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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】インテリジェント口内装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555354
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 AU2022050171
(87)【国際公開番号】W WO2022187889
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2021900648
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505023799
【氏名又は名称】ソムノメッド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Somnomed Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッドフォード クリストファー ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ウッド ハリソン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー ジョシュア ルーク
(72)【発明者】
【氏名】オブチ ワタル
(57)【要約】
本開示の1つの観点は、口内装置に関連している。口内装置は、上側アーチ部材と、上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材とを備えている。口内装置はさらに、上側アーチ部材又は下側アーチ部材に配置され、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び上側アーチ部材に対する相対的な下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出するように構成されたセンサを備えている。口内装置はさらに、検出された特性を受信するようにセンサと通信するプロセッサを備え、検出された特性は、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を決定するために使用されるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、
前記上側アーチ部材又は前記下側アーチ部材に配置され、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出するように構成されたセンサと、
前記検出された特性を受信するように前記センサと通信するプロセッサと、を備える口内装置であって、
前記検出された特性は、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を決定するために使用されるものである口内装置。
【請求項2】
前記センサは、パルスオキシメータセンサ、加速度計、磁力計、温度センサ及びマイクロフォンを含む請求項1に記載の口内装置。
【請求項3】
前記検出された特性は、予め規定された口用器具療法に従って前記口内装置を使用することに対する前記患者の従順さを決定することに、さらに用いられる請求項1又は2に記載の口内装置。
【請求項4】
前記検出された特性は、患者の温度、血圧、心拍数及び血中酸素濃度レベルを含む第1特性を含み、前記第1特性は、前記口内装置が患者によって使用されているか否かを決定するために用いられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項5】
前記検出された特性は、血圧及び心拍数を含む第2特性を含み、前記第2特性は、患者が眠っているか否かを決定するために用いられる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項6】
前記検出された特性は、血中酸素濃度レベル、心拍数、口の位置及び呼吸の活動状況を含む第3特性を含み、前記第3特性は、患者に睡眠時無呼吸が起こっているか否かを決定するために用いられる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項7】
前記検出された特性は、下あごと頭部の位置、前記口内装置の位置及び呼吸の活動状況を含む第4特性を含み、前記第4特性は、前記患者が眠っているときに決定される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項8】
患者の睡眠時無呼吸の低減のために口内装置を用いることの有効性を決定するための方法であって、
前記口内装置は、
上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、を備え、
前記口内装置内に配置されたセンサを用いて、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出し、
前記検出された特性に基づいて、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を決定することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記センサは、パルスオキシメータセンサ、加速度計、磁力計、温度センサ及びマイクロフォンを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検出された特性に基づいて、予め規定された口用器具療法に従って前記口内装置を使用することに対する前記患者の従順さを、さらに決定することを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記検出された特性は、患者の温度、血圧、心拍数及び血中酸素濃度レベルを含む第1特性を含み、前記第1特性を用いて、前記口内装置が患者によって使用されているか否かを、さらに決定することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出された特性は、血圧及び心拍数を含む第2特性を含み、前記第2特性を用いて、患者が眠っているか否かを、さらに決定することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記検出された特性は、血中酸素濃度レベル、心拍数、口の位置及び呼吸の活動状況を含む第3特性を含み、前記第3特性を用いて、患者に睡眠時無呼吸が起こっているか否かを、さらに決定することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記検出された特性は、下あごと頭部の位置、前記口内装置の位置及び呼吸の活動状況を含む第4特性を含み、前記第4特性は、前記患者が眠っているときに決定されることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプログラを含むコンピュータプログラム製品であって、プロセッサによって前記コンピュータプログラムが実行されるときに、前記プロセッサは、請求項8乃至14のいずれかに記載の前記方法を実行することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、
前記上側アーチ部材又は前記下側アーチ部材に配置され、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出するように構成されたセンサと、
前記検出された特性を受信するように前記センサと通信するプロセッサと、を備え、
前記検出された特性は、患者に睡眠時無呼吸が起きているか否かを決定するために用いられることを特徴とする口内装置。
【請求項17】
前記センサは、パルスオキシメータセンサ、加速度計、磁力計、温度センサ及びマイクロフォンを含む請求項16に記載の口内装置。
【請求項18】
前記口内装置は、患者の睡眠時無呼吸を低減するように構成されており、前記検出された特性は、さらに、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を決定することに用いられる請求項16又は17に記載の口内装置。
【請求項19】
前記検出された特性は、予め規定された口用器具療法に従って前記口内装置を使用することに対する前記患者の従順さを決定することに、さらに用いられる請求項18に記載の口内装置。
【請求項20】
前記検出された特性は、患者の温度、血圧、心拍数及び血中酸素濃度レベルを含む第1特性を含み、前記第1特性は、前記口内装置が患者によって使用されているか否かを決定するために用いられる請求項16乃至19のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項21】
前記検出された特性は、血圧及び心拍数を含む第2特性を含み、前記第2特性は、患者が眠っているか否かを決定するために用いられる請求項16乃至20のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項22】
前記検出された特性は、血中酸素濃度レベル、心拍数、口の位置及び呼吸の活動状況を含む第3特性を含み、前記第3特性は、患者に睡眠時無呼吸が起こっているか否かを決定するために用いられる請求項16乃至21のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項23】
前記検出された特性は、下あごと頭部の位置、前記口内装置の位置及び呼吸の活動状況を含む第4特性を含み、前記第4特性は、前記患者が眠っているときに決定される請求項16乃至22のいずれか1項に記載の口内装置。
【請求項24】
患者に睡眠時無呼吸が起きているか否かを決定する方法であって、
前記方法は、口内装置内に配置されたセンサを用いて、患者の特性を決定するものであり、
前記口内装置は、
上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、を備え、
前記特性は、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含み、
