(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】刺繍機のための布地の締付けフレーム及びそのフレームを備える刺繍機
(51)【国際特許分類】
D05C 9/04 20060101AFI20240221BHJP
D05C 5/04 20060101ALI20240221BHJP
D05B 39/00 20060101ALI20240221BHJP
D05B 19/16 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
D05C9/04
D05C5/04
D05B39/00
D05B19/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555350
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2022053027
(87)【国際公開番号】W WO2022189084
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005705
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514038672
【氏名又は名称】モンクレール ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】バルバラ スカッポチン
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト アルサント
(72)【発明者】
【氏名】デニス クディネッリ
【テーマコード(参考)】
3B150
4L044
【Fターム(参考)】
3B150AA15
3B150CB04
3B150CC01
3B150CE21
3B150CE24
3B150EB03
3B150EB09
3B150EB13
4L044AA10
4L044AA12
4L044AA20
4L044AB01
4L044AC04
(57)【要約】
本発明は、刺繍機(5)のための布地(4)の締付けフレーム(1)であって、ラベル(20、30)を縫い付けるためのテンプレートを備えることを特徴とする、締付けフレームに関する。該テンプレートは、布地(4)の載置表面(P)に対して横断する方向に運動でき、かつ、少なくとも1つの切抜きプレート(2)を備える。該プレートは、縫い付けによって布地(4)に付けられる第1ラベル(20)に合致した形状の少なくとも1つの開口部(21、22)を有し、その開口部(21)の内部縁(21a)は、縫い付けの間、第1ラベル(20)を横方向に収容するように適合されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺繍機(5)のための布地(4)の締付けフレーム(1)であって、前記締付けフレームが、ラベルを縫い付けるためのテンプレートを備え、前記テンプレートが、布地(4)の載置表面(P)に対して横断する方向に運動でき、かつ、少なくとも1つの切抜きプレート(2)を備え、前記プレート(2)が、縫い付けによって前記布地(4)に付けられる第1ラベル(20)に合致した形状の少なくとも1つの開口部(21、22)を備え、前記少なくとも1つの開口部(21)の内部縁(21a)が、縫い付けの間、前記第1ラベル(20)を横方向に収容するように適合されている、ことを特徴とする、締付けフレーム。
【請求項2】
前記テンプレートが、前記切抜きプレート(2)を少なくとも部分的に取り囲むように適合されている外枠(3)をさらに備え、前記外枠(3)の内部縁(31)と前記切抜きプレート(2)の外縁(25)の間に隙間部(23)を残し、前記外枠の前記内部縁(31)が、前記布地(4)に対して付けられる第2ラベル(30)のための横方向収容壁を形成することを特徴とする、請求項1記載の締付けフレーム。
【請求項3】
前記切抜きプレート(2)及び前記外枠(3)が、前記布地(4)の前記載置表面(P)に対して横断する方向に、互いに対して運動できることを特徴とする、請求項2記載の締付けフレーム。
【請求項4】
前記切抜きプレート(2)及び前記外枠(3)が、刺繍機(5)の布地の前記締付けフレーム(1)の運動手段(52)に固定され得る、支持部(54)に関連付けられた、請求項2又は3に記載の締付けフレーム。
【請求項5】
前記支持部(54)が、前記切抜きプレート(2)が固定された第1スライダ(26)と、前記外枠(3)が固定された第2スライダ(36)と、を備え、前記第1スライダ及び前記第2スライダが、前記支持部(54)に沿って、実質的に相互に平行な方向に、かつ、前記布地(4)の前記載置表面(P)に対して横断する方向に、滑ることができる、請求項4記載の締付けフレーム。
