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特表2024-509285制御された粒径を有する中空プラスチック球体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】制御された粒径を有する中空プラスチック球体
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/04 20060101AFI20240221BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240221BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20240221BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
C08F265/04
C08F2/44 C
C08F220/10
C08L51/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555339
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022055546
(87)【国際公開番号】W WO2022189290
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21161244.5
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ローター マルティン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BN121
4J002EH076
4J002FA091
4J002FD206
4J002GH01
4J011AA05
4J011BA04
4J011PA69
4J011PC02
4J011PC06
4J026AA45
4J026BA05
4J026BA25
4J026BA27
4J026DA04
4J026DA07
4J026DA14
4J026DB04
4J026DB08
4J026DB14
4J026FA07
4J026GA02
4J026GA06
4J100AA03P
4J100AA03R
4J100AB02Q
4J100AJ02S
4J100CA03
4J100CA29
4J100EA09
4J100EA12
4J100FA03
4J100FA20
4J100FA35
4J100JA01
(57)【要約】
酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーから調製される中空ポリマー球体が開示される。このような中空球体を調製するためのプロセスが開示される。中空球体は、粒径が制御され、より大きい粒径を有することができ、粒径分布が狭く、ボイド体積率が高い。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの混合物を、水と高温で接触させることと、
b)1つ以上の重合開始剤を、前記水またはa)の前記混合物と接触させることであって、
前記モノマー混合物は、1回の装填で前記水と接触し、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の親水性非イオンエチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物から、ポリマー酸コア粒子が形成され、
前記モノマー混合物は、前記水と60秒以下で接触させられる、
前記接触させることと、
c)水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記ポリマー酸コア粒子の周りにシェル層が形成されるような条件下で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の不飽和親水性エチレン性モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子を接触させることと、
d)水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記粒子の周りに第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることであって、前記シェルの外側層が、前記粒子の周りに前記シェルの前記第1の層を有する前記粒子の周囲に形成され、前記外側層が、前記第1の層内の酸含有量より少ない酸含有量を有する、前記接触させることと、
e)前記ポリマー酸コア粒子が水を吸収して膨潤することにより、水圧で前記シェルを膨張させるような条件下で、前記ポリマー酸コア及び前記コアの周りに配置された前記シェル層を備えた前記粒子を、水中の塩基と接触させることと、
を含むプロセスであって、
形成される構造体は、水中に分散した中空ポリマー球体を含む、
前記プロセス。
【請求項2】
水中に前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子の周りに前記シェルの前記第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることを含み、
前記外側層が形成される前に、前記ポリマー酸コア粒子の周りの前記シェルの前記第1の層の周囲に前記シェルの第2の層が形成される条件下で、前記混合物中の酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記シェルの前記第1の層を形成するために使用された濃度より低い、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物は、均質混合により接触させられる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを含む、先行請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
乳化剤が前記水または前記モノマー混合物と接触させられ、前記乳化剤は、非イオン性乳化剤及び/または陰イオン性乳化剤である、先行請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記1つ以上の重合開始剤は、前記モノマー混合物及び前記水と、120秒以下で接触させられる、先行請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記モノマー混合物及び前記重合開始剤の温度は、約50℃~約100℃である、先行請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
前記重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤である、先行請求項のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
ステップd)とステップe)は、ほぼ同時に開始される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項10】
前記構造体は乾燥され、前記乾燥ポリマー酸コアの一部を含まない前記シェルの内側の体積の一部は、空気で充填される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、外側層を形成するために、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーと、前記粒子の周りに前記1つまたは2つのシェル層を備えた前記粒子を接触させる期間は、前記粒子を水中の塩基と前記接触させることが止められた後も継続される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記シェル内の未反応モノマーの量が約200重量ppm未満になるまで、前記形成された膨潤シェル内の未反応モノマーの量を減少させるのに十分な期間、前記膨潤シェルを含む前記構造体を、前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤と接触させることを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
形成される前記生成物は、ボイドを取り囲む2つまたは3つの層を有する前記シェルを備えた構造体であり、
前記第1のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、
前記任意の第2のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、
前記コポリマーは、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が、前記第1の層より低く、
前記外側層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを含み、
前記第3の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記第2の層より低く、
前記第1の層には前記ポリマー酸コアが隣接し、前記シェルの内側にボイドが形成され、前記シェル及び前記構造体は、1000nm~2000nmの平均粒径を有し、残留モノマーの濃度は、200ppm以下であり、前記シェルの内側の前記ボイドの体積は、40パーセント以上である、
先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
モノマー対水の重量比は、1:4~1:20である、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
膨潤前の前記コアの平均体積粒径は、約100nm~約1000nmである、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ステップaで存在する前記乳化剤は、前記最終生成物の総モノマーに基づき、0~約0.5重量パーセントである、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ステップのすべては、同じ反応器内で行われ、前記反応器への供給物は、ステップごとに変更される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ステップのうちの1つ以上は、別個の反応器または反応器のゾーンで行われ、その反応器または前記反応器のゾーンへの前記供給物は、前のステップの前記反応混合物から形成された前記粒子を除去することなく、前記前のステップが行われた前記反応器から取得される、請求項1~15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
空気及び1つ以上のポリマーの乾燥ポリマー酸コアを取り囲むシェルを有する構造体を備えた組成物であって、
前記1つ以上のポリマーは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約50重量パーセント有する1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーから成り、
前記シェルは、1つ以上の層を有し、
前記層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成るポリマーを含み、
前記シェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約40重量パーセント含み、
酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、前記シェルの内側から外側へ向かって減少し、
前記乾燥ポリマー酸コアの一部は、前記シェルの内側と接触し、
前記構造体は、約1000nm~2000の平均体積粒径を有し、
前記シェルの内側の空気の体積は、40パーセント以上であり、
前記粒子の90パーセントが前記平均体積粒径の10パーセント以内に収まるような粒径分布であり、
前記粒子内の前記残留モノマーレベルは、200重量ppm以下である、
前記組成物。
【請求項20】
前記粒径は、拡大された走査型電子顕微鏡写真から特定され、崩壊していない粒子が測定され、測定された粒径から前記粒径分布が計算される、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
制御された粒径及び狭い粒径分布を有する中空ポリマー球体が開示される。制御された粒径及び狭い粒径分布を有する中空ポリマー球体を調製するためのプロセスが開示される。このような中空ポリマー球体を含有するコーティングが少なくとも片面に配置された紙が開示される。
【背景技術】
【0002】
ポリマー球体は、様々なプロセスを介して製作され、これには、乳化重合により調製されたラテックスから製作することも含まれる。ボイドを有するポリマー球体が知られている。これらの球体には、中心がボイド化したシェルが含まれる。ポリマー球体は、紙のコーティング、皮革及び繊維の製造、ならびに水ベースの建築材料に応用される。このようなシステム及び方法の実施例は、米国特許第4,427,836号、第6,020,435号、第6,075,249号、第6,780,820号、第10,442,882号、及び第10,005,871号、ならびに欧州特許出願第EP0022633号に開示され、これらのすべてが参照によりあらゆる目的で本明細書に明示的に組み込まれるものとする。ボイドを有するポリマー球体は、塗料、コーティング、及び成形材料に使用される結合剤または不透明剤として使用される。
【0003】
いくつかのポリマー球体、特に高度にカルボキシル化されたラテックスからポリマー球体を調製するために使用されるプロセスでは、大量の残留物が生成され、これはポリマー球体の処理及び回収において問題を生じる。既知のプロセスの多くは制御が難しく、結果、広範囲にわたる粒径のポリマー球体が調製され得る。開示されるプロセスでは、ポリマー酸含有コア構造体及び中空ポリマー球体を形成するために、シードラテックスポリマーを調製し、シードラテックスポリマーを使用する必要がある。いくつかのプロセスは、シードラテックスポリマーを形成し、シードラテックス粒子を使用してポリマー酸含有コア構造体を形成することと、形成されたポリマー酸含有コア構造体を貯蔵することとを含み、形成されたポリマー酸含有コア構造体は、その後、中空ポリマー粒子を調製するために利用される。商業的には、これらのプロセスでは、中空ポリマー球体を調製するために、シードラテックス粒子、いくつかの事例ではポリマー酸含有コア構造体を貯蔵し、シードラテックス粒子、いくつかの事例ではポリマー酸含有コア構造体を反応器に供給する、別個のタンク及び供給ラインが必要である。シードラテックス粒子を使用するプロセスでは、長時間の重合サイクルが必要となり得る。既知のプロセスでは、球体の粒径、形成される球体のボイド体積率、及び狭い粒径分布を示すような粒子を調製する能力に関して、制限がある。
