(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61M39/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548558
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 SG2022050083
(87)【国際公開番号】W WO2022182289
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514197821
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン ホールディングス ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジミー ヨン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066CC01
4C066EE06
4C066FF07
4C066GG04
4C066GG13
4C066JJ03
4C066JJ07
4C066PP04
(57)【要約】
本明細書に開示されるコネクタアセンブリ(10)は、オス部(20)およびメス部(40)を含む。メス部(40)は、中心軸(C)の周囲に延在する円筒体(42)と、医療用注射器具に密封可能に嵌合するように構成された嵌合部(44)と、スパイク(46)とを含む。円筒体(42)とスパイク(46)との間に、オス部(20)を少なくとも部分的に収容するための環状間隙(48)が形成されている。メス部(40)は、円筒体(42)の内面に形成され、径方向内方に突出する少なくとも2つのリブ(50)をさらに含む。各リブ(50)は、中心軸と平行に直線状に延在し、オス部(20)の対応するネジ部(26)に着脱可能に嵌合するように構成された最内側嵌合面(50a)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス部(20)およびメス部(40)を含むコネクタアセンブリ(10)であって、
オス部(20)は、中心軸(C)の周囲に延在する管状のオス部本体(24)を含み、オス部本体は、管状のオス部本体(24)の外面に形成され、中心軸(C)の周囲に互いに周方向に離間して配置される少なくとも2つのネジ部(26)を含み、
メス部(40)は:
中心軸(C)の周囲に延在する中空円筒体(42)と;
医療用注射器具に密封可能に嵌合するように構成される近位嵌合部(44)と;
中心軸(C)の周囲で近位嵌合部(44)から遠位方向に延在するスパイク(46)であって、スパイク(46)は、円筒体(42)とスパイク(46)との間に、中心軸(C)の周囲に環状間隙(48)を規定し、環状間隙(48)は、オス部(20)のオス部本体(24)を少なくとも部分的に収容するように構成されている、スパイク(46)と、
を含み、
メス部(40)は、円筒体(42)の内面に形成され、径方向内方に突出する少なくとも2つのリブ(50)をさらに含み、リブ(50)は、中心軸と平行に直線状に延在し、リブ(50)は、オス部(20)の対応するネジ部(26)に着脱可能に嵌合するように構成された最内側の嵌合面(50a)を有する
ことを特徴とするコネクタアセンブリ(10)。
【請求項2】
メス部(40)のリブ(50)のそれぞれは中心軸(C)に対して傾斜して延在する嵌合面(50a)を有し、嵌合面(50a)と中心軸(C)との間の距離が近位嵌合部(44)に向かって増大し、および、オス部(20)のネジ部(26)のそれぞれは中心軸(C)に対して傾斜して延在して、メス部(40)の対応するリブ(50)に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ(10)。
【請求項3】
メス部(40)のそれぞれのリブ(50)およびオス部(20)のそれぞれのネジ部(26)が、スパイク(46)の中心軸(C)に対して2度以下の角度で延在することを特徴とする請求項2に記載のアセンブリ(10)。
【請求項4】
メス部(40)が、中心軸(C)の周囲に等間隔に配置された3つまたは4つのリブ(50)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアセンブリ(10)。
【請求項5】
ネジ部(26)の少なくとも1つが回転制限部を含み、回転制限部は、径方向外方に突出し、ネジ部(26)がメス部(40)のリブ(50)に嵌合された際に、メス部(40)に対するオス部(20)のさらなる回転を防止するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のアセンブリ(10)。
