ツール(例えばソフトウェア)によって絶縁層14の両側縁を設定する場合に絶縁層14の幅を取得することができ、異なる画像または同一の画像異なる部位を複数回(例えば15回)繰り返して取得し、複数回測定した厚さの平均値を求めて絶縁層14の幅を得る。
【0035】
一実施例では、第2領域142の厚さHの範囲は20μm~100μmであり、絶縁層14の幅Wの範囲は1mm~10mmである。第2領域142の厚さHが20μmよりも小さいと、絶縁層14の厚さが一般的なバリの長さよりも小さくなり、さらにバリを効果的に被覆することができず、電気化学装置1に短絡リスクが存在する可能性があり、第2領域142の厚さが100μmよりも大きいと、極シート10が冷間圧のパラメータ要求を満たすことができないおそれがある。
【0036】
一実施例では、第1活物質層13の厚さLの範囲は30μm~200μmである。第2領域142の厚さHと第1活物質層13の厚さLとは、0.3≦H/L≦0.8の関係を満たす。この比が小さすぎて絶縁層14が薄すぎると、バリを防止する役割を果たすことができず、この比が大きすぎて絶縁層が厚すぎると、極シート10の冷間プレス工程において設定された圧密密度を実現することが困難となる。
【0037】
一実施例では、第1活物質層13の塗工の重量は、0.06mg/mm~0.35mg/mmである。
【0038】
一実施例では、単位面積あたりの第1活物質層13又は極シート10の重量を1万分の1分析天秤により測定し、下記式に換算して前記塗工の重量を得て、塗工の重量=(極シート重量-集電体重量)/極シート面積、平均値を取ることができる。塗工の重量が0.06mg/mmより小さいと、エネルギー密度が低くて要求を満たすことが難しかったり、第1活物質層13に粒子やスクラッチなどの問題が生じやすくなったり、塗工の重量が0.35mg/mmより大きいと、極シート10に乾燥しにくい、または焼き割れ等の加工問題が発生する可能性があり、また、対応する厚さが大きいため、塗布プロセスが難しくなる一方で、第1活性層13(例えばリン酸リチウム鉄材質の活物質)がクラックしやすく、リチウムイオンの拡散には不利であり、電気化学サイクルに悪影響を及ぼす。
【0039】
一実施例では、第1活物質層13の圧密密度は2g/cc~6g/ccである。一実施例では、1万分の1分析天秤により単位面積あたりの第1活物質層13又は極シート10の重量を測定し、さらに(単位面積あたりの絶縁層極シートの重量-集電体重量)/基材以外の絶縁層厚さような式により圧密密度を得て、平均値を求めてもよい。圧密密度が低すぎると(2g/ccより小さい)、単位体積当たりの活物質が少ないため、エネルギー密度が低くて需要を満たすことが困難になり、圧密密度が高すぎると(6g/ccより大きい)、第1活性層13の空孔率が少な過ぎることでイオン輸送能力を弱めたり、内部抵抗(DCR)が大き過ぎることや、極シート10を脆化させて冷間プレス工程でバンド切れを起こし易くなったりする。
【0040】
一実施例では、絶縁層14は、ベーマイト、アルミナ、ジルコニア、酸化ホウ素又は六方晶窒化ホウ素のうちの少なくとも1種を含む無機粒子と、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩又はカルボキシメチルセルロースナトリウムのうちの少なくとも1種を含む結着剤とを含む。
【0041】
本願の電気化学装置は、セパレーターをさらに備え、セパレーターは、正極と負極とを隔離し、電気化学装置の内部短絡を防止し、電解質イオンの自由通過を可能にするため、電気化学充放電過程の役割を果たす。本願において、セパレータは、本願の目的を達成できるものであれば特に制限はない。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)を主とするポリオレフィン(PO)系セパレータ、ポリエステルフィルム(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)、セルロースフィルム、ポリイミドフィルム(PI)、ポリアミドフィルム(PA)、スパンデックス又はアラミド膜、織布膜、不織布膜(不織布)、微孔フィルム、複合フィルム、セパレータ紙、ラミネートフィルム、紡糸フィルム等の少なくとも一種である。
【0042】
さらに、セパレータは、基材層と、表面処理層とを有していてもよい。基材層は、多孔質構造を有する不織布、フィルム又は複合フィルムであってもよく、基材層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリイミド等のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。一実施例では、ポリプロピレン多孔質フィルム、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布又はポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン多孔質複合フィルムを用いることができる。一実施例においては、基材層の少なくとも一方の表面に表面処理層が設けられており、表面処理層は、ポリマー層又は無機物層であってもよく、ポリマーと無機物とを混合して形成された層であってもよい。
【0043】
さらに、例えば、無機物層は、無機粒子および結着剤を含んでいてもよく、該無機粒子は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、二酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム等から選ばれる少なくとも1種であってもよい。結着剤は、特に制限されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリヘキサフルオロプロピレンからなる群から選ばれる1種または複数種の組み合わせであってもよい。例えば、ポリマー層にはポリマーが含まれており、ポリマーの材料は、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリル酸エステルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)などの少なくとも一種を含む。
【0044】
本発明の電気化学装置は、電解質をさらに備え、電解質は、ゲル電解質、固体電解質、および電解液のうちの1種または複数種であってもよく、電解液はリチウム塩および非水溶媒を含む。
【0045】
一実施例では、電気化学装置10がリチウムイオン電池である場合、リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiSiF、LiBOB、リチウムジフルォロボレートから選ばれる1種または複数種である。リチウム塩としては、高いイオン伝導率を与え、サイクル特性を改善することができるので、LiPFを用いることができる。
【0046】
非水溶媒は、カーボネート化合物、カルボン酸エステル化合物、エーテル化合物、その他の有機溶媒またはそれらの組み合わせであり得る。
【0047】
上記カーボネート化合物は、鎖状カーボネート化合物、環状カーボネート化合物、フッ素化カーボネート化合物、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
上記鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)およびこれらの組み合わせが挙げられる。環状カーボネート化合物の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)およびこれらの組み合わせが挙げられる。フッ素化カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1、2-ジフルオロエチレンカーボネート、1、1-ジフルオロエチレンカーボネート、1、1、2-トリフルオロエチレンカーボネート、1、1、2、2-テトラフルオロエチレンカーボネート、1-フルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、1-フルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1、2-ジフルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1、1、2-トリフルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネートおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
