(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】閉じた包装の開封フラップを自動的に伸ばすための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B65B69/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555200
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 IT2022050032
(87)【国際公開番号】W WO2022190148
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005546
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500361593
【氏名又は名称】イ・エメ・ア,インドゥストリア・マキーネ・オートマティーク・ソシエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ ガブリエーレ
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA04
3E058BA06
3E058CA01
3E058DA03
3E058EA03
3E058FA09
3E058FA20
3E058GA05
(57)【要約】
少なくとも1つの物体(12)が入っている閉じた包装(11)の開封フラップ(20)を伸ばすための装置(10)及び方法。装置は、開封フラップ(20)が後続の処理のために使用可能及び識別可能となるように包装(11)の通気可能部(21)と協働して当該通気可能部(21)内にガスを加圧下で吹込む吹込装置(22)を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの物体(12)が入っている閉じた包装(11)の開封フラップ(20)を伸ばすための装置(10)であって、
前記包装(11)は、通気可能材料により作製された少なくとも1つの通気可能部(21)を有し、
前記装置(10)は、
前記通気可能部(21)をアクセス可能位置に配して、前記物体(12)が入った状態で前記包装(11)を少なくとも一時的に安定位置に固定状態に維持するように構成された支持手段(33)と、
前記開封フラップ(20)が後続の処理のため、特に伸びた前記フラップのカット処理のために使用可能及び識別可能となるように、前記開封フラップ(20)が伸びるまで前記包装(11)を膨張させるため、前記包装(11)を貫通して当該包装(11)に侵入することなく前記通気可能部(21)と結合し、前記通気可能部(21)を介して前記包装(11)内に選択的にガスを加圧下で吹込むように構成された吹込手段(22)と、
を備えており、
前記吹込手段(22)は、前記包装(11)が前記支持手段(33)によって前記安定位置に固定状態に保持されている際に、加圧下の前記ガスの吹込みを行うために前記通気可能部(21)に結合される
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記吹込手段(22)を前記通気可能部(21)に接触させて少なくとも一時的かつ安定的に密閉結合を生じさせるために、前記吹込手段(22)と前記包装(11)の前記通気可能部(21)との間の相対移動を選択的にさせるように構成された移動手段(31,32,41)をさらに備えている、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記吹込手段(22)は、前記包装(11)の前記通気可能部(21)との一時的な結合を選択的に生じさせるように構成された結合手段(24)を備えている、
請求項1又は2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記吹込手段(22)は、前記通気可能部(21)と連通する吹込チャンバ(25)を有し、前記吹込チャンバ(25)と前記通気可能部(21)との結合は当該吹込チャンバ(25)を外部から隔絶するように行われる、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項5】
所定の圧力でガスを供給するように構成されたコンプレッサ手段(30)を備えており、
前記吹込チャンバ(25)に、前記コンプレッサ手段(30)と流体連結する1つ又は複数の放出孔(28)が設けられている、
請求項4記載の装置(10)。
【請求項6】
前記吹込手段(22)は、前記包装(11)の前記通気可能部(21)と接触して、前記吹込手段(22)と前記通気可能部(21)との間の結合ゾーンにおいて外部に対するシール部を生じるように構成されたシール手段(26)をさらに備えている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項7】