【0004】
制御された粒径を有し、より大きい粒径を有することができ、ボイド体積率が高く、粒径分布が低い中空球体が求められている。所望の粒径を有し、粒径標準偏差が低い中空球体を調製するという点で堅牢であり、かつ重合反応器で生じる残留物の量が少ない、中空球体の調製プロセスが求められている。中空球体を調製するために、シードラテックス粒子を使用して酸コアを重合すること、ならびに別個のタンク及び供給ラインを伴うことを、必要としないプロセスが求められている。より効率的なこのようなプロセスが求められている。
【発明の概要】
【0005】
酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から調製される中空ポリマー球体が開示される。粒子は、中空部分をカプセル化するシェルを備え、中空部分は、空気及び酸コアの残留物を含み得る。中空部分は、粒子の密度を低下させ、有利な特性、例えばコーティング内で、光沢発現、日焼け防止剤、または断熱のための不透明剤または添加剤として機能する能力などを提供する。コアを膨潤させ、シェルを膨潤させて、粒径と中空部分の体積との両方を増大させることができる。シェルは、1層以上、2層以上、または3層以上を有し得る。複数の層が存在する場合、それぞれの層の組成は、内側層から外側層に向かって層にわたり変化し得、各層は、内側層から外側層に向かって層にわたり組成勾配を有し得る。膨潤前のシェルの元の寸法を規定するポリマー酸コアは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの含有量が、可能な限り高くあり得る。中空ポリマー球体の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定すると、200~2000ナノメートル(nm)であり得る。中空ポリマー球体の平均粒径は、約200nm以上、約500nm以上、約700nm以上、約1000nm以上、約1200nm以上、または約1300nm以上であり得る。中空部分とは、空気で充填され得る、固体物質を含まない部分が存在することを意味する。中空部分は、中空ポリマー球体の体積の約30パーセント以上、約40パーセント以上、約50パーセント以上、または約60パーセント以上であり得る。粒子は、少量の未反応モノマー、例えば約1000ppm以下、約900ppm以下、約800ppm以下、約700ppm以下、約600ppm以下、約500ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、または約200ppm以下の未反応モノマーを、含み得る。粒子の調製に使用される乳化剤系は、ポリマーの調製中に形成される少量の濾過可能残留物を含み得る。ポリマー酸コアは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大50重量パーセント、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大40重量パーセント、または酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大35重量パーセント、含み得る。シェルは、1つ以上の層を有し得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを含み得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、及びイタコン酸モノメチルのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上の不飽和ニトリル、不飽和アミド、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルまたはアルケニルエステルを含み得る。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のビニリデン置換芳香族モノマー、または低水溶性を示すアクリル酸もしくはメタアクリル酸のエステルを含み得る。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のビニリデン芳香族モノマーを含み得る。
【0006】
a)酸性官能基を有する1つ以上の親水性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上の混合物を、水と高温で接触させることと、b)1つ以上の重合開始剤を、水またはa)の混合物と接触させることと、を含むプロセスが開示され、モノマーの混合物は、1回の装填で水と接触し、ポリマー酸コア粒子は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から形成される。接触ステップは、均質混合により実行され得る。重合開始剤は、フリーラジカル重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水溶性重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤であり得る。モノマーの混合物は、可能な限りすばやく水と接触させられ得る。1つ以上の重合開始剤は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上の混合物、ならびに水に、可能な限りすばやく接触させられ得る。乳化剤が、水またはモノマー混合物と接触させられ得る。乳化剤は、非イオン性乳化剤及び陰イオン性乳化剤のうちの1つ以上であり得る。
【0007】
水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上が、ポリマー酸コア粒子の周りに1つ以上のシェル層を形成するような条件下で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、ポリマー酸コア粒子を接触させることを含むプロセスが開示される。
【0008】
ポリマー酸コア粒子の周りに1つ以上のシェル層を形成するためのプロセスが開示される。ポリマー酸コア粒子の周りにシェル層が形成されるプロセスであって、水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、ポリマー酸コア粒子の周りにシェルまたはシェルの第1の層が形成されるような条件下で、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、ポリマー酸コア粒子を接触させることを含む当該プロセスが開示される。ポリマー酸コア粒子の周りのシェルの第1の層の周囲にシェルの第2の層が形成されるような条件下で、混合物中の酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、シェルの第1の層を形成するために使用された濃度より低く、水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、ポリマー酸コア粒子の周りにシェルの第1の層を有するポリマー酸コア粒子を接触させることを含むプロセスにより、第2の層が形成され得る。同様のやり方で、形成されたシェル及びポリマー酸コア粒子の周りに、追加の層が形成され得る。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から、シェルの最終層が形成され得る。シェル及びシェル層は、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーを含み得る。シェル及びシェル層の親水性は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーの性質及び量により、調整され得る。
【0009】
ポリマー酸コア粒子が膨潤して体積が増大する条件下で、少なくとも1つのシェル層を有するポリマー酸コアを備えた粒子を、水中の塩基と接触させることにより、シェルは膨潤し得る。水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、粒子の周りにシェルを備えた粒子を接触させること、及びほぼ同時に粒子を水中の塩基と接触させることにより、粒子が膨潤し、同時にシェルの最終層が形成され得る。水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、粒子の周りにシェルを備えた粒子を接触させる期間は、粒子を水中の塩基と接触させることが止められた後も継続され得、これにより、シェルの最終層の厚さは増大し得る。膨張シェルを備えた構造体を乳化剤及び1つ以上の重合開始剤と接触させることは、未反応モノマーの量が約200重量ppm以下、または約100重量ppm以下になるまで、継続され得る。シェルを膨張させ、外側シェル層を調製した後、構造体は乾燥され得、乾燥ポリマー酸コアを含まないコアの部分は空気で充填され得、これにより膨張粒子にボイドが形成される。
【0010】
ポリマー酸コアをカプセル化する1つ以上の層を有するシェルを備えた中空球体を含む組成物が開示され、形成される生成物は、乾燥ポリマー酸コアの一部及びボイドを含むコアを取り囲む1つ以上の層を有するシェルを備えた構造体であり、1つ以上のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成る1つ以上のポリマーを含み、当該ポリマーは、シェルの内層から外層に向かって各層で、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率がより低くなる。ボイドを取り囲む複数の層、例えば3層を有するシェルを備えた中空球体を含む組成物が開示され、第1のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成る1つ以上のポリマーを含み、第2のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成る1つ以上のポリマーを含み、当該ポリマーは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が第1の層より低く、第3の層は、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成る1つ以上のポリマーを含み、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が第2の層より低く、第1の層に隣接する構造体を乾燥させた後は、乾燥ポリマー酸コアの一部が存在し、ボイドは空気で充填される。結果得られる生成物は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大50重量パーセント含むポリマー酸コアを備える。第1のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約35重量パーセント含み得、第2のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約15重量パーセント含み得、外側層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約0~約5重量パーセント含み得る。開示される粒子は、水分散液内で輸送され得る。粒子は、使用中または使用直前に乾燥され得、乾燥時にボイドは、例えば空気などの気体で充填され得る。
【0011】
制御された粒径を有し、より大きい粒径を有することができ、ボイド体積率が高い中空ポリマー球体が開示される。開示されるプロセスにより、所望の粒径及び狭い粒径分布を有する中空ポリマー球体の調製が可能となる。開示されるプロセスでは、中空ポリマー球体の酸コアを調製するために予め形成されたシードを使用する必要がなく、処理中に生じる残留物の量が少なく、特許請求される構造体がより迅速に調製される。
【0012】
開示される中空ポリマー球体は、紙コーティング及び板紙に使用され得る。紙及び板紙の製造業者は、紙基材の機能性を向上させるために、様々な基材に表面加工を使用する。例として、印刷品質の向上、耐久性の提供、または表面の平滑性の向上のために、多数のコーティングを適用することができる。大抵のコーティングの事例では、結果得られる製品のコストが用途に対して高すぎないように、基材のコストとコーティングのコストとのバランスをとる必要がある。バリアコーティングの事例では、使用される多くの材料が非常に高価であるため、可能な限り最小限のコーティング重量でコーティングが向上したバリア性能の利点をもたらすことが重要である。様々な塗布装置を使用してコーティングを塗布する様々な技法により、コーティングは塗布され得、大抵の事例では、測定技法を使用して余分なコーティングが除去される。流体が基材に至る経路が存在しないことを保証するために、残されたコーティング表面には、欠陥があってはならない。欠陥の例として、コーティングされていない繊維またはコーティング層の空隙により生じるピンホールが挙げられ得る。より粗い基材の場合、欠陥を回避するのに十分な被覆を提供するには、さらに高いレベルのコーティング重量が必要になる。これらの欠陥の多くを克服するには、多くの場合、2層のコーティングを使用することが予想される。バリアコーティング層に大きな中空ポリマー球体の顔料を利用することの予想外の利点として、耐ブロッキング性を向上させながらバリア性能を向上させるという独特の性能組み合わせが明らかとなった。全合成バリアコーティング内の中空ポリマー球体のレベルを高めることにより、バリア性能は、顔料追加の特定のレベルまで大幅に向上する。性能の向上は、コーティング層に大きな中空球体を使用することにより得られるコーティング密度の減少(または時に嵩の増加と称される)の結果として生じると考えられる。空気で充填されたボイドによって得られるより厚くより低密度のコーティング層は、ベースシートのより効率的な被覆をもたらし、これにより、低コーティング重量でより少ない全体コーティング量を使用すること、または標準的なコーティング重量で性能を向上させることが可能となる。これらの大きな球体がコーティング表面に露出して粗面度が増大することにより、耐ブロッキング性がもたらされ、表面における中空球体の高Tgにより、粘着性または密着性の低い表面が得られる。コーティングされた紙または板紙が折り畳まれたまたは折り目を付けられた時のバリ性能の向上も観察されており、これは、コーティング内の空気充填ボイドが、折り目の周囲または中で圧縮または拡張して、バリア層内の柔軟性及び耐亀裂性を促進し得るためである。キットテスト、高温油テスト、及び耐ブロッキング性により測定されるバリア性能は、最適レベルの中空球体に対応し、コーティングにおけるこの材料の利点をさらに裏付ける。本明細書に開示される中空球体を含むコーティングでコーティングされた紙が開示される。少なくとも1つの表面にコーティングが配置された紙または板紙を含む組成物が開示され、コーティングは本明細書に説明される組成物を含む。バリアコーティングは、連続相ポリマー(合成またはバイオベースのいずれかの)結合剤を含み、これは最適レベルの中空球体顔料を含み、球体は、不連続相状態が維持され、基材に対するコーティング内に細孔を作ることで、バリア性能を妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、結果得られる生成物を伴うプロセスの基本ステップを示す。