【請求項6】
縫製ヘッド(51)と、布地(4)のための載置表面(P)と、を備えた刺繍機(5)であって、前記刺繍機が、請求項1ないし5のいずれか一項又は複数項に記載の締付けフレームを備えることを特徴とする、刺繍機。
【請求項7】
前記締付けフレーム(1)が、記憶された刺繍プログラムに従って、前記縫製ヘッド(51)に対して自動で運動でき、前記刺繍プログラムが、前記第1ラベル(20)の形状に実質的に合致した形状の少なくとも1つの第1縫製ライン(24)を施すための指示を含み、前記締付けフレーム(1)が、前記布地(4)を、前記布地(4)の前記載置表面(P)に対して直角に保持し、かつ、同時に、前記布地(4)を、前記刺繍プログラムの前記指示に従って、前記載置表面(P)に沿って、前記縫製ヘッド(5)に対して動かすように適合されており、前記締付けフレーム(1)が、前記少なくとも1つの第1縫製ライン(24)を前記第1ラベルの周辺領域に沿って施す間に、前記切抜きプレート(2)の前記少なくとも1つの開口部(21)内で前記第1ラベル(20)を横方向に収容するように適合されている、請求項6記載の刺繍機。
【請求項8】
前記刺繍プログラムが、前記第2ラベル(30)の形状に実質的に対応する形状の第2縫製ライン(34)を施すための指示をさらに含み、前記第2縫製ライン(34)を、前記第2ラベル(30)の周辺領域に沿って、かつ、前記外枠(3)及び前記切抜きプレート(2)の間の前記隙間部(23)に沿って、施すことの間に、前記締付けフレーム(1)が、前記第2ラベルを前記外枠(3)の前記内部縁(31)内で横方向に収容するように適合されている、請求項7記載の刺繍機。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか一項又は複数項に記載の刺繍機(5)によって、布地(4)上にラベル(20、30)を縫い付けるための方法であって、
布地(4)を前記フレーム(1)と前記載置表面(P)の間に間置するように、前記締付けフレーム(1)を持ち上げるステップと、
前記布地(4)を前記載置表面(P)に対して直角な方向で保持するように、前記締付けフレーム(1)を前記載置表面(P)上に下ろすステップと、
前記第1ラベル(20)と前記開口部(21)の間に形状嵌合的な結合が実現されるように、前記締付けフレーム(1)の前記切抜きプレート(2)の少なくとも1つの前記開口部(21)内に、少なくとも前記第1ラベル(20)を挿入するステップと、
前記縫製ヘッド(5)の少なくとも1つの針(53)の作動、及び、前記刺繍プログラムに従った前記縫製ヘッド(5)に対する前記締付けフレーム(1)の同時運動によって、前記第1ラベル(20)の前記周辺領域に沿って、前記少なくとも1つの第1縫製ライン(24)を施すステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記方法が、前記第1ラベル(20)を挿入するステップの前又は後に、
前記切抜きプレート(2)を前記外枠(3)に対して持ち上げ、かつ、場合によっては、前記外枠(3)を持ち上げ、そしてその後に下ろし、前記外枠(3)が、前記布地(4)を前記載置表面(P)に対して直角な方向で保持する、ステップと、
前記外枠(3)の前記内部縁(31)内に、前記第2ラベル(30)を挿入するステップと、
前記布地(4)上に前記切抜きプレート(2)を下ろすステップと、
前記締付けフレーム(1)の前記切抜きプレート(2)と前記外枠(3)の間の前記隙間部(23)に沿った、前記第2ラベル(30)の前記周辺領域に沿って、前記第2縫製ライン(34)を施すステップと、をさらに含む、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍機のための布地の締付けフレーム、及びそのフレームを備える刺繍機に関する。本発明はまた、その刺繍機を用いてラベルを縫い付けるための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
通常、刺繍機は、糸によって横切られ、かつ、実質的に鉛直方向に往復運動できる1つ以上の針を備えた、固定された縫製ヘッドを備える。さらに、刺繍機は、通常、布地の締付けフレームも備え、該締付けフレームは、それぞれ2つの直交する方向X及びYに運動できるキャリッジを備えた機構によって、着脱可能に支持される。この機構が、縫製針の運動の方向に対して実質的に直角な幾何平面X-Yを定める。該幾何平面は、刺繍される布地の載置表面に対し、一致するか、又は実質的に平行である。このようにして、平面X-Y内のキャリッジの運動を組み合わせることにより、締付けフレームによって保持された布地は、複数の位置に従って、載置表面に平行に運動できる。これにより、針が事前に規定された複数のパターンに従った縫製ラインを施すことが可能になる。該縫製ラインは、刺繍機に統合されるか又は関連付けられた制御システム内に記憶された、少なくとも1つの刺繍プログラムに基づいて得られる。
