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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】水溶液揮発装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20240221BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240221BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240221BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20240221BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/40
A24F40/46
A24F40/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555457
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 IB2022051822
(87)【国際公開番号】W WO2022189900
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21161408.6
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523343927
【氏名又は名称】アヴォジェン・テク・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドル・ヤニク
(72)【発明者】
【氏名】アヴォリオ・ダヴィド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB13
4B162AC06
4B162AC22
4B162AC27
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD22
4B162AD23
(57)【要約】
【課題】エアロゾルの噴霧において、液体組成物を沸騰させずに生成するエアロゾルの大きさ、速度、揮発の持続時間を制御する。
【解決手段】本発明は、粘性液体組成物(S)を予熱室(12)上流の揮発要素からなる微小液滴(5)に揮発させるように適合された装置(1)に関する。さらに、液体組成物からエアロゾルを提供する方法と、エアロゾルの製造に使用される水性液体組成物と、これらを備えるキットとに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物(S)の貯留に適合した貯留区画(11)を持つ筐体(10)と、
前記液体組成物(S)を微小液滴(5)に揮発させるように適合された揮発要素と、
エアロゾル室(13)と
を備える装置(1)において、
前記装置が、前記貯留区画(11)の下流に、少なくとも1つの溶液入口(110)によって前記貯留区画(11)と流体連通する少なくとも1つの予熱室(12)をさらに備えることと、
前記少なくとも1つの予熱室(12)が、1つ又はそれより多い加熱装置(120)を備えてかつ前記揮発要素の上流に配置されていることと、
前記エアロゾル室(13)は、前記揮発要素の下流側にあり、前記エアロゾル室がマウスポート(9)を備えるか又はマウスポート(9)に接続されていること
とを特徴とし、
前記予熱室(12)と前記エアロゾル室(13)とが、前記揮発要素をその間の横方向位置に沿って互いに連通するように配置されている、もしくは
前記予熱室(12)が、対応する側壁(121)に配置された前記揮発要素を持つエアロゾル室(13)を取り囲む1つ又は複数の側方空間の形態をしている、ことを特徴とする、前記装置(1)。
【請求項2】
前記加熱装置は、圧力の増加をもたらさないように、又は実質的に圧力の増加をもたらさないように、沸点より低い温度で前記液体組成物(S)を加熱するように、適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記揮発要素は、約1μm以下の孔径を持つ1つ又は複数の平坦な多孔質膜を備える少なくとも1つの振動メッシュ(14)を備える、少なくとも1つの圧電又は磁気電気アクチュエータと組み合わされるか、もしくは少なくとも圧電ポンプ又は両方の組み合わせを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記揮発要素が、約50KHzと約150KHzの間又は約500KHzと約1500KHzの間から構成される周波数で振動するように適合された1つ又はそれより多い振動メッシュ(14)を意味しているか、又は前記振動メッシュ(14)を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記揮発要素が、前記液体組成物(S)と複数層の多孔質材料との少なくとも一方との接触面を増加させるように適合された平坦でない多孔質材料を備える1つ以上の振動メッシュ(14)を意味しているか、又は前記振動メッシュ(14)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記予熱室(12)が、前記揮発要素に接触する液体組成物(S)を駆動する1つ又は複数の毛細管又は多孔質材料を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記エアロゾル室(13)が、前記マウスポートを介して吸入中の微小液滴(5)と外気とを組み合わせるように適合された空気入口(6)をさらに備えるか、又は前記空気入口(2)に接続されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記エアロゾル室(13)が、少なくとも1つのエアロゾル加熱部(130)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの予熱室(12)は、前記エアロゾル室(13)を囲む1つ又は複数の横方向の空間の形態をとり、ここで、前記揮発要素は、対応する側壁(121)上に配置された1つ又は複数の振動メッシュ(14)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
互いに向かい合う2つ以上の振動メッシュ(14)と、前記振動メッシュの間に位置する少なくとも1つの内壁(122)とをさらに備える請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記内壁(122)が、エアロゾル加熱部(130)として機能する発熱体を意味している、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記エアロゾル室(13)を囲む複数の予熱室(12)が、
前記予熱室(12)間、又は
前記予熱室(12)と前記ハウジング(10)との間、又は
前記予熱室(12)間と前記予熱室(12)と前記ハウジング(10)との間の両方
に対応している、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
残渣回収手段をさらに備え、そのような手段が、1つ又は複数の多孔質材料と、毛細管組立体と、少なくとも1つの振動メッシュとを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
・前記予熱室(12)の温度、もしくは
・1つ又はそれより多い振動メッシュ(14)が表されているときに前記揮発要素の振動の周波数及び振幅のうちの一方又は両方、もしくは
・1つ又はそれより多い振動メッシュ(14)が表されているときに前記予熱室の温度と、前記揮発要素の振動の周波数及び振幅の一方又は両方との組み合わせ
