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▶ バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】オレフィン重合用予備重合触媒成分
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
C08F4/654
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554929
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2022057811
(87)【国際公開番号】W WO2022214328
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】21166913.0
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】リグオリ,ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】ダロッコ,ティツィアーノ
(72)【発明者】
【氏名】モリーニ,ジャンピエロ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィターレ,ジャンニ
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA02
4J128AB02
4J128AC05
4J128BA01B
4J128BA02A
4J128BB01A
4J128BB01B
4J128BC15A
4J128BC36A
4J128CA16A
4J128CB23A
4J128DA01
4J128DA08
4J128DB03A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EC01
4J128FA04
4J128GA04
4J128GA09
4J128GB02
(57)【要約】
【解決手段】 (a)Ti、Mg、およびハロゲンと、(BE)/Tiのモル比が0~0.3の範囲となる量の二座電子供与体化合物(BE)と、を含む固体触媒成分と、(b)前記固体触媒成分1gあたりが0.1~30g/g未満の量のエチレン(コ)ポリマーとを含むオレフィン重合用予備重合触媒成分であって、テトラヒドロナフタレンにて135℃で測定された極限粘度が少なくとも3.0dl/gであり、水銀法で測定された気孔率が0.1~1cm/gの範囲にある、ことを特徴とするオレフィン重合用予備重合触媒成分。予備重合触媒は、形態安定性が高く、微粒子発生量が少ない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Ti、Mg、およびハロゲンと、(BE)/Tiのモル比が0~0.3の範囲となる量の任意の二座電子供与体化合物(BE)とを含む固体触媒成分と、(b)前記固体触媒成分1gあたり0.1~30g未満の範囲のような量のエチレン(コ)ポリマーと、を含むオレフィン重合用予備重合触媒成分であって、テトラヒドロナフタレン中にて135℃で測定された極限粘度が少なくとも3.0dl/gであり、水銀法で測定された気孔率が0.1~1.0cm/gの範囲にある、ことを特徴とするオレフィン重合用予備重合触媒成分。
【請求項2】
前記極限粘度は4.0dl/g以上である、請求項1記載の予備重合触媒成分。
【請求項3】
前記極限粘度は4.5~15dl/gの範囲である、請求項2に記載の予備重合触媒成分。
【請求項4】
前記エチレン(コ)ポリマーは、エチレンホモポリマーまたは式CH=CHR(ここで、RはC~C直鎖アルキルである。)から選択されるα-オレフィンを5%モル未満、好ましくは3%モル未満含むエチレンコポリマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項5】
前記エチレン(コ)ポリマーはエチレンホモポリマーである、請求項1~4のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項6】
最大1mの細孔による水銀気孔率が0.2~0.9 cm/gである、請求項1~5のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項7】
嵩密度が0.34~0.50g/cmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項8】
前記α-オレフィン(コ)ポリマーの量は前記固体触媒成分1g当たり0.5~2.5gである、請求項1~7のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項9】
前記マグネシウムは二塩化マグネシウムに由来し、前記チタン原子は式Ti(ORII4-y(ここで、RIIはC~C20炭化水素基であり、Xはハロゲンであり、yは1~4の数である。)で表されるチタン化合物に由来する、請求項1に記載の予備重合触媒成分。
【請求項10】
前記固体触媒成分は、脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルおよびシクロアルキルエーテルから選択される1種以上の単座(MD)電子供与体化合物をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項11】
