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特表2024-509334抗微生物及び/又は抗ウイルスコーティング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】抗微生物及び/又は抗ウイルスコーティング
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/02 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A61L2/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579649
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2022056417
(87)【国際公開番号】W WO2022189668
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2103492.1
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2118910.5
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523349033
【氏名又は名称】コディコート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モハマド・ジャバド・モフセニ
(72)【発明者】
【氏名】レザ・サベリ・モガッダム
(72)【発明者】
【氏名】パヤム・ナハバンディ
(72)【発明者】
【氏名】アティフ・アジズ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・バゼル・バズボウズ
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA07
4C058AA23
4C058AA26
4C058BB02
4C058EE26
(57)【要約】
本発明は、抗微生物及び抗ウイルスコーティングに関する。抗微生物/抗ウイルス層を表面上に有する絶縁体基材であって、抗微生物/抗ウイルス層が、電源に接続された導電性材料を含む、絶縁体基材が記載される。キャパシタ構造が基材表面上に形成されるように、電源及び導電性材料が一緒に、抗微生物/抗ウイルス層にわたって電圧を誘導する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層をその上に有する絶縁体基材であって、前記層が導電性材料を含み、前記導電性材料が電源に接続され、前記電源及び前記導電性材料が、前記電源が前記の層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が基材の表面上に形成されるように配置されている、絶縁体基材。
【請求項2】
導電性材料が基材の表面上に少なくとも2つ又は複数のストリップで配置され、前記ストリップが互いに間隔を空けられ、前記ストリップが、隣接するストリップとの間のフィルム層にわたって電圧を誘導するように電源の正及び負の接続部に交互に接続される、請求項1に記載の絶縁体基材。
【請求項3】
導電性材料が基材の表面上に少なくとも2つ又は複数のストリップで配置され、前記ストリップが互いに間隔を空けられ、前記ストリップが、隣接するストリップとの間の層にわたって電圧を誘導するように交互にフォトカソード及びフォトアノードである、請求項1又は請求項2に記載の絶縁体基材。
【請求項4】
電圧が、1V~10V、好ましくは1V~5Vの間の範囲内である、請求項3に記載の絶縁体基材。
【請求項5】
導電性材料が、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、クロム、鉄、白金、パラジウム、タングステン、及び金から任意選択で選択される少なくとも1種の金属、並びにそれらの多層の組合せ及び合金を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項6】
導電性材料が、光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感される金属、及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項7】
導電性材料が、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ及びフッ化酸化スズ、並びにそれらの混合物から任意選択で選択される金属酸化物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項8】
導電性材料がドープされた金属酸化物を含み、任意選択で場合により、前記ドープされた金属酸化物がアルミニウムドープ酸化亜鉛である、請求項1から7のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項9】
導電性材料が少なくとも1種の非金属を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項10】
導電性材料が、黒鉛、グラフェン、又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項11】
導電性材料が、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、クロム、鉄、白金、パラジウム、タングステン、及び金から任意選択で選択される少なくとも1種の金属、並びにそれらの混合物、多層の組合せ及び合金からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項12】
導電性材料が、光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感された金属、及び/又は光活性色素で増感された金属酸化物からなる、請求項1から4及び11のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項13】
導電性材料が、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ並びにフッ化酸化スズ、並びにそれらの混合物から任意選択で選択される金属酸化物からなる、請求項1から4、11及び12のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項14】
導電性材料が、ドープされた金属酸化物からなり、任意選択で場合により、ドープされた金属酸化物がアルミニウムドープ酸化亜鉛である、請求項1から4及び11から13のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項15】
導電性材料が、黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体からなる、請求項1から4及び11から14のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項16】
導電性材料がナノ粒子を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項17】
導電性材料が導電性材料の単層及び多層を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項18】
導電性材料がインクとして配合される、請求項1から17のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項19】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層が、実質的に透明、半透明であるか、又は可視スペクトルにおいて約50%~99%の間の全体的な透明度を有し、任意選択で、抗微生物及び/又は抗ウイルス層が、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛で作られる、請求項1から18のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項20】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層が実質的に不透明であり、任意選択で場合により、抗微生物及び/又は抗ウイルス層が、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、又は金で作られる、請求項1から18のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項21】
導電性材料が、導電性材料ストリップの間の距離の約2分の1~100分の1の間である幅を有するストリップで配置される、請求項1から20のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項22】
導電性材料がストリップで配置され、基材の表面上の各隣接するストリップの間の距離が、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~20μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内である、請求項1から21のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項23】
導電性材料がストリップで配置され、各ストリップの幅が、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~500μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内である、請求項1から22のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項24】
導電性材料が、約0.01mm~10nmの間、又は約1μm~約5μm間の範囲内、又は約10μm~約200μmの間の範囲内の幅を有し、任意選択で場合により約5μm未満の幅を有するストリップで配置される、請求項1から23のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項25】
導電性材料が、5nm~1000μmの範囲内、好ましくは500nm~500μmの範囲内、より好ましくは1μm~100μmの範囲内、又は約20nm~約500nmの間の範囲内、又は約1μm~約10μmの間の範囲内の厚みを各々が有するストリップで配置される、請求項1から24のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項26】
導電性材料が、櫛型であるストリップで配置される、請求項1から25のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項27】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層が吸湿性成分を更に含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項28】
吸湿性成分が、岩塩、珪砂、シリカゲル、CaCl、吸湿性ポリマー、又はグリコサミノグリカンから選択される、請求項27に記載の絶縁体基材。
【請求項29】
吸湿性成分が水性成分、好ましくは水を含む、請求項27又は請求項28に記載の絶縁体基材。
【請求項30】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層が、保護層、任意選択により場合によって、エポキシ又は酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の任意の非導電性金属酸化物から選択される保護層によって部分的又は全体的にカバーされる、請求項1から29のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項31】
絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、抗微生物及び/又は抗ウイルス層の下の絶縁体基材の表面が酸素プラズマ又はUVオゾンで前処理されている、請求項1から30のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項32】
電源が太陽電池である、請求項1から31のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項33】
太陽電池が、有機又はアモルファスシリコン太陽電池であり、好ましくは、前記太陽電池が、OPV(有機薄膜太陽電池)、DSSC(色素増感太陽電池)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)太陽電池、又はフレキシブルシリコン太陽電池である、請求項32に記載の絶縁体基材。
【請求項34】
電源がバッテリーである、請求項1から31のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項35】
バッテリーが、1mm~10mmの範囲内、又は10μm~100μmの範囲内の厚みを有する、請求項34に記載の絶縁体基材。
【請求項36】
導電性材料が電線によって電源に接続される、請求項1から35のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項37】
電線が、
i.金属、
ii.導電性金属酸化物、
iii.ドープされた金属酸化物、及び/又は
iv.グラフェン若しくは炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体
のうちの1種又は複数を含む、請求項36に記載の絶縁体基材。
【請求項38】
可撓性であり、任意選択により場合によって、ポリマー接着性フィルム、布、プラスチック、紙、繊維、又はアモルファスシリコンである、請求項1から37のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項39】
非可撓性であり、任意選択で場合によって、ガラス、プラスチック、又はセラミックである、請求項1から37のいずれか一項に記載の絶縁体基材。
【請求項40】
請求項1から39のいずれか一項に記載の絶縁体基材を含む製造品。
【請求項41】
電子デバイス、例えば、タブレット又は携帯電話、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、ボタン、ハンドル、スクリーンプロテクター、家具、例えば、シート、テーブル、肘掛け、便座、カップ、ワークトップ、及び器具、例えば台所器具、表札、水栓、自動車ハンドル、自動車の鍵、食品包装、文房具、及び紙幣から選択される、請求項40に記載の製造品。
【請求項42】
請求項1から39のいずれか一項に記載の絶縁体基材の表面上の帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は請求項40若しくは請求項41に記載の製造品の表面上の帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造における印刷、原子層堆積又はリソグラフィー、好ましくはスクリーン印刷の使用。
【請求項43】
請求項1から39のいずれか一項に記載の絶縁体基材の表面上の帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は請求項40若しくは請求項41に記載の製造品の表面上の帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造におけるレーザーアブレーション又は切断システムの使用であって、レーザーアブレーション又は切断システムが、商業的に存在する導電性層からストリップを取り、導電材料のストリップを作るために使用される、使用。
【請求項44】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する基材を作製する方法であって、前記層が導電性材料を含み、方法が、
a)前駆基材及び導電性材料インクを用意する工程であって、前駆基材が絶縁体材料で作られている、工程、
b)導電性材料インクを前駆基材の表面上に印刷する工程
を含む方法。
【請求項45】
導電性材料インクが、
i.金属、金属酸化物、及び/又はドープされた金属酸化物、並びに
ii.溶媒
を含み、
任意選択で、金属及び/又は金属酸化物が、銀、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、チタン、鉄、及び金から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
導電性材料インクが、
i.黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体、及び
ii.溶媒
を含む又は更に含む、請求項44又は請求項45に記載の方法。
【請求項47】
導電性材料インクがナノ粒子を含む、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
導電性材料インクが、
i.光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感される金属、及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物、並びに
ii.溶媒
を含む、請求項44から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
溶媒がエタノールである、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
工程b)が、導電性材料インクを印刷して導電性材料の少なくとも2つ、又は複数のストリップを前駆基材の表面上に形成する工程であって、前記ストリップが互いに間隔を空けられる工程を更に含む、請求項44から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
導電性材料の多数の層を形成するために、工程b)が繰り返される、請求項44から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
フォトリソグラフィープロセスが、導電性材料インクを前駆基材の表面上に印刷する前に、必要とされるパターンのフォトマスクを生成するために使用される、請求項44から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