前記検出された特性に基づいて、患者に睡眠時無呼吸が起きているか否かを決定することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記センサは、パルスオキシメータセンサ、加速度計、磁力計、温度センサ及びマイクロフォンを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記口内装置は、患者の睡眠時無呼吸を低減するように構成されており、前記検出された特性に基づいて、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を、さらに決定することを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記検出された特性に基づいて、予め規定された口用器具療法に従って前記口内装置を使用することに対する前記患者の従順さを、さらに決定することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記検出された特性は、患者の温度、血圧、心拍数及び血中酸素濃度レベルを含む第1特性を含み、前記第1特性を用いて、前記口内装置が患者によって使用されているか否かを、さらに決定することを特徴とする請求項24乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記検出された特性は、血圧及び心拍数を含む第2特性を含み、前記第2特性を用いて、患者が眠っているか否かを、さらに決定することを特徴とする請求項24乃至28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記検出された特性は、血中酸素濃度レベル、心拍数、口の位置及び呼吸の活動状況を含む第3特性を含み、患者に睡眠時無呼吸が起こっているか否かの決定は、前記第3特性を用いることを特徴とする請求項24乃至29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記検出された特性は、下あごと頭部の位置、前記口内装置の位置及び呼吸の活動状況を含む第4特性を含み、前記第4特性は、前記患者が眠っているときに決定されることを特徴とする請求項24乃至30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
コンピュータプログラを含むコンピュータプログラム製品であって、プロセッサによって前記コンピュータプログラムが実行されるときに、前記プロセッサは、請求項24乃至30のいずれかに記載の前記方法を実行することを特徴とするコンピュータプログラム製品。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して口内装置に関連し、特に、口内装置が使用されているときに、口内装置の使用や患者の医療状況を検出することに関連するものである。
【背景技術】
【0002】
全世界的に、ほとんど1.5億の人々が閉塞性睡眠時無呼吸OSA(Obstructive Sleep Apnea)を有している。OSAは、睡眠時に、喉の後の気道が閉塞する症状であり、空気の流れを低減したり、停止させたりする可能性がある。OSAは、リスクが高められた心不全、高血圧、2型糖尿病及び脳卒中を含む長期的医療の関連を有している。80パーセントの人は、自身がこの症状であることに気付いていないと見積もられている。OSAの兆候を示す患者は、OSAの存在や重症度を判断する睡眠ポリグラフ(PSG)を睡眠中に使用して、モニターされる。PSGは、一般に、病院に一晩泊まることによって完了するため、PSGは高価であり、多くの場合は、医療制度によって支給される。このことは、兆候を有する患者であっても、長期間、診断されないでいることを引き起こしている。
【0003】
OSA患者の約85パーセントは、一般的に、持続陽圧呼吸療法CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)を用いて治療されている。CPAP治療は、患者の気道を膨らませるために、患者の気道へ空気を吹き込む必要があり、そしてこれによって、軌道が開いた状態に維持することができる。このようにするために、患者は、患者の鼻と口をしっかり塞ぐマスクを付けることを要求され、これにより、マスクと患者の顔の一部との間に空隙をつくることができる。それから、患者が寝ている間に、空気ポンプがホースを介して空気を空隙に吹き込む。患者は、空隙に吹き込まれた空気を取り込まされる。
【0004】
無呼吸の状況は、一般的に、睡眠時の1時間当たりに記録された無呼吸又は呼吸低下の回数である、無呼吸底呼吸指数AHI(Apnea Hyponea Index)によって測定される。
【0005】
CPAPは、一般的には、患者のAHIを、1時間当たり5回以下に低減させる(これは十分に治療されたと考えられる)。しかしながら、患者は、ホースに絡まることがあり、CPAPの空気ポンプの騒音が、患者とそのベッドのパートナーを起こし続けてしまう可能性があるため、CPAPマスクを付けることを不快感と感じ得るのである。従って、CPAP治療に対する従順さは、低いことが示されている。ほとんどの患者は、一晩中の睡眠時間に又は一般的な1週間の毎夜に、CPAP装置を付けることをしていない。治療に対する従順さを考慮すると、患者は、一般的に、1週間の7日のうちの5日において、少なくとも4時間の間、CPAPを使用する必要がある。患者が眠ってはいるがCPAPを使用していない時間には、患者は、無呼吸を有することが継続するとともに、OSAから引き起こされる医療リスクが高くされた状態も等しく継続するのである。
【0006】
CPAP治療に対する従順さは、CPAP装置による気流や圧力を測定することにより、把握することができる。CPAP治療の有効性は、マスクの上にセンサを設置することにより(例えば、呼吸の活動状況を検出することにより)測定することができる。測定結果は、患者の医師やクラウドベースのソフトウェアによって毎日装置のサプライヤーに送付される。そして、医師は、従順さや有効性を向上させるために、治療を修正(例えば、マスクを代える、加湿する等)することが可能となる。
【0007】
CPAP装置の快適性の欠如や低い従順さは、口用器具療法OAT(Oral Appliance Therapy)を含む多くの代替治療の開発を生み出している。OATの一例は、軌道を開かせるために、下あごと舌を前方に移動させ、これによって患者の無呼吸の状況やAHIの回数を低減させるマウスガードタイプの器具である。OAT用の器具は、口の中に入れられた状態で快適になるようにデザインされており、一般的には、1週間の内のすべての夜において、夜のほとんどの時間に装着される。それゆえに、OATに対する従順さは、CPAPよりも著しく高くなっている。
【0008】
しかしながら、CPAP装置とは異なり、OATに対する従順さと有効性を把握することは、より困難になっている。従って、現在進行中又は長期間ベースのOSAを取り扱うときにおいて、OAT器具が、患者のOATに対する従順さや有効性を医師や患者へのフィードバックを提供する可能性はほとんどない。
【0009】
例えば、OAT装置は、患者がOAT装置を使用しているか否かを決定するために、圧力センサ又は温度センサを用いるかもしれない。しかしながら、このデータは、患者が少なくとも初期の段階では寝ていなかったり、無呼吸の状況のために夜中に起きる可能性があるため、しばしば不正確である。さらに、センサは、患者のAHIを決定しようと試みるために、患者の生体測定の情報を把握するのに使用されるかもしれない。しかしながら、不正確な従順さのデータのために、その結果として生じる有効性のデータも不正確となる。
【0010】
個別の患者へのフィードバックは、非常に重要である。なぜなら、睡眠時無呼吸は、人々において雑多な種類があるからである。睡眠ポリグラフの指標を最も効果的に改善する1つのOATデザインは存在せず、有効性は、OSAの激しさ、組立品の材料や方法、OATのタイプ及び突出(矢状方向と垂直方向)の度合いを含む多くの要素に依存していることが証拠によって示されている。
【0011】
睡眠時無呼吸治療を複雑化させることは、個人の睡眠パターンを夜毎に変えてしまうということである。患者が仰向け、うつ伏せ又は横向きで寝る時の位置は、OAT治療の有効性に影響しうる。
【0012】
さらに、OATが成功するには、個々の器具のデザイン以外の多くの要素、例えば、体重の増加/減少、が影響しうる。これらの要素は、時間が経つにつれて変化しうるものであり、それゆえに、時間の経過による生理的な変化を容易に且つ客観的にモニターすることを可能にすることは重要になっている。この情報を用いて、医者は、体重減や治療の修正に着手することで患者を指導することが可能となり、患者を解決に参加させることか可能となるのである。
【0013】
睡眠時無呼吸は、治療薬が無く、一般的に、未治療のままでいると、時間の経過とともに悪化する病気である。それゆえに、OATに対する従順さや有効性を、継続して長期間にモニターする必要がある。
【0014】
個別化されたフィードバックを得ることによって、すべての患者は、最大限可能な効果を達成するため、望ましくない副作用を最小限に抑えるため、及び客観的に測定されたパラメータに基づいて継続的に個々の治療の最大限に活用するために、口用器具による治療をカスタマイズすることが可能になる。
【0015】
例えば、OATは、用量依存性、これだけではないが、においては、大いに効くと知られている。このように、患者の下あごが、前進させられれば(前方に移動させられれば)させられるほど、治療が成功する可能性が大きくなる。このことは、患者の大多数にとって真実かもしれないが、治療の成功を最大化させるためにとても小さな突出を必要とする別の患者が存在する。下あご前進装置によるAHIの低減に関する下あご突出の用量依存効果は、直線的でなく、増大したOSAの激烈さのためにより著しくなっている。下あご突出は、患者毎により個人化されるべきである。それゆえに、個別の患者の生体信号を夜間モニターすることは、妥当な突出が患者にセットされることを可能にし、これによって、治療を個人専用にし、且つOATにおける治療の成功を保証する。
【0016】