少なくとも前記吹込手段(22)がロボット、又はロボットの一部、又は機械的アームに関連付けられている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項8】
前記支持手段は、下壁(34)と2つの側壁(35,36)と後壁(37)とを有する支持具(33)を備えており、
前記下壁(34)と前記側壁(35,36)と前記後壁(37)とが合わさって、収容コンパートメント(38)を画定し、
前記収容コンパートメント(38)は、前記通気可能部(21)をアクセス可能位置に配した状態で、前記物体(12)が入った前記包装(11)を適正かつ安定的に配置できる寸法を有する、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項9】
前記装置(10)は、滅菌処理された及び/又は制御された環境の収容コンパートメントに挿入される寸法及び構成である、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの物体(12)が入っている閉じた包装(11)の開封フラップ(20)を伸ばすための方法であって、
前記包装(11)は、通気可能材料により作製された少なくとも1つの通気可能部(21)を有し、
前記方法は、
a)前記通気可能部(21)をアクセス可能位置に配して、前記少なくとも1つの物体(12)が入った前記包装(11)を少なくとも一時的に安定位置に固定状態に維持するように、前記包装(11)を支持手段(33)に配置するステップと、
b)ガスの吹込手段(22)を設けるステップと、
c)前記吹込手段(22)を前記包装(11)の前記通気可能部(21)に結合して当該吹込手段(22)を当該通気可能部(21)に接触させることにより、前記包装(11)を貫通して当該包装(11)に侵入することなく、少なくとも一時的かつ安定的に結合を生じさせるステップと、
d)その後、前記吹込手段(22)を前記包装(11)の外部に維持して当該吹込手段(22)を一定に駆動し、前記通気可能部(21)を介して前記包装(11)内部にガスの流れを加圧下で導入することにより、前記開封フラップ(20)が後続の処理のため、特に伸びた前記フラップのカット処理のためにアクセス可能及び識別可能となるように、前記開封フラップ(20)が伸びるまで前記包装(11)を膨張させるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの物体は、複数の容器を収容するネストを備えている、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの物体(12)が入っている包装(11)の開封フラップ(20)を伸ばしてカットするためのユニット(50)であって、
前記包装(11)は、通気可能材料により作製された少なくとも1つの通気可能部(21)を有し、
前記ユニット(50)は、
請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(10)と、
前記開封フラップ(20)が前記装置(10)によって伸ばされた後、当該開封フラップ(20)をカットするように構成されたカット装置(52)と、
を備えていることを特徴とするユニット(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部分が通気可能材料により作製された閉じた包装の開封フラップ、例えばプラスチック、紙、布又は合成材料等の薄いフレキシブルな材料の袋、バッグ又は小袋等の開封フラップを自動的に伸ばすための装置と、これに対応する方法とに関するものである。上記の包装は、化学、医療、製薬又は化粧品分野の物体、例えばボトル、バイアル、フラスコ等の容器又は支持部等を入れることができるものであるが、これらに限定されることはない。また、上記の包装はその開封フラップのうち1つを識別しやすくするように適切に処理される。本願明細書及び添付の特許請求の範囲において、「通気可能」とは、空気その他の気体を通すことができ、液体及び微生物を通さない材料をいう。
【背景技術】
【0002】
化学、医療、製薬又は化粧品の分野においては、1回分又は複数回分の用量を入れるために適した専用の容器に製品や物質を包装して、当該用量の選別や投与の作業を容易にすることが公知となっている。
【0003】
上記の公知の容器は例えば、ボトル、フラスコ、バイアル、シリンジ、カートリッジ、例えば麻酔その他薬物等を投与するためのシリンジ自体に使用されるものとすることができる。
【0004】
この公知の容器は、若干大きなトレイに収容されたラック又はトレイ内に整然と配置されて輸送され、しばしば充填されることが多い。上記の容器を入れるラック又はトレイは、英語の「ネスト」との用語でも当業者に知られており、上記の若干大きなトレイは、英語の「タブ」との用語でも当業者に知られている。
【0005】
