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特表2024-509291金属探知機の操作方法および金属探知機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】金属探知機の操作方法および金属探知機
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
G01V3/10 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555382
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2022056042
(87)【国際公開番号】W WO2022189510
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21161950.7
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511241516
【氏名又は名称】メトラー-トレド・セーフライン・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】クティスティス,クリストス
(72)【発明者】
【氏名】リスト,イアン
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH05
(57)【要約】
この方法は、送信ユニット(1)に接続される送信コイル(21)と、受信ユニット(3)の入力に接続される第1および第2の受信コイル(22A、22B)と、を備えた平衡コイルシステム(2)を含む金属探知機を動作させるのに役立つ。送信ユニット(1)は、少なくとも1つの固定または選択可能な動作周波数を有する送信信号(tx)および関連する直交信号(tx90°)が供給される送信信号経路(tp)を含み、送信信号(tx)は、増幅された送信信号(tx)を直接または送信整合ユニット(13)を介して送信コイル(21)に転送する送信増幅器(12)の入力に印加され、受信ユニット(3)は、平衡コイルシステム(2)から受信された変調された受信信号(rs)が直接または受信整合ユニット(31)を介して受信増幅器(33)に印加される少なくとも1つの受信信号経路(rp)を含み、受信増幅器(33)は増幅された変調された受信信号(rs)を直接または間接的に受信位相感応検出器(34;4534)に適用し、受信位相感応検出器(34、4534)は、変調された受信信号(rs)を、送信信号(tx)および直交信号(tx90°)に対応する基準信号と比較し、同相受信信号成分(rs-I)および直交受信信号成分(rs-Q)を有する復調された複素受信信号(rsc)を生成し、同相受信信号成分(rs-I)および直交受信信号成分(rs-Q)は、少なくとも1つの信号処理経路(sp)を含む信号処理ユニット(45)において処理され、この信号処理経路(sp)において、商品またはノイズに関連する複素受信信号(rsc)の信号成分が抑制され、金属汚染物に由来する信号成分がさらに処理される。本発明によれば、送信信号経路(tp)から取り出された測定信号(ms)を受信し、測定信号(ms)を増幅して直接または間接的に測定位相感応検出器(84;4584)に転送する測定増幅器(83)を含む、少なくとも1つの送信測定チャネル(8)が設けられ、測定位相感応検出器(84;4584)は、測定信号(ms)を、送信信号(tx)および直交信号(tx90°)に対応する基準信号と比較し、同相測定信号成分(ms-I)および直交測定成分(ms-Q)を有する複素測定信号(msc)を生成し、複素測定信号(msc)と複素受信信号(rsc)は、第1の補正モジュール(451)に適用され、送信ユニット(1)の不安定性に起因する信号成分は複素受信信号(rsc)から除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ユニット(1)に接続される送信コイル(21)と、信号処理ユニット(45)に接続される受信ユニット(3)の入力に接続される第1および第2の受信コイル(22A、22B)と、を備えた平衡コイルシステム(2)を含む金属探知機の動作方法であって、
前記送信ユニット(1)は、少なくとも1つの固定または選択可能な動作周波数を有する送信信号(tx)および関連する直交信号(tx90°)が供給される送信信号経路(tp)を含み、前記送信信号(tx)は、増幅された前記送信信号(tx)を直接または送信整合ユニット(13)を介して前記送信コイル(21)に転送する送信増幅器(12)の入力に印加され、
前記受信ユニット(3)は、前記平衡コイルシステム(2)から受信された前記変調された受信信号(rs)が直接または受信整合ユニット(31)を介して受信増幅器(33)に印加される少なくとも1つの受信信号経路(rp)を含み、前記受信増幅器(33)は前記増幅された変調された受信信号(rs)を直接または間接的に受信位相感応検出器(34;4534)に転送し、
前記受信位相感応検出器(34、4534)は、前記変調された受信信号(rs)を、前記送信信号(tx)および前記直交信号(tx90°)に対応する基準信号と比較し、同相受信信号成分(rs-I)および直交受信信号成分(rs-Q)を有する復調された複素受信信号(rsc)を生成し、
前記同相受信信号成分(rs-I)および前記直交受信信号成分(rs-Q)は、少なくとも1つの信号処理経路(sp)を含む前記信号処理ユニット(45)において処理され、前記信号処理経路(sp)において、商品またはノイズに関連する前記複素受信信号(rsc)の信号成分が抑制され、金属汚染物に由来する信号成分がさらに処理される、金属探知機の動作方法において、
前記送信信号経路(tp)から取り出された測定信号(ms)を受信し、前記測定信号(ms)を増幅して直接または間接的に測定位相感応検出器(84;4584)に転送する測定増幅器(83)を含む、少なくとも1つの送信測定チャネル(8)が設けられ、
前記測定位相感応検出器(84;4584)は、前記測定信号(ms)を、前記送信信号(tx)および前記直交信号(tx90°)に対応する前記基準信号と比較し、同相測定信号成分(ms-I)および直交測定成分(ms-Q)を有する複素測定信号(msc)を生成し、
前記複素測定信号(msc)と前記複素受信信号(rsc)は、第1の補正モジュール(451)に適用され、前記送信ユニット(1)の不安定性に起因する信号成分は前記複素受信信号(rsc)から除去される、
ことを特徴とする金属探知機の動作方法。
【請求項2】
請求項1に記載の金属探知機の動作方法において、
前記変調された受信信号(rs)に含まれる不均衡な信号成分を除去するための制御ループを提供するステップと、
複素補償信号(isc)を得るために、ループ制御モジュール(4560)において、前記複素受信信号(rsc)から製品および汚染物質に関する信号成分を除去するステップと、
前記複素補償信号(isc)と前記複素測定信号(msc)を、修正された補償信号(isc1)を提供する第1の修正モジュール(4561)に適用することによって、前記第1の補正モジュール(451)において前記複素受信信号(rsc1)に適用された補正を取り消すステップと、
変調された補償信号(cs)を提供するための変調モジュール(4563)において、前記動作周波数(tx)に対応する搬送波周波数で前記修正された補償信号(isc1)を変調するステップと、
デジタルアナログ変換器(91)において前記変調された補償信号(cs)を変調されたアナログ補償信号(cs)に変換するステップと、
前記変調された受信信号(rs)に含まれる前記不平衡信号成分を補償するために、前記変調されたアナログ補償信号(cs)を前記受信信号経路(rp)に設けられた補償ユニット(32)に印加するステップと、