【0003】
公知の刺繍機の1つの欠点は、その刺繍機を、パッチとして知られるラベルを布地に固定するために用いる際に、見られる。固定を実施するにあたり、刺繍機によって施される縫製ラインは、ラベルの外周に実質的に従い、その結果、ラベルの外周全体が、布地に対して縫い付けられる。
【0004】
付けられるラベルの外形に実質的に合致するパターンに従って縫い付けを行うための刺繍プログラムを用いて、ラベルのための刺繍プログラムによって生成された縫製ラインが、ラベルの端部全体に正確に沿って配置されるように、ラベルを縫製ヘッドに対して正確に方向づけることは、オペレータにとっては複雑なことである。不正確な配置は、ラベルの端部の不均一さ及び縫製ラインにおける視認可能な欠陥に繋がり得る。オペレータはまた、布地への縫い付けの少なくとも一部の間、ラベルを手でしっかりと保持する必要もある。
【0005】
さらなる欠点は、異なる形状を有することさえもある複数のラベルを、布地に固定しなければならない場合に、生じる。このような場合においては、オペレータがそれらのラベルを同じ布地上で互いに対して正しく位置決めすることに困難を覚える場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目標は、上記の1つ以上の側面において背景技術を改善することが可能な、布地の締付けフレーム及び対応する刺繍機、ならびに対応する方法を提供することである。
【0007】
この目標の範囲内で、本発明の目的は、布地に固定されるラベルの外周に沿って正確な縫い付けを実施できるようにすることである。
【0008】
本発明の他の目的は、縫い付けの間に手でラベルを保持することを回避することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、複数のラベルを、場合によっては互いに異なるラベルを、同じ布地に、又は同じ衣類の異なった部分に、付けることを容易にすることである。
【0010】
本発明の他の目的は、工業のレベルで用いられ得るラベルを付けるための、すなわちパッチ型のラベルが縫い付けられた布地又は衣類を大量生産するための、布地の締付けフレーム及び対応する刺繍機、ならびに対応する方法を創出することである。
【0011】
さらに、本発明の目的は、すべての既存の解決方法に代わる方法で、背景技術の欠点を克服することである。
【0012】
最後に、本発明の目的は、信頼性が高く、比較的容易に設けられ、かつ、価格面での競争力も高い、布地の締付けフレーム及び対応する刺繍機、ならびに対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書でよりよく明らかになる、この目標ならびにこれらの目的及び他の目的は、刺繍機のための布地の締付けフレームであって、該締付けフレームが、ラベルを縫い付けるためのテンプレートを備え、そのテンプレートが、布地の載置表面に対して横断する方向に運動でき、かつ、少なくとも1つの切抜きプレートを備え、そのプレートが、縫い付けによって布地に付けられる第1ラベルに合致した形状の少なくとも1つの開口部を備え、その少なくとも1つの開口部の縁が、縫い付けの間、第1ラベルを横方向に収容するように適合されている、ことを特徴とする締付けフレームによって、達成される。そのようなフレームは、場合によっては、従属請求項に記載の1つ以上の特徴を備え得る。
【0014】
本明細書でよりよく明らかになる、この目標ならびにこれらの目的及び他の目的はまた、そのような締付けフレームを備えた刺繍機、及び、そのような刺繍機を含む、ラベルを縫い付けるための方法によっても達成される。該方法は、
布地を上記のフレームと載置表面の間に間置するように、締付けフレームを持ち上げるステップと、
布地を載置表面に対して垂直な方向で保持するように、締付けフレームを載置表面上に下ろすステップと、
第1ラベルと開口部の間に形状嵌合的な結合が実現されるように、締付けフレームの切抜きプレートの少なくとも1つの開口部内に、少なくとも第1ラベルを挿入するステップと、
縫製ヘッドの少なくとも1つの針の作動、及び、刺繍プログラムに従った縫製ヘッドに対する締付けフレームの同時運動によって、第1ラベルの周辺領域に沿って、少なくとも1つの第1縫製ラインを施すステップと、を含む。場合によっては、そのような方法は、従属請求項に記載の1つ以上の特徴を備え得る。
【0015】