図2図2は、複数の形成された粒子、中空粒子内に形成された空気ボイド、及び粒径を示す。
図3図3は、走査型電子顕微鏡により測定された中空ラテックス球体の寸法を示す。
図4図4は、走査型電子顕微鏡により測定された中空ラテックス球体の寸法を示す。
図5図5は、走査型電子顕微鏡により測定された酸コア粒子の寸法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に提示される説明及び例示には、本発明、その原理、及びその実際的応用を当業者に伝える意図がある。当業者は、特定用途の要件に最も適したものとなり得るように、本発明をその多数の形態に適応させて適用し得る。明記される本開示の特定の実施形態には、本教示を網羅または限定する意図はない。本教示の範囲は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と併せて、添付の特許請求の範囲を参照して、特定されるべきである。特許出願及び公表文献を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれるものとする。下記の特許請求の範囲から収集される他の組み合わせも可能であり、これらも参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0015】
本出願は、制御された粒径を有する中空ポリマー球体に関する。中空ポリマー球体は、広範囲の粒径及びボイド体積を示し得る。粒径は、比較的狭い粒径分布または標準偏差を示し得る。中空ポリマー球体は、少量の未反応モノマーを示し得る。中空ポリマー球体は、中空コアの周りに膨張シェルを備え、シェルは、1つ以上の層を有し、1つ以上のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上を含み得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、シェルの厚さにわたり変化し得、濃度は、中空コア近くでより高く、シェルの外側近くでより低くなる。コアは、コア部分を形成するために使用されるポリマー酸コアを含み、この上にシェルが形成される。ポリマー酸コアは、シェルの内側の一部と接触し得る。膨潤したコアに吸収された水が蒸発し、コア材料が収縮すると、コアの収縮により空いたシェル内部の体積は、空気などの気体に置き換えられる。ポリマー酸コアは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から調製されたコポリマーであり得る。ポリマー酸コアは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大50重量パーセント含み得る。1つ以上の中空粒子は、本明細書に説明されるようにボイドを取り囲むシェルを備え得、シェルの内側部分は膨潤後に残る酸コアの一部を含み、シェルの外側部分は疎水性シェル層であり、内側部分と外側疎水性シェルとの間には、内側部分を外側疎水性シェルに接着させるように機能する1つ以上の層が配置される。開示されるプロセスにより、本明細書で開示される利点を備えた中空球体の調製が可能となる。プロセスは、ポリマー酸コアを形成することと、ポリマー酸コアの周りにシェルを形成することと、内部にポリマー酸コアが配置されたシェルを水中の塩基と接触させることでシェルを膨潤させることと、を含む。その後、ポリマー酸コアに含まれる水を蒸発させることなどにより、膨潤シェルを乾燥させて、説明される構造体が形成される。膨張シェルに取り囲まれた膨潤ポリマー酸コアに含まれる水を蒸発させた後、説明される構造体が形成される。本明細書で使用される親水性とは、80℃で0.3グラム/100cmを超える水溶性を示すモノマーを指す。本明細書で使用される疎水性、すなわち低親水性とは、80℃で0.3グラム/100cm以下の水溶性を示すモノマーを指す。非イオン性とは、モノマーが酸などのイオン化基を有さないことを意味する。
【0016】
形成された構造体は、シェル内に1つ以上の層を有する膨張シェルを備える。シェルは、識別可能な別個の層を有し得、または記載されるモノマーの濃度勾配を有し得、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、シェルの内側からシェルの外側に向かって徐々に減少し、本質的には、シェルの内側からシェルの外側に向かって、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度勾配が存在する。膨張シェルの内部にはボイドが形成され、ボイドは、乾燥時に空気などの気体により充填され得、よって乾燥して収縮したポリマー酸コアの体積は置き換えられる。構造体の乾燥に使用することができる任意の気体が、ボイド空間内に含まれ得る。空気は通常、構造体を乾燥させるために使用され、ボイド空間内に含まれる。気体で充填され得るボイド空間を含む構造体の体積は、約30体積パーセント以上、約40体積パーセント以上、約45体積パーセント以上、約50体積パーセント以上、約55体積パーセント以上、または約60体積パーセント以上であり得る。ボイド空間を含む構造体の体積は、約70体積パーセント以下、約65体積パーセント以下、または約60体積パーセント以下であり得る。中空粒子の粒径は、用途に望ましい任意の粒径にすることができ、本明細書で説明されるプロセスは、任意の所望の寸法を有する粒子を調製する柔軟性を提供する。形成される中空ポリマー球体の粒径は、約200ナノメートル以上、約300ナノメートル以上、約400ナノメートル以上、約500ナノメートル以上、約600ナノメートル以上、約700ナノメートル以上、約800ナノメートル以上、約900ナノメートル以上、約1000ナノメートル以上、約1100ナノメートル以上、約1200ナノメートル以上、または約1300ナノメートル以上であり得る。粒径は、約2000ナノメートル以下、約1900ナノメートル以下、約1800ナノメートル以下、約1700ナノメートル以下、または約1600ナノメートル以下であり得る。粒径とは、水分散液中の粒子に関して、1ミクロン未満の粒子の場合は動的光散乱法(DLS)により、1ミクロンを超える粒子の場合は静的光散乱法により、測定される体積平均粒径を指す。開示される構造体は、狭い粒径分布を有し、これは、粒径スパンを測定することにより特定される。粒径スパンは、Beckman LS 13320 XRなどの機器を使用して、静的光散乱法により特定され得る。粒径分布の一般的な説明方法では、幅または広さなどの分布形状を記述する方法が使用される。レーザ回折分析では、スパン=(Dv90-Dv10)/Dv50という式により、スパンは計算され、Dvは粒径であり、これを基に粒子集団のある体積率が算出され得る。分布の別の一般的な説明には、算術平均に対する標準偏差の比率である変動係数(CV)も存在する。ポリマーシェルは、低レベルの未反応モノマーを含むことが望ましい。乾燥状態では、酸コア及び中空粒子の粒径分布及びスパンは、走査型電子顕微鏡を使用して、形成された酸コア及び中空球体の写真を用意することで、特定され得る。光散乱法及び回折法には、根本的前提及び数学的アルゴリズムが必要であるが、電子顕微鏡法には、根本的前提及び数学的アルゴリズムの影響がないため、電子顕微鏡法が、粒子の寸法及び分布を評価するのに最も正確な方法である。具体的には、FlexSEM 1000を使用して、粒子写真は生成され得る。崩壊していない粒子の粒径を計算できるように、倍率レベルが選択される。酸コア及び中空ラテックスの希釈サンプルが乾燥され、例えばアルミホイル上で乾燥され、Hitachi製MC1000イオンスパッタを使用してアルゴン雰囲気下で白金をスパッタリングする(15mA、20秒)。粒径は、FlexSEM 1000ソフトウェア機能を使用して、手動で特定される。崩壊していない各粒子の粒径は、測定及び記録され、分布は手動で計算される。このデータを使用して、スパン及び体積平均寸法が計算され得る。計算では、乾燥ステップ中に崩壊する粒子は無視される。粒径を特定するのに使用される方法は、崩壊した粒子を除去できなければならない。これは、画像を手動で検査することで達成できる。計算の補助として、スプレッドシートが使用され得る。スパンは、約0.2以下であり得る。粒子体積の約80パーセントが、平均体積粒径(de Broucker平均、rsp.D[4/3])の10パーセント以内に収まるような粒子またはコアの粒径分布であり得る。平均粒径の10%という用語は、粒子の80パーセントが平均寸法+/-5%の特徴を満たすことを指す。中空ポリマー球体を含むラテックスにおける、疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する親水性エチレン性不飽和モノマー、及び非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーを含む中空ポリマー球体内の未反応モノマーのレベルは、できるだけ低いことが望ましい。残留モノマーの濃度は、1000ppm以下、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、または200ppm以下であり得る。中空ポリマー球体を含むラテックス中の残留モノマーの濃度が湿式で測定され、これは、中空ポリマー球体を含むラテックスは、残留モノマーに関して測定されることを意味する。
【0017】
ポリマー酸コアは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上を含む1つ以上のポリマーを有し得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、不飽和基を介して重合する不飽和、及び酸基を含む不飽和の両方を含む任意の化合物であり得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、極性を示し、本明細書に開示されるものを含むポリマー酸コポリマーを形成できる条件下で、水に可溶であり得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、すべての重合条件下で水溶性であるわけではなく、本明細書に開示されるように水中に分散し得る。酸基は、カルボン酸であり得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を有する1つ以上の親水性モノエチレン性不飽和モノマーを含み得る。酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、及びイタコン酸モノメチルのうちの1つ以上を含む。酸性官能基を含む1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、それらのアクリル酸混合物またはメタアクリル酸混合物を含み得る。形成されたコポリマーが水中の塩基と接触すると、ポリマー酸コアがゲルを形成して膨潤し、ポリマー酸コアの周りのシェルを膨張させるように、十分な量の酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーから、ポリマー酸コアは調製され得る。ポリマー酸コアを形成するために使用される混合物は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを、ポリマー酸コアの重量に基づき、約15重量パーセント以上、約25重量パーセント以上、約35重量パーセント以上、または約40重量パーセント以上の量で含み得る。ポリマー酸コアを形成するために使用される混合物は、酸性官能基を有する1つ以上の不飽和親水性モノマーを、ポリマー酸コアの重量に基づき、約50重量パーセント以下、45重量パーセント以下、または約35重量パーセント以下の量で含み得る。
【0018】
ポリマー酸コアは、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーを含み得る。エチレン性不飽和を含む任意の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、非イオン性であり、酸性官能基を有する親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーとポリマーを形成する任意の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーが使用され得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、水溶性基準を満たす(メタ)アクリレート化合物であり得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上の不飽和ニトリル、不飽和アミド、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルまたはアルケニルエステルを含み得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリル酸の1つ以上のアルキルエステルまたはアルケニルエステルを含み得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、メチル(メタ)アクリレートを含む。1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上の非イオン親水性モノエチレン性不飽和モノマーであり得る。ポリマー酸コアを形成するために使用されるモノマー混合物は、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーを、約40重量パーセント以上、約45重量パーセント以上、約50重量パーセント以上、または約60重量パーセント以上の量で含み得る。ポリマー酸コアを形成するために使用される混合物は、非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーを、85重量パーセント以下、75重量パーセント以下、65重量パーセント以下、55重量パーセント以下、または50重量パーセント以下の量で含み得る。ポリマー酸コアはさらに、以下に定義される1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーを、約1~約20重量パーセントの量で含み得る。
【0019】
