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▶ ヘーエーアー プロセス エンジニアリング ナームロゼ フェンノートシャップの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】タブレット成型機
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/02 20060101AFI20240221BHJP
   B30B 11/08 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B30B11/02 F
B30B11/08 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555340
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2021056045
(87)【国際公開番号】W WO2022188965
(87)【国際公開日】2022-09-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514308782
【氏名又は名称】ヘーエーアー プロセス エンジニアリング ナームロゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ディルク クリスティアンス
(72)【発明者】
【氏名】イーフォ ファン デン モーテル
(72)【発明者】
【氏名】クーン ファン デ フォールデ
(57)【要約】
本発明は、回転軸を有する回転タレットを備えるタブレット成型機(2)に関する。該タブレット成型機(2)は、往復運動する上パンチ(12)を備えた上レセプタクル体(10)と、往復運動する下パンチ(22)を備えた下レセプタクル体(20)と、ダイテーブル(30)と、ダイインサート(40)と、を備え、ダイテーブル(30)は、受入れ用凹所(32)を備えており、ダイインサート(40)はその内部に配置され、ダイインサート(40)及び受入れ用凹所(32)は、相補的な形状を有しており、各ダイインサート(40)は、ダイインサートの外径(N)を有する少なくとも1つの円筒形外側表面(44、46)を備えており、その表面(44、46)は、対応する受入れ用凹所(32)の内側表面(34、36)に面し、各ダイインサート(40)は、一対の加工用穴(42)を備え、直接的に隣接した一対の上パンチ(12)が、使用時には、一対の加工用穴(42)の内部でそれぞれ往復運動し、かつ、対応する直接的に隣接した一対の下パンチ(12)が、使用時には、一対の加工用穴(42)の内部でそれぞれ往復運動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有する回転タレットを備えるタブレット成型機(2)であって、前記タブレット成型機(2)は、
往復運動する上パンチ(12)を備えた上レセプタクル体(10)と、
往復運動する下パンチ(22)を備えた下レセプタクル体(20)と、
ダイテーブル(30)と、
ダイインサート(40)と、を備え、
前記ダイテーブル(30)は、受入れ用凹所(32)を備えており、前記ダイインサート(40)はその内部に配置され、
前記ダイインサート(40)及び前記受入れ用凹所(32)は、相補的な形状を有しており、
各ダイインサート(40)は、ダイインサートの外径(N)を有する少なくとも1つの円筒形外側表面(44、46)を備えており、前記表面(44、46)は、対応する前記受入れ用凹所(32)の内側表面(34、36)に面する、タブレット成型機(2)において、
各ダイインサート(40)が、一対の加工用穴(42)を備え、直接的に隣接した一対の上パンチ(12)が、使用時には、前記一対の加工用穴(42)の内部でそれぞれ往復運動し、かつ、対応する直接的に隣接した一対の下パンチ(12)が、使用時には、前記一対の加工用穴(42)の内部でそれぞれ往復運動する、ことを特徴とする、タブレット成型機(2)。
【請求項2】
上パンチ(12)又は下パンチ(22)の各々が、対応する前記加工用穴(42)の内部で往復運動するように適合された単一の先端部(14、24)を備える、請求項1に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項3】
上パンチ(12)又は下パンチ(22)の各々が、一体的な部品である、請求項1又は2に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項4】