を含む、金属探知機の動作方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金属探知機の動作方法において、
校正モジュール(400)において前記金属探知機の校正中に前記複素測定信号(msc)を処理して、前記変調された受信信号(rs)に対する前記送信ユニット(1)の一定の影響を表し、前記複素測定信号(msc)を直接的または間接的に正規化するために使用される、複素または非複素の一定の基準値(msc-r)を得るステップを含む、
金属探知機の動作方法。
【請求項4】
請求項3に記載の金属探知機の動作方法において、
正規化された複素受信信号(rsc2)を提供するために、前記一定の基準値(msc-r)および前記複素受信信号(rsc1)を第2の補正モジュール(452)に適用するステップと、
前記複素補償信号(isc1)および前記一定の基準値(msc-r)を前記制御ループに設けられた第2の修正モジュール(4562)に適用することにより、前記第2の補正モジュール(452)において前記複素受信信号(rsc1)に適用された補正を取り消すステップと、
を含む、金属探知機の動作方法。
【請求項5】
請求項3に記載の金属探知機の動作方法において、
前記一定の基準値(msc-r)と前記複素測定信号(msc)を正規化モジュール(4510)に適用し、正規化された測定信号(msc-n)を前記第1の補正モジュール(451)に提供するステップと、
前記複素補償信号(isc)および前記正規化された測定信号(msc-n)を前記制御ループに設けられた前記第1の修正モジュール(4561)に適用することにより、前記第1の補正モジュール(451)において前記複素受信信号(rsc1)に適用された補正を取り消すステップと、
を含む、金属探知機の動作方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属探知機の動作方法において、
a)前記送信増幅器(12)の出力で前記測定信号(ms)をピックアップするステップ、または
b)少なくとも1つの1次コイル(1311A、1311B)および少なくとも1つの2次コイル(1312)を有する結合トランス(131)によって、前記送信整合ユニット(13)において前記送信信号(tx)を変圧し、前記少なくとも1つの1次コイル(1311A、1311B)または前記少なくとも1つの2次コイル(1312)において前記測定信号(ms)をピックアップするステップ、または
c)測定コイル(23)を前記送信コイル(21)に結合し、前記測定コイル(23)で前記測定信号(ms)をピックアップするステップ、
を含む、金属探知機の動作方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属探知機の動作方法において、
各動作周波数に対して、専用の受信信号経路(rp)と専用の信号処理経路(sp)と専用の送信測定チャネル(8)とを設けるステップを含む、
金属探知機の動作方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法に従って動作する金属探知機。
【請求項9】
請求項8に記載の金属探知機において、
送信ユニット(1)に接続される送信コイル(21)と、信号処理ユニット(45)に接続される受信ユニット(3)の入力に接続される第1および第2の受信コイル(22A、22B)と、を備えた平衡コイルシステム(2)を含み、少なくとも1つの固定または選択可能な動作周波数を有する送信信号(tx)と関連する直交信号(tx90°)とを供給する周波数源(11)を含み、
前記送信ユニット(1)は、前記送信コイル(21)に直接または送信整合ユニット(13)を介して接続される送信増幅器(12)を備えた少なくとも1つの送信信号経路(tp)を含み、
前記受信ユニット(3)は、前記平衡コイルシステム(2)の前記受信コイル(22A、22B)が直接または受信整合ユニット(31)を介して受信増幅器(33)の入力に接続される少なくとも1つの受信信号経路(rp)を含み、前記受信増幅器(33)から前記増幅された変調受信信号(rs)が直接または間接的に受信位相感応検出器(34、4534)に印加され、
前記受信位相感応検出器(34、4534)は、前記変調された受信信号(rs)を前記送信信号(tx)および前記直交信号(tx90°)に対応する基準信号と比較して、同相受信信号成分(rs-I)および直交受信信号成分(rs-Q)を有する復調された複素受信信号(rsc)を生成するように設計され、
前記信号処理ユニット(45)は、少なくとも1つの信号処理経路(sp)を含み、前記信号処理経路(sp)において、商品またはノイズに関連する前記複素受信信号(rsc)の信号成分が抑制され、金属汚染物に由来する信号成分がさらに処理され、
少なくとも1つの送信測定チャネル(8)が設けられ、前記送信測定チャネルは、測定信号(ms)を受信するために送信信号経路(tp)に接続される入力を有し、測定位相感応検出器(84;4584)に直接または間接的に接続される出力を有する測定増幅器(83)を含み、
前記測定位相感応検出器(84;4584)は、前記測定信号(ms)を前記送信信号(tx)および前記直交信号(tx90°)に対応する前記基準信号と比較して、同相測定信号成分(ms-I)および直交測定成分(ms-Q)を有する復調された複素測定信号(msc)を生成するように設計されており、
前記測定位相感応検出器(84;4584)は、前記送信ユニット(1)の不安定性に起因する前記複素受信信号(rsc)からの信号成分を除去可能である前記信号処理経路(sp)に実装された第1の補正モジュール(451)に接続される、
金属探知機。
【請求項10】
請求項8または9に記載の金属探知機において、
前記測定信号(ms)は、前記送信増幅器(12)の出力から前記測定増幅器(83)の入力に伝達可能であるか、または、
前記送信整合ユニット(13)は、少なくとも1つの1次コイル(381A、381B)および少なくとも1つの2次コイル(382)を有する結合トランス(38)を含み、前記測定信号(ms)は、少なくとも1つの1次コイル(381A、381B)または少なくとも1つの2次コイル(382)から前記測定増幅器(83)の入力に伝達可能であるか、または、
測定コイル(23)が、前記測定信号(ms)を供給するために、前記送信コイル(21)に誘導結合され、前記測定増幅器(83)の入力に接続される、
金属探知機。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の金属探知機において、
前記信号処理ユニット(45)は、
前記変調された受信信号(rs)に含まれる不均衡な信号成分を除去するための制御ループと、
製品および汚染物質に関する信号成分を含まない複素補償信号(isc)を供給するループ制御モジュール(4560)と、
前記第1の補正モジュール(451)において前記複素受信信号(rsc1)に適用された補正が取り消された修正された補償信号(isc1)を提供するために、前記複素補償信号(isc)および前記複素測定信号(msc)が適用される、第1の修正モジュール(4561)と、
変調された補償信号(cs)を提供する変調モジュール(4536)と、
前記デジタル変調された補償信号(isc)をアナログ変調された補償信号(cs)に変換するデジタルアナログ変換器(91)と、
前記受信信号経路(rp)に設けられ、不均衡を除去するために前記変調されたアナログ補償信号(cs)を前記変調された受信信号(rs)に適用可能である補償ユニット(32)と、
を含む、金属探知機。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の金属探知機において、
