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特表2024-509271SERD投薬レジメンの組み合わせを使用してがんを治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】SERD投薬レジメンの組み合わせを使用してがんを治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4741 20060101AFI20240221BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 31/566 20060101ALI20240221BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61K31/4741
A61P35/00
A61P35/04
A61K45/00
A61K45/06
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P43/00 121
A61K31/506
A61K31/4439
A61K31/4196
A61K31/566
A61K31/436
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555298
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022019274
(87)【国際公開番号】W WO2022192203
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/158,688
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/281,143
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】バグワット,シュリパッド ベンカトラマン
(72)【発明者】
【氏名】ホルマン,ナタリー スター
(72)【発明者】
【氏名】ソール,ダニエル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シャーダ,サフィ
(72)【発明者】
【氏名】スマイス,リリアン メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,スザンヌ レベッカ ルー
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,ユーニス ソク ムン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084AA20
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA10
4C084ZA732
4C084ZB261
4C084ZC202
4C084ZC751
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086BC60
4C086BC82
4C086CB22
4C086DA09
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA14
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
式I
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与するための投薬レジメンが、本明細書に開示される。投薬レジメンは、アジュバント療法を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを治療する方法であって、
約200mg~約400mgの用量の式I
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記薬学的に許容される塩が、トシレート塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記用量が、約200mg、約300mg、又は約400mgである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記用量が、約400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択されるがんを有すると特定又は診断されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、HR陽性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陰性である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陽性である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記がんが、転移性乳がん(mBC)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記がんが、進行性乳がんである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記がんが、類内膜子宮内膜がん(EEC)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第2の治療剤を投与することを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のがんを治療する方法。
【請求項13】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブ、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アロマターゼ阻害剤が、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブである、請求項12~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の治療剤が、トラスツズマブである、請求項12~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩及び前記第2の治療剤が、第3の治療剤と共に投与される、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択され、前記第3の治療剤が、前記第2の治療剤とは異なる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤及びトラスツズマブからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アロマターゼ阻害剤が、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第3の治療剤が、止瀉剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記第3の治療剤が、ペルツズマブである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項23】
がんの治療において使用するための、式I
【化2】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、患者に、約200mg~約800mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
前記用量が、約400mgである、請求項23に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
前記患者が、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択されるがんを有すると特定又は診断されている、請求項23又は24のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
前記がんが、HR陽性がんであり、ER陽性かつHER2陰性である、請求項25に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陽性である、請求項25に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
前記乳がんが、転移性乳がん(mBC)である、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
前記乳がんが、進行性乳がんである、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
前記がんが、類内膜子宮内膜がん(EEC)である、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、第2の治療剤と同時、別個、又は連続的な組み合わせで投与される、請求項23~30のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブ、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択される、請求項31に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブである、請求項31又は32に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
前記第2の治療剤が、トラスツズマブである、請求項31又は32に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
前記化合物又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤が、第3の治療剤と同時、別個、又は連続的な組み合わせで投与される、請求項31~34のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
前記第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択され、前記第3の治療剤が、前記第2の治療剤とは異なる、請求項35に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
前記第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤及びトラスツズマブからなる群から選択される、請求項35又は36に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
前記第3の治療剤が、ペルツズマブである、請求項35又は36に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
患者におけるがんの治療において第2の治療薬及び第3の治療薬と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、式I
【化3】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、前記第2の治療薬と前記第3の治療薬が異なり、前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、約200mg~約400mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
前記がんが、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択される、請求項39に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
前記がんが、ER陽性かつHER2陰性である、請求項40に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
前記がんが、ER陽性かつHER2陽性である、請求項40に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
ER+、HER2陰性乳がんを治療するためにペルツズマブ及びトラスツズマブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である、化合物。
【請求項44】
前記化合物が、約400mgの用量で投与される、請求項43に記載の使用のための化合物。
【請求項45】
ER+、HER2陰性乳がんを治療するためにアベマシクリブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)であり、約400mgの用量で投与される、化合物。
【請求項46】
ER+、HER2-乳がんを治療するための方法であって、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)、ペルツズマブ、及びトラスツズマブを投与することを含む、方法。
【請求項47】
HR+かつER+がんを治療する方法であって、約400mgの(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)及びアベマシクリブを投与することを含み、前記がんが、HER2陽性乳がん、HER2陰性乳がん、及び類内膜子宮内膜がん(EEC)からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年3月9日に出願された米国仮出願第63/158,688号を、あらゆる目的でその全体を参照により組み込む。
【0002】
本開示は、がん治療の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
選択的エストロゲン受容体分解剤(selective estrogen receptor degrader、SERD)は、エストロゲン受容体(estrogen receptor、ER)に結合し、ER介在性転写活性を下方制御する。SERDによって引き起こされるこの分解と下方制御は、がんなどの細胞増殖障害の治療に役立つ可能性がある。
【0004】
薬物開発は、予測不可能である。多くの場合、ほとんど不明な理由のために、新しい分子が前臨床及び/又は臨床段階で失敗することは一般的である。投薬により複雑さが追加され、それによって更なる予測不可能性が生じる。体重、パフォーマンスステータス、以前の全身療法の数、遺伝学、及び組織学的腫瘍タイプを含むがこれらに限定されない様々な因子に起因して、必ずしも全ての薬物投薬レジメンが全ての患者集団において同等に有効であるとは限らない。毒性の問題は、更なる複雑さをもたらす。有効性と毒性のバランスをとる必要がある。加えて、どの患者が疾患進行前に利益を受けるのに十分な速さで治療的血清レベルを達成するかを予測することは、必ずしも可能ではない。負荷用量の投与により、以前に応答しなかった部分集団において、その集団又は以前に応答した集団に対して毒性学的障壁をもたらすことなく、早期進行の可能性のある改善の提供を追求する。
【0005】
がんを患う患者に代替となる治療法を提供することが依然として必要である。加えて、より良好な寛容性プロファイルを有する代替的な治療法を提供すること、又は限定的な有害事象及びより少ない投薬中断若しくは中止で最大の活性を可能にする代替的な治療法を提供することが、依然として必要とされている。臨床的に関連する活性及びバイオアベイラビリティを有する、ERをアンタゴナイズし分解する、強力な抗エストロゲン治療が依然として必要とされている。(Shagufta,et al.,Recent progress in selective estrogen receptor down regulators(SERDs)for the treatment of breast cancer,RSC Med.Chem.,2020,11,438-454)。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、以下、式Iとされる、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール、又はその薬学的に許容される塩を、がんを治療するためのアジュバント療法の一部として使用する、新しい投薬プロトコールに関する。
