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特表2024-509263微生物塊を増殖させるための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】微生物塊を増殖させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/04 20060101AFI20240221BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20240221BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240221BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20240221BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20240221BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240221BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20240221BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20240221BHJP
   C02F 3/00 20230101ALI20240221BHJP
【FI】
C12P1/04
C12P1/02
C12N1/20 A
C12N1/14 B
C12N1/16 A
C12M1/00 D
C12M1/02 A
C12M1/04
C02F3/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555258
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 FI2022050105
(87)【国際公開番号】W WO2022207963
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】20215382
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120255
【氏名又は名称】ソーラー フーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100145849
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 眞樹子
(72)【発明者】
【氏名】パシ ヴァイニッカ
(72)【発明者】
【氏名】ユハ ペッカ ピットカエーネン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA27
4B029BB02
4B029BB07
4B029DB01
4B029DB11
4B029DG04
4B029GB07
4B064AD01
4B064AF01
4B064AG01
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CD23
4B064DA16
4B065AA23X
4B065AA80X
4B065AC14
4B065BA22
4B065BC06
4B065BC07
4B065CA55
4B065CA56
(57)【要約】
微生物塊(202)の増殖方法は生物からのバイオ廃棄物(206)の収集であって、バイオ廃棄物が第1の量の水(208)と第1の量の固相(210)を含むことと、バイオ廃棄物を第1の反応器(212)内に受けることと、第1の期間中動作パラメータの第1のセットを使用して収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器内で処理し固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解し増殖培地(216)を形成することと、滅菌分離清浄ステップを含む増殖培地の洗浄と、増殖培地の接種材料を含む第2の反応器(228)への供給と、大気からの二酸化炭素の収集と、大気中の第2の量の水を収集し、該第2の量の水を酸素及び水素ガスに分解することと、二酸化炭素、酸素、水素ガスの第2の反応器への供給と、動作パラメータの第2のセット下第2の反応器内での微生物塊の増殖と、微生物塊を第2の反応器から収穫して生物消費用の食品を生成することとを含む。
【選択図】図2



【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物塊(202)を増殖させる方法において、
-生物からバイオ廃棄物(206)を収集し、前記バイオ廃棄物が第1の量の水(208)及び第1の量の固相(210)を含むことと、
-前記収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器(212)内に受けることと、
-第1の期間にわたって動作パラメータの第1のセットを使用して前記収集されたバイオ廃棄物を前記第1の反応器内で処理して、固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解し、増殖培地(216)を形成することと、
-滅菌、分離及び清浄ステップを含む、前記形成された増殖培地の洗浄と、
-前記形成された増殖培地を、微生物塊の接種材料を含む第2の反応器(228)に供給することと、
-大気から局所的に二酸化炭素を収集することと、
-大気中に存在する第2の量の水を収集し、前記収集された第2の量の水を酸素及び水素ガスに分解することと、
-前記収集された二酸化炭素及び前記分解された酸素及び水素ガスを前記第2の反応器に供給することと、
-動作パラメータの第2のセットの下で前記第2の反応器内において微生物塊を増殖させることと、および、
-前記増殖した微生物塊を前記第2の反応器から収穫して、前記生物による消費のための食品を生成することと、を含む方法。
【請求項2】
前記増殖培地(216)中の水の量は、
-前記増殖培地中の水の量が前記増殖培地の20重量パーセント未満である場合に、第3の量の水を前記第1の反応器(212)に加え、および、
-前記増殖培地中の水の量が前記増殖培地の20重量パーセントを超える場合に、より多くの固相(210)を加える、ことによって調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作パラメータの第1のセットは、
-前記第1の反応器(212)の内部の温度であって、少なくとも摂氏190度である、温度と、
-前記増殖培地(216)のpHであって、4未満である、pHと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の反応器(212)内の前記バイオ廃棄物(206)を少なくとも100RPMの速度で撹拌することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の期間が1時間~18時間である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオ廃棄物(206)が糞便及び尿を含み、前記第1の量の水(208)が前記バイオ廃棄物の50~90重量パーセントである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記増殖培地(216)の少なくとも一部から二酸化炭素を抽出することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物塊(202)の前記接種材料が少なくとも1つの単離された微生物を含み、前記微生物は、エネルギー源として水素ガスを使用するとともに無機炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接種材料のための前記微生物は、クロストリジウム・ユングダリ(Clostridium ljungdahlii)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、水素細菌(Knallgas)、カミニバクター(Caminibacter)属、アクイフェックス(Aquifex)属、
パラコッカス(Paracoccus)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ハイドロゲノモナス(Hydrogenomonas)属、メタン資化菌(methanotrophs)、メタン生成菌(methanogens)、ジオバクター(Geobacter)属、シアノバクテリウム(Cyanobacterium)属、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、オスシロスピラ(Oscillospira)属、プレオモルフォモナス(Pleomorphomonas)属からなる群から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記微生物塊(202)の前記増殖させることには、エネルギー源としての水素及び無機炭素源を用いて連続培養でキサントバクター属の細菌株を培養することを含み、前記無機炭素源が二酸化炭素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物塊(202)は、単離された細菌株VTT-E-193585又はその誘導体を含み、前記誘導体は、エネルギー源として水素ガスを使用するとともに唯一の炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を保持している、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記生物から尿素を収集することと、前記収集された尿素をその処理のために第3の反応器に供給することと、および、前記処理された尿素を微生物塊(202)の前記増殖のための追加の増殖培地成分として前記第3の反応器から前記第2の反応器(228)に供給することとを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記微生物塊(202)は、前記バイオ廃棄物(206)及びガスを前記生物による消費のために食品へとリサイクルするように作用し、前記食品は、タンパク質、炭水化物、脂肪酸、抗酸化剤、繊維内容物のうちの少なくとも1つに富む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
微生物塊(202)を増殖させるためのシステム(200)において、
-生物からバイオ廃棄物(206)を収集するように構成される第1のステージ(204)であって、前記バイオ廃棄物が第1の量の水(208)及び第1の量の固相(210)を含み、前記第1のステージが収集器ユニットである、第1のステージと、
-第1のステージに接続されて、入口(214)を介して前記第1のステージから前記収集されたバイオ廃棄物を受けるとともに、前記受けたバイオ廃棄物を内部で処理して増殖培地(216)を形成し、前記形成された増殖培地を洗浄し、前記洗浄が、滅菌、分離及び清浄を含み、および、前記バイオ廃棄物を処理するために、
-前記第1の反応器の内部を所望の温度に維持するための温度コントローラ(218)と、
-前記バイオ廃棄物を連続的に混合するための撹拌機(220)と、
-pHセンサ(222)と、
-前記第1の反応器内の前記バイオ廃棄物のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための少なくとも1つの第1の入力(224、226)と、
を備える第1の反応器(212)と、
-前記第1の反応器の下流側に配置されて、微生物塊を増殖させるために前記第1の反応器から前記増殖培地を受け、
-微生物塊(202)の接種材料と、
-微生物塊を増殖させるための成分の第2のセットを受けるための第2の入口(232)であって、前記成分の第2のセットが、ガス、水、及び化学物質を含む、第2の入口(232)と、
-前記第2の反応器から前記増殖した微生物塊を収穫するための出口(234)と、を備える、第2の反応器(228)と、
を備えるシステム(200)。
【請求項15】
大気から二酸化炭素を抽出するための二酸化炭素抽出器を更に備え、前記二酸化炭素抽出器が入口を介して前記第2の反応器(228)に接続される、請求項14に記載のシステム(200)。
【請求項16】
前記システムは、前記生物から尿素を収集して処理するための第3の反応器を更に備え、前記第3の反応器は、前記微生物塊(202)の増殖のための追加の増殖培地成分として前記第2の反応器に前記処理された尿素を供給するために前記第2の反応器(228)に接続される、請求項14又は15に記載のシステム(200)。
【請求項17】
前記第2の入口(232)は、それぞれが前記第2の反応器(228)に供給されるべき前記成分の第2のセットの個々の成分を運ぶための複数の通路を備える、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム(200)。
【請求項18】
前記第1の反応器(212)及び前記第2の反応器(228)のそれぞれは、前記バイオ廃棄物と、微生物塊及び該微生物塊中の前記成分の第2のセットを含む前記増殖培地とを混合するための撹拌装置を更に備える、請求項14~17のいずれか一項に記載のシステム(200)。
【請求項19】
重力場と非重力場との間の範囲の1つ以上の環境条件で使用するように構成される、請求項14~18のいずれか一項に記載のシステム(200)。
