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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】作動デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20240222BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240222BHJP
   H02N 2/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G02B26/08 E
B81B3/00
H02N2/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548222
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 GB2022050363
(87)【国際公開番号】W WO2022172012
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】2101833.8
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515330535
【氏名又は名称】シンテフ ティーティーオー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコキク, ジェリコ
(72)【発明者】
【氏名】ゲシン, ヨー
(72)【発明者】
【氏名】ダール, トビアス
【テーマコード(参考)】
2H141
3C081
5H681
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MB23
2H141MC09
2H141MD14
2H141MD17
2H141MD20
2H141MD32
2H141MD40
2H141MF02
2H141MF08
2H141MG03
2H141MZ03
2H141MZ11
2H141MZ15
3C081AA11
3C081AA13
3C081BA28
3C081BA33
3C081BA43
3C081BA47
3C081BA55
3C081DA03
3C081DA24
3C081EA07
3C081EA11
3C081EA12
5H681BC01
5H681DD23
5H681EE10
5H681GG02
5H681GG42
(57)【要約】
作動デバイス(2;26;300)、並びに作動デバイスを使用する投影システム及び撮像システム(105;205)が提供される。作動デバイスは、圧電膜を有する少なくとも1つのアクチュエータアーム(16;31、33、35、39;52、54、56、58;62、64、66;302、308)を含む。アクチュエータアームは、その厚さの少なくとも10倍の幅20を有する。作動デバイスはまた、アクチュエータアームに接続された可動要素(4;40;68 304;70)であって、アクチュエータアームの作動によって可動要素の動きが引き起こされるようになっている、可動要素を含む。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電膜を備え、厚さの少なくとも10倍の幅を有する少なくとも1つのアクチュエータアームと、
前記アクチュエータアームに接続された可動要素であって、前記アクチュエータアームの作動によって前記可動要素の動きが引き起こされるようになっている、可動要素と、
を備える作動デバイス。
【請求項2】
前記アクチュエータアームが、個々にアドレス指定可能な複数の圧電セグメントを備える、請求項1に記載の作動デバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータアームの少なくとも一部と前記可動要素との間にギャップを有する、請求項1又は2に記載の作動デバイス。
【請求項4】
前記可動要素の外周の周りに少なくとも部分的に延びる単一のアクチュエータアームを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータアームが、前記可動要素の前記外周の周りの少なくとも半分に延びる、請求項4に記載の作動デバイス。
【請求項6】
前記デバイスが、前記可動要素にそれぞれ接続された複数のアクチュエータアームを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項7】
各アクチュエータアームが、個々にアドレス指定可能な複数の圧電セグメントを備え、前記可動要素の一方の側のセグメントを選択的に作動させることによって前記可動要素が傾動するように、前記アクチュエータアーム及びそのセグメントが構成される、請求項6に記載の作動デバイス。
【請求項8】
前記可動要素に最も近いセグメント又は最も遠いセグメントのいずれかをそれぞれ選択的に作動させることによって前記可動要素が前記圧電膜の平面に垂直な方向に平行移動するように、前記アクチュエータアーム及びそのセグメントが構成される、請求項7に記載の作動デバイス。
【請求項9】
前記可動要素が、光反射面を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項10】
前記光反射面が、0.1mm~50mmの開口サイズを有する、請求項9に記載の作動デバイス。
【請求項11】
前記アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームが、その長さに沿って一定の幅を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項12】
前記アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームが、前記アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームの前記厚さよりも大きな厚さを有する接続部材を介して前記可動要素に接続される、請求項1から11のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項13】
前記可動要素の単位面積当たりの質量が、前記アクチュエータアームの単位面積当たりの質量よりも大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項14】
前記可動要素が、作動時に形状を変化させ得る変形可能な可動要素であるように、前記可動要素が、個々にアドレス指定可能な複数の圧電セクションを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項15】
前記変形可能な可動要素が、前記アクチュエータアームの前記厚さから25%以内の厚さを有する、請求項14に記載の作動デバイス。
【請求項16】
前記変形可能な可動要素が、個々にアドレス指定可能な第1の圧電セクション及び個々にアドレス指定可能な第2の圧電セクションを備え、前記第1のセクションが円形であり、前記第2のセクションが、前記第1のセクションを取り囲む環である、請求項14又は15に記載の作動デバイス。
【請求項17】
前記変形可能な可動要素が、上面及び下面を有し、前記上面及び前記下面の両方が、光反射面を有する、請求項14から16のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項18】
前記膜が、圧電層及び第2の層を備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項19】
前記圧電層が、前記アクチュエータアームの幅の少なくとも90%である、請求項18に記載の作動デバイス。
【請求項20】
プロジェクタと、
請求項1から19のいずれか一項に記載の作動デバイスとを備え、前記作動デバイスの前記可動要素が光反射性である、
投影システム。
【請求項21】
カメラと、
請求項1から19のいずれか一項に記載の作動デバイスとを備え、前記作動デバイスの前記可動要素が光反射性である、
撮像システム。
【請求項22】
カメラと、
プロジェクタと、
請求項1から19のいずれか一項に記載の作動デバイスとを備え、前記作動デバイスの前記可動要素が光反射性であり、前記作動デバイスが、前記カメラと前記プロジェクタによって共有される、
撮像投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な用途に使用するための、特に、非限定的に可動ミラーデバイスに使用するための、圧電作動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