上記カルボン酸エステル化合物の例としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラタトン、デカノラクトン(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、力プロラタトン(caprolactone)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
上記エーテル化合物としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、1、2-ジメトキシエタン、1、2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
他の有機溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド、1、2-ジォキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、1、3-ジメチルー2-イミダゾリジノン、N-メチルー2-ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル、リン酸エステルおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
電気化学装置1の製造プロセスは当業者に周知であり、本願には特に制限はない。例えば、電気化学装置は、正極と負極とを、セパレータを介して重ね合わせ、必要に応じて捲回、折り畳み等の操作を行った後筐体内に入れ、筐体に電解液を注入して封口するプロセスにより製造することができ、ここで使用されるセパレータは本願に提供される上記セパレータである。また、必要に応じて、過電流防止素子やリード板等を筐体に置くことで、電気化学装置内部の圧力上昇や過充放電を防止してもよい。
【0053】
図4に示すように、本願実施例に提供される電子装置100の概略斜視図である。本願はさらに、電気化学装置1を備える電子装置100を提供する。図4では、電子装置100のみを携帯電話を例にしているが、他の実施例では、本願の電子装置100は特に限定されず、従来から知られているどのような電子装置に用いられてもよい。いくつかの態様において、電子機器100は、ノートパソコン、ペン入力型コンピュータ、モバイルパソコン、電子書籍プレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型複写機、携帯型プリンター、ヘッドセット・ステレオ・イヤホン、ビデオカメラ、液晶テレビ、携帯型クリーナ、携帯CD機、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯型録音機、ラジオ、予備電源、モーター、自動車、オートバイ、アシスト自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、フラッシュ、カメラ、家庭用大型蓄電池、リチウムイオンキャパシタなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0054】
極シートエッジの厚さのCOV試験。
1)(25±3)℃の環境下で電池製品から極シートを取り外す。極シートの表面に残った電解液を無塵紙で拭き取る。
2)極シートを切断して一定面積の大きさの極シートサンプルを得る。
3)万分尺を用いて2)における極シートサンプルのタブに近い側の極シートエッジの厚さを測定し、極シートエッジに沿って15個の異なる点の厚さ値を順次試験し、全ての試験点の厚さ値のCOV値を計算する。
【0055】
電池の体積エネルギー密度試験。
1)(25±3)℃の環境下で、電池を3.6Vまで定電流で充電し、さらに0.5Cレートで2.5Vまで放電して実容量Capを得る。
2)電池の放電ステージはEである。
3)電池の長さ、幅、高さを実測し、1面につき10点ずつ測定して平均値をとり、体積V=長さ*幅*高さである。
4)体積エネルギー密度VED=Cap*E/V。
実施例1
【0056】
<1-2.正極極シートの調製>
正極活物質であるコバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を質量比94:3:3で混合した後、溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP)を加え、固形分75%のスラリーを調製し、均一に攪拌した。厚さ12μmのアルミニウム箔の一方の面にスラリーを均一に塗布し、90℃で乾燥させ、冷間プレスして後、正極活物質層の厚さが100μmの正極極シートを得、そして、この正極極シートの他方の面に、上記工程を繰り返すことにより、正極活物質層が両面に塗工された正極極シートを得、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccである。
【0057】
この正極極シートのタブに近い側の正極活物質層の縁に絶縁層を設け、ここで、絶縁層成分(質量比率)がPVDF、ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHが20μm、絶縁層の幅Wが1.2mm、鋭角αに対応するcotαが1である。
【0058】
正極極シートを74mm×867mmの仕様に切断して極シートを溶接した後、使用する。
【0059】
<1-3.負極極シートの作製>
負極活物質である人造黒鉛、アセチレンブラック、スチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを質量比96:1:1.5:1.5で混合した後、溶媒として脱イオン水を加え、固形分70%のスラリーに調製し、均一に攪拌した。厚さが8μmの銅箔の一方の表面にスラリーを均一に塗布し、110℃で乾燥し、冷間プレスして、負極活物質層の厚さが150μmの片面に負極活物質層が塗布された負極極シートを得た後、この負極極シートの他方の表面に上記の塗布工程を繰り返し、両面に負極活物質層が塗布された負極極シートを得た。負極極シートを74mm×867mmの仕様に切断して極シートを溶接した後、使用する。
【0060】
<1-5.電解液の調製>
含水量が10ppm未満の環境下で、非水有機溶媒であるエチレンカーボネート(EC)、ジェチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、プロピオン酸プロピル(PP)、ビニレンカーボネート(VC)を質量比20:30:20:28:2で混合した後、非水有機溶媒にへキサフルォロリン酸リチウム(LiPF)を加えて均一に溶解し、電解液を得、LiPFと非水有機溶媒の質量比は8:92である。
【0061】
<1-6リチウムイオン電池の作製>
前記正極極シートおよび前記負極極シートを捲回して、前記正極極シートおよび前記負極極シートとの間をポリエチレン(PE)膜をセパレータとして分離し、電極アセンブリを作製した。電極アッセンブリーをアルミニウムプラスチックフィルム包装袋に入れ、80℃で水分を脱離し、調合した電解液を注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経てリチウムイオン電池を得た。
【0062】
実施例2
実施例2は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは40μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0063】
実施例3
実施例3は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは50μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0064】
実施例4
実施例4は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは80μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0065】