を変調するように適合されている、コマンド入力部(22)をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記揮発要素は、2つ以上の振動メッシュ(14)を備え、隣り合う前記振動メッシュ(14)の少なくともいくつかが、制御された位相差で振動する、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記位相差は、振動の周波数又は振動の周波数の範囲に関して調整できる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項の装置によって、液体組成物(S)を直径4μm未満の微小液滴(5)に揮発させる方法であって、前記液体組成物が20℃で2cPより高い粘度を持つものであって、前記方法が、
前記液体組成物(S)をその沸点よりも低い温度で予熱して蒸気が発生しないようにする加熱ステップa)と、
予め加熱された液体組成物を約4μm未満の平均直径を持つ微小液滴(5)に揮発させる拡散ステップb)と
を備える、液体組成物(S)を直径4μm未満の微小液滴(5)に揮発させる方法。
【請求項18】
予熱室(12)の温度と、
振動メッシュの振動の周波数、振幅及び位相差の1つ又はそれ以上と、
振動アクチュエータの数と
のうち少なくとも1つを、適用する場合に変調する、変調ステップc)をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体組成物は、60%を超える水を備え、20℃で2cPを超える粘度を持ち、吸入条件下で生物学的効果を持つ物質の1%から10%、及びポリオールの5%から40%を備え、前記液体組成物は実質的に追加の有機溶媒を含まない、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物中のポリオール/水の比率は、10/90から20/80の間からなり、ここで、前記組成物は、前記装置(1)内で係合するように適合された滅菌密閉タンクに貯蔵される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物中のポリオール/水の比率が20/80を超え、前記液体組成物が前記装置(1)を補充するために使用可能な非滅菌レシピエントに格納される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記液体組成物は、1種又は数種のフレーバーをさらに持つ、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記物質は、ニコチン、ニコチン誘導体、テトラヒドロカンナビノール(THC)もしくはカンナビノイドファミリー又はその薬学的に許容される塩から選択される、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコや吸入器のような気化装置に関する。特に、本発明による装置は、改善された効率で水溶液の気化に適合する。それは、約4μmより小さい平均直径、好ましくは1μmのオーダー(桁数)の平均直径を持つ微小液滴を生成できるようにする。本開示はさらに、そのような液滴のエアロゾル中で水溶液を気化する処理工程に関する。また、本装置と少なくとも1つの水溶液とを別々に包装して備えるキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
液滴の平均サイズは、吸入物質の効率にとって重要な変数であることが知られている。通常、約4μmの微小液滴が、肺への吸入に最適であると考えられている。物質又はそれを溶解した溶液が医薬品に関するものであれ、ニコチンのようなタバコ誘導体に関するものであれ、約4μmより小さい直径の均質な粒子径を持つエアロゾルを製造することが好ましい。
【0003】
吸入に使用される物質は、安定性や均質性の理由から、添加剤や有機溶媒と組み合わされることが多い。気化を目的とする場合、このような非水溶性溶媒は通常、自然粘度が低いため、低サイズの微小液滴の生成に有利である。しかし、添加剤や有機溶媒は、いくつかの悪影響を与える可能性がある。生物との潜在的な望ましくない相互作用のほかに、このような非水溶液は、一度吸入されると、あるいは吸入中に、刺激、悪味、又はその他の有害な感覚を与える可能性がある。したがって、吸入には水溶液が望ましい。水は有機溶媒に比べてもともとの粘度が低いため、要求される平均粒子径4μm以下のエアロゾルの製造は困難である。
【0004】
特許文献1には、溶液中の物質を気化するまで加熱する装置が記載されている。高い水の気化エンタルピーには、溶媒の気化に局所的に大量のエネルギーの供給を要するため、このような方法は水溶液には適していないようにみられる。その結果、エネルギーの消費量が多くなり、気化するまでの周回時間が長くなる。さらに、温度は組成物の物質を劣化させたり、混合物中で好ましくない化学反応を引き起こしたりする可能性がある。
【0005】
特許文献2には、加熱処理による副作用の回避に、圧電メッシュを用いてエアロゾル前駆体を揮発させる装置が記載されている。有機溶媒に基づく組成物は揮発可能であるが、このような配置は水溶液には直接適用できないようにみられる。特に、水性組成物の液滴の平均サイズを制御するには最適ではない。加えて、圧電メッシュは、溶液の気化に電気的なブーストを必要とし、これは、装置が電池で供給される場合、自律性の点で限界を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第95/01137号
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/014819号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、制御された液滴サイズを持つ水溶液を噴霧できるようにする装置を提供することである。特に、本発明の目的は、平均直径が4μmを下回る、又は1μm以下のオーダーの液滴のエアロゾルで水溶液を噴霧できるようにする装置を提供することである。
【0008】
その目的はまた、液体組成物の粘度を1cP未満に低下させ、得られるエアロゾルの流量を向上できる装置を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、水溶液が持つ物質を燃焼又は分解させることなく揮発できる装置を提供することである。したがって、水溶液を沸騰させることなく揮発させることが目的である。
【0010】
本開示の別の目的は、水溶液を、制御された平均サイズを持つ液滴のエアロゾルに気化させる処理工程を提供することである。より詳細には、粒子の平均サイズを制御しながら水溶液を気化させることである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、水溶液を揮発させるのに適合された装置であって、温度、放出される液滴の大きさ、又は揮発の持続時間を調節できる装置を提供することである。
【0012】
さらなる目的は、生物学的効果を持つ少なくとも1つの物質を含む水溶液を提供することであり、この水溶液は、室温20℃で約2、又は1.5、又は1、4cPより高い粘度を持つ。目的は、より詳細には、公知の溶液よりも少ない有機溶媒を含有するか、有機溶媒を含有しないか、実質的に含有しない溶液を提供することである。目的は、吸入用に、30%未満、又は25%未満又は20%未満の有機溶媒を持つ液体溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、独立請求項に記載され、従属請求項にさらに詳細に記載された本発明の手段によって実現される。
【0014】
特許請求の範囲の解決策は、先に述べた不利点を解決するものである。特に、制御された平均直径を持つ水溶液の微小液滴を拡散できるようにしている。さらに、望ましくない添加剤や溶媒を含まないか、実質含まないエアロゾルの製造効率を向上させる。さらに、最小限のエネルギー消費で物質を揮発できる。したがって、特許請求された装置は、より長い自律性を有し、より改善された使用快適性を示す。また、風味増強剤のアッセイによって使用者の味覚変数を制御し、後加熱部の温度によって熱を制御することも可能である。
【0015】
現在説明されている発明の実現例を以下の図面により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明による装置の概略図である。