前記一対の加工用穴(42)が、前記回転軸を中心とした周方向に配置される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項5】
前記一対の加工用穴(42)が、対応する前記ダイインサート(40)の上面(45)及び下面(47)上で開口した一対の貫通した穴である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項6】
前記ダイテーブル(30)が、上面(35)及び下面(37)を備え、各ダイインサートの上面(45)が、前記ダイテーブルの上面(35)と同一平面である、請求項5に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの円筒形外側表面(44、46)が、第1円筒形外側表面(44)と、前記第1表面(44)の下側に位置する第2筒形外側表面(46)と、を含み、前記第1表面(44)及び前記第2表面(46)は、同一の前記外径(N)を有する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項8】
各ダイインサート(40)が、前記第1円筒形外側表面(44)と前記第2円筒形外側表面(46)の間に位置する環状外側溝部(48)を備える、請求項7に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項9】
各ダイインサート(40)が、外側側表面を有し、前記外側側表面の寸法は、ISO 18084:2011(E)規格の要件を満たす、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項10】
各ダイインサート(40)が、加工用穴(42)を2つのみ備える、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項11】
前記加工用穴(42)の数が、前記ダイインサート(40)の数の2倍である、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項12】
各受入れ用凹所(32)内で、前記内側表面は、第1円筒形内側表面(34)であり、前記第1円筒形内側表面(34)は、前記凹所(32)の第2円筒形内側表面(36)の上方に位置し、前記第1表面(34)及び前記第2表面(36)は、同一の直径を有する、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの外側表面(44、46)の直径が、38.1mm、30.16mm、24mm、又は21mm、の中から選択された値である、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項14】
上パンチ(12)又は下パンチ(22)の各々が、前記パンチ(12、22)をそれぞれ前記上レセプタクル体(10)又は前記下レセプタクル体(20)内で動かすための、胴部分(16、26)を備えており、前記胴部分(16、26)は、胴径(D1)を有する筒形外側表面を備えており、前記胴径は、前記ダイインサートの外径(N)の45%よりも小さい、請求項1ないし13のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項15】
前記胴径(D1)が、14mmよりも小さく、より好ましくは12.5mmよりも小さい、請求項1ないし14のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項16】
前記下パンチの先端部又は前記上パンチの先端部の直径が、前記胴径(D1)以下の大きさである、請求項1ないし15のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項17】
各ダイインサート(40)が、一体的な部品である、請求項1ないし16のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項18】
各ダイインサート(40)が、前記回転軸に平行な方向で挿入されるように適合されている、請求項1ないし17のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの円筒形外側表面(44、46)が、前記一対の加工用穴(42)を取り囲む、請求項1ないし18のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項20】
前記内側表面(44、46)が、閉じた表面である、請求項1ないし19のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項21】