小型デバイス、例えばマイクロミラーの回転及び変位を可能にするために、電圧を印加して機械的構造を作動させることが知られている。しかし、高電圧を印加せずに、又はデバイスの精度若しくは頑丈性を損なわずに、望ましい大きな偏向角を達成することは困難である。
【0003】
既存の微小電気機械システム(MEMS)走査マイクロミラーは、中央ミラーを取り囲むアタッチメントを作動させることによって動作する。典型的に、アクチュエータは、AC電流を受け、1軸又は2軸のいずれかで振動する。マイクロミラー用途では、アクチュエータは、電磁効果、静電効果、熱電気効果、又は圧電効果によって駆動され得る。ローレンツ力を使用する磁気的に作動するマイクロミラーが、静的及び動的動作に対するそれらの適応性により、産業において最も一般的に使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様から、本発明は、作動デバイスであって、
圧電膜を備え、厚さの少なくとも10倍の幅を有する少なくとも1つのアクチュエータアームと、
アクチュエータアームに接続された可動要素であって、アクチュエータアームの作動によって可動要素の動きが引き起こされるようになっている、可動要素と、を備える作動デバイスを提供する。
【0005】
したがって、本発明によれば、薄膜の形態の圧電アクチュエータアームを有する作動デバイスが提供されることが分かる。当業者であれば、圧電アームが作動すると、すなわち、電圧が印加されると、逆圧電効果によって膜の寸法変化及び/又は変形がもたらされることを理解するであろう。アクチュエータアームの寸法及び/又は変形の変化によって引き起こされる動きにより、可動要素が所望の方向に動く。アクチュエータアームを薄膜の形態にすること、すなわち、その厚さの少なくとも10倍の幅を有することは、可動要素の大きな動き、例えば偏向を可能にすることができる。アクチュエータアームがその厚さの少なくとも10倍の幅を有することにより、作動デバイスが、比較的大きな偏向を依然としてもたらしながら、比較的堅くかつ頑丈であることが可能になる。特に、それは、動作中に壊れやすい脆弱ポイントを有さない頑丈な作動デバイス設計の作成を可能にする。
【0006】
アクチュエータアームは、電圧の印加によって、その長さ全体にわたって圧電偏向がもたらされるように構成されることができる。しかし、一連の実施形態では、アクチュエータアームは、個々にアドレス指定可能な複数の圧電セグメントを備える。これにより、アームの1つ以上のセグメントに電圧を印加し、他の1つ以上のセグメントに電圧を印加しないことにより、アームの一部のみを作動させることが可能になる。これにより、可動要素をどのように動かすかについてより高い制御度をもたらすことができる。一連の実施形態では、個々にアドレス指定可能なセグメントは連続している。しかし、このことは必須ではなく、例えば、それらは、アドレス指定可能でない(すなわち、電圧の印加によって偏向させられない)1つ以上のスペーサ部分によって分離されてもよい。
【0007】
一連の実施形態では、デバイスは、アクチュエータアームの少なくとも一部と可動要素との間にギャップを有する。換言すれば、アクチュエータアームは、その長さの一部のみに沿って可動要素に接続される。この「開放」膜設計は、連続膜と比較して低い共振周波数を有することができ、アクチュエータアームの捩じれによって膜がより容易に変形することを可能にし、可動要素の大きな動きを可能にする。
【0008】
一連の実施形態では、デバイスは、可動要素の外周の周りに少なくとも部分的に延びる単一のアクチュエータアームを備える。一連の実施形態では、アクチュエータアームは、可動要素の外周の周りの少なくとも半分に、例えば、可動要素の外周の周りの少なくとも4分の3に延びる。一連のそのような実施形態では、アクチュエータアームは、それらの間の接続部を除いて、一様な間隔で可動要素の外周の周りに延びる。好ましい一連の実施形態では、単一のアクチュエータアームは、可動要素の外周の周りで湾曲する。単一のアクチュエータアームのこの湾曲形状により、「脆弱スポット」、すなわち、アクチュエータアームが容易に壊れ得るスポットを有さない設計を行うことが可能になる。既知のアクチュエータは、直線状の細いアクチュエータアームの遠位端の縁部又は角部に典型的に生じる脆弱スポットを有することが多い。そのような実施形態では、アクチュエータアームの螺旋形状のために、比較的長いアクチュエータアームは、幅広の膜に対してより多くの偏向を可能にする。
【0009】
好ましいように、単一のアクチュエータアームが個々にアドレス指定可能な複数の圧電セグメントを備える場合、セグメントは典型的に、外周の周りの異なる位置に、したがって、可動要素との接続部に対して異なる距離に配置される。したがって、異なるセグメント又はその群の選択的な作動により、可動要素の異なる偏向をもたらすことができる。
【0010】
別の一連の実施形態では、デバイスは、可動要素にそれぞれ接続された複数のアクチュエータアームを備え、複数のアクチュエータアームはそれぞれ、可動要素を動かすために個々に作動することができる。
【0011】
一連の実施形態では、各アームは、個々にアドレス指定可能な複数の圧電セグメントを備える。別個のアームにわたって1つ以上のセグメント又はその群を作動させることにより、可動要素の高度な制御及び異なるタイプの動きを達成することができる。
【0012】
一連の実施形態では、アクチュエータアーム及びそのセグメントは、可動要素の一方の側のセグメントを選択的に作動させることによって可動要素が傾動するように構成される。例えば、デバイスの半分に隣接する全てのセグメントを作動させることにより、可動要素の側に最も近い最も変位する作動しない1つ以上のセグメントが存在し得る場合でも、最大の角度振れを与えることができる。
【0013】
一連の実施形態では、アクチュエータアーム及びそのセグメントは、可動要素に最も近いセグメント又は可動要素から最も遠いセグメントのいずれかをそれぞれ選択的に作動させることによって可動要素が垂直に(すなわち、圧電膜の平面に垂直な方向に)平行移動するように構成される。この垂直平行運動は、より典型的な傾動運動とは対照的に、「ピストン」運動と考えることができる。このことは、本発明によるアクチュエータデバイスの可能な用途をさらに広げる。例えば、可動要素は、振動板のように作用して音波を生成することができる。そのような実施形態では、可動要素は、典型的に光反射性ではないであろう(当然ながら、そのような可能性は除外されない)。
【0014】
例示的な一連の実施形態では、デバイスは、可動要素の外周のそれぞれの部分の周りに少なくとも部分的にそれぞれ延びる2つのアクチュエータアームのみを有する。一連のそのような実施形態では、各アクチュエータアームは、可動要素の外周の周りの半分未満に、例えば、可動要素の外周の周りの4分の1から半分の間に延びる。そのようなデバイスは、対称面(例えば、可動要素の中央部を二等分し、2つのアクチュエータアームがそれぞれ、対称面に対して等距離にある)であることができる。アクチュエータアームの両方は、個々にアドレス指定可能であることができる。好ましくは、両方のアクチュエータアームは、作動時に同じ(例えば、10%以内、20%以内、又は30%以内の)電圧を受けるように構成される。2つのアクチュエータアームのそれぞれに同様の(例えば、同じ)電圧を印加することは、より対称的な偏向を可能にするのに役立つ場合がある。
【0015】
一連のそのような実施形態では、各アクチュエータアームは、他のアクチュエータアームに対して対称な間隔(例えば、実質的に一様な間隔)で可動要素のそれぞれの部分の周りに延びる。
【0016】
一連のそのような実施形態では、2つのアクチュエータアームは、共通の接続部を介して可動要素に接続される。そのような実施形態では、両方のアクチュエータアームを同時に作動させることにより、共通の接続部に最も近い可動要素の側に最大の角度振れをもたらすことできる。換言すれば、達成される物理的な最大変位(例えば、リフト)は、可動要素に接続された側である作動デバイスの側で生じる。そのような配置の対称性により、そのような最大偏向を異なる2つの方向で達成することが可能になる。単一アーム型の実施形態とは対照的に、そのような2アーム型の装置(各アームが、可動要素の縁部の一部の周りで湾曲する)は、脆弱スポットを示す固有の傾向を抑えることができる。そのような実施形態では、より短いアクチュエータアームは、(より高い剛性のために)非常に頑丈であることができ、それらは、同等の長さの単一アームによってもたらされるよりも小さな可動要素の偏向をもたらすことができるが、それらは、デバイスの高い共振周波数を利用する発振用途に好適であることができる。
