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特表2024-509255多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具
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  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図1A
  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図1B
  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図1C
  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図2
  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図3A
  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図3B
  • 特表-多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】多機能家具に使用するためのフレーム及びそのフレームを備えた家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 85/00 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A47B85/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555139
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 NL2021050651
(87)【国際公開番号】W WO2022191698
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2027719
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523340122
【氏名又は名称】マーカント インターナショナル ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】MARKANT INTERNATIONAL B.V.
【住所又は居所原語表記】Elzenkade 1, 3992 AD Houten (NL)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ベルトマン,ジャン
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260AA01
3B260AA02
3B260AB01
3B260AB04
(57)【要約】
本発明は多機能家具において使用するためのフレームに関し、家具は、互いに上下に配置された一連の変位可能な棚と、この一連の上に配置された固定棚とを備える、キャビネットとしての第一使用位置を有し、及び、テーブルとしての第二使用位置を有する。本発明はまた、上述の1つ又は複数のフレームを備えた多機能家具に関する。
【選択図】 図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能家具(200)において使用するためのフレーム(1)であって、前記家具(200)は、一方が他方の上に配置された一連の変位可能な棚(202)と、前記一連の棚の上方に配置された固定棚(201)とを備えるキャビネットとしての第一使用位置と、テーブルとしての第二使用位置であって、前記一連の棚(202)が水平に接続され、前記家具(200)の前記固定棚(201)とともにテーブルのトップを形成し、前記固定棚(201)が前記家具(200)の後側に近い方に配置される該テーブルとしての第二使用位置とを有し、前記フレーム(1)は、前記固定棚(201)を2以上の直立部(20,21)に取り付けるための第一取付要素(2A,2B)を備え、前記フレーム(1)は、前記一連の変位可能な棚(202)の第一側を取り付けるための第二取付要素(3)と、前記一連の変位可能な棚(202)の第二側を取り付けるための第三取付要素(4)とを備え、前記フレーム(1)は、前記一連の棚(202)を前記第一使用位置から前記第二使用位置に変位させるための第一変位手段を備え、前記第一変位手段は、各々が2つ以上の結合アーム(5A,5B,6A,6B)を備える、第一及び第二平行四辺形構造(5,6)を備え、前記第一変位手段は前記第一取付要素(2A,2B)に配置され、前記第二取付要素(3)は前記第一平行四辺形構造(5)の上側アーム(5A,5B)及び下側アーム(5B)に結合され、前記第三取付要素(4)は前記第二平行四辺形構造の上側アーム(6A)及び下側アーム(6B)に結合され、前記フレーム(1)は前記第二使用位置において前記第一変位手段をロックするためのロック手段を備え、