工程a)が、絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、前駆基材を酸素プラズマ又はUVオゾンで処理する工程を更に含む、請求項44から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する基材を作製する方法であって、前記層が導電性材料を含み、その方法が、
a)絶縁体材料で作られた前駆基材及び導電性材料の層でコーティングされた基材を用意する工程、
b)レーザーアブレーション又は切断システムを使用して導電性材料のストリップを取り、これにより、導電材料のストリップを基材の表面上に形成する工程であって、ストリップが互いに間隔を空けられる、工程、
c)導電性材料のレーザー切断されたストリップを絶縁体材料で作られた前駆基材上に接着する工程
を含む、方法。
【請求項55】
前駆基材がアルミニウムテープである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
導電性材料がストリップで配置され、前駆基材の表面上の各隣接するストリップの間の距離が、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~200μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内である、請求項50から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
導電性材料が、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~500μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内の幅を有するストリップで配置される、請求項50から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
導電性材料が、約10nm~0.01mmの間の範囲内、又は約1μm~約5μmの間の範囲内、又は約10μm~約200μmの間の範囲内、任意選択で約5μm未満の幅を有するストリップで配置される、請求項50から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
導電性材料が、5nm~1000μmの範囲内、好ましくは500nm~500μmの範囲内、より好ましくは1μm~100μmの範囲内、又は約20nm~約500nmの間の範囲内、又は約1μm~約10μmの間の範囲内、任意選択で約5μm未満の厚みを有するストリップで配置される、請求項50から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
電源を前駆基材の表面上に印刷又は設置する工程であって、電源が前駆基材の表面上の抗微生物及び/又は抗ウイルス層にわたって電圧を誘導できるように、電源及び導電性材料が配置される工程を更に含む、請求項44から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
電源が太陽電池又はバッテリーである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
電源が太陽電池であり、任意選択で場合により、太陽電池が、有機又はアモルファスシリコン太陽電池であり、好ましくは、太陽電池が、OPV(有機薄膜太陽電池)、DSSC(色素増感太陽電池)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)太陽電池、又はフレキシブルシリコン太陽電池である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
電源がバッテリーであり、任意選択で場合により、バッテリーが10μm~100μmの範囲内の厚みを有する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
電線を印刷する工程であって、電線が導電性材料の各ストリップを電源に接続する工程を更に含む、請求項60から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
電線が、
i.金属、
ii.導電性金属酸化物、
iii.ドープされた金属酸化物、及び/又は
iv.グラフェン若しくは炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体
を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前駆基材上に吸湿性成分の層を形成する工程を更に含む、請求項44から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
吸湿性成分が、岩塩、珪砂、シリカゲル、CaCl、吸湿性ポリマー、又はグリコサミノグリカンから選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
吸湿性成分が水性成分、好ましくは水を含む、請求項66又は請求項67に記載の方法。
【請求項69】
部分的又は全体的な保護層を導電性材料上に堆積させる工程を更に含む、請求項44から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
保護層が、物理蒸着、原子層堆積(ALD)等の化学的堆積、又は印刷によって堆積される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
保護層が、エポキシ又は酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の任意の非導電性金属酸化物から選択される、請求項69又は請求項70に記載の方法。
【請求項72】
抗微生物及び/又は抗ウイルス層が、実質的に透明、半透明であるか、又は可視スペクトルにおいて約50%~99%の間の全体的な透明度を有し、任意選択で場合により、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層が、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛で作られる、請求項44から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層が実質的に不透明であり、任意選択で場合により、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層が、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、又は金で作られる、請求項44から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
基材前駆体が可撓性であり、任意選択で場合により、基材前駆体が、ポリマー接着性フィルム、布、プラスチック、紙、繊維、又はアモルファスシリコンである、請求項45から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
基材前駆体が非可撓性であり、任意選択で場合により、基材前駆体が、ガラス、プラスチック、又はセラミックである、請求項45から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
抗微生物及び/若しくは抗ウイルス剤としての、又は菌を不活化するための請求項1から39のいずれか一項に記載の絶縁体基材、又は請求項40若しくは請求項41に記載の製造品の使用。
【請求項77】
菌を不活化するための抗微生物及び/又は抗ウイルス層の使用であって、
前記の層が、帯電した導電性材料を含み、
導電性材料が電源に接続され、電源及び導電性材料が、電源がフィルム層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が形成されるように、
水含有要素が抗微生物及び/又は抗ウイルス層との接触時にキャパシタ構造によって電解され、これにより水含有要素に含有される菌を不活化するように配置される、使用。
【請求項78】
菌が、ウイルス、細菌、又は真菌である、請求項76又は77に記載の使用。
【請求項79】
ウイルスが、Sars-CoV-2等のコロナウイルス、インフルエンザウイルス、HPV、HIV、又はノロウイルスである、請求項78に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物及び/又は抗ウイルスコーティングを有する基材に関する。本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する絶縁体基材であって、前記層が帯電した導電性材料を含む、絶縁体基材に関する。本発明は更に、帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/又は抗ウイルス層を絶縁体基材の表面上に製造する方法に関する。本発明は更に、本発明のコーティングを製造する方法に関する。本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルス材料を基材上に堆積させるための印刷、リソグラフィー、ALD、CVD及び同様の技術の使用に関する。本発明は更に、本発明のコーティング及び基材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス、細菌及び真菌等の菌は、ある宿主から別の宿主に容易に伝染し得る。菌は、それら自体で移動するのではなく、移動するのにヒト、環境及び/又は医療機器に依存する。伝染は、汚染された表面、しぶき及び飛沫との接触並びに菌を運ぶ液滴の吸入の結果として起こり得る。
【0003】
多数の菌は、ヒト及び動物に無害で、有益でさえある。しかし、その他は、有害であり、感染症を引き起こし得る。そのような場合、菌の蔓延の防止は、脆弱な対象を保護するのに重要な役割を果たす。
【0004】
頻繁に触れられる箇所は、感染性疾患の伝染に関する考慮すべき媒介体であり、現在、これに対する有効な解決策はない。銀、銅、亜鉛、金、チタン、アルミニウム、スズ、鉄、ヒ素、ランタン、及びモリブデン等のいくつかの金属の抗微生物及び抗ウイルス特性は公知である。更に、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化ケイ素及び酸化銀、並びに他の銀、銅及び亜鉛化合物等の金属化合物の形態のナノ粒子は、原核細胞の物理的構造、代謝経路、及びDNA合成を標的にすることができ、細胞死をもたらす活性酸素種(ROS)の発生により、殺菌特性を引き出すことが報告された。(Gold,K.ら,Antimicrobial Activity of Metal and Metal-Oxide Based Nanoparticles. Adv.Therap.,1(3)1700033(2018))。しかし、これらのナノ粒子は、微生物を破壊するのに時間がかかることがあり、ウイルスに対するそれらの効率は確立されていない。一方、消毒剤は、数分だけ持続し、確かな保護を提供しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Gold,K.ら,Antimicrobial Activity of Metal and Metal-Oxide Based Nanoparticles. Adv.Therap.,1(3)1700033(2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、適時に微生物及びウイルスを効率的に死滅させることができる新しい抗ウイルス及び抗微生物剤を提供する必要が依然としてある。
【0007】
本発明は、幅広い表面上のウイルス、細菌及び真菌を不活化することができ、製品の寿命を持ちこたえることができる、即効性で長期持続性の解決策をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗微生物及び/又は抗ウイルスコーティングを有する基材に関する。コーティングは層であってもよく、前記層は帯電した導電性材料を含む。導電性材料は電源に接続され、電源及び導電性材料は、電源が層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が基材の表面上に形成されるように配置される。
【0009】
ここで、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する絶縁体基材であって、前記層が、適時に微生物及びウイルスを効率的に死滅させることができる帯電した導電性材料を含む絶縁体基材が初めて示される。迅速に展開可能な、即効性で長期持続性の保護を提供するために電気及び水電解を使用し、この技術はコロナウイルス等のウイルスを数秒で不活化することができる。
【0010】
本発明は、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する絶縁体基材であって、前記層が帯電した導電性材料を含む絶縁体基材に関する。導電性材料は電源に接続され、電源及び導電性材料は、電源がフィルム層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が基材の表面上に形成されるように配置される。導電性材料は、材料が電源に接続されるときにキャパシタ電極として作用するので帯電される。
【0011】
ある実施形態では、導電性材料は、基材の表面上に少なくとも2つ、又は複数のストリップで配置され、ストリップは互いに間隔が空けられ、ストリップは、隣接するストリップの間のフィルム層にわたって電圧を誘導するように、電源の正及び負の接続部に交互に接続される。
【0012】
ある実施形態では、導電性材料は、基材の表面上に少なくとも2つ、又は複数のストリップで配置され、ストリップは互いに間隔を空けられ、ストリップは、隣接するストリップの間のフィルム層にわたって電圧を誘導するように、交互にフォトカソード及びフォトアノードである。
【0013】
ある実施形態では、電源によって誘導される電圧は、10mV~50Vの範囲内である。ある実施形態では、電源によって誘導される電圧は、1V~10Vの範囲内、好ましくは1V~5Vの間の範囲内である。
【0014】
ある実施形態では、導電性材料は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、クロム、鉄、白金、パラジウム、タングステン、及び金から任意選択で選択される少なくとも1種の金属を含む。導電性材料が1種より多くの金属を含む場合、導電性材料は多層の組合せ及び/又は合金を含むことが理解されるであろう。ある実施形態では、導電性材料は、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ並びにフッ化酸化スズ並びにそれらの混合物及び組合せから任意選択で選択される金属酸化物を含む。ある実施形態では、導電性材料はドープされた金属酸化物を含み、任意選択で場合により、ドープされた金属酸化物はアルミニウムドープ酸化亜鉛である。ある実施形態では、導電性材料は、黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体等の非金属を含む。更なる実施形態では、導電性材料は、例えばグラフェンと組み合わせた銀等の、金属及び非金属成分の混合物又は組合せを含む。金属及び非金属成分の組合せは、組み合わされた組成物として又は1つ若しくは複数の個別の層としてあってもよい。
【0015】
ある実施形態では、導電性材料は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、クロム、白金、パラジウム、タングステン、及び金から任意選択で選択される少なくとも1種の金属並びにそれらの混合物、組合せ及び合金からなる。別の実施形態では、導電性材料は、ニッケル系、コバルト系、及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ並びにフッ化酸化スズ並びにそれらの混合物及び組合せから任意選択で選択される金属酸化物からなる。例はNiCo、ドープされたCo、SrFeO、(Ni、Fe)Oxを含む。
【0016】
別の実施形態では、導電性材料はドープされた金属酸化物からなり、任意選択で場合により、ドープされた金属酸化物はアルミニウムドープ酸化亜鉛である。別の実施形態では、導電性材料は、黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体等の非金属からなる。
【0017】
ある実施形態では、導電性材料はナノ粒子を含む。
【0018】
フォトカソード及びフォトアノードストリップが存在する場合、導電性材料の1種又は複数の成分は、光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感される金属、及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物、並びにそれらの混合物、組合せ及び合金を含み得る。
【0019】
ある実施形態では、ストリップは、導電性材料の単層又は多層で作られる。
【0020】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、実質的に透明若しくは半透明であるか、又は可視スペクトルにおいて約50%~99%の間の全体的な透明度を有する。任意選択で場合により、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛で作られる。あるいは、ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は実質的に不透明である。任意選択で、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、又は金で作られる。
【0021】
ある実施形態では、基材の表面上の導電材料の各隣接するストリップの間の距離は、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~300μmの範囲内、より好ましくは2μm~200μmの範囲内である。
【0022】
ある実施形態では、導電材料の各ストリップの幅は、導電性材料ストリップの間の距離の約2分の1~100分の1であり得る。例えば、各ストリップの幅は、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~500μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内であり得る。特定の実施形態では、導電材料の各ストリップの幅は、約10nm~50μmの間、好ましくは約5μm未満である。特定の例では、導電ストリップの幅は、約1μm~約5μmの間の範囲内であり得る。別の例では、導電ストリップの幅は、約10μm~約200μmの間の範囲内であり得る。
