(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ルーティングにおいて使用される方法、デバイス、及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 45/76 20220101AFI20240221BHJP
【FI】
H04L45/76
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578202
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2021048452
(87)【国際公開番号】W WO2022269952
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】カンフシ、ムーラド
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA19
5K030HC13
5K030HD03
5K030JA10
5K030JA11
5K030KA01
5K030LB05
5K030LE16
(57)【要約】
少なくとも1つのユーザー機器(UE)と、仮想ネットワーク機能(VNF)のポイントオブプレゼンス(PoP)との間のトラフィックのルーティングにおいて使用される方法が開示される。PoPは、複数のルーターを備えるマルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャを備えるネットワークに配置され、複数のルーターのうちの少なくともいくつかはリンクされ、少なくとも1つのリンクは、複数のルーターをPoPとリンクする。本方法は、a)少なくとも1つのUEとPoPとの間にあり、複数のルーター内の1つのルーターを通過するトラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちのいずれが、PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値に対応するのかの表示を取得することと、b)それによって、少なくとも1つのUEとVNFとの間のトラフィックのルーティング用のそれぞれのパスの選択を可能にすることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのユーザー機器(UE)と、複数のルーターを備えるマルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャを備えるネットワークに配置された仮想ネットワーク機能(VNF)のポイントオブプレゼンス(PoP)との間のトラフィックのルーティングにおいて使用される方法であって、前記複数のルーターのうちの少なくともいくつかはリンクされ、少なくとも1つのリンクは、前記複数のルーターを前記PoPとリンクし、該方法は、
a)前記少なくとも1つのUEと前記PoPとの間にあり、前記複数のルーター内の1つのルーターを通過する前記トラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちのいずれが、前記PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値に対応するのかの表示を取得することと、
b)それによって、前記少なくとも1つのUEと前記VNFとの間の前記トラフィックのルーティング用の前記それぞれのパスの選択を可能にすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記中心性は、
媒介中心性と、
近接中心性と、
グラフ中心性と、
ストレス中心性と、
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中心性に対する前記影響の前記より小さな推定値は、
前記ネットワークの過去のトポロジと、
前記ネットワークの現在のトポロジと、
前記ネットワークの予想されるトポロジと、
のうちの少なくとも1つに基づいており、
前記トポロジは、1つのアクセスポイントから別のアクセスポイントへのUEのハンドオーバーと、前記複数のルーター内の1つのルーターのスイッチオフと、前記複数のルーター内の1つのルーターのスイッチオンとのうちの少なくとも1つに起因して変化するように構成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワークが該ネットワークにおいて前記PoPの配置を動的に変更することができる動的VNFオーケストレーターを更に備える場合に、前記方法は、
前記PoPの前記配置の次の変化を開始する信号を、前記PoPの前記中心性に対する前記影響の前記より小さな推定値を有する前記パスの前記選択に基づいている遅延を伴って取得することと、
それによって、以前のPoPから新たなPoPへの、VNFを動作させるのに必要な送信情報を使用可能にすることと、
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワークがネットワーク統計を準備するように適合されたネットワーク統計コレクターを更に備える場合に、前記動的VNFオーケストレーターは、前記ネットワーク統計を取り出すように構成され、
前記遅延は、前記選択されたパスに沿ってルーティングされる前記少なくとも1つのUEと前記VNFとの間の前記トラフィックを考慮に入れた前記ネットワーク統計に更に基づいている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記表示を前記取得することは、前記PoPの前記中心性に対する前記影響の前記推定値を比較することによって前記表示を生成することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
a)における前記表示を取得するために、
前記複数のルーターのうちの、前記少なくとも1つのUEと前記PoPとの間の前記トラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちの少なくとも1つに位置するルーターの中心性の表示を取得することと、
前記複数のルーターのうちの、前記少なくとも1つのUEと前記PoPとの間の前記トラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちの少なくとも1つに位置するルーターの累積依存度の表示を入力として受信することと、
のうちの少なくとも一方を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
a)における前記表示を前記取得することは、前記ルーターと異なる前記ネットワークのノードにおいて実行され、好ましくはモバイルエッジコンピューティング(MEC)サーバーにおいて実行される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
b)の後に、前記選択されたパスの前記少なくとも1つのルーターに、前記選択に従ってそのルーティング方式を更新する信号を送信することを更に含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