シェルは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から調製されたポリマーを含み得る。シェルポリマーの外層は、ホモポリマーであり得るが、本明細書に開示される2つ以上の異なるモノマーの反復重合単位から成るコポリマーであってもよく、フリーラジカル重合により重合可能な1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、ポリマー酸コアよりも疎水性が高く、20重量パーセント以上または30重量パーセント以上の量で使用すると、ポリマー酸コアの周囲にシェルを形成する。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のビニリデン置換芳香族モノマー、本明細書に説明されるように低水溶性を示すアクリル酸またはメタアクリル酸のエステル、及び疎水性であり、ポリマー酸コアの周りにシェル層を形成できる任意の他のエチレン性不飽和モノマー、例えばエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのオレフィンであり得る。低水溶性を示す例示的なアクリル酸またはメタアクリル酸のエステルとしては、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。例示的なビニリデン置換芳香族モノマーとしては、スチレン、アルキル置換スチレン(アルファメチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレンなど)、ビニルトルエン、及びハロ置換スチレン(塩素化スチレンなど)が挙げられる。ビニリデン置換芳香族モノマーは、スチレンまたはハロ置換スチレンまたはアルキル置換スチレン、アルファ-メチルスチレン及びスチレン、あるいはスチレンであり得る。ビニリデン置換芳香族モノマーは、1つの不飽和基を含むモノビニリデン置換芳香族モノマーであり得る。ビニリデン置換芳香族モノマーは、スチレンであり得る。ビニリデン芳香族モノマーとしては、米国特許第4,666,987号、第4,572,819号、及び第4,585,825号に記載されるものが非限定的に挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれるものとする。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上の疎水性モノエチレン性不飽和モノマーであり得る。1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーがコアに含まれる場合、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、水溶性の低い1つ以上の疎水性(メタ)アクリレートであり得る。
【0020】
ポリマー酸コア及び/またはシェルポリマーはさらに、1つ以上のポリエチレン性不飽和モノマーを、形成されるポリマーに基づき、約0.01パーセントまたは約0.1~約1.0パーセントの量で含み得る。例示的なポリエチレン性不飽和モノマーとして、2~6個のエステル基を含む多価アルコールのα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルなどの少なくとも2つの重合可能なビニリデン基を含むコモノマー;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、及びメチレングリコールジメチルアクリレートなどのアルキレングリコールジアクリレート及びアルキレングリコールジメタアクリレート;1,3-グリセロールジメタアクリレート;1,1,1-トリメチロールプロパンジメタアクリレート;1,1,1-トリメチロールエタンジアクリレート;ペンタエリスリトールトリメタアクリレート;1,2,6-ヘキサントリアクリレート;ソルビトールペンタメタアクリレート;メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、ジビニルベンゼン、メタアクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、アクリル酸ビニル、ビニルアセチレン、トリビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジビニルアセチレン、ジビニルエタン、ジビニルスルフィド、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルシアナミド、エチレングリコールジビニルエーテル、ジアリルフタレート、ジビニルジメチルシラン、グリセロールトリビニルエーテル、アジピン酸ジビニル;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート;グリコールの不飽和エステル、モノジシクロペンテニルエーテル、例えばアリルメタアクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、及びジアリルイタコネートなどを含む末端エチレン性不飽和を有するα,β-不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸のアリルエステルが挙げられる。
【0021】
中空ポリマー球体を調製するためのプロセスが開示される。開示されるプロセスは、異なる寸法及び組成を有するボイド化ラテックス粒子を調製するために著しい柔軟性を提供する。開示されるプロセスの第1のステップは、ポリマー酸コアの形成である。モノマー装填物が、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から調製される。水中の塩基と接触すると膨潤し、本明細書で論述される中空ポリマー球体の利点をもたらすポリマー酸コアを提供するように、コアのモノマー及びモノマーの量が選択される。モノマー装填物は、ポリマー酸コアに悪影響を及ぼさない他のエチレン性不飽和化合物を含み得る。モノマー装填物は、重合してポリマー酸コア粒子を形成する。ポリマー酸コアとは、粒子が望ましいレベルの酸基を含むことを意味する。モノマー装填物は、水中で重合し得る。モノマーを互いに接触させた後に、水と接触させてもよい。水を含む反応器にモノマー装填物を加えることにより、モノマー装填物を水と接触させることが望ましくあり得る。モノマー装填物は、可能な限りすばやく水と接触させられ得る。モノマー装填物は、約60秒以下、約30秒以下、または約20秒以下の期間にわたり、水と接触させられ得る。この接触方法は、水にモノマー装填物をワンショット方式で加えることと称され得る。モノマー装填物を水に加える時間は、モノマー装填物を水に加える実用性により制御され、水の量に加えられるモノマー(複数可)の量に影響され得る。モノマー装填物は、混合により水と接触させられ得る。接触する材料は、均質混合することが望ましい。均質混合の方法は当業者には周知であり、例示的な混合装置及び方法が本明細書に開示される。
【0022】
開示される特性を有する膨潤中空ポリマー(ラテックス)粒子を形成するには、開示される特性を有する粒子を所望の寸法で提供するために、ポリマー酸コアを調製するのに使用するモノマーの対水比率が選択される。ポリマー酸コアを調製するのに使用するモノマーの対水比率は、これらの目的を達成する任意の比率が利用され得る。水に加えられるモノマーの重量比は、約1:4以上、約1:5以上、または約1:6以上であり得る。水に加えられるモノマーの重量比は、約1:20以下、約1:15以下、または約1:10以下であり得る。
【0023】
ポリマー酸コアを調製するプロセスは、重合開始剤の存在下で実行され得る。重合開始剤は、フリーラジカル重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水溶性重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水、またはモノマーと水の混合物に、接触させられ得る。重合開始剤は、モノマーと水の混合物に接触させられ得る。水溶性重合開始剤は、開示されるモノマー系のフリーラジカル重合を開始する任意の水溶性重合開始剤であり得る。水溶性重合開始剤は、水性乳化重合で利用される任意の水溶性フリーラジカル開始剤であり得る。例示的な水溶性フリーラジカル重合開始剤としては、1つ以上の過酸化化合物、ジアゾ化合物、アルカリ金属過硫酸塩、またはこれらの混合物が挙げられる。例示的な水溶性フリーラジカル重合開始剤としては、過酸化水素;tert-ブチルペルオキシド;ジアゾ開始剤;例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸リチウムなどのアルカリ金属過硫酸塩;過硫酸アンモニウム;及びこのような開始剤と還元剤との混合物が挙げられる。還元剤には、例えばアルカリ金属メタ重亜硫酸塩、ハイドロ亜硫酸塩、次亜硫酸塩などの亜硫酸塩;ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム;ならびに例えばアスコルビン酸及びイソアスコルビン酸などの還元糖が含まれる。水溶性重合開始剤は、1つ以上のアルカリ金属過硫酸塩を含み得る。水溶性重合開始剤は、効率的なやり方でポリマー酸コアを形成するのに十分な量で利用され得る。水溶性重合開始剤は、使用するモノマーの総量に基づき、約0.05重量パーセント以上、または約0.10重量パーセント以上の総量で存在し得る。水溶性重合触媒は、使用するモノマーの総量に基づき、約1.0重量パーセント以下、約0.45重量パーセント以下、または約0.30重量パーセント以下の総量で存在し得る。重合開始剤は、乳化重合を開始する直前に重合反応器に供給され得る。モノマー装填物を水と接触させる前に、1つ以上の重合開始剤を水と接触させてもよい。1つ以上の重合開始剤及びモノマー装填物を、同時に水と接触させてもよい。モノマー混合物を水に加えた後に、1つ以上の重合開始剤を、モノマー装填物及び水と接触させてもよい。この接触は、反応器内で行われ得る。前述で開示されたように、1つ以上の重合開始剤は、可能な限りすばやくモノマー混合物及び水と接触させられ得る。
【0024】
ポリマー酸コアの形成は、乳化剤の存在下で起こり得る。反応混合物を安定化してポリマー酸コア粒子の形成を促進する任意の乳化剤及びその量が利用され得る。乳化剤は、非イオン性及び/または陰イオン性であり得る。乳化剤は、非イオン性であり得る。乳化剤は、陰イオン性であり得る。例示的な非イオン性乳化剤としては、tert-オクチルフェノキシエチルポリ(39)-エトキシエタノール、ドデシルオキシポリ(10)エトキシエタノール、ノニルフェノキシエチル-ポリ(40)エトキシエタノール、ポリエチレングリコール2000モノオレート、エトキシル化ヒマシ油、フッ素化アルキルエステル及びフッ素化アルコキシレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノココ酸塩、ジ(2-ブチル)フェノキシポリ(20)エトキシエタノール、ヒドロキシエチルセルロースポリブチルアクリレートグラフトコポリマー、ジメチルシリコーンポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)ポリ(ブチルアクリレート)ブロックコポリマー、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのブロックコポリマー、30モルのエチレンオキシドでエトキシル化された2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、N-ポリオキシエチレン(20)ラウラミド、N-ラウリル-N-ポリオキシエチレン(3)アミン、ならびにポリ(10)エチレングリコールドデシルチオエーテルが挙げられる。例示的な陰イオン性乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、ノニルフェノキシエチルポリ(I)エトキシエチル硫酸アンモニウム塩、スチレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルアリルスルホコハク酸ナトリウム、亜麻仁油脂肪酸、エトキシル化ノニルフェノールのリン酸エステルのナトリウム塩またはアンモニウム塩、オクトキシノール-3-スルホン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、1-アルコキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、アルファ-オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム、ヒドロキシアルカノールの硫酸塩、N-(1,2-ジカルボキシエチル)-N-オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、N-オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、アルキルアミドポリエトキシスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸のエトキシル化ノニルフェノールハーフエステル二ナトリウム、及びtert-オクチルフェノキシエトキシポリ(39)エトキシエチル硫酸のナトリウム塩が挙げられる。1つ以上の乳化剤は、任意のモノマー装填物を加える前、モノマー装填物を加えている間、またはこれらの組み合わせた時に、加えてもよい。乳化剤は、水またはモノマー装填物と接触させられ得る。乳化剤は、水と接触させる前に、モノマー装填物に加えてもよい。モノマー装填物を水に加える前に、乳化剤を水に加えてもよい。乳化剤の量は、反応混合物を安定化させてポリマー酸コア粒子の形成を促進し、反応媒体の残留物を生成する傾向を低減させる量が使用され得る。乳化剤は、使用するモノマーの総量に基づき、約0重量パーセント以上、約0.01重量パーセント以上、約0.05重量パーセント以上、または約1.0重量パーセント以上の総量で存在し得る。乳化剤は、使用するモノマーの総量に基づき、約5.0重量パーセント以下、約3.0重量パーセント以下、約2.0重量パーセント以下、約1.0重量パーセント以下、約0.5重量パーセント以下、または約0.1重量パーセント以下の総量で存在し得る。
【0025】
ポリマー酸コアの形成は、ポリマー酸コア粒子が形成される任意の温度で行われ得る。ポリマー酸コアの調製は、約30℃以上、約50℃以上、または約75℃以上の温度で行われ得る。ポリマー酸コアの調製は、約100℃以下の温度で行われ得る。
【0026】
所望の粒径のポリマー酸コアが得られると、ポリマー酸コアの形成は完了する。開示されるプロセスにより、広範囲の寸法及び組成を有する粒子の形成が可能となる。膨潤前のコアの例示的な粒径は、約100nm以上、約250nm以上、約500nm以上、または約750nm以上である。膨潤前のコアの例示的な粒径は、約1000nm以下、約750nm以下、約500nm以下、または約250nm以下であり得る。形成されたポリマー酸コアは、形成後に反応システムから回収されてもよく、または反応システムに残ってポリマー酸コアの周囲にシェルが形成されてもよい。形成されたポリマー酸コアは、反応システムに残され、乳化重合によりポリマー酸コアの周囲にシェルが形成されてもよい。
【0027】
