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特表2024-509361複数のタンパク質供給物を用いたβラクトグロブリンの結晶化
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  • 特表-複数のタンパク質供給物を用いたβラクトグロブリンの結晶化 図1
  • 特表-複数のタンパク質供給物を用いたβラクトグロブリンの結晶化 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】複数のタンパク質供給物を用いたβラクトグロブリンの結晶化
(51)【国際特許分類】
   C07K 4/12 20060101AFI20240222BHJP
   A23L 33/19 20160101ALI20240222BHJP
   A23C 21/00 20060101ALI20240222BHJP
   A23C 9/14 20060101ALI20240222BHJP
   A23J 1/20 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
C07K4/12
A23L33/19
A23C21/00
A23C9/14
A23J1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023547146
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2022053010
(87)【国際公開番号】W WO2022167683
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】21155726.9
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522257023
【氏名又は名称】アーラ フーズ アンバ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ローリセン,カスパー・ボーゲルンド
(72)【発明者】
【氏名】バーテルセン,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ドラックマン,ニコライ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B018
4H045
【Fターム(参考)】
4B001AC05
4B001BC05
4B001BC99
4B001EC99
4B018LB07
4B018MD71
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF10
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA50
4H045CA43
4H045EA01
4H045FA71
4H045GA01
(57)【要約】
本発明は、βラクトグロブリン(BLG)の結晶化によりBLG組成物を生成する改善された方法に関する。発明は、少なくとも2つの異なるBLG含有タンパク質供給物を利用し、これらが混合され、過飽和タンパク質溶液が調製され、この中でBLGが結晶化される。タンパク質供給物の1つは少なくとも5.6のpHを有さなければならず、タンパク質供給物の1つは最大でも5.4のpHを有さなければならない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは結晶化および/または単離形態でのβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法であって、
b)BLGを含む初期タンパク質溶液を調製するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有する、ステップ、
b)前記過飽和、初期タンパク質溶液中、好ましくは塩溶モードでBLGを結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、ならびに
c)任意で、前記BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ
を含み、
ステップa)は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と混合することにより、前記初期タンパク質溶液を調製することを含み、
-「A型タンパク質供給物」は、BLGを含み、少なくとも5.6のpHを有するタンパク質供給物として規定され、ならびに、
-「B型タンパク質供給物」は、BLGを含み、最大でも5.4のpHを有するタンパク質供給物として規定される、方法。
【請求項2】
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも5.7、さらにいっそう好ましくは少なくとも5.8、最も好ましくは少なくとも5.9のpH、ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、請求項1に記載の方法:
最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.3、さらにいっそう好ましくは、5.2、最も好ましくは5.1のpH。
【請求項3】
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも6.0、より好ましくは少なくとも6.1、さらにいっそう好ましくは少なくとも6.2、最も好ましくは少なくとも6.3のpH、ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
最大でも5.0、より好ましくは最大でも4.9、さらにいっそう好ましくは4.8、最も好ましくは4.7のpH。
【請求項4】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH。
【請求項5】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
6.0-8、より好ましくは6.1-7.5、さらにいっそう好ましくは、6.2-7.0、最も好ましくは6.2-6.5の範囲のpH。
【請求項6】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH。
【請求項7】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
4.0-5.0、より好ましくは4.1-4.9、さらにいっそう好ましくは、4.3-4.8、最も好ましくは4.5-4.8の範囲のpH。
【請求項8】
前記1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは前記1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まず、および/または
前記1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは前記1つ以上のB型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは前記1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して過飽和でなく、および/または
前記1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは前記1つ以上の型のいずれもBLGに関して過飽和でない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【請求項13】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【請求項14】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法:
A型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【請求項15】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む前記請求項のいずれかに記載の方法:
B型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【請求項16】
前記初期タンパク質溶液は、前記初期タンパク質溶液の重量に対して1-99%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のA型タンパク質供給物の総量を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記初期タンパク質溶液は、前記初期タンパク質溶液の重量に対して1-99%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のB型タンパク質供給物(複数可)の総量を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記初期タンパク質溶液は下記を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法:
-前記初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の5.8-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-前記初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.2のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【請求項19】
前記初期タンパク質溶液は下記を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法:
-前記初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.0-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-前記初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.0のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【請求項20】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のタンパク質含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のタンパク質含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の固体含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の固体含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の重量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の重量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記初期タンパク質溶液のBLGの過飽和度は下記の過飽和度の両方より高い、前記請求項のいずれかに記載の方法:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、A型タンパク質供給物、または
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、A型タンパク質供給物、
および
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、B型タンパク質供給物、または
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、B型タンパク質供給物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、βラクトグロブリン(BLG)の結晶化によりBLG組成物を生成する改善された方法に関する。発明は、少なくとも2つの異なるBLG含有タンパク質供給物を利用し、これらが混合され、過飽和タンパク質溶液が調製され、この中でBLGが結晶化される。タンパク質供給物の1つは少なくとも5.6のpHを有さなければならず、タンパク質供給物の1つは最大でも5.4のpHを有さなければならない。
【背景技術】
【0002】
乳タンパク質分画の概念は当技術分野でよく知られており、過去数十年の間に、各々が特定の特性および特徴を有する様々な乳タンパク質種で強化された組成物を調製するための一連の技術に開発されてきた。
【0003】
乳清またはホエーからのβラクトグロブリン(BLG)の単離は多くの刊行物の主題であり、典型的には、精製βラクトグロブリン生成物に到達するために、複数の分離ステップ、および、しばしばクロマトグラフィーの技術を伴う。
【0004】
WO2018/115520号は、塩溶モードおよびpH範囲5-6での結晶化によるタンパク質溶液からのBLGの工業規模分離を記載する。しかしながら、WO2018/115520号は、本発明により規定される、BLG含有A型タンパク質供給物(複数可)と、B型タンパク質供給物(複数可)を混合することにより過飽和ホエータンパク質溶液を調製することを開示しない。
【0005】
WO2020/002422号は、塩溶モード、5-6の範囲pHでのBLG結晶化を使用する、BLGのホエータンパク質溶液からの工業規模除去による、αラクトアルブミン強化ホエータンパク質製品の生成を記載する。しかしながら、WO2020/002422号は、本発明により規定される、BLG含有A型タンパク質供給物(複数可)と、B型タンパク質供給物(複数可)を混合することにより過飽和ホエータンパク質溶液を調製することを開示しない。
【0006】
de Jonghら(Mild Isolation Procedure Discloses New Protein Structural Properties of β-Lactoglobulin, J Dairy Sci., vol. 84(3), 2001,562-571ページ)は、カゼインの低温酸凝固、および、得られた酸ホエーをアフィニティークロマトグラフィー(DEAEセファロース)およびゲル浸透クロマトグラフィーの組み合わせに供することによる搾り立て乳からのBLGの精製を記載した。得られたBLG組成物は、1gのタンパク質あたり0.985gのβラクトグロブリンを含むと明言された。
【0007】
Slackら(Journal of Food Processing and Preservation, vol. 10, 1986, 19-30ページ)は異なるアプローチを探り、脱塩した酸ホエーおよびスイートホエーをpH4.65にpH調整し、形成した沈殿物を遠心分離およびデカンテーションにより分離することにより、BLG強化沈殿物を調製した。得られた沈殿ペレットは比較的不溶性で、追加のBLG中にかなりの量のタンパク質不純物を含んでいると説明された。結晶形成は観察されなかった。pH4.65で形成され得るBLG沈殿物はBLG結晶ではないことに注意すべきである。
【0008】
Palmer(Crystalline Globulin from Cow’s Milk, J. Biol. Chem., Vol. 104, 359-372ページ)は、望まれないタンパク質の塩析沈殿、pH調整および透析の複数のシーケンスを使用して、他の望まれないタンパク質を除去する、酸ホエーに基づくタンパク質結晶を生成するための骨の折れる、かつ、時間のかかるプロセスを報告した。最後に、高度に精製されたBLG溶液が得られた時に、BLGが結晶化された。プロセスは12日を超えて続き、トルエンの添加を必要とした。よって、Palmerにおいて開示される手順は安全な食糧生産と適合せず、明らかに食べることができない製品を提供する。
【0009】
Aschaffenburgら(Improved Method for the Preparation of Crystalline beta-Lactoglobulin and alpha-Lactalbumin from Cow’s Milk, Bioch., vol. 65, 1957, 273-277ページ)はPalmerのプロセスのプロセスに対して改善されたプロセスを開示し、この改善により、数週ではなく、数日のオーダーでのβラクトグロブリン結晶の調製が可能になる。しかしながら、改善された方法は依然として、結晶化前の望まれないタンパク質の除去を必要とし、さらに結晶化のためにトルエンを使用し、これにより、安全な食糧生産と適合しないものとされる。
【0010】
JP H10 218755 A号は、メラニン生成阻害剤を含む化粧品組成物の生成を開示し、これは、BLGを活性材料成分として含む。その文書はさらに、BLGは例えば、下記プロセスにより単離することができることを示唆する:塩酸が乳に添加され、カゼインが沈殿し、続いて濾過され、ホエーが得られる。ホエーのpHが6.0に調整され、硫酸アンモニウムが半飽和の量で添加され;沈殿したタンパク質が塩析により除去され、濾液が回収される。濾液が硫酸アンモニウムで飽和され、沈殿したタンパク質が回収される。回収されたタンパク質が水に再び溶解され、pH5.2で透析され、結晶が分離され、β-ラクトグロブリンが1Lのホエーから約1.8gの割合で調製される。しかしながら、JP H10 218755 A号において記載される提案されたプロセスの一般プロセスステップはBLG結晶の形成に導くには不十分である。よって、その文書はBLGの結晶化またはBLG結晶の実現可能開示を含まない。
【0011】
US 2 790 790号は、溶液からのタンパク質の沈殿のためのプロセスを開示し、より特定的には、沈殿剤として塩化ナトリウムを使用することによる水溶液からの比較的非共役タンパク質の分別沈殿のためのプロセスを開示する。プロセスは、pH3.6-3.8でのNaCl誘導沈殿によりBLGを単離するのに有用であることが示唆される。その文書の実施例IIでは、NaCl-沈殿物は通常の様式で透析することができ、結晶β-ラクトグロブリンが形成されることが示唆される。しかしながら、US 2 790 790号は、pH3.6-3.8でのBLG結晶の形成が、実際に可能であることを示しておらず、BLG沈殿物を透析する「通常の様式」の意味への言及を含んでいない。よって、その文書はBLGの結晶化またはBLG結晶の実現可能開示を含まない。
【発明の概要】
【0012】
βラクトグロブリン(BLG)は、結晶化により工業規模で効率的に単離することができることが前に発見されている(PCT出願WO2018/115520号を参照されたい)。この結晶化法は大量の過飽和タンパク質溶液の処理および操作を必要とする。
【0013】
発明者らは、WO2018/115520号の大規模実施はしばしば、結晶化がプロセスにおいて意図される前のBLGの望ましくない結晶化につながることを発見した。これは、例えば、BLG結晶化が、微粒子状物質の存在に高感度である膜濾過ユニットまたは他の装置で起こる場合問題となる。
【0014】
本発明者らは今や、結晶化によるBLGの単離は、2つ以上のBLG含有タンパク質供給物(BLG過飽和をそれ自体で有さないか、または、低レベルでしか有さないが、合わせられるとより高い過飽和度を提供する)を混合することにより、過飽和タンパク質溶液を調製することにより改善することができることを発見した。これらのタンパク質供給物の1つは少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも6.0のpHを有するべきであり、他は最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.0のpHを有するべきである。合わせると、2つの供給物は5.5(発明者らは、これが、BLG結晶化の収率にとって最適pHであることを見出している)に近いpHを有する過飽和BLGタンパク質溶液を提供する。
【0015】
タンパク質供給物を合わせるステップは好ましくは供給物を混合することにより実施され、タンパク質の結晶化に高感度な機器の使用を必要としない。よって、この発明は早期の望まれないBLG結晶化のリスク(関連するプロセス機器の目詰りおよび故障につながる可能性がある)を低減させ、または、さらには完全に回避する。
【0016】
過飽和タンパク質溶液の形成の略図が図1に示され、この場合、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)(最大でも5.4、好ましくはそれ以下のpHを有する)が1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)(少なくとも5.6、好ましくはそれ以上のpHを有する)と、5-6の範囲のpHを有し、BLGに関して過飽和である初期タンパク質溶液を提供するのに十分な量で混合される。
【0017】
発明者らはこのアプローチがBLGの大規模結晶化に非常に有利であることを見出した。というのも、個々のA型およびB型タンパク質供給物は、早期(よって、望まれない)BLG結晶化のリスクがない、またはリスクが非常に限定的であるように生成させることができるからである。しかしながら、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型供給物(複数可)が混合されるとすぐに、過飽和初期タンパク質溶液が形成される。
【0018】
図2は、どのように、BLG結晶化の収率が、結晶化が起こることになっているタンパク質溶液のpHに依存するかを概略的に示す。発明者らは、最適pHはおよそ5.5であることを見出した。よって、より酸性のB型タンパク質供給物(複数可)をより酸性でないA型タンパク質供給物(複数可)と混合することにより、BLGに関して過飽和である初期タンパク質溶液が得られる。A型タンパク質供給物(複数可)および/またはB型タンパク質供給物(複数可)が、BLGに関してわずかに過飽和である場合、初期タンパク質溶液はさらにいっそう過飽和でなければならない。
【0019】
本出願およびWO2018/115520号(全ての目的のために本明細書に組み込まれる)の開示により導かれ、当業者は、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)を調製し、それらを混合し、本明細書で記載される初期タンパク質溶液を提供することができる。
【0020】
よって、発明の一態様は、好ましくは結晶化および/または単離形態でのβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法に関し、方法は下記のステップを含み:
a)BLGを含む初期タンパク質溶液を調製するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有する、ステップ、
b)過飽和、初期タンパク質溶液中、好ましくは塩溶モードでBLGを結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、ならびに
c)任意で、BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ、
ステップa)は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と合わせる、好ましくは混合することにより、初期タンパク質溶液を調製することを含み、
ならびに、
-「A型タンパク質供給物」はBLGを含み、少なくとも5.6のpHを有するタンパク質供給物として規定され、ならびに、
-「B型タンパク質供給物」はBLGを含み、最大でも5.4のpHを有するタンパク質供給物として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】方法のステップa)を示し、A型タンパク質供給物(複数可)はB型タンパク質供給物(複数可)と混合され、初期タンパク質溶液が調製される。
図2】どのように、A型タンパク質供給物(複数可)、B型タンパク質供給物(複数可)および初期タンパク質溶液のpHが結晶化によるBLGの単離のための最適pHに対して位置するかの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上述のように、発明の一態様は、好ましくは結晶化および/または単離形態でのβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法に関し、方法は下記のステップを含み:
a)BLGを含む初期タンパク質溶液を調製するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有する、ステップ、
b)過飽和、初期タンパク質溶液中、好ましくは塩溶モードでBLGを結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、ならびに
c)任意で、BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ、
ステップa)は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と合わせる、好ましくは混合することにより、初期タンパク質溶液を調製することを含む。
【0023】
本発明との関連で、「可食組成物」という用語は、人の飲食に安全であり、食品成分として使用され、問題となる量のトルエンなどの毒性成分または他の望まれない有機溶媒を含まない組成物に関する。
【0024】
「βラクトグロブリンを含む可食組成物」および「可食BLG組成物」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。
【0025】
BLGはウシホエーおよび乳清中の最も顕著なタンパク質であり、いくつかの遺伝子変異体で存在し、牛乳中の主なものはAおよびBと標識される。BLGはリポカリンタンパク質であり、多くの疎水性分子に結合することができ、それらの輸送における役割が示唆される。BLGはまた、シデロホアを介して鉄に結合することができることが示されており、病原体との闘いにおいて役割と果たし得る。BLGの相同体はヒト母乳に欠けている。
【0026】
ウシBLGは、およそ162アミノ酸残基の比較的小さなタンパク質であり、およそ18.3-18.4kDaの分子量を有する。生理的条件下では、それは主に二量体であるが、約pH3未満で解離してモノマーになり、NMRを使用して決定されるように、その天然状態を保存する。反対に、BLGはまた、様々な自然条件下、四量体、八量体および他の多量体凝集形態で生じる。
【0027】
BLG溶液は、天然構造が凝集を可能にするのに十分不安定化されると、様々な条件下でゲルを形成することができる。低pHおよび低イオン強度での長期加熱下、透明な「微細鎖」ゲルが形成され、この場合、タンパク質分子が、アセンブリして、長く堅い繊維になる。
【0028】
本発明との関連で、「BLG」または「βラクトグロブリン」という用語は、例えば、天然および/またはグリコシル化形態の、哺乳動物種由来のBLGに関し、天然起源の遺伝子変異体を含む。BLGという用語はまた、組換え微生物により生成された哺乳動物BLGを包含する。「BLG」または「βラクトグロブリン」という用語は、本明細書では、折り畳まれていない、凝集BLGを排除する。BLGの含量は、WO2018/115520号の実施例9.9に従い測定される。
【0029】
本発明との関連で、「結晶」という用語は、その構成要素(例えば原子、分子またはイオン)が高秩序の顕微鏡的構造で配列されており、全ての方向に延在する結晶格子を形成する、固体材料に関する。BLG結晶は、高秩序の顕微鏡的構造で配列され、全ての方向に延在する結晶格子を形成するBLGを主に含むタンパク質結晶である。BLG結晶は、例えば、モノリシックまたは多結晶であってもよく、例えば、無傷結晶、結晶の断片、またはそれらの組み合わせであってもよい。結晶の断片は、例えば、無傷の結晶が処理中、機械的せん断に供された時に形成される。結晶の断片はまた、結晶の高秩序の顕微鏡的構造を有するが、無傷の結晶の平らな表面および/または均一な縁または角を欠く可能性がある。例えば、多くの無傷のBLG結晶の一例については図18、および、BLG結晶の断片の一例については図13を参照されたい。どちらの場合も、BLG結晶または結晶断片は、光学顕微鏡法を使用して視覚的に、明確に定義された、小型の可干渉構造として同定することができる。BLG結晶または結晶断片はしばしば少なくとも部分的に透明である。タンパク質結晶は、さらに、複屈折性であることが知られており、この光学特性を使用して、未知の粒子を、結晶構造を有すると同定することができる。他方、非晶質BLG強凝集体は、きちんとは定義されていない、不透明なものとして、および、不規則なサイズの開放性または多孔性塊として現れる。
【0030】
本発明との関連で、「結晶化する」という用語は、タンパク質結晶の形成に関する。結晶化は例えば、自然に起こり得る、または、結晶化シードの添加により開始させることができる。
【0031】
可食組成物は、結晶化および/または単離形態のBLGを含む。単離形態のBLGを含む可食組成物は総固体に対して少なくとも80%w/wのBLGを含む。結晶化形態のBLGを含む可食組成物は、少なくともいくらかのBLG結晶、好ましくは、かなりの量のBLG結晶を含む。
【0032】
BLG結晶はしばしば、顕微鏡法により観察することができ、さらに、目で視認可能となるサイズに到達することができる。
【0033】
本発明との関連で、「過飽和」または「BLGに関して過飽和」である液体は、その液体中、所定の物理的および化学的条件でBLGの飽和点を超える濃度の溶解BLGを含む。「過飽和」という用語は結晶化の分野でよく知られており(例えば、Gerard Coquerela, “Crystallization of molecular systems from solution: phase diagrams, supersaturation and other basic concepts”, Chemical Society Reviews, p. 2286-2300, Issue 7, 2014を参照されたい)、過飽和は、多くの異なる測定技術により(例えば、分光法または粒径分析により)決定することができる。本発明との関連で、BLGに関しての過飽和は下記手順により決定される。
【0034】
特定の組の条件での液体がBLGに関して過飽和であるかどうかを試験するための手順:
a)50mlの、試験される液体の試料を、115mmの高さ、25mmの内径および50mLの容量を有する遠心管(VWRカタログ番号525-0402)に移す。試料およびそのその後の画分を、ステップa)-h)中、液体の元の物理的および化学的条件で維持するように注意しなければならない。
b)試料は、3000gで3.0分間、最大30秒加速および最大30秒減速を用いて直ちに遠心分離される。
c)遠心分離直後に、できるだけ多くの上清(ペレットが形成された場合ペレットをかき乱さずに)を第2の遠心管(ステップaと同じ型)に移す
d)0.05mLのサブサンプルを上清から取る(サブサンプルA)
e)最大でも200ミクロンの粒径を有する、10mgのBLG結晶(総固体に対して少なくとも98%の純粋BLG)を第2の遠心管に添加し、混合物を撹拌する。
f)第2の遠心管を60分間元の温度で静置させる。
g)ステップf)の直後に、第2の遠心管を500gで10分間遠心分離し、ついで別の0.05mLのサブサンプルを上清から取る(サブサンプルB)。
h)ステップg)の遠心分離ペレットがあれば回収し、それをミリQ水中に再懸濁させ、懸濁液を、顕微鏡法により視認可能である結晶の存在について直ちに検査する。
i)サブサンプルAおよびB中のBLGの濃度を、WO2018/115520号の実施例9.9において概説された方法を使用して決定する-結果がサブサンプルの総重量に対して%BLGw/wとして表される。サブサンプルAのBLGの濃度はCBLG、Aと呼ばれ、サブサンプルBのBLGの濃度はCBLG、Bと呼ばれる。
j)ステップa)の試料が取られた液体は、cBLG、BがcBLG、Aより低く、結晶がステップi)で観察される場合、(特定条件で)過飽和であった。
【0035】
本発明との関連で、「液体」および「溶液」という用語は、液体および固体または半固体粒子、例えば、例としてタンパク質結晶または他のタンパク質粒子の組み合わせを含む組成物を包含する。よって、「液体」または「溶液」は懸濁液またはさらにはスラリーであってもよい。しかしながら、「液体」および「溶液」は好ましくはポンピング可能である。
【0036】
本発明との関連で、「BLG結晶」を含む、例えば、粉末などの乾燥生成物は、BLG結晶の懸濁液を乾燥させることにより得られる生成物を含み、湿性BLG結晶の結晶構造は乾燥プロセス中に歪められた可能性があり、少なくとも部分的にそれらのX線回折特性を失った可能性がある。同じように、「乾燥BLG結晶」および「乾燥されたBLG結晶」という用語は湿性BLG結晶を乾燥させることから得られた粒子を示し、この乾燥粒子はそれ自体結晶構造を有する必要はない。しかしながら、本発明者らは、乾燥されたBLG結晶は冷(4℃)脱塩水に、重量比2部水対1部乾燥BLG結晶で再懸濁させると、BLG結晶は再水和され、乾燥前と実質的に同じ結晶構造(空間群型および単位格子寸法)を回復することを観察した。
【0037】
PCT出願WO2018/115520号との関連で記載される分析の方法は本発明に等しく適用され、本明細書で記載されるパラメータを決定するために使用されるべきである。
【0038】
本発明との関連で、「初期タンパク質溶液」という用語は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)および1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)を合わせる、好ましくは混合することにより調製したタンパク質溶液に関する。初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、ステップb)の結晶化が開始されるBLG含有溶液である。使用されるタンパク質供給物(複数可)の1つ以上がすでにBLG結晶を含む場合、初期タンパク質溶液は5.0-6.0の範囲のpHを有し、BLGに関して過飽和である第1のタンパク質溶液であり、これは、A型タンパク質供給物およびB型タンパク質供給物を合わせる、好ましくは混合することにより得られる。
【0039】
本発明との関連で、「A型タンパク質供給物」という用語は、少なくとも5.6のpHを有し、BLGをさらに含むタンパク質供給物に関する。よって、少なくとも5.6のpHを有し、初期タンパク質溶液を調製するために使用される任意のBLG含有タンパク質供給物は、A型タンパク質供給物と考えられる。
【0040】
本発明との関連で、「B型タンパク質供給物」という用語は、最大でも5.4のpHを有し、BLGをさらに含むタンパク質供給物に関する。よって、最大でも5.4のpHを有し、初期タンパク質溶液を調製するために使用される任意のBLG含有タンパク質供給物はB型タンパク質供給物と考えられる。
【0041】
本発明との関連で、「1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)」という用語は、発明は、単一A型タンパク質供給物を用いて、または、いくつかのA型タンパク質供給物を用いて実行され得、それらは、初期タンパク質溶液の調製中に、B型タンパク質供給物(複数可)と合わせられることを意味する。