【0017】
別の例示的な一連の実施形態では、デバイスは、4つのアクチュエータアームを備える。4つのアクチュエータアームはそれぞれ、合計で8つの個々にアドレス指定可能なセグメントが存在するように、2つの圧電セグメントを備えることができる。例えば、各アームは、可動要素の近位側の内側セグメントと、可動要素の遠位側の外側セグメントとを備えることができる。一連のそのような実施形態では、各アクチュエータアームの内側セグメントは、例えば90度にわたって湾曲し、アクチュエータアームの外側セグメントは真っ直ぐである。これにより、アクチュエータアームの「螺旋」配置をもたらすことができる。
【0018】
そのような実施形態では、可動要素の中心を通る線の一方の側に配置された作動するセグメントが、作動するセグメントから90°の可動要素の側の最大の角度振れをもたらすことができ、すなわち、可動要素の最も変位する側が、前述の中心線に対して直角である。換言すれば、達成される最大の角度振れは、作動する側の「隣の」作動デバイスの側で生じる。そのような配置の対称性により、そのような最大偏向を異なる4つの方向で達成することが可能になる。単一アーム型の実施形態と同様に、アクチュエータアームのこの螺旋配置(湾曲した内側セグメントを有する)は、脆弱スポットを有さない。そのような実施形態では、アクチュエータアームの螺旋形状のために、比較的長いアクチュエータアームは、(それらの剛性のために)捩じれに対する抵抗を補償し、幅広の膜のより大きな、すなわち、アクチュエータアームの長さにわたる、偏向を可能にし、作動時に十分な捩じれを蓄積することができる。
【0019】
そのような一連の実施形態では、外側セグメントのみを作動させて正の最大の垂直平行移動(すなわち、上向きの偏向)を与え、内側セグメントのみを作動させて負の最大の垂直平行移動(すなわち、下向きの偏向)を与えることにより、ピストン運動を達成することができる。
【0020】
一連の実施形態では、可動要素は、光反射面を備え、すなわち、可動要素は、作動デバイスが可動ミラーとして機能するようにミラー要素を備える。可動要素は、例えば、適切な反射材料から作られてもよいし、反射コーティングを含んでもよい。あるいは、別個のミラー要素を可動要素に取り付けてもよい。
【0021】
本出願人は、本発明による膜アクチュエータアーム構造の恩恵に浴し得る可動ミラーが、既存のMEMSソリューションと比較して角移動を大きくすることができ、例えば、(準)静的動作における3mmミラーに対して25°~30°の非常に大きい光偏向角を与えることができることを見出した。本発明によって設計された作動デバイスは、高い偏向能力を有し、したがって、広い視野を有し、広範な光学技術に応用することができる。
【0022】
一連の実施形態では、ミラー要素は、0.1mm~50mm、例えば0.5mm~10mm、例えば1mm~5mmの開口サイズを有する。
【0023】
さらに、本出願人は、本発明による作動デバイスを使用して安定的かつ正確な静的偏向を与えることができることを見出した。このことは、共振振動方式で典型的に動作し、したがって、走査を伴う用途に限定される既存の可動ミラー、例えばMEMSミラーとは対照的である。作動デバイス、例えば可動ミラーを静的モードで動作させることができることで、潜在的な用途の範囲が拡大する。
【0024】
可動要素は、任意の適切な形状を有することができる。しかし、一連の実施形態では、可動要素は円形である。別の一連の実施形態では、可動要素は楕円形状を有する。
【0025】
一連の実施形態では、アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームは、その長さに沿って一定の幅を有する。しかし、このことは必須でない。幅が一定でない場合、最小幅は、アームの厚さの少なくとも10倍である。アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームの幅又は最小幅は、その厚さの10~1000倍、例えば、その厚さの50~500倍、例えば、その厚さの約100倍であることができる。
【0026】
一連の実施形態では、可動要素は、0.005mm~20cm、例えば0.5mm~20mmの面積を有する。
【0027】
一連の実施形態では、アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームは、接続部材を介して可動要素に接続される。接続部材は、アクチュエータアームよりも厚いものであってよく、これにより、接続部が比較的細い場合により大きな強度を提供することができる。可動要素は、アクチュエータアームと一体に形成されてもよいし、別個の構成要素として製造されてアクチュエータアームに取り付けられてもよい。
【0028】
一連の実施形態では、可動要素の単位面積当たりの質量は、アクチュエータアームの単位面積当たりの質量よりも大きい。例えば、可動要素は、単にアクチュエータアームよりも厚くてもよいし、別個の質量体が、可動要素に、典型的には使用時に可動要素の外向き面とは反対の側に取り付けられてもよい。可動要素の単位面積当たりの質量が大きくなると、例えば、可動要素の剛性を高めることにより、アクチュエータアームの作動時に可動要素が変形するのを防止することができる。前述の接続部材は、可動要素と同等の厚さであることができる。
【0029】
設けられる場合、別個の質量体は、任意の適切なサイズ又は形状であることができるが、一連の実施形態では、質量体は、その厚さ以上、例えば、その厚さの少なくとも2倍、例えば、その厚さの少なくとも5倍の最大幅(例えば、直径)を有する円筒形状を有する。質量体の幅は、可動要素の幅と同じであることができる。
【0030】
一連の実施形態では、可動要素は、個々にアドレス指定可能な複数の圧電セクションを備える。したがって、可動要素は、作動時に形状を変化させ得る変形可能な可動要素であることができる(例えば、変形可能な可動要素の表面は、曲率を変化させ得る)。作動時に、変形可能な可動要素の外周の周りに最小(例えば、0)リフトが存在し、変形可能な可動要素の中心に最大リフト(例えば、数百マイクロメートル)が存在することができ、したがって、湾曲した輪郭を与える。この最大リフトの程度は、可動要素の直径に依存することができ、例えば、より大きなリフトが望まれれば、より大きな直径を有する可動要素を選択することができる。変形可能な可動要素は、アクチュエータアームよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。例えば、アクチュエータアームよりも厚い変形可能な可動要素は、より小さな最大リフトをもたらすが、抑えられた可撓性により、可動要素のより大きな偏向(例えば、より多くの自由度)をもたらすことができる。一連の実施形態では、変形可能な可動要素は、アクチュエータアームに等しい厚さ、又はアクチュエータアームの厚さから25%以内、例えば10%以内の厚さを有する。アクチュエータアームと同様の厚さを有する変形可能な可動要素は、作動デバイスの製造プロセスをより単純にするのに役立ち、したがって、より低い製造コストをもたらすことができる。
【0031】
変形可能な可動要素は、個々にアドレス指定可能な第1の圧電セクション及び個々にアドレス指定可能な第2の圧電セクションを備えることができる。各セクションは、任意の適切な形状を有することができる。変形可能な可動要素は、同心円状のセクションを備えることができる。一連の実施形態では、第1のセクションは円形であり、第2のセクションは、第1のセクションを取り囲む環である(例えば、第1のセクションと第2のセクションは同心円状である)。変形可能な要素の第1のセクションのみに電圧を印加することにより、変形可能な要素の湾曲した(例えば、凹状の)変形をもたらすことができ、変形可能な要素の第2のセクションのみに電圧を印加することにより、反対の(例えば、凸状の)変形をもたらすことができる。したがって、変形可能な要素は、両方向に(例えば、凸状又は凹状に)湾曲することができる。第1のセクションを取り囲む、同心円状に配置されたより多くのセクション(例えば、さらなる環)が存在することができる。この利点は、レンズの形状の改善された制御であることができ、例えば、光(例えば、レーザビーム)の焦点合わせ及び焦点外しのより良好な制御につながることができる。
【0032】
一連の実施形態では、変形可能な可動要素は、上面及び下面を有し、上面及び下面の両方が、光学反射面(例えば、鏡面コーティング)を有する。これにより、可動要素がリバーシブルミラーとして作用することが可能になる。変形可能な可動要素を堅く保つための質量体が必要ないので、変形可能な可動要素の下面を使用することもできる。したがって、作動デバイスは、両面であることができる(例えば、作動時に、上面は、焦点合わせのための凸形状を有することができ、下面は、焦点外しのための凹形状を有することができる)。