次のステップは、ポリマー酸コアの周りにシェルを形成することである。シェルは、ポリマー酸コアを完全にカプセル化するのに十分な組成、厚さ、及びポリマー酸コア被覆率を有する必要があり、これにより、ポリマー酸コアを膨潤させるのに使用される水中の塩基がシェルに浸透して、ポリマー酸コアを膨潤させ、一旦膨潤すると、膨潤した構造体の寸法を乾燥中も維持することが可能となる。シェルは、膨潤した構造体の最終用途で所望通りに機能するのに十分な厚さ及び組成を示し得る。シェルは、乳化重合によりポリマー酸コアの周りに形成され得る。シェルは、1つ以上の別個の層を有してもよく、あるいはシェルを形成するポリマーが一貫した組成である1つの層、またはシェルの内側から外側へ組成勾配のある1つの層を有してもよい。プロセスは、最終用途の必要に応じてシェルを形成するように適合させることができる。ポリマー酸コアの周りにシェルを形成するためのプロセス条件及び成分は、本明細書に具体的に開示される場合を除き、ポリマー酸コアを形成するのに使用されるものと同じであり得る。プロセスは、水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、モノマーの混合物がポリマー酸コア粒子の周りにシェル層を形成するような条件下で、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、ポリマー酸コア粒子を接触させることを含む。プロセスは、ポリマー酸コアの周りに堆積された第1の層の上に第2の層を形成し得る。このプロセスステップは、水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、ポリマー酸コア粒子の周りにシェルの第1の層を有するポリマー酸コア粒子を接触させることを含み、ポリマー酸コア粒子の周りのシェルの第1の層の周囲にシェルの第2の層が形成されるような条件下で、混合物中の酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、シェルの第1の層を形成するために使用された濃度より低い。開示されるプロセスを使用して、ポリマー酸コアの周りに3つ以上の層が形成されてもよい。プロセスは、水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、粒子の周りにシェルの第1の層及びシェルの第2の層を有する粒子の周囲に、第2の層内の酸含有量より層内酸含有量が少ないシェルの第3の層が形成されるように、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、粒子の周りにシェルの第1の層及びシェルの第2の層を有するポリマー酸コア粒子を接触させることを含み得る。シェルの形成に利用される乳化剤の量は、酸コア粒子の形成に使用される乳化剤の量よりも、多くあり得る。
【0028】
水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、粒子の周りにシェルを備えた粒子を接触させることと、ポリマー酸コア粒子を水中の塩基と接触させることとは、ほぼ同時に開始されてもよく、バッチ式またはセミバッチ式で行われてもよい。粒子上の最終層の形成は、粒子を水中の塩基と接触させるのと同時に、またはほぼ同時に、開始され得る。シェル層が形成される任意の温度で、1つ以上のシェル層の形成は行われ得る。1つ以上のシェル層の調製は、約30℃以上、約50℃以上、または約75℃以上の温度で行われ得る。1つ以上のシェル層の調製は、約100℃以下の温度で行われ得る。
【0029】
ポリマー酸コア粒子が水を吸収して膨潤し、水圧でシェルを膨張させるような条件下で、コアの周りに1つ以上のシェル層を有するポリマー酸コアを備えた粒子を、水中の塩基と接触させることにより、ポリマー酸コア層は膨潤する。塩基は、ポリマー酸コアの膨潤剤として機能する。ポリマー酸コアは、塩基性膨潤剤と接触させられ、塩基性膨潤剤は、シェルに浸透してコアの親水性官能基を少なくとも部分的に中和する。コアは、約6~約12のpHを有する塩基性膨潤剤にさらされ得る。これにより、親水性ポリマー酸コアポリマーにおいて浸透による膨潤が生じる。塩基性膨潤剤には、シェルに囲まれたポリマー酸コアの存在下で、シェルに浸透してコアを膨潤させることができるものが含まれる。膨潤剤は、水性塩基もしくは気体状塩基、揮発性塩基もしくは固定塩基、あるいはこれらの組み合わせであり得る。例示的な膨潤剤としては、アンモニア、水性水酸化アンモニウムなどの水酸化アンモニウム、ならびにモルホリン、トリメチルアミン、及びトリエチルアミンなどの揮発性低級脂肪族アミンといった揮発性塩基と;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、亜鉛アンモニウム錯体、銅アンモニウム錯体、銀アンモニウム錯体、水酸化ストロンチウム、及び水酸化バリウムといった固定塩基または永久塩基と、が挙げられる。使用される膨潤剤は、水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウムであり得る。
【0030】
膨潤剤の量は、コアの完全な中和をもたらすのに必要な量と比較して、少なくてもよく、同じでもよく、または多くてもよい。膨潤剤の量は、コア及びシェルに含まれる酸の総量に基づき約75~約150モルパーセントの範囲であり得る。膨潤は、高温条件下で行うことが効率的である。膨潤ステップにおける高温とは、約50℃以上、または約80℃以上であり得る。膨潤ステップにおける高温とは、約95℃以下、または約120℃以下であり得る。コアを所望の寸法に膨潤させて、シェルを所望の寸法に膨張させるのに十分な時間、粒子は膨潤させられる。これらの条件下では、1つ以上の膨潤剤を加えた後、膨潤の大部分は、約30分以内、約20分以内、または約10分以内に完了し得る。
【0031】
ポリマー酸コアが膨潤するのと同時に、シェル層が形成されてもよい。ポリマー酸コアポリマーに単一層が適用される場合、層の一部を形成した後、シェルの別の部分を形成すると同時に、ポリマー酸コアを膨潤させてもよい。水中に乳化剤及び1つ以上の重合開始が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、粒子の周りにシェルを備えた粒子を接触させる期間は、粒子を水中の塩基と接触させることが止められた後も継続され得、これにより、シェルすなわちシェルの最終層の厚さは増大する。塩基との接触が中止された後、開示されるプロセス、及び前に利用された組成とは異なる組成であり得る本明細書に開示されるモノマーを利用して、1つ以上のシェル層が形成され得る。このような組成物は、粒子の機能及び/または外観を強化するために追加の成分を含み得る。このような追加の成分には、顔料、及び充填結合剤などが含まれ得る。塩基との接触が中止された後、形成された膨潤シェル内の未反応モノマーの量を減少させるのに十分な期間、膨潤シェルを、フリーラジカル重合に一般的に使用される1つ以上の重合開始剤またはレドックス系と接触させ続けてもよい。膨潤シェルを含む構造体と1つ以上の重合開始剤との接触は、約50~約110℃の温度で行われ得る。このステップは、シェル内に存在する未反応モノマーが所望レベルになるまで継続され得る。
【0032】
シェルの合成及びシェルの膨潤が完了した後、空気などの気体が存在する状態で、コアが収縮してシェルの内側に空気などの気体で充填されたボイドが形成される条件下で、構造体は乾燥され得る。粒子は、高温で空気にさらすことにより乾燥され得る。
【0033】
中空構造体を調製するために使用される反応器は、1つ以上の組成物または混合物を受け取り、組成物または混合物を反応させて、または組み合わせて、複数の中空ポリマー球体を形成することを促進するように機能する。反応器には、加熱、冷却、または両方が含まれ得る。反応器は、大量生産に十分な量の流体、固体、または両方を保持し得る。反応器は、約500kg以上の材料、約750kg以上の材料、または約1000kg以上の材料を保持し得る。反応器は、材料のすべてが結合されるメインチャンバーであり得る。中空ポリマー球体を調製するために利用される反応器システムは、粒子を調製するために使用される成分を均質混合する方法を含み得る。成分を均質混合する方法は、反応容器内のすべての組成、及び組成流を含むすべての容器内のすべての成分も、均質化する。ミキサーは、磁気ミキサー、モーターにより回転するミキサー、流体ジェット、またはこれらの組み合わせであり得る。中空ポリマー粒子を調製するために使用されるプロセス及びシステムは、乳化重合で利用される標準的なプロセス及びシステムであり得る。適切な寸法の供給システムを使用して、反応器へのモノマー混合物の迅速な追加(ショット)が行われ得、この追加の速さは、研究室の重合反応器でのビーカー追加で達成可能な速度に相当する。中空粒子を調製するためのプロセスのステップは、1つ以上のシェル層を形成するために単一の反応器内で供給物を変更しながら実行され得る。プロセスのステップのうちの1つ以上は、異なる反応器で、または同じ反応器の異なるゾーンで実行されてもよく、これらは他の反応器に接続されてもよい。開示されるステップのうちのいずれかのステップの生成物は、開示されるプロセスのステップ間で回収及び/または貯蔵することなく、後続の反応器に移送され得る。粒子は、ラテックスの形態で輸送され、粒子の最終使用前または最終使用中に乾燥され得る。
【0034】
本明細書に詳述されるいずれの数値も、任意の低い値と任意の高い値との間に少なくとも2単位の間隔がある場合、低い値から高い値まで1単位ごと増分するすべての値を含む。例として、成分の量、または例えば温度、圧力、及び時間などのプロセス変数の値が、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると記載される場合、15~85、22~68、43~51、30~32などの値が、本明細書に明確に挙げられることが意図される。1未満の値の場合、1単位は、0.0001、0.001、0.01、または0.1と適宜みなされる。これらは具体的に意図された値の例にすぎず、挙げられる最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組み合わせが、本出願で同様に明確に記載されるとみなされるべきである。
【0035】
特許出願及び公表文献を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれるものとする。組み合わせを説明する「~から本質的に成る(consisting essentially of)」という用語は、特定された要素、成分、組成、またはステップ、及び組み合わせの基本的特性及び新たな特性に実質的に影響を与えない他のこのような要素、成分、組成、またはステップを含むものとする。本明細書で要素、成分、組成、またはステップの組み合わせを説明する用語「備える/有する/含む(comprising)」または「含む(including)」の使用では、要素、成分、組成、またはステップから本質的に成る実施形態も企図される。
【0036】
実施形態
1.a)酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの混合物を、水と高温で接触させることと、b)1つ以上の重合開始剤を、前記水またはa)の前記混合物と接触させることと、を含むプロセスであって、前記モノマー混合物は、1回の装填で前記水と接触し、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の親水性非イオンエチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物から、ポリマー酸コア粒子が形成される、前記プロセス。
【0037】
2.前記モノマー混合物は、可能な限りすばやく前記水と接触させられる、実施形態1に記載のプロセス。
【0038】
3.酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物は、均質混合により接触させられる、実施形態1または2に記載のプロセス。
【0039】
4.前記モノマー混合物は、前記水と60秒以下で接触させられる、先行実施形態のいずれかの実施形態に記載のプロセス。
【0040】
5.酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0041】
6.乳化剤が、前記水または前記モノマー混合物と接触させられる、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0042】
7.前記1つ以上の重合開始剤は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和(メタ)アクリレートモノマー、及び任意で1つ以上の疎水性(メタ)アクリレートの前記混合物、ならびに水と、接触させられる、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0043】
8.前記1つ以上の重合開始剤は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物、及び水と、可能な限りすばやく接触させられる、実施形態6に記載のプロセス。
【0044】
9.前記1つ以上の重合開始剤は、前記モノマー混合物及び水と、120秒以下で接触させられる、実施形態6~8のいずれかに記載のプロセス。
【0045】
10.前記1つ以上の重合開始剤は、前記モノマー混合物が前記水と接触させられる前に、前記水と接触させられる、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0046】
11.前記1つ以上の重合開始剤及び前記モノマー混合物は、同時に前記水と接触させられる、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0047】
12.前記モノマー混合物及び前記重合開始剤の温度は、約50℃~約100℃である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0048】
13.前記モノマー混合物及び前記重合開始剤の温度は、約75℃~約100℃である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0049】
14.酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、及びイタコン酸モノメチルのうちの1つ以上を含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0050】
15.酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸及びメタアクリル酸のうちの1つ以上を含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0051】
16.前記1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上の不飽和ニトリル、不飽和アミド、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルまたはアルケニルエステルを含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0052】