【0023】
ある実施形態では、導電材料の各ストリップの厚み(又は深さ)は、独立して、5nm~1000μmの範囲内、好ましくは500nm~500μmの範囲内、より好ましくは1μm~100μmの範囲内であり得る。特定の例では、導電ストリップの厚みは、約20nm~約500nmの間の範囲内であり得る。別の例では、導電ストリップの幅は、約1μm~約10μmの間の範囲内であり得る。
【0024】
導電性材料は、任意の適切なパターンのストリップで並べられ得るが、特に適切なパターンは、電力源の一方の出力口に接続されたストリップが指のようなパターンで配置され、指が、電力源の他方の出力口に接続されたストリップによって提供される対面の「指」の間にはまる、櫛型アレイである。
【0025】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、吸湿性成分を更に含む。好ましくは、吸湿性成分は、岩塩、珪砂、シリカゲル、CaCl、吸湿性ポリマー、又はグリコサミノグリカンから選択される。ある実施形態では、吸湿性成分は水性成分、好ましくは水を含む。
【0026】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、保護層によって部分的又は全体的にカバーされる。任意選択で場合により、保護層は、エポキシ又は酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の任意の非導電性金属酸化物から選択される。
【0027】
ある実施形態では、絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、抗微生物及び/又は抗ウイルス層の下の絶縁体基材の表面は、酸素プラズマ又はUVオゾンで前処理されている。
【0028】
ある実施形態では、電源は太陽電池である。好ましくは、太陽電池は、有機又はアモルファスシリコン太陽電池であり、好ましくは、太陽電池は、OPV(有機薄膜太陽電池)、DSSC(色素増感太陽電池)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)太陽電池、又はフレキシブルシリコン太陽電池である。
【0029】
別の実施形態では、電源はバッテリーである。好ましくは、バッテリーは、1mm~10mmの範囲内又は10μm~100μmの範囲内の厚みを有する。
【0030】
ある実施形態では、導電性材料は電線によって電源に接続される。ある実施形態では、電線は、金属、導電性金属酸化物、ドープされた金属酸化物、及び/又はグラフェン若しくは炭素、例えばカーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体を含む。
【0031】
ある実施形態では、絶縁体基材は可撓性であり、任意選択で場合により、絶縁体基材は、ポリマー接着性フィルム、布、プラスチック、紙、繊維又はアモルファスシリコンである。別の実施形態では、絶縁体基材は非可撓性であり、任意選択で場合より、絶縁体基材は、ガラス、プラスチック、又はセラミックである。誤解を避けるために、絶縁体は、その定義により非導電性である。
【0032】
本発明はまた、本明細書に定義される絶縁体基材を含む製造品に関する。ある実施形態では、製造品は、電子デバイス、例えば、タブレット又は携帯電話、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、ボタン、ハンドル、スクリーンプロテクター、家具、例えば、シート、テーブル、肘掛け、便座、カップ、ワークトップ、及び器具、例えば台所器具、表札、水栓、自動車ハンドル、自動車の鍵、食品包装、文房具、及び紙幣から選択される。
【0033】
本発明は更に、絶縁体基材の表面上の本明細書に定義されるような帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は本明細書に定義される製造品の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造における、印刷、原子層堆積又はフォトリソグラフィー等のリソグラフィー、好ましくはインクジェット又はスクリーン印刷の使用に関する。
【0034】
本発明はまた、絶縁体基材の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は本明細書に定義される製造品の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造における、レーザーアブレーション又は切断システムの使用であって、レーザーアブレーション又は切断システムが、商業的に存在する導電性フィルムからストリップを取り、導電材料のストリップを作るために使用される、使用に関する。
【0035】
本発明は更に、本明細書に定義される絶縁体基材又は本明細書に定義される製造品を作製する方法に関する。
【0036】
本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層を上に有する基材を作製する方法であって、前記フィルム層が導電性材料を含み、方法が、
a)前駆基材及び導電性材料インクを用意する工程であって、前駆基材が絶縁体材料で作られている、工程、
b)導電性材料インクを前駆基材の表面上に印刷する工程
を含む方法に関する。
【0037】
ある実施形態では、導電性材料インクは、金属、金属酸化物、及び/若しくはドープされた金属酸化物並びに/又はそれらの混合物及び合金、並びに溶媒を含む。任意選択で、金属及び/又は金属酸化物は、銀、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、ニッケル、コバルト、タングステン、パラジウム、白金、及び金から選択される。ある実施形態では、導電性材料インクは、黒鉛、グラフェン又は炭素等の非金属並びにそれらの混合物及び組合せ、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体、並びに溶媒を含む。ある実施形態では、導電性材料インクはナノ粒子を含む。ある実施形態では、導電性材料インクは、光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感される金属、及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物、並びに溶媒を含む。ある実施形態では、溶媒はエタノールである。
【0038】
ある実施形態では、方法の工程b)は、導電性材料インクを印刷して導電性材料の少なくとも2つ、又は複数のストリップを前駆基材の表面上に形成する工程であって、ストリップが本明細書に定義及び記載されるように互いに間隔を空けられる工程を更に含む。ある実施形態では、導電性材料の多数の層を形成するために、方法の工程b)は繰り返される。
【0039】
ある実施形態では、フォトリソグラフィープロセスは、導電性材料インクを前駆基材の表面上に印刷する前に、必要とされるパターンのフォトマスクを生成するために使用され得る。
【0040】
ある実施形態では、方法の工程a)は、絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、前駆基材を酸素プラズマ又はUVオゾンで処理する工程を更に含む。
【0041】
本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する基材を作製する方法であって、前記層が導電性材料を含み、方法が、
a)絶縁体材料で作られた前駆基材及び導電性材料の層でコーティングされた基材を用意する工程、
b)レーザーアブレーション又は切断システムを使用して導電性材料のストリップを取り、これにより導電材料のストリップを基材の表面上に形成する工程であって、ストリップが互いに間隔を空けられる、工程、
c)導電性材料のレーザー切断されたストリップを絶縁体材料で作られた前駆基材上に接着する工程
を含む方法に関する。
【0042】
ある実施形態では、前駆基材はアルミニウムテープである。
【0043】
ある実施形態では、前駆基材の表面上の各隣接するストリップの間の距離は、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~200μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内であり得る。
【0044】
ある実施形態では、各ストリップの幅は、ストリップの間の距離の約2分の1~100分の1の間である。例えば、各ストリップは、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~500μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内の幅を有し得る。特定の例では、各ストリップは、独立して、約1μm~約5μmの間の範囲内の幅を有し得る。別の例では、各ストリップは、独立して、約10μm~約200μmの間の範囲内の幅を有し得る。
【0045】
ある実施形態では、各ストリップの厚みは、独立して、5nm~1000μmの範囲内、好ましくは500nm~500μmの範囲内、より好ましくは1μm~100μmの範囲内である。適切な厚みは約10nm~200nmでもある。特定の例では、各ストリップは、独立して、約20nm~約500nmの間の範囲内の厚み(又は深さ)を有し得る。別の例では、各ストリップは、独立して、約1μm~約10μmの間の範囲内の厚み(又は深さ)を有し得る。
【0046】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、電源を前駆基材の表面上に印刷又は設置する工程であって、電源が前駆基材の表面上の抗微生物及び/又は抗ウイルス層にわたって電圧を誘導できるように、電源及び導電性材料が配置される、工程を更に含む。ある実施形態では、電源は太陽電池又はバッテリーである。ある実施形態では、電源は太陽電池であり、任意選択で、太陽電池は、有機又はアモルファスシリコン太陽電池であり、好ましくは、太陽電池は、OPV(有機薄膜太陽電池)、DSSC(色素増感太陽電池)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)太陽電池、又はフレキシブルシリコン太陽電池である。別の実施形態では、電源はバッテリーであり、任意選択で、バッテリーは10μm~100μmの範囲内の厚みを有する。
【0047】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、電線を印刷する工程であって、電線が導電性材料の各ストリップを電源に接続する工程を更に含む。ある実施形態では、電線は、本明細書に記載及び定義されるような金属、導電性金属酸化物、ドープされた金属酸化物、及び/又は黒鉛、グラフェン若しくは炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体を含む。
【0048】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、前駆基材上に吸湿性成分の層を形成する工程を更に含む。ある実施形態では、吸湿性成分は、岩塩、珪砂、シリカゲル、CaCl、吸湿性ポリマー、又はグリコサミノグリカンから選択される。ある実施形態では、吸湿性成分は水性成分、好ましくは水を含む。
【0049】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、部分的又は全体的な保護層を導電性材料上に堆積させる工程を更に含む。ある実施形態では、保護層は、物理蒸着、ALD等の化学的堆積、又は印刷によって堆積される。ある実施形態では、保護層は、エポキシ又は本明細書に定義及び記載されるような酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の任意の非導電性金属酸化物から選択される。
【0050】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、実質的に透明、半透明であるか、又は可視スペクトルにおいて約50%~99%の間の全体的な透明度を有する。ある例では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛で作られ得る。別の実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は実質的に不透明であり、任意選択で場合により、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、又は金で作られる。
【0051】
ある実施形態では、基材前駆体は可撓性であり、任意選択で場合により、基材前駆体は、ポリマー接着性フィルム、布、プラスチック、紙、繊維、又はアモルファスシリコンである。別の実施形態では、基材前駆体は非可撓性であり、任意選択で場合により、基材前駆体は、ガラス、プラスチック、又はセラミックである。
【0052】
本発明はまた、本明細書に定義されるような絶縁体基材を堆積させる方法又は本明細書に定義されるような製造品に関する。
【0053】
本発明は更に、抗微生物剤としての、本明細書に定義される絶縁体基材、又は本明細書に定義される製造品の使用に関する。用語「抗微生物」は、細菌及び真菌を包含する。
【0054】
本発明はまた、抗ウイルス剤としての、本明細書に定義される絶縁体基材、又は本明細書に定義される製造品の使用に関する。
【0055】
本発明はまた、菌を不活化するための、本明細書に定義される絶縁体基材、又は本明細書に定義される製造品の使用に関する。
【0056】
本発明はまた、菌を不活化するための抗微生物及び/又は抗ウイルス層の使用であって、
層が、本明細書に定義及び記載される帯電した導電材料を含み、
導電性材料が電源に接続され、電源及び導電性材料が、電源が層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が形成されるように、
水含有要素が、抗微生物及び/又は抗ウイルス層との接触時にキャパシタ構造によって電解され、これにより水含有要素に含有される菌を不活化するように配置される、使用に関する。
【0057】
ある実施形態では、菌は、ウイルス、細菌、又は真菌である。ある実施形態では、菌は、ウイルス、例えば、Sars-CoV-2等のコロナウイルス、インフルエンザウイルス、HPV、HIV、又はノロウイルスである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】約200マイクロリットルの水滴中で、Si/SiO上に堆積された2つの隣接した(櫛型)Ti/Au電極ごとの間に4ボルトを印加することによって引き起こされた水の電解を示す図である。
図2】本発明による絶縁体基材の例の上面図であり、導電性材料のストリップはストリップのグリッドで配置され、グリッドは電源の負極及び正極に交互に接続される。導電性材料のストリップは、櫛型電極構造を基材の表面上に形成するように配置される。
図3図3aは、2層の導電性電極が置かれた表面を通る断面図である。図3bは、導電性電極が堆積されたエッチングされた溝を含む表面を通る断面図である。
図4】分解された詳細図において示されるアレイと共に、本発明に従う櫛型アレイを示す概略図である。
図5】4Vの電圧差が、ガラス表面上の隣接した2μmの幅の導電線に印加された場合の電位及び電気力線を表すシミュレーション結果を示す図である。
図6】本発明の通りのアレイを透明基材上に転写するために使用されたフォトマスクの画像を示す図である。マスクは、アレイパターンの透明性を実証する。
図7】本発明による絶縁体基材上の導電材料のストリップの断面図を示す図である。保護層及び吸湿性成分は任意選択である。
図8】本発明による絶縁体基材の例の概略図を示す図である。1列のソーラーユニットが電源として使用される。
図9】本発明による絶縁体基材の例の概略図を示す図である。バッテリーユニットが電源として使用される。
図10a】精製前(A)の銀ナノワイヤーのSEM画像を示す図である。
図10b】精製後(B)の銀ナノワイヤーのSEM画像を示す図である。
図11】透明度の比較のために異なるブレンド比でブレードコーティングされたインク電極の写真を示す図である。(A)1.5:1のブレンド比のエタノール中AgNWとPolyBioWire(登録商標)インクの配合物。ブレードコーティングされたインク電極は、8~20Ω/squareのシート抵抗及び550nmで82.4%の透明度を示す。(B)1:1のブレンド比のエタノール中AgNWとPolyBioWire(登録商標)インクの配合物。ブレードコーティングされたインク電極は、5~8Ω/squareのシート抵抗及び550nmで56.7%の透明度を示す。(C)PolyBioWire(登録商標)インク。ブレードコーティングされたインク電極は、3~4Ω/squareのシート抵抗及び550nmで42.%の透明度を示す。
図12】MHV及びSars-Cov-2ウイルスのクローズ型のスパイク糖タンパク質(S)構造の表面並びにそれらのmVの電荷値を示す図である。
図13】弱い電場の殺ウイルス特性を試験するために使用された設計構成を示す図である。左側では、MHVウイルスは、電力源に接続された2つのアルミニウム電極の間に置かれる。右側では、MHVウイルスは、電力源に接続された、PETフィルムの表面上に印刷された櫛形電極構造上に置かれる。
図14】希釈及び試験プレート構成を示す図である。各処理は、4回試験され、試験プレートに4連で入れられた。
図15】各処理のTCID50/mlを計算するためにエクセルシートで使用されたReed-Muench Calculatorを示す図である。
図16】60秒(左)及び30秒(右)の接触時間でのMHVの感染性のlog減少を示す図である。
図17】試験及び参照対照材料との10秒の接触時間後のヒトコロナウイルスNL63についての平均TDIC50/cm値を示すグラフである。エラーバーは平均の標準誤差である。
図18】試験及び参照対照材料との2秒の接触時間後のヒトコロナウイルスNL63の平均TDIC50/cm値を示すグラフである。エラーバーは平均の標準誤差である。
図19】スマートフォン及びスマートウォッチの抗微生物/抗ウイルスタッチスクリーンに適した電極のCAD設計を示す図である。
図20A】強化ガラススマートウォッチスクリーンプロテクター上のTi/Au櫛型アレイを示す図である。
図20B】透明度を示す、アレイのクローズアップを示す図である。
図21】強化ガラススマートウォッチスクリーンプロテクター上のレジストリフトオフプロセス後のTi/Au櫛型アレイの顕微鏡画像を示す図である。