【請求項20】
前記第2の反応器(228)は、非重力場条件での使用時に前記増殖培地(216)に遠心効果を生じさせるためのロータを備える、請求項19に記載のシステム(200)。
【請求項21】
前記第2の反応器(228)は、非重力場条件での使用時に前記増殖培地(216)の液滴を形成するためのブレードのセットを備える、請求項19又は20に記載のシステム(200)。
【請求項22】
前記システムが閉サイクルシステムである、請求項14~21のいずれか一項に記載のシステム(200)。
【請求項23】
非重力場条件で微生物塊(202)を増殖させるためのプロセスであって、少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含み、エネルギー源として水素及び無機炭素源として二酸化炭素を用いて連続培養で前記少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含むプロセス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの単離された微生物がキサントバクター属の細菌株である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記単離された細菌株がVTT-E-193585又はその誘導体であり、前記誘導体は、エネルギー源として水素ガスを使用し、唯一の炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を保持している、請求項23又は24に記載のプロセス。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、栄養素を循環させるための閉サイクルシステムで微生物を増殖させることに関し、より具体的には、微生物塊(microbial mass)を増殖させるための方法及びシステムに関する。また、本開示は、非重力場条件で微生物塊を増殖させるためのプロセスにも関する。
【背景技術】
【0002】
微生物は、医学、食品産業、バイオ廃棄物管理などに及ぶ様々な用途で使用を見出してきた。これに関して、微生物は、一般に、栄養補助食品、食品及び/又は食品成分、又はバイオレメディエーション手段などの前述の用途のための微生物バイオマスを生成するために、最適にバランスのとれた環境条件下でバイオリアクタ内において増殖される。最適にバランスのとれた環境条件としては、バランスのとれた量の栄養素、ガス、熱、pH及び圧力が挙げられる。近年、微生物は、バイオ廃棄物管理のための宇宙ステーションなどの閉サイクルシステム並びにそのようなシステムによる栄養循環のために使用されてきている。特に、微生物のそのような使用は、植物の育成のため及びバイオ廃棄物の処分に起因する総埋め立てを削減するための生物学的廃棄物(又はバイオ廃棄物)からの肥料又は肥料の生産のみに限定されてきた。
【0003】
従来、バイオ廃棄物管理のための技術は、適切な微生物(複数可)を選択することによって、増殖チャンバ内における制御されたパラメータの下での微生物塊増殖を利用する。更に、閉サイクルシステムで微生物塊を増殖させるための従来の技術は、微生物を使用して、そこからの栄養素を利用することによってバイオ廃棄物上で増殖させる。一例において、従来のシステムは、閉サイクルシステムでの水の電気分解によって生成された水素ガスを利用することによる微生物バイオマス製造のための連続培養技術を採用する。そのような目的のために使用される微生物は、広範囲の属、好ましくは、食品として使用され得る栄養素を生成するために二酸化炭素、尿素及び水を利用するものに属し得る。しかしながら、従来のシステムに伴う問題は、例えば糞便などの様々なバイオ廃棄物をシステムのための材料として利用することができないことである。更に、バイオ廃棄物は、尿素、毒素、並びに増殖培地及びヒトに有毒な他の病原性細菌及び微生物を含有し、したがって、廃棄物及び環境汚染をもたらすバイオ廃棄物の処分を必要とする。
【0004】
近年、バイオ廃棄物から無機材料を回収する技術が導入されてきた。一般的な方法は、バイオ廃棄物を燃焼させて無機材料、すなわち無機材料の灰化を回収することである。しかしながら、そのような技術は、高温での酸化プロセス中に無機材料がその特性を失い、例えば元素窒素が高温では窒素ガスに失われるため、窒素、鉄、カルシウム、リン、マンガンなどの無機材料を完全に回収することもできない。更に、灰形成要素が、栄養素として再利用できないガラス様不活性ケイ酸塩を形成する。
【0005】
したがって、前述の議論に照らして、微生物塊を増殖させて効率的な栄養回収及び循環を達成するための従来の技術に関連する欠点を克服する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、微生物塊を増殖させるための方法を提供しようとするものである。また、本開示は、微生物塊を増殖させるためのシステムも提供しようとするものである。更に、本開示は、非重力場条件で微生物塊を増殖させるためのプロセスを提供しようとするものである。本開示は、閉サイクルシステムにおいて生物学的廃棄物をヒト食用材料に効率的に変換するという既存の課題に対する解決策を提供しようとするものである。本開示の目的は、従来技術で直面する問題を少なくとも部分的に克服し、微生物塊を増殖させるための効率的で堅牢な技術を提供し、その結果、効果的で環境上安全な栄養循環をもたらす解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本開示の一実施形態は、微生物塊を増殖させる方法において、
-生物からバイオ廃棄物を収集し、バイオ廃棄物は第1の量の水及び第1の量の固相を含むことと、
-収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器内に受けることと、
-第1の期間にわたって動作パラメータの第1のセットを使用して収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器内で処理して、固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解し、増殖培地を形成することと、
-滅菌、分離及び清浄ステップを含む、前記形成された増殖培地の洗浄と、
-形成された増殖培地を、微生物塊の接種材料を含む第2の反応器に供給することと、
-大気から局所的に二酸化炭素を収集することと、
-大気中に存在する第2の量の水を収集し、収集された第2の量の水を酸素及び水素ガスに分解することと、
-収集された二酸化炭素及び分解された酸素及び水素ガスを第2の反応器に供給することと、
-動作パラメータの第2のセットの下で第2の反応器内において微生物塊を増殖させることと、および、
-増殖した微生物塊を第2の反応器から収穫して、生物による消費のための食品を生成することと、を含む方法を提供する。
【0008】
他の態様において、本開示の一実施形態は、微生物塊を増殖させるためのシステムにおいて、
-生物からバイオ廃棄物を収集するように構成される第1のステージであって、前記バイオ廃棄物が第1の量の水及び第1の量の固相を含み、前記第1のステージが収集器ユニットである、第1のステージと、
-第1のステージに接続されて、入口を介して前記第1のステージから前記収集されたバイオ廃棄物を受けるとともに、前記受けたバイオ廃棄物を内部で処理して増殖培地を形成し、前記形成された増殖培地を洗浄し、前記洗浄が、滅菌、分離及び清浄を含み、および、前記バイオ廃棄物を処理するために、
-前記第1の反応器の内部を所望の温度に維持するための温度コントローラと、
-前記バイオ廃棄物を連続的に混合するための撹拌機と、
-pHセンサと、
-前記第1の反応器内の前記バイオ廃棄物のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための少なくとも1つの第1の入力と、
を備える第1の反応器と、
-前記第1の反応器の下流側に配置されて、微生物塊を増殖させるために前記第1の反応器から前記増殖培地を受け、
-微生物塊の接種材料と、
-微生物塊を増殖させるための成分の第2のセットを受けるための第2の入口であって、前記成分の第2のセットが、ガス、水、及び化学物質を含む第2の入口と、
-前記第2の反応器から前記増殖した微生物塊を収穫するための出と、を備える、第2の反応器と、
を備えるシステムを提供する。
【0009】
更なる他の態様において、本開示の一実施形態は、非重力場条件で微生物塊を増殖させるためのプロセスを提供し、プロセスは、少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含み、エネルギー源として水素及び無機炭素源として二酸化炭素を用いて連続培養で少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含む。
【0010】
本開示の実施形態は、先行技術における前述の問題を実質的に排除又は少なくとも部分的に対処し、糞便及び尿を含むがこれらに限定されない多種多様な生物学的廃棄物を含むバイオ廃棄物からの無機材料の効果的な回収を可能にする。バイオ廃棄物は、閉サイクルシステムにおける微生物の最適な増殖のために使用される。更に、本開示の実施形態は、栄養補助食品、医薬品、飼料、食品及び/又は食品成分に利用することができる栄養素の生成を可能にする。
【0011】
本開示の更なる態様、利点、特徴及び目的は、添付の特許請求の範囲と併せて解釈される例示的な実施形態の図面及び詳細な説明から明らかになる。
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み合わせることができることが理解され得る。
【0012】
上記の概要、並びに例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読めばより良く理解される。本開示を例示する目的で、本開示の例示的な構成が図面に示される。しかしながら、本開示は、本明細書に開示される特定の方法及び手段に限定されない。更に、当業者であれば分かるように、図面は原寸に比例していない。可能な限り、同様の要素は同じ番号で示される。
【0013】
以下の図を参照して、本開示の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態に係る、微生物塊を増殖させるための方法のステップを示すフローチャートである。
図2】本開示の他の実施形態に係る、微生物塊を増殖させるためのシステムのブロック図である。
【0015】
なお、添付図面において、下線が引かれた数字は、下線が引かれた数字が上に位置する項目、又は、下線が引かれた数字が隣接する項目を表わすために用いられる。下線が引かれていない番号は、下線が引かれていない番号を項目に連結する線によって識別される項目に関する。番号に下線が引かれておらず、関連する矢印を伴う場合、下線が引かれていない番号は、矢印が指し示している一般的な項目を識別するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、本開示の実施形態及びそれらを実施することができる方法を示す。本開示を実施する幾つかの態様が開示されているが、当業者であれば分かるように、本開示を行う又は実施するための他の実施形態も可能である。
【0017】
一態様において、本開示の一実施形態は、微生物塊を増殖させる方法において、
-生物からバイオ廃棄物を収集し、バイオ廃棄物は第1の量の水及び第1の量の固相を含むことと、
-収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器内に受けることと、
-第1の期間にわたって動作パラメータの第1のセットを使用して収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器内で処理して、固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解し、増殖培地を形成することと、
-滅菌、分離及び清浄ステップを含む、形成された増殖培地の洗浄と、
-形成された増殖培地を、微生物塊の接種材料を含む第2の反応器に供給することと、
-大気から局所的に二酸化炭素を収集することと、
-大気中に存在する第2の量の水を収集し、収集された第2の量の水を酸素及び水素ガスに分解することと、
-収集された二酸化炭素及び分割された酸素及び水素ガスを第2の反応器に供給することと、
-動作パラメータの第2のセットの下で第2の反応器内において微生物塊を増殖させることと、および、
-増殖した微生物塊を第2の反応器から収穫して、生物による消費のための食品を生成することと、を含む方法を提供する。
【0018】
他の態様において、本開示の一実施形態は、微生物塊を増殖させるためのシステムにおいて、
-生物からバイオ廃棄物を収集するように構成される第1のステージであって、バイオ廃棄物が第1の量の水及び第1の量の固相を含み、第1のステージが収集器ユニットである、第1のステージと、
-第1のステージに接続されて、入口を介して第1のステージから収集されたバイオ廃棄物を受けるとともに、受けたバイオ廃棄物を内部で処理して増殖培地を形成し、形成された増殖培地を洗浄する第1の反応器であって、洗浄が、滅菌、分離及び清浄を含み、および、
バイオ廃棄物を処理するために、第1の反応器が、
-第1の反応器の内部を所望の温度に維持するための温度コントローラと、
-バイオ廃棄物を連続的に混合するための撹拌機と、
-pHセンサと、
-第1の反応器内のバイオ廃棄物のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための少なくとも1つの第1の入力と、