図2図2は本発明による装置の予熱室の詳細である。
図3図3は本発明による装置のコマンドの概略図である。
図4a】1実施形態による本願記載の装置の断面図である。
図4b】1実施形態による本願記載の装置の断面図である。
図5a】1実施形態による本願記載の装置の断面図である。
図5b】1実施形態による本願記載の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の装置1は、貯留区画11を持つ筐体10を備える。貯留区画11は、筐体10の内部空間、例えば筐体10の端部の内部空間であり得る。貯留区画11にアクセスする(連通する)ため、筐体10は、筐体10の端部にねじ止め又はクリップ止め可能なキャップ又は蓋のような取り外し可能な部品を備える。代替的に、筐体10の一部を装置の他の部分から分離して、貯留区画11へのアクセスを開いてよい。このような取り外し可能な部分は、その長さの10%又は20%など、装置の一部を表してよい。例えば、装置1の本体を表す筐体10の残りの部分にねじ止めしてよい。代替的に、貯留区画11は、開閉可能な横蓋によってアクセス可能となっている、装置の中央区画であってもよい。このような横蓋は、1つ又は複数のヒンジを介して筐体10に連結し得る。
【0018】
貯留区画11は、外部タンクから液体組成物Sを受け入れるように適合してよい。蓋と筐体10との間の接続部には、漏れを回避するように適切な密着部が配置される。一実施形態では、筐体10は、貯留区画11内に残っている液体組成物Sのレベルを使用者に見えるように、貯留区画11の高さに、横窓のような透明部分を少なくとも備える。したがって、貯留区画11に対応する筐体部分は、完全に透明であってもよく、又はその表面の一部、例えばその表面の半分において透明であってもよい。代替的に、貯留区画11を覆う蓋のみが透明である。
【0019】
別の実施形態では、貯留区画11は、液体組成物Sを受けるのに適合されていてよい。このようなカートリッジは、液体製剤を貯蔵するのに適合した内部容積と、カートリッジを装置1に結合するのに適合した接続部とを持つ。接続部は、カートリッジが装置1から分離されたときに液体組成物Sが漏れるのを防止する密着手段を備えてよい。加えて、カートリッジを装置1に接続した状態を維持するように適合されたネジ山もしくは1つ又は複数のラグのような固定手段を備えてよい。カートリッジの密着手段は、カートリッジが装置1に接続されると自動的に開くように、好ましくは適合される。この目的のため、カートリッジを装置1に連結する際にカートリッジの密着手段を穿孔又は開放できるように、カートリッジの連結点にて、装置1上に管路の端部があるようにしてよい。貯留区画11がカートリッジを受け入れるように適合されている場合、蓋やキャップがなく、多くの操作を必要とせずにカートリッジを筐体10に直接接続するものとしてよい。代替的に、少なくとも装置1の接続部を保護するためにキャップを設けてもよい。キャップがある場合、キャップは、装置1との連結時に、密封手段の穿孔又は開封のために必要な力をカートリッジに作用させるものとしてよい。ここで、任意の適切な配置が本装置1に適合し得ることを理解されたい。
【0020】
貯留区画11は、液体組成物Sが貯留区画11から予熱室12に流入可能にする少なくとも1つの溶液入口110を備える。溶液入口110は、液体組成物Sが予熱室12に自由に流入可能にする貫通孔又は複数の貫通孔であってもよい。しかしながら、このような配置は、重力の影響を受けやすく、使用条件下で装置1が取り得る位置の数が制限される可能性がある。溶液入口110は、要求に応じて開閉可能にする可動部分を備えてもよい。例えば、予熱室12は、吸入される溶液Sの用量に対応する所定の容積を持ち得る。溶液入口110を開けることで、予熱室12を適量の液体組成物Sで満たせる。吸入を開始する前に溶液入口110を閉じることにより、組成物Sの過剰な吸入の阻止が保証される。
【0021】
代替的に、溶液入口110は、液体組成物Sが毛細管現象によって流入可能な、限定された大きさの1つ又はいくつかの孔を備え得る。孔のサイズと数量は液体組成物Sの粘度に適合されていてよい。好ましい1構成では、孔の直径は、約3cP又は5cP又は10cPより高い粘度を持つ液体の通過を防止又は実質的に防止するように調整されている。代替的に又は追加的に、孔の大きさは、約2cPより低い、又は約1.5cPより低い、又はさらに1cPより低い粘度を持つ毛細管現象による液体組成物の進行を許容するか又は実質的に許容するように調整される。好ましい1構成では、孔の大きさは、1cPより低い粘度を持つ液体組成物の毛細管現象による進行が、3cP又は4cPを超える粘度を持つ液体組成物の進行より2倍又は3倍又は4倍速くなる、又は実質速くなるように較正される。代替的に、溶液入口110の孔の1つ又はそれより多い数の孔は、その粘度とは無関係に液体組成物Sが自由通過できるようにより大きくてもよく、毛細管現象によって液体組成物Sを吸収するように適合された綿の芯を備えてもよい。
【0022】
本開示の装置1は、貯留区画11の下流に予熱室12を備える。予熱室12は、少なくとも1つの加熱装置120を備えるか、又は少なくとも1つの加熱装置120と直接接触している。このような加熱装置は、電気抵抗であってもよいし、何らかの熱を供給するように適合された任意の関連装置であってもよい。加熱装置120は、液体組成物Sと直接接触するように予熱室12内に配置され得る。したがって、加熱装置120を取り囲む液体組成物1の非常に効率的かつ迅速な局所加熱を可能にする。加熱装置120は、液体組成物Sが予熱室12に流入する際に既に温められるように、溶液入口110の近くに配置されてもよい。代替的に、加熱装置120は、液体組成物Sが揮発要素によって微小液滴5として拡散される直前に局所的に温められるように、揮発要素に近い下流側に配置されてもよい。
【0023】
加熱装置120は、予熱室12内の液体組成物Sに浸漬される保護筐体に封入されてもよい。このような保護筐体は、ステンレス鋼、アルミニウム又は同様の金属要素に似た金属のような熱伝導性材料であってよい。保護筐体はさらに、予熱室12の容積を通して温度の均一化を可能にする延長部を備えてもよい。代替的に、保護筐体は、予熱室12の1つ又は複数の壁と接触していてもよい。代替的に、加熱装置120は、側壁、貯留区画11を予熱室12から分離する壁、又は予熱室12をエアロゾル室13から分離する壁のように、予熱室12の1つ又は複数の壁内に一体化されてもよい。
【0024】
1実施形態では、加熱装置120は、液体組成物Sが適切な温度で予熱室内に入るように、溶液入口110内に一体化されている。
【0025】
別の実施形態では、加熱装置120は、加熱エネルギーが液体組成物Sの揮発点又はその近くで供給されるように、予熱室12の下流壁に一体化されている。
【0026】
図2により良く示されている1実施形態では、予熱室12は、その一端が溶液入口110に流体接続され、その反対端が揮発要素に流体接続された複数の毛細管12a、12bを備える。毛細管12a、12bの内径は数百μm程度でよい。毛細管12a、12bは、例えば、内径が約100μmと約800μmの間、又は約200μmと約600μmの間として備えられてよい。毛細管12a、12bの内径は、溶液入口110から揮発要素までの長さに沿って小さくなっていてもよい。これにより、液体組成物Sの粘度に応じて毛細管に沿った進行を制御できる。毛細管12a、12bの内径は、次いで、一方の端部から他方の端部まで、10%から50%の間、例えば、約20%又は30%の間とされる値だけ減少できる。1つ又は複数の加熱装置120が毛細管12a、12bを取り囲むようにしてよい。加熱装置120は、迅速かつ効率的な温度制御のために毛細血管と直接接触できる。加熱装置120は、液体組成物Sの成分の局所的な燃焼を防止するか、又は液体組成物Sの局所的な沸騰もしくは圧力上昇を防止する滑らかな温度変化を可能にするために、毛細管の壁から離れた位置にあってもよい。加熱装置120と、一定の内径又は減少する内径のいずれかを持つ毛細管との組み合わせは、液体組成物Sの進行速度を制御できるようにして、それにより、そのデビット(1回の使用量)に影響を及ぼす。