前記金属探知機の校正中に前記複素測定信号(msc)を処理して、前記変調された受信信号(rs)に対する前記送信ユニット(1)の一定の影響を表す複素または非複素の一定の基準値(msc-r)を得るように設計された校正モジュール(400)が設けられる、
金属探知機。
【請求項13】
請求項12に記載の金属探知機において、
前記一定の基準値(msc-r)および前記複素受信信号(rsc1)が適用可能である第2の補正モジュール(452)が設けられ、第2の補正モジュール(452)は、正規化された複素受信信号(rsc2)を提供するように設計され、
第2の修正モジュール(4562)は、前記複素補償信号(isc1)および前記一定の基準値(msc-r)が適用される前記制御ループに設けられ、
前記第2の補正モジュール(452)において前記複素受信信号(rsc1)に適用された補正が取り消される、
金属探知機。
【請求項14】
請求項12に記載の金属探知機において、
正規化モジュール(4510)が設けられ、前記正規化モジュール(4510)には、前記一定の基準値(msc-r)および前記複素測定信号(msc)が適用可能であり、前記正規化モジュール(4510)は、正規化された測定信号(msc-n)を前記第1の補正モジュール(451)に供給し、
前記複素補償信号(isc)および前記正規化された測定信号(msc-n)は、前記第1の修正モジュール(4561)に適用可能であり、前記第1の修正モジュール(4561)において、前記第1の補正モジュール(451)において前記複素受信信号(rsc1)に適用された補正が取り消される、
金属探知機。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれか一項に記載の金属探知機において、
前記受信位相感応検出器(34)の出力と前記測定位相感応検出器(84)の出力とが、アナログ/デジタル変換器(35-I;35-Q)を介して前記信号処理ユニット(45)に接続されているか、または前記受信位相感応検出器(4534)と前記測定位相感応検出器(4584)とが前記信号処理ユニット(45)のソフトウェア領域で実装されている、
金属探知機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、1つまたは複数の動作周波数を使用する金属探知機の動作方法と、この方法に従って動作する金属探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]例えばUS8587301B2に記載されているような金属探知機は、製品中の金属汚染を検出するために使用される。適切に調整され操作されれば、製品中の金属汚染の低減に役立つ。最近の金属探知機の多くは、平衡コイルシステムを備えたサーチヘッドを使用する。この設計の検出器は、生鮮品および冷凍品など多種多様な製品に含まれる鉄、非鉄、ステンレスを含むすべての種類の金属汚染物を検出することができる。
【0003】
[003]平衡コイルの原理に従って動作する金属探知機は、通常、非金属フレームに巻かれた3つのコイル、送信コイルおよび2つの同じ受信コイルから構成されており、それぞれのコイルは通常、他のコイルと平行である。通常、送信コイルを中心に囲むように配置される受信コイルは、同一であるため、それぞれに同一の電圧が誘導される。システムが平衡状態にあるときにゼロとなる出力信号を受信するために、第1の受信コイルは、逆巻きの第2の受信コイルと直列に接続される。したがって、システムが平衡状態にあり、観察される製品に汚染物質が存在しない場合、同一振幅で逆極性である受信コイルに誘導される電圧は互いに相殺される。
【0004】
[004]しかし、金属粒子がコイルを通過して磁場にさらされると、金属粒子に渦電流が流れる。この渦電流は二次磁場を発生させ、一次電磁場をまず一方の受信コイル付近で乱し、次に他方の受信コイル付近で乱す。金属粒子が受信コイルを通過する間、各受信コイルに誘導される電圧は通常ナノボルト単位で変化する。この平衡状態の変化により、検出コイルの出力に信号が生じ、受信ユニットで処理、増幅され、その後、観察された製品中の金属汚染物の存在を検出するために使用される。
【0005】
[005]したがって、最適な信号検出のためには、金属探知機は、測定を損なう可能性のある不均衡および外乱から解放されている必要がある。金属探知機のすべてのモジュールおよびコンポーネントは、最高水準を満たす必要がある。
【0006】
[006]受信ユニットでは、平衡コイルシステムから受信した入力信号は通常、同相成分と直交成分に分割される。これらの成分から構成されるベクトルは振幅と位相角を持ち、これはコイルシステムを通して搬送される製品および汚染物質に対して特徴的である。金属汚染物を特定するためには、「製品の影響」を除去または低減する必要がある。
【0007】
[007]信号スペクトルから不要な信号を除去するために適用される方法は、金属汚染物、製品、その他の外乱が、検出される信号の位相と大きさが異なるように磁場に異なる影響を与えるという事実を利用する。導電率の高い材料は、負のリアクタンス信号成分が大きく、抵抗信号成分が小さい信号を引き起こす。透磁率の高い材料では、抵抗性の信号成分が小さく、正のリアクタンス性の信号成分が大きい信号が発生する。フェライトによる信号は主にリアクタンス性であり、ステンレス鋼による信号は主に抵抗性である。導電性の製品は通常、強い抵抗成分を持つ信号を引き起こす。抵抗性信号成分とリアクタンス信号成分との間の信号ベクトルの位相角は、製品または汚染物質が金属探知機を通って搬送されるとき、通常一定に保たれる。製品ベクトルの位相が既知であれば、金属汚染物に由来する信号をより高い感度で検出することができるように、対応する信号ベクトルを抑制することができる。
【0008】
[008]US8587301B2に記載されているように、位相感応型検出器によって異なる起源の信号成分の位相を区別することで、製品および汚染物質に関する情報を得ることができる。位相感応型検出器、例えば周波数ミキサまたはアナログ乗算器回路は、変調された受信信号の復調を可能にし、金属検出プロセスに影響を与える製品、汚染物質および外乱に関連する信号成分の振幅および位相情報をベースバンド信号に提供する。汚染物質に由来する信号の位相が製品信号の位相と異なる場合、製品信号を抑制し、汚染物質の信号をさらに処理することができる。しかし、汚染物質の信号の位相が製品信号の位相に近い場合、汚染物質の信号は製品信号と共に抑制されるため、汚染物質の検出は失敗する。製品信号の位相角と汚染物質の位相角を分離するために、適切な動作周波数を決定し、適用する。
【0009】
[009]前述のように、金属探知機の不均衡は回避または補償されるべきである。US2020333498A1は、受信信号から抽出された不均衡信号成分について、不均衡信号を補償するために使用される補償ユニットに制御データを提供する方法を開示している。不均衡信号のデジタル同相成分は、不均衡信号の同相制御成分を提供する第1の制御ユニットに適用され、不均衡信号のデジタル直交成分は、不均衡信号の直交制御成分を提供する第2の制御ユニットに適用される。補償ユニットでは、不均衡信号の周波数を持つデジタル補償信号が、不均衡信号に提供された同相制御成分と直交制御成分に従って、位相と大きさで合成される。合成されたデジタル補償信号は、アナログ補償信号に変換され、平衡コイルシステムまたは受信信号に印加され、不均衡信号を補償する。
【0010】
[010]US20070296415A1は、地中の金属を検出する装置を開示しており、本発明の金属検出装置とは大きく異なる。コイル電流の変化は、地面が変化する、またはサーチアットと地面との間の距離が変化したときに発生する。このような変化は、送信コイルのコイル電流を監視し、最適化することによって補正される。送信コイルのコイル電流を最適化することで、受信信号の遅いドリフトも補正される。しかし、補正されるのは送信コイルのコイル電流だけで、受信信号そのものが直接補正されるわけではない。このような補正は、受信信号の高速な外乱を引き起こす可能性さえあり、本発明の金属検出装置では望ましいが、US20070296415A1の金属検出装置では無視できるものである。