【0007】
式Iの化合物は、以下の構造:
【0008】
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を有する。
【0009】
本化合物は、国際公開第20/014435号又は米国特許第10,654,866号に記載されている合成ステップを使用して、遊離塩基又はその薬学的に許容される塩として調製することができる。本化合物は、商標名「イムルネストラント」で知られている。
【0010】
式Iの化合物は、経口バイオアベイラブルな選択的SERDである。これは、野生型及び突然変異体エストロゲン受容体α(ERα又はESR1)の強力な分解剤及び選択的アンタゴニストである。式Iの化合物を、がん治療するために、アジュバント療法の一部として、1つ以上の他の治療剤と組み合わせて、外科手術と併せて、又は1つ以上の他の治療剤と組み合わせてかつ外科手術と併せて使用する、新しい治療レジメン及び投薬プロトコールを開発することは、有用であろう。
【0011】
がんを治療するために式Iの化合物を使用する投薬プロトコールが、本明細書に開示される。プロトコールは、単剤療法又はアジュバント療法であり得る。
【0012】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、
約200mg~約800mgの用量の式I
【0013】
【化2】
の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1日1回投与することを含む、方法を含む。
【0014】
別の態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、
約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物、
又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含む、方法を含む。
【0015】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、
約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも約1週間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも1日1回、約300mg又は約400mgに増加させることとを含む、方法を含む。
【0016】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、
約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、
そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約300mgに増加させることとを含む、方法を含む。
【0017】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、
約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約400mgに増加させることとを含む、方法を含む。
【0018】
別の態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物
又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1日1回投与することを含む、方法を含む。
【0019】
一態様において、投薬プロトコールは、乳がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1日1回投与することを含む、方法を含む。
【0020】
一態様において、投薬プロトコールは、乳がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、
そのような治療を必要とする患者に、少なくとも約1週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも1日1回、約200mgに減少させることとを含む、方法を含む。
【0021】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約200mgに減少させることとを含む、方法を含む。
【0022】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、患者におけるがんの治療のための第2の治療剤と組み合わせて投与することを含み、がんが、転移性乳がん(metastatic breast cancer、mBC)、進行性乳がんを含む乳がん、卵巣がん、類内膜子宮内膜がん(endometrioid endometrial cancer、EEC)を含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択され、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩が、約200mg~約400mgの用量で投与される、方法を含む。
【0023】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1日1回投与することを含む、方法を含む。
【0024】
一態様において、がんを治療する方法であって、
約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、第2の治療薬、及び第3の治療薬を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含み、第2の治療薬及び第3の治療薬が異なる、方法が、本明細書に開示される。
【0025】
一態様において、乳がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1日1回投与することを含む、方法が、本明細書に開示される。
【0026】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陰性(ER+, HER2-negative)乳がんを治療する方法であって、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)、ペルツズマブ、及びトラスツズマブを投与することを含む、方法を含む。
【0027】
別の態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陽性(ER+, HER2-positive)乳がんを治療する方法であって、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)、ペルツズマブ、及びトラスツズマブを投与することを含む、方法を含む。
【0028】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陰性乳がんを治療する方法であって、400mgの(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)、6mg/kgのペルツズマブ(Q21D)、及び420mgのトラスツズマブ(Q21D)を投与することを含み、Q21Dが、21日ごとを意味する、方法を含む。
【0029】
別の態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陽性乳がんを治療する方法であって、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)、6mg/kgのペルツズマブ(Q21D)、及び420mgのトラスツズマブ(Q21D)を投与することを含む、方法を含む。
【0030】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陰性乳がんを治療する方法であって、少なくとも1日1回、約400mgの(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)、及びアベマシクリブを投与することを含む、方法を含む。
【0031】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、患者に、約200mg~約800mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0032】
別の態様において、投薬プロトコールは、がんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、患者に、約200mgの用量で、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与され、次いで、用量が、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約300mgに増加される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0033】
一態様において、がんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、患者に、約200mgの用量で、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与され、次いで、用量が、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約400mgに増加される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、投薬プロトコール。一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、化合物又は薬学的に許容される化合物が、患者に、約200mgの用量で、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与され、次いで、用量が、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約400mgに増加される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0034】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、化合物又は薬学的に許容される化合物が、患者に、約400mgの用量で、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0035】
一態様において、投薬プロトコールは、がんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、化合物又は薬学的に許容される化合物が、患者に、約400mgの用量で、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与され、次いで、用量が、少なくとも21日間、少なくとも1日1回、約200mgに減少される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0036】
一態様において、投薬プロトコールは、患者におけるがんの治療において第2の治療薬と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、約200mg~約400mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0037】
一態様において、投薬プロトコールは、患者におけるがんの治療において第2の治療薬及び第3の治療薬と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、第2の治療薬及び第3の治療薬が、異なり、化合物又はその薬学的に許容される塩が、約200mg~約400mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0038】
一態様において、投薬プロトコールは、患者におけるがんの治療において第2の治療薬と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、がんが、転移性乳がん(mBC)及び進行性乳がんを含む乳がん、卵巣がん、類内膜子宮内膜がん(EEC)を含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択され、化合物又はその薬学的に許容される塩が、約200mg~約400mgの用量で投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0039】
一態様において、患者におけるがんを治療するのに使用するための、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、約400mgの用量で、少なくとも1日1回投与される、化合物又はその薬学的に許容される塩が、本明細書に開示される。一実施形態において、乳がんは、ER+、HER2-転移性乳がん(ER+, HER2-, metastatic breast cancer)である。別の実施形態において、乳がんは、ER+、HER2-進行性乳がん(ER+, HER2-, advanced breast cancer)である。
【0040】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陰性乳がんを治療するためにペルツズマブ及びトラスツズマブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である、化合物を含む。
【0041】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陽性乳がんを治療するためにペルツズマブ及びトラスツズマブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である、化合物を含む。
【0042】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陰性乳がんを治療するためにアベマシクリブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)であり、約400mgの用量で投与される、化合物を含む。一実施形態において、化合物は、約200mgの用量で投与される。別の実施形態において、化合物は、約300mgの用量で投与される。
【0043】
プロトコールは、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の他の治療剤と組み合わせて、外科手術と併せて、又は1つ以上の他の治療剤と組み合わせてかつ外科手術と併せて、アジュバント療法において使用する。一実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、外科手術前に、少なくとも1週間投与される。代替的な実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、外科手術後に、少なくとも1週間投与される。別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、外科手術前に少なくとも1週間、及び外科手術後に少なくとも1週間、投与される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0044】
一態様において、がんを治療する方法であって、
約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含む、方法が、本明細書に開示される。
【0045】
好ましくは、式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0046】