理想的な突出の設定手法を複雑化させているのは、器具治療で起こり得る副作用の内の1つが、好ましくない歯の移動であることである。類似した用量依存性において歯の移動が起きたことが実証されてきており、それによって、下あごがより前方に突出されればされるほど、結果的に歯の移動を引き起こす、歯を移動させる力が大きくなる。それゆえに、下あごがどのくらい遠くまで前方に突出されているのかを知ることは、定められた度合いの突出量での治療がどのくらい効果的であるかを知ることと同じくらい、有益である。医者は、有効性と従順さのデータが毎夜ごとに利用可能であるなら、その後に、副作用の可能性に対して、成功している治療の程度をバランスさせることが可能である。この技術の論理的拡張は、夜間就寝中に、患者によって実現される、好ましい有効性と実際の有効性に基づいて、患者自身が器具の度合いを決定するような口用器具である。
【0017】
器具治療の快適性における役割を担うと知られている他の要素は、患者が、無呼吸、呼吸低下及びいびきに影響を与えるように、過度に下あごを開いたり、動かしたりしたかどうかを知ることによって、増加し、減少し、安定化させられる、咬合の高さ(器具が本来の位置にあるときの上の歯と下の歯の間の開口の量)を含んでいる。生理的な特性をモニターすることにより、OSAの兆候をより良く治療する後発の装置が、患者にとって生産されることが可能となる。
【0018】
OATは、OSAの症状の無い、いびきの治療においてもとても効果的であると示されている。いびきは、OSAの一般的な兆候であるが、患者は、OSAを利用することなく、いびきを改善することが可能である。それ自体では、病状では無い一方、いびきは、特に、睡眠時のパートナーによる、一般的な苦情である。
【0019】
従って、個々の患者の、OATへの従順さや有効性をより正確にモニターすることが可能な口内装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、現在存在する装置の1つ又は複数の不利な点を十分に克服し、又は少なくとも改善することである。
【0021】
生体測定情報を測定するセンサを備える口内装置を提供し、個々の患者のOATに対する従順さや有効性を決定するために、生体測定情報を用いることにより、上記問題点に取り組もうとする装置が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本開示の1つの観点によれば、上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、前記上側アーチ部材又は前記下側アーチ部材に配置され、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出するように構成されたセンサと、前記検出された特性を受信するように前記センサと通信するプロセッサと、を備える口内装置であって、前記検出された特性は、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を決定するために使用されるものである口内装置が提供される。
【0023】
本開示の別の観点は、患者の睡眠時無呼吸の低減のために口内装置を用いることの有効性を決定するための方法であって、前記口内装置は、上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、を備え、前記口内装置内に配置されたセンサを用いて、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出し、前記検出された特性に基づいて、患者の睡眠時無呼吸の低減に対する前記口内装置の有効性を決定することを特徴とする方法を提供する。
【0024】
本開示の別の観点は、上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、前記上側アーチ部材又は前記下側アーチ部材に配置され、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含む患者の特性を検出するように構成されたセンサと、前記検出された特性を受信するように前記センサと通信するプロセッサと、を備え、前記検出された特性は、患者に睡眠時無呼吸が起きているか否かを決定するために用いられることを特徴とする口内装置を提供する。
【0025】
本開示の別の観点は、患者に睡眠時無呼吸が起きているか否かを決定する方法であって、前記方法は、口内装置内に配置されたセンサを用いて、患者の特性を決定するものであり、
前記口内装置は、上側アーチ部材と、前記上側アーチ部材に対して相対的に前進するように構成された下側アーチ部材と、を備え、前記特性は、患者の睡眠時無呼吸の兆候及び前記上側アーチ部材に対する相対的な前記下側アーチ部材の前進を含み、前記検出された特性に基づいて、患者に睡眠時無呼吸が起きているか否かを決定することを特徴とする方法を提供する。
【0026】
他の観点も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、以下の図面及び付属物を参照して記載される。
図1図1は、本開示に従って、患者のために、OATに対する従順さをモニターし、OATの有効性を決定するためのシステムを示す図である。
図2A図2Aは、図1のシステムの口内装置の表現を集合的に形成した概略ブロック図である。
図2B図2Bは、図1のシステムの口内装置の表現を集合的に形成した概略ブロック図である。
図3図3は、図2A及び図2Bの口内装置のステーションの概略ブロック図である。
図4A図4Aは、図1のシステムが実行されうる汎用コンピュータシステムの概略ブロック図である。
図4B図4Bは、図1のシステムが実行されうる汎用コンピュータシステムの概略ブロック図である。
図5図5は、本開示に従って、患者にとって、OATに対する従順さやOATの有効性をモニターする方法のフローチャートである。
図6A図6Aは、異なる構成における、磁力計及び磁石を備える図2A及び図2Bの口内装置の図である。
図6B図6Bは、異なる構成における、磁力計及び磁石を備える図2A及び図2Bの口内装置の図である。
図7A図7Aは、異なる構成における、磁力計及び磁石を備える図2A及び図2Bの口内装置の図である。
図7B図7Bは、異なる構成における、磁力計及び磁石を備える図2A及び図2Bの口内装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
なお、「背景技術」欄に含まれる議論及び上述の関連先行技術の装置は、各々の発行及び/又は使用を介して周知を形成する文書又は装置の議論に関連している。そのような文書や装置は、いかなる方法においても当該技術分野における周知技術の一部を形成するという本発明者又は特許出願人による主張として解釈されるべきでは無い。
【0029】
参照符号が添付の1又は複数の図面において、ステップ及び/又は特徴に対して用いられており、それが同じ参照符号である場合、それらのステップ及び又は特徴は、特に反対の意思が無ければ、同じ機能又は動作の記述する目的として用いられる。
【0030】
図1は、後述するOATにおける患者の従順さ及び患者のOATの有効性をモニターするためのシステム1000を示している。システム1000は、口内装置100、ドッキングステーション200及びコンピュータ装置1300を含む。
【0031】
口内装置100は、睡眠時無呼吸及び/又はいびきを低減させるために、患者の口の中に配置される装置である。口内装置100は、上側アーチ部材110、下側アーチ部材120、接続部材130及びセンサアッセンブリ140を含む。上側アーチ部材110と下側アーチ部材120は、接続部材130によって互いに接続されている。使用時には、上側アーチ部材110は、患者の上あごの歯の上に配置される一方、下側アーチ部材120は、患者の下あごの歯の上に配置される。接続部材130は、下側アーチ部材120の位置を、上側アーチ部材110に対して相対的に前方に位置する状態を維持する。この位置は、下あごと舌を前方に移動させ、それにより、患者の気道を開かせる。センサアッセンブリ140は、患者に関するパラメータを検出するように構成されている。センサアッセンブリ140は、図2Aに関連して後述する。
【0032】
別の装置においては、1以上のコネクタ部材130が、下側アーチ部材120を上側アーチ部材110に接続されるように使用されても良い。接続部材130の例は、ひも(帯)、袖及び/又は柄、伸縮アームである。
【0033】
ドッキングステーション200は、口内装置100が内部に配置されるハウジングを含む。ドッキングステーション200は、口内装置100がドッキングステーション200にドッキングしたときに、無線で口内装置100を充電する。ドッキングステーション200のハウジング内への口内装置100のドッキングは、図3に関連して後述する。
【0034】
コンピュータ装置1300は、口内装置100のセンサアッセンブリ140と通信している。コンピュータ装置1300は、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレット、スマートフォン等でも良い。システム1000は、コンピュータ装置1300にインストールされ得るアプリを提供する。そして、アプリは、センサアッセンブリ140からのデータを解析し、コンピュータ装置1300のディスプレイ上に通知や統計値を提供する。アプリは、他のコンピュータ装置(例えば、医師又は患者所有のコンピュータ装置)にデータを送信することもできる。コンピュータ装置1300は、図4A及び図4Bに関連して後述する。コンピュータ装置1300上のアプリは、OATに対する従順さをモニターし、患者のOATの有効性も検出する方法を実行する。この方法は、図5に関連して後述する。
【0035】
これに代わる装置においては、コンピュータ装置1300は、コンピュータ装置1300からデータを受領し、データを分析するクラウドコンピュータシステムと通信していても良い。そして、クラウドコンピュータシステムは、コンピュータ装置1300のディスプレイ上に通知や統計量を提供する。
【0036】
センサアセンブリ140
図2A及び図2Bは、電源144、磁石142及びセンサ150を含むセンサアッセンブリ140の概略ブロック図を集合的に形成するものである。センサ150は、口内装置100を付けた患者に関連するパラメータを検出するように構成されている。図1では、センサアッセンブリ140は、上側アーチ部材110内に配置されていることを示しているが、センサアッセンブリ140は、下側アーチ部材120内に配置されても良い。