各ダイインサート(40)が、さらなる加工用穴(42)を備え、前記一対の加工用穴(42)及び前記さらなる加工用穴(42)が、同一のピッチ円上に配置される、請求項1、請求項2、請求項4ないし9、及び請求項11ないし20、のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【請求項22】
前記下パンチ(22)又は前記上パンチ(12)の数が、前記ダイインサート(40)の数の正の整数倍である、請求項1ないし21のいずれか一項に記載のタブレット成型機(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転タレットを備えるタブレット成型機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、タブレット成型機の、特に回転式タブレットプレス機の、生産能力の向上に関する。生産能力は、達成可能なプレス速度、及び、ピッチ円上で収容され得るパンチの数に依存する。
【0003】
従来、より多くのパンチをピッチ円上で収容するために、ツーリング(例えば、パンチ)の寸法を減少させて業界標準を下回らせ、それによって生産能力を向上させることで、上記の課題に対処することが提案されてきた(例えば、特許文献1)。このツーリングは、非標準ツーリングとも定義される。このアプローチに関連付けられた欠点は、ダイインサートが小さくなりすぎることであり、このことは、変形、及び固定の困難さ、に繋がる。
【0004】
これらの変形/固定法の課題に対処するために、交換可能なダイプレートを導入することが提案されてきた。このダイプレートは、該ダイプレート内に直接設けられたダイ穴を有するものであり、それによって、小型の交換可能なダイの使用を防ぐことができる(例えば、特許文献2)。しかしながら、この解決方法は、小さなピッチ円直径を有する回転式タブレットプレス機への適用可能性が限定的であるという欠点を有する。実際、重量あるテーブルは容易には操作できない。代わりに、特許文献3に開示されているように、セグメント化された交換可能なダイプレートが開発されている。しかしながら、所定のピッチ円上のパンチの数を増加させるためには、ダイ穴が上下パンチの先端部に合致することを確実にするためのみならず、正確な本体部の直径を保証するためにも、厳格な公差が要求される。
【0005】
回転式タブレットプレス機のアウトプット能力の向上のための代替案として、同一のパンチ上に複数の先端部を備えたツーリングが、特許文献4で提案されてきた。特許文献4は、請求項1の前提部分の特徴を開示している。この古い(1915年の)文献は、3つの先端部が、単一の交換可能なダイインサート上に配置された3つの対応するダイ穴とともに整列していることを示している。しかしながら、圧縮プロセス中に個々のタブレットの重量を評価することが不可能であること、及び複雑さの増加により、このアプローチでアウトプット能力を向上させることへの興味は減じられ得る。
【0006】
特許文献4(図2参照)と同様に、特許文献5は、単一のダイインサート上に配置された少なくとも2つ又はそれより多くの穴を備える、交換可能なダイインサートを提案している。後者の文献が前者の文献に対して異なっている点としては、後者が、ダイインサートのための特定の形状を、即ち、マンドレル(即ち、円形)に代わる円弧形及び/又は実質的に腎臓形(kidney-shaped)の設計のダイインサートを、画定している点のみならず、特許文献4の目的が特許文献5の目的と異なっているという点も挙げられる。実際、円弧形のインサートであることの論拠は、装着時間の短縮、ならびに、保守及び洗浄の改善にある。従って、特許文献5は、他の問題の解決を求めているのである。さらに、特許文献5で概略が示されている解決方法は、新たな開発及びスケールメリットの縮減を伴う、新たなダイインサートの固定の解決方法を必要とする。これは、ダイインサートの固定の解決方法が、標準ダイインサートの固定の解決方法とは共有され得ないがゆえである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0269433号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/112886号