別の態様において、がんを治療する方法であって、約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも14日間又は少なくとも21日間又は少なくとも28日間、少なくとも1日1回、約300mgに増加させることとを含む、方法が、本明細書に開示される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0047】
なおも別の態様において、がんを治療する方法であって、約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも14日間又は少なくとも21日間又は少なくとも28日間、少なくとも1日1回、約400mgに増加させることとを含む、方法が、本明細書に開示される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0048】
更に別の態様において、がんを治療する方法であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与することと、次いで、用量を、少なくとも14日間又は少なくとも21日間又は少なくとも28日間、少なくとも1日1回、約200mgに減少させることとを含む、方法が、本明細書に開示される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0049】
更なる態様において、がんを治療するための式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用であって、約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与し、次いで、用量を、少なくとも14日間又は少なくとも21日間又は少なくとも28日間、少なくとも1日1回、約400mgに増加させることを含む、使用が、本明細書に開示される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0050】
なおも更なる態様において、がんを治療するための式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用であって、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に、約2週間~約6ヶ月間、少なくとも1日1回投与し、次いで、用量を、少なくとも14日間又は少なくとも21日間又は少なくとも28日間、少なくとも1日1回、約200mgに減少させることを含む、使用が、本明細書に開示される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0051】
更になおも更なる態様において、がんを治療するための医薬の製造における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用であって、医薬が、約200mg~約400mgの化合物又はその塩を含み、医薬が、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、使用が、本明細書に開示される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0052】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陰性乳がんを治療するために、6mg/kgのペルツズマブ(Q21D)及び420mgのトラスツズマブ(Q21D)と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、400mgの(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である、化合物を含み、ここで、Q21Dは、21日ごとを意味する。
【0053】
一態様において、投薬プロトコールは、ER+、HER2陽性乳がんを治療するために、6mg/kgのペルツズマブ(Q21D)及び420mgのトラスツズマブ(Q21D)と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、400mgの(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である、化合物を含み、ここで、Q21Dは、21日ごとを意味する。
【0054】
一態様において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、ER陽性、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2陰性)初期(ステージI~III)乳がんを有する患者に、約2週間、投与される。好ましくは、化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。
【0055】
一態様において、がんを治療する方法であって、
約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、第2の治療薬、及び第3の治療薬を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含み、第2の治療薬及び第3の治療薬が異なる、方法が、本明細書に開示される。全ての態様において、式Iの化合物の好ましい薬学的に許容される塩は、トシレート塩、すなわち、4-メチルベンゼンスルホン酸塩である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】QDで200mg~1200mgの範囲内の(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)の複数回経口投薬後の臨床試験用量漸増研究の15日目における平均(±標準偏差)総血漿濃度時間プロファイルを示す図である。
図2】QDで200mg~1200mgの範囲内の(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)の複数回経口投薬後の臨床試験用量漸増研究の15日目における平均(±標準偏差)未結合血漿濃度時間プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
薬学的に許容される塩
式Iの化合物は、好ましくは、トシレート塩として使用され、これは、当該技術分野において、4-メチルベンゼンスルホン酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩としても知られている。しかしながら、他の薬学的に許容される酸付加塩を、利用してもよい。そのような薬学的に許容される酸付加塩及びそれらを調製する方法は、公知である。例えば、例として、P.Stahl,et al.,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley-VCH,2002)、L.D.Bighley,S.M.Berge,D.C.Monkhouse,in「Encyclopedia of Pharmaceutical Technology」.Eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,Vol.13,Marcel Dekker,Inc.,New York,Basel,Hong Kong 1995,pp.453-499、S.M.Berge,et al.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol 66,No.1,January 1977を参照されたい。これらの他の塩を調製するために使用することができる酸の具体的な例としては、メタンスルホン酸(メシル酸塩を形成する)、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸塩を形成する)、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフレート塩を形成する)、HCl、HSO、HNO、及びHPOが挙げられる。
【0058】
がん
一実施形態において、がんは、進行性乳がん、転移性乳がん(mBC)を含む乳がん、卵巣がん、類内膜子宮内膜がん(EEC)を含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択される。一実施形態において、がんは、乳がん及び/又は子宮内膜がんである。
【0059】
一実施形態において、がんは、がん細胞がホルモン受容体を発現するようなホルモン受容体陽性(HR陽性)であるがんである。ホルモン受容体には、エストロゲン受容体及びプロゲステロン受容体の両方が含まれる。一実施形態において、がんは、エストロゲン受容体陽性(estrogen receptor positive、ER陽性)である。一実施形態において、がんは、HER2などのチロシンキナーゼ受容体を発現する。がんは、HER2陽性又はHER2陰性であり得る。
【0060】
一実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を使用して治療することができるがんは、HR陽性、例えば、ER陽性、かつチロシンキナーゼ受容体、例えば、HER2陽性又はHER2陰性であるものである。
【0061】
一実施形態において、がんは、ER+、HER2-乳がん(ER+, HER2- breast cancer)である。乳がんは、進行性又は転移性であり得る。
【0062】
投薬レジメン
一実施形態において、式Iの化合物又は薬学的に許容される塩は、そのような治療を必要とする患者に、約200mg~約1200mgの用量で投与される。約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約150mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、又は約1200mgの用量が、投与され得る。1日の最大用量、すなわち、24時間での最大用量は、約1200mg以下である。一部の実施形態において、用量は、約200~約1000mg、又は約200~約800mg、又は約200mg~約600mg、又は約200mg~約400mgである。好ましくは、用量は、約200mg~約400mgである。好ましい実施形態において、用量は、400mgである。好ましくは、式Iの化合物は、(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である。好ましくは、用量は、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される。用量は、1日2回以上投与することができる。
【0063】
先行療法
一実施形態において、治療を必要とする患者は、以前に内分泌療法を受けており、内分泌療法は、がんを治療するために使用されるホルモン療法である。一部の実施形態において、患者は、内分泌療法に対する感受性を有すると診断されている。一部の実施形態において、患者は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害剤含有療法を受けていない。
【0064】
別の実施形態において、治療を必要とする患者が1以下の先行療法を受けたことがある、方法が、本明細書に開示される。更に別の実施形態において、患者が2以下の先行療法を受けたことがある、方法が、本明細書に開示される。更に別の実施形態において、患者が3以下の先行療法を受けたことがある、方法が、本明細書に開示される。更に別の実施形態において、患者が4以下の先行療法を受けたことがある、方法が、本明細書に開示される。一部の実施形態において、患者は、8以上の先行療法を受けている。
【0065】
本明細書に使用される場合、「先行療法」とは、がんを治療するために以前に投与されたか又は使用された治療を指す。単一の医薬を投与すること、又はアジュバント療法の一部として2つ以上の医薬を投与することは、先行療法の例である。外科手術もまた、先行療法の一例である。内分泌療法及びアロマターゼ阻害剤療法は、白金系化学療法薬、CDK4/6阻害剤による治療、又はフルベストラントによる治療と同様に、先行療法の例である。患者を医薬で治療し、続いて外科手術を行うことは、2つの先行療法の例である。
【0066】
式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩は、治療しようとするがんの少なくとも1つの症状を経験しているか又は示している患者に投与される。一部の実施形態において、患者は、CDK4/6阻害剤含有療法を受けていない。別の実施形態において、患者は、以前に内分泌療法を受けている。
【0067】
更に別の実施形態において、患者が以前に内分泌療法を受けている、方法が、本明細書に開示される。
【0068】
別の実施形態において、治療を必要とする患者がEECを有すると特定又は診断されている、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、EECがER陽性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、EECは、白金療法によって治療されていない。別の実施形態において、EECは、白金療法によって治療されている。別の実施形態において、EECが白金療法による治療後に進行している、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、EECがフルベストラント又はアロマターゼ阻害剤療法によって治療されていない、方法が、本明細書に開示される。
【0069】
単剤療法
別の実施形態において、がんを治療する方法であって、約200mg~約800mg又は約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法が、本明細書に開示される。更に別の実施形態において、がんを治療する方法であって、約200mg~約800mg又は約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含む、方法が、本明細書に開示される。
【0070】
別の実施形態において、約200mg、約300mg、約400mg、又は約800mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法が、本明細書に開示される。一実施形態において、本方法は、約200mgの用量を投与することを含む。代替的な実施形態において、本方法は、約400mgの用量を投与することを含む。
【0071】
別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量が、それを必要とする患者に対して約200mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約200mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップ、続いて、約300mg~約400mgの増加した用量を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップを更に含む、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約200mgの用量を投与するステップが外科手術の前に行われる、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、増加した用量を投与するステップが外科手術の後に行われる、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、本開示は、増加した用量を投与するステップが、少なくとも3ヶ月間から最大で患者の寿命まで毎日行われる、方法を提供する。
【0072】
