(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】心臓組織の治療におけるパルス電場の送達のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240221BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555312
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022019719
(87)【国際公開番号】W WO2022192522
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522244964
【氏名又は名称】ガルヴァナイズ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100143638
【氏名又は名称】長谷部 真久
(72)【発明者】
【氏名】ガンディオンコ,イシドロ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,カービィ
(72)【発明者】
【氏名】イースター,クルト ロバート
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK16
4C160KK38
4C160MM33
(57)【要約】
心臓の状態、特に不整脈の発生、より具体的には、心房細動、心房粗動、心室頻拍などを治療するためのデバイス、システム及び方法が提供される。本デバイス、システム及び方法は、心房細動の治療において、心臓の部分、例えば肺静脈への入口などに、組織修正を提供するために、治療パルス電場エネルギを送達する。このような組織修正は、組織内に導電ブロックを作成して異常な電気信号の伝達を防止する。概して、組織修正システムは、専用カテーテルと、高電圧波形ジェネレータと、少なくとも1つの別個のエネルギ送達アルゴリズムと、を含む。専用カテーテル設計の例示的実施形態が提供され、局所送達、「ワンショット」送達、及び、種々の可能な組み合わせを含む種々の送達タイプを含む。
【選択図】
図37
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓組織にエネルギを送達するためのデバイスであって、
近位端及び遠位端を有するとともに外径を有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、前記拡張された構成は前記シャフトの前記外径の6倍以下の外径を有し、前記エネルギ送達体は、前記心臓組織にエネルギを送達するように、前記拡張された構成で前記心臓組織に対して位置決めされるように構成されている、エネルギ送達体と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記エネルギは、パルス電場エネルギであり、
前記デバイスは、前記パルス電場エネルギを前記心臓組織に送達するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記エネルギ送達体は、前記エネルギを送達するように構成された複数のワイヤを備える、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数のワイヤは、複数のスプラインを備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数のワイヤは、前記複数のワイヤを拘束するシースからの解放によって前記エネルギ送達体が移行可能であるように形状記憶材料からなり、したがってそのような解放は前記複数のワイヤが前記拡張された構成に向かって移動することを可能にする、請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記エネルギ送達体は、前記拡張された構成にあるとき、中心シャフトを含まない、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数のスプラインは、中空の丸いケージを形成する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数のワイヤは、メッシュを備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数のワイヤは、複数のループを備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記複数のワイヤは、単極方式で機能するように一斉に通電可能である、請求項3から9の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数のワイヤは、凸状遠位面を有する、請求項3から10の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記エネルギ送達体は、前記エネルギを送達するように構成された遠位先端を含む、請求項3から11の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記遠位先端及び前記複数のワイヤは、単極方式で機能するように一斉に通電可能である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記複数のワイヤの近位部分は、前記エネルギを遠位方向に向けるように絶縁されている、請求項3から13の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
複数の灌注ポートを更に備え、
前記デバイスは、前記灌注ポートを通る流体を、前記エネルギ送達体内に前記流体の乱流を生じさせるように導くように構成されている、請求項1から14の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記複数の灌注ポートは、前記エネルギ送達体の近位端の近くに配設される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記複数の灌注ポートを通る前記流体を導く1つ以上の灌注内腔を更に備える、請求項15又は16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記1つ以上の灌注内腔は、前記複数の灌注ポートよりも少ない、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記拡張された構成は、前記シャフトの前記外径の3~6倍の外径を有する、請求項1から18の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記拡張された構成は、8~15mmの外径を有する、請求項1から19の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記エネルギ送達体は、検知電極を含む、請求項1から20の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記検知電極は、前記心臓組織との接触を回避するように位置決めされる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記エネルギ送達体は、丸いケージを形成する複数のスプラインを備え、
前記検知電極は、前記丸いケージ内に配設される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記シャフトは、1つ以上のリング電極を含む、請求項1から23の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
電気生理学的マッピングシステムと通信する1つ以上の電極を更に備える、請求項1から24の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記シャフトに対して前記エネルギ送達体を屈曲させるように構成された操向機構を更に備える、請求項1から25の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記シャフトの前記遠位端をその長手軸から遠ざかるように屈曲させるように構成された操向機構を更に備える、請求項1から26の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
患者の心臓組織にエネルギを送達するためのデバイスであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、複数の形状記憶スプラインからなると共に折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、前記拡張された構成では、前記複数の形状記憶スプラインは、前記心臓組織にエネルギを送達するように前記心臓組織に対して位置決め可能な凸状遠位面を形成する、エネルギ送達体と、
を備える、デバイス。
【請求項29】
前記複数の形状記憶スプラインは、前記拡張された構成において前記凸状遠位面を有する丸いケージを形成する、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記丸いケージは、前記複数のスプラインのみによって支持される、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記エネルギ送達体は、遠位先端電極を含み、
前記複数のスプラインは、前記遠位先端電極から前記シャフトまで延在する先端電極ワイヤを支持し、そうでなければ中空である、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
前記丸いケージは、前記心臓組織に対して位置決めする際に変形するように可撓性である、請求項29から31の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記丸いケージは、前記心臓組織に対して位置決めする際に少なくとも部分的に平坦化するように可撓性である、請求項29から32の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記凸状遠位面は、前記心臓組織にエネルギを送達するように前記心臓組織に対して位置決めされるときに8~15mmの設置面積を有するように構成されている、請求項28から33の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記複数のスプラインは、単極式で機能するように一斉に通電可能である、請求項1から34の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記エネルギ送達体は、前記凸状遠位面に沿って配設された遠位先端電極を含む、請求項1から35の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記遠位先端電極は、独立して通電可能である、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記エネルギ送達体の少なくとも一部は、前記凸状遠位面を通して前記エネルギを導くように絶縁されている、請求項1から37の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
少なくとも1つの灌注内腔と、複数の灌注ポートと、を更に備える、請求項1から38の何れか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記少なくとも1つの灌注内腔は、複数の灌注ポートよりも少ない数の灌注内腔を備える、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記エネルギ送達体は、パルス電場エネルギを前記心臓組織に送達するようにジェネレータと電気的に連結されている、請求項29に記載のデバイス。
【請求項42】
患者の心臓組織にエネルギを送達するためのシステムであって、
治療カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するとともに外径を有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、前記拡張された構成は前記シャフトの前記外径の6倍以下の外径を有し、前記エネルギ送達体は、前記心臓組織にエネルギを送達するように、前記拡張された構成で前記心臓組織に対して位置決めされるように構成されている、エネルギ送達体と、
を備える、治療カテーテルと、
前記治療カテーテルに電気的に連結可能なジェネレータであって、前記エネルギ送達体を通して送達可能なパルス電場エネルギの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズムを含む、ジェネレータと、
を備える、システム。
【請求項43】
前記パルス電場エネルギは、凝固性熱損傷の誘発閾値未満である、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
患者の心臓組織を治療するためのシステムであって、
治療デバイスであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、前記心臓組織に対して位置決めされるように構成されており、パルス電場エネルギを前記心臓組織に送達するようにジェネレータと電気的に連結可能である、エネルギ送達体と、
を備える、治療デバイスと、
前記治療カテーテルに電気的に連結可能なジェネレータであって、前記エネルギ送達体を通して送達可能なパルス電場エネルギの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズムを含む、ジェネレータと、
を備える、システム。
【請求項45】
前記パルス電場エネルギは、凝固性熱損傷の誘発閾値未満である、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
患者の心臓組織にエネルギを送達するためのシステムであって、
治療カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
前記シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、複数の形状記憶スプラインからなると共に折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、前記拡張された構成では、前記複数の形状記憶スプラインは、前記心臓組織にエネルギを送達するように前記心臓組織に対して位置決め可能な凸状遠位面を形成する、エネルギ送達体と、
を備える、治療カテーテルと、
前記治療カテーテルに電気的に連結可能なジェネレータであって、前記エネルギ送達体を通して送達可能なパルス電場エネルギの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズムを含む、ジェネレータと、
を備える、システム。
【請求項47】
前記パルス電場エネルギは、凝固性熱損傷の誘発閾値未満である、請求項46に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2021年3月10日に提出され「Devices for the Delivery of Pulsed Electric Fields in the Treatment of Cardiac Tissue」と題された米国特許出願第63/159,331号の優先権及び利益を主張するものであり、同出願の開示内容は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] アテローム性動脈硬化症(特に血管形成術後の再狭窄の予防において)及び心房細動などの不整脈を含む種々の状態の治療のために、治療エネルギが心臓及び脈管系に印加され得る。心房細動は、最も一般的な持続性心臓不整脈であり、特に卒中を引き起こすことによって、罹患患者の死亡リスクを著しく増加させる。この現象において、心臓は、誤った電気インパルスの生成に起因して、正常洞調律から外れる。心房細動は、肺静脈(PV)の心筋組織内の細胞における自動能の存在によって、PVの心筋鞘(myocardial sleeves)において開始されると考えられる。これらの細胞からのペースメーカ活性が、心房細動を開始する期外収縮の形成をもたらすと考えられる。PVはまた、心房細動の維持においても重要であると考えられている。なぜなら、これらの血管の無秩序な構造及び電気生理学的特性は、心房細動が永続され得る環境を提供するからである。よって、PVの心筋鞘内のこれらの変行ペースメーカ細胞の破壊又は除去が目標となっており、心房細動は、治療エネルギを肺静脈に送達することによって治療されることが多い。しかしながら、PV狭窄の報告に起因して、このアプローチは、従来、PVと左房との間の導電ブロックを達成するようにPV洞を標的とするものに修正されてきた。PV洞は、肺静脈に加えて、左房天蓋部及び後壁を包含し、右肺静脈洞の場合には心房中隔の一部を包含する。場合によっては、この技術は、肺静脈入口部隔離と比較して、より高い成功率及びより低い合併症率を呈する。
【0003】
[0003] 熱アブレーション療法、特に高周波(RF)アブレーションが、現在のところ、局所的な組織ネクローシスによる症候性心房細動を治療するための「至適基準」である。典型的には、RFアブレーションは、4つの肺静脈の各々の小孔の外囲にアブレーション病変のリングを作成するために使用される。RF電流が、限局性凝固ネクローシスをもたらす熱の局所領域を作成することによって、組織の乾燥を引き起こす。壊死組織は導電ブロックとして作用し、それによって静脈を電気的に隔離する。
【0004】
[0004] 利用可能な方法を使用した洞調律の再確立における改善にもかかわらず、成功率及び安全性はいずれも制限される。RFアブレーションは、RF局所カテーテルを用いて肺静脈隔離を実施するための長い処置時間、従来のRFカテーテルを用いたポイントバイポイントアブレーション技術に起因するアブレーションパターンの潜在的ギャップ、貫壁性アブレーション病変の作成及び確認の困難性、アブレーション中に血栓又は塞栓をもたらし得る、高温に起因するカテーテル先端と組織との界面における炭化物及び/又はガス形成、並びに肺静脈狭窄、横隔神経障害、食道損傷、心房食道瘻、食道周囲迷走神経損傷、穿孔、血栓塞栓事象、血管合併症、及び急性冠動脈閉塞などを含む側副心外構造への熱損傷を含め、複数の制限を提示し続けている。これらの制限は、主に、臨床医が心外組織への有効治療ドーズと不適切なエネルギ送達とのバランスをとりながら直面してきた継続的な戦いによるものである。
【0005】
[0005] このように、技術を臨床現場で維持しながら、高電圧エネルギの特定の短パルスによって引き起こされる細胞膜の回復不可能な透過化に基づく非熱療法である不可逆電気穿孔法(IRE)を含む、異常組織を除去するより安全且つより汎用性のある方法が使用されている。IREは、組織特異的であり、ネクローシスよりもむしろアポトーシスを誘発し、心筋に隣接する構造にとってより安全であることがわかっている。しかしながら、これまでのところ、これらのIRE方法論の成功は不均質であった。場合によっては、IREエネルギの送達は、異常な電気的調律の不完全なブロックをもたらしている。これは、肺静脈の円周方向周りの治療の不規則性、エネルギの貫壁性送達の欠如、又はエネルギの送達における他の欠陥など、種々の要因に起因し得る。いずれの場合も、心房細動は十分に治療されず、又は心房細動は後で再発する。したがって、心房細動治療の改善が望まれている。そのような治療は、安全で、有効で、合併症の低減をもたらすべきである。これらの目的のうちの少なくともいくつかは、本明細書において説明されるシステム、デバイス、及び方法によって満たされるであろう。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本明細書に記載されるのは、標的組織、特に心臓組織を治療するための装置、システム、及び方法の実施形態である。同様に、本発明は、以下の番号付けされた条項に関する。
【0007】
[0007] 1.患者の心臓組織にエネルギを送達するためのデバイスであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトであって、外径を有するシャフトと、
シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、拡張された構成はシャフトの外径の6倍以下の外径を有し、エネルギ送達体は、心臓組織にエネルギを送達するように、拡張された構成で心臓組織に対して位置決めされるように構成されている、エネルギ送達体と、
を備える、デバイス。
【0008】
[0008] 2.エネルギはパルス電場エネルギであり、デバイスはパルス電場エネルギを心臓組織に送達するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【0009】
[0009] 3.エネルギ送達体は、エネルギを送達するように構成された複数のワイヤを備える、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0010】
[0010] 4.複数のワイヤは複数のスプラインを備える、請求項3に記載のデバイス。
【0011】
[0011] 5.複数のワイヤは、その複数のワイヤを拘束するシースからの解放によってエネルギ送達体が移行可能であるように形状記憶材料からなり、したがってそのような解放は複数のワイヤが拡張された構成に向かって移動することを可能にする、請求項3から4のいずれかに記載のデバイス。
【0012】
[0012] 6.エネルギ送達体は、拡張された構成にあるとき、中心シャフトを含まない、請求項5に記載のデバイス。
【0013】
[0013] 7.複数のスプラインは中空の丸いケージを形成する、請求項5に記載のデバイス。
