(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】光学メタレンズシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 23/00 20060101AFI20240222BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240222BHJP
G02B 3/00 20060101ALN20240222BHJP
G02B 23/02 20060101ALN20240222BHJP
G02B 5/04 20060101ALN20240222BHJP
G02B 5/08 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
G02B23/00
G02B5/20
G02B3/00
G02B23/02
G02B5/04
G02B5/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548919
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 US2022018083
(87)【国際公開番号】W WO2022183094
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522503894
【氏名又は名称】イマジア,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クレス,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ンダウ,アブドゥライ
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,アリンダム
【テーマコード(参考)】
2H039
2H042
2H148
【Fターム(参考)】
2H039AA01
2H039AA02
2H039AB01
2H039AB22
2H042CA15
2H042DB02
2H042DB14
2H042DC03
2H042DE00
2H148AA01
2H148AA12
2H148AA24
2H148AA25
(57)【要約】
標的周波数の狭帯域偏向のためにメタレンズを利用する光学イメージングシステムの様々な実施形態および構成が、本明細書に記載されている。例えば、多周波メタレンズの一実施形態には、互いに混ざり合った、複数の周波数特異的ナノピラーまたは複数のナノピラーの周波数特異的な行/列の平面内空間的多重化アレイが含まれる。他の実施形態において、透過性メタレンズおよび/または反射性メタレンズは、色分離された(color-separated)可視光を、デジタルイメージセンサの赤色(red)、緑色(green)および青色(blue)(RGB)のチャネルへ集束させるように、同調されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタレンズを製造する方法であって、
基板上にポリシリコンを堆積させる工程と、
標的動作周波数帯域内において、吸収損失が低減して光放射の透過効率が向上するように、前記基板上に堆積した前記ポリシリコンをアニールする工程と、
アニールされた前記ポリシリコンにフォトレジストを塗布する工程と、
メタレンズの複数のピラー直径の標的アレイに対応するマスクパターンを有するように、前記フォトレジストを現像する工程と、
前記基板から延在する、標的高さを有する複数のポリシリコンピラーが生成されるように、現像された前記フォトレジストのマスクパターンに従って、前記ポリシリコンをエッチングする工程と、
を含み、
各ピラーの高さは、各ピラーの幅または半径の約3倍よりも小さい、方法。
【請求項2】
前記基板は、溶融シリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板上に前記ポリシリコンを堆積させる工程は、低圧化学蒸着(LPCVD)法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フォトレジストは、ネガ型フォトレジストを含み、
前記フォトレジストを現像する工程は、電子ビームリソグラフィ法およびハードベーク法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
吸収損失が低減して透過効率が向上するように、前記基板上に堆積した前記ポリシリコンをアニールする工程は、30分間~90分間にわたって、900℃~1100℃の温度でアニールする工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フォトレジストのマスクパターンは、製造された前記メタレンズが長方形形状を有するように、複数のピラーの長方形アレイに対応する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
イメージングシステムであって、
複数のサブピクセルを有するマルチピクセルデジタルイメージングセンサであって、
第1帯域の光放射を検出する複数のサブピクセルの第1セットと、
第2帯域の光放射を検出する複数のサブピクセルの第2セットと、
第3帯域の光放射を検出する複数のサブピクセルの第3セットと、
を少なくとも備える、マルチピクセルデジタルイメージングセンサと、
メタレンズフィルタ層であって、当該メタレンズフィルタ層に、
前記第1帯域、前記第2帯域、および前記第3帯域の各帯域における光放射を含む光放射を受光させ、
前記第1帯域における光放射を、複数のサブピクセルの前記第1セットへ方向付けさせ、
前記第2帯域における光放射を、複数のサブピクセルの前記第2セットへ方向付けさせ、
前記第3帯域における光放射を、複数のサブピクセルの前記第3セットへ方向付けさせる
ように選択された複数の偏向器素子直径および複数の中心間素子間隔の複数の繰り返しパターンを有する、基板から延在する複数のサブ波長偏向器素子を備える、メタレンズフィルタ層と、
を備え、
各受動偏向器素子は、光放射の前記第1帯域、光放射の前記第2帯域、および光放射の前記第3帯域における最小の波長よりも小さな高さと、光放射の前記第1帯域、光放射の前記第2帯域、および光放射の前記第3帯域における最小の波長よりも小さな幅と、を有する、システム。
【請求項8】
前記マルチピクセルデジタルイメージングセンサは、赤色、緑色、青色(RGB)デジタルイメージセンサを含み、
前記第1帯域の光放射は、赤色を含み、
前記第2帯域の光放射は、緑色を含み、
前記第3帯域の光放射は、青色を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
光学メタレンズプリズムであって、
受光した第1波長を有する光放射を第1方向へ方向付ける複数の偏向器素子直径の第1繰り返しパターンを有する、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子の第1アレイと、
受光した第2波長を有する光放射を第2方向へ方向付ける複数の偏向器素子直径の第2繰り返しパターンを有する、前記基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子の第2アレイと、
受光した第3波長を有する光放射を第3方向へ方向付ける複数の偏向器素子直径の第3繰り返しパターンを有する、前記基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子の第3アレイと、
を備え、
前記第1アレイ、前記第2アレイ、および前記第3アレイの各アレイの複数の前記受動偏向器素子の複数の中心間素子間隔はそれぞれ、第1波長、第2波長、および第3波長の関数として選択され、
各受動偏向器素子は、前記第1波長、前記第2波長、および前記第3波長のうちの最小の波長よりも小さな高さと、前記第1波長、前記第2波長、および前記第3波長のうちの最小の波長よりも小さな幅と、を有する、光学メタレンズプリズム。
【請求項10】
各受動偏向器素子は、偏光非依存性を有する、請求項9に記載の光学メタレンズプリズム。
【請求項11】
サブピクセルマルチバンドメタレンズフィルタであって、
第1帯域幅内における光放射をデジタルイメージングセンサの第1検出器素子へ方向付ける第1メタレンズであって、第1の複数のサブピクセルメタレンズを含む第1メタレンズと、