図22図22は、ガラス基材上に作成したTi/Au電極の電気的安定性試験を示す。図22A~Cはそれぞれ、0、3.5、及び4ボルトにおけるアレイ(配列)上の水滴を示している。図22Dはアレイに適用した電圧の増加を示し、図22Eは経時的な電流の安定性を示す。
図23】櫛型銀電極の高さプロファイリングを示す図である。左側の画像は、測定が行われたデバイスの位置を示し、高さプロファイルグラフは右に示される。
図24A】銀インクで充填する前のマイクロインプリントされた溝の深さを示す透明アレイの画像及び得られた銀ワイヤーの分析を示す図である。
図24B】銀インクで充填した後のマイクロインプリントされた溝の深さを示す透明アレイの画像及び得られた銀ワイヤーの分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明は、抗微生物及び/又は抗ウイルスコーティングを有する基材に関する。コーティングはフィルム層であってもよく、前記フィルム層は帯電した導電性材料を含む。
【0060】
1.抗微生物及び/又は抗ウイルス基材
一態様では、本発明は、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する絶縁体基材であって、前記層が、電源に接続された帯電した導電性材料を含み、電源及び導電性材料が、電源が層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が基材の表面上に形成されるように配置される絶縁体基材に関する。
【0061】
本発明の基材の抗微生物及び/又は抗ウイルス特性は、とりわけ、本発明の基材の表面との接触時に、ウイルス、細菌、及び真菌を伴う水分を電解することに依存する。
【0062】
少量の電気を水に印加することは、水の分子を破壊し、その天然の表面張力を下げ、正及び負に帯電したイオンを生じさせることは周知である。直流(DC)電圧を水に印加することは、イオンの移動によって水のpHを変化させ得るイオン化した水を生成する。アノードで生成された水は、Hイオンの増加によりpHが低下し、酸化還元電位(ORP)は増加し、強い酸化状態になる。イオンの増加によりpHは上昇し、還元状態になる。加えて、主要な活性成分として次亜塩素酸(HOCl)を含有する強酸性の電解水は、電極のアノードで生成される。物理化学的分析(ESR)は、強酸性の電解水中で発生したヒドロキシル基(・OH)及び過酸化水素(H)が、組み合わさり、強い殺菌/殺ウイルス効果を有することを実証した。加えて、強アルカリ性の電解水は、カソードで副生成物として生成され得る。
【0063】
これを実証するために、本発明に従って、櫛型Ti/Au電極をSi/SiO基材上に製作した。感光性ポリマー(フォトレジストAZ5214E)の薄層(1μm~2μm)を初めにケイ素/二酸化ケイ素(Si/SiO)ウェーハー上にスピンした。溶媒を除去し、フォトレジストを固めるために、ウェーハーを110℃で2分間ベークした。電極パターンを転写するために、フォトレジストを260mJ/cmで露光するレーザービームライターを使用した。ウェーハーをAZ351B現像剤中で40秒間現像し、次いでDI水ですすぎ、乾燥窒素ガスを使用して乾燥させた。現像したら、サーマルエバポレーターを使用してTi及び金を蒸着した。Tiは20nmの厚みであり、金は150nmであった。しかし、Tiの厚みは1nm~50nmであってもよく、金は20nm~500nmであってもよい。次いで、望まないエリアからTi/金を除去するために、ウェーハーをアセトンに数時間浸すことを含むリフトオフプロセスを行った。得られた電極は、8μmの幅及び3cmの長さを有した。92%の理論上の透明度を得るために、電極間の間隔は100μmであった。
【0064】
これらの櫛型電極の電解機能を試験するために、アレイを約200マイクロリットルの水滴中に入れ、4Vを2つの隣接した電極ごとの間に流した。図1に示されるように、電解は明らかに観察され、このプロセス中に生じた泡によって証明された。
【0065】
調整されたpH又は酸化還元電位を有するイオン化された水は、殺菌及び抗ウイルス効果を有する。ウイルス及び細菌のDNA又はRNA又はタンパク質は、強酸性の電解水によって処理された場合、損傷を受ける。加えて、微量の水酸化ナトリウム(NaOH)を含有するアルカリ水は、脂肪及び油に対する乳化特性を有し、ウイルス及び細菌中のタンパク質を溶解することができる。
【0066】
感染性疾患の伝染の重要な様式は、ウイルス、細菌、又は真菌を含有する感染したヒトの唾液等の体液の液滴が、咳又はくしゃみにより放出され、表面に着地する場合に起こる。ウイルス、細菌、又は真菌は、ある程度の水分を維持する。この水は、マイクロモル範囲ほどの少ない量でさえ、本発明による帯電した導電性材料及び吸湿性成分(例えば親水性ポリマー)を含む層を上に有する絶縁体基材との接触時に電解され、したがって、結果として病原体を不活化することができる。
【0067】
本発明の基材の抗微生物及び/又は抗ウイルス特性は、とりわけ、電圧を生じさせることによるウイルス又は微生物ナノ粒子の不安定化にも依存する。例えば、ウイルス粒子は、典型的には、3.5~7の等電点(IEP)を有し、これは、これらのpH値でウイルス粒子がより少ないコロイド安定性を維持し得ることを意味し、ウイルス粒子が一般的に、不安定なゼータ電位範囲に留まる理由を説明する。本発明の基材の表面との接触時に、ウイルス粒子は電場に曝露される。これは、ウイルス粒子のゼータ電位を変化させる効果を有し、それらの動電学的特性に影響を及ぼし、したがって、それらを凝集させ、宿主細胞に入れなくする。
【0068】
ある実施形態では、導電性材料は、基材の表面上に少なくとも2つストリップ、又は複数のストリップで配置され、ストリップは互いに間隔を空けられ、ストリップは、隣接するストリップの間の層にわたって電圧を誘導するように電源の正及び負の接続部に交互に接続される。ある実施形態では、導電性材料のストリップは、櫛型電極構造を基材の表面上に形成するように配置される。
【0069】
ある実施形態では、ストリップは互いに平行である。ストリップは、ストリップのグリッドで配置されてもよく、グリッドは、電源の負及び正極に交互に接続される(図2)。ある実施形態では、複数のストリップは櫛型構造を作り、各代替のストリップは互いに接続して第1の群を形成し、各他の代替のストリップは互いに接続して第2の群を形成する。第1の群は更に、バッテリー又は太陽電池等の電源の正極に接続され、第2の群は更に、電源の負極に接続される。櫛型の幾何学的形状は、製作するのが単純で、表面全体を簡単にカバーすることができる。そのような配置又はアレイの例は、図2に示され、より詳細に図3に示される。しかし、多層及びサンドイッチ幾何学的形状も本発明によって包含される。
【0070】
ある実施形態では、導電性材料は、基材の表面上に少なくとも2つ、又は複数のストリップで配置され、ストリップは互いに間隔を空けられ、ストリップは、隣接するストリップの間の層にわたって電圧を誘導するように交互にフォトカソード及びフォトアノードである。光活性導電性材料は、室内及び/又は室外照明下で、電流及び電圧を生成する。
【0071】
ある実施形態では、電源によって誘導される電圧は、10mV~50Vの範囲内である。別の実施形態では、電源によって誘導される電圧は、1V~10Vの範囲内である。特定の実施形態では、電源によって誘導される電圧は、1V~5Vの範囲内である。理想的には、最低電圧は1.2Vであり、特に有効な電圧は1.3V~4Vの間である。電圧が電極間に印加された場合、電場が生じる。
【0072】
非接触状態において、電極を通して電流は流れない、又は1マイクロアンペア未満の非常にわずかな電流が流れる。しかし、基材表面上に大気由来のいくらかの又はいかなる湿度でもある場合、導電路が電極間に生じ、基材上に着地するいかなる空気中の微生物/ウイルスも死滅する。
【0073】
接触状態において、皮膚水分由来の水又は微生物由来の水は、電解し、回路内に電子を生じさせるので、接触の面積及び皮膚等の接触物の導電性に応じて、より高い電流が電極間に流れる。図4は、4Vの電圧差が、ガラス表面上の100μm離れた隣接した櫛型の2μmの幅の電極間に印加された場合の電位及び電気力線を表すシミュレーション結果を示す。電極間の電位差は水電解を引き起こす。
【0074】
ある実施形態では、導電性材料は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、クロム、鉄、白金、パラジウム、タングステン、及び金から任意選択で場合によって選択される少なくとも1種の金属、並びにそれらの混合物、組合せ及び合金を含む。ある実施形態では、導電性材料は、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ並びにフッ化酸化スズから任意選択で選択される金属酸化物、並びにそれらの混合物及び組合せを含む。ある実施形態では、導電性材料はドープされた金属酸化物を含み、任意選択で場合により、ドープされた金属酸化物はアルミニウムドープ酸化亜鉛である。ある実施形態では、導電性材料は、黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体等の非金属を含む。本発明は、組合せ、混合物、合金、及び多層も包含することが理解されるであろう。
【0075】
ある実施形態では、導電性材料は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、クロム、白金、パラジウム、タングステン、及び金から任意選択で場合によって選択される少なくとも1種の金属、並びにそれらの組合せ、合金、及び多層からなる。別の実施形態では、導電性材料は、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ並びにフッ化酸化スズ並びにそれらの混合物及び組合せから任意選択で場合によって選択される金属酸化物からなる。別の実施形態では、導電性材料はドープされた金属酸化物からなり、任意選択で場合により、ドープされた金属酸化物はアルミニウムドープ酸化亜鉛である。別の実施形態では、導電性材料は、黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体等の非金属、並びにそれらの混合物及び組合せからなる。
【0076】
ある実施形態では、導電性材料はナノ粒子を含む。ある実施形態では、導電性材料は金ナノ粒子を含む。
【0077】
特定の例では、導電性材料は、本明細書に記載したようにインクとして配合され得る。そのような配合物に適した金属は、金、チタン、クロム、アルミニウム、及び銅、並びにそれらの組合せ及び合金を含む。これらの金属は金属酸化物であり得る。これらは、代替的に又は加えて、ナノ粒子形態を有し得る。インクは、黒鉛、グラフェン又は炭素等の非金属、並びに金属及び非金属の混合物及び組合せも含み得る。
【0078】
フォトカソード及びフォトアノードストリップが存在する場合、導電性材料は、光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感される金属、及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物を含み得る。
【0079】
ある実施形態では、ストリップは、導電性材料の単層又は多層で作られる。ある実施形態では、ストリップは、導電性材料の単層で作られる。ある実施形態では、ストリップは、導電性材料の多層で作られる。ある実施形態では、ストリップは、1種又は複数の金属及び/又は導電性金属酸化物で作られる。ある実施形態では、ストリップは、1種又は複数の金属及び/又は導電性金属酸化物の単層で作られる。ある実施形態では、ストリップは、1種又は複数の金属及び/又は導電性金属酸化物の多層で作られる。ある実施形態では、ストリップは、黒鉛、グラフェン又は炭素等の導電性非金属で作られる又はそれを含む。
【0080】
ストリップのアレイは、表面上に直接適用されてもよく、又は後にデバイス表面に適用されるポリマー、ガラス、若しくはサファイアの透明プロテクター上に適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0081】
アレイは表面上に直接堆積されてもよく、したがって、導電性材料は、塗布されると、表面から盛り上がっていることも理解されるであろう。あるいは、アレイのパターンは表面にエッチングされてもよく、したがって導電性材料は、塗布されると、表面内に留まり、導電性材料の上部の露光された表面は、アレイが位置する表面と実質的に同一平面である。
【0082】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、実質的に透明又は半透明である。例えば、電極の幅は、電極間の間隔の2分の1~100分の1であり得る。このようにして、可視スペクトルにおける50%~99%の全体的な透明度が達成される。例えば、電極の幅は、約1μm~約5μmの間又は約10μm~200μmの間であり得る。理想的には、導電電極の厚みは、0.01mm~10nmの間であるか、約20nm~約500nmの間であるか、約1μm~約10μmの間であるか、又は5μm未満である。
【0083】
図6に示されるように、導電性材料のアレイを透明にすることが可能である。図は、透明ガラス基材上にパターン化された櫛型電極の画像を示す。黒い箱の内側のエリアは、櫛型の外形を有する。基材の下部は、櫛型電極を通して簡単に読むことができる印刷物である。これは、裸眼には透明に見える小さい電極幅及び大きい電極間隔に起因し、本発明の基材が90%超の良好な透明度を有することを実証する。
【0084】
一例では、導電性材料は、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛で作られる。ある実施形態では、導電性材料は酸化インジウムスズ(ドープされた酸化スズ)であり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。別の実施形態では、導電性材料はフッ化酸化スズであり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。別の実施形態では、導電性材料はアルミニウムドープ酸化亜鉛であり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0085】
あるいは、ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は実質的に不透明であり、導電性材料及び/又は基材は、基材が使用される又は適用される周囲に溶け込む又は合うデザイン等の色又はパターンを含み得る。任意選択で、導電性材料は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、白金、ニッケル、コバルト、パラジウム、又は金で作られる。ある実施形態では、導電性材料はアルミニウムであり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0086】
別の実施形態では、導電性材料は亜鉛であり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0087】
別の実施形態では、導電性材料は銅であり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0088】
別の実施形態では、導電性材料はチタンであり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0089】
別の実施形態では、導電性材料は鉄であり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0090】
別の実施形態では、導電性材料は銀であり、導電材料のストリップは5nm~1000μmの範囲内の厚みを有する。好ましくは、厚みは25nmである。好ましくは、厚みは50nmである。好ましくは、厚みは100nmである。
【0091】
ある実施形態では、基材の表面上の導電材料の各隣接するストリップの間の距離は、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~200μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内である。ある実施形態では、導電材料の各ストリップの幅は、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~500μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内である。特定の例では、導電材料の各ストリップの幅は、約1μm~約5μmの間の範囲内であり得る。別の例では、導電材料の各ストリップの幅は、約10μm~約200μmの間の範囲内であり得る。
【0092】
ある実施形態では、導電材料の各ストリップの厚み又は深さは、独立して、5nm~1000μmの範囲内、好ましくは500nm~500μmの範囲内、より好ましくは1μm~100μmの範囲内である。特定の例では、導電材料の各ストリップの厚み又は深さは、約20nm~約500nmの間の範囲内であり得る。別の例では、導電材料の各ストリップの厚み又は深さは、約1μm~約10μmの間の範囲内であり得る。
【0093】
本発明の基材の表面上のウイルス、細菌、又は真菌の周りの水の存在は、環境由来の湿気を吸収又は蓄えることができる吸湿性成分の添加によって増加し得る。有利なことに、吸湿性成分は、天然で、非毒性で、安く、広く入手可能である。ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層は、吸湿性成分を更に含む。好ましくは、吸湿性成分は、岩塩、珪砂、シリカゲル、CaCl、親水性ポリマー、又はグリコサミノグリカンから選択される。ある実施形態では、吸湿性成分は吸湿性ポリマーである。好ましくは、吸湿性ポリマーは、ポリビニルアルコール又はポリエチレングリコールである。好ましくは、吸湿性ポリマーは、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールの混合物である。ある実施形態では、吸湿性物質はグリコサミノグリカンである。好ましくは、吸湿性物質は非硫酸化グリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸である。ある実施形態では、吸湿性成分は水性成分、好ましくは水を含む。好ましくは、吸湿性成分は光架橋剤と混合されて、熱処理下又は露光(例えばUV光)下で吸湿性成分と光架橋剤の間に架橋を形成し、こうして、吸湿性成分が水及び/又は湿気への連続曝露下で可溶性になることを防止する。
【0094】
