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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】最適化されたインプラントシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20240221BHJP
   A61F 2/28 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61F2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555398
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022051440
(87)【国際公開番号】W WO2022189055
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021202393.2
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514094346
【氏名又は名称】カール ライビンガー メディツィンテクニーク ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Karl Leibinger Medizintechnik GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Kolbinger Strasse 10 78570 Muehlheim Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アクス、アデム
(72)【発明者】
【氏名】ライナウアー、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフラム、トビアス
【テーマコード(参考)】
4C097
4C159
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097BB09
4C097DD09
4C097DD10
4C159AA13
4C159AA15
4C159AA17
(57)【要約】
放射線診断及び手術後の放射線治療における位置決定及び放射出力の調整性を改善するために、本発明は、損傷した組織部位(30)に埋め込まれることが可能である構造部品(50,50’,50’’,50’’’)を有し、前記構造部品は、第1の材料製の1つ以上の第1の部位(10a,10b,10c,10d)及び第2の材料製の1つ以上の第2の部位(20a,20b,20c,20d)を有するインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)を考案する。前記第1の部位(10a,10b,10c,10d)は、前記構造部品(50,50’,50’’,50’’’)を支持するように設計されており、診断の目的又は医療的な放射線治療のための所定の放射線が略透過不能であり、前記第2の部位(20a,20b,20c,20d)は、前記構造部品(50,50’,50’’,50’’’)に対して前記第1の部位(10a,10b,10c,10d)を補うように設計されており、さらに、構造的に修飾されている1つ以上の部分(22a,2b,22c,22d)を備える。前記第2の部位(20a,20b,20c,20d)の前記部分(22a,2b,22c,22d)は、診断の目的又は医療的な放射線治療のための前記所定の放射線が透過可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)であって、
損傷した組織領域(30)の中にインプラント可能である構造部品(50,50’,50’’,50’’’)を備え、前記構造部品は、第1の材料から形成される1つ以上の第1の部位(10a,10b,10c,10d)と、第2の材料から形成される1つ以上の第2の部位(20a,20b,20c,20d)と、を有し、
前記第1の部位(10a,10b,10c,10d)は、前記構造部品(50,50’,50’’,50’’’)を支持するように配設され、診断又は医療的な放射線治療のための特定の放射線が略透過不能であり、
前記第2の部位(20a,20b,20c,20d)は、前記第1の部位(10a,10b,10c,10d)を補って前記構造部品(50,50’,50’’,50’’’)を形成するように配設され、構造的な修飾部分を有する1つ以上のセクション(22a,2b,22c,22d)を備え、
前記第2の部位(20a,20b,20c,20d)の前記セクション(22a,2b,22c,22d)は、診断又は医療的な放射線治療のための前記特定の放射線が透過可能である、インプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項2】
前記第2の材料は、前記第1の材料とは異なる、請求項1に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項3】
