(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ばねヘッドねじ組立体
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
F16B35/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555133
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022056073
(87)【国際公開番号】W WO2022189526
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021105698.5
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522357286
【氏名又は名称】エジョット エスイー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】EJOT SE & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ヘルミヒ,ラルフ ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】コルン,ダーヴィト
(57)【要約】
本発明は、ヘッド部(12)に隣接するねじ山シャンク部の自由端部に向かって広がる円錐スカート部(14)を備えたヘッド部(12)を有するばねヘッドねじ(10)を含む、ばねヘッドねじ組立体(8)であって、ばねヘッドねじ組立体(8)は、スカート部とシャンク部(16)のねじ山部分(20)との間において、ボルト径(d0)を有するシャンク部の非ねじ山部分(18)に位置する座金(30)を有し、スカート部の内面(22)は、半径部(R
U)においてシャンク部に移行し、内面(22)は、支持面(EA)と接触角度(α)を形成し、支持面は、ねじの自由端部に面するスカート部の端部によって画定され、ねじ軸に対して垂直である、ばねヘッドねじ組立体に関する。本発明は、シャンク部が、支持面とスカート部への移行部における半径部との間に、ボルト径を有する円筒状領域を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部(12)に隣接するねじ山シャンク部(16)の自由端部に向かって広がる円錐スカート部(14)を備えた前記ヘッド部(12)を有するばねヘッドねじ(10)を含む、ばねヘッドねじ組立体(8)であって、前記ばねヘッドねじ組立体(8)は、前記スカート部(14)と前記シャンク部(16)のねじ山部分(20)との間において、ボルト径(d0)を有する前記シャンク部(16)の非ねじ山部分(18)に位置する座金(30)を有し、前記スカート部(14)の内面(22)は、半径部(R
U)において前記シャンク部(16)に移行し、前記内面(22)は、支持面(EA)と接触角度(α)を形成し、前記支持面(EA)は、前記ねじの自由端部に面する前記スカート部(14)の端部によって画定され、ねじ軸に対して垂直であり、前記シャンク部(16)が、前記支持面(EA)と前記スカート部(14)への移行部における前記半径部(R
U)との間に、前記ボルト径(d0)を有する円筒状領域を有する、ばねヘッドねじ組立体。
【請求項2】
前記座金(30)は、前記シャンク部(16)の隣接する前記ねじ山部分(20)の外径(dA)より小さい内径(Di)を有する孔を有する、請求項1に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項3】
前記半径部(R
U)は、接線状に前記シャンク部(16)に移行する、請求項1または2に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項4】
前記半径部(R
U)は、接線状に前記スカート部(14)の前記内面(22)に移行する、請求項3に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項5】
前記支持面(EA)において、前記スカート部(14)は支持内径(DKA)を画定し、前記半径部(R
U)は、(DKA-d0)/2×tan(α)×係数未満であり、前記係数は0.5未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項6】
前記係数は0.2~0.4である、請求項1~5のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項7】
前記座金(30)の前記内径(Di)は、前記ボルト径(d0)の1.07倍未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項8】
前記角度(α)は、20°~40°、特に28°~32°である、請求項1~7のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項9】
前記スカート部(14)の厚さは、前記ヘッド部の前記支持内径(D
A)の約5%~15%である、請求項1~8のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項10】