【0011】
[011]DE102017124407A1は、送信機から基準信号が導出され、受信コイルの接続点でタップされ、任意で増幅器および/またはローパスフィルタを介して乗算器に供給される金属探知機を開示する。この信号は、測定信号を実部と虚部に分解するための基準信号として後の処理で使用することができ、この目的のために中間周波数に変換する必要がある。測定信号を実部と虚部に分解するために使用される基準信号の導出は、受信信号を補正するために使用される複素測定信号または補正信号の導出とは異なる。
【0012】
[012]不均衡を補償するために実装された補正ループは、スキャンされた対象物から発信される信号に影響を与えないように、比較的高い時定数と低いベースバンド帯域幅を有する。その結果、金属探知機で発生する可能性のある高い周波数の不安定性は補正ループによって無視されるため、受信信号は高い周波数の不安定性の影響を受け、達成可能な信号対雑音比と識別性能が制限され、誤警報の原因となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[013]したがって、本発明は、1つまたは複数の動作周波数を使用する金属探知機を動作させるための改良された方法と、この方法に従って動作する改良された金属探知機を提供することを目的とする。
【0014】
[014]本発明の方法は、金属探知機の不均衡、特に、より高い周波数を有する不均衡および外乱を確実に補償および/または除去することを可能にする。汚染物質に関する信号がより高い信号対雑音比で検出されるように、不均衡が受信信号から除去される。本発明の方法は、動的な不均衡および外乱、および/または本質的に静的な不均衡を補正または補償することを可能にする。したがって、低周波または高周波の不安定性による受信信号の位相および/または振幅の望ましくない変調が補正または補償されなければならない。さらに、受信信号の位相および/または振幅のドリフトは、検出および補正可能でなければならない。
【0015】
[015]低周波の不平衡を制御するための制御ループは、高周波の不平衡が低周波の不平衡の補償を妨げないように改善されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[016]本方法は、送信ユニットに接続される送信コイルと、受信ユニットの入力に接続される第1および第2の受信コイルと、を備えた平衡コイルシステムを含む金属探知機を動作させるのに役立つ。送信ユニットは、少なくとも1つの固定または選択可能な動作周波数または送信周波数を有する送信信号および関連する直交信号が内部または外部の周波数源から供給される送信信号経路を含み、送信信号は、増幅された送信信号を直接または送信整合ユニットを介して送信コイルに転送する送信増幅器の入力に印加される。受信ユニットは、平衡コイルシステムから受信された変調された受信信号が直接または受信整合ユニットを介して受信増幅器に印加される少なくとも1つの受信信号経路を含み、受信増幅器は増幅された変調された受信信号を直接または間接的に受信位相感応検出器に転送する。受信位相感応検出器は、変調された受信信号を、送信信号および直交信号に対応する基準信号で復調し、同相受信信号成分および直交受信信号成分を有する復調された複素受信信号を生成する。同相受信信号成分および直交受信信号成分は、少なくとも1つの信号処理経路を含む信号処理ユニットにおいて処理され、この信号処理経路において、商品またはノイズに関連する複素受信信号の信号成分が抑制され、金属汚染物に由来する信号成分がさらに処理される。
【0017】
[017]本発明によれば、送信信号経路から取り出された測定信号を受信し、測定信号を増幅して直接または間接的に測定位相感応検出器に転送する測定増幅器を含む、少なくとも1つの送信測定チャネルが設けられる。測定位相感応検出器は、測定信号を、送信信号および直交信号に対応する基準信号で復調し、同相測定信号成分および直交測定成分を有する複素測定信号を生成する。複素測定信号と複素受信信号は、第1の補正モジュールに適用され、送信ユニットの不安定性に起因する信号成分は複素受信信号から除去される。
【0018】
[018]送信信号経路および受信信号経路は、送信信号および変調または復調された受信信号を処理するための追加的な増幅器およびフィルタユニット等のさらなる電子モジュールを含み得る。同様に、信号処理経路は、フィルタモジュールなどのさらなるモジュールを含み得る。
【0019】
[019]さらに、位相感応検出器などの機能モジュールをアナログ領域またはデジタル領域で実装することも可能である。したがって、受信増幅器および測定増幅器の出力信号を受信位相感応検出器および測定位相感応検出器の入力に印加することができ、受信位相感応検出器および測定位相感応検出器は、出力においてアナログ/デジタル変換器を介して信号処理ユニットに接続される。あるいは、受信位相感応検出器と測定位相感応検出器は、信号処理ユニットまたは信号処理経路においてソフトウェアモジュールとして実装することもできる。
【0020】
[020]送信信号経路の特定の点における送信信号に対応する測定信号は、好ましくは、送信信号経路の端部または平衡コイルシステムの送信コイルでピックアップされる。好ましい一実施形態では、測定信号は送信増幅器の出力から測定増幅器の入力に転送可能である。別の好ましい実施形態では、送信整合ユニットは、少なくとも1つの1次コイルと少なくとも1つの2次コイルを有する結合トランスを含み、測定信号は、少なくとも1つの1次コイルまたは少なくとも1つの2次コイルから測定増幅器の入力に伝達可能である。さらに好ましい実施形態では、測定コイルは平衡コイルシステムの送信コイルに結合され、測定コイルから測定信号が測定増幅器の入力に伝達可能である。測定信号は、測定位相感応検出器において、基準信号、すなわち、周波数源によって提供される送信信号および関連直交信号と比較されるので、観測された送信信号経路に沿って発生した位相または振幅の不安定性またはドリフトは、測定位相感応検出器の出力において検出可能である。したがって、変調された受信信号に影響を与える送信チャネルの不安定性およびドリフトに関連して得られる情報および信号は、送信不安定性および送信ドリフトの影響の少なくとも一部を除去するために、信号処理ユニットの信号処理経路に設けられた補正モジュールに有利に適用することができる。
【0021】
[021]送信不安定性または妨害は、平衡コイルシステムの不均衡、例えば熱条件の変化によって引き起こされる不均衡と比較して、一般的に高い周波数で発生する。従来の金属探知機では無視されていた、より高い周波数の送信不安定性を取り消すまたは補償することにより、より高いS/N比で商品および汚染物質に関する信号を検出することができる。さらに、送信不安定性によって引き起こされる誤報も回避される。
【0022】
[022]測定信号は、好ましくは連続的に観測され、変調された受信信号に対する送信ユニットの連続的な不安定性の影響を表す関連する複素測定信号は、複素受信信号と共に、送信ユニットの連続的に発生する不安定性の影響が除去される第1の補正モジュールに連続的に適用される。金属探知機を通って搬送される製品および汚染物質に関する信号成分は、好ましくは、金属検出モジュールにおいて後の段階で除去される。
【0023】