本発明の基材の表面上のウイルス、細菌、又は真菌の周りの水の存在は、絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層の下の絶縁体基材の表面を酸素プラズマ又はUVオゾンで処理することによっても増加し得る。これは、唾液等の着地する体液の液滴を抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層の導電材料のストリップの間に可能な限り多く拡大させ、したがって、導電材料のストリップと接触する可能性を最大にする。ある実施形態では、絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層の下の絶縁体基材の表面は、酸素プラズマ又はUVオゾンで前処理されている。ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層の下の絶縁体基材の表面は、酸素プラズマで前処理されている。ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層の下の絶縁体基材の表面は、UVオゾンで前処理されている。
【0095】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、保護層によって部分的又は全体的にカバーされる(図7)。任意選択で、保護層は、エポキシ又は酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の任意の非導電性金属酸化物から選択される。保護層は、導電性材料のストリップを湿気への曝露中の劣化から保護する。
【0096】
電極アレイは、独立型バッテリーによって動力を供給され得るか、又はUSB若しくはポゴピン(pogo pin)等の適当な接続部を使用して、アレイが適用される携帯電話若しくはタブレット等の電子デバイスのバッテリーによって動力を供給され得る。デバイスの内部バッテリーへの接続は、充電に使用されるUSB差し込み口又はデバイス上若しくはデバイス内の同様の専用の差し込み口を通して行われ得る。それに代えて又はそれに加えて、接続は、設計された接続部を使用してデバイスの表面上で行われ得る。電源は太陽電池又はバッテリーであり得る(図2図8及び図9)。ある実施形態では、基材の表面上に最大の抗ウイルス面積を作るために、電源は可能な限り基材表面の縁の近くを覆う及び/又は近くに設置される。基材の1つ又は複数の表面は、電源で覆われ得る。例えば、太陽電池及び/又はバッテリーの連続する列は、基材の表面全てを覆う(図8)。
【0097】
ある実施形態では、電源は太陽電池である。好ましくは、太陽電池は、有機又はアモルファスシリコン太陽電池であり、好ましくは、太陽電池は、OPV(有機薄膜太陽電池)、DSSC(色素増感太陽電池)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)太陽電池、又はフレキシブルシリコン太陽電池である。ある実施形態では、太陽電池は商業的に入手可能である。別の実施形態では、太陽電池は印刷可能な太陽電池である。ある実施形態では、太陽電池は、有機ポリマー(例えば、チオフェン系ポリマー等の共役ポリマー)、小分子(例えば、共役小分子、フラーレン系小分子、非フラーレン系小分子、ペリレン小分子)、及び/又は光活性材料として配置されたハイブリッド有機-無機構造からなる色素増感太陽電池である。
【0098】
ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~100cmの面積を有する。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~50cmの面積を有する。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~10cmの面積を有する。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~25mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは2.25mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは4mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは10mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは1cmの面積を有する。ある実施形態では、本発明による基材の表面は、2~10個の太陽電池ユニットを有する。太陽電池に使用される光活性材料は、100nm~2μmの範囲内、好ましくは300nm~500nmの範囲内の厚みを有する。電子輸送層(ETL)は、25nm~500nmの範囲内、好ましくは50nm~100nmの範囲内の厚みを有する。正孔輸送層(HTL)は、25nm~500nmの範囲内、好ましくは50nm~100nmの範囲内の厚みを有する。ある実施形態では、カソード材料は、アルミニウム、銀、カルシウム及び銀、カルシウム及びアルミニウム、又はフッ化リチウム及びアルミニウムであり、カソードは、50nm~500nmの範囲内、好ましくは100nm~200nmの範囲内の厚みを有する。ある実施形態では、カソード材料はフッ化リチウムであり、カソードは、0.1nm~2nmの範囲内、好ましくは1nmの厚みを有する。ある実施形態では、カソード材料はカルシウムであり、カソードは、2nm~50nmの範囲内、好ましくは10nm、より好ましくは20nmの厚みを有する。ある実施形態では、アノード材料は透明導電性酸化物であり、アノードは、50nm~500nmの範囲内、好ましくは100nm~200nmの範囲内の厚みを有する。
【0099】
別の実施形態では、電源はバッテリーである。好ましくは、バッテリーは、1mm~10mmの範囲内、又は10μm~100μmの範囲内の厚みを有する。ある実施形態では、バッテリーは商業的に入手可能である。別の実施形態では、バッテリーは印刷可能なバッテリーである。ある実施形態では、バッテリーは、10mV~50Vの範囲内の電圧を有する薄型又は超薄型バッテリーである。好ましくは、バッテリーは1V~5Vの範囲内の電圧を有する。好ましくは、バッテリーは1.5Vの電圧を有する。好ましくは、バッテリーは2Vの電圧を有する。好ましくは、バッテリーは2.5Vの電圧を有する。
【0100】
ある実施形態では、導電性材料は電線によって電源に接続される。ある実施形態では、電線は、本明細書に定義及び記載されるような、金属、導電性金属酸化物、ドープされた金属酸化物、及び/又はグラフェン若しくは炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体を含む。ある実施形態では、電線は、導電性材料のストリップを作製するのに使用される材料と同じ材料で作られる。別の実施形態では、電線は、導電性材料のストリップを作製するのに使用される材料と異なる材料で作られる。
【0101】
ある実施形態では、絶縁体基材は絶縁体材料で作られる。別の実施形態では、絶縁体基材は、共役ポリマー、小分子、及び/又は金属酸化物から任意選択で場合によって択される不良半導体材料で作られる。
【0102】
ある実施形態では、絶縁体基材は可撓性であり、任意選択で場合により、絶縁体基材は、ポリマー接着性フィルム、布、プラスチック、紙、繊維、又はアモルファスシリコンである。別の実施形態では、絶縁体基材は非可撓性であり、任意選択で場合により、絶縁体基材は、ガラス、プラスチック、又はセラミックである。一例では、導電性アレイは、表面に直接適用されてもよく、又は後に表面に適用されるポリマー、ガラス若しくはサファイアの透明プロテクター上に適用されてもよい。表面は携帯電話又はタブレットであり得る。
【0103】
本発明は、幅広い範囲の製品の製造、特に、頻繁に触れられる表面に組み込まれ得る。本発明は、幅広い範囲の表面上のウイルス及び細菌を不活化し、製品の寿命を持ちこたえる、即効性で長期持続性の抗微生物及び/又は抗ウイルスシールドを生成する。したがって、本発明はまた、本明細書に定義される絶縁体基材を含む製造品に関する。ある実施形態では、製造品は、電子デバイス、例えば、タブレット又は携帯電話、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、ボタン、ハンドル、スクリーンプロテクター、家具、例えば、シート、テーブル、肘掛け、便座、カップ、ワークトップ、及び器具、例えば台所器具、表札、水栓、自動車ハンドル、自動車の鍵、食品包装、文房具、及び紙幣から選択される。
【0104】
製造品が電子デバイスである場合、電子デバイスの元の電源が、電力源として使用され得る。
【0105】
2.製造方法
本発明は更に、絶縁体基材の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は本明細書に定義される製造品の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルスフィルム層の製造における印刷、好ましくはインクジェット印刷の使用に関する。本発明はまた、絶縁体基材の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は本明細書に定義される製造品の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造における原子層堆積(ALD)の使用に関する。
【0106】
本発明はまた、絶縁体基材の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は本明細書に定義される製造品の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造におけるリソグラフィーの使用に関する。用語「リソグラフィー」は、フォトリソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィー、e-ビームリソグラフィー、レーザーリソグラフィー、レーザーエッチング、投影リソグラフィー、イオンビームリソグラフィー及びx線リソグラフィーを包含する。
【0107】
一例では、電極は、リソグラフィー後に導電電極材料を堆積させる工程及びリフトオフプロセスによって、又はリソグラフィーの前に導電電極を堆積させる工程、及び続くエッチングプロセスによって製作され得る。
【0108】
一実施形態では、櫛型電極は、初めに、本明細書に定義されるリソグラフィープロセスを使用して、レジストと呼ばれるポリマー層にパターンを転写し、その後エッチングし、次いで、リフトオフプロセスを使用して導電(金属)電極並びにそれらの多層の組合せ及び合金を堆積させる工程によって、表面上に製作され得る。特定の例では、電極アレイの幾何学的形状は、より滑らかな表面が最終デバイスにおいて達成されるように、リソグラフィー後に表面がプラズマ又はウェットエッチングされ、導電電極が溝に堆積されるようなものである。例として、図3aは、表面上に製作された電極を有する表面の断面を示す。別の例では、導電性電極は、透明な基材をエッチングした後に作られた溝に堆積され得る。図3bにおいてわかるように、エッチングされた溝は、理想的には、導電電極の全厚みとほぼ同じ深さを有する。溝は、ウェット又はドライエッチングプロセスのどちらかを使用して作られ得る。理想的には、エッチングは、電極を堆積させるために使用される同じリソグラフィー工程を使用して行われる。
【0109】
特定の実施形態では、本発明の基材は、櫛型電極、電流調節回路、及び電力源を含む。図4は、本発明に従う櫛型アレイに関する特定の設計を示す。抗ウイルス及び抗細菌活性は、櫛型導電電極間に、1Vから10Vまで変動し得る小さい電圧差の印加を必要とする。電流調節回路は、IC回路及びプロセッサーによって制御される定抵抗器又は可変抵抗器であり得ることが理解されるであろう。電流調節回路の役割は、短絡があるか又は洗浄若しくはこぼれ等のときに過剰な量の水が表面上に存在する状況において、電力源及び基材全体を保護するために電流の流れを制限することである。
【0110】
本明細書に記載の(櫛型)電極は、異なる形態で配置され得ることが理解されるであろう。図において、要素の幅、長さ、厚み等は、便宜上及び例示目的で誇張され得る。最終回路設計は、多くの並列の組合せ及び直列の組合せの電極の組合せ、好ましくは櫛型電極であり得る。
【0111】
本発明はまた、絶縁体基材の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層、又は本明細書に定義される製造品の表面上の本明細書に定義される帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/若しくは抗ウイルス層の製造におけるレーザーアブレーション又は切断システムの使用であって、レーザーアブレーション又は切断システムが、商業的に存在する導電性フィルムからストリップを取り、導電材料のストリップを作るために使用される、使用に関する。導電性材料のグリッドは、透明又は非透明材料(例えば、ITO、Al)でコーティングされたPET/プラスチック基材上でレーザー切断によって作製され得る。次いで、レーザー切断されたグリッドは、接着剤を使用して絶縁体基材上に接着され得る。
【0112】
熱蒸着、電子ビーム蒸着、物理蒸着、化学蒸着、スパッタ堆積、電気メッキ、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、スプレーコーティング、ロールツーロール印刷、3D印刷、ナノ/マイクロインプリンティング及び原子層堆積、パルスレーザー堆積、電気メッキ、無電解メッキ及びゾルゲルは全て、本発明の抗微生物及び/又は抗ウイルス層の製造に適切な方法であることが理解されるであろう。
【0113】
本発明は更に、本明細書に定義される絶縁体基材又は本明細書に定義される製造品を作製する方法に関する。
【0114】
インクジェット印刷は、所定の場所に、正確な層形成による特定のパターンで、前駆インクから薄い材料層を堆積させることによって構造を製作するために使用され得る。インクジェット印刷は、危険で環境的に感受性の廃棄物の発生及び廃棄物処理に関連する費用を顕著に減少させる。したがって、本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層を上に有する基材を作製する方法であって、前記フィルム層が導電性材料を含み、方法が、
a)前駆基材及び導電性材料インクを用意する工程であって、前駆基材が絶縁体材料で作られている、工程、
b)導電性材料インクを前駆基材の表面上に印刷する工程
を含む方法に関する。
【0115】
ある実施形態では、絶縁体材料は、共役ポリマー又は小分子から任意選択で場合によって選択される不良半導体材料である。
【0116】
ある実施形態では、導電性材料インクは、金属、金属酸化物、及び/又はドープされた金属酸化物、並びに溶媒を含む。導電性材料が金属を含む場合、金属酸化物の追加の使用は、金属化合物の安定性を増加させ得る。任意選択で場合により、金属及び/又は金属酸化物は、銀、ニッケル、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、チタン、鉄、及び金から選択される。ある実施形態では、導電性材料インクは、黒鉛、グラフェン又は炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体、及び溶媒を含む。ある実施形態では、導電性材料インクはナノ粒子を含む。ある実施形態では、導電性材料インクは金ナノ粒子を含む。ある実施形態では、導電性材料インクは、光活性金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、光活性色素で増感される金属、及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物、並びに溶媒を含む。ある実施形態では、導電性材料インクは、光活性金属ナノ粒子及び/又は金属酸化物ナノ粒子を含む。ある実施形態では、導電性材料インクは、光活性色素で増感される金属及び/又は光活性色素で増感される金属酸化物を含む。ある実施形態では、溶媒はエタノールである。
【0117】
ある実施形態では、方法の工程b)は、導電性材料インクを印刷して導電性材料の少なくとも2つ、又は複数のストリップを前駆基材の表面上に形成する工程であって、ストリップが互いに間隔を空けられる、工程を更に含む。ある実施形態では、導電性材料の多数の層を形成するために、方法の工程b)は繰り返される。
【0118】
本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する基材を作製する方法であって、前記層が導電性材料を含み、方法が原子層堆積(ALD)、物理蒸着(PVD)又は熱蒸着を使用する、方法に関する。熱蒸着は物理蒸着の方法である。このプロセスでは、真空条件において固体材料を蒸着させて、わずか数ナノメートルから数百ナノメートルの範囲の薄いフィルムを形成するために、抵抗加熱源が使用される。蒸着のための圧力は、10-6mbarの範囲内である。
【0119】
本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する基材を作製する方法であって、前記層が、本明細書に定義及び記載される導電性材料を含み、方法がスパッタリング技術を使用する、方法に関する。この方法によると、所望の原材料は、原材料の蒸気を生成し、更に材料のフィルムを基材上に生成するために、高い真空条件(10-5mbarの範囲内)でイオン衝撃される。イオン衝撃のためのプラズマを発生させるために使用されるガスは、アルゴン及び/又は窒素である。形成されるフィルムの厚みは、nm~μmの範囲内で変動し得る。
【0120】
ある実施形態では、フォトリソグラフィープロセスは、導電性材料インクを前駆基材の表面上に印刷する前に、必要とされるパターンのフォトマスク(光学マスクとも呼ばれる)を生成するために使用される。このプロセスは、印刷又は堆積システムが、必要とされる解像度を有するパターンを生成できない可能性がある状況において役立つ。
【0121】
ある実施形態では、方法の工程a)は、絶縁体基材の表面の表面張力が減少するように、前駆基材を酸素プラズマ又はUVオゾンで処理する工程を更に含む。
【0122】
本発明はまた、抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する基材を作製する方法であって、前記層が導電性材料を含み、方法が、
a)絶縁体材料で作られた前駆基材及び導電性材料の層でコーティングされた基材を用意する工程、
b)レーザーアブレーション又は切断システムを使用して導電性材料のストリップを取り、これにより導電材料のストリップを基材の表面上に形成する工程であって、ストリップが互いに間隔を空けられる、工程、