【0014】
[0014] 8.複数のワイヤはメッシュを備える、請求項3に記載のデバイス。
【0015】
[0015] 9.複数のワイヤは複数のループを備える、請求項3に記載のデバイス。
【0016】
[0016] 10.複数のワイヤは、単極方式で機能するように一斉に通電可能である、請求項3から9のいずれかに記載のデバイス。
【0017】
[0017] 11.複数のワイヤは凸状遠位面を有する、請求項3から10のいずれかに記載のデバイス。
【0018】
[0018] 12.エネルギ送達体は、エネルギを送達するように構成された遠位先端を含む、請求項3から11のいずれかに記載のデバイス。
【0019】
[0019] 13.遠位先端及び複数のワイヤは、単極方式で機能するように一斉に通電可能である、請求項12に記載のデバイス。
【0020】
[0020] 14.複数のワイヤの近位部分は、エネルギを遠位方向に向けるように絶縁されている、請求項3から13のいずれかに記載のデバイス。
【0021】
[0021] 15.複数の灌注ポートを更に備え、デバイスは、灌注ポートを通る流体を、エネルギ送達体内に流体の乱流を生じさせるように導くように構成されている、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0022】
[0022] 16.複数の灌注ポートはエネルギ送達体の近位端の近くに配設される、請求項15に記載のデバイス。
【0023】
[0023] 17.複数の灌注ポートを通る流体を導く1つ以上の灌注内腔を更に備える、請求項15から16のいずれかに記載のデバイス。
【0024】
[0024] 18.1つ以上の灌注内腔は複数の灌注ポートよりも少ない、請求項17に記載のデバイス。
【0025】
[0025] 19.拡張された構成はシャフトの外径の3~6倍の外径を有する、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0026】
[0026] 20.拡張された構成は8~15mmの外径を有する、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0027】
[0027] 21.エネルギ送達体は検知電極を含む、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0028】
[0028] 22.検知電極は心臓組織との接触を回避するように位置決めされる、請求項21に記載のデバイス。
【0029】
[0029] 23.エネルギ送達体は丸いケージを形成する複数のスプラインを備え、検知電極は丸いケージ内に配設される、請求項22に記載のデバイス。
【0030】
[0030] 24.シャフトは1つ以上のリング電極を含む、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0031】
[0031] 25.電気生理学的マッピングシステムと通信する1つ以上の電極を更に備える、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0032】
[0032] 26.シャフトに対してエネルギ送達体を屈曲させるように構成された操向機構を更に備える、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0033】
[0033] 27.シャフトの遠位端をその長手軸から遠ざかるように屈曲させるように構成された操向機構を更に備える、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0034】
[0034] 28.患者の心臓組織を治療するためのデバイスであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、心臓組織に対して位置決めされるように構成されており、パルス電場エネルギを心臓組織に送達するようにジェネレータと電気的に連結可能である、エネルギ送達体と、
を備える、デバイス。
【0035】
[0035] 29.エネルギ送達体はワイヤから成形された1つ以上のループを備える、請求項28に記載のカテーテル。
【0036】
[0036] 30.少なくとも1つの電極は、心臓組織に接触するように構成された連続縁を形成するように配置された1つ以上のループを備える、請求項28から29のいずれかに記載のカテーテル。
【0037】
[0037] 31.連続縁は、8~15mmの直径を有する閉じた形状を有する、請求項30に記載のカテーテル。
【0038】
[0038] 32.連続縁は、肺静脈の内径よりも小さい直径を有する閉じた形状を有する、請求項30に記載のカテーテル。
【0039】
[0039] 33.連続縁は、肺静脈の開口の周囲に連続性病変を作成するように、肺静脈の開口と嵌合するように構成された閉じた形状を有する、請求項30に記載のカテーテル。
【0040】
[0040] 34.連続縁は、調節可能な直径を有する閉じた形状を形成する、請求項30から33のいずれかに記載のカテーテル。
【0041】
[0041] 35.連続縁が心臓組織に対して位置決めされ圧力が印加されるときに心臓組織に接触することができるようにシャフトの遠位端に沿って配設された電極を更に備える、請求項30から34のいずれかに記載のカテーテル。
【0042】
[0042] 36.電極は、連続縁から圧力が解放されると心臓組織との接触を解除するようにシャフトの遠位端に沿って配設される、請求項35に記載のカテーテル。
【0043】
[0043] 37.エネルギ送達体の少なくとも一部分は、エネルギ送達体が心臓組織圧力に対して位置決めされて圧力が印加されると曲がるように構成されている、請求項28から36のいずれかに記載のカテーテル。
【0044】
[0044] 38.エネルギ送達体は、凸状遠位面を形成する1つ以上のループを備える、請求項28に記載のカテーテル。
【0045】
[0045] 39.凸状遠位面は肺静脈のインレットに対して着座するように構成されている、請求項38に記載のカテーテル。
【0046】
[0046] 40.凸状遠位面の少なくとも一部は肺静脈内に着座するように構成されている、請求項39に記載のカテーテル。
【0047】
[0047] 41.エネルギ送達体は、凹状遠位面を形成する1つ以上のループを備える、請求項28に記載のカテーテル。
【0048】
[0048] 42.1つ以上のループは2対のループを備え、ループの各対はより大きいループの中により小さいループを備える、請求項41に記載のカテーテル。
【0049】
[0049] 43.シャフトは長手軸を有し、2対のループの各々は長手軸から反対方向に延在する、請求項42に記載のカテーテル。
【0050】
[0050] 44.エネルギ送達体は、シャフトの近くのより狭い形状とシャフトから遠ざかるように延在するより広い形状とを有する単一のパドル形状の電極を備える、請求項28に記載のカテーテル。
【0051】
[0051] 45.より広い形状はハンマーヘッド形状を有する、請求項44に記載のカテーテル。
【0052】
[0052] 46.エネルギ送達体は折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、拡張された構成はシャフトの外径の6倍以下の外径を有し、エネルギ送達体は、心臓組織にエネルギを送達するように、拡張された構成で心臓組織に対して位置決めされるように構成されている、請求項28に記載のカテーテル。
【0053】
[0053] 47.患者の心臓組織にエネルギを送達するためのデバイスであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、複数の形状記憶スプラインからなると共に折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、拡張された構成では、複数の形状記憶スプラインは、心臓組織にエネルギを送達するように心臓組織に対して位置決め可能な凸状遠位面を形成する、エネルギ送達体と、
を備える、デバイス。
【0054】
[0054] 48.複数の形状記憶スプラインは、拡張された構成で、凸状遠位面を有する丸いケージを形成する、請求項47に記載のデバイス。
【0055】
[0055] 49.丸いケージは複数のスプラインのみによって支持される、請求項48に記載のデバイス。
【0056】
[0056] 50.エネルギ送達体は遠位先端電極を含み、複数のスプラインは、遠位先端電極からシャフトまで延在する先端電極ワイヤを支持し、そうでなければ中空である、請求項49に記載のデバイス。
【0057】
[0057] 51.丸いケージは、心臓組織に対して位置決めする際に変形するように可撓性である、請求項48から50のいずれかに記載のデバイス。
【0058】
[0058] 52.丸いケージは、心臓組織に対して位置決めする際に少なくとも部分的に平坦化するように可撓性である、請求項48から51のいずれかに記載のデバイス。
【0059】
[0059] 53.凸状遠位面は、心臓組織にエネルギを送達するように心臓組織に対して位置決めされるときに8~15mmの設置面積を有するように構成されている、請求項48から52のいずれかに記載のデバイス。
【0060】
[0060] 54.複数のスプラインは、単極式で機能するように一斉に通電可能である、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0061】
[0061] 55.エネルギ送達体は、凸状遠位面に沿って配設された遠位先端電極を含む、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0062】
[0062] 56.遠位先端電極は独立して通電可能である、請求項55に記載のデバイス。
【0063】
[0063] 57.エネルギ送達体の少なくとも一部は、凸状遠位面を通してエネルギを導くように絶縁されている、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0064】
[0064] 58.少なくとも1つの灌注内腔と複数の灌注ポートとを更に備える、上記の請求項のいずれかに記載のデバイス。
【0065】
[0065] 59.少なくとも1つの灌注内腔は、複数の灌注ポートよりも少ない数の灌注内腔を備える、請求項58に記載のデバイス。
【0066】
[0066] 60.エネルギ送達体は、パルス電場エネルギを心臓組織に送達するようにジェネレータと電気的に連結可能である、請求項48に記載のデバイス。
【0067】
[0067] 61.患者の心臓組織にエネルギを送達するためのシステムであって、
治療カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトであって、外径を有するシャフトと、
シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、拡張された構成はシャフトの外径の6倍以下の外径を有し、エネルギ送達体は、心臓組織にエネルギを送達するように、拡張された構成で心臓組織に対して位置決めされるように構成されている、エネルギ送達体と、
を備える、治療カテーテルと、
治療カテーテルに電気的に連結可能なジェネレータであって、エネルギ送達体を通して送達可能なパルス電場エネルギの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズムを含む、ジェネレータと、
を備える、システム。
【0068】
[0068] 62.パルス電場エネルギは凝固性熱損傷の誘発閾値未満である、請求項61に記載のシステム。
【0069】
[0069] 63.患者の心臓組織を治療するためのシステムであって、
治療デバイスであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、心臓組織に対して位置決めされるように構成されており、パルス電場エネルギを心臓組織に送達するようにジェネレータと電気的に連結可能である、エネルギ送達体と、
を備える、治療デバイスと、
治療カテーテルに電気的に連結可能なジェネレータであって、エネルギ送達体を通して送達可能なパルス電場エネルギの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズムを含む、ジェネレータと、
を備える、システム。
【0070】
[0070] 64.パルス電場エネルギは凝固性熱損傷の誘発閾値未満である、請求項63に記載のシステム。
【0071】
[0071] 65.患者の心臓組織にエネルギを送達するためのシステムであって、
治療カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するシャフトと、
シャフトの遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体であって、複数の形状記憶スプラインからなると共に折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能であり、拡張された構成では、複数の形状記憶スプラインは、心臓組織にエネルギを送達するように心臓組織に対して位置決め可能な凸状遠位面を形成する、エネルギ送達体と、
を備える、治療カテーテルと、
治療カテーテルに電気的に連結可能なジェネレータであって、エネルギ送達体を通して送達可能なパルス電場エネルギの電気信号を提供するように構成された少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズムを含む、ジェネレータと、
を備える、システム。
【0072】
[0072] 66.パルス電場エネルギは凝固性熱損傷の誘発閾値未満である、請求項65に記載のシステム。
【0073】
[0073] 67.患者を治療する方法であって、
カテーテルがその遠位端に沿って配設されたエネルギ送達体を有するところ、カテーテルの遠位端を患者の心臓内に前進させることと、
カテーテルの遠位端から遠隔したリターン電極を位置決めすることと、
エネルギ送達体の少なくとも一部を心臓組織の領域に沿った第1の場所に位置決めすることと、
パルス電場エネルギが心臓組織を通してリターン電極へ導かれるように、少なくとも1つの電極を通して単極的にパルス電場エネルギを送達することと、
連続性病変を作成するように、エネルギ送達体の少なくとも一部を、心臓組織の領域に沿った1つ以上の追加の場所に繰り返し再位置決めすることと、
を備える、方法。
【0074】
[0074] 68.第1の場所及び1つ以上の追加の場所は、心臓の肺静脈の周囲に閉じた形状を作成する、請求項67に記載の方法。
【0075】
[0075] 69.連続性病変は、肺静脈と心臓の残りの部分との間の導電を遮断するのに十分な深さを有する、請求項67に記載の方法。
【0076】
[0076] 70.第1の場所及び1つ以上の追加の場所は、導電を遮断するのに十分な深さを有する直線形状を作成する、請求項68に記載の方法。
【0077】
[0077] 71.エネルギ送達体は、連続縁を形成するように配置された1つ以上のループを備え、エネルギ送達体の少なくとも一部を位置決めすることは、連続縁を位置決めすることを備える、請求項67に記載の方法。
【0078】
[0078] 72.エネルギ送達体はワイヤから成形された1つ以上のループを備える、請求項67に記載の方法。
【0079】
[0079] これら及び他の実施形態は、添付の図面に関連する以下の記載において更に詳細に説明される。
【0080】
(参照による援用)
[0080] 本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照によって、個々の刊行物、特許、又は特許出願の各々が参照により援用される旨を具体的且つ個別に示されたのと同程度に、ここに援用される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
[0081] 必ずしも縮尺通りに描かれていない図面中で、同様の数字は、異なる図における類似の構成要素を説明し得る。異なる添え字を有する同様の数字は、類似の構成要素の異なる実例を表し得る。図面は、概して、制限としてではなく例として、本文書において議論される種々の実施形態を図示する。
【0082】
【
図1】[0082] 組織修正システムの一実施形態を図示する。
【
図2A】[0083] 局所療法を送達するように構成された治療カテーテルの実施形態を図示する。
【
図2B】[0083] 局所療法を送達するように構成された治療カテーテルの実施形態を図示する。
【
図3】[0084] 心臓の一部を図示し、右房及び左房の断面図を、中に治療カテーテルが位置決めされた状態で示す。
【
図4】[0085] 円形治療ゾーンを作成するための、治療カテーテルを使用した、左下肺静脈の周囲におけるポイントバイポイント方式でのエネルギの繰り返し印加を図示する。
【
図5】[0086] エネルギ送達アルゴリズムによって規定される信号の波形の一実施形態を図示する。
【
図6】[0087] エネルギ送達アルゴリズムによって規定される例示的波形を図示し、波形は電圧不平衡を有する。
【
図7】[0088] 不均等な電圧を有する波形の更なる例を図示する。
【
図8】[0089] 不均等なパルス幅を有する波形の更なる例を図示する。
【
図9】[0090] 別のエネルギ送達アルゴリズムによって規定される例示的波形を図示し、波形は単相性であって、波形の正の部分のみ又は負の部分のみが存在する、不平衡の特別な場合である。
【
図10】[0091] 単相性パルスを有する波形の更なる例を図示する。
【
図11】[0092] 位相不平衡を有する波形の例を図示する。
【
図12】[0093] 別のエネルギ送達アルゴリズムによって規定される例示的波形を図示し、パルスは形状が方形ではなく正弦形である。
【
図13A】[0094] 従来のRFカテーテルに典型的に見られる円筒形状の送達電極よりも広い面積の組織を任意選択的にカバーする、局所送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図13B】[0094] 従来のRFカテーテルに典型的に見られる円筒形状の送達電極よりも広い面積の組織を任意選択的にカバーする、局所送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図13C】[0094] 従来のRFカテーテルに典型的に見られる円筒形状の送達電極よりも広い面積の組織を任意選択的にカバーする、局所送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図15】[0096] 組織と接触している、互いに隣接する例示的エンドエフェクタの視覚的図解を提供する。
【
図16】[0097] 従来のRFカテーテルに典型的に見られる円筒形状の送達電極よりも広い面積の組織を任意選択的にカバーする、局所送達用、又はワンショット療法用に構成された治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図17】[0098] 肺静脈への入口のラボベンチトップモデルに対して位置決めされた
図16の実施形態を図示する。
【
図18A】[0099] 電極が送達シースの長手軸に略垂直に延在するように送達シースから展開された送達電極を図示する。
【
図18B】[0099] 電極が送達シースの長手軸に略垂直に延在するように送達シースから展開された送達電極を図示する。
【
図19】[00100]
図18Aから
図18Bのシースからの電極の更なる延在を図示しており、これにより花弁形状の電極は下向きに湾曲することが可能であり、それによって電極の外部縁はシースの遠位先端の近位に配設される。
【
図20】[00101] この形状を誇張する、
図18Aから
図18Bの電極の更なる展開を図示しており、側部は更に屈曲又は湾曲することが可能である。
【
図21】[00102] ワンショット送達又は組み合わせ送達ではなく局所送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図22】[00103] 送達電極がシャフトから延在する複数のこて形状の電極を備える、治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図23】[00104]
図21から
図22のものに類似の治療カテーテルの一実施形態の側面図を図示する。
【
図24】[00105] シャフトから延在する複数のこて形状の電極を備える治療カテーテルの別の一実施形態を示すが、ここでは、基部は自由端であり、先端は支持体によってカテーテルに取り付けられている。
【
図25】[00106] 送達電極が、シャフトの近くのより狭い形状とシャフトから遠ざかるように延在するより大きくより広い形状とを有する単一の花弁、パドル、又はループ形状の電極を備える、治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図26A】[00107] パドル形状の送達電極を有する治療カテーテルの一実施形態を図示し、送達電極は、シャフトの近くのより狭い形状とシャフトから遠位のより広いハンマーヘッド形状とを有する単一のハンマーヘッドパドル形状の電極を備える。
【
図26B】[00107] パドル形状の送達電極を有する治療カテーテルの一実施形態を図示し、送達電極は、シャフトの近くのより狭い形状とシャフトから遠位のより広いハンマーヘッド形状とを有する単一のハンマーヘッドパドル形状の電極を備える。
【