[023]好ましい実施形態では、金属探知機の校正中に複素測定信号が処理され、変調された受信信号に対する送信ユニットの一定の影響を表す複素または非複素の一定の基準値が得られる。この基準値は、金属探知機が校正された時点の送信ユニットの状態を反映する基準であり、複素受信信号または複素測定信号を正規化するために使用される。この目的のために、基準値は、以下に説明するように、複素受信信号または複素測定信号に適用することができる。正規化された測定信号msは、もはや送信チャネルの絶対的な測定値ではなく、校正が行われてから実際の測定が行われるまでの間の送信チャネルの測定値の変化のみを表す。
【0024】
[024]一実施形態では、一定の基準値と複素受信信号は、複素受信信号が正規化される第2の補正モジュールに適用される。
【0025】
[025]別の実施形態では、一定の基準値と複素測定信号は正規化モジュールに適用され、この正規化モジュールでは、複素測定信号が第1の補正モジュールに適用される前に正規化される。
【0026】
[026]本発明の金属探知機は、好ましくは、例えば平衡コイルシステムによって引き起こされる低周波数の不均衡が補償される制御ループを含む。この目的のために、制御ループはループ制御モジュールを含み、複素不均衡信号を得るために、複素受信信号から製品と汚染物質に関連する信号成分を除去する。決定された複素不均衡信号と、PID機能などの実装された制御機能に基づいて、ループ制御モジュールは複素補償信号を提供する。US2020333498A1に記載されているように、抽出された不均衡信号成分または抽出された不均衡信号情報は、補償信号を合成するために使用することもできる。
【0027】
[027]後述するように、補償信号は、好ましくは、1つまたは複数の修正モジュールで修正され、次に動作周波数で変調される。変調されたデジタル補償信号は、次にデジタルアナログ変換器で変換され、変調された受信信号に含まれる不平衡信号成分を補償するために、平衡コイルシステムまたは受信ユニット内の変調された受信信号に変調されたアナログ補償信号を提供する。好ましくは、補償信号は、受信増幅器の前に配置された受信信号経路に設けられた和算ユニットまたは減算ユニットなどの補償ユニットに印加される。変調されたアナログ補償信号は、必要に応じて少なくとも1つの増幅段で増幅されてもよい。
【0028】
[028]最も好ましくは、補償信号は、受信チャネルに現れる不均衡に正確に対応するように複素測定信号によって修正され、この不均衡は、例えば平衡コイルシステムに生じる不均衡または送信ユニットの不安定性に起因して修正される。このようにして、送信不安定性によって影響を受ける受信チャネルで発生する低周波数の不均衡が、受信信号から完全に補償されるか、取り消されるか、差し引かれることが保証される。したがって、補償信号が導出される複素受信信号に適用される補正は、導出された補償信号を修正することによって元に戻さなければならない。したがって、補償信号は、抽出された不平衡信号または不平衡信号情報と、測定信号または測定信号情報との組み合わせから導出される。
【0029】
[029]したがって、第1の補正モジュールにおいて複素受信信号に適用された補正は、複素補償信号と複素測定信号とを第1の修正モジュールに適用することによって、複素補償信号から除去される。第2の補正モジュールにおいて複素受信信号に適用された補正は、一旦修正された複素補償信号と一定の基準値を第2の修正モジュールに適用することによって、一旦修正された複素補償信号から除去される。第1および第2の修正モジュールは、互いに直列に任意の順序で配置される。
【0030】
[030]もし複素測定信号が一定の基準値によって正規化された後、第1の補正モジュールに適用されたら、正規化された複素測定信号と複素補償信号を単一の修正モジュールに適用することによって、これらの補正が補償信号から除去され、修正モジュールにおいて、一定の基準値による複素測定信号の正規化と、正規化された複素測定信号による複素受信信号の補正が元に戻される。
【0031】
[031]送信ユニットの望ましくない影響を除去することにより、本発明の方法は、より高い信号対雑音比で製品や汚染物質に関連する受信信号を得ることができ、より高い精度で受信ユニットの低周波不均衡を除去することができる。
【0032】
[032]本発明の金属探知機は、1つまたは複数の動作周波数で動作することができる。2つ以上の動作周波数が使用される場合、受信信号は、専用の受信信号経路および専用の信号処理経路において、各動作周波数に対して個別に処理されることが好ましい。各動作周波数に対して、測定信号は専用の送信測定チャネルで処理される。したがって、受信信号と測定信号は、各動作周波数に対して並列に処理される。
【0033】
[034]以下、図面を参照して本発明の詳細な態様および実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】送信ユニット1と、平衡コイルシステム2と、受信ユニット3と、制御ユニット4に統合された信号処理ユニット45と、送信信号経路tpから取り出された測定信号msが信号処理ユニット45に転送される送信測定チャネル8と、補償信号csが受信ユニット3に転送される補償チャネル9と、を含む本発明の金属探知機の好ましい実施形態を示す図である。
図2a】送信コイル21に誘導結合された測定コイル23と、アナログ領域に配置された位相敏感検出器34、84を備えた、さらに好ましい実施形態における図1の金属探知機を示す図である。
図2b】デジタル領域で実装された位相敏感検出器4534、4584を備えた図2aの金属探知機を示す図である。
図3a】好ましい実施形態における図1および図2aの金属探知機の例の信号処理ユニット45を示す図である。
図3b】デジタル領域に配置された位相敏感検出器4534、4584を備える好ましい実施形態における図2bの金属探知機の例の信号処理ユニット45を示す図である。
図4】特定の実施形態における本発明の金属探知機のさらなる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[035]図1は、好ましい実施形態における本発明の金属探知機のブロック図を示しており、この金属探知機は、送信ユニット1、送信コイル21と第1および第2の受信コイル22A、22Bとを備えた平衡コイルシステム2、受信ユニット3、制御プログラム40およびデジタル信号処理ユニット45を含む制御ユニット4、ならびにインターフェース、および入出力装置を含む。金属探知機がコンベア6を含み、そのコンベア6上を製品が平衡コイルシステム2を通って搬送されることが象徴的に示されている。
【0036】
[036]送信ユニット1は、シンセサイザなどの内部または外部周波数源11、送信増幅器12、および好ましくは送信整合ユニット13を備えた送信信号経路tpを含む。その送信信号経路tpは、フィルタなどのさらなるモジュールを含み得る。周波数源11は、少なくとも1つの固定または選択可能な動作周波数を有する送信信号txを供給する。周波数源11はさらに、送信信号txに対して位相が90°オフセットされた直交信号tx90°を供給する。送信信号txは、送信増幅器12の入力に印加され、この増幅器は、例えばクラスAまたはクラスBモードで動作してもよく、またはHブリッジの実施形態で提供されてもよい。
【0037】
[037]送信増幅器12の出力は、送信整合ユニット13の入力に接続され、この整合ユニット13は、好ましくは、少なくとも1つの1次コイルと2次コイルとを有する結合変圧器を含み、送信増幅器12を送信コイル21に適合させることができる。インピーダンス整合ユニット13はまた、好ましくは、図4を参照して以下にさらに説明するように、選択された動作周波数に同調される共振回路を形成するために、送信コイルに選択的に接続可能な同調コンデンサを含む。
【0038】