第2帯域幅内における光放射を前記デジタルイメージングセンサの第2検出器素子へ方向付ける第2メタレンズであって、第2の複数のサブピクセルメタレンズを含む第2メタレンズと、
を備え、
前記第1の複数のサブピクセルメタレンズは各々、前記第1帯域幅内における複数の波長のサブセットを前記第1検出器素子へ方向付けて、集合的に、前記第1帯域幅内における全ての波長を前記第1検出器素子へ方向付け、
前記第2の複数のサブピクセルメタレンズは各々、前記第2帯域幅内における複数の波長のサブセットを前記第2検出器素子へ方向付けて、集合的に、前記第2帯域幅内における全ての波長を前記第2検出器素子へ方向付ける、フィルタ。
【請求項12】
第3帯域幅内における光放射を前記デジタルイメージングセンサの第3検出器素子へ方向付ける第3メタレンズであって、第3の複数のサブピクセルメタレンズを含む第3メタレンズ
をさらに備え、
前記第3の複数のサブピクセルメタレンズは各々、前記第3帯域幅内における複数の波長のサブセットを前記第3検出器素子へ方向付けて、集合的に、前記第3帯域幅内における複数の波長の完全なセットを前記第3検出器素子へ方向付ける、請求項11に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記第1帯域幅、前記第2帯域幅、および前記第3帯域幅の各帯域幅は、少なくとも100ナノメートルの幅であり、
各サブピクセルメタレンズは、70ナノメートル未満の動作帯域幅を有する、請求項11または12に記載のフィルタ。
【請求項14】
光学集束システムであって、
受光角よりも小さな角度の光放射を受光し、
位相シフト偏向パターンに従って、受光した前記光放射を偏向させる、
第1視野を有する第1メタレンズと、
前記第1メタレンズからの偏向された前記光放射を焦平面上ヘ集束させる、
第2視野を有する第2メタレンズと、
を備え、
前記第1メタレンズおよび前記第2メタレンズは、偏向された光放射の前記位相シフトの勾配および前記位相シフトの切片を同時に制御することを介して、前記焦平面上へ像が再構成されるように、受光した前記光放射の角度情報を保存するよう構成されている、光学集束システム。
【請求項15】
前記第1メタレンズおよび前記第2メタレンズは、広いスペクトル帯域幅および角度応答内における色収差および幾何収差を同時に補正するように機能する、請求項14に記載の光学集束システム。
【請求項16】
前記第1メタレンズの位相プロファイル出力は、前記第2メタレンズに対する入力位相プロファイルとして用いられる、請求項14に記載の光学集束システム。
【請求項17】
前記焦平面に配置された長方形イメージングセンサをさらに備える、請求項14に記載の光学集束システム。
【請求項18】
前記第1メタレンズは、長方形である、請求項17に記載の光学集束システム。
【請求項19】
前記第2メタレンズは、長方形である、請求項18に記載の光学集束システム。
【請求項20】
前記第1メタレンズは、第1基板の表面から延在する複数の受動偏向器素子を含み、
前記第2メタレンズは、第2基板の表面から延在する第2の複数の受動偏向器素子を含み、
光透過性バルク材料は、前記第1メタレンズと前記第2メタレンズとを接続している、請求項14~19のいずれか一項に記載の光学集束システム。
【請求項21】
前記光透過性バルク材料は、シリコンベースである、請求項20に記載の光学集束システム。
【請求項22】
前記第1メタレンズおよび前記第2メタレンズの各々は、複数の偏向器素子直径の繰り返しパターンを有する、共通の基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子を備え、
複数の前記受動偏向器素子の複数の中心間素子間隔は、前記光学メタレンズの動作波長の関数として選択され、
各受動偏向器素子は、前記光学集束システムの動作帯域幅内における最小の波長よりも小さな高さと、前記光学集束システムの動作帯域幅内における最小の波長よりも小さな幅と、を有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の光学集束システム。
【請求項23】
複数の前記受動偏向器素子は、偏光非依存性を有する、請求項22に記載の光学集束システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2021年2月26日に出願された「Optical Metalens Systems」という名称の米国仮特許出願第63/154,662号の優先権を主張するものである。その全体が、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
〔背景〕
本開示は、メタマテリアルデバイスに関する。より具体的には、本開示は、メタレンズ、イメージングデバイス、光学系、および衛星に関する。デジタルイメージセンサを介したイメージ(像)捕捉のために入射光放射の偏向を制御するための、様々な手法が存在する。例えば、反射光学系は、入射光放射をデジタルイメージセンサ上に反射および集束させ得る。あるいは、光透過性を有する屈折光学系が利用され得る。光放射を屈折、偏向、集束、またはその他の方法で変更して、デジタルイメージセンサ上に入射させるために、複数の光学素子の組み合わせが利用され得る。
【0003】
従来の光学レンズおよびミラー(例えば、ガラスまたはアクリルレンズ)は、入射光放射の光路を変更する曲率を有するように形成されている。複数のレンズおよび/またはミラーには、特定の光学機能が実行されるように、様々な屈折率、曲率、コーティング、およびその他の特徴が組み合わせられ得る。カメラレンズ、望遠鏡、およびその他のデジタルイメージングシステム等の従来のイメージングシステムは、レンズおよび/またはミラーを利用して、デジタルイメージングセンサ上に光を集束させる。デジタルイメージングセンサでは通常、RGBまたは別の多色ピクセルフォーマットでイメージを記録するために、カラーフィルタとマイクロレンズとの組み合わせが利用される。
【0004】
図1Aは、一実施形態による、ケプラー式屈折望遠鏡101内の光路のブロック図を示す。ケプラー式屈折望遠鏡101には、比較的大きなアパーチャからの入射光放射(可視光)をユーザの眼114に集束させる、複数の屈折レンズ110および112が含まれる。直接観察の代わりに、CMOSセンサまたはCCDセンサ等のデジタルイメージセンサが、ケプラー式屈折望遠鏡101によってイメージを捕捉し、捕捉されたイメージを記録するために使用されてもよい。
【0005】
図1Bは、一実施形態による、主焦点反射望遠鏡(prime focus reflective telescope)102内の光路のブロック図を示す。図示のように、入射光は、比較的大きなアパーチャを通過し、反射ミラー120に入射する。反射ミラー120は、デジタルイメージングセンサ125上の同じ焦点に、平行光路を集束させる。当業者であれば理解するように、デジタルイメージングセンサ125には、遠くの物体の高解像度イメージが捕捉されるように、多数のピクセル(例えば、多くのメガピクセル)が含まれてもよい。同じ物体の一連の捕捉イメージから生成された単一のイメージにおける信号対雑音比を増加させるために、スタッキング(stacking)またはインテグレーション(integration)等の画像処理技法が利用されてもよい。
【0006】
惑星天体および太陽天体等の、宇宙空間におけるオブジェクトのイメージを捕捉するために、望遠鏡およびその他の長距離光学イメージングデバイスが、地球上で使用され得る。従来の望遠鏡には、精密研磨された光学素子が含まれ、多くの素子が含まれている。また、広帯域の周波数が屈折または反射されるように、従来の望遠鏡にはしばしば、特殊なレンズコーティングおよび特殊なレンズ材料が用いられる。種々の周波数または波長の光の屈折角の差異によって、色収差およびその他の像欠陥がもたらされ得る。デジタルイメージセンサは、例えば、可視光、赤外光、紫外光スペクトル、H-アルファ光、および/またはこれらの組み合わせを含む、特定の光のスペクトルにおけるイメージが捕捉されるように選択され得る。
【0007】
地球の光学イメージングは、地球周囲の軌道内の衛星、高高度ビークルもしくは宇宙ビークル、ならびに/またはその他の種類の航空機およびスペースクラフトを用いて行うことができる。例えば、多種多様な商業的組織および軍事的組織によって、地球のデジタルイメージを捕捉するために、望遠鏡が一体化された衛星、または望遠鏡が取り付けられた衛星が利用されている。一般に、軌道周回衛星を介した地球の高解像度イメージングには、かなりの量の光を収集し、集束させることができる、比較的大きなアパーチャを有する強力な光学系が必要となる。集束された光は、例えば、CMOSデジタルイメージセンサ、CCDデジタルイメージセンサ、それらのバリエーション等の、デジタルイメージセンサを使用して記録される。