【0027】
加熱装置120は、液体組成物Sを、その沸騰、その成分の燃焼、副反応又は化学的分解を防止する温度で加熱するように適合される。したがって、液体組成物Sは、好ましくは約30℃と約90℃との間、好ましくは80℃又は60℃より低い温度で加熱される。約40℃と約60℃の間とされる温度は、本装置1に想定される液体組成物Sのほとんどに適しているようである。別の態様では、加熱装置120は、液体組成物Sに好適な粘度を与えるように制御される。液体溶液S、特に水溶液の粘度は、通常、20℃では高すぎて、十分に小さい液滴と適切なデビットの少なくとも一方を提供できない。また、装置1の外部使用、特に冬季には、非常に低い温度で使用されることがあり、これは当然、液体組成物の粘度を著しく増加させる。したがって、加熱装置120は、最小限のエネルギー消費で適切な粘度を調整し、再現するのに役立つ。
【0028】
毛細管12a、12bは、速い温度交換を可能にし、予熱室12内の液体溶液のデビットと温度との少なくとも一方の即時制御の提供が強調される。また、予熱室12を横切る毛細管12a、12bの長さも液体組成物Sの温度制御に影響を与えることが強調される。毛細管12a、12bは溶液入口110から揮発要素に向かって直線的形状を備えてよい。より良好な温度制御のために、毛細管12a、12bは、非直線形状によって予熱室12内でより長い経路を表してもよい。毛細管12a、12bは、例えば、コイルの形状を持つか、バッフルを備えるか、又は加熱装置12との効率的な温度交換を可能にする任意の適切な蛇行経路をとれる。
【0029】
一実施形態では、予熱室12の内部容積は、液体組成物Sを収容し排出できるようにする多孔質材料を備える。加熱装置12は、上述のように配置されてもよいし、液体組成物Sを備える多孔質材料の内部に配置されてもよい。多孔質材料はよって、適した温度に維持可能である。このような多孔質材料は、揮発要素と直接接触していてもよい。
【0030】
本開示による装置1は、この予熱室12内に存在する液体組成物Sから予熱室12の下流のエアロゾル室13に向かって微小液滴5を広げるように適合された揮発要素をさらに備える。揮発要素は、微小液滴5を形成しながら液体組成物Sが通過できる少なくとも1つのメッシュ14を備える。メッシュ14の孔は、好ましくは0.5マイクロメートルと3から10マイクロメートルのような数マイクロメートルの間の直径を持つ。メッシュ14は、予熱室12とエアロゾル室13との間の全表面を貫通して延在してよく、したがって、全表面に均質な気孔率を呈する。このような配置は、予熱室12とエアロゾル室13との間の表面が液体組成物Sと完全に又は実質的に完全に接触している場合に好都合であるようにみられる。それは、予熱室12の容積が液体組成物Sで満たされている場合、又は多孔質材料がメッシュ14と接触している場合である。
【0031】
代替的に、いくつかのメッシュ14a、14bを、予熱室12とエアロゾル室13を隔てる表面に配置でき、エアロゾル室13に向かって液体組成物Sを通過させる唯一の通路を形成する。このような構成は、上述の毛細管12a、12bとの組み合わせにおいて有利である。毛細管12a、12bの末端は、対応するメッシュ14と一致する。毛細管を通って連続的に流れる液体組成物Sは、メッシュ14と直接接触して到達し、微小液滴5としてエアロゾル室13に拡散できる。このようなメッシュの数と大きさは、必要性に依存する。
【0032】
メッシュ14が、予熱室12とエアロゾル室13との間の表面を覆う固有のメッシュであるか、複数の小さなメッシュに相当するかは別として、振動アクチュエータに一体化されるか、又は組み合わされてよい。例えば、メッシュ14は、振動アクチュエータに組み合わされた可撓性膜と一体であり得る。振動アクチュエータが提供する振動周波数は、約50kHzと150kHzの間で備えられる。振動アクチュエータによって提供される振動周波数は、好ましくは80kHzと130KHzの間、より好ましくは100kHzと120kHzの間で備えられる。
【0033】
メッシュ14、又はメッシュの複数の孔の数は、500から5000の間、好ましくは800から2000の間で備えられる。予熱室12とエアロゾル室13との間の表面に広がる穴の数は、例えば1000個程度である。
【0034】
代替的に、振動アクチュエータを備える出口をメッシュ14の上流に配置して、液体組成物Sを予熱室からメッシュ14を通してエアロゾル室13に向かって積極的に導くようにしてもよい。このような振動出口は、ポンプに関連する。振動周波数は、この構成では500KHzより高い。振動数は、例えば、約500KHzと1500KHzの間、又は約500KHzと1000KHzの間で備えられてよい。
【0035】
さらに、メッシュ14は、一緒に組み合わされた、又は間隙によって分離された、多孔性材料の複数の層を備えてよい。多孔質材料の層は、異なる孔径を持つものとしてよい。液体経路の上流に配置された最初の層の孔径は、下流に配置された最後の層の孔径よりも大きくできる。液体の断片化は、経路に沿って進行でき、液体組成物を揮発させるのに必要な、与えるエネルギーを低減できる。このため、振動数を下げられる。
【0036】
本開示によるメッシュ14は、液体組成物Sとの接触面を増加させるように、代替的に又は追加的に、多孔質材料の平坦でない部分を備えてよい。メッシュ14は、三次元形状を持ってよい。それは、例えば折り畳まれたシートを備え得る。
【0037】
本開示による管、予熱室、振動メッシュ室及びメッシュは、代替的に又は追加的に、残留物の堆積を制限又は回避する滑らかな表面を備えてもよい。さらに、疎水性材料、付着防止材料、又は残留物の付着を制限する他の材料でコーティングしてもよい。代替的に、表面を銀でコーティングしてもよい。銀はその場で殺菌作用を発揮する。
【0038】
振動アクチュエータは、メッシュ14を適切な周波数で振動できる装置であれば何でもよい。例えば、圧電アクチュエータ、圧電磁気アクチュエータ、又はその関連装置とできる。さらに、同一又は異なる複数の振動アクチュエータを並列に配置して備えてよい。
【0039】
揮発要素の下流には、揮発要素から噴出する微小液滴5が散布されるエアロゾル室13がある。微小液滴5の平均サイズは、好ましくは4マイクロメートル以下、さらに好ましくは2マイクロメートル以下である。良好な吸入のためには1マイクロメートル程度でもよい。可能な限り肺に流入しやすい薄い微小液滴の提供は、まさに本装置の目的である。
【0040】
エアロゾル室13は、液体組成物Sを吸入する間に外部の新鮮な空気の吸入を可能にする空気入口6を備えてよい。空気入口6は、空気入口を開閉できるようにする弁を備えてよい。このような弁は、微小液滴5の内部エアロゾルと比較して、新鮮な空気の吸入の比率を適合させるように調整できる。新鮮な空気と微小液滴5の比率は、例えば約50/50とできる。代替的に、吸入量は微小液滴よりも新鮮な空気からなり、新鮮な空気と微小液滴5の比率は60/40よりも高く、代替的に80/20よりも高い。代替的に、吸入量は、微小液滴5に対する新鮮空気の比率が40/60よりも低く、代替的に20/80よりも低い、微小液滴よりも少ない新鮮空気を含有する。
【0041】
空気吸入口6は、空気中に浮遊する不純物及び微粒子の吸入を回避するためにフィルタを備えてもよい。このようにして、微小液滴5のエアロゾルは、使用者が液体組成物Sを吸入する際に、外部の空気と所定の割合で混合される。
【0042】
空気入口6は、装置1の筐体10上で、エアロゾル室13の高さの位置(レベル)で可視となっていてよい。代替的に、空気入口6は、揮発要素のレベル、予熱室12のレベル、又は貯留区画11のレベルで、筐体10上で可視である。これは、外部空気が空気入口6からエアロゾル室13まで装置1の筐体10内を移動することを意味する。例えば、空気は予熱室12の周囲を二重壁で移動できる。そして、吸気は、予熱室12に近接することにより、液体組成物Sと同様に予熱可能となっている。
【0043】
エアロゾル室13はまた、使用者が液体組成物Sを吸入できるようにするマウスポート9を備える。
【0044】