図27】[00108] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図28】[00108] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図29】[00108] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図30】[00108] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図31A】[00109] 局所送達ではなくワンショット送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図31B】[00109] 局所送達ではなくワンショット送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図31C】[00109] 局所送達ではなくワンショット送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図31D】[00109] 局所送達ではなくワンショット送達用に構成された治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図32A】[00110] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図32B】[00110] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図32C】[00110] 治療カテーテルの別の一実施形態を図示する。
【
図33A】[00111] 治療カテーテルの更に別の一実施形態を図示する。
【
図33B】[00111] 治療カテーテルの更に別の一実施形態を図示する。
【
図33C】[00111] 治療カテーテルの更に別の一実施形態を図示する。
【
図33D】[00111] 治療カテーテルの更に別の一実施形態を図示する。
【
図34】[00112] 複数のスプラインからなるエネルギ送達体を有する治療カテーテルの一実施形態を図示する。
【
図35】[00113]
図34の治療カテーテルの実施形態の側面図を提供する。
【
図37】[00115]
図34の実施形態の別の斜視図を提供する。
【
図38】[00116]
図34の治療カテーテルの、シャフトの遠位端内の一部の拡大図を提供する。
【
図39A】[00117]
図34の治療カテーテルのこの実施形態を備える要素の展開図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0083】
[00119] 心臓の状態、特に不整脈の発生、より具体的には心房細動、心房粗動、心室頻拍、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、及び/又は、房室結節リエントリ性頻拍などを治療するためのデバイス、システム、及び方法が提供される。本デバイス、システム、及び方法は、心房細動の治療において、心臓の部分、例えば肺静脈への入口などに、組織修正を提供するために、治療エネルギを送達する。標的とされる具体的な解剖学的部位は、上大静脈、下大静脈、右肺静脈、左肺静脈、右房、右心耳、左房、左心耳、右心室、左心室、右室流出路、左室流出路、心室中隔、左心室頂部、心筋瘢痕の領域、心筋梗塞境界ゾーン、心筋梗塞チャネル、心室心内膜、心室心外膜、乳頭筋、及びプルキンエ系などを含む。処置は、隔離された部位において、又は関係のある一連の治療において、送達される。治療のタイプは、左房天蓋部ライン、左房後部/下部ライン、後壁分離、外側僧帽弁峡部ライン、中隔僧帽弁峡部ラインの作成、左心耳、右側三尖弁下大静脈間峡部(CTI)、肺静脈分離、上大静脈分離、マーシャル静脈、複雑性分裂心房電位(CFAE)を使用した病変作成、局所インパルス及びロータ変調(FIRM)を使用した病変作成、及び標的神経節アブレーションを含む。このような組織修正は、組織内に導電ブロックを作成して異常な電気信号の伝達を防止する。本デバイス、システム、及び方法は、典型的には、蛍光透視法並びに高度ECG記録及び監視能力を装備した電気生理学研究室又は管理された手術室において使用される。典型的には電気生理学者(EP)が、システムの意図された主たるユーザである。電気生理学者は、訓練された看護師、技術者、及び潜在的には他の電気生理学者のスタッフによって支援されるであろう。概して、組織修正システムは、専用カテーテルと、高電圧波形ジェネレータと、少なくとも1つの別個のエネルギ送達アルゴリズムと、を含む。追加の付属品及び装備が利用されてもよい。本明細書においては専用カテーテル設計の例示的実施形態が提供され、局所送達、「ワンショット」送達、及び種々の可能な組み合わせを含む、種々の送達タイプを含む。説明のために、システム全体を説明するときには単純化された設計が提供される。そのような単純化された設計は、単極局所療法を提供する。しかしながら、種々の他の実施形態も提供されることが理解されよう。
【0084】
[00120]
図1は、治療カテーテル102と、マッピングカテーテル104と、リターン電極106と、波形ジェネレータ108と、外部心臓モニタ110と、を備える組織修正システム100の一実施形態を図示する。この実施形態においては、心臓は、セルディンガー法などの適当なアクセス手技によって、右大腿静脈FVを介してアクセスされる。典型的には、導管として作用するシース112が大腿静脈FVに挿入され、治療カテーテル102及びマッピングカテーテル104を含む種々のカテーテル及び/又はツールがその中を通って前進され得る。いくつかの実施形態においては、治療カテーテル102及びマッピングカテーテル104は単一のデバイスに組み合わせられることが理解されよう。
図1に図示されるように、カテーテル102,104の遠位端は、下大静脈を通り、右房を通り、経中隔穿刺を通り、左房内へと前進されて、肺静脈への入口にアクセスする。マッピングカテーテル104は心臓マッピングを実施するために使用され、心臓マッピングとは、特定の心調律(heart rhythm)の際の心筋電位の時間的及び空間的分布を識別するプロセスを指す。異常心調律の際の心臓マッピングは、心調律のメカニズムの解明、関心領域内での開始から完了までの興奮伝播の説明、及び治療の標的として役立つ起源部位又は導電のクリティカルな部位の同定を目的とする。所望の治療場所が同定されると、治療カテーテル102は、治療エネルギを送達するために利用される。
【0085】
[00121] この実施形態では、治療カテーテル102の近位端は波形ジェネレータ108と電気的に接続されており、ジェネレータ108は、カテーテル102に送達される高周波短期間エネルギを作成する調節されたエネルギ出力を用いてソフトウェア制御される。種々の実施形態では、出力は、所望の電圧、電流、又はこれらの組み合わせを達成するように制御又は修正されることが理解されよう。この実施形態では、マッピングカテーテル104の近位端も波形ジェネレータ108と電気的に接続されており、マッピング手技を実施する電子機器はジェネレータ108に含まれている。しかしながら、マッピングカテーテル104は、代替的には、電気解剖学的マッピング(EAM)システム(例えば、Biosense Webster/Johnson & JohnsonによるCARTO(登録商標)システム、St.Jude Medical/AbbottによるEnSite(商標)システム、PhilipsによるKODEX-EPDシステム、Boston ScientificによるRhythmia HDX(商標)システム)のような、マッピング手技を提供する能力を有する別個の外部デバイスと接続されてもよいことが理解されよう。同様に、いくつかの実施形態においては、別個のマッピングカテーテル104は使用されず、マッピング機能はカテーテル102に組み込まれる。
【0086】
[00122] この実施形態では、ジェネレータ108は、患者Pから検知された心臓信号と協調したエネルギの送達を可能にするように、外部心臓モニタ110と接続されている。ジェネレータは、エネルギ出力を患者の心臓調律(cardiac rhythm)に同期させる。心臓モニタは、患者の心周期R波を検出すると、ジェネレータ108にトリガ信号を提供する。このトリガ信号、及びジェネレータのアルゴリズムは、エネルギ送達を患者の心周期と確実に同期させて、エネルギ送達に起因する不整脈の可能性を低減させる。典型的には、フットスイッチが、ユーザがエネルギ出力の送達を開始及び制御することを可能にする。ジェネレータユーザインターフェイス(UI)は、エネルギ送達及びジェネレータ動作状態に関する聴覚情報及び視覚情報の両方をユーザに提供する。
【0087】
[00123] この実施形態では、治療カテーテル102は単極であるように設計され、カテーテル108の遠位端は送達電極122を有し、リターン電極106は身体の外側の皮膚上、典型的には大腿、腰部、又は背部に位置決めされる。
図2Aは、局所療法を送達するように構成された治療カテーテル102の一実施形態を図示する。この実施形態では、カテーテル102は、遠位端124の近くに送達電極122を有し近位端128の近くにハンドル126を有する細長いシャフト120を備える。送達電極122は「中実先端」電極として示されており、連続表面を有する遠位面を備えた円筒形状を有する。いくつかの実施形態においては、円筒形状は、その遠位面にわたるおよそ2~3mmの直径と、シャフト120に沿ったおよそ1mm、2mm、1~2mm、3mm、4mm、3~4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm等の長さとを有する。そのような電極は、典型的には中空であるが、外観に起因して中実と称されることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、カテーテル102は、50~150cm、好適には100~125cm、より好適には110~115cmの全長を有する。同様に、いくつかの実施形態においては、このカテーテルは、3~15Fr、好適には4~12Fr、より好適には7~8.5Frの7Fr外径を有する。いくつかの実施形態においては、シャフト120は偏向可能な端部分121を有しており、任意選択的には、偏向可能な端部分121は、およそ15~55mmの範囲にわたる直径を備えた曲線をもたらす50~105mmの長さを有し得ることが理解されよう。偏向は、ハンドル126まで延在するプルワイヤを含む種々の機構によって達成され得る。よって、ハンドル126は、カテーテル102を操作するため、特に送達及び治療の際に遠位端124を操向するために使用される。カテーテル102には、及びひいては送達電極122には、ジェネレータ108に接続可能なケーブル130を介して、エネルギが提供される。
【0088】
[00124] パルス電場(PEF)が、ジェネレータ108によって提供されると共に、標的組織領域上又はその近くに設置された送達電極122を通して組織に送達される。いくつかの実施形態においては、送達電極122は導電性物質と接触して位置決めされ、導電性物質も同様に標的組織と接触することが理解されよう。そのような溶液は、等張液又は高張液を含み得る。これらの溶液は、局所治療並びに標的とされる組織型の潜在的な局所的浸潤領域の両方に関して治療有効性を更に高めるために、化学療法又はカルシウムなどのアジュバント物質を更に含み得る。次いで、高電圧短期間二相性電気パルスが、電極122を通して標的組織の近傍に送達される。これらの電気パルスは、少なくとも1つのエネルギ送達アルゴリズム152によって提供される。いくつかの実施形態においては、各エネルギ送達アルゴリズム152は、一連のエネルギパケットを備える波形を有する信号を規定し、各エネルギパケットは一連の高電圧パルスを備える。そのような実施形態では、アルゴリズム152は、エネルギ振幅(例えば電圧)及び印加エネルギの期間などの信号のパラメータを指定し、印加エネルギの期間は、パケットの数、パケット内のパルスの数、及びパルスシーケンスの基本周波数などからなる。追加のパラメータは、二相性パルスにおける極性間の切り替え時間、二相性周期の間の不感時間、及びパケット間の休止時間を含むことができ、これらについては後の項でより詳細に説明する。パケット間に固定された休止期間があってもよく、又はパケットは、心周期に同期されてもよく、したがって患者の心拍数に応じて可変である。故意的な変化する休止期間アルゴリズムがあってもよく、又は休止期間がパケット間に適用されなくてもよい。センサ情報及び自動シャットオフ仕様に基づくフィードバックループ、及び/又は同様のものが含まれてもよい。
【0089】
[00125] 種々の実施形態において、治療カテーテル102は、種々の特殊機能を含むことが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態においては、カテーテル102は、手技の際にカテーテル先端によって患者の心臓壁に印加される接触力のリアルタイム測定のための機構を含む。いくつかの実施形態においては、この機構は、シャフト120に含まれ、白色光干渉法を利用する3軸光学式力センサを備える。手技全体を通して印加される力を監視及び修正することによって、ユーザは、より一貫した且つ有効な病変を作成するように、カテーテル102をより良好に制御することができる。
【0090】
[00126] いくつかの実施形態においては、カテーテル102は、
図2Bに図示されるように、送達電極122の近位に、シャフト120に沿って位置決めされた1つ以上の追加の電極125(例えばリング電極)を含む。いくつかの実施形態においては、追加の電極のうちのいくつか又は全てが、(電気生理学的マッピング用の)刺激及び記録のために使用されてもよく、したがって、病変作成のため、又は検知等の他の目的のためにカテーテル102を使用するとき、別個の心臓マッピングカテーテルは必要とされない。
【0091】
[00127] いくつかの実施形態においては、カテーテル102は、任意選択的に送達電極122に埋め込まれた熱電対温度センサを含む。同様に、いくつかの実施形態においては、カテーテル102は、灌注及び/又は吸引のために使用され得る内腔を含む。典型的には、内腔は、灌注用の等張生理食塩液の注入のため又は例えばマイクロバブルの除去などのために、カテーテル102の遠位端に沿った1つ以上のポートと接続する。
【0092】
[00128] いくつかの実施形態においては、カテーテル102は、温度、インピーダンス、抵抗、静電容量、導電率、誘電率、及び/又はコンダクタンスなどを判定するために使用され得る1つ以上のセンサを含む。いくつかの実施形態においては、電極のうち1つ以上が1つ以上のセンサとして作用する。他の実施形態においては、1つ以上のセンサは電極とは分離している。センサデータは、療法を計画する、療法を監視する、及び/又は、プロセッサ154を介して直接フィードバックを提供するために使用されることができ、これはその後、エネルギ送達アルゴリズム152を改変し得る。例えば、インピーダンス測定は、適用されるべき初期ドーズを決定するために使用され得るだけでなく、更なる治療の必要性の有無を判定するためにも使用され得る。
【0093】
[00129] 戻って
図1を参照すると、この実施形態では、ジェネレータ108は、ユーザインターフェイス150と、1つ以上のエネルギ送達アルゴリズム152と、プロセッサ154と、データ記憶/検索ユニット156(メモリ及び/又はデータベースなど)と、送達されるべきエネルギを発生させ貯蔵するエネルギ貯蔵サブシステム158と、を含む。いくつかの実施形態においては、エネルギ貯蔵/送達のために1つ以上のキャパシタが使用されるが、任意の他の適当なエネルギ貯蔵素子が使用されてもよい。また、1つ以上の通信ポートが含まれる。
【0094】
[00130] いくつかの実施形態においては、ジェネレータ108は3つのサブシステム、すなわち、1)高エネルギ貯蔵システム、2)高電圧中周波数スイッチング増幅器、並びに、3)システムコントローラ、ファームウェア、及びユーザインターフェイスを含む。この実施形態では、システムコントローラは、パルスエネルギ出力を患者の心臓調律に同期させることを可能にする心臓同期トリガモニタを含む。ジェネレータは、交流(AC)本線を取り込んで複数の直流(DC)電源に電力を供給する。ジェネレータのコントローラは、エネルギ送達が開始される前に、DC電源に高エネルギキャパシタ貯蔵バンクを充電させることができる。治療エネルギ送達の開始にあたり、ジェネレータのコントローラ、高エネルギ貯蔵バンク、及び二相性パルス増幅器は、同時に動作して高電圧中周波数出力を作成することができる。
【0095】
[00131] エネルギ送達アルゴリズムを実行するために多数のジェネレータ電気アーキテクチャが採用され得ることが理解されよう。特に、いくつかの実施形態においては、同じエネルギ貯蔵及び高電圧送達システムとは別個に、パルス電場回路をエネルギ送達電極に向けることが可能な高度スイッチングシステムが使用される。また、急速に変化するパルスパラメータ(例えば電圧、周波数等)又は複数のエネルギ送達電極を採用する高度エネルギ送達アルゴリズムで採用されるジェネレータは、モジュール式エネルギ貯蔵システム及び/又は高電圧システムを利用して、カスタマイズ性の高い波形及び地理的パルス送達パラダイムを促進し得る。本明細書で上述した電気アーキテクチャは単なる例であり、パルス電場を送達するシステムは、追加のスイッチング増幅器構成要素を含んでも含まなくてもよいことが更に理解されるべきである。
【0096】
[00132] ユーザインターフェイス150は、オペレータが患者データを入力し、治療アルゴリズム(例えばエネルギ送達アルゴリズム152)を選択し、エネルギ送達を開始し、記憶/検索ユニット156上に記憶された記録を閲覧し、及び/又は、その他ジェネレータ108と通信することを可能にする、タッチスクリーン及び/又はより従来的なボタンを含むことができる。
【0097】
[00133] いくつかの実施形態においては、ユーザインターフェイス150は、オペレータ定義の入力を受信するように構成される。オペレータ定義の入力は、エネルギ送達の期間、エネルギ送達パルスの1つ以上の他の時間的側面、電力、及び/又は、動作モード、又はこれらの組み合わせを含み得る。例示的な動作モードは、システム開始及び自己試験、オペレータ入力、アルゴリズム選択、治療前システム状態及びフィードバック、エネルギ送達、エネルギ送達後表示もしくはフィードバック、治療データレビュー及び/又はダウンロード、ソフトウェア更新、又はこれらの任意の組み合わせもしくは部分的組み合わせを含むことができる(が、それらに限定されない)。
【0098】
[00134] 上述のように、いくつかの実施形態においては、システム100は、心臓同期が望まれる状況において、外部心臓モニタ110のような心電図(ECG)を取得するための機構も含む。例示的な心臓モニタは、AccuSync Medical Research Corporation及びIvy Biomedical Systems, Inc.から入手可能である。いくつかの実施形態においては、外部心臓モニタ110は、ジェネレータ108に動作可能に接続される。心臓モニタ110は、ECG信号を連続的に取得するために使用することができる。ECG取得するために、患者Pには外部電極172が適用され得る。ジェネレータ108は、1つ以上の心周期を分析し、患者Pにエネルギを印加することが安全である期間の開始を識別し、したがってエネルギ送達を心周期と同期させる能力を提供する。いくつかの実施形態においては、この期間は、エネルギパルスがT波で送達される場合に起こり得る不整脈の誘発を回避するために、(ECG QRS複合波の)R波の数ミリ秒以内である。そのような心臓同期は、典型的には、単極エネルギ送達を使用するときに利用されるが、他のエネルギ送達方法の一部として利用され得ることが理解されよう。
【0099】
[00135] いくつかの実施形態においては、プロセッサ154は、他の活動の中でもとりわけ、エネルギ送達アルゴリズムを修正し及び/又は切り替え、エネルギ送達及び任意のセンサデータを監視し、監視されたデータにフィードバックループを介して反応する。いくつかの実施形態においては、プロセッサ154は、1つ以上の測定されたシステムパラメータ(例えば電流)、1つ以上の測定された組織パラメータ(例えばインピーダンス)、及び/又はこれらの組み合わせに基づいて、フィードバック制御ループを動作させるための1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成される。
【0100】
[00136] データ記憶/検索ユニット156は、例えば送達された治療に関連する、及び任意選択的にはデバイス(例えばラップトップ又はサムドライブ)を通信ポートに接続することによってダウンロードされることができるデータを記憶する。いくつかの実施形態においては、デバイスは、例えば、データ記憶/検索ユニット156上に記憶されプロセッサ154によって実行可能な命令などの情報のダウンロードを指示するために使用されるローカルソフトウェアを有する。いくつかの実施形態においては、ユーザインターフェイス150は、オペレータが、限定はされないが、コンピュータデバイス、タブレット、モバイルデバイス、サーバ、ワークステーション、クラウドコンピューティング装置/システム、及び/又は、類似のものなどのデバイス及び/又はシステムにデータをダウンロードすることを選択するのを可能にする。有線及び/又は無線接続性を可能にし得る通信ポートは、今説明したようなデータダウンロードを可能にすることができるが、カスタムアルゴリズムのアップロード又はソフトウェア更新の提供などのデータアップロードも可能にすることができる。
【0101】
[00137] 本明細書に記載されるように、種々のエネルギ送達アルゴリズム152が、メモリ又はデータ記憶/検索ユニット156に記憶されるなど、ジェネレータ108にプログラム可能であるか又は事前プログラムされ得る。代替的には、エネルギ送達アルゴリズムは、プロセッサ154によって実行されるようにデータ記憶/検索ユニットに追加されてもよい。これらのアルゴリズム152の各々は、プロセッサ154によって実行され得る。
【0102】
[00138] いくつかの実施形態においては、システム100は、温度、種々の電圧もしくはAC周波数におけるインピーダンス、治療期間もしくはエネルギ送達パルスの他の時間的側面、治療電力、及び/又は、システム状態などの入力に応答して、動的に応答し、治療を調節及び/又は終了する、自動治療送達アルゴリズムを含むことが理解されよう。