別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量が、それを必要とする患者に対して約400mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約400mgの用量を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップ、続いて、約200mg~約300mgの減少した用量を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップを更に含む、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約400mgの用量を投与するステップが外科手術の前に行われる、方法が、本明細書に開示される。一実施形態において、患者は、EECを治療するために外科手術を受ける予定であり、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量は、約400mgであり、用量は、外科手術の前に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される。更なる実施形態において、400mgの用量は、外科手術の前に、約2週間、少なくとも1日1回投与される。別の実施形態において、減少した用量を投与するステップが外科手術の後に行われる、方法が、本明細書に開示される。一実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量は、外科手術の後に、少なくとも1日1回、約200mgに減少される。別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量は、外科手術の後に、少なくとも1日1回、約300mgに減少される。別の実施形態において、減少した用量を投与するステップが、少なくとも1日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヶ月間、若しくは少なくとも3ヶ月間、又は最大で患者の寿命の終わりまで毎日行われる、方法が、本明細書に開示される。
【0073】
別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、患者に、約200mgの用量で、少なくとも1日1回、少なくとも1週間投与され、続いて、約300mg~約400mgの増加した用量が、患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される。患者が、EECを治療するために外科手術を受ける予定である場合、約200mgの用量が、外科手術の前に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される。一部の実施形態において、200mgの用量は、外科手術の前に、約2週間、少なくとも1日1回投与される。更なる実施形態において、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩の用量は、外科手術の後に、少なくとも1日1回、約300mgに増加されるか、又は代替として、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩の用量は、外科手術の後に、少なくとも1日1回、約400mgに増加される。所望される場合、増加した用量を投与するステップは、少なくとも1週間、毎日行われる。
【0074】
一実施形態において、治療を必要とする患者ががんを治療するために外科手術を受ける予定であり、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩が、外科手術の前に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、方法が、本明細書に開示される。更なる実施形態において、がんは、転移性乳がんである。別の実施形態において、がんは、進行性乳がんである。別の実施形態において、治療を必要とする患者がEECを治療するために外科手術を受ける予定であり、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩が、外科手術の前に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、方法が、本明細書に開示される。
【0075】
別の実施形態において、治療を必要とする患者がmBC、進行性乳がんを含む乳がん、卵巣がん、EECを含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択されるがんを有すると特定又は診断されている、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、乳がんがER陽性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、乳がんがHER2陰性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、乳がんがHER2陽性である、方法が、本明細書に開示される。好ましい実施形態において、がんは、ER+かつHER2-である。更により好ましくは、一実施形態において、がんは、ER+かつHER2-乳がんである。
【0076】
別の実施形態において、治療を必要とする患者がmBCを有すると特定又は診断されている、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、mBCがHER2陰性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、mBCがHER2陽性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、mBCが治療されていないか又はデノボであり、デノボが、最初から開始すること、又は新たに開始することを意味する、方法が、本明細書に開示される。
【0077】
別の実施形態において、治療を必要とする患者が進行性乳がんを有すると特定又は診断されている、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、進行性乳がんがHER2陰性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、進行性乳がんがHER2陽性である、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、進行性乳がんが治療されていないか又はデノボであり、デノボが、最初から開始すること、又は新たに開始することを意味する、方法が、本明細書に開示される。
【0078】
別の実施形態において、治療を必要とする患者がER陽性(ER+)かつHER2陽性(HER2+)である乳がんを有する、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、治療を必要とする患者が乳がんを有し、乳がんが局所進行性、切除不能、又は転移性である、方法が、本明細書に開示される。
【0079】
別の実施形態において、治療を必要とする患者がER陽性(ER+)かつHER2陰性(HER2-)である乳がんを有する、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、治療を必要とする患者が乳がんを有し、乳がんが局所進行性、切除不能、又は転移性である、方法が、本明細書に開示される。
【0080】
別の実施形態において、患者は、第一選択肢の治療レジメンとして、トラスツズマブ及びペルツズマブと組み合わせた誘導タキサン化学療法(induction taxane chemotherapy)を受けている。別の実施形態において、患者は、トラスツズマブ及びペルツズマブによる継続治療に適切であると考えられる。別の実施形態において、患者は、第一選択肢の治療レジメンで進行していない。別の実施形態において、患者は、第一選択肢の治療レジメンで進行している。別の実施形態において、患者は、進行性疾患のための1を超えるHER2指向型レジメン又はいずれの内分泌療法も、又はいずれの先行CDK4/6阻害剤療法も、受けていない。
【0081】
別の実施形態において、患者は、心エコー検査又はマルチゲート取得スキャン(multigated acquisition scanning)によって判定した場合に、ベースラインにおいて50%以上の左心室駆出率(Left Ventricular Ejection Fraction、LVEF)を有する。別の実施形態において、患者は、心エコー検査又はマルチゲート取得スキャンによって判定した場合に、ベースラインにおいて50%以上の左心室駆出率(LVEF)を有さない。
【0082】
アジュバント療法
がんを治療する方法であって、第2の治療剤を投与することを更に含む、方法が、本明細書に開示される。一実施形態において、がんを治療する方法は、治療を必要とする患者に、約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、第2の治療剤と組み合わせて、少なくとも1日1回投与することを含む。一実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも1週間投与される。別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量が、約200mg、約300mg、又は約400mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、用量が約200mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、用量が約300mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、用量が約400mgである、方法が、本明細書に開示される。
【0083】
別の実施形態において、がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、約200mg~約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、第2の治療剤及び第3の治療剤と組み合わせて、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含む、方法が、開示される。別の実施形態において、用量が約200mg、約300mg、又は約400mgである、方法が、本明細書に開示される。一実施形態において、式Iの化合物の用量は、約400mgである。
【0084】
本明細書に開示される全ての態様及び実施形態において、第2の治療剤は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩と同時に、別個に、又は連続的に投与される。第3の治療剤は、第2の治療剤及び/又は式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩と同時に、別個に、又は連続的に投与される。
【0085】
一部の実施形態において、第2の治療剤は、アベマシクリブ、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択される。一部の実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される。一部の実施形態において、第2の治療剤は、アベマシクリブである。代替的な実施形態において、第2の治療剤は、トラスツズマブである。好ましい実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量は、400mgであり、第2の治療剤は、アベマシクリブである。
【0086】
一部の実施形態において、ER+、HER2-進行性乳がんは、約400mgの式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療され、第2の治療剤は、アベマシクリブである。
【0087】
他の実施形態において、ER+、HER2-転移性乳がんは、約400mgの式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩で治療され、第2の治療剤は、アベマシクリブである。
【0088】
一部の実施形態において、第3の治療剤は、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択される。第3の治療剤は、第2の治療剤とは異なる。一部の実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される。一部の実施形態において、第3の治療剤は、アロマターゼ阻害剤及びトラスツズマブからなる群から選択される。一部の実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される。一実施形態において、第3の治療剤は、止瀉剤である。一実施形態において、第3の治療剤は、ペルツズマブである。他の実施形態において、第2の治療剤は、トラスツズマブであり、第3の治療剤は、ペルツズマブである。
【0089】
止瀉剤の例としては、ラクトバチルス・アシドフィルス(lactobacillus acidophilus)、アトロピン/ジフェノキシレート、アトロピン/ジフェノキシン、ロペラミド、次サリチル酸ビスマス、ロペラミド、サッカロマイセス・ブラウディ(saccharomyces boulardii)リオアクトバチルス(lyoactobacillus)アシドフィルス/ラクトバチルス・ブルガリクス(lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ラムノサス(lactobacillus rhamnosus)gg、及びクロフェレマーからなる群から選択される止瀉剤が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、止瀉剤は、ロペラミドである。
【0090】
別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量が約200mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約200mgの用量を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップ、続いて、約300mg~約400mgの増加した用量を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップを更に含む、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約200mgの用量を投与するステップが外科手術の前に行われる、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、増加した用量を投与するステップが外科手術の後に行われる、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、増加した用量を投与するステップが、少なくとも3ヶ月間から最大で患者の寿命まで毎日行われる、方法が、本明細書に開示される。
【0091】
別の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の用量が約400mgである、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約400mgの用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップ、続いて、約200mg~約300mgの減少した用量を、患者に、少なくとも1日1回投与するステップを更に含む、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、約400mgの用量を投与するステップが外科手術の前に行われる、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、減少した用量を投与するステップが外科手術の後に行われる、方法が、本明細書に開示される。別の実施形態において、減少した用量を投与するステップが、少なくとも3ヶ月間から最大で患者の寿命まで毎日行われる、方法が、本明細書に提供される。
【0092】