c)導電性材料のレーザー切断されたストリップを絶縁体材料で作られた前駆基材上に接着する工程
を含む方法に関する。
【0123】
ある実施形態では、導電性材料の層でコーティングされた基材はアルミニウムテープである。
【0124】
ある実施形態では、前駆基材の表面上の各隣接するストリップの間の距離は、独立して、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~200μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内であり得る。ある実施形態では、各ストリップの幅は、独立して、ストリップの間の距離の約2分の1~100分の1である。例えば、幅は、0.5μm~1cmの範囲内、好ましくは2μm~500μmの範囲内、より好ましくは2μm~300μmの範囲内であり得る。ある実施形態では、各ストリップの幅は、約0.01mm~10nmの間、好ましくは5μm未満であり得る。特定の例では、各ストリップの幅は、約1μm~約5μmの間の範囲内であり得る。別の例では、各ストリップの幅は、約10μm~約200μmの間の範囲内であり得る。
【0125】
ある実施形態では、各ストリップの厚みは、独立して、5nm~1000μmの範囲内、好ましくは500nm~500μmの範囲内、より好ましくは1μm~100μmの範囲内である。特定の例では、各ストリップの厚みは、約20nm~約500nmの間の範囲内であり得る。別の例では、各ストリップの幅は、約1μm~約10μmの間の範囲内であり得る。
【0126】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、電源を前駆基材の表面上に印刷又は設置する工程であって、電源が前駆基材の表面上の抗微生物及び/又は抗ウイルス層にわたって電圧を誘導できるように、電源及び導電性材料が配置される工程を更に含む。ある実施形態では、最大の抗ウイルス面積を基材の表面上に作るために、電源は可能な限り基材表面の縁の近くを覆う及び/又は近くに設置される。基材の1つ又は複数の表面は、電源で覆われ得る。例えば、太陽電池及び/又はバッテリーの連続する列は、基材の表面全てを覆う(図8)。ある実施形態では、電源は太陽電池又はバッテリーである。
【0127】
ある実施形態では、電源は太陽電池であり、任意選択で場合により、太陽電池は、有機又はアモルファスシリコン太陽電池であり、好ましくは、太陽電池は、OPV(有機薄膜太陽電池)、DSSC(色素増感太陽電池)、銅インジウムガリウムセレン(CIGS)太陽電池、又はフレキシブルシリコン太陽電池である。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~100cmの面積を有する。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~50cmの面積を有する。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~10cmの面積を有する。ある実施形態では、各太陽電池ユニットは1mm~25mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは2.25mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは4mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは10mmの面積を有する。好ましくは、各太陽電池ユニットは1cmの面積を有する。ある実施形態では、本発明による基材の表面は、2~10個の太陽電池ユニットを有する。太陽電池において使用される光活性材料は、100nm~2μmの範囲内、好ましくは300nm~500nmの範囲内の厚みを有する。電子輸送層(ETL)は、25nm~500nmの範囲内、好ましくは50nm~100nmの範囲内の厚みを有する。正孔輸送層(HTL)は、25nm~500nmの範囲内、好ましくは50nm~100nmの範囲内の厚みを有する。ある実施形態では、カソード材料は、アルミニウム、銀、カルシウム及び銀、カルシウム及びアルミニウム、又はフッ化リチウム及びアルミニウムであり、カソードは、50nm~500nmの範囲内、好ましくは100nm~200nmの範囲内の厚みを有する。ある実施形態では、カソード材料はフッ化リチウムであり、カソードは、0.1nm~2nmの範囲内、好ましくは1nmの厚みを有する。ある実施形態では、カソード材料はカルシウムであり、カソードは、2nm~50nmの範囲内、好ましくは10nm、より好ましくは20nmの厚みを有する。ある実施形態では、アノード材料は透明導電性酸化物であり、アノードは、50nm~500nmの範囲内、好ましくは100nm~200nmの範囲内の厚みを有する。
【0128】
別の実施形態では、電源はバッテリーであり、任意選択で場合により、バッテリーは10μm~100μmの範囲内の厚みを有する。ある実施形態では、バッテリーは商業的に入手可能である。別の実施形態では、バッテリーは印刷可能なバッテリーである。ある実施形態では、バッテリーは、10mV~50Vの範囲内の電圧を有する薄型又は超薄型バッテリーである。好ましくは、バッテリーは1V~5Vの範囲内の電圧を有する。好ましくは、バッテリーは1.5Vの電圧を有する。好ましくは、バッテリーは2Vの電圧を有する。好ましくは、バッテリーは2.5Vの電圧を有する。
【0129】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、電線を印刷する工程であって、電線が導電性材料の各ストリップを電源に接続する工程を更に含む。ある実施形態では、電線は、金属、導電性金属酸化物、ドープされた金属酸化物、及び/又はグラフェン若しくは炭素、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素ナノ構造体を含む。
【0130】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、前駆基材上に吸湿性成分の層を形成する工程を更に含む。ある実施形態では、吸湿性成分は、岩塩、珪砂、シリカゲル、CaCl、親水性ポリマー、又はグリコサミノグリカンから選択される。ある実施形態では、吸湿性成分は吸湿性ポリマーである。好ましくは、吸湿性ポリマーは、ポリビニルアルコール又はポリエチレングリコールである。好ましくは、吸湿性ポリマーは、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールの混合物である。ある実施形態では、吸湿性物質はグリコサミノグリカンである。好ましくは、吸湿性物質は非硫酸化グリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸である。ある実施形態では、吸湿性成分は水性成分、好ましくは水を含む。吸湿性成分は、吸湿性粉末を絶縁体基材の表面上に直接作ることによって堆積され得る。特に、粉末の形態の吸湿性成分は、静電スプレーガンによりスプレーされ得る。スプレーされたマイクロ/ナノ粒子は、絶縁体基材の表面上に形成され、したがって、導電性材料のストリップの間に媒体を形成する。あるいは、吸湿性成分は、吸湿性成分の薄いフィルムを絶縁体基材の表面上に作製することによって堆積され得る。特に、吸湿性成分の溶液は、絶縁体基材の表面上にスプレー又はキャスティングされて薄いフィルムを形成する。次いで導電材料のストリップは、金属ストリップのための導入されたコーティング技術により、この薄いフィルムの表面上に形成される。
【0131】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法は、部分的又は全体的な保護層を導電性材料上に堆積させる工程を更に含む。ある実施形態では、保護層は、物理蒸着、ALD等の化学的堆積、又は印刷によって堆積される。ある実施形態では、保護層は物理蒸着によって堆積される。ある実施形態では、保護層はALDによって堆積される。ある実施形態では、保護層は印刷によって堆積される。ある実施形態では、保護層は、エポキシ又は酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の任意の非導電性金属酸化物から選択される。
【0132】
ある実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、実質的に透明又は半透明であり、任意選択で、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、ニッケル系、コバルト系及び鉄系酸化物、酸化インジウムスズ、フッ化酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛並びにそれらの混合物及び組合せで作られる。別の実施形態では、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は実質的に不透明であり、任意選択で、抗微生物及び/又は抗ウイルス層は、銀、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、鉄、又は金で作られる。
【0133】
ある実施形態では、基材前駆体は可撓性であり、任意選択で場合により、基材前駆体は、ポリマー接着性フィルム、布、プラスチック、紙、繊維、又はアモルファスシリコンである。別の実施形態では、基材前駆体は非可撓性であり、任意選択で場合により、基材前駆体は、ガラス、プラスチック、又はセラミックである。
【0134】
本発明はまた、本明細書に定義される絶縁体基材を堆積させる方法又は本明細書に定義される製造品に関する。
【0135】
3.使用
本発明による帯電した導電性材料を含む抗微生物及び/又は抗ウイルス層を上に有する絶縁体基材は、抗微生物及び/又は抗ウイルス活性を示す。特に、本絶縁体基材は、コロナウイルスを含むウイルスの迅速な(数秒以内)不活化をもたらす。これは、少なくとも一部は、迅速に展開可能な、即効性で長期持続性の保護を提供するために電気及び水電解を使用することによって達成される。この技術は、コロナウイルス等のウイルスを数秒で不活化することができる。
【0136】
抗ウイルス及び抗微生物特性を測定するための標準的な試験は、細胞変性効果(CPE)阻害アッセイ、プラークアッセイ、qPCRアッセイ、フローサイトメトリー、及びTCID50感染性アッセイを含む。
【0137】
細胞変性効果(CPE)阻害アッセイは、本発明の絶縁体基材の抗ウイルス特性を測定するために使用され得る。CPEアッセイによりウイルス感染性を測定するために、細胞及びウイルスの多くの組合せが使用され得る。MTT(3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)及びATP発光アッセイは、両方ともCPEを定量化する効率的で単純な方法である。本発明のコーティングされた基材への曝露後の、特定の細胞株に対する特定のウイルスの細胞変性効果を定量化するために、様々なウイルス及び宿主細胞株が使用される。
【0138】
まとめると、細胞は、細胞培養プレートに播種され、18~24時間インキュベートされる。次いで、ウイルス粒子の水性懸濁液は、小さいサイズのコーティングされた基材材料(例えば2cm×2cm試料)及びまたコーティングされていない基材(コーティングされていない対照)上に指定された接触時間(すなわち、これはコーティングされた基材の作用の速度を規定する調査中の時間である)置かれる。次いで、ウイルス粒子は、基材上の無血清培地をすすぐことによって基材から回収され、このウイルスの回収の効率は、ナノ粒子トラッキング解析を使用して定量化される。陽性対照としての未処理のウイルスに感染した細胞及び陰性対照としての未感染の細胞の並行セットを使用しながら、播種された宿主細胞に感染させるために、回収されたウイルスが使用される。次いで、製造業者から購入されるMTTアッセイキット(MTTアッセイキット(細胞増殖)(ab211091))又はATP発光(市販のキットViralToxGlo(商標)(Promega社))を使用して、これらの細胞セットの細胞生存率試験が行われる。
【0139】
本発明の絶縁体基材の抗微生物特性を測定するために、蛍光細胞生存率アッセイが使用され得る。抗微生物活性を測定するために、蛍光色素は、集団間を区別し、細胞の生存率を決定するための迅速な方法として、様々な技術のいたるところで使用される。例は、Abcam社製の細菌生存率アッセイキット(ab189818)であり、これは2種の高度に特異的で、超高感度の蛍光試薬を利用して、細菌培養液内の生細胞及び死細胞のパーセンテージを素早く、簡単に判定する。全細胞染料は、全ての細胞に対して透過性であり、したがって、培養液内の全ての細菌が染色され、総数が計算される。死細胞染料は、生細胞に対して非透過性であり、したがって、死細胞にのみ進入し、染色することができ、これにより死細胞の数が計算される。次いで、死細胞の生細胞に対する比は、素早く、簡単に計算され得る。
【0140】
この方法では、細菌細胞の水性懸濁液が、小さいサイズのコーティングされた基材材料(例えば2cm×2cm試料)及びまたコーティングされていない基材(コーティングされていない対照)上に指定の接触時間(すなわち、これはコーティングされた基材の作用の速度を規定する調査中の時間である)置かれる。次いで懸濁液は、基材上の無血清培地をすすぐことによって、基材から回収される。次いで細胞は、10,000gで10分間の回転によって収集され、緩衝液に再懸濁される。細胞は、1時間インキュベートされ、10,000gで10分間回転される。細胞は再懸濁され、手順が繰り返される。次いで、全細胞染料及び死細胞染料が添加される。細胞は、1時間インキュベートされ、マイクロプレートリーダーで分析されるか、又は15分間インキュベートされ、蛍光顕微鏡で分析される。
【0141】
一つの側面では、本発明は、抗微生物剤としての、本明細書に定義される絶縁体基材、又は本明細書に定義される製造品の使用に関する。用語「抗微生物」は細菌及び真菌を包含する。
【0142】
本発明はまた、抗ウイルス剤としての、本明細書に定義される絶縁体基材、又は本明細書に定義される製造品の使用に関する。ある実施形態では、菌は、ウイルス、細菌、又は真菌である。ある実施形態では、菌は、ウイルス、例えば、Sars-CoV-2等のコロナウイルス、インフルエンザウイルス、HPV、HIV、又はノロウイルスである。
【0143】
本発明はまた、菌を不活化するための、本明細書に定義される絶縁体基材、又は本明細書に定義される製造品の使用に関する。
【0144】
本発明はまた、菌を不活化するための抗微生物及び/又は抗ウイルス層の使用であって、
層が、本明細書に定義及び記載される帯電した導電性材料を含み、
導電性材料が電源に接続され、電源及び導電性材料が、電源がフィルム層にわたって電圧を誘導できるように、キャパシタ構造が形成されるように、
水含有要素が、抗微生物及び/又は抗ウイルス層との接触時にキャパシタ構造によって電解され、これにより水含有要素に含有される菌を不活化するように、配置される、使用に関する。
【0145】
ある実施形態では、菌は、ウイルス、細菌、又は真菌である。ある実施形態では、菌は、ウイルス、例えば、Sars-CoV-2等のコロナウイルス、インフルエンザウイルス、HPV、HIV、又はノロウイルスである。
【0146】
一実施形態では、菌の不活化は1秒~10分以内に起こる。好ましくは、菌の不活化は1~60秒以内に起こる。より好ましくは、菌の不活化は30秒以内に起こる。より好ましくは、菌の不活化は15秒以内に起こる。より好ましくは、菌の不活化は5秒以内に起こる。
【実施例
【0147】
(実施例1)- 酸化インジウムスズ(ITO)の印刷
D50=25nmを有する市販の酸化インジウムスズ(ITO)ナノ粒子(Advanced Nano Products社)をITOインク配合物中に利用した。インク中のITOナノ粒子の固形分は、実験全体において15wt%で維持した。ITOインクのための溶媒としてエタノールを選択した。72時間のボールミルプロセスによってITOナノ粒子を適切な分散媒で溶媒中に分散させ、2000rpmでの高速混合を8分間行い、続いて、超音波均質化プロセスを10分間行った。配合されたITOインクを6mポリプロピレンメッシュに通して濾過し、インク中の凝集したITO粒子を取り除いた。基材をアセトン、エタノール及び沸騰させたイソプロパノールによって洗浄した。SEMJET社(Samsung社)製の19mのオリフィスを有する圧電ノズルを備えたUJ200インクジェット印刷ユニット(Unijet社)を実験全体において使用した。印刷頻度、基材温度及びインク滴間のピッチを調節して、均一なITOフィルムを基材上に印刷した。インク液滴の体積は、実験全体を通して30plで固定した。20mm×20mmの寸法を有するITOフィルムをガラス基材(25mm×25mm)上に印刷した。インクジェット印刷されたTCOフィルムを空気雰囲気中、2kWの最大出力電力でのマイクロ波照射(2.45GHz)(Unicera社;UMF-01)下でアニールした。インクジェット印刷されたITOフィルムの厚みをVeeco Dektak 150表面プロファイラー及び電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM;Nova200)によって測定した。
【0148】
(実施例2)- 銀(Ag)の印刷
市販のAgインク(Dycotec Materials社、100~140℃で高い電気伝導性(<6mΩ/sqr/25μm)を有する)を使用して、インクジェットによってAgグリッドパターンを印刷した。本発明者らの実験に基づいて、インクジェット印刷されたAgの抵抗性は、200℃のアニーリング温度で10マイクロオーム-cm未満であった。
【0149】
(実施例3)- グラフェンベースインクの配合及びグラフェンベースインクでの印刷
材料:
天然黒鉛粉末(Timrex(登録商標)SFG15)をIMERYS Graphite & Carbon Co社(スイス国)から得て、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na-CMC)(MW700K)をSigma-Aldrich社から購入した。黒鉛粒径が、マイクロフルイダイザーのマイクロチャネル内の流れに適した最大15~20μmであるため、Timrex(登録商標)SFG15を選択した。
【0150】
黒鉛のマイクロフルイダイゼーション及びグラフェンベース導電性インクの配合物:
マイクロフルイダイゼーションは、高い圧力(最大207MPa)を液体に印加し、それにマイクロチャネル(直径、d<100μm)を通過させる均質化技術である。超音波処理及び剪断混合に対する重要な利点は、最大108s-1の高いγが、単に局所的にではなく液体体積全体に適用されることである。