a)における前記取得することは、好ましくは前記選択されたパスを使用するように前記ルーターにおけるルーティング方式を更新する信号の形態で、前記表示を前記ルーターの入力において受信することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記中心性は前記媒介中心性に基づいており、前記少なくとも2つの可能なパスのうちの1つを選択することに起因した前記PoPの前記中心性に対する前記影響の推定値のそれぞれは、前記パス上のルーターの累積依存度の変化の加重和として計算される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つの可能なパスのうちの1つを選択することに起因した前記PoPの前記中心性に対する前記影響の推定値のそれぞれは、ブランデスアルゴリズムを使用する反復方法によって計算される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のルーターは、前記VNF PoPの前記中心性に閾値よりも多く寄与すると推定されるルーターを含む介在ルーターのセットを含み、前記PoPの前記中心性に対する前記影響の前記より小さな推定値は、前記介在ルーターの中の少なくともいくつかのルーターの累積依存度の前記変化の推定値に基づいている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行する処理回路を備えるデバイス。
【請求項15】
コンピュータープログラムであって、該プログラムが処理回路によって実行されると、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を前記処理回路に実行させる命令を含む、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ユーザー機器(UE:User Equipment)と仮想ネットワーク機能(VNF:Virtual Network Function)のポイントオブプレゼンス(PoP:Point Of Presence)との間のトラフィックのルーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術仕様書が、ネットワーク機能及びネットワークサービスがネットワークオペレーター及びサービスプロバイダーによって世界規模で展開及び管理される方法を定義している。仮想ネットワーク機能(VNF)は、オープンコンピューティングプラットフォーム上で動作する仮想化ネットワークサービスである。それらのネットワークサービスのうちのいくつかは、以前は独自開発の専用ハードウェア技術によって行うことができた。
【0003】
VNFの例として、仮想化ルーター、ファイアウォール、ワイドエリアネットワーク(WAN:wide area network)最適化、及びネットワークアドレス変換(NAT)サービスがある。ほとんどのVNFは、VMWare又はKVM等の共通の仮想化インフラストラクチャソフトウェア上の仮想マシン(VM:virtual machine)において実行される。
【0004】
VNFは、複合サービスを構築するために、サービスチェイニングとして知られているプロセスにおけるビルディングブロックのように互いにリンクすることができる。それがVNF技術、サービスチェイニング、及びアプリケーションプロビジョニングプロセスを使用するとき、それは、簡略化及び短縮される。
【0005】
それぞれの技術仕様書は、例えば、ネットワーク機能仮想化のための欧州電気通信標準化機構の標準規格(ETSI NFV)を含む。
【0006】
仮想ネットワーク機能(VNF)の配置は、ネットワークの性能最適化に重要である。VNF配置問題は、サービス品質(QoS:quality of service)要件及びユーザーの要求を満たす、例えば、UEがVNFにアクセスするレイテンシーを最適化、例えば最小化し、及び/又はVNFとUEとの間の通信のスループットを最適化するために、ネットワークのオープンコンピューティングプラットフォームにおいてネットワーク機能のポイントオブプレゼンス(PoP)を見つけることである。
【0007】
図1は、その詳細が本明細書の最後に示されている非特許文献1と同様に、いくつかのアクセス階層について形成された全体的なネットワーク(ホームネットワーク、エンタープライズネットワーク及びいくつかの屋外基地局ネットワーク)の一例を示している。この5Gネットワークは、アクセスネットワークであってもよいし、非公共ネットワーク(NPN:non-public network)を形成するアクセスネットワーク及びプライベートコアネットワークであってもよい。VNFの管理部分は、2つの論理エンティティを含む。これらの論理エンティティは、コアネットワークとアクセスネットワークとの間のミドルウェアとしてコアネットワークに展開することもできるし、アクセスネットワークに展開することもできる。
【0008】
図1における2つの管理エンティティは、他の場合にも使用することができるが、以下のものである。
-ネットワークから様々な測定値、すなわち、レイテンシー測定値、トポロジ情報、UEロケーション、トラフィックパラメーター、又はVNF PoPを決定するのに必要な任意のデータを収集するネットワーク統計コレクター。
-ネットワーク統計コレクターからのデータを含むネットワークデータを取り出し、ネットワーク最適化問題を解いて、ネットワークのQoS要件及びユーザーの要求を最適化するネットワークにおける仮想ネットワーク機能(複数の場合もある)の位置又はポイントオブプレゼンス(PoP)を決定する動的VNFオーケストレーター。
【0009】
VNFオーケストレーターによって解かれるネットワーク最適化問題は、例えば、VNF機能へのアクセスのレイテンシーが最適化されるときにそれぞれの目的関数を最小にする整数線形計画法問題(非特許文献1に示されている)とすることができる。
【0010】
例えば、以下の式及び制約を、複数のVNF機能のVNF配置問題を記述するのに使用することができる。
【数1】
【0011】
すなわち、上記最適化問題を解くことによって、以下の式の目的関数を最小にする、UEkからホストjへのパスP
k上でホストjに配置されたネットワーク機能iの配置バイナリ変数X
i,j,kが見つけられる。
【数2】
【0012】
変数li,j,kは、UEkからホストjへのパスPk上でホストjに配置されたネットワーク機能iについて測定されたレイテンシーである。
【0013】
変数Riは、ネットワーク機能iに必要とされるスループットであり、変数Wjは、ホストjのハードウェア能力である。
【0014】
変数θiは、ネットワーク機能iに必要とされる最大レイテンシーバジェットである。
【0015】
変数bi,j,kは、ユーザーと、hjにおいてホストされ、パスPkを使用している場合のVNFiとの間に必要とされるスループットであり、変数Cmは、リンクの容量である。
【0016】
VNF配置問題を解くいくつかの技法をオーケストレーターによって使用することができ、それらの技法の中には、ネットワークをゾーンに分割し、ゾーンごとに仮想ネットワーク機能の異なる位置をテストし、テスト後に、目的関数を最小にする位置を見つける分枝限定技法(非特許文献2に示されている)がある。
【0017】
これらの技法は、多くの場合に、配置される仮想機能の数の増加及びネットワークの成長とともに又はネットワークのトポロジの変化に応じてスケーリングしない(すなわち、最適化問題を解くのに必要な時間は、機能の数及びネットワークのサイズとともに指数関数的に増大する)。
【0018】
オーケストレーターにおける複雑度を削減する1つの方法は、仮想ネットワーク機能のPoPを決定するために媒介中心性メトリックを使用することである。この場合に、