エアロゾル室13は、さらに、1つ又は複数のエアロゾル加熱部130を備えてよい。電気抵抗のような熱を提供する任意の装置を加熱部として使用できる。エアロゾル加熱部130は、特に微小液滴5の凝縮を避けるために、外部空気を適切な温度で予熱するように、空気入口6の近くに配置できる。このような配置は、空気入口6がエアロゾル室13に直接配置される場合に特に適している。特に、エアロゾル加熱部は、低抵抗、好ましくは約0.1オームから約2オームの間で備えられる金属又はコイル又は金属セラミック加熱部のような電気抵抗としてよく、エアロゾル加熱部は、より有利にはサブオーム又は金属セラミック加熱部とできる。代替的に、エアロゾル加熱部は赤外線タイプであってもよい。このような赤外線タイプの加熱部には、例えば、波長が約3から14μmのポリイミド又はカーボン赤外線加熱部が備わる。水の吸光度に対応する波長を持つ赤外線タイプの加熱部が好ましくは使用される。
【0045】
エアロゾル液滴と新鮮な外気との混合物が適切な温度で吸入されることを保証するために、代替的又は追加的に、エアロゾル加熱部130をマウスポート9の近くに配置できる。
【0046】
任意選択として、エアロゾル室13は、使用者によって吸入されなかった凝縮エアロゾルを収集する手段を備えてよい。エアロゾルの液滴の大きさは、吸入される画分と装置1の表面に堆積する画分を増加又は最適化するように設計されている。しかし、エアロゾルのごく一部は、エアロゾル室13の内部表面に凝縮する可能性がある。このような凝縮物質を収集するように適合された手段は、凝縮流体を収集するように底部位置に配置された1つ又は複数のくぼみのある壁の形状としてよい。底部位置は、静止時、使用時、又はその両方において、装置1の最下部を意味する。凝縮した流体を収集する手段は、これらの凝縮した流体を装置1の上流部に戻すようにくぼみのある壁で接続された1本又は数本の毛細管をさらに備えてよい。捕集手段の毛細管は、その後、エアロゾル室13のくぼみのある壁と揮発要素とを連結できる。こうして集められた凝縮液は振動要素を通り、再び揮発する。代替的又は追加的に、回収手段の毛細管が予熱室12に合流する。こうして回収された凝縮液は、再び適切な温度で加熱され、再び揮発できる。代替的に又は追加的に、回収手段の毛細管は貯留区画11に合流する。このようにして、回収された凝縮流体は全回路に戻される。
【0047】
図1に示すように、予熱室12とエアロゾル室13とは互いに連通して配置され、振動メッシュ14のような揮発要素が予熱室12とエアロゾル室13との間の空間を横切る横方向位置に沿って配置されている。このような配置は、予熱室12、エアロゾル室13及びマウスポート9が装置1の長手方向軸に沿ってこの順序で整列している装置によく適合する。このような配置は、例えば、薬剤のような製品のワンショット吸入に適している。
【0048】
図4a、図4b、図5a及び図5bによりよく表される特定の配置では、本開示による装置1において、貯留区画11は、エアロゾル室13と装置1の筐体10との間の側方空間の形態をとる。言い換えると、貯留区画11は、エアロゾル室13の側壁121を、その長さの一部で取り囲む。例えば、貯留区画11は、エアロゾル室13の側壁121を、その長さの10%から80%の間、又はその長さの20%から60%の間、例えばその長さの30%、40%又は50%の間で備わる高さで取り囲むものとしてよい。図4a及び図4bによく示されているように、エアロゾル室13の全周を囲むことも、図5a及び図5bによく示されているように、外周の一部だけを囲むものとしてよい。
【0049】
エアロゾル室13の一部はまた、その外周全体又はその外周の一部において、予熱室12によって取り囲まれている。貯留区画11と予熱室12は、少なくとも1つの溶液入口110によって流体連通している。複数の溶液入口110を、エアロゾル室13の外周の周りに、すなわち、貯留区画11と予熱室12との間の共通の表面上に配置してよい。溶液入口は、上述した全ての特徴を備えてよい。特に、図2に示すように、複数の溶液入口110a、110bと、複数の毛細管12a、12bとの少なくとも一方を備えてよい。予熱室12は、エアロゾル室13の長さの10%から80%、又はその長さの30%、40%、50%など20%から60%の間に延在するものとしてよい。
【0050】
このような配置の結果、エアロゾル室13の側壁121の上部は、少なくとも部分的に貯留区画11に囲まれ、エアロゾル室13の側壁121の下部は、少なくとも部分的に予熱室12に囲まれる。上部は、ここでは、マウスポート9から最も近い部分を意味し、使用者によって使用されるときの装置1の向きに対応する。換言すれば、貯留区画11は予熱室12よりもマウスポート9から近いが、貯留区画11からマウスポート9への溶液Sの経路を考慮すると、予熱室12は依然としてエアロゾル室13の上流にある。
【0051】
予熱室12内のエアロゾル室13の側壁121の周囲には、1つ又は複数の加熱装置120a、120bが配置されている。エアロゾル室13の側壁121には、エアロゾル室13内の液滴5を突き出すように、振動メッシュ14a、14bのような1つ又は複数の揮発要素が配置されている。加熱装置120a、120bは、揮発要素に対向するように配置されてもよい。その場合、揮発素子と加熱装置120a、120bの1組又は数組がエアロゾル室13を取り囲む。代替的に、加熱装置120は、揮発素子とは独立して予熱室12内に配置してよい。
【0052】
このような構成は、少なくともその長手方向軸に沿って、よりコンパクトな装置1の有利点を表す。加えて、エアロゾル室13の側壁121は、筐体10とは異なり、間隔をあけて配置され、外部環境と接触しない。特に、貯留区画11と予熱室12は、筐体10とエアロゾル室13との間に空間を形成する。この結果、エアロゾル室と外部環境との間の可能な温度交換を制限することによって、エアロゾル室13内の温度をよりよく制御できる。
【0053】
振動メッシュ14のような揮発要素は、ここでは、図1に示されるように、側壁121に対して横方向ではなく、エアロゾル室13の側壁121に一体化されている。加熱装置120は、図4a、図4b、図5a及び図5bでは抵抗によって概略的に表されているが、上述したものを備える任意の適切な形態をとり得る。
【0054】
図4a、図4b、図5a及び図5cでは、1つの予熱室12が表されているが、これは、エアロゾル室13の周囲に複数の同様の予熱室12が設けられることを排除するものではない。例えば、幾つかの溶液入口110a、110bは、溶液Sをいくつかの予熱室12(各予熱室はここに記載したもの)に導くようにしてよい。対応する振動メッシュ14は側壁121に配置され、共通のエアロゾル室13を通して液滴5を出す。
【0055】
エアロゾル室13の側壁121は、振動メッシュ14のような1つ又はいくつかの揮発要素を備えてよい。好ましくは、複数の振動メッシュ14がエアロゾル室13の外周に配置される。
【0056】
特定の配置では、振動メッシュ14は互いに独立して振動する。しかしながら、特にそれらが互いに閉じている場合、メッシュ14の振動数の組み合わせは、制御されない方法で溶液Sの流量に影響を与える可能性がある。振動メッシュ14間の制御不能な相互作用の影響を回避又は制限するために、図4bにより良く示されるように、互いに対向する2つの振動メッシュ14間の予熱室12内に内部仕切り壁15を設けてよい。このような仕切り壁122は、好ましくはエアロゾル室13の一部のみを仕切る。無地であってもよいが、振動メッシュ14の間の空間を完全に閉じないように貫通孔を備えてよい。エアロゾル室13の側壁121に一体化された振動メッシュ14の数に応じて、仕切り壁122は任意の適切な形状をとり得る。例えば、エアロゾル室13の中央で、向かい合う2つの振動メッシュ14の間に配置される直線壁とできる。代替的に、各々が所定の振動メッシュ14に面する複数の円弧状壁を備えてよい。代替的に、中央円筒をエアロゾル室内で振動メッシュのレベルに配置し、制御不能な干渉を回避してよい。当業者であれば、この目的のために仕切り壁122の形状と数を最適化するであろう。
【0057】