前記第2の部位(20d)は、前記第1の部位(10d)におけるインサートの形態である、請求項1又は2に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項4】
前記第2の部位(20d)は、前記第1の部位(10d)における切抜の形態である、請求項1又は2に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項5】
少なくとも構造的に修飾されている前記セクション(22a,2b,22c,22d)は、その周囲の領域よりも低い材料密度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項6】
前記第2の部位(20a,20b)は、規則的な又は不規則な有孔格子構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項7】
前記第1の材料は、機械的に安定な材料であり、特に金属材料である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項8】
前記金属材料は、チタン、チタン合金、モリブデン、モリブデン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、インプラント可能なステンレス鋼、又はそれらの材料のうちの2つ以上からなる組み合わせから形成されている、請求項7に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項9】
前記第2の材料は、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、又はこれらの吸収性の組み合わせの形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項10】
前記プラスチック材料は、PEEK,PEKK,PE,PPSU等の1つ以上のポリマー、又はそれらの材料のうちの2つ以上からなる組み合わせから形成される、請求項9に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項11】
前記セラミック材料は、酸化アルミニウム、又は酸化ジルコニウムから形成される、請求項9に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項12】
前記吸収性のコンポーネントは、HA,β-TCP,又はHA/β-TCP,β-TCP/Mg,PDLLA/Mg,PDLLA/β-TCP,PDLLA/CaCCの組み合わせ、又は同様の材料から構成されている、請求項9に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項13】
放射性の前記放射線は、粒子線、特に電子線であるか、波動放射線、特にX線である、請求項1~12のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【請求項14】
前記構造部品(50,50’,50’’,50’’’)は、頭蓋(62)又は下顎(60)の部位における損傷した骨領域を置換するように設計されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のインプラントシステム(100,100’,100’’,100’’’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、損傷した組織領域にインプラント可能である構造部品を備え、前記構造部品は、第1の材料から形成される1つ以上の第1の部位と、第2の材料から形成される1つ以上の第2の部位とを有するインプラントシステムに関する。第1の材料及び第2の材料は、同一であるか異なることが可能である。
【背景技術】
【0002】
例えば腫瘍によって引き起こされ、インプラントによって外科的に置換される骨側の欠損の矯正の場合には、適当な金属及びその合金が使用される生体親和性材料を使用することが知られている。そうしたインプラントは、例えば、特許文献1から知られている。
【0003】
放射線治療では、癌細胞は、電離放射線又は粒子線によって破壊される。放射線は、細胞の遺伝物質を損傷して、したがって細胞分裂が止まり、細胞が死滅する。結果として、腫瘍は小さくなるか、消失する。例えば、経皮的放射線治療では、照射が体外から、所定の距離から実行される。係る場合では、非常に高いエネルギーの放射線が、例えば直線加速器によって生成され、直線加速器は、光子ビーム(ここでは、硬X線)を腫瘍上に向けて、癌細胞を破壊する。
【0004】