【0103】
[00139] 上述のように、いくつかの実施形態においては、心臓モニタは、患者の心周期R波を検出すると、ジェネレータ108にトリガ信号を提供する。このトリガ信号、及びジェネレータのアルゴリズムは、エネルギ送達を患者の心周期と確実に同期させて、エネルギ送達に起因する不整脈の可能性を低減させる。このトリガは、エネルギパルスがT波で送達される場合に起こり得る不整脈の誘発を回避するため、及びエネルギ送達が心収縮の一貫した位相で起こることを確実にするために、(ECG QRS複合波の)R波のピークの数ミリ秒以内である。そのような心臓同期は、典型的には、単極エネルギ送達を使用するときに利用されるが、他のエネルギ送達方法の一部として利用されてもよいことが理解されよう。
【0104】
[00140] この実施形態では、ジェネレータ108は、患者Pから検知された心臓信号と協調したエネルギの送達を可能にするように、外部心臓モニタ110と接続されている。
【0105】
[00141] いくつかの実施形態においては、ジェネレータ180は、心臓モニタ110からフィードバックを受信し、受信した情報に基づいて応答する。いくつかの実施形態においては、ジェネレータ180は、患者の心拍数に関する情報を受信し、エネルギの送達を停止するか、又は異なるエネルギ送達アルゴリズム152を選択することなどによってエネルギ送達を修正する。いくつかの実施形態においては、ジェネレータ180は、心拍数が30拍/分(bpm)又は20bpmなどの閾値に達するか又はそれを下回ると、エネルギの送達を停止する。任意選択的には、ジェネレータは、心拍数が下限閾値に達するか又はそれを下回ると、視覚的又は聴覚的インジケータなどのインジケータを提供してもよく、例えば、心拍数が30bpmに達すると点滅する黄色の光を提供し、心拍数が20bpmに達すると一様な赤色の光を提供する。このような安全措置は、低い散発性心拍数(low sporadic heart rates)が誤った読取値を示し得ることを考慮して、治療エネルギが不適切な時刻に送達されないことを確実にする。
【0106】
[00142] いくつかの実施形態においては、ジェネレータ108は、心臓モニタ110からの情報に基づいてエネルギ送達を修正する。例えば、いくつかの実施形態においては、エネルギ送達は、心拍数が40bpm~120bpmなどの所定の範囲内にあるとき、1:1の比で提供される。これは、各心拍の適切な間隔でのPEFエネルギの送達を伴う。いくつかの実施形態においては、ジェネレータ108は、心拍数が120bpmを超える場合など、心拍数がこの範囲を超える場合に、エネルギ送達を修正する。いくつかの実施形態においては、エネルギ送達は2:1の比(2心拍:1回の送達)に修正され、PEFエネルギは1心拍おきの適切な間隔で送達される。3:1、3:2、4:1、4:3、5:1等、m:n(m及びnは整数)という形の種々の比が利用され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、心拍数は、所望の心拍数を達成するようにペーシングされ得ることも理解されよう。そのようなペーシングは、別個の又は統合されたペースメーカによって提供されてもよい。いくつかの実施形態においては、そのようなペーシングは、手技中の記録のために使用されるがペーシングにも利用可能な、冠状静脈洞内に位置決めされたカテーテルによって提供される。そのようなペーシングは、ジェネレータ108又は心臓モニタ110によってトリガされ得る。
【0107】
[00143] いくつかの実施形態においては、ジェネレータ108は、温度センサ、インピーダンスセンサ、接触又は接触力センサ等を含む種々のセンサからなど他のソースからの情報に基づいて、エネルギ送達を停止するか又はエネルギ送達を修正する。いくつかの実施形態においては、ジェネレータ108は、(例えばカテーテル102上、近傍組織内、近傍構造内等で)検知された温度に基づいてエネルギ送達を修正する。いくつかの実施形態においては、エネルギ送達は2:1の比に修正され、PEFエネルギは、温度が所定の閾値に到達すると、1心拍おきの適切な間隔で送達される。そのような修正は、任意の小さな熱効果を低減させ、それによって検知される温度を低下させる。3:1、3:2、4:3、4:1、5:1等、種々の比が利用され得ることが理解されよう。
【0108】
[00144] 前述のように、1つ以上のエネルギ送達アルゴリズム152が、患者Pへの送達のために、ジェネレータ108にプログラム可能であるか又は事前プログラムされ得る。1つ以上のエネルギ送達アルゴリズム152は心臓組織に送達されるエネルギを提供する電気信号を指定し、これらは非熱的であり(例えば、熱アブレーションの閾値未満、凝固性熱損傷の誘発閾値未満)、炎症を低減もしくは回避し、及び/又は内腔構造内の間質タンパク質の変性を防止する。非熱的エネルギは極低温でもない(すなわち、凍結によって引き起こされる熱損傷の閾値を上回る)ことが理解されよう。よって、標的組織の温度は、ベースライン体温(35℃~37℃などであるが、30℃程度の低さであり得る)と熱アブレーションの閾値との間の範囲内に留まる。したがって、組織温度の目標範囲は、30~65℃、30~60℃、30~55℃、30~50℃、30~45℃、30~35℃を含む。このように、組織の温度は熱アブレーションの閾値(例えば65℃)を下回ったままであるため、心臓組織内の病変が熱損傷によって作成されない。加えて、組織のインピーダンスは、典型的には、熱アブレーションによって生成された閾値を下回ったままである。組織の炭化及び熱損傷が、心臓組織の導電率を変化させる。このインピーダンスの増加/導電率の低減は、多くの場合、熱損傷を示し、組織が更なるエネルギを受け取る能力を低下させる。場合によっては、カソードからアノードへのシステム回路のインピーダンスは、PEFエネルギの送達中、25~250Ω又は50~200Ωの範囲内に留まる。一般に、アルゴリズム152は、所定の深さ及び/又は体積まで組織に影響を及ぼすように、及び/又は、送達されたエネルギに対する特定のタイプの細胞性応答を標的化するように、調整される。しかしながら、本明細書に説明されるパルス電場エネルギは、悪影響なしに、熱損傷を引き起こすものなど、他のタイプのエネルギよりも自由に利用され得ることが理解されよう。例えば、エネルギが熱損傷を引き起こさないので、組織が、十分な病変形成を確実にするように過度に治療され得る。例えば、2mm厚の組織層では、貫壁性病変を保証するために、6mmの深さを有する病変を作成するのに十分なエネルギを組織に印加することができる。典型的には、追加のエネルギは、近傍のクリティカルな構造から横断方向の組織平面を通って放散される。特に、心臓を取り囲む心嚢液は、エネルギを消散させるのに役立ち、食道、横隔神経、冠状動脈、肺、及び細気管支などの心外構造を損傷から保護する。熱損傷によって病変を作成するエネルギを送達する場合には、そうではない。そうした場合、標的心筋組織を越える導電性熱エネルギの伝播は、非標的心外構造への熱損傷をもたらし得る。食道への過度の熱損傷は、致命的な心房食道瘻に悪化するおそれのある食道潰瘍をもたらし得る。横隔神経への熱損傷は、永久的な息切れ及び疲労につながる永久的な横隔膜麻痺をもたらし得る。冠状動脈への熱損傷は、一時的な、又は永久的でさえある胸部圧迫感/胸痛につながるおそれのある冠状動脈攣縮をもたらし得る。加えて、肺静脈のあたりの心臓の熱病変は、肺静脈狭窄につながるおそれがある。肺静脈狭窄は、心房細動を有する患者における肺静脈付近の高周波アブレーションの既知の合併症である。この病理過程は、手技後の線維化及び瘢痕化を誘発する、組織への熱損傷に関係する。狭窄は、高周波エネルギ及び冷凍アブレーションを含む多くの形態の熱エネルギで治療された患者において説明されている。
【0109】
[00145] 本明細書に記載されるPEF病変は熱損傷によって作成されるものではないので、電気伝導ブロックの「偽陽性」確認の割合も低減される。熱損傷は、急性心筋浮腫(すなわち、組織液の蓄積及び腫脹)をもたらし得る。熱アブレーションされた組織の領域にわたって電気伝導率を試験するとき、組織は電気伝導を遮断するように見え得るが、そのような遮断は単に一時的浮腫の結果であるかもしれない。腫脹が鎮静することを可能にするための回復期間の後、被治療組織のこの領域は、もはや貫壁性の非導電性を有さない。加えて、熱損傷に起因する急性浮腫は、組織の領域を再治療する能力も低下させる。組織の領域がある量の熱損傷を受けると、結果として生じる浮腫は、その組織の抵抗性及び導電性熱特性を変化させる。したがって、その組織における初期応答と同様の効果は得ることが困難である。よって、いかなる再治療の試みも、急性的にも慢性的にも有効性が低くなる。これらの問題は、本明細書に説明されるエネルギの送達によって回避される。
【0110】
[00146]
図3は、心臓Hの一部を図示し、心房細動の治療における右房RA及び左房LAの断面図を示す。最大の肺静脈は4本の主要な肺静脈(右上肺静脈RSPV、右下肺静脈RIPV、左上肺静脈LSPV、及び左下肺静脈LIPV)であり、2本が各肺から心臓Hの左房LAに還流する。各肺静脈は、各肺の肺胞の毛細血管網に連結されており、酸素を含んだ血液を左房LAに運ぶ。左房筋系は、左房LAから延在して近位肺静脈を包む。より長い筋肉鞘(muscular sleeves)を有する上静脈は、下静脈よりも不整脈原性であることが報告されている。一般に、肺静脈の鞘の長さは13mm~25mmの間で変化する。肺静脈形態学は、不整脈原性に影響を及ぼすことが報告されている。同様に、肺静脈の細胞性電気生理学及び他の態様は、不整脈原性及び伝播に関連している。
【0111】
[00147] どの組織が治療の標的とされるかを決定するために、解剖学的適応及び心臓マッピングなど、種々の方法が使用される。典型的には、マッピングカテーテルが、望ましくは肺静脈に合うように選択され、肺静脈の寸法及び解剖学的形態に適合する。マッピングカテーテルは、肺静脈の小孔から及び肺静脈内の深部からの電位図の記録を可能にし、これらの電位図は、ユーザのために表示され、タイミングがとられる(timed)。治療カテーテル102は、最初に肺静脈内の深部に設置され、マッピングカテーテルの近位方向に、小孔まで徐々に引き抜かれる。その後、マッピング及び治療が始まる。
【0112】
[00148] 肺静脈電気生理学の現在の理解は、肺静脈内の線維のほとんどが円形であり、静脈内に導電を伝えないということである。電気伝導路は、左房LAと肺静脈との間に延在する長手方向繊維である。肺静脈隔離は、これらのつながっている長手方向繊維のアブレーションによって達成される。左側肺静脈については、遠位冠状静脈洞のペーシングは、心房信号と肺静脈電位との分離を増加させて、これらをより電気的に可視化する傾向がある。肺静脈内からの信号が評価される。各個別信号は、一般に振幅が小さい遠方場心房信号と、鋭い局所的肺静脈スパイクとからなる。最も早い肺静脈スパイクは、肺静脈と心房との接続の部位を表す。肺静脈スパイク及び心房電位が検査される場合、マッピングカテーテルの極のうちのいくつかではこれらの電位図が広く分離され、他の部位では心房及びPV信号の融合電位がある。後者は、長手方向繊維の部位及び治療の可能性のある部位を示す。
【0113】
[00149] いくつかの実施形態においては、左下肺静脈LIPVの開口を取り囲む組織は、
図3に図示されるように、左下肺静脈LIPVの周りに円形の治療ゾーンを作成するために、治療カテーテル102を使用して(マッピングの助けを借りて)ポイントバイポイント方式で治療される。場合によっては、治療カテーテル120の適切な位置決めを可能にするために、専用ナビゲーションソフトウェアが使用され得る。送達電極122は標的組織領域の近くに又は標的組織領域に対して位置決めされ、エネルギは治療領域Aを作成するように送達電極122に提供される。エネルギは局所的な領域に送達されるので(局所送達)、電気エネルギはより小さい表面積にわたって集中し、内腔又は小孔の周りに円周方向に延在する電極を通した送達よりも強い効果をもたらす。それはまた、電気エネルギが段階的な局部的アプローチで送達されることを強制し、周囲組織を通る優先的電流経路の電位効果を軽減する。これらの優先的電流経路は、隣接する領域を通るのではなくそこを通る電流の局所的増加を誘発する電気的特性を有する領域である。そのような経路は、標的内腔の周囲に不規則な電流分布をもたらし得、したがって、電場を歪曲させ得ると共に、いくつかの領域についての治療効果の不規則な増加及び他の領域におけるより低い治療効果を引き起こし得る。これは、標的領域の周囲の治療効果を安定化させる局所療法の使用によって軽減又は回避され得る。よって、特定の領域に一度にエネルギを提供することによって、電気エネルギは、周囲の異なる領域にわたって「強制」され、治療の周囲方向の規則性の程度の改善を確実にする。
図4は、円形治療ゾーンを作成するための、治療カテーテル102を使用した、左下肺静脈LIPVの周囲におけるポイントバイポイント方式でのエネルギの繰り返し印加を図示する。図示するように、この実施形態では、各治療領域Aは、連続的な治療ゾーンを作成するように、隣接する治療領域Aと重なり合う。各治療領域Aの寸法及び深さは、パラメータ値、治療回数、組織特性等、種々の要因に依存し得る。治療領域Aの数は、種々の要因、特に、各患者の解剖学的構造及び電気生理学という固有の条件に応じて変動し得ることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、治療領域の数は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15、20、25、30、又はそれ以上を含む。
【0114】
[00150] 心房と静脈との間の全ての電気的接続が治療されているとき、肺静脈内には電気的休止が存在し、遠方場心房信号のみが記録される。時折、電気活動のスパイクが、肺静脈内で、心房の残りの部分への導電を伴わずに見られ、これらは、心房心筋の残りの部分からの静脈の電気的不連続性を明確に実証する。
【0115】
[00151] 臨床症状に応じて、右房又は左房のいずれかにおける不整脈を治療するために、他の場所に追加の治療領域が作成されてもよい。次いで、各標的肺静脈が左房の本体から効果的に隔離されることを確実にするために、試験が実施される。
【0116】
エネルギ送達アルゴリズム
[00152] 種々のエネルギ送達アルゴリズム152が使用され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、アルゴリズム152は一連のエネルギパケットを備える波形を有する信号を規定し、各エネルギパケットは一連の高電圧パルスを備える。そのような実施形態では、アルゴリズム152は、エネルギ振幅(例えば電圧)や、パケットの数、パケット内のパルスの数、及びパルスシーケンスの基本周波数などからなる印加エネルギの期間など、信号のパラメータを指定する。追加のパラメータは、二相性パルスにおける極性間の切り替え時間、二相性周期の間の不感時間、及びパケット間の休止時間を含むことができ、これらについては後の項でより詳細に説明する。パケット間に固定された休止期間があってもよく、又はパケットは、心周期に同期されてもよく、したがって患者の心拍数に応じて可変である。故意的な変化する休止期間アルゴリズムがあってもよく、又はパケット間に休止期間が適用されなくてもよい。センサ情報に基づくフィードバックループ及び自動シャットオフ仕様、及び/又は同様のものが含まれてもよい。
【0117】
[00153]
図5は、エネルギ送達アルゴリズム152によって規定される信号の波形400の一実施形態を図示する。ここでは、第1のパケット402及び第2のパケット404という2つのパケットが示されており、パケット402,404は休止期間406によって分離されている。この実施形態では、各パケット402,404は、第1の二相性周期(第1の正のパルスピーク408及び第1の負のパルスピーク410を備える)と、第2の二相性周期(第2の正のパルスピーク408’及び第2の負のパルスピーク410’を備える)とからなる。第1及び第2の二相性パルスは、各二相性周期間の不感時間412(すなわち休止)によって分離されている。この実施形態では、二相性パルスは対称であり、したがって設定電圧416は正のピーク及び負のピークについて同じである。ここで、二相性対称波は方形波でもあり、したがって、正電圧波の大きさ及び時間は負電圧波の大きさ及び時間に略等しい。
【0118】
A.電圧
[00154] 使用され検討される電圧は、方形波形の頂点であってもよく、正弦波形又は鋸歯波形のピークであってもよく、正弦波形又は鋸歯波形のRMS電圧であってもよい。いくつかの実施形態においては、エネルギは単極方式で送達され、各高電圧パルス又は設定電圧416は、約500V~10,000V、特に約1000V~2000V、2000V~3000V、3000V~3500V、3500V~4000V、3500V~5000V、3500V~6000Vであり、約1000V、2000V、2500V、2800V、3000V、3300V、3500V、3700V、4000V、4500V、5000V、5500V、6000Vなど、間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0119】
[00155] 設定電圧416は、エネルギが単極方式で送達されるか双極方式で送達されるかに応じて変化し得ることが理解されよう。双極送達では、より小さくより有向性の電場に起因して、より低い電圧が使用され得る。療法での使用のために選択される双極電圧は電極の離間距離に依存するが、その一方で、1つ以上の遠隔した分散パッド電極を使用する単極電極構成は、身体に設置されるカテーテル電極及び分散電極の正確な配置についてあまり考慮せずに送達され得る。単極電極の実施形態では、10cm~100cm程度の有効離間距離の分散電極に到達するために身体を通って送達されるエネルギの分散挙動に起因して、より大きな電圧が典型的に使用される。逆に、双極電極構成では、1mm~1cmを含む、0.5mm~10cm程度の電極の比較的接近した活性領域によって、電気エネルギの集中及び組織に送達される有効ドーズに対する離間距離の影響が大きくなる。例えば、適切な組織深さ(1.3mm)で所望の臨床効果を引き起こすための目標電圧対距離比が3000V/cmである場合、分離距離が1mmから1.2mmに変更されれば、これは、治療電圧の300から約360Vへの増加、20%の変更の必要をもたらすであろう。
【0120】
B.周波数
[00156] 1秒当たりの二相性周期の数は、信号が連続的であるときの周波数であることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、二相性パルスは、望ましくない筋肉刺激、特に心筋刺激を低減するために利用される。他の実施形態においては、パルス波形は単相性であり、明確な固有周波数は存在しない。代わりに、基本周波数が、単相性パルス長を倍増して周波数を導出することによって考慮され得る。いくつかの実施形態においては、信号は、50kHz~1MHz、より具体的には50kHz~1000kHzの範囲の周波数を有する。いくつかの電圧では100~250kHz以下の周波数が望ましくない筋肉刺激を引き起こし得ることが理解されよう。したがって、いくつかの実施形態においては、信号は、300kHz、400kHz、450kHz、500kHz、550kHz、600kHz、650kHz、700kHz、750kHz、800kHzなど、300~800kHz、400~800kHz、又は500~800kHzの範囲の周波数を有する。加えて、心臓同期は、典型的には、敏感な調律期間中の望ましくない心筋刺激を低減又は回避するために利用される。更に高い周波数が、信号アーチファクトを最小化する構成要素と共に使用され得ることが理解されよう。
【0121】
C.電圧・周波数平衡
[00157] 送達される波形の周波数は、十分な治療効果を保持するために、治療電圧に対して同期して変動し得る。そのような相乗的変化は、より弱い効果を引き起こす電圧の減少と組み合わせられた、より強い効果を引き起こす周波数の減少を含むであろう。例えば、いくつかの場合には、治療は、3000Vを使用して単極方式で、600kHzの波形周波数で送達され得るが、他の場合には、治療は、2000Vを使用して、400kHzの波形周波数で送達され得る。
【0122】
D.パケット
[00158] 上述したように、アルゴリズム152は、典型的には、一連のエネルギパケットを備える波形を有する信号を規定し、各エネルギパケットは一連の高電圧パルスを備える。周期カウント420は、各二相性パケット内のパルス数の半分である。
図5を参照すると、第1のパケット402は、2という周期カウント420(すなわち4つの二相性パルス)を有する。いくつかの実施形態においては、周期カウント420は、パケット当たり2~1000に設定され、その間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態においては、周期カウント420は、パケット当たり5~1000、パケット当たり2~10、パケット当たり2~20、パケット当たり2~25、パケット当たり10~20、パケット当たり20、パケット当たり20~30、パケット当たり25、パケット当たり20~40、パケット当たり30、パケット当たり20~50、パケット当たり30~60、パケット当たり最高で60、パケット当たり最高で80、パケット当たり最高で100、パケット当たり最高で1,000、又はパケット当たり最高で2,000であり、その間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0123】