前記ロック手段が、前記平行四辺形構造(5,6)の前記下側アーム(5B,6B)を前記第一取付要素(2A,2B)の少なくとも1つにロックするように配置され、前記固定棚(201)から最も遠い棚(202)のために意図された前記第二及び第三取付要素(3,4)を傾斜させることによって動作可能である、ことを特徴とするフレーム(1)。
【請求項2】
前記平行四辺形構造(5,6)のアームの各々の第一端部は、前記第一取付要素(2A,2B)に第一旋回軸(5C,6C)を中心として旋回可能に配置され、前記平行四辺形構造の各々の前記下側アーム(5B,6B)の前記第一旋回軸(5C,6C)は、第一位置と第二位置との間の距離(D)にわたって変位可能であり、前記第一位置は直立部(20,21)により近い、請求項1に記載のフレーム(1)。
【請求項3】
前記下側アーム(5B,6B)の前記第一旋回軸(5C,6C)は、第一プリテンション手段(7)によって前記第一位置に押し込まれる、請求項2に記載のフレーム(1)。
【請求項4】
第一プリテンション手段(7)は、1つ又は複数のバネ(7)を備える、請求項3に記載のフレーム(1)。
【請求項5】
前記第一取付手段(2A,2B)はそれぞれプロファイル(8)を有し、前記平行四辺形構造(5,6)の前記下側アーム(5B,6B)のそれぞれに、従動要素(9)が配置され、前記プロファイル(8)及び従動要素(9)は、前記下側アーム(5B,6B)の上方への移動中に、前記下側アーム(5B,6B)の前記第一旋回軸(5C,6C)を前記第一プリテンション手段の作用に抗して前記第二位置に押し進めるように配置される、請求項3又は4に記載のフレーム(1)。
【請求項6】
前記従動要素(9)がピン(9)を備える、請求項5に記載のフレーム(1)。
【請求項7】
前記フレーム(1)の使用時に、前記従動要素(9)が前記第二位置に向かって移動する傾斜に起因して、前記従動要素(9)を受容空間(10)から除去することができ、前記従動要素(9)が前記第一位置の方向に移動する、前記変位可能な棚(202)の上側が前記固定棚(201)の上側と同じ平面内にあるときに、前記プロファイル(8)が前記従動要素(9)を受容するための受容空間(10)を備える、請求項5又は6に記載のフレーム(1)。
【請求項8】
前記フレーム(1)が前記第一取付要素(2A,2B)に結合される少なくとも2つの直立部(20,21)を備え、少なくとも1つの直立部(20,21)が第二足部(20B,21B)のためのハウジングを備える第二足部(20B,21B)及び第一足部(20A,21A)を備え、前記第二足部(20B,21B)は前記第二足部(20B,21B)が実質的に前記ハウジング内にある第一位置と、前記第二足部(20B,21B)が部分的に前記ハウジング外にある第二位置との間で変位可能であり、前記フレーム(1)は前記第二足部(20B,21B)を前記ハウジング内外に変位させるための第二変位手段を備え、前記第二変位手段は前記第一変位手段と協働するように配置される、請求項1~7のいずれかに記載のフレーム(1)。
【請求項9】
前記第一足部(20A,21A)が前記ハウジングを形成する、請求項8に記載のフレーム(1)。
【請求項10】
前記第二変位手段は前記第二足部(20B,21B)を前記ハウジング内に押し込むための第二プリテンション手段と、第一端部が前記第二足部(20B,21B)に結合され、第二端部が平行四辺形構造(5,6)のアーム(5A,5B,6A,6B)に結合され、前記アーム(5A,5B,6A,6B)の上方への移動中に、前記第二足部(20B,21B)が前記プリテンション手段の作用に抗して前記ハウジングから外へ移動する、ケーブル(30,31)とを備える、請求項8又は9に記載のフレーム(1)。
【請求項11】
前記第二プリテンション手段は、少なくとも1つのバネを備える、請求項10に記載のフレーム(1)。