【0042】
本発明との関連で「1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)」という用語は、発明はどちらも、単一B型タンパク質供給物を用いて、または、いくつかのB型タンパク質供給物を用いて実行され得、それらは、初期タンパク質溶液の調製中に、A型タンパク質供給物(複数可)と合わせられることを意味する。
【0043】
本発明との関連で、「A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、になる」という用語は、それらが仮定で、単一A型タンパク質供給物に、初期タンパク質溶液を調製するために使用されるのと同じ量で混合された場合、それらが有しているであろう特性に基づく1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を説明する。この用語はまた、単一A型タンパク質供給物のみの使用を包含することに注目することが重要であり、この場合、特性は単一A型タンパク質供給物に関連する。この用語は、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と混合する前に、複数のA型タンパク質供給物が実際に合わせられることを必要としないことに注目することがさらに重要である。
【0044】
本発明との関連で、「B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、になる」という用語は、それらが仮定で、単一B型タンパク質供給物に初期タンパク質溶液を調製するために使用されるのと同じ量で混合された場合、それらが有しているであろう特性に基づく1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)を説明する。この用語はまた、単一B型タンパク質供給物のみの使用を包含することに注目することが重要であり、この場合、特性は単一B型タンパク質供給物に関連する。この用語は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)と混合する前に、複数のB型タンパク質供給物が実際に合わせられることを必要としないことに注目することがさらに重要である。
【0045】
ステップa)の初期タンパク質溶液は典型的には、BLGに加えて非BLG固体を含む。本発明との関連で、「非BLG固体」という用語は、例えば、炭水化物、ミネラル、脂質、ペプチドならびにBLG以外のタンパク質などの固体に関する。初期タンパク質溶液中に存在する固体は、タンパク質供給物が調製された1つまたは複数のタンパク質源に特徴的である。ホエータンパク質源に基づくタンパク質供給物は、典型的には、BLGに加えて、他のホエータンパク質、例えば、例としてαラクトアルブミン、カゼイノマクロペプチド、および/またはウシ血清アルブミンを含むであろう。発酵により調製したBLG源に基づくタンパク質供給物は、典型的には、発酵ブロス由来の不純物、例えば、残留栄養分および代謝副産物、例えば、例として他のタンパク質、ペプチドおよび代謝された栄養分を含む。
【0046】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、方法はステップc)の分離を含まず、BLG結晶および追加のタンパク質、例えば追加のホエータンパク質の両方を含む可食組成物を提供する。この方法変形が、ステップf)の乾燥をさらに含む場合、それは、BLG結晶および追加のホエータンパク質、すなわち、WPCまたはWPIを含む乾燥組成物を提供し、この場合、BLGの少なくとも一部はBLG結晶の形態で存在する。好ましくは、方法はステップa)、b)およびf)を直接シーケンスで含む。
【0047】
タンパク質供給物がホエータンパク質濃縮物(WPC)、ホエータンパク質分離物(WPI)、セラムタンパク質濃縮物(SPC)またはセラムタンパク質分離物(SPI)から調製される場合、上記方法変形は、WPC、WPI、SPC、またはSPIを液体または乾燥形態で調製することを可能にし、この場合、BLGの少なくとも一部は結晶形態である。
【0048】
「ホエータンパク質濃縮物」および「セラムタンパク質濃度」という用語は、総固体に対して20-89%w/wのタンパク質の総量を含む乾燥または水性組成物に関する。
【0049】
WPCまたはSPCは好ましくは下記を含む:
総固体に対して20-89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15-70%w/wのBLG、
総タンパク質に対して8-50%w/wのALA、および
タンパク質に対して0-40%w/wのCMP。
【0050】
あるいは、これもまた好ましいが、WPCまたはSPCは下記を含み得る:
総固体に対して20-89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15-90%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4-50%w/wのALA、および
タンパク質に対して0-40%w/wのCMP。
【0051】
好ましくは、WPCまたはSPCは下記を含む:
総固体に対して20-89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15-80%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4-50%w/wのALA、および
タンパク質に対して0-40%w/wのCMP。
【0052】
より好ましくはWPCまたはSPCは下記を含む:
総固体に対して70-89%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して30-90%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4-35%w/wのALA、および
タンパク質に対して0-25%w/wのCMP。
【0053】
「ホエータンパク質分離物」および「セラムタンパク質分離物」という用語は、総固体に対して90-100%w/wのタンパク質の総量を含む乾燥または水性組成物に関する。
【0054】
WPIまたはSPIは好ましくは下記を含む:
総固体に対して90-100%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して15-70%w/wのBLG、
総タンパク質に対して8-50%w/wのALA、および
総タンパク質に対して0-40%w/wのCMP。
【0055】
あるいは、これもまた好ましいが、WPIまたはSPIは下記を含み得る:
総固体に対して90-100%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して30-95%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4-35%w/wのALA、および
総タンパク質に対して0-25%w/wのCMP。
【0056】
より好ましくはWPIまたはSPIは下記を含み得る:
総固体に対して90-100%w/wのタンパク質、
総タンパク質に対して30-90%w/wのBLG、
総タンパク質に対して4-35%w/wのALA、および
総タンパク質に対して0-25%w/wのCMP。
【0057】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、方法は、BLG結晶、例えばステップc)から得られた、分離されたBLG結晶を洗浄するステップd)をさらに含む。
【0058】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、方法は、BLG結晶、例えば、ステップc)またはd)から得られたBLG結晶を再結晶化させるステップe)をさらに含む。
【0059】
方法は、例えば、ステップa)、b)、c)、d)、およびe)を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、方法は、ステップa)、b)、c)、およびe)を含み、またはさらには、これから構成され得る。
【0060】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、方法は、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物を乾燥させるステップf)をさらに含む。
【0061】
方法は、例えば、ステップa)、b)、およびf)を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、方法は、ステップa)、b)、c)およびf)を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、方法は、ステップa)、b)、c)、d)およびf)を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、方法は、ステップa)、b)、c)、d)、e)およびf)を含み、またはさらには、これから構成され得る。前述の通り、本発明のステップa)は、5-6の範囲のpHを有し、BLGに関して過飽和である初期タンパク質溶液を提供することを含む。
【0062】
初期タンパク質溶液はしばしば、BLGに加えて追加のタンパク質を含む。本発明との関連で、「追加のタンパク質」という用語は、BLGではないタンパク質を意味する。初期タンパク質溶液中に存在する追加のタンパク質は典型的には、乳清またはホエー中で見出される1つ以上の非BLGタンパク質を含む。そのようなタンパク質の非限定的な例は、αラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、免疫グロブリン、カゼイノマクロペプチド(CMP)、オステオポンチン、ラクトフェリン、および乳脂肪球膜タンパク質である。あるいは、追加のタンパク質は、例えば、BLGが組換え細胞培養物の発酵により生成される場合、発酵ブロス由来のタンパク質不純物または細胞デブリであり得る。
【0063】
本発明との関連で、「ホエータンパク質」という用語は、ホエーまたは乳清中で見出されるタンパク質に関する。初期タンパク質溶液のホエータンパク質は、ホエーまたは乳清中で見出されるタンパク質種のサブセットであってもよく、または、それはホエーまたは/および乳清中で見出されるタンパク質種の完全セットであってもよい。しかしながら、初期タンパク質溶液はBLGを常に含む。
【0064】
よって、初期タンパク質溶液は好ましくは、αラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、免疫グロブリン、カゼイノマクロペプチド(CMP)、オステオポンチン、ラクトフェリン、乳脂肪球膜タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの追加のホエータンパク質を含み得る。
【0065】
αラクトアルブミン(ALA)はほとんど全ての哺乳動物種の乳中に存在するタンパク質である。ALAはラクトースシンターゼ(LS)ヘテロ二量体の調節サブユニットを形成し、および、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(β4Gal-T1)は触媒成分を形成する。一緒に、これらのタンパク質は、LSが、ガラクトース部分をグルコースに転移させることによりラクトースを生成することを可能にする。多量体として、αラクトアルブミンは、カルシウムおよび亜鉛イオンに強く結合し、殺菌または抗腫瘍活性を有し得る。βラクトグロブリンとの主な構造的差異の1つは、ALAは、共有結合凝集反応のための開始点として機能することができる遊離チオール基を有さないことである。その結果、純粋ALAは変性および酸性化でゲルを形成しない。
【0066】
本発明との関連で、「ALA」または「αラクトアルブミン」という用語は、例えば天然および/またはグリコシル化形態の、哺乳動物種由来のαラクトアルブミンに関し、天然起源の遺伝子変異体を含む。
【0067】
発明のいくつかの実施形態では、初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して最大でも10%w/wのカゼイン、好ましくは最大でも5%w/w、より好ましくは最大でも1%w/w、さらにより好ましくはタンパク質の総量に対して最大でも0.5%のカゼインを含む。発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は検出可能な量のカゼインを含まない。
【0068】
「乳清」という用語は、カゼインおよび乳脂肪球が、例えば、精密濾過または大細孔限外濾過により乳から除去された場合に残る液体に関する。乳清はまた、「理想ホエー」と呼ばれ得る。
【0069】
「乳清タンパク質」または「セラムタンパク質」という用語は、乳清中に存在するタンパク質に関する。
【0070】
「ホエー」という用語は、乳のカゼインが沈殿され、除去された後に残る液体上清に関する。カゼイン沈殿は、例えば、乳の酸性化および/またはレンネット酵素の使用により達成され得る。
【0071】
いくつかの型のホエーが存在し、例えば、カゼインのレンネットに基づく沈殿により生成されたホエー生成物である「スイートホエー」、および、カゼインの酸に基づく沈殿により生成されたホエー生成物である「酸ホエー」または「サワーホエー」である。カゼインの酸に基づく沈殿は、例えば、食物酸の添加により、または、細菌培養により達成され得る。
【0072】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも2%w/w、さらにより好ましい少なくとも5%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0073】
本発明の他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して少なくとも15%w/w、より好ましくは少なくとも20%w/w、さらにより好ましくは少なくとも30%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0074】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは1-60%w/w、さらにより好ましくは2-50%w/w、最も好ましくは3-40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0075】
本発明の他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して0-20%w/w、より好ましくは0-15%w/w、さらにより好ましくは0-10%w/w、最も好ましくは0-5%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0076】
本発明のさらに好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して15-70%w/w、より好ましくは20-65%w/w、さらにより好ましくは25-60%w/w、最も好ましくは30-50%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0077】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも5%w/wの追加のホエータンパク質を含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも10%w/wの追加のホエータンパク質を含む。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも15%w/wの追加のホエータンパク質を含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも20%w/wの追加のホエータンパク質を含む。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/wの追加のホエータンパク質を含み得る。
【0078】
発明の他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも1%w/wの追加のホエータンパク質を含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも2%w/wの追加のホエータンパク質を含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも3%w/wの追加のホエータンパク質を含む。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも4%w/wの追加のホエータンパク質を含み得る。
【0079】
発明のさらに他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも35%w/wの追加のホエータンパク質を含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも40%w/wの追加のホエータンパク質を含み得る。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して少なくとも45%w/wの追加のホエータンパク質を含み得る。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも50%w/wの追加のホエータンパク質を含み得る。
【0080】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して5-90%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して10-80%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含み得る。ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して20-70%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含み得る。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して30-70%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含む。
【0081】
前述の通り、本発明者らは、有機溶媒を使用せずにBLGを結晶化することが可能であることを見出した。この精製アプローチはまた、ホエータンパク質を含む調製物を純化するために使用することができ(その調製物はすでに、いくらかのBLG精製に供されている)、BLGの純度をさらにいっそう増加させる簡単な方法を提供する。よって、発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して1-20%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して2-15%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含み得る。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して3-10%w/wの範囲の追加のホエータンパク質を含み得る。
【0082】
発明のいくつかの実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも5%w/wのALAを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも10%w/wのALAを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも15%w/wのALAを含む。あるいは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも20%w/wのALAを含み得る。
【0083】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも25%w/wのALAを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/wのALAを含む。ステップa)の初期タンパク質溶液は好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも35%w/wのALAを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも40%w/wのALAを含み得る。
【0084】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して5-95%w/wの範囲のALAを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して5-70%w/wの範囲のALAを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して10-60%w/wの範囲のALAを含み得る。ステップa)の初期タンパク質溶液は好ましくは、タンパク質の総量に対して12-50%w/wの範囲のALAを含む。さらにより好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して20-45%w/wの範囲のALAを含み得る。
【0085】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、少なくとも0.01のBLGとALAの間の重量比を有する。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、少なくとも0.5のBLGとALAの間の重量比を有する。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、少なくとも1、例えば、例として少なくとも2のBLGとALAの間の重量比を有する。例えば、ステップa)の初期タンパク質溶液は、少なくとも3のBLGとALAの間の重量比を有し得る。
【0086】
初期タンパク質溶液およびタンパク質供給物中のBLGおよび他のタンパク質の量および濃度は全て溶解したタンパク質を示し、沈殿した、または、結晶化したタンパク質を含まない。
【0087】
本発明との関連で、成分Xと成分Yの間の「重量比」という用語は、計算m/mにより得られる値を意味し、ここで、mは成分Xの量(重量)であり、mは成分Yの量(重量)である。
【0088】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、0.01-20の範囲の、BLGとALAの間の重量比を有する。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、0.2-10の範囲の、BLGとALAの間の重量比を有する。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、0.5-4の範囲の、BLGとALAの間の重量比を有する。例えば、ステップa)の初期タンパク質溶液は、1-3の範囲の、BLGとALAの間の重量比を有し得る。
【0089】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも1%w/wのBLGを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも2%w/wのBLGを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも5%w/wのBLGを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも10%w/wのBLGを含み得る。
【0090】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも12%w/wのBLGを含む。例えば、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも15%w/wのBLGを含み得る。ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して少なくとも20%w/wのBLGを含み得る。あるいは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/wのBLGを含み得る。
【0091】
発明の他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも40%w/wのBLGを含む。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも45%w/wのBLGを含み得る。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して少なくとも50%w/wのBLGを含み得る。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも55%w/wのBLGを含み得る。
【0092】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して最大でも95%w/wのBLGを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して最大でも90%w/wのBLGを含み得る。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して最大でも85%w/wのBLGを含み得る。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は例えば、タンパク質の総量に対して最大でも80%w/wのBLGを含み得る。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して最大でも78%w/wのBLGを含み得る。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して最大でも75%w/wのBLGを含み得る。
【0093】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して1-95%w/wの範囲のBLGを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して5-90%w/wの範囲のBLGを含み得る。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して10-85%w/wの範囲のBLGを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して10-80%w/wの範囲のBLGを含む。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して20-70%w/wの範囲のBLGを含み得る。
【0094】
発明の他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して10-95%w/wの範囲のBLGを含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して12-90%w/wの範囲のBLGを含み得る。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して15-85%w/wの範囲のBLGを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して15-80%w/wの範囲のBLGを含む。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して30-70%w/wの範囲のBLGを含み得る。
【0095】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して少なくとも0.4%w/wの量のBLGを含む。好ましくは、初期タンパク質溶液は、少なくとも1.0%w/wの量のBLGを含む。より好ましくは、初期タンパク質溶液は、少なくとも2.0%w/wの量のBLGを含む。初期タンパク質溶液は、少なくとも4%w/wの量のBLGを含むことが、さらにより好ましい。
【0096】
より高い濃度のBLGがさらにより好ましく、好ましくは、初期タンパク質溶液は、少なくとも6%w/wの量のBLGを含む。より好ましくは、初期タンパク質溶液は、少なくとも10%w/wの量のBLGを含む。初期タンパク質溶液は、少なくとも15%w/wの量のBLGを含むことが、さらにより好ましい。
【0097】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して0.4-40%w/wの範囲の量のBLGを含む。好ましくは、初期タンパク質溶液は、1-35%w/wの範囲の量のBLGを含む。より好ましくは、初期タンパク質溶液は、4-30%w/wの範囲の量のBLGを含む。初期タンパク質溶液は、10-25%w/wの範囲の量のBLGを含むことが、さらにより好ましい。
【0098】
発明の他の好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して1-45%w/wの範囲の量のBLGを含む。好ましくは、初期タンパク質溶液は、3-40%w/wの範囲の量のBLGを含む。より好ましくは、初期タンパク質溶液は、5-36%w/wの範囲の量のBLGを含む。初期タンパク質溶液は、7-34%w/wの範囲の量のBLGを含むことが、さらにより好ましい。
【0099】
発明のさらに好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して6-32%w/wの範囲の量のBLGを含む。好ましくは、初期タンパク質溶液は、8-30%w/wの範囲の量のBLGを含む。より好ましくは、初期タンパク質溶液は、10-28%w/wの範囲の量のBLGを含む。初期タンパク質溶液は、12-26%w/wの範囲の量のBLGを含むことが、さらにより好ましい。
【0100】
初期タンパク質溶液は脱塩初期タンパク質溶液であることが好ましい。
【0101】
この状況では、脱塩という用語は、初期タンパク質溶液の導電率が最大でも15mS/cm、好ましくは最大でも10mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも8mS/cmであることを意味する。脱塩初期タンパク質溶液のUF透過導電率は好ましくは、最大でも7mS/cm、より好ましくは、最大でも4mS/cm、さらにいっそう好ましくは、最大でも1mS/cmである。
【0102】
初期タンパク質溶液は脱塩乳清タンパク質濃縮物、脱塩乳清タンパク質分離物、脱塩ホエータンパク質濃縮物、または脱塩ホエータンパク質分離物であることが特に好ましい。
【0103】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は、脱塩およびpH調整された乳清タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物、乳清タンパク質分離物、ホエータンパク質分離物、またはそれらの組み合わせを含み、またはさらには、これから構成される。
【0104】
初期タンパク質溶液は、例えば、脱塩乳清タンパク質濃縮物を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、初期タンパク質溶液は、脱塩ホエータンパク質濃縮物を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、初期タンパク質溶液は、脱塩乳清タンパク質分離物を含み、またはさらには、これから構成され得る。あるいは、初期タンパク質溶液は、脱塩ホエータンパク質分離物を含み、またはさらには、これから構成され得る。
【0105】
本発明との関連で、「ホエータンパク質濃縮物」および「乳清タンパク質濃縮物」という用語はホエーまたは乳清の調製物に関し、その調製物は総固体に対しておよそ20-89%w/wの範囲のタンパク質を含む。
【0106】
本発明との関連で、「ホエータンパク質分離物」および「乳清タンパク質分離物」という用語はホエーまたは乳清の調製物に関し、その調製物は総固体に対して少なくとも90%w/wのタンパク質を含む。
【0107】
「から本質的に構成される」および「から本質的に構成されている」という用語は、問題になっている特許請求の範囲または特徴は特定された材料またはステップおよび特許請求される発明の基本的な、新規特性(複数可)に実質的に影響しないものを包含することを意味する。
【0108】
初期タンパク質溶液のタンパク質は好ましくは、哺乳動物乳、好ましくは、例えば、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、水牛、ラクダ、ラマ、雌馬および/またはシカなどの反芻動物の乳に由来する。ウシ(雌ウシ)乳由来のタンパク質が特に好ましい。よって、BLGおよび任意の追加のタンパク質は好ましくはウシBLGおよびウシホエータンパク質である。発明の他の実施形態では、初期タンパク質溶液のBLGは組換え微生物により生成されたが、依然として、哺乳動物乳由来のBLGのアミノ酸配列を有する。
【0109】
初期タンパク質溶液のタンパク質は好ましくは、その天然状態に可能な限り近く、好ましくは、あるとすれば、穏やかな、未変性熱処理にしか供されていない。
【0110】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液のBLGは最大でも1のラクトシル化度を有する。好ましくは、初期タンパク質溶液のBLGは最大でも0.6のラクトシル化度を有する。より好ましくは、初期タンパク質溶液のBLGは最大でも0.4のラクトシル化度を有する。さらにいっそう好ましくは、初期タンパク質溶液のBLGは最大でも0.2のラクトシル化度を有する。最も好ましくは、初期タンパク質溶液のBLGは最大でも0.1、例えば、例として好ましくは最大でも0.01のラクトシル化度を有する。
【0111】
BLGのラクトシル化度は、Czerwenkaら(J. Agric. Food Chem., Vol. 54, No. 23, 2006, 8874-8882ページ)に従い決定される。
【0112】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は最大でも80mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも40mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。より好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも20mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。さらにいっそう好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも10mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。最も好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも5mg/100gタンパク質のフロシン値、例えば、例として好ましくは0mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。