【0008】
デジタルイメージセンサによって捕捉されたイメージは、リアルタイムで地球へ通信され得、または軌道周回衛星に記憶され得る。望遠鏡、および高屈折力を必要とするその他の光学イメージングシステムは、大型で、移動が困難であり、精密な製造および組立を必要とし得る。また、望遠鏡、および高屈折力を必要とするその他の光学イメージングシステムは、製造コストが高価であり得、軌道内へ打ち上げるのに高いコストがかかり得る。「スモールサット(smallsat)」または「キューブサット(cubesat)」と時に称される、比較的小型の衛星であっても、イメージングシステムの光学素子、および光学素子間に必要なスペースは、多くの場合、最も大きくかつ最もコストのかかる構成要素のうちの一つである。
【0009】
図1Cは、一実施形態による、軌道上で地球を撮像するための光学イメージングシステム130を有する、大型の観測衛星103のイメージである。図示のように、この比較的大きな衛星103の本体の体積の大部分は、光学イメージングシステム130の部分である。
【0010】
図2は、一実施形態による、軌道上で地球を撮像するための光学イメージングシステム240を有する、小型の観測衛星204のイメージである。この例の衛星の全体的なサイズは、
図1Cに示す衛星よりもはるかに小さいが、光学イメージングシステム240の光学素子は依然として、衛星204の体積および重量の大部分を構成する。
【0011】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、ケプラー式屈折望遠鏡における光路の例示的な図を示す。
【0012】
図1Bは、主焦点反射望遠鏡における光路の例示的な図を示す。
【0013】
図1Cは、地球を撮像するための光学系を有する大型の観測衛星の例示的な図である。
【0014】
図2は、一実施形態による、地球を撮像するための光学系を有する小型の観測衛星の例示的な図である。
【0015】
図3は、一実施形態による、2つのメタマテリアルレンズと、デジタルイメージセンサと、を含む、屈折型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【0016】
図4Aは、一実施形態による、メタレンズの中心からの距離に対する、双曲メタレンズの位相応答のグラフを示す。
【0017】
図4Bは、一実施形態による、種々の入射角で双曲メタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。
【0018】
図4Cは、一実施形態による、基板上における比較的狭い視野を有する双曲メタレンズのブロック図を示す。
【0019】
図5Aは、一実施形態による、メタレンズの中心からの距離に対する、魚眼メタレンズの位相応答のグラフを示す。
【0020】
図5Bは、一実施形態による、種々の入射角で魚眼メタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。
【0021】
図5Cは、一実施形態による、基板上における比較的広い視野を有する魚眼メタレンズのブロック図を示す。
【0022】
図6Aは、一実施形態による、それぞれの各メタレンズの中心からの距離に対する、ダブレット(double-let)構成における各メタレンズの位相応答のグラフを示す。
【0023】
図6Bは、一実施形態による、種々の入射角でダブレットメタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。
【0024】
図6Cは、一実施形態による、基板の互いに反対側の表面上に2つのメタレンズを有する、ダブレットメタレンズのブロック図を示す。
【0025】
図7Aは、一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズと、デジタルイメージセンサと、を含む、反射型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【0026】
図7Bは、一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズと、中心からずらされたデジタルイメージセンサと、を含む、反射型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【0027】
図8は、一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズと、3つの別個のカラーチャネルの各々のための別個のイメージセンサと、を含む、別の反射型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【0028】
図9Aは、一実施形態による、フラットプリズムとして機能するメタレンズ小型レンズ(lenslet)の図を示す。
【0029】
図9Bは、一実施形態による、フラットプリズムメタレンズ小型レンズの機能の正面図を示す。
【0030】
図9Cは、一実施形態による、フラットプリズムメタレンズ小型レンズの機能の側面図を示す。
【0031】
図10Aは、一実施形態による、狭帯域の光放射を集束させる、透過性メタレンズフィルタの一例を示す。
【0032】
図10Bは、一実施形態による、フィルタリングおよび集束された光放射の正規化パワーの、波長に対するグラフを示す。
【0033】
図11は、一実施形態による、共面狭帯域メタレンズを用いたイメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【0034】
図12は、一実施形態による、それぞれのイメージングセンサ上に緑色光、青色光、および赤色光を順次集束させる、マルチチャネルメタレンズフィルタを示す。
【0035】
図13Aは、一実施形態による、狭帯域の光放射を集束させる、反射性メタレンズフィルタを示す。
【0036】
図13Bは、一実施形態による、フィルタリングおよび集束された光放射の正規化パワーの、波長に対するグラフを示す。
【0037】
図14Aは、一実施形態による、例示的な狭帯域周波数選択的フィルタの単位セルを示す。
【0038】
図14Bは、一実施形態による、複数の受動偏向器素子(passive deflector element)のアレイの半径選択に対するマグニチュード(大きさ)のグラフを示す。
【0039】
図14Cは、一実施形態による、複数の受動偏向器素子のアレイの様々な半径選択に対する位相シフトのグラフを示す。
【0040】
図14Dは、一実施形態による、周波数選択的フィルタの円形単位セルにおいて使用するための複数の受動偏向器素子のアレイの例示的なブロック図を示す。
【0041】
図14Dは、一実施形態による、周波数選択的フィルタの長方形単位セルにおいて使用するための複数の受動偏向器素子のアレイの例示的なブロック図を示す。
【0042】
図15Aは、一実施形態による、メタレンズ構造体のための複数の偏向器素子のパターンの例示的な表現の上面図を示す。
【0043】
図15Bは、一実施形態による、
図15Aのメタレンズにおける複数の偏向器素子のパターンの例示的な表現の拡大斜視図を示す。
【0044】
図16Aは、一実施形態による、基板上に複数のナノピラー偏向器が配置されたメタレンズの、側面視に係る例示的なブロック図を示す。
【0045】
図16Bは、一実施形態による、入射光放射を反射させるように機能する
図16Aのメタレンズの例示的なブロック図を示す。
【0046】
図16Cは、一実施形態による、入射光放射を透過させて方向転換させる、
図16Aのメタレンズの例示的なブロック図を示す。
【0047】
図17Aは、一実施形態による、赤色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セルを示す。
【0048】
図17Bは、一実施形態による、
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する透過率値を示す。
【0049】
図17Cは、一実施形態による、
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する位相シフト値を示す。
【0050】
図17Dは、