【0037】
図2Aに示すように、センサアッセンブリ140は、組込型コントローラ302も含む。組込型コントローラ302は、内部ストレージモジュール309に双方向的に接続された処理装置(プロセッサ)305を有している。内部ストレージモジュール309は、図2Bに示すように、不揮発性の半導体の読み込み専用メモリ(ROM)360及び半導体のランダムアクセスメモリ(RAM)370から形成されても良い。RAM370は、揮発性でも不揮発性でも、揮発性と不揮発性メモリの組合せでも良い。
【0038】
センサアッセンブリ140は、接続321を介してセンサアッセンブリ140をコンピュータ装置1300又は通信ネットワーク1320に接続することを可能にする通信インターフェィス308を有している。接続321は、好ましい装置においては、無線である。しかしながら、接続321は有線であっても良い。例えば、接続321は、ラジオ周波数通信や光学的な通信でも良い。有線接続の一例は、Ethernetである。さらに、無線接続の一例は、Bluetooth(登録商標)タイプのローカル双方向通信、WiFi(IEEE802.11ファミリーの規格に基づくプロトコルを含む)、赤外線データ協会(IrDa)等を含む。
【0039】
図2Aには示していないが、1つの装置においては、センサアッセンブリ140は、通信ネットワーク1320を通じて1つ又は複数の外部センサと接続される。そして、1つ又は複数の外部センサによって収集されたデータは、センサ150によって収集されたデータを補足することに使用され得る。
【0040】
センサ150は、患者に関連するパラメータを検出するように構成されている。1つの装置では、センサ150は、パルスオキシメータセンサ、加速度計、磁力計610(図6A図6B図7A及び図7B参照)、温度センサ及びマイクロフォンを含む。圧力センサ、スイッチ等のような他のセンサも含まれていても良い。組込型コントローラ302は、センサ150によって検出されたパラメータを受信するために、センサ150の各々と通信している。1つの装置においては、組込型コントローラ302は、内部ストレージモジュール309内に検出したパラメータを記憶し、そして、分析のために、検出したパラメータをコンピュータ装置1300に送信する。別の装置においては、組込型コントローラ302は、関係している検出されたパラメータだけが内部ストレージモジュール309に記憶されるように、方法500(図5参照)のあるステップを実行し、それにより、必要とされる内部ストレージモジュール309を低減することができる。
【0041】
パルスオキシメータセンサ(SpO2センサとしても知られている)は、患者の血中酸素濃度レベル又は患者の血液中の酸素の飽和状態を測定するセンサである。パルスオキシメータセンサは、患者の心拍数、心拍数の変わりやすさ及び血圧を決定するためにも使用され得る。
【0042】
加速度計センサは、センサアッセンブリ140の向きを検出するように構成されており、さらに、上側アーチ部材110の方向を検出されるように構成されている。上側アーチ部材110は、患者の上あご上に配置されているので、使用時には、上側アーチ部材110の向きは、患者の頭部の向きに対応する(一致する)。一旦、患者の頭部の位置が知られると、患者の睡眠位置が決定され得る。
【0043】
磁力計610は、磁石620(図6A図6B図7A及び図7B参照)の磁界の強さを検出するように構成されている。下側アーチ部材120は、磁力計610によって磁界が検出される磁石620を含む。下側アーチ部材120が異なって突出している時の、磁力計610によって検出される磁石620の磁界の強さは、実験的に決定され得る。さらに、上側アーチ部材110が下側アーチ部材120から離間しているときの磁力計610によって検出される磁石620の磁界の強さは、実験的に決定され得る。実験データに基づいて、下側アーチ部材120の突出、及び上側アーチ部材110がどのくらい下側アーチ部材120から離れているか(例えば、口が開いているか否か、口が1つのサイドにシフト又は突出しているか否か)を決定しうる。
【0044】
図6A図6B図7A及び図7Bは、磁力計610(センサアッセンブリ140内のセンサ150のうちの1つ)と通信している磁石620を示す。磁石620と磁力計610の間の通信は、磁石620によって生成された磁界を磁力計610が検出することで形成される。磁石620は、センサアッセンブリ140が内部に配置されたアーチ部材に対向するアーチ部材内に配置されている。別の表現で言えば、センサアッセンブリ140が上側アーチ部材110内に配置されている場合は、そのときは、磁石620は下側アーチ部材120内に配置される。センサアッセンブリ140が下側アーチ部材120に配置されている場合は、そのときは、磁石620は上側アーチ部材110内に配置される。
【0045】
図6A及び図7Aは、第1配置の口内装置100の2つの例を示している。第1配置は、下側アーチ部材120を前進させる前に、口内装置100を口の中に設置するときである。ユーザの顎の構造に依存して、口内装置100は、図6A又は図7Aに示される第1配置としても良い。図示されていない他の可能性のある配置も存在する。
【0046】
図6B及び図7Bは、第2配置の口内装置100の2つの例を示している。第2配置は、下側アーチ部材120が上側アーチ部材110に対して相対的に前方に移動させられるように口内装置100が動作しているときである。図6Bの第2配置は、図6Aの第1配置に対応している。同様に、図7Bの第2配置は、図7Aの第1配置に対応している。
【0047】
上述したように、磁石620が磁石610に対して相対的に異なる位置に位置しているときの磁界の強さは、実験的に決定される。第1配置においては、検出された磁界の強さは記録され、検出された磁界の強さに対応する位置は、第1配置の位置になるように設定される。第1配置における位置を記録することは、セットアップ段階で実行させ得る。当該段階は、OATを管理する医師や患者によって実行されても良い。
【0048】
第2配置においては、検出された磁界の強さは記録され、検出された磁界の強さに対応する位置は、第2配置の位置になるように設定される。そして、上側アーチ部材110に対する相対的な下側アーチ部材120の前進は、第2配置の位置に対する第1配置を比較することによって決定され得る。
【0049】
上述によって、上側アーチ部材110に対する相対的な下側アーチ部材120の前進の決定を、ユーザ毎にカスタマイズすることが可能となる。さらに、そのようにカスタマイズすることによって、前進の決定をより正確にすることが可能となる。ユーザの典型的な前進の決定に対するいかなる変化は、OATに関する問題(例えば、ユーザが処方されたOATを順守したか否か)を決定することにも使用されても良い。
【0050】
温度センサは、温度の変化を検出するように構成されている。通常の身体の温度に対する温度の上昇は、口内装置110が口の中に配置されたことのしるしとして使用され得る。
【0051】
マイクロフォンは、音を検出するように構成される。そして、組込型コントローラ302又はコンピュータ装置1300は、呼吸の活動状況(例えば、通常の呼吸、いびきのパターン、歯ぎしり等)を決定するために検出された音を解析し得る。
【0052】
圧力センサ又はスイッチのような他のセンサは、口内装置が使用中であるか否かを決定するために又は噛むときの圧力(例えば、歯ぎしりを検出するため)を決定するために含まれ得る。
【0053】
センサアッセンブリ140は、電源144及び磁石142をも含んでいる。電源144は、ワイヤレス電力受信機、バッテリ及び電圧調整器を含んでいる。電源144の部材は、説明の容易化のために、図2Aには示されていない。ワイヤレス電力受信機は、バッテリを充電するために、無線で電力を受信するように構成されている。バッテリは、電圧調整器に電力を供給するように構成され、電圧調整器は、さらに、調整された電力を組込型コントローラ302に供給する。
【0054】
磁石142は、ドッキングステーション200内に位置する対応する磁石242にエンゲージするために用いられている。磁石142と磁石242がエンゲージされているとき、電源144のワイヤレス電力受信機は、ドッキングステーション200にいるワイヤレスチャージャ210の送信コイルと位置が揃えられる。
【0055】
以下に記述される方法は、組込型コントローラ302を用いて実行されても良く、この構成においては、図5のステップ510、ステップ520及びステップ550が、組込型コントローラ302内で実行可能な1つ又は複数のソフトウェアアプリケーションプログラム333として実行されても良い。特に、図5Bを参照して、記述された方法500のステップ510、ステップ520及びステップ550は、組込型コントローラ302内で実行されるソフトウェア333内の命令によって実行される。ソフトウェアの命令は、1つ又は複数の特別なタスクの各々のために、1つ又は複数のコードモジュールとして形成されても良い。
【0056】
組込型コントローラ302のソフトウェア333は、一般的には、内部ストレージモジュール309の不揮発性のROM360内に記憶される。ROM360内に記憶されたソフトウェア333は、必要時に、コンピュータ読込可能な媒体からアップデートされ得る。ソフトウェア333は、プロセッサ305によってロードされ、実行され得る。いくつかの例においては、プロセッサ305は、RAM370内のソフトウェア命令を実行する。ソフトウェア命令は、ROM360からRAM370への1又は複数のコードモジュールのコピーを開始するプロセッサ305によってRAM370にロードされても良い。その代わりに、1又は複数のコードモジュールのソフトウェア命令は、製造者によって、RAM370内の不揮発性の領域に、プレインストールされても良い。1又は複数のコードモジュールがRAM370内に位置するようになった後に、プロセッサ305は、1又は複数のコードモジュールのソフトウェア命令を実行しても良い。
【0057】