【0113】
初期タンパク質溶液は典型的には、タンパク質に加えて他の成分を含む。初期タンパク質溶液はホエーまたは乳清中で普通に見出される他の成分、例えば、例としてミネラル、炭水化物、および/または脂質を含み得る。その代わりに、または、加えて、初期タンパク質溶液はホエーまたは乳清に本来含まれていない成分を含み得る。しかしながら、そのような本来含まれていない成分は好ましくは、食糧生産において使用するのに、および、好ましくはまた、人の飲食にとっても安全でなければならない。
【0114】
本方法は、BLG以外の固体を含む粗初期タンパク質溶液からBLGを分離するのに特に有利である。
【0115】
初期タンパク質溶液は例えば、炭水化物、例えば、例としてラクトース、オリゴ糖および/またはラクトースの加水分解生成物(すなわち、グルコースおよびガラクトース)を含み得る。初期タンパク質溶液は、例えば、0-40%w/wの範囲、例えば、1-30%w/wの範囲、または2-20%w/wの範囲の炭水化物を含み得る。
【0116】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は最大でも20%w/wの炭水化物、好ましくは最大でも10%w/wの炭水化物、より好ましくは最大でも5%w/wの炭水化物、さらにいっそう好ましくは最大でも2%w/wの炭水化物を含む。
【0117】
初期タンパク質溶液はまた、例えば、トリグリセリドおよび/またはリン脂質などの他の脂質型の形態の脂質を含み得る。
【0118】
発明のいくつかの実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して最大でも15%w/wの総量の脂質を含む。好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して最大でも10%w/wの総量の脂質を含む。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して最大でも6%w/wの総量の脂質を含む。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して最大でも1.0%w/wの総量の脂質を含む。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して最大でも0.5%w/wの総量の脂質を含む。
【0119】
初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は典型的には、初期タンパク質溶液の重量に対して少なくとも1%w/wである。好ましくは、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、少なくとも5%w/wである。より好ましくは、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、少なくとも10%w/wである。さらにより好ましくは、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、少なくとも15%w/wである。
【0120】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、1-50%w/wの範囲である。好ましくは、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、5-40%w/wの範囲である。より好ましくは、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、10-30%w/wの範囲である。さらにより好ましくは、初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、15-25%w/wの範囲である。
【0121】
初期タンパク質溶液の総固体は典型的には、初期タンパク質溶液の重量に対して少なくとも1%w/wである。好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、少なくとも5%w/wである。より好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、少なくとも10%w/wである。さらにより好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、少なくとも15%w/wである。
【0122】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の総固体は、5-50%w/wの範囲である。好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、8-40%w/wの範囲である。より好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、10-30%w/wの範囲である。さらにより好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、15-25%w/wの範囲である。
【0123】
発明の他の好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の総固体は、8-50%w/wの範囲である。好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、10-45%w/wの範囲である。より好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、12-40%w/wの範囲である。さらにより好ましくは、初期タンパク質溶液の総固体は、15-35%w/wの範囲である。
【0124】
初期タンパク質溶液のタンパク質の総量は、WO2018/115520号の実施例9.2に従い決定される。
【0125】
ステップa)の初期タンパク質溶液は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と合わせる、好ましくは混合することにより調製される。上述のように、少なくとも5.6のpHを有する任意のBLG含有タンパク質供給物はA型タンパク質供給物として規定され、最大でも5.4のpHを有する任意のBLG含有タンパク質供給物はB型タンパク質供給物として規定される。
【0126】
最も好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は、単一A型タンパク質供給物を単一B型タンパク質供給物と合わせる、好ましくは混合することにより調製される。結晶化は、好ましくは液体の形態、あるいは粉末の形態のシード組成物のその後の添加により、好ましくは開始される。
【0127】
初期タンパク質溶液は、A型でもB型でもないタンパク質供給物(複数可)、例えば、およそ5.5のpHを有するタンパク質供給物(複数可)、または、BLGを含まないタンパク質供給物(複数可)をさらに含み得るが、例えば、結晶化を開始するためにBLG結晶または他のシード材料を提供することにより、プロセスを最適化するために使用される場合を除き、そのような追加のタンパク質供給物の存在を制限する、または、さらには回避することが好ましい。
【0128】
初期タンパク質溶液の調製は、好適なpHを有する初期タンパク質溶液を提供するための、タンパク質供給物に加えて他の材料成分の添加、例えば酸または塩基の添加を含み得る。しかしながら、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)および1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられると所望のpHを提供するように、すでに調整されており、よって、他の材料成分の添加が制限され、または、さらには回避されることが好ましい。
【0129】
本発明との関連で、「1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)」および「1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)」という用語は、BLGに関して過飽和である初期タンパク質溶液の調製中に合わせられるBLG含有組成物に関連する。前述の通り、「A型タンパク質供給物」は少なくとも5.6のpHを有し、「B型タンパク質供給物」は最大でも5.4のpHを有する。タンパク質供給物は典型的には、BLGおよび不純物を含む水性液体および/または粉末である。典型的な不純物の例はミネラル、炭水化物、例えば、追加のタンパク質などの他のタンパク質である。
【0130】
よって、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)、および任意のさらなる材料成分は、任意の順序で合わせることができ、初期タンパク質溶液が提供される。
【0131】
初期タンパク質溶液は、タンパク質供給物を合わせる、好ましくは、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と、および任意で、任意のさらなるタンパク質供給物または材料成分と混合することにより調製される。
【0132】
全てのタンパク質供給物および任意のさらなる材料成分は適切な化学組成が提供され、本明細書で記載される初期タンパク質溶液を提供するのに十分な量で合わせられる。
【0133】
発明者らは、BLG結晶化の最大BLG収率は、およそpH5.5で得られることを見出した。よって、初期タンパク質溶液は、下記より5.5に近いpHを有することが好ましい:
-それらが合わせられた場合のA型タンパク質供給物(複数可)のpH、または
-それらが合わせられた場合のB型タンパク質供給物(複数可)のpH、または
-それらが合わせられた場合のA型タンパク質供給物(複数可)のpHおよびそれらが合わせられた場合のB型タンパク質供給物(複数可)のpH。
【0134】
タンパク質供給物を合わせ、BLG過飽和に関して準安定領域にある、すなわち、過飽和領域にある初期タンパク質溶液を提供することがしばしば好ましく、この場合、シーディングが使用されるとBLG結晶が成長することができるが、結晶化は自然には始まらない。
【0135】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも5.7、さらにいっそう好ましくは少なくとも5.8、最も好ましくは少なくとも5.9のpHを有し、ならびに
-B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.3、さらにいっそう好ましくは、5.2、最も好ましくは5.1のpHを有する。
【0136】
単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、「合わせられた場合、になる」という句は、そのようなものとして単一A型タンパク質供給物を示す。同様に、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、「合わせられた場合、になる」という句は、そのようなものとして単一B型タンパク質供給物を示す。
【0137】
よって、「A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、[特定の特性]を有する」という句は、下記を意味する:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それは[特定の特性]を有する
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、[特定の特性]を有する。
【0138】
例えば、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、少なくとも5.6のpHを有すると述べることにより、下記が意味される:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それは少なくとも5.6のpHを有する
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、少なくとも5.6のpHを有する。
【0139】
例えば、2つのA型タンパク質供給物が使用される一実施形態では、「合わせられた場合、になる」という句は、2つのA型タンパク質供給物が混合された場合、特定の特性が得られることを意味する。
【0140】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも5.7、さらにいっそう好ましくは少なくとも5.8、最も好ましくは少なくとも5.9のpH、ならびに、
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.3、さらにいっそう好ましくは、5.2、最も好ましくは5.1のpH。
【0141】
本発明の他の好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、少なくとも6.0、より好ましくは少なくとも6.1、さらにいっそう好ましくは少なくとも6.2、最も好ましくは少なくとも6.3のpHを有し、ならびに
-B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも5.0、より好ましくは最大でも4.9、さらにいっそう好ましくは4.8、最も好ましくは4.7のpHを有する。
【0142】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも6.0、より好ましくは少なくとも6.1、さらにいっそう好ましくは少なくとも6.2、最も好ましくは少なくとも6.3のpH、ならびに、
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも5.0、より好ましくは最大でも4.9、さらにいっそう好ましくは4.8、最も好ましくは4.7のpH。
【0143】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpHを有する。
【0144】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH。
【0145】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、6.0-8、より好ましくは6.1-7.5、さらにいっそう好ましくは、6.2-7.0、最も好ましくは6.2-6.5の範囲のpHを有する。
【0146】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
6.0-8、より好ましくは6.1-7.5、さらにいっそう好ましくは、6.2-7.0、最も好ましくは6.2-6.5の範囲のpH。
【0147】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpHを有する。
【0148】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH。
【0149】
本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、4.0-5.0、より好ましくは4.1-4.9、さらにいっそう好ましくは、4.3-4.8、最も好ましくは4.5-4.8の範囲のpHを有する。
【0150】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
4.0-5.0、より好ましくは4.1-4.9、さらにいっそう好ましくは、4.3-4.8、最も好ましくは4.5-4.8の範囲のpH。
【0151】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して飽和されておらず、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)のいずれもBLGに関して飽和されていない。
【0152】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して飽和されておらず、より好ましくは1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)のいずれもBLGに関して飽和されていない。
【0153】
本発明のさらに好ましい実施形態では、A型またはB型タンパク質供給物(複数可)のいずれもBLGに関して飽和されていない。
【0154】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)のいずれもBLG結晶を含まない。
【0155】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)のいずれもBLG結晶を含まない。
【0156】
たとえ、供給物がBLG結晶を含まなくても、それはBLGに関して依然として飽和されており、またはさらには過飽和である可能性があることに注意すべきである。
【0157】
本発明のさらに好ましい実施形態では、A型またはB型タンパク質供給物(複数可)のいずれも、BLG結晶を含まない。
【0158】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型またはB型タンパク質供給物(複数可)のいずれも、BLG結晶を含まない。
【0159】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)のいずれも、BLGに関して過飽和ではない。
【0160】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)のいずれも、BLGに関して過飽和ではない。
【0161】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して飽和されている。
【0162】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して飽和されている。
【0163】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して過飽和であるが、自然結晶化は起こらない準安定ゾーンにある。
【0164】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはBLGに関して過飽和であるが、自然結晶化は起こらない準安定ゾーンにある。
【0165】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する。
【0166】
好ましくは、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する。
【0167】
本発明の他の好ましい実施形態では、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する。
【0168】
例えば、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の100%w/wで寄与することは好ましい可能性がある。これは、例えば、典型的には、初期タンパク質溶液の調製後にシード材料が添加される状況である。
【0169】
発明者らは、タンパク質供給物の少なくともいくつかはBLGに関して過飽和ではないことがしばしば望ましく、というのも、これは、生成中のコントロール不良の結晶化のリスクを著しく低減させるからであることを見出した。
【0170】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する。
【0171】
好ましくは、BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する。
【0172】
本発明のさらに好ましい実施形態では、BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する。
【0173】
BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量のおよそ100%w/wで寄与することがしばしば好ましい。
【0174】
A型およびB型タンパク質供給物をタンパク質変性および/または分解を回避する温度で調製し、保存し、使用することが好ましい。
【0175】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度を有する。
【0176】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【0177】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度を有する。
【0178】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度。
【0179】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度を有する。
【0180】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【0181】
本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度を有する。
【0182】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度。
【0183】
発明者らは低い導電率を有するタンパク質供給物から調製した初期タンパク質溶液は典型的にはより高いBLG結晶化収率を提供することを見出した。
【0184】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、最大でも10mS/cm、より好ましくは最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも4mS/cmの導電率を有する。
【0185】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも10mS/cm、より好ましくは最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも4mS/cmの導電率。
【0186】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、最大でも3mS/cm、より好ましくは最大でも2mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも1mS/cm、最も好ましくは最大でも0.5mS/cmの導電率を有する。
【0187】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも3mS/cm、より好ましくは最大でも2mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも1mS/cm、最も好ましくは最大でも0.5mS/cmの導電率。
【0188】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、最大でも10mS/cm、より好ましくは最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも4mS/cmの導電率を有する。
【0189】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも10mS/cm、より好ましくは最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも4mS/cmの導電率。
【0190】
本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、最大でも3mS/cm、より好ましくは最大でも2mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも1mS/cm、最も好ましくは最大でも0.5mS/cmの導電率を有する。
【0191】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも3mS/cm、より好ましくは最大でも2mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも1mS/cm、最も好ましくは最大でも0.5mS/cmの導電率。
【0192】
発明者らはさらに、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)の導電率(mS/cmで表される)とタンパク質の総量(供給物(複数可)の総重量に対する%wt総タンパク質で表される)の間の比がある一定の閾値以下で維持される場合、BLG結晶化収率が得られることを観察した。
【0193】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、より好ましくは最大でも0.20、より好ましくは最大でも0.18、さらにいっそう好ましくは最大でも0.12、最も好ましくは最大でも0.10の導電率とタンパク質の総量の間の比を有する。
【0194】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、より好ましくは最大でも0.20、より好ましくは最大でも0.18、さらにいっそう好ましくは最大でも0.12、最も好ましくは最大でも0.10の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0195】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、より好ましくは最大でも0.20、より好ましくは最大でも0.18、さらにいっそう好ましくは最大でも0.12、最も好ましくは最大でも0.10の導電率とタンパク質の総量の間の比を有する。
【0196】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、より好ましくは最大でも0.20、より好ましくは最大でも0.18、さらにいっそう好ましくは最大でも0.12、最も好ましくは最大でも0.10の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0197】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、A型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも7%w/wのBLGを含む。
【0198】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
A型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【0199】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、A型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して1-45%w/wのBLG、より好ましくは3-40%w/w、さらにいっそう好ましくは、5-36%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して7-34%w/wのBLGを含む。
【0200】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
A型タンパク質供給物の総重量に対して1-45%w/wのBLG、より好ましくは3-40%w/w、さらにいっそう好ましくは、5-36%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して7-34%w/wのBLG。
【0201】
本発明のさらに好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、A型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して6-32%w/wのBLG、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して12-26%w/wのBLGを含む。
【0202】
よって、本発明のさらに好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
A型タンパク質供給物の総重量に対して6-32%w/wのBLG、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLG。
【0203】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、B型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも7%w/wのBLGを含む。
【0204】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
B型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【0205】
本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、B型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して1-45%w/wのBLG、より好ましくは3-40%w/w、さらにいっそう好ましくは、5-36%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して7-34%w/wのBLGを含む。
【0206】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
B型タンパク質供給物の総重量に対して1-45%w/wのBLG、より好ましくは3-40%w/w、さらにいっそう好ましくは、5-36%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して7-34%w/wのBLG。
【0207】
本発明のさらに好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、B型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して、6-32%w/wのBLG、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して12-26%w/wのBLGを含む。
【0208】
よって、本発明のさらに好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
B型タンパク質供給物の総重量に対して6-32%w/wのBLG、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLG。
【0209】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGを含む。
【0210】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLG。
【0211】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGを含む。
【0212】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLG。
【0213】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも2%w/w、さらにより好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0214】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも2%w/w、さらにより好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの量の非BLG固体。
【0215】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、総固体に対して少なくとも15%w/w、より好ましくは少なくとも20%w/w、さらにより好ましくは少なくとも30%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0216】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して少なくとも15%w/w、より好ましくは少なくとも20%w/w、さらにより好ましくは少なくとも30%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wの量の非BLG固体。
【0217】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは1-60%w/w、さらにより好ましくは2-50%w/w、最も好ましくは3-40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0218】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは1-60%w/w、さらにより好ましくは2-50%w/w、最も好ましくは3-40%w/wの量の非BLG固体。
【0219】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、混合された場合、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは0-60%w/w、さらにより好ましくは0-50%w/w、最も好ましくは0-40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0220】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは1-60%w/w、さらにより好ましくは2-50%w/w、最も好ましくは3-40%w/wの量の非BLG固体。
【0221】
本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して0-20%w/w、より好ましくは0-15%w/w、さらにより好ましくは0-10%w/w、最も好ましくは0-5%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0222】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して0-20%w/w、より好ましくは0-15%w/w、さらにより好ましくは0-10%w/w、最も好ましくは0-5%w/wの量の非BLG固体。
【0223】