【特許文献3】欧州特許第1316411号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第191507881号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0145468号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の欠点に対処することであり、特に、容量が大きくかつ堅牢なダイテーブルであって、好ましくは標準ダイインサートの固定の解決方法に互換性がある、ダイテーブルを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様において、この目的及びさらなる目的は、以下の、回転軸を有する回転タレットを備えるタブレット成型機によって、達成される。該タブレット成型機は、往復運動する上パンチを備えた上レセプタクル体と、往復運動する下パンチを備えた下レセプタクル体と、ダイテーブルと、ダイインサートと、を備え、ダイテーブルは、受入れ用凹所を備えており、ダイインサートはその内部に配置され、ダイインサート及び受入れ用凹所は、相補的な形状を有しており、各ダイインサートは、ダイインサートの外径を有する少なくとも1つの円筒形外側表面を備えており、その表面は、対応する受入れ用凹所の内側表面に面し、各ダイインサートは、一対の加工用穴を備え、直接的に隣接した一対の上パンチが、使用時には、一対の加工用穴の内部でそれぞれ往復運動し、かつ、対応する直接的に隣接した一対の下パンチが、使用時には、一対の加工用穴の内部でそれぞれ往復運動する。
【0010】
各ダイインサート内にそのような一対の加工用穴を設けることにより、該ダイインサートを受入れ用ダイテーブル内に固定するために従来から用いられている標準固定法を維持しつつ、加工用穴の数を増加させることが可能になる。このようにすることで、標準固定法の使用から直接的に利益を得ることができる。このことは、多くの理由から有利であり、特に入手性、コスト、及び機械的安定性の点において有利である。
【0011】
「一対の加工用穴」という用語は、単一のダイインサート内に存在する少なくとも2つの加工用穴を包含することを意味するが、しかしながら、各ダイインサート内に2つのみの加工用穴が存在する実施形態が好ましい、ということには留意されたい。
【0012】
本発明の特定の実施形態によれば、上記タブレット成型機は、以下のより多くの技術的特徴のうち1つを備える。該特徴は、任意のやり方で互いに組み合わせられ得ることに、留意されたい。
上パンチ又は下パンチの各々が、対応する加工用穴の内部で往復運動するように適合された単一の先端部を備える。
上パンチ又は下パンチの各々が、一体的な部品である。
一対の加工用穴が、回転軸を中心とした周方向に配置される。
一対の加工用穴が、対応するダイインサートの上面及び下面上で開口した一対の貫通した穴である。
ダイテーブルが、上面及び下面を備え、各ダイインサートの上面が、ダイテーブルの上面と同一平面である。
各ダイインサートの下面が、ダイテーブルの下面と同一平面である。
少なくとも1つの円筒形外側表面が、第1円筒形外側表面と、この第1表面の下側に位置する第2筒形外側表面と、を含み、これらの第1表面及び第2表面は、同一の外径を有する。
各ダイインサートが、第1円筒形外側表面と第2円筒形外側表面の間に位置する環状外側溝部を備える。
各ダイインサートが、外側側表面を有し、外側側表面の寸法は、ISO 18084:2011(E)規格の要件を満たす。
各ダイインサートが、加工用穴を2つのみ備える。
加工用穴の数が、ダイインサートの数の2倍である。
上パンチの数が、ダイインサートの数の2倍である。
下パンチの数が、ダイインサートの数の2倍である。
各受入れ用凹所内で、内側表面は、第1円筒形内側表面であり、第1円筒形内側表面は、凹所の第2円筒形内側表面の上方に位置し、これらの第1表面及び第2表面は、同一の直径を有する。
少なくとも1つの外側表面の直径が、38.1mm、30.16mm、24mm、又は21mm、の中から選択された値である。
上パンチ又は下パンチの各々が、パンチをそれぞれ上レセプタクル体又は下レセプタクル体内で動かすための、胴部分を備えており、胴部分は、胴径を有する筒形外側表面を備えており、胴径は、ダイインサートの外径の45%よりも小さい。
胴径が、14mmよりも小さく、より好ましくは12.5mmよりも小さい。
下パンチの先端部又は上パンチの先端部の直径が、胴径以下である。
各ダイインサートが、一体的な部品である。
各ダイインサートが、回転軸に平行な方向で挿入されるように適合されている。
少なくとも1つの円筒形外側表面が、一対の加工用穴を取り囲む。
少なくとも1つの円筒形外側表面が、少なくとも330度の円弧にわたって、好ましくは360度にわたって、延在している。
内側表面が、閉じた表面である。
各ダイインサートが、さらなる加工用穴を備え、一対の加工用穴及びさらなる加工用穴が、同一のピッチ円上に配置される。
下パンチの数が、ダイインサートの数の正の整数倍である。