前記単座供与体は、(MD):Ti比が0.1:1~25:1の範囲となる量で存在可能である、請求項1~10のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分。
【請求項12】
(a)Ti、Mg、およびハロゲンと、(BE)/Tiのモル比が0~0.3の範囲となる量の任意の二座電子供与体化合物(BE)とを含む固体触媒成分を、生成されるエチレン(コ)ポリマーの量が、前記固体触媒成分1g当たり0.1~50g/gの範囲となる程度で、エチレンおよび任意のαオレフィンCH=CHRと予備重合することを含む予備重合触媒成分の製造方法であって、25~100℃の温度範囲で、かつ、アルミノアルキル化合物の存在下で、Al/Tiのモル比が0.5未満となるように行う、予備重合触媒成分の製造方法。
【請求項13】
(A)前記請求項のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分を(B)Al-アルキル化合物と接触させることにより得られる生成物を含むオレフィン重合用触媒系。
【請求項14】
エチレンの(共)重合方法であって、(A)前記請求項のいずれか1項に記載の予備重合触媒成分と(B)Al-アルキル化合物とを含む触媒の存在下で行われる、エチレンの(共)重合方法。
【請求項15】
気相中で行われる、請求項14に記載のエチレンの(共)重合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相、スラリーまたはバルク(共)重合プロセスを用いてエチレン(コ)ポリマーを製造するための触媒成分に関する。
【背景技術】
【0002】
α-オレフィンの重合、特にエチレンの重合のための高収率触媒成分が当分野で知られている。これらは、一般に、ハロゲン化チタン、アルコキシドおよびハロアルコラートから選択されるチタン化合物を、ジハロゲン化マグネシウムに担持させることにより得られる。次いで、前記触媒成分は、エチレンの重合においてアルミニウムアルキル化合物と一緒に使用される。これらの触媒成分、およびそれから得られる触媒は、液相(スラリーまたはバルク)および気相の両方で作動するエチレンの(共)重合プラントで主に使用される。しかしながら、触媒成分をそのまま使用することは完全に満足できるものではない。実際、エチレンの高い反応性により、重合反応のダイナミクスは非常に高い。その結果、触媒は重合の初期段階で非常に強い張力にさらされ、触媒自体の制御不能な破損を引き起こす可能性がある。この現象はポリマーの微粒子の形成の原因となり、その結果、ポリマーのかさ密度が低くなり、操作プロセスが困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの問題を解決するために、触媒を制御された条件下で予備重合することにより、良好な形態安定性を有する予備重合触媒を得ることができる。実際、予備重合後に触媒の電気抵抗が増加し、重合条件下での破壊傾向が減少すると考えられている。WO2013/092282に記載されているように、予備重合がオンラインではなく重合プラント上でバッチ的に行われる場合、予備重合の条件は通常特に穏やかである。引用技術による予備重合は、非予備重合触媒の形態安定性の点での性能を向上させたが、エチレンポリマーを製造するための主要な重合プロセスでの性能は、特に気相法において、嵩密度と微粒子(直径300m未満)の割合の点で改善されなければならない。
【0004】
さらに、従来技術による予備重合触媒系の製造は、生産性が非常に低いため煩雑である。実際、低温かつ反応器へのエチレンの供給速度が低いため、反応時間が長く、生産性が低い。
【0005】
本出願人は、予備重合触媒がエチレンプレポリマーの特性において特定の特徴を示す場合、当該予備重合触媒は高い形態安定性を与えることができ、これは主要な重合プロセスにおいても微粒の発生を低減することができることを発見した。さらに、この予備重合触媒は、より効率的な製造プロセスによっても得ることができる。
【0006】
したがって、本発明は、(a)Ti、Mgおよびハロゲンと、(BE)/Tiのモル比が0~0.3の範囲となる量の任意の二座電子供与体化合物(BE)とを含む固体触媒成分と、(b)前記固体触媒成分1gあたり0.1~30g/g未満の範囲のような量のエチレン(コ)ポリマーと、を含むオレフィン重合用予備重合触媒成分であって、テトラヒドロナフタレンにて135℃で測定された極限粘度が少なくとも3.0dl/gであり、0.1~30g/g未満水銀法で測定された気孔率が0.1~1cm/gの範囲にある、ことを特徴とするオレフィン重合用予備重合触媒成分を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
予備重合触媒成分の特徴および構成要素は、互いに密接に関連しているわけではない。これは、1つの特徴の特定レベルの優先度が、同じまたは異なる構成要素の残りの特徴の同じレベルの優先度を必ずしも伴う必要がないことを意味する。逆に、本開示では、予備重合された触媒構成要素のいずれかと、構成要素のいずれかの好ましい範囲の特徴とは、互いに結合し、本開示に記載された任意の可能な追加構成要素およびその好ましい特徴と結合することができる。
【0008】