容器の内容物が外部コンタミネーションのリスクから保護されることを保証すると共に、例えば輸送中の破損又は損傷等による容器内に入った物質の漏出を防止するため、上記のトレイは、通常は薄いフレキシブルなポリマー材料により作製され又は上記にて定義した少なくとも一部が通気可能材料により作製された第1の包装又は袋に封入される。この通気可能材料は、例えば濾紙、又は例えば周知のタイベック(tyvek、登録商標)等の高密度ポリエチレンファイバの混合物である。
【0006】
従って、これらの具体的な材料の組成や分子構造により、化学、医療、製薬又は化粧品の分野において使用するために非常に適したものとなる。というのも、制御された及び/又は滅菌環境においても処理又はプロセスを施すことができるからである。
【0007】
米国特許第2011/0139050号明細書に上記の種類の包装の一例が記載されており、同文献では上記の第1の包装は、通気可能な膜が設けられた袋により形成された医療機器を入れるように構成されており、この通気可能な膜は、当該袋内に滅菌処理用ガスを通す上記の材料のうち1つにより作製されている。
【0008】
さらに一部の解決手段では、トレイを入れた第1の包装を、同様に当該第1の包装の材料と同様の材料により作製された第2の包装内に密閉して安全ファクタを向上し、輸送しやすくし、また例えば、第2の包装にバーコード又はQRコード(登録商標)を付して包装の内容物の自動認識を格段に高速で行えるようにする。
【0009】
さらに、包装内部に含まれる空気が内部から外部へ流出自在となり、また、材料に存在する微小孔を介して流出することもでき、これにより包装とこれに入った物体の輸送性が改善され、貯蔵容易性が向上するので、例えば外部環境と各包装の内部との間の圧力差等のいかなる圧力差も、包装を膨張させることがなくなる。
【0010】
この種の包装は非常に効率的であり、とりわけ自動処理ラインにおいて非常に効率的であり、外部の作業員の介入を要することなく、当該包装に密閉された種々のトレイを種々の産業機械やロボットが認識して処理することができ、特に滅菌環境において作業する必要がある場合に、実行の高速度とプロセスにおける高い安全レベルを保証することができる。
【0011】
従って、各包装から個々の物体を取り出すためには、作業員又は自動装置が、通常は各包装の片側に配される開封フラップを識別し、これをカットして内容物を取り出すことで足りる。
【0012】
しかし、特に自動機械を使用する場合、開封フラップが変形し又は皺が入ると開封フラップの識別が特に困難となり、あるいは、フラップそのものを自動認識して例えばカット等によりフラップを開封することが困難又は不可能にもなる。
【0013】
特に、独国特許出願公開第102014201967号明細書から公知となっている装置は、密閉された包装の開封フラップを識別するために尖鋭な筒状部材又は針が設けられており、上記の筒状部材又は針が包装自体に挿入されることにより包装内に空気その他のガスが加圧下で吹込まれて包装を風船のように膨張させ、カットされる開封フラップを識別しやすくする。
【0014】
しかし、密閉された包装に針を挿入するということは、各使用の前に例えばアルコール溶液によって洗浄すること、又は尖鋭部材自体を加熱すること等により、滅菌処理をしなければならないということになり、これによりその方法が過度に長時間となって工数が過度に多くなる。
【0015】
さらに、上記の公知の解決手段は、例えば内部に吹込まれた空気と反応したり、または穿刺の際に針によって損傷を受けるおそれのある化学物質、製薬物質及び/又は化粧品物質が入った包装や容器を処理する必要がある場合にあまり適しておらず、これにより品質や取扱性が損なわれるおそれが生じる。
【0016】
よって、1つ又は複数の物体、特に化学、医療、製薬又は化粧品分野用の容器が入っている閉じた包装の開封フラップを識別しやすくするために当該開封フラップを伸ばすことができる装置であって、従来技術の欠点のうち少なくとも1つを解消し、また自動処理ライン上で、特に滅菌環境下での処理が必要である場合に動作可能な装置を提供する必要がある。
【0017】
よって、本発明の一目的は、例えば化学、医療、製薬又は化粧品分野用の容器等の少なくとも1つの物体が入った閉じた包装の開封フラップを識別しやすくするため、当該包装の開封フラップを伸ばすための装置を提供し、対応する方法を完成することである。
【0018】
本発明の他の一目的は、例えば化学、医療、製薬又は化粧品分野用の容器等の少なくとも1つの物体が入った閉じた包装の開封フラップを伸ばすための装置であって、作業員による介入を要することなく自動的に機能し得る装置を提供し、対応する方法を完成させることである。
【0019】
本発明の他の一目的は、例えば化学、医療、製薬又は化粧品分野用の容器等の少なくとも1つの物体が入った閉じた包装の開封フラップを伸ばすための装置であって、高い衛生基準を保証し、内容物がコンタミネーションのリスクにさらされない装置を提供し、対応する方法を完成させることである。
【0020】
本発明の他の一目的は、少なくとも1つの物体が入っている閉じた包装の開封フラップを伸ばすための装置であって、包装を穿孔する必要なく包装内部を膨張させることができる装置を提供し、対応する方法を完成させることである。