上パンチの数が、ダイインサートの数の正の整数倍である。
上パンチ又は下パンチの各々が、対応する加工用穴の内部で往復運動するように適合された2つの先端部を備える。
上パンチの先端部は、2つの異なるピッチ円に沿って配置され、かつ/又は、下パンチの先端部は、2つの異なるピッチ円に沿って配置される。
各ダイインサートが、さらなる一対の加工用穴を備え、第1及び第2の上パンチに属する2つの先端部が、使用時には、上記さらなる一対の加工用穴の内部でそれぞれ往復運動し、第1及び第2の上パンチに属する他の2つの先端部が、使用時には、上記ダイインサートに属する上記一対の加工用穴の内部でそれぞれ往復運動する。
各ダイインサートが、さらなる一対の加工用穴を備え、第1及び第2の下パンチに属する2つの先端部が、使用時には、上記さらなる一対の加工用穴の内部でそれぞれ往復運動し、第1及び第2の下パンチに属する他の2つの先端部が、使用時には、上記ダイインサートに属する上記一対の加工用穴の内部でそれぞれ往復運動する。
【0013】
以下の記述において、本発明の実施形態は、図面を参照しつつ記述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、先行技術に係る、単一の先端部のパンチを有するタブレット成型機の例を開示している。
図2図2は、先行技術に係る、複数の先端部のパンチを有するタブレット成型機の例を開示している。
図3図3は、本発明に係るタブレット成型機の実施形態と先行技術に係るタブレット成型機の例の間での比較を開示している。
図4図4は、先行技術に係る下パンチの例(標準ツーリング)を開示している。
図5A図5Aは、先行技術に係るパンチの例(非標準ツーリング)を開示している。
図5B図5Bは、先行技術に係るパンチの例(非標準ツーリング)を開示している。
図6図6は、先行技術に係るダイインサートの例(標準ツーリング)を開示している。
図7A図7Aは、本発明に係るダイインサートの実施形態を開示している。
図7B図7Bは、本発明に係るダイインサートの実施形態を開示している。
図7C図7Cは、本発明に係るダイインサートの実施形態を開示している。
図8A図8Aは、パンチ及びダイインサートを有していない状態の、本発明に係る回転タレットの実施形態を開示している。
図8B図8Bは、ダイインサートを有している状態の、図8Aの回転タレットの実施形態を開示している。
図9A図9Aは、本発明に係るダイテーブル及びパンチの断面図を開示している。
図9B図9Bは、本発明に係る、対向させられたパンチの側面図を開示している。
図10A図10Aは、本発明の実施形態の平面図を示している。
図10B図10Bは、図10Aの、ダイインサートを有していない状態の、Y-Y線に沿った横断面図である。
図10C図10Cは、図10Aの、ダイインサートを有している状態の、Y-Y線に沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しつつ、本発明がより詳細に記述される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得るのであって、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供されるのである。
【0016】
以下の記述においては、先行技術の要素であって、後続の本発明の実施形態にあるような機能に対応する機能を持つ対応要素を有する、先行技術の要素は、理解を容易にするために、同一の参照符号に「P」を冠して示されているが、しかしながら、これは、そのような要素は互いに差別化されないと解釈されるものではない。
【0017】
図1は、技術水準に係る、タブレット成型機P2の横断面図を開示している。このタブレット成型機は、往復運動する上パンチP12を備えた上レセプタクル体P10と、往復運動する下パンチP22を備えた下レセプタクル体P20と、複数の交換可能なダイインサートP40を備えたダイテーブルP30と、を含む。図示されているダイインサートP40は、加工用穴P42を含む。ダイインサートP40は、形状嵌合式に、その受入れ用凹所P32内に配置される。運転中には、上レセプタクル体P10、下レセプタクル体P20、及びダイテーブルP30は、垂直に延びる回転軸を中心として同期的に回転する。上レセプタクル体P10、下レセプタクル体P20、及びダイテーブルP30は、タブレット成型機P2の回転タレットを形成する。タブレット成型機のステータ要素は、図1には示されていない。典型的には、パンチP12、P22が、上レセプタクル体P10及び下レセプタクル体P20それぞれとともに回転する場合、該ステータ要素は、上パンチP12及び下パンチP22をそれぞれ動作させる、上カムプロファイル及び下カムプロファイルのガイド又はローラを含む。