【請求項6】
ネジ部(26)の少なくとも1つが、径方向内方に窪んだ欠刻を含み、メス部(40)とオス部(20)との間の嵌合を解放可能にロックするように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のアセンブリ(10)。
【請求項7】
オス部(20)のネジ部(26)のそれぞれは、中心軸(C)の周囲に、肉薄部(26a)および肉厚部(26b)を含み、肉厚部(26b)は、肉薄部(26a)に隣接して配置され、かつ、肉薄部(26a)よりも径方向外方に突出していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアセンブリ(10)。
【請求項8】
メス部(40)のリブ(50)のそれぞれは、中心軸(C)の周囲に、肉薄部および肉厚部を含み、肉厚部は、肉薄部に隣接して配置され、かつ、肉薄部よりも径方向内方に突出していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアセンブリ(10)。
【請求項9】
メス部(40)は、ニードルを有する医療用注射器具に密封可能に連結されるように構成され、スパイク(46)が、ニードルを収容するように構成された内側チャネル(52)を画定し、メス部(40)は、円筒体(42)から遠位方向に向かって、スパイク(46)の先端部(46a)を越えて延在するスカート(54)をさらに含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のアセンブリ(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のアセンブリ(10)を製造するための製造方法であって、メス部(40)が、第1金型部品と第2金型部品とを含む金型によって形成され、メス部(40)の脱型が、中心軸(C)に沿って、第2部品に対して第1部品を相対的に並進させることによって行われる、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに嵌合されるオス部とメス部とを含むコネクタアセンブリに関する。また、本発明は、そのようなコネクタアセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの医療用部品を互いに接続するための種々の種類のコネクタが知られており、かつ利用可能である。たとえば、国際公開第WO2019/219383号パンフレットは、一方の端部で注射器具のスリーブをコネクタにネジ込み、他方の端部で容器をコネクタに接続することによって、医療用注射器具を容器に接続するためのコネクタを開示している。
【0003】
また、オス部とメス部とを含むルアーロックシステムもあり、これらにはそれぞれ連続したネジ部が設けられており、ネジ部を介したねじ込みにより2つの部品を確実に接続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなルアーロックコネクタのオス部およびメス部は、成形によって製造することができる。しかし、それぞれの部品に形成されるネジ部のため、回転脱型が行われる。また、そのようなネジ部の存在は、金型の構造を複雑とし、コネクタを高価にする。さらに、金型コアの回転脱型工程では、成形される部品の脆弱な部分が損傷するおそれがある。これは、メス部がスパイクを含む場合に顕著であり、スパイクは容器のセプタムを貫通するように構成された鋭利な中空突起である。スパイクは、ルアーロックコネクタに取り付けられる医療用注射器具と容器との間に流体接続を形成するために、その鋭利先端部に横方向の開口部を含む。前記開口部の存在により、回転脱型が実施される際にスパイクの先端部が損傷する(たとえば引裂かれる)おそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述のコネクタの欠点に鑑み、本出願は、添付の特許請求の範囲に定義されるコネクタアセンブリを開示する。
【0006】