【0021】
本発明の他の一目的は、例えば製薬分野用の容器等の少なくとも1つの物体が入っている閉じた包装の開封フラップを伸ばすための装置であって、当該装置又はその1つ若しくは複数の構成要素を繰り返し滅菌処理する必要なく包装内部を膨張させることができる装置を提供し、対応する方法を完成させることである。
【0022】
本発明の他の一目的は、例えば化学、医療、製薬又は化粧品分野用の容器等の少なくとも1つの物体が入った閉じた包装の開封フラップを伸ばすための装置であって、内容物の損傷のおそれのない装置を提供し、対応する方法を完成させることである。
【0023】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明を着想、試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0024】
本発明は独立請求項に記載され、その特徴が記載されている。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0025】
上記の目的に鑑みて、少なくとも1つの物体が入っている閉じた包装の開封フラップを伸ばすための装置が提供され、
前記包装は、通気可能材料により作製された少なくとも1つの通気可能部を有する。
前記装置は、
前記通気可能部をアクセス可能位置に配して、前記物体が入った状態で前記包装を少なくとも一時的に安定位置に固定状態に維持するように構成された支持手段を備えており、
また、前記開封フラップが後続の処理のため、特に伸びた前記フラップのカット処理のために使用可能及び識別可能となるように、前記開封フラップが伸びるまで前記包装を膨張させるように前記通気可能部を介して前記包装内に選択的にガスを加圧下で吹込むため、前記包装を貫通して当該包装に侵入することなく前記通気可能部と結合するように構成された吹込手段をさらに備えている。
前記吹込手段は、前記包装が前記支持手段によって前記安定位置に固定状態に維持されている際に、加圧下で前記ガスを吹込むために前記通気可能部に結合される。
【0026】
本発明の一側面では、前記装置は前記吹込手段を前記通気可能部に接触させて少なくとも一時的かつ安定的に密閉結合を生じさせるために、前記吹込手段と前記包装の前記通気可能部との間の相対移動を選択的にさせるように構成された移動手段をさらに備えている。
【0027】
本発明の他の一側面では、前記吹込手段は、前記包装の前記通気可能部との一時的な結合を選択的に生じさせるように構成された結合手段を備えている。
【0028】
本発明の他の一側面では、前記吹込手段は、前記通気可能部と連通する吹込チャンバを有し、前記吹込チャンバと前記通気可能部との結合は当該吹込チャンバを外部から隔絶するように行われる。換言すると、前記吹込チャンバは結合手段に対応して配置されている。
【0029】
本発明の他の一側面では、前記吹込手段は、前記包装の前記通気可能部と接触して、前記吹込手段と前記通気可能部との間の結合ゾーンにおいてシール部を、特にハーメチックシール部を生じるように構成されたシール手段をさらに備えており、前記シール手段は好適には、前記吹込チャンバに対応して前記結合手段に関連付けられている。
【0030】
本発明の他の一側面では、前記装置はさらに、所定の圧力でガスを供給するように構成されたコンプレッサ手段を備えている。
【0031】
本発明の他の一側面では、前記吹込チャンバに、前記コンプレッサ手段と流体連結する1つ又は複数の放出孔が設けられている。
【0032】
本発明の他の一側面では、少なくとも前記吹込手段がロボット、又はロボットの一部、又は機械的アームに関連付けられている。
【0033】
本発明の他の一側面では、前記支持手段は、下壁と2つの側壁と後壁とを有する支持具を備えており、前記下壁と前記側壁と前記後壁とが合わさって、収容コンパートメントを画定し、前記収容コンパートメントは、前記通気可能部をアクセス可能位置に配した状態で、前記物体が入った前記包装を適正かつ安定的に配置できる寸法を有する。換言すると、前記通気可能部は外部を向くように、すなわち前記後壁に対して反対側に配される。
【0034】
本発明の他の一側面では、前記装置は、滅菌処理された及び/又は制御された環境の収容コンパートメントに挿入される寸法及び構成である。
【0035】
本発明の他の一側面では、少なくとも1つの物体が入っている閉じた包装の開封フラップを伸ばすための方法が提供され、前記包装は、通気可能材料により作製された少なくとも1つの通気可能部を有し、前記方法は、
a)前記通気可能部をアクセス可能位置に配して、前記少なくとも1つの物体が入った前記包装を少なくとも一時的に安定位置に固定状態に維持するように、前記包装を支持手段に配置するステップと、
b)特に前記包装の前記通気可能部の手前に配するように、ガス吹込手段を設けるステップと、