本開示全体を通して、「非立体特異的固体触媒成分」という用語は、実験の項に記載された標準的な重合条件において、25℃におけるキシレン中の不溶化画分が70%未満、好ましくは65%未満、より好ましくは60%未満であるプロピレンホモポリマーを生成する予備重合形態自体または予備重合形態を意味する。同様の試験条件下では、25℃におけるキシレン中の不溶化画分が70%以上である固体触媒成分が「立体特異性触媒」とみなされた。
【0009】
極限粘度が4.0dl/g以上であることが好ましく、4.5~15dl/gの範囲がより好ましく、特に5~12dl/gの範囲であることが好ましい。
【0010】
好ましくは、エチレン(コ)ポリマーは、エチレンホモポリマーまたはCH=CHR(RはC~C直鎖アルキルである)から選択されるα-オレフィンを5%モル未満、好ましくは3%モル未満含むエチレンコポリマーである。好ましくは、α-オレフィンは、プロピレン-ブテン-1、ヘキセン-1およびオクテン-1から選択される。より好ましくは、エチレン(コ)ポリマーは、エチレンホモポリマーである。
【0011】
特定の実施形態では、エチレン(コ)ポリマーの量は、固体触媒成分1g当たり10g未満、好ましくは5g未満である。特に好ましい実施形態では、この量は、固体触媒成分1g当たり0.5~2.5gである。
【0012】
好ましくは、予備重合触媒成分は、最大1mの細孔径による水銀気孔率が0.20~0.90の範囲、より好ましくは0.30~0.80cm/gの範囲である。
【0013】
また、気孔率に関連する平均細孔径は、100~300nm、好ましくは150~280nmの範囲である。
【0014】
好ましくは、予備重合触媒成分の嵩密度は、0.34~0.50g/cmであり、より好ましくは、0.35~0.50、特に好ましくは、0.36~0.50g/cmである。
【0015】
好ましくは、固体触媒成分は非立体特異性である。それは、チタン化合物および二ハロゲン化マグネシウムを含むことが好ましい。チーグラー・ナッタ触媒の担体として使用されるマグネシウムハロゲン化物、好ましくはMgClの活性形態は特許文献から周知である。米国特許第4,298,718号および米国特許第4,495,338号は、チーグラー・ナッタ触媒におけるこれらの化合物の使用を最初に記載したものであるこれらの特許から、オレフィン重合用触媒成分中の担体またはコ担体として使用される活性形態のジハロゲン化マグネシウムは、不活性ハロゲン化物スペクトルに現れる最も強い回折線の強度が弱められ、拡大してハローを形成するX線スペクトルによって特徴評価されることが知られている。
【0016】
本発明の固体触媒成分に使用される好ましいチタン化合物は、式Ti(ORII4-y(ここで、RIIはC~C20炭化水素基であり、Xはハロゲンであり、yは1~4の数である。)である特に好ましい化合物は、式Ti(ORIIICl4-aで表されるTiCl、およびTiテトラアルコラートまたはTiクロロアルコラートであり、「a」は1~4の数字であり、RIIIはC~Cアルキルまたはアリールである。好ましくは、RIIIは、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、n-オクチルおよびフェニルから選択される。
【0017】
チタン化合物は、予め形成されていてもよいし、テトラハロゲン化チタン、特にTiClとアルコールRIIOH、または式Ti(ORII(RIIが上記定義の意味を有する)で表されるチタンアルコキシドと反応させてインサイチュで製造されていてもよい。
【0018】
好ましくは、予備重合前の固体触媒成分の好ましくは70%を超え、より好ましくは90%を超え、特に全チタン原子が4価数である。
【0019】
非立体特異的固体触媒成分は、エーテル、エステル、アミンおよびケトンから選択される電子供与体化合物(内部供与体)を含んでもよい。しかし、存在する場合、電子供与体化合物は立体調節能を持たないか、触媒に十分な立体調節能を与えないような量で存在するべきである。一般的な指標として、立体調整能を有さない電子供与体は、広範囲の量で存在し得るが、好ましくはTiに対するモル比が10未満、好ましくは7未満、より好ましくは5未満となる程度に存在し得る。好ましくは、二座電子供与体(BE)は、(BE)/Ti比が0以上0.2未満、より好ましくは0以上0.1未満の量で存在しないか、存在する。最も好ましくは、二座電子供与体(BE)は存在しない。
【0020】
二座電子供与体としては、フタル酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、モノカルボン酸と脂肪族または芳香族ジオール、および1,3-ジエーテルなどの脂肪族または芳香族ジカルボン酸のエステルが好ましい。
【0021】
立体調節能を有さない電子供与体は、単座(MD)であることが好ましく、脂肪族または芳香族カルボン酸のエステル、例えば酢酸エチル、安息香酸エステル、シクロアルキルエーテル、例えばテトラヒドロフランから選択されることが好ましい。単座供与体は、(MD):Ti比が0.1:1~25:1、好ましくは0.5:1~20:1、特に1:1~15:1の範囲となる量で存在し得る。
【0022】
上記特性に加えて、固体触媒成分(A)は、水銀法で測定された気孔率Pが0.2~0.80cm/g、より好ましくは0.3~0.70cm/g、より好ましくは0.35~0.60cm/gの範囲である。
【0023】