【請求項12】
前記ケーブル(30,31)は外側シースを備えるボーデンケーブルを備え、前記外側シースの第一端部は前記第一足部(20A,21A)の外側にしっかりと接続され、前記外側シースの第二端部は第四取付要素(11,12)にしっかりと接続され、第四取付要素は前記第一取付要素(2A,2B)の下で直立部(20,21)の近くに位置する、請求項10又は11に記載のフレーム(1)。
【請求項13】
前記第四取付要素(11,12)は、好ましくは前記第一取付要素(2A,2B)に配置される、請求項12に記載のフレーム(1)。
【請求項14】
前記直立部(20,21)は、高さが調節可能である、請求項8~13のいずれかに記載のフレーム(1)。
【請求項15】
前記フレーム(1)がバックプレートを備え、バックプレートが少なくとも2つのプレートセクションを備え、第一のプレートセクションの下側が前記フレーム(1)の下側及び静止部分に取り付けられ、第二のプレートセクションの上側が前記直立部(20,21)の可動部分に取り付けられ、前記フレーム(1)の動作時に、2つの前記プレートセクションが互いを通り越して移動する、請求項14に記載のフレーム(1)。
【請求項16】
前記固定棚(201)は、ヒンジ式棚セクションを備え、前記ヒンジ式棚セクションは動作時に、少なくとも2つの前記プレートセクションによって閉じられた空間への閉鎖可能な開口部を形成する、請求項15に記載のフレーム(1)。
【請求項17】
前記フレーム(1)は、前記第一及び第二平行四辺形構造(5,6)の変位を同期させるための同期手段を備える、請求項1~16のいずれかに記載のフレーム。
【請求項18】
前記同期手段は、前記上側アーム(5A,6A)の前記第一旋回軸(5C,6C)及び/又は前記下側アーム(5B,6B)の前記第一旋回軸(5C,6C)の回転を同期させるように配置される、請求項2と組合せた請求項17に記載のフレーム(1)。
【請求項19】
前記同期手段は、旋回可能な第一ロッド(40)を備え、第一ロッド(40)は前記上側アーム(5A,6A)の前記第一旋回軸(5C,6C)を接続する、請求項18に記載のフレーム(1)。
【請求項20】
前記同期手段は、旋回可能な第二ロッドを備え、第二ロッドは前記下側アーム(5B,6B)の前記第一旋回軸(5C,6C)を接続する、請求項18又は19に記載のフレーム(1)。
【請求項21】
1つ又は複数の、請求項1~20のいずれかに記載のフレーム(1)を備えた多機能家具(200)であって、前記家具(200)は、前記フレーム(1)の第二取付要素(3)と第三取付要素(4)との間にそれぞれ配置された1つ又は複数の変位可能な棚(202)を備え、前記家具(200)は、前記第一取付要素(2A,2B)上に配置された固定棚(201)を備える、多機能家具(200)。
【請求項22】
前記家具(200)は、後壁(203)を備え、後壁(203)は前記変位可能な棚(202)の後側に当接し、前記家具(200)は前記家具(200)の前記第一使用位置において、前記第一平行構造(5)の前記アーム(5A,5B)と前記第二平行構造(6)の前記アーム(6A,6B)との間に延在し、前記後壁(203)上で前記変位可能な棚(202)の上方に配置される少なくとも1つのプッシュ要素をさらに備える、請求項21に記載の多機能家具(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能家具(multifunctional piece of furniture)において使用するためのフレームに関し、前記家具は、上下に(又は、一方が他方の上に/one above the other)配置された一連の変位可能な(又は、移動可能な/displaceable)棚と、前記一連の棚の上方に配置された固定棚とを備えるキャビネットとしての第一使用位置と、テーブルとしての第二使用位置であって、前記一連の棚が水平に接続され、前記家具の前記固定棚とともに前記テーブルのトップを形成し、前記固定棚が前記家具の後側に近い方に(又は、近づけて/closer)配置される該テーブルとしての第二使用位置とを有し、前記フレームは、前記固定棚を2つ以上の直立部(upright)に取り付けるための第一取付要素を備え、前記フレームは前記一連の変位可能な棚の第一側を取り付けるための第二取付要素と、前記一連の変位可能な棚の第二側を取り付けるための第三取付要素とを備え、前記フレームは、前記一連の棚を前記第一使用位置から前記第二使用位置に変位させるための第一変位手段を備え、前記第一変位手段は、各々が2つ以上の結合アームを備える、第一及び第二平行四辺形構造を備え、前記第一変位手段は前記第一取付要素に配置され、前記第二取付要素は前記第一平行四辺形構造のアームに結合され、前記第三取付要素は前記第二平行四辺形構造のアームに結合され、前記フレームは前記第二使用位置において前記第一変位手段をロックするためのロック手段を備える。