前記座金(30)は、係留されるように前記ばねヘッドねじ(10)に取り付けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体(8)を自動で取り付ける方法であって、前記ばねヘッドねじ(10)を、クランプ部分(42)を介して挿入し、前記クランプ部分(42)の下に位置する部分構造(44)に締結し、前記ばねヘッドねじ(10)を、所定のトルクに達するまで締め付け、前記トルクを検出すると、前記ばねヘッドねじ(10)を所定の回転角度でさらにねじ込む、方法。
【請求項12】
前記所定の回転角度は少なくとも180°である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載のばねヘッドねじ組立体(8)と、前記ばねヘッドねじ(8)がねじ込まれる部分構造(44)とを含み、クランプ部分(42)が、前記ばねヘッド組立体(8)と前記部分構造(44)との間の位置にクランプされ、前記クランプ部分は、所定の温度に曝されて所定の接触圧力を受けるときに、クリープ距離によって、前記座金(30)の軸受表面の領域において厚さが小さくなり、前記ばねヘッドねじ組立体(8)は、前記ねじを締め付けると、前記シャンク部(16)の伸長と前記スカート部(12)のばね行程との合計が前記クリープ距離の長さを超えるように設計されている、部品接続。
【請求項14】
請求項10または11に記載の方法を使用することによって作製される、請求項13に記載の部品接続。
【請求項15】
前記ばねヘッドねじ組立体は鋼から作製され、前記クランプ部分は銅から作製される、請求項13または14に記載の部品接続。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載するばねヘッドねじ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、例えば特許文献1において、ばねヘッドねじが知られており、該ばねヘッドねじは、ねじのヘッド部から延びる皿ばねの様式の円錐スカート部を有し、該スカート部は、ばねヘッドねじの自由端部に向かって広がっている。円錐スカート部の内面は、半径部においてねじ山シャンク部に移行する。ねじの自由端部に面するスカート部の端部は、特にねじ軸に対して垂直である、特に支持面を形成する、接触領域を有する。円錐スカート部の内面は、支持面と接触角度αを形成する。
【0003】
この種類のねじは、部品の厚さが経時で小さくなる部分構造にクランプ部分を締結するために使用され、そうした状況において、ばねヘッド部は予圧を保つように機能する。
【0004】
特に、一部の材料は、温度変化に曝されると、それぞれの場合に加わる予圧力によって著しいクリープ変形を受ける。
【0005】
既知の先行技術における設計の欠点は、座金がねじに引っかかるねじ接合部の不良のリスクである。また、例えば、ねじ込んだ状態で長時間、80℃~約160℃を超える温度に曝されると、予圧力が、許容し得る最小値より低くなる程度まで経時で低下することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016100446号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、とりわけ、クリープ変形が特にクランプ部分の高接触圧力領域において生じるという見解に基づく。
【0008】
より高い温度に曝されたときの予圧力の保持を向上させたばねヘッドねじ組立体を提供すること、および組立体の安全性を高めることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の前提部の特徴と併せて、請求項1に記載する特徴によって達成される。
【0010】
従属項は本発明のさらなる有利な実施形態に関する。
【0011】
既知の様式において、ばねヘッドねじ組立体は、皿ばねの様式でヘッド部から延びる円錐スカート部を有するばねヘッドねじを含み、該スカート部は該ばねヘッドねじの自由端部に向かって広がっている。円錐スカート部の内面は、半径部においてねじ山シャンク部に移行する。スカート部は、ねじの自由端部に面するその端部において、特にねじ軸に対して垂直である、特に支持面を形成する、接触領域を有する。円錐スカート部の内面は、支持面と接触角度αを形成する。
【0012】
本発明は、シャンク部のねじ山部分とばねヘッドねじのスカート部との間に配置されるとともに、シャンク部が通過する座金を提供する。結果として、座金は、組み立てた状態で、保持される部品とスカート部との間に位置する。
【0013】
座金は、スカート部によって部品に加えられる接触圧力を低下させるように機能する。これにより、同じ予圧力に対して、クランプ部分のクリープ変形の大きさを小さくすることが可能である。
【0014】
座金は、シャンク部の非ねじ山部分に、好ましくは係留されるように保持され、シャンク部の非ねじ山部分は、ヘッド部とシャンク部のねじ山部分との間に位置し、ボルト径を有する。座金の内径は、好ましくはねじ山の外径とボルト径との間である。
【0015】
上述の本発明に係るねじは、シャンク部が、支持面とスカート部への移行部の領域の半径部との間に、特にボルト径と等しい直径を有する円筒状領域を有するように設計されている。
【0016】
ねじのヘッド部に面する座金表面は、座金が単にスカート部に接するのみであるとき、支持面内にあることとなる。
【0017】