本発明のさらに好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して15-70%w/w、より好ましくは20-65%w/w、さらにより好ましくは25-60%w/w、最も好ましくは30-50%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0224】
よって、本発明のさらに好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して15-70%w/w、より好ましくは20-65%w/w、さらにより好ましくは25-60%w/w、最も好ましくは30-50%w/wの量の非BLG固体。
【0225】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも2%w/w、さらにより好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0226】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも2%w/w、さらにより好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの量の非BLG固体。
【0227】
本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して少なくとも15%w/w、より好ましくは少なくとも20%w/w、さらにより好ましくは少なくとも30%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0228】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して少なくとも15%w/w、より好ましくは少なくとも20%w/w、さらにより好ましくは少なくとも30%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wの量の非BLG固体。
【0229】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは1-60%w/w、さらにより好ましくは2-50%w/w、最も好ましくは3-40%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0230】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは1-60%w/w、さらにより好ましくは2-50%w/w、最も好ましくは3-40%w/wの量の非BLG固体。
【0231】
本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して0-20%w/w、より好ましくは0-15%w/w、さらにより好ましくは0-10%w/w、最も好ましくは0-5%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0232】
よって、本発明の他の好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して0-20%w/w、より好ましくは0-15%w/w、さらにより好ましくは0-10%w/w、最も好ましくは0-5%w/wの量の非BLG固体。
【0233】
本発明のさらに好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、総固体に対して15-70%w/w、より好ましくは20-65%w/w、さらにより好ましくは25-60%w/w、最も好ましくは30-50%w/wの量の非BLG固体を含む。
【0234】
よって、本発明のさらに好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む:
総固体に対して15-70%w/w、より好ましくは20-65%w/w、さらにより好ましくは25-60%w/w、最も好ましくは30-50%w/wの量の非BLG固体。
【0235】
発明のいくつかの実施形態では、タンパク質供給物は、低い含量の変性タンパク質を有する。好ましくは、タンパク質供給物は、合わせられた場合、最大でも20%、より好ましくは最大でも10%、さらにいっそう好ましくは最大でも5%、最も好ましくは最大でも2%のタンパク質変性度を有する。
【0236】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して1-99%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のA型タンパク質供給物の総量を含む。
【0237】
本発明の他の好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して5-95%w/w、より好ましくは15-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-75%w/w、最も好ましくは35-70%w/wの範囲のA型タンパク質供給物の総量を含む。
【0238】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して1-99%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のB型タンパク質供給物(複数可)の総量を含む。
【0239】
本発明の他の好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して5-95%w/w、より好ましくは15-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-75%w/w、最も好ましくは35-70%w/wの範囲のB型タンパク質供給物の総量を含む。
【0240】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は下記を含む:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0241】
本発明の他の好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は下記を含む:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の5.8-9のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の2.5-5.2のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0242】
本発明のさらに好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は下記を含む:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.0-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.0のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0243】
本発明のさらにいっそう好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は下記を含む:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.1-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの3-4.9のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0244】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、全てのタンパク質供給物は液体形態である。
【0245】
本発明の他の好ましい実施形態では、タンパク質供給物の少なくとも1つは乾燥形態である。
【0246】
本発明のさらに好ましい実施形態では、タンパク質供給物の少なくとも1つは乾燥形態、好ましくは粉末形態であり、タンパク質供給物の少なくとも1つは液体形態である。
【0247】
タンパク質供給物は好ましくは、WPC、WPI、SPC、SPI、またはそれらの組み合わせから調製される。
【0248】
初期タンパク質溶液の化学組成に関連する実施形態はA型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)に等しく適用されるが、しかしながら、典型的には、タンパク質供給物の少なくとも1つのパラメータは、過飽和、または、少なくとも自然結晶化を回避するように設定される。
【0249】
初期タンパク質溶液のBLGの過飽和度は下記の過飽和度より高いことがしばしば好ましい:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、A型タンパク質供給物、または
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、A型タンパク質供給物。
【0250】
加えて、初期タンパク質溶液のBLGの過飽和度は下記の過飽和度より高いことがしばしば好ましい:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、B型タンパク質供給物、または
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、B型タンパク質供給物。
【0251】
初期タンパク質溶液のBLGの過飽和度は下記の過飽和度の両方より高いことが特に好ましい:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、A型タンパク質供給物、または
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、A型タンパク質供給物、
および:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、B型タンパク質供給物、または
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、B型タンパク質供給物。
【0252】
液体の過飽和度は液体の試料にBLG結晶をシーディングし、試料を同じ条件(例えば温度、圧力および湿度)で24時間維持した場合に試料中で生成された追加BLG結晶質量の量を定量することにより決定される。BLG結晶質量の定量化は、15000gで5分間の、液体の温度での遠心分離、その後、得られたペレット中でのBLGの含量を、WO2018/115520A1号の分析9.9を使用して定量することにより実施される。過飽和度はペレット中で単離することができる、液体試料のBLGのパーセンテージである。
【0253】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物との関連で、単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する:
-A型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0254】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、下記を有する:
-B型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0255】
発明の特に好ましい実施形態では、
-A型タンパク質供給物との関連で、単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
-A型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、下記を有する:
-B型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、より好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0256】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物との関連で、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、下記を有する:
-B型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは0-60%w/w、さらにより好ましくは0-50%w/w、最も好ましくは0-40%w/wの量の非BLG固体の含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0257】
発明の特に好ましい実施形態では、
-A型タンパク質供給物との関連で、単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
-A型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは0-60%w/w、さらにより好ましくは0-50%w/w、最も好ましくは0-40%w/wの量の非BLG固体の含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、下記を有する:
-B型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、総固体に対して0-70%w/w、より好ましくは0-60%w/w、さらにより好ましくは0-50%w/w、最も好ましくは0-40%w/wの量の非BLG固体の含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、より好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0258】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物は下記プロセスステップの1つ以上により調製される:
-pHを調整するステップ、
-導電率を低減させるステップ
-温度を低減させるステップ
-タンパク質濃度を増加させるステップ
-水分活性を低減させる作用物質を添加するステップ
-イオン組成を改変させるステップ。
【0259】
本発明者らは、圧力駆動膜濾過は、液体タンパク質供給物を調製するのによく適していることを見出した。
【0260】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物の少なくとも1つは、タンパク質源、好ましくはホエータンパク質源の圧力駆動膜濾過を含むプロセスにより調製される。好ましい圧力駆動膜濾過は、限外濾過、精密濾過、ナノ濾過および逆浸透による濾過を含む。限外濾過が、タンパク質供給物を調製するのに特に好ましいことが見出されており、タンパク質供給物の調製中の圧力駆動膜濾過の唯一の型として使用することができ、または、他の濾過方法と組み合わせて使用され得る。
【0261】
タンパク質供給物の調製はしばしば、所望のpHを有するタンパク質供給物を提供するためのpH調整を含む。好ましくは、pHは、A型タンパク質供給物を調製する場合6.0-7.0の範囲のpHに、B型タンパク質供給物を調製する場合4.0-5.0の範囲のpHに調整される。pHは好ましくは、食品に許容される酸および/または塩基を用いて調整される。例えば、カルボン酸などの食品に許容される酸が特に好ましい。そのような酸の有用な例は、例えば塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、またはグルコン酸、および/またはそれらの混合物である。
【0262】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、pHは、ラクトン、例えば、例としてD-グルコノ-δ-ラクトンを用いて調整され、それは徐々に加水分解し、同時に、それを含む水性液体のpHを低減させる。ラクトンの加水分解が終わった後の標的pHは正確に計算することができる。
【0263】
食品に許容される塩基の有用な例は例えば水酸化物源、例えば、例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、例えば、クエン酸三ナトリウムなどの食物酸の塩、および/またはそれらの組み合わせである。
【0264】
発明の他の好ましい実施形態では、pHはそのH形態のカチオン交換材料の添加により調整される。ビーズ型/大粒子型カチオン交換材料は、初期タンパク質溶液から結晶化前に、または実に結晶化後に容易に除去される。そのH形態のカチオン交換材料の添加によるpHの調整は本発明において特に有利であり、というのも、それはタンパク質供給物の導電率に著しく影響する負の対イオンを添加せずにpHを低減させたからである。
【0265】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の調製は、タンパク質供給物の導電率を低減させることを含む。
【0266】
本明細書で言及される導電率値は別段の指定がない限り25℃に正規化されている。
【0267】
発明者らは、初期タンパク質溶液の導電率を低減させると、BLG結晶のより高い収率につながることを見出した。初期タンパク質溶液の最小の得られ得る導電率は、タンパク質画分および脂質画分(もしあれば)の組成に依存する。例えば、カゼイノマクロペプチド(CMP)などのいくつかのタンパク質種は、他のタンパク質種よりも導電率により大きく寄与する。よって、タンパク質供給物の導電率は、タンパク質およびタンパク質の対イオンが導電率への主因となるレベルに近づけられることが好ましい。導電率の低減はしばしば、液相中に存在し、タンパク質にしっかりと結合されていない小さな、遊離イオンの少なくともいくつかの除去を含む。
【0268】
タンパク質供給物は最大でも10mS/cmの導電率を有することがしばしば好ましい。発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物は最大でも5mS/cmの導電率を有する。好ましくは、タンパク質供給物は最大でも4mS/cmの導電率を有する。
【0269】
より低い導電率がさらにより好ましく、BLG結晶のより高い収率を生じさせる。よって、タンパク質供給物は好ましくは、最大でも3mS/cmの導電率を有する。発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物は最大でも1mS/cmの導電率を有する。好ましくは、タンパク質供給物は最大でも0.5mS/cmの導電率を有する。
【0270】
タンパク質供給物の低い導電率は好ましくは、透析またはダイアフィルトレーションにより得られる。限外濾過によるダイアフィルトレーションは特に好ましく、というのも、それにより、塩および小さな荷電分子を洗い流すことができるが、一方、タンパク質は保持されるからである。発明のいくつかの好ましい実施形態では、同じUFユニットがUF/ダイアフィルトレーションおよびその後のタンパク質供給物の濃縮のために使用される。
【0271】
本発明者らは、導電率(mS/cmで表される)と初期タンパク質溶液中のタンパク質の総量(初期タンパク質溶液の総重量に対する%wt総タンパク質で表される)の間の比は便宜的に、ある一定の閾値以下で維持することができ、BLGの結晶化が促進されるという兆候を見た。
【0272】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比は最大でも0.3である。好ましくは、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比は最大でも0.25である。好ましくは、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比は最大でも0.20である。より好ましくは、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比は最大でも0.18である。さらにいっそう好ましくは、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比は最大でも0.12である。最も好ましくは、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比は最大でも0.10である。
【0273】
例えば、導電率とタンパク質供給物のタンパク質の総量の間の比はおよそ0.07、さらにはそれ以下であることが好ましい。
【0274】
本発明者らはさらに、タンパク質供給物は便宜的に、最大でも10mS/cmのUF透過導電率を得るように調整することができることを見出した。UF透過導電率は、液体の小分子画分の導電率の測定値であり、WO2018/115520号の実施例9.10に従い測定される。「導電率」という用語が本明細書でそのようなものとして使用される場合、それは、問題になっている液体の導電率を示す。「UF透過導電率」という用語が使用される場合、それは、液体の小分子画分の導電率を示し、WO2018/115520号の実施例9.10に従い測定される。
【0275】
好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも7mS/cmである。より好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも5mS/cmであり得る。さらにいっそう好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも3mS/cmであり得る。
【0276】
さらに低いUF透過導電率が使用される可能性があり、BLGの高い収率が得られなければならない場合、特に好ましい。よって、好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は、最大でも1.0mS/cmである。より好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも0.4mS/cmであり得る。さらにいっそう好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも0.1mS/cmであり得る。最も好ましくは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも0.04mS/cmであり得る。
【0277】
例えば、ダイアフィルトレーション中、ミリQ水が希釈剤として使用される(ミリQ水はおよそ0.06μS/cmの導電率を有する)と、さらに低いUF透過導電率に到達し得る。よって、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも0.01mS/cmであり得る。あるいは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも0.001mS/cmであり得る。あるいは、タンパク質供給物のUF透過導電率は最大でも0.0001mS/cmであり得る。
【0278】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物の調製は、温度低減を含む。
【0279】
タンパク質供給物の温度は、最大でも30℃、好ましくは最大でも20℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃であってもよい。発明者らはさらに低い温度は、タンパク質供給物が混合された場合より高い過飽和度を提供することを見出し、よって、タンパク質供給物の温度は、例えば、最大でも5℃、好ましくは最大でも2℃、さらにいっそう好ましくは最大でも0℃まで低減されてもよい。温度はさらに、0℃より低くてもよく、しかしながら、好ましくは、タンパク質供給物はポンピング可能なまま、例えば氷スラリーの形態でなければならない。
【0280】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物は、氷スラリーであり、その後、それらが合わされ、初期タンパク質溶液が調製される。
【0281】
タンパク質供給物の調製は好ましくは、1つ以上のタンパク質濃縮ステップ、例えば限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、および/または蒸発を含む。
【0282】
限外濾過が特に好ましく、というのも、それは、タンパク質の選択的濃縮を可能にするからである。上述のように、限外濾過が好ましくは、タンパク質供給物の調製中、ダイアフィルトレーションおよび濃縮の両方のために使用される。
【0283】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物のBLGの濃度は、BLGの自然結晶化が起こるレベルより低い。
【0284】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物の調製は、1つ以上の水分活性低減剤(複数可)の添加を含む。
【0285】
そのような水分活性低減剤の有用であるが、非限定的な例は、多糖および/またはポリエチレングリコール(PEG)である。
【0286】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物の調製は、新規イオン種の添加による、透析またはダイアフィルトレーションによる、イオン交換を含む。
【0287】
発明のさらに他の好ましい実施形態では、タンパク質供給物の調製は、例えば、少なくともBLGを保持する膜を使用するダイアフィルトレーションにより導電率を低減させることを含む。限外濾過によるダイアフィルトレーションが特に好ましい。
【0288】
タンパク質供給物を調製するために任意の好適なタンパク質源が使用され得る。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質源は、哺乳動物細胞、組換え植物細胞、組換え哺乳動物細胞、および/またはBLGを生成することができる組換え微生物の1つ以上の発酵により生成される。
【0289】
発明の他の好ましい実施形態では、タンパク質源は哺乳動物乳からのホエーまたは乳清に由来する。発明の特に好ましい実施形態では、タンパク質供給物のタンパク質源は、乳清タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物、乳清タンパク質分離物、ホエータンパク質分離物、またはそれらの組み合わせを含み、またはさらには、これから構成される。
【0290】
典型的には、タンパク質供給物は、上記プロセスの2つ以上を合わせる、好ましくは混合することにより調製される。
【0291】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、タンパク質供給物の調製は、タンパク質源(好ましくは、ホエータンパク質源である)を下記に供することを含む:
-所望のpH、好ましくはA型タンパク質供給物を調製する場合6.0-8の範囲のpH、および、B型タンパク質供給物を調製する場合3-5.0の範囲のpHへのpH調整、ならびに
-限外濾過、ナノ濾過および/または逆浸透による濃縮。
【0292】
発明の他の好ましい実施形態では、タンパク質供給物の調製は、タンパク質源(好ましくは、ホエータンパク質源である)を下記に供することを含む:
-所望のpH、好ましくはA型タンパク質供給物を調製する場合6.0-8の範囲のpH、および、B型タンパク質供給物を調製する場合3-5.0の範囲のpHへのpH調整、
-限外濾過、ナノ濾過および/または逆浸透による濃縮、
-低い導電率を有するタンパク質供給物を提供するための限外濾過/ダイアフィルトレーション、ならびに
-処理中の液体ストリームの温度を最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃に維持するための温度調整。
【0293】
本発明者らはさらに、本方法のBLG収率は、ナトリウム+カリウムの合計対カルシウムとマグネシウムの合計間のモル比を制御することにより改善することができることを見出した。カルシウムとマグネシウムの相対量が高くなるほど、驚いたことに、BLGの収率が増加し、よって本方法のBLG回収の効率が増加するように思われる。
【0294】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも4のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。より好ましくは、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも2のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。さらにいっそう好ましくは、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも1.5、さらにいっそう好ましくは最大でも1.0のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。最も好ましくは、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも0.5、例えば、例として最大でも0.2のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。
【0295】
Na+KとCa+Mgの間のモル比は、(mNa+m)/(mCa+mMg)として計算され、式中、mNaはmolで表される元素Naの含量であり、mはmolで表される元素Kの含量であり、mCaはmolで表される元素Caの含量であり、mMgはmolで表される元素Mgの含量である。
【0296】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも4のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。より好ましくは、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも2のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。さらにいっそう好ましくは、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも1.5、さらにいっそう好ましくは最大でも1.0のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。最も好ましくは、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも0.5、例えば、例として最大でも0.2のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。
【0297】
発明のいくつかの実施形態では、タンパク質供給物は、低い含量の変性タンパク質を有する。好ましくは、タンパク質供給物は、最大でも20%、好ましくは最大でも10%、より好ましくは最大でも5%、最も好ましくは最大でも2%のタンパク質変性度を有する。
【0298】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の調製は5-6の範囲のpHを有する。
【0299】
pH値は全て、pHガラス電極を用いて測定され、25℃に正規化される。
【0300】
初期タンパク質溶液は、例えば、4.9-6.1の範囲のpHを有し得る。初期タンパク質溶液のpHは、例えば、5.0-6.1の範囲であってもよい。あるいは、初期タンパク質溶液のpHは、5.1-6.1の範囲であってもよい。好ましくは、初期タンパク質溶液のpHは5.1-6.0の範囲である。
【0301】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液のpHは、5.0-6.0の範囲である。好ましくは、初期タンパク質溶液のpHは、5.1-6.0の範囲である。より好ましくは初期タンパク質溶液のpHは、5.1-5.9の範囲である。さらにより好ましくは、初期タンパク質溶液のpHは5.2-5.8の範囲であってもよい。最も好ましくは、初期タンパク質溶液のpHは、5.4-5.6の範囲である。
【0302】
発明者らは、最大BLG結晶化収率はおよそpH5.5で得られること、および、初期タンパク質溶液のpHは便宜的にはpH5.5の外側で選択することができるが、結晶化中に、例えば、食物酸、または追加のB型タンパク質供給物もしくはA型タンパク質供給物の添加により、最適pHにより近づくようにすることができることを観察した。よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液のpHは、5.0-5.3または5.7-6.0の範囲である。
【0303】
発明者らは、結晶化中の自然結晶化を回避することが有利であること、および、準安定ゾーンでの制御された結晶化により形成されたBLG結晶はより均一なサイズ分布を有し、母液から自然BLG結晶化に起因するそのBLG結晶をより効率的に分離するのがより用意であることを見出した。
【0304】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液、好ましくはまた、結晶化しているタンパク質溶液は、自然BLG結晶化を回避するように制御される。例えば、初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であるが、準安定ゾーンにあることが好ましく、自然BLG結晶化は起こり得ないことが意味される。
【0305】
発明者らは初期タンパク質溶液の低い導電率がBLG結晶のより高い収率につながることを見出した。初期タンパク質溶液の最小の得られ得る導電率は、タンパク質画分および脂質画分(もしあれば)の組成に依存する。例えば、カゼイノマクロペプチド(CMP)などのいくつかのタンパク質種は、他のタンパク質種よりも導電率により大きく寄与する。よって、タンパク質供給物の導電率は、タンパク質およびタンパク質の対イオンが導電率への主因となるレベルに近づけられることが好ましい。導電率の低減はしばしば、液相中に存在し、タンパク質にしっかりと結合されていない小さな、遊離イオンの少なくともいくつかの除去を含む。
【0306】
初期タンパク質溶液は最大でも10mS/cmの導電率を有することがしばしば好ましい。発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は最大でも5mS/cmの導電率を有する。好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも4mS/cmの導電率を有する。
【0307】
より低い導電率がさらにより好ましく、BLG結晶のより高い収率を生じさせる。よって、初期タンパク質溶液は好ましくは最大でも3mS/cmの導電率を有する。発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液は最大でも1mS/cmの導電率を有する。好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも0.5mS/cmの導電率を有する。
【0308】
本発明者らは、導電率(mS/cmで表される)および初期タンパク質溶液のタンパク質の総量(初期タンパク質溶液の総重量に対する%wt総タンパク質で表される)の間の比は便宜的に、ある一定の閾値以下で維持することができ、BLGの結晶化が促進されるという兆候を見た。