【背景技術】
【0002】
上記プリアンブルによるフレームは、当技術分野で知られている。
【0003】
公知のフレームは、キャビネット内でフレームを使用するとき、キャビネットの棚をより高い位置に移動させることを可能にし、この場合、変位した棚は上側の固定された棚と同じ高さにあり、その結果、家具の機能は、ケースからテーブルに変化する。
【0004】
公知のフレームでは変位した棚のロックは第一平行四辺形構造の2つのアーム間の固定によって行われ、固定はプルロッドを用いて第二取付要素に対して上側アームをロックすることによって行われる。
【0005】
公知のフレームは、固定部から棚の前面まで延在し美的外観の低下を引き起こす操作要素によってロック解除が行われるという第一の欠点を有する。
【0006】
公知のフレームは、フレームの可動部分同士の間でロックが行われ、その結果、クリアランスが生じる可能性があり、変位した棚の上側が固定棚の上側と正確に同じ高さではないという第二の欠点を有する。
【0007】
公知のフレームは、ロックがアームの端部で行われるので、平行四辺形構造のアームの回転を引き起こす変位した棚上の力の程度がほぼ最大であるという第三の欠点を有する。この欠点は、変位した棚の積載能力(carrying capacity)に悪影響を及ぼす。
【0008】
公知のフレームは、第二使用位置(テーブル)において、プルロッドがユーザの脚部及び/又は胴部に当接し得るという第四の欠点を有する。これにより、ユーザの移動により、プルロッドを誤って引き抜く可能性があり、これにより、フレームがロック解除される。これは、危険な状況につながる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の欠点を排除するか、又はそれらの悪影響を低減する、プリアンブルに記載のフレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明による発明のフレームは、ロック手段が平行四辺形構造の下側アームを第一取付要素の少なくとも1つにロックするように配置され、固定棚から最も遠い棚のために意図された第二及び第三取付要素を傾斜させることによって動作可能であることを特徴とする。
【0011】
上記の技術的手段は、フレームの動作に対して以下の効果を有する。
【0012】
第一に、1つの変位部分(displacing part)、すなわち、下側アームと、フレームの固定部分、すなわち、第一取付要素の1つとの間でロックが行われるので、フレーム内のクリアランスが大幅に低減される。これにより、移動した棚の上側を固定棚の上側と正確に高さを合わせて移動させ、維持することが容易になる。
【0013】
第二に、ロックが第一取付要素の1つで行われるので、変位した棚にかかる力のモーメントは、既知のフレームと比較して大幅に低減される。結果として、本発明のフレームの変位した棚の積載能力は、既知のフレームに対して増加する。
【0014】
第三に、プルロッドが見えず、必要とされず、本発明のフレームに、より高い美的外観及びより安全性を与える。
【0015】
本発明によるフレームの好ましい実施形態では、平行四辺形構造のアームの各々の第一端部が第一取付要素に第一旋回軸(又は、ピボット軸/pivot axis)を中心として旋回可能に配置され、平行四辺形構造の各々の下側アームの第一旋回軸は第一位置と第二位置との間で変位可能であり、第一位置は直立部により近い。これらの手段(又は、措置/measures)は、下側アームが第一位置と第二位置との間の距離によって決定される距離にわたって変位されることを可能にする。それは、固定棚から最も遠くに離れた棚の第二及び第三取付要素を傾けることを可能にする。
【0016】
本発明によるフレームのさらに好ましい実施形態では、下側アームの第一旋回軸が第一プリテンション手段によって第一位置に押し込まれる。これらの手段は第二及び第三取付要素、ならびに、フレームの使用時に、取り付けられた変位可能な棚が、変位の間、水平のままであるという効果を有する。