具体的な実施形態では、このような仕切り壁122は、エアロゾル加熱部130として作用する加熱要素を備えてもよい。このようなエアロゾル加熱部130が存在する場合、このように、溶液Sの流量に対する干渉及び対応する制御されない影響を制限又は回避するように、振動メッシュ14の間に配置できる。このような加熱要素130は、振動メッシュ14のレベルでエアロゾル室13内に垂直に配向されたコイルとして設計できる。
【0058】
一実施形態では、振動メッシュ14の周波数は、個別に又は全体的に制御できる。例えば、全ての振動メッシュ14を同じ所定の周波数で振動可能である。いくつかの隣り合う振動メッシュ14は、位相がずれたり、所定の位相差で振動したり、逆位相で振動したりできる。このようにして、溶液の流量に対する位相干渉の制御不能な影響が回避される。流量が使用者によって変更された場合、振動周波数を変更することによって、全ての振動メッシュ14はその位相差を維持する。
【0059】
図5aによってより良く表される別の実施形態では、予熱室12は、貯留区画11よりも長い距離でエアロゾル室13に沿って延在し得る。例えば、予熱室12は、貯留区画11によって占有される側壁121の部分よりも大きい側壁121の部分を、30%又は50%又は100%又はさらには200%以上の係数で占有できる。そして、複数の振動メッシュ14をエアロゾル室13の長さに沿って配置できる。この構成により、エアロゾル室13に向かう粒子5の流れを改善できる。このような構成は、上述のように、複数の振動メッシュ14のエアロゾル室13の所定の高さへの設置可能性を排除するものではない。
【0060】
予熱室12及びエアロゾル室13の構成及び寸法、並びに振動メッシュ14の場所によっては、隣り合う振動メッシュ14間の位相差を特定の制御の対象としてよい。例えば、振動数の変更に替えて、代替的に振動数の変更に加えて、使用者は、流量を調整するために、隣り合うメッシュ間の位相差を変更できる。例えば、2つの隣り合う振動メッシュ14の間の位相が完全に逆であるものを選択することで、最大流量を提供できる。位相差を減少させれば、流量を減らせる。対向する振動メッシュ14に位相差がない場合、互いに補完できるようになり、大きな流量は得られない。
【0061】
より良い制御のために、位相差は選択された周波数に応じて変更できる。つまり、位相差は振動メッシュ14の周波数又は振動周波数の範囲に応じて調整される。
【0062】
仕切り壁122と振動メッシュ14の周波数制御又は位相差制御の一方のみを考慮してよい。代替的に、必要に応じて、仕切壁122と、周波数及び位相差の一方又は両方の制御との組み合わせを検討してよい。
【0063】
周波数制御に替えて、又は周波数制御に加えて、振動メッシュ14の振動振幅も、個別に代替的に全体的に制御の対象とできる。
【0064】
図5bによりよく示される別の実施形態では、装置1は、1つ以上の振動メッシュ14に加えて、又は代替的に、1つ以上の圧電ポンプ125を備える。このような圧電ポンプ125は予熱室12に配置される。より良い揮発効率を得るために、振動メッシュ14と組み合わせられる。さらに、圧電ポンプ、加熱装置120及び振動メッシュ14を備える組立体を形成するように、加熱装置120に組み合わせてもよい。
【0065】
エアロゾル室13の末端部には、凝縮した液体15を回収する手段を設けてよい。このような手段は、エアロゾル室13の末端部の多孔質部分又は毛細管組立体に限定できる。代替的又は追加的に、残留物を集めてエアロゾル室13に戻すために、1つ又はいくつかの振動メッシュを設けてよい。このような振動メッシュは、所定の周波数及び振幅を有でき、これらは好ましくは一定であり、変更可能ではない。これは、周波数と振幅の一方又は両方が、例えば洗浄工程やメンテナンス工程の間など、ある特定の必要性のために変更可能とすることを排除するものではない。
【0066】
空気入口6は、図4a、図4b又は図5aで表される他の実施形態に存在してもよいが、図5bでよりよく表され、好ましくは、揮発要素を備えるエアロゾル室13のレベル、すなわちエアロゾル室13の底部に配置される。
【0067】
本装置の全体的な設計は、その要素の1つ又はいくつかを取り外せるようにしている。例えばモジュール式にできて、貯留区画を備える第1の取り外し可能な部品、予熱室12に関連する第2の取り外し可能な部品、揮発要素に対応する第3の取り外し可能な部品、及びエアロゾル室13に関連する第4の部品を持つ。このようにして、これらのモジュール部品のいずれかを他の部品から独立して分離、清掃、交換の少なくとも一つが可能である。具体的な実施形態では、揮発要素、又は少なくともそれが備えるメッシュ14は、清掃又は新しいものと交換するために、使用者が装置1から容易に切り離せる。これにより、使用者による装置1の維持管理が容易になり、残留物の潜在的な蓄積による味の劣化なしに、溶液Sの適切な揮発条件を維持できる。しかし、焦げがないため、装置1は通常、液体の劣化や焦げの残留物を持っていないことが強調される。
【0068】
代替的又は追加的に、装置1は、専用の洗浄液を使用して、装置1の少なくとも一部の部品の消毒又は洗浄のいずれかに関連する1つ又は複数のモードを可能にしてよい。このような洗浄液は、例えば、酸性溶液、塩基性溶液、防腐剤溶液、アルコール溶液、又は正確な順序で使用されるこのような溶液の選択であり得る。洗浄モードでは、洗浄液は、装置の完全な回路内を循環するために、貯留区画11に入れるようにしてよい。
【0069】
本開示による装置は、入力ボタン、又は入力ボタンの組み合わせ、又は触覚表示部、又は使用者が作動できる任意の関連する入力コマンドのようなコマンド入力部22をさらに備える。コマンド入力部は、予熱室12の加熱装置120を調節するように適合されたコマンドユニット20に接続される。コマンドユニット20は、さらに、揮発要素のメッシュ14の振動の周波数の変調を可能にできる。指令部20は、さらに、エアロゾル加熱部130又は複数のエアロゾル加熱部の変調を可能にしてもよい。コマンドユニットは、さらに、空気入口6を多かれ少なかれ閉じることによって、新鮮な空気入口の調節を可能にする。装置1は、さらに、使用者がデータを入力することと、装置1の状態に関する情報を受け取ることとの少なくとも一方を可能にする表示部21を備えてよい。装置1は、さらに、遠隔システムといくつかのデータ共有を可能にする通信ユニット30を備えてよい。このような遠隔システムは、例えば、使用通知、又は液体組成物Sに関する特定の設定のようなサービス又は情報を装置の使用者に提供するプラットフォームであってもよい。このような更新は、例えば、加熱装置120の相互管理及び揮発性要素の振動の周波数に関与するより良いプロセスに関できる。遠隔システムは、代替的に、携帯電話又はコンピュータのような使用者の他の端末を指定できる。
【0070】
入力コマンド部22は、使用者が、デビット又は所定の量のエアロゾル5又は他の任意の変数の選択を可能にできる。使いやすさのために、コマンドユニット20は、加熱装置120、エアロゾル加熱部130の温度、及び揮発要素の振動周波数の適切な組み合わせを自動的に選択して、使用者に要求された結果を提供し得る。加えて、指令部20は、加熱装置120の温度と揮発要素の振動周波数との適切な組み合わせを自動的に選択して、最小のエネルギーが消費されるようにしてもよい。例えば、加熱装置120の加熱は、液体組成物Sの適切な粘度を提供するために必要以上に低く、かつ、所与の結果に対してグローバルなエネルギー消費が低く見える場合には、揮発要素の振動周波数の増加によって補償される。また、加熱装置120及び揮発要素の活性化も、装置1の自律性に応じて適合されてもよい。ここで強調されているのは、装置1が電池と、電池を再充電する差し込み手段とを備えてよいことである。
【0071】
入力コマンド部22は、さらに、装置1のクリーンアップモード又はメンテナンスモード又は他の任意の特定のモードの選択を可能にし得る。
【0072】
本開示による装置は、したがって、比較的高い粘度を持つ液体組成物Sに基づく薄い微小液滴を持つエアロゾルの提供を可能にする。さらに、発熱体120と振動メッシュ14との組み合わせがあることで、最小限のエネルギー消費でこのような微小液滴の生成が可能になる。高粘度の液体組成物は、微小液滴を生成するためにより強い振動を必要とし、したがってより多くのエネルギーを消費する。このような条件下でさえ、生成された微小液滴のサイズは、揮発要素の上流に予熱室12を備える本エアロゾルと比較して、それほど均質でなく、又はそれほど薄くないかもしれない。