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。
【0051】
図18Aは、一実施形態による、緑色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セルを示す。
【0052】
図18Bは、一実施形態による、
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する透過率値を示す。
【0053】
図18Cは、一実施形態による、
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する位相シフト値を示す。
【0054】
図18Dは、
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。
【0055】
図19Aは、一実施形態による、青色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セルを示す。
【0056】
図19Bは、一実施形態による、
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する透過率値を示す。
【0057】
図19Cは、一実施形態による、
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する位相シフト値を示す。
【0058】
図19Dは、
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。
【0059】
図20A~
図20Gは、一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【0060】
図21A~
図21Fは、一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【0061】
図22Aは、一実施形態による、イメージングセンサ上を覆う、メタレンズを用いて実装されたベイヤー型カラーフィルタの一例を示す。
【0062】
図22Bは、一実施形態による、メタレンズを用いて実装された狭帯域ピクセルマッピングカラーフィルタの一例を示す。
【0063】
図23は、一実施形態による、メタレンズを用いて実装されたサブピクセルマルチバンドカラーフィルタの一例を示す。
【0064】
図24は、一実施形態による、メタレンズを用いて実装されたサブ波長マルチバンドカラーフィルタを示す。
【0065】
図25は、一実施形態による、入力メタレンズおよび出力メタレンズを導波路と併せて利用する、例示的なディスプレイシステムを示す。
【0066】
〔詳細な説明〕
本明細書に記載された様々な実施形態によれば、メタレンズは、光を収集し、デジタルイメージセンサ上に集束させるために使用される。従来の光学素子を用いて可能なものよりも、より軽く、機械的により単純で、より耐久性があり、プロファイルがより低く、より短く、より小さく、かつ/またはより高分解能の光路を提供する、様々なメタレンズ構成が考えられる。一部の実施形態において、(センササイズに対して)大きいアパーチャからの光をデジタルイメージセンサ上に集束させるために、1または複数のメタレンズが、屈折光学素子または回折光学素子として用いられる。一部の実施形態において、大きなアパーチャからの入射光を、中心に合わせられたデジタルイメージセンサ上、または中心からずらされたデジタルイメージセンサ上に集束させるために、反射性メタレンズが用いられる。一部の実施形態において、周波数選択的反射性メタレンズは、以下でより詳細に説明するように、入射光の特定の周波数を色固有デジタルイメージセンサへ反射するために使用される。
【0067】
さらに他の実施形態において、狭帯域透過性メタレンズは、他の周波数(の光)が実質的に変更されずにメタレンズを通過することを可能にしつつ、特定の周波数の光をデジタルイメージセンサ上に選択的に集束させるために使用される。一部の実施形態において、狭帯域反射性メタレンズは、他の周波数が実質的に変更されずにメタレンズを通過することを可能にしつつ、特定の周波数をデジタルイメージセンサ上に選択的に集束させるために使用される。
【0068】
本明細書に記載された実施形態のうちの多くの実施形態は、メタレンズを利用するものである。メタレンズまたはメタマテリアルベースのレンズは、透過性を有し得(回折レンズに類似)、または反射性を有し得る(反射ミラーに類似)。多くの実施形態において、メタレンズは、曲面を有せずに制御された偏向をもたらす、比較的薄い(例えば、<1mm)素子の三次元メタマテリアル層または物体として形成することができる。本明細書に記載されているように、基板表面は、光放射を通過させる透過性表面として、または、光放射を反射させる反射性表面として、構成されてもよい。入射光放射を、0°~180°の間における任意の角度または角度範囲の標的光放射出力が得られるように制御して偏向させるよう、サブ波長スケールの特徴が基板の表面上にパターン形成されていてもよい。サブ波長スケール特徴は、周波数の広帯域または周波数の狭帯域にわたって入射光放射を偏向させるように構成されてもよい。
【0069】
一部の実施形態において、サブ波長スケールの特徴は、基板の2つ以上の表面上に形成されてもよい。例えば、サブ波長スケールの特徴は、透過性基板の受光面上および透過性基板の出力面上に形成されてもよい。様々な実施形態において、基板の一表面(または、基板の複数の表面)は、複数の偏向器素子のアレイを用いてパターン形成されている。特定の標的偏向パターン(例えば、位相シフトに基づく偏向パターン)が達成されるように計算、推定、モデル化または最適化された様々な実施形態によれば、複数の偏向器素子のアレイは、一様に離隔しており、周期的に離隔しており、非周期的に離隔しており、および/または同じパターンの繰り返しにおいて配置構成されていてもよい。
【0070】
複数の偏向器素子のアレイ内の各偏向器素子は、偏向器素子アレイが光放射の比較的狭い帯域(例えば、標的動作帯域幅)に対して集合的にメタマテリアル挙動を示すように、サブ波長寸法を有してもよい。一部の実施形態において、複数の偏向器素子は、基板の平坦な表面に対して、実質的に直交するように延在してもよい。
【0071】
メタレンズを介した効率的な波面操作は、動作周波数帯域内において2πの位相シフトを達成することによって達成される。単一の共鳴モードは、πの位相シフトを提供する。したがって、一部の実施形態において、少なくとも2πの位相シフトが提供されるように、グラウドプレーンが偏向器素子と組み合わせて使用される。他の実施形態において、2つの共鳴モードは、同じマグニチュードおよび位相で重なり合って、2πの位相シフトを提供するホイヘンスメタサーフェスを形成する。
【0072】
様々な実施形態において、基板に接触する偏向器素子の接触面は、円形、楕円形、正方形、長方形、n辺多角形、または、自由形状(freeform shape)を含む別の形状であってもよい。偏向器素子は、平坦な表面から、偏向器素子の長さ寸法または幅寸法よりも大きな高さに延在してもよい。例えば、複数の偏向器素子の各々は、動作帯域幅内における最小の波長よりも小さい直径を有する円形接触面を有してもよく、基板から高さHに、ピラーとして延在してもよい。様々な実施形態において、高さHもまた、動作帯域幅内における最小の波長よりも小さくてもよい。
【0073】
他の実施形態において、各偏向器素子は、基板から延在する非円形ピラーであってもよい。例えば、各偏向器素子は、正方形、長方形、楕円形、六角形、またはその他の形状の外形を有し、基板から所定の高さに延在してもよい。一部の実施形態において、偏向器素子アレイ内の複数の偏向器素子の各々は、同じ高さに延在してもよい。他の実施形態において、様々な偏向器素子の高さは、ランダムに変化していてもよく、基板の平坦な表面に対して傾斜を形成していてもよく、かつ/または繰り返しパターンに合致するものであってもよい。
【0074】
一部の実施形態において、各偏向器素子は、二酸化ケイ素基板またはフッ化マグネシウム基板から延在する、二酸化チタン、多結晶ケイ素(polycrystalline silicon)ナノピラー、および/または窒化ケイ素から形成された、ピラー(例えば、円形ピラーまたは非円形ピラー)であってもよい。円形および非円形の両方のバリエーションを含む、かかるピラーは、そのサブ波長特性の故に、ナノピラーと称されてもよい。一部の実施形態において、基板は、種々の屈折を有する複数の基板の層を含んでもよく、および/または、種々の材料の組み合わせを含んでもよい。例えば、一部の実施形態において、基板は、異なる屈折率を有する2つ以上の異なる光学材料の一連の層として形成されたブラッグ反射器を含んでもよい。様々な実施形態において、偏向器素子は、偏光非依存性のサブ波長受動偏向器である。