実施例5
実施例5は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは125μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは100μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0066】
実施例6
実施例6は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは50μmであり、絶縁層の幅Wは1mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0067】
実施例7
実施例7は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは50μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0068】
実施例8
実施例8は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは80μmであり、絶縁層の幅Wは10mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0069】
実施例9
実施例9は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは30μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0070】
実施例10
実施例10は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは50μmであり、絶縁層の幅Wは10mmであり、鋭角αに対応するcotαは0.3である。
【0071】
実施例11
実施例11は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは80μmであり、絶縁層の幅Wは10mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0072】
実施例12
実施例12は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは30μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.06mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは24μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0073】
実施例13
実施例13は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは175μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.35mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは88μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは11.4である。
【0074】
実施例14
実施例14は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは88μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.35mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は4.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは44μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0075】
実施例15
実施例15は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは58μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.35mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は6.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは30μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0076】
実施例16
実施例16は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はポリアクリル酸:ジルコニア=30%:70%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは50μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、鋭角αに対応するcotαは1である。
【0077】
実施例17
実施例17は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは87.5μmであり、絶縁層の幅Wは1mmであり、鋭角αに対応するcotαは11.4である。
【0078】
比較例1
比較例1は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは30μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.045mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は1.5g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは30μmであり、絶縁層の幅Wは1mmであり、絶縁層を薄く削りなかった。
【0079】
比較例2
比較例2は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは50μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、絶縁層を薄く削りなかった。
【0080】
比較例3
比較例3は実施例1と同じリチウムイオン電池製造フローを有するが、組成パラメータには違いがあり、ここで、正極活物質(第1活物質層)の厚さLは100μmであり、第1活物質層の塗工の重量は0.2mg/mmであり、第1活物質層の圧密密度は2.0g/ccであり、絶縁層成分(質量比率)はPVDF:ベーマイト=40%:60%であり、絶縁層の第2領域の厚さHは0μmであり、絶縁層の幅Wは1.2mmであり、絶縁層を薄く削りなかった。
【0081】
上記実施例1~17および比較例1~3について、巻回冷間圧等の工程を行い、極シートの外観を観察し、エネルギー密度を計算し、下記表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
従来技術に比べて、本願の電気化学装置は、極シート上に隣接する第1活物質層及び絶縁層を設けることにより、絶縁層が第1集電体及びタブのバリの部分の縁バリを覆って、電気化学装置の短絡を回避し、絶縁層の外側に薄く削られた第1領域を設けることにより、絶縁層の厚さと第1活物質層の厚さとの比率および絶縁層の薄く削る形状が制御され、電気化学装置の安全性能を保証する場合、極シートのロールプレス過程における力の均一性を向上させ、さらに電気化学装置の全体性能を向上させることができる。
【0084】
上述した図面を参照して、本願の具体的な実施形態について説明した。しかし、本願の精神的及び範囲を逸脱することなく、本願の具体的な実施形態を種々変更及び置換することができることは、当業者であれば理解できる。これらの変更や置換は、本願に限定された範囲内にある。
【符号の説明】
【0085】
1 電気化学装置
10 極シート
11 第1集電体
12 第1タブ
13 第1活物質層
14 絶縁層
141 第1領域
142 第2領域
143 第1面
α 鋭角
100 電子装置
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】