【0309】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.3である。好ましくは、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.25である。好ましくは、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.20である。より好ましくは、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.18である。さらにいっそう好ましくは、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.12である。最も好ましくは、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.10である。
【0310】
例えば、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比はおよそ0.07、またはそれ以下であることが好ましい。
【0311】
本発明者らはさらに、初期タンパク質溶液は便宜的に、最大でも10mS/cmのUF透過導電率を有し得ることを見出した。UF透過導電率は液体の小分子画分の導電率の測定値であり、WO2018/115520号の実施例9.10に従い測定される。「導電率」という用語が本明細書でそのようなものとして使用される場合、それは、問題になっている液体の導電率を示す。「UF透過導電率」という用語が使用される場合、それは、液体の小分子画分の導電率を示し、WO2018/115520号の実施例9.10に従い測定される。
【0312】
好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも7mS/cmである。より好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも5mS/cmであり得る。さらにいっそう好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも3mS/cmであり得る。
【0313】
さらに低いUF透過導電率が使用される可能性があり、BLGの高い収率が得られなければならない場合特に好ましい。よって、好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は、最大でも1.0mS/cmである。より好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも0.4mS/cmであり得る。さらにいっそう好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも0.1mS/cmであり得る。最も好ましくは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも0.04mS/cmであり得る。
【0314】
例えば、ダイアフィルトレーション中、ミリQ水が希釈剤として使用される(ミリQ水はおよそ0.06μS/cmの導電率を有する)と、さらに低いUF透過導電率に到達し得る。よって、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも0.01mS/cmであり得る。あるいは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも0.001mS/cmであり得る。あるいは、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも0.0001mS/cmであり得る。
【0315】
発明者らは、低温はBLG結晶化収率を増加させることを見出した。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の温度は、最大でも30℃、より好ましくは最大でも20℃、最も好ましくは最大でも10℃である。より低い温度はさらに高い過飽和度を提供し、よって、初期タンパク質溶液の温度は好ましくは最大でも5℃、より好ましくは最大でも2℃、さらにいっそう好ましくは最大でも0℃である。温度はさらに、0℃より低くてもよいが、しかしながら、好ましくは、初期タンパク質溶液はポンピング可能なまま、例えば氷スラリーの形態でなければならない。
【0316】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液はBLG結晶化の初期では氷スラリーである。その代わりに、または、加えて、結晶化初期タンパク質溶液は、ステップb)のBLG結晶化中、氷スラリーに変換され、または氷スラリーとして維持され得る。
【0317】
本発明者らはさらに、本方法のBLG収率は、ナトリウム+カリウムの合計対カルシウムとマグネシウムの合計間のモル比を制御することにより改善することができることを見出した。カルシウムとマグネシウムの相対量が高くなるほど、驚いたことに、BLGの収率が増加し、よって本方法のBLG回収の効率が増加するように思われる。
【0318】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の初期タンパク質溶液は、最大でも4のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。より好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、最大でも2のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。さらにいっそう好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、最大でも1.5、さらにいっそう好ましくは最大でも1.0のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。最も好ましくは、ステップa)の初期タンパク質溶液は、最大でも0.5、例えば、例として最大でも0.2のNa+KとCa+Mgの間のモル比を有する。
【0319】
Na+KとCa+Mgの間のモル比は、(mNa+m)/(mCa+mMg)として計算され、式中、mNaはmolで表される元素Naの含量であり、mはmolで表される元素Kの含量であり、mCaはmolで表される元素Caの含量であり、mMgはmolで表される元素Mgの含量である。
【0320】
初期タンパク質溶液は塩溶によりBLGに関して過飽和であり、よってBLGは初期タンパク質溶液から塩溶モードで結晶化させることができることが特に好ましい。
【0321】
発明のいくつかの実施形態では、初期タンパク質溶液は変性タンパク質の低い含量を有し、特に、本発明の可食BLG生成物がタンパク質変性度を有する場合そうである。好ましくは、初期タンパク質溶液は最大でも20%、好ましくは最大でも10%、より好ましくは最大でも5%、最も好ましくは最大でも2%のタンパク質変性度を有する。
【0322】
方法のステップb)は、過飽和初期タンパク質溶液のBLGの少なくともいくらかを結晶化することを含む。
【0323】
ステップb)の結晶化は塩溶モードで、すなわち、低いイオン強度および導電率を有する液体中で実施されることが特に好ましい。これは、塩析モードに反しており、その場合、結晶化を引き起こすためにかなりの量の塩が溶液に添加される。
【0324】
ステップb)のBLGの結晶化は例えば、下記の1つ以上を含み得る:
-結晶化が起こるのを待つこと、
-結晶化シードの添加、
-BLGの過飽和度をさらにいっそう増加させること、および/または
-機械的刺激。
【0325】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)は、結晶化シードを初期タンパク質溶液に添加することを含む。発明者らは、結晶化シードの添加は、生成中でのプロセス機器の突然の目詰りおよび意図していない停止を回避するために、いつ、どこでBLG結晶化が起こるかの制御を可能にすることを見出した。例えば、タンパク質供給物を濃縮している間の結晶化の開始を回避することがしばしば望ましい。
【0326】
原則として、BLGの結晶化を開始させる任意のシード材料が使用され得る。しかしながら、水和BLG結晶または乾燥されたBLG結晶が、シーディングのために使用され、追加の不純物を初期タンパク質溶液に添加することが回避されることが好ましい。
【0327】
結晶化シードは乾燥形態であってもよく、または、初期タンパク質溶液に添加されると懸濁液の一部を形成してもよい。結晶化シード、例えばBLG結晶を含む懸濁液を添加することが、現在のところ好ましく、というのも、結晶化のより早い開始を提供すると考えられるからである。そのような懸濁液は結晶化シードを含み、5-6の範囲のpH、および、最大でも10mS/cmの導電率を有することが好ましい。
【0328】
発明のいくつかの実施形態では、結晶化シードの少なくともいくつかは初期タンパク質溶液と接触させられる固相上に位置する。
【0329】
結晶化シードは好ましくは、BLG結晶の所望のサイズより小さい粒径を有する。結晶化シードのサイズは、ふるい分けまたは他のサイズ分画プロセスにより、最大シードを除去することにより、改変させることができる。例えば、粉砕による粒径低減もまた、粒径分画前に採用することができる。
【0330】
発明のいくつかの実施形態では、少なくとも90%w/wの結晶化シードが、0.1-600ミクロンの範囲の粒径(ふるい分け分析により測定)を有する。例えば、少なくとも90%w/wの結晶化シードは1-400ミクロンの範囲の粒径を有し得る。好ましくは、少なくとも90%w/wの結晶化シードは5-200ミクロンの範囲の粒径を有し得る。より好ましくは、少なくとも90%w/wの結晶化シードは5-100ミクロンの範囲の粒径を有し得る。
【0331】
結晶化シードの粒径および投与量は、BLGの最適結晶化を提供するように調整され得る。
【0332】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ以上のA型またはB型タンパク質供給物(複数可)の少なくとも1つはすでにBLG結晶を含み、この場合、さらなるシーディングは必要ないが、しばしば、十分な量の結晶化シードを確保することが好ましい。
【0333】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)は、BLGの過飽和度をさらにいっそう、好ましくは、BLGの結晶化が直ちに、すなわち、最大でも20分、好ましくは、最大でも5分で開始する過飽和度まで、増加させることを含む。これは、核形成ゾーンとも呼ばれ、この場合、結晶子が自然に形成し、結晶化プロセスを開始する。
【0334】
過飽和度は例えば、下記の1つ以上により増加され得る:
-初期タンパク質溶液のタンパク質濃度をさらに増加させること
-初期タンパク質溶液をさらに冷却すること
-初期タンパク質溶液をBLG結晶化のための最適pHにより近づけること
-導電率をさらにいっそう低減させること。
【0335】
初期タンパク質溶液のタンパク質濃度をさらに増加させること、および/または、追加のA型またはBタンパク質供給物の添加により、初期タンパク質溶液をBLG結晶化のための最適pH(およそpH5.5)により近づけることは特に好ましい。
【0336】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)は、BLG結晶が形成するのを待つことを含む。これには数時間かかることがあり、典型的には、BLGに関してわずかに過飽和であるにすぎず、結晶化シードが添加されていない初期タンパク質溶液のためである。
【0337】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液の提供(ステップa)およびBLGの結晶化(ステップb)は2つの別個のステップとして実施される。しかしながら、初期タンパク質溶液がすでに少なくともいくらかのBLG結晶を含む場合、ステップb)は初期タンパク質溶液が調製されるや否や開始する。
【0338】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)は、好ましくは、BLGの過飽和度を上昇させる、または少なくとも過飽和を維持するための結晶化するタンパク質溶液の追加調整を含む。追加調整は好ましくは、BLG結晶の収率の増加をもたらし、または、例えばより大きく、より均一な結晶サイズの形態のより良好な品質のBLG結晶を提供する。
【0339】
そのような追加調整は下記の1つ以上を含み得る:
-結晶化するタンパク質溶液のタンパク質濃度をさらにいっそう増加させること
-結晶化するタンパク質溶液をさらに低い温度まで冷却すること
-結晶化するタンパク質溶液をBLG結晶化のための最適pHにさらに近づけること
-結晶化するタンパク質溶液の導電率をさらにいっそう低減させること。
【0340】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、結晶化するタンパク質溶液は、新規結晶子の自然形成を回避するために、ステップb)中準安定ゾーンで維持される。
【0341】
追加のA型またはB型タンパク質供給物の添加により、結晶化するタンパク質溶液のタンパク質濃度をさらに増加させる、および/または、結晶化するタンパク質溶液をBLG結晶化のための最適pH(およそpH5.5)に近づけることが特に好ましい。pH調整は好ましくは、自然結晶化または大きな局所pH差を回避するために徐々に実施される。0.05-0.5pH-単位/時間の範囲のpH調整速度が、BLG結晶化の制御には有利であることが見出された。
【0342】
結晶化するタンパク質溶液の温度がステップb)中、初期タンパク質溶液の温度より少なくとも2℃低い、より好ましくは少なくとも4℃低い、最も好ましくは、初期タンパク質溶液の温度より少なくとも6℃低い温度まで低減されることが、さらに特に好ましい。しかしながら、結晶化するタンパク質溶液は完全には凍結しないことが好ましい。
【0343】
発明者らは、最大BLG結晶化収率はおよそpH5.5で得られること、および、初期タンパク質溶液のpHは便宜的に、最適の外側で選択することができるが、結晶化中、例えば、食物酸の添加により、または、より好ましくは追加のB型タンパク質供給物またはA型タンパク質供給物により、最適pHにより近づくようにすることができることを観察した。
【0344】
よって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、初期タンパク質溶液のpHは、5.0-5.3または5.7-6.0の範囲である。本発明のそのような好ましい実施形態では、結晶化するタンパク質溶液のpHを調整し、結晶化するタンパク質溶液のpHを初期タンパク質溶液のpHよりも、好ましくは追加のA型タンパク質供給物または追加のB型タンパク質供給物の添加により、pH5.5に近づけることが、さらに好ましい。結晶化するタンパク質溶液が結晶化中、およそpH5.5に調整されることが特に好ましい。結晶化するタンパク質溶液を調整するために使用される追加のA型タンパク質供給物または追加のB型タンパク質供給物は好ましくは、結晶化するタンパク質溶液以下である導電率を有する。結晶化中の上記pH調整を、結晶化するタンパク質溶液の温度の低減と合わせることが、さらに好ましく、そのため、結晶化するタンパク質溶液は、例えば同時に、または、順次、初期タンパク質溶液の温度より低い温度まで冷却される。
【0345】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では:
-ステップa)の初期タンパク質溶液のpHは5.0-5.3または5.7-6.0の範囲であり、初期タンパク質溶液の温度は5-20℃の範囲であり、
-ステップb)中、結晶化するタンパク質溶液のpHは、好ましくは初期タンパク質溶液のpHが5.0-5.3の範囲である場合、追加A型タンパク質供給物の添加により、または、初期タンパク質溶液のpHが5.7-6.0の範囲である場合、追加のB型タンパク質供給物の添加により、5.4-5.6の範囲のpHに調整され、ならびに、
-ステップb)中、結晶化するタンパク質溶液の温度は、初期タンパク質溶液の温度より少なくとも2℃低い温度まで低減される。
【0346】
「追加のA型タンパク質供給物」および「追加のB型タンパク質供給物」という用語は、初期タンパク質溶液に添加され、結晶化を引き起こす、または、結晶化するタンパク質溶液に添加され、少なくともそのpHおよびBLG含量を改変させる、BLG含有組成物に関連する。「A型タンパク質供給物」および「B型タンパク質供給物」との関連で記載される特徴および優先性は、それぞれ、「追加のA型タンパク質供給物」および「追加のB型タンパク質供給物」に等しく適用される。
【0347】
発明者らは、単離したBLG結晶の結晶格子構造をX線結晶解析により決定し、先行技術において同様の結晶を見出していない。
【0348】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)中に得られたBLG結晶の少なくともいくらかは斜方晶空間群P 2を有する。
【0349】
好ましくは、得られたBLG結晶の少なくともいくらかは斜方晶空間群P 2、および、単位格子寸法a=68.68(±5%)A、b=68.68(±5%)A、およびc=156.65(±5%)A;ならびに単位格子積分角α=90度、β=90度、およびγ=90度を有する。
【0350】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、得られたBLG結晶の少なくともいくらかは斜方晶空間群P 2、および、単位格子寸法a=68.68(±2%)A、b=68.68(±2%)A、およびc=156.65(±2%)A;ならびに単位格子積分角α=90度、β=90度、およびγ=90度を有する。
【0351】
さらにより好ましくは、得られたBLG結晶の少なくともいくらかは、斜方晶空間群P 2、および、単位格子寸法a=68.68(±1%)A、b=68.68(±1%)A、およびc=156.65(±1%)A;ならびに単位格子積分角α=90度、β=90度、およびγ=90度を有し得る。
【0352】
最も好ましくは、得られたBLG結晶の少なくともいくらかは斜方晶空間群P 2、および、単位格子寸法a=68.68A、b=68.68A、およびc=156.65A;ならびに単位格子積分角α=90度、β=90度、およびγ=90度を有する。
【0353】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、方法はBLG結晶の少なくともいくらかをBLG結晶含有溶液の残りの液体から分離するステップc)を含む。これはBLGの精製が望ましい場合にとりわけ好ましい。
【0354】
ステップc)は例えば、BLG結晶を少なくとも30%w/wの固体含量まで分離することを含み得る。好ましくは、ステップc)はBLG結晶を少なくとも40%w/wの固体含量まで分離することを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップc)は、BLG結晶を少なくとも50%w/wの固体含量まで分離することを含む。
【0355】
発明者らは高い固体含量はBLGの精製に有利であることを見出した。というのも、分離されたBLG結晶に付着する水性部分は典型的には、回避されるべきである不純物を含むからである。加えて、高い固体含量は、分離されたBLG結晶を、例えば、粉末などの乾燥生成物に変換するためのエネルギー消費を低減させ、それは、一定の容量を有する乾燥ユニットから得られるBLG収率を増加させる。
【0356】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)は、BLG結晶を少なくとも60%の固体含量まで分離することを含む。好ましくは、ステップc)は、BLG結晶を少なくとも70%の固体含量まで分離することを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップc)は、BLG結晶を少なくとも80%の固体含量まで分離することを含む。
【0357】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)の分離は、下記操作の1つ以上を含む:
-遠心分離、
-デカンテーション、
-濾過、
-沈降、
-上記の組み合わせ。
【0358】
これらの単位操作は当業者によく知られており、容易に実行される。濾過による分離は例えば、真空濾過、ダイナミッククロスフロー濾過(DCF)、濾液プレスまたはフィルタ遠心分離機の使用を含み得る。
【0359】
濾過のための異なる孔径が所望の結果に基づいて使用され得る。好ましくは、フィルタは天然ホエータンパク質および小さな凝集体を通過させるが、BLG結晶を保持する。フィルタは好ましくは少なくとも0.1ミクロンの公称孔径を有する。フィルタは例えば、少なくとも0.5ミクロンの公称孔径を有し得る。さらにいっそう好ましくは、フィルタは少なくとも2ミクロンの公称孔径を有し得る。
【0360】
より大きな孔径を有するフィルタもまた使用することができ、実際に、主に大きな結晶がBLG結晶を含む液体から分離されなければならない場合、好ましい。発明のいくつかの実施形態では、フィルタは少なくとも5ミクロンの公称孔径を有する。好ましくは、フィルタは少なくとも20ミクロンの公称孔径を有する。さらにいっそう好ましくは、フィルタは少なくとも40ミクロンの孔径を有し得る。
【0361】
フィルタは例えば、0.03-5000ミクロン、例えば、例として0.1-5000ミクロンの範囲の孔径を有し得る。好ましくは、フィルタは、0.5-1000ミクロンの範囲の孔径を有し得る。さらにいっそう好ましくは、フィルタは、5-800ミクロンの範囲、例えば、例として、10-500ミクロンの範囲または50-500ミクロンの範囲の孔径を有し得る。
【0362】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、フィルタは0.03-100ミクロンの範囲の孔径を有する。好ましくは、フィルタは、0.1-50ミクロンの範囲の孔径を有し得る。より好ましくは、フィルタは、4-40ミクロンの範囲の孔径を有し得る。さらにいっそう好ましくは、フィルタは、5-30ミクロンの範囲、例えば、10-20ミクロンの範囲の孔径を有し得る。
【0363】
1ミクロンより大きな孔径を有するフィルタを使用する利点は、細菌および他の微生物もまた、分離中に、および、任意で洗浄および/または再結晶中にも、少なくとも部分的に除去されることである。よって本方法は、非常に低い細菌量、その上、タンパク質の熱損傷の回避の両方を有する高純度BLGの生成を可能にする。
【0364】
1ミクロンより大きな孔径を有するフィルタを使用する別の利点は、水の除去およびその後の乾燥がより容易になり、エネルギー消費がより少なくなることである。
【0365】
BLG結晶から分離される残りの液体は、初期タンパク質溶液の調製中に、1つ以上のタンパク質供給物にリサイクルされ得る。
【0366】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)は、フィルタ遠心分離機を使用する。発明の他の好ましい実施形態では、ステップc)は、デカンター遠心分離機を使用する。結果(WO2018/115520号の実施例13を参照されたい)により、BLG結晶を母液から分離するためのフィルタ遠心分離機および/またはデカンター遠心分離機の使用は、例えば真空濾過よりも、方法のよりロバストな操作を提供することが示されている。
【0367】
しばしば、形成された濾過ケーキを、乾燥ガスを用いて乾燥させ、濾過ケーキの含水量を低減させる、好ましくは、濾過ケーキをフィルタから剥がすのを可能にすることが好ましい。乾燥ガスの使用は、分離ステップの一部、あるいは、濾過ケーキが直接、乾燥可食BLG組成物に変換される場合、最終乾燥ステップを形成することができる。
【0368】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)は、DCFユニットを使用する。
【0369】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップc)は、BLG結晶を保持することができる膜が取り付けられたDCFユニットを使用して実施され、DCF透過物はリサイクルされ、初期タンパク質溶液またはタンパク質供給物の一部を形成し、DCFリテンテートは、回収され、または結晶化タンクに戻され得る。好ましくは、DCF透過物は、例えば、限外濾過/ダイアフィルトレーションにより処理され、初期タンパク質溶液またはタンパク質供給物との混合前にBLGに関して過飽和とされる。
【0370】
便宜的に、これらの実施形態は、液体ストリームの温度が15℃を超えて上昇されることを必要とせず、よって、より高い温度を必要とする方法変形よりも、微生物汚染の傾向が少ない。これらの実施形態の別の工業的利点は、過飽和のレベルが容易に制御され、望まれない、自然結晶化は起こらないレベルで維持することができることである。よって、方法のこれらの実施形態中の液体ストリームの温度は好ましくは最大でも15℃、より好ましくは最大でも12℃、さらにより好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃である。
【0371】
これらの実施形態はWO2018/115520号の実施例10において例示される。これらの実施形態はバッチ方法または連続方法として実行され得る。
【0372】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、方法は、BLG結晶、例えばc)の分離されたBLG結晶を洗浄するステップd)を含む。洗浄は単一洗浄ステップまたは複数の洗浄ステップから構成され得る。
【0373】
ステップd)の洗浄は好ましくは、BLG結晶を完全に溶解させずにBLG結晶を洗浄液と接触させ、その後に残りのBLG結晶を洗浄液から分離することを含む。
【0374】
洗浄液は好ましくは、BLG結晶の完全溶解を回避するように選択され、例えば、冷脱塩水、冷水道水、または冷逆浸透透過物を含むことができ、またはさらには、これから本質的に構成され得る。
【0375】
洗浄液は5-6の範囲、好ましくは5.0-6.0の範囲、さらにいっそう好ましくは、5.1-6.0の範囲、例えば、例として5.1-5.9の範囲のpHを有し得る。
【0376】
洗浄液は、最大でも0.1mS/cm、好ましくは最大でも0.02mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも0.005mS/cmの導電率を有し得る。
【0377】
さらにより低い導電率を有する洗浄液が使用され得る。例えば、洗浄液は最大でも1microS/cmの導電率を有し得る。あるいは、洗浄液を最大でも0.1microS/cm、例えば、例としておよそ0.05microS/cmの導電率を有し得る。
【0378】
洗浄ステップは好ましくは、低温で実施され、結晶化されたBLGの溶解が制限される。洗浄液の温度は好ましくは最大でも30℃、より好ましくは最大でも20℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃である。
【0379】
洗浄ステップは例えば、最大でも5℃で、より好ましくは最大でも2℃、例えば、例としておよそ0℃で実施され得る。0℃より低い温度は、例えば、1つ以上の凝固点降下剤(複数可)の存在のために、洗浄液がその温度で凍結しない限りにおいて使用され得る。
【0380】
発明のいくつかの実施形態では、洗浄液は、例えば少なくとも1%w/wの量の、好ましくは少なくとも3%w/wの量の、例えば、例として4%w/wの量のBLGを含む。
【0381】
ステップd)の洗浄は、典型的には、BLG結晶の初期量の最大でも80%w/w、好ましくは最大でも50%w/w、さらにいっそう好ましくは、BLG結晶の初期量の最大でも20%w/wを溶解する。好ましくは、ステップd)の洗浄は、BLG結晶の初期量の最大でも15%w/w、より好ましくは最大でも10%w/w、さらにいっそう好ましくは、BLG結晶の初期量の最大でも5%w/wを溶解する。
【0382】
洗浄液の総量と分離されたBLG結晶の初期量の間の重量比はしばしば、少なくとも1、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも5である。例えば、洗浄液の量と分離されたBLG結晶の初期量の間の重量比は、少なくとも10であってもよい。あるいは、洗浄液の総量と分離されたBLG結晶の初期量の間の重量比は、少なくとも20、例えば、例として少なくとも50または少なくとも100であってもよい。
【0383】
「洗浄液の総量」という用語は、全プロセス中に使用される洗浄液の総量に関する。
【0384】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ以上の洗浄シーケンスは、BLG結晶分離と同じフィルタ配列または同様のフィルタ配列で起こる。主にBLG結晶を含む濾過ケーキが1つ以上の洗浄液シーケンスに添加され、洗浄液は、フィルタを通して除去され、一方、BLG結晶の残りの部分が濾過ケーキ内に存在する。
【0385】
発明の特に好ましい実施形態では、ステップc)の分離は、BLG結晶を保持するフィルタを使用して実施される。その後、濾過ケーキは、濾過ケーキおよびフィルタを通って移動する1つ以上の量の洗浄液と接触させられる。各量の洗浄液は、濾過ケーキの体積の最大でも10倍、好ましくは濾過ケーキの体積の最大でも5倍、より好ましくは濾過ケーキの体積の最大でも1倍、さらにいっそう好ましくは、濾過ケーキの体積の最大でも0.5倍、例えば、例として濾過ケーキの体積の最大でも0.2倍であることがしばしば好ましい。濾過ケーキの体積は、濾過ケーキの固体および流体(液体および気体)の両方を含む。濾過ケーキは好ましくは、このように少なくとも2回、好ましくは少なくとも4回、さらにいっそう好ましくは少なくとも6回洗浄される。
【0386】
ステップd)からの使用された洗浄液は、例えば、タンパク質供給物または初期タンパク質溶液にリサイクルすることができ、この場合、洗い流されたBLGは再び単離され得る。
【0387】
方法はさらに、ステップe)を含むことができ、これは、再結晶ステップを含む。再結晶ステップは例えば、下記を含み得る:
-分離されたBLG結晶を再結晶液に溶解させること、
-再結晶液を調整して、BLGに関して過飽和を得ること、
-過飽和の調整再結晶液中でBLGを結晶化すること、ならびに
-BLG結晶を残りの調整再結晶液から分離すること。
【0388】
あるいは、かつ、しばしばより好ましくは、分離されたBLG結晶は1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)および1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)に変換され、それらは合わされて、ステップa)におけるように、新規過飽和タンパク質溶液、例えばホエータンパク質溶液が形成され、この場合、新規タンパク質溶液BLGが再び結晶化される。
【0389】
ステップe)は、単一再結晶化シーケンスまたは複数の再結晶化シーケンスのいずれかを含み得る。
【0390】
発明のいくつかの実施形態では、ステップc)またはd)のBLG結晶は少なくとも2回再結晶化される。例えば、BLG結晶は少なくとも3回、例えば、例として少なくとも4回再結晶化され得る。
【0391】
洗浄および再結晶化ステップはいずれの順序でも合わせることができ、必要なら複数回実施することができる。
【0392】
ステップc)の分離されたBLG結晶は例えば、下記プロセスシーケンスに供することができる:
-洗浄の1つ以上のステップ(ステップd)、続いて
-再結晶化の1つ以上のステップ(ステップe)。
【0393】
あるいは、ステップc)の分離されたBLG結晶は、下記プロセスシーケンスに供することができる:
-再結晶化の1つ以上のステップ(ステップe)、続いて
-洗浄の1つ以上のステップ(ステップd)。
【0394】
洗浄および再結晶化の複数のステップを、例えば、下記順番に:
-洗浄の1つ以上のステップ(ステップd)、
-再結晶化の1つ以上のステップ(ステップe)、
-洗浄の1つ以上のステップ(ステップd)、および
-再結晶化の1つ以上のステップ(ステップe)。
または、例えば下記順番に、合わせることもまた可能である:
-再結晶化の1つ以上のステップ(ステップe)、
-洗浄の1つ以上のステップ(ステップd)、
-再結晶化の1つ以上のステップ(ステップe)
-洗浄の1つ以上のステップ(ステップd)。
【0395】
発明のいくつかの実施形態では、方法はさらに、分離されたBLGを、例えばクロマトグラフィーまたは選択的濾過に基づく、追加のBLG強化ステップに供することを含む。しかしながら、発明の他の好ましい実施形態では、方法はステップb)後に追加のBLG強化ステップを含まない。「追加のBLG強化ステップ」という用語により、タンパク質の総量に対してBLGを強化するプロセスステップが意味され、そのステップは、BLGの結晶化またはBLG結晶の取扱いに関連しない。そのような追加のBLG強化ステップの一例はイオン交換クロマトグラフィーである。BLG結晶の洗浄および/またはBLGの再結晶化は、「追加のBLG強化ステップ」と考えられない。
【0396】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、方法は、乾燥ステップf)を含み、この場合、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、乾燥組成物に変換される。
【0397】
本発明との関連で、「乾燥」という用語は、問題になっている組成物または生成物が、最大でも6%w/wの水、好ましくはそれ以下を含むことを意味する。
【0398】
本発明との関連で、「BLG含有組成物」という用語は、ステップf)の乾燥に供せられる組成物を説明するために使用される。
【0399】
本発明との関連で、「ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物」は、ステップb)、c)、d)、またはe)からのBLGの少なくともいくつかを含む組成物を意味する。発明のいくつかの好ましい実施形態では、「ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物」はステップb)、c)、d)、またはe)から直接得られる。しかしながら、発明の他の好ましい実施形態では、「ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物」は、ステップb)、c)、d)、またはe)から直接得られた組成物のさらなる処理の結果である。
【0400】
BLG含有組成物は、ステップb)、c)、d)、またはe)から直接得られた組成物中に存在するかなりの量のBLGを含むことがしばしば好ましい。発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、ステップb)、c)、d)、またはe)から得られたBLGの少なくとも50%w/w、好ましくは少なくとも70%、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%を含む。
【0401】