本発明のさらなる特徴及び有利な点は、添付の図面に記載の非限定的な例によって示される、好ましくはあるが排他的ではない本発明の実施形態から、よりよく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、布地を受け入れるために締付けフレームが持ち上げられている、本発明に係る刺繍機の細部の図である。
【
図2】
図2は、
図1に対応する図であるが、締付けフレームの外枠が、同じフレームの切抜きプレートに対して下ろされている。
【
図3】
図3は、
図1に対応する図であるが、フレームは、布地を締付ける位置に、すなわち、布地の載置表面に対して直角な方向で布地を保持する位置に、完全に下ろされている。
【
図4】
図4は、
図3に対応する図であり、第1ラベルを切抜きプレートの中に挿入している間の図である。
【
図5】
図5は、
図4に対応する図であり、第1ラベルを挿入した後に、それをその外周に沿って縫い付けている間の図である。
【
図6】
図6は、布地上に縫い付けられる第2ラベルを挿入するために、切抜きプレートを持ち上げている図である。
【
図7】
図7は、
図6に対応する図であり、第2ラベルを挿入した後に、それをその外周に沿って縫い付けている間の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
参照図を参照すると、一般的に引用符号1で示される、本発明に係る、刺繍機のための布地の締付けフレームは、ラベルの縫い付けのためのテンプレート2、3を備え、それらテンプレートは、布地4を刺繍機へ挿入する/刺繍機から取外すための持ち上げ位置と、布地4を載置表面P上で締付けるための下ろし位置の間で、布地4の載置表面Pに対して横断する方向に運動できる。
【0018】
締付けフレーム1は、好ましくは着脱可能なやり方で、刺繍機5の運動手段に取付けられる。該運動手段は、図中には部分的にのみ示されている。運動手段は、相互に直交する2つの方向X及びYにそれぞれ運動できるキャリッジを備えた(それ自体では公知の)機構のアーム52を備える。この際、方向X及びYは、刺繍機5の縫製ヘッド51の縫製針53の運動方向に対して実質的に垂直な、幾何平面X-Yを定める。該幾何平面X-Yは、布地4の載置表面Pに対し、一致するか、又は実質的に平行である。
【0019】
上記の運動手段は、刺繍機5に統合されるか又は関連付けられた制御システム内に記憶された、少なくとも1つの刺繍プログラムの指示に応答する。このようにして、刺繍プログラムの指示に基づいた平面X-Y上のキャリッジの運動を組み合わせることにより、締付けフレーム1に駆動された布地4は、複数の方向で平面X-Yに平行に運動できる。これにより、刺繍プログラム内で定義された、1つ以上の事前に規定されたパターンに従って、針53が縫製ラインを布地上に施すことが、可能になる。
【0020】
図示された好ましい実施形態においては、載置表面Pは、締付けフレーム1が表面P上の下ろし位置にあるときに、布地4が摩擦によって該フレームのみと一体的になったままであるような、布地4のためのなめらかな滑り表面であり得る。従って、締付けフレーム1によって載置表面P上にかけられる圧力は、何にせよ布地4が表面P上で滑ることができるような圧力であるが、しかしながら、布地4は、表面Pに対して直角な方向で保持されたままであり、締付けフレーム1に対しては回転すること及び滑ることができない。
【0021】
図示されてはいない別の実施形態においては、該載置表面は、締付けフレーム1と一体的にX-Y平面上を運動するように、該締付けフレーム1に接続され、かつ、該フレームが下ろし位置にあるときには、布地4が、締付けフレーム1によって、その表面上で摩擦により固定される、対抗圧力表面である。
【0022】
締付けフレーム1のテンプレートは、本質的には、切抜きプレート2(すなわち、1つ以上の開口部を備えたプレート)から成り、かつ、好ましくは、加えて該切抜きプレート2を少なくとも部分的に取り囲むように適合されている外枠3から成る。
【0023】
切抜きプレート2は、好ましくは、矩形状の外形を有し、かつ、縫い付けによって布地4に付けられるラベルそれぞれに対応する形状を有する1つ以上の開口部21-22を備える。その結果、該ラベルは、特にラベルを布地4上に縫い付ける間、形状嵌合的な結合によって、それぞれの開口部内で横方向に保持され得る。
【0024】
特に、プレート2の少なくとも1つの開口部21の内部縁21aは、内部縁21aの形状が、第1ラベル20の周縁20aの形状に実質的に等しいので、縫い付けの間、第1ラベル20それぞれを横方向に収容するように(すなわち、開口部21内でラベル20の横方向の運動が発生することを妨げるべく、該ラベル20を取り囲むように)適合されている。