BET法により測定される表面積は、好ましくは80未満であり、特に10~70m/gである。BET法により測定される気孔率は、一般に0.10~0.50、好ましくは0.10~0.40cm/gである。
【0024】
上記触媒成分は、MgCl.mRIIIOH化合物(ここで、0.3≦m≦1.7であり、RIIIは炭素数1~12のアルキル、シクロアルキルまたはアリールである。)Ti(OR4-n(ここで、n、y、XおよびRは既に定義されたものと同一の意味を有する。)で表されるチタン化合物と反応させるステップ(a)を含む方法により製造することができる。
【0025】
この場合、MgCl.mRIIIOHは、ジハロゲン化マグネシウムの前駆体を表す。このような化合物は、付加物と混和しない不活性炭化水素の存在下でアルコールと塩化マグネシウムとを混合し、付加物の溶融温度(100~130℃)、撹拌条件下で運転することにより得ることができる。その後、エマルジョンを急速に急冷して、付加物を球状粒子として凝固させる。これらの球状付加物の代表的な製造方法は、例えば米国特許第4,469,648号、米国特許第4,399,054号、および国際公開第98/44009号に報告されている。球状化に使用可能な別の方法は、例えば米国特許第5,100,849号および第4,829,034号に記載されている噴霧冷却である。所望の最終アルコール含有量を有する付加物は、付加物の製造中に選択された量のアルコールを直接使用することにより得ることができる。しかしながら、気孔率を高めた付加物を得るためには、まず、MgCl1モル当たり1.7モルを超えるアルコールを含む付加物を製造し、その後、熱的および/または化学的脱アルコールプロセスを行うことができる。熱的脱アルコールプロセスは、アルコール含有量が0.3~1.7の値に低下するまで、窒素ガス流中、50~150(℃の温度で行われる。このタイプのプロセスは、欧州特許第395083号に記載されている。
【0026】
脱アルコール付加物はまた、最大0.1(mの細孔径を有する細孔による気孔率(水銀法で測定)が0.15~2.5cm/g、好ましくは0.25~1.5cm/gであることを特徴とする。
【0027】
ステップ(a)の反応において、Ti/Mgのモル比は化学量論比以上である。好ましくは、この比率は3よりも高い。さらに好ましくは、大過剰のチタン化合物が使用される。好ましいチタン化合物は四ハロゲン化チタンであり、特にTiCl4である。Ti化合物との反応は、コールドTiCl(通常0℃)中に付加物を懸濁させることにより行うことができる。混合物を80~140℃に加熱し、この温度で0.5~8時間、好ましくは0.5~3時間保持する。過剰のチタン化合物は、濾過または沈降およびサイホン処理によって高温で分離することができる。ステップ(a)を2回以上繰り返してもよい。電子供与体化合物を含む触媒の場合には、MgCl.mRIIIOHと反応させる反応系において、チタン化合物とともに後者を添加してもよい。しかしながら、まず、付加物と単独で接触させ、その後、生成物をチタン化合物と反応させることも可能である。別の方法として、付加物とチタン化合物との反応が終了した後、さらなるステップで電子供与体化合物を単独で添加してもよい。
【0028】
本発明の予備重合触媒成分は、(a)Ti、Mgおよびハロゲンと、(BE)/Tiのモル比が0~0.3の範囲となる量の任意の二座電子供与体化合物(BE)とを含む固体触媒成分を、エチレンおよび任意のαオレフィンCH=CHRを、生成されるエチレン(コ)ポリマーの量が、固体触媒成分1gあたり0.1~50g/gの範囲となる程度、25~100℃の温度範囲で、アルミノアルキル化合物の存在下で、Al/Tiのモル比が0.5未満となるように行うことにより得られ得る。
【0029】
この方法は、モル比(B)/(C)が50未満、好ましくは0.1~20、より好ましくは0.5~10、特に0.5~8の量の外部電子供与体化合物(C)の存在下で実施することができる。
【0030】
Al-アルキル化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリn-ヘキシルアルミニウム、トリn-オクチルアルミニウム等のトリアルキル-Al化合物から選択されることが好ましい。特に、トリn-オクチルアルミニウムを用いることが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムと、AlEtCl、AlEtClのような、アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、アルキルアルミニウムセスキクロリドとの混合物を使用することもできる。
【0031】
予備重合には、アルキル-Al化合物を少量使用することが好ましい。特に、この量は、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、特に0.2未満のAl/Tiモル比を有するような量とすることができる。
【0032】
外部電子供与体化合物は、アルコール、エチレングリコール、エステル、ケトン、アミン、アミド、ニトリル、アルコキシシランおよびエーテルから選択され得る。
【0033】