[038]平衡コイルシステム2では、製品(場合によっては汚染物質を含む製品)が平衡コイルシステム2を通って搬送されるとき、受信信号rsは磁場で発生する外乱によって変調される。しかし、受信コイル22A、22Bが同一であり、工場現場で平衡状態に設定されていても、製品が存在しない状態で平衡コイルシステムが平衡状態にならない場合があり、その結果、完全に許容できる食品が不合格になる可能性がある。金属探知機の平衡状態は、システムに対する機械的な衝撃、周囲条件の変化、探知機の近傍にある金属物、または部品の弛緩や経年劣化によって乱れることがある。金属検出システムの感度が高く、汚染物質がコイルシステムの出力電圧に及ぼす影響が微小であることを考慮すると、不均衡は受信チャネル、特に限られた電圧信号範囲でのみ動作する入力増幅器と位相感応型検出器およびADCの飽和を引き起こす可能性もある。このような不均衡を除去するために、調整可能な補償信号が受信信号と組み合わされ、望ましくない不均衡が補償されるまで変化する。
【0039】
[039]受信ユニット3は、平衡コイルシステムインピーダンスを受信チャネルインピーダンスに適合させる、例えば平衡変圧器を含む受信整合ユニット31を好ましくは備えた少なくとも1つの受信信号経路rpを含む。受信整合ユニット31によって供給される変調受信信号rsと補償信号csは、加算ユニットまたは減算ユニットなどの補償ユニット32に印加される。補償信号csにより、変調受信信号rsに含まれる不均衡が補償され、補償された変調受信信号が受信増幅器33の入力に転送される。
【0040】
[040]受信増幅器33は、増幅され補償された受信信号rsを受信位相感応検出器34に送出し、受信位相感応検出器34では、変調された受信信号rsが、同相基準信号および直交基準信号、すなわち周波数源11によって供給される送信信号txおよび関連する直交信号tx90°と比較または乗算される。受信位相感応検出器34の出力には、同相受信信号成分rs-Iおよび直交受信信号成分rs-Qを有する復調された複素受信信号rscが供給される。
【0041】
[041]複素受信信号rscは、受信位相感応検出器34から受信アナログデジタル変換器35-I;35-Qを経由して、デジタル信号処理ユニット45、例えば制御ユニット4に設けられたデジタル信号処理装置に転送される。制御ユニット4は、さらに、動作プログラムまたは制御プログラム40を含み、このプログラムにより、校正中および動作中の金属探知機のすべてのプロセスが制御される。
【0042】
[042]金属探知機が複数の動作周波数を使用する場合、受信ユニット3は、好ましくは、各動作周波数用の受信信号経路rpを個別に含む。したがって、受信信号は、並列に配置された異なる受信経路で処理される。
【0043】
[043]信号処理ユニット45では、信号処理経路spが実装され、この経路で複素受信信号rscが処理される。複素受信信号rscのうち、商品またはノイズに関連する信号成分は好ましくは抑制され、金属汚染物に由来する信号成分はさらに処理され検出される。
【0044】
[044]さらに、信号処理経路spに沿って、複素受信信号rscはさらに処理され、変調された受信信号rsから、一定または非常に低い周波数を有する上述の不均衡が除去された補償信号csを提供する。信号処理ユニット45によって提供されるデジタル補償信号は、受信ユニット3の補償ユニット32に転送されるアナログ補償信号を提供するデジタルアナログ変換器91に転送される。
【0045】
[045]上述したように、補正ループ制御信号は、変調されて補償ユニット32に適用される前は、走査対象物から発生する信号に影響を与えないように、比較的高い時定数と低い帯域幅を有する。その結果、金属探知機で発生する可能性のある高い周波数の不安定性は補償ループで無視されるため、受信信号は高い周波数の不安定性の影響を受け、達成可能な信号対雑音比と識別性能が制限され、誤警報の原因となる可能性がある。さらに、より高い周波数の不安定性は補償ループに外乱を引き起こす可能性があり、低周波数の不均衡の補正さえも損なわれる可能性がある。
【0046】
[046]補償ループによって無視されるこのような高い周波数の不安定性は、通常、送信ユニット1によって引き起こされる。さらに、送信ユニット1の変化により、送信コイル信号stも位相および/または振幅がドリフトする可能性があり、汚染物質の測定および検出にも影響を及ぼす可能性がある。
【0047】
[047]送信信号経路tpに沿って発生するこのような不安定性または異常を排除するために、送信測定チャネル8が設けられ、これは、送信信号経路tpから取り出された測定信号msを受信して処理する。測定信号msは、送信信号経路tpに沿った特定の点でピックアップされた送信信号txに対応する。好ましくは、測定信号msは、送信信号txの望ましくない修正が捕捉され、変調された受信信号rsへの関連する影響が補正または補償されるように、送信ユニット1の出力の近くでピックアップされる。図1の実施形態では、測定信号msは、送信増幅器12の出力に存在する望ましくない影響を決定し、補正または補償することができるように、送信整合ユニット13でピックアップされる。
【0048】
[048]送信測定チャネル8は、測定信号msを受信し、増幅し、測定位相感応検出器84に転送する測定増幅器83を含む。測定位相感応検出器84は、測定信号msを同相基準信号および直交基準信号、すなわち周波数源11から供給される送信信号txおよび関連する直交信号tx90°で復調し、同相測定信号成分ms-Iおよび直交測定信号成分ms-Qを有する復調された複素測定信号mscを生成し、これらはアナログ/デジタル変換器85-I;85-Qを介して信号処理ユニット45に転送される。
【0049】
[049]信号処理ユニット45において、複素測定信号msc、および好ましくは複素測定信号mscから導出された基準値msc-rは、図3aおよび図3bを参照して後述するように、信号処理経路spに設けられた少なくとも1つの補正モジュール451、452、4510に適用される。それによって、送信ユニット1によって引き起こされる不安定性および外乱が除去される。
【0050】
[050]好ましくは、このような補償または補正は、修正モジュール4561、4562において、複素測定信号mscまたはその成分の適用によって元に戻され、送信ユニット1の外乱および不安定性の影響も受ける受信信号経路rpで処理される変調された受信信号rsに含まれる不均衡信号成分に正確に対応する修正された複素補償信号isc1、isc2を作成する。その結果、修正された複素補償信号isc1、isc2から得られる補償信号csにより、変調された受信信号rsにおける対応する不平衡信号成分を完全にキャンセルすることができる。
【0051】
[051]図2aは、さらに好ましい実施形態における図1の金属探知機を示している。周波数源11がデジタル周波数源モジュール411を含むことが示されており、このデジタル周波数源モジュールは、好ましくは制御ユニット4に実装されるか、または信号処理ユニット45に直接実装される。デジタル周波数源モジュール411は、デジタル同相基準信号および直交基準信号を提供し、これらの信号は、デジタルアナログ変換器11-I、11-Qにおいて、同相送信信号txおよび関連する直交信号tx90°に変換される。
【0052】
[052]図2aは、測定信号msが、送信コイル21に誘導的に結合された測定コイル23によってもピックアップされ得ることをさらに示している。
【0053】
[053]図2bは、デジタル領域で実装された位相感応型検出器4534、4584を備えた図2aの金属探知機を示している。したがって、アナログ領域では基準信号は不要である。変調された受信信号rsと測定信号msの復調のためのすべての信号情報は、信号処理ユニット45で利用可能である。アナログ-デジタル変換も信号処理ユニット45に組み込むことができる。
【0054】
[054]図2bに追加されたモジュール39は、受信信号rsを処理するために、増幅器ユニットおよびフィルタユニットのような追加の電子モジュールが受信信号経路rpに存在できることを示している。