【0075】
メタレンズによって生成される偏向パターン(透過型または反射型)は、基板上のピラー高さ、直径、間隔、およびパターン配置の意図的な選択によって、影響され、または制御され得る。メタレンズは、入射光放射(例えば、赤外光、可視光、紫外光等)をデジタルイメージセンサ上に集束させる収束偏向パターンを生成するように構成された、偏向器素子アレイを有してもよい。光放射は、メタサーフェスによって反射その他の偏向がなされるとき、位相シフトされる。
【0076】
一部の実施形態において、メタレンズは、透過性基板から延在する偏光非依存性の複数の受動偏向器素子のアレイを含む。一部の実施形態において、単一のメタレンズは、(例えば、様々なサイズおよびパターンの偏向器素子を基板上に混在させることによって、)複数の色の光放射または広帯域の光放射に応答してもよい。多色メタレンズまたは広帯域メタレンズは、赤色、緑色および青色のサブピクセルが各ピクセルを形成するRGBデジタルイメージセンサ等の多色デジタルイメージセンサ上に入射光を集束させるために使用されてもよい。
【0077】
一部の実施形態において、狭帯域メタレンズは、狭帯域の波長をデジタルイメージングセンサへ選択的に伝播させるベイヤー型フィルタ層を形成するために使用されてもよい。例えば、赤色、緑色および青色の波長を通過させるように構成されたメタレンズは、ベイヤーフィルタのモザイクまたは別の3色フィルタアレイにおいて配置されてもよい。デジタルイメージングセンサの赤色サブピクセルは、例えば650ナノメートルを中心とする狭帯域の光放射を通過させる単一のメタレンズと関連付けられ得る。デジタルイメージングセンサの緑色サブピクセルは、例えば535ナノメートルを中心とする狭帯域の光放射を通過させる単一のメタレンズと関連付けられ得る。デジタルイメージングセンサの青色サブピクセルは、例えば490ナノメートルを中心とする狭帯域の光放射を通過させる単一のメタレンズと関連付けられ得る。
【0078】
他の実施形態において、各サブピクセルについて受光した光の帯域幅を増加させるために、わずかに異なる同調周波数(tuning frequency)を有する複数のメタレンズが、各サブピクセルについて使用されてもよい。例えば、デジタルイメージングセンサの各サブピクセル(例えば、各赤色サブピクセル、各青色サブピクセル、および各緑色サブピクセル)は、サイズがサブピクセルである複数のメタレンズと関連付けられ得る。各サブピクセルメタレンズは、下にあるデジタルイメージングセンサのサブピクセルの色のわずかに異なる周波数を中心とする狭帯域の光放射を通過させるように構成されてもよい。
【0079】
例えば、デジタルイメージングセンサの赤色サブピクセルは、異なる2つのサブピクセルメタレンズと関連付けられ得る。2つのうちの一方は、645ナノメートルを中心とする狭帯域の赤色光を通過させ、2つのうちのもう一方は、655ナノメートルを中心とする狭帯域の赤色光を通過させる。別の例として、16個のサブピクセルメタレンズのアレイが、デジタルイメージングセンサの赤色サブピクセルと関連付けられ得る。複数のサブピクセルメタレンズのアレイ内の各サブピクセルメタレンズは、例えば、630ナノメートル~670ナノメートルの範囲における、わずかに異なる波長を中心とする狭帯域の「赤色」光を通過させ得る。同様に、デジタルイメージングセンサの緑色サブピクセルおよび青色サブピクセルの各々は、単一の同調メタレンズを用いて可能である透過の帯域よりも広い帯域の透過がもたらされるように、わずかに異なる周波数に同調された複数のサブピクセルメタレンズのアレイと関連付けることができる。
【0080】
様々な実施形態によれば、メタレンズは、ナノインプリンティング製造技法を用いて、CMOS製造手法の一部としてのCMOS互換材料を用いて、紫外線リソグラフィ技法を用いて、電子ビームリソグラフィ(electron beam lithography:EBL)を用いて、これらの組み合わせを用いて、ならびにマイクロデバイス製造およびナノデバイス製造のための関連する他の製造技法を用いて、製造されてもよい。アスペクト比(例えば、各ナノピラー偏向器素子の幅に対する高さの比)が比較的低いことによって、競合する技術と比較して、より速く、より安価に、そしてより高い忠実度で製造することが可能になる。例えば、複数のナノピラー偏向器素子のアレイおよびその下にある基板は、極薄(例えば、1波長未満)のメタレンズが形成されるように電磁的に結合された共鳴モードを用いてもよい。
【0081】
本明細書に記載されているように、従来の光学素子を使用して可能であろう厚さよりもはるかに小さな厚さを有するメタレンズは、標的偏向パターンに従って偏向された光放射として、受光した光放射のうちの高い割合を伝達するように構成されてもよい。望遠鏡における従来のガラス光学素子に比べて、対応する軽量化は著しい。本明細書に記載されたメタレンズに基づくデジタルイメージングデバイス(例えば、望遠鏡)は、従来のガラス光学素子と比較して、地球を撮像するための軌道周回衛星に使用される場合に、性能、コスト、および耐久性の利点をもたらす。
【0082】
様々な実施形態において、透過性基板上または反射性基板上にパターン形成された、偏光非依存性の複数の受動偏向器素子のアレイは、比較的に狭帯域の光放射を、所定の方向に、光放射の始点に基づいて任意に(例えば、ピクセルごとの変動)、かつ/または、有効な「無限焦点(infinite focus)」を提供するようにコリメートして、偏向させるように適合されてもよい。一部の実施形態において、偏光依存性の複数の受動偏向器素子のアレイは、比較的に広帯域の非コヒーレント光放射に関して用いて、所定の方向に、光放射の始点に基づいて任意に(例えば、ピクセルごとの変動)、かつ/または、有効な「無限焦点」を提供するようにコリメートされるよう、透過性基板または反射性基板上にパターン形成されてもよい。
【0083】
本明細書に記載されているように、複数のナノピラー偏向器素子のアレイは、様々な直径、素子間隔、および/または高さを有する複数のピラーの繰り返しパターンを有し得る。複数のナノピラー偏向器素子の繰り返しパターンは、標的表面領域(例えば、光学イメージングデバイスのアパーチャを定める円形形状)を有するメタサーフェスレンズがもたらされるように、複数回繰り返されてもよい。複数のナノピラー偏向器素子の各アレイにおける複数のピラーの直径、素子間隔、および/または高さは、偏向対象となる周波数または偏向対象となる複数の周波数、およびデジタルイメージセンサまたは複数のデジタルイメージセンサに対する偏向の標的角度に基づいて変化し得る。
【0084】
一実施形態において、多色イメージングシステムのための多周波メタレンズには、互いに混ざり合った、複数の周波数特異的ナノピラーまたは複数のナノピラーの周波数特異的な行/列の平面内空間的多重化アレイ(in-plane spatially multiplexed array)が含まれる。かかる実施形態によれば、メタレンズは、例えば、地球を撮像するためのRGBデジタルイメージセンサ、天体を撮像するための2色デジタルイメージセンサ(例えば、青色およびH-アルファ)、または別の多色デジタルイメージセンサとともに使用されてもよい。例えば、複数の周波数特異的ナノピラーの空間的多重化アレイは、偏向対象となる独立した周波数(例えば、RGB)の個数以上の個数のピラーを有する複数のサブ単位セルを含んでもよい。複数のサブ単位セルの周期性(periodicity)は、サブ波長であり、ゼロ次回折に関して選択される。したがって、複数のサブ単位セルの周期性は、偏向対象となる周波数の最小波長よりも小さくなるように選択されてもよい。例えば、偏向対象となる最小波長が550ナノメートルである場合、ゼロ次回折に関する最大周期性は、約360ナノメートルであり、複数のサブ単位セルの最大周期性は、約180ナノメートルである(例えば、ナイキスト限界)。500ナノメートル未満の波長を有する青色光の場合、ゼロ次回折に関する最大周期性は、さらに小さなものとなり、それに応じて、複数のサブ単位セルの最大周期性は、さらに小さなものとなるだろう。
【0085】