アプリケーションプログラム333は、一般的には、製造者によって、センサアッセンブリ140が上側アーチ部材110に設置される前に、ROM360内にプレインストールされ、記憶される。しかしながら、いくつかの例では、アプリケーションプログラム333は、通信ネットワーク1320からプロセッサ305によって読み込まれても良い。コンピュータ読込可能な記憶媒体は、実行及び/又は処理のために、組込型コントローラ302に命令及び/又はデータを供給することに関与するいかなる不揮発性の有形の記憶媒体をいう。そのような記憶媒体の例は、ソリッドステートドライブ、ROM又は集積回路、USBメモリ等を含む。ソフトウェア、アプリケーションプログラム、命令及び/又はデータをセンサアッセンブリ140に供給することに関与し得る揮発性又は不揮発性のコンピュータ読込可能な伝送媒体の例は、他のコンピュータ又はネットワーク装置へのネットワーク接続だけでなく、ラジオ又は赤外線の伝送チャンネル、及び、Eメール送信やウェブサイト等に記録された情報を含むインターネット又はイントラネットを含む。そのようなソフトウェア又は記録されたコンピュータプログラムを有するコンピュータ読込可能な媒体は、コンピュータプログラム製品である。
【0058】
図2Bは、アプリケーションプログラム333及び内部ストレージモジュール309を実行するためのプロセッサ305を有する組込型コントローラ302を詳細に示すものである。内部ストレージモジュール309は、読込専用メモリ(ROM)360及びランダムアクセスメモリ(RAM)370を備えている。プロセッサ305は、接続されたROM36及びRAM370の一方又は両方に記憶されたアプリケーションプログラム333を実行することができる。センサアッセンブリ140が最初に起動されるとき、ROM360内にあるシステムプログラムが実行される。ROM360内に永続的に記憶されているアプリケーションプログラム333は、時々「ファームウェア」と呼ばれる。プロセッサ305によるファームウェアの実行は、プロセッサ管理、メモリ管理、機器管理、ストレージ管理及びユーザインターフェィスを含む様々な機能を実現しても良い。
【0059】
プロセッサ305は、一般的には、コントロールユニット(CU)351、論理演算装置(ALU)352、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)353及び、内部バッファ又はキャッシュメモリ355の他に、アトミックデータエレメント356、357を一般的に含む一組のレジスタ354を備えるローカル又は内部メモリを含む多くの機能的モジュールを含んでいる。1又は複数の内部バス359が、これらの機能モジュールに互いに接続している。プロセッサ305は、一般的には、接続361を用いてシステムバス381を経由して、外部装置の通信のために、1又は複数のインターフェィス358をも有している。
【0060】
アプリケーションプログラム333は、条件付き分岐及びループ命令を含む一連の命令362、一連の命令363を含んでいる。プログラム333は、プログラム33の実行時に使用されるデータも含んでいる。このデータは、命令の一部として、又はROM360又はRAM370内の離間位置364内に記憶されても良い。
【0061】
概して、プロセッサ305には、その中で実行される一組の命令が与えられる。この一組の命令は、特別なタスクを実行する又はセンサアッセンブリ140内で起こる特別なイベントを処理するブロック内に編成されても良い。一般的には、アプリケーションプログラム333は、イベントを待機し、それに引き続き、そのイベントに関連するコードのブロックを実行する。イベントは、プロセッサ305によって検出されるように、図3Aのユーザ入力装置313を介した、ユーザからの入力に呼応して引き起こされても良い。イベントは、他のセンサ及びセンサアッセンブリ140内のインターフェィスに呼応して引き起こされても良い。
【0062】
1組の命令を実行することは、読み込まれるべき且つ修正されるべき数値変数を必要としても良い。そのような数値変数は、RAM370内に記憶される。開示された方法は、メモリ370内の知られたロケーション372、ロケーション373に記憶されている入力変数を使用する。入力変数371は、メモリ370内の知られたロケーション378、ロケーション379に記憶されている出力変数377を生成するために処理される。中間変数374は、メモリ370の位置375、位置376内の追加メモリ位置に記憶されても良い。これに代えて、いくつかの中間変数が、プロセッサ305のレジスタ354内のみに存在しても良い。
【0063】
一連の命令の実行は、命令取出し実行サイクルを繰り返し利用することによって、プロセッサ305内で実現される。プロセッサ305のコントロールユニット351は、次に実行されるべき命令のアドレスをROM360又はRAM370内に含む、プログラムカウンタと呼ばれるレジスタを維持する。命令取出し実行サイクルのスタート時に、プログラムカウンタによって紐付けされたメモリアドレスの中身は、コントロールユニット351内にロードされる。このようにロードされた命令は、プロセッサ305の引き続く動作を制御し、例えば、ROMメモリ360にロードされるべきデータをプロセッサレジスタ354にロードさせ、レジスタの中身他のレジスタの中身と一緒に演算によって混合させ、レジスタの中身を他のレジスタ内に記憶される位置に記述させる等する。命令取出し実行サイクルの最後に、プログラムカウンタは、システムプログラムコード内の次の命令の点にアップデートされる。このように直前に実行された命令に依存することは、分岐動作を実現するために、プログラムカウンタ内に含まれるアドレスをインクリメントすること又は新しいアドレスとともにプログラムカウンタをロードすることを含んでも良い。
【0064】
後述する方法500の各ステップ510、ステップ520又はステップ550は、アプリケーションプログラム333の1又は複数のセグメントに関連しており、プロセッサ305における、又は同様の電子装置301内の他の独立したプロセッサブロックのプログラム動作において、命令取出し実行サイクルの繰り返しの実行によって実行される。
【0065】
ドッキングステーション200
図3は、ドッキングステーション200の概略を示している。ドッキングステーション200は、ワイヤレスチャージャ210及び磁石242を含む。センサアッセンブリ140に関連して上述したように、磁石242は、センサアッセンブリ140内に配置される磁石142とエンゲージするように構成されている。磁石142と磁石242がエンゲージされたとき、ワイヤレスチャージャ210の送信コイルの位置と、センサアッセンブリ140のワイヤレス電力受信機の位置とが揃う。ワイヤレスチャージャ210の送信コイルとワイヤレス電力受信機の位置が揃うことで、ワイヤレスチャージャ210から電源144のバッテリへの電力の供給が可能となる。
【0066】
ワイヤレスチャージャ210は、本体280から電力を受信する。本体280からの交流電力をワイヤレスチャージャ210によって電源144を充電するのに適切な電力に変換するように構成される電気回路(ここでは説明を簡潔にする目的で記述及び説明されていない)が存在する。
【0067】
ドッキングステーション200は、口内装置100が中に配置されるハウジングも含んでいる。
【0068】
コンピュータ装置1300
図4A及び図4Bは、コンピュータ装置1300示している。図4Aに示すように、コンピュータ装置1300は、コンピュータモジュール1301、キーボード1302、マウスポインタデバイス1303、スキャナ1326、カメラ1327及びマイクロフォン1380のような入力装置、及びプリンタ1315、ディスプレイ装置1314及びスピーカ1317を含む出力装置を備えている。外部モデム通信機1316は、接続1321を介した、通信ネットワーク1320への、又は通信ネットワーク1320からの通信のために、コンピュータモジュール1301によって使用されても良い。通信ネットワーク1320は、インターネットのような広域ネットワーク(WAN)、セルラー通信ネットワーク又はプライベートWANであっても良い。接続1321が電話回線の場合、外部モデム通信機1316は、伝統的な「ダイアルアップ」モデムであっても良い。これに代えて、接続1321が大容量接続(例えば、ケーブル)の場合、外部モデム通信機1316は、ブロードバンドモデムであっても良い。ワイヤレスモデムも、通信ネットワーク1320へのワイヤレス接続のために使用されても良い。
【0069】
コンピュータモジュール1301は、一般的に、少なくとも1つのプロセッサユニット1305及びメモリユニット1306を含む。例えば、メモリユニット1306は、半導体のランダムアクセスメモリ(RAM)及び半導体の読込専用メモリ(ROM)を有しても良い。コンピュータモジュール1301も、ディスプレイ装置1314、スピーカ1317及びマイクロフォン1380に接続されるオーディオビデオインターフェィス1307、キーボード1302、マウスポインタデバイス1303、スキャナ1326、カメラ1327及びオプションとしてジョイステックや他のヒューマンインターフェィス装置(図示せず)に接続されるI/Oインターフェィス1313及び、外部モデム通信機1316及びプリンタ1315のためのインターフェィス1308を含む、多くの入力/出力(I/O)インターフェィスを含んでいる。いくつかの実施において、外部モデム通信機1316は、コンピュータモジュール1301内、例えば、I/Oインターフェィス1308内に組み入れられても良い。コンピュータモジュール1301は、接続1323を介して、コンピュータ装置1300を、ローカルエリアネットワーク(LAN)として知られているローカルエリア通信ネットワーク1322への接続を可能にするローカルネットワークインターフェィス1311をも有している。図4Aに示すように、ローカルエリア通信ネットワーク1322は、いわゆる「ファイアウォール」装置又は同様の機能を有する装置を一般的に含む接続1324を介して、通信ネットワーク1320と接続しても良い。ローカルネットワークインターフェィス1311は、Ethernet回路カード、Bluetooth(登録商標)ワイヤレス装置、又はIEEE802.11ワイヤレス装置を備えても良い。しかしながら、多くの他のタイプのインターフェィスが、ローカルネットワークインターフェィス1311のために実践されても良い。
【0070】