[00159] パケット期間(packet duration)は、他にも要因はあるが、周期カウントによって決定される。一致するパルス幅(又は二相性波形の正及び負のパルス幅のシーケンス)に関しては、周期カウントが高いほど、パケット期間は長くなり、送達されるエネルギの量は大きくなる。いくつかの実施形態においては、パケット期間は、50μs、60μs、70μs、80μs、90μs、100μs、125μs、150μs、175μs、200μs、250μs、100~250μs、150~250μs、200~250μs、500~1000μsなど、およそ50~1000マイクロ秒の範囲内である。他の実施形態においては、パケット期間は、150μs、200μs、250μs、500μs、又は1000μsなど、およそ100~1000マイクロ秒の範囲内である。
【0124】
[00160] 治療中に送達されるパケットの数、又はパケットカウントは、典型的には1~250パケットを含み、その間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態においては、治療中に送達されるパケットの数は、10パケット、15パケット、20パケット、25パケット、30パケット、又は30パケット超を備える。
【0125】
E.休止期間
[00161] いくつかの実施形態においては、休止期間406と称される、パケット間の時間は、約0.001秒~約5秒に設定され、その間の全ての値及び部分範囲を含む。他の実施形態においては、休止期間406は、約0.01~0.1秒に及び、その間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態においては、休止期間406は、およそ0.5ms~500ms、1~250ms、又は10~100msなどである。
【0126】
F.バッチ
[00162] いくつかの実施形態においては、信号は、各パケットが心拍に対して指定された期間内に同期して送達されるように心臓調律と同期され、よって、休止期間は心拍と一致する。心拍に対して各指定期間内に送達されるパケットはバッチ又はバンドルと見なされ得ることが理解されよう。よって、各バッチは所望の数のパケットを有し、その結果、治療期間の終わりには所望の総数のパケットが送達されている。各バッチは同数のパケットを有していてもよいが、いくつかの実施形態においては、バッチは様々な数のパケットを有する。
【0127】
[00163] いくつかの実施形態においては、1パケットのみが心拍間で送達される。そのような場合、休止期間はバッチ間の期間と同じであると考えることができる。しかしながら、バッチ間で1よりも多くのパケットが送達されるときには、休止時間は、典型的には、バッチ間の期間とは異なる。そのような場合、休止時間は、典型的には、バッチ間の期間よりもずっと短い。いくつかの実施形態においては、各バッチは、1~10パケット、1~5パケット、1~4パケット、1~3パケット、2~3パケット、2パケット、3パケット、4パケット、5パケット、5~10パケットなどを含む。いくつかの実施形態においては、各バッチは、0.5ms~1秒、1ms~1秒、10ms~1秒、10ms~100msなどの期間を有する。いくつかの実施形態においては、バッチ間の期間は、患者の心拍数に応じて可変である。場合によっては、バッチ間の期間は0.25~5秒である。
【0128】
[00164] 組織領域の治療は、所望の数のバッチが組織領域に送達されるまで続く。いくつかの実施形態においては、治療当たり2~50バッチが送達され、治療は特定の組織領域の治療と考えられる。他の実施形態においては、処理は、5~40バッチ、5~30バッチ、5~20バッチ、5~10バッチ、5バッチ、6バッチ、7バッチ、8バッチ、9バッチ、10バッチ、10~15バッチ等を含む。
【0129】
G.切り替え時間及び不感時間
[00165] 切り替え時間とは、
図5に図示されるように、二相性パルスの正のピークと負のピークとの間の遅延又は送達されるエネルギがない期間である。いくつかの実施形態においては、切り替え時間は、約0~約1マイクロ秒に及び、その間の全ての値及び部分範囲を含む。他の実施形態においては、切り替え時間は、1~20マイクロ秒に及び、その間の全ての値及び部分範囲を含む。他の実施形態においては、切り替え時間は、約2~約8マイクロ秒に及び、その間の全ての値及び部分範囲を含む。
【0130】
[00166] 遅延は、各二相性周期の間に挿入される場合もあり、「不感時間」と称される。不感時間は、1パケット内で、しかし二相性パルス間で、発生する。これは、パケット間で発生する休止期間とは対照的である。他の実施形態においては、不感時間412は、およそ0~0.5マイクロ秒、0~10マイクロ秒、2~5マイクロ秒、0~20マイクロ秒、約0~約100マイクロ秒、又は約0~約100ミリ秒の範囲内であり、その間の全ての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態においては、不感時間412は、0.2~0.3マイクロ秒の範囲内である。不感時間は、1パケット内の別個の単相性パルス間の期間を定義するためにも使用され得る。
【0131】
[00167] 切り替え時間及び不感時間などの遅延は、波形内の二相性の相殺の影響を低減するために、パケットに導入される。場合によっては、効果を強化するために、切り替え時間及び不感時間の両方が共に増加される。他の場合には、この効果を誘発するために、切り替え時間のみ又は不感時間のみが増加される。
【0132】
H.波形
[00168]
図5は、対称なパルスを有する波形400の実施形態を図示し、したがって、一方の方向(すなわち正又は負)のパルスの電圧及び持続時間は他方の方向のパルスの電圧及び持続時間に等しい。
図6は、別のエネルギ送達アルゴリズム152によって規定される例示的波形400を図示し、波形400は電圧不平衡を有する。ここでは、第1のパケット402及び第2のパケット404という2つのパケットが示されており、パケット402,404は休止期間406によって分離されている。この実施形態では、各パケット402,404は、第1の二相性周期(第1の電圧V1を有する第1の正のパルスピーク408及び第2の電圧V2を有する第1の負のパルスピーク410を備える)と、第2の二相性周期(第1の電圧V1を有する第2の正のパルスピーク408’及び第2の電圧V2を有する第2の負のパルスピーク410’を備える)とからなる。ここでは、第1の電圧V1は第2の電圧V2より大きい。第1及び第2の二相性周期は、各パルス間の不感時間412によって分離されている。よって、一方の方向(すなわち正又は負)の電圧は他方の方向の電圧よりも大きく、その結果、曲線の正の部分の下の面積は曲線の負の部分の下の面積と等しくない。この不均衡な波形は、主たる正又は負の振幅が同じ電荷の細胞膜帯電電位(same charge cell membrane charge potential)のより長い持続時間につながるので、より顕著な治療効果をもたらし得る。この実施形態では、第1の正のピーク408は、第1の負のピーク410の設定電圧416’(V2)よりも大きい設定電圧416(V1)を有する。
図7は、不均等な電圧を有する波形の更なる例を図示する。ここでは、説明を凝縮するために、4つの異なるタイプのパケットが単一の図に示されている。第1のパケット402は、不均等な電圧を有するが均等なパルス幅を有するパルスからなり、切り替え時間及び不感時間はない。よって、第1のパケット402は4つの二相性パルスからなり、各々が、第1の電圧V1を有する正のピーク408と、第2の電圧V2を有する負のピーク410とを備える。ここでは、第1の電圧V1は第2の電圧V2より大きい。第2のパケット404は、(第1のパルス402におけるように)不均等な電圧を有するが対称なパルス幅を有するパルスからなり、不感時間に等しい切り替え時間がある。第3のパケット405は、(第1のパルス402におけるように)不均等な電圧を有するが対称なパルス幅を有するパルスからなり、不感時間よりも短い切り替え時間がある。第4のパケット407は、(第1のパルス402におけるように)不均等な電圧を有するが対称なパルス幅を有するパルスからなり、不感時間よりも長い切り替え時間がある。いくつかの実施形態においては、二相性波形の正及び負の位相は、同一ではないけれども、一方の方向(すなわち正又は負)の電圧が他方の方向の電圧よりも大きいが、正の位相の曲線の下の面積が負の位相の曲線の下の面積と等しくなるようにパルスの長さが計算される場合には、平衡である。
【0133】
[00169] いくつかの実施形態においては、不平衡は、不均等な持続時間のパルス幅を有するパルスを含む。いくつかの実施形態では、二相性波形は不平衡であり、したがって、一方の方向の電圧は他方の方向の電圧に等しいが、一方の方向(すなわち正又は負)の持続時間は他方の方向の持続時間よりも長く、その結果、波形の正の部分の曲線の下の面積は波形の負の部分の下の面積と等しくない。
【0134】
[00170]
図8は、不均等なパルス幅を有する波形の更なる例を図示する。ここでは、説明を凝縮するために、4つの異なるタイプのパケットが単一の図に示されている。第1のパケット402は、均等な電圧を有するが不均等なパルス幅を有するパルスからなり、切り替え時間及び不感時間はない。よって、第1のパケット402は4つの二相性パルスからなり、各々が、第1のパルス幅PW1を有する正のピーク408と、第2のパルス幅PW2を有する負のピーク410とを備える。ここでは、第1のパルス幅PW1は第2のパルス幅PW2より大きい。第2のパケット404は、(第1のパルス402におけるように)均等な電圧を有するが不均等なパルス幅を有するパルスからなり、不感時間に等しい切り替え時間がある。第3のパケット405は、(第1のパルス402におけるように)均等な電圧を有するが不均等なパルス幅を有するパルスからなり、不感時間よりも短い切り替え時間がある。第4のパケット407は、(第1のパルス402におけるように)均等な電圧を有するが不均等なパルス幅を有するパルスからなり、不感時間よりも長い切り替え時間がある。
【0135】
[00171]
図9は、別のエネルギ送達アルゴリズム152によって規定される例示的波形400を図示し、波形は単相性であり、波形の正の部分のみ又は負の部分のみが存在する、不平衡の特別な場合である。ここでは、第1のパケット402及び第2のパケット404という2つのパケットが示されており、パケット402,404は休止期間406によって分離されている。この実施形態では、各パケット402,404は、第1の単相性パルス430と第2の単相パルス432とからなる。第1及び第2の単相性パルス430,432は、各パルス間の不感時間412によって分離されている。この単相性波形は、同じ帯電細胞膜電位(charge cell membrane potential)がより長い持続時間にわたって維持されるので、より望ましい治療効果につながり得る。しかしながら、二相性波形と比較して、隣接する筋群が単相性波形によってより刺激されるであろう。
【0136】
[00172]
図10は、単相性パルスを有する波形の更なる例を図示する。ここでは、説明を凝縮するために、4つの異なるタイプのパケットが単一の図に示されている。第1のパケット402は、同一の電圧及びパルス幅を有するパルスからなり、切り替え時間はなく(パルスが単相性であるため)、活性時間に等しい不感時間がある。場合によっては、所与のパルスの活性時間よりも短い不感時間の期間が存在し得る。よって、第1のパケット402は3つの単相性パルス430からなり、各々が正のピークを備える。不感時間が活性時間に等しい場合、波形は、活性時間が2回で不感時間なしの繰り返し周期を表す基本周波数と不平衡であると考えられ得る。第2のパケット404は、(第1のパケット402におけるように)均等な電圧及びパルス幅を有する単相性パルス430からなり、より長い不感時間がある。第3のパケット405は、(第1のパケット402におけるように)均等な電圧及びパルス幅を有する単相性パルス430からなり、更に長い不感時間がある。第4のパケット407は、(第1のパケット402におけるように)均等な電圧及びパルス幅を有する単相性パルス430からなり、もっと長い不感時間がある。
【0137】
[00173] いくつかの実施形態においては、不平衡波形は、反対の極性の等しくない数のパルスに反転する前に、一方の極性の1つよりも多くのパルスを送達することによって達成される。
図11は、そのような位相不平衡を有する波形の更なる例を図示する。ここでは、説明を凝縮するために、4つの異なるタイプのパケットが単一の図に示されている。第1のパケット402は、均等な電圧及びパルス幅を有する4つの周期からなるが、反対の極性のパルスが単相性パルスと混在している。よって、第1の周期は、正のピーク408と負のピーク410とを含む。第2の周期は単相性であり、単一の正のパルスを備え、後続の負のパルス430はない。その後、これが繰り返される。第2のパケット404は、(第1のパケット402におけるように)混在した二相性及び単相性の周期からなるが、パルスは不均等な電圧を有する。第3のパケット405は、(第1のパケット402におけるように)混在した二相性及び単相性の周期からなるが、パルスは不均等なパルス幅を有する。第4のパケット407は、(第1のパケット402におけるように)混在した二相性及び単相性の周期からなるが、パルスは不均等な電圧及び不均等なパルス幅を有する。このように、複数の組み合わせ及び順列が可能である。
【0138】
I.波形形状
[00174]
図12は、別のエネルギ送達アルゴリズム152によって規定される例示的波形400を図示し、パルスは形状が方形ではなく正弦形である。ここでも、第1のパケット402及び第2のパケット404という2つのパケットが示されており、パケット402,404は休止期間406によって分離されている。この実施形態では、各パケット402,404は、3つの二相性パルス440,442,444からなる。そして、方形波ではなく、これらのパルス440,442,444は形状が正弦形である。正弦形状の1つの利点は、平衡又は対称であることであり、それによって、各位相は形状が等しい。平衡をとることは、望ましくない筋肉刺激を低減することを補助し得る。他の実施形態においては、パルスは減衰形状の波形を有することが理解されよう。
【0139】
[00175] エネルギ送達は、カテーテル102上のボタン164又はジェネレータ104に動作可能に接続されたフットスイッチ168の使用を伴うなど、種々の機構によって作動され得る。そのような作動は、典型的には、単一のエネルギドーズを提供する。エネルギドーズは、送達されるパケットの数及びパケットの電圧によって定義される。組織に送達される各エネルギドーズは、組織における又は組織内の温度を熱アブレーションの閾値未満に維持する。加えて、ドーズは、治療手技中の熱蓄積を更に低減又は排除するように、経時的に滴定又は加減されてもよい。療法にとって危険な部位におけるタンパク質凝固として定義される熱損傷を誘発する代わりに、エネルギドーズは、敏感な組織を損傷することなく状態を誘発し治療するレベルでエネルギを提供する。
【0140】
治療カテーテルの設計
[00176] 本明細書に説明されるシステム及びデバイスは、種々のタイプ及びスタイルの治療カテーテル102と共に使用され得る。いくつかの実施形態においては、治療カテーテル102は局所療法を送達するように設計され、他の実施形態においては、治療カテーテル102は「ワンショット」療法を送達するように設計される。局所療法は、先に
図4に示されたような円形の治療ゾーンを作成するように肺静脈の周りなどに、又は線、曲線等に沿って、ポイントバイポイント方式でエネルギを繰り返し印加するなどの、エネルギが順次送達される療法であると考えられる。ワンショット療法は、エネルギが、エネルギ送達体又は1つもしくは複数の送達電極を介して、肺静脈への入口の全周に「ワンショット」で送達される療法であると考えられるが、そのような送達は、所望されるのであれば、繰り返されてもよい。これは、所望されるのであれば、「ショット」間のエネルギ送達体又は電極122の回転を任意選択的に含み得る。
【0141】
局所療法
[00177] 前述したように、局所療法は、
図2Aから
図2Bに図示するような遠位面を備えた円筒形状を有する送達電極122を使用して実施されることが多い。ここでは、遠位面は平坦且つ円形である。いくつかの実施形態においては、送達電極122の遠位面は、2~3mmの直径を有する。そのような実施形態では、治療カテーテル102が組織に対して垂直に位置決めされるとき、遠位面は、2~3mmの直径を有する組織の一部をカバーすることができる。もっとも、組織のより大きな部分が、本明細書に説明される代替的なデバイス設計によってカバーされてもよい。そのようなより大きいカバー範囲は、単一の適用でより大きい病変寸法を提供し得る。
【0142】
[00178]
図13Aから
図13Cは、従来のRFカテーテルに典型的に見られる円筒形状の送達電極よりも広い面積の組織を任意選択的にカバーする、局所送達用に構成された治療カテーテル502の一実施形態を図示する。ここでは、カテーテル502は、遠位端524の近くにエネルギ送達体を有する細長いシャフト520を備え、エネルギ送達体は、少なくとも1つの送達電極522を備える。特に、この実施形態では、カテーテル502は複数の電極を含み、これらは連続形状(すなわち連続外縁)、したがって任意選択的には連続性病変を形成するように配置されている。連続性病変は、複数の電極を同時に又は非同時に通電することによって形成することができるが、いくつかの実施形態においては、所望されるのであれば、連続形状よりも小さい病変を作成するように、複数の電極のサブセット(1つだけを含む)が通電され得ることが理解されよう。そのような場合、最初の位置に連続性病変を作成することが所望されないのであれば、回転又は再位置決めによるなど、カテーテル502の操作によって、連続性病変が最終的に作成され得ることも理解されよう。
【0143】
[00179]
図13Aはカテーテル502の側面図を提供し、少なくとも1つの送達電極522は、4つのループ形状電極、すなわち第1の電極530、第2の電極532、第3の電極534、及び第4の電極536を備える。複数の電極530,532,534,536の各々は、シャフト520の近くのより狭い形状とシャフト520から遠ざかるように延在するより大きくより広い形状とを有する花弁又はループ形状に形成又は成形されたワイヤ508からなる。よって、電極530,532,534,536は、
図13Bの斜視図に示されるように、咲いた花の形状でシャフト520から扇形に広がるか又は外向きに延在する。この実施形態では、ループ形状の各々の側部540は、互いに隣接して配設されると共に互いに接合される。よって、第1の電極530は、一方の側部では隣接する第2の電極532に接合され、反対の側部では隣接する第4の電極536に接合される。これは、全体的な設計に安定性を提供し、送達及び使用を通して電極530,532,534,536の相対位置を維持する。いくつかの実施形態においては、側部540は、側部540を絶縁する材料で接合され、それによってそこを通るエネルギの伝導を防止する。これは、組織に接触するように構成されたループ形状の各々の遠位縁542を通して、エネルギ送達を集中させる。
【0144】
[00180]
図13Cは、表面に押し付けられた電極530,532,534,536の上から見下ろした図を提供する。図示するように、各ループ形状の遠位縁542は、表面に接触してリング又は円形形状を共に形成し、側部540は「車輪」に対する「スポーク」のように見える。遠位縁542が組織に押し付けられると、エネルギがそこを通って送達される。典型的には、結果として生じる病変は、ワイヤ508の幅よりも大きい。したがって、ループ形状間の小さなギャップは病変を縮小させない。なぜなら、結果として生じる病変が小さなギャップの影響を圧倒するからである。いくつかの実施形態においては、ワイヤ508は0.0075インチの直径を有し、結果として生じる病変は12mmの幅を有する(すなわち、ワイヤの幅にわたって測定される)。よって、いくつかの実施形態においては、病変は、リング形状、円形形状、又はドーナツ形状を有する。いくつかの実施形態においては、病変はリング形状の中心を通してつながるのに十分なほど大きく、したがって病変は中実の円であるように見えることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、カテーテル502は、
図13Aから
図13Cに図示されるように、追加の中心電極548を含む。中心電極548は、シャフト520の中心軸又は長手軸から遠位方向に延在する。いくつかの実施形態においては、中心電極548は、
図13Aから
図13Bに図示されるように、弛緩位置にあるときには遠位縁542の平面まで長手方向に延在しない。そのような実施形態においては、中心電極548は、遠位縁542が組織の表面に押し付けられて、
図13Cにおけるように組織に対して平坦化するようにループが広がると、組織の表面に接触する。この位置における中心電極548を通したエネルギの送達は中心病変を作成し、これは、ループ形状電極530,532,534,536の設置面積内に連続性病変を作成することを補助する。
【0145】
[00181]
図14Aから
図14Dは、
図13Aから
図13Cのカテーテル502の実施形態の送達を図示する。ワイヤ508は、ニチノール又は引抜充填管(例えば10%白金/ニチノール)などのような種々の材料からなり得ることが理解されよう。この実施形態では、ワイヤ508は、
図14Aに図示するように、送達シース550内で折り畳まれるように可撓性である。これは、カテーテル502の遠位端が標的組織部位まで首尾よく前進されることを可能にする。典型的には、送達シース550は、2.5mm~3.5mmの範囲の内径を有する。電極530,532,534,536の漸進的な露出は、送達シース550内でカテーテル502を前進させることによって達成することができ、又は送達シース550がカテーテル502の遠位端をあらわにするように後退されてもよい。
図14Bは、送達シース550から現れるカテーテル502の遠位端を図示し、ループ形状電極530,532,534,536は外向きに広がり始めている。
図14Cは、送達シース550から更に現れてきたカテーテル502を図示し、ループ形状電極530,532,534,536は、カテーテル502及び送達シース550の両方の長手軸552から更に半径方向外側に伸張している。