アルコキシシランとしては、式(R(RSi(ORであり、ここで、aおよびbは0~2の整数であり、cは1~4の整数であり、(a+b+c)は4であり、R、R、およびRは、。炭素数1~18のラジカルであり、任意のヘテロ原子を含むアルコキシシランが好ましい。特に好ましいケイ素化合物は、aが1、bが1、cが2であり、RおよびRの少なくとも1つが、任意のヘテロ原子を含む炭素数3~10の分岐アルキル、シクロアルキルまたはアリールから選択され、RがC~C10アルキル、特にメチルである。このような好ましいケイ素化合物の例としては、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)、ジフェニルジメトキシシラン、メチル-t-ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン、(2-エチルピペリジニル)t-ブチルジメトキシシラン、(2-エチルピペリジニル)テキシルジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)(2-エチルピペリジニル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、N,N-ジエチルアミノトリエトキシシランが挙げられる。さらに、aが0であり、cが3であり、Rが任意のヘテロ原子を含む分岐アルキルまたはシクロアルキルであり、Rがメチルであるケイ素化合物も好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例としては、シクロヘキシルトリメトキシシラン、tert-ブチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランが挙げられる。また、欧州特許第1538167号明細書に記載のアミノシランも使用できる。
【0034】
エーテルの中でも、WO2011/015553に記載のアルコキシベンゼン、テトラヒドロフランなどの環状アルキルエーテル、EP362705およびEP728769に記載の1,3-ジエーテルが好ましい。
【0035】
好ましいエステルは、安息香酸エステルのような芳香族カルボン酸モノエステル、特に安息香酸のC~C10アルキルエステル、脂肪族モノカルボン酸のC~Cアルキルエステルのような脂肪族カルボン酸モノエステルから選択でき、酢酸エチルがその一例である。
【0036】
別の興味深いクラスは、フタル酸エステルのような芳香族ジカルボン酸のC~C10アルキルエステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステルのような脂肪族ジカルボン酸のC~C10アルキルエステルなどが好ましい。さらに、米国特許第7,388,061号および国際公開第2010/078494号に開示されているもののようなジオールのジエステルも使用することができる。
【0037】
好ましいエステルは、酢酸エチル、フタル酸ジイソブチル、p-エトキシベンゾエチル、2,3-ジイソプロピルコハク酸ジエチルである。
【0038】
好ましいアルコールは、式ROHのアルコールであり、ここで、R基は、C~C20炭化水素基である。好ましくは、Riは、C~C10アルキルである。具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。
【0039】
予備重合は、25~100℃、好ましくは30~80℃、より好ましくは30~70℃の温度範囲で液相(スラリーまたは溶液)または気相中で行うことができる。さらに、それは、特に液体炭化水素から選択される液体希釈剤中で行われることが好ましいこれらの中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。エチレン供給量は、好ましくは0.08gC2/gcat/hを超え、より好ましくは0.16gC2/gcat/h~1.6gC2/gcat/hの範囲である。
【0040】
予備重合触媒成分の粒子は、平均粒径が15~200μm、好ましくは20~150μm、より好ましくは25~100μmである実質的に球状の形態を有する。実質的に球状の形態を有する粒子としては、長径と短径との比が1.5以下、好ましくは1.3以下である粒子を意味する。
【0041】
このようにして得られた予備重合触媒は、そのまま重合に使用することもできるし、さらなる処理に供することもできる。特に、予備重合に使用される固体触媒成分が内部電子供与体を含まない場合、プレポリマー上での電子供与体の担持を含むプレポリマー処理の好ましい実施形態を構成する。電子供与体は、既に記載した内部供与体の中から選択することができ、適切な液体炭化水素媒体中でプレポリマーと電子供与体を接触させ、次いで乾燥により除去することによって行うことができる。あるいは、電子供与体化合物は、プレポリマーを前記電子供与体化合物を含むガス流と接触させることによって、プレポリマーと接触させてもよい。この技術は、非予備重合触媒成分にも適用可能であり、PCT/EP2020/081034に開示されており、その関連部分は参照により組み込まれる。
【0042】
予備重合触媒は、電子供与体化合物と接触した後も非立体特異性を維持することが好ましい実施形態を構成する。好ましくは、電子供与体は、酢酸エチルなどの脂肪族または芳香族カルボン酸のエステル、テトラヒドロフランなどのシクロアルキルエーテルから選択される。より好ましくは、電子供与体は、国際公開第2018/114453号パンフレットに記載されているような上記の混合物を含み、その関連部分は参照により組み込まれる。
【0043】
さらなる可能な処理は、少なくとも1つのTi-ハロゲン結合を含むチタン化合物とのさらなる反応、ハロゲン化剤による処理、およびアルミニウムアルキルによる処理である。