c)前記吹込手段を前記包装の前記通気可能部に結合して当該吹込手段を当該通気可能部に接触させることにより、前記包装を貫通して当該包装に侵入することなく、少なくとも一時的かつ安定的に密閉結合を生じさせるステップと、
d)その後、前記吹込手段を前記包装の外部に維持しつつ当該吹込手段を一定に駆動し、前記通気可能部を介して前記包装内部にガスの流れを加圧下で導入することにより、前記開封フラップが後続の処理のため、特に伸びた前記フラップのカット処理のためにアクセス可能及び識別可能となるように、前記開封フラップが伸びるまで前記包装を膨張させるステップと、
を有する。
【0036】
本発明の他の一側面では、前記物体は、複数の容器を収容するトレイを備えており、これはネストとも称される。
【0037】
本発明の他の一側面では、少なくとも1つの物体が入っている包装の開封フラップを伸ばしてカットするためのユニットが提供され、前記包装は、通気可能材料により作製された少なくとも1つの通気可能部を有する。前記ユニットは、上記の装置と、前記開封フラップが本発明の装置によって伸ばされた後、当該開封フラップをカットするように構成されたカット装置と、の両方を備えている。
【0038】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の可能な実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】閉じた包装の開封フラップを自動的に伸ばすための本発明の装置の側面図であり、同図では、物体が入った包装が第1の動作状態にある様子も示している。
【
図2】第2の動作状態にある
図1の装置の側面図である。
【
図3】第3の動作状態にある
図1の装置の側面図である。
【
図4】第4の動作状態にある
図1の装置の側面図である。
【
図5】
図1の装置の第1の細部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図1の装置の第2の細部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図1の装置により処理可能である、物体が入った包装を拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図1の装置により処理可能な包装に入った物体の概略的な斜視図である。
【
図9】本発明の装置を備えた、閉じた包装の開封フラップを伸ばしてカットするためのユニットの概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで明確にすべき点として、本願明細書及び特許請求の範囲における「水平方向」、「高い」、「内」、「外」、「下」(誤差を含む)との用語の役割は、図面を参照した本発明の説明を理解しやすくすることのみであり、本発明自体の範囲又は添付の特許請求の範囲により定まる保護範囲を何ら限定するものではないと解すべきものである。例えば「鉛直」との用語は、水平線に直交する平面、又は水平線に対して数度傾いた平面、例えば最大20°の傾きを有する平面をいう。
【0041】
さらに、「包装」及び「袋」との用語は同義語とみなすことができる。
【0042】
さらに当業者であれば、本発明のより分かりやすいバージョンを提供するため、図面中の特定の寸法又は特性を拡大、変形、又は慣例とは異なる若しくは実寸の比率とは異なる比率で示している場合があることを認識することができる。
【0043】
以下の説明において寸法及び/又は値が特定されている場合、当該寸法及び/又は値はあくまで説明目的で提示されるものであり、かかる寸法及び/又は値が添付の特許請求の範囲に記載されていない限りにおいて、本発明の保護範囲を限定するものと解すべきものではない。
【0044】
理解しやすくするため、可能な限りにおいて、図面中の同一の共通要素を特定するために同一の符号を使用している。ある実施形態の要素や特性は、別段の説明を要することなく他の実施形態に適宜組み込むことができると解される。
【0045】
図1を参照すると、本発明の装置10は、例えば化学、医療、製薬又は化粧品分野用の容器等の、少なくとも1つの物体12が入っている閉じた包装11の自動開封を容易にするように構成されている。装置10は例えば、図面中不図示の自動処理ラインに設置可能なものであり、この自動処理ラインは公知の種類のもの、又は将来開発されるものである。
【0046】
装置10について詳細に説明する前に、まずは包装11及び物体12の一例について説明する。これは説明目的で行うものであり、本発明を限定するものではない。
【0047】
各物体12(
図8)は、実質的に平行六面体状の第1の剛性又は半剛性の容器13を含むか又はこれから成ることができ、この第1の容器13は、従来技術から公知のように、化学及び/又は医薬品をフラスコ、バイアル又はボトル等に封入したもの(これらをまとめて符号17により示している)を収容可能である他の容器を入れることができるものであり、この他の容器は例えば、ラック、トレイ又はネスト16を入れたタブ15等である。
【0048】