【0033】
変形可能な可動要素は、高い偏向角のみならず、焦点合わせ能力及び焦点外し能力も有する作動デバイスを提供することができる。さらに、変形可能な可動要素が鏡面を有する場合、光の焦点合わせ能力及び焦点外し能力により、集束光学系の必要性をなくすことができ、すなわち、デバイスの全体サイズをさらに抑えることができる。
【0034】
一連の実施形態では、作動デバイスは、生成される動きのためのアンカーを提供するためにアクチュエータアーム又は各アクチュエータアームが接続される基板、例えばフレームを備え、すなわち、可動部材の動きは、圧電膜を取り囲む基板に対するものである。基板は、アクチュエータアームと一体に形成されてもよいし、別個に形成された後に、それに取り付けられてもよい。
【0035】
アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームは、その少なくとも1つの縁部によって基板に接続されることができる。一連の実施形態では、アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームは、その遠位端(すなわち、可動要素に接続されていない端部)の1つの縁部に沿って少なくとも部分的に、好ましくは完全に基板に接続される。別の一連の実施形態では、アクチュエータアーム又は各アクチュエータアームは、その外縁部に部分的に沿って基板に接続される。
【0036】
アクチュエータアームの作動時、基板に接続されていないアクチュエータアームの部分は、電圧が印加されると自由に動く(例えば、リフトする)。
【0037】
一連の実施形態では、膜は、第1の圧電層及び第2の層を備える。一連の実施形態では、第1の層は圧電層であり、第2の層は誘電体層である。圧電層は、圧電性を示す任意の適切な材料を含むことができる。一連の実施形態では、圧電膜は、ペロブスカイト材料、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含む。圧電層は、必ずしも連続的ではなく、例えばセグメントにおいて、アクチュエータアームを部分的にのみ覆うことができる。
【0038】
上述したように、アクチュエータアームの幅は、その厚さの少なくとも10倍である。同様に、一連の実施形態では、圧電層の幅は、その厚さの少なくとも10倍、例えば、その厚さの少なくとも50倍である。一連の実施形態では、圧電層は、アクチュエータアームと実質的に同じ幅であり、例えば、アクチュエータアームの幅の少なくとも90%である。当業者は、実際に同一の幅を達成することが困難である場合があることを認識するであろう。そのような幅広の圧電層を有することにより、同様に幅広のアクチュエータアームの作動時に大きな偏向をもたらすことができる。幅広のアクチュエータアームを有することにより、その剛性が高まり、したがって、比較的幅広の圧電層が、アクチュエータアームの剛性によって引き起こされる捩じれに対する抵抗を補償することができる。
【0039】
典型的に、作動デバイスは、例えば、1つ以上のアクチュエータアーム又はそのセグメントに電圧を選択的に印加することにより、アクチュエータアームの作動を制御するように構成された制御電子機器を備える。
【0040】
一連の実施形態では、作動デバイスは、3つの自由度を、例えば、2つの直交軸の周りの両方向への傾動及び相互に直交する第3の軸に沿った平行移動を、可動要素に提供する。
【0041】
作動デバイスが平衡状態にある場合、すなわち、アクチュエータアームが作動していない場合、可動要素の少なくとも1つの表面が、アクチュエータアームと同一平面上にあることが好ましい。
【0042】
本出願人は、本発明による作動デバイスの新規かつ進歩性のある多数の用途が存在することを認識した。
【0043】
したがって、別の態様から見ると、本発明は、プロジェクタと、上述した作動デバイスとを備える投影システムであって、作動デバイスの可動要素が光反射性である、投影システムを提供する。例えば、プロジェクタは、LEDプロジェクタ、又はレーザビーム源を高速移動(例えば、振動)ミラーと対にするレーザビームプロジェクタを備えてもよい。そのようなプロジェクタシステムは、本明細書に記載の作動デバイスを使用して達成し得る利点、例えば、広範囲の動きを有利に活用する。
【0044】
プロジェクタ及び作動デバイスは、共通のハウジング内に配置されてもよいし、別個のハウジング内に設けられてもよい。
【0045】
別の態様から見ると、本発明は、カメラと、上述した作動デバイスとを備え、作動デバイスの可動要素が光反射性である、撮像システムを提供する。同様に、そのような撮像システムは、本明細書に記載の作動デバイスを使用して達成し得る利点、例えば、広範囲の動きを有利に活用する。撮像システムは、ジェスチャ検出のためのモジュールを備えることができる。カメラと作動デバイスは、共通のハウジング内に配置されてもよいし、別個のハウジング内に設けられてもよい。
【0046】
別の態様から見ると、本発明は、上述した撮像システム及び投影システムを備える撮像投影システムを提供する。撮像システム及び投影システムはそれぞれ、それぞれの作動デバイスを備えてもよいし、共通の作動デバイスを共有してもよい。このシステムは、ユーザがジェスチャを使用して撮像投影システムの出力(例えば、投影画像)と対話することができ、システムが撮像システムによって検出されたジェスチャに基づいて出力(投影画像)を修正することができるので、対話性をもたらすことができる。投影システムと撮像システムは、共通のハウジング内に配置されてもよいし、別個のハウジング内に設けられてもよい。
【0047】
上述した3つの態様の一連の実施形態では、複数のカメラ及び/又はプロジェクタ及び/又は作動デバイスを設けることができる。これにより、例えば、複数の投影(例えば、画像)を、比較的大きなゾーン内の異なる位置(例えば、部屋内のどこか)に表示することを可能にすることができ、それらの位置は、対応する作動デバイスによって決定される。このことは、作動デバイスの使用によって達成することができ、作動デバイスは、概して、比較的広範囲の動き(すなわち、偏向)を示すことができる一方で、依然として頑丈であり、壊れにくい。このようにして、投影画像の解像度は、ゾーン全体にわたって一定である必要がなく、代わりに、それが必要とされる場所でのみ、すなわち、このことが所与の用途に適合する個別の領域でのみ高くすることができる。これにより、高解像度を必要としない領域に対して撮像システムを「過剰設計」する必要が回避され、より高い解像度が必要とされる領域における投影を強化するのに役立つ。対応する恩恵は、撮像システムのカメラに当てはまり、すなわち、所与のカメラが、関心領域のみをより詳細に「見る」ことができる。したがって、複数のカメラ及び/又はプロジェクタ及び/又は作動デバイスを使用して、ほとんど使用されない領域又は未使用領域における解像度が低い、リッチな高解像度画像を生成することにより、電力消費及び全体コストを削減することができる。
【0048】
本明細書で説明される任意の態様又は実施形態の特徴は、適切な場合には、本明細書で説明される任意の他の態様又は実施形態に適用され得る。異なる実施形態又は実施形態のセットを参照する場合、これらは必ずしも明確ではないが、重複し得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明の特定の実施形態を単なる例として、添付図面を参照して、以下で説明する。
図1】本発明の実施形態による作動デバイスの平面図である。
図2図1の作動デバイスの斜視図である。
図3図1及び図2の作動デバイスを下から示す。
図4a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図4b図4a~図7aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図5a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図5b図4a~図7aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図6a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図6b図4a~図7aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図7a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図7b図4a~図7aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図8】動作中の、図1図7の作動デバイスのグレースケール写真である。