を備え、
-第1の反応器の下流側に配置されて、微生物塊を増殖させるために第1の反応器から増殖培地を受ける第2の反応器であって、
-微生物塊の接種材料と、
-微生物塊を増殖させるための成分の第2のセットを受けるための第2の入口であって、成分の第2のセットが、ガス、水、及び化学物質を含む、第2の入口と、
-第2の反応器から増殖した微生物塊を収穫するための出口と、
を備える、第2の反応器と、を備えるシステムを提供する。
【0019】
更なる他の態様において、本開示の一実施形態は、非重力場条件で微生物塊を増殖させるためのプロセスを提供し、プロセスは、少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含み、エネルギー源として水素及び無機炭素源として二酸化炭素を用いて連続培養で少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含む。
【0020】
本開示は、ヒト(及び/又は動物)による消費のための食品を生成するためにバイオ廃棄物を利用することによって、閉サイクルシステムで微生物塊を増殖させるための前述の方法を提供する。本開示の方法は、微生物塊を増殖させるために生物学的廃棄物を使用する前に生物学的廃棄物を処理することを含む。有益には、生物学的廃棄物の処理プロセスは、バイオ廃棄物の無機鉱物の化学組成を、閉サイクルシステム内の栄養循環において微生物が利用するために鉱物が利用可能なままであるように保持する。したがって、処理プロセスは、閉サイクルシステム内の効果的な栄養素循環を可能にする。更に、本開示の方法は、バイオ廃棄物から病原性細菌及び毒素を除去し、それによって微生物を増殖させるために、糞便及び尿を含むがこれらに限定されない多種多様な生物学的廃棄物の利用を可能にし、それによってそのような廃棄物の処分に関連する問題を解決する。また、そのような微生物は、病原性細菌及び毒素を除去することによって安全性が確保されるため、例えば食品製造に使用することができる。
【0021】
本開示を通して、ここで使用される「微生物塊」という用語は、培養培地などのサンプル中の生体成分(すなわち、微生物)の量の指標を指す。一般に、微生物は、藻類、細菌、シアノバクテリア、酵母、真菌、古細菌などを含み得る。主に、細菌、藻類及び真菌のような微生物は、バイオ廃棄物残渣を分解して栄養素(例えば、窒素、炭素など)及びガス(二酸化炭素、水素、メタンなど)を放出する。更に、微生物塊は、毒素及び異種生物を代謝し、試料中に存在する金属イオン(例えば、亜鉛、銅、ニッケル、クロム、鉛など)を生物蓄積する能力を有する。特に、微生物は、好気性から嫌気性に及ぶ異なる種類の増殖条件及び通性条件で増殖する能力を有する。微生物塊の代替表現として、微生物バイオマスという用語を使用することができる。
【0022】
微生物は、それらの適切な天然環境及び/又は人工システムで増殖することが理解され得る。人工システムは、所与の微生物に適した自然環境を模倣するように構成される。一般に、出発材料として作用する微生物の接種材料(すなわち、種培養物としての少量の微生物)は、人工システムにおいて最適な増殖条件下でより多くの微生物を増殖させるために使用される。任意選択的に、人工システムは、植物細胞、真菌、ハイブリドーマ細胞株などを含む原核細胞及び真核細胞を培養するために使用される。最初に、人工システムに無菌的に維持された微生物培養物からの一定量の接種材料を播種する。更に、微生物を、制御された環境において、規定された期間増殖させて、最適な増殖を達成させ、これを以下、「微生物塊」と呼ぶ。微生物の最適な増殖は、例えばタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、繊維などを含むヒト栄養などにおいて、後の使用のためにその後に収穫される微生物増殖のバイオマス又は副生成物に関する。
【0023】
任意選択的に、人工システムは、例えばバイオリアクタとして実装される。「バイオリアクタ」という用語は、規定及び制御された物理的及び化学的条件下で、細胞の培養、微生物の増殖、並びに消費者の栄養、医薬又はエネルギーのニーズを満たすのに役立つ生体分子の産生に必要な生物学的及び/又は生化学的反応を意図した容器を指す。バイオリアクタは、円筒形、円錐形、直方体又は立方体などの形状を有してもよい。任意選択的に、バイオリアクタの容積は、例えば10リットル、100リットル、200リットル、1000リットル(L)などである。
【0024】
任意選択的に、バイオリアクタは、バイオリアクタ内で処理される内容物に対して不活性な材料から製造される。一例では、製造材料は、ステンレス鋼(例えば、タイプ304L、316L又は316L)、他の適切な金属又は合金、ガラス材料、繊維、セラミック、プラスチック材料、及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。更に、製造材料は、一般に、防水性であり、微生物濃度、バイオマス生産、撹拌力、通気力、動作圧力、温度、酸、アルカリなどの様々な生物学的、生化学的及び/又は機械的プロセスの研磨効果に耐えるのに十分な強度を有する。一般に、バイオリアクタは、内容物の重量を保持し、様々な生物学的、生化学的及び/又は機械的プロセスを実行するのに十分な厚さを有する。更に、バイオリアクタは、好ましくは、滅菌条件、例えば121℃及び2.5バールの水蒸気による蒸気滅菌を抑制するようなものでなければならない。或いは、滅菌は、化学滅菌又はガンマ滅菌を使用して行うことができる。
【0025】
微生物塊を増殖させる方法は、生物からバイオ廃棄物を収集することから開始し、バイオ廃棄物は、第1の量の水及び第1の量の固相を含む。本開示を通して、ここで使用される「バイオ廃棄物」という用語は、主に有機物から構成される生分解性廃棄物を指す。一般に、バイオ廃棄物は、堆肥化することができる食品廃棄物、植物性廃棄物(例えば、その中に高い窒素含有量を有する草刈り、葉、台所廃棄物などの庭園からの廃物)、褐色廃棄物(例えば、乾燥した葉、マツわら、乾草、おがくず、小枝など、その中に高含有量の炭素を有するもの)、動物排出物(便、乳、尿、子宮排出物、唾液など)、及び消化廃棄物(ヒトの排泄物、すなわち尿及び糞便など)を含む。本開示のバイオ廃棄物は、主に、ヒト及び/又はヒトに付随する動物などの生物から収集された消化廃棄物で構成される。更に、そのようなバイオ廃棄物は、ヒト及び動物の両方の健康リスクとなり得る病原性細菌及び毒素を含む。病原性細菌は、例えば、サルモネラ、大腸菌、サルモネラ、赤痢菌及びビブリオ並びに不快で有害な感染症を引き起こし得る他の微生物を含み得る。したがって、病原性細菌及び/又は毒素は、食品を生成するために微生物塊を増殖させる前に、バイオ廃棄物から除去する必要がある。
【0026】
任意選択的に、バイオ廃棄物は糞便及び尿を含み、第1の量の水はバイオ廃棄物の50~90重量%である。特に、便は第1の量の固相を形成し、第1の量の水は、尿、便に対応する含水量、及び/又は便スラリーを形成する洗浄水から構成される。第1の量の水は、バイオ廃棄物の50、55、60、65、70、75、80又は85重量パーセントから55、60、65、70、75、80、85又は90重量パーセントまでを形成し得る。一例では、第1の量の水は、バイオ廃棄物の90重量%である。バイオ廃棄物中の水の量を制御して、プロセス中の適切な増殖環境を確保することが重要である。更に、窒素、鉄、カルシウム、リン、マンガンは、尿の代わりに又は尿に加えて糞便中に大量に見出される元素である。栄養素としてのこれらの無機物の回収は、様々な目的のために微生物塊を増殖させるのに有益である。
【0027】
更に、バイオ廃棄物は、微生物塊を増殖させるための前述のシステム内で、又は微生物塊を増殖させるための前述のシステムに結合された別個の構成として、収集器ユニット(第1のステージと称される)に収集される。一般に、第1のステージは、その内容物が第1のステージに流入し、続いて下流の受け入れチャンバ(以下、第1の反応器と称する)にそれぞれ流入できるようにする少なくとも1つの入口及び出口を備える。任意選択的に、第1のステージは、システムの効率的な動作を妨げる可能性がある粗い懸濁粒子を除去するために、少なくとも1つの入口及び出口に粗いフィルタを備える。
【0028】
その後、収集されたバイオ廃棄物は、第1の反応器に受け入れられる。ここで使用される「第1の反応器」という用語は、収集されたバイオ廃棄物を処理するように構成された、バイオリアクタの内部に配置された、又はバイオリアクタに結合された別個のユニットとして提供されたチャンバ又は容器を指す。第1の反応器は、微生物塊を増殖させるためのその後の使用のためにバイオ廃棄物を処理するのに適した条件を提供する。第1の反応器は、一般に、特定の容積及び円筒形、円錐形、直方体又は立方体などの特定の形状を有する三次元中空構造又は容器である。
【0029】
固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解して増殖培地を形成するために、第1の反応器内の収集されたバイオ廃棄物は、第1の期間にわたって動作パラメータの第1のセットを使用して処理される。
これに関して、第1の反応器は、所定のレベルまでバイオ廃棄物で充填されるように構成される。任意選択的に、第1の反応器内のバイオ廃棄物の所定のレベルは、動作パラメータの第1のセットを使用して第1の量の水に固相無機栄養素の少なくとも一部を溶解してスラリー様増殖培地を形成するためにバイオ廃棄物が効果的に処理されるときの状態に関連し得る。
【0030】
本開示を通して、ここで使用される「増殖培地」という用語は、微生物塊を増殖させるための栄養を供給する流体又は半固体基質を指す。増殖培地は、栄養素を伴う又は伴わない液相及び固相を含む。任意選択的に、増殖培地の液相は水及び/又は尿を含み、固相は糞便及び固相無機栄養素を含む。通常、尿は約90重量%の水及び10重量%の無機塩及び有機化合物であることが理解され得る。尿の乾燥固体は、炭素、窒素、リン、カリウム、尿素及びアンモニアを含む。更に、糞便は、約75重量%の水及び25重量%の固形物を含む。更に、固形物は、約30重量%の微生物(細菌、原虫、寄生虫卵など)、30重量%の難消化性食品、10~20重量%の脂肪、2~3重量%のタンパク質、及び10~20重量%の無機栄養素を含む。糞便から得られる無機栄養素は、炭素、窒素、カルシウム、リン、鉄、カリウム、マグネシウム、セレンなどの供給源である。有益なことに、固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解することにより、微生物の増殖のための無機栄養素の効果的な取り込みが可能になる。
【0031】
任意選択的に、増殖培地は、炭素、マグネシウム、カリウム、リン、硫黄、鉄、亜鉛、マンガン、窒素(例えば、アンモニア、尿素、硝酸塩、亜硝酸塩、アミノ酸、タンパク質(可溶性、不溶性又は加水分解)の形態である)、動物副産物、乳廃棄物、酵母、脂肪酸、アルコール、多糖類、ミネラル、ビタミン、増殖因子、酸、塩基、抗生物質、消泡剤、界面活性剤などを含む追加の無機栄養素を含み得る。任意選択的に、増殖培地は、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水素、不活性ガス、窒素酸化物、メタンなどのガスを更に含む。増殖培地とは別に、微生物は最適な増殖のためにガスを必要とすることが理解され得る。
【0032】
更に、第1の反応器は、動作時に増殖培地を収容する。本開示で使用される「動作時」という用語は、第1の反応器をそれが所与のユーザによって操作される場合にのみ限定するものではなく、第1の反応器の構造的及び機能的態様の両方を含むことが意図されると解釈されるべきであることが理解され得る。
【0033】
任意選択的に、第1の反応器は、水熱炭化圧力容器として実装されてもよい。ここで使用される「水熱炭化」又は「HTC」という用語は、バイオ廃棄物の予備乾燥を必要とせずに、湿潤バイオ廃棄物の成分(有機及び無機化合物)をエネルギー及び/又は化学化合物(例えば、構造化炭素、バイオ燃料など)に変換するための、温度、圧力及びpH制御を伴う熱化学プロセスを指す。HTCは、一般に、バイオ廃棄物を処理し、固相(糞便)及び液相(尿)の両方から窒素、鉄、カルシウム、リン、マンガンなどの無機栄養素を回収するために、中程度の温度、圧力及びpHの使用を伴う。
任意選択的に、HTCは、滞留時間、加熱速度、バイオマスの濃度、水性品質などのパラメータも含む。HTCは、様々な目的のために微生物塊を増殖させるために無機栄養素を回収することを可能にする。
【0034】
任意選択的に、第1の反応器は、例えば10L Hastelloy C276圧力反応器などの、HTC適合圧力容器である。第1の反応器は、セラミック発熱体(6kW)を使用する。任意選択的に、加熱は、第1の反応器の外面に沿って第1の反応器の周りにセラミック加熱要素を配置することなどによって、第1の反応器の外面から行われる。或いは、加熱は、第1の反応器の内面に沿って第1の反応器の周りにセラミック加熱要素を配置することなどによって、第1の反応器の内面から行われる。
【0035】
任意選択的に、動作パラメータの第1のセットは、第1の反応器の内部の温度であって、少なくとも摂氏190度である温度と、増殖培地のpHであって、4未満であるpHとを含む。ここで使用される「動作パラメータの第1のセット」という用語は、微生物塊を増殖させるべく固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解するためにバイオ廃棄物の処理に必要な一連の条件を指す。動作パラメータの第1のセットは、第1の反応器内の温度、pH及び圧力条件を含む。第1の反応器の内容物の温度条件、圧力及びpH値は、固形物の破壊を確保し、固相無機栄養素の完全性を維持するための重要なパラメータであることが理解され得る。