一部の実施形態において、本明細書に記載される式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、関連する疾患、障害、又は状態を治療するために、1つ以上の他の治療法と組み合わせて利用され得る。一部の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の投薬は、アジュバント療法において利用される場合、単剤療法として投与される場合と比較して変更される。代替的に、又は追加として、一部の実施形態において、本明細書に記載される式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与される治療法は、単独で又は式Iの化合物以外の1つ以上の治療法と組み合わせて投与される場合のそのレジメン又はプロトコールとは異なるレジメン又はプロトコールに従って投与される。一部の実施形態において、追加の治療剤を含む組成物、その追加の治療剤、及び提供される化合物は、相乗的に作用し得る。一部の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、相乗的に作用し得る。一部の実施形態において、組み合わせレジメンで利用される一方又は両方の治療法は、それが単剤療法として利用される場合よりも低いレベル又はより少ない頻度で、投与される。
【0093】
一部の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む1つ以上の他の治療剤との組み合わせで、治療を必要とする患者に、約200mg~約400mgの用量で投与され得る。一部の実施形態において、用量は、約200mg又は約400mgである。一部の実施形態において、用量は、200mgである。一部の実施形態において、追加のステップは、約200mgの用量を、患者に、少なくとも1日1回投与し、続いて、約300mg~約400mgの増加した用量を、患者に、少なくとも1日1回投与することを含む。一部の実施形態において、用量は、400mgである。一部の実施形態において、追加のステップは、約400mgの用量を、患者に、少なくとも1日1回投与し、続いて、約200mg~約300mgの減少した用量を、患者に、少なくとも1日1回投与することを含む。
【0094】
一部の実施形態において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤又はその薬学的に許容される塩及び第3の治療剤又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、1つ以上の他の治療剤との組み合わせで、約200mg~約400mgの用量で投与され得る。
【0095】
別の実施形態において、異なるか又は追加の化合物もまた、投与される。異なるか又は追加の化合物の例としては、RAS/RAF経路に沿った阻害剤を含むMAPK経路に沿った他の阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ルキソリチニブ、ポナチニブ、エルロチニブ、アレクチニブ、オシメルチニブ、アファチニブ、ボスチニブ、アキシチニブ、セリチニブ、アカラブルチニブ、スニチニブ、レンバチニブ、ブリガチニブ、イマチニブ、ネラチニブ、ラパチニブ、クリゾチニブ、カボザンチニブ、イブルチニブ、ダサチニブ、ゲフィニチブ、又はビニメチニブ、ERK経路に沿った阻害剤を含むMEK1/2カスケードに沿った阻害剤、例えば、ウリキセルチニブ、MK-8353、LTT-462、ASTX029、及びJSI-1187を含む、追加の抗がん薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
BRAFキナーゼ阻害剤、例えば、トラメチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、又はレゴラフェニブ、PARP阻害剤、例えば、オラパリブ、ルカパリブ、又はニラパリブ、及びモノクローナル抗体、例えば、(セツキシマブ)アービタックス。一部の実施形態において、追加の抗がん薬としては、多官能性アルキル化剤、例えば、ニトロソ尿素、マスタード(ナイトロジェンマスタード)、メタンスルホネート(ブスルファン)、又はエチレンイミン;非多官能性アルキル化薬、例えば、プロカルバジン(Matulane)、ダカルバジン(DTIC)、アルトレタミン(Hexalen)、又はシスプラチン(Platinol);抗代謝薬、例えば、抗葉酸化合物(メトトレキサート)又はアミノ酸アンタゴニスト(アザセリン);プリンアンタゴニスト、例えば、メルカプトプリン(6-MP)、チオグアニン(6-TG)、フルダラビンリン酸エステル、クラドリビン(Leustatin)、又はペントスタチン(Nipent);ピリミジンアンタゴニスト、例えば、フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(ARA-C)、又はアザシチジン;植物アルカロイド、例えば、ビンブラスチン(Velban)、ビンクリスチン(Oncovin)、エトポシド(VP-16、VePe-sid)、テニポシド(Vumon)、トポテカン(Hycamtin)、イリノテカン(Camptosar)、パクリタキセル(Taxol)、又はドセタキセル(Taxotere);抗生物質、例えば、アントラサイクリン、ドキソルビシン(Adriamycin、Rubex、Doxil)、ダウノルビシン(DaunoXome)、ダクチノマイシン(Cosmegen)、イダルビシン(Idamycin)、プリカマイシン(Mithramycin)、マイトマイシン(Mutamycin)、又はブレオマイシン(Blenoxane);ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex)、フルタミド(Eulexin)、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(ロイプロリド及びゴセレリン(Zoladex))、アロマターゼ阻害剤、アミノグルテチミド、又はアナストロゾール(Arimidex);あるいは、他の抗がん薬、例えば、アムサクリン、ヒドロキシ尿素(Hydrea)、アスパラギナーゼ(El-spar)、ミトキサントロン(Novantrone)、ミトタン、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子、又はアミホスチンが挙げられる。
【0097】
異なるか又は追加の化合物の例としては、止瀉薬、例えば、Intestinex(ラクトバチルス・アシドフィルス)、Lonox(アトロピン/ジフェノキシレート)、Motofen(Pro)(アトロピン/ジフェノキシン)、アシドフィルス(ラクトバチルス・アシドフィルス)、Florajen(ラクトバチルス・アシドフィルス)、イモジウムA-D(ロペラミド)、Kaopectate(次サリチル酸ビスマス)、Imotil(ロペラミド)、ピンクビスマス(次サリチル酸ビスマス)、Pepto-Bismol(次サリチル酸ビスマス)、Lomotil(Pro)(アトロピン/ジフェノキシレート)、Diamode(ロペラミド)、Imodium(Pro)(ロペラミド)、Florastor(サッカロマイセス・ブラウディlyo)、Kapectolin(New Formula)(次サリチル酸ビスマス)、Florastor Kids(サッカロマイセス・ブラウディlyo)、Bacid(LAC)(ラクトバチルス・アシドフィルス)、BD Lactinex(ラクトバチルス・アシドフィルス/ラクトバチルス・ブルガリクス)、Bismarex(次サリチル酸ビスマス)、Bismatrol(次サリチル酸ビスマス)、Bismatrol Maximum Strength(次サリチル酸ビスマス)、Culturelle Digestive Health(ラクトバチルス・ラムノサスgg)、Culturelle Health and Wellness(ラクトバチルス・ラムノサスgg)、Dofus(ラクトバチルス・アシドフィルス)、Flora-Q(ラクトバチルス・アシドフィルス)、Floranex(ラクトバチルス・アシドフィルス/ラクトバチルス・ブルガリクス)、Fulyzaq(Pro)(クロフェレマー)、Kao-Paverin(ロペラミド)、Kola-Pectin DS(次サリチル酸ビスマス)、Lomocot(アトロピン/ジフェノキシレート)、Mytesi(Pro)(クロフェレマー)、Novaflor(ラクトバチルス・アシドフィルス)、Peptic Relief(次サリチル酸ビスマス)、Percy Medicine(次サリチル酸ビスマス)、Risa-Bid(ラクトバチルス・アシドフィルス)、RisaQuad(ラクトバチルス・アシドフィルス)、Soothe Caplets(次サリチル酸ビスマス)、又はSuperdophilus(ラクトバチルス・アシドフィルス)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、使用は、止瀉剤の投与を含む。
【0098】
一部の態様において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩を伴って又は伴わずに、これらの化合物のそれぞれをバイオアベイラブルにする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。投与経路は、任意の形で変化し得、薬物の物理的特性並びに患者及び介護人の利便性によって限定され得る。
【0099】
一部の態様において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩を伴って又は伴わずに、経口で投与される。あるいは、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩を伴って又は伴わずに、非経口投与、例えば、静脈内(IV)又は皮下投与のために製剤化される。一部の実施形態において、式Iの化合物、第2の治療剤、第3の治療剤、又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つは、経口投与のために製剤化される。一部の実施形態において、式Iの化合物、第2の治療剤、第3の治療剤、又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つは、非経口投与、例えば、静脈内投与のために製剤化される。一部の実施形態において、式Iの化合物、第2の治療剤、第3の治療剤、又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つは、静脈内投与のために製剤化される。そのような医薬組成物及びそれを調製するためのプロセスは、当該技術分野において周知である。(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
【0100】
一部の態様において、本開示は、mBCを含む乳がん、卵巣がん、EECを含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんの治療において、同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはそれらの薬学的に許容される塩を伴う、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0101】
一態様において、がんを治療する方法であって、
約200mg~約400mgの用量の式I
【0102】
【化3】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、第2の治療薬、及び第3の治療薬を、そのような治療を必要とする患者に、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与することを含み、第2の治療薬及び第3の治療薬が異なる、方法が、本明細書に開示される。一部の実施形態において、式Iの化合物の用量は、少なくとも1日1回、約400mgである。他の実施形態において、式Iの化合物の用量は、少なくとも1日1回、約300mgである。更に他の実施形態において、式Iの化合物の用量は、少なくとも1日1回、約200mgである。式Iの化合物の多くの異なる薬学的に許容される塩が、使用されてもよい。好ましい薬学的に許容される塩は、4-メチルベンゼンスルホン酸塩である。
【0103】
1つの好ましい実施形態において、第2の治療薬は、トラスツズマブである。トラスツズマブは、約8mg/kgの用量で、少なくとも1日1回投与され得る。あるいは、トラスツズマブは、約6mg/kgの用量で、少なくとも1日1回投与され得る。あるいは、トラスツズマブは、約4mg/kgの用量で、少なくとも1日1回投与され得る。一実施形態において、約8mg/kgの初回用量が投与され、約24時間後に、約4mg/kgの用量が投与される。
【0104】
1つの好ましい実施形態において、第3の治療薬は、ペルツズマブである。ペルツズマブは、約840mgの用量で投与され得る。あるいは、ペルツズマブは、約420mgの用量で投与され得る。一実施形態において、約840mgの初回用量のペルツズマブが投与され、約24時間後に、約420mgの用量が投与される。
【0105】
一実施形態において、がんは、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択される。一部の実施形態において、がんは、乳がんであり、乳がんは、進行性乳がん又は転移性乳がん(mBC)であり、子宮内膜がんは、類内膜子宮内膜がん(EEC)である。ある特定の実施形態において、がんは、HR陽性である。HR陽性がんは、ER陽性かつHER2陰性であり得る。あるいは、HR陽性がんは、ER陽性かつHER2陽性であり得る。
【0106】
がんが乳がんである場合、乳がんは、局所進行性、切除不能、又は転移性であり得る。一実施形態において、乳がんは、転移性乳がん(mBC)である。一実施形態において、乳がんは、進行性乳がんである。一部の実施形態において、本明細書に開示される方法は、以前に治療されていない転移性乳がんを治療するために使用される。一実施形態において、進行性乳がんは、以前に治療されていない。
【0107】
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法は、第一選択肢の治療レジメンとしてトラスツズマブ及びペルツズマブと組み合わせた誘導タキサン化学療法を受けた患者を治療するために使用される。
【0108】
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法は、進行性疾患のための1を超えるHER2指向型レジメン若しくはいずれの内分泌療法も、又はいずれの先行CDK4/6阻害剤療法も受けていない患者を治療するために使用される。
【0109】
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法は、心エコー検査又はマルチゲート取得スキャンによって判定した場合に、ベースラインにおいて50%以上の左心室駆出率(LVEF)を有する患者を治療するために使用される。
【0110】
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法は、心エコー検査又はマルチゲート取得スキャンによって判定した場合に、ベースラインにおいて50%以上の左心室駆出率(LVEF)を有さない患者を治療するために使用される。
【0111】
別の実施形態において、治療方法は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、トラスツズマブ、及びペルツズマブを含み、トラスツズマブを中断又は中止する場合、ペルツズマブを中断又は中止する。
【0112】
本明細書に記載される開示されるSERDは、ER介在性転写の阻害を提供し、これは、mBCを含む乳がん、卵巣がん、EECを含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんなどのがん、並びに新たな耐性による突然変異の治療に有用であろう。これらのSERDは、進行性乳がん、mBCを含む乳がん、卵巣がん、EECを含む子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんなど、HR陽性がんを治療するために、単剤として、又は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulator、SERM)、アロマターゼ阻害剤、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、PI3K阻害剤、及びラパマイシンの哺乳動物標的(mammalian target of rapamycin、mTOR)阻害剤を含む他のクラスの薬物と組み合わせて、使用することができる。