【0017】
好ましくは、第一プリテンション手段が1つ又は複数のバネを備える。
【0018】
本発明によるフレームの洗練された好ましい実施形態では、第一取付手段が各々プロファイル(又は、輪郭/profile)を有し、平行四辺形構造の下側アームの各々に従動要素が配置され、プロファイル及び従動要素は下側アームの上方への移動中、下側アームの第一旋回軸を第一プリテンション手段の作用に抗して第二位置に推し進めるように配置される。これらの手段は平行四辺形構造のアームが限られた領域で変位する間に自動的にプロファイルによって、好ましくは、フレームの使用時に、変位可能な棚が直立部と90度の角度に移動するとき、従動要素が特定の位置でプロファイルと接し、プリテンション手段の作用に抗して第一旋回軸を第二位置に推し進め、その後、第二及び第三取付要素及びフレームの使用時に取り付けられた変位可能な棚がわずかに傾き始めるという効果を有する。
【0019】
好ましくは、従動要素はピンを備える。それによって、プロファイルは、好ましくは第一取付要素の一方の側に形成される。
【0020】
本発明によるフレームのより洗練された好ましい実施形態では、フレームの使用時に、従動要素が第二位置に向かって移動する傾斜に起因して、従動要素が受容空間から除去されることができ、従動要素は第一位置の方向に移動する、変位可能な棚の上側が固定棚の上側と同じ平面にあるときに、プロファイルが従動要素を受容するための受容空間を備える(又は、本発明によるフレームのより洗練された好ましい実施形態では、プロファイルが、フレームの使用時に、変位可能な棚の上側が固定棚の上側と同じ平面にあるとき、従動要素を受容するための受容空間を備え、従動要素は第一位置の方向に移動し、従動要素は従動要素が第二位置に向かって移動する傾斜に起因して受容空間から除去され得る)。これらの手段は、第二及び第三取付要素と、フレームの使用時に配置された変位可能な棚とが、第二及び第三取付要素が第一使用位置から第二使用位置にロックされ得るときにロックされ、フレームの使用時には変位可能な棚の上面が固定棚の上面と同じ平面内にある、という効果を有する。本明細書における下側アームの第一旋回軸は、第一位置に向かって移動する。この手段の第二効果は、傾斜が下側アームの第一旋回軸を第二位置に向かって移動させ、受容空間から出ることであり、これにより、平行四辺形構造のアームは、下方に移動し得る。この下方への移動の間、従動要素はプロファイルから解放され、第一旋回軸は第一プリテンション手段によって第一位置に押し込まれる。
【0021】
本発明によるフレームの実用的な好ましい実施形態では、フレームが第一取付要素に結合される少なくとも2つの直立部を備え、少なくとも1つの直立部は第一足部と第二足部とを備え、第一足部は第二足部のためのハウジングを備え、第二足部は第二足部が実質的にハウジング内にある第一位置と、第二足部が部分的にハウジング外にある第二位置との間で変位可能であり、フレームは第二足部をハウジング内外に変位させるための第二変位手段を備え、第二変位手段は第一変位手段と協働するように配置される。第一及び第二変位手段はフレームの使用時に、家具が第二使用位置に移動するときに第二足部がハウジングから出て、家具が第一使用位置に移動するときに第二足部がハウジング内に移動するように協働する。これらの手段は、テーブルトップに負荷がかかったときに家具が転倒することを防止するが、それは直立部の足の全長が長くなっているからであるが、第一使用位置では足部は第一足部の長さに制限される。
【0022】
好ましくは、第一足部がハウジングを形成する。この手段の結果として、第二足部は引っ込めると第一足部の中に消え、その結果、第二足部は視界から隠される。
【0023】
本発明によるフレームの実用的な好ましい実施形態のさらなる詳細において、第二変位手段は、第二足部をハウジング内に押し込むための第二プリテンション手段と、第一端部が第二足部に結合され、第二端部が平行四辺形構造のアームに結合されるケーブルとを備え、ケーブルは案内手段を用いてフレームを通して案内され、アームの上方への移動中に、第二足部がプリテンション手段の作用に抗してハウジングから外へ移動するようにする。
【0024】
これらの手段は、フレームの動作中に、ケーブルが第二足部を外向きに付勢し、それによってケーブルの強制力がプリテンション手段の力よりも大きくなるので、第二足部が、変位可能な棚の上方移動中にハウジングから現れるという効果を有する。さらに、この手段は、フレームの作動中に、第二足部が変位可能な棚の下方への移動において、ハウジング内に押し込まれるという効果を有する。なぜなら、ケーブルの張力が低下し、プレテンション手段の力が優勢になるからである。