例えば製薬分野において使用する場合、物体12の標準的な寸法は約65×40×30cmとなり得る。
【0049】
包装11(
図7)は例えば袋を含むか又はこれから成ることができ、この袋は、互いに平行な2枚のシート18,19をその周縁に沿って例えば電気溶接等によって互いに接合することで、従来技術において公知のように開封フラップ20又は折畳みフラップを形成することにより作製されるものである。
【0050】
よって、上記の2枚の各シート18,19は包装11の外表面となる。
【0051】
本発明の一側面では、上記のように、包装11の2枚のシート18,19のうち少なくとも1枚の少なくとも1つの通気可能部21が通気可能材料により作製されている。
【0052】
ここで記載及び図示されている具体的な実施形態では、通気可能部21はシート18の下部ゾーンにのみ設けられているが、他の実施形態ではシート18及び/又は19の全部を上記の通気可能材料により作製することができる。
【0053】
このようにフィルタ機能を有する少なくとも1つの通気可能部21が設けられていることにより、例えば外部環境の圧力の値が包装11内部の圧力とは異なっている状況、例えば数バールも異なっている状況下でも、物体12が入っている包装11の輸送及び貯蔵を格段に容易にすることもできる。例えば空輸では、このような現象によって包装11が膨張して破損又は爆発し、包装11に入っている物体12に修復可能な損傷が生じるおそれがある。袋はその内容物の滅菌状態を保つために供されるものであり、この袋が専用の環境外において損傷又は破損すると、その目的が阻害され、袋に入っている製品が使用不可能となるおそれがある。
【0054】
なお、本発明の不図示の他の可能な実施形態では、包装11はここで記載されているものとは異なる形状とすることができ、及び/又は異なる枚数のシートから成ること、例えば3枚以上から成ることができる。
【0055】
さらに、包装11は通常、物体12を当該包装11内に密閉した状態に保ちつつ当該物体12を十分な遊びをもって当該包装11内で動かすことができるように、物体12の体積より十分に大きい収容容量を有する。例えば、包装11の容量は物体12の体積の少なくとも20%から最大100%である。
【0056】
包装11における通気可能部21以外の他の部分は、物体12の形状に合わせることができるように、薄くフレキシブルで変形可能である適切な任意の材料から作製することができ、かかる材料は例えば、高密度ポリエチレン繊維から成る例えば不織布等の、耐破袋性かつカットしやすいポリマー材料等である。
【0057】
換言すると、包装11は使用中、通常は、その中に入っている物体12の形状をとり、場合によっては物体12を囲って潰れる。
【0058】
装置10は吹込装置22(
図1~5)を備えており、これは、下記にて詳細に説明するように、包装11にその一部たりとも侵入することなく、通気可能部21を介してガスを加圧下で包装11内に吹込むように構成されている。ガスは、滅菌特性を有するため慣用されている種類の適切な滅菌用ガス、又は空気、又はこれらの混合気とすることができる。
【0059】
具体的には、吹込装置22は、通気可能部21と接触して当該通気可能部21との間に結合部、好適には密閉結合部を形成するように構成された結合ヘッド23(
図5)を備えている。
【0060】
本事例では、結合ヘッド23の前面24に吹込チャンバ又は吹込凹部25が形成されており、この吹込チャンバ又は吹込凹部25の幅は通気可能部21の幅に実質的に等しい又はこれより僅かに小さくなっている。
【0061】
前面24には、シールパッキン26が吹込チャンバ25の周に対応して配されており、このシールパッキン26は、通気可能部21の外表面と接触して、使用中に当該通気可能部21の外表面との間にハーメチックシール結合を形成するために適したもの、すなわち、通気可能部21に吹込まれた空気が外部環境へ拡散することを阻止するために適したものである。
【0062】
パッキン26はゴム、シリコーンその他の降伏又は変形可能な材料により適宜作製され、パッキン26は結合ヘッド23の前面24から数ミリメートル、例えば1~10mm突出している。
【0063】
吹込チャンバ25の中には1つ又は複数の放出孔28が設けられており、
図5ではそのうちの1つのみが示されている。この放出孔28はフレキシブルなタイプのダクト29に流体連結されており、このダクト29は公知の種類の圧縮手段30に連結されており、圧縮手段30は例えばコンプレッサから成り(
図1)、圧縮手段30は所定の圧力、例えば0.1バール~6バールの圧力でガスを供給するように構成されている。放出孔28及びダクト29双方の数、寸法及び位置は、吹込チャンバ25の寸法及び/又は吹込まれるガスの圧力に依存して変えることができる。
【0064】
吹込装置22は、そのヘッド23が通気可能部21から離隔されるアイドル位置(
図1及び
図4)から、当該ヘッド23が通気可能部21と接触する動作位置へ移動し、またその逆(
図1及び