図9】本発明の第2の実施形態による作動デバイスの平面図である。
図10図1の作動デバイスの斜視図である。
図11図9及び図10の作動デバイスを下から示す。
図12a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図12b図12a~図17aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図13a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図13b図12a~図17aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図14a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図14b図12a~図17aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図15a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図15b図12a~図17aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図16a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図16b図12a~図17aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図17a】アクチュエータアームのセグメントの様々な群の選択的な作動を示す、図2と同様の図である。
図17b図12a~図17aに示す選択的な作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションである。
図18図9図17の作動デバイスのグレースケール写真である。
図19】本発明のさらなる実施形態のグレースケール写真である。
図20】本発明のさらなる実施形態の写真である。
図21】本発明の任意の実施形態で使用するための例示的な制御電子機器を示す概略図である。
図22】本発明の別の実施形態による作動デバイスの斜視図である。
図23】アクチュエータアームの作動を示す、図22と同様の図である。
図24図23に示す作動に対応するデバイスの動きを示すシミュレーションを示す。
図25】本発明の実施形態による作動デバイスの中央可動要素の変形例の平面図である。
図26図25に示す中央可動要素の斜視図である。
図27】作動時の、図26の中央可動要素を示す斜視図である。
図28図27に示す中央可動要素の側面図である。
図29a】反射性の中央可動要素の曲率が光の偏向をどのように変化させるかを示す。
図29b】反射性の中央可動要素の曲率が光の偏向をどのように変化させるかを示す。
図29c】反射性の中央可動要素の曲率が光の偏向をどのように変化させるかを示す。
図30】プロジェクタシステムにおける作動デバイスを示す。
図31】本発明の実施形態による作動デバイスを使用するプロジェクタシステムの例を示す。
図32】本発明の実施形態による作動デバイスを使用するプロジェクタシステムの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、本発明を具体化する作動デバイス2の平面図を示す。この例では、作動デバイス2は、可動マイクロミラーとして使用される。作動デバイス2は、接続ビーム6によって中央可動要素4に接続された単一のアクチュエータアーム16を有する。アクチュエータアーム16、可動要素4及び接続ビーム6は、主にシリコンから作られる。アクチュエータアーム16は、圧電材料、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の追加層が設けられた、ほぼ等しいサイズの個々にアドレス指定可能な4つのセグメント8、10、12、14を有する。各圧電セグメントは、対応する制御システム(図示しないが、第2の実施形態に関連して図21を参照して以下で説明する)のそれぞれの制御出力に接続される。
【0051】
可動要素4は、ミラー要素を提供する、すなわち、入射光を所望の位置に偏向するための反射コーティングを上部に有する。ミラー要素の直径は約3mmである。
【0052】
アクチュエータアーム16の幅20は、その厚さ(厚さは観察面に垂直な寸法である)よりも約100倍大きい。したがって、アクチュエータアームは、例えば、典型的にワイヤ状である既知の圧電トーションバーとは対照的に、薄い圧電膜の形態を有する。
【0053】
この例では、作動デバイス2の全体サイズは、約9mm×9mmである。C字形のアクチュエータアーム16は、可動要素4の周りに隣接して湾曲する(すなわち、アームは中央部に可能な限り近い)ことが分かる。これにより、可動ミラーを可能な限りコンパクトにすることが可能になり、したがって、デバイスによって占有される空間の大きさが抑えられる。このことは、追加の構成要素のために利用可能な空間が不足している小型デバイス(例えば、小型のウェアラブルデバイス)に含めるのに特に有用である場合がある。しかし、この設計はまた、アームが比較的長いこと、したがって、そのかなり大きな幅のため比較的堅いにもかかわらず、その長さに沿ってかなりの程度の偏向を蓄積することを可能にする。さらに、アームの幅により、アーム16と中央可動要素4との間の幅広の接合領域が可能になり、それにより、既存のマイクロミラー設計に広く認められる薄い脆弱スポットが回避される。
【0054】
図2は、図1の作動デバイスの斜視図を示す。この図は、アクチュエータアーム16が、その厚さよりも2桁大きな幅20を有し、その幅に対していかに薄いかを示す。
【0055】
図3は、図1及び図2に示す作動デバイス2を下から見た図である。ここから、シリコンから一体に形成されるが、別個に製造されて後で取り付けられ得る、可動要素4の下方の質量体18を見ることができる。質量体18は、アクチュエータアーム16の厚さよりも少なくとも10倍大きな厚さ22を有する。質量体18は、可動要素4、したがってミラー要素が曲がるのを防止し、アクチュエータアーム16が曲がる間、ミラー要素を平坦に保つのに役立つ。
【0056】
アクチュエータアーム16を可動要素4に接続するビーム6は、立方体状であり、この例では、質量体18と同じ厚さ22を有する。ビーム6の厚さにより、アクチュエータアーム16の作動中にビームが固いままであるように、その剛性が高められる。
【0057】
作動デバイス2のグレースケール写真を示す図8から分かるように、アクチュエータアーム16は、周囲のシリコン基板24と一体に形成される。基板24は、中央可動要素4との接続部6から離れた、アクチュエータアーム16の反対の端部25で、アクチュエータアーム16を固定する。
【0058】
次に、図4a~図7a及び図4b~図7bを参照して、第1の実施形態の動作について説明する。これらの図のそれぞれの左下角に直交座標系を表示する。
【0059】
前述したように、アクチュエータアーム16の4つのセグメント8、10、12、14は、電圧コントローラによって個々にアドレス指定可能である。プロセッサから送信された命令に応じて、制御電子機器は、適切な電圧を受ける、セグメントのうちのサブセット(1つ以上又はさらに全てを含む)を選択することができる。印加された電位は、アーム16によって形成された圧電膜の寸法変化をもたらす。これは、ある種の結晶材料又はセラミック材料によって示され、機械エネルギーへの電気エネルギーの変換を可能にする、逆圧電効果によるものである。印加された電位によって引き起こされる寸法変化は、アクチュエータアーム16の変形をもたらす。アクチュエータアーム16が基板24に固定されているので、この寸法変化は、アーム16の長さに沿った捩じれ変形をもたらす。
【0060】
可動要素4の所望の動きを達成するために、セグメントのうちの特定のサブセットが、それらを作動させるための電圧を受ける必要がある。作動可能なセグメントのうちのこれらの特定のサブセット、及び結果として生じるそれらの偏向について、以下で説明する。図面において、電圧が印加されているセグメントを、それらのセグメントに「+」記号を付すことによって示す。
【0061】