【0073】
本発明はさらに、装置1と少なくとも1つの液状組成物Sとを備えるキットに関する。液体組成物Sは、貯留区画11を充填又は補充するように適合されたタンクに別途充填されてもよい。液体組成物Sは、装置1に接続されるように適合したカートリッジに別途充填されていてもよい。そのようなカートリッジは、RFIDのような読み取り可能な装置、又は所与の温度におけるその粘度とその有効期限との少なくとも一方を含む液体組成物の性質の自動識別を可能にする任意の類似の装置を備え得る。他の特性は、読み取り可能な装置に格納されてもよい。読み取り可能な装置は、表示部21を通じて適切な設定が使用者に提案されるか、又は自動的に適用されるように、装置1によって自動的に読み取られてもよい。キットは、追加の液体組成物Sを備えられるようにしてよく、使用者に多種多様な選択肢を提供する。液体組成物が医療処置又は任意の医薬化合物を含有する場合、キットは、対応する使用通知に加えて備えてよい。
【0074】
本発明の液状組成物Sは、水性組成物であることが好ましい。したがって、液体組成物Sは、より約60重量%の水、より好ましくは70重量%又はさらにより好ましくは80重量%を超える水を含有し、この量は、液体組成物Sの全重量に関して決定される。水としては、ミネラルウォーター、蒸留水、純水、注射用水等の医薬品品質を持つ水でもよい。この目的のために、完全な液体組成物Sは、滅菌処理に供され得る。
【0075】
本発明の液体組成物Sは、吸入を通じて生物学的効果を持つ1種以上の物質をさらに含有する。このような物質には、例えばベントリン、もしくは喘息のような呼吸器症状又は疾患を治療するために一般的に使用される任意の他の薬物、並びにそれらの許容される塩が含まれる。液体組成物Sの物質はまた、ピリジン-3-(1-メチル-2-ピロリジニル)としても知られるニコチンであるか又はそれを含有し得る。当該物質は、ニコチン誘導体又はその塩を指定してよい。ニコチン誘導体としては、例えば4-ニトロニコチン-N-オキシド、4-アミノニコチン、ノルニコチン、アナバシン、ミオスミン、ニコチリン、アナタビンなどが挙げられる。ニコチン又はニコチン誘導体は、硫酸塩、酒石酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、塩酸塩、ギ酸ジギ酸塩、トリアセテート、トリプロピオネート、トリブチレート、イソ吉草酸塩、ジニトロフェノレート、ジピクラート、二塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ピクロロネート、フタル酸塩、ジピクロロン酸塩、金塩化水素酸、安息香酸、レブニル酸、ピルビン酸又はこれらの組み合わせの群から選択される塩と組み合わせてよい。
【0076】
それらの物質は、代替的に、天然油又は天然植物抽出物であるか又は天然油又は天然植物抽出物を含有し得る。例えば、そのような物質は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメン(CBC)のようなカンナビノイドであり得る。
【0077】
液体組成物Sの物質は、組成物の1重量%と10重量%との間からなり得る。
【0078】
液状組成物Sは、ポリオール、特にジオールをさらに含有してよい。このようなポリオールは、プロピレングリコール(プロパン-1,2-ジオール)、ベゲトール(プロパン-1,3-ジオール)、グリセリン(プロパン-1,2,3-トリオール)、プロパン-1-1-ジオールプロパン2-2-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-2,3-ジオール及びペンタン-1,5-ジオール又はこれらの混合物の群の中から選択できる。ポリオールの量は、3と40%の間、好ましくは5重量%と35重量%の間の液状組成物Sを含有する。
【0079】
水溶液から風味を移すために、風味増強剤が必要とされることがある。このようなポリオールは、風味増強剤として使用され得る。風味増強剤として用いられる好ましいポリオールは、プロピレングリコール(PG)、植物性グリセリン(VG)の中から選択できる。例えば、プロピレングリコール(PG)と植物性グリセリン(VG)の組み合わせは、PG/VGの約80/20、約70/30、約60/40、約50/50の比率で使用できる。PGよりも多くのVGを持ついくつかの溶液、例えばPG/VG比が約40/60、約30/70又は約40/60を使用できる。比率は体積によって決定できる。比率は重量によっても決定できる。
【0080】
溶液S中のポリオールの量は、装置1内のその流量に影響を与える可能性がある。好ましい実施形態では、ポリオール/水の比率は、体積で10/90と20/80との間とされる。このような溶液は、好ましくは滅菌密閉タンクに貯蔵される。このような無菌密閉タンクは、予熱室12に供給して粒子5を生成する方法で、装置1内に直接係合できる。
【0081】
しかしながら、ポリオール/水の比率が20/80以上、例えば30/70又は40/60の体積を含有する溶液は、しかしながら、本装置1において依然として使用できる。特に、ポリオールの割合の増加によりそのような溶液の粘度が増加する可能性があるにもかかわらず、上記の配置があるので、適切な流量を得られる。ポリオール/水の比率が20/80以上である溶液は、細菌の発生に対する感受性が低い、又は感受性が低いという利点を持つ。そのような溶液は、滅菌して滅菌密閉タンクに封入する必要はない。そのような溶液は、その後、密閉カプセルを体系的に関与する必要なしに、必要に応じて装置の貯留区画11を補充するために使用できる受取部に貯蔵できる。そうは言っても、ここで主張している装置は、ポリオール/水の比が体積で20/80未満であるか、又は体積で20/80以上である溶液を受け取るように特によく適合している。
【0082】
電子タバコの場合、水溶液はニコチンの味や香りを適切な方法で伝達しない場合がある。使用者への味の伝達を改善するために、界面活性剤としても使用される物理的粒径の減少及び風味増強剤の組み合わせを使用できる。したがって、粒度減少及び風味増強剤の組み合わせは、味を適切に伝達するために必要とされ得る。
【0083】
本発明の液体組成物Sは、1種又は数種の香料を含有し得る。さらに、殺菌剤(トリアセチン)、殺菌剤、抗酸化剤のような防腐剤化合物を含む場合がある。
【0084】
本発明はさらに、20℃で2又は3又は5Cpより高い粘度を持つ液体組成物Sを吸入に適合したエアロゾルに気化させる方法を備える。本方法は、溶液Sをその沸点よりも低い温度で連続的かつ瞬間的に予熱する加熱ステップa)を備え、その結果、蒸気が生成されず、生成物の劣化が生じない。予熱された溶液Sは、予熱された液体溶液Sを、平均直径4μm未満、例えば1μm程度に揮発させる拡散ステップb)にそのまま供される。
【0085】
ステップa)とb)は好ましくは同時に行われる。これらは、コマンドボタン22によって使用者が手動で開始できる。
【0086】
本発明の方法は、予熱室12の温度、揮散素子の振動数、エアロゾル加熱部の温度のうちの1つ以上を変調する変調ステップc)をさらに備える。変調ステップc)には、使用者によるデビット(1回の使用量)選択と、指令部20による加熱装置120の自動変調と揮散素子の振動数の自動変調とが含まれる。複数の振動アクチュエータ14が存在する場合、変調ステップc)は、エアロゾルに向かう液体組成物の流量を増加又は減少させるために振動アクチュエータを順次作動させるようにしてよい。単独又は複数の振動アクチュエータを独立して作動させるようにしてよい。
【符号の説明】
【0087】
1 装置
10 筐体
11 貯留区画
110 溶液入口
12 予熱室
120 加熱部
121 側壁
122 仕切り壁
125 圧電ポンプ
13 エアロゾル室
130 エアロゾル加熱部
14 振動メッシュ
15 残渣回収手段
20 コマンドユニット
21 表示部
22 コマンドボタン
30 通信ユニット
5 液滴
6 空気入口
8 加熱されたエアロゾル
9 マウスポート