I/Oインターフェィス1308及びI/Oインターフェィス1313は、シリアル及びパラレル接続のいずれか一方又は両方を実現でき、シリアル接続は、一般的に、ユニバーサルシリアルバス(USB)規格に従って実行され、これに対応するUSB接続部(図示せず)を有している。ストレージデバイス1309は、一般的に、ハードディスクドライブ(HDD)1310を含んで提供される。フロッピーディスクドライブ及び磁気タイプドライブ(図示せず)のような他のストレージ装置が用いられても良い。光学ディスクドライブ1312は、一般的に、データの非不揮発性供給源として機能するように供給される。光学ディスク(例えば、CD-ROM、DVD、Blu-rayDisc(登録商標))、USB-RAM、ポータブル且つ外部ハードドライブ及びフロッピーディスクのようなポータブルメモリ装置は、例えば、コンピュータ装置1300へのデータの適切な供給源として用いられても良い。
【0071】
プロセッサユニット1305からI/Oインターフェィス1313までのコンピュータモジュール1301部材は、一般的に、相互に接続されたシステムバス1304によって、且つ、結果的に、関連する分野の人々に知られたコンピュータ装置1300の動作の周知モードとなる態様で通信を行う。例えば、プロセッサ1305は、接続1318を用いてシステムバス1304に接続される。同様に、メモリ1306及び光学ディスクドライブ1312は、接続1319によってシステムバス1304に接続される。記述された装置が実践され得るコンピュータの例は、IBM-PCとその互換機、Sun SPARCstations、Apple Mac(登録商標)及び他のコンピュータシステムである。
【0072】
口内装置100を使用することの従順さ及び有効性を決定する方法は、コンピュータ装置1300を用いて実行されても良く、以下に記述される図5の処理は、コンピュータ装置1300内で実行可能な1又は複数のソフトウェアアプリケーションプログラム1333として実行されても良い。特に、口内装置100を使用することの従順さ及び有効性を決定する方法のステップは、コンピュータ装置1300内で実行されるソフトウェアアプリケーションプログラム1333内の命令1331(図4B参照)によって実行される。ソフトウェア命令1331は、各々が1又は複数の特別なタスクを実行する、1又は複数のコードモジュールとして形成されても良い。ソフトウェアは、2つの分離した部分に分離されても良く、その中で、第1部分及びこれに対応するコードモジュールは、口内装置100を使用することの従順さ及び有効性を決定する方法を実行し、第2の部分及びこれに対応するコードモジュールは、第1の部分とユーザとの間のユーザインターフェィスを管理するようにしても良い。
【0073】
ソフトウェアは、例えば、後述するストレージ装置を含む、コンピュータ読込可能媒体に記憶されても良い。ソフトウェアは、コンピュータ読込可能媒体からコンピュータ装置1300にロードされ、その後、コンピュータ装置1300によって実行される。そのようなソフトウェアを有するコンピュータ読込可能媒体又はコンピュータ読込可能媒体に記録されたコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムプロダクトである。コンピュータ装置1300におけるコンピュータプログラムプロダクトの使用は、口内装置100を使用することの従順さ及び有効性を決定することにとって、好ましく、有益な装置をもたらす。
【0074】
ソフトウェアアプリケーションプログラム1333は、一般的に、ハードディスクドライブ1310又はメモリ1306内に記憶されている。ソフトウェアは、コンピュータ読込可能媒体からコンピュータ装置1300にロードされ、コンピュータ装置1300によって実行される。このように、例えば、ソフトウェアアプリケーションプログラム1333は、光学ディスクドライブ1312によって読み込まれる、光学的に読込可能なディスクストレージメディア(例えば、CD-ROM)1325上に記憶されても良い。そのようなソフトウェアを有するコンピュータ読込可能媒体又はそれ上に記録されたコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムプロダクトである。コンピュータ装置1300におけるコンピュータプログラムプロダクトの使用は、口内装置100を使用することの従順さ及び有効性を決定することにとって、好ましく、装置を達成する。
【0075】
いくつかの例では、ソフトウェアアプリケーションプログラム1333は、符号化された1又は複数のCD-ROM1325がユーザに供給され、光学ディスクドライブ1312を介して読み込まれても良いし、又は、これに代えて、通信ネットワーク1320又はローカルエリア通信ネットワーク1322からユーザによって読み込まれても良い。さらに、ソフトウェアは、他のコンピュータ読込可能媒体からコンピュータ装置1300にロードされ得る。コンピュータ読込可能記憶媒体は、実行及び/又は処理のために、コンピュータ装置1300に、記録された命令及び/又はデータを提供するいかなる不揮発性の有形な記録媒体をいう。そのような記憶媒体の例は、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、ROM又は集積回路、USBメモリ、磁気光学ディスク、又はPCMCIAカードのコンピュータ読込可能なカード等であって、そのような装置がコンピュータモジュール1301の内部にあるか外部にあるかを関わらず含む。ソフトウェア、アプリケーションプログラム、命令及び/又はデータをコンピュータモジュール1301に供給することに関与し得る揮発性又は不揮発性のコンピュータ読込可能な伝送媒体の例は、他のコンピュータ又はネットワーク装置へのネットワーク接続だけでなく、ラジオ又は赤外線の伝送チャンネル、及び、Eメール送信やウェブサイト等に記録された情報を含むインターネット又はイントラネットを含む。
【0076】
アプリケーションプログラム1333の第2部分と上述したこれに対応するコードモジュールは、供給される1又は複数のグラフィカルユーザインターフェィス(GUIs)又はディスプレイ装置1314に代表される別の態様を履行するように実行されても良い。キーボード1302及びマウスポインタデバイス1303の一般的操作を通して、コンピュータ装置1300及びアプリケーションのユーザは、GUI(s)に関連したアプリケーションへの命令及び/又は入力を制御するための機能的に適用可能な方法で、インターフェィスを操作しても良い。スピーカ1317を介して出力されるスピーチプロンプト及びマイクロフォン1380を介して入力されるユーザボイス命令を利用した音声インターフェィスのような、他の形式の機能的に適用可能なユーザインターフェィスも、実施可能である。
【0077】
図4Bは、プロセッサ1305及び「メモリ」1334の詳細な、概略ブロック図である。メモリ1334は、図4Aのコンピュータモジュール1301によってアクセスされ得るすべてのメモリモジュール(HDDストレージデバイス1309及び半導体メモリ1306を含む)の論理的集合を示している。
【0078】
コンピュータモジュール1301が最初に起動させられたとき、電源オン自己テスト(POST)プログラム1350が実行される。POSTプログラム1350は、一般的には、図4Aの半導体メモリ1306のROM1349内に記憶されている。ソフトウェアを記憶するROM1349のようなハードウェア装置は、ときどき、ファームウェアと呼ばれる。POSTプログラム1350は、適切に機能することを確認するために、コンピュータモジュール1301内のハードウェアを検査し、正確な動作のために、一般的に、プロセッサ1305、メモリ1334(ストレージデバイス1309、半導体メモリ1306)及び、一般的にはROM1349内に記憶されているベーシックインプットアウトプットシステムソフトウェア(BIOS)モジュール1351をもチェックする。一旦、POSTプログラム1350が成功して実行されると、BIOSモジュール1351は、図4Aのハードディスクドライブ1310を始動させる。ハードディスクドライブ1310の始動は、プロセッサ1305によって実行するために、ハードディスクドライブ1310内のブートストラップローダプログラム1352を引き起こす。これは、オペレーティングシステム1353が開始するRAMメモリ1306内に、オペレーティングシステム1353をロードする。オペレーティングシステム1353は、プロセッサ管理、メモリ管理、機器管理、ストレージ管理、ソフトウェアアプリケーションインターフェィス及びグラフィカルユーザインターフェィスを含む、様々な高いレベルの機能を果たすための、プロセッサ1305によって実行されるシステムレベルアプリケーションである。
【0079】
オペレーティングシステム1353は、他の処理に割り当てられたメモリと衝突することなく実行されるように、コンピュータモジュール1301上で実行される処理又はアプリケーションの各々が十分なメモリを有することを保証するために、メモリ1334(ストレージデバイス1309、半導体メモリ1306)を管理する。さらに、図4Aのコンピュータ装置1300において実施可能な異なるタイプのメモリは、各処理が効果的に実行されるように、適切に使用されなければならない。従って、集約メモリ1334は、(特に他に言及が無ければ)特定のメモリのセグメントがどのように割り当てられるのかを示すことを意図しておらず、むしろ、コンピュータ装置1300によってアクセス可能なメモリの一般的な図と、どのように使用されるのかを提供している。
【0080】
図4Bに示すように、プロセッサ1305は、コントロールユニット1339、論理演算装置(ALU)1340及びときにはキャッシュメモリと呼ばれるローカル又は内部メモリ1348を含む多くの機能的モジュールを含む。キャッシュメモリ1348は、一般的に、レジスタセクションに、多くのストレージレジスタ1344から1346までを含む。1又は複数の内部バス1341は、これらの機能的モジュールを機能的に互いに接続する。プロセッサ1305は、一般的に、接続1318を用いて、システムバス1304を介して、外部装置との間の通信のために、1又は複数のインターフェィス1342も有している。メモリ1334は、接続1319を用いて、システムバス1304に接続されている。
【0081】