支持面とシャンク部の移行部と間の円筒状領域の存在によって、半径部を有する、シャンク部とスカート部との間のシャンク部の移行部が、所望のスカート部の予圧に達していないにもかかわらずばねヘッドねじをねじ込んでいるときに座金に対して重みをかけ、ねじ込みトルクがプロセスを制限するように増大し得る可能性を、下げ得る。
【0018】
本発明において、このように、支持面とシャンク部の移行部との間の円筒状領域によって、シャンク部の移行部が座金に対して重みをかけることなく、より大きなねじ込み角度でねじを締め付けることができる。これにより、スカート部の弾性ばね行程をより信頼性が高く利用する。
【0019】
このように、巻かれた係留座金に必要とされるように、座金の内径がシャンク部の直径に比べて単に極めてわずかに大きいということが、例えば、ねじ込み角度に負の影響を与えることなくなされ得る。これはまた、シャンク部の直径と比較して大きい許容範囲を有する座金の内径によって、座金が偏心して位置する場合にシャンク部の移行部と座金との間に生じるブロックの可能性を大きく下げる。
【0020】
この本発明に係る方策によって、ばねヘッドねじのヘッド部のばね領域を増大させることができ、これが、より高い温度に曝されたときに予圧力の保持を向上させることにつながる。
【0021】
好ましくは、半径部からシャンク部およびスカート部への移行部は接線状であり得る。これは、動作安全性をより高めるため、スカート部において均質な応力分布をなし、切欠き効果を下げるという利点を有する。
【0022】
支持面において、スカート部には支持内径DKAの環状表面を形成する。シャンク部の非ねじ山部分はボルト径d0を有する。
【0023】
本発明の他の好ましい実施形態では、シャンク部からスカート部の内面への移行部における半径部は、tan(α)×係数×(DKA-d0)/2未満とし得、係数は0.5未満であり、好ましくは0.2~0.4である。
【0024】
したがって、シャンク部の移行部における半径部は以下の式を満たす。
RU<tan(α)×係数×(DKA-d0)/2|係数<0.5
【0025】
好ましくは、座金の内径は、ヘッド部とシャンク部のねじ山部分との間の非ねじ山部分におけるシャンク部の直径の1.07倍未満である。
【0026】
さらに他の好ましい実施形態では、接触角度αは、20°~40°、特に28°~32°である。これにより、所望の予圧力において十分な回転角度枠を組立体において利用可能であるという利点がもたらされる。
【0027】
他の有利な実施形態では、スカート部の厚さが支持内径の約5%~15%である。スカート部の厚さは、生成することができる予圧力の範囲を調整するために使用され得る。
【0028】
本発明の他の態様では、本発明に係るばねヘッドねじを自動で取り付ける方法を提供する。この方法において、ばねヘッドねじを、所定のトルクに達するまで締め付け、該トルクが検出されると、ばねヘッドねじを所定の回転角度でさらにねじ込む。
【0029】
所定の角度は少なくとも180°であり、所定のトルクは、好ましくは、各適用に対して規定したねじ込みトルクより大きく、スカート部の塑性変形をなすために加える必要があるトルクよりも小さい。
【0030】
塑性変形領域は、各適用において容易に判定することができ、これは、初期の塑性変形領域において、トルク増大が目立って横ばいになり、スカート部が完全に塑性変形するまで、ねじ込み角度のトルクグラフが一定になり、ねじ込み角度が増大するとトルクは再び急激に増大するためである。
【0031】
所定のトルクは、好ましくは、塑性変形に必要とされるトルクと、各適用に対して規定されるねじ込みトルクとの中間である。
【0032】
上述の種類のばねヘッドねじを取り付ける方法において、各予圧を受けるとき、および対応する温度に曝されるときに著しいクリープ変形を受ける材料から作製される、取り付けられるクランプ部分を、ばねヘッドねじが取り付けられる部分構造に接合するために、ばねヘッドねじが使用される。
【0033】
本発明のさらに他の態様では、本発明は、ばねヘッドねじおよび座金を含む、上述のようなばねヘッドねじ組立体と、ばねヘッドねじがねじ込まれる部分構造とを含み、クランプ部分が、座金と部分構造との間に位置し、座金と下部部品層との間において予圧下で保持される、そうした部品接続に関する。
【0034】
スカート部の縁部領域が座金に対して重みをかけることにより、スカート部を介したクランプ部分への局所の応力伝達を実質的に小さくし、これがクランプ部分材料のクリープを著しく小さくし、したがってクランプ部分のクリープ変形を著しく小さくする。
【0035】
部品接続の用途に対して許容可能な温度範囲において、部品接続を使用したときでも、クランプ部分の厚さは、ばねヘッド部によって加えられる予圧下における最大クリープ距離によるクリープ変形のため、なお小さくなり得る。
【0036】
したがって、ばねヘッドねじ組立体、特にばねヘッドねじは、ばねヘッド部の弾性変形に蓄積されたばね行程およびシャンク部の伸長に蓄積されたねじの伸長が、許容可能な温度範囲における最大クリープ距離よりも大きい全行程をもたらすように、寸法を有する。
【0037】
これにより、クランプ部分がクリープした場合でもクランプ部分に予圧を確実に加えることができる、ばね行程を蓄積しておく。したがって、同じ予圧およびねじ直径において、全行程が従来のねじのシャンク部の伸長を超える。
【0038】