【0044】
説明したように、供与体組成、気孔率および極限粘度の特定の組み合わせを有するこのように得られた予備重合触媒成分は、エチレンの(共)重合に使用することができ、規則的な形態を有するポリマーを高収率で得ることができ、特に、高いかさ密度および少量のポリマー微粒子で表されるポリマーを得ることができる。特に、気相重合では、500μm未満、特に300μm未満の粒径を有するポリマー粒子の割合が、従来技術の予備重合触媒よりも減少する。特定の実施形態では、500μm未満の粒径を有するポリマー粒子の割合は25重量%を超えて減少し、300μm未満のポリマー粒子の割合は50%を超え、好ましくは70%を超えて減少することができる。また、予備重合触媒は、エチレンとアルファオレフィンとの共重合において生成し、所定のポリマー密度に関してキシレン可溶性画分の含有量が低いLLDPEポリマーの製造を可能にする。
【0045】
特に、前記エチレン(共)重合プロセスは、(A)上記予備重合触媒成分および(B)上記タイプのAl-アルキル化合物を含む触媒の存在下で行うことができる。本重合プロセスでは、予備重合プロセスよりもAl量が多くなり好ましくは、Al化合物は、Al/Ti比が1より大きく、一般に20~800の間に含まれるような量で使用される。上記の外部電子供与体化合物(C)は、エチレン重合プロセスで使用することができる。
【0046】
本開示の触媒は、当技術分野で知られている任意のオレフィン重合プロセスで使用することができる。これらは、例えば、希釈剤として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー重合、または反応媒体として液体モノマーを使用する塊状重合に使用することができる。特に、気相中で行われる重合プロセスに好適に使用される。気相プロセスは、流動または撹拌される固定床反応器、または互いに連結された2つの重合ゾーンを含む気相反応器で実施されてもよく、一方の重合ゾーンは急速流動条件下で作動し、他方の重合ゾーンではポリマーが重力下で流動する。また、両方のタイプの気相反応器を組み合わせて使用することもできる。好ましい実施形態では、触媒は、多段気相プロセスにおいてエチレンを重合するために使用され、第1ステップは流動層気相反応器で行われ、次のステップは第2気相反応器で行われ、第2気相反応器は、2つの互いに連結された重合ゾーンを含み、一方の重合ゾーンは急速流動条件下で作動し、他方の重合ゾーンではポリマーが重力下で流動する。
【0047】
必須ではないが、主に予備重合セクションを含まない重合プラントのセットアップで使用することを目的としている。実際、触媒には経時変化の問題がないため、バッチ規模で予備重合し、予備重合ラインなしで稼働する液相または気相オレフィン重合プラントで使用できる。
【0048】
このように、本重合プロセスでは、予備重合時よりもAlの量が多くなる。好ましくは、Al化合物は、Al/Ti比が20より大きく、一般に50~800の間に含まれるような量で使用される。
【0049】
上記の重合プロセスは、当業者が公知の重合条件で行うことができる従って、重合は通常20~120℃、好ましくは40~90℃の温度で行われる。
【0050】
任意の重合方法(液相重合または気相重合)において、触媒形成成分(A)および(B)は、重合反応器に添加する前に予め接触させることができる。触媒形成成分は、約60℃未満、好ましくは約0℃~30℃の温度で、プロパン、n-ヘキサンまたはn-ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒と10秒~60分間接触させることができる。
【0051】
上記のプロセスは、種々のポリエチレン製品の製造に好適である。例えば、以下の製品を製造することができる:高密度エチレンポリマー(HDPE、密度が0.940g/cmより高い)は、エチレンホモポリマーと、炭素数3~12のエチレンと(-α-オレフィンとのコポリマーとを含むもの;線状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度が0.940g/cm未満);および超低密度および極低密度(VLDPEおよびULDPE、密度が0.920g/cm~0.880g/cm)であって、エチレンと、炭素数が3~12でエチレン由来の単位のモル含量が80%を超える1個以上の(-α-オレフィンとのコポリマーからなるもの。
【0052】
以下の実施例は、本発明をより良く説明するために示すものであり、本発明を限定するものではない。
特徴評価
【0053】
プロパティは次の方法に従って決定される。
【0054】
かさ密度ASTM D 1895/96方法A
【0055】
MIE フローインデックス: ASTM-D 1238条件E
【0056】
極限粘度:テトラヒドロナフタレン中、135℃で測定
5gの予備重合触媒を撹拌しながら30分間処理した。水(50ml)、アセトン(50ml)、HCl(20ml)を含む混合物でろ過し、水とアセトンで洗浄した後、残留物を70℃の真空オーブンで2時間乾燥した。