1.オーケストレーターは、リンク容量及びホストのハードウェア能力を考慮に入れることによって、UEkの位置から異なるホストjに向かうネットワークにおけるパスを求める;
2.オーケストレーターは、トポロジにおいて最も中心であるホスト、すなわち、最大媒介中心性を有するノードにVNFを配置する。
【0019】
この技法は、中心性メトリックがブランデスの再帰アルゴリズム(非特許文献3に示されている)によって計算される場合には、整数線形計画法問題を解くよりも複雑度が低い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Cziva, Richard、Christos Anagnostopoulos、及びDimitrios P. Pezaros著「Dynamic, latency-optimal vNF placement at the network edge」(Ieee infocom 2018-ieee conference on computer communications. IEEE, 2018)
【非特許文献2】BARTOK, David及びMANN, Zoltan Adam著「A branch-and-bound approach to virtual machine placement」(Proceedings of the 3rd HPI cloud symposium “operating the cloud. 2015. p. 49-63)
【非特許文献3】BRANDES, Ulrik著「A faster algorithm for betweenness centrality」(Journal of mathematical sociology, 2001, vol. 25, no 2, p. 163-177)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
VNFのPoPの配置が行われると、VNFのPoPをネットワークにおける異なるノードに配置すること、すなわちVNFを再配置することが、UE分布の変化、トラフィック要求及び機能の呼び出しに応じて必要となる場合がある。しかしながら、そのような移動は、或る一定のコストを伴う。
【0022】
例えば、中心性ベースのVNF配置の場合に、VNFのPoPの中心性は、或る特定のアクセスポイント及びルーターが更新された分布を受け持つためにアクティブ化されるようにネットワークが再構成されるとき、及び、これまでのアクティブなアクセスポイント及びルーターがVNFに関連したトラフィックについて非アクティブになるときに、展開におけるUE分布の変化とともに変化し得る。そのため、中心性メトリックの大きな変化が見つかる場合があり、したがって、VNFが再割り当てされる場合があり、VNFの展開コストが増加する結果となる(この追加コストは、例えば、UEが、旧PoPと新PoPとの間のアプリケーションコンテキスト転送に起因したVNFの新たなPoPへのアクセスを行う追加遅延の形態である場合がある)。換言すれば、トラフィック分布の変化に対する中心性メトリックの感度が、UEの移動中のVNFの再配置を引き起こす場合がある。これによって、中心性が再計算されるべきであり、新たなPoPが決定されるべきであり、VNFが新たなPoPにおいて低レイテンシーを保証するように再配置されるべきであるので、展開複雑度の増加が引き起こされる場合がある。
【0023】
本明細書は、上記の状況を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このために、少なくとも1つのユーザー機器UEと、複数のルーターを備えるマルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャを備えるネットワークに配置された仮想ネットワーク機能VNFのポイントオブプレゼンスPoPとの間のトラフィックのルーティングにおいて使用される方法であって、複数のルーターのうちの少なくともいくつかはリンクされ、少なくとも1つのリンクは、複数のルーターをPoPとリンクし、方法は、
a)少なくとも1つのUEとPoPとの間にあり、複数のルーター内の1つのルーターを通過するトラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちのいずれが、PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値に対応するのかの表示を取得することと、
b)それによって、少なくとも1つのUEとVNFとの間のトラフィックのルーティング用のそれぞれのパスの選択を可能にすることと、
を含む、方法を対象とする。
【0025】
上記方法は、例えば、ルーター又はMECサーバーによって実施することもできるし、ユーザー機器(UE)がネットワークにおけるルーターとして動作するときはそのようなUEによって実施することもできる。
【0026】
したがって、上記状況は、VNF PoPの中心性に対するトラフィック変化の影響を制限し、したがって、VNF再配置の確率を削減するトラフィックステアリング技法をネットワークのノード間に導入することによって対処される。換言すれば、トラフィックステアリング技法は、仮想ネットワーク機能配置メトリックに対する動的トラフィックの影響及びUE分布の影響を緩和するのに使用される。VNF PoPの中心性に対するトラフィック変化の影響は、所与のノードの制限を受けることができる。所与のノードの中心性に対する負の影響は、このノードの制限を受けることができ、他のノードの中心性に対する正の影響も、このノードの制限を受けることができる。
【0027】
これらの技法は、VNFのPoPの時間的な再配置の確率を削減し、動的トラフィック及びUE分布の変化に対する中心性ベースのVNF配置の耐性を改善することである。
【0028】
さらに、本明細書は、中心性が、
媒介中心性と、
近接中心性と、
グラフ中心性と、
ストレス中心性と、
のうちの少なくとも1つに基づくことができる、上記で特定された方法を対象とする。
【0029】
代替的に又は追加的に、上記で特定された方法において、中心性に対する影響のより小さな推定値は、
ネットワークの過去のトポロジと、
ネットワークの現在のトポロジと、
ネットワークの予想されるトポロジと、
のうちの少なくとも1つに基づくことができ、
トポロジは、1つのアクセスポイントから別のアクセスポイントへのUEのハンドオーバーと、複数のルーター内の1つのルーターのスイッチオフと、複数のルーター内の1つのルーターのスイッチオンとのうちの少なくとも1つに起因して変化するように構成される。
【0030】
また、本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、ネットワークはネットワークにおいてPoPの配置を動的に変更することができる動的VNFオーケストレーターを更に備えることができ、本方法は、
PoPの配置の次の変化を開始する信号を、PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値を有するパスの選択に基づいている遅延を伴って取得することと、
それによって、以前のPoPから新たなPoPへの、VNFを動作させるのに必要な送信情報を使用可能にすることと、
を含むことができる。
【0031】
上記の方法において、ネットワークがネットワーク統計を準備するように適合されたネットワーク統計コレクターを更に備える場合に、動的VNFオーケストレーターは、ネットワーク統計を取り出すように構成され、