図14Dは、ループ形状電極530,532,534,536の完全露出を図示しており、ループ形状電極530,532,534,536は、それらの最大限に弛緩した拡張状態に跳ね返ることができる。ループ形状電極530,532,534,536を表面に押し付けることにより、ループ形状電極530,532,534,536を更に拡張して、更に大きな設置面積を作成し得ることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、最大直径は9~15mmであり、これは、電場効果によって、類似の又はより大きい直径を伴う病変を作成し得る。
【0146】
[00182] いくつかの実施形態においては、
図13Aから
図13Cの治療カテーテル502の設置面積によって作成される全体的な病変寸法は、
図2Aから
図2Bの中実先端治療カテーテル102の設置面積によって作成される病変寸法より大きい。
図15は、組織と接触している、互いに隣接するそれぞれのエンドエフェクタの視覚的図解を提供する。ここでは、中実先端治療カテーテル102は、直径が3mmの円形面を有する送達電極122を有する。治療カテーテル502は、4つのループ形状電極を備える送達電極522を有し、電極530,532,534,536は併せて直径が9~10mmの円形面を形成する。このより大きな設置面積は、より小さな設置面積の寸法の少なくとも3倍である。場合によっては、より大きな設置面積は、より小さな設置面積の寸法の最大で6倍である。よって、送達電極間、したがって設置面積間の寸法の差は、典型的には、3~6倍の範囲内である。中実先端治療カテーテル102の送達電極122は、典型的にはそのシャフトと同じ直径を有するので、拡張構成における送達電極522の寸法は、治療カテーテル502のシャフトに対して、中実先端治療カテーテル102に対するのと同じ関係を有する(すなわち、拡張構成における送達電極は、治療カテーテル502のシャフトの直径の3~6倍である)。このより大きな直径の設置面積は、いくつかの利点を提供することができる。場合によっては、より大きな設置面積は、ユーザがより少ない病変によって完全な治療プロトコルを実施することを可能にする。例えば、
図4に図示されるように、中実先端治療カテーテル102を使用して肺静脈を囲むとき、ユーザは、全円病変を完成させるために、35の病変を作成し得る。しかしながら、
図13Aから
図13Cの治療カテーテル502を用いてこの同じ手技を実施すると、ユーザは、12の病変で全円病変を作成することができる。治療カテーテル502は種々の異なる直径の設置面積を有するように構成されてもよく、そのような直径は完全な円を作成するために所望される病変の数に比例的に対応することが理解されよう。そのような論理は、線状病変など他の形状の病変及び他のタイプの治療に従う。多くの場合、病変が大きいほど、治療を実施するために利用される病変の数は少なくなる。これは、典型的には、治療時間を短縮し、より短い手技につながる。ループ形状電極設計の別の利点は、設置面積の中心内に健康な組織を維持しながら、より大きな設置面積を作成する能力である。よって、健康な組織を取り囲んでリング形状の病変が作成されるときには、病変が中実ディスク形状であった場合よりも、健康な心臓組織の多くが維持される。隣接するリング形状の病変は、より高い割合の健康な組織を維持しながら、中実ディスク形状の病変と同等に効果的に心臓組織を通る導電を遮断することができる。いくつかの実施形態においては、リング形状は、25%多くの健康な組織を維持する。
【0147】
[00183] いくつかの実施形態においては、全体の直径又は設置面積寸法は、送達シース550からのループ形状電極530,532,534,536の展開を調節することによって制御され得ることが理解されよう。例えば、より小さな直径は、
図14Bから
図14Cにおけるように、ループ形状電極530,532,534,536をシース550から部分的に前進させることのみによって達成され得る。同様に、より大きな直径は、ループ形状電極530,532,534,536をシース550から完全に前進させることによって達成され得る。加えて、種々の必要性に適合するように、異なる最大直径のエネルギ送達電極522を有する種々のカテーテル502が設計されてもよい。
【0148】
[00184] 全体の直径又は設置面積寸法は、送達電極522がワンショット療法を提供することができるように構成され得ることも理解されよう。ここでも、ワンショット療法は、エネルギが、送達電極522を介して、肺静脈への入口の周囲などの治療領域全体に「ワンショット」で送達される療法であると考えられるが、そのような送達は、所望されるのであれば、繰り返されてもよい。これは、所望されるのであれば、「ショット」間の電極122の回転を任意選択的に含み得る。そのような実施形態では、全体の直径は22~33mmの範囲内であってもよい。
【0149】
[00185] 治療カテーテル502のエネルギ送達体又はエネルギ送達電極522は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上を含む、任意の適当な数のループ形状電極を有し得ることが理解されよう。同様に、電極は、共に又は独立して通電可能であり得る。電極が独立して通電されるとき、電極は、シーケンシャルに、又は種々のパターンで通電されてもよい。同様に、いくつかの実施形態においては、複数の電極のサブセット(1つだけを含む)が通電されてもよい。これは、所望の病変を作成するための多種多様な選択肢を提供する。
【0150】
[00186]
図16は、従来のRFカテーテルに典型的に見られる円筒形状の送達電極よりも広い面積の組織を任意選択的にカバーする、局所送達用、又はワンショット療法用に構成された治療カテーテル602の別の一実施形態を図示する。この実施形態は、カテーテル602が、連続形状(すなわち連続外縁)、したがって任意選択的には連続性病変を形成するように配置された、複数のループ形状電極を含むという点で、
図13Aから
図13Cの実施形態に類似している。この実施形態では、送達電極622は、(4つではなく)6つのループ形状電極、すなわち第1の電極630、第2の電極632、第3の電極634、第4の電極636、第5の電極638、及び第6の電極640を備える。しかしながら、最大で10~12個の電極など、任意の数の電極が利用され得ることが理解されよう。ここでも、連続性病変は、複数の電極を同時に又は非同時に通電することによって形成することができるが、いくつかの実施形態においては、所望されるのであれば、連続形状よりも小さい病変を作成するように、複数の電極のサブセット(1つだけを含む)が通電され得ることが理解されよう。そのような場合、最初の位置に連続性病変を作成することが所望されないのであれば、回転又は再位置決めによるなど、カテーテル602の操作によって、連続性病変が最終的に作成され得ることも理解されよう。
【0151】
[00187]
図16に示すように、複数の電極630,632,634,636,638,640の各々は、作動時には咲いた花の形状でシャフト620から扇形に広がる又は外向きに延在する。この実施形態では、ループ形状の各々の側部642は、互いに隣接して配設されると共に互いに接合される。よって、第1の電極630は、一方の側部では隣接する第2の電極632に接合され、反対の側部では隣接する第6の電極640に接合される。
【0152】
[00188] エネルギ送達体又は送達電極622の全体の直径は、局所療法用、ワンショット療法用、又はその両方用に構成され得ることが理解されよう。
図16はワンショット療法用に寸法決めされた一実施形態を図示しており、全体の直径又は設置面積寸法は、定規測定によって示されるように、30mmである。ワンショット療法に関しては、そのような直径は、典型的には22~33mmの範囲内であることが理解されよう。同様に、
図17は、肺静脈PVへの入口のラボベンチトップモデルに対して位置決めされた
図16の実施形態を図示する。図示するように、電極630,632,634,636,638,640の外縁は併せて、ワンショット療法を提供するように、肺静脈へのモデル入口の周囲に延在する。寸法は、漸進的展開(
図14Aから
図14Dに類似)によって、又は9~15mmの範囲内など、より小さい全体の直径を有する送達電極622の生成によって、局所送達用に調節され得ることが理解されよう。局所療法及びワンショット療法のための併用が、本明細書において説明される。
【0153】
[00189]
図18Aから
図18Bは、電極630,632,634,636,638,640が送達シース650の長手軸に略垂直に延在するように送達シース650から展開された送達電極622を図示する。この構成では、電極630,632,634,636,638,640の外部縁は、それらの最大の直径又は設置面積寸法に達するように拡張している。
図18Bは、組織平面を表すなどの平坦な表面に対して位置決めされた送達電極622を示し、これは、電極630,632,634,636,638,640が表面に対して略平坦に置けることを図示している。
【0154】
[00190] シース650からの電極630,632,634,636,638,640の更なる延在は、花弁形状の電極630,632,634,636,638,640が下向きに湾曲することを可能にし、それによって、
図19に図示されるように、電極630,632,634,636,638,640の外部縁はシース650の遠位先端の近位に配設される。これは、側部640の予め形成された湾曲によって達成され、この湾曲は、更なる解放時に、それらの予め形成された形状に向かって跳ね返ることが可能である。予め湾曲させることは、側部640に遠位方向に弧を描かせ、次いで近位方向に屈曲させるので、送達電極622の全体形状は、傘又はキノコの笠に似る。この構成では、送達電極622は、肺静脈PV内など、内腔内の表面にエネルギを送達するように優先的に配置される。ここで、肺静脈PVの入口に対する送達電極622の位置決めは、電極630,632,634,636,638,640の外部縁が肺静脈PVの周囲に沿って存在する一方で、側部642は肺静脈PVの内側内腔に沿って肺静脈PV内に延在することを可能にする。いくつかの実施形態においては、側部642は絶縁され、その結果、そのような位置決めが安定性を提供する一方で、エネルギは電極630,632,634,636,638,640の外縁を介して送達される。他の実施形態においては、側部面642は絶縁されず、その結果、そのような位置決めは、側部642を介した肺静脈PVの内側内腔の部分へのエネルギの送達を可能にする。これは、より大きい又はより複雑な病変を作成することを補助し得る。
【0155】
[00191] 電極630,632,634,636,638,640の更なる展開はこの形状を誇張し、
図20に図示されるように、側部640は更にもっと屈曲する又は弧を描くことが可能である。この構成では、送達電極622は、側部642を表面に対して位置決めすることによって、組織の表面に局所エネルギを送達するように優先的に配置される。そのような配置では、送達電極622は、電極630,632,634,636,638,640の外縁が組織と接触せず、エネルギが側部642を介して組織に送達されるように使用され得る。側部642の丸い湾曲により、送達電極622は、ボール形状を有するように、組織に沿って「転がされる」ことができ、湾曲した表面は、カテーテル602の(シース650内の)シャフト620を傾けることによって組織に係合することができる。これは、無制限の係合位置及びエネルギ送達における高い柔軟性を提供する。よって、この実施形態は、ワンショット療法又は局所療法のいずれかを提供するように構成間で移行することができ、したがって、併用に特に適している。
【0156】
[00192]
図16から
図20の実施形態は、電極630,632,634,636,638,640の外部縁を介して、ペダル形状の側部642を通して、又はその両方を通して、同時に、二者択一的に、又は任意の組み合わせで、任意選択的に送達できることが理解されよう。よって、リング又はドーナツ形状の病変が作成され得るか、又は中実円形形状の病変が作成され得、各々は種々の寸法である。
【0157】
[00193]
図21は、ワンショット送達又は組み合わせ送達ではなく局所送達用に構成された治療カテーテル702の一実施形態を図示する。ここでは、形成される病変は、中実円形形状を有し、したがって主にポイントバイポイント方式などで組織表面を治療するのに適している。これは、その送達電極722の形状及び構成に起因する。
図22は、エネルギ送達体又は送達電極722がシャフト720から延在する複数のこて形状の電極730,732,734,736を備える、治療カテーテル702の一実施形態を図示する。各こて形状電極は略三角形の形状を有し、三角形の形状の先端738が、形成される病変の中心付近に存在し、三角形の形状の辺740が、形成される病変の中心から半径方向外側に延在し、三角形の形状の底辺742が、形成される病変の外周に沿って延在する。この実施形態では、先端738は自由端であり、底辺742は支持部744によってカテーテル702に取り付けられている。よって、こて形状電極730,732,734,736の先端738は、送達電極722が当接して設置される組織の表面の構造的なばらつきに対応するように、遠位方向及び近位方向に曲がることができる。こて形状電極730,732,734,736の先端738及び辺740はまた、ドーナツ形状の病変ではなく連続性病変を生成するのにも役立つ。
【0158】
[00194]
図23は、
図21から
図22のものに類似の治療カテーテル702の一実施形態の側面図を図示する。ここでは、2つのこて形状電極730,732のみが視認できる。図示するように、こて形状電極730,732は、シャフト720に垂直な平面に沿って整列する。平面は、支持部744の長さによって決定されるシャフト720の遠位端から遠位方向に離間している。いくつかの実施形態においては、シャフト720の遠位端から延在するような灌注内腔760によって、灌注が提供される。これは、病変形成の領域における灌注流体の送達を可能にする。
【0159】
[00195] 任意の適当な数、典型的には3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上のこて形状電極が存在してもよいことが理解されよう。また、こて形状電極は、独立して活性化されてもよく、共に活性化されてもよく、あるいは任意の組み合わせで、例えば対で、グループで、又は個々の電極もしくはグループ化された電極のシーケンシャルパターンで活性化されてもよいことも理解されよう。
【0160】
[00196] また、こて形状電極の任意の部分は、ある特定の領域を通してエネルギ送達を集束させるために絶縁され得ることも理解されよう。この実施形態では、こて形状電極の三角形形状の部分を通してエネルギを導くように、支持部744が絶縁されている。接触フィードバック又は電気解剖学的マッピングシステムのためのマイクロセンサなど、種々のセンサがこて形状電極に沿って位置決めされ得ることも理解されよう。この実施形態では、そのようなセンサは底辺744に沿って配置されるが、センサは任意の好適な部分に沿って位置決めされてもよい。
【0161】
[00197]
図24は、治療カテーテル802の別の一実施形態を図示する。ここでは、送達電極822は、シャフト820から延在する複数のこて形状電極830,832,834,836を備える。ここでも、各こて形状電極は略三角形の形状を有し、三角形の形状の先端838は形成される病変の中心付近に存在し、三角形の形状の辺840は形成される病変の中心から半径方向外側に延在し、三角形の形状の底辺842は形成される病変の外周に沿って延在する。しかしながら、この実施形態では、底辺842が自由端であり、先端838が支持部844によってカテーテル802に取り付けられている。いくつかの実施形態においては、支持部844は、シャフト820から半径方向外側に付勢するように予め湾曲している。典型的には、支持部844は、支持部844がシャフト820に向かって屈曲し、その後、解放時に、予め湾曲された構成に跳ね返ることを可能にするように、可撓性及び弾力性を提供する材料からなる。これは、例えば異なる寸法の病変を作成するように、こて形状電極830,832,834,836を移動させる能力を提供する。この実施形態では、支持部844は、シャフト820に沿った長手方向溝852内など、シャフト820の少なくとも一部分に沿って延在する。同様に、この実施形態において、シース850は、シャフト820及び溝852の上を前進可能であり、支持部844を溝852内に保持する。シース850を後退させると、支持部844は予め湾曲された構成に向かって跳ね返ることができ、図示するように、こて形状電極830,832,834,836を半径方向外側に移動させる。移動量はシース850の後退量によって決定され得ることが理解されよう。最大の後退は、最大寸法の病変を作成するように、こて形状電極830,832,834,836の最大拡張を可能にする。こて形状電極830,832,834,836を望ましく位置決めするようにシース850を徐々に前進させることによって、より小さな病変が作成され得る。
【0162】
[00198] 任意の適当な数、典型的には3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上のこて形状電極が存在してもよいことが理解されよう。また、こて形状電極は、独立して活性化されてもよく、共に活性化されてもよく、あるいは任意の組み合わせで、例えば対で、グループで、又は個々の電極もしくはグループ化された電極のシーケンシャルパターンで活性化されてもよいことも理解されよう。
【0163】
[00199] また、こて形状電極の任意の部分は、ある特定の領域を通してエネルギ送達を集束させるために絶縁され得ることも理解されよう。この実施形態では、こて形状電極の三角形形状の部分を通してエネルギを導くように、支持部844が絶縁されている。接触フィードバック又は電気解剖学的マッピングシステムのためのマイクロセンサなど、種々のセンサがこて形状電極に沿って位置決めされ得ることも理解されよう。この実施形態では、そのようなセンサは底辺844に沿って配置されるが、センサは任意の好適な部分に沿って位置決めされてもよい。
【0164】
[00200]
図25は、治療カテーテル902の別の一実施形態を図示する。ここでは、送達電極922は、シャフト920の近くのより狭い形状とシャフト920から遠ざかるように延在するより大きくより広い形状とを有する単一の花弁、パドル、又はループ形状の電極930を備える。この実施形態では、電極930は、シャフト920の長手軸910と整列された平面内に存在する。しかしながら、この実施形態では電極930は可撓性材料からなり、これは、電極930が、長手軸910に垂直を含め長手軸910に対して種々の平面に屈曲することを可能にする。電極930の屈曲は、電極930が種々の組織表面に対して種々の異なるアプローチから位置決めされることを可能にする。例えば、電極930は、略垂直なアプローチから標的組織に接近することに限定されず、平行なアプローチから標的組織に接近することができる。よって、カテーテル902は、電極930が標的組織に隣接して位置決めされるまで、組織に平行な平面内で組織に沿って前進され得る。次いで、シャフト920は、電極930が組織に係合するように、組織から遠ざかるように角度を付けられ得る。その後、シャフト920は、標的組織との電極930の係合及び/又は接触力を増大させるために、組織から遠ざかるように更に角度を付けられ得る。これは、肺静脈などの内腔内の組織に接近するときに特に有用であり得る。
【0165】
[00201] この実施形態では、カテーテル902は検知ループ950を更に備え、これは、
図25に図示されるように、単一の花弁、パドル、又はループ形状の電極930と形状が類似しているが、電極930のループ形状の内側に存在するように、より小さい。この実施形態では、検知ループ950は、電極930と同様の可撓性を有するので、電極930と対称に作用することができる。よって、この実施形態では、検知ループ950と電極930とは、実質的に同一平面内に留まることを確実にするように、接合具952によって接続されている。検知ループ950は、接触フィードバック又は電気解剖学的マッピングシステムのためのマイクロセンサのような1つ以上のセンサ954からなる。
【0166】
[00202]
図26Aから
図26Bは、パドル形状の送達電極1022を有する治療カテーテル1002の別の一実施形態を図示する。ここでは、送達電極1022は、シャフト1020の近くのより狭い形状とシャフト1020から遠位のより広いハンマーヘッド形状とを有する単一のハンマーヘッドパドル形状の電極1030を備える。加えて、電極1030は、ハンマーヘッド形状全体の内部の複数のクロスビーム1024を含み、これらはハンマーヘッドパドル形状のための支持を提供すると共に、より充実性の病変を作成するようにエネルギを通して送達するための付加的領域を提供する。この実施形態でもやはり、電極1030は、シャフト1020の長手軸1010と整列された平面内に存在する。そして、電極1030は可撓性材料からなり、これは、電極1030が、長手軸1010に垂直を含め長手軸1010に対して種々の平面に屈曲することを可能にする。この実施形態では、そのような屈曲は、シャフト1020を少なくとも部分的に通って延在し電極1030の一部と接続されたプルワイヤ1050の使用によって達成される。プルワイヤ1050を引っ張ると、
図26Bに示すように、電極1030が、長手軸1010に対してある角度をなす平面に屈曲する。よって、電極1030は、標的組織と接触する前に望ましく配置されることができる。これは、位置決めを、エネルギの送達の際に印加される接触力と分離する。
【0167】
[00203]
図27から
図30は、治療カテーテル1112の別の一実施形態を図示する。この実施形態は、主にポイントバイポイント方式などでの組織表面へのエネルギの局所送達用に構成されている。これは、その送達電極1122の形状及び構成に起因する。