【0113】
定義
本明細書に使用される場合、「がん」という用語は、典型的には制御されていない細胞増殖を特徴とする、患者における生理学的状態を指すか、又は説明する。この定義には、良性及び悪性のがんが含まれる。
【0114】
本明細書に使用される場合、「原発腫瘍」又は「原発がん」という用語は、最初に発生したがんを指し、対象における別の組織、器官、又は場所に位置する転移性病変を指さない。
【0115】
本明細書に使用される場合、「多形体」という用語は、結晶格子内の分子の秩序の結果として異なる物理的特性を有する同じ化合物の結晶を指す。単一の化合物の異なる多形体は、互いに1つ以上の異なる化学的、物理的、機械的、電気的、熱力学的、及び/又は生物学的特性を有する。多形体によって示される物理的特性の違いは、貯蔵安定性、圧縮性、密度(組成物及び製品の製造において重要)、溶解速度(バイオアベイラビリティを判定する重要な要素)、溶解性、融点、化学的安定性、物理的安定性、粉末流動性、水分吸着、圧縮、及び粒子形態などの医薬品のパラメータに影響し得る。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、ある多形体で構成される場合よりも別の多形体で構成される場合に剤形がより急速に変色するような、差次的酸化)若しくは機械的変化(例えば、速度論的に好ましい多形体が熱力学的により安定な多形体に変換するときの貯蔵時の結晶変化)、又はその両方(例えば、ある多形体は、他の多形体よりも吸湿性が高い)に起因し得る。溶解性/溶解の差異の結果として、いくつかの転移が効力及び/又は毒性に影響する。加えて、結晶の物理的特性は、処理において重要であり得、例えば、ある多形体が、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があるか、又は不純物を濾過及び洗浄して含まないようにするのが難しい場合がある(即ち、粒子の形状及びサイズ分布は、ある多形体と他の多形体との間で比較して、異なる場合がある)。本明細書に使用される「多形体」は、式Iの化合物の非晶質形態を含まない。本明細書に使用される場合、「非晶質」は、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩の固体形態、又は式Iの化合物の可溶化形態であり得る、化合物の非結晶形態を指す。例えば、「非晶質」は、分子又は外面平面の規則的な反復配列を有さない化合物、例えば、化合物の固体形態を指す。
【0116】
本明細書に使用される場合、「無水」という用語は、1重量%以下の水を有する式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の結晶形態を指す。例えば、0.5重量%以下、0.25重量%以下、又は0.1重量%以下の水を有する。
【0117】
本明細書に使用される場合、「溶媒和物」という用語は、結晶格子が1つ以上の結晶化溶媒を含む、式Iの化合物の多形形態などの式Iの化合物の結晶形態を指す。
【0118】
「純度」は、式Iの化合物の多形体を含む組成物に関して使用される場合、言及される組成物中の、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の別の多形形態又は非晶質形態に対する1つの特定の多形形態のパーセンテージを指す。例えば、90%の純度を有する多形形態1を含む組成物は、90重量部の形態1と、10重量部の式Iの化合物の他の多形形態及び/又は非晶質形態とを含む。
【0119】
本明細書に使用される場合、式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は組成物は、1つ以上の他の成分を「実質的に含まない」式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は組成物は、有意な量のそのような他の成分を含まない。例えば、組成物は、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の他の成分を含み得る。そのような成分には、出発材料、残留溶媒、又は本明細書に提供される式I s及び組成物の調製及び/又は単離から生じる可能性がある他の不純物が含まれ得る。一部の態様において、本明細書に提供される多形形態は、他の多形形態を実質的に含まない。一部の態様において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の特定の多形体は、特定の多形体が、存在する式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の少なくとも約95重量%を構成する場合、他の多形体を「実質的に含まない」。一部の態様において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の特定の多形体は、特定の多形体が、存在する式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の少なくとも約97重量%、約98重量%、約99重量%、又は約99.5重量%を構成する場合、他の多形体を「実質的に含まない」。ある特定の態様において、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の特定の多形体は、水の量が多形体の約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下を構成する場合、水を「実質的に含まない」。
【0120】
本明細書に使用される場合、「実質的に純粋な」とは、式Iの化合物の多形形態に関して使用される場合、式Iの化合物の重量に基づいて、式Iの化合物の90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、及び99%超を含め、また約100%を含め、90%超の純度を有する式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の多形形態の試料を意味する。残りの材料は、他の形態の化合物、並びに/又はその調製から生じた反応不純物及び/若しくは処理不純物を含む。例えば、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の多形形態は、当該技術分野において現時点で公知であり、かつ一般に受け入れられている手段によって測定される場合、式Iの化合物の多形形態の純度が90%を超え、残りの10%未満の材料が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の他の形態並びに/又は反応不純物及び/若しくは処理不純物を含むという点で、実質的に純粋であるとみなされ得る。反応不純物及び/又は処理不純物の存在は、当該技術分野において公知の分析技術、例えば、クロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法、質量分析、又は赤外分光法などによって判定され得る。
【0121】
説明をより簡潔にするために、本明細書の定量的表現のうちのいくつかは、約量X~約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙される場合、範囲は、その列挙された上限及び下限に限定されず、むしろ、約量X~約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むものと理解される。
【0122】
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語には、生物学的に又はそれ以外の方法でも望ましくないものではない、ありとあらゆる溶媒、共溶媒、錯化剤、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来的な媒体又は薬剤が活性成分と適合しない場合を除いて、本明細書で提供される治療組成物におけるその使用が意図される。補助的な活性成分も組成物に組み込むことができる。更に、当該技術分野において通例使用されているような、様々な賦形剤が含まれ得る。これら及び他のそのような化合物は、文献、例えば、Merck Index,Merck & Company,Rahway,NJに記載されている。医薬組成物中に様々な成分を含めるための検討事項は、例えば、Gilman etal.(Eds.).(2010);Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,12th Ed.,The McGraw-Hill Companiesに記載されている。
【0123】
本明細書に使用される場合、「患者」という用語は、哺乳動物、例えば、ヒトを含む、任意の動物を指す。一部の実施形態において、患者は、ヒトである。
【0124】
一部の実施形態において、患者は、治療及び/又は予防される疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験している、及び/又はそれを呈している。一部の実施形態において、患者は、がん、例えば、mBCを含む乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんを有すると特定又は診断されている。一部の実施形態において、患者は、両側性浸潤性乳がんを有さない。
【0125】
一部の実施形態において、患者は、浸潤性又は非浸潤性乳がんのための先行療法を受けている。一部の実施形態において、患者は、1以下の先行療法を受けている。一部の実施形態において、患者は、2以下の先行療法を受けている。
【0126】
一部の実施形態において、患者は、以前に内分泌療法を受けている。一部の実施形態において、患者は、内分泌療法に対する感受性を有すると診断されている。
【0127】
一部の実施形態において、患者は、CDK4/6阻害剤含有療法を受けていない。
【0128】
一部の実施形態において、患者は、任意の他の非プロトコール抗がん療法と同時にネオアジュバント療法を受けているか、受ける予定であるか、又はまだ受けていない。一部の実施形態において、患者は、任意の悪性腫瘍のために同側胸壁への放射線療法を受けているか、受ける予定であるか、又はまだ受けていない。一部の実施形態において、患者は、骨粗鬆症又は乳がんの予防のいずれかのために、ラロキシフェン、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、又は他のSERMによる抗エストロゲン療法を受けているか、受ける予定であるか、又はまだ受けていない。一部の実施形態において、患者は、試験治療の開始から4週間以内にホルモン置換療法を受けているか、受ける予定であるか、又はまだ受けていない。一部の実施形態において、患者は、外科的創傷及び部位の術後治癒を可能にするために、無作為化前の約28日以内に大手術を受けている。一部の実施形態において、患者は、妊娠中又は授乳中である。一部の実施形態において、患者は、良好に制御されていない肝炎又は結核又はHIVなどのある特定の感染症を有する。一部の実施形態において、患者は、別の重篤な病状を有する。
【0129】
本明細書に使用される場合、「治療する(treat)」又は「治療(treatment)」という用語は、治療的又は緩和的措置を指す。有益な又は望ましい臨床結果には、検出可能であるか検出不能であるかにかかわらず、治癒、疾患又は障害又は状態に関連する症状の全体的又は部分的な緩和、疾患の程度の減少又は低減、既存の症状、障害、状態、又は疾患の進行又は重症度の逆転、疾患進行の停止、疾患の安定した(即ち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延、抑制、又は緩徐化、疾患状態(例えば、疾患の1つ以上の症状)の改善又は緩和、及び退縮又は寛解(部分的であるか全体的であるかにかかわらず)が含まれるが、これらに限定されない。「治療(treatment)」はまた、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長することも意味し得る。
【0130】
「(治)療法(therapy)」という用語は、治療レジメンの一部としての患者への1回以上の用量の活性化合物又は医薬品の投与を指す。
【0131】
一態様において、本明細書に使用される場合、「予防すること」という用語は、本明細書に記載の疾患若しくは状態(例えば、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、並びにがん、外科手術、及び骨折と関連する疼痛を含む、様々なタイプの疼痛)、又はその症状の全体又は一部の発症、再発、又は拡大の予防を意味する。
【0132】
「進行」という用語は、国立がん研究所(NCIがん用語辞典)によって定義されているように、悪化するか、体内に広がるがんを指す。例えば、進行は、患者におけるがん細胞の数の増加、患者における1つ以上の腫瘍のサイズの増加、腫瘍量の増加、転移の速度若しくは程度の増加、がんに関連する症状の全体的若しくは部分的な悪化、疾患の程度の増加、及び/又は疾患の進行の加速を含み得る。「進行」はまた、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較して短くなった生存期間を意味することもできる。一部の実施形態において、進行は、芽球のパーセンテージの増加、骨髄対赤芽球比の増加、異形成(例えば、白血球異形成)の増加、骨髄形質細胞のパーセンテージの増加、及び骨髄リンパ球のパーセンテージの増加のうちの1つ以上を検出することを含み得る(例えば、Sever,et al.,Arch Pathol Lab Med.2016 Sep;140(9):932-49を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態において、進行は、白血球(例えば、多形核白血球)のパーセンテージの増加、血小板数の減少、及び末梢血中のヘモグロビンの減少のうちの1つ以上を検出することを含み得る。一部の実施形態において、腫瘍量は、RECIST(例えば、RECISTバージョン1又はバージョン1.1)を使用して評価することができる。例えば、Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer.2009,45(2):228-47を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、腫瘍量は、PERCISTを使用して評価することができる。例えば、Wahl,et al.J.nucl.med.2009,50:122S-150Sを参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
「再発」という用語は、国立がん研究所(NCIがん用語辞典)によって定義されているように、改善期間後の疾患又は疾患の徴候及び症状の再来(return)を指す。例えば、再発は、改善期間後の、患者におけるがん細胞の数の増加、患者における1つ以上の腫瘍のサイズの増加、腫瘍量の増加、転移の速度又は程度の増加、がんに関連する症状の全体的若しくは部分的な悪化、疾患の程度の増加、及び/又は疾患の進行の加速を検出することを含み得る。一部の実施形態において、再発は、改善期間後のがんの進行を含み得る。一部の実施形態において、改善期間は、患者におけるがん細胞の数の減少、患者における1つ以上の腫瘍のサイズの減少、腫瘍量の減少、転移の速度若しくは程度の減少、がんに関連する症状の全体的若しくは部分的な改善、疾患の程度の減少、及び/又は疾患の進行の緩徐化を検出することを含み得る。一部の実施形態において、再発は、改善期間後の、芽球のパーセンテージの増加、骨髄対赤芽球比の増加、異形成(例えば、白血球異形成)の増加、骨髄形質細胞のパーセンテージの増加、及び骨髄リンパ球のパーセンテージの増加のうちの1つ以上を検出することを含み得る。一部の実施形態において、改善期間は、芽球のパーセンテージの減少、骨髄対赤芽球比の減少、異形成(例えば、白血球異形成)の減少、骨髄形質細胞のパーセンテージの減少、及び骨髄のパーセンテージの減少のうちの1つ以上を検出することを含み得る。一部の実施形態において、再発は、改善期間後の、白血球(例えば、多形核白血球)のパーセンテージの増加、血小板数の減少、及び末梢血中のヘモグロビンの減少のうちの1つ以上を検出することを含み得る。一部の実施形態において、改善期間は、白血球(例えば、多形核白血球)のパーセンテージの減少、血小板数の増加、及び末梢血中のヘモグロビンの増加のうちの1つ以上を検出することを含み得る。