好ましくは、所定の時間における全行程と最大クリープ距離との間の差は、最小予圧が部品に加えられるばね行程に対応する。これは、座金およびスカート部が適切な寸法を有することで達成される。
【0039】
最小予圧は、特定の適用および部品接続に対して予め規定される。
【0040】
ばねヘッドねじおよび座金はそれぞれ、例えば鋼から作製され、クランプ部分は好ましくは銅部分である。
【0041】
ばねヘッドねじ組立体は、例えば、電気的接触部の第2の部品との解放可能な電気的接触部を提供するクランプ部分を接続するために使用される。したがってまた、予圧を維持することにより、広い温度範囲において確実に接触させることができる。第2の部品は、部分構造または他のクランプ部分によって構成され得る。
【0042】
本発明に係るばねヘッドねじ組立体と組み合わせた、提示の方法により、温度の影響下において予圧力を良好に保持するように、本発明に係る部品接続を確実に得ることが可能になる。
【0043】
本発明のさらなる利点、特徴、および可能な適用は、図面に示す実施形態を参照する、以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、本発明におけるばねヘッドねじ組立体の断面図である。
【
図2】
図2は、ばねヘッドねじ組立体、クランプ部分、および部分構造からなる、本発明における部品接続である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、皿ばねの様式で円錐状に延びるスカート部14を有するヘッド部12を有するばねヘッドねじ10を含む、本発明に係るばねヘッドねじ組立体8の図である。スカート部14には、ばねヘッドねじ10の自由端部に面するとともに、ねじ軸Aに対して実質的に垂直である支持面EAを形成する。
【0046】
円錐スカート部14は支持面EAにおける内径を形成し、その直径を支持内径DKAと呼ぶ。
【0047】
また、ばねヘッドねじ10はシャンク部16を含み、該シャンク部は、ボルト径d0と呼ぶ直径の非ねじ山部分18を、ヘッド部12に面するその端部に有する。シャンク部16は、ヘッド部12と反対である、ねじ10の自由端部の方向において、ねじ山部分20を有し、該ねじ山部分はボルト径d0より大きい外径dAおよび典型的にボルト径d0より小さいコア径dKを有する。
【0048】
上述の本発明に係るばねヘッドねじ組立体8は、ばねヘッドねじ10のシャンク部16に巻かれた係留座金30をさらに含む。したがって、座金30は、シャンク部16のねじ山部分20の外径dAより小さいが、ボルト径d0より大きい内径Diを有する。
【0049】
上述の本発明に係るばねヘッドねじ10において、シャンク部16の非ねじ山部分18は半径部RUにおいてスカート部14に移行し、シャンク部16の他の非ねじ山部分18は、ボルト径d0を有する部分である、支持面EAと半径部RUとの間に設けられる。
【0050】
これは、ばねヘッドねじ10では、ヘッド部の重心がスカート部14のばね行程によって座金30に向かって移動する締め付けプロセスにおいて、座金30が、軸方向においてより長い円筒状領域にわたるシャンク部16からスカート部14への移行部において広がるシャンク部の移行部に対して重みをかけられないようになるという利点を有する。これにより、ばねヘッドねじ10を弾性領域において座金30と共に使用可能な範囲が増大する。
【0051】
本設計において、スカート部14の内面22と支持面EAとの間の角度を示す接触角度αは30°である。
【0052】
ヘッド部の下側の形状の半径部RUは、(DKA-d0)/2×tan(α=30°)×係数によって与えられ、本例では係数は約0.3である。
【0053】
半径部RUは、接線状にシャンク部16およびスカート部14の両方に移行する。
【0054】
これにより、確実に、ねじ込み方向におけるヘッド部12の重心の軸方向の変位が、プロセスを制限するようなトルク増大をもたらし得る、シャンク部からヘッド部への移行部により座金30に対して重みをかけることを早まって起こさせないこととなる。
【0055】
これにより、予圧下における、特にクランプ部分のクリープをよりよく考慮することができ、また、予圧力の保持も向上する。
【0056】
図2は、座金30を有する本発明に係るばねヘッドねじ10と、ばねヘッドねじ10がねじ込まれる部分構造44とを含み、クランプ部分42が座金30と部分構造44との間にクランプされ、ばねヘッドねじ10のスカート部14がクランプ部分42に予圧力を加える、部品接続40の図である。本例において、クランプ部分42は、温度影響下において部分構造44よりもクリープ挙動がより高い。また、座金30と部分構造44との間には多数のクランプ部分をクランプすることも可能である。
【0057】
部品接続40の設計では、意図した使用条件下で、すなわち予圧、温度プロファイル、および時間のもとで、いくらかのばね行程がなお存在する程度にばねヘッドねじがクランプ部分のクリープを補うように、部品が互いに適合されている。したがって、ばねヘッドねじはクランプ部分42に最低限の予圧力を加える。
【0058】
例えば、クランプ部分42は部分構造44と電気的に接触する。
【0059】
ばねヘッドねじ10および座金30はそれぞれ、例えば鋼から作製され、クランプ部分42は銅から作製される。
【0060】
座金30は、係留されるようにばねヘッドねじ10に保持され、これはその取り付けを容易にする。
【国際調査報告】