【0025】
好ましくは、第二プリテンション手段が少なくとも1つのバネを備える。
【0026】
好ましくは、ケーブルが外側シースを備えるボーデンケーブルを備え、外側シースの第一端部は第一足部の外側にしっかりと接続され、外側シースの第二端部は第四取付要素にしっかりと接続され、第四取付要素は第一取付要素の下で直立部付近に位置する。ボーデンケーブルを使用することによって、機械的エネルギー又は力を、外側シースに対するケーブルの移動を通して伝達し得る。好ましくは、外側シースの端部には第一足部の外側への端部から第四取付要素までの間隔を調整するための調整手段が設けられる。これにより、内側ケーブルを正しい長さに調整し得る。
【0027】
第四取付要素は、好ましくは第一取付要素に配置される。結果として、フレームはまた、直立部なしで配置されることができ、とりわけ、既存の家具において使用されることができる。
【0028】
本発明によるフレームの洗練された実施形態では、直立部は高さが調節可能である。この実施形態では、第一取付要素が直立部の垂直方向に変位可能な部分ならびに固定棚に取り付けられる。
【0029】
好ましくは本発明によるフレームがバックプレートを備え、第一バックプレートは少なくとも2つのプレートセクションを備え、第一プレートセクションの下側はフレームの下側及び静止部分に取り付けられ、第二プレートセクションの上側は、フレームの動作時に、2つのプレートセクションが互いを通り越して移動する(move past)ように、直立部の可動部分に取り付けられる。動作中、フレームは、壁などの垂直構造体に対して(against)配置される。垂直構造体と2つのプレートセクションとの間の空間は、ケーブル及び他の電子機器を保管するのに便利である。直立部の高さを調整するとき、第一バックプレートも高さが調整される。これは、ケーブル等の全ての部分が空間内に留まることを確実にする。
【0030】
加えて、本発明によるフレームは、第一バックプレートの2つのプレートセクションと同様にフレームに配置された少なくとも2つのプレートセクションも含む第二バックプレートを取り付けることもできる。第一及び第二バックプレートは平行に配置され、ケーブル及び他の機器を保管するための空間を画定し、したがって、垂直構造体は必要とされない。
【0031】
好ましくは、ケーブル及び他の電子機器を保管するための空間が開閉可能である。したがって、固定棚は、ヒンジ式棚セクションを備え、このヒンジ式棚セクションは動作時に、少なくとも2つのプレートセクションによって閉じられた空間への閉鎖可能な開口部を形成する。
【0032】
変位可能な棚は第一及び第二平行四辺形構造に接続され、棚の移動時に、第一及び第二平行四辺形構造がそれに応じて移動する。
【0033】
しかしながら、ロック手段のロック及びロック解除の間、両方の平行構造体が正確に同期して移動し、その結果、両方の平行構造体に配置されたロック手段が同期して動作することが重要である。
【0034】
本発明によるフレームのより洗練された実施形態では、フレームが、特に、ロック手段のロック及びロック解除の間、第一及び第二平行四辺形構造(5,6)の変位を同期させるための同期手段を備える。
【0035】
好ましくは、同期手段が上側アームの第一旋回軸及び/又は下側アームの第一旋回軸の回転を同期させるように配置される。
【0036】
より好ましくは、同期手段が上側アームの第一旋回軸を接続する旋回可能なロッドを備える。
【0037】
本発明はまた、本発明による1つ又は複数のフレームを備えた多機能家具に関し、家具は1つ又は複数の変位可能な棚を備え、これらの棚はそれぞれ、フレームの第二取付要素と第三取付要素との間に配置され、家具は第一取付要素上に配置された固定棚を備える。
【0038】
本発明の家具の第一実施形態では、家具が後壁を備え、後壁は変位可能な棚の後側に当接し、家具は家具の第一使用位置において、第一平行構造のアームと第二平行構造のアームとの間に延在し、後壁上で変位可能な棚の上方に配置される、少なくとも1つのプッシュ要素をさらに備える。プッシュ要素は、好ましくはビーム形状である。プッシュ要素は、変位可能な棚上に配置された物体が家具の第一使用位置への移行中に、後壁から離れた側に押されることを確実にする。これは、家具から第二使用位置への移行中に、物体が固定棚と変位可能な棚との間、又は2つの変位可能な棚の間に挟まる可能性を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、以下の図面を参照してさらに説明される:
図1図1A、1B及び1Cは、本発明によるフレームの好ましい実施形態の斜視図を示す。
図2図2は、直立部に接続された第一取付要素2の近くの、図1Cによる位置にあるフレームの一部を示す。
図3A図3Aは、キャビネットとして使用する位置にフレーム1を備えた本発明による家具を示し、フレームは図1Aと同じ位置にある。
図3B図3Bは、テーブルとして使用される位置にある図3Aの家具を示し、フレームは図1Cと同じ位置にある。
図4図4は、本発明によるフレームの第一及び第二平行四辺形構造の変位を同期させるための同期手段を示す。 異なる図面における同様の参照番号は、同様の等しい部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1A図1B及び図1Cは本発明によるフレーム1の好ましい実施形態の斜視図を示しており、フレーム1は:
図1Aにおいてはフレーム1の使用時に、フレーム1がキャビネットとしての機能を支持する第一使用位置にある。
図1Bにおいては図1Aによるフレーム1の使用時に、使用位置にあり、フレーム1は、第一使用位置から第二使用位置に移行している。
【0041】
好ましい実施形態ではフレーム1が2つの直立部20,21を備えて配置され、その各々は第一足部22,23を備える。しかしながら、フレーム1は直立部なしで配置することもでき、フレーム1は例えば、家具の側壁など家具に取り付けられる。フレーム1を補強するために、直立部20,21は、好ましくは梁24,25を介して互いに接続される。この補強はフレーム1を家具に固定することによって、例えば、直立部20,21を家具の後壁に固定することによっても達成し得る。
【0042】
フレーム1は、固定棚を2つの直立部20,21に取り付けるための第一取付要素2A,2Bを備える。フレーム1が直立部20,21なしで配置される場合、第一取付要素2A,2Bは、家具自体、例えばその側壁に固定し得る。
【0043】
フレーム1は、一連の変位可能な棚の第一側を取り付けるための第二取付要素3と、一連の変位可能な棚の第二側を取り付けるための第三取付要素4とを備える。
【0044】
フレーム1は一連の棚を第一使用位置から第二使用位置に変位させるための第一変位手段を備え、第一変位手段は第一平行四辺形構造5及び第二平行四辺形構造6を備える。第一平行四辺形構造5は、2つの結合アーム5A,5Bを備える。同様に、第二平行四辺形構造6は、2つの結合アーム6A,6Bを備える。第一変位手段は、第一取付要素2A,2Bに配置される。第二取付要素3は、第一平行四辺形構造5のアーム5A,5Bに結合される。第三取付要素4は、第二平行四辺形構造6のアーム6A,6Bに結合される。
【0045】
フレーム1は、第一変位手段を第二使用位置にロックするためのロック手段を備える。ロック手段は、平行四辺形構造5,6の下側アーム5B,6Bのうちの1つを第一取付要素2A,2Bにロックするように配置される。ロック手段は、固定棚から最も離れた棚のために意図された第二及び第三取付要素3,4を傾斜させることによって動作可能である。
【0046】
図2は、直立部20に接続された第一取付要素2の近くの、図1Cによる位置にあるフレーム1の一部を示す。図2は、第一平行四辺形構造5をロックするロック手段の動作を示す。第二平行四辺形構造6をロックするロック手段は、同様の方法で動作する。平行四辺形構造のアーム5A,5B,6A,6Bのそれぞれの第一端部は、第一取付要素2A、2Bに第一旋回軸を中心として旋回可能に配置される。平行四辺形構造5,6の下側アーム5B,6Bの第一旋回軸5C,6Cは、第一位置と第二位置との間で変位可能であり、第一位置が直立部により近い。
【0047】
その結果、下側アーム5B,6Bの第一旋回軸5C,6Cは、距離Dだけ変位可能である。第一旋回軸5C,6Cは図1Bにのみ示されている。明確にするために、第一取付要素2は第一旋回軸が見えるように、透明に示されている。下側アーム5Bの第一旋回軸5Cは、第一プリテンション手段又はバネ7によって第一位置に押し込まれる。バネ7の第一端部は既知の手段によって第一取付要素2Aに接続され、バネの第二端部は既知の手段によって下側アーム5Bの第一ヒンジ5Cに接続される。
【0048】