具体的には、本明細書は、オス部とメス部とを備えるコネクタアセンブリを開示する。オス部は、中心軸の周囲に延在する管状のオス部本体を含み、オス部本体は、オス部本体の外面に形成され、中心軸の周囲で互いに周方向に離間されて配置される少なくとも2つのネジ部を含む。メス部は:中心軸の周囲に延在する中空円筒体と;医療用注射器具に密封可能に嵌合するように構成された近位嵌合部と;中心軸の周囲に近位嵌合部から遠位側に延在し、中心軸の周囲に円筒体とスパイクとの間の環状間隙を画定し、環状間隙は、オス部のオス部本体を少なくとも部分的に収容するように構成されているスパイクと、を含む。メス部は、円筒体の内面に形成され、径方向内方に突出する少なくとも2つのリブをさらに含み、リブは、中心軸と平行に直線状に延在し、リブは、オス部の対応するネジ部に着脱可能に嵌合するように構成された最内側の嵌合面を有する。コネクタアセンブリは、ルアーロックコネクタアセンブリとして構成されてもよい。
【0007】
リブが直線的な形状のために、メス部は金型部品の回転を伴わずに脱型を行うことができ、脱型時にスパイクを損傷する危険性を排除する。
【0008】
メス部のリブのそれぞれは、中心軸に対して傾斜して延在する嵌合面を有して、嵌合面と中心軸との間の距離を近位嵌合部に向かって増大させてもよい。オス部のネジ部のそれぞれは、メス部の対応するリブに嵌合するように、中心軸に対して傾斜して延在してもよい。
【0009】
メス部のリブのそれぞれおよびオス部のネジ部のそれぞれは、スパイクの中心軸に対して2度以下の角度で延在してもよい。
【0010】
メス部は、中心軸の周囲に等間隔に配置された3本または4本のリブを含んでもよい。
【0011】
ネジ部の少なくとも1つは、径方向外方に突出し、ネジ部がメス部のリブに嵌合された際にメス部に対するオス部のさらなる回転を防止するように構成された回転制限部(turn limit)を含んでいてもよい。
【0012】
ネジ部の少なくとも1つは、径方向内方に窪んだ欠刻(indentation)を含み、メス部とオス部との間の嵌合を解放可能にロックするように構成されていてもよい。
【0013】
オス部のネジ部のそれぞれは、肉薄部分と肉厚部分とを含み、肉厚部分は中心軸の周囲で肉薄部分に隣接して配置され、肉薄部分よりも厚く、径方向外方に向かってより遠方に突出するように構成されてもよい。
【0014】
メス部のリブの各々は、肉薄部分と肉厚部分とを含み、肉厚部分は中心軸の周囲で肉薄部分に隣接して配置され、肉薄部分よりも厚く、径方向内方に向かってより遠方に突出するように構成されてもよい。
【0015】
メス部は、ニードルを有する医療用注射器具に密封可能に連結されるように構成されてもよい。スパイクは、ニードルを収容するように構成された内部チャネルを画定する。メス部は、円筒体から遠位方向に、かつスパイクの先端部を超えて延在するスカートをさらに含む。
【0016】
上記構成を有するコネクタアセンブリを製造するための製造方法も開示する。この製造方法によれば、メス部は、第1金型部品および第2金型部品を含む金型によって形成され、メス部の脱型は、第2部品に対して第1部品を中心軸に沿って並進させることによって行われる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に開示されたコネクタアセンブリによれば、メス部はネジ部を含まず、オス部のネジ部と嵌合する直線リブを含む。これにより、脱型時にメス部を製造するための金型コアの回転運動の必要性が排除される。また、中心軸に沿って金型コアを直線的に引く動作でメス部の脱型を実施できるので、金型1個あたりのキャビティ数を増やすことができ、コネクタアセンブリの製造コストを大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】互いに嵌合されるオス部およびメス部を含むコネクタアセンブリを示す分解透視図である。
【
図4】
図3の切断線IV-IVに沿った、オス部の縦断面図である。
【
図7】
図6の切断線VII-VIIに沿った、メス部を示す透視断面図である。
【
図8】オス部とメス部とが嵌合された状態のコネクタアセンブリを示す側面図である。
【
図9A】
図8の切断線IX-IXに沿った断面図であり、メス部に対するオス部の嵌合工程を示す図である。
【
図9B】
図8の切断線IX-IXに沿った断面図であり、メス部に対するオス部の嵌合工程を示す図である。
【
図9C】
図8の切断線IX-IXに沿った断面図であり、メス部に対するオス部の嵌合工程を示す図である。
【
図10】オス部およびメス部が嵌合した状態のコネクタアセンブリを示す、
図9Cの切断線X-Xに沿った透視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0020】