温度は、例えば、摂氏150度(℃)、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃又は250℃から最大160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃又は300℃、好ましくは180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃又は240℃から最大190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃又は250℃、より好ましくは190℃、200℃又は210℃から最大200℃、210℃又は220℃であり得る。一例では、温度は220℃である。
前述の温度範囲は、増殖培地及びその上で増殖する微生物塊に有害であり並びに微生物塊の最終消費者にも有毒であり得る増殖培地中の病原性細菌を死滅させるのに有益である。
また、上記温度範囲であれば、固相有機物を適切な形態に破壊することができる。第1の反応器は圧力容器であり、非常に高い温度で使用することは危険であり得るため、温度はあまり高くすべきではないことが理解され得る。更に、増殖培地は、非常に高い温度で沸騰し得る。
pHは、例えば、2、2.5、3又は3.5から2.5、3、3.5又は4までの範囲の酸性pHであり得る。一例では、pHは2.3である。任意選択的に、第1の反応器の内容物のpHは、例えば硫酸などの酸を使用して調整される。HTCプロセス中のより低いpH条件は、液相中、すなわち第1の量の水中のより可溶性の固相無機栄養素、をもたらすことが理解され得る。圧力は、10、12、14、16又は18バールから12、14、16、18又は20バールまでであり得る。一例では、圧力は10バールである。
【0036】
任意選択的に、本方法は、第1の反応器内のバイオ廃棄物を少なくとも100RPMの速度で撹拌するステップを更に含む。バイオ廃棄物を撹拌すると、バイオ廃棄物の固形物がより小さな粒子に破壊され、それによって第1の量の水に固相無機栄養素が効果的に溶解して増殖培地を形成することが理解され得る。
更に、バイオ廃棄物を撹拌することは、バイオ廃棄物の効率的な通気をもたらし、それによって第1の反応器内の有害な爆風を防止する。撹拌速度は、一般に、例えば、100RPM、200RPM、500RPM、1000RPM、2000RPMなどであり得る。任意選択的に、撹拌速度は200RPMである。任意選択的に、バイオ廃棄物の撹拌は、一方向性又は渦流作用であってもよい。
【0037】
任意選択的に、第1の期間は、1時間~18時間である。HTCプロセスを使用することによる第1の反応器内のバイオ廃棄物の処理は、所定の期間、すなわち第1の期間にわたって行われる。ここで使用される「第1の期間」という用語は、第1の量の水に固相無機栄養素の一部を実質的に溶解して、微生物塊をその上で増殖させるのに適した増殖培地をもたらすのに必要な時間を指す。第1の期間は、一般に、1、1.5、2、3、6、又は12時間から2、3、6、12、又は18時間までの範囲であり得る。一例では、第1の期間は1時間である。第1の期間は、バイオ廃棄物を撹拌する速度の関数であることが理解され得る。これに関して、高速で撹拌する場合、第1の期間はより少なく、低速で撹拌する場合、第1の期間はより多い。更に、任意選択的に、第1の期間は、第1の反応器内の温度の関数である。これに関して、第1の反応器の高温では、バイオ廃棄物を処理するのに必要な第1の時間はより短く、第1の反応器の低温では、バイオ廃棄物を処理するのに必要な第1の時間はより長い。
【0038】
有益なことに、HTCは、従来の灰形成法又は酸の存在下での数時間の処理を伴う化学プロセスとは対照的に、エネルギー集約的な乾燥プロセスを伴うことなく、バイオ廃棄物から窒素、鉄、カルシウム、リン、マンガンなどの無機栄養素を回収することができるようにする、及び/又は所望の無機栄養素の構造的又は機能的完全性を補償することができるようにする。更に、有益には、第1の反応器内の発熱反応中に生成される熱は、第1の反応器内の温度条件に寄与し、それにより、第1の反応器内の温度条件を維持するために必要なエネルギー消費を大幅に低減する。更に、HTCプロセスは時間効率的である。
【0039】
任意選択的に、増殖培地中の水の量は、増殖培地中の水の量が増殖培地の20重量%未満である場合には、第3の量の水を第1の反応器に加えることによって、増殖培地中の水の量が増殖培地の20重量%を超える場合には、より多くの固相を加えることによって調整される。
特に、微生物塊を増殖させるためには、所定の濃度(すなわち、第1の水の量及び第1の固相の量)及び稠度(コンシステンシー)の増殖培地が必要である。これに関して、第1の反応器内の水の量を調整することにより、増殖培地の濃度及び稠度を適切に変更することができる。増殖培地の所定の濃度は、20重量パーセントの量の水及び80重量パーセントの固相を含む。
したがって、増殖培地中の水の量が増殖培地の20重量%未満である場合は第3の量の水を使用し、増殖培地中の水の量が増殖培地の20重量%を超える場合はより多くの固相をそれぞれ添加して、増殖培地を適切に希釈又は濃縮することができる。任意選択的に、第3の量の水は、尿又は普通の水から得られてもよい。代替実施形態によれば、第3の量の水を添加するか、又はより多くの固相材料を添加する限界は、15~25重量パーセントであり得る。
【0040】
本方法は、形成された増殖培地を第2の反応器に供給する前に、形成された増殖培地を洗浄するステップを更に含む。ここで使用される「洗浄」という用語は、バイオ廃棄物中に存在する病原性細菌及び毒素から増殖培地を清浄することを指す。増殖培地の洗浄(又は清浄)は、滅菌ステップ、分離ステップ及び清浄ステップを含む。
これに関して、少なくとも一部の固相無機栄養素を第1の量の水に溶解した増殖培地は、増殖培地から病原性細菌及び他の毒素を死滅させ、増殖培地中の未溶解固相をそれぞれ分離するために、滅菌ステップ及び分離ステップに供される。
特に、滅菌及び分離ステップは、以下で「第2の反応器」と呼ばれる増殖チャンバに増殖培地が導入される前に行われる。
実際に、本開示では熱分解又は燃焼などのプロセスが使用されないため、窒素、鉄、カルシウム、リン、マンガンなどの無機材料を回収することが可能である。
任意選択的に、分離ステップは、増殖培地中の未溶解固相を分離するためにフィルタ(すなわち、スクリーン、メッシュ又は膜)を利用する。更に任意選択的に、フィルタ(すなわち、スクリーン、メッシュ又は膜)は、第2の反応器に開口する第1の反応器の出口に配置される。分離ステップは、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過及び逆浸透などの膜分離技術を利用することができる。
本開示の清浄ステップは、増殖培地中の炭化残渣(HTCプロセスから生じる)の洗浄を含む。炭化残渣の洗浄は、増殖培地の液相中の塩及び栄養素の回収を更に改善するために重要である。
任意選択的に、清浄ステップは、例えば、撹拌しながら又は撹拌せずに水(脱イオン水、蒸留水、温水、冷水)で洗浄することによって行われる。或いは、任意選択的に、清浄ステップは、例えば塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、アルカリなどの化学物質で洗浄することによって行われる。
【0041】
この方法は、形成された増殖培地を、微生物塊の接種材料を含む第2の反応器に供給することを含む。ここで使用される「第2の反応器」という用語は、第1の反応器の下流に配置されたチャンバ又は容器を指す。第2の反応器は、第1の反応器から受け取った増殖培地中の微生物塊を増殖させるように構成される。
第2の反応器は、微生物塊を増殖させるのに適した条件を提供する。任意選択的に、第2の反応器は、第1の反応器の下方に垂直に配置される。前述の構成は、増殖培地が第1の反応器から第2の反応器に流れることを可能にする。増殖培地は、重力の影響により第1の反応器から第2の反応器に流れる。
任意選択的に、第1の反応器は、第1及び第2の反応器の両方が共通の垂直軸を共有するように、第2の反応器の上に配置される。或いは、第1の反応器は、共通の垂直軸を共有しないように第2の反応器の上部に配置されてもよく、すなわち、第2の反応器は、第1の反応器に隣接して下流に配置される。
そのような場合、第1及び第2の反応器は垂直方向に離間している。別の実施形態では、第2の反応器は、第1の反応器の下方に配置されず、むしろ第2の反応器の上面が第1の反応器の底面の上方にあるように垂直方向に離間される。任意選択的に、形成された増殖培地を第2の反応器に供給する前に、例えば膜を使用して増殖培地を濾過することができる。
【0042】
任意選択的に、第2の反応器は、一般に、円筒形、円錐形、直方体形又は立方体などの特定の容積及び特定の形状を有する三次元中空構造又は容器である。任意選択的に、第1及び第2の反応器は、例えば、その体積、寸法、製造材料などに基づいて、互いに構造的に類似している。或いは、第1及び第2の反応器は、構造的に異なっていてもよい。第1及び第2の反応器は、互いに機能的に類似又は非類似であり得ることが理解され得る。
【0043】
更に、動作中の第2の反応器は、遅滞期(微生物塊の増殖が開始しようとしているか、又はちょうど開始される)、対数増殖期(微生物塊の増殖が速い速度で増加している)、又は静止期(微生物塊の増殖が停止したか、又は停止しようとしている)の少なくとも1つの増殖期における微生物塊の接種材料を含む。
任意選択的に、本開示のシステムは、増殖培地が絶えず添加され、増殖培地が絶えず除去される連続培養システムであり、微生物塊の増殖は、増殖速度が一定である定常状態に達することができる。
【0044】
任意選択的に、微生物バイオマスの接種材料は、少なくとも1つの単離された微生物を含み、微生物は、エネルギー源として水素ガス及び無機炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を有する。
任意選択的に、単離された微生物は、その自然生息地から得られ得る。或いは、任意選択的に、単離された微生物は、その実験用培養物から得られてもよく、ここで、微生物は、適正製造プロセス(GMP)のガイドライン及び滅菌条件のもとで生成され、貯蔵される。
単離された微生物は、それぞれエネルギー源及び炭素源として水素ガス及び二酸化炭素を利用する能力を有する。
炭素源に基づいて、微生物は、独立栄養生物(炭素は二酸化炭素から得られる)、従属栄養生物(炭素は有機化合物から得られる)又は混合栄養生物(炭素は両方の有機化合物から得られ、二酸化炭素を固定することによって得られる)であり得る。
エネルギー源に基づいて、微生物は、独立栄養生物、光合成独立栄養生物(エネルギーは太陽光から得られる)、無機栄養生物(水素などの電子受容体は、無機化合物から得られる)、有機栄養生物(水素などの電子受容体は、有機化合物から得られる)、又は化学栄養生物(エネルギーは外部の化学化合物から得られる)であり得る。
実際には、前述の用語は、それらのエネルギー源及び炭素源に基づく微生物、例えば化学合成無機栄養生物(chemolithotrophs)、化学合成無機独立栄養生物(chemolithoautotrophs)、化学合成無機従属栄養生物(chemolithoheterotrophs)などを指すために自由に組み合わされ得ることが理解され得る。
【0045】
任意選択的に、接種材料のための微生物は、クロストリジウム・ユングダリ(Clostridium ljungdahlii)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、水素細菌(Knallgas)(例えば、Cupriavidus necator、Rhodococcus opacus、Hydrogenobacter thermophilus、Hydrogenovibrio marinus、Alcaligenes eutrophaなど)、カミニバクター(Caminibacter)属、アクウィフェクス(Aquifex)属、パラコッカス(Paracoccus)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ハイドロゲノモナス(Hydrogenomonas)属、メタン資化菌(methanotrophs)、メタン生成菌(methanogens)、ジオバクター(Geobacter)属、シアノバクテリウム(Cyanobacterium)属、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、オスシロスピラ(Oscillospira)属、プレオモルフォモナス(Pleomorphomonas)属からなる群から選択される。
クロストリジウム・ユングダリは、合成ガス及び二酸化炭素/水素混合物上で増殖する嫌気性ホモアセトゲンである。クロストリジウム・ユングダリは、糖、他の有機化合物、二酸化炭素/水素混合物及び/又は合成ガスを発酵させてタンパク質及び化学物質を生成することができる。
このプロセスにおいて、クロストリジウム・ユングダリは、大気中の二酸化炭素及び一酸化炭素の持続的な還元を可能にする。
水素細菌は、二酸化炭素を固定するために酸素を利用し、化学合成無機独立栄養条件下でそれらのバイオマスを増殖させるために水素ガスを酸化することが知られている。好気性又は通性の化学合成無機独立栄養条件下での水素細菌は、タンパク質及び他の高エネルギー分子を生成する。