17.前記1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリル酸の1つ以上のアルキルエステルまたはアルケニルエステルを含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0053】
18.前記1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0054】
19.前記1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0055】
20.前記1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーは、メチル(メタ)アクリレートを含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0056】
21.前記乳化剤は、非イオン性乳化剤及び/または陰イオン性乳化剤である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0057】
22.前記乳化剤は、陰イオン性乳化剤である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0058】
23.前記乳化剤は、前記水と接触する前に、前記モノマー混合物と混合される、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0059】
24.前記重合開始剤は、フリーラジカル重合開始剤である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0060】
25.前記重合開始剤は、水溶性重合開始剤である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0061】
26.前記重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤である、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0062】
27.水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記ポリマー酸コア粒子の周りにシェル層が形成されるような条件下で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の不飽和親水性エチレン性モノマー、及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子を接触させることを含む、先行実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0063】
28.前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、1つ以上のビニリデン置換芳香族モノマーを含む、実施形態27に記載のプロセス。
【0064】
29.前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーは、スチレンまたはハロ置換スチレンまたはアルキル置換スチレンのうちの1つ以上を含む、実施形態27または28に記載のプロセス。
【0065】
30.水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子の周りに前記シェルの第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることを含み、前記ポリマー酸コア粒子の周りの前記シェルの前記第1の層の周囲に前記シェルの第2の層が形成されるような条件下で、前記混合物中の酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記シェルの前記第1の層を形成するために使用された濃度より低い、実施形態27~29のいずれかに記載のプロセス。
【0066】
31.水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記粒子の周りに前記シェルの前記第1の層及び前記シェルの前記第2の層を有する前記粒子の周囲に、前記第2の層内の酸含有量より酸含有量が少ない前記シェルの第3の層が形成されるように、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記粒子の周りに前記シェルの前記第1の層及び前記シェルの前記第2の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることを含む、実施形態30に記載のプロセス。
【0067】
32.前記ポリマー酸コア粒子が水を吸収して膨潤することにより、水圧で前記シェルを膨張させるような条件下で、1つ以上のシェル層を有する前記ポリマー酸コアを備えた前記粒子を、水中の塩基と接触させることを含む、実施形態27~31に記載のプロセス。
【0068】
33.水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーと、前記粒子の周りに前記シェルを備えた前記粒子を前記接触させることと、前記粒子を水中の塩基と接触させることとは、ほぼ同時に開始される、実施形態32に記載のプロセス。
【0069】
34.水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーと、前記粒子の周りに前記シェルを備えた前記粒子を前記接触させることと、前記粒子を水中の塩基と接触させることとは、セミバッチ式またはバッチ式で実行される、実施形態32または33に記載のプロセス。
【0070】
35.水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーと、前記粒子の周りに前記シェルを備えた前記粒子を接触させる期間は、前記粒子を水中の塩基と前記接触させることが止められた後も継続される、実施形態32~34に記載のプロセス。
【0071】
36.前記形成された膨潤シェル内の未反応モノマーの量を減少させるのに十分な期間、前記膨潤シェルを含む前記構造体を、前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤と接触させることを含む、実施形態35に記載のプロセス。
【0072】
37.前記膨潤シェルを含む前記構造体と、前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤との前記接触は、約50~約110℃の温度で行われる、実施形態36に記載のプロセス。
【0073】
38.前記膨潤シェルを含む前記構造体と、前記1つ以上の重合開始剤との前記接触は、前記未反応モノマーの量が約200重量ppm未満になるまで継続される、実施形態36または37に記載のプロセス。
【0074】
39.前記構造体は乾燥され、前記乾燥ポリマー酸コアの一部を含まない前記シェルの内側の体積の一部は、空気で充填される、実施形態33~38のいずれか1つに記載のプロセス。
【0075】
40.形成される生成物は、ボイドを取り囲む1つ以上の層を有する前記シェルを備えた構造体であり、第1のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを含み、前記コポリマーの連続する各層では、前記コポリマー内の酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が、前に存在する層より低く、前記シェル層の内側表面には、前記乾燥ポリマー酸コアの一部が隣接し、前記ボイドは、空気で充填される、実施形態27~39のいずれか1つに記載のプロセス。
【0076】
41.形成される前記生成物は、ボイドを取り囲む3つの層を有する前記シェルを備えた構造体であり、前記第1のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、前記第2のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、前記コポリマーは、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が、前記第1の層より低く、前記第3の層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを含み、前記第3の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記第2の層より低く、前記第1の層には、前記乾燥ポリマー酸コアが隣接し、前記ボイドは空気で充填される、実施形態27~40のいずれか1つに記載のプロセス。
【0077】
42.結果得られる前記生成物は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大50重量パーセント含む前記ポリマー酸コアを備え、前記第1のシェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約40重量パーセント含み、前記第2のシェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約25重量パーセント含み、前記第3のシェル層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを最大約5重量パーセント含む、実施形態41に記載のプロセス。
【0078】
43.前記酸コア形成ステップで存在する前記乳化剤は、0~約0.05重量パーセントである、先行実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0079】
44.膨潤前の前記コアの平均体積粒径は、約100nm~約1,000nmである、先行実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0080】
45.ステップで存在する前記乳化剤は、0~約0.05重量パーセントである、先行実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0081】
46.前記ステップのすべては、同じ反応器内で行われ、前記反応器への供給物は、ステップごとに変更される、先行実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0082】
47.前記ステップのうちの1つ以上は、別個の反応器または反応器のゾーンで行われ、その反応器または前記反応器のゾーンへの前記供給物は、前のステップの前記反応混合物から形成された前記粒子を除去することなく、前記前のステップが行われた前記反応器から取得される、先行実施形態のいずれか1つに記載のプロセス。
【0083】
48.先行実施形態の前記プロセスにより調製される組成物。
【0084】
49.空気及び1つ以上のポリマーの乾燥ポリマー酸コアを取り囲むシェルを有する構造体を備えた組成物であって、前記1つ以上のポリマーは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約50重量パーセント有する1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーから成り、前記シェルは、1つ以上の層を有し、前記層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成るポリマーを含み、前記シェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約40重量パーセント含み、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、前記シェルの内側から外側へ向かって減少し、前記乾燥ポリマー酸コアの一部は、前記シェルの内側と接触し、前記構造体は、約200nm~2000の平均体積粒径を有し、前記粒子の80パーセントが、前記平均体積粒径の10パーセント以内に収まるような前記粒径分布であり、前記シェルの内側の前記ボイドの体積は、40パーセント以上である、前記組成物。
【0085】
50.前記粒径は、拡大された走査型電子顕微鏡写真から特定され、崩壊していない粒子が測定され、前記測定された粒径から前記粒径分布が計算される、実施形態49に記載の組成物。
【0086】
51.少なくとも1つの表面にコーティングが配置された紙または板紙を含む組成物であって、前記コーティングは、実施形態48または49に記載の組成物を含む、前記組成物。
【0087】
例示的実施形態
以下の実施例は、本明細書の教示を解説するために提供されるものであり、その範囲を限定するものではない。別途示されない限り、すべての割合及びパーセンテージは、重量による。
【0088】
図1は、結果得られる生成物を伴うプロセスの基本ステップを示す。ステップ1は、コポリマーベースのポリマー酸コア101を形成するためのメタアクリル酸(MAA)及びメタアクリル酸メチル(MMA)のショット増殖である。ステップ2は、シェル層102によるポリマー酸コア101のカプセル化を示す。ステップ3は、第2のシェル103によるポリマー酸コア(101、102)の追加カプセル化を示す。ステップ4は、塩基での中和により水で膨潤したポリマー酸コア105を形成するポリマー酸コアの浸透圧膨張、及び第3のシェル104の同時形成を示し、これにより最終粒子106が得られる。
【0089】
実施例1
2リットルのジャケット付きガラス反応器には、傾斜ブレード撹拌機、熱電素子、窒素入口、及び還流冷却器が装備されている。327.6グラムの脱イオン水が、反応器に加えられ、ジャケット温度が98℃に設定された窒素雰囲気下で90℃に加熱される。
【0090】
ステップ1:酸コアモノマーショットとして、35.6グラムのメタアクリル酸メチル、19.6グラムのメタアクリル酸、及び0.3グラムのメタアクリル酸アリルから、混合物が調製される。最初の開始剤ショットとして、0.45グラムの過硫酸ナトリウムを17.8グラムの脱イオン水に溶かして、溶液が調製される。反応器に、最初の開始剤ショットが加えられ、その後すぐに酸モノマーショットが加えられる。両ショットは、数秒間のみ持続し、反応器の内容物を87℃に下げる。15分後、ポリマー酸コア形成が完了し、発熱により反応器温度は、94℃に上昇する。以下のステップを通して、反応温度は95℃に維持される。
【0091】