しかしながら、位置及び出力に関するその特異性に関して、放射線治療は、使用されるインプラントシステムの遮蔽又は吸収効果によって悪影響を受けることがある。また、これは放射線診断用途にも当てはまり、したがって、放射線診断用途は、インプラントシステムが存在するとき、定義され制御された手法において使用可能でないことが多い。したがって、放射線治療において得られる結果は、不十分であるか、不適当である。多くの場合では、しかしながら、上記の不足による悪影響及び結果として起こる関連する問題を受け入れる以外に選択肢はない。その別の場合には、必要な再構成は、一時的に、最小限でのみ実行されるか、まったく実行されず、それによって今度は他の問題を導くことがある。一般的に、必要な手術は、放射線治療の完了後にしかすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005003188号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、放射線診断と手術後の放射線治療の使用との両方において、位置決定及び放射出力の設定を改善可能にするインプラントシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
該目的は、請求項1の特徴を有するインプラントシステムによって達成される。特に、本発明に従った解決策は、冒頭において述べられているタイプのインプラントシステムの場合において、第1の部位が構造部品を支持するように配設されており、医療的な放射線治療のための特定の放射性放射線が略透過不能であることに存する。同時に、第2の部位は、第1の部位を補って構造部品を形成するように配設され、構造的な修飾部分を有する1つ以上のセクションを備え、第2の部位のセクションは、医療的な放射線治療のための特定の放射性放射線が透過可能である。
【0008】
本発明に従ったインプラントシステムによって、ゆえに、構造部品上に、第1の材料から構成されている第1の部位と、第2の材料から構成されている第2の部位とを提供することによって、最適化された放射線の入力が達成されることが可能であり、第1の部位は、例えば機械的負荷支承コンポーネントを形成する一方で、第2の部位は、例えば放射線治療を支援する原材料から成るインプラントコンポーネントの形態である。これにより、患者固有の手法において改善される放射線治療ケア又は放射線診断ケアのための位置精度及び出力調整の改善が可能になる。
【0009】
本発明に従ったインプラントシステムの好ましい発展形態は、関連する従属項において見出されることが可能である。
補綴部品の有利な一発展形態において、構造部品の第2の部位の透過性は、第1の材料とは異なる第2の材料によって適当に達成されることが可能である。このように、特定の部位の機能の割り当ては、他の部位と併せた材料の最適な選択をすることによって達成されることが可能である。
【0010】
さらに安定した、取り扱いが容易な一発展形態は、第1の部位が第2の部位を完全に覆う手法において設計されることが可能であり、それにより、第1の部位を安定化するとともに保護することが可能であるので、インプラントシステムの係る発展形態において、第2の部位は、第1の部位におけるインサートの形態である。
【0011】
さらに好ましい一発展形態は、その周囲領域よりも低い材料密度を有する少なくとも構造的に修飾されているセクションが次いで特に存することが可能である。同じ又は必要に応じて様々な材料厚さを有する複数の構造的に修飾されているセクションを提供することも考えられる。
【0012】
周囲領域における健康な組織がより良く保護されることが可能な、腫瘍の特に正確な照射は、第2の部位が第1の部位における切抜の形態であるので、構造部品を通る放射線の完全に妨害をうけない通過及び患者固有の組織領域の中への放射線の入力を第2の部位が保証する別の発展形態によって達成される。
【0013】
別の有利な発展形態では、第2の部位は、規則的な又は不規則な3次元の足場構造を有することが可能であるので、最適化された放射線の入力が切抜の場合と同様に達成されるが、係る場合では、構造部品の安定性が改善されて、相対的に大きなセクションが第2の部位のみを用いて覆うことが可能である。また、本発明に従ったインプラントシステムの構造部品上の有孔格子構造を有する複数の第2の部位も考えられる。
【0014】
十分な支持効果及び剛性は、第1の材料が機械的に安定な材料である好ましい一発展形態における構造部品によって経験される。それは、ゆえに金属、その合金、ポリマー、又はそれらの組み合わせを含むことが可能である。特に好ましくは、第1の部位の金属材料は、チタン、チタン合金、モリブデン、モリブデン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、インプラント可能なステンレス鋼、又はそれらの材料のうちの2つ以上からなる組み合わせであることが可能である。
【0015】
構造部品を形成するための第1の部位の有利な補充は、放射線源に関してその後ろに配設される組織の中への最適化された放射線の入力であり、第2の材料がプラスチック材料、セラミック材料、又は1つ以上の吸収性コンポーネントの形態であるときに、本発明に従ったインプラントシステムの一発展形態によって達成されることが可能である。また、材料の組み合わせもここでは考えられる。
【0016】
特に好ましくは、プラスチック材料は、PEEK,PEKK,PE,PPSU等の1つ以上のポリマー、又はそれらの材料のうちの2つ以上からなる組み合わせから形成されることが可能である。セラミック材料が酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムから形成される一発展形態も、また好ましい。同様に好ましくは、それらに限定されないが、吸収性のコンポーネントは、例えばHA,β-TCP、又はHA/β-TCP,β-TCP/Mg,PDLLA/Mg,PDLLA/β-TCP,PDLLA/CACC、又は同様の材料の組み合わせから構成されることが可能である。