カミニバクター属に属する微生物は、好熱性、嫌気性、化学合成無機独立栄養細菌である。それらの微生物は、水素ガス及び二酸化炭素をそれぞれその増殖のためのエネルギー源及び炭素源として利用する。
アクイフェックス属に属する微生物は、85℃~95℃の範囲の温度で、及び酸素又は窒素をそれぞれ還元することによって好気性(酸素のレベルが非常に低い)又は嫌気性条件で最もよく増殖する極端な好熱性微生物である。
パラコッカス属に属する微生物は、硝酸塩を分子窒素に還元する能力を有する通性細菌である。パラコッカス種は、その増殖のために様々な有機及び無機基質を使用することができ、したがって、バイオレメディエーションプロセスにおいて潜在的な用途が見出される。
キサントバクター属に属する微生物は、化学合成無機独立栄養的(水素、二酸化炭素及び酸素の存在下でそれらの環境において窒素源として分子状窒素を使用すること)並びに化学合成有機従属栄養的(メタノール、エタノール及び様々な有機酸を唯一の炭素源として使用すること)に増殖することができる窒素固定生物である。
ハイドロゲノモナス属に属する微生物は、電子供与体として水素を使用することができる通性独立栄養生物の群である。
メタン生成菌は、低酸素条件下で代謝副生成物としてメタンを生成する嫌気性生物であり、廃水処理に応用されている。
ジオバクター属に属する微生物は、有機化合物や金属を二酸化炭素に酸化する嫌気性細菌であり、生分解やバイオレメディエーションに応用されている。
シアノバクテリウム属に属する微生物は、自由生活性光合成細菌及び内生細菌の両方である。シアノバクテリウム種は、嫌気性条件下で、最終的にタンパク質に変換されるアンモニア、硝酸塩又は亜硝酸塩に大気窒素を固定することが知られている。
アセトバクテリウム属に属する微生物は、二酸化炭素又は一酸化炭素を使用して酢酸塩を生成する嫌気性細菌である。
オスシロスピラ属に属する微生物は、糖を炭素源とする嫌気性生物である。
プレオモルフォモナス属に属する微生物は、炭素源及びエネルギー源としてメタンを利用する。プレオモルフォモナス種は窒素を固定することもできる。
サッカロミセス・セレビシエは、糖(例えば、グルコース、マルトース、トレハロースなど)の発酵を引き起こしてタンパク質及び他の有用な化合物(例えば、バイオエタノール)を生成する通性嫌気性酵母である。
メタン資化菌は、酸素の存在下で増殖して、微生物塊の一部としてタンパク質及び化学物質を産生することができることが知られているメタン利用細菌である。
【0046】
任意選択的に、微生物塊の増殖は、エネルギー源としての水素及び無機炭素源を用いて連続培養でキサントバクター属の細菌株を培養することを含み、無機炭素源は二酸化炭素を含む。
前述したように、キサントバクター属細菌株は、エネルギー源としての水素及び炭素源としての二酸化炭素の存在下で窒素を固定する窒素固定細菌である。最初に、キサントバクター属の細菌株を第2の反応器に接種して、所定の期間及び/又は微生物塊が所定のサイズに増殖するまで連続培養で増殖させる。
【0047】
任意選択的に、微生物塊は、単離された細菌株VTT-E-193585又はその誘導体を含み、誘導体は、エネルギー源として水素ガスを使用し、唯一の炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を保持している。単離された細菌株VTT-E-193585又はその誘導体は、遺伝的に安定であり、エネルギー源として水素ガス及び炭素源として二酸化炭素を利用することによって、最適な条件からストレスの多い条件に及ぶ広範囲のプロセス条件で経時的に増殖させることができる。ここで使用される「遺伝的に安定」という用語は、変化に抵抗し、複数世代又は細胞分裂にわたって、理想的には数百から数千にわたってその遺伝子型を維持する種又は株/単離体の特徴を指す。
【0048】
この方法は、二酸化炭素を収集することを含む。微生物は二酸化炭素をその増殖のための炭素源として使用するので、二酸化炭素は大気から収集されるか、又は代替的に他のプロセスから供給される。当業者に公知の様々な技術を使用して二酸化炭素を収集することができることが理解され得る。
特に、閉サイクルシステムなどのシステムでは、二酸化炭素は、システムの壁によって覆われたような環境から局所的に収集される。例えば、二酸化炭素は、化学媒体、機能性吸着剤、又は二酸化炭素抽出器を使用して収集され得る。有益なことに、環境からの二酸化炭素を連続的に利用する微生物は、環境中の二酸化炭素の量を消費することになる。
前記システムの人間の占有者は、呼吸によって二酸化炭素をその呼吸副産物としてどんどん生成し、呼吸した二酸化炭素を微生物が利用するため、大気からの二酸化炭素は決して尽きることがなく、したがって微生物が増殖するための容易に利用できる炭素源として機能する。
任意選択的に、或いは、二酸化炭素及びエネルギーは、ソーラーパネルなどを介して外部環境から得られ、そのような場合、システムは再生システムであってもよい。
【0049】
任意選択的に、この方法は、増殖培地の少なくとも一部から二酸化炭素を抽出することを更に含む。これに関して、二酸化炭素は増殖培地から固定される。更に、増殖培地からの無機炭素(二酸化炭素の形態)は、微生物によって有機化合物に固定又は変換される。次いで、有機化合物は、微生物の増殖に必要なエネルギーを貯蔵するために使用される。
【0050】
この方法は、第2の量の水を収集することと、収集された第2の量の水を酸素及び水素ガスに分解することとを含む。ここで使用される「第2の量の水」という用語は、大気中に存在する水又は水分の量を指す。
ヒトなどのシステムの占有者は、大気中で二酸化炭素及び水蒸気を生成する呼吸をすることが理解され得る。第2の量の水は、一般に、大気中の水分、尿素などを凝縮することによって局所的な環境から収集される。収集された第2の量の水は、電解プロセスを使用するなどして、水素ガスと酸素とに分解される。プロセス中に放出された水素ガスは、その増殖のためのエネルギー源として微生物によって利用される。
更に、第2の量の水の分解によって生成される酸素は、通性又は好気性微生物による増殖培地の有機物の加水分解速度を改善する。有益なことに、第2の量の水を水素ガス及び酸素に分解することにより、微生物塊を増殖させるために利用可能とされる水素ガス及び酸素を貯蔵するための気相容器を設置する必要がなくなる。
【0051】
この方法は、収集された二酸化炭素並びに分解された酸素及び水素ガスを第2の反応器に供給することを含む。増殖培地とは別に、微生物は最適な増殖のためにガスを必要とすることが理解され得る。ガスは、第2の反応器内の増殖培地に溶解される。
分解された酸素及び水素ガス並びに収集された二酸化炭素は、第2の反応器に供給されて、第2の反応器内の微生物塊に通気並びに必要なエネルギー及び炭素源をもたらす。更に、酸素は溶解形態で微生物に供給される。
一般に、溶存酸素は、曝気と呼ばれるプロセスによって微生物に連続的に供給される。増殖培地中のガスの溶解は、ガスの滞留時間に比例する。本開示を通して、ここで使用される「滞留時間」という用語は、ガスがバイオリアクタ内で費やす時間の長さを指す。一例では、増殖培地中の気泡の形態のガスの滞留時間は、10~30分の範囲であり得る。
任意選択的に、小さい気泡は、大きい気泡と比較して体積当たりの表面積が大きく、したがって浮力が小さく、したがって滞留時間が長い。任意選択的に、ガスは、ガスと増殖培地との効果的な混合、及び微生物による効率的な利用のために増殖培地中の各ガスの滞留時間を増加させることを可能にするべく、増殖培地に散布されてもよい。
増殖培地の通気は、効果的な微生物増殖をもたらす増殖培地の鮮度を維持することを可能にすることが理解され得る。任意選択的に、二酸化炭素、酸素及び水素ガス以外の他のガスが第2の反応器に供給されてもよい。他のガスには、一酸化炭素、窒素、不活性ガス、窒素酸化物、メタンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
一般に、ガスは、増殖培地中に存在する微生物の量に基づく所定量に基づいて第2の反応器に供給される。換言すれば、増殖させるべき微生物塊の所望の量と、ガスを利用する微生物の能力を知ることとに基づいて、ガス及び増殖培地の量が決定される。任意選択的に、ガスの量は、微生物の増殖段階の異なる長さに依存する。任意選択的に、ガスの量は、好気性増殖、嫌気性増殖、通性増殖などの微生物塊の増殖に利用される戦略に依存する。
【0053】
本方法は、動作パラメータの第2のセットの下で第2の反応器内で微生物塊を増殖させることを含む。第2の反応器は、微生物塊の効率的な増殖を可能にする動作パラメータの第2のセットで構成される。ここで使用される「動作パラメータの第2のセット」という用語は、第2の反応器内で微生物塊を増殖させるために必要な一連の条件を指す。
動作パラメータの第2のセットは、前述の増殖培地によって提供される栄養要求、通気(溶存酸素濃度)及び撹拌(増殖培地を定期的に撹拌することによって達成される混合)、浸透圧、pH及び第2の反応器内の温度条件を含む。
微生物の高い増殖速度は、動作パラメータの第2のセットの急速な変化をもたらし、それによって、例えばコントローラ装置、レギュレータ及び/又はセンサを介してなど、動作パラメータの第2のセットの一定の監視を必要とすることが理解され得る。
栄養要求には、一般に、マクロ分子(炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リンなど)及びミクロ分子(例えば微量元素及び有機増殖因子、例えばマグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及び鉄など)が含まれる。
更に、温度範囲は、異なる種類の微生物に対して変化し得る。好ましい温度範囲に基づいて、微生物は、一般に、好冷性微生物(0~30℃の最適温度を有する低温を好む微生物)、中温性微生物(25~40℃の最適温度を有する中温を好む微生物)、及び好熱性微生物(50~80℃の最適温度を有する熱を好む微生物)に分類される。更に、5.4~8.5の範囲の中性pHが微生物増殖に最も適している。
しかしながら、好酸性微生物と呼ばれる幾つかの微生物は、酸性pH(45.4未満)で増殖し得るが、好アルカリ性微生物と呼ばれる他の微生物は、7から14の範囲のアルカリ性pHで増殖し得る。
特に、カビ及び酵母は、5~6の範囲のpHで最もよく増殖する。更に、微生物塊の増殖は、増殖培地の浸透圧(微生物の外部環境中の塩濃度によって決定される)の関数でもある。更に、増殖培地は、微生物による取り込みのために増殖培地中のガス(酸素など)を溶解するために定期的な通気及び撹拌を必要とする。増殖培地は、微生物塊の増殖を促進するのに十分な液相、例えば水を含むことが理解され得る。第2の反応器内の微生物の接種材料は、初期の遅滞期及び/又は対数増殖期にあることが理解され得る。
【0054】
この方法は、増殖した微生物塊を第2の反応器から収穫して、生物による消費のための食品を生成することを含む。ここで使用される「収穫物」又は「収穫」という用語は、第2の反応器内の増殖培地から増殖した微生物塊を除去するプロセスを指す。
任意選択的に、増殖した微生物塊の収穫は、連続的に又はバッチごとに行われる。増殖した微生物塊は、通常、その定常増殖期、すなわち微生物がそれ以上増殖できないときにある。
収穫された増殖微生物塊は、当業者に公知の技術を使用して、そこから所望の生成物を誘導するために更に処理され得る。収穫され増殖した微生物塊に由来する所望の生成物には、タンパク質、脂質、炭水化物、繊維、ビタミン、ミネラル及び/又は酸化防止剤が含まれる。
任意選択的に、所望の製品は、食品、食品成分、栄養補助食品、医薬品、消耗品及び/又は適用製品などとして消費されてもよい。
実際には、方法ステップは相乗効果をもたらし、微生物塊の増殖を可能にする。
一実施形態によれば、この方法は、宇宙ステーション内で宇宙飛行士から生物廃棄物を収集でき、二酸化炭素は宇宙ステーションの大気から収穫でき、収穫され成長した微生物塊は宇宙飛行士の食料として提供できるため、サークルを閉じることができるため、宇宙ステーション等の閉鎖系で微生物塊を増殖させるのに適している。
【0055】
任意選択的に、微生物塊は、生物による消費のためにバイオ廃棄物及びガスを食品にリサイクルするように作用し、食品は、タンパク質、炭水化物、脂肪酸、酸化防止剤、繊維内容物の少なくとも1つが豊富である。初期遅滞期及び/又は対数増殖期の微生物は、増殖培地中の有機化合物及び第2の反応器に供給されたガスを利用して、バイオ廃棄物及びガスを消費可能な製品、好ましくは栄養素にリサイクルさせる。任意選択的に、微生物塊は、タンパク質、脂質、炭水化物、繊維、ビタミン、ミネラル及び/又は酸化防止剤を産生することができる微生物を含む。収穫された微生物塊に由来する栄養素は、ヒト及び動物などの生物による使用、好ましくは低コストの栄養要件を満たすためのヒトによる使用にとって安全であることが理解され得る。
【0056】
任意選択的に、本方法は、生物から尿素を収集することと、収集された尿素をその処理のために第3の反応器に供給することと、処理された尿素を微生物塊の増殖のための追加の増殖培地成分として第3の反応器から第2の反応器に供給することとを更に含む。
尿素は加水分解してアンモニアの形での尿素窒素及び二酸化炭素を供給することが理解され得る。
微生物は、水素の存在下で窒素を利用し、その増殖のために増殖培地から酸素を利用する。任意選択的に、第3の反応器は、尿素を収集するために、第1の反応器と平行に、或いは第1のステージの下流に配置される。任意選択的に、第3の反応器は、収集された尿素を増殖培地としての使用に安全にするために処理するように構成される。任意選択的に、第3の反応器は、円筒形、円錐形、直方体又は立方体などの特定の容積及び特定の形状を有する三次元中空構造又は容器である。任意選択的に、第1、第2及び第3の反応器は、例えば、その体積、寸法、製造材料などに基づいて、互いに構造的に類似している。或いは、第1、第2及び第3の反応器は、構造的に異なっていてもよい。第1及び第3の反応器は、互いに機能的に類似又は非類似であってもよいことが理解され得る。