上パンチP12及び下パンチP22は、端表面P18、P28を備えてよく、該端表面P18、P28は、対応するカムプロファイルのガイド表面上をスライドするか、又は、対応するカムプロファイルのローラ表面上を回転する。上パンチP12又は下パンチP22の反対側の端(先端部)P14、P24は、対応する加工用穴P42の内部で往復運動できる。運転中には、粉末組成物は、例えば、(図示されていない)フィーダアセンブリによって供給される。そして、該粉末組成物は、対応する上パンチP12及び下パンチP22の端(先端部)、及び対応する加工用穴P42の内側側表面、によって画定される可変な容積内に閉じ込められる。少なくとも1回の回転サイクルの間に、2つの対向させられた上パンチP12と下パンチP22の端(先端部)は、互いに接近し、かつ、粉末組成物を圧縮して、例えばタブレットを形成する。そして、この形成されたタブレットは、加工用穴から排出される。例えば、対応する上パンチの先端部の端が、その加工用穴から引き出され、自由な開口が残される一方、対応する下パンチの端は上方へ、そして好ましくは対応するダイの上表面よりも高くへ、運動し、形成されたタブレットは、加工用穴P42の外へと押し出される。そして、該タブレットを他の位置へと、例えば出口へと、移すことができる。ひとたび加工用穴P42が自由になったならば、該加工用穴P42を再び粉末混合物で充填することができる。
【0018】
図2は、図1のタブレット成型機の代替案を開示している。図2のタブレット成型機においては、上パンチP12及び下パンチP22は、3つの先端部を受入れるように適合されており、収容能力が高められている。3つの先端部の自由な端は、3つの対応する加工用穴P42の内部で往復運動できる。この設計では、複雑さの増加に伴い、圧縮プロセス中に個々のタブレットの重量をよく評価することが不可能であり、それにより、このアプローチでアウトプット能力を向上させることへの興味は減じられてしまう。
【0019】
図3は、技術水準の他の例(図1に示されていたような固定ピンfを有していない)に係るタブレット成型機と、本発明のタブレット成型機と、を比較する概略図を開示している。図3における先行技術のタブレット成型機、及び本発明の成型機は、ダイインサートの外側側表面を共通して有している。本発明は、同一のインサート40内に配置された2つの加工用穴42とそれぞれ並んだ、単一の先端部を有する2つの上パンチ12/下パンチ22を組み合わせているという点で、技術水準とは異なっている。本発明により、ダイインサート36を受入れ用ダイテーブル30内に固定するために従来から用いられている標準固定法を維持しつつ、加工用穴42の数を増加させることが可能になる。従って、本発明の解決方法は、標準固定法の使用から、特にその機械的安定性から、直接的に利益を得ることができる。換言すれば、先行技術(例えば、特許文献5)において提案されているような、ダイインサートを固定するための追加のねじ又は組立ウェブ(assembly web)は、必要ではない。
【0020】
図3は、右側では、本発明に係るタブレット成型機2の部分的な横断面図を開示している。この成型機2は、往復運動する上パンチ12を備えた上レセプタクル体10(図示していない)と、往復運動する下パンチ22を備えた下レセプタクル体20(図示されていない)と、複数の交換可能なダイインサート40を備えたダイテーブル30と、を含む。図示されているダイインサート40は、2つの加工用穴42を含む。ダイインサート40は、形状嵌合式に、その受入れ用凹所32内に配置される。運転中には、上レセプタクル体10(図示されていない)、下レセプタクル体20(図示されていない)、及びダイテーブル30は、垂直に延びる回転軸を中心として同期的に回転する。上レセプタクル体10(図示されていない)、下レセプタクル体20(図示されていない)、及びダイテーブル30は、タブレット成型機2の回転タレットを形成する。タブレット成型機のステータ要素は、図3には示されていない。典型的には、パンチ12、22が、上レセプタクル体10(図示されていない)及び下レセプタクル体20(図示されていない)それぞれとともに回転する場合、該ステータ要素は、上パンチ12及び下パンチ22をそれぞれ動作させる、上カムプロファイル及び下カムプロファイルのガイド又はローラを含む。上パンチ12及び下パンチ22は、端表面18、28を備えてよく、該端表面18、28は、対応するカムプロファイルのガイド表面上をスライドするか、又は、対応するカムプロファイルのローラ表面上を回転する(図示されていない)。