【0017】
放射線によって癌細胞を破壊することが可能な意図された放射性放射線として、粒子線(特に電子線)又は波動放射線(特にX線)を使用することが好ましい。意図された放射性放射線の透過性及び貫通性が異なる複数の部位における設計のために、前記放射線は、特に必要とされる出力において部位に特に正確及び局所的な手法において照射されることが可能である。
【0018】
インプラントシステムの有利な一発展形態では、構造備品は、頭蓋又は下顎の部位における損傷した骨領域を置換する、保護する、及び/又は覆うように配設されることが可能である。インプラントシステムは、好ましくは患者固有の要求に正確に適応可能であり、必要とされる特定の部位の多様性を含むことが可能である。
【0019】
上記の構成及び発展形態は、必要な場合には、所望されるように互いに組み合わせられることが可能である。また、本発明のさらに可能な構成、発展形態、及び実施は、明示的に言及されていない本発明の特徴の組み合わせも包含し、特徴は、例示的な実施形態に関して上記に説明されているか、下記に説明され得る。
【0020】
本発明は、図面の図における例示的な実施形態に基づいて、より詳しく下記に説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に従った、第1の部位と、第2の部位と、第2の部位上の構造的に修飾されているセクションとを有する構造部品を備える、下顎の部位におけるインプラント可能な補綴部品の第1の実施形態の斜視側面図。
図2】第1の部位と、第2の部位と、第2の部位上の構造的に修飾されているセクションとを有する構造部品を備える、頭蓋の部位におけるインプラント可能な補綴部品の第2の実施形態の斜視側面図。
図3a】第1の部位と、複数の第2の部位と、第2の部位上の構造的に修飾されているセクションとを有する構造部品を備える、下顎の部位に配置するためのインプラント可能な補綴部品の第3の実施形態の斜視側面図。
図3b】第1の部位と、複数の第2の部位と、第2の部位上の構造的に修飾されているセクションとを有する構造部品を備える、下顎の部位に配置するためのインプラント可能な補綴部品の第3の実施形態の斜視側面図。
図4】第1の部位と、第2の部位と、構造的に修飾されているセクションとを有する構造部品を備える、下顎の部位におけるインプラント可能な補綴部品の第4の実施形態の斜視側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
全ての図において、同一又は機能的に同一の要素及びデバイスは、特に明記しない限り、同じ参照符号と共に提供されている。
図1は、本発明に従った、下顎60の部位において全体として100によって識別される、インプラント可能な補綴部品の第1の実施形態の斜視側面図を示す。該補綴部品は、第1の部位10aと、第2の部位20aと、第2の部位において配置されている構造的に修飾されているセクション22aとを有する構造部品50を備える。
【0023】
図1の例示において、構造部品50の第1の部位10aは、下顎の輪郭に適合しているクランプの形態にあるチタン材料から構成されている。該クランプは、例示の左側のセクションにおいて描写されている顎先部位から、例示の右側のセクションにおける下顎60の上に延びる枝(下顎枝)まで下顎の輪郭に沿って延在する。ここで、構造部品50の第1の部位10aは、締付ねじ12aを用いて下顎60上に固定されている。
【0024】
さらにまた、切抜14aが第1の部位10a上に提供され、顎骨上の突出を囲み、従ってこれに加えて構造部品の横方向の変位を妨げるとともに、構造部品を静止した状態に保つ。骨領域への切抜14aの適用のために、当該切抜14aは、放射性放射線の通過に適しており、放射性放射線は、切抜14aに配置される骨材によって吸収される。図1の例示の中間セクションにおいて、チタン材料から同様に構成されている3つの等間隔のアーム24aは、第1の部位10aから上顎洞の方向に突出して、それらの端において歯の部位における間隙を塞ぐ義歯部品18aを支承する。前記間隙は、例えば腫瘍の切除の結果として顎に存在している。
【0025】
第2の部位20aは、アーム24aを通じて下顎の上に張り出しており、第1の部位10aにおいて切抜26の形態である。アーム24aによって形成される第2の部位20aは、第1の部位10aを補って構造部品を形成するように配設されている。そして、第2の部位20aは、第1の部位10aから突出し、放射性放射線が通過するための大きく、空隙寸法を有するその中実構造によって、下顎60の関連するセクションを通じる略自由な通過を提供する構造的な修飾部分を有する。下顎60には、アーム24aによって形成されるとともに義歯部品18aを支持又は支承するために十分な安定性を有する支持構造が横断しており、同時に上顎洞に存在する照射対象の組織の中への放射線の十分大きな入力を可能にする。
【0026】