【0057】
本開示はまた、上記のようなシステムに関する。上記で開示された様々な実施形態及び変形例は、必要な変更を加えてシステムに適用される。
【0058】
特に、第1の反応器は、第1のステージから収集されたバイオ廃棄物が第1の反応器でのその処理のために受け入れられる入口によって第1のステージに接続される。任意選択的に、入口は、収集されたバイオ廃棄物を第1のステージから第1の反応器に供給するための通路として作用する、特定の長さを有する管状構造物である。
更に、第1のステージから第1の反応器への収集されたバイオ廃棄物の流れを可能にするためにポンプを使用することができる。更に、入口は、第1の反応器への入口を介して収集されたバイオ廃棄物の供給を調整するためのレギュレータに動作可能に結合されてもよい。
【0059】
第1の反応器は、受け取ったバイオ廃棄物を処理するために、第1の反応器内の所望の温度を維持するための温度コントローラと、バイオ廃棄物を連続的に混合するための撹拌機と、pHセンサと、および第1の反応器内のバイオ廃棄物のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための少なくとも1つの第1の入力とを備える。
任意選択的に、第1の反応器は、バイオ廃棄物を処理するための制御された条件を提供するために、第1の反応器内の動作パラメータの第1のセットを制御するためのコントローラ装置を備える。
これに関して、コントローラ装置は、センサデータに基づいて、第1の反応器内の動作パラメータの第1のセットを感知及び調整するための複数のセンサ及びレギュレータ(又はそれらの組み合わせ)を備える。
コントローラ装置は、例えば、第1の反応器内の温度、湿度、ガス濃度(二酸化炭素、酸素、及び他のガスなどの少なくとも2つのガスの相対濃度)及びpHをそれぞれ検出(又は感知)するための温度コントローラ、湿度センサ、ガス濃度センサ、pHセンサなどを含む。
少なくとも1つの第1の入力は、第1の反応器への入口点として機能し、そこから第1の反応器内のバイオ廃棄物のpHを制御するための、アルカリ性又は酸性の化合物又は溶液などの成分の第1のセットが添加されることが理解され得る。
バイオ廃棄物のpHを所定の範囲にするために、バイオ廃棄物のpHが所定のpH値より高い場合、例えば2.3より高い場合、酸性化合物又は溶液が添加され、バイオ廃棄物のpHが所定のpH値より低い場合、すなわち2.3より高い場合、アルカリ性化合物又は溶液が添加されることが理解され得る。
任意選択的に、コントローラ装置は、第1の反応器内の動作パラメータの第1のセットを、処理時間全体にわたって連続的に、又は間欠的に、すなわち、例えば、5分、10分、15分、20分、30分、60分などのうちの少なくとも1つのギャップ内の時間持続時間、例えば、1時間~18時間の間の時間、又は前述の任意の範囲などの所定の時間持続時間で感知及び調整するように構成される。
【0060】
任意選択的に、バイオ廃棄物を処理するのに最適な動作パラメータの第1のセットは、データベースから取得され、データベースは、コントローラ装置に通信可能に結合される。更に、データベースは、データ又はその組織体が表現される方法にかかわらず、デジタル情報の組織体に関する。更に任意選択的に、データベースは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
データベースは、例えば、IBM DB2及びOracle9のようなリレーショナルデータベースなどの任意のデータ記憶ソフトウェア及びシステムを含む。より任意選択的に、コントローラ装置は、通信ネットワークを介してデータベースに通信可能に結合される。一例では、通信ネットワークは、セルラーネットワーク、短距離無線機(例えば、Bluetooth(登録商標)など)、インターネット、無線ローカルエリアネットワーク、及び赤外線ローカルエリアネットワーク、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
第1の反応器は、処理されたバイオ廃棄物を増殖培地の形態で第2の反応器に供給するための第1の出口を有する。第1の出口は、第1の入口と同様に、第1の反応器からの増殖培地の出口又は通路として作用する特定の長さを有する管状構造である。任意選択的に、第1の出口は、第1の出口を介した増殖培地の流出を調節するためのレギュレータに動作可能に結合されてもよい。
【0061】
第2の反応器は、微生物塊の接種材料と、微生物塊を増殖させるための成分の第2のセットを受けるための第2の入口であって、成分の第2のセットがガス、水、及び化学物質を含む、第2の入口と、および第2の反応器から増殖した微生物塊を収穫するための出口とを含む。
微生物塊の接種材料は、一般に、供給入口を介して、プロセスの開始時に1回、第2の反応器に供給される。第1の反応器から受け取った増殖培地とは別に、微生物は増殖のために他の成分を必要とすることが理解され得る。成分の第2のセットは、微生物塊を増殖させるのに必要な要素を供給するように構成される。成分の第2のセットは、酸素、二酸化炭素、水素ガスなどのガス、水、及び増殖培地の最適pHを維持するためのアルカリ性及び/又は酸性化合物又は溶液などの化学物質を含む。
【0062】
任意選択的に、第2の入口は、成分の第2のセットを第2の反応器に供給するための入口として作用する特定の長さを有する管状構造である。第2の入口は、第2の反応器の側壁に設けられてもよい。
更に、第2の入口は、第2の反応器の底端に設けられてもよい。第2の入口用のガスは、第2の反応器の外側に位置し得るガス貯蔵ユニットから供給され得る。
更に、ポンプを使用して、ガス貯蔵ユニットから第2の反応器へのガスの流れを可能にすることができる。更に、第2の入口は、第2の入口を介した第2の反応器へのガスの供給を調整するためのレギュレータに動作可能に結合されてもよい。
任意選択的に、ガスは、ガス貯蔵ユニット内に圧力下で、すなわち圧縮状態で貯蔵されてもよい。更に、ガスの流量は、コントローラ装置によって制御することができ、すなわち、コントローラ装置は、ガス貯蔵ユニットから第2の反応器に流れるガスの量及び/又は速度を調整することができる。一例では、ガスの流量は、0.1~2体積のガス/増殖培地の体積/分(vvm)の範囲である。
【0063】
任意選択的に、第2の入口は、気泡を生成するための幾つかの開口を有するノズルを備えてもよい。ノズル、例えばスパージャは、第2の入口の端部の突出部として機能することができ、ガスを気泡として第2の反応器に分散させるための小さな孔などの多数の開口を備える。
ノズルの多数の開口を通じて拡散されたガスは、小さな気泡と大きな気泡の組み合わせをもたらす。更に、ノズルの開口の直径は、例えば0.5~200μm(マイクロメートル)、好ましくは1~30μm、より好ましくは3~10μmであり得る。ノズルの開口の直径は、例えば、0.5、0.7、1、2、3、5、7、10、15、20、22、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140又は150μmから1、2、3、5、7、10、15、20、22、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μmまでであり得る。
任意選択的に、気泡の形状は、管状、球形、半球形、楕円形、半楕円形及び/又はそれらの組み合わせのいずれかである。「拡散する」、「拡散される」又は「拡散」という用語は、スパージャ(又はディフューザ又はノズル)を使用することによって増殖培地などの液体にガスを注入するプロセスを指す。任意選択的に、拡散は、発酵、オゾン化、酸化、水素化などの用途における更なる反応のために、通気及び炭酸化などにおいてガスを液相に溶解するために使用される。或いは、剥離用途などにおいて、拡散を使用して増殖培地から汚染物質を除去する。
【0064】
任意選択的に、第2の入口は、第2の反応器に供給される成分の第2のセットの個々の成分をそれぞれ運ぶための複数の通路を含む。特に、第2の反応器には、成分の第2のセットのそれぞれを第2の反応器に供給するための複数の別個の第2の入口が設けられてもよい。
或いは、第2の反応器には、成分の第2のセットのそれぞれを第2の反応器に供給するための共通の第2の入口が設けられてもよい。一例では、第2の反応器にガスを供給するための第2の入口の場合、第2の入口は、2つ以上のガスのための2つ以上の通路を形成する少なくとも1つの分離を含み、複数の通路のそれぞれは、第2の反応器に供給されるガスの個々のガスを運ぶための専用の入力として機能する。
専用の入力は、発熱反応などの望ましくない反応を引き起こす可能性があるガスの混合を防止する。一例では、第2の入口は、酸素ガスを運ぶ第1の通路、二酸化炭素を運ぶ第2の通路、水素ガスを運ぶ第3の通路などを備える。任意選択的に、第2の入口は、第2の反応器内の異なる位置に配置された第2の入口のグループによって形成されてもよい。
【0065】
任意選択的に、第1の反応器及び第2の反応器のそれぞれは、バイオ廃棄物と、微生物塊及びその中の成分の第2のセットを含む増殖培地とを混合するための撹拌装置を更に備える。撹拌機は、第1の反応器内のバイオ廃棄物を撹拌して、バイオ廃棄物の液相及び固相を混合し、増殖培地、並びに微生物塊及び第2の反応器内の成分の第2のセットを含む増殖培地を形成するように構成される。
ここで使用される「撹拌機」という用語は、バイオ廃棄物を混合して増殖培地のスラリーを形成し、増殖培地を通気のために更に混合するための回転装置を指す。一例では、撹拌機は、時計回り方向、反時計回り方向、又はその両方に回転するように構成され動作可能である。
第1の反応器内の撹拌機の撹拌速度は、一般に、例えば100RPM、200RPM、500RPM、1000RPM、2000RPMなどであり得る。任意選択的に、撹拌速度は200RPMである。
任意選択的に、撹拌機は、モータと、モータに接続されたシャフトと、およびシャフト上に配置されたブレードとを備える。任意選択的に、ブレードはアンカー型ブレードである。ブレードは、撹拌装置のシャフトに強固に結合され、シャフトの回転と共に回転するように動作可能である。任意選択的に、ブレードは、垂直方向に離間してシャフトに強固に結合されたブレードのグループ又はセットを備える。更に任意選択的に、ブレードのグループのそれぞれは、2つ以上のブレードを含むことができる。
【0066】
任意選択的に、第1及び第2の反応器のそれぞれは、別個の撹拌機を備える。或いは、第1及び第2の反応器は、共通の撹拌機を含むことができ、すなわち、第1及び第2の反応器の両方を通じて延びるシャフトを有することができる。更に、ブレードはシャフトに結合され、シャフトは共通のモータに結合される(直接又はベルト及びプーリ構成を使用して)。
【0067】
更に、第2の反応器は、第2の反応器から増殖した微生物塊を収穫するための出口を備える。一般に、出口は、第2の入口と同様に、第2の反応器からの増殖した微生物塊の出口として作用する特定の長さを有する管状構造である。
任意選択的に、出口は、出口を介した増殖培地の流出を調節するためのレギュレータに動作可能に結合されてもよい。任意選択的に、出口は、第2の反応器の側壁に設けられてもよい。また、出口は、第2の反応器の下端に設けられてもよい。任意選択的に、ポンプを使用して、第2の反応器から増殖した微生物塊を収集する。
第2の反応器から収集された増殖微生物塊は、進行増殖期、すなわち対数増殖期に微生物塊を有することが理解され得る。具体的には、第2の入口によって供給されるガスは、第2の反応器の増殖培地と主に接触し、第2の反応器の増殖培地中に存在する微生物がガスを実質的に消費してその実質的な増殖を引き起こすことができるようにする。
任意選択的に、第2の反応器内の微生物塊の最適な増殖を可能にするために、第2の反応器の増殖培地は、第1の反応器からの新鮮な増殖培地を収容するために反応器から定期的に除去される。
任意選択的に、第2の反応器から除去された増殖培地は、産生増殖培地貯蔵ユニットに貯蔵される。
【0068】
任意選択的に、システムは、過剰ガスをリサイクルするために第1の反応器と第2の反応器との間に配置されたガスリサイクル装置を更に備える。ガスリサイクル装置は、第1の反応器を第2の反応器に流体的に結合する長尺な通路又は管状構造を本質的に含むことが理解され得る。
任意選択的に、ガスリサイクル装置は、ガス貯蔵ユニットに結合される。ガスリサイクル装置は、過剰ガスの流れを制御するためのバルブ及びレギュレータを含むことができる。更に、ガスリサイクル装置は、当技術分野で知られているガス分離装置を含むことができる。ガス分離装置は、ガスの混合物を、続いて第2の反応器の第2の入口に伝達される個々のガスに分離するように動作可能であってもよい。一例では、ガスリサイクル装置は、過剰ガス中に存在し得る不純物を除去する。
【0069】
任意選択的に、システムは、大気から二酸化炭素を抽出するための二酸化炭素抽出器を更に備え、二酸化炭素抽出器は、入口を介して第2の反応器に接続される。二酸化炭素抽出器は、一般に、直接空気捕捉などの二酸化炭素を吸収するための手段である。任意選択的に、二酸化炭素抽出器は、二酸化炭素をそのガス形態で吸収し、圧縮され、隔離された(例えば、炭酸塩の形態の)吸着材料である。収集(吸収又は抽出)された二酸化炭素は、その中で微生物塊を増殖させるために第2の反応器に供給される。