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物(S)の貯留に適合した貯留区画(11)を持つ筐体(10)と、
前記液体組成物(S)を微小液滴(5)に揮発させるように適合された揮発要素と、
エアロゾル室(13)と
を備える装置(1)において、
前記装置が、前記貯留区画(11)の下流に、少なくとも1つの溶液入口(110)によって前記貯留区画(11)と流体連通する少なくとも1つの予熱室(12)をさらに備えることと、
前記少なくとも1つの予熱室(12)が、1つ又はそれより多い加熱装置(120)を備えてかつ前記揮発要素の上流に配置されていることと、
前記エアロゾル室(13)は、前記揮発要素の下流側にあり、前記エアロゾル室がマウスポート(9)を備えるか又はマウスポート(9)に接続されていること
とを特徴とし、
前記予熱室(12)と前記エアロゾル室(13)とが、前記揮発要素をその間の横方向位置に沿って互いに連通するように配置されている、もしくは
前記予熱室(12)が、対応する側壁(121)に配置された前記揮発要素を持つエアロゾル室(13)を取り囲む1つ又は複数の側方空間の形態をしていることで前記微小液滴が4マイクロメートル以下の平均直径を持つことを特徴とする、前記装置(1)。
【請求項2】
前記加熱装置は、圧力の増加をもたらさないように、又は実質的に圧力の増加をもたらさないように、沸点より低い温度で前記液体組成物(S)を加熱するように、適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記揮発要素は、約1μm以下の孔径を持つ1つ又は複数の平坦な多孔質膜を備える少なくとも1つの振動メッシュ(14)を備える、少なくとも1つの圧電又は磁気電気アクチュエータと組み合わされるか、もしくは少なくとも圧電ポンプ又は両方の組み合わせを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記揮発要素が、約50KHzと約150KHzの間又は約500KHzと約1500KHzの間から構成される周波数で振動するように適合された1つ又はそれより多い振動メッシュ(14)を意味しているか、又は前記振動メッシュ(14)を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記揮発要素が、前記液体組成物(S)と複数層の多孔質材料との少なくとも一方との接触面を増加させるように適合された平坦でない多孔質材料を備える1つ以上の振動メッシュ(14)を意味しているか、又は前記振動メッシュ(14)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記予熱室(12)が、前記揮発要素に接触する液体組成物(S)を駆動する1つ又は複数の毛細管又は多孔質材料を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記エアロゾル室(13)が、前記マウスポートを介して吸入中の微小液滴(5)と外気とを組み合わせるように適合された空気入口(6)をさらに備えるか、又は前記空気入口(2)に接続されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記エアロゾル室(13)が、少なくとも1つのエアロゾル加熱部(130)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの予熱室(12)は、前記エアロゾル室(13)を囲む1つ又は複数の横方向の空間の形態をとり、ここで、前記揮発要素は、対応する側壁(121)上に配置された1つ又は複数の振動メッシュ(14)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
互いに向かい合う2つ以上の振動メッシュ(14)と、前記振動メッシュの間に位置する少なくとも1つの内壁(122)とをさらに備える請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記内壁(122)が、エアロゾル加熱部(130)として機能する発熱体を意味している、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記エアロゾル室(13)を囲む複数の予熱室(12)が、
前記予熱室(12)間、又は
前記予熱室(12)と前記ハウジング(10)との間、又は
前記予熱室(12)間と前記予熱室(12)と前記ハウジング(10)との間の両方
に対応している、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
残渣回収手段をさらに備え、そのような手段が、1つ又は複数の多孔質材料と、毛細管組立体と、少なくとも1つの振動メッシュとを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
・前記予熱室(12)の温度、もしくは
・1つ又はそれより多い振動メッシュ(14)が表されているときに前記揮発要素の振動の周波数及び振幅のうちの一方又は両方、もしくは
・1つ又はそれより多い振動メッシュ(14)が表されているときに前記予熱室の温度と、前記揮発要素の振動の周波数及び振幅の一方又は両方との組み合わせ
を変調するように適合されている、コマンド入力部(22)をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記揮発要素は、2つ以上の振動メッシュ(14)を備え、隣り合う前記振動メッシュ(14)の少なくともいくつかが、制御された位相差で振動する、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記位相差は、振動の周波数又は振動の周波数の範囲に関して調整できる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項の装置によって、液体組成物(S)を直径4μm未満の微小液滴(5)に揮発させる方法であって、前記液体組成物が20℃で2cPより高い粘度を持つものであって、前記方法が、
前記液体組成物(S)をその沸点よりも低い温度で予熱して蒸気が発生しないようにする加熱ステップa)と、
予め加熱された液体組成物を約4μm未満の平均直径を持つ微小液滴(5)に揮発させる拡散ステップb)と
を備える、液体組成物(S)を直径4μm未満の微小液滴(5)に揮発させる方法。
【請求項18】
予熱室(12)の温度と、
振動メッシュの振動の周波数、振幅及び位相差の1つ又はそれ以上と、
振動アクチュエータの数と
のうち少なくとも1つを、適用する場合に変調する、変調ステップc)をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体組成物は、60%を超える水を備え、20℃で2cPを超える粘度を持ち、吸入条件下で生物学的効果を持つ物質の1%から10%、及びポリオールの5%から40%を備え、前記液体組成物は実質的に追加の有機溶媒を含まない、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物中のポリオール/水の比率は、10/90から20/80の間からなり、ここで、前記組成物は、前記装置(1)内で係合するように適合された滅菌密閉タンクに貯蔵される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物中のポリオール/水の比率が20/80を超え、前記液体組成物が前記装置(1)を補充するために使用可能な非滅菌受取部に格納される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記液体組成物は、1種又は数種のフレーバーをさらに持つ、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記物質は、ニコチン、ニコチン誘導体、テトラヒドロカンナビノール(THC)もしくはカンナビノイドファミリー又はその薬学的に許容される塩から選択される、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】