一部の実施形態において、偏向対象となる独立した周波数の各々の周波数の許容可能な位相シフト(例えば、0~2πの範囲)が達成されるように、ゼロ次回折に関する複数のサブ単位セルの計算された可能な最大周期性によって定められる比較的近い間隔に適応するよう、個々のピラーの高さは、他の実施形態におけるよりもわずかに高くてもよい。例えば、偏向対象となる特定の周波数に応じて、約200ナノメートル~約400ナノメートルのピラー高さが適当であり得る。特定の一例において、個々のピラーは、約300ナノメートルの高さを有する。一実施形態において、個々のピラーは、220ナノメートルの高さを有し、別の実施形態において、個々のピラーは、230ナノメートルの高さを有する。
【0086】
選択された高さおよび周期性に関して、シミュレータまたは計算モジュールは、各サブ単位セルにおけるピラー直径の範囲に関して、偏向対象となる複数の周波数の各々の周波数の透過および透過位相シフトをシミュレートまたは計算してもよい。適当なピラー直径は、標的性能指標および/または制御性が達成されるように選択されてもよい。例えば、ピラー直径は、偏向の完全な制御が提供されるように、少なくとも0.7(例えば、70%)の透過率、および0~2πの範囲内の位相シフトが提供されるよう選択されてもよい。一部の実施形態および応用では、より低い透過率閾値またはより高い透過率閾値が許容可能であり得、かつ/または、部分的な偏向制御(例えば、2π未満の位相シフト)で十分であり得る。
【0087】
標的場とシミュレーション場との違いにより、次のように計算できる性能示数が提供される。
【数1】
大域的最適化アルゴリズム等の最適化アルゴリズムを用いて、各サブ単位セルにおける複数のピラーに関する特定の半径(直径)寸法が決定されてもよい。様々な直径を有する複数のピラーを備える複数のサブ単位セルの繰り返しパターンを介して、メタレンズが形成される。
【0088】
デジタルイメージングのための従来の多くの望遠鏡には、入射光放射を長方形デジタルイメージセンサ上に集束させる円形光学素子が含まれる。長方形センサは、センサ平面上における円形の集束入射光放射の一部分を、効果的に「刈り取る(crop)」。本明細書に記載されたメタレンズは、入射光放射を長方形デジタルイメージセンサ上に集束させる従来の円形レンズに類似した薄い円形ディスクを形成する、複数のピラーの直線的な行および列として形成することができる。他の実施形態において、メタレンズは、入射光放射を長方形デジタルイメージセンサ上に集束させる従来の円形レンズに類似した薄い円形ディスクを形成する、複数のピラーの同心円として形成することができる。
【0089】
他の実施形態において、メタレンズは、入射光放射を対応する長方形デジタルイメージセンサ上に集束させる長方形メタレンズを形成する、複数のピラーの直線的な行および列として形成することができる。所与のアパーチャサーフェスエリアについて、長方形メタレンズによって、長方形デジタルイメージセンサ上への入射光の非常に効率的なマッピング(対応付け)がもたらされる。例えば、長方形メタレンズに入射する全ての光を、同じアスペクト比を有する長方形デジタルイメージセンサへマッピングすることができる。対照的に、従来のガラス円形レンズは、最大で、入射光の約63%を正方形デジタルイメージセンサ上へマッピングすることができる。以上に示すように、望遠鏡用の従来の円筒形光学レンズの体積の37%以上は、円形レンズと長方形デジタルイメージセンサとの不整合のため、無駄になっている。
【0090】
本明細書におけるシステムおよび方法の一般化された説明は、多種多様な工業用途、商業用途および個人用途における利用のために、利用および/または適合されてもよい。同様に、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、既存のコンピューティングデバイス、画像処理技法、スティッチング(stitching)、合成写真法(composite photography)、高ダイナミックレンジ(high-dynamic-range:HDR)ブラケッティング(bracketing)等と併せて用いられてもよく、または、既存のコンピューティングデバイス、画像処理技法、スティッチング、合成写真法、高ダイナミックレンジブラケッティング等を利用するものであってもよい。本明細書に開示された実施形態と共に使用することができるインフラストラクチャの一部は、例えば、汎用コンピュータ、コンピュータプログラミングツールおよびコンピュータプログラミング技法、デジタル記憶媒体、望遠鏡およびその他のデジタルイメージングデバイスを備えた衛星を打ち上げるためのロケット、通信リンク等、すでに利用可能なものである。コンピューティングデバイスまたはコントローラには、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、論理回路等のプロセッサが含まれてもよい。
【0091】
プロセッサまたはコントローラには、例えば、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:ASIC)、プログラマブルアレイロジック(programmable array logic:PAL)、プログラマブルロジックアレイ(programmable logic array:PLA)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device:PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array:FPGA)、またはその他のカスタマイズ可能および/またはプログラム可能なデバイス等の、1または複数の専用処理デバイスが含まれてもよい。また、コンピューティングデバイスには、例えば、不揮発性メモリ、スタティックRAM、ダイナミックRAM、ROM、CD-ROM、ディスク、テープ、磁気メモリ、光メモリ、フラッシュメモリ、またはその他の機械可読な記憶媒体等の、機械可読な記憶デバイスが含まれてもよい。特定の実施形態の様々な態様は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを用いて、実施されてもよい。
【0092】
開示された実施形態の構成要素は、全体的に記載され、本明細書における図に図示されているように、多種多様な種々の構成において配置および設計され得るだろう。さらに、一実施形態に関連する特徴、構造および動作は、別の実施形態とともに記載された特徴、構造または動作に適用されてもよく、または別の実施形態とともに記載された特徴、構造または動作と組み合わせられてもよい。多くの場合において、本開示の態様が不明瞭になることを避けるために、周知の構造、材料または動作については、詳しく図示または説明していない。本開示内で提供されるシステムおよび方法の実施形態は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、可能な実施形態を単に代表するものであるにすぎない。加えて、方法の工程は必ずしも、任意の特定の順序で、または連続して実行される必要はなく、工程の実行が一度だけである必要もない。
【0093】
図3は、一実施形態による、2つのメタマテリアルレンズ(メタレンズ)311および313と、デジタルイメージセンサ315と、を含む、回折型または屈折型のイメージングシステム301の光路のブロック図を示す。図示のように、入射光310は、第1メタレンズ311によって偏向される。偏向された光312は、第2メタレンズ313によって受光され、さらに、イメージセンサ315上へ集束される光314として偏向される。メタレンズ311およびメタレンズ313の各々は、本明細書に記載された様々な実施形態のうちの任意の実施形態に従って、具現化され得る。
【0094】
前述したように、メタレンズは、従来のレンズおよび/またはミラーと同等の光学機能が、はるかに小さな重量およびプロファイル(例えば、<1mm厚)で行われるように、複数のピラーのパターンで構成することができる。また、メタレンズによって、光学性能を低下させることなく、より短いレンズ間隔と、イメージングシステムの全体的な体積の減少とが可能になる。
【0095】
図4Aは、一実施形態による、メタレンズの中心からの距離に対する、双曲メタレンズの位相応答のグラフ401を示す。図示のように、位相応答の範囲は、中心における約0ラジアンから、縁部における約400ラジアンまでに及ぶ。本明細書に記載されているように、メタレンズは、標的偏向(例えば、屈折、回折、または反射)パターンが達成されるように選択された直径、間隔、高さ、および直径パターンを有する、複数のナノピラーとして形成することができる。メタレンズの具体的な詳細および実施例は、「Optical Metalenses」という名称の米国特許出願公開第2021/0405255号を含む、様々な刊行物に記載されている。なお、米国特許出願公開第2021/0405255号の全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0096】