遅延は、選択されたパスに沿ってルーティングされる少なくとも1つのUEとVNFとの間のトラフィックを考慮に入れたネットワーク統計に更に基づくことができる。
【0032】
本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、表示を上記取得することは、PoPの中心性に対する影響の推定値を比較することによって表示を生成することを含むことができる。
【0033】
上記の方法は、a)における上記表示を取得するために、
複数のルーターのうちの、少なくとも1つのUEとPoPとの間のトラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちの少なくとも1つに位置するルーターの中心性の表示を取得することと、
複数のルーターのうちの、少なくとも1つのUEとPoPとの間のトラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちの少なくとも1つに位置するルーターの累積依存度の表示を入力として受信することと、
のうちの少なくとも一方を更に含むことができる。
【0034】
本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、a)における表示を上記取得することは、ルーターと異なるネットワークのノードにおいて実行することができ、好ましくはモバイルエッジコンピューティングMECサーバーにおいて実行することができる。
【0035】
上記の方法は、b)の後に、選択されたパスの少なくとも1つのルーターに、選択に従ってそのルーティング方式を更新する信号を送信することを更に含むことができる。
【0036】
本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、a)における上記取得することは、好ましくは選択されたパスを使用するようにルーターにおけるルーティング方式を更新する信号の形態で、表示をルーターの入力において受信することを含むことができる。
【0037】
本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、中心性は媒介中心性に基づくことができ、少なくとも2つの可能なパスのうちの1つを選択することに起因したPoPの中心性に対する影響の推定値のそれぞれは、パス上のルーターの累積依存度の変化の加重和として計算される。
【0038】
上記において、変化は、(a)先行する推定後に起こった変化と、(b)予想される変化とのうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0039】
本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、少なくとも2つの可能なパスのうちの1つを選択することに起因したPoPの中心性に対する影響の推定値のそれぞれは、ブランデスアルゴリズムを使用する反復方法によって計算することができる。
【0040】
本方法の上記で特定された変形形態のいずれかにおいて、複数のルーターは、VNF PoPの中心性に閾値よりも多く寄与すると推定されるルーターを含む介在ルーターのセットを含むことができ、PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値は、上記介在ルーターの中の少なくともいくつかのルーターの累積依存度の変化の推定値に基づくことができる。
【0041】
さらに、本明細書は、説明及び図に示され、本明細書の主題を実行するように構成される方法、UE、ルーター、動的VNFオーケストレーター、ネットワーク統計コレクター、及び信号を対象とする。
【0042】
例えば、本発明は、コンピュータープログラムであって、プログラムが処理回路によって実行されると、上記で定義された方法を処理回路に実行させる命令を含む、コンピュータープログラムも対象とする。本発明は、そのようなコンピュータープログラムの命令を記憶する非一時的コンピューター記憶媒体も対象とする。
【0043】
図6及び
図7は、MECサーバー及び/又はルーターによって実行することができるそのようなプログラムの一般的なアルゴリズムを示すことができる通常のフローチャートである。
【0044】
別の例について、本発明は、上記で定義された方法を実施するように構成される処理回路(
図8の例に示すようなPROC、MEM)を備えるデバイスも対象とする。
図8に更に示すように、このデバイスは、ネットワークに接続されるように構成される通信インターフェース(COM)も備えることができる。
【0045】
そのデバイスは、本明細書において以下で説明するように、例えば、ルーター、又はMECサーバーとすることもできるし、ユーザー機器(UE)がネットワーク内でルーターとして動作するときはそのようなUEとすることもできる。
【0046】
本発明の可能な実施形態の詳細な内容及び利点を、添付図面を参照して以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】マルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャの一例を備える一例示のネットワークを示す図である。
【
図2】VNF PoPがインターネットゲートウェイと任意のUEとの間のパス上に位置していなければならず、VNF PoP及びインターネットゲートウェイの配置が選択の対象になるネットワークの一例を概略的に示す図である。
【
図3】複数のルーターの間のトラフィックステアリングをVNFのPoPの配置を維持するのに使用することができるネットワークの一例を示す図である。
【
図4】本明細書に開示されている方法を使用してVNFのPoPの配置を同じ位置により長く維持することができるネットワークの一例を概略的に示す図である。
【
図5】
図4の一例示のネットワークにおける一実施形態による方法によって可能にされるルーティングの一例を示す図である。
【
図6】より中心化した実施形態によるステップを有する方法の一例のフローチャートである。
【
図7】より分散化した実施形態によるステップを有する方法の一例のフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態によるデバイスを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
仮想ネットワーク機能(VNF)配置は、現代のオーケストレーションシステムの重要な構成要素であり、1つの比較的簡単な技法は、中心性メトリックを使用してVNF配置、すなわちネットワークにおけるポイントオブプレゼンス(PoP)を見つけることである。この中心性ベースの配置は、アクティブユーザー端末のパケットが従うVNFのPoPとUEとの間のパス、すなわち「データパス」へのルーターの寄与に基づいている。トラフィック及び/又はUE分布が動的に変化する場合に、VNFのPoPを含むノードの中心性は大幅に変化し得る。したがって、VNFは時に再配置されるが、これは、ユーザー端末とVNFのPoPとの間の通信の全体的なレイテンシーを増加させる高価なプロセスである。VNF再配置は、通信が新たなVNF PoPと再確立される前に、先ず以前のVNF PoPと切り離されるので、UEに提供されるサービス品質の低下も引き起こす場合がある。
【0049】