【0055】
[055]図3aは、好ましい実施形態における図1および図2aの金属探知機の信号処理ユニット45を示す。信号処理ユニット45は、信号処理経路spに沿ってデジタル同相信号と直交信号を処理するように設計されている。この実施形態においても、位相感応検出器を信号処理ユニット45に実装することができる。
【0056】
[056]信号処理ユニット45の入力側では、複素受信信号rscと複素測定信号mscが入力段450、458に印加され、この入力段450、458では、既知の干渉が好ましくはデジタルフィルタによって除去される。
【0057】
[057]好ましい実施形態では、金属探知機の校正中に、複素測定信号mscは、変調された受信信号rsに対する送信ユニット1の一定の影響を表す複素または非複素の一定の基準値msc-rを提供するように処理される。複素測定信号mscは、例えば、校正モジュール400に転送され、校正モジュール400は、校正プロセス中に、位相および/または振幅における一定の基準値msc-rを決定する。校正モジュール400は、好ましくは制御プログラム40または信号処理ユニット45の一部である。一定の基準値msc-rは、モジュール459に格納され、測定信号msの正規化に使用され、正規化された測定信号msは、もはや送信チャネルの絶対的な測定値ではなく、校正が行われてから実際の測定までの時間間隔における送信チャネルの測定値の変化のみを表す。基準値msc-rは、通常、送信ユニット1の状態が、例えば、コンポーネントの変化または印加される信号電圧の変化などによって大きく変化した場合にのみ、再捕捉される。後述するように、測定信号msは、第1の補正モジュールに適用される前、または第1の補正モジュールに適用された後に、正規化することができる。
【0058】
[058]一定の基準値msc-rが校正中に決定される間、複素測定信号mscは、送信ユニット1によって引き起こされるすべての不安定性または不均衡を継続的に補正することができるように、継続的に観測される。本発明の方法によれば、送信チャネルまたは送信信号経路tpに生じる不安定性、ドリフトおよび外乱の一部または全部を補正または補償することができる。
【0059】
[059]送信器の不安定性によって連続的に現れる受信器の不均衡を補正するために、金属探知機を通って搬送される製品および汚染物質に関連する信号成分を依然として含む複素受信信号rscと、連続的に得られる複素測定信号mscとが、第1の補正モジュール451に適用され、この第1の補正モジュールにおいて、送信ユニット1の連続的に発生する不安定性が複素受信信号rscに与える影響が、例えばそれぞれ第1の補正モジュールに実装される複素除算関数またはカルマンフィルタによって除去される。この補正の後、製品および汚染物質に関する信号成分は、より高い信号対雑音比で検出することができる。さらに、送信機の不安定性に起因する誤報も回避される。
【0060】
[060]オプションとして、金属探知機を通って搬送される製品および汚染物質に関する信号成分を依然として含む、一旦補正された複素受信信号rsc1および一定の基準値msc-rは、補正された受信信号rsc1が好ましくは複素乗算関数の適用によって正規化される第2の補正モジュール452に適用される。
【0061】
[061]本発明の金属探知機は、第1の補正モジュール451のみを含んでもよいが、好ましくは、任意の順序で直列に配置された第1の補正モジュール451および第2の補正モジュール452を含む。
【0062】
[062]第2の補正モジュール452の出力における複素受信信号rsc2は、一方では信号検出モジュール454に転送され、他方では補償信号部456に転送され、この補償信号部456において後述するように補償信号csが作成される。信号検出モジュール454では、複素受信信号rscにまだ存在する製品成分が抑制され、汚染物質に関連する信号成分がさらに処理され、好ましくは、汚染物質の存在を示す閾値と比較され、閾値を超えた場合に、汚染物質の存在を知らせる。
【0063】
[063]図1を参照して既に説明したように、金属探知機は補償ループを含む。補正が必要な不均衡を決定するために、製品および汚染物質に関する信号成分が、複素補償信号iscを提供するループ制御モジュール4560において、複素受信信号rscから除去される。受信ユニット3で処理される変調受信信号rsに含まれる不均衡信号成分は、送信ユニット1のドリフトと不安定性の影響を受けるため、補正モジュール451と452で行われた補正は元に戻される。したがって、ループ制御モジュール4560によって提供される複素補償信号iscは、それに応じて少なくとも1つの修正モジュール4561、4562で修正される。
【0064】
[064]第1の補正モジュール451において複素受信信号rscに適用された補正を取り消すために、複素補償信号iscと複素測定信号mscは、補償信号部456に設けられた第1の修正モジュール4561に適用され、この修正モジュール4561において、複素補償信号iscは、好ましくは複素乗算関数の適用によって、連続的に得られた複素測定信号mscによって修正される。
【0065】
[065]第2の補正モジュール452において一旦補正された複素受信信号rsc1に適用された補正を取り消すために、第1の修正モジュール4561によって提供された一旦修正された複素補償信号isc1と、モジュール459に格納された基準値msc-rとが、補償信号部456に設けられた第2の修正モジュール4562に適用され、この第2の修正モジュール4562において、一旦修正された複素補償信号isc1が、好ましくは複素除算関数の適用によって、代替的にはカルマンフィルタの適用によって、基準値msc-rによって修正される。
【0066】
[066]第2の修正モジュール4562によって配信される2回修正された複素補償信号isc2は、受信ユニット3において処理される変調された受信信号rsの不均衡信号成分に対応する。受信ユニット3において処理される変調された受信信号rsの不均衡信号成分と、2回修正された複素補償信号isc2との対称性により、変調された受信信号rsにおける送信機の不安定性に起因する不均衡および外乱の取り消しが最適化される。
【0067】
[067]第2の補正モジュール452が実装されない場合、対応する第2の修正モジュール4562も実装されない。前述のように、補正モジュール451、452および修正モジュール4561、4562の配置順序は変更可能である。対応するモジュール451、4561、および存在する場合にはモジュール452、4562に実装される関数は、好ましくは互いに逆である。
【0068】
[068]2回修正された複素補償信号isc2は、変調モジュール4563に適用され、変調モジュール4563は、動作周波数txに対応する搬送波周波数で不均衡信号isc2を変調する。その結果、デジタル変調された補償信号csは、変調モジュール4563の出力からデジタルアナログ変換器91に送られ、このデジタルアナログ変換器91は、アナログ変調された補償信号csを、増幅器92を介して受信ユニット3内の補償ユニット32(和算ユニットまたは減算ユニットなど)に適用する。
【0069】
[069]図3bは、デジタル領域に配置された位相感応検出器4534、4584を備えた好ましい実施形態における図2bの金属探知機の信号処理ユニット45の例を示している。もちろん、位相感応検出器4534、4584は、図1に示すようにアナログ領域で実装することもできる。したがって、図3aおよび図3bの実施形態における信号処理ユニット45は、本発明の金属探知機の任意の実施形態において使用することができる。機能エンティティは、必要に応じてアナログ領域からデジタル領域へ、またはデジタル領域からアナログ領域へ移動される。位相感応検出器4534、4584は、複素受信信号rscと複素測定信号mscを対応する干渉除去モジュール450、458に供給する。