図27は治療カテーテル1112の一実施形態を図示し、送達電極1122は、シャフト1120に対して垂直な円形又は楕円形の形状を併せて形成する、2つの半円形ループ電極1130,1132を備える。電極1130,1132は支持部1144によってシャフト1120に接続されており、支持部は、典型的には、エネルギを半円形電極1130,1132に向けるように絶縁されている。この実施形態では、送達電極1122は更に、2つの半円形内側ループ1134,1136の追加のセットを含み、これらは、2つの半円形ループ電極1130,1132よりも小さい直径を有する円形又は楕円形の形状を併せて形成する。よって、2つの半円形内側ループ1134,1136は2つの半円形ループ電極1130,1132の「内側」に存在し、そのいずれもがシャフト1120に略垂直な平面上に存在する。この実施形態では、2つの半円形ループ電極1130,1132及び2つの半円形内側ループ1134,1136は、カップ状又は凹状の全体形状を有する。
図28は、
図27の実施形態の側面図を提供し、カップ状の形状を図示している。同様に、
図29は別の側面図を提供し、内側ループ1134,1136とループ電極1130,1132の互いに対する位置を図示している。このように、内側ループ1134,1136及びループ電極1130,1132は遠位方向に弧を描き、したがって、カテーテル1112を標的組織の場所に向かって前進させることは、ループ電極1130,1132が最初に組織に接触し、それに内側ループ1134,1136が続くことを可能にする。これは、ループ電極1130,1132の組織との接触を確実にする。加えて、いくつかの実施形態においては、内側ループ1134,1136は追加の安定性を提供する。例えば、いくつかの実施形態においては、ループ電極1130,1132は、ループ電極1130,1132が近位方向に屈曲することを可能にする可撓性材料からなり、それによって、より凹状でない形状(例えば、より浅いカップ形状、より平坦な形状、又はより凸状の形状)を形成して標的組織領域に適合する。いくつかの実施形態においては、内側ループ1134,1136は、設置の際にアンカーとして作用するようにループ電極1130,1132よりも硬い材料からなり、ユーザにより大きな信頼を提供する。加えて、より硬い材料は、ループ電極1130,1132よりも大きく屈曲することに抵抗し、内側ループ電極1130,1132の屈曲を制限する。場合によっては、これは組織の穿孔を回避するのに有益である。
【0168】
[00204]
図30は、
図27から
図29の実施形態の送達電極1122の端面図を図示する。図示するように、ループ電極1130,1132は、支持部1144に沿って絶縁され、円形の全体形状の外縁に沿って露出されている。この実施形態では、内側ループ1134,1136は、円形の全体形状の縁に沿って離間した複数のマイクロセンサ1160を含む。いくつかの実施形態においては、マイクロセンサ1160は、接触フィードバック、蛍光透視法下での可視化、又は電気解剖学的マッピングシステム用の検知のために構成される。他の実施形態においては、マイクロセンサ1160は、病変の形成時にエネルギを送達するように、電極として機能する。いくつかの実施形態においては、マイクロセンサ1160の機能性は、ループ電極1130,1132を通したエネルギの送達時にエネルギを送達すること、及びエネルギ送達の期間の間に検知することなど、種々の選択肢の間で交互に切り替わることが理解されよう。また、いくつかの実施形態においては、内側ループ1134,1136は、ループ電極1130,1132と同様にエネルギ送達を提供するように、連続導電ワイヤからなることも理解されよう。
【0169】
[00205] 任意の適当な数、典型的には1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上のループ電極1130,1132が存在してもよいことが理解されよう。また、ループ電極1130,1132は、独立して活性化されてもよく、共に活性化されてもよく、あるいは任意の組み合わせで、例えば対で、グループで、又は個々の電極もしくはグループ化された電極のシーケンシャルパターンで活性化されてもよいことも理解されよう。同様に、任意の適当な数、典型的には1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の内側ループ1134,1136が存在してもよい。さらに、任意の適当な数、典型的には1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のマイクロセンサ1160が存在してもよい。内側ループ1134,1136及び/又はマイクロセンサ1160は、独立して活性化されてもよく、共に活性化されてもよく、あるいは任意の組み合わせで、例えば対で、グループで、又は個体もしくはグループのシーケンシャルパターンで活性化されてもよいことが理解されよう。場合によっては、内側ループ1134,1136を介したエネルギ送達は、ドーナツ形状の病変ではなく充実性病変を生成することを補助する。また、ループ電極1130,1132及び内側ループ1134,1136は、独立して活性化されてもよく、共に活性化されてもよく、あるいは任意の組み合わせで、例えば対で、グループで、又は個々の電極もしくはグループ化された電極のシーケンシャルパターンで活性化されてもよいことが理解されよう。ループ電極1130,1132はマイクロ電極を含んでいてもよく、エネルギは導電ワイヤを介してではなくマイクロ電極を通して送達されることも理解されよう。
【0170】
[00206] 前述したように、送達電極1122は、典型的には、局所エネルギを送達するように構成された寸法である。そのような実施形態では、ループ電極1130,1132は、8~14mmの範囲内の直径を有する円形形状を形成する。他の実施形態では、送達電極1122は、ワンショット送達を提供するように構成される。そのような実施形態では、ループ電極1130,1132は、22~33mmの範囲内の直径を有する円形形状を形成する。
【0171】
[00207]
図31Aから
図31Dは、局所送達ではなくワンショット送達用に構成された治療カテーテル1202の一実施形態を図示する。ここでは、治療カテーテル1202は、送達電極1222の設置時に肺静脈などの内腔内に延在するシャフト1220を含む。この配置を前提として、送達電極1222は、「ワンショット」のエネルギ送達で、内腔の円周方向周りで内部に、外部に、又はその両方に、エネルギを提供するように構成される。これは所望により繰り返され得ることが理解されよう。
【0172】
[00208] この実施形態では、エネルギ送達体又は送達電極1222は、少なくとも折り畳まれた構成と、拡張された構成と、部分的に反転された構成と、の間で移動するように構成されたメッシュバスケットを備える。
図31Aは、シャフト1220の周りに折り畳まれた送達電極1222を図示し、送達電極はシャフト上に、シース1250内に収容されることができるように取り付けられている。
図31Bは、拡張された構成の送達電極1222を図示している。これは、シース1250を後退させること又はシャフト1220を前進させることによって達成され得る。いくつかの実施形態においては、送達電極1222は、シース1250から解放されると自己拡張する。他の実施形態においては、メッシュバスケットは、シャフト1220に対して移動可能な追加のシャフトと連結され、追加のシャフトの前進がメッシュバスケットを拡張させる。
【0173】
[00209] いくつかの実施形態においては、メッシュバスケットは一斉に通電可能な複数のワイヤからなり、例えば単極方式でのエネルギ送達を提供する。メッシュバスケットの一部は絶縁され得、それによってメッシュバスケットのうち特定の絶縁されていない部分を通してエネルギ送達が集束されることが理解されよう。これはまた、周囲の血液環境へのエネルギの損失を低減することも補助し得る。他の実施形態においては、複数のワイヤは、独立して通電可能であるか、又はグループで通電可能である。これはまた、単極方式でのエネルギ送達を提供するために使用されてもよく、又は双極方式でエネルギを送達するために使用されてもよい。
【0174】
[00210] エネルギ送達電極1222は、この構成においては、エネルギを送達するために利用され得る。例えば、送達電極1222は、内腔の内面に円周方向にエネルギを送達するように内腔内に位置決めされ得る。あるいは、送達電極1222は、メッシュバスケットの遠位面が内腔の開口の周囲にエネルギを送達するように、内腔の開口に対して位置決めされてもよい。いずれの場合も、送達電極1222の直径は、メッシュバスケットの拡張を制御することによって、特定の患者の肺静脈などの解剖学的構造に望ましく適合するように選択又は調節され得る。加えて、メッシュバスケットの可撓性は、送達電極1222が、ある範囲の円形及び非円形の内腔又は解剖学的構造の部分に適合することを可能にする。
【0175】
[00211]
図31Cから
図31Dは、送達電極1222を部分的に反転した構成に移動させるための送達電極1222の更なる操作を示す。いくつかの実施形態においては、これは追加のシャフトを更に(すなわち、メッシュバスケットの拡張を超えて)前進させることによって達成され、それによってメッシュバスケットは
図31Cに図示されるように座屈し始める。
図31Dに図示されるように、更に前進させると、メッシュバスケットが部分的に反転され、それによって、メッシュバスケットの遠位面は漏斗形状を維持する一方で、メッシュバスケットの近位面は反転される。このような反転は、遠位面のための支持を提供し、特に組織に対する設置及びエネルギの送達の際に、漏斗形状を維持するのを補助する。
【0176】
[00212]
図32Aから
図32Cは、
図31Aから
図31Dのものに類似の治療カテーテル1302の一実施形態を図示する。治療カテーテル1302は、ここでも、局所送達ではなくワンショット送達用に構成されている。そして、この実施形態では、送達電極1322は、
図31Aから
図31Dのメッシュバスケットにいくらか類似したワイヤバスケットを備える。ワイヤバスケットは、血液に曝される表面積がより小さく、したがって、より効率的なエネルギ送達を有する。いくつかの実施形態においては、ワイヤバスケットは一斉に通電可能な複数のワイヤからなり、例えば単極方式でのエネルギ送達を提供する。ワイヤバスケットの一部は絶縁され得、それによってワイヤバスケットのうち特定の絶縁されていない部分を通してエネルギ送達が集束されることが理解されよう。これはまた、周囲の血液環境へのエネルギの損失を低減することも補助し得る。他の実施形態においては、複数のワイヤは、独立して通電可能であるか、又はグループで通電可能である。これはまた、単極方式でのエネルギ送達を提供するために使用されてもよく、又は双極方式でエネルギを送達するために使用されてもよい。
【0177】
[00213] 治療カテーテル1302は、少なくとも折り畳まれた構成と、拡張された構成と、部分的に反転された構成との間で移動するように構成されている。
図32Aは、部分的に反転された構成の送達電極1322を図示している。
図32Bは、ワイヤバスケットの遠位面が内腔の開口の周囲にエネルギを送達するように、内腔の開口に対して位置決めされた送達電極1322を図示している。
図32Cは、送達電極1322の遠位面が少なくとも部分的に内腔内に位置決めされるように内腔内へ前進された送達電極1322を図示している。
【0178】
[00214] ここでも、送達電極1322の直径は、ワイヤバスケットの拡張を制御することによって、特定の患者の肺静脈などの解剖学的構造に望ましく適合するように選択又は調節され得る。加えて、メッシュバスケットの可撓性は、送達電極1322が、ある範囲の円形及び非円形の内腔又は解剖学的構造の部分に適合することを可能にする。
【0179】
[00215]
図33Aから
図33Dは、
図31Aから
図31D及び
図32Aから
図32Cのものに類似の治療カテーテル1402の一実施形態を図示する。治療カテーテル1402は、ここでも、局所送達ではなくワンショット送達用に構成されている。そして、この実施形態では、送達電極1422は、
図31Aから
図31Dのメッシュバスケット及び
図32Aから
図32Cのワイヤバスケットにいくらか類似したワイヤバスケットを備える。ここでは、ワイヤバスケットは、血液に曝される表面積が更に小さく、したがって、より効率的なエネルギ送達を提供する。これは、織られたワイヤではなく、ワイヤバスケットの遠位面及び近位面上の脚部又は共通の支持部1430の存在によって達成される。これらの部分は典型的には内腔と整列するので、接触面積が必要とされず、エネルギがワイヤバスケットの織られた部分に集束され得る。
【0180】
[00216] いくつかの実施形態においては、ワイヤバスケットは一斉に通電可能な複数のワイヤからなり、例えば単極方式でのエネルギ送達を提供する。ワイヤバスケットの一部は絶縁され得、それによってワイヤバスケットのうち特定の絶縁されていない部分を通してエネルギ送達が集束されることが理解されよう。これはまた、周囲の血液環境へのエネルギの損失を低減することも補助し得る。他の実施形態においては、複数のワイヤは、独立して通電可能であるか、又はグループで通電可能である。これはまた、単極方式でのエネルギ送達を提供するために使用されてもよく、又は双極方式でエネルギを送達するために使用されてもよい。
【0181】
[00217] 治療カテーテル1402は、少なくとも折り畳まれた構成と、拡張された構成と、平坦化された構成との間で移動するように構成されている。
図33Aは、シャフト1420の周りに折り畳まれた送達電極1422を図示し、送達電極はシャフト上に、シース(図示しない)内に収容されることができるように取り付けられている。
図33Bは、拡張された構成の送達電極1422を図示している。これは、ワイヤバスケットをあらわにするようにシースを後退させること又はシャフト1420を前進させることによって達成され得る。いくつかの実施形態においては、送達電極1422は、シースから解放されると自己拡張する。他の実施形態においては、ワイヤバスケットは、シャフト1420に対して移動可能な追加のシャフト1435と連結され、追加のシャフト1435の前進が支持部1430を寄せ合い、ワイヤバスケットを拡張させる。
【0182】
[00218] エネルギ送達電極1422は、この構成においては、エネルギを送達するために利用され得る。例えば、送達電極1422は、内腔の内面に円周方向にエネルギを送達するように内腔内に位置決めされ得る。あるいは、送達電極1422は、ワイヤバスケットの遠位面が内腔の開口の周囲にエネルギを送達するように、内腔の開口に対して位置決めされてもよい。いずれの場合も、送達電極1422の直径は、ワイヤバスケットの拡張を制御することによって、特定の患者の肺静脈などの解剖学的構造に望ましく適合するように選択又は調節され得る。加えて、ワイヤバスケットの可撓性は、送達電極1422が、ある範囲の円形及び非円形の内腔又は生体構造の部分に適合することを可能にする。
【0183】
[00219]
図33Cから
図33Dは、送達電極1422を平坦化された構成に移動させるための追加のシャフト1435の更なる前進を図示する。ここでは、支持部1430は完全に寄せ集められており、それによって、
図33Cに示されるように、ワイヤバスケットを支持部の間でシャフト1420に対して垂直な平面に略平坦化している。
図33Dは、
図33Cに描かれたワイヤバスケットの構成の斜視図を提供する。ここでは、ワイヤバスケットは、支持部1430から遠ざかるように半径方向外側に延在するループを形成することが分かる。ループは、単一のワイヤよりも大きな面積にわたってエネルギを送達することができる。ループの構成は、拡張された位置において最大のカバー範囲を提供するように最適化されるが、その一方で依然として、小さいイントロデューサ内腔を通した送達のためにシャフトに対して折り畳むこともできる。
【0184】
[00220] 送達電極1422は、例えば
図32Bに図示されるような手法で、肺静脈などの内腔の開口に対して位置決めされ得ることが理解されよう。同様に、送達電極1422の可撓性は、例えば
図32Cに図示されるような手法で、送達電極1422の遠位面が少なくとも部分的に内腔内に位置決めされるように、送達電極1422が内腔内に前進されることを可能にする。
【0185】
[00221]
図34から
図38、
図39Aから
図39Bは、局所送達用に構成された治療カテーテル1502の一実施形態を図示する。ここでは、治療カテーテル1502は、遠位端1506を有するシャフト1504と、遠位端1506の近くに配設されたエネルギ送達体1522とを備える。ここでは、エネルギ送達体1522は、凸状の遠位面を形成する複数の導電性スプライン1524を備える。加えて、この実施形態では、エネルギ送達体1522は、遠位先端電極1526を含む。ここでは、遠位先端電極1526は、凸状遠位面の中心に沿って配設される。これにより、凸状遠位面が上に位置決めされる組織への追加のエネルギ送達が提供される。これは、組織にドーナツ形状の病変を生成するであろうような、潜在的なエネルギ送達の少ない領域又はエネルギ送達のない領域を回避するのを補助する。よって、連続性の円形病変が作成される。
【0186】
[00222] 各スプライン1524は電極として作用することができ、スプラインは一斉に、独立して、又はグループで通電されることが理解されよう。よって、いくつかの実施形態においては、エネルギは複数のスプライン1524の全て又はサブセットから一斉に送達され、その結果、エネルギ送達体1522は、少なくとも1つの遠隔リターン電極を使用して単極方式でエネルギを送達する。同様に、遠位先端電極1526は、単極方式で一斉にエネルギを送達するように、スプライン1524と一斉に追加的に通電され得る。他の実施形態においては、エネルギは選択されたスプライン間又は選択されたスプラインのグループ間で送達され、その結果、エネルギは双極方式で送達される。同様に、1つ以上のスプライン1524と遠位先端電極1526との組み合わせが通電されて双極方式でエネルギを送達してもよい。また、エネルギは、1つ以上のスプライン1524からのエネルギ送達なしに先端電極1526のみから送達されてもよく、その逆も同様であり、エネルギは、1つ以上のスプライン1524からは送達されるが先端電極1526からは送達されない。スプライン1524は、ワイヤ、フラットワイヤ、支柱、厚板、細片などであってもよいことが理解されよう。この実施形態では、スプライン1524は、ニチノールフラットワイヤなどの形状記憶材料からなる。この実施形態では、ニチノールフラットワイヤは、蛍光透視法下での可視化の向上のために白金コアを有する。この実施形態では、複数のスプライン1522は、絶縁材料1528によって部分的に覆われている。ここでは、絶縁材料1528は、複数のスプライン1524に伝わるエネルギが絶縁材料1528を通る送達に抵抗するように、エネルギ送達体1522の近位側に位置しており、エネルギを遠位方向に面する複数のスプライン1522の非絶縁部分に向ける。その結果、エネルギ送達体1522に提供されるエネルギは遠位方向に集束される。遠位凸面は標的組織領域に対して位置決め可能であるから、エネルギは、エネルギ送達体1522の近位側からのエネルギの損失なしに、標的組織領域の方に効率的に導かれる。これは、エネルギを節約すると共に、周囲の血液等へのエネルギシンクを低減する。
【0187】
[00223] この実施形態では、遠位先端電極1526は、白金イリジウムからなり、ボール形状を有する。他の適当な材料が使用されてもよいこと、そして、例えば平坦な形状、長円形状、又は尖った形状など、他の形状が使用されてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態においては、遠位先端電極1526は、治療カテーテル1502を標的組織領域に導くことを容易にする。これは、遠位先端電極1526を、依然として治療されることを必要としている活性心臓組織の領域を検出するために使用することによって達成される。よって、電位図を読み取ることによって、カテーテルの次の設置を決定することができる。いくつかの実施形態においては、遠位先端電極1526は、後の項で説明するように、データを記録するために使用される。
【0188】
[00224] エネルギ送達体1522は、折り畳まれた構成と拡張された構成との間で移行可能である。
図34は、拡張された構成のエネルギ送達体1522を図示する。エネルギ送達体1522を折り畳むために、シース又は送達管が、シャフト1504上を遠位方向に前進可能である。シースがエネルギ送達体1522上を前進されると、スプライン1524の可撓性が、スプライン1524が直線化することを可能にし、それによって、エネルギ送達体1522の外形を平坦化させてシース内に収まるようにする。加えて、スプライン1524のそのような直線化は、遠位先端電極1526とシャフト1504の遠位端1506との間の距離を伸長することが理解されよう。この理由のために、シャフト1504を通して遠位先端電極1526にエネルギを伝える先端電極ワイヤ1530は、エネルギ送達体1522が
図34に示されるような拡張された構成にあるとき、弛んでいる。そのような弛みは、折り畳まれた構成にあるときに伸長を可能にする。
【0189】
[00225] カテーテル1504は、エネルギ送達体1522が折り畳まれてシース、鞘(sleeve)、又は送達デバイス内に保持されている間に、体内の標的治療領域に送達されることが理解されよう。体内での所望の位置決めがなされると、エネルギ送達体1522は、次いで、シースから前進され(又はシースが後退され)、それによってエネルギ送達体1522は露出される。そのような露出は、エネルギ送達体1522が拡張された構成に自己拡張することを可能にする。他の実施形態においては、エネルギ送達体1522は、遠位先端電極1526と接続されたプランジャの後退によって、又はエネルギ送達体1522内の可撓性拡張可能部材(例えばバルーン)の拡張によってなど、他の機構によって拡張され得ることが理解されよう。しかしながら、