図4aは、アクチュエータアーム16の最も遠位側(yが正であるx軸の上方)にある2つのセグメント12、14に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス2を示す。図4bを参照すると、アクチュエータアーム16及び可動要素4に結果として生じる偏向(y軸周りの時計回りの回転)を見ることができる。最大リフトが、アクチュエータアーム16の最も左側の縁部で生じ、最大ドロップが、アームの最も右側の縁部で生じる。したがって、最大リフトは、電圧を受けるアクチュエータアームの側(すなわち、作動する側)に対して90°で生じる。
【0062】
図5aは、可動要素4に取り付けられたアクチュエータアーム16の端部の最も近く(yが負であるx軸の下方)にある隣接する2つのセグメント8、10に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス2を示す。図5bは、図4bとは反対方向に、すなわち、アクチュエータアーム16の最大リフトが最も右側の縁部になり、最大ドロップが最も左側の縁部になるように、可動要素4をy軸周りに(反時計回りに)傾動させるデバイスを示す。
【0063】
図6aは、接続ビーム6の両側(xが正であるy軸の右側)に位置する2つのセグメント8、14に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス2を示す。図6bは、可動要素4をx軸周りに傾動させる対応する動きを示す。
【0064】
図7aは、アクチュエータアーム16に沿った中間に(xが負であるy軸の左側に)位置する隣接する2つのセグメント10、12に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス2を示す。図7bは、図6bとは反対方向に結果として生じる可動要素4のx軸周りの傾動を示す。
【0065】
上述した1アーム型のマイクロミラーに見られるように、可動ミラー要素4は、C字形の圧電膜トーションビームの形態をとる1つのアクチュエータアームに「ぶら下がっている」。このトーションビームは、4つのセグメント8、10、12、14の対の作動時にリフト及び捩じれの両方をもたらす機能を有し、したがって、隣接する2つのセグメントを単に作動させることにより、4つの傾動方向全てにおける偏向を可能にする。個々に作動可能な4つのセグメントを有する単一のカンチレバー(アクチュエータアーム)のみを使用することにより、脆弱スポットを伴わない著しく回転可能なマイクロミラーが提供される。このことは、容易に壊れずに変形に耐え得る非常に頑丈なデバイスを提供する。薄い膜状のアクチュエータアームは、かなり大きな捩じれを可能にし、幅広で比較的堅いにもかかわらず、マイクロミラーが、回転することを可能にし、これは、アクチュエータアームの長さにわたって、マイクロミラーが十分な捩じれを蓄積できるためである。別の見方をすれば、アームによって形成された圧電膜の変形から生じる捩じれが、アームの固定された部分から離れてアクチュエータアーム16に沿って「広がり」、デバイスの頑丈性を損なわずに大きな偏向をもたらす。
【0066】
作動デバイス2は、これらの例で、非共振動作のための(例えば、ビームステアリングのための)可動ミラーとして実装される。光ビームが中央ミラー要素4に入射すると、光ビームは、アクチュエータセグメントのうちのどれが作動するかによって決定される可動要素4の姿勢及び向きによって決定される所望の方向に反射されることができる。
【0067】
図8は、本出願人によって製造され、図6aに示す方法で通電された例を示す。可動要素4の縁部の、平衡状態から最大で約±200μmの変位が達成された。これにより、既知の静的マイクロミラーと比較して非常に大きいと認識される約25~30度の光偏向角をもたらすことができる。
【0068】
図9図11は、本発明を具体化する別の作動デバイス26を示す。この実施形態は、4つのアクチュエータアーム31、33、35、39を有し、各アクチュエータアームは、その厚さよりも2桁大きな幅29を有する。アクチュエータアーム31、33、35、39は、中央可動要素40を取り囲む螺旋状に配置され、中央可動要素もまた、ミラー要素であるための光反射面を有する。
【0069】
4つのアクチュエータアームのそれぞれ(例えば、31)は、2つのセグメント(例えば、28、30)を有し、したがって、合計で8つのセグメント28、30、32、34、36、38、42、44が存在する。第1の実施形態と同様に、各セグメント28、30、32、34、36、38、42、44は、それらに適切な電圧を選択的に印加することによって個々にアドレス指定可能である。アクチュエータアーム31、33、35、39の最も内側の4つのセグメント30、34、38、44は、湾曲したリボン形状を有する。最も外側の4つのセグメント28、32、36、42は、真っ直ぐなリボン形状を有する。可動要素40の形状は、共通の中心を有し、互いに垂直に配置された重なり合う2つの楕円を含む。可動要素40の重なり合わない部分はそれぞれ、アクチュエータアーム31、33、35、39のうちの1つとの接続部を備える。
【0070】
第1の実施形態と同様に、アーム31、33、35、39は、比較的長く、したがって、そのかなり大きな幅のため比較的堅いにもかかわらず、それらの長さに沿ってかなりの程度の偏向を蓄積する。さらに、アームの幅により、アームと中央可動要素40との間に頑丈な接合領域が与えられる。
【0071】
先の実施形態と同様に、質量体46(図11に示す)が、可動要素40の下方に配置される。このことは、可動要素40の剛性を高めることにより、アクチュエータアーム31、33、35、39のうちの1つ以上の作動時に可動要素40が変形するのを防止するのに役立つ。質量体46は、直交する2つの楕円の重なり合う部分とほぼ一致する円形断面を有する。前述したように、アクチュエータアーム31、33、35、39は、それらの幅よりも約100分の1とはるかに薄い。
【0072】
図18は、作動デバイス26がシリコン基板27を実際にどのように備えるかを示す。基板27は、4つのアクチュエータアーム31、33、35、39のそれぞれの遠位端を固定する。アクチュエータアーム31、33、35、39の長い縁部は、基板27に接続されず、すなわち、アクチュエータアームがより自由に変形することを可能にするギャップが、各アクチュエータアームの両側に存在し、可動要素40の所望の偏向をもたらす。可動要素40の上部に配置された光反射コーティングを見ることができる。
【0073】
図21は、マイクロミラーデバイス26のアクチュエータアームの個々のセグメントを作動させるための制御システムの概略回路図を示す。これは、ミラー設計のうちの1つのみに関連して示しているが、同様のシステムを、本発明による任意の他の設計、例えば、(4つの制御信号のみが必要とされる)第1の実施形態と共に使用することができる。
【0074】
プロセッサ106は、電圧コントローラ110を制御するように動作可能な制御電子機器108に接続される。電圧コントローラ110は、静的(非共振)動作のための選択されたセグメントにDC電圧を供給する。
【0075】
プロセッサ106は、制御電子機器108に命令114を送信し、制御電子機器は、電圧コントローラ110に適切なコマンド116を送信する。システムは、8つのセグメント28、44、42、30、38、32、34、36それぞれとの8つの個々の接続部90、92、94、96、98、100、102、104を備える。電圧コントローラ110は、制御電子機器108からのコマンドに基づいて、これらの接続部を介してセグメントのうちの1つ以上に適切な電圧を選択的に印加することができる。必要とされる偏向角に基づいてセクションを作動させるために、適切な電圧が印加される。デバイスを作動させるための適切な電圧の範囲は、0V~20Vであることができる。一般に、印加される電圧が高いほど、可動要素の偏向が大きくなる。より厚い圧電層(例えば、より厚い圧電フィルム)を有する作動デバイスには、より高い電圧を使用することができ、より薄い圧電層には、より低い電圧を使用することができる。
【0076】
以下の説明から分かるように、本発明の第2の実施形態による作動デバイス26は、3つの有効「自由度」、すなわち、x軸周りの傾動、y軸周りの傾動、及びz軸に沿った変位を有する。
【0077】
図12aは、y軸の左側にある(xが負である)セグメント28、38、42、44に電圧コントローラ110によって電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス26を示す。換言すれば、可動要素40の中心を通りy軸に平行な線の左側にある全てのセグメント28、38、42、4aが作動する。ここでも、「+」記号は、それらのセグメントに電圧が印加されることを示す。図12bは、アクチュエータアーム及び可動要素40に結果として生じる偏向、すなわち、x軸周りの回転を示す。第1の実施形態に示した効果と同様に、最大リフトは、電圧を受けるアクチュエータアームの側(すなわち、作動する側)に対して90°で生じる。特に、最もリフトされた可動要素40の側に最も近いセグメント30が、それ自体は通電されないことに留意されたい。