図1は、コネクタアセンブリ10の分解透視図である。アセンブリ10は、オス部20とメス部40とを含み、オス部20およびメス部40は互いに嵌合される。オス部20は、中心軸Cの周囲に延在する管状のオス部本体24を含む。オス部本体24は、メス部40に挿入され、メス部40に着脱自在に取り付けられ、それによって継手を形成するように構成される。
【0021】
メス部40は、中心軸Cの周囲に延在するスパイク46を含む。スパイク46は、シリンジ(不図示)のような医療用注射器具のニードルを収容するように構成され得る内部チャネルを画定する。オス部20は、メス部40のスパイク46を密封可能に覆うためにキャップの形状をしており、メス部40に医療用注射器具が取り付けられると、医療用注射器具のニードルを可能性のある汚染から保護し、および/または、針刺しによる負傷を防止する。
【0022】
図2~
図4を参照して、オス部20の構成をより詳細に説明する。
図2は、オス部20を示す側面図である。
図3は、オス部本体24の先端部から、すなわちオス部20の近位端から見たオス部20の底面図である。
図4は、
図3の切断線IV-IVに沿った、オス部の縦断面図である。以下において、「近位」という表現は、メス部40に取り付けられる医療用注射器具に近いことを意味するために使用することができ、「遠位」という表現は、医療用注射器具から離れていることを意味するために使用することができる。
【0023】
また、オス部20は、オス部本体24の遠位端に設けられたカラー28と、カラー28から遠位方向に延在するタブ22とを含む。タブ22は、細長い円筒形状を有する中空要素であってもよい。タブ22は、オス部20を使用者がしっかりと保持できるように構成されている。カラー28は一般的に円板形状を有し、タブ22とオス部本体24とを連結する。カラー28は、オス部本体24の直径よりも大きな直径を有する。カラー28は、オス部20の近位端に向かって減少する直径を有するテーパ付きリムによって区切られていてもよい。カラー28、タブ22、およびテーパ付きリムの寸法および形状は、当業者の必要に応じて調整することができる。
【0024】
オス部本体24は、中心軸Cの周囲に内側キャビティを確定する。キャビティ30は、オス部本体24の近位端で開口し、かつ、オス部20がメス部40に装着される際に、メス部40のスパイク46を収容するように構成されている。キャビティ30は反対側の端で閉じられており、それにより、メス部40のスパイク46、したがって医療用注射器具のニードル(存在する場合)が汚染されるのを防止する。これにより、保管中および/または輸送中にスパイクおよび注射ニードルを保護することもできる。
【0025】
オス部20はまた、オス部本体24の外周面上に少なくとも2つのネジ部26を含む。ネジ部26は、オス部本体24の先端部(すなわち、近位端)に形成され、中心軸Cの周囲に周方向に互いに離間されて配置されている。オス部20は、図示の実施形態に示すように、4つのネジ部26を含んでもよい。4つのネジ部26が形成されている場合、ネジ部26は、互いに等間隔に配置される、すなわち、中心軸Cの周囲に90°(90度)毎の位置に設けられる。それにもかかわらず、オス部20は、3つのネジ部、または、5つ以上のネジ部を含んでもよい。
【0026】
ネジ部26は、オス部本体24の外面から径方向外方に延在する螺旋状の突起であってもよい。それぞれのネジ部26は、中心軸Cの周囲に肉薄部26aおよび肉厚部26bを有してもよく、肉厚部26bは肉薄部26aに隣接して配置されてもよい。肉厚部26bは肉薄部26aよりも厚く、したがって肉薄部26aよりもオス部本体24から径方向外方に突出する。肉薄部26aおよび肉厚部26bを滑らかに連結して、肉薄部26aから肉厚部26bに向かって厚さが徐々に増加するようにしてもよい。あるいは、肉薄部26aおよび肉厚部26bは、肉薄部26aから肉厚部26bに向かって厚さが段階的に増加するように互いに連結されていてもよい。
【0027】
任意選択的に、ネジ部26は、肉薄部26aに隣接して面取り縁部26cを有してもよい。
【0028】
ネジ部26を中心軸Cに対して傾斜して延在させて、所与の位置において、当該位置よりも遠位端に近い位置に比べて径方向外方により大きく突出させてもよい。以下にさらに説明するように、ネジ部26の傾斜角度は、メス部40の対応する抜き勾配(draft angle)の角度に従って決定される。
【0029】
ネジ部26は、オス部本体24の最近位の表面と同一平面であってもよい。あるいはまた、ネジ部26は、少なくともオス部本体24の最近位の表面を越えてもよい。
【0030】
次に、
図5~