図4Bは、一実施形態による、種々の入射角で双曲メタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。図示のように、双曲メタレンズは、0度で入射する光放射410が点411へ集束される程に、高度に選択的である。しかしながら、双曲メタレンズに5度で入射する光放射420によっては、比較的大きなスポットサイズ421がもたらされる。10度で入射する光放射430によっては、スポットサイズ431のさらに大きな出費(disbursement)がもたらされる。
【0097】
図4Cは、一実施形態による、メタサーフェス460が基板450上に形成された当該基板450を含む双曲メタレンズのブロック図を示す。図示のように、視野は、約5度に過ぎず、受光角(許容角度:acceptance angle)475は-2.5度~2.5度に制限される。前述したように、光帯域幅に関して、メタサーフェス460は、
図4Aに示す双曲位相応答が達成されるように計算された、様々な直径、直径のパターン、高さ、およびサブ波長中心間間隔の、複数のピラーまたはナノピラーを備え得る。
【0098】
図5Aは、一実施形態による、メタレンズの中心からの距離に対する、魚眼メタレンズの位相応答のグラフ501を示す。図示のように、位相応答の範囲は、中心における約0ラジアンから、縁部における約80ラジアンまでに及ぶ。魚眼メタレンズは、本明細書に記載された他のメタレンズと同様に、標的偏向(例えば、回折、屈折、または反射)パターンが達成されるように選択された直径、間隔、高さ、および直径パターンを有する、複数のナノピラーとして形成することができる。
【0099】
図5Bは、一実施形態による、種々の入射角で魚眼メタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。図示のように、双曲メタレンズは、広い視野を有する。0度で受光した光放射510は、点511に集束され、ちょうど同じように、40度で受光した光放射520、および85度で受光した光放射530は、点521および点531に集束される。
【0100】
図5Cは、一実施形態による、基板550上にメタサーフェス560として形成された魚眼メタレンズのブロック図を示す。ここでも、魚眼メタレンズは、約170度の広い視野を有し、受光角575の範囲は、-85度から85度までに及ぶ。ここでも、光帯域幅について、メタサーフェス560は、
図5Aに示す魚眼位相応答を達成されるように計算された、様々な直径、直径のパターン、高さ、およびサブ波長中心間間隔の、複数のピラーまたはナノピラーを備え得る。
【0101】
図6Aは、一実施形態による、ダブレット構成における各メタレンズの位相応答のグラフ601およびグラフ602を示す。一実施形態によれば、位相応答は、それぞれの各メタレンズの中心からの距離に関して示されている。グラフ610における位相応答の範囲は、中心における約0ラジアンから、縁部における約3500ラジアンまでに及ぶ。対照的に、グラフ602に示すように、他方のメタレンズの位相応答の範囲は、0ラジアンから縁部における約10ラジアンまでに及び、メタレンズの中心からメタレンズの縁部までの距離の約四分の三において、約23ラジアンというピークとなる位相応答を有する。
【0102】
図6Bは、一実施形態による、種々の入射角でダブレットメタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。図示のように、0度、15度、および30度で受光した光放射610、光放射620、および光放射630はそれぞれ、点611、点621、および点631に集束される。
【0103】
図6Cは、広い視野を有する第1メタレンズ661がより狭い視野を有する第2メタレンズ660に向かって光を偏向させる、ダブレットメタレンズのブロック図を示す。メタレンズ661およびメタレンズ660は、入射角情報を保存してセンサ平面上に集束させてイメージングするために、協働して機能する。狭視野メタレンズ660は、受光角を減少させ、ダブレットメタレンズのスポットサイズを減少させる、補正層または補正レンズとして機能する。ここでも、光帯域幅について、メタサーフェス660およびメタサーフェス661は各々、
図6Aのグラフ601およびグラフ602に示す異なる二種類の位相応答が達成されるように計算された、様々な直径、直径のパターン、高さ、およびサブ波長中心間間隔の、複数のピラーまたはナノピラーを備える。
【0104】
メタサーフェス660は、第1基板上に形成され得、メタサーフェス661は、種々の基板上に形成され得る。2つのメタサーフェス660および661は、位置650において、ギャップによって物理的に分離されてもよい。あるいは、2つのメタサーフェス660および661は、ベースとなる同じ基板上に単一のデバイスとして形成されてもよい。かかる実施形態において、適切に光学的に透明なバルク材料(例えば、一定の厚さのCMOS互換誘電材料)を位置650に用いて、メタサーフェス660とメタサーフェス661(中間層)とを物理的に接続し、離隔させてもよい。
【0105】
メタレンズ660およびメタレンズ661は各々、本明細書に記載されているように、複数のピラーまたはナノピラーを含む。ナノピラーとその周囲との間における高い屈折率コントラストによって、ナノピラー間の弱い光結合がもたらされる。様々な実施形態によれば、ナノピラーの直径は、サブ波長分解能を有する標的位相プロファイルが実装されるように、空間的に変化する。広帯域応答のための位相シフトの勾配および切片の局所的かつ同時的な制御は、空間的に変化する種々の直径のナノピラーを介して達成される。メタレンズ660とメタレンズ661との組み合わせによって、広いスペクトル帯域幅および角度応答のために、色収差および幾何収差を同時に補正する2層メタレンズシステムが提供される。
【0106】
2層の最適化は同時に実行され、第1層の位相プロファイル出力(中間層位相プロファイル)が、第2層への入力位相プロファイルとして使用される。この手法では、広い視角および広い周波数範囲から、第2層によって十分に集束することができる、より小さな角度範囲内へ、光の勾配および切片の位相情報が変更されるように、第1層を使用することができる。(イメージングに必要な)角度情報は、以下の式1を用いて、位相プロファイルを半径座標「r」の偶数次多項式として定義することによって保存される:
【数2】
【0107】
式1において、Rは、メタサーフェスの半径であり、係数は、設計された視野におけるスポットサイズ(二乗平均(root mean square))が最小化されるように、最適化されたものである。2iは、この関数を強制的に半径の偶数関数とするために用いられており、その結果、解は半径に関して対称となっている。ここでも、最適化アルゴリズムを用いて、各サブ単位セルにおける複数のピラーに関する特定の半径(直径)寸法が決定されてもよい。次いで、各メタレンズが、例えば最適化プロセスを介して計算された様々な直径を有する複数のピラーを備える複数のサブ単位セルの繰り返しパターンを介して形成されてもよい。
【0108】
本明細書に記載された実施形態によれば、
図6A~
図6Cとともに描写され記載された2層メタレンズまたはダブレットメタレンズシステムは、焦平面上(例えば、デジタルイメージングセンサ上)における色補正および幾何補正された入射光放射の集束を介して、入射角情報を保存する。
【0109】
様々な実施形態によれば、ダブレットメタレンズは、キューブサットまたはその他の小型光学撮像衛星の一部としてまとめられてもよい。例えば、ダブレットメタレンズは、長方形光学イメージングセンサと対になった長方形メタレンズとして、具現化されてもよい。ダブレットメタレンズは、各辺が約10センチメートルの寸法を有してもよく、400ナノメートル~1,000ナノメートルのスペクトル動作帯域幅を提供してもよい。一部の実施形態において、所与の衛星の撮像要件が満たされるように、魚眼メタレンズおよび/または双曲メタレンズが、ダブレットメタレンズの代わりに、またはダブレットメタレンズと併せて使用されてもよい。
【0110】