【0078】
図13aは、y軸の右側にある(xが負である)セグメント30、32、34、36に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス26を示す。換言すれば、前述した中心線の右側にある全てのセグメント30、32、34、36である。図13bは、図13aに示す方向とは反対の方向に結果として傾動する可動要素40を示す。
【0079】
図14aは、x軸の上方にある(yが正である)セグメント28、30、32、44に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス26を示す。換言すれば、可動要素40の中心を通りx軸に平行な線の上方にある全てのセグメント28、30、32、44が作動する。これらのセグメントを作動させた結果を図14bに示し、この図は、可動要素40をy軸周りに反時計回りに傾動させるデバイスを示す。
【0080】
図15aは、x軸の下方にある(yが負である)セグメント34、36、38、42に電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス26を示す。換言すれば、上述した線の下方にある全てのセグメント34、36、38、42が作動する。図15bは、図14bに示す方向とは反対の方向にy軸周りに時計回りに可動要素40に結果として生じる傾動を示す。
【0081】
x軸周りの傾動及びy軸周りの傾動に加えて、図9図11に示す作動デバイスは、ピストン運動、すなわち、z方向の平行移動を行う能力を有する。図16aは、正のz方向への変位(すなわち、上向きのピストン運動)がどのように達成されるかを示す。最も外側(遠位側)のセグメント28、32、36、42にコントローラ110によって電圧が印加される。図16bから分かるように、これにより、傾動を伴わない可動要素40の上向きの平行移動がもたらされる。
【0082】
図17aは、負のz方向への変位(すなわち、下向きのピストン運動)がどのように達成されるかを示す。ここで、最も内側のセグメント30、34、38、44に電圧が印加される。図17bを参照すると、これによって生じる可動要素40の下向きの変位を見ることができる。
【0083】
図16及び図17に示すピストン運動は、可動要素が音響振動板として作用する特定の音響用途に作動デバイスを使用することを可能にする。例えば、作動デバイスを、例えば、インイヤヘッドホン又は補聴器等における使用など、小型ラウドスピーカとして使用することができる。明らかに、そのような実施形態では、可動要素は、光反射面を有さなくてもよい。
【0084】
上述したように、図18は、本出願人によって製造された作動デバイス26の例のグレースケール写真を示す。これは、デバイスを「ピストン」モードで使用するときに、第1の実施形態と同様の傾動運動と、最大で±200μmのz軸に沿った変位とをもたらすことが分かっている。
【0085】
図19は、図18に示した実施形態の変形例を示す。図19に示すデバイス50はまた、4つのアクチュエータアーム52、54、56、58を備える。しかし、アクチュエータアームが一様な幅を有する代わりに、アクチュエータアームはそれぞれ、その遠位端に向かって反れる。この設計により、一部の用途に有利であり得る、撓むことができる基板59のより多くの領域がもたらされる。
【0086】
本発明は、上述した1アーム型及び4アーム型の設計に限定されない。例えば、図20は、図8のものと同様であるが、3つの別個のアクチュエータアーム62、64、66及び大きな中央可動要素68を有する、本発明を具体化するさらなる作動デバイス60設計を示す。アクチュエータアーム62、64、66はそれぞれ、基板69に接続され、1つ以上のセグメントを備えることができる。
【0087】
図22図24は、本発明を具体化する別の作動デバイス300を示す。この実施形態は、2つのアクチュエータアーム302、308を有し、各アクチュエータアームは、その厚さよりも1桁から3桁大きな幅を有する。アクチュエータアーム302、308はそれぞれ、図1図8の単一アーム型の実施形態のアームと同様に配置される。各アクチュエータアーム302、308は、各アクチュエータアームが中央可動要素304の外周の周りに50%よりもわずかに少なく延びるように、半円形(例えば、C字形)で可動要素の周りに隣接して湾曲することが分かる。
【0088】
中央可動要素304はまた、ミラー要素であるための光反射面を有する。
【0089】
2つのアクチュエータアーム302、308はそれぞれ、好ましくは各アクチュエータアームで同じである適切な電圧を印加することによってアドレス指定可能である。最初の2つの実施形態と同様に、アーム302、308は、比較的長いが、より短い長さのため、図1図8に示す単一アーム型の実施形態と比較して相対的に堅い。
【0090】
少なくとも最初の2つの実施形態と同様に、質量体318(図22に示す)が、可動要素304の下方に配置される。このことは、可動要素304の剛性を高めることにより、アクチュエータアーム302、308の作動時に可動要素が変形するのを防止するのに役立つ。質量体318は、可動要素304の円形断面と一致する円形断面を有する。
【0091】
図22は、各アクチュエータアーム302、308が、その厚さよりも2桁大きな幅を有し、その幅に対していかに薄いかを示す。
【0092】
図1図8の)第1の実施形態と同様に、質量体318と同じ厚さを有する立方体状ビーム306が、各アクチュエータアーム302、308を可動要素に接続する。各アクチュエータアーム302、308は、中央可動要素304との接続部から離れた、アクチュエータアームの反対の端部で基板(図示せず)に接続されて、固定をもたらす。
【0093】
可動要素304及びビーム306の中心を通って延び、各アーム302、308から等距離にある対称面310が存在し、図22の破線310でこれを示す。
【0094】
図23は、両方のアーム302、308に電圧コントローラによって電圧が印加される動作モードにおける作動デバイス300を示す。ここで、「+」記号は、それらのセグメントに電圧が印加されることを示す。図24は、アクチュエータアーム302、308及び可動要素304に結果として生じる偏向、すなわち、y軸周りの回転を示す。最大リフトは、ビーム306に最も近い側で生じる。
【0095】
図22図24に示す2アーム型の作動デバイス300は、1自由度を有し、すなわち、y軸周りに回転することができる。このことは、それがより高い共振周波数を有し、したがって、他の設計と比較して速く動く(回転する)ことができるので、それを振動ミラー又は走査ミラーとして使用するのに適したものにする。他の実施形態と比較して相対的に短いアームにより、剛性が高く、より頑丈な設計が作動デバイス300に与えられる。上述したように、2アーム型の作動デバイス300は対称形である。作動デバイス300の対称性及び剛性は、作動デバイス300の静止位置をずれなくするのに役立ち、すなわち、デバイス300は自己調心する。
【0096】
図10図11に示すように、中央可動要素40は、例えば、可動要素40の下方に大きな質量体46が配置されることによって補強することができる。高められた剛性により、周囲のアクチュエータアーム31、33、35、39の作動時に可動要素40が変形することが防止される。しかし、本出願人は、中央可動要素が変形可能であることが望ましいシナリオを想定している。
【0097】
図25は、前述の実施形態に示した中央可動要素4、40、68の変形例である変形可能要素70の平面図を示す。変形可能要素70の全体直径は約3mmである。図25の変形可能要素70は、個々に作動可能な2つのセクションを有する。第1のセクション72は中央円形セクションであり、第2のセクション74は、中央円形セクション72の周りに同心円状に配置された環の形状を有する。第1のセクションの直径は約2mmである。2つのセクションのみを示すが、中央セクションを取り囲む同心円状に配置されたより多くのセクション(例えば、さらなる環)があってもよい。図26は、変形可能要素70の斜視図を示す。
【0098】