このようにして得られたサンプルを135℃でテトラヒドロナフタレンに溶解した後、溶液を毛細管粘度計に注入した。粘度計管(ウベローデ型)は円筒形のガラスジャケットで囲まれている。これにより、循環サーモスタット付き液体による温度制御が可能となる。上部ランプの前方のメニスカスは、水晶発振器を有するカウンタを起動することで実現される。カウンタが下部ランプを通過すると、メニスカスはカウンタを停止し、ハギンズ方程式で極限粘度値に変換して流出時間を記録し、同じ実験条件(同じ粘度計と同じ温度)で純溶媒が流れた時間を知ることができる。単一ポリマー溶液を用いて[η]を測定した。
【0057】
標準プロピレン重合試験の一般手順
【0058】
撹拌機、圧力計、温度計、触媒供給システム、モノマー供給ラインおよび恒温ジャケットを備えた4Lの鋼製オートクレーブを使用した。反応器に固体触媒成分0.01gと6.6mmol TEALを充填した。さらに、1.6kgのプロピレンと1.5NLの水素を加えた。10分以内に系を70℃に加熱した。撹拌しながら、これらの条件下で120分間保持した。重合終了時に、未反応モノマーを除去してポリマーを回収し、真空乾燥した。
【0059】
このようにして製造されたポリマー2.5gとオルトキシレン250mlを冷却器と還流凝縮器を備えた丸底フラスコに入れ、窒素ガス下に保持した。得られた混合物を135℃に加熱し、約60分間保持して撹拌した。最終溶液を連続撹拌下で0℃まで冷却し、次いで0℃で不溶性ポリマーを濾過した。その後、ろ過液を窒素ガス流中140℃で蒸発させ、一定重量にした。キシレン可溶画分の含有量は、元の2.5gに対するパーセンテージで表され、差分でX.I%を表す。
【0060】
気相エチレン重合(HDPE)の一般手順
【0061】
ガス循環系、サイクロン分離器、熱交換器、温度および圧力計、エチレン、プロパン、水素供給ライン、および触媒系の触媒を流動層反応器に注入する0.6L鋼反応器を備えた16.0Lステンレス鋼流動層反応器内で重合を行った。
【0062】
すべての運転において、流動層反応器内の気相組成は以下の通りである:プロパン(63モル%)、エチレン(12モル%)、水素(25モル%)。80℃で24バールの全圧力に達した。
【0063】
100mL三口ガラスフラスコに、無水ヘキサン20mL、TEA 0.6g、触媒成分0.20gの順に添加した。室温でこれらを5分間一緒に撹拌した後、プロパン100gとともに0.6Lの反応器に導入した。触媒系を流動層反応器に導入する前に、反応器を15分ごとに30℃に維持した。重合試験は80℃で2時間続いた。その後、重合を停止し、ポリマーを排出し、乾燥して特徴づけを行った。
実施例
【0064】
実施例1
【0065】
球状担体(MgCl/EtOH付加物)の製造方法
【0066】
米国特許第4,399,054号の実施例2に記載の方法に従って、塩化マグネシウムおよびアルコール付加物を製造した、10000 RPMではなく2000 RPMで動作した。この付加物は、約3モルのアルコールと約2.5重量%のHOとを含み、約55μmの平均サイズを有する。この付加物を窒素流下、50~150℃の温度範囲で、アルコールの重量含有量が25%に達するまで熱処理した。
【0067】
非立体特異性触媒成分の製造手順
【0068】
窒素ガスでパージされた2Lの反応容器に、0℃で1LのTiClを導入した。次いで、同じ温度で、上記のように調製した25重量%のエタノールを含有する球状MgCl/EtOH付加物70グラムを撹拌しながら加えた。
【0069】
温度を2時間で130℃まで上昇させ、60分間維持した。次いで、撹拌を中止し、固体生成物を沈降させ(130℃に保ちながら1時間)、上澄み液を吸い出した。再び全スラリー1Lを得るために、一定量の新鮮なTiClを反応器に導入し、撹拌しながら温度を130℃に上昇させた。この温度を15」に保持した後、撹拌を停止して固体を沈殿させ(130℃で1時間)、上澄み液を吸い出した。
【0070】
その後、固体残留物を50℃で2回、25℃で3回、ヘキサンで洗浄し、30℃で真空乾燥し分析した。
【0071】
この球形固体は、マグネシウム含有量が19.0重量%、平均粒径(P50)が57ミクロンである。
【0072】
中間固体成分は、上記の一般的な方法を使用して、プロピレン重合において試験された。この試験により得られたポリマーは、48.1重量%のキシレン不溶化画分を有する。
【0073】
エチレン予備重合
【0074】
撹拌機を備えた1.5Lのガラス反応器に、30℃のヘキサン2Lを加え、撹拌しながら、上記のように調製した触媒成分100gを30℃で導入した。内部温度を一定に保ちながら、i-ヘキサン中で0.32gのシクロヘキシルメチルジメトキシシランと予め混合した3.2gのトリ-n-オクチルアルミニウム(TnOA)を反応器にゆっくりと導入した。30分間撹拌した後、一定の流量を維持しながら、110gのエチレンを50℃の温度で2時間かけて反応器に導入した。反応器内のエチレンの消費を監視し、触媒1g当たりポリマー1.1gの理論転化率に達したとみなされた時点でモノマー供給を中止した。供給されたすべてのモノマーが確実に変換されるように、反応をさらに1時間継続した(熟成ステップ)。プレポリマー粒子を沈降させ、50℃の温度でヘキサンで2回(60g/L)、室温でヘキサンで1回洗浄し、真空下30℃で乾燥させた。予備重合触媒を気孔率および平均分子量(極限粘度)に関して分析した。予備重合条件およびプレポリマーの特性評価に関するデータを表1に示す。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相エチレン重合(HDPE)に用い、その結果を表2に報告する。
【0075】
比較例C1