【0070】
[070]図3bの信号処理ユニット45の実施形態では、複素受信信号rscの補正と、複素補償信号iscの対応する修正は、異なる方法で行われる。複素測定信号mscは、好ましくは正規化されて、第1の補正モジュール451および対応する修正モジュール4561に適用される。
【0071】
[071]オプションとして、一定の基準値msc-rがモジュール459に供給され、複素測定信号mscと共に正規化モジュール4510に適用され、その正規化モジュール4510において複素測定信号mscが一定の基準値msc-rによって正規化される。その結果の正規化された測定信号mscだけが、複素受信信号rscに対してただ1つの補正モジュール451で適用されるので、補償信号iscに対してこの補正を元に戻すために、ただ1つの対応する修正モジュール4561が必要である。
【0072】
[072]図4は、金属探知機のさらなる実施例を示しており、この金属探知機は、送信ユニット1と、平衡コイルシステム2と、受信ユニット3と、送信測定チャネル8と、制御プログラム40および信号処理ユニット45を備えた制御ユニット4と、を含む。この金属探知機の動作原理は、図1に示した金属探知機の動作原理に対応している。図3に示す送信測定チャネル8と関連する信号処理モジュールを除いたこの金属探知機の回路は、基本的にUS10184908B2に示される金属探知機に対応する。したがって、既知の既に動作している金属探知機を、本発明の解決策によって有利に強化することができる。
【0073】
[073]送信ユニット1は、送信信号txを送信増幅器12に設けられた上側および下側増幅器翼12A、12Bに供給する周波数発生器11を含む。各増幅器翼12A、12Bは、それぞれ第1および第2のオペアンプOA、OA’の実施形態における前置増幅器を含み、抵抗R1を介して第1のオペアンプOAの反転入力に印加され、抵抗R2’を介して第2のオペアンプOA’の非反転入力に印加される送信信号txの半波を増幅する。第1のオペアンプOAの非反転入力および第2のオペアンプOA’の反転入力は、抵抗R2および抵抗R1’を介して互いに接続され、第1の電源電圧-Ubの半分に対応する電位に接続される。第1および第2のオペアンプOA、OA’の出力は、抵抗R3、R3’を介してそれらの反転入力に接続され、抵抗R4、R4’を介してそれぞれの第1または第2のパワートランジスタT、T’のベースに接続される。
【0074】
[074]入力送信信号txは第1のオペアンプOAの反転入力に印加されるので、送信信号txの正の半波は反転され、第1の増幅器翼12Aで増幅される、すなわち、第1オペアンプOAと第2オペアンプOA’の両方は、それぞれの第1または第2パワートランジスタT、T’のベースに負の半波を供給し、ベースは抵抗R5、R5’を介してゼロ電位0Vに接続され、抵抗R6、R6’を介してそのエミッタに接続され、エミッタはそれぞれ抵抗R7またはR7’を介して第1電源電圧-Ubに接続される。トランジスタT、T’のコレクタは、送信整合ユニット13の入力に設けられた対応する第1または第2のスイッチS11、S12に接続される。送信整合ユニット13は、2つの1次コイル1311A、1311Bおよび1つの2次コイル1312を有する結合トランス131と、複数の同調コンデンサ132、133と、を含む。
【0075】
[075]第1のパワートランジスタTのコレクタは、第1のスイッチS11を介して、結合トランス131の第1の1次コイル1311Aの複数のタッピングA、B、C、Dのうちの1つに接続される。第2のパワートランジスタT’のコレクタは、第2のスイッチS12を介して、結合トランス131の第2の1次コイル1311Bの複数のタッピングA’、B’、C’、D’のうちの1つに接続される。同一に設計されているが逆向きに巻かれた第1および第2の1次コイル1311A、1311Bは、第2の供給電圧+Ubに共通のタッピングに接続されている。タッピングA、B、C、DおよびA’、B’、C’、D’は、共通タッピングから数えて同じターン数に配置されている。第1および第2のスイッチS11、S12は、同一の負荷がパワートランジスタT、T’に印加され、対称性が維持されるように、常に互いに対応するタッピングが選択されるように制御される。したがって、この好ましい実施形態では、増幅器翼12A、12BのパワートランジスタT、T’を有するパワー段は完全に同一である。
【0076】
[076]スイッチS2により、送信コイル21を2次コイル1312の適切なタッピングE、F、Gに接続することができる。さらなるスイッチS3により、同調コンデンサ132、133の1つを送信コイル21に並列に接続することができる。スイッチS2およびS3は、選択された動作周波数に同調した共振回路を構成するように選択される。
【0077】
[077]図4はさらに、測定信号msが、結合トランス131の一次側の差動信号に対して、スイッチS11またはS12、またはスイッチS11およびS12において送信増幅器12の出力でピックアップされることを示している。あるいは、測定信号msは、結合トランス131の二次側で、例えば差動信号に対して送信コイル21をタッピングE、FまたはGの1つに接続するスイッチS2およびS3でピックアップされてもよい。さらに、あるいは、測定信号msは、送信コイル21に誘導的に結合された測定コイル23でピックアップされてもよい。測定信号msは、図1に示す送信測定チャネル8に転送され、図1および図3を参照して説明したように処理される。
【符号の説明】
【0078】
[078]
1 送信ユニット
11 周波数源、シンセサイザ
11-I、11-Q デジタルアナログ変換器
12 送信増幅器
12A、12B アンプ部
13 送信整合ユニット
131 結合トランス
1311A、1311B 1次コイル
1312 2次コイル
132、133 同調コンデンサ
2 コイルシステム
21 送信コイル
22A、22B 受信コイル
23 測定コイル
3 受信ユニット
31 受信整合ユニット
32 補償ユニット
33 受信増幅器
34 受信位相感応検出器/復調器
35I、35Q 受信アナログデジタル変換器
4 制御ユニット
40 制御プログラム
400/CAL 校正モジュール
411 デジタル周波数源モジュール
45 信号処理ユニット/モジュール
450、458 干渉除去モジュール
451/DIV 複素除算補正モジュール
4510/DIV 正規化モジュール
452/MUL 複素乗算補正モジュール
454/MD 金属検出モジュール
456 補償信号部
4560 ループ制御モジュール
4561/MUL 複素除算修正モジュール
4562/MUL 複素乗算修正モジュール
4563/MOD 変調モジュール
458/KIR 干渉除去モジュール
459/TRV ドライブ基準値
6 製品コンベア
8 送信測定チャネル
83 測定増幅器
84 測定位相感応検出器/復調器
85I、85Q 測定アナログ/デジタル変換器
9 補償チャネル
91 デジタルアナログ変換器
92 補償チャネルにおける増幅器
cs 変調された補償信号
isc 複素補償信号
isc1 1回修正された複素補償信号
isc2 2回修正された複素補償信号
ms 測定信号
msc 複素測定信号
msc-n 正規化された複素測定信号
msc-r 送信機基準値
ms-I 測定信号の同相成分
ms-Q 測定信号の直交成分
rs 変調された受信信号
rsc 複素受信信号
rs-I 複素受信信号の同相成分
rs-Q 複素受信信号の直交成分
rsc1 1回補正された複素受信信号
rsc2 2回補正された複素受信信号
tx;tx90° 送信信号、直交信号
OPT オプションモジュール
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
【国際調査報告】