上パンチ12又は下パンチ22の反対側の端(先端部)14、24は、対応する加工用穴42の内部で往復運動できる。運転中には、粉末組成物は、例えば、フィーダアセンブリ(図示されていない)によって供給される。そして、該粉末組成物は、対応する上パンチ12及び下パンチ22の端(先端部)、及び対応する加工用穴42の内側側表面、によって画定される可変な容積内に閉じ込められる。少なくとも1回の回転サイクルの間に、2つの対向させられた上パンチ12と下パンチ22の端(先端部)は、互いに接近し、かつ、粉末組成物を圧縮して、例えばタブレットを形成する。そして、この形成されたタブレットは、加工用穴から排出される。例えば、対応する上パンチの先端部の端が、その加工用穴から引き出され、自由な開口が残される一方、対応する下パンチの端は上方へ、そして好ましくは対応するダイの上表面よりも高くへ、運動し、形成されたタブレットは、加工用穴42の外へと押し出される。そして、該タブレットを他の位置へと、例えば出口へと、移すことができる。ひとたび加工用穴42が自由になったならば、該加工用穴42を再び粉末混合物で充填することができる。
【0021】
さらに、本発明のパンチは、先行技術のパンチ(例えば、ISO 18084:2011(E)に準拠して画定されたパンチ)よりも薄く、より多くの数をピッチ上で収容することができる。従って、本発明のパンチは、嵩張るところが少なく、慣性力を低減することができる。有利には、選択されたパンチ12、22は、胴径(表1においてはD1と呼称される)であって、ISO 18084:2011(E)で対面する小さい方のD1値よりも、即ち19mmよりも、小さい胴径を有する。この胴径は、好ましくは14mm未満であり、より好ましくは、12.5mm未満である。
【0022】
図4は、ISO 18084:2011(E)規格に準拠した下パンチを示している。D1等の幾つかの参考径が、以下の表1に示されている。下パンチの先端部の直径はユーザによって選択されるのであり、従って、この規格で画定されてはいないことは、注意されるべきである。
【0023】
典型的には、下パンチ又は上パンチの先端部の直径は、胴径D1以下の大きさである。
【表1】
【0024】
下パンチ/上パンチがISO 18084:2011(E)の要件を満たすことは、強制ではない。例えば、欧州特許第2111972号明細書は、その内容が本発明の要求に組み込まれるべきものだが、ISO 18084:2011(E)に準拠していないパンチの例を示している。これらのパンチは、非標準ツーリングとしても知られている。
【0025】
有利には、本発明に係るダイインサート(「ダイ」としても知られている)の外形は、ISO 18084:2011(E)の要件を満たしている。ISO 18084:2011(E)は単一の加工用穴のダイインサート40を画定しているが、本発明は2つの加工用穴の解決方法に関する、ということは、注意されるべきである。
【0026】
図6は、ISO 18084:2011(E)に準拠した1つの穴を有する典型的なダイインサート40を示しており、さらに、表2は、ダイインサートの外径(N)等の参考値を示している。
【表2】
【0027】
図7A、7B及び7Cは、本発明に係る、穴42を2つのみ有するダイインサート40を示している。
【0028】
図7Aは、ダイインサート40の平面図を示している。2つの貫通した穴42が、対称面の両側上に配置されている。好ましくは、2つの貫通した穴42は、ダイインサート40の中心を通過する円弧に沿って、対称に配置される。
【0029】
図7Bは、ダイインサート42の断面図を表しており、図7Cは、側面図を開示している。上述されたように、その外形は、ISO 18084:2011(E)の要件を満たすことができる。両方の穴の内形もまた、単一の穴を有するダイインサートを画定するこの規格の要件に従うことができる。
【0030】
図8Aは、ダイインサート40が上記テーブル30上に配置されていないときの、本発明に係る上レセプタクル体10、ダイテーブル30、及び下レセプタクル体20の部分図を表している。
【0031】
図8Bは、ダイインサートが凹所32内に配置されているという点においてのみ、図8Aと異なっている。ロック用ピンが、ダイテーブル30の(外側)側表面上に開口した半径方向穴33内へとねじ留めされ得る。ダイテーブルの上面35は、ダイインサートの上面45と同一平面である。ダイテーブルの下面37もまた、ダイインサートの下面と同一平面であってよい。
【0032】