ショット追加によるポリマー酸コアの形成後、半連続供給物追加を使用して、ステップ2、ステップ3及びステップ4が実施される。開始剤/界面活性剤の複合流として、707.5グラムの脱イオン水、10EO単位を有する11.1グラムのイソトリデシルアルコールエトキシレート(80%)、5.6グラムのジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(80%)、及び0.9グラムの過硫酸ナトリウムから成る混合物が調製され、ステップ2、3、及び4を通して、200分かけて連続的に反応器に供給された。ステップ2にて、シェル1によるポリマー酸コアの最初のカプセル化のために、12.3グラムのスチレンと、5.3グラムのアクリル酸とが混合され、10分かけて反応器に供給される。酸コアの最初のカプセル化の後、ステップ3にて、83.1グラムのスチレンと、8.8グラムのメタアクリル酸メチルとの混合物を、50分かけて反応器に供給することにより、第2のシェルが重合する。ステップ4は、残りのシェルの重合と、同時浸透圧膨張から始まる。モノマー流として、335グラムのスチレンが、140分かけて反応器に供給される。スチレン追加の開始と同時に、222グラムの脱イオン水中に18グラムのKOHペレットを有する溶液が、30分かけて反応器に追加される。スチレン追加及び開始剤/界面活性剤の複合流の終了後、残留モノマーレベルを下げるために、222グラムの脱イオン水に溶解した1.9gのt-ブチルヒドロペルオキシド(70%)及び222グラムの脱イオン水に溶解した1.3グラムの二硫酸塩から成るポストレドックス系が、別個の流れとして30分間、反応器に供給される。
【0092】
重合後、中空ラテックスの希釈液滴が顕微鏡スライド上に配置され、乾燥される。乾燥後、乾燥した中空粒子上に屈折率1.51の液浸油が滴下され、光学顕微鏡で検査される。図2では、中空ラテックス内に形成された空気ボイドが明るいスポットとして明確に観察され得、具体的には、液浸油技法を用いた光学顕微鏡下で、明るい空気ボイドを現す乾燥中空ポリマー球体が示される。形成された中空ポリマー球体106の寸法が、図2に示される。中空ポリマー球体106の寸法は、走査型電子顕微鏡により測定され、図3に示される。
【0093】
実施例は、シードポリマー粒子を必要としない、ポリマー酸コア粒子の直接重合による中空ポリマー球体の製造及び均一な粒径制御を実証する。説明されるショット方法は、非常に単純であるが、高度なカルボキシル化及び非常に低度な界面活性剤により、均一なポリマー酸コア粒子を驚くほど迅速かつ柔軟に重合することを可能にし、より大きな粒径の生成を可能にする。
【0094】
紙基材または板紙基材に適用されるバリアコーティングの実施例は、結合剤の反対側に、合成またはバイオベースの結合剤連続相を有し、これは、10~30重量パーセントの最適範囲の中空ポリマー球体顔料を含有する。結合剤は、当業者に知られている紙コーティング用の任意の結合剤であり得る。
【0095】
実施例2
実施例1に開示されたものと同様の方法で、中空粒子が調製される。粒径分布に関して、酸コア粒子の一部が検査される。粒径分布に関して、中空球体の一部が検査される。酸コア粒子は、膨潤前に検査される。使用される手順は、以下の通りである。酸コア粒子及び中空球体は、乾燥され、走査型電子顕微鏡で検査され、写真を撮られる。FlexSEM 1000を使用して、粒子写真が生成される。崩壊していない粒子の粒径を計算できるように、倍率レベルが選択される。酸コア及び中空ラテックスの希釈サンプルが乾燥され、例えばアルミホイル上で乾燥され、Hitachi製MC1000イオンスパッタを使用してアルゴン雰囲気下で白金でスパッタリングされる(15mA、20秒)。粒径は、FlexSEM 1000ソフトウェア機能を使用して、手動で特定される。崩壊していない各粒子の粒径は、測定及び記録される。分布は、手動で計算される。このデータを使用して、スパン及び平均体積粒径(de Broucker平均、rsp.D[4/3])が計算される。計算では、乾燥ステップ中に崩壊する粒子は無視される。図4は、中空球体の体積平均寸法の計算を実行するために使用する写真の実施例である。図5は、酸コア粒子の体積平均寸法の計算を実行するために使用する写真の実施例である。酸コア粒子は、595nmのDv10、620nmのDv50、及び650nmのDv90を示し、平均体積粒径D[4/3]は、621nmであった。酸コア粒子は、スパン0.09を示した。酸コア粒子は、粒子の80体積パーセント超過が、平均体積粒径の10パーセント以内にあることを示した。中空球体は、1540nmのDv10、1640nmのDv50、1710nmのDv90、及び1632nmの平均体積粒径D[4/3]を示した。中空球体は、0.104のスパンを示した。中空球体は、粒子の80体積パーセント超過が、平均体積粒径D[4/3]の10パーセント以内(すなわち+/-5%)にあることを示した。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
ポリマー酸コアを調製するプロセスは、重合開始剤の存在下で実行され得る。重合開始剤は、フリーラジカル重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水溶性重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤であり得る。重合開始剤は、水、またはモノマーと水の混合物に、接触させられ得る。重合開始剤は、モノマーと水の混合物に接触させられ得る。水溶性重合開始剤は、開示されるモノマー系のフリーラジカル重合を開始する任意の水溶性重合開始剤であり得る。水溶性重合開始剤は、水性乳化重合で利用される任意の水溶性フリーラジカル重合開始剤であり得る。例示的な水溶性フリーラジカル重合開始剤としては、1つ以上の過酸化化合物、ジアゾ化合物、アルカリ金属過硫酸塩、またはこれらの混合物が挙げられる。例示的な水溶性フリーラジカル重合開始剤としては、過酸化水素;tert‐ブチルペルオキシド;ジアゾ開始剤;例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸リチウムなどのアルカリ金属過硫酸塩;過硫酸アンモニウム;及びこのような開始剤と還元剤との混合物が挙げられる。還元剤には、例えばアルカリ金属メタ重亜硫酸塩、ハイドロ亜硫酸塩、次亜硫酸塩などの亜硫酸塩;ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム;ならびに例えばアスコルビン酸及びイソアスコルビン酸などの還元糖が含まれる。水溶性重合開始剤は、1つ以上のアルカリ金属過硫酸塩を含み得る。水溶性重合開始剤は、効率的なやり方でポリマー酸コアを形成するのに十分な量で利用され得る。水溶性重合開始剤は、使用するモノマーの総量に基づき、約0.05重量パーセント以上、または約0.10重量パーセント以上の総量で存在し得る。水溶性重合開始剤は、使用するモノマーの総量に基づき、約1.0重量パーセント以下、約0.45重量パーセント以下、または約0.30重量パーセント以下の総量で存在し得る。重合開始剤は、乳化重合を開始する直前に重合反応器に供給され得る。モノマー装填物を水と接触させる前に、1つ以上の重合開始剤を水と接触させてもよい。1つ以上の重合開始剤及びモノマー装填物を、同時に水と接触させてもよい。モノマー混合物を水に加えた後に、1つ以上の重合開始剤を、モノマー装填物及び水と接触させてもよい。この接触は、反応器内で行われ得る。前述で開示されたように、1つ以上の重合開始剤は、可能な限りすばやくモノマー混合物及び水と接触させられ得る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
41.形成される前記生成物は、ボイドを取り囲む3つの層を有する前記シェルを備えた構造体であり、前記第1のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、前記第2のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、前記第2の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が、前記第1の層より低く、前記第3の層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを含み、前記第3の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記第2の層より低く、前記第1の層には、前記乾燥ポリマー酸コアが隣接し、前記ボイドは空気で充填される、実施形態27~40のいずれか1つに記載のプロセス。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
49.空気及び1つ以上のポリマーの乾燥ポリマー酸コアを取り囲むシェルを有する構造体を備えた組成物であって、前記1つ以上のポリマーは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約50重量パーセント有する1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーから成り、前記シェルは、1つ以上の層を有し、前記層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成るポリマーを含み、前記シェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約40重量パーセント含み、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、前記シェルの内側から外側へ向かって減少し、前記乾燥ポリマー酸コアの一部は、前記シェルの内側と接触し、前記構造体は、約200nm~2000nmの平均体積粒径を有し、前記粒子の80パーセントが、前記平均体積粒径の10パーセント以内に収まるような前記粒径分布であり、前記シェルの内側の前記ボイドの体積は、40パーセント以上である、前記組成物。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
実施例2
実施例1に開示されたものと同様の方法で、中空粒子が調製される。粒径分布に関して、酸コア粒子の一部が検査される。粒径分布に関して、中空球体の一部が検査される。酸コア粒子は、膨潤前に検査される。使用される手順は、以下の通りである。酸コア粒子及び中空球体は、乾燥され、走査型電子顕微鏡で検査され、写真を撮られる。FlexSEM 1000を使用して、粒子写真が生成される。崩壊していない粒子の粒径を計算できるように、倍率レベルが選択される。酸コア及び中空ラテックスの希釈サンプルが乾燥され、例えばアルミホイル上で乾燥され、Hitachi製MC1000イオンスパッタを使用してアルゴン雰囲気下で白金でスパッタリングされる(15mA、20秒)。粒径は、FlexSEM 1000ソフトウェア機能を使用して、手動で特定される。崩壊していない各粒子の粒径は、測定及び記録される。分布は、手動で計算される。このデータを使用して、スパン及び平均体積粒径(de Broucker平均、rsp.D[4/3])が計算される。計算では、乾燥ステップ中に崩壊する粒子は無視される。図4は、中空球体の体積平均寸法の計算を実行するために使用する写真の実施例である。図5は、酸コア粒子の体積平均寸法の計算を実行するために使用する写真の実施例である。酸コア粒子は、595nmのDv10、620nmのDv50、及び650nmのDv90を示し、平均体積粒径D[4/3]は、621nmであった。酸コア粒子は、スパン0.09を示した。酸コア粒子は、粒子の80体積パーセント超過が、平均体積粒径の10パーセント以内にあることを示した。中空球体は、1540nmのDv10、1640nmのDv50、1710nmのDv90、及び1632nmの平均体積粒径D[4/3]を示した。中空球体は、0.104のスパンを示した。中空球体は、粒子の80体積パーセント超過が、平均体積粒径D[4/3]の10パーセント以内(すなわち+/-5%)にあることを示した。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
a)酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの混合物を、水と高温で接触させることと、
b)1つ以上の重合開始剤を、前記水またはa)の前記混合物と接触させることであって、
前記モノマー混合物は、1回の装填で前記水と接触し、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の親水性非イオンエチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物から、ポリマー酸コア粒子が形成され、
前記モノマー混合物は、前記水と60秒以下で接触させられる、
前記接触させることと、
c)水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記ポリマー酸コア粒子の周りにシェル層が形成されるような条件下で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の不飽和親水性エチレン性モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子を接触させることと、
d)水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記粒子の周りに第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることであって、前記シェルの外側層が、前記粒子の周りに前記シェルの前記第1の層を有する前記粒子の周囲に形成され、前記外側層が、前記第1の層内の酸含有量より少ない酸含有量を有する、前記接触させることと、
e)前記ポリマー酸コア粒子が水を吸収して膨潤することにより、水圧で前記シェルを膨張させるような条件下で、前記ポリマー酸コア及び前記コアの周りに配置された前記シェル層を備えた前記粒子を、水中の塩基と接触させることと、
を含むプロセスであって、
形成される構造体は、水中に分散した中空ポリマー球体を含む、
前記プロセス。
[態様2]
水中に前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子の周りに前記シェルの前記第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることを含み、
前記外側層が形成される前に、前記ポリマー酸コア粒子の周りの前記シェルの前記第1の層の周囲に前記シェルの第2の層が形成される条件下で、前記混合物中の酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記シェルの前記第1の層を形成するために使用された濃度より低い、態様1に記載のプロセス。
[態様3]
酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物は、均質混合により接触させられる、態様1または2に記載のプロセス。
[態様4]
酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを含む、先行態様のいずれかに記載のプロセス。
[態様5]
乳化剤が前記水または前記モノマー混合物と接触させられ、前記乳化剤は、非イオン性乳化剤及び/または陰イオン性乳化剤である、先行態様のいずれかに記載のプロセス。
[態様6]