図7を参照してメス部40の構成を説明する。
図5は、メス部40を示す側面図である。
図6は、メス部40を示す上面図、すなわちメス部40の遠位端から見た図である。
図7は、
図6の切断線VII-VIIに沿った、メス部40の透視断面図である。
【0031】
メス部40は、中心軸Cの周囲に延在する中空円筒体42と、医療用注射器具(不図示)に密封可能に嵌合するように構成された近位嵌合部44と、中心軸Cの周囲で近位嵌合部44から遠位側に延在するスパイク46とを含む。
【0032】
スパイク46は内側チャネル52を画定し、内側チャネル52は、中心軸Cの周囲に延在し、医療用注射器具のニードルを収容するように構成される。また、スパイク46は、その鋭利先端部46aまたはその近傍に、側方開口部46bを提供する。医療用注射器具がメス部40を介してバイアルなどの容器(不図示)に接続される場合、開口部46bは医療用注射器具と容器との間の流体連通を提供する。
【0033】
また、メス部40は、円筒形本体42から遠位方向に延在するスカート54を含んでもよい。スカート54は、中心軸Cの周囲に延在し、円筒体42の遠位端に設けられたリング55と、同様に中心軸Cの周囲に延在するリム56と、リング55とリム56とを連結する複数の柱58と、リム56から垂下する複数のタング60とを含む。リム56は、オス部20がメス部40に嵌合される際にオス部20のカラー28を受容するように構成された開口部を包囲する。リム56は、スパイク先端部46aから遠位方向に離れた位置に存在していてもよい。スカート54は先端部46aを越えて延在するので、スカート54はスパイク46、したがって医療用注射器具のニードルを保護することができる。しかしながら、別の実施形態では、リム56は、スパイク先端部46aから近位側に離間した位置に存在していてもよい。
【0034】
また、メス部40は、リング55から近位方向に延在する波伏部43を含んでいてもよい。波伏部43は、メス部40を取り扱う際に使用者にしっかりとしたグリップを与えるように構成されている。
【0035】
メス部40は、中心軸Cの周囲で、円筒体42とスパイク46との間に環状間隙48を画定する。環状間隙48は、オス部20のオス部本体24を収容するように構成される。
【0036】
また、メス部40は、円筒体42の内面に形成された少なくとも2つのリブ50を含む。リブ50は、円筒体42から径方向の内側に突出している。リブ50は、中心軸Cと平行に直線状に延在する。言い換えれば、リブ50は、非ネジ状かつ非螺旋状の構成を有する。
【0037】
リブ50は、オス部20のネジ部26の1つに着脱可能に嵌合するように構成された最内側の嵌合面50aを有する。嵌合面50aは、中心軸Cに対して傾斜して延在して、嵌合面50aと中心軸Cとの間の距離が近位嵌合部44に向かって又は環状間隙48の閉止端に向かって増大するようにすることができる。嵌合面50aの傾斜は、中心軸Cに対する0°(0度)から2°(2度)の間の角度によって規定されてもよい。リブ50の嵌合面50aの抜き勾配角度は、オス部20のネジ部26の傾斜角度と一致する。このようにして、オス部20のネジ部26をメス部40の対応するリブ50に嵌合させることができる。嵌合面50aの傾斜角度は、大量生産の観点からあまり急峻でなくてもよい。適切な角度は、メス部40の材料特性、リブ50の幅および長さなどのいくつかの要因を考慮して決定することができる。
【0038】
以下、オス部20をメス部40に嵌合させる工程について説明する。
【0039】
図1に示すように、オス部20は、中心軸Cに対してメス部40と整列させられる。次いで、オス部20は、中心軸Cに沿ってメス部40に向かって移動させられ、これにより、オス部本体24がメス部40の環状間隙48に挿入される(
図8参照)。メス部40のスパイク46とオス部20の対応するキャビティ30により、2つの部品間の中心整列は容易に確立できる。
【0040】
図8および
図9Aに示すように、オス部本体24が完全に挿入され、オス部20のカラー28がメス部40のリム56によって受容されたならば、ネジ部26はリブ50と係合する位置にある。ネジ部26は、完全に挿入された位置で環状間隙48の端部と接触しないように構成されていてもよい。
【0041】
次に、オス部20は、ネジ部26の面取り縁部26cがメス部40の対応するリブ50に接触するまで、中心軸Cの周囲をメス部40に対して回転させられる(
図9B参照)。ネジ部26の面取り縁部26cは、ネジ部26と対応するリブ50との間の係合を容易にする。
【0042】