図34の実施形態は、中空の丸いケージを作成する、中心シャフトを含まないエネルギ送達体1522を提供している。これは、エネルギ送達体1522の更なる可撓性を可能にする。例えば、標的組織に対して凸状遠位面を押し付けると、追加の力が、複数のスプライン1524が外向きに曲がることを可能にし、凸状遠位面の直径を増加させ得る。同様に、凸状遠位面を静止させたままでのシャフト1504の移動は、スプライン1524の撓みによって、組織に対する移動の方向の力の増加を可能にし得る。例えば、係合中のシャフト1504の右への移動は、凸状遠位面の右側でのスプライン1524の係合を増加させて、組織のこの領域に対するより大きな力を許容し得る。加えて、そのような増加した可撓性はまた、エネルギ送達体1522が、プルワイヤ等を用いてより自由に屈曲するなど、より容易に操向されることを可能にし得る。
【0190】
[00226]
図35は、
図34の治療カテーテル1502の実施形態の側面図を提供する。ここでも、複数のスプライン1524が拡張された構成で図示されており、エネルギ送達体1522は、凸状遠位面を有するボール形状のケージを形成している。この実施形態では、複数のスプライン1524は、シャフト1504内のシャフトプラグ1532の周りに離間して、等間隔の円周方向配列で、集まっている。この実施形態では、スプライン1524の各々は、エネルギジェネレータとの接続のためにシャフト1504を通って延在する導電ワイヤに接続されている。この実施形態では、複数のスプライン1524は、
図34を再び参照することによって分かるように、先端内側部1534への取り付けのために内向きに湾曲及び屈曲することによって、遠位先端電極1526の周りで終端する。よって、この実施形態では、スプライン1524は、先端内側部1534の周りで、円周方向配列で等間隔になっている。遠位先端電極1526の周りで内向きに湾曲及び屈曲することによって、標的組織に対して位置決めするための平滑な遠位面が形成される。
【0191】
[00227] この実施形態では、エネルギ送達体1522は、標的組織との接触を避けるようにエネルギ送達体1522内に位置決めされた検知電極1540を含む。この実施形態では、検知電極1540は、複数のスプライン1524の丸いケージ内で遠位先端電極1526の近位に(すなわち、遠位先端電極1526の後ろに)配設される。ここでは、検知電極1540は、先端内側部1534の周囲に延在する、単一の0.030”リング電極などのリング電極を備える。この実施形態では、エネルギ送達体1522の近位に、2つの0.070”リング電極などの追加の電極1542,1544が、シャフト1504に沿って配設される。この実施形態では、電極1540,1542,1544は、白金イリジウムからなり、蛍光透視法下での可視化のためのマーカバンドとしても機能する。
【0192】
[00228] 検知電極1540及び追加の電極1542,1544は、典型的にはECG信号を検知するために、そしてまた電気解剖学的マッピングシステムに情報を提供するためにも、使用される。例えば、ECG信号を検知すると、ユーザは、検知されたECG信号に基づいて、心臓内の治療カテーテル1502の場所を検証又は確認することができる。心室に接近するときには、ユーザは、心室信号の振幅が増加するのをチェックすることによって、そのような接近を検証し得る。同様に、場合によっては、インピーダンス測定値が、検知電極1540及び/又は追加の電極1542,1544によって追跡される。電気解剖学的マッピングシステムは、そのようなインピーダンス測定値を使用して、心臓内におけるこれらの電極1540,1542,1544の場所と、したがって治療カテーテル1502の場所と、を可視化する。
【0193】
[00229]
図35を参照すると、この実施形態は操向機構も含む。この実施形態では、操向機構は、シャフト1504に沿って配設されたプルリング1560を備える。プルリング1560は、1本以上のプルワイヤと接続されている。この実施形態では、プルリング1560は第1のプルワイヤ1562a及び第2のプルワイヤ1562bに接続され、プルワイヤ1562a,1562bは反対側でプルリング1560に取り付けられている。プルワイヤ1562a,1562bは、遠位端1506が遠隔操作され得るように、シャフト1504の近位端に向かって延在している。第1のプルワイヤ1562aを引くことにより、遠位端1506と、したがってエネルギ送達体1522とが、第1のプルワイヤ1562aの方向に(例えば左に)屈曲し、第2のプルワイヤ1562bを引くことにより、遠位端1506と、したがってエネルギ送達体1522とが、第2のプルワイヤ1562bの方向に(例えば右に)屈曲する。種々の方向での操向のために、任意の適当な数のプルワイヤが存在し得ることが理解されよう。同様に、本明細書に説明される操向機構に代えて又は加えて、他の操向機構が使用されてもよい。
【0194】
[00230]
図36は、
図34から
図35の治療カテーテル1502の底面図を図示し、エネルギ送達体1522の凸状遠位面に対向している。図示されるように、この実施形態において、エネルギ送達体1522は10のスプライン1524を含むが、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、又はそれ以上を含む任意の適当な数のスプライン1524が存在してもよい。ここでは、各スプライン1524の遠位部分は、遠位先端電極1526から半径方向外側に延在した後、近位方向に向かって湾曲して戻り、ボール、球体、又は丸いケージ形状を形成する。よって、これらのスプライン表面の各々は、絶縁されず、エネルギを組織に送達する。この実施形態では、各スプライン1524の間に角度θが形成され、したがって各角度θは36度である。角度θは、スプライン1524の数に応じて変化するが、そのような角度θは、典型的には、10~20度、20~30度、又は30~45度など、10~45度の範囲内であることが理解されよう。スプライン1524が少なくなると、そのような角度θは、50度、60度、70度、80度、又は90度などまで増加し得る。
【0195】
[00231]
図37は、
図34の実施形態の別の斜視図を提供する。この図では、灌注ポート1570がシャフトプラグ1532の遠位面に沿って視認できる。灌注ポート1570は、エネルギ送達体1522の近位端に灌注流体を送達して、エネルギ送達体1522の遠位端に向かう(すなわち、先端内側部1534及び遠位先端電極1526に向かう)流れを可能にするように位置決めされている。そのような灌注は、エネルギ送達体1522に沿った血餅形成の可能性を低減することを補助する。場合によっては、血液で満たされた領域に密な間隔で位置決めされたスプライン1524などの要素間で血液凝固が起こる可能性が高くなり得る。
図37に図示されるように、スプライン1524間の距離は、エネルギ送達体1522の近位端に向かって及びエネルギ送達体1522の遠位端に向かって先細になる。そのような領域は、これらの領域における血液の停滞が増加するために、血液凝固を起こしやすい。停滞した血液は凝固して患者に危険をもたらし得る。スプライン1524の中及び周囲で生理食塩水などの灌注流体の流れを使用することは、血餅形成の可能性を低減させる。
【0196】
[00232] 所望の灌注流体流は、スプライン1524の周りの停滞した血液で満たされる可能性のある領域の全部又は大部分に到達するのに十分であろうことが理解されよう。いくつかの実施形態においては、これは、エネルギ送達体1522の中空ケージ内に乱流を生じさせるように構成された複数の灌注ポート1570の使用によって達成される。単一の灌注内腔が、エネルギ送達体1522の近位端に到達するのに十分な大きさの流体流の出力を提供し得るが、この流れは、エネルギ送達体1522の遠位端に到達するのに十分な強さではないかもしれない。しかしながら、単一の灌注内腔に複数の灌注ポート1570を通して流体を通過させることは、エネルギ送達体1522の近位端で流れに乱流を生じさせ、その乱流は、エネルギ送達体1522の遠位端まで流体流の幅広い扇形(wide fan)を継続させる。幅広い扇形はまた、エネルギ送達体1522が位置決め又は操作中に屈曲されるか又は横方向に移動されたときのエネルギ送達体1522のカバー範囲も占める。そのような乱流は、複数の灌注内腔の使用によっても達成され得ることが理解されよう。典型的には、乱流を生じさせながら十分な流れを送達するための灌注内腔の数は灌注ポートの数よりも少ない。
図38は、治療カテーテル1502の、シャフト1504の遠位端1506内の一部の拡大図を提供する。ここでは、シャフト1504は、周りにスプライン1524が配設された状態のシャフトプラグ1532をあらわにするために、除去されている。導電ワイヤ1525が、各スプライン1525と接続されて示されている。導電ワイヤ1525は、スプライン1525にエネルギを送達するように、ジェネレータ108との接続のためにシャフト1504に沿って近位方向に延在する。
図38の実施形態は、流体を灌注ポート1570に送達する2つの灌注内腔1580を含む。ここでは、5つの灌注ポート1570が存在する。1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上を含む、種々の灌注内腔1580が存在し得ることが理解されよう。同様に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、又はそれ以上を含む、種々の灌注ポート1570が存在し得る。もっとも、乱流のために、灌注ポート1570は、典型的には、灌注内腔1580よりも数が多い。
【0197】
[00233]
図39Aから
図39Bは、
図34の実施形態の追加の図示を提供する。
図39Aは、治療カテーテル1502のこの実施形態を備える要素の展開図を提供する。図示するように、この実施形態は、遠位先端電極1526、先端内側部1534、先端電極ワイヤ1530、絶縁材料1528によって少なくとも部分的に覆われた複数のスプライン1524を備えるエネルギ送達体1522、保持バンド1590、シャフトプラグ1532、はんだプレート1592、接着剤ポッティング1594、プルリング1560、灌注内腔1580、電極1542,1544を備えるシャフト1504、及びシャフト先端部分1596を含む。
図39Bは、
図39Aの治療カテーテル1502を未展開状態で図示する。
【0198】
[00234] 前述のように、治療カテーテル1502は、
図2Aから
図2Bに示されるような中実先端治療カテーテルの設置面積よりも大きいがワンショットデバイスの設置面積よりも小さい病変を作成するように設計された局所療法デバイスとして説明される。いくつかの実施形態においては、治療カテーテル1502のシャフト1504は8フレンチ(2.67mm)であり、8.5フレンチ(2.83mm)のシースを使用して送達される。そのような実施形態では、エネルギ送達体1522は、折り畳まれた構成で8.5フレンチシース内に収まるように構成され、よって、2.83mm未満の外径を有する。エネルギ送達体1522が解放されてその拡張された状態になると、外径は、典型的には、シャフト1504の直径の3~6倍である8~15mmに拡張する。そのようなデバイスの設置面積は、寸法が、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、8~10mm、9~10mm、9~15mm、10~15mm、12~15mm等を含むこの範囲内で変動し得ることが理解されよう。
【0199】
センサ及び灌注
[00235] 本明細書に説明される組織修正システム100は、数秒など、ある期間にわたって、本明細書に説明される一連のPEFバッチ又はバンドルを送達する。このエネルギ付与の蓄積は少量のジュール加熱をもたらし、これは、エネルギ付与の副産物であるため、全てのPEF療法につきものである。しかしながら、急性、亜急性、中期及び長期の組織学的データは全て、本明細書に説明されるシステム、デバイス、及び方法を使用した組織への熱損傷の実質的な兆候がないことを示している。したがって、心臓組織に熱損傷(細胞外タンパク質変性)が発生せず、治療に起因する肺静脈狭窄などの有害事象及び解剖学的欠損の可能性が低減されることが明らかである。これはまた、下にある組織へのエネルギ送達を妨害して貫壁性病変を生成する能力を低減させる、表面炭化又は熱損傷の生成を排除する。
【0200】
[00236] しかしながら、いくつかの実施形態においては、システム100は、種々の目的のために温度検知及び/又は制御措置を含むことが理解されよう。いくつかの実施形態においては、温度が30~65℃、30~60℃、30~55℃、30~50℃、30~45℃、30~35℃の範囲内に留まることを確実にするために、温度が検知され制御される。よって、組織の温度は熱アブレーションの閾値を下回ったままであるため、病変が熱損傷によって作成されない。いくつかの実施形態においては、1つ以上の温度センサを使用して治療中の電極及び/又は組織温度を測定し、組織に付与されたエネルギが臨床的に有意な組織加熱をもたらさないことを確実にする。例えば、いくつかの実施形態においては、温度センサが組織及び/又は電極の温度を監視し、予め定義された閾値温度(例えば65℃)を超えるのであれば、ジェネレータは、エネルギ送達を自動的に中止するようにアルゴリズムを改変するか、又は温度を予め設定された閾値を下回って低下させるようにアルゴリズムを修正する。例えば、いくつかの実施形態においては、温度が65℃を超えるのであれば、ジェネレータは、温度を低下させようとして、パルス幅を減少させるか、又はパルス及び/又はパケット間の時間を増加させる(例えば、1心拍おき、2心拍おき等にエネルギを送達する)。これは、パラメータの割合として予め定義された段階的アプローチで、又は他の方法によって、行われ得る。温度センサは、電極上に、電極に隣接して、又はカテーテルの遠位部分に沿った任意の適当な場所に位置決めされ得ることが理解されよう。代替的又は追加的には、センサは、1つ以上の別個の機器上に位置決めされ得る。
【0201】
[00237] 他の実施形態においては、病変形成を評価するために温度が検知される。これは、異なる厚さの標的組織領域を有する解剖学的構造に病変を生成するときに特に有用であり得る。温度の急激な上昇は、病変が組織の深部に穿通し、完了に近づいていることを示す。温度のそのような変化を検知することは、より厚い組織又は未知の深度の組織に病変を生成するときに特に有用であり得る。
【0202】
[00238] いくつかの実施形態においては、治療カテーテルは、送達電極又は周囲組織の温度を制御することを補助するための灌注を含む。場合によっては、灌注は送達電極を冷却して、熱媒介損傷の可能性を増加させることなく、時間当たりより多くのPEF送達を可能にする。場合によっては、灌注はまた、カテーテルの先端付近の凝固を低減又は防止する。灌注は、1つ以上のセンサ、特に1つ以上の温度センサからの情報に基づいて、作動、増加、減少、又は停止され得ることが理解されよう。
【0203】
[00239] そのような冷却は、1つ以上の灌注ポートを通りカテーテルの遠位端に沿って出ていくカテーテルの内腔を通して等張生理食塩液などの流体を送達することによって達成される。流体は、冷やした流体、室温の流体、又は温められた流体であってもよい。流体流は、重力駆動ドリップ、蠕動ポンプ、遠心ポンプ等を含む種々の機構によって駆動され得る。いくつかの実施形態においては、灌注は、1ml/min、2ml/min、3ml/min、4ml/min、5ml/min、又はそれ以上を含む、0.1~10ml/minの流量を有する。いくつかの実施形態においては、流量は、電気的又は機械的流量検知機構によって検知される。いくつかの実施形態においては、流体の温度が測定され、他の実施形態においては、流体の温度が、測定された温度に基づくなどして、流体が治療カテーテルに送り込まれるときに、加温又は冷却されるなどして修正される。いくつかの実施形態においては、流体流量は、治療対象の組織の測定された温度に基づいて決定される。
【0204】
[00240] いくつかの実施形態においては、ポンプはジェネレータ108と電気的に通信し、流体流量は、治療カテーテル102へのエネルギ送達の状態に基づいて、ジェネレータ108によって修正される。例えば、いくつかの実施形態においては、流体流量はエネルギ送達中に増加される。同様に、いくつかの実施形態においては、流体流量は、エネルギ送達前の時刻まで及び/又はエネルギ送達中の1つ又は複数の所定の時刻に、所定の量だけ増加される。代替的又は追加的には、流体流はユーザの要求に応じて制御されてもよい。ポンプは、エネルギ送達アルゴリズム152の種々の態様に基づいて異なる速度で動作するように、ジェネレータ108と通信し得ることが理解されよう。いくつかの実施形態においては、流量及びジェネレータ108との通信の検知は、灌注が行われていない場合にエネルギ送達を防止するために使用される。他の実施形態においては、エネルギ送達アルゴリズム152の選択が、ひいてはエネルギ送達アルゴリズム152に適切な流体流量を選択する。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの灌注ポートが電極に沿って位置し、及び/又は任意選択的には、少なくとも1つの灌注ポートがシャフトに沿って位置する。
【0205】
[00241] 本明細書に説明されるカテーテル設計のいずれもが、インピーダンスセンサ、接触センサ、接触力センサ、電気解剖学的マッピングセンサ等の1つ以上のセンサ(例えばマイクロセンサ)を含み得ることが理解されよう。そのようなセンサは、電極上に、電極に隣接して、又はカテーテルの遠位部分に沿った任意の好適な場所に位置決めされ得る。例えば、マイクロセンサは、送達電極の1つ以上のループに沿って、又は送達電極の近くの支持構造に沿って位置し得る。代替的又は追加的には、センサは、1つ以上の別個の機器上に位置決めされ得る。
【0206】
[00242] 種々の送達電極が、導電ワイヤであってそこからエネルギを送達することができるものとして説明されてきたが、このような設計は、非導電ワイヤに沿って離間した個々の電極(例えばマイクロ電極)を利用し得ることも理解されよう。任意選択的には、そのような電極は、電極が取り付けられる場所で導電ワイヤが電極から絶縁されるとき、導電ワイヤに沿って離間していてもよい。
【0207】
[00243] 上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、本発明を実施することができる特定の実施形態を、例示として示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示又は説明されたものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示又は説明された要素のみが提供される例も企図する。また、本発明者らは、ある特定の例(又はその1つ以上の態様)に関して、あるいは本明細書に図示又は説明される他の例(又はその1つ以上の態様)に関して、図示又は説明される要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を使用する例も企図する。
【0208】
[00244] 本明細書と参照により組み込まれる任意の文献との間で語法が一致しない場合、本明細書における語法が優先する。
【0209】
[00245] 本明細書において、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」の任意の他の事例又は語法とは無関係に、1つ又は2つ以上を含んで使用される。本明細書において、「又は(or)」という用語は非排他的なものを指して使用され、したがって「A又はB」は、別段の指示がない限り、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含む。本明細書において、「含む(including)」及び「その中で(in which)」という用語は、それぞれ「備える(comprising)」及び「その中で(wherein)」という用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語はオープンエンドである。すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されるものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」等の用語は、単に標示として使用され、それらの対象に数値的要件を課すことは意図されない。
【0210】
[00246] 上記の説明は、例示的なものであって、限定的ではないことが意図される。例えば、上述の例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態が、例えば当業者によって、上記の説明を検討して使用され得る。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために、米国特許法施行規則§1.72(b)に準拠して提供される。要約書は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するためには使用されないという理解の下で提出される。また、上記の詳細な説明においては、種々の特徴が、開示を合理化するためにグループにまとめられ得る。これは、特許請求されていない開示された特徴がいずれかの請求項に必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の中に存在し得る。よって、以下の特許請求の範囲は、各請求項が別個の実施形態として独立した状態で、例又は実施形態として詳細な説明に組み込まれ、そのような実施形態は、種々の組み合わせ又は順列で互いに組み合わせられ得ることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と併せて参照して、判定されるべきである。
【国際調査報告】