図3)に移動するように構成されている。上記の2つの位置間での移動は任意の公知の態様で行うことができ、例えば、作動装置32から指令を受ける機械的アーム31によって、又は自動ロボットによって移動を行うことができる。
【0065】
装置10は支持具33(
図1~4)も備えており、この支持具33は、包装11とその中に入っている物体12とを所定の動作位置に支持して、吹込装置22が通気可能部21と協働することにより開封フラップ20を際立たせることを可能にするように構成されている。これについては下記にて詳細に説明する。
【0066】
支持具33は下壁34(
図6)と2つの側壁35及び36と後壁37とを有し、これら下壁34と2つの側壁35及び36と後壁37とが合わさって収容コンパートメント38を画定し、収容コンパートメント38は、とりわけ通気可能部21(
図1)をアクセス可能位置に配した状態で、物体12が入った包装11を下壁34及び後壁37に当てて適正かつ安定的に配置できる寸法を有する。特に、通気可能壁21が外部を向くように配すること、すなわち後壁37に対して反対側に配することができる。
【0067】
ここで説明している実施形態では、支持具33(
図1~4)は、後壁37が鉛直平面に対して平行であるか又はこれに対して後方に数度傾いた状態で、吹込装置22に対して所定の位置に固定されている。
【0068】
不図示の他の実施形態では、支持具33を例えば自明の種類の不図示の機械的アーム又は自動ロボットの端部に設けることができ、この機械的アーム又は自動ロボットは、所望の通りに支持具33を傾けるように構成され、及び/若しくは包装11の通気可能部21を一時的に吹込装置22に接触させ、又は代替的に、物体12が入っている包装11の開封フラップ20が伸ばされた後に装置10の下流に配された作業ステーションに当該包装11を運ぶように構成されている。
【0069】
さらに、不図示の他の代替的な実施形態では、側壁35及び36が可動とされると共に、適切な指令装置と関連付けられて、包装11の膨張ステップ自体を行っている間に包装11及びその中に入っている物体12を選択的に挟持するように構成することができる。これについては下記にて詳細に説明する。
【0070】
さらに、装置10は自明の種類のセンサ40も備えており、このセンサ40は吹込装置22の上方に設置され、包装11の膨張の状態を検出するように構成されている。
【0071】
センサ40は制御部41(
図1)に電気的に接続されており、制御部41からの信号を受信して、これに対応する作動信号を圧縮手段30と作動装置32とに送信する。
【0072】
上記にて説明した装置10の動作は以下の通りであり、この動作は、当該装置10を動作させる方法に相当するものでもある。
【0073】
最初に第1の動作ステップにおいて、包装11をその中に入っている物体12と共に、支持具33において第1の動作位置に配置して位置決めする(
図1)。この配置は、例えば公知の種類の自動的手段、例えばコンベアベルト、機械的アーム又は自動ロボット等を用いて行われる。粒子状物質を生じない移動手段、例えばプレーナエンジン(planar engine)等が好適であるが、包装11とその中に入っている物体12とを位置決めする作業は手動でも行えることが明らかである。
【0074】
この第1の動作位置において、包装11の通気可能部21が外部すなわち吹込装置22側を向くアクセス可能位置に配されるように、包装11と物体12とを少なくとも一時的に固定状態に維持する。
【0075】
これにより包装11の第2のシート19が支持具33の後壁37と接触して開封フラップ20が上向きになり、包装11に入っている物体12が支持具33に安定的かつ一時的に配置される。また、通気可能部21は支持具33の壁34,35,36及び37と接触しておらず、これにより、吹込装置22と接触可能な状態となっている。
【0076】
次に後続のステップにおいて、吹込装置22と包装11の通気可能部21とを相対移動させて吹込装置22を通気可能部21に接触させ(
図2)、吹込装置22のあらゆる部分を包装11の外部に一定に締め出した状態を維持して、吹込装置22と通気可能部21との間に少なくとも一時的に安定的な密閉結合を形成する。このようにして、吹込装置22が包装11を貫通して包装11内部に侵入しないようにする。
【0077】
ここで説明している実施形態では、とりわけ、制御部41が作動装置32を用いて機械的アーム31を駆動し、機械的アーム31が吹込装置22を、ヘッド23が通気可能部21から離隔しているアイドル位置(
図1)から動作位置(
図2)に運んで、結合ヘッド23を通気可能部21に接触させる。
【0078】
他の完全に均等な実施形態では、支持具33を吹込装置22に向かって移動させることができる。
【0079】
すなわち、吹込装置22を定位置に留め、包装11を吹込装置22に接触させることができる、ということである。
【0080】
とりわけ、通気可能部21の外表面にパッキン26が付着し、これにより吹込チャンバ25と通気可能部21との間のハーメチックシールが保証される。
【0081】