本開示では、中心性は、(a)媒介中心性、(b)近接中心性、(c)グラフ中心性、及び(d)ストレス中心性(stress centrality)のうちの少なくとも1つに基づくことができる。
【0050】
上記中心性は、例えば、それぞれのブランデスの反復アルゴリズム(非特許文献3に示されている)を使用して計算することができる。
【0051】
例えば、
図2(三角形は、ソフトウェア定義WAN(SD-WAN:software defined WAN)のサブネットワークとすることができる)の例では、VNF PoPの配置の候補とみなされるノードvの媒介中心性を計算するブランデスの反復は、以下の関係(非特許文献3に示されている)によって与えられる。
【数3】
【0052】
変数σs,vは、ネットワークのノードsとノードvとの間の最短パスの数であり、ここで、各ノードsは、この例では、インターネットゲートウェイの配置の候補である。ノードwはUEに対応する。変数σs,wは、ノードvを通過するパスの中の最短パスである、ノードsとノードwとの間のパスの数である(換言すれば、ノードvは、ノードsからノードwに達する最短パスPs(w)上でのノードwの先行ノードである)。
【0053】
変数δs(w)は、ノードwへのノードsの累積依存度として知られている。累積依存度は、ノードsに達するパスに対するノードwからのパスの寄与を示す。
【0054】
VNF PoPの配置は、中心性機能を最大にするように選択される。
【0055】
同様に、例えば、UEとインターネットゲートウェイとの間の接続ではなく、2つのUEの間のVNFトラフィックを有する接続(例えばプロキシ接続)に関連した機能を実行するVNFの場合には、VNFのPoPの好ましい配置は、可能な場合には、展開内における任意の2つのUEの間の最短パスの大部分に位置するようにすることができる。
【0056】
UE分布及び/又はUEトラフィックが展開領域において変化しているとき、VNFの中心性は、近似的に以下の式のように進展する。
【数4】
【0057】
媒介中心性∂(CB(v))の変化の上記式において、∂σs,vは、ノードsとVNFのPoPとの間のパスの数の変化であり、∂σs,wは、UEトラフィック分布の変化によってもたらされる、ノードsとUE wとの間のパスの数の変化であり、変数∂δs(w)は、ノードw(UE)に対するノードsの累積依存度の変化である。
【0058】
本発明による方法は、媒介中心性、又はVNF PoPを配置するのに使用された異なる中心性メトリックの変化を、PoPの移動の確率を削減するように制限することを目的とする。
【0059】
このために、ルーター、オーケストレーター、UE及び/又は別のノードは、少なくとも1つのユーザー機器UEと、複数のルーターを備えるマルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャを備えるネットワークに配置された仮想ネットワーク機能VNFのポイントオブプレゼンスPoPとの間のトラフィックのルーティングにおいて使用される方法であって、ルーターのうちの少なくともいくつかはリンクされ、少なくとも1つのリンクは、複数のルーターをPoPとリンクし、方法は、
-少なくとも1つのUEとPoPとの間にあり、複数のルーター内の1つのルーターを通過するトラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちのいずれが、VNFのPoPの中心性に対する影響のより小さな推定値(例えば、VNFの中心性の削減のより小さな推定値又はVNFのPoP以外のノードの中心性の小さな増加)に対応するのかの表示を取得することと、
-それによって、少なくとも1つのUEとVNFとの間のトラフィックのルーティングのそれぞれのパスの選択を可能にすることと、
を含む、方法を使用することができる。
【0060】
中心性に対する「小さな影響」又は「影響の小さな推定値」は、ここでは、
-PoPの中心性の小さな削減、又は
-他のノード(PoP以外)の中心性の小さな増加、
を意味し、PoPは、最大媒介中心性を有するノードである。
【0061】
マルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャは、ETSI GS MEC 003 V2.1.1(2019-01)、「Multi-access Edge Computing (MEC); Framework and Reference Architecture」における仕様と部分的又は全体的に一致することができる。
【0062】
そのような方法が使用されるとき、VNF PoPとノードs(インターネットゲートウェイ機能をホストすることが可能なルーターとすることができると同時に、必要に応じて、ゲートウェイからVNF PoPを通過し、その後UEを通過したトラフィックの介在ルーターとすることができる)との間のネットワークのトポロジに対するトラフィック及びUE位置の変化の影響、及び、その結果として、それに伴う中心性の変化は、VNFのPoPの中心性の全体的な変化に小さな寄与をもたらす。VNF中心性に対するUEの位置/トラフィック分布の変化の影響は、本質的にノードw(UE)に対するノードsの累積依存度の変動によって求められる。
【0063】
すなわち、媒介中心性の場合に、変化は近似的に以下の式となり、
【数5】
この総和は、PoPの媒介中心性に対する影響の推定値がより小さい(介在ルーターをそれぞれアクティブ化する)経路を好むトラフィックステアリングによる制限を受けることが可能になるので、上記方法は、PoPの移動(再配置)の確率を削減する。
【0064】
2つの可能なパスのうちのいずれかを選ぶことができるのは、超高密度ネットワーク、例えば、100m2あたり少なくとも5つのポータブルルーターを有する5Gネットワークにおいてであり得る。例えば、5Gの場合に、ネットワークは、CHEN, Shanzhi、QIN, Fei, HU, Bo他著「User-centric ultra-dense networks for 5G: Challenges, methodologies, and directions」(IEEE Wireless Communications, 2016, vol. 23, no 2, p. 78-85)に規定されている意味において超高密度とすることができる。
【0065】
トラフィックは、例えばレイヤ3以上のトラフィックとすることができる。また、トラフィックは、アプリケーションレベルトラフィック、又はIPトラフィック、又はイーサネットトラフィックとすることもできる。
【0066】
換言すれば、本明細書は、少なくとも2つのパスからの1つのパスを、介在ルーターからPoPに確立されるように選択することができるネットワークにおいて、PoPの中心性への累積依存度の変化の寄与を制限する技法を開示する。この制限は、累積依存度のより大きな寄与を有する介在ルーターから累積依存度のより小さな寄与を有する介在ルーターに向けてトラフィックをステアリングすることによって実施することができる。換言すれば、本明細書は、累積依存度がデータパスに沿ってより均衡するようにルーター間のトラフィックをVNF PoPに向けてステアリングする技法を開示する。
【0067】
表現「より均衡する」とは、時間的な累積依存度の2つの値の変化の間の差が絶対値による閾値を下回っていることを意味することができる。
【0068】
例:
VNFのPoPを維持するためのトラフィックステアリングの使用を、
図3に示すように、1つのUEが展開に存在するライン展開におけるルーターに関して例示することができる。