【0025】
図示された実施形態においては、切抜きプレート2はまた、第2開口部22を備えていてもよい。第2開口部22は、その内部縁22aが、開口部22と同じ形状を有する他のラベル(図示されていない)それぞれの形状に対応する、開口部である。
【0026】
外枠3は、切抜きプレート2を少なくとも部分的に取り囲むように適合されており、外枠3の内部縁31と切抜きプレート2の外縁25の間に隙間部23を残す。そのような縁31及び25は、好ましくは相補的な形状であり、実質的に一定の幅を有する隙間部23を、例えばスリットのような隙間部23を、得る。切抜きプレート2の周囲の隙間部23の幅は、隙間部23に沿って露出した布地4に縫い付けを行うことができるように、刺繍機5の少なくとも1つの針53が何にせよ通過できるような幅である。
【0027】
外枠3は、例えば、C字形状のプレートであり、図示された実施形態にあるように、該プレートの内部においては、内部縁31が、かつ、該内部縁を用いて、隙間部23が、垂直かつ直線状の辺から成るC字形状を有し得る。
【0028】
外枠3の内部縁31は、有利には、横方向収容壁を画定し、これは、対応する外周縫製ライン34によって布地4に固定される、対応する第2ラベル30の端30aのための壁である。該縫製ライン34は、好ましくは閉じたラインである。
【0029】
本発明の有利な態様によれば、切抜きプレート2及び外枠3は、布地4の載置表面Pに対して、すなわち平面X-Yに対して、横断する方向に、好ましくは垂直な方向に、互いに対して運動できる。
【0030】
特に、切抜きプレート2及び外枠3は、締付けフレーム1の運動手段52に固定された、支持部54に関連付けられる。
【0031】
支持部54は、第1スライダ26のための第1リニアガイド55を備える。切抜きプレート2が、例えば、第1スライダ26から片持ち状に突出するブラケット27によって、第1スライダ26に固定される。第1リニアガイド55は、支持部54の運動平面X-Yに対して、すなわち載置表面Pに対して、横断する方向に向けられ、かつ、より好ましくは、図中に示された実施例にあるように、平面X-Y及び/又は表面Pに対して垂直であり、切抜きプレート2の、平面X-Y及び/又は表面Pに対して直角な方向に沿った平行移動を支配する。
【0032】
支持部54はまた、第2スライダ36のための第2リニアガイド56を備える。該第2ガイド56は、第1ガイド55に対して平行である。外枠3が、例えば、第2スライダ36から片持ち状に突出するブラケット37によって、第2スライダ36に固定される。このようにして、平面X-Y及び/又は表面Pに対して横断する方向に沿った、かつ、好ましくは直角な方向に沿った、外枠3の平行移動が、支配される。
【0033】
上記の持ち上げ機構は、スライダ26及び36を選択的に動かすように適合されているレバーシステム(図示されていない)を備え得る。該レバーシステムは、手動又は自動で作動させることができる。
【0034】
刺繍機5の記憶された刺繍プログラムは、縫製ライン24、34のパターンと、アーム52を運動させるための指示と、を備え、これにより、ユーザの開始命令それぞれに応じて、縫製ライン24、34の各々を順番に施すことができる。該開始命令は、縫製針53に対して、締付けフレーム1を、公知の「ゼロ」開始位置まで持っていくものである。
【0035】
縫製ライン24、34のパターンと付けられるラベル20、30の形状の対応が、事前に規定されており、かつ1対1であり、加えて、開口部21-22の形状及び隙間部23の形状も同様にして事前に規定されているので、上記の「ゼロ」位置の位置決めは、開口部21又は22又は隙間部23内であり、かつ、縁21a又は22a又は31の近傍である領域を、施される縫製ラインのパターンそれぞれに従って、針53の下にそれぞれ持ってくるように、プログラムされている。ユーザは、テンプレートのそれぞれの空間(21、22又は23)内に、ラベルを事前に配置し、そして対応する刺繍プログラムを開始する必要がある。
【0036】
本発明の操作は、上記の構造記述から明らかである。
【0037】
図示された実施形態においては、刺繍機5を用いてラベル20及び30を布地4上に縫い付けることは、ユーザがフレーム1と載置表面Pの間に布地4を挿入することを可能にするために、最初に締付けフレーム1を持ち上げることを含む。
【0038】
その後に、締付けフレーム1は、布地4を、載置表面Pに対して直角な方向で、かつ、フレーム1と一体的に、保持するために、載置表面P上に下ろされる。図示された例においては、そのような保持は、フレーム1と布地4の間の摩擦によって得られる。その摩擦によって、布地4とフレーム1は一体的になり、下ろし位置にあるフレーム1が載置表面Pに沿って運動するとき、布地4が載置表面P上で滑ることが可能になる。