アプリケーションプログラム1333は、条件付き分岐及びループ命令を含み得る一連の命令1331を含む。ソフトウェアアプリケーションプログラム1333は、ソフトウェアアプリケーションプログラム1333の実行に用いられるデータ1332も含んでいる。命令1331及びデータ1332は、メモリロケーション1328、メモリロケーション1329、メモリロケーション1330及びメモリロケーション1335、メモリロケーション1336、メモリロケーション1337に、それぞれ記憶されている。命令1331とメモリロケーション1328から1330までの相対的なサイズに依存して、特別な命令がメモリロケーション1330内に示される命令によって記述されるように、1つのメモリロケーション内に記憶されても良い。これに代えて、メモリロケーション1328とメモリロケーション1329に示される命令セグメントによって記述されるように、命令が、各々が離れたメモリロケーション内に記憶されている多くの部分に分割されても良い。
【0082】
概して、プロセッサ1305には、その中で実行される一連の命令が与えられる。プロセッサ1305は、別の一連の命令を実行することによって、プロセッサ1305が応答する、引き続く入力を待機する。各々の入力は、入力デバイスであるキーボード1302、マウスポインタデバイス1303のうちの1又は複数によって生成されるデータ、通信ネットワーク1320、キーボード1302のうちの1つを横断する外部ソースから受信されるデータ、半導体メモリ1306、ストレージデバイス1309のようなストレージデバイスのうちの1つから引き出されるデータ、又は、対応する光学ディスクドライブ1312内に挿入されるストレージメディア1325から読み込まれるデータを含んで、図4Aに示されるすべての、多くのソースのうちの1又は複数から提供されても良い。一連の命令の実行は、いくつかの場合では、データの出力をもたらしても良い。実行は、データ又は変数をメモリ1334に記憶することを含んでも良い。
【0083】
口内装置100の設備を使用することへの従順さや有効性を決定する開示された方法は、対応するメモリロケーション1355、メモリロケーション1356、メモリロケーション1357内であって、メモリ1334内に記憶される入力変数1354を用いている。開示された装置は、対応するメモリロケーション1362、メモリロケーション1363、メモリロケーション1364内であって、メモリ1334に記憶される出力変数1361を生成する。中間変数1358は、メモリロケーション1359、メモリロケーション1360、メモリロケーション1366、メモリロケーション1367に記憶されても良い。
【0084】
図4Bのプロセッサ1305に関し、レジスタ1344、レジスタ1345、レジスタ1346、論理演算装置(ALU)1340及びコントロールユニット1339は、プログラム1333を構成する一連の命令において、命令毎に「フェッチ、デコード及び実行」サイクルを実行するために必要とされる、一連のマイクロオペレーションを実行するために共に機能する。フェッチ、デコード及び実行の各々は、以下を備える。
【0085】
メモリロケーション1328、メモリロケーション1329、メモリロケーション1330から命令1331をフェッチ又は読みこむフェッチ操作。
【0086】
どの命令がフェッチされたのかをコントロールユニット1339決定するデコード操作。
【0087】
コントロールユニット1339及び/又はALU1340が命令を実行する実行操作。
【0088】
これ以降、次の命令のための、より先のフェッチ、デコード及び実行サイクルが実行されても良い。同様に、コントロールユニット1339が、メモリロケーション1332に値を記憶又は書き込むことによって記憶サイクルが実行されても良い。
【0089】
図5の処理におけるステップ又はサブ処理の各々は、プログラム1333の1又は複数のセグメントと関連しており、プログラム1333の言及されたセグメントのために設定された命令における命令毎のフェッチ、デコード及び実行サイクルを実行するために共に働くプロセッサ1305中のレジスタ部1344、レジスタ部1345、レジスタ部1347、ALU1340及びコントロールユニット1339によって実行される。
【0090】
口内装置100を使用することへの従順さや有効性を決定する方法は、これに代えて、方法500の機能又は副次的(サブ)機能を実行する1又は複数の集積回路のような専用のハードウェアで実施されても良い。そのような専用のハードウェアは、図形処理装置(グラフィックプロセッサ)、デジタル信号処理装置(デジタルシグナルプロセッサ)、又は1又は複数のマイクロプロセッサ及び関連するメモリを含んでも良い。そのような専用のハードウェアは、ドッキングステーション200又はセンサアッセンブリ140に配置されても良い。
【0091】
方法500
図5は、口内装置100を使用することへの従順さや有効性を決定する方法500を示している。方法500は、プロセッサ305又はプロセッサ1305によって、ステップが実行されるコンピュータプログラムである。
【0092】
方法500は、口内装置100が使用中であるか否かを決定することによって、必須でないステップ510から開始する。先に述べたように、方法500の先のステップを実行する前に、センサアッセンブリ140によってスップ510が実行されても良い。必須でないステップ510によって、センサアッセンブリ140は、患者が口内装置100を身に付けているときのデータを記録することができる。
【0093】
ステップ510は、コントローラ(プロセッサ)1305によって実行されても良い。コントローラ1305がステップ510を実行する場合、コントローラ305は、センサ150によって検出されたすべてのデータを記録する。コントローラ1305は、それから、記録されたデータを解析する。
【0094】
1つの装置においては、口内装置100がドッキングステーション200から離れたときに、方法500が開始しても良い。これに代わる装置においては、方法500は、継続的に実行される。ステップ510が満たされない場合、方法500は、ステップ520以降を実行する。
【0095】
口内装置100が使用中であるか否かを判断するために用いられ得る特性は、多種存在している。これらの特性は、温度、血圧、心拍数及び血中酸素濃度レベルを含む。これ以降、口内装置100が使用中であるか否かを判断するための特性を、第1特性とする。
【0096】
センサアッセンブリ140内の温度センサは、温度の変化を決定することに使用される。検出された温度が、35℃から41℃(すなわち、体温)までの範囲内にあるとき、コントローラ305又はコントローラ1305は、口内装置100は患者によって使用されている、と判断する。
【0097】
パルスオキシメータセンサは、患者の血中酸素濃度レベル、血圧及び心拍数を決定するために使用される。パルスオキシメータセンサが、予め決定された閾値(例えば、90パーセント)よりも高い血中酸素濃度レベルを検出している場合、そのとき、コントローラ305又はコントローラ1305は、口内装置100が使用中であると判断する。さらに、心拍数が検出されたとき、コントローラ305又はコントローラ1305は、口内装置100が使用中であると決定する。さらに、血圧が検出されたとき、コントローラ305又はコントローラ1305は、口内装置100が使用中であると判断する。
【0098】
複数の第1特性の組合せも、口内装置100が使用中であるかどうかを正確に決定するために、ステップ510において、使用され得る。例えば、温度センサが35℃から41℃までの範囲内であるが、心拍数が検出されていない場合、方法500は、口内装置100が使用中では無いと判断する。
【0099】
口内装置100が使用中であると判断された場合(YES)、それから、方法500は、ステップ510からステップ520に進む。そうでない場合(NO)、方法500は、口内装置100が使用中であるか否かを継続的に判断するために、ステップ510に留まる。これは使用時間として記録される。当該装置が口から取り外され、信号が記録されなくなったときに、使用時間は止まる。
【0100】
ステップ520は、患者が睡眠中か否かを判断する。先に述べたように、ステップ520は、方法500の先のステップを実行する前に、センサアッセンブリ140によって実行されても良い。ステップ520によって、センサアッセンブリ140が、関連のあるデータのみが記録されるように、患者が寝ているときのデータを記録することができる。別の装置においては、センサアッセンブリ140は、常にデータを記憶する。この他の装置が実行される場合、ステップ510及びステップ520は、ステップ530と同時に実行され得る。
【0101】
ステップ520は、コントローラ1305によっても実行され得る。コントローラ1305がステップ520を実行する場合、コントローラ305は、センサ150によって検出されたすべてのデータを記録する。コントローラ1305は、それから、記録されたデータを解析する。
【0102】
患者が睡眠中であるか否かを判断するために用いられ得る特性は、多種存在している。これらの特性は、パルスオキシメトリ(パルスによる酸素測定)、脈波、いびき音の検出、下あごの移動及び心拍数を含む。これ以降、患者が眠っているか否かを決定するための特性を、第2特性という。
【0103】
パルスオキシメータセンサは、患者の脈波、血圧及び心拍数を決定するために使用される。検出された血圧が20mmHgから50mmHgの大きさで減少する場合、又は、脈波の波高が20パーセント以上の大きさで減少する場合、コントローラ305は、患者が眠っていると判断する。検出された心拍数が1分あたり10拍から20泊の数で減少するとき、コントローラ305は、患者が睡眠中であると判断する。
【0104】
第2特性は、記録されたデータに基づいて、患者に対してカスタマイズされ得る。例えば、患者が眠りに落ちることを決定するための初期設定は、血圧が20mmHgから50mmHgの大きさで減少することである。しかしながら、コントローラ305又はコントローラ1305によって長期間に渡って実行されていたコンピュータソフトウェアは、眠りに落ちるときの患者の特別な血圧をより精度よく決定するためのより多くのデータを入手している可能性がある。方法500は、それから、特定の患者が眠りに落ちるときを、方法500がより正確に決定することができるように、予め決められた閾値を調整する。
【0105】
複数の第2特性の組合せは、患者が眠りに落ちたときを正確に検出するために、ステップ520において使用され得る。例えば、血圧が予め決められた閾値より下の値まで減少したが、心拍数がまだ高い場合、方法500は、患者は、まだ眠っていないと判断する。
【0106】