好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、ステップb)、c)、d)、またはe)から得られたBLGの少なくとも85%w/wを含む。より好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、ステップb)、c)、d)、またはe)から得られたBLGの少なくとも90%w/wを含む。さらにいっそう好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、ステップb)、c)、d)、またはe)から得られたBLGの少なくとも95%w/wを含む。最も好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、ステップb)、c)、d)、またはe)から得られたBLGの100%w/wを含む。
【0402】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、乾燥ステップは、噴霧乾燥、フリーズドライ、スピンフラッシュ乾燥、回転乾燥、および/または流動床乾燥の1つ以上を含む。
【0403】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、乾燥ステップは、BLG含有組成物を含み、この場合、BLG結晶が溶解され、得られた粉末は、ステップb)により、または、乾燥ステップ前の再結晶化により形成されたBLG結晶を含まない。これらの実施形態は、可食BLG組成物が例えば、従来の、乾燥されたホエータンパク質粉末に類似していたら、好ましい。
【0404】
BLG結晶は、例えば、下記により溶解され得る:
-温度の増加、
-例えば、1つ以上の塩の添加による、導電率の増加
-例えば、5-6の範囲の外側でのpHの変更、
-例えば希釈による、BLGの濃度の減少
-または上記の組み合わせ。
【0405】
噴霧乾燥は、BLG結晶を含まないBLG含有組成物を乾燥させる、現在のところ好ましい方法である。
【0406】
発明の他の特に好ましい実施形態では、乾燥ステップは、BLG結晶を依然として含むBLG含有組成物を含み、得られた粉末はBLG結晶を含む。これらの実施形態は、可食BLG組成物が、従来の、乾燥されたホエータンパク質粉末より高い密度を有する場合、好ましい。
【0407】
発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、乾燥ステップは、BLG結晶を依然として含むBLG含有組成物を含み、得られた粉末はBLG結晶を含む。これらの実施形態は、可食BLG-組成物が、従来の、乾燥されたホエータンパク質粉末よりも高い密度を有する場合、好ましい。
【0408】
WO2018/115520号の実施例7において示されるように、本発明者らは前に、BLG結晶のスラリーをスプレー-乾燥させ、乾燥されたBLG結晶は、冷脱塩水中に再懸濁させると、結晶構造の少なくともいくらかを保持することが可能であることを発見した。BLG結晶を含むBLG含有組成物を、噴霧前にかなりの量のBLG結晶を溶解させる熱処理レジームに曝露することを回避することは、特に有利である。よって、BLG結晶を含むBLG含有組成物の予熱が噴霧前に使用される場合、熱負荷を注意深く制御することが好ましい。
【0409】
発明のいくつかの実施形態では、BLG結晶を含むBLG含有組成物は、スプレー装置(例えば、ノズルまたはアトマイザ)の出口に到達した時に、最大でも70℃、好ましくは最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃の温度を有する。発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG結晶を含むBLG含有組成物は、スプレー-装置の出口に到達した時に最大でも40℃、好ましくは最大でも30℃、より好ましくは最大でも20℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度を有する。
【0410】
噴霧乾燥機のスプレー-装置は装置、例えばノズルまたはアトマイザであり、これは、乾燥される溶液または懸濁液を噴霧乾燥機の乾燥チャンバに入る小滴に変換する。
【0411】
BLG結晶を含むBLG含有組成物は、スプレー-装置の出口に到達した時に0-50℃の範囲、好ましくは2-40℃の範囲、より好ましくは4-35℃の範囲、最も好ましくはスプレー-装置の出口に到達した時に5-10℃の範囲の温度を有することが特に好ましい。
【0412】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG含有組成物はスプレー-装置の出口に到達した時に少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、例えば、例として好ましくは97-100%のBLGの結晶化度を有する。BLG含有組成物はBLG単離物であってもよく、例えば、総タンパク質に対して90%w/wを超える量のBLGを含み、または、それはかなりの量の他のタンパク質を含んでもよく、よって、総タンパク質に対して最大でも90%w/wの量のBLGを含み得る。
【0413】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG含有組成物は、本明細書で記載される従来の液体WPCもしくはWPIまたは従来の液体SPCもしくはSPIのタンパク質組成を有し得るが、スプレー-装置の出口に到達した時に、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、例えば、例として好ましくは97-100%のBLGの結晶化度を有し得る。
【0414】
噴霧乾燥機のガスの入口温度は好ましくは140-220℃の範囲、より好ましくは160-200℃の範囲、さらにいっそう好ましくは、170-190℃の範囲、例えば、例として好ましくはおよそ180℃である。噴霧乾燥機からのガスの出口温度は好ましくは50-95℃の範囲、より好ましくは70-90℃の範囲、さらにいっそう好ましくは、80-88℃の範囲、例えば、例として好ましくはおよそ85℃である。経験則として、噴霧乾燥に供される固体は、ガス出口温度より10-15℃低い温度まで加熱されると言われている。
【0415】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、噴霧乾燥機は好ましくは50-85℃の範囲、より好ましくは60-80℃の範囲、さらにいっそう好ましくは、65-75℃の範囲、例えば、例として好ましくはおよそ70℃である。
【0416】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、乾燥されるBLG含有組成物は乾燥BLG単離物と混合され、固体含量が、混合物が流動床乾燥により乾燥することができるレベルまで上昇される。これはバックミキシングとも呼ばれ、BLG生成物の非常にコスト効率の高い乾燥が可能になる。これらの実施形態は、BLG結晶を含むBLG含有組成物に特に好ましい。
【0417】
本方法の利点は、乾燥されるBLG含有組成物は、乾燥ステップ前に非常に高い固体含量を有し得ることであり、よって、除去されなければならない水がより少なくなり、乾燥操作において消費されるエネルギーがより少なくなる。
【0418】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、少なくとも20%w/wの固体含量を有する。好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、少なくとも30%w/wの固体含量を有する。より好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、少なくとも40%w/wの固体含量を有する。さらにいっそう好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、少なくとも50%w/w、例えば、例として少なくとも60%w/wの固体含量を有する。
【0419】
発明の他の好ましい実施形態では、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、20-80%w/wの範囲の固体含量を有する。好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、30-70%w/wの範囲の固体含量を有する。より好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、40-65%w/wの範囲の固体含量を有する。さらにいっそう好ましくは、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物は、50-65%w/wの範囲、例えば、例としておよそ60%w/wの固体含量を有する。
【0420】
本発明者らは、BLG含有組成物の結晶化度が高くなるほど、BLG含有組成物に結合される水が少なくなり、BLG含有組成物のより高い総固体含量が乾燥ステップ前に達成され得ることを見出した。よって発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG含有組成物は少なくとも10%w/wのBLGの結晶化度を有する。好ましくは、BLG含有組成物のBLGは少なくとも20%w/wの結晶化度を有する。より好ましくはBLG含有組成物のBLGは少なくとも30%w/wの結晶化度を有する。さらにいっそう好ましくは、BLG含有組成物のBLGは少なくとも40%w/wの結晶化度を有する。
【0421】
さらに高い結晶化度がしばしば好ましい。よって、発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG含有組成物のBLGは少なくとも50%w/wの結晶化度を有する。好ましくは、BLG含有組成物のBLGは少なくとも60%w/wの結晶化度を有する。より好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも70%w/wの結晶化度を有する。さらにいっそう好ましくは、BLG含有組成物のBLGは少なくとも80%w/wの結晶化度を有する。最も好ましくは、BLG含有組成物のBLGは少なくとも90%w/w、好ましくは少なくとも95%w/w、より好ましくは少なくとも97%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも99%w/wの結晶化度を有する。
【0422】
発明者らは水の低減された含量は組成物のBLGの結晶化度を増加させる傾向があることを見出した。よって、高い水:BLG比を有する組成物(例えば、4%BLG結晶を含む水の懸濁液)は、同じ条件でより低い水:BLG比を有する組成物(例えば、濾過ケーキまたは湿潤単離結晶)より低いBLGの結晶化度を有する傾向がある。
【0423】
本発明の方法は、初期タンパク質溶液のBLGおよび他のホエータンパク質のいずれの栄養価にもダメージを与えない穏やかな温度を使用して操作され得る。
【0424】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLGは、方法中、90℃を超える温度に供されない。好ましくは、BLGは、方法中、80℃を超える温度に供されない。さらにより好ましくは、BLGは、方法中、75℃を超える温度に供されない。噴霧乾燥はしばしば150℃を超える温度を採用するが、短い曝露時間および水の同時蒸発は、噴霧乾燥されたタンパク質は50-70℃を超える温度を経験しないことを意味することに注意すべきである。
【0425】
発明者らは、乾燥ステップ中の延長加熱は結晶形態であるBLGの量を低減させるという兆候を見た。発明のいくつかの好ましい実施形態では、乾燥ステップ中の熱曝露は十分低く維持され、最大でも10%、好ましくは最大でも4%、より好ましくは最大でも1%、さらにいっそう好ましくは最大でも0.4%、さらにより好ましくは最大でも0.1%のBLGの変性度が提供される。最も好ましくは、乾燥ステップはBLGの検出可能な変性に全くつながらない。
【0426】
乾燥ステップにより引き起こされる変性度は、ステップf)における乾燥されるBLG含有組成物中のBLG含量(総固体に対して)(cステップf前)および再溶解された、乾燥された組成物中のBLG含量(総固体に対して)を決定し、下記式を使用することにより計算される:
【数1】
【0427】
発明のいくつかの好ましい実施形態は、結晶化形態のβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法に関し、方法は、下記ステップを含み
a)BLGおよび少なくとも1つの追加のホエータンパク質を含む初期タンパク質溶液を提供するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有し、前記初期タンパク質溶液は下記を含む、ステップ:
-総固体に対して70-100%w/wのタンパク質、
-総タンパク質に対して30-90%w/wのBLG、好ましくは30-70%w/wのBLG
-総タンパク質に対して4-50%w/wのALA、および好ましくは8-35%w/wのALA、
-タンパク質に対して0-25%w/wのCMP、
-初期タンパク質溶液の総重量に対して、少なくとも10%w/wタンパク質、
b)過飽和初期タンパク質溶液中のBLGを、好ましくは結晶化シードの添加により結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、ならびに
f)ステップb)のBLG結晶含有溶液またはその濃縮物を乾燥させるステップであって、前記BLG結晶含有溶液は好ましくは、少なくとも30%のBLGの結晶化度を有するステップ、
この方法はステップc)、d)またはe)を含まない。
【0428】
初期タンパク質溶液は好ましくは脱塩タンパク質溶液であり、好ましくは最大でも0.3の導電率とタンパク質の総量の間の比および/または最大でも7mS/cmのUF透過導電率を有する。
【0429】
これらの実施形態では、BLG結晶はBLG結晶含有溶液から分離されないが、乾燥され、粉末形態の高密度可食タンパク質組成物が得られる。
【0430】
発明の他の好ましい実施形態は、結晶化形態のβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法に関し、方法は、下記ステップを含む
a)BLGおよび少なくとも1つの追加のホエータンパク質を含む初期タンパク質溶液を提供するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有し、前記初期タンパク質溶液は下記を含む、ステップ:
-総固体に対して70-100%w/wのタンパク質、
-総タンパク質に対して30-90%w/wのBLG、好ましくは30-70%
-総タンパク質に対して4-50%w/wのALA、および好ましくは8-35%
-総タンパク質に対して0-25%w/wのCMP、
-初期タンパク質溶液の総重量に対して、少なくとも10%w/wタンパク質、
b)過飽和初期タンパク質溶液中のBLGを、好ましくは結晶化シードの添加により結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、
c)BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ、
d)任意で、ステップc)から得られた、分離されたBLG結晶を洗浄するステップ、
e)任意で、ステップc)またはd)から得られたBLG結晶を再結晶化させるステップ、ならびに
f)ステップc)、d)、またはe)由来の、好ましくはこれから直接得られたBLG含有組成物を乾燥させるステップであって、BLG含有組成物はBLG結晶を含み、好ましくは、少なくとも30%のBLGの結晶化度を有する、ステップ。
【0431】
初期タンパク質溶液は好ましくは脱塩タンパク質溶液であり、好ましくは最大でも0.3の導電率とタンパク質の総量の間の比および/または最大でも7mS/cmのUF透過導電率を有する。
【0432】
これらの実施形態は、高密度粉末の形態の低ミネラルおよび低リン可食BLG組成物を製造するのに特に有用である。
【0433】
発明のさらに他の好ましい実施形態はβラクトグロブリンを単離形態で含む可食組成物を調製する方法に関し、方法は、下記ステップを含む:
a)BLGおよび少なくとも1つの追加のホエータンパク質を含む初期タンパク質溶液を提供するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有し、前記初期タンパク質溶液は下記を含む、ステップ:
-総固体に対して70-100%w/wのタンパク質、
-総タンパク質に対して30-90%w/wのBLG、好ましくは30-70%w/wのBLG、
-総タンパク質に対して5-50%w/wのALA、および好ましくは8-35%w/wのALA、
-総タンパク質に対して0-25%w/wのCMP、
-初期タンパク質溶液の総重量に対して、少なくとも10%w/wタンパク質、
b)過飽和初期タンパク質溶液中のBLGを、好ましくは結晶化シードの添加により結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、
c)BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ、
d)任意で、ステップc)から得られた、分離されたBLG結晶を洗浄するステップ、
e)任意で、ステップc)またはd)から得られたBLG結晶を再結晶化させるステップ、ならびに
f)ステップc)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物を乾燥させるステップであって、そのBLG含有組成物はBLG結晶を含まない、ステップ。
【0434】
初期タンパク質溶液は好ましくは脱塩タンパク質溶液であり、好ましくは最大でも0.3の導電率とタンパク質の総量の間の比および/または最大でも7mS/cmのUF透過導電率を有する。
【0435】
これらの実施形態では、BLG結晶は乾燥前に溶解される。
【0436】
いくつかの好ましい実施形態では、本方法は、バッチプロセスとして実行される。あるいは、時として好ましくは、方法は半バッチプロセスとして実行され得る。他の好ましい実施形態では、方法は連続プロセスとして実行される。
【0437】
本方法の利点は、先行技術のBLG結晶化のための同等方法よりずっと速いことである。タンパク質供給物の初期調整から、ステップcの分離の完了までの期間は最大でも10時間、好ましくは最大でも4時間、より好ましくは最大でも2時間、さらにいっそう好ましくは最大でも1時間であり得る。
【0438】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、BLG結晶がステップc)において分離された後に残るBLG結晶含有溶液が回収され、直接、食糧生産における材料成分として使用され、または、PCT出願WO2020/002,422号(全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる)によるさらなる処理に供せられる。そうだとしたら、本方法は可食BLG組成物に加えて、可食、αラクトアルブミン強化ホエータンパク質組成物を提供する。
【0439】
可食BLG組成物は好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/wの量のBLG、および、総固体に対して少なくとも30%w/wの量の総タンパク質を含む。
【0440】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物のBLGは最大でも1のラクトシル化度を有する。好ましくは、可食BLG組成物のBLGは最大でも0.6のラクトシル化度を有する。より好ましくは、可食BLG組成物のBLGは最大でも0.4のラクトシル化度を有する。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物のBLGは最大でも0.2のラクトシル化度を有する。最も好ましくは、可食BLG組成物のBLGは最大でも0.1、例えば、例として好ましくは最大でも0.01のラクトシル化度を有する。
【0441】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物のBLGは、少なくとも90%w/wの非ラクトシル化BLG、好ましくは少なくとも95%w/wの非ラクトシル化BLG、さらにいっそう好ましくは少なくとも98%w/wの非ラクトシル化BLGを含む。
【0442】
非ラクトシル化BLGのパーセンテージは、WO2018/115520号の実施例9.1に従い決定される。
【0443】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物のBLGは少なくとも10%w/wの結晶化度を有する。好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも20%w/wの結晶化度を有する。より好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも30%w/wの結晶化度を有する。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも40%w/wの結晶化度を有する。
【0444】
さらに高い結晶化度がしばしば好ましい。よって、発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物のBLGは少なくとも50%w/wの結晶化度を有する。好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも60%w/wの結晶化度を有する。より好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも70%w/wの結晶化度を有する。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも80%w/wの結晶化度を有する。最も好ましくは、可食BLG組成物のBLGは少なくとも90%w/w、好ましくは少なくとも95%w/wの結晶化度を有する。
【0445】
5-6の範囲のpHを有する液体におけるBLGの結晶化度は、WO2018/115520号の実施例9.7に従い測定される。粉末材料におけるBLGの結晶化度は、WO2018/115520号の実施例9.8に従い測定される。可食組成物が乾燥生成物であるが、粉末形態ではない場合、それは、WO2018/115520号の実施例9.8の方法に供される前に、例えば粉砕またはミリングにより粉末に変換されなければならない。
【0446】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物はWPC、WPI、SPC、またはSPIであり、この場合、BLGの少なくともいくらかは結晶形態である。可食BLG組成物は例えば、タンパク質の総量に対して最大でも90%w/wのBLGを含むことができ、少なくとも10%のBLGの結晶化度を有する。例えば、可食BLG組成物はタンパク質の総量に対して最大でも80%w/wのBLGを含むことができ、少なくとも10%のBLGの結晶化度を有する。可食BLG組成物は例えば、タンパク質の総量に対して30-70%w/wのBLGを含むことができ、少なくとも10%のBLGの結晶化度を有する。
【0447】
発明の他の好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、タンパク質の総量に対して最大でも90%w/wのBLGを含み、少なくとも30%のBLGの結晶化度を有する。好ましくは、可食BLG組成物はタンパク質の総量に対して最大でも80%w/wのBLGを含むことができ、少なくとも30%のBLGの結晶化度を有する。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物はタンパク質の総量に対して30-70%w/wのBLGを含むことができ、少なくとも30%のBLGの結晶化度を有する。
【0448】
本発明者らは、本発明は、リンおよび他のミネラルの非常に低い含量を有する可食ホエータンパク質製品を調製することを可能にし、これは腎臓疾患を患う、またはそうでなければ、腎機能が低減した患者に有利であることを見出した。
【0449】
可食BLG組成物は好ましくは低リン組成物である。
【0450】
本発明との関連で、「低リン」という用語は、最大でも100mgリン/100gタンパク質のリンの総含量を有する組成物、例えば液体、粉末または別の食品に関する。好ましくは、低リン組成物は最大でも80mgリン/100gタンパク質の総含量を有する。より好ましくは、低リン組成物は、最大でも50mgリン/100gタンパク質の総含量を有し得る。さらにいっそう好ましくは、低リン組成物は、最大でも20mgリン/100gタンパク質のリンの総含量を有し得る。さらにいっそう好ましくは、低リン組成物は、最大でも5mgリン/100gタンパク質のリンの総含量を有し得る。本発明による低リン組成物は、腎機能が低減した患者群のための食品の生成のための食品成分として使用され得る。
【0451】
よって、発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、最大でも80mgリン/100gタンパク質を含む。好ましくは、可食BLG組成物は、最大でも30mgリン/100gタンパク質を含む。より好ましくは、可食BLG組成物は、最大でも20mgリン/100gタンパク質を含む。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物は、最大でも10mgリン/100gタンパク質を含む。最も好ましくは、可食BLG組成物は、最大でも5mgリン/100gタンパク質を含む。
【0452】
リンの含量は問題になっている組成物の元素リンの総量に関し、WO2018/115520号の実施例9.5に従い決定される。
【0453】
発明の他の好ましい実施形態では、可食BLG組成物は低ミネラル組成物である。
【0454】
本発明との関連で「低ミネラル」という用語は、下記の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらにいっそう好ましくは、全てを有する組成物、例えば液体、粉末または別の食品に関する:
-総固体に対して最大でも1.2%w/wの灰分、
-総固体に対して最大でも0.3%w/wのカルシウムとマグネシウムの総含量、
-総固体に対して最大でも0.10%w/wのナトリウムとカリウムの総含量、
-最大でも100mgリン/100gタンパク質のリンの総含量。
【0455】
好ましくは、低ミネラル組成物は、下記の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらにいっそう好ましくは、全てを有する:
-総固体に対して最大でも0.7%w/wの灰分、
-総固体に対して最大でも0.2%w/wのカルシウムとマグネシウムの総含量、
-総固体に対して最大でも0.08%w/wのナトリウムとカリウムの総含量、
-最大でも80mgリン/100gタンパク質のリンの総含量。
【0456】
さらにいっそう好ましくは、低ミネラル組成物は、下記の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、さらにいっそう好ましくは、全てを有する:
-総固体に対して最大でも0.5%w/wの灰分、
-総固体に対して最大でも0.15%w/wのカルシウムとマグネシウムの総含量、
-総固体に対して最大でも0.06%w/wのナトリウムとカリウムの総含量、
-最大でも50mgリン/100gタンパク質のリンの総含量。
【0457】
低ミネラル組成物は下記を有することが特に好ましい:
-総固体に対して最大でも0.5%w/wの灰分、
-総固体に対して最大でも0.15%w/wのカルシウムとマグネシウムの総含量、
-総固体に対して最大でも0.06%w/wのナトリウムとカリウムの総含量、
-最大でも50mgリン/100gタンパク質のリンの総含量。
【0458】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、可食BLG組成物の総固体に対して少なくとも25%w/wのタンパク質の総量を含む。好ましくは、可食BLG組成物は、可食BLG組成物の総固体に対して少なくとも50%w/wのタンパク質の総量を含む。より好ましくは、可食BLG組成物は、可食BLG組成物の総固体に対して少なくとも75%w/wのタンパク質の総量を含む。さらにより好ましくは、可食BLG組成物は、可食BLG組成物の総固体に対して少なくとも90%w/wのタンパク質の総量を含む。
【0459】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物のタンパク質の総量は、総固体に対して25-100%w/wの範囲である。好ましくは、可食BLG組成物のタンパク質の総量は、50-100%w/wの範囲である。より好ましくは、可食BLG組成物のタンパク質の総量は総固体に対して75-100%w/wの範囲である。さらにより好ましくは、可食BLG組成物のタンパク質の総量は、総固体に対して90-100%w/wの範囲である。
【0460】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、タンパク質の総量に対して少なくとも75%w/wのBLGを含む。好ましくは、可食BLG組成物はタンパク質の総量に対して少なくとも90%w/wのBLGを含み得る。より好ましくは、可食BLG組成物はタンパク質の総量に対して少なくとも95%w/wのBLGを含み得る。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物はタンパク質の総量に対して少なくとも97%w/wのBLGを含み得る。最も好ましくは、可食BLG組成物は、タンパク質の総量に対しておよそ100%w/wのBLGを含む。
【0461】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、最大でも10%w/wの炭水化物、好ましくは最大でも5%w/wの炭水化物、より好ましくは最大でも1%w/wの炭水化物、さらにいっそう好ましくは最大でも0.1%w/wの炭水化物を含む。
【0462】
可食BLG組成物はまた、脂質を、例えばトリグリセリドおよび/またはリン脂質などの他の脂質型の形態で含み得る。
【0463】
発明のいくつかの実施形態では、可食BLG組成物は、総固体に対して最大でも1%w/wの脂質の総量を含む。好ましくは、可食BLG組成物は、総固体に対して最大でも0.5%w/wの脂質の総量を含む。より好ましくは、可食BLG組成物は、総固体に対して最大でも0.1%w/wの脂質の総量を含む。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物は、総固体に対して最大でも0.05%w/wの脂質の総量を含む。最も好ましくは、可食BLG組成物は、総固体に対して最大でも0.01%w/wの脂質の総量を含む。
【0464】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は乾燥組成物、例えば粉末である。可食BLG組成物は噴霧乾燥粉末であることが特に好ましい。
【0465】
本発明者らは、BLGの少なくともいくらかが乾燥された時に結晶形態である粉末形態の可食BLG組成物は、BLG結晶を有さない同等BLG組成物よりも高い密度を有することを観察した(実施例7を参照されたい)。この高密度効果はまた、非常に驚いたことに、噴霧乾燥BLG結晶スラリーから得られる粉末形態の可食BLG組成物について観察される。
【0466】
よって、発明のいくつかの好ましい実施形態では、粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.40g/mLの嵩密度を有する。好ましくは粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.45g/mLの嵩密度を有する。より好ましくは、粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.50g/mLの嵩密度を有する。粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.6g/mLの嵩密度を有することが、さらにより好ましい。粉末形態の可食BLG組成物は例えば、少なくとも0.7g/mLの嵩密度を有し得る。
【0467】
嵩密度の利点は、BLGが存在するほぼ唯一のタンパク質である可食BLG組成物の粉末およびBLGの濃度が初期タンパク質溶液中に存在した他のタンパク質に対して強化されていない可食BLG組成物の粉末の両方に適用される。よって、発明は単離されたBLGおよび粗ホエータンパク質(BLGに加えてかなりの量のALAおよび他のホエータンパク質を含む)の両方の高密度粉末を提供する。
【0468】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.45g/mLの嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.50g/mLの嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.6g/mLの嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末形態の可食BLG組成物は例えば、少なくとも0.7g/mLの嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。
【0469】
発明の他の好ましい実施形態では、粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.45g/mLの嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.50g/mLの嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。粉末形態の可食BLG組成物は少なくとも0.6g/mLの嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末形態の可食BLG組成物は、例えば、少なくとも0.7g/mLの嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。
【0470】
粉末形態の可食BLG組成物は、例えば、0.40-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.45-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.50-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。粉末可食BLG組成物は0.6-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は、例えば、0.6-0.8g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。
【0471】
発明者らは、発明の高密度粉末は、便宜的に、粉末のよりコスト効率の良いパッケージングおよびロジスティクスを可能にし、というのも、1kgの粉末あたりより少ないパッケージング材料が必要とされ、より多くの粉末(質量)が所定の容器またはトラックにより輸送され得るからであることを見出した。
【0472】