【0070】
任意選択的に、システムは、生物から尿素を収集して処理するための第3の反応器を更に備え、第3の反応器は、微生物塊の増殖のための追加の増殖培地成分として処理された尿素を第2の反応器に供給するために第2の反応器に接続される。
【0071】
任意選択的に、システムは閉サイクルシステムである。ここで使用される「閉サイクルシステム」という用語は、ヒト及びヒトに付随する動物などの占有者のための閉鎖ループの生体再生生命維持システムを指す。
特に、閉サイクルシステムは、空気、水、及び栄養素の完全な自給率を達成するように構成され動作可能である。これに関して、閉サイクルシステムは、栄養素再利用に関与する微生物塊を増殖させるために、バイオ廃棄物、例えばヒト排泄物を利用する。
任意選択的に、閉サイクルシステムは、システムの機能に追加の支援を提供するためのリサイクル動物、食用動物、植物システムを備えてもよい。例えば、閉サイクルシステムは、長期ミッションにおける宇宙船、災害管理カプセル、軍事安全トンネル、極端な気候の居住地、連続バイオリアクタタンクなどであってもよい。
【0072】
任意選択的に、システムは、重力場と非重力場との間の範囲の1つ以上の環境条件で使用するように構成される。
本開示のシステムは、それぞれ第1の反応器及び第2の反応器における動作パラメータの第1のセット及び動作パラメータの第2のセットを制御するためのコントローラ装置を用いて構成されることが理解され得る。
したがって、システムは、任意の大気条件、すなわち重力、負の重力、部分重力(低重力又は微重力など)、および無重力におけるシステムの適切な動作について、第1の反応器および第2の反応器における動作パラメータの第1のセットおよび動作パラメータの第2のセットを(システム内から、又は外部制御システムによって)それぞれ、調整するように構成され得る。
任意選択的に、システムは重力センサを備える。
【0073】
任意選択的に、第2の反応器は、非重力場条件で使用されているときに増殖培地に遠心効果を生成するためのロータを備える。任意選択的に、ロータは、第2の反応器の撹拌機と機能的及び構造的に同様であってもよい。
ロータは、少なくとも1つであってもよく、負の、部分的又は非重力場条件の影響下で増殖培地の混合を可能にするために第2の反応器の壁に配置されてもよい。
部分的又は非重力条件では、増殖培地が第2の反応器の底部にないため、撹拌は増殖培地を混合するのに十分ではない場合があることが理解され得る。このような場合、第2の容器の撹拌機に加えて第2の反応器の壁にあるロータにより、微生物塊を増殖させるための増殖培地の効率的かつ効果的な混合が可能になる。
任意選択的に、ロータの速度は、撹拌機の速度と同様であってもよい。或いは、ロータは、第2の反応器の撹拌機と機能的及び構造的に類似していなくてもよい。実際、反応器チャンバのための人工重力の生成は、微生物塊の増殖を制御することを可能にする。人工重力効果(遠心力によって引き起こされる)がなければ、例えば増殖培地にガス及び栄養素を添加することは実現不可能である。
【0074】
任意選択的に、第2の反応器は、非重力場条件で使用されるときに増殖培地の液滴を形成するためのブレードのセットを備える。任意選択的に、ブレードのセットは、撹拌機及び/又はロータと共に配置されてもよい。或いは、任意選択的に、ブレードのセットは、第2の反応器の壁に配置されてもよい。
水は、非重力場条件で球状の液滴を形成することが理解され得る。したがって、増殖培地の液相は、撹拌機、ロータ及び/又はブレードのセットを使用して混合されると液滴を形成する。任意選択的に、液滴としての増殖培地の液相の分離は、第2の反応器の出口から収集される増殖微生物塊の凝集を可能にする。
更に、ブレードのセットがなければ、増殖培地は、第2の反応器内に単一の球状液体物を形成することができる。これは、例えば増殖培地へのCOの投与を制御することを困難にする。小さな液滴は第2の反応室の周りを移動させることができ、したがって、反応室のガス入口に近接する液滴にCOを供給することができる。
【0075】
本開示はまた、上記の方法に関する。上記で開示された様々な実施形態及び変形例は、必要な変更を加えてプロセスに適用される。
【0076】
非重力場条件で微生物塊を増殖させるためのプロセスであって、少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含み、エネルギー源として水素及び無機炭素源として二酸化炭素を用いて連続培養で少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含むプロセスである。
前述のように、システムは閉サイクルシステムであるため、エネルギー源として水素及び無機炭素源として二酸化炭素を利用する能力を有する少なくとも1つの単離された微生物を含む微生物塊の接種材料が導入され、システム内で連続培養される。
特に、プロセスは、重力場条件及び非重力場条件の両方において所望の結果を提供するように動作可能である。単離された微生物は、単離された微生物の微生物塊を増殖させるためのシステムの第2の反応器において最適な動作パラメータの第2のセットの下で連続的に培養される。
【0077】
任意選択的に、少なくとも1つの単離された微生物は、キサントバクター属の細菌株である。
【0078】
任意選択的に、単離された細菌株は、VTT-E-193585又はその誘導体であり、誘導体は、エネルギー源として水素ガスを使用し、唯一の炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を保持している。
【0079】
更に、非重力場条件で動作する場合、処理されたバイオ廃棄物は、第1の反応器に加えられる圧力を使用して第1の反応器から第2の反応器に供給される。
【0080】
一実施態様では、本開示の方法及びシステムを使用して、植物、動物又はヒトに及ぶ任意の種類の細胞を増殖させることができる。
【0081】
図面の詳細な説明
図1を参照すると、本開示の一実施形態に係る、微生物塊を増殖させるための方法のステップを示すフローチャート100が示されている。ステップ102において、バイオ廃棄物が生物から収集され、バイオ廃棄物は第1の量の水及び第1の量の固相を含む。ステップ104において、収集されたバイオ廃棄物は、第1の反応器に受けられる。
ステップ106において、固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解して増殖培地を形成するために、収集されたバイオ廃棄物は、第1の期間にわたって動作パラメータの第1のセットを使用して第1の反応器内で処理される。ステップ107において、形成された増殖培地が洗浄され、洗浄は滅菌ステップ、分離ステップ及び清浄ステップを含む。
ステップ108において、形成された増殖培地は、微生物塊の接種材料を含む第2の反応器に供給される。ステップ110において、二酸化炭素が収集される。ステップ112において、第2の量の水が収集されて酸素及び水素ガスに分解される。ステップ114において、収集された二酸化炭素並びに分解された酸素及び水素ガスは、第2の反応器に供給される。
ステップ116において、微生物塊が、動作パラメータの第2のセットの下で第2の反応器内において増殖される。ステップ118では、生物による消費のための食品を生成するために、増殖した微生物塊が第2の反応器から収穫される。
【0082】
ステップ102、104、106、107、108、110、112、114、116及び118は例示にすぎず、本明細書の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つ以上のステップが追加され、1つ以上のステップが削除され、又は1つ以上のステップが異なる順序で提供される他の代替形態も提供することができる。
【0083】
図2を参照すると、本開示の一実施形態に係る、微生物塊202を増殖させるためのシステム200のブロック図が示される。システム200は、生物からバイオ廃棄物206を収集するように構成された第1のステージ204を備え、バイオ廃棄物206は、第1の量の水208及び第1の量の固相210を含む。第1の反応器212は、第1のステージ204に接続されて、入口214を介して第1のステージ204から収集されたバイオ廃棄物206を受け、受けたバイオ廃棄物206を内部で処理して増殖培地216を形成する。
【0084】
バイオ廃棄物を処理するための第1の反応器206は、第1の反応器212内の所望の温度を維持するための温度コントローラ218と、バイオ廃棄物206を連続的に混合するための撹拌機220と、pHセンサ222と、第1の反応器212内の増殖培地216のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための、第1の入力224、226などの少なくとも1つの第1の入力とを備える。
【0085】
第2の反応器228は、第1の反応器212の下流側に配置され、微生物塊202を増殖させるために、第1の出口230を介して第1の反応器212から増殖培地216を受ける。
第2の反応器228は、微生物塊202の接種材料と、微生物塊202を増殖させるための成分の第2のセットを受けるための第2の入口232であって、成分の第2のセットがガス、水、及び化学物質を含む、ものと、および第2の反応器228から増殖した微生物塊202を収穫するための出口234とを含む。
【0086】
添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、上記で説明された本開示の実施形態に対する変更が可能である。本開示を記載及び特許請求するために使用される「含む(including)」、「備える(comprising)」、「組み込む(incorporating)」、「有する(have)」、「である(is)」などの表現は、非排他的な方法で解釈されること、すなわち、明示的に記載されていない項目、構成要素又は要素も存在することを可能にすることを意図している。単数形への言及はまた、複数形に関連すると解釈されるべきである。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物塊(202)を増殖させる方法において、
-生物からバイオ廃棄物(206)を収集し、前記バイオ廃棄物が第1の量の水(208)及び第1の量の固相(210)を含むことと、
-前記収集されたバイオ廃棄物を第1の反応器(212)内に受けることと、
-第1の期間にわたって動作パラメータの第1のセットを使用して前記収集されたバイオ廃棄物を前記第1の反応器内で処理して、固相無機栄養素の少なくとも一部を第1の量の水に溶解し、増殖培地(216)を形成することと、
-滅菌、分離及び清浄ステップを含む、前記形成された増殖培地の洗浄と、
-前記形成された増殖培地を、微生物塊の接種材料を含む第2の反応器(228)に供給することと、
-大気から局所的に二酸化炭素を収集することと、
-大気中に存在する第2の量の水を収集し、前記収集された第2の量の水を酸素及び水素ガスに分解することと、
-前記収集された二酸化炭素及び前記分解された酸素及び水素ガスを前記第2の反応器に供給することと、
-動作パラメータの第2のセットの下で前記第2の反応器内において微生物塊を増殖させることと、び、
-前記増殖した微生物塊を前記第2の反応器から収穫して、前記生物による消費のための食品を生成することと、を含む方法。
【請求項2】
前記増殖培地(216)中の水の量は、
-前記増殖培地中の水の量が前記増殖培地の20重量パーセント未満である場合に、第3の量の水を前記第1の反応器(212)に加え、び、
-前記増殖培地中の水の量が前記増殖培地の20重量パーセントを超える場合に、より多くの固相(210)を加える、ことによって調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作パラメータの第1のセットは、
-前記第1の反応器(212)の内部の温度であって、少なくとも摂氏190度である、温度と、
-前記増殖培地(216)のpHであって、4未満である、pHと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の反応器(212)内の前記バイオ廃棄物(206)を少なくとも100RPMの速度で撹拌することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の期間が1時間~18時間である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオ廃棄物(206)が糞便及び尿を含み、前記第1の量の水(208)が前記バイオ廃棄物の50~90重量パーセントである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記増殖培地(216)の少なくとも一部から二酸化炭素を抽出することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物塊(202)の前記接種材料が少なくとも1つの単離された微生物を含み、前記微生物は、エネルギー源として水素ガスを使用するとともに無機炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記接種材料のための前記微生物は、クロストリジウム・ユングダリ(Clostridium ljungdahlii)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、水素細菌(Knallgas)、カミニバクター(Caminibacter)属、アクイフェックス(Aquifex)属、