方法500が、患者が睡眠中であると判断したとき、方法500は、患者が眠っていると判断されていた時間を記録する。これは、就寝時間として記録され、患者が起きたことを検出されたときに、止まる。
【0107】
患者が睡眠中であると判断された場合(YES)、それから、方法500は、ステップ520からステップ530に進む。そうではない場合(NO)、方法500は、口内装置110がまだ使用中であるか否かを判断するために、ステップ510に戻る。
【0108】
ステップ530は、無呼吸又は低呼吸の状況を決定する。無呼吸の状況を決定するための兆候として使用され得る特性は、多種存在している。これらの特性は、血中酸素濃度レベル、心拍数、下あご及び頭部の位置、及びある呼吸動作(例えば、空気を求めてあえぐ)を含む。これ以降、無呼吸の状況を判断するための特性を、第3特性という。ステップ530は、プロセッサ1305によって実行される。
【0109】
パルスオキシメータセンサは、患者の血中酸素濃度レベル及び心拍数を決定することに用いられる。検出された血中酸素濃度レベルが3パーセント以上の大きさで減少し、これとほぼ同時に、心拍数が10パーセントから50パーセントの大きさで増加する場合、コントローラ1305は、無呼吸の状況が発生したことを検出する。血中酸素濃度レベルにおける減少及び心拍数における増加は、無呼吸の状況が起こったか否かに関する第一の兆候として使用される。
【0110】
下あごの位置は、磁力計610によって決定された磁界の強さを使用することによって判断される。先に述べたように、上側アーチ部材110内の磁力計610によって決定される磁界の強さは、下側アーチ部材120の突出及び下側アーチ部材120が上側アーチ部材110からどのくらい離れたかも示している。血圧における減少及び心拍数における増加が検出された後、口が開いていると判断されたとき、これは、無呼吸の状況が起こっていることのしるしである。口が開いていることは、無呼吸の状況が起こったか否かの第二の兆候として使用される。
【0111】
患者が空気を求めてあえぐことは、マイクロフォンによって記録された音を解析することによって判断され得る。空気を求めてあえぐことは、短時間の間の、音の振幅における増加である。空気を求めてあえぐことは、口を開くことと同時に起こるため、空気を求めてあえぐことは、無呼吸の状況が起こっているか否かの第二の兆候として使用される。
【0112】
第3特性は、記録されたデータに基づいて、患者に対してカスタマイズされ得る。例えば、無呼吸の状況が起こったときを決定するための初期設定は、血中酸素濃度レベルが3パーセント以上の大きさで減少したときである。しかしながら、コントローラ1305によって長期間に渡って実行されていたコンピュータソフトウェアは、特定の患者の無呼吸状況が発生したときをより精度よく決定するためのより多くのデータを入手している可能性がある。方法500は、それから、方法500が無呼吸の状況が発生したときをより正確に判断できるように、予め決定された閾値を調整する。
【0113】
方法500は、それから、ステップ530からステップ540に進む。
【0114】
ステップ540は、無呼吸の状況の前及び最中に、患者に関連する特性を決定する。ステップ540は、プロセッサ1305によって実行され、ステップ520が完了した後であれば、いかなる時間においても実行され得る。
【0115】
ステップ540を実行するために記録される特性は、多種存在している。これ以降、これらの特性を、第4特性という。第4特性は、患者の頭部と下あごの位置、上側アーチ部材110に関連する下側アーチ部材120の突出、呼吸動作、酸素飽和及び患者の頭部と顎の加速度を含む。
【0116】
患者の頭部の位置は、加速度計によって記録されたデータに基づいて決定され得る。例えば、加速度計が、加速度計が鉛直上向きを向いていることを示す場合、そのようなしるしは、頭部が上方を向いており、患者が仰向けで寝ているというしるしを提供する。別の例においては、加速度計が、加速度計が水平方向に向いていることを示す場合、そのようなしるしは、頭部が横を向いており、患者が横向きの位置で寝ているというしるしを提供する。
【0117】
下側アーチ部材120の突出は、磁力計610によって記録されたデータに基づいて決定され得る。先に述べたように、下側アーチ部材120の突出及び上側アーチ部材110が下側アーチ部材120からどのくらい離れたか(例えば、口が開いているか否か、閉じているか否か、又は一方のサイドにシフトしているか否か)は、実験的に記録されたデータを用いることによって決定され得る。
【0118】
患者の呼吸の活動状況は、マイクロフォンによって記録された音を解析することによって決定され得る。コントローラ1305は、患者が、通常通り呼吸しているか否か、いびきをかいているか否か、息が止まっているか否か(あえいでいるか否か)等を決定するために、患者の呼吸の回数及び周期的なパターンを解析するソフトウェアプログラムを実行する。
【0119】
方法500は、ステップ540の終わりに当たり、ステップ550に進む。
【0120】
ステップ550は、患者が起きているか否かを判断する。先に述べたように、ステップ550は、センサアッセンブリ140によって実行されても良い。ステップ550によって、センサアッセンブリ140は、患者が起きていると判断されたときに、データの記録を止めることができる、1つの装置においては、患者が起きた後であっても、しばらくは、記録されたデータの解析が可能となるように、データの記録はストップされない。
【0121】
ステップ550は、コントローラ1305によっても実行され得る。コントローラ1305が、ステップ550を実行する場合、コントローラ305は、センサ150によって検出されたすべてのデータを記録する。それから、コントローラ1305は、記録されたデータを解析する。
【0122】
第2特性は、患者が起きているか否かを決定することのために使用される。
【0123】
パルスオキシメータセンサは、患者の血圧及び心拍数を決定するために使用される。検出された血圧が、20mmHaから50mmHgの大きさ増加したとき、コントローラ305は、患者は起きていると判断する。検出された心拍数が、10パーセントから50パーセント上昇したとき、コントローラ305は、患者が起きていると判断する。
【0124】
第2特性は、記録されたデータに基づいて患者に対してカスタマイズされ得る。例えば、患者が起きたときを判断するための初期設定は、血圧が20mmHgから50mmHgの大きさ増加したときである。しかしながら、コントローラ305又はコントローラ1305によって長期間に渡って実行されていたコンピュータソフトウェアは、特定の患者が起きたときの特定の患者の血圧をより精度よく決定するためのより多くのデータを入手している。それから、方法500は、方法500が、特定の患者が起きたときをより正確に決定できるように、予め決定された閾値を調整する。
【0125】
複数の第2特性の組合せは、患者が起きたときをより正確に決定するために、ステップ550でも使用され得る。例えば、血圧/脈波が予め決定された閾値よりも上の値まで増加したが、心拍数が未だ低い場合、方法500は、患者はまだ起きていないと判断する。
【0126】
方法500が、患者が起きていると判断したとき、方法500は、患者が起きたと判断された時間を記録する。
【0127】
患者が起きていると判断された場合(YES)、方法500は、それから、ステップ550からステップ560に進む。そうでなければ(NO)、方法500は、無呼吸の状況及び第4特性を継続的に判断するために、ステップ530に戻る。
【0128】
ステップ560は、口内装置100を使用する、処方されたOATへの患者の従順さを決定する。ステップ560は、コントローラ1305によって実行される。
【0129】
ステップ560は、睡眠時中における、口内装置100の記録された使用量と、処方された(規定された)口内装置100の使用量とを比較することによって実行される。口内装置100の記録された使用量は、記録された患者が起きている及び寝ている時間から決定される。それから、この記録された使用量は、処方された(規定された)使用時間に対して比較される。記録された使用量が、処方された使用時間よりの少ない場合、方法500は、患者の従順さパーセンテージ(百分率)を出力する。
【0130】
方法500は、それから、ステップ560からステップ570へ進む。
【0131】
ステップ570は、睡眠中に起きている無呼吸の状況を減らすことの口内装置100の有効性を決定する。ステップ570は、コントローラ1305によって実行される。
【0132】
ステップ570は、患者のAHIを決定することにより実行される。AHIは、患者が寝ている1時間毎に無呼吸の状況が起こる回数を比較することにより判断される。口内装置100を使用するOATの有効性は、第4特性を用いることによってより精度よく決定される。無呼吸の状況が起こったときの、例えば、患者の下あご及び頭部の位置、呼吸の活動状況(例えば、いびき)等は、何が無呼吸の状況を引き起こしたか、及び口内装置100が無呼吸の状況の発生回数を減らすことを助けているか否かに対してより良い洞察を提供することが可能である。
【0133】
方法500は、ステップ570の終わりにあたり、終了する。
【0134】
センサアッセンブリ140によって収集されたデータに基づいて、医師は、OATを改良する(例えば、突出を増加させることによって、口内装置100を変更することによって、滴定を増加させることによって、補足の治療を追加することによって等)ために、データを用いる。
【0135】
産業上の適用の可能性
記述された装置は、コンピュータ及びデータ処理産業、そして、特に、口内装置100を使用することへの従順さや有効性を決定することに適用可能である。
【0136】
先の記述は、本発明のいくつかの実施形態だけを記述するものであり、発明の範囲及び趣旨から逸脱しない限りは、実施形態に対して変形及び/又は変更がなされることは可能であり、実施形態は、実例であり制限的なものではない。
【0137】
この明細書の文脈において、「備えている」という用語は、「主として含んでいるが、必ずしもそれだけを含むものでは無い」又は「有している」、「含んでいる」を意味し、「のみから成っている」を意味しない。「備える」のような「備えている」の用語のバリエーションは、対応して修正された意味を有している。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】