【0076】
実施例1に記載した手順に従って触媒を製造したが、予備重合プロセスは、外部電子供与体化合物を添加することなく行われ、予備重合プロセスの温度は20℃未満である。TnOAを、0.5のAl/Tiモル比を有するような量で添加し、110グラムのエチレンを合計3時間で供給した。表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相エチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0077】
実施例2
【0078】
反応器にシクロヘキシルメチルジメトキシシランを1.65g、エチレンを110g、反応器に一定の流量で導入し、反応器の温度を30℃に維持し、温度30℃で40分以内に予備重合プロセスを行った以外、実施例1に記載の手順に従って触媒を製造した。表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相法によるエチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0079】
実施例3
反応器の温度が50℃である以外、実施例2に記載の手順に従って触媒を製造した表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相法によるエチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0080】
実施例4
シクロヘキシルメチルジメトキシシランの代わりに0.63gのTHFを使用した以外、実施例2に記載の手順に従って触媒を製造した。表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相法によるエチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0081】
実施例5
【0082】
シクロヘキシルメチルジメトキシシランの代わりに3.9gのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(DOSS)を使用した以外、実施例2に記載の手順に従って触媒を製造した。表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相法によるエチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0083】
実施例6
【0084】
外部供与体を使用しなかった以外、実施例2に記載の手順に従って触媒を製造した。表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相法によるエチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0085】
実施例7
【0086】
予備重合プロセスのために反応器の温度を30℃に維持したまま360分以内に110gのエチレンを一定の流量で反応器に導入したことと、反応器の温度を30℃に維持したこと以外、実施例2に記載の手順に従って触媒を製造した。表1には触媒の組成と特性も報告されている。このようにして得られた予備重合固体触媒成分を気相法によるエチレン重合に用い、その結果を表2に報告する。
【0087】
表1.予備重合の条件と特徴評価
【表1】
【0088】
表2.HDPE気相重合
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Ti、Mgおよびハロゲンと、モル比(BE)/Tiが0~0.3の範囲となる量の任意の二座電子供与体化合物(BE)とを含む固体触媒成分と、(b)前記固体触媒成分1gあたり0.1~30g/g未満の範囲のような量のエチレン(コ)ポリマーと、を含むオレフィン重合用予備重合触媒成分であって、テトラヒドロナフタレンにて135℃で測定された極限粘度が少なくとも3.0dl/gであり、水銀法で測定された気孔率が0.1~1.0cm/gの範囲にある、ことを特徴とするオレフィン重合用予備重合触媒成分。
【請求項2】
前記極限粘度は4.5~15dl/gである、請求項1に記載の予備重合触媒成分。
【請求項3】
前記エチレン(コ)ポリマーは、エチレンホモポリマーまたは式CH=CHR(ここで、Rは、C-C直鎖アルキルである。)から選択されるα-オレフィンを5%モル未満、好ましくは3%モル未満含むエチレンコポリマーであり、前記エチレン(コ)ポリマーの量が前記固体触媒成分1g当たり0.5~2.5gである、請求項1に記載の予備重合触媒成分。
【請求項4】
最大1mの細孔による水銀気孔率が0.2~0.9cm/gである、請求項1に記載の予備重合触媒成分。
【請求項5】
嵩密度が0.34~0.50g/cmである、請求項1に記載の予備重合触媒成分。
【請求項6】
前記固体触媒成分は、さらに、脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルおよびシクロアルキルエーテルから選択される1種または2種以上の単座(MD)電子供与体化合物を、(MD):Ti比が0.1:1~25:1の範囲のような量で含む、請求項1に記載の予備重合触媒成分。
【請求項7】
(A)請求項1に記載の予備重合触媒成分と(B)Al-アルキル化合物を含む触媒の存在下で行われる、エチレンの(共)重合方法。

【国際調査報告】