【0039】
締付けフレーム1が載置表面P上に下ろされる間、切抜きプレート2及び外枠3は、同時に下ろされ得る。あるいは、
図2に示されているように、最初に外枠3が下ろされ、従ってスライダ36のみが作動させられて下ろされ、それに続いて切抜きプレート2が下ろされる。
【0040】
このステップは、ユーザが、縫製ヘッド51に関して最適な形で、かつ、ラベルを付けることを望まれている領域に、布地を位置決めするために、複数回繰り返されてもよい。
【0041】
切抜きプレート2及び外枠3が、平面X-Y及び/又は載置表面Pに対して横断する方向において独立して運動できることは、切抜きプレート2と外枠3の間の一方のみの内部縁においてのみ対応する形状を有する異なる種類のラベルをテンプレートに装填するにあたって有用である。
【0042】
例えば、
図2に示されているように最初に外枠3を下ろすことにより、第2ラベル30を挿入し、それを外枠3の内部縁31に当接するように持っていき、そして刺繍プログラムを開始して、最初に第2縫製ライン34を施すということが可能である。
【0043】
しかしながら、図中の実施形態に立ち返ると、切抜きプレート2を同様に下ろした後、ユーザが、第1ラベル20を切抜きプレート2の対応する第1開口部21内に挿入し、開口部21内に露出した布地4の部分にラベル20の全体を接させることができる(
図4参照)。それらの周縁形状は同一であるため、その挿入の後では、第1ラベル20は、内部縁21aによって、形状嵌合的な結合によって横方向に保持される結果となり、布地4に沿って運動することはできない。
【0044】
場合によっては、テンプレートに基づいて、かつ、付けられる異なる形状のラベルの数に基づいて、ユーザは、対応する形状のラベルを、必須ではない第2開口部22内に挿入してもよい。
【0045】
この時点で、ユーザは、刺繍プログラムを開始し、切抜きプレート2を貫通して布地4上に載置されたラベル20の周辺領域に沿って、第1縫製ライン24を施す。縫製ライン24は、好ましくは閉じたラインである。刺繍機5は、運動手段52を用いて、第1ライン24を縫い付けるためのゼロ位置までフレーム1を持っていき、そして縫い付けが開始される。第1ライン24は、針53によって施され、かつ、刺繍プログラム内に備えられたフレーム1の運動によって、布地4及び一体的には第1ラベル20を適切に動かすことで、得られる。
【0046】
第1ラベル20の外周の縫い付けが完了すると、ユーザは、締付けフレーム1を持ち上げ、第2ラベル30を付ける他の点へと布地4を動かすか、又は、場合によっては、第2ラベル30を付ける新しい布地を挿入する。その後に、外枠3のみが下ろされ、外枠3は該載置表面に対して直角な方向で布地を保持し、そして、ユーザが、第2ラベル30を挿入し、それを外枠3の内部縁31に当接するように持っていく。
【0047】
続いて、切抜きプレート2が布地上に下ろされ、そして、ユーザが第2縫製ライン34の刺繍プログラムを開始する。刺繍機5は、運動手段52を用いて、第2ライン34を縫い付けるためのゼロ位置へとフレーム1を持っていき、そして縫い付けが開始される。第2ライン34は、針53によって施され、かつ、便利には、刺繍プログラム内に備えられたフレーム1の運動によって、布地4及び一体的には第2ラベル30を動かすことで、得られる。図示された実施例においては、テンプレートの寸法と記憶された縫製ラインの寸法の間の事前に規定された対応により、針は、外枠3と切抜きプレート2の間の隙間部23全体に沿って、かつ、外枠3に取り囲まれていない切抜きプレート2の自由縁に沿って、第2縫製ライン34を施す。
【0048】
実際上、本発明が意図した目標及び目的を達成することは判明している。
【0049】
従って、創出された本発明は、本発明の概念の範囲内である、多くの修正及び変形を全て許容する。さらに、全ての細部は、他の技術的に同等な要素に置き換えられ得る。
【0050】
実際上は、使用される材料は、形状及び寸法が確定されていないのと同様に、要件及び技術状況に従った任意のものであってよい。
【0051】
本出願が優先権を主張するイタリア国特許出願第102021000005705号における開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
本出願の任意の請求項において、記載された技術的特徴の後に参照符号が付されている場合、それらの参照符号は、請求項の明瞭度を高める目的のみのために付されており、従って、そのような参照符号は、そのような参照符号を用いた例示によって特定される各要素の解釈を限定する効果を、全く有さない。
【国際調査報告】