【0069】
図3では、6つのルーターR1~R6がラインに存在する。最初に、UEからVNF PoPが位置するルーターR2に向かう単一のアクティブパスが存在すると仮定する。この位置において、ルーターR2における累積依存度は1である。この累積依存度は、ルーターR3及びR1における累積依存度よりも高い。なぜならば、UEのアプリケーションパケットのいずれもルーターR1又はR3に転送されないので、ルーターR3及びR1における累積依存度は0に等しいからである。
【0070】
UEが、ルーターR2を介してネットワークにアクセスする位置(1)から、ルーターR3を介してネットワークにアクセスする位置(2)に移動するときにおいて、ルーターR3においてトラフィックステアリングがない場合には、VNFのPoPは、ルーターR2からルーターR3に再割り当てされなければならない。R3における累積依存度は1に増加し、R2における累積依存度は0に減少する。
【0071】
しかしながら、VNF PoPの中心性を維持するために、ルーターR2とR3との間でパケットを転送するパスをアクティブ化することによってVNF PoPの再配置を防止することができる。
【0072】
加えて、ルーターR2とR3との間に新たなアクティブパスを追加することが十分なQoSを維持しながら行われるようにトラフィックをそれらのルーター間でステアリングすることができる。特に、所与の時点においてルーターR2及びR3に同じ累積依存度が存在するように、UE-VNFトラフィックのパケットを事前にルーターR3に転送することができる。すなわち、R2とR3との間の新たなパスが、UEのパケット用に追加される。
【0073】
ルーターR2及びR3の累積依存度を均衡させるパス等のパス(2,3)が決定される。特に、
図4の例では、VNFとUEとの間のトラフィックのパケット用にこのパスをアクティブ化することによって、R3の累積依存度は、R2の累積依存度に等しくなる。パケットは新たなルーターR3に転送され、UEがR3に移動するとき、このルーターは、VNF PoPを再配置することなくパケットをVNF PoP及びUEに転送する。
【0074】
従前の例と同様に、本明細書は、例えば、UEの介在ルーターがUEからVNF PoPへのアクティブデータパス上に存在し得るときに、これらの介在ルーターの累積依存度を均衡させる(又はより均衡させる)ことができるルーティング方式に基づく実施形態を提案する。一方、これらの実施形態において、ルーティング方式は、例えば
図4及び
図5のようなトポロジを有するネットワーク、すなわち
図3のような直線状のルーター展開を有しないネットワークにおいて実行される。このネットワークトポロジには、少なくとも2つの可能なパスのいずれを、少なくとも1つのUEとPoPとの間にあって複数のルーター内の1つのルーターを通過するトラフィック用にアクティブ化するのかの選択肢がある。本明細書によれば、選択されるパスは、PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値に対応するものである。
【0075】
例えば、本明細書によれば、ルーティング方式は、
図4に示すネットワークにおいて、
図5に示すように使用することができる。UEがアクセスポイントAP#1からアクセスポイントAP#2に移動するとき、ルーターR2からVNFのPoPへのパスの選択は、VNFの中心性に対する影響の推定値の比較に基づいて行われる。例えば、
図5において、ルーターR2及びR1を直接接続するセグメントを含むパスは、影響の最小の推定値をもたらし、選択されたものとして示される。
【0076】
VNFの中心性に対する影響の推定値を制限するパスが通るルーターは、パケット検出ルール(PDR)、すなわち、パケットを所与のルーターに送信する他のノード(ルーターを含む)の特定を可能にするテーブルと、所与のルーターがパケットをどの近傍ノード(ルーターを含む)に送信しているのかを特定する転送動作ルール(FAR)とを備える論理ルーターとすることができる。
【0077】
この論理ルーターは、例えば、ネットワークにおけるユーザー端末、又は基地局、又は中間ルーターに配置することができる。
【0078】
図5の例は、同時に、ネットワークが、当該ネットワークにおけるPoPの配置を動的に変更する動的VNFオーケストレーターを含む一例でもある。このオーケストレーターは、モバイルエッジコンピューティング(MEC:Mobile Edge Computing)サーバーに配置される。
【0079】
この例では、オーケストレーターは、少なくとも1つのUEとPoPとの間にあって複数のルーター内の1つのルーターを通過するトラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちのいずれがPoPの中心性に対する影響のより小さな推定値に対応するのかの表示を生成によって取得する。
【0080】
同時に、ルーターR2も、そのような表示をオーケストレーターからネットワークを介して取得する。
【0081】
他のいずれのルーターも、ルーターR2又はUEハンドオーバーの場合にUE-VNFトラフィックを通信するのに使用される他のルーターに関して、そのような表示を同様に受信することができる。
【0082】
さらに、UE分布のいくつかの変化の後にVNFを再配置することが必要な場合がある。本明細書によれば、PoPの中心性に対する影響の推定値がより小さいパスの選択に基づいている遅延を伴ってそのような再配置を行うことが可能である。
【0083】
したがって、オーケストレーターは、PoPの配置の次の変更を開始する信号を生成によって取得することができる。
【0084】
また、ルーターのそれぞれは、PoPの配置の次の変更を開始する信号をオーケストレーターから受信することによって取得することができる。
【0085】
MECにおいてオーケストレーターを使用することによって実行される方法が、以下のステップを含むことができる。
(1)マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC:Multi-access edge computing)制御ノードが、他のあらゆるノードsに向かう累積依存度δs(v)を求めるとともにノードの媒介中心性を計算するのに十分な情報をあらゆるルーターvから受信するステップ。
(2)MECノードにおけるオーケストレーターがこの情報を取り出し、最大媒介中心性を有するノードにVNF PoPをセットアップするステップ。
(3)MECノードにおけるオーケストレーターが介在ルーターをUEに近いルーターとして決定するステップ。
-ここで、「近い」とは、UEノードに対して高い近接中心性を有する、すなわち近接中心性が閾値を超えていることを意味するか、又は
-「近い」とは、同じ地理的領域、すなわち、UEと基地局との間の距離が閾値未満である場所、例えば超高密度環境の場合に約250メートル未満である場所(閾値は特定の展開に依存する)に位置するUEからパケットを受信しているルーターを意味する。
(4)決定された介在ルーターから、MECノードにおけるオーケストレーターが、UEが領域内を移動しているときに累積依存度の最も高い変化を有するノードを決定するステップ。
(5)MECノードにおけるオーケストレーターが、介在ルーターに配置(すなわち記録)されたパケット検出ルール(PDR)及び転送動作ルール(FAR)を以下のように更新するステップ。