粉末形態の可食BLG組成物は、例えば、0.40-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有することができる。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.45-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有する。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.50-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有することができる。粉末可食BLG組成物は0.6-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有することが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は、例えば、0.6-0.8g/mLの範囲の嵩密度を有することができる。
【0473】
発明の他の好ましい実施形態では、粉末形態の可食BLG組成物は0.50-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有する。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.55-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有する。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.60-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有することができる。粉末可食BLG組成物は0.65-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有することが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は好ましくは0.70-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し得る。
【0474】
粉末形態の可食BLG組成物は、例えば、0.40-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.45-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.50-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。粉末可食BLG組成物は0.6-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は、例えば、0.6-0.8g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。
【0475】
粉末形態の可食BLG組成物は、例えば、0.40-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.45-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.50-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。粉末可食BLG組成物は0.6-0.9g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は、例えば、0.6-0.8g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。
【0476】
発明の他の好ましい実施形態では、粉末形態の可食BLG組成物は0.50-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.55-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.60-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。粉末可食BLG組成物は0.65-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は好ましくは0.70-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも70%w/wのタンパク質を含む。
【0477】
発明の他の好ましい実施形態では、粉末形態の可食BLG組成物は0.50-1.5g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.55-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。より好ましくは、粉末可食BLG組成物は0.60-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。粉末可食BLG組成物は0.65-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有し、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含むことが、さらにより好ましい。粉末可食BLG組成物は好ましくは0.70-1.0g/mLの範囲の嵩密度を有することができ、組成物の総重量に対して少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。
【0478】
粉末の嵩密度は、WO2018/115520号の実施例9.3に従い測定される。
【0479】
本発明者らは、本発明によるBLG組成物は、同様のBLG組成物より良好な長期安定性を有するという兆候を見た。これは、BLGの少なくともいくらかはBLG結晶の形態で存在する場合にとくにそうであり、それは、BLG分子のより良好な保存安定性を提供すると考えられる。
【0480】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、乾燥BLG組成物は、30℃で60日後、最大でも80mg/100gタンパク質、好ましくは最大でも60mg/100gタンパク質、より好ましくは最大でも40mg/100gタンパク質、さらにいっそう好ましくは最大でも20mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。最も好ましくは、乾燥BLG組成物は、30℃で60日後、最大でも10mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。
【0481】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、乾燥BLG組成物は最大でも80mg/100gタンパク質、好ましくは最大でも60mg/100gタンパク質、より好ましくは最大でも40mg/100gタンパク質、さらにいっそう好ましくは最大でも20mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。最も好ましくは、乾燥BLG組成物は最大でも10mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。好ましくは、乾燥BLG組成物は0mg/100gタンパク質のフロシン値を有する。
【0482】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、乾燥BLG組成物のBLGは、30℃で60日後、最大でも1、好ましくは最大でも0.6、より好ましくは0.2、さらにいっそう好ましくは最大でも0.1、最も好ましくは最大でも0.01のラクトシル化度を有する。
【0483】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は液体組成物である。液体可食BLG組成物は好ましくは、少なくとも20%w/wの水、より好ましくは少なくとも30%w/wの水、さらにいっそう好ましくは少なくとも40%w/wを含む。
【0484】
液体可食BLG組成物は、例えば、20-90%w/wの範囲の水、より好ましくは、30-80%w/wの範囲の水、さらにいっそう好ましくは少なくとも40%w/wを含み得る。
【0485】
本発明者らは本発明による可食BLG組成物は、可食BLG粉末組成物を調製するために噴霧乾燥が使用されたとしても、驚いたことに低いタンパク質変性度を有することを見出した(WO2018/115520号の実施例11を参照されたい)。
【0486】
よって、発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は最大でも10%のタンパク質変性度を有する。好ましくは、可食BLG組成物は最大でも5%のタンパク質変性度を有する。より好ましくは、可食BLG組成物は最大でも2%のタンパク質変性度を有する。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物は最大でも1%のタンパク質変性度を有する。さらにいっそう好ましくは、可食BLG組成物は最大でも0.5%のタンパク質変性度を有する。
【0487】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は乾燥粉末、好ましくは噴霧乾燥粉末であり、最大でも2%、好ましくは最大でも1.5%のタンパク質変性度を有する。より好ましくは、例えば噴霧乾燥粉末の形態の乾燥可食BLG組成物は、最大でも1.0%のタンパク質変性度を有する。さらにいっそう好ましくは、例えば噴霧乾燥粉末の形態の乾燥可食BLG組成物は最大でも0.8%のタンパク質変性度を有する。さらにいっそう好ましくは、例えば噴霧乾燥粉末の形態の乾燥可食BLG組成物は最大でも0.5%のタンパク質変性度を有する。
【0488】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-最大でも6%w/wの水
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、ならびに
前記可食BLG組成物は:
-乾燥粉末であり、
-少なくとも0.50g/mL、好ましくは少なくとも0.60g/mLの嵩密度を有する。
【0489】
発明の他の好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-最大でも6%w/wの水
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、ならびに
前記可食BLG組成物は
-乾燥粉末であり、
-少なくとも0.50g/mL、好ましくは少なくとも0.60g/mLの嵩密度を有し、および
-少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%のBLGの結晶化度を有する。
【0490】
発明のさらに好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-最大でも6%w/wの水
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、ならびに
前記可食BLG組成物は:
-乾燥粉末であり、
-少なくとも0.50g/mL、好ましくは少なくとも0.60g/mLの嵩密度を有し、および
-最大でも2%、好ましくは最大でも1.0%のタンパク質変性度を有する。
【0491】
発明のさらに好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-最大でも6%w/wの水
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、
-最大でも80mgリン/100gタンパク質、
前記可食BLG組成物は:
-乾燥粉末である。
【0492】
発明のさらに好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-最大でも6%w/wの水
-総固体に対して少なくとも90%の総タンパク質、
-総タンパク質に対して少なくとも97%のBLG、
-最大でも50mgリン/100gタンパク質、
前記可食BLG組成物は:
-乾燥粉末である。
【0493】
発明の他の好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-最大でも6%w/wの水
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質、好ましくは総固体に対して少なくとも90%の総タンパク質、
-総タンパク質に対して30-90%のBLG、
-総タンパク質に対して8-25%w/wのALA、
前記可食BLG組成物は:
-乾燥粉末であり、および
-少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%のBLGの結晶化度を有する。
【0494】
発明のいくつかの好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-20-80%w/wの水、好ましくは20-60%w/wの水、
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質、好ましくは少なくとも90%の総タンパク質
-総タンパク質に対して少なくとも95%のBLG、
-最大でも80mgリン/100gタンパク質、
前記可食BLG組成物は:
-少なくとも20%、好ましくは少なくとも40のBLGの結晶化度を有し、ならびに
-任意で、最大でも2%、好ましくは最大でも1.0%のタンパク質変性度を有する。
【0495】
これらの実施形態による可食組成物は、乾燥形態の可食BLG組成物を調製するのに特に有用であり、ホエータンパク質種ホエータンパク質の標準濃度プロファイルを有するが、BLGの少なくともいくらかを乾燥されたBLG結晶の形態で含む高密度ホエータンパク質粉末の噴霧乾燥および調製に特に好適である。
【0496】
発明の他の好ましい実施形態では、可食BLG組成物は、下記を含み:
-20-80%w/wの水、好ましくは20-60%w/wの水、
-総固体に対して少なくとも80%の総タンパク質、好ましくは総固体に対して少なくとも90%の総タンパク質、
-総タンパク質に対して30-79%のBLG、
-総タンパク質に対して8-25%w/wのALA、
前記可食BLG組成物は:
-少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%のBLGの結晶化度を有する。
【0497】
これらの実施形態による可食組成物は乾燥形態の可食BLG組成物を調製するのに特に有用であり、ホエータンパク質種ホエータンパク質の標準濃度プロファイルを有するが、BLGの少なくともいくらかを乾燥されたBLG結晶の形態で含む高密度ホエータンパク質粉末の噴霧乾燥および調製に特に好適である。
【0498】
本方法は好ましくは、1-65℃の範囲、好ましくは2-50℃、より好ましくは3-20℃の範囲、さらにいっそう好ましくは、4-15℃の範囲の温度で実施される。
【0499】
発明の特に好ましい実施形態は下記番号付き実施形態において記載される:
番号付き実施形態1.好ましくは結晶化および/または単離形態でのβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法であって、方法は、下記ステップを含み:
a)BLGを含む初期タンパク質溶液を調製するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有する、ステップ、
b)過飽和、初期タンパク質溶液中、好ましくは塩溶モードでBLGを結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、ならびに
c)任意で、BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ、
ステップa)は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と合わせる、好ましくは混合することにより、初期タンパク質溶液を調製することを含み、
-「A型タンパク質供給物」はBLGを含み、少なくとも5.6のpHを有するタンパク質供給物として規定され、ならびに、
-「B型タンパク質供給物」はBLGを含み、最大でも5.4のpHを有するタンパク質供給物として規定される、方法。
【0500】
番号付き実施形態2.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって:
-A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも5.7、さらにいっそう好ましくは少なくとも5.8、最も好ましくは少なくとも5.9のpHを有し、ならびに
-B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.3、さらにいっそう好ましくは、5.2、最も好ましくは5.1のpHを有する、方法。
【0501】
番号付き実施形態3.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって:
-A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、少なくとも6.0、より好ましくは少なくとも6.1、さらにいっそう好ましくは少なくとも6.2、最も好ましくは少なくとも6.3のpHを有し、ならびに
-B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも5.0、より好ましくは最大でも4.9、さらにいっそう好ましくは4.8、最も好ましくは4.7のpHを有する、方法。
【0502】
番号付き実施形態4.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpHを有する、方法。
【0503】
番号付き実施形態5.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物は、合わせられた場合、6.0-8、より好ましくは6.1-7.5、さらにいっそう好ましくは、6.2-7.0、最も好ましくは6.2-6.5の範囲のpHを有する、方法。
【0504】
番号付き実施形態6.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物は、合わせられた場合、2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpHを有する、方法。
【0505】
番号付き実施形態7.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物は、合わせられた場合、4.0-5.0、より好ましくは4.1-4.9、さらにいっそう好ましくは、4.3-4.8、最も好ましくは4.5-4.8の範囲のpHを有する、方法。
【0506】
番号付き実施形態8.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して飽和されておらず、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して飽和されていない、方法。
【0507】
番号付き実施形態9.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して飽和されておらず、より好ましくは1つ以上のB型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して飽和されていない、方法。
【0508】
番号付き実施形態10.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型またはB型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して飽和されていない、方法。
【0509】
番号付き実施形態11.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、方法。
【0510】
番号付き実施形態12.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは1つ以上のB型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、方法。
【0511】
番号付き実施形態13.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型またはB型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、方法。
【0512】
番号付き実施形態14.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して過飽和でない、方法。
【0513】
番号付き実施形態15.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型またはB型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、方法。
【0514】
番号付き実施形態16.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して過飽和でない、方法。
【0515】
番号付き実施形態17.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上の型のいずれもBLGに関して過飽和でない、方法。
【0516】
番号付き実施形態18.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して飽和されている、方法。
【0517】
番号付き実施形態19.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して飽和されている、方法。
【0518】
番号付き実施形態20.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する、方法。
【0519】
番号付き実施形態21.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、方法。
【0520】
番号付き実施形態22.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、方法。
【0521】
番号付き実施形態23.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する、方法。
【0522】
番号付き実施形態24.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、方法。
【0523】
番号付き実施形態25.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLGに関して過飽和ではないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、方法。
【0524】
番号付き実施形態26.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度を有する、方法。
【0525】
番号付き実施形態27.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度を有する、方法。
【0526】
番号付き実施形態28.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度を有する、方法。
【0527】
番号付き実施形態29.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度を有する、方法。
【0528】
番号付き実施形態30.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、A型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも7%w/wのBLGを含む、方法。
【0529】
番号付き実施形態31.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、A型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して1-45%w/wのBLG、より好ましくは3-40%w/w、さらにいっそう好ましくは、5-36%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して7-34%w/wのBLGを含む、方法。
【0530】
番号付き実施形態32.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、B型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して少なくとも7%w/wのBLGを含む、方法。
【0531】
番号付き実施形態33.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物(複数可)は、合わせられた場合、B型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して1-45%w/wのBLG、より好ましくは3-40%w/w、さらにいっそう好ましくは、5-36%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物(複数可)の組み合わせの重量に対して7-34%w/wのBLGを含む、方法。
【0532】
番号付き実施形態34.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して1-99%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のA型タンパク質供給物の総量を含む、方法。
【0533】
番号付き実施形態35.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して1-99%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のB型タンパク質供給物(複数可)の総量を含む、方法。
【0534】
番号付き実施形態36.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は下記を含む、方法:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲のB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0535】
番号付き実施形態37.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は下記を含む、方法:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の5.8-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.2のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0536】
番号付き実施形態38.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は下記を含む、方法:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.0-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.0のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0537】
番号付き実施形態39.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は下記を含む、方法:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.1-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの3-4.9のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0538】
番号付き実施形態40.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液を調製するために使用されるタンパク質供給物の少なくとも1つは液体形態である、方法。
【0539】
番号付き実施形態41.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物は全て液体形態である、方法。
【0540】
番号付き実施形態42.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物の少なくとも1つは乾燥形態、好ましくは粉末形態であり、タンパク質供給物の少なくとも1つは液体形態である、方法。
【0541】
番号付き実施形態43.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物は全て、乾燥形態である、方法。
【0542】
番号付き実施形態44.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶、例えばステップc)から得られた、分離された結晶を洗浄するステップd)をさらに含む、方法。
【0543】
番号付き実施形態45.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶、例えば、ステップc)またはd)から得られたBLG結晶を再結晶化させるステップe)をさらに含む、方法。
【0544】
番号付き実施形態46.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップb)、c)、d)、またはe)由来のBLG含有組成物を乾燥させるステップf)をさらに含む、方法。
【0545】
番号付き実施形態47.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の初期タンパク質溶液は、総固体に対して少なくとも1%w/wの非BLG固体を含む、方法。
【0546】
番号付き実施形態48.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも5%w/wのALAを含む、方法。
【0547】
番号付き実施形態49.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して少なくとも15%w/wの追加のホエータンパク質を含む、方法。
【0548】
番号付き実施形態50.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の初期タンパク質溶液は、タンパク質の総量に対して最大でも40%w/wのBLGを含む、方法。
【0549】
番号付き実施形態51.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップa)の初期タンパク質溶液は、初期タンパク質溶液の重量に対して少なくとも5%w/wのBLGを含む、方法。
【0550】
番号付き実施形態52.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物は乳清タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物、乳清タンパク質分離物、および/またはホエータンパク質分離物から調製される、方法。
【0551】
番号付き実施形態53.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液の導電率とタンパク質の総量の間の比は最大でも0.3である、方法。
【0552】
番号付き実施形態54.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液のUF透過導電率は最大でも7mS/cmである、方法。
【0553】
番号付き実施形態55.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物(複数可)の1つ以上は、1つ以上のホエータンパク質材料を下記調整の1つ以上に供することにより調製される、方法:
-pHを調整すること、
-導電率を低減させること
-温度を低減させること
-タンパク質濃度を増加させること、ならびに
-水分活性を低減させる作用物質を添加すること。
【0554】
番号付き実施形態56.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のタンパク質供給物の調製はホエータンパク質材料のpHを調整することを含む、方法。
【0555】
番号付き実施形態57.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のタンパク質供給物の調製は、ホエータンパク質材料の導電率を低減させることを含む、方法。
【0556】
番号付き実施形態58.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のタンパク質供給物の調製は、ホエータンパク質材料の温度を低減させることを含む、方法。
【0557】
番号付き実施形態59.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のタンパク質供給物の調製は、ホエータンパク質材料の総タンパク質濃度を増加させることを含む、方法。
【0558】
番号付き実施形態60.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物の1つ以上は乳清タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物、乳清タンパク質分離物、および/またはホエータンパク質分離物に由来する、方法。
【0559】
番号付き実施形態61.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、タンパク質供給物の1つ以上は、乳清タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物、乳清タンパク質分離物、および/またはホエータンパク質分離物のタンパク質を含む、方法。
【0560】
番号付き実施形態62.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップb)のBLGの結晶化は、下記の1つ以上を含む、方法:
-結晶化が起こるのを待つこと、
-結晶化シードの添加、
-BLGの過飽和度をさらにいっそう増加させること、および/または
-機械的刺激。
【0561】
番号付き実施形態63.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップb)のBLGの結晶化は、BLGの結晶化が進行している間にBLGを含む1つ以上の追加のタンパク質供給物の添加を含む、方法。