パラコッカス(Paracoccus)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ハイドロゲノモナス(Hydrogenomonas)属、メタン資化菌(methanotrophs)、メタン生成菌(methanogens)、ジオバクター(Geobacter)属、シアノバクテリウム(Cyanobacterium)属、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、オスシロスピラ(Oscillospira)属、プレオモルフォモナス(Pleomorphomonas)属からなる群から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記微生物塊(202)の前記増殖させることには、エネルギー源としての水素及び無機炭素源を用いて連続培養でキサントバクター属の細菌株を培養することを含み、前記無機炭素源が二酸化炭素を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物塊(202)は、単離された細菌株VTT-E-193585又はその誘導体を含み、前記誘導体は、エネルギー源として水素ガスを使用するとともに唯一の炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を保持している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記生物から尿素を収集することと、前記収集された尿素をその処理のために第3の反応器に供給することと、び、前記処理された尿素を微生物塊(202)の前記増殖のための追加の増殖培地成分として前記第3の反応器から前記第2の反応器(228)に供給することとを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記微生物塊(202)は、前記バイオ廃棄物(206)及びガスを前記生物による消費のために食品へとリサイクルするように作用し、前記食品は、タンパク質、炭水化物、脂肪酸、抗酸化剤、繊維内容物のうちの少なくとも1つに富む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
微生物塊(202)を増殖させるためのシステム(200)において、
-生物からバイオ廃棄物(206)を収集するように構成される第1のステージ(204)であって、前記バイオ廃棄物が第1の量の水(208)及び第1の量の固相(210)を含み、前記第1のステージが収集器ユニットである、第1のステージと、
前記第1のステージに接続されて、入口(214)を介して前記第1のステージから前記収集されたバイオ廃棄物を受けるとともに、前記受けたバイオ廃棄物を内部で処理して増殖培地(216)を形成し、前記形成された増殖培地を洗浄し、前記洗浄が、滅菌、分離及び清浄を含み、び、前記バイオ廃棄物を処理するために、
-前記第1の反応器の内部を所望の温度に維持するための温度コントローラ(218)と、
-前記バイオ廃棄物を連続的に混合するための撹拌機(220)と、
-pHセンサ(222)と、
-前記第1の反応器内の前記バイオ廃棄物のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための少なくとも1つの第1の入力(224、226)と、
を備える第1の反応器(212)と、
-前記第1の反応器の下流側に配置されて、微生物塊を増殖させるために前記第1の反応器から前記増殖培地を受ける第2の反応器であって
-微生物塊(202)の接種材料と、
-微生物塊を増殖させるための成分の第2のセットを受けるための第2の入口(232)であって、前記成分の第2のセットが、ガス、水、及び化学物質を含む、第2の入口(232)と、
第2の反応器から前記増殖した微生物塊を収穫するための出口(234)と、
を備える、第2の反応器(228)と、
を備えるシステム(200)。
【請求項15】
大気から二酸化炭素を抽出するための二酸化炭素抽出器を更に備え、前記二酸化炭素抽出器が入口を介して前記第2の反応器(228)に接続される、請求項14に記載のシステム(200)。
【請求項16】
前記システムは、前記生物から尿素を収集して処理するための第3の反応器を更に備え、前記第3の反応器は、前記微生物塊(202)の増殖のための追加の増殖培地成分として前記第2の反応器に前記処理された尿素を供給するために前記第2の反応器(228)に接続される、請求項14又は15に記載のシステム(200)。
【請求項17】
前記第2の入口(232)は、それぞれが前記第2の反応器(228)に供給されるべき前記成分の第2のセットの個々の成分を運ぶための複数の通路を備える、請求項14又は15に記載のシステム(200)。
【請求項18】
前記第1の反応器(212)及び前記第2の反応器(228)のそれぞれは、前記バイオ廃棄物と、微生物塊及び該微生物塊中の前記成分の第2のセットを含む前記増殖培地とを混合するための撹拌装置を更に備える、請求項14又は15に記載のシステム(200)。
【請求項19】
重力場と非重力場との間の範囲の1つ以上の環境条件で使用するように構成される、請求項14又は15に記載のシステム(200)。
【請求項20】
前記第2の反応器(228)は、非重力場条件での使用時に前記増殖培地(216)に遠心効果を生じさせるためのロータを備える、請求項19に記載のシステム(200)。
【請求項21】
前記第2の反応器(228)は、非重力場条件での使用時に前記増殖培地(216)の液滴を形成するためのブレードのセットを備える、請求項19に記載のシステム(200)。
【請求項22】
前記システムが閉サイクルシステムである、請求項14又は15に記載のシステム(200)。
【請求項23】
非重力場条件で微生物塊(202)を増殖させるためのプロセスであって、少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含み、エネルギー源として水素及び無機炭素源として二酸化炭素を用いて連続培養で前記少なくとも1つの単離された微生物を培養することを含むプロセス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの単離された微生物がキサントバクター属の細菌株である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記単離された細菌株がVTT-E-193585又はその誘導体であり、前記誘導体は、エネルギー源として水素ガスを使用し、唯一の炭素源として二酸化炭素を使用して増殖する能力を保持している、請求項23又は24に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
任意選択的に、バイオリアクタは、バイオリアクタ内で処理される内容物に対して不活性な材料から製造される。一例では、製造材料は、ステンレス鋼(例えば、タイプ304L、316L)、他の適切な金属又は合金、ガラス材料、繊維、セラミック、プラスチック材料、及び/又はそれらの組み合わせであってもよい。更に、製造材料は、一般に、防水性であり、微生物濃度、バイオマス生産、撹拌力、通気力、動作圧力、温度、酸、アルカリなどの様々な生物学的、生化学的及び/又は機械的プロセスの研磨効果に耐えるのに十分な強度を有する。一般に、バイオリアクタは、内容物の重量を保持し、様々な生物学的、生化学的及び/又は機械的プロセスを実行するのに十分な厚さを有する。更に、バイオリアクタは、好ましくは、滅菌条件、例えば121℃及び2.5バールの水蒸気による蒸気滅菌を抑制するようなものでなければならない。或いは、滅菌は、化学滅菌又はガンマ滅菌を使用して行うことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
微生物塊を増殖させる方法は、生物からバイオ廃棄物を収集することから開始し、バイオ廃棄物は、第1の量の水及び第1の量の固相を含む。本開示を通して、ここで使用される「バイオ廃棄物」という用語は、主に有機物から構成される生分解性廃棄物を指す。一般に、バイオ廃棄物は、堆肥化することができる食品廃棄物、植物性廃棄物(例えば、その中に高い窒素含有量を有する草刈り、葉、台所廃棄物などの庭園からの廃物)、褐色廃棄物(例えば、乾燥した葉、マツわら、乾草、おがくず、小枝など、その中に高含有量の炭素を有するもの)、動物排出物(便、乳、尿、子宮排出物、唾液など)、及び消化廃棄物(ヒトの排泄物、すなわち尿及び糞便など)を含む。本開示のバイオ廃棄物は、主に、ヒト及び/又はヒトに付随する動物などの生物から収集された消化廃棄物で構成される。更に、そのようなバイオ廃棄物は、ヒト及び動物の両方の健康リスクとなり得る病原性細菌及び毒素を含む。病原性細菌は、例えば、サルモネラ、大腸菌、赤痢菌及びビブリオ並びに不快で有害な感染症を引き起こし得る他の微生物を含み得る。したがって、病原性細菌及び/又は毒素は、食品を生成するために微生物塊を増殖させる前に、バイオ廃棄物から除去する必要がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
本方法は、動作パラメータの第2のセットの下で第2の反応器内で微生物塊を増殖させることを含む。第2の反応器は、微生物塊の効率的な増殖を可能にする動作パラメータの第2のセットで構成される。ここで使用される「動作パラメータの第2のセット」という用語は、第2の反応器内で微生物塊を増殖させるために必要な一連の条件を指す。
動作パラメータの第2のセットは、前述の増殖培地によって提供される栄養要求、通気(溶存酸素濃度)及び撹拌(増殖培地を定期的に撹拌することによって達成される混合)、浸透圧、pH及び第2の反応器内の温度条件を含む。
微生物の高い増殖速度は、動作パラメータの第2のセットの急速な変化をもたらし、それによって、例えばコントローラ装置、レギュレータ及び/又はセンサを介してなど、動作パラメータの第2のセットの一定の監視を必要とすることが理解され得る。
栄養要求には、一般に、マクロ分子(炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リンなど)及びミクロ分子(例えば微量元素及び有機増殖因子、例えばマグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及び鉄など)が含まれる。
更に、温度範囲は、異なる種類の微生物に対して変化し得る。好ましい温度範囲に基づいて、微生物は、一般に、好冷性微生物(0~30℃の最適温度を有する低温を好む微生物)、中温性微生物(25~40℃の最適温度を有する中温を好む微生物)、及び好熱性微生物(50~80℃の最適温度を有する熱を好む微生物)に分類される。更に、5.4~8.5の範囲の中性pHが微生物増殖に最も適している。
しかしながら、好酸性微生物と呼ばれる幾つかの微生物は、酸性pH(5.4未満)で増殖し得るが、好アルカリ性微生物と呼ばれる他の微生物は、7から14の範囲のアルカリ性pHで増殖し得る。
特に、カビ及び酵母は、5~6の範囲のpHで最もよく増殖する。更に、微生物塊の増殖は、増殖培地の浸透圧(微生物の外部環境中の塩濃度によって決定される)の関数でもある。更に、増殖培地は、微生物による取り込みのために増殖培地中のガス(酸素など)を溶解するために定期的な通気及び撹拌を必要とする。増殖培地は、微生物塊の増殖を促進するのに十分な液相、例えば水を含むことが理解され得る。第2の反応器内の微生物の接種材料は、初期の遅滞期及び/又は対数増殖期にあることが理解され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
第1の反応器は、受け取ったバイオ廃棄物を処理するために、第1の反応器内の所望の温度を維持するための温度コントローラと、バイオ廃棄物を連続的に混合するための撹拌機と、pHセンサと、及び第1の反応器内のバイオ廃棄物のpHを制御するための成分の第1のセットを供給するための少なくとも1つの第1の入力とを備える。
任意選択的に、第1の反応器は、バイオ廃棄物を処理するための制御された条件を提供するために、第1の反応器内の動作パラメータの第1のセットを制御するためのコントローラ装置を備える。
これに関して、コントローラ装置は、センサデータに基づいて、第1の反応器内の動作パラメータの第1のセットを感知及び調整するための複数のセンサ及びレギュレータ(又はそれらの組み合わせ)を備える。
コントローラ装置は、例えば、第1の反応器内の温度、湿度、ガス濃度(二酸化炭素、酸素、及び他のガスなどの少なくとも2つのガスの相対濃度)及びpHをそれぞれ検出(又は感知)するための温度コントローラ、湿度センサ、ガス濃度センサ、pHセンサなどを含む。
少なくとも1つの第1の入力は、第1の反応器への入口点として機能し、そこから第1の反応器内のバイオ廃棄物のpHを制御するための、アルカリ性又は酸性の化合物又は溶液などの成分の第1のセットが添加されることが理解され得る。
バイオ廃棄物のpHを所定の範囲にするために、バイオ廃棄物のpHが所定のpH値より高い場合、例えば2.3より高い場合、酸性化合物又は溶液が添加され、バイオ廃棄物のpHが所定のpH値より低い場合、すなわち2.3より低い場合、アルカリ性化合物又は溶液が添加されることが理解され得る。
任意選択的に、コントローラ装置は、第1の反応器内の動作パラメータの第1のセットを、処理時間全体にわたって連続的に、又は間欠的に、すなわち、例えば、5分、10分、15分、20分、30分、60分などのうちの少なくとも1つのギャップ内の時間持続時間、例えば、1時間~18時間の間の時間、又は前述の任意の範囲などの所定の時間持続時間で感知及び調整するように構成される。
【国際調査報告】