-各ルーターが累積依存度の(時間的な)高い変化を有する近傍介在ルーターを特定する(例えば、近傍介在ルーターのセットが時間的に変化する場合にPDR/PTDRの変化が起こり得る)。なお、「高い変化」は閾値を超えていることを意味する;
-各ルーターが、累積依存度の変化を削減することができるように、高い変化を有する特定された近傍ルーターにパケットを転送する。
(6)ステップ2に(ただし、更新されたPDR及びFARとともに)進むステップ。
【0086】
転送動作ルール(FAR)は、他の点では、ルーターの間でパケットを転送するルールを指定する既存の技術規格TS23.501を満たすことができる。
【0087】
パケット検出ルール(PDR)は、他の点では、所与のルーターからのパケットの検出のルールを指定する既存のTS23.501を満たすことができる。
【0088】
さらに、より中心化した実施形態、すなわちより多くのステップにオーケストレーターを使用する実施形態において、上記で説明した技法は、
図6に示す1つ以上のステップとともに実行することができる。例えば、上記ステップ(2)~(5)は、VNFのPoPの中心性を維持するためにPDR及びFARを意識的に更新する周期的なループを示す
図6の方法とともに実行することができる(これは
図6に示されていないが、通常の方法では、ループ(2→3→4→5→2)における次のサイクルは、例えば、サイクル数が最大数に達した場合又はネットワークがVNFの再配置を決定した場合には実行されない)。
【0089】
しかしながら、一般に、ステアリングを実施するのに、ステップの全てについて、オーケストレーターは必要とされない。したがって、本明細書は、より分散化した実施形態も包含する。
【0090】
例えば、方法が、以下のステップを含むことができる。
(1)VNFの中心性が、ネットワークにおける累積依存度の伝播を通じて計算されるステップ;すなわち、ルーターが、VNFに向かう方向に、その累積依存度と、UEからVNFに向かうパス上の先行ルーターの累積依存度とを送信し;中心性がVNFにおいて計算されるステップ。
(a)各ノードwにおけるルーターは、その累積依存度を、UEが移動するときにアクティ化について検討されるネットワーク内の全てのノードに向けて送信する;また、各ノードwにおけるルーターは、送信及び受信された累積依存度のローカルコピーを記憶する。
(2)ノードwが、ブランデスの反復アルゴリズムに基づいてそれらの媒介中心性を計算するステップ。
(3)ノードが、UEに近いルーター等の介在ルーターの決定を可能にするように協力するステップ。
(a)ここで、「近い」とは、UEノードに対して高い近接中心性を有する、すなわち近接中心性が閾値を超えていることを意味し、及び/又は
(b)「近い」とは、同じ地理的領域、すなわち、距離が閾値未満である場所に位置するUEからパケットを受信しているルーターを意味し、及び/又は
(c)「近い」は、ルーターがVNF PoPの「近く」に位置しているか否かを判断するのに使用される、ルーターについて累積依存度acc_dが閾値Aを超えている、すなわちacc_d>Aという条件によって又はこの条件を用いて定義することができ、(閾値「A」は例えば1に設定することができる;MECサーバー又はネットワークがこの閾値を設定することができる)。
(d)中間ルーターは、ルーターについて累積依存度acc_dが閾値B未満である、すなわちacc_d<Bという追加の条件を用いて定義することができる(ここで、閾値Bは、VNF PoPのacc_dに設定することができる);及び/又は
(e)ノードは、それらの累積依存度をそれらの計算に役立つ方法で交換し、中間ルーターであると決定されたそれらの近傍のリストをそれぞれ送信することによって協力することができる。
(4)決定された介在ルーターから、各ノードwが、UEが領域内を移動しているときの累積依存度の変化が最も高いノードを決定するステップ。
(5)各介在ルーターwが、そのパケット検出ルール(PDR)及び転送動作ルール(FAR)を以下のように更新するステップ。
-各ルーターが、累積依存度の変化が高い近傍ルーターを特定する;
-各ルーターが、累積依存度の変化が削減されるように、特定された近傍ルーターにパケットを転送する。
(6)ステップ2に(更新されたPDR及びFARとともに)進むステップ。
【0091】
さらに、より分散化した実施形態(半中心化(semi-centralized)実施形態)、すなわち、より中心化した実施形態よりも少ないステップにオーケストレーターを使用する実施形態において、上記で説明した技法は、
図7に示す1つ以上のステップとともに実行することができる。全体的に、
図7の方法では、可能なパス上のルーターが、VNF PoPの中心性のそれら自身の累積依存度を計算又は推定し、これらの累積依存度に関する情報を有する信号を交換して、累積依存度に関する情報をMECに伝達する。MECは、累積依存度の受信された推定値に基づいて、VNF PoPの中心性に対する影響が閾値を超えていると推定される場合には、いくつかのルーターからの選択されたパスに従った通信をトリガーするために、ノードにおけるPDRフィルターを更新する信号を送信する。例えば、このルーターにおける累積依存度の削減は、所与の閾値よりも大きいと推定することができる。例えば、この閾値は、相対的な累積依存度削減について設定することができる。UEとVNF PoPとの間の可能なパス上の全てのルーターがそれらの累積依存度を計算し及び/又は累積依存度に関する情報をそれらの近傍ルーター(同じく可能なパス上にある)と交換する必要があるとは限らない。これらの動作は、累積依存度が閾値よりも高いルーターと定義することができる中間ルーターについてのみ実行することができる。
【0092】
したがって、VNF再配置の確率を制限するトラフィックステアリングを可能にする本明細書に開示されている方法は、VNF PoPの中心性に閾値よりも多く寄与している介在ルーターのセットを任意選択で決定することによって特に効率的に実行することができる。そのために、介在ルーターのこのセットは、ネットワークにおける近接中心性又は媒介中心性が低く(すなわち閾値よりも低い)、トラフィックをVNF PoPに転送するのに使用されるルーターとして求めることができる。或いは、介在ルーターのこのセットは、媒介中心性が低く、UEの現在のロケーションに近いルーターとして求められてもよい(ここで、「近い」は、閾値よりも短い距離を有することを意味する)。
【0093】
その後、UEとVNFのPoPとの間の介在ルーターのこのセットについて累積依存度を計算することができる。例えば、この計算は定期的なものとすることができる。また、累積依存度の変化を中間ルーターについて計算することができる。
【0094】
トラフィックステアリングは、ルーター間の累積依存度の変化を均衡させるようにパケットがルーティングされるように行われる。UE(w)のトラフィックは、累積依存度の高い増加を有するルーターから低い累積依存度を有するルーターに向けて転送される。
【0095】
本明細書に開示されている技法は、VNFの中心性の再計算の代わりに、VNFの中心性に対する起こり得る影響を推定し、影響がより制限されているパスを選択することによってVNF再配置の確率を制限するために、ノードのサブセットの累積依存度の監視に焦点を当てることを可能にする。その結果、中心性を完全に再計算することに対して複雑度も低減することができる。したがって、開示されている技法は、累積依存度の推定又は予測に基づく分散化したトラフィックステアリング及び局所的なトラフィックステアリングの可能性によって、これまでに使用されていた技法よりも良好にスケーリングすることができる。