結合ヘッド23と包装11の通気可能部21との適正な結合を保証するためには、機械的アーム31が通気可能部21に対するパッキン26の適正な付着を保証するように吹込装置22に適切に力を加える。この力は、吹込装置22の出口における加圧下のガスの流れと、包装11を膨張させる作用との両方により生じる逆方向のスラストに対する適切な対抗力も保証する必要がある。
【0082】
吹込装置22をロボットの機械的アーム、例えば人間型ロボットの機械的アームに設置したならば、この機械的アームが結合ヘッド23を、物体12が入っている包装11の通気可能部21と自動的に接触させるようにプログラミングすることができる。
【0083】
次に、吹込装置22を動作位置に維持しながら、通気可能部21を介して包装11内部に空気その他のガスの流れを加圧下で導入するように吹込装置22を駆動することにより包装11を膨張させ、これにより少なくとも包装11の他の部分より開封フラップ20が良好に識別可能となり、また後続の処理がある場合にはそのために開封フラップ20が使用可能となるようにする。
【0084】
特に、制御部41は、吹込装置22と通気可能部21とが接触したことを検出するために適した公知の種類の少なくとも1つの近接センサ(不図示)が設けられている場合においてこの近接センサから許可信号を受け取った際に、圧縮手段30に指令を与えることができる。
【0085】
圧縮手段30が作動することにより、加圧されたガスの流れが生じ、ダクト29を通過して吹込チャンバ25の放出孔28内に流れ込んで、通気可能部21から包装11内に流入する。
【0086】
その結果、包装11の上部分が膨張してシート18及び19並びに上部の開封フラップ20が伸び、フラップの視認性が向上してより識別しやすくなり、後続の処理に使用しやすくなる。
【0087】
包装11の内部容積が、プログラミングされた所望の値に達した場合、対応する信号を膨張センサ40が制御部41に送信し、制御部41は圧縮手段30を作動停止して、包装11内部に送られる加圧下のガス流を中断する。
【0088】
このようにして、開封フラップ20の自動開封作業を実施できる公知の種類又は将来開発される種類の装置又は自動機械においても、開封フラップ20の識別がより容易、より高速かつより直観的となる。
【0089】
その後、結合ヘッド23と包装11の通気可能部21との結合を解除し、制御部41から指令を受けた作動装置32によって吹込装置22がアイドル位置(
図4)に復帰する。
【0090】
このようにして、物体12が入っている包装11をピックアップして、例えば機械的アーム又は自動ロボットに設置された移動部材、例えばコンベアベルト又は流体圧式グリッパ等を用いて、例えば後続のカットステーションその他任意の作業ステーションに向かって移動させることができる。
【0091】
例えば、特に
図9を参照すると、装置10は有利には、開封フラップ20を伸ばしてカットするためのユニットにおいて使用されることができる。このユニットは全体として符号50を付与されており、以下略して単に「ユニット」とも称する。ユニット50は装置10を備えている。図示の例では、機械的アーム31はロボット51に関連付けられており、このロボット51は例えば、複数の互いに関節連結されたアームを備えた6つの自由度を有するロボット等である。
【0092】
ユニット50はさらに、公知の種類のカット装置52を備えており、このカット装置52についてはここでは詳細に説明しない。カット装置52は、開封フラップ20をカットして包装から切り取り、包装に開口を形成するための可動若しくは固定の切刃、又はこれと均等物であるカット部材若しくは剪断部材を備えている。
【0093】
カット装置52の形態に依存して、ユニット50は把持部材53を備えることができ、この把持部材53は少なくともカット作業中に開封フラップ20の自由端を把持し、これを十分に伸ばした状態に維持して、カット装置52により行われるカット作業を行いやすくするように構成されている。
【0094】
上記の記載から、上記の装置10及びこれを備えたユニット50は、滅菌された及び/又は制御された雰囲気のコンパートメント又は作業スペース内にも入れられる構成となっている。
【0095】
上記にて説明した装置10、ユニット50及び方法については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分及び/又はステップの改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0096】
また、一部の具体例を参照して本発明を説明したが、当業者は、閉じた包装の開封フラップを自動的に伸ばすための多くの他の均等態様の装置及び方法を確実に達成することができ、かかる均等態様は全て、本発明の分野及び範囲に属することも明らかである。
【0097】
添付の特許請求の範囲において括弧書きの符号の目的は読みやすくすることのみであり、特許請求の範囲により特定される保護範囲について限定するものとみなすべきものではない。
【図】
【国際調査報告】