図2は、頭蓋62の部位におけるインプラント可能な補綴部品100’の第2の実施形態の斜視側面図を示す。補綴部品100’は、第1の部位10bと、第2の部位20bと、第2の部位20b上の構造的に修飾されているセクション22bとを有する構造部品50’を備える。係る第2の実施形態では、構造部品50’の第1の部位10bは、支持部品によって形成されており、この支持部品は、頭蓋冠の外科的切開(穿頭術)(減圧開頭術)によって形成される開口34bの縁において不規則に配置され、該縁に対して略横断方向に開口34bの中に突出する。該支持部品は、チタン材料から構成されている。対照的に、第2の部位20bは、ここでは、開口34bを覆い、第1の部位10bによって保持される規則的な有孔格子構造によって形成されている。同時に、チタン材料から同様に構成される第2の部位20bの有孔格子構造は、構造的な修飾部分を有するセクション22bを形成し、第1の部位10bを補って構造部品50’を形成し、特定の放射性放射線が透過可能である。
【0027】
図3a及び図3bは、下顎60(図3a及び図3bには示されていない)の部位において配置するためのインプラント可能な補綴部品100’’の第3の実施形態の2つの斜視側面図を示す。補綴部品100’’は、いずれの場合にも、第1の部位10cと、複数の第2の部位20cと、第2の部位20c上の構造的に修飾されているセクション22cとを有する構造部品50’’を備える。図3a及び図3bの側面視では、構造部品50’は、それらの長手方向軸について約180°回転する。図3a及び図3bの構造部品50’’は、中間セクションにおいて、2つの平行な橋梁部42cによって形成される第1の部位を備え、橋梁部42cの均一な距離によって、狭い間隙44cが形成されている。いずれの場合にも、構造部品50’’の第2の部位22cが2つの橋梁部42cの端において配設されている。その第2の部位は、使用位置において、いずれの場合にも、下顎(図示せず)の部位を把持し、第1の部位10cのように、金属マグネシウム材料から構成されている。
【0028】
図3a及び図3bにおける構造部品50’’の上部の第2の部位20cは、前から顎先セクションを把持するように意図されている一方で、図3a及び図3bにおける下部の第2の部位20cは、下から外側部位において下顎60を把持するように意図されている。2つの第2の部位20cは、構造的な修飾部分22cを有し、放射線治療のための特定の放射性放射線が透過する不規則な有孔格子構造を有する。有孔格子構造の位置は、骨材の欠如に即して特に調整されて、従って、放射線がその位置で組織の中に入力されることの可能性が所望の通りになるよう、特に調整される。
【0029】
図4は、下顎60の部位におけるインプラント可能な補綴部品100’’’の第4の実施形態の斜視側面図を示す。補綴部品100’’’は、第1の部位10dと、第2の部位20dと、構造的に修飾されているセクション22dとを有する構造部品50’’’を備える。係る場合には、第1の部位10dは、チタン材料から構成されており、下顎60の外側部位上に配置されており、それに沿って延在し、その経路のいくつかの部分において完全に置換する。第1の部位10dの中間セクションにおいて、構造部品50’’’の第2の部位20dは、長尺状の菱形断面(すなわち、四角形断面)を有するインサートとして第1の部位10d上に形成され、第2の部位20dは、プラスチック材料、さらに正確にはポリマー(係る場合においては、PEEK等)から構成される。ゆえに、第2の部位20dは、第1の部位10dを補って構造部品50’’’を形成し、特定の放射性放射線(ここでは、X線)が第2の部位20を透過して、その後ろに位置し、骨の除去によって露出されている口腔の柔組織の中へ入力されることが可能であるように、そのセクション22dによって、構造的な修飾部分を有する。
【0030】
図1図4による好ましい実施形態に基づいて上記に説明される本発明は、従って、手術後の放射線治療の使用における位置決定及び放射出力の設定を改善可能にするインプラントシステム100,100’,100’’,100’’’を提供する。係る目的のために、インプラント可能な補綴部品100,100’,100’’,100’’’の場合において、構造部品50,50’,50’’,50’’’の第1の部位10a,10b,10c,10dは、構造部品50,50’,50’’,50’’’を支持するとともに、医療的な放射線治療のための特定の放射性放射線が略透過不能になるように配設されている一方で、第2の部位20a,20b,20c,20dは、第1の部位10a,10b,10c,10dを補って構造部品50,50’,50’’,50’’’を形成するように配設され、構造的な修飾部分を有する1つ以上のセクション22a,2b,22c,22dを備える。第2の部位20a,20b,20c,20dのセクション22a,2b,22c,22dは、医療的な放射線治療のための特定の放射性放射線によって透過可能である。
【0031】
本発明は、好ましい例示的な実施形態に基づいて上記に説明されているが、本発明は、それに対して限定されず、様々な手法において修飾可能である。特に、本発明は、その本質から逸脱することなく多くの手法において変更または修飾されることが可能である。
図1
図2
図3a
図3b
図4
【国際調査報告】