【0096】
その上、本明細書に開示されている技法は、1つ以上のUEがVNFによってサービス提供を受けながら移動すると予想されるとき、選択された介在ルーターにおけるトラフィックステアリングルールの事前の更新(advance update)に使用することができる累積依存度の予測を提供するように設計された人工知能とともに使用することができる。
【0097】
例えば、
図8に示すように、デバイスDEV(ルーター又はMECサーバー等)は、プロセッサPROCと本発明によるコンピュータープログラムの少なくとも命令データを記憶するメモリMEMとを含む処理回路CIRを備えることができる。プロセッサPROCは、メモリに記憶された命令を読み出して実行するためにメモリMEMにアクセスすることができる。その上、デバイスDEVは、ネットワークNTWとの少なくとも通信インターフェースCOMを更に含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのユーザー機器(UE)と、複数のルーターを備えるマルチアクセスエッジコンピューティングインフラストラクチャを備えるネットワークに配置された仮想ネットワーク機能(VNF)のポイントオブプレゼンス(PoP)との間のトラフィックのルーティングにおいて使用される方法であって、前記複数のルーターのうちの少なくともいくつかはリンクされ、少なくとも1つのリンクは、前記複数のルーターを前記PoPとリンクし、該方法は、
a)前記少なくとも1つのUEと前記PoPとの間にあり、前記複数のルーター内の1つのルーターを通過する前記トラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちのいずれが、前記PoPの中心性に対する影響のより小さな推定値に対応するのかの表示を取得することと、
b)それによって、前記少なくとも1つのUEと前記VNFとの間の前記トラフィックのルーティング用の前記それぞれのパスの選択を可能にすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記中心性は、
媒介中心性と、
近接中心性と、
グラフ中心性と、
ストレス中心性と、
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中心性に対する前記影響の前記より小さな推定値は、
前記ネットワークの過去のトポロジと、
前記ネットワークの現在のトポロジと、
前記ネットワークの予想されるトポロジと、
のうちの少なくとも1つに基づいており、
前記トポロジは、1つのアクセスポイントから別のアクセスポイントへのUEのハンドオーバーと、前記複数のルーター内の1つのルーターのスイッチオフと、前記複数のルーター内の1つのルーターのスイッチオンとのうちの少なくとも1つに起因して変化するように構成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワークが該ネットワークにおいて前記PoPの配置を動的に変更することができる動的VNFオーケストレーターを更に備える場合に、前記方法は、
前記PoPの前記配置の次の変化を開始する信号を、前記PoPの前記中心性に対する前記影響の前記より小さな推定値を有する前記パスの前記選択に基づいている遅延を伴って取得することと、
それによって、以前のPoPから新たなPoPへの、VNFを動作させるのに必要な送信情報を使用可能にすることと、
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワークがネットワーク統計を準備するように適合されたネットワーク統計コレクターを更に備える場合に、前記動的VNFオーケストレーターは、前記ネットワーク統計を取り出すように構成され、
前記遅延は、前記選択されたパスに沿ってルーティングされる前記少なくとも1つのUEと前記VNFとの間の前記トラフィックを考慮に入れた前記ネットワーク統計に更に基づいている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記表示を前記取得することは、前記PoPの前記中心性に対する前記影響の前記推定値を比較することによって前記表示を生成することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記a)における前記表示を取得するために、
前記複数のルーターのうちの、前記少なくとも1つのUEと前記PoPとの間の前記トラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちの少なくとも1つに位置するルーターの中心性の表示を取得することと、
前記複数のルーターのうちの、前記少なくとも1つのUEと前記PoPとの間の前記トラフィック用の少なくとも2つの可能なパスのうちの少なくとも1つに位置するルーターの累積依存度の表示を入力として受信することと、
のうちの少なくとも一方を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記a)における前記表示を前記取得することは、前記ルーターと異なる前記ネットワークのノードにおいて実行され、好ましくはモバイルエッジコンピューティング(MEC)サーバーにおいて実行される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記b)の後に、前記選択されたパスの前記少なくとも1つのルーターに、前記選択に従ってそのルーティング
の方式を更新する信号を送信することを更に含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記a)における前記取得することは、好ましくは前記選択されたパスを使用するように前記ルーターにおけるルーティング方式を更新する信号の形態で、前記表示を前記ルーターの入力において受信することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記中心性は前記媒介中心性に基づいており、前記少なくとも2つの可能なパスのうちの1つを選択することに起因した前記PoPの前記中心性に対する前記影響の推定値のそれぞれは、前記パス上のルーターの累積依存度の変化の加重和として計算される、請求項
2に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つの可能なパスのうちの1つを選択することに起因した前記PoPの前記中心性に対する前記影響の推定値のそれぞれは、ブランデスアルゴリズムを使用する反復方法によって計算される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のルーターは、前記VNF PoPの前記中心性に閾値よりも多く寄与すると推定されるルーターを含む介在ルーターのセットを含み、前記PoPの前記中心性に対する前記影響の前記より小さな推定値は、前記介在ルーターの中の少なくともいくつかのルーターの累積依存度の前記変化の推定値に基づいている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行する処理回路を備えるデバイス。
【請求項15】
コンピュータープログラムであって、該プログラムが処理回路によって実行されると、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を前記処理回路に実行させる命令を含む、コンピュータープログラム。
【国際調査報告】