【0562】
番号付き実施形態64.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、ステップc)は、残りの初期タンパク質溶液からBLG結晶を分離することを含む、方法。
【0563】
番号付き実施形態65.番号付き実施形態64による方法であって、ステップc)は、BLG結晶を少なくとも30%w/w、好ましくは少なくとも40%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも50%w/wの固体含量まで分離することを含む、方法。
【0564】
番号付き実施形態66.番号付き実施形態44-65のいずれかによる方法であって、ステップd)での洗浄は、分離されたBLG結晶を洗浄液とBLG結晶を完全に溶解させずに接触させ、その後に残りのBLG結晶を洗浄液から分離することを含む、方法。
【0565】
番号付き実施形態67.番号付き実施形態66による方法であって、ステップd)の洗浄はBLG結晶の初期量の最大でも80%w/w、好ましくは最大でも50%w/w、さらにいっそう好ましくはBLG結晶の初期量の最大でも20%w/wを溶解させる、方法。
【0566】
番号付き実施形態68.番号付き実施形態45-67のいずれかによる方法であって、再結晶ステップは、下記を含む、方法:
-分離されたBLG結晶を再結晶液に溶解させること、
-再結晶液を調整して、BLGに関して過飽和を得ること、
-過飽和の調整再結晶液中でBLGを結晶化すること、ならびに
-BLG結晶を残りの調整再結晶液から分離すること。
【0567】
番号付き実施形態69.番号付き実施形態45-68のいずれかによる方法であって、ステップd)のBLG結晶は少なくとも2回再結晶化される、方法。
【0568】
番号付き実施形態70.番号付き実施形態46-69のいずれかによる方法であって、乾燥ステップは、噴霧乾燥、フリーズドライ、スピンフラッシュ乾燥機、回転乾燥、および/または流動床乾燥の1つ以上を含む、方法。
【0569】
番号付き実施形態71.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも5.7、さらにいっそう好ましくは少なくとも5.8、最も好ましくは少なくとも5.9のpH、ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.3、さらにいっそう好ましくは、5.2、最も好ましくは5.1のpH。
【0570】
番号付き実施形態72.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって:
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも6.0、より好ましくは少なくとも6.1、さらにいっそう好ましくは少なくとも6.2、最も好ましくは少なくとも6.3のpH、ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
最大でも5.0、より好ましくは最大でも4.9、さらにいっそう好ましくは4.8、最も好ましくは4.7のpH。
【0571】
番号付き実施形態73.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH。
【0572】
番号付き実施形態74.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
6.0-8、より好ましくは6.1-7.5、さらにいっそう好ましくは、6.2-7.0、最も好ましくは6.2-6.5の範囲のpH。
【0573】
番号付き実施形態75.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH。
【0574】
番号付き実施形態76.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
4.0-5.0、より好ましくは4.1-4.9、さらにいっそう好ましくは、4.3-4.8、最も好ましくは4.5-4.8の範囲のpH。
【0575】
番号付き実施形態77.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、
1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まず、および/または
1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは1つ以上のB型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、方法。
【0576】
番号付き実施形態78.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して過飽和でなく、および/または
1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは1つ以上の型のいずれもBLGに関して過飽和でない、方法。
【0577】
番号付き実施形態79.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する、方法。
【0578】
番号付き実施形態80.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、方法。
【0579】
番号付き実施形態81.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【0580】
番号付き実施形態82.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、方法:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【0581】
番号付き実施形態83.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む、方法:
A型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【0582】
番号付き実施形態84.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む、方法:
B型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【0583】
番号付き実施形態85.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液は下記を含む、方法:
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.0-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/w、より好ましくは10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.0のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【0584】
番号付き実施形態86.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、
-A型タンパク質供給物との関連で、単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
-A型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比、
ならびに、
-B型タンパク質供給物との関連で、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、下記を有する、方法:
-B型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、より好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0585】
番号付き実施形態87.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、
-A型タンパク質供給物との関連で、単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
-A型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、さらにいっそう好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比、
ならびに、
-B型タンパク質供給物との関連で、単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらは、混合された場合、下記を有する、方法:
-B型タンパク質供給物の総重量に対して4-32%w/wのBLG、より好ましくは6-32%w/w、より好ましくは8-30%w/w、さらにいっそう好ましくは10-28%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して12-26%w/wのBLGの含量、
-2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH、
-好ましくは、最大でも20℃、より好ましくは最大でも15℃、さらにいっそう好ましくは最大でも10℃、最も好ましくは最大でも5℃の温度、
-好ましくは、タンパク質の総量に対して少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも50%w/w、最も好ましくは少なくとも55%w/wの量のBLGの含量、
-下記の1つ以上:
-最大でも7mS/cm、より好ましくは最大でも5mS/cm、最も好ましくは最大でも3mS/cmの導電率、および
-最大でも0.3、より好ましくは最大でも0.25、最も好ましくは最大でも0.20の導電率とタンパク質の総量の間の比。
【0586】
番号付き実施形態88.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のタンパク質含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、方法。
【0587】
番号付き実施形態89.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液のタンパク質含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、方法。
【0588】
番号付き実施形態90.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液の固体含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、方法。
【0589】
番号付き実施形態91.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液の固体含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、方法。
【0590】
番号付き実施形態92.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液の重量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、方法。
【0591】
番号付き実施形態93.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、初期タンパク質溶液の重量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、方法。
【0592】
番号付き実施形態94.前記番号付き実施形態のいずれかによる方法であって、初期タンパク質溶液のBLGの過飽和度は下記の過飽和度の両方より高い、方法:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、A型タンパク質供給物、または
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、A型タンパク質供給物、
および
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、B型タンパク質供給物、または
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、B型タンパク質供給物。
【0593】
本発明について、以上で、特定の実施形態を参照して記載してきた。しかしながら、上記以外の他の実施形態も、発明の範囲内で同様に可能である。発明の様々な実施形態および態様の異なる特徴およびステップは、特に明記されない限り、本明細書で記載されるもの以外の様式で組み合わせることができる。
【0594】
実施例
実施例1:2つのWPIストリームの混合に基づく結晶化
導入:
WO2018/115520号の方法の大規模実行の最初の試用中、頻繁な自然BLG結晶化事象が、ホエータンパク質溶液を調製するために使用される限外濾過ユニットにおいて観察された。自然BLG結晶化事象は、生成の中断、および、結晶化により影響されるプロセスユニットの時間のかかるクリーニングにつながった。
【0595】
次いで、発明者らは、調製中の好ましくない条件下(例えば、高い局所タンパク質濃度および/または突然の冷却の発生)でBLGに関して過飽和になる可能性がある単一供給物からWO2018/115520号の過飽和タンパク質溶液を生成する代わりに、2つ(またはそれ以上)の供給物から過飽和ホエータンパク質溶液を生成することがより賢明であるという考えを有し、各々が明らかにBLGに関して過飽和でない(または、限定された程度までしか過飽和でない)ものとするpHを有し、次いで、2つ(またはそれ以上)の供給物を混合して、BLGの過飽和に対して適切なpH、すなわちpH5.5に近いpHを得る。
【0596】
この新しいアプローチは、非常に高いタンパク質含量を有し、コントロール不良のBLG結晶化のリスクを有さない供給物を調製することを可能にする。加えて、このアプローチは、微生物の最適増殖より著しく低い温度で、供給物、その後初期タンパク質溶液を調製することを可能にし、これは、最終生成物の微生物量を許容されるレベルまで低減させるのに必要とされる熱処理が少なくなるので有利となる。発明者らはさらに、本A型および/またはB型タンパク質供給物によりなされるpH調整は、従来の食物酸または食物塩基を用いてなされる同じpH変化とは対照的に、初期タンパク質溶液の導電率における非常に限られた変化のみで寄与することを見出した。これは、初期タンパク質溶液の低減された導電率は典型的にはより高いBLG結晶化収率を生じさせるので有益である。
【0597】
この新しいアプローチの実現可能性はこの実施例において証明され、この場合、第1のタンパク質供給物(バッチ1、A型タンパク質供給物)は6.2のpHを有し、第2のタンパク質供給物(バッチ2、B型タンパク質供給物)は4.9のpHを有した。高いタンパク質濃度にもかかわらず、供給物のいずれも過飽和でなかった。しかしながら、2つの供給物を(pH5.5に近いpHを得るのに)適切な量で単純に混合することにより、過飽和タンパク質混合物が得られ、これからBLGは結晶化することができた。
【0598】
プロセス:
この実施例のためのホエー原料は標準チーズ生成プロセスからのスイートホエーに由来するラクトース枯渇UFリテンテートであり、ホエーは使用前にSynder FR膜を介して脂肪低減されていた。この原料から2バッチを生成させ、限外濾過セットアップにより、Alfa Laval GR82PE膜を使用して30ミル(mill)スペーサおよび1.5-3.0バール供給圧を用いて調整した。生成物をダイアフィルトレーション媒体としてポリッシュ水を用いて脱塩し、供給物は18パーセントTS(総固体)±5パーセントの濃度を有した。ダイアフィルトレーションは少なくとも、リテンテートにおける導電率の降下が、リテンテート中のTSが安定であった(±0.5パーセントTS)20分期間にわたって0.02mS/cm未満となるまで続けられた。次いで、リテンテートをおよそ22パーセントTSまで濃縮した。バッチ1および2の供給物組成は表1.1および1.2において見ることができる。
【0599】
第1のバッチ(バッチ1)を10~12℃でのUF処理前に食品グレードの塩酸(HCl)を用いてpH6.1にpH調整した。他のバッチ(バッチ2)を10~12℃でのUF処理前に食品グレードの塩酸(HCl)を用いてpH4.9にpH調整した。
【表1】

【表2】
【0600】
UF処理後、2つのバッチの温度を10℃に調整し、その後、バッチの一部を5つの異なる比で混ぜ合わせ、タンパク質溶液を生成させ、これにおいて、結晶化を実施した。詳細については表1.3を参照されたい。各混合物に10℃で0.1%w/wのシード材料を用いてシーディングし、シーディング後5℃まで冷却し、撹拌しながら一晩放置した。
【0601】
バッチ1およびバッチ2がすでに過飽和であるかどうか確認するために、2つのバッチの各々の試料を上記混合前にとり、同様にシーティングし、10℃で一晩保存した。翌朝の顕微鏡法による目視検査により、インキュベーション後結晶は存在しなかったことが示され、よって、バッチ1およびバッチ2は過飽和でなかったと結論付けることができる。
【0602】
シード材料を、バッチ1および2のごく一部を混ぜ合わせ、5.5の最終pHに到達させ、その後、少量の乾燥されたBLG結晶材料を添加することにより生成させた。次いで、シード溶液を氷上に1時間、撹拌しながら置いた。
【0603】
タンパク質溶液の試料をシーディング前および結晶化後にとり、3000gで5分間遠心分離させ、上清の試料を、WO2018/115520号の実施例1において記載されるようにRP-HPLCにより分析し、結晶化収率を下記式により計算した:
【数2】

式において、%BLG結晶化前は、シーディングおよび結晶化前の試料においてHPLCにより測定されたBLG濃度であり、%BLG結晶化後は結晶化後の試料の上清においてHPLCにより測定されたBLG濃度である。
【0604】
結果:
下記表からわかるように、ホエータンパク質供給物をBLGに関して低い過飽和度を有する(またはさらには過飽和でない)pH領域で調整することが可能であり、よって、UFプラントでの自然結晶化のリスクが低下し、自然BLG結晶化なしで使用することができる最大タンパク質濃度が増加される。その後、2つの供給物を混合し、高いBLG過飽和度を有する初期タンパク質溶液を提供した。
【表3】
【0605】
実施例2:市販のWPIを使用した、2つのWPIストリームの混合に基づく結晶化
この実施例のためのホエー材料は市販のLacprodan DI-9213および別の自作のpH6.2 WPIであった。
【0606】
pH6.2 WPIを標準チーズ生成プロセスからのスイートホエーに由来するラクトース枯渇UFリテンテートから作製し、ホエーをSynder FR膜を介して使用前に脂肪低減させた。原料を、食品グレード塩酸を用いて10~12℃でのUF処理前にpH6.2にpH調整した。この原料からバッチを生成させ、限外濾過セットアップにより、Alfa Laval GR82PE膜を使用して30ミルスペーサおよび1.5-3.0バール供給圧を用いて調整した。生成物をダイアフィルトレーション媒体としてポリッシュ水を用いて脱塩し、供給物は18パーセントTS±5パーセントの濃度を有した。ダイアフィルトレーションは少なくとも、リテンテートにおける導電率の降下が、リテンテート中のTSが安定であった(±0.5パーセントTS)20分期間にわたって0.02mS/cm未満となるまで続けられた。次いで、リテンテートをおよそ22パーセントTSまで濃縮し、バッチ1および2の供給物組成は表2.1および2.2において見ることができる。
【0607】
バッチ2を粉末形態のLacprodan DI-9213から作製した。粉末を16.3のTSまでそれを再水和させ、10℃で全ての粉末が溶解されるまで撹拌しながらそれを放置することにより調整した。
【表4】

【表5】
【0608】
コンディショニング後、実施例1におけるように(2つの溶液のみを作製したことを除き)2つのバッチを処理し、分析した。
【0609】
混合物の特性は表2.3において見ることができる。
【0610】
結果:
下記表からわかるように、ホエータンパク質供給物をBLGに関して過飽和でないpH領域で調整することが可能であり、よって、自然結晶化のリスクが低下し、UFプラントでの結晶化のリスクなしで可能なレベルタンパク質濃度が増加し、次いで、その後、2つが混ぜ合わせられ、高い過飽和度が得られる。予想通りに、より高い導電率は収率に影響することがわかる。
【表6】
【0611】
実施例3:2つのWPIストリーム、pH4.0および6.1の混合に基づく結晶化
この実施例のためのホエー原料は、標準チーズ生成プロセスからのスイートホエーに由来するラクトース枯渇UFリテンテートであり、ホエーをSynder FR膜を介して使用前に脂肪低減させた。この原料から2バッチを生成させ、限外濾過セットアップにより、Alfa Laval GR82PE膜を使用して30ミルスペーサおよび1.5-3.0バール供給圧を用いて調整した。生成物をダイアフィルトレーション媒体としてポリッシュ水を用いて脱塩し、供給物は18パーセントTS±5パーセントの濃度を有した。ダイアフィルトレーションを、少なくとも、リテンテートにおける導電率の降下が、リテンテート中のTSが安定であった(±0.5パーセントTS)、20分期間にわたって0.02mS/cm未満となるまで続けた。次いで、リテンテートをおよそ22パーセントTSまで濃縮し、バッチ1および2の供給物組成は表3.1および3.2において見ることができる。
【0612】
1つのバッチ(バッチ1)を食品グレードの塩酸(HCl)を用いて、10~12℃でのUF処理前にpH6.1にpH調整した。他のバッチ(バッチ2)を食品グレードの塩酸(HCl)を用いて、10~12℃でのUF処理前にpH4.0にpH調整した。
【表7】

【表8】

【0613】
コンディショニング後、WO2018/115520号の実施例1におけるように、(4つの溶液のみを作製したこと除き)、2つのバッチを処理し、分析した。
【0614】
混合物の特性は表3.3において見ることができる。
【0615】
結果:
下記表からわかるように、ホエータンパク質供給物を、BLGに関して低い過飽和度を有する領域で調整することが可能であり、よって、自然結晶化のリスクが低下し、UFプラントでの結晶化のリスクなしで可能なレベルタンパク質濃度が増加し、次いで、その後、2つが混ぜ合わせられ、高い過飽和度が得られる。
【表9】
【0616】
実施例4:結晶サイズ分布
この実施例のためのホエー原料は標準チーズ生成プロセスからのスイートホエーに由来するラクトース枯渇UFリテンテートであり、ホエーをSynder FR膜を介して使用前に脂肪低減させた。この原料から、各結晶化のための2つのバッチを生成させ、限外濾過セットアップにより、Alfa Laval GR82PE膜を使用して30ミルスペーサおよび1.5-3.0バール供給圧を用いて調整した。生成物をダイアフィルトレーション媒体としてポリッシュ水を用いて脱塩し、供給物は18パーセントTS±5パーセントの濃度を有した。ダイアフィルトレーションを、少なくとも、リテンテートにおける導電率の降下が、リテンテート中のTSが安定であった(±0.5パーセントTS)、20分期間にわたって0.02mS/cm未満となるまで続けた。次いで、リテンテートをおよそ22パーセントTSまで濃縮し、バッチ1および2の供給物組成は下記表において見ることができる。
【0617】
1つのバッチ(バッチ1)を、食品グレードの塩酸(HCl)を用いて10~12℃でのUF処理前に、pHおよそ6.1にpH調整した。他のバッチ(バッチ2)を食品グレードの塩酸(HCl)を用いて、10~12℃でのUF処理前にpH4.8にpH調整した。
【0618】
結晶化を300L結晶化タンクにおいて実施し、0.1%w/wシード材料を使用した。シード材料は実施例1におけるように生成させた。
【0619】
第1の結晶化
【表10】

【表11】

コンディショニング後、2つのバッチを混ぜ合わせ、5.50の最終pHを得、混合物にシーディングし、直ちに5℃まで冷却し、一晩放置し、結晶化させた。スラリーの試料を実施例1において記載されるように分析し、収率を計算した。結晶スラリーの粒径分布をMalvern粒径キャラクタリゼーションにより分析した。
【0620】
第2の結晶化
【表12】

【表13】

コンディショニング後2つのバッチを混ぜ合わせ、5.45の最終pHを得、混合物にシーディングし、直ちに5℃まで冷却し、一晩放置し、結晶化させた。スラリーの試料を実施例1において記載されるように分析し、収率を計算した。結晶スラリーの粒径分布をMalvern粒径キャラクタリゼーションにより分析した。
【0621】
第3の結晶化:
【表14】

【表15】

コンディショニング後、2つのバッチを混ぜ合わせ、5.80のpHを得、混合物にシーディングし、1時間インキュベートし、その後、2時間にわたるバッチ2のさらなる添加により、5.45の最終pHに調整し、次いで、直ちに、5℃まで冷却し、一晩放置し、結晶化させた。スラリーの試料を実施例1において記載されるように分析し、収率を計算した。結晶スラリーの粒径分布をMalvern粒径キャラクタリゼーションにより分析した。
【0622】
結果:
表4.7において、結晶化の結果が示され、見てわかるように、異なる原料を使用し、結晶化プロセスが異なっていたとしても、結晶サイズ分布は同様であった。
【表16】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは結晶化および/または単離形態でのβラクトグロブリン(BLG)を含む可食組成物を調製する方法であって、
a)BLGを含む初期タンパク質溶液を調製するステップであって、前記初期タンパク質溶液はBLGに関して過飽和であり、5-6の範囲のpHを有し、前記初期タンパク質溶液は、
前記初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/wの範囲の6.0-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
前記初期タンパク質溶液の重量に対して5-90%w/wの範囲の3-5.0のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量
を含む、ステップ、
b)前記過飽和、初期タンパク質溶液中、好ましくは塩溶モードでBLGを結晶化させ、よって、BLG結晶含有溶液を得るステップ、ならびに
c)任意で、前記BLG結晶含有溶液の残りの液体からBLG結晶を分離するステップ
を含み、
ステップa)は、1つ以上のA型タンパク質供給物(複数可)を1つ以上のB型タンパク質供給物(複数可)と混合することにより、前記初期タンパク質溶液を調製することを含み、
-「A型タンパク質供給物」は、BLGを含み、少なくとも5.6のpHを有するタンパク質供給物として規定され、ならびに、
-「B型タンパク質供給物」は、BLGを含み、最大でも5.4のpHを有するタンパク質供給物として規定される、方法。
【請求項2】
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも5.6、より好ましくは少なくとも5.7、さらにいっそう好ましくは少なくとも5.8、最も好ましくは少なくとも5.9のpH、ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、請求項1に記載の方法:
最大でも5.4、より好ましくは最大でも5.3、さらにいっそう好ましくは、5.2、最も好ましくは5.1のpH。
【請求項3】
-A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有し:
少なくとも6.0、より好ましくは少なくとも6.1、さらにいっそう好ましくは少なくとも6.2、最も好ましくは少なくとも6.3のpH、ならびに
-B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
最大でも5.0、より好ましくは最大でも4.9、さらにいっそう好ましくは4.8、最も好ましくは4.7のpH。
【請求項4】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
5.6-10、より好ましくは5.8-8、さらにいっそう好ましくは、6.0-7、最も好ましくは6.1-6.5の範囲のpH。
【請求項5】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
6.0-8、より好ましくは6.1-7.5、さらにいっそう好ましくは、6.2-7.0、最も好ましくは6.2-6.5の範囲のpH。
【請求項6】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
2-5.4、より好ましくは3-5.2、さらにいっそう好ましくは、4-5.0、最も好ましくは4.5-4.9の範囲のpH。
【請求項7】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
4.0-5.0、より好ましくは4.1-4.9、さらにいっそう好ましくは、4.3-4.8、最も好ましくは4.5-4.8の範囲のpH。
【請求項8】
前記1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは前記1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まず、および/または
前記1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLG結晶を含まず、より好ましくは前記1つ以上のB型タンパク質供給物のいずれもBLG結晶を含まない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のA型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは前記1つ以上のA型タンパク質供給物のいずれもBLGに関して過飽和でなく、および/または
前記1つ以上のB型タンパク質供給物の少なくとも1つはBLGに関して過飽和ではなく、より好ましくは前記1つ以上の型のいずれもBLGに関して過飽和でない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも1%w/w、より好ましくは少なくとも10%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも20%w/w、最も好ましくは少なくとも40%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
BLG結晶を含まないA型およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のBLG含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【請求項13】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を有し、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法:
最大でも60℃、より好ましくは最大でも50℃、さらにいっそう好ましくは最大でも40℃、最も好ましくは最大でも30℃の温度。
【請求項14】
A型タンパク質供給物との関連で:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法:
A型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはA型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【請求項15】
B型タンパク質供給物との関連で:
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、それが下記を含み、または、
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、それらが、混合された場合、下記を含む前記請求項のいずれかに記載の方法:
B型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも1%w/wのBLG、より好ましくは少なくとも3%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも5%w/w、最も好ましくはB型タンパク質供給物の総重量に対して少なくとも7%w/wのBLG。
【請求項16】
前記初期タンパク質溶液は下記を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法:
-前記初期タンパク質溶液の重量に対して10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の6.0-8のpHを有するA型タンパク質供給物(複数可)の総量、および
-前記初期タンパク質溶液の重量に対して10-80%w/w、さらにいっそう好ましくは20-70%w/w、最も好ましくは30-60%w/wの範囲の3-5.0のpHを有するB型タンパク質供給物(複数可)の総量。
【請求項17】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のタンパク質含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液のタンパク質含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の固体含量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の固体含量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の重量の少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
A型タンパク質供給物(複数可)およびB型タンパク質供給物(複数可)は、前記初期タンパク質溶液の重量の少なくとも92%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにいっそう好ましくは少なくとも96%w/w、最も好ましくは少なくとも99%w/wで寄与する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記初期タンパク質溶液のBLGの過飽和度は下記の過飽和度の両方より高い、前記請求項のいずれかに記載の方法:
-単一A型タンパク質供給物のみが使用される場合、A型タンパク質供給物、または
-2つ以上のA型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、A型タンパク質供給物、
および
-単一B型タンパク質供給物のみが使用される場合、B型タンパク質供給物、または
-2つ以上のB型タンパク質供給物が使用される場合、合わせられた場合の、B型タンパク質供給物。
【国際調査報告】