【0134】
「再発(relapse)」はまた、国立がん研究所が、通常、がんが検出できなかった期間の後に再発したがんとして定義する「再発(recurrence)」を含み得る。がんは、元の(原発)腫瘍と同じ体内の場所又は体内の別の場所に再発する可能性がある(NCIがん用語辞典)。一部の実施形態において、がんを検出しないことは、患者においてがん細胞を検出しないこと、患者において腫瘍を検出しないこと、及び/又は全体的若しくは部分的にがんに関連する症状がないことを含み得る。
【0135】
本明細書で使用されるとき、「不寛容」及び「不寛容である」という用語は、療法中の計画外の入院、療法の中止、及び/又は療法用量の減少、療法に起因する機能低下、及び/又はパフォーマンスステータスの低下をもたらす、重度の、障害を与える、又は生命を脅かす有害事象の発生を指し得る。一部の実施形態において、パフォーマンスステータスの低下は、パフォーマンスステータスの東部共同腫瘍学群(Eastern Cooperative Oncology Group、ECOG)スケールを使用して評価することができる(例えば、Oken et al.Am.J.Clin.Oncol.5:649-655(1982)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態において、パフォーマンスステータスの低下は、カルノフスキーパフォーマンスステータスを使用して評価することができる(例えば、Peus et al.,BMC Med.Inform.Decis.Mak.13:72(2013)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態において、患者は、小児患者であり、パフォーマンスステータスは、ランスキーパフォーマンススコアによって評価される(例えば、Lansky et al.,Cancer.60(7):1651-6(1987)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0136】
「投与」又は「投与する」という用語は、患者に、化合物又は医薬組成物の投薬量を与える方法を指す。好ましい投与方法は、様々な因子、例えば、医薬組成物の成分、疾患の部位、及び疾患の重症度に応じて異なり得る。
【0137】
本明細書に記載される式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩、非晶質、若しくは多形形態、それらの噴霧乾燥分散体、又はそれらの医薬組成物の1日投薬量は、少なくとも1日1回、成人1人あたり1.0~10,000mg、又はそれ以上、又はその中の任意の範囲の広い範囲にわたって変化し得る。有効量の薬物は、通常、少なくとも1日1回、約0.1mg/kg体重/日~約1000mg/kg体重、又はその中の任意の範囲の投薬量レベルで供給される。範囲は、少なくとも1日1回、約0.5~約500mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であり得る。範囲は、少なくとも1日1回、約1.0~約250mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であり得る。範囲は、少なくとも1日1回、約0.1~約100mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であり得る。例として、範囲は、少なくとも1日1回、約0.1~約50.0mg/kg体重、又はその中の任意の量又は範囲であり得る。別の例として、範囲は、少なくとも1日1回、約0.1~約15.0mg/kg体重、又はその中の任意の範囲であり得る。更に別の例として、範囲は、少なくとも1日1回、約0.5~約7.5mg/kg体重、又はその中の任意の量又は範囲であり得る。本明細書に提供される医薬組成物は、少なくとも1日1回、1~4回のレジメンで、又は単回の1日用量で、投与され得る。
【0138】
投与される最適な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、投与の様式、製剤の強度、投与の様式、及び疾患状態の進行によって変動するであろう。更に、対象の年齢、体重、食事、及び投与時間を含む、特定の治療される対象に関連する因子により、投薬量を調整する必要が生じるであろう。
【0139】
経口投与のために、組成物は、一部の実施形態において、治療しようとする対象への投薬量の症状による調整のために、200、300、400、600、及び800ミリグラムの活性成分を含有する錠剤、丸剤、又はカプセル剤の形態で提供される。
【0140】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、約200mg~約1200mg、又は約200~約1000mg、又は約200~約800mg、又は約200mg~約600mg、又は約200mg~約400mgの用量で投与される。一部の実施形態において、用量は、約200mg~約400mgである。他の実施形態において、投薬量は、200mgである。他の実施形態において、投薬量は、300mgである。なおも更なる他の態様において、投薬量は、400mgである。
【0141】
当業者は更に、健康な対象及び/又は所与の障害を患っている対象における、ヒトへの初回投与を含むヒト臨床試験、用量範囲試験、及び有効性試験が、臨床及び医学分野において周知の方法によって成し遂げられ得ることを認識するだろう。
【0142】
有効量は、当業者のような担当診断医により、公知の技法の使用により、及び同様の状況下で得られた結果を観察することにより、決定され得る。患者についての有効量を決定する際に、多数の因子が、担当診断医によって考慮され、これらの因子としては、患者の種、そのサイズ、年齢、及び全般的な健康状態、関連する特定の疾患又は障害、疾患又は障害の程度又は関与又は重症度、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与様式、投与される製剤のバイオアベイラビリティ特徴、選択された投薬レジメン、併用医薬の使用、並びに他の関連する状況が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはそれらの薬学的に許容される塩を伴って又は伴わずに、別個に決定された特定の頻度及び用量で、経口投与され得る。
【0144】
「アジュバント療法」は、第一選択肢の治療法に加えて、又は第一選択肢の治療法の後に施される治療法を意味すると理解される。第一選択肢の治療法は、1つ以上の他の治療剤の投与、放射線療法、及び/又は外科手術を含む。式Iの化合物は、第一選択肢の治療であってもよく、又はアジュバント療法において使用されてもよい。
【0145】
「第一選択肢の治療」は、疾患に対して施される最初の治療である。
【0146】
本明細書に提供される化合物の「治療有効量」又は「薬学的有効量」又は「有効量」とは、所望される効果を達成するのに十分な量であり、疾患状態の性質及び重症度、並びに式Iの化合物の効力に応じて変動し得る。治療効果は、疾患の1つ以上の症状のある程度の軽減であり、疾患を治癒することを含み得る。
【0147】
本明細書に使用される場合、「と組み合わせ」という語句は、化合物又はその薬学的に許容される塩の、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはそれらの薬学的に許容される塩との、同時に又は任意の順序で連続的にのいずれかで、例えば、例として、単回サイクル又は1回を上回るサイクルの標準的な治療過程中などの反復的な間隔で、1つの薬剤が、他の薬剤の投与の前、それと同時に、又はそれに続いて、又はこれらの任意の組み合わせで投与され得るような、投与、あるいは、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤及び第3の治療剤若しくはそれらの薬学的に許容される塩との、同時又は任意の順序で連続的にのいずれかで、例えば、単回サイクル又は1回を上回るサイクルの標準的な治療過程中などの反復的な間隔で、1つの薬剤が他の薬剤のうちの一方若しくは両方若しくは全てのうちのいずれかの投与の前、それと同時、又はそれに続いて、又はこれらの任意の組み合わせで投与され得るような、投与のいずれかを指す。
【0148】
アジュバント療法が、患者に、ある量又は用量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩及び第3の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することによって行われ得、これにより、身体において、第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩、又は第2の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩及び第3の治療剤若しくはその薬学的に許容される塩と組み合わせた式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の有効レベルが提供されることもまた、理解される。
【0149】
「転移」という用語は、当該技術分野において公知の用語であり、患者又は患者における原発腫瘍から離れた部位での更なる腫瘍(例えば、固形腫瘍)の形成を意味し、更なる腫瘍は、原発腫瘍と同じか又は類似のがん細胞を含む。
【0150】
「転移を発症する危険性」という語句は、原発腫瘍を有する患者又は患者が、一定期間にわたって患者又は患者における原発腫瘍から離れた部位で更なる腫瘍(例えば、固形腫瘍)を発症するであろう危険性を意味し、更なる腫瘍は、原発腫瘍と同じか又は類似のがん細胞を含む。がんを有する患者又は患者における転移を発症する危険性を減少させるための方法は、本明細書に記載されている。
【0151】
「更なる転移を発症する危険性」という語句は、原発腫瘍と、原発腫瘍から離れた部位に1つ以上の更なる腫瘍(この1つ以上の更なる腫瘍は原発腫瘍と同じか又は類似のがん細胞を含む)とを有する患者又は患者が、原発腫瘍から離れて1つ以上の更なる腫瘍を発症するであろう危険性を意味し、更なる腫瘍は、原発腫瘍と同じか又は類似のがん細胞を含む。更なる転移を発症する危険性を減少させる方法は、本明細書に記載されている。
【0152】
以下の実施例は、本開示の様々な態様及び実施形態を説明するのに役立つだけであり、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0153】
実施例1:以前に内分泌療法で治療したエストロゲン受容体陽性、HER2陰性の局所進行性又は転移性乳がんを有する患者における、イムルネストラントと治験責任医師選択の内分泌療法とを対比した第3相試験。
これは、患者及び治験責任医師が盲検化されない、2つのアームによる無作為化された実薬治療試験である。
【0154】
およそ500人の患者をアームA:アームBに1:1で無作為化する。
【0155】
【表1】
略語:C=サイクル;D=日;PO=経口;QD=1日1回。
【0156】
【表2】
【0157】
患者の包含基準:
参加者は、以下の基準の全てが当てはまる場合にのみ、試験への組入れに適格である。
1.参加者は少なくとも18歳でなければならない。
2.ER+、HER2-乳がんの診断を有すること
a.ER+疾患の要件を満たすためには、乳がんが、関連するASCO/CAPガイドライン(Allison et al.2020)に定義されているように、免疫組織化学によってERを発現すること
b.HER2-疾患の要件を満たすためには、乳がんが、初期診断又は後続の生検の際に、関連するASCO/CAPガイドライン(Wolff et al.2018)に定義されているように、免疫組織化学(IHC)又はインサイチュハイブリダイゼーションによって、HER2の過剰発現を示していないこと。プロトコール手順としては要求されないが、新たな転移性病変を有する患者は、臨床的に示される場合、研究登録前にHER2ステータスを再評価するために、可能な場合はいつでも生検について考慮されるべきである。
3.局所進行性(外科手術による治癒的治療に適さない)又は転移性疾患を有し、以下の基準のうちの1つを満たすこと。
a.単独又はCDK4/6阻害剤と組み合わせた(ネオ)アジュバントAI中又はその完了後12ヶ月以内に進行の証拠を伴って再発し、進行性疾患の治療を伴わないこと
b.(ネオ)アジュバントETの完了から12ヶ月を超えて進行の根拠を伴って再発し、続いて、単独又はCDK4/6阻害剤と組み合わせたAIによる1ラインのみの治療中又はその後に進行したもの。患者は、進行性/転移性の状況において、任意の他の先行療法(前述のもの:単独又はCDK4/6阻害剤と組み合わせたAI以外)を受けていなくてもよい。
c.転移性疾患を新たに提示し、その後、単独又はCDK4/6阻害剤と組み合わせたAIによる1ラインのみの治療中又はその後に進行したもの。患者は、進行性/転移性の状況において、任意の他の先行療法(前述のもの:単独又はCDK4/6阻害剤と組み合わせたAI以外)を受けていなくてもよい。
4.ETによる治療に適しているとみなされなければならない
5.女性の場合には、外科的/自然閉経又はゴセレリン又はロイプロリドなどのゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストによる卵巣抑制のいずれかによる閉経後の状態を有する必要がある(毎月投与され、周期1の1日目の少なくとも28日前に開始される)。外科的/自然閉経による閉経後は、以下のうちの少なくとも1つを必要とする。
a.以前の両側卵巣摘除術
b.年齢が60歳以上であること
c.年齢が60歳未満で、少なくとも12ヶ月間無月経(化学療法、タモキシフェン、トレミフェン、又は卵巣機能抑制の不在下)であり、FSH及びエストラジオールレベルが閉経後範囲であること
6.女性で閉経後ステータスが卵巣機能抑制に起因する場合、参加者は、ベースライン時点(登録前14日以内)に血清妊娠検査が陰性でなければならず、研究中及び研究治療の最終投薬後6ヶ月間、妊娠を予防するために有効性の高い医学的に承認された予防措置(付録7のセクション10.7を参照)を使用することに同意しなければならない
7.男性の場合、以下の使用に同意しなければならない。
a.ゴセレリン又はロイプロリドなどのゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストによるホルモン抑制(毎月投与され、周期1の1日目の少なくとも28日前に開始される)
b.試験中、及び試験薬(複数可)の最終投薬後少なくとも6ヶ月間又は国の要件で指定された期間のいずれか長い方の間、有効性の高い避妊法を使用し、精子を供与しないこと
8.RECIST v1.1(Eisenhauer et al.2009、付録3のセクション10.3)によって定義される以下のうちの1つを有すること。
・測定可能な疾患
・測定不能な骨のみの疾患。測定不能な骨のみの疾患は、以下のいずれかを含み得る。
i.芽細胞性骨病変(blastic bone lesion)
ii.測定可能な軟組織成分を含まない溶解性骨病変
iii.測定可能な軟組織成分を含まない混合型溶解性芽細胞性骨病変(mixed lytic-blastic bone lesion)
9.Eastern Cooperative Oncology Groupスケール(Oken et al.1982)で0又は1のパフォーマンスステータスを有すること
10.以下の表に定義される適切な臓器機能を有すること
【0158】
【表3】