図21に示すものと同様の制御システムを使用して、変形可能要素の各セクションに個々に電圧を印加することができる。例えば、制御システムは、追加の制御信号を提供するために中央可動要素上の作動可能セクション72、74との追加の接続部を有する、図21に示したものと同じであることができる。本発明を具体化する任意の作動デバイスの中央可動面として変形可能要素を使用して、焦点合わせ能力及び焦点外し能力をもたらすことができる。したがって、変形可能要素が個々に作動可能な2つのセクションのみを有する場合、2つのみの追加の制御信号が必要になる。変形可能要素が、例えば同心円状のさらなるセクションを有する場合、セクションを作動させるために、対応する数の追加の制御信号が必要になる。
【0099】
図27は、作動時の、図26の変形可能要素を示す斜視図である。図27の陰影は、表面の垂直変位、すなわち(z方向の)リフトの変動を示す。最小の垂直変位を黒色で示し、最大の垂直変位を白色で示す。中間の垂直変位を灰色の陰影で表す。大きな質量体に取り付けられる上述した堅い中央可動要素(例えば、4、40)とは対照的に、変形可能要素70は、比較的薄く、アクチュエータアームと同じ厚さを有する。この薄い変形可能な中央要素は、作動デバイス全体をより薄くし(例えば、10~100μmの厚さを有する)、そのようなデバイスによって必要とされる空間を抑えることができる。アクチュエータアームと同じ厚さを有する変形可能な中央要素はまた、作動デバイスの製造の複雑さを抑えることができ、したがって、製造コストを下げることができる。さらに、光の焦点合わせ能力及び焦点外し能力により、集束光学系の必要性がなくなり、したがって、デバイスの全体サイズを抑えることができる。
【0100】
図28は、図27に示す作動した変形可能要素の側面図である。変形可能要素は、要素の外周の周りで最小の垂直変位を有し、変形可能要素の中心で最大の垂直変位を有する湾曲面を有する。図28は、変形可能要素の垂直変位が、2~3mmの直径に対して200μmに達する場合があることを示す。
【0101】
図25図28の変形可能要素もまた、光反射性である。これにより、入射光の焦点合わせ能力及び焦点外し能力を作動デバイスに与え得る変形可能なミラー要素が、作動デバイスの中央にもたらされる。
【0102】
図29(a)~(c)は、光反射性の中央可動要素の変化する曲率により、作動デバイスによる光の偏向がどのように変化するかを示す。変形可能要素70が光反射面を有する場合、変形可能要素は、どのように変形するかに応じて、焦点合わせミラー又は焦点外しミラーとして機能することができる。
【0103】
図27図28に示すように、第1のセクション72及び第2のセクション74は、変形可能要素70の表面の少なくとも一部をz方向に変位させるために、異なる電圧で作動することができる。変形可能要素70の中央セクション72のみに電圧を印加することにより、変形可能要素70の凹状の変形をもたらすことができる。変形可能要素70の外側リングセクション74のみに電圧を印加することにより、反対の凸状の変形をもたらすことができる。このようにしてセグメント化された変形可能要素70を有することにより、変形可能要素70の上向きと下向きの両方向の(例えば、凸状又は凹状の)変形を可能にすることができる。この例では、セクションのうちの1つのみに電圧が印加され、変形可能要素の中心が、その静止位置から最もリフトされる。これにより、図28に示す湾曲した輪郭が変形可能要素に与えられる。図27図28に示す変形可能要素70の最上面を照明するように光源を配置すれば、光源からの光は、変形可能要素の凸面に入射する。その同じ表面が光反射性であれば、例えば鏡面コーティングを有すれば、光は、変形可能要素70の曲率に応じた発散角で反射される。
【0104】
凸状の変形可能要素70aの概略バージョンを図29aに示す。凸状の光反射面により、反射光80aの発散角が入射光の発散角よりも大きくなり、したがって、入射光は焦点外しされる。平坦な変形可能要素70bの概略バージョンを図29bに示す。平坦な光反射面により、反射光80bの発散角が入射光の発散角と同じになるので、表面は鏡面反射をもたらす。凹状の変形可能要素70cの概略バージョンを図29cに示す。凹状の光反射面により、反射光80cの発散角が入射光の発散角よりも小さくなり、入射光が焦点合わせされる。
【0105】
前述の実施形態は、本発明による作動デバイスの様々な可能なアーキテクチャを説明する。本出願人は、作動デバイスによってもたらされる恩恵を活用できる多くの方法があることを認識した。例えば、光反射面を有する作動デバイスは、光学、撮像及び投影の分野で特に有用である。
【0106】
前述の実施形態による作動デバイスを組み込むことの恩恵に浴し得るシステムの一例が、図30に概略的に示すプロジェクタシステム105である。図30は、本発明による、例えば、上述した実施形態の1つによる、作動デバイス1000を備えるプロジェクタユニット107を示す。プロジェクタユニット107は、プロジェクタ101(例えば、LEDプロジェクタ、又はレーザビーム源を共振振動ミラーなどの高速移動ミラーと対にするレーザビームプロジェクタ)と、作動デバイス1000とを備える。代替実施形態では、プロジェクタユニット107は、撮像ユニットであることができ、プロジェクタ101は、撮像システムを提供するためにカメラと置き換えることができる。そのような撮像システムは、ジェスチャ検出のために使用することができる。いくつかの他の例では、プロジェクタ101は、カメラと一緒に使用して、投影と画像キャプチャの両方を可能にすることができる。カメラとプロジェクタは、(同じ領域を「見て」投影したい場合)共通の作動デバイス1000を使用してもよく、別個の作動デバイスを使用してもよい。そのような二重目的のシステムでは、人が、例えばジェスチャによって投影光と対話してもよいし、投影される可視光が、カメラで見ることができるものに基づいて調整されてもよい。
【0107】
プロジェクタユニット107のプロジェクタ101と作動デバイス1000は、共通のハウジング内に配置されてもよい。同様に、それらは、別個のハウジング内に分離されてもよい。
【0108】
作動デバイス1000は、例えば、螺旋設計26、1アーム型の設計2など、本明細書で説明する実施形態のいずれかを含む、本発明を具体化する任意の作動デバイスによって提供することができる。
【0109】
作動デバイス1000の中央可動要素は、可動ミラー1000として機能することが可能になる光反射面を有する。
【0110】
このプロジェクタシステム105は、任意の特定波長の光と共に使用することができるが、図30では、プロジェクタ101は、プロジェクタシステムによって投影される可視光103を出力するように構成され、可動ミラー1000は、可視光103を反射してターゲットに向けるように構成される。
【0111】
図31は、図30に示したプロジェクタシステム205の第1の例を示す。例示的なプロジェクタシステム205には、2つのプロジェクタユニット207a、207bがある。プロジェクタユニット207a及び207bは、表面206に画像を投影するように配置される。投影画像204aと204bは共に、ユーザインターフェイス全体を表す。ユーザインターフェイスは、テーブルに投影されてもよく、ジェスチャ又は音声認識によってユーザ入力を受信してもよい。例えば、ユーザがジェスチャ若しくは音声で、又は別のメカニズムによって選択するためのオプション(はい、いいえ、後で)を提供するオプションメニュー204bの画像がある。高偏向作動デバイス200a、200bを使用すると、解像度は、領域206の全体にわたって一定ではなく、必要な場所にのみ、すなわち、各画像が投影される領域204a、204bにのみ高解像度が提供される。
【0112】
図32は、プロジェクタシステムの第2の例を示す。シーン要素202a、...202nをそれぞれ表示する複数のプロジェクタユニット207a、...207nを組み合わせることにより、蛇行する川を示すシーンのイラストが(例えば壁に)表示される。第1のプロジェクタユニット207aは、第1のシーン要素202aを投影し、第2のプロジェクタユニット207bは、第2のシーン要素202bを投影し、以下同様である。表面全体にわたって表示される完全な又は密な情報がない場合、すなわち、視野内の至る所に同時に画像をレンダリングする必要がない場合、投影は、機能し、最も適している。これらの状況では、より小さな要素の配列を使用して、空白領域又は未使用領域を有するリッチな高解像度画像を生成することにより、電力及びコストを削減することができる。
【0113】
本発明が、その1つ以上の具体的な実施形態を記載することによって例示されているが、これらの実施形態に限定されないこと、添付の特許請求の範囲内で多くの変形及び修正が可能であることは、当業者に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18
図19
図20
図21
図22
図23-24】
【図
図26
図27
図28
図29a
図29b
図29c
図30
図31
図32
【国際調査報告】