ここで、ダイテーブル30の可能な実施形態の平面図を表す図10Aを簡単に参照すると、半径方向穴33の位置が示されている。図10Bは、ダイインサートを有さない状態の、平面Y-Yに沿った横断面図を表しており、そして、図10Cは、ダイインサート40を含む横断面図を表している。ダイプレート38が、ダイテーブルの下面37上に取付けられており、このダイプレート38は、下面47をダイテーブルの下面37に整列させることにより、半径方向穴の開口内におけるダイインサートの垂直位置を画定する。図示された位置にあるダイプレート38は、ダイインサート40の下面47がダイテーブルの下面37と同じ高さになるように位置決めされているが、ダイプレート38がダイインサートを明確に画定された垂直位置に確実に位置決めする限りにおいては、他の構成も考えられる。ダイプレート38内の追加の凹所を含む、追加的な位置決め手段が存在してもよいし、又は、ダイプレート38が受入れ用凹所32内へと突出していてもよい。
【0033】
受入れ用凹所32の内側表面34、36は、図10B、10Cにも見ることができ、受入れ用凹所32の内側表面34は、上側又は第1円筒形内側表面を構成し、かつ、受入れ用凹所32の内側表面36は、下側又は第2円筒形内側表面を構成する。
【0034】
図9Aは、加工用穴42の内部で往復運動するパンチ12、22の周方向の列の断面図を表している。
【0035】
図9Bは、上パンチ12及び下パンチ22の側面図を示している。上パンチ12/下パンチ22は、対応する加工用穴42のうち1つ(図9Bには示されていない)の内部で往復運動するように適合された、単一の先端部14、24を備える。上パンチ12/下パンチ22は、上レセプタクル体10又は下レセプタクル体20内にそれぞれ形成された相補的な穴(図9Bには示されていない)の内部で往復運動するように適合された、胴部分16、26を備える。胴部分16、26は、胴径「D1」を有する筒形外側表面を備える。「D1」という名称は、本発明に係る非標準パンチ12、22を標準パンチと比較できるように、用いられている。「D1」という名称の使用は、あたかもISO 18084:2011(E)がパンチ12、22の形状全体を画定しているかのように解釈されるべきではない。胴部16、26は、有利には、ダイインサートの外径の直径の、即ち直径Nの、45%よりも小さい胴径D1を有し得ることが発見されている。「D1」という名称に関連して、「N」という名称は、本発明に係る(2つの穴を有する)非標準ダイインサート40を、1つの穴を有する標準インサートと比較できるように、用いられている。「N1」という名称の使用は、あたかもISO 18084:2011(E)がダイインサートの形状全体を画定しているかのように解釈されるべきではない。上限値が45%であれば、2つの貫通した穴42が機械的抵抗性の顕著な低下を生じないということが、予見され得る。さらに、2つの貫通した加工用穴42の間には、十分な材料が存在している。同様に、貫通した穴とダイインサート40の(外側)側表面44、46の間にもまた、十分な材料が存在している。
【0036】
加工用穴の数は、好ましくは2つに制限される。しかしながら、3つの加工穴を、さらに多い、4つの加工用穴さえをも有するダイインサートが、予見され得る。
【0037】
ダイインサートの数とパンチの数の間の非対称性を軸とする本発明は、複数の先端部を有するパンチに対して一般化することができ、その際には、ダイインサート1つあたりの加工用穴の数は、先端部の数だけ乗算される。圧縮プロセス中の個々のタブレットの重量を評価することが不可能であることにより、複数先端部の解決方法は、単一先端部の解決方法よりも魅力が少なくなるとしても、複数の先端部を有する上記のパンチの使用は、依然として、複数の先端部を有するパンチを使用する既存のタブレット成型機に対する、容易には想到し得ない代替的な解決方法であると見做すことができる。さらに、該タブレット成型機は、単一又は複数の先端部を有するパンチを用いることができ、モジュール性を提供する。
【符号の説明】
【0038】
2 タブレット成型機
10 上レセプタクル体
12 上パンチ
14 上パンチの先端部
16 上パンチの胴部
18 上パンチのヘッド部
20 下レセプタクル体
22 下パンチ
24 上パンチの先端部
26 上パンチの胴部
28 上パンチのヘッド部
30 ダイテーブル
32 受入れ用凹所
33 半径方向穴
34 (上側又は第1)円筒形内側表面
35 ダイテーブルの上面
36 (下側又は第2)円筒形内側表面
37 ダイテーブルの下面
38 ダイプレート
40 ダイインサート
42 ダイインサート穴
44 (第1又は上側)筒形外側表面
45 ダイインサートの上面
46 (第2又は下側)円筒形外側表面
47 ダイインサートの下面
48 環状外側溝部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
【国際調査報告】