略語:ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ;ANC=好中球絶対数;AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;G-CSF=顆粒球コロニー刺激因子;ULN=正常上限。
11.研究薬物を受ける前にがんに対する先行療法を中止しており、残存する脱毛症及び末梢神経障害を除いて、治療の強い影響から少なくともグレード1まで回復しており、臨床試験薬を受ける前に必要とされる以下の治療ウォッシュアウト期間を経ていること。
a.骨髄抑制剤(例えば、CDK4/6阻害剤)については、少なくとも21日間
b.非骨髄抑制剤(例えば、内分泌療法)については、7日間又は5半減期のいずれか短い方
c.試験剤については、28日間又は5半減期のいずれか短い方。
12.患者は、カプセル/錠剤を飲み込むことができなければならない
13.試験期間中参加し、試験手順に従う意思があること
14.インフォームドコンセントフォーム(informed consent form、ICF)及びこのプロトコールに列挙される要件及び制限へのコンプライアンスを含む、付録1に記載のインフォームドコンセントに署名することが可能であること。
【0159】
患者除外基準
以下の基準のうちのいずれかに該当する場合、参加者を本試験から除外する。
1.化学療法(ネオアジュバント/アジュバント化学療法を除く)、フルベストラント、任意の臨床試験中のER指向性療法(SERD及び非SERDを含む)、任意のPI3K阻害剤、mTOR阻害剤、又はAKT阻害剤により、以前に治療を受けている
2.臨床試験で現在治験薬を受けているか、又は本研究と科学的又は医学的に適合性がないと判断された任意の他の種類の医学研究に参加している
3.炎症性乳がんを有する
4.PARP阻害剤による治療に適切である公知の病原性生殖系列突然変異を有する患者は、これらの治療法が承認され利用可能である地域では、本研究に適格ではない。
5.内臓発症(visceral crisis)、肺内のリンパ管拡張(lymphangitic spread)、又は軟髄膜疾患の何らかの根拠を有する。内臓発症は、内臓転移の単なる存在ではなく、症状と徴候、臨床検査所見、及び疾患の急速な進行によって評価される重度の臓器機能障害を意味する。
6.症候性であるか、又は治療されていない、脳転移を有する。治療された脳転移を有する患者は、研究治療の最初の投薬の28日以上前に先行療法(放射線及び/又は外科手術を含む)が完了しており、研究治療の最初の投薬の前少なくとも14日間、コルチコステロイド及び/又は抗痙攣薬を受けておらず、疾患が、無症状であり、同意前の少なくとも28間、反復撮像によるX線撮影で安定している場合、本研究に適格である(反復撮像は、研究スクリーニング中に行われるべきである)
7.無作為化の前14日以内に大手術を受けていた
8.無作為化の前4週間以内に広照射野放射線療法(wide-field radiotherapy)(骨髄の25%以上が関与すると定義される)、又は1週間以内に緩和のための限定照射野照射(limited field radiation)を受けていた。患者はまた、そのような治療法の関連する副作用(脱毛症を除く)からグレード1又はそれよりも良好に回復していなければならない
9.以下などの重篤な心臓状態を有する
a.うっ血性心不全
b.ニューヨーク心臓協会クラスIII/IV心疾患
c.不安定狭心症
d.過去3ヶ月以内の心筋梗塞
e.重度若しくは中程度であるか、又は臨床的に有意であるとみなされる弁膜症
f.症候性であるか、又は治療を必要とする不整脈(律速心房細動(rate-controlled atrial fibrillation)を有する患者を含まない)
g.過去3ヶ月以内の脳血管発作(卒中)
h.連続した数日間の評価で、Fridericiaの式を使用して計算した場合に、スクリーニングECGで心拍数に対して補正した470ミリ秒以上の平均QT間隔
i.60拍/分を下回る安静時心拍数を有するベースライン徐脈
10.治験責任医師の判断で、本研究への参加を妨げる重篤な既存の医学的状態を有する
11.最低3年間無治療で完全寛解している場合を除き、他のがんの既往歴がある(非黒色腫皮膚がん又は子宮頸部上皮内がんを除く)
12.自家幹細胞移植又は同種幹細胞移植を受けている
13.活性な細菌若しくは真菌感染、又は検出可能なウイルス感染(例えば、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]若しくはウイルス性肝炎)を有する。登録にスクリーニングは不要である。
14.妊娠中、授乳中、又はスクリーニング来診から開始して研究介入の最後の投薬後180日までの試験計画期間内に妊娠若しくは子供を持つ予定である
15.無作為化前の7日未満にビスフォスフォネート製剤又は承認されたRANKリガンド(RANK-L)標的剤(例えば、デノスマブ)を開始している
16.研究治療の成分のいずれかに対する既知のアレルギー反応。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを治療するための、式I
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む薬剤であって、前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、そのような治療を必要とする患者に、約200mg~約400mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与されるように用いられることを特徴とする、薬剤。
【請求項2】
前記薬学的に許容される塩が、トシレート塩である、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
前記用量が、約200mg、約300mg、又は約400mgである、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項4】
前記用量が、約400mgである、請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
前記患者が、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択されるがんを有すると特定又は診断されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項6】
前記がんが、HR陽性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項7】
前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陰性である、請求項6に記載の薬剤。
【請求項8】
前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陽性である、請求項6に記載の薬剤。
【請求項9】
前記がんが、転移性乳がん(mBC)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項10】
前記がんが、進行性乳がんである、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項11】
前記がんが、類内膜子宮内膜がん(EEC)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項12】
第2の治療剤と組み合わせて投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載のがんを治療するための薬剤。
【請求項13】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブ、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択される、請求項12に記載の薬剤。
【請求項14】
前記アロマターゼ阻害剤が、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される、請求項13に記載の薬剤。
【請求項15】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブである、請求項12~13のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項16】
前記第2の治療剤が、トラスツズマブである、請求項12~13のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項17】
前記式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩及び前記第2の治療剤が、第3の治療剤と共に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項12~16のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項18】
第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択され、前記第3の治療剤が、前記第2の治療剤とは異なる、請求項17に記載の薬剤。
【請求項19】
前記第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤及びトラスツズマブからなる群から選択される、請求項18に記載の薬剤。
【請求項20】
前記アロマターゼ阻害剤が、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群から選択される、請求項18に記載の薬剤。
【請求項21】
前記第3の治療剤が、止瀉剤である、請求項17に記載の薬剤。
【請求項22】
前記第3の治療剤が、ペルツズマブである、請求項17又は18に記載の薬剤。
【請求項23】
がんの治療において使用するための薬物の製造における、式I
【化2】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記薬物が、前記化合物又はその薬学的に許容される塩を含み、前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、患者に、約200mg~約800mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与される、使用。
【請求項24】
前記用量が、約400mgである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記患者が、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択されるがんを有すると特定又は診断されている、請求項23又は24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記がんが、HR陽性であり、前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陰性である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記がんが、HR陽性であり、前記HR陽性がんが、ER陽性かつHER2陽性である、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記乳がんが、転移性乳がん(mBC)である、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記乳がんが、進行性乳がんである、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記がんが、類内膜子宮内膜がん(EEC)である、請求項23~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、第2の治療剤と同時、別個、又は連続的な組み合わせで投与される、請求項23~30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブ、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記第2の治療剤が、アベマシクリブである、請求項31又は32に記載の使用。
【請求項34】
前記第2の治療剤が、トラスツズマブである、請求項31又は32に記載の使用。
【請求項35】
前記化合物又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤が、第3の治療剤と同時、別個、又は連続的な組み合わせで投与される、請求項31~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤、エベロリムス、アルペリシブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブからなる群から選択され、前記第3の治療剤が、前記第2の治療剤とは異なる、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記第3の治療剤が、アロマターゼ阻害剤及びトラスツズマブからなる群から選択される、請求項35又は36に記載の使用。
【請求項38】
前記第3の治療剤が、ペルツズマブである、請求項35又は36に記載の使用。
【請求項39】
患者におけるがんの治療において第2の治療薬及び第3の治療薬と同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、式I
【化3】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む薬剤であって、前記第2の治療薬と前記第3の治療薬が異なり、前記化合物又はその薬学的に許容される塩が、約200mg~約400mgの用量で、少なくとも1週間、少なくとも1日1回投与されるように用いられることを特徴とする、薬剤。
【請求項40】
前記がんが、乳がん、卵巣がん、子宮内膜がん、前立腺がん、子宮がん、胃がん、及び肺がんからなる群から選択される、請求項39に記載の薬剤。
【請求項41】
前記がんが、ER陽性かつHER2陰性である、請求項40に記載の薬剤。
【請求項42】
前記がんが、ER陽性かつHER2陽性である、請求項40に記載の薬剤。
【請求項43】
(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である化合物を含む、ER+、HER2陰性乳がんを治療するためにペルツズマブ及びトラスツズマブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための、薬剤。
【請求項44】
前記化合物が、約400mgの用量で投与されるように用いられることを特徴とする、請求項43に記載の薬剤。
【請求項45】
(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である化合物を含む、ER+、HER2陰性乳がんを治療するためにアベマシクリブと同時、別個、又は連続的な組み合わせで使用するための薬剤であって、前記化合物が、約400mgの用量で投与されるように用いられることを特徴とする、薬剤。
【請求項46】
(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)を含む、ER+、HER2-乳がんを治療するための薬剤であって、前記薬剤が、ペルツズマブ及びトラスツズマブと組み合わせて投与される、薬剤。
【請求項47】
(5R)-5-[4-[2-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]エトキシ]フェニル]-8-(トリフルオロメチル)-5H-クロメノ[4,3-c]キノリン-2-オール,4-メチルベンゼンスルホン酸(1/1)である化合物を含む、HR+かつER+がんを治療するための薬剤であって、前記化合物が、約400mgの用量で、アベマシクリブと組み合わせて投与されるように用いられることを特徴とし、前記がんが、HER2陽性乳がん、HER2陰性乳がん、及び類内膜子宮内膜がん(EEC)からなる群から選択される、薬剤。
【国際調査報告】