第一取付要素2Aは、プロファイル8を備え、従動要素又はピン9が下側アーム5B上に配置される。下側アーム5Bがその旋回軸5Cを中心に回転すると、上方移動において、ピン9は、水平位置に近づくと、プロファイル8に沿って摺動し、下側アーム5Bの第一旋回軸5Cを、バネ7の作用に抗して第二位置に移動させる。
【0049】
プロファイル8はまた、フレーム1の使用時に、変位可能な棚の上側が固定棚の上側と同じ平面にあるときに、ピン9を受け入れるための受容空間10を備える。さらなる上方への移動により、ピン9は所与の瞬間に受容空間10に沿って摺動し、ここで、バネ7はピンを受容空間10内に引っ張り込み、下側アーム5Bの第一旋回軸5Cは、第一位置に押し込まれる。これにより、下側アーム5Bが第一取付要素2Aに係止される。ピン9は、ユーザによって引き起こされる外側の変位可能な棚の傾斜によって、受容空間10から取り外すことができる。傾斜はバネ7の作用に抗して、下側アーム5Bの第一旋回軸5Cを第二位置に向かって移動させ、それによって、ピン9は受容空間10から出る。これにより、下側アーム5Bが第一取付要素2Aからロック解除され、変位可能な棚を下方に移動させ得る。
【0050】
各直立部20,21は第一足部20A,21Aと、第二足部20B,21Bとを備え、第一足部20A,21Aは第二足部20B,21Bのためのハウジングを形成する。第二足部20B,21Bは、第二足部20B,21Bが第一足部20A,21Aの中に大部分が摺動される第一位置と、第二足部20B,21Bが第一足部20A,21Aの外に大部分が摺動される第二位置との間で変位可能である。フレーム1は第一足部20A,21Aの内外に第二足部20B,21Bを変位させるための第二変位手段をさらに備え、第二変位手段は第一変位手段と協働するように配置される。第二変位手段は第二プリテンション手段、好ましくは第二足部をハウジング内に押し込むための1つ又は複数のバネを備える。図1Aでは、第二足部20B,21Bが第二プリテンション手段によって第一足部20A,21Aに押し込まれている。第二変位手段はまた、ボーデンケーブル30,31を備え、その内側ケーブルの第一端部は第二足部20B,21Bに結合され、内側ケーブルの第二端部は平行四辺形構造5,6の下側アーム5B,6Bに結合され、その結果、下側アーム5B,6Bの上方移動中に、第二足部20B,21Bは第二プリテンション手段の作用に逆らって第一足部20A,20Bの外へ移動する。ボーデンケーブル30,31の外側ケーブルは、第四取付要素11,12を介して第一取付要素2A,2Bに取り付けられる。
【0051】
図3Aはキャビネットとして使用される位置にフレーム1を備えた本発明による家具を示し、フレーム1は、図1Aと同じ位置にある。家具は、フレーム1の第一取付要素2に接続された固定棚201を備える。さらに、家具は、第二及び第三取付要素3,4に接続された変位可能な棚202を備える。
【0052】
フレーム1は、家具パネルによって視界から大きく隠されている。
【0053】
図3Bは、フレーム1が図1Cと同じ位置にある、テーブルとして使用される位置にある図3Aの家具を示す。
【0054】
図4は、本発明によるフレーム1の第一及び第二平行四辺形構造(5,6)の変位を同期させるための同期手段を示す。同期手段は旋回可能なロッド(40)を備え、このロッド(40)は上側アーム(5A,6B)の第一旋回軸(5C、6C)を接続する。
【0055】
ロッド(40)はフレーム(1)のロック又はロック解除時に、第一及び第二平行四辺形構造(5,6)に配置されたロック手段が同期して動作することを確実にし、それによって、操作の快適さの水準を改善する。ロッドがないと、フレーム(1)の操作者はロック及びロック解除中に変位可能な棚を正確に水平に保たなければならず、このことは(実際問題として)非常に困難であり、変位可能な棚の1つから物体が落下するリスクを増大させる。
【0056】
本発明によるフレームは自立型である。特許請求の範囲に記載される本発明のロック及びロック解除メカニズムのために、変位可能な棚を変位させるためのノブ及び他の目に見える操作手段の使用が回避される。
【0057】
本発明は、もちろん、記載され、示された好ましい実施形態に限定されず、特許請求の範囲に定義され、前述の説明及び添付の図面に照らして見られるような保護の範囲内に入る任意の実施形態に及ぶ。

図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】