【0151】
Timrex(登録商標)SFG15黒鉛フレークを出発材料として使用した。Na-CMCを初めに脱イオン(DI)水中で混合し、次いでフレークを添加し、Z型幾何学的形状の相互作用チャンバーを有するマイクロ流体プロセッサー(LM20、Microfluidics Corp.社USA)で処理した。混合物をこのシステムの最大圧力(20,000Psi)で加工した。DI水中に80g.L-1の黒鉛C及び1g.L-1のNa-CMC Cを有する、黒鉛及びNa-CMCの混合物を、50サイクルにわたり加工した。1つのサイクルは、相互作用チャンバーの完全な通過と定義する。初めのサイクルは、取り付けられた200μmのチャネルを用い(5000、10000、15000、及び20000psiの入口圧力を用いた40サイクル)、次いでチャネルの直径を100μmに縮小した(20000psiの入口圧力を用いた10サイクル)。
【0152】
マイクロフルイダイゼーションによる一層-二層-数層のグラフェンの生成:
液体中の得られる剪断速度γは最大108s-1であり、これは出発黒鉛材料からの一層-二層-数層のグラフェン(MBFLG)の剥離につながると予想される。マイクロフルイダイザー内のチャネルの詰まりを防止するために比較的低く維持されたエタノール中20g/Lの濃度を有する黒鉛(Timrex(登録商標)SFG15)の供給混合物を使い果たした。初めのサイクルは、取り付けられた200μmのチャネルを用い(5000、10000、15000、及び20000psiの入口圧力を用いた40サイクル)、次いでチャネルの直径を100μmに縮小した(20000psiの入口圧力を用いた10サイクル)。剥離しなかった黒鉛材料を除去するために、試料を遠心分離し(10分の遠心分離時間で1000rpm~10000rpm)、上澄みを保持した。次いで、上澄みを回収して、エタノール中に懸濁されたMBFLGと認識した。
【0153】
印刷可能なインク配合物:
マイクロフルイダイゼーション後、分散体を安定化させ、室温で144時間乾燥させた。次いで、ブレードコーティング又はスクリーン印刷技術を使用して、インクをガラス又はポリマー基材上に堆積させた。印刷/コーティング中、剪断をインクに適用して粘度を低下させ、インクを印刷又はコーティングしやすくした。インクのレオロジー的挙動及びミクロ構造についての追加の情報は、周知の標準的な振動レオロジー測定によって得た。簡単にするために、ブレードコーティングを使用してインク配合物を比較した。コーティングされた電極の厚みを制御するために、異なる厚みを有するポリイミド(Kapton(登録商標))テープを使用して、インクをガラスの顕微鏡スライド(25×75mm)上にブレードコーティングした。いずれの加熱処理も、いずれの更なる加工もなしに、コーティングされた電極フィルムは、約9~11Ω/Squareのシート抵抗(Rs)を示した。
【0154】
(実施例4)- 電線の印刷
導電性材料は、導電性材料のストリップと同じ方法で、同じ材料を使用して、インクジェットプリンターによって、基材の表面上に印刷され得る。例えば、プリントヘッドは、コンピューター制御された三軸ガントリーシステムに取り付けられることができ、印刷は、変動する電圧、持続時間、ヘッド頻度、温度及び液滴間の間隔を適用することにより行われ、特定の基材のための最も最適化されたパラメーターを見つけることができる。最適化されたパラメーターが見つけられたら、それらのパラメーターを使用して印刷プロセスが行われ得る。
【0155】
(実施例5)- 吸湿性成分の堆積
吸湿性成分は、以下のプロトコールに従って堆積され得る。
【0156】
吸湿性粉末を絶縁体基材の表面上に直接作る:粉末の形態の吸湿性成分は、静電スプレーガンによりスプレーされ得る。スプレーされたマイクロ/ナノ粒子は、絶縁体基材の表面上に形成される。これは、2つの金属ストリップの間に媒体を形成する。
【0157】
導電性材料のストリップを表面上に有する絶縁体基材の表面上に吸湿性成分の薄いフィルムを作製する:導電性材料のストリップを表面上に有する絶縁体基材の前記表面上に吸湿性成分の溶液をスプレーして薄いフィルムを形成する。吸湿性成分が親水性ポリマーである場合、親水性ポリマーは、導電性材料のストリップの上部及び導電性材料のストリップの間にコーティングされる。
【0158】
(実施例6)- 銀ナノワイヤー合成及びそれらの透明導電性インク配合物
材料:
硝酸銀(99.8%)、エタノール(99%)、エチレングリコール(99.5%)、ポリビニルピロリドン(Mw≒40,000、Mw≒55,000)、塩化銅(II)(CuCl)をSigma-Aldrich社、UKから購入した。
硝酸銀(99.8%)、エタノール(99%)、エチレングリコール(99.5%)、ポリビニルピロリドン(Mw≒40,000、Mw≒
【0159】
銀ナノワイヤー(AgNW)合成:
ガラスフラスコ中の100mLのエチレングリコールを連続機械的撹拌下で、150℃で1時間加熱した。0.004Mの塩化銅(II)、0.2Mのポリ(ビニルピロリドン)(PVP、MW:55000)、及び0.1Mの硝酸銀の試薬溶液を調製した。予熱後、800μLのCuCl溶液を添加し、溶液を15分間加熱した。最後に、30mLのPVP溶液及び30mLのAgNO溶液をフラスコに注入した。予熱及び反応期間(160℃、1時間)中に、反応フラスコを窒素ガスでパージした。ナノワイヤー形成後、反応フラスコを室温に冷却した。
【0160】
選択的沈殿による銀ナノワイヤーの精製:
合成されたままのAgNWをエタノールで希釈し、次いで、300~100rpmで1~6分間遠心分離した。遠心分離後、上澄み及び残留試薬を廃棄した。沈殿及び再分散の6サイクルを繰り返した。最後に、図10に示されるように、AgNWを1~2mLのエタノールに分散させた。
【0161】
銀ナノワイヤー透明導電性インク配合物:
ワールミキサーを使用して、(エタノールに懸濁されたMBFLG)に懸濁された、精製されたAgNWとPolyBioWireスクリーン印刷導電性透明水ベースインク(www.poly-ink.fr)をブレンドして、それぞれ1:1及び1.5:1の体積比を含む配合物を得ることによって、インクを配合した。コーティングされた電極の厚みを制御するために、異なる厚みのポリイミドフィルム(Kapton(登録商標))の助けを借りて、インクをガラスの顕微鏡スライド(25×75mm)上にブレードコーティングした。いずれの加熱処理も、いずれの更なる加工もなしに、コーティングされた電極フィルムは、Rs約5~8Ω/Square及び図11に示されるように550nmで最大80~90%の透明度を有した。特定の(1)電極抵抗(Ω/□)値、(2)電極線幅(W)及び厚み(T)の値、(3)電極間隔距離(D)の値に基づいて、4.5Vは、電解(ROS)を発生させるのに必要とされる最低電圧であった。
【0162】
(実施例7)- 酸素プラズマ又はUVオゾンによる前駆基材の処理
酸素プラズマ処理:
10.5~20Wの電力、15~40mL/分の酸素流、及び1~3Torrのチャンバー圧力で作動条件を変えることができる酸素プラズマ発生システム(Mycro社、Harrick Plasma社等)を使用して酸素プラズマ処理を行った。様々な処理期間を使用することができ、処理時間は2分~30分の間で変動し得る。プラスチック、ガラス、及び金属等の様々な範囲の前駆基材を使用することができる。
【0163】
UV-オゾン処理:
例えば、分子酸素を励起して原子酸素及びオゾンを形成する主に184.9及び253.7nmの波長でUV光を放つ高輝度低圧水銀蒸気グリッドランプを含有するUV/オゾンユニット(Jelight Company Inc.社、USA)内にプラスチック又はガラス等の前駆基材試料を入れることができる。この場合、表面が洗浄され、表面は、ランプから3cmの距離で酸化された場合、より親水性になる。UVランプを予熱した後の大気条件下の曝露時間は20~60分の範囲内であり得る。
【0164】
(実施例8)- 原子層堆積(ALD)を使用した保護層の堆積
金属ストリップの表面を低圧の酸素ガスで酸素プラズマに曝露して、金属ストリップの表面上にOH基を作り出す。これらの-OH基側は、Alの超薄型/薄型保護層(10nm~1000nmの範囲内)を形成するためのAl(ジメチルアルミニウム及び水への逐次的曝露)等の絶縁金属酸化物を形成するための出発点として使用され得る。堆積のための温度は、室温~350Cの範囲内で変動し得る。しかし、温度は、基材のタイプ及びそれらの熱安定性に依存して選択され得る。
【0165】
これは例であり、PVD、インクジェット印刷、及び溶液キャスティング等の様々なコーティング技術の使用、並びに金属酸化物等の様々な非導電性の安定な材料の使用において拡大され得る。
【0166】
(実施例9)- 多層構造の調製
多層構造を形成するために、PVD、ALD及びインクジェット印刷等の使用され得る様々な方法がある。
【0167】
例えば、親水層は、プラスチック又はガラス等の特定の基材上でのインクジェット印刷におけるインクの使用により形成され得る。インクジェット印刷で層をコーティングするプロセスは、実施例1、2、3及び4において説明される。これらの形成された層は、それらの溶媒を除去するために加熱され得る。多層構造を形成するために、直交溶媒の使用による第2の層が使用され、インクジェット印刷によって堆積され得る。
【0168】
これらの多層構造は、多層構造を作製するために使用され得るPVD及びALD等の他の前述の方法の使用により形成され得る。これらは、これらのシステムにおいて、各金属酸化物の逐次的堆積により行われ得る。
【0169】
(実施例10)- スクリーン上への本発明による抗微生物及び/又は抗ウイルスフィルム層の堆積
スクリーン印刷/コーティングの様々な方法がある。下記に説明される手順は、導電性材料インクを使用してPETフィルムが印刷された例を提供する。
【0170】
導電性材料のインクジェット印刷について、A4ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、105μmの厚み、及びソーダ-ライムガラスプレート顕微鏡スライド26×76mmが使用される。印刷は、8mLの導電性インクが事前に入れられているカートリッジを使用して行われる。印刷デザイン(コンピュータードライブに既に保存されている)はデスクトップ上で選択され、プリンタードライバー設定は、最高の印刷の質をもたらすようにチェックマークが付けられる。印刷は、シングルパス法によって、同じ選択された基材上で行われる。洗浄後、カートリッジは、一切の改変なしの導電性インクで充填される。プリンター及びカートリッジの設計は、カートリッジの再充填後に変わらないままである。
【0171】
(実施例10)- レーザーアブレーション又は切断システムの使用
導電性層が非導電性フィルム上に生成され得る1つの方法は、高精度のレーザーアブレーションシステムを使用して、導電性材料のフィルムが上にコーティングされたか又はそれを含有するPET/非導電性フィルム上にグリッドのようなパターンを生成することを含む。例えば、接着性アルミニウム箔は、非導電性可撓性接着性フィルムの上部に接着され、アルミニウム箔上に特定のパターンを生成するために、特定のビーム長及び波長を有するレーザーのビームを使用するロールツーロールレーザーアブレーションシステムに入れられ得る。最終生成物は、非導電性基材上に接着された導電性材料のトラックを含有する。
【0172】
(実施例11)- フォトリソグラフィーの使用
フォトリソグラフィーは、マスク上の幾何形状をシリコンウェーハーの表面に転写するプロセスである。フォトリソグラフィープロセスに含まれる工程は、ウェーハー洗浄、バリア層形成、フォトレジスト塗布、ソフトベーキング、マスクアライメント、露光及び現像、並びにハードベーキングである。
【0173】
初めの工程において、表面上の粒子状物質並びに任意の微量の有機、イオン、及び金属の不純物を除去するために、基材は化学的に洗浄される。洗浄後、フォトレジストが基材の表面に塗布される。基材の高速遠心除滴は、マイクロメートルサイズの特徴のフォトレジストコーティングを基材上に塗布するための標準的な方法である。「スピンコーティング」として公知のこの技術は、フォトレジストの薄い均一な層を基材表面上に生成する。ポジ型及びネガ型フォトレジストは、フォトリソグラフィーにおいて使用されるフォトレジストの2つのタイプである。ポジ型レジストについて、レジストは、下にある材料が除去される場所はどこでもUV光で露光される。これらのレジストにおいて、UV光への露光は、レジストの化学構造が現像剤中でより可溶性になるように、それを変化させる。次いで、露光されたレジストは、現像液によって洗い流され、露出した下の材料のウィンドウが残る。言い換えれば、「見えているものは全て消える」。したがって、マスクは、基材上に残ることになるパターンの正確なコピーを含有する。ネガ型レジストは、ちょうど反対の様式で作用する。UV光への露光は、ネガ型レジストを重合させ、より溶解し難くする。したがって、ネガ型レジストは、露光された場所ならどこでも表面上に残り、現像液は、露光されていない部分だけを除去する。したがって、ネガ型フォトレジストに使用されるマスクは、転写されるパターンの反対(又は写真の「ネガ」)を含む。
【0174】
(実施例12)- 抗ウイルス特性の試験
弱い電圧の抗ウイルス特性を、電気回路及び細胞生存率アッセイを使用して、Sars-Cov-2によく似た構造を有するコロナウイルスのマウスモデルで調査した。
【0175】
ウイルスモデル:
本実験は、Covid-19パンデミックの原因のウイルスであるSars-CoV-2によく似た構造の表面タンパク質を有する、プラス鎖RNAウイルスに属するグループ2コロナウイルス(CoV)であるマウス肝炎ウイルス(MHV、ATCC(登録商標)VR-764(商標)から購入した)を使用する。図12は、MHVとSars-CoV-2の間のウイルス構造、及び表面タンパク質電荷の比較分析を提供する。
【0176】
弱い電圧の抗ウイルス特性を試験するための設計構成:
電極を横向きに置くことによってキャパシタ回路設計を作り、ウイルス溶液を電極の間に2.55Vで60秒又は30秒の期間置いた。偽対照として、電場を印加せずに、ウイルス溶液を電極の間に置き、60秒又は30秒後に回収した。図13は、MHVを試験するために使用された設計構成を示す。
【0177】
細胞生存率アッセイ:
1日目- 細胞のプレーティング:
1. 各実験について、96ウェルプレートの必要とされるウェルの数を、試料の数に応じて計算した。
2. L929細胞をT75フラスコから収集した。
●細胞分割プロトコールは懸濁液中で達成された
3. 細胞をカウントし、次いで、完全DMEM(cDMEM)において5×10細胞/mlで再懸濁した
4. 透明な側面の96ウェルプレートにおいて、細胞をウェルごとに懸濁液に添加した(ウェル当たり50,000個の細胞)
5. プレートを37Cで終夜インキュベートした(約18時間)
6. 翌朝、感染のためのウェル当たり約100,000個の細胞があるはずである
【0178】
2日目- 処理及び感染:
1. cDMEMを、系列希釈の準備ができた試験96ウェルプレートに添加した;試験される試料当たり20ul×7(1つのカラム)
●標準的なTCID50プロトコール及びまた図14に記載され/示される。
2. 発泡効果を低減するために、ニートウイルス(10000個の細胞につき30のMOI)溶液をPBSで10倍希釈して3のMOIをもたらした。
3. ウイルスを試験される材料上でインキュベートした
●20ulのウイルス溶液を各試料に添加し、接触時間(60秒又は30秒)の期間インキュベートした。
●次いで、処理されたウイルスを回収し、20ulのcDMEMを含有するエッペンドルフ管に添加した。
●一つの処理(試料)当たり4回の反復を行った。
4. 5ulの処理されたウイルスを希釈の2番目の最下列に添加することによって、処理された/未処理のウイルスを系列希釈し、よく混合し、次いで、2番目の最下列の5ulを取り出し、次の列に添加した。先端を変え、次いで混合及び次の列への移動を8つの濃度について繰り返した。
●これにより5倍希釈を得る
図14は、希釈プレートを使用して、これをどのように行ったかを示す
5. 試験管中の細胞から培地を除去し、20μの新鮮な培地を各ウェルに添加した。
6. 希釈プレートからの10μlの系列希釈されたMHV又は対照を、透明な側面のプレート(「試験プレート」)において細胞+培地上に4連で直接添加し(最終時にはウェル当たり30μlになる)、ピペッティングにより穏やかに混合した。
●標準的なTCID50プロトコールにまた記載され/示される
7. 1時間後、50ulの追加の新鮮な培地を各ウェルに添加した。
8. 次いで、試験プレートを48時間インキュベートした。
【0179】
4日目- 結果を読み取る:
48時間後、試験プレート中の個々のウェルを顕微鏡下で、細胞変性効果の存在又は非存在に基づいて観察し、各ウェルを陽性(CPE存在、感染)又は陰性(CPEなし、健康)として記録した。プレート全体を観察したら、図15に示されるように、Reed-Muench Calculatorを使用して、各試料についてのTCID50/mlを計算した。次いで、初期のウイルスTCID50/ml値と比較した、各試料についてのlog減少値を計算し、プロットした。
【0180】
結果:
提案された設計における、2.55Vの電場へのMHVの曝露は、60及び30秒の接触時間後にそれぞれ、CPEの5.5及び4log減少をもたらした。未処理ウイルス及び対照条件におけるlog減少は、全ての条件において1log未満であった。これらの結果は図16に示される。
【0181】
考察:
これらの実験における1つの興味深い観察は、電極の間に存在する電場に曝露されたときに、ウイルス溶液が電解し始めたという事実であった。この効果は、電場曝露の数秒後に始まった溶液の発泡によって観察することができた。これは、培地又はPBSに溶解されたウイルス溶液が、ほとんど水を含有し、水電解がおよそ1.23Vの閾値電圧で起こるからであると予想された。水の電解は、強い抗ウイルス及び/又は抗微生物効果をもたらす。
【0182】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、弱い電圧を有する表面に着地するウイルス、細菌、又は真菌液滴の水分は、それ自身が、ウイルス、細菌、又は真菌を不活化する消毒液に変わることを発見した。
【0183】
(実施例13)- 参照対照と比べた10秒の接触時間でのヒトコロナウイルスNL63に対するコーティングの抗ウイルス効果
方法:
アッセイが有効になるために、試験される材料は、ウイルスを定量化するために使用される細胞に対して細胞傷害活性を有してはならず、感染に対する細胞感受性を妨げてはならない。これらの基準の2つの試験は下記に記載される。
【0184】
細胞傷害性対照:試験される材料はアッセイの宿主細胞に対して細胞傷害性であるか?