オス部20は、中心軸Cの周囲をメス部40に対してさらに回転させられ、ネジ部26の肉厚部26bがメス部40の対応するリブ50に完全に嵌合させられる(
図9Cおよび
図10参照)。ネジ部26はそれぞれ、肉薄部26aおよび肉厚部26bを有するので、ネジ部26はくさびとして機能する。それにより、オス部20とメス部40との間の嵌合は、高信頼性を実現しながら、必要なときに解放可能となる。
【0043】
オス部20とメス部40とが嵌合されたならば、メス部40のスパイク46はオス部20によって完全に覆われる。したがって、コネクタアセンブリ10の保管中または取り扱い中に、スパイク46を介して汚染される可能性を防止することができる。
【0044】
医療用注射器具の使用時、たとえば、スパイク46をバイアルの隔壁を貫通するために使用する際に、オス部20は、中心軸Cの周囲を反対方向に回転され、オス部20をメス部40から切り離す。それによってメス部40のスパイク46が露出される。
【0045】
オス部20およびメス部40は、それぞれ、プラスチック(たとえば、ポリプロピレン)または任意の他の適切な材料で作成された単一部品であってもよい。本開示中のメス部40は、スパイク46の近傍にネジ部を含まず、直線状のリブ50を含むことに留意されたい。したがって、メス部40のリブ50は、スパイク46と同様に、金型コアからの回転脱型を伴わない成形によって製造することができる。たとえば、メス部40の脱型は、第1金型部品(すなわち、コア)を中心軸Cに沿って第2金型部品(すなわち、キャビティ)から離間させるように並進させることによって行うことができる。並進的脱型は、本明細書に開示される構成によって可能となり、製造コストを低減させる。
【0046】
必要な流体連通のための開口部を有するメス部のスパイクが脱型時の回転運動によって損傷する可能性があるため、これは特に有利である。
【0047】
回転脱型を避けることにより、より単純な金型をメス部40の製造に使用することができる。また、より単純な金型設計は、同一の成形工程で使用できるキャビティ数を増大させ、製造コストの低減に寄与する。また、成形サイクルタイムを短縮することも可能である。
【0048】
オス部およびメス部の間の公知の摩擦嵌合と比較して、本実施形態による直線状のリブ50とネジ部26との間の係合は、2つの部品間の確実なロックを提供する。それにより、たとえば、保管中および/又は輸送中に、オス部20がメス部40から偶然に滑り落ちることを防止する。
【0049】
さらに、本実施形態によれば、オス部20を中心軸Cの周囲で回転させ(たとえば、45度以下)、次いでメス部40から引き離すことによって、オス部20をメス部40から容易に分離させることができる。これにより、オス部とメス部との間の摩擦に打ち勝つのに十分な強さの引張力を必要とする公知の摩擦嵌合と比較して、よりスムーズなプロセスおよびより良好な使用感が保証される。
【0050】
1つの実施形態では、ネジ部26の少なくとも1つは、オス部20が完全に嵌合した位置からそれ以上回転するのを防止するための回転制限部を含むことができる。たとえば、回転制限部は、ネジ部26の肉厚部26bよりも径方向外方に突出している。
【0051】
別の実施形態では、ネジ部26の少なくとも1つに、径方向内方に窪んだ欠刻(indentation)を設けてもよい。ネジ部26の欠刻によりメス部40の対応するリブ50を捕捉することによって、使用者は、オス部20がメス部40に完全に嵌合する嵌合位置にネジ部26が達したときに、オス部20から触覚フィードバックを受けることができる。また、欠刻は、ロック機能を提供することができ、それにより、必要なときにメス部40からオス部20を容易に取り外すことができると同時に、取り扱い中、保管中または輸送中にメス部40から意図せずしてオス部20が外れることを防止することができる。
【0052】
さらに別の実施形態では、ネジ部26が肉薄部26aおよび肉厚部26bを有する代わりに、各リブ50が肉薄部および肉厚部を有してもよい。リブ50の肉厚部は、肉薄部よりも径方向内方に大きく突出するように構成され、それによって、オス部20とメス部40との間の嵌合を強化するためのくさびとして作用する。
【0053】
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。本明細書で開示する技術思想は、他の種類のコネクタアセンブリにも適用可能であり、前述の説明と同様の利点を提供する。1つの実施形態では、コネクタアセンブリは、ルアーロックコネクタアセンブリとして構成することができる。
【国際調査報告】