前記1つ以上の重合開始剤は、前記モノマー混合物及び前記水と、120秒以下で接触させられる、先行態様のいずれかに記載のプロセス。
[態様7]
前記モノマー混合物及び前記重合開始剤の温度は、約50℃~約100℃である、先行態様のいずれかに記載のプロセス。
[態様8]
前記重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤である、先行態様のいずれかに記載のプロセス。
[態様9]
ステップd)とステップe)は、ほぼ同時に開始される、態様12に記載のプロセス。
[態様10]
前記構造体は乾燥され、前記乾燥ポリマー酸コアの一部を含まない前記シェルの内側の体積の一部は、空気で充填される、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様11]
水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、外側層を形成するために、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーと、前記粒子の周りに前記1つまたは2つのシェル層を備えた前記粒子を接触させる期間は、前記粒子を水中の塩基と前記接触させることが止められた後も継続される、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様12]
前記シェル内の未反応モノマーの量が約200重量ppm未満になるまで、前記形成された膨潤シェル内の未反応モノマーの量を減少させるのに十分な期間、前記膨潤シェルを含む前記構造体を、前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤と接触させることを含む、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様13]
形成される前記生成物は、ボイドを取り囲む2つまたは3つの層を有する前記シェルを備えた構造体であり、
前記第1のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、
前記任意の第2のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、
前記コポリマーは、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が、前記第1の層より低く、
前記外側層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを含み、
前記第3の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記第2の層より低く、
前記第1の層には前記ポリマー酸コアが隣接し、前記シェルの内側にボイドが形成され、前記構造体は、1000nm~2000nmの平均粒径を有し、残留モノマーの濃度は、200ppm以下であり、前記シェルの内側の前記ボイドの体積は、40パーセント以上である、
先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様14]
モノマー対水の重量比は、1:4~1:20である、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様15]
膨潤前の前記コアの平均体積粒径は、約100nm~約1000nmである、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様16]
前記ステップで存在する前記乳化剤は、前記最終生成物の総モノマーに基づき、0~約0.5重量パーセントである、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様17]
前記ステップのすべては、同じ反応器内で行われ、前記反応器への供給物は、ステップごとに変更される、先行態様のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様18]
前記ステップのうちの1つ以上は、別個の反応器または反応器のゾーンで行われ、その反応器または前記反応器のゾーンへの前記供給物は、前のステップの前記反応混合物から形成された前記粒子を除去することなく、前記前のステップが行われた前記反応器から取得される、態様1~15のいずれか1項に記載のプロセス。
[態様19]
空気及び1つ以上のポリマーの乾燥ポリマー酸コアを取り囲むシェルを有する構造体を備えた組成物であって、
前記1つ以上のポリマーは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約50重量パーセント有する1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーから成り、
前記シェルは、1つ以上の層を有し、
前記層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成るポリマーを含み、
前記シェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約40重量パーセント含み、
酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、前記シェルの内側から外側へ向かって減少し、
前記乾燥ポリマー酸コアの一部は、前記シェルの内側と接触し、
前記構造体は、約1000nm~約2000nmの平均体積粒径を有し、
前記シェルの内側の空気の体積は、40パーセント以上であり、
前記粒子の90パーセントが前記平均体積粒径の10パーセント以内に収まるような粒径分布であり、
前記粒子内の残留モノマーレベルは、200重量ppm以下である、
前記組成物。
[態様20]
前記粒径は、拡大された走査型電子顕微鏡写真から特定され、崩壊していない粒子が測定され、測定された粒径から前記粒径分布が計算される、態様19に記載の組成物。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの混合物を、水と30℃以上及び100℃以下の温度で接触させることと、
b)1つ以上の重合開始剤を、前記水またはa)の前記混合物と接触させることであって、
前記モノマー混合物は、1回の装填で前記水と接触し、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の親水性非イオンエチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物から、ポリマー酸コア粒子が形成され、
前記モノマー混合物は、前記水と60秒以下で接触させられる、
前記接触させることと、
c)水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、前記ポリマー酸コア粒子の周りにシェル層が形成されるような条件下で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子を接触させることと、
d)水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記粒子の周りに第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることであって、前記シェルの外側層が、前記粒子の周りに前記シェルの前記第1の層を有する前記粒子の周囲に形成され、前記外側層が、前記第1の層内の酸含有量より少ない酸含有量を有する、前記接触させることと、
e)前記ポリマー酸コア粒子が水を吸収して膨潤することにより、水圧で前記シェルを膨張させるような条件下で、前記ポリマー酸コア及び前記コアの周りに配置された前記シェル層を備えた前記粒子を、水中の塩基と接触させることと、
を含むプロセスであって、
形成される構造体は、水中に分散した中空ポリマー球体を含む、
前記プロセス。
【請求項2】
水中に前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上と、前記ポリマー酸コア粒子の周りに前記シェルの前記第1の層を有する前記ポリマー酸コア粒子を接触させることを含み、
前記外側層が形成される前に、前記ポリマー酸コア粒子の周りの前記シェルの前記第1の層の周囲に前記シェルの第2の層が形成される条件下で、前記混合物中の酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記シェルの前記第1の層を形成するために使用された濃度より低い、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーの前記混合物は、均質混合により接触させられる、請求項に記載のプロセス。
【請求項4】
酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
乳化剤が前記水または前記モノマー混合物と接触させられ、前記乳化剤は、非イオン性乳化剤及び/または陰イオン性乳化剤である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記1つ以上の重合開始剤は、前記モノマー混合物及び前記水と、120秒以下で接触させられる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記モノマー混合物及び前記重合開始剤の温度は、約50℃~約100℃である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記重合開始剤は、水溶性フリーラジカル重合開始剤である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップd)とステップe)は、ほぼ同時に開始される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記構造体は乾燥され、前記乾燥ポリマー酸コアの一部を含まない前記シェルの内側の体積の一部は、空気で充填される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
水中に乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤が存在する状態で、外側層を形成するために、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーと、前記粒子の周りに前記1つまたは2つのシェル層を備えた前記粒子を接触させる期間は、前記粒子を水中の塩基と前記接触させることが止められた後も継続される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
湿潤ラテックス中の未反応モノマーの量が約200重量ppm未満になるまで、水中に分散された前記中空ポリマー球体中の未反応モノマーの量を減少させるのに十分な期間、膨潤した前記シェルを含む前記構造体を、前記乳化剤及び前記1つ以上の重合開始剤と接触させることを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
形成される前記生成物は、ボイドを取り囲む2つまたは3つの層を有する前記シェルを備えた構造体であり、
前記第1のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、
前記任意の第2のシェル層は、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、ならびに任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー及び/または1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のポリマーを含み、
前記第2の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの百分率が、前記第1の層より低く、
前記外側層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、前記1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーから成る1つ以上のコポリマーを含み、前記第3の層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度が、前記第2の層より低く、
前記第1の層には前記ポリマー酸コアが隣接し、前記シェルの内側にボイドが形成され、前記構造体は、700nm~2000nmの平均体積粒径を有し、残留モノマーの濃度は、200ppm以下であり、前記シェルの内側の前記ボイドの体積は、前記中空ポリマー球体の体積に基づき40パーセント以上である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ステップaで存在する前記乳化剤は、前記最終生成物の総モノマーに基づき、0~約1.0重量パーセントである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
空気及び1つ以上のポリマーの乾燥ポリマー酸コアを取り囲むシェルを有する構造体を備えた組成物であって、
前記1つ以上のポリマーは、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマー、及び任意で酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約50重量パーセント有する1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマーから成り、
前記シェルは、1つ以上の層を有し、
前記層は、酸性官能基を有する1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマー、1つ以上の疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び1つ以上の非イオン親水性エチレン性不飽和モノマーのうちの1つ以上から成るポリマーを含み、
前記シェル層は、酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーを最大約40重量パーセント含み、
酸性官能基を有する前記1つ以上の親水性エチレン性不飽和モノマーの濃度は、前記シェルの内側から外側へ向かって減少し、
前記乾燥ポリマー酸コアの一部は、前記シェルの内側と接触し、
前記構造体は、約700nm~2000nmの平均体積粒径を有し、
前記シェルの内側の空気の体積は、前記中空ポリマー球体の体積に基づき40パーセント以上であり、
前記粒子の90パーセントが前記平均体積粒径の10パーセント以内に収まるような粒径分布であり、
前記粒子内の残留モノマーレベルは、200重量ppm以下であ
前記粒径は、拡大された走査型電子顕微鏡写真から特定され、
崩壊していない粒子が測定され、測定された粒径から前記粒径分布が計算される、
前記組成物。
【国際調査報告】