アッセイ培地を、処理された材料及び参照対照に5分間添加した後、収集し、96ウェルプレートのウェルに播種された細胞の単層上に添加した。次いで、細胞を培養し、10日後、生存率アッセイ(クリスタルバイオレット染色)を使用して細胞生存率を決定した。試験は、処理された材料及び処理されていない参照対照の両方について3連で行われる。処理された材料にも参照対照にも接触していない培地は参照として含まれる。試験が有効になるために、細胞傷害効果は、培地と比較して観察されてはならない。
【0185】
感受性対照:試験される材料は、ウイルスに対するアッセイ細胞の感受性に影響するか?
アッセイ培地を処理された材料及び参照対照に5分間添加した後、管に収集した。次に、培地を材料に曝露することは、感染に対する細胞の感受性に影響するかどうかを試験するために、ウイルスの1×10感染単位を各管に添加した。室温での30分のインキュベーション後、各試料中の感染性ウイルスの量が定量化される(TCID50アッセイ)。50%組織培養感染量(TCID50)は、感染した試験細胞の50%が死滅する終点ウイルス希釈であった。試験は、処理された及び処理されていない材料について3連で行った。どちらの材料にも接触しなかった培地もウイルスとインキュベートした。
【0186】
ここで試験される本発明のデバイスはPEN(ポリエチレンナフタレン)の基材を有した。電源に接続された導電性材料及び電線は両方とも、PENフィルム上にスクリーン印刷された導電性インクの混合物(60%銀/40%炭素)であった。導電性コーティングの寸法は8cm×8cmであった。
【0187】
抗ウイルス試験手順:
処理された及び処理されていない材料を個々のディスクに3連で入れた。適当な濃度のウイルス(1×10PFU/mlのヒトコロナウイルスNL63のストック)の液体体積(200μl)を各表面に添加し、不活性フィルムでカバーした。蓋を各ディスクの上に置き、次いで、各ディスクを室温で10秒間、加湿チャンバー内でインキュベートした。インキュベーションの終了時にフィルムをはずし、試料を培地で洗浄してウイルスを回収した。次いで、各試料から回収された感染性ウイルスの量をTCID50によって定量化した。更なる対照として、ウイルスを3つの参照対照材料に添加し、洗浄によって直ちに回収した(「ウイルス回収対照」又は「逆滴定」と称される)。この回収されたウイルスを使用して、ウイルスの出発量を定量化した。
【0188】
TCID50の決定:
ウイルス含有洗浄培地からの7点、10倍系列希釈を、アカゲザル腎臓上皮(LLC-MK2)細胞上で各試料について4連で試験した。10日後、生存率クリスタルバイオレットアッセイを行って、希釈系列にわたる細胞生存率を決定した。回帰分析を使用して、細胞の50%が感染/死滅した希釈(TCID50)を計算した。
【0189】
抗ウイルス活性の定量化:
試験が有効とみなされた場合、抗ウイルス活性(R)は、以下のように計算される:
R=Ut-At
式中、
Utは、インキュベーション時間の終了時に未処理の試験検体から回収された感染単位の数の常用対数の平均であり、
Atは、インキュベーション時間の終了時に処理された試験検体から回収された感染単位の数の常用対数の平均である。
【0190】
1以上のR値は抗ウイルス活性を示す。
【0191】
このプロトコールにおいて、所定の濃度のウイルスを試験及び参照表面上に分配し、室温で10秒間、加湿チャンバー内でインキュベートした。
【0192】
次に、試料を培地(中和剤)による洗浄によって回収し、TCID50アッセイを使用して各懸濁液中の感染性ウイルスの量を定量化した。アッセイが有効になるために、試験される材料は、ウイルスを定量化するために使用される細胞に対して細胞傷害活性を有してはならず、感染に対する細胞感受性を妨げてはならない。
【0193】
結果:
ヒトコロナウイルスNL63に対する殺ウイルス活性は、10秒の接触時間を使用した場合、参照対照と比べて、処理された材料について観察された(図17を参照されたい)。処理されていない参照対照についての1.61E+05 TCID50/cmの平均回収力価と比較して、処理された材料についての平均回収力価は1.21E+03 TCID50/cmであった。R値(抗ウイルス活性)は2.12であった。試験された条件下で、本発明のデバイスは、ヒトコロナウイルスNL63に対して殺ウイルス活性を示した。
【0194】
【表1】
【0195】
【表2】
【0196】
細胞傷害性:
【0197】
【表3】
【0198】
感受性対照:
処理された又は未処理の材料と接触した5mlの培地との30分のインキュベーション後に回収された感染TCID50/cm。培地のみの対照及び各検体から回収されたウイルスの感染性力価の自然対数間の差異は0.5以下であるべきである。
【0199】
【表4】
【0200】
結論:
試験されたデバイスは、ウイルスを定量化するために使用される細胞に対して細胞傷害活性を有しなかった。細胞傷害活性は、参照対照試料について検出されなかった。細胞傷害活性は、培地のみの試料について検出されなかった。
【0201】
(実施例14)- 参照対照と比べた、2秒の接触時間でのヒトコロナウイルスNL63に対するコーティングの抗ウイルス効果。
この研究は、処理されていない参照対照と比べた、2秒の接触時間でのヒトコロナウイルスNL63に対する、実施例15において使用されたのと同じデバイスの抗ウイルス活性を試験した。
【0202】
所定の濃度のウイルスを試験及び参照表面上に分配し、室温で2秒間、加湿チャンバー内でインキュベートしたという点で、実験プロトコールは実施例15と同様であった。
【0203】
次に、試料を培地(中和剤)による洗浄によって回収し、TCID50アッセイを使用して各懸濁液中の感染性ウイルスの量を定量化した。アッセイが有効になるために、試験される材料は、ウイルスを定量化するために使用される細胞に対して細胞傷害活性を有してはならず、感染に対する細胞感受性を妨げてはならない。
【0204】
結果:
ヒトコロナウイルスNL63に対する殺ウイルス活性は、参照対照と比べて、処理された材料について観察された(図18を参照されたい)。デバイスは、ヒトコロナウイルスNL63に対して抗ウイルス活性を示した。処理されていない参照対照についての9.67E+04 TCID50/cm2の平均回収力価と比較して、処理された材料の平均回収力価は4.50E+03 TCID50/cmであった。R値(抗ウイルス活性)は1.33であった。試験された条件下で、デバイスは、ヒトコロナウイルスNL63に対して殺ウイルス活性を示した。
【0205】
【表5】
【0206】
【表6】
【0207】
細胞傷害性:
【0208】
【表7】
【0209】
感受性対照:
処理された又は未処理の材料と接触した5mlの培地との30分のインキュベーション後に回収された感染TCID50/cm。培地のみの対照及び各検体から回収されたウイルスの感染性力価の自然対数間の差異は0.5以下であるべきである。
【0210】
【表8】
【0211】
結論:
ここで報告された発見に基づき、ISO21702に従って、処理された材料は、2秒の接触時間後、ヒトコロナウイルスNL63に対する殺ウイルス活性を示す。試験材料は、ウイルスを定量化するために使用される細胞に対して細胞傷害活性を有しなかった。細胞傷害活性は、参照対照試料について検出されなかった。細胞傷害活性は、培地のみの試料について検出されなかった。
【0212】
(実施例15)- タッチスクリーンのための抗ウイルス及び抗細菌コーティング
タッチスクリーンとしての使用に適した透明ガラス基材上の抗ウイルス及び抗細菌コーティングを製作し、試験した。フォトリソグラフィー、続いてウェットエッチング、並びにリフトオフプロセス及びマイクロインプリンティング法を使用して、透明コーティングを作った。
【0213】
フォトリソグラフィー
フォトリソグラフィーを商業的に入手可能なガラス基材(Borofloat(登録商標)33)及び強化ガラススクリーンプロテクター上で行った。リソグラフィーを行う前に、decon(登録商標)90を使用して、ガラス基材を徹底的に洗浄し、次いで、あらゆる有機残渣を除去するために、300Wの電力及び10sccmのガス流量を使用して、ウェーハーを酸素プラズマ中で15分間ドライ洗浄した。次いで、感光性レジストAZ-5214Eを、4000rpmで、60秒間の回転によってスピンコーティングした。溶媒を除去するために、ウェーハー及びレジストを110℃で2分間ベークした。
【0214】
次いで、直接描画無接触光学リソグラフィーレーザー(Microtech LW-405B+)を使用して、ウェーハー上のフォトレジストを露光した。異なる電極設計を試験した。図19は、この実験において使用された並列及び円形櫛型電極を示す。
【0215】
レーザーベースリソグラフィーを行うために、375及び405nmの波長を有するレーザーを使用し、レジストを261mJ/cmに露光させる最終集束レンズ0.8及び8μmを交換することによる光学分解能を使用してレジストを露光した。30%フィルターを使用して、レーザー波長は405nmであった。基材を中心に置き、対向する隅の3点を適切な焦点に合わせ、適切な高さ(z)で描くために試料全体に焦点が合うように平面を設定した。腕時計サイズのスクリーンのための露光時間は45分であったが、携帯電話サイズのスクリーンのための露光時間は240分であった。
【0216】
レーザーリソグラフィーは、連続露光技術であり、したがって遅いことに留意すべきである。しかし、それは設計の変更及び最適化において柔軟性を提供する。製作プロセスは、代替的に、類似のより速い技術である投影フォトリソグラフィー等の他の技術を使用し得ることが理解されるであろう。
【0217】
レーザーリソグラフィーを使用して、パターンをレジスト層上に露光したら、レジストの露光領域は、フォトレジスト現像液、1:4 AZ-351B/DI水を使用して現像し、5μmの幅及び各露光領域の間の95μmのギャップを有する露光領域を有する表面が得られた。
【0218】
電子ビーム金属蒸着:
電子ビーム(e-ビーム)エバポレーターを使用して、20nmのチタン(Ti)層、続いて130nmの金(Au)層を堆積させた。試料を真空チャンバー内にロードしたら、チャンバーから10-6Torr未満にポンプで吸い出し、クライオポンプ温度は20K未満であった。ベース圧力に達したら、Ti層を1Å/sの速度で堆積させ、2Å/sの速度で蒸着した金層が続いた。金属源と基材の間の距離は49cmであった。次いで、リフトオフプロセスのために試料を真空チャンバーから取り出した。
【0219】
リフトオフプロセス:
望まない領域すなわち、Ti/Au層がフォトレジスト上に堆積されるエリアからTi/Au層を除去するためにリフトオフプロセスを行った。ガラス基材上のフォトレジストが完全に溶解するように、ウェーハーをアセトン溶液に約1時間浸した。レジスト上に蒸着したTi/Au層は、アセトン溶液に浮かぶが、レーザーリソグラフィーを使用して露光された領域はガラス基材に付着したままであり、ガラス基材上の所望のTi/Au櫛型電極構造が得られる。
【0220】
図20はアレイの光学像を示す。黒い四角は、櫛型電極が存在する抗ウイルス/抗細菌領域を示す。電極間の間隔はTi/Au電極の幅の20倍を超え、95%を超える透明度につながる。接続パッドは、電極を試験し、電力をデバイスに提供するためのものである。
【0221】
エッチングプロセス:
アレイはまた、エッチングプロセスを使用して製作した。このプロセスでは、Ti/Au層をプラズマ洗浄ガラス基材上にスパッタ堆積した。次いで、フォトリソグラフィーを行って、櫛型パターンを金表面上に作った。この露光中、望まない金領域を露光した。次いで、ヨウ化カリウムからなる金エッチング溶液中に基材を浸けた。レジストによって保護された金領域はエッチングされず、露光された領域はエッチングされた。チタン層は、金層によってエッチングされなかった。次いで、SF6及びアルゴンガスの1:1の組合せを使用する反応性イオンエッチングプロセスを使用してチタン層をエッチングした。
【0222】
Ti層をエッチングした後、レジスト除去溶液を使用してレジストを除去した。電極の顕微鏡写真は図21に示される。
【0223】
測定:
Ti/Au電極の安定性を試験するために、図22に示されるように、体積10μlの水液滴を電極の間に置いた。電圧をゆっくり上げ、電極間の電流の流れを測定した。電流の上昇は、電解プロセスを始めるのに必要とされる最低電圧である3.5ボルトで始まった。安定性を試験するために、電圧を4ボルトに増加させ、次いで、電流の変化を経時的に観察した。初めの数分以内に、電流は30μAから40μAに増加し、15分間安定したままであった。この時間の間、液滴は乾燥し始め、図22Eでわかるように、電流の低下がもたらされた。
【0224】
電極の目視検査は、Ti/Au電極が無傷であることを示した。測定値は同じ場所で再現され、これらの電極が再利用され得ることを実証した。比較すると、Cr/Au電極を試験した場合、クロム(Cr)はエッチングされ、電極は、数秒以内にガラス表面から剥がれることが見出された。これらの測定は、金をガラス表面に付着させるのにTiがより信頼できる材料であることを実証する。
【0225】
金属電極の厚みを測定するために、表面形状測定装置(Bruker社Dektak XT Stylus)を使用して試料を測定した。65.5μmの垂直解像度並びに400及び1400nmのスキャン長を使用してスキャンを行った。針圧は3mgであった。図23に示される測定値は、Ti/Au電極の全高が120nmであり、ピッチが100umであることを確認する。
【0226】
泡立ち又は起泡プロセス中、図22cでわかるように、水はH及びOHに分かれる。水素イオン(H)はカソードから電子を獲得し、水素ガス(H)を形成し、これは泡として放出される。水酸化物イオン(OH)の存在は、カソードの周りの水をよりアルカリ性にする。しかし、アノードでは、水酸化物イオン(OH)は電子をアノードに与え、酸素ガス(O)を形成し、溶液中に残る水素イオンは溶液をアノードの周りでより酸性にする。イオンは病原体の周りの脂質エンベロープ及びタンパク質と反応し、外膜を破断させ、ウイルス/細菌の不活化をもたらすので、溶液中に存在するこれらの水素及び水酸化物イオンは、病原性ウイルス及び細菌に対して致命的である。
【0227】
インプリンティング法:
高速インプリンティング及びインク充填法を使用して、PET可撓性基材上に銀マイクロワイヤーのアレイで透明導電フィルムも作った。これらのアレイを製作するために、マイクロインプリンティングを使用して約2.5μmの深さを有する溝を製作し、次いで、実施例6に記載されるように配合された銀インクでこれらの溝を充填した。図24は、透明アレイ、銀で充填する前(図24A)及び後(図24B)の溝の深さ、並びに銀ワイヤーの分析の画像を示す。上2つの画像は、溝の幅が約2μmであったことを示す。真ん中の高さプロファイルグラフは、溝の深さが2.8μmであったことを示す。下の表は、高さプロファイル測定値をまとめる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24A
図24B
【国際調査報告】