図7Aは、単一の反射性メタレンズ722と、光路の中心に合わせられたデジタルイメージセンサ726と、を含む、反射型イメージングシステム702の光路のブロック図を示す。デジタルイメージセンサ726は入射光の一部を遮断するが、デジタルイメージセンサ726の相対サイズは反射性メタレンズ722の有効口径と比較して非常に小さいので、多くの状況において許容可能である。図示のように、入射光放射720は、メタレンズ722によって、デジタルイメージセンサ726の平面上への集束光放射724として反射される。
【0111】
図7Bは、一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズ723と、中心からずらされたデジタルイメージセンサ727と、を含む、反射型イメージングシステム703の光路のブロック図を示す。図示の実施形態において、中心からずらされたデジタルイメージセンサ727は、視野が最も実用的となるよう、デジタルイメージングシステムのアパーチャを遮断していない。入射光放射720は、メタレンズ723によって、デジタルイメージセンサ727によって受光される集束光放射725として反射される。
【0112】
図8は、一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズ831と、別個の赤色、緑色、および青色(RGB)のイメージセンサ835、836、および837とを含む、別の反射型イメージングシステム804の光路のブロック図を示す。図示の実施形態では、周波数に基づき反射角の変動を可能にする、メタレンズ設計の独特の能力が活用されている。本明細書に記載されているように、メタサーフェス831は、入射光放射830からの緑色光を、緑色チャネルデジタルイメージセンサ836上に集束される光放射832として反射させる素子間隔および直径を有する複数のピラーの第1セットを有するように設計することができる。本明細書に記載されているように、メタサーフェス831は、入射光放射830からの赤色光を、赤色チャネルデジタルイメージセンサ835上に集束される光放射832として反射させる素子間隔および直径を有する複数のピラーの第2セットを有するように設計することができる。同様に、本明細書に記載されているように、メタサーフェス831は、入射光放射830からの青色光を、青色チャネルデジタルイメージセンサ837上に集束される光放射832として反射させる素子間隔および直径を有する複数のピラーの第2セットを有するように設計することができる。
【0113】
メタレンズ831によって、複数のカラーチャネル835、836、および837の各々において、光放射の周波数選択的集束が提供される。すなわち、反射された赤色光は、赤色チャネル835のためのデジタルイメージセンサ上に集束され、反射された青色光は、青色チャネル837のためのデジタルイメージセンサ上に集束され、反射された緑色光は、緑色チャネル836のためのデジタルイメージセンサ上に集束される。したがって、デジタルイメージセンサは、典型的なカラーフィルタおよび/またはマイクロレンズを必要とせず、これを省いてもよい。
【0114】
図9Aは、一実施形態による、フラットプリズムとして機能するメタレンズ小型レンズの図を示す。メタサーフェスは、例えば、一辺が約100マイクロメートルであってもよく、赤色、緑色および青色のカラーチャネルを空間的に分離するように動作してもよい。本明細書に記載されているように、メタサーフェスは、緑色光を偏向させる素子間隔および直径を有する複数のピラーの第1セットと、赤色光を反射させる素子間隔および直径を有する複数のピラーの第2セットと、青色光を反射させる素子間隔および直径を有する複数のピラーの第3セットと、を含んでもよい。一部の実施形態によれば、複数のピラーの第1セット、第2セット、および第3セットは、メタレンズの表面上に交互配置され(interleaved)てもよく、または各カラーチャネルセットの複数の小さいグルーピングまたは複数のサブアレイにおいて配置されてもよい。
【0115】
図9Bは、一実施形態による、フラットプリズムメタレンズ小型レンズ900の機能の正面図を示す。図示のように、フラットプリズムメタレンズ小型レンズ900に入射する白色光は、第2方向へ方向付けられた緑色光920および第3方向へ方向付けらた青色光930に対してある角度で、第1方向に赤色光910を方向付けるように偏向される。
【0116】
図9Cは、一実施形態による、フラットプリズムメタレンズ小型レンズ900の機能の側面図を示す。ここでも、入射白色光950は、赤色のカラーチャネル910、緑色のカラーチャネル920、および青色のカラーチャネル930に分割され、各々、異なる角度に偏向されている。
【0117】
図10Aは、一実施形態による、狭帯域の光放射を焦点1035に集束させる透過性メタレンズフィルタ1025の一例を示す。当該狭帯域外の光放射は、集束されることなく、透過性メタレンズフィルタ1025を通過する。
【0118】
図10Bは、一実施形態による、フィルタリングおよび集束された光放射の正規化パワーの、波長に対するグラフ1050を示す。図示の実施形態において、約650ナノメートルを中心とする60ナノメートルの帯域は、透過性メタレンズフィルタ1025によって集束される。他の周波数は、焦点1035へ偏向されない。したがって、透過性メタレンズフィルタ1025は、周波数選択的メタレンズまたは狭帯域フィルタであるということができ、狭帯域の光放射の偏向を制御する様々な用途に使用することができる。
【0119】
図11は、一実施形態による、共面狭帯域RGBメタレンズ1150、1151、および1152を用いたイメージングシステム1101の光路のブロック図を示す。本明細書に記載されているように、メタレンズ1150のピラーアレイ、メタレンズ1151のピラーアレイ、およびメタレンズ1152のピラーアレイの共鳴は、設計された共鳴周波数外の他の波長を偏向させることなく狭帯域の波長を集束させるように、選択することができる。図示のように、可視光130は、共面狭帯域メタレンズ1150、1151、および1152によって受光される。赤色狭帯域メタレンズ1150は、赤色光放射1155を赤色デジタルイメージセンサ1160上に集束させる。緑色可視光および青色可視光を含む、可視光1130のその他の波長1131は、偏向および集束されずに赤色狭帯域メタレンズ1150を通過する。
【0120】
緑色狭帯域メタレンズ1151は、緑色光放射1156を緑色デジタルイメージセンサ1161上に集束させる。赤色可視光および青色可視光を含む、可視光1130の他の波長1132は、偏向および集束されずに緑色狭帯域メタレンズ1151を通過する。青色狭帯域メタレンズ1152は、緑色光放射1157を青色デジタルイメージセンサ1162上に集束させる。赤色可視光および青色可視光を含む、可視光1130の他の波長1133は、偏向および集束されずに青色狭帯域メタレンズ1152を通過する。
【0121】
図12は、一実施形態による、連続した狭帯域RGBメタレンズ1250、1251、および1252を用いたイメージングシステム1202の光路のブロック図を示す。図示のように、可視光1230は、赤色狭帯域メタレンズ1250によって受光され、赤色光1255が赤色デジタルイメージセンサ1260へ集束される。青色波長および緑色波長を含む、他の波長1231は、赤色狭帯域メタレンズ1250を通過し、緑色狭帯域メタレンズ1251によって受光される。緑色狭帯域メタレンズ1251は、緑色光1256を、緑色デジタルイメージセンサ1261上に集束させる。青色波長を含む他の波長1232は、緑色狭帯域メタレンズ1251を通過し、青色狭帯域メタレンズ1252によって受光される。青色狭帯域メタレンズ1252は、青色光1257を、青色デジタルイメージセンサ1262上に集束させる。他の波長1233(すなわち、全ての非RGB波長)は、青色狭帯域メタレンズ1252を通過する。
【0122】
図13Aは、一実施形態による、狭帯域の光放射を焦点1335へ反射させて集束させる、反射性メタレンズフィルタ1325を示す。当該狭帯域外の光放射は、反射されることなく、反射性メタレンズフィルタ1325を通過する。
【0123】
図13Bは、一実施形態による、フィルタリングおよび集束された光放射の正規化パワーの、波長に対するグラフ1350を示す。ここでも、650ナノメートルを中心とする約60ナノメートルの帯域の光放射は、メタレンズフィルタ1325によって、反射的に集束される。他の周波数は反射されない。代わりに、当該狭帯域外の周波数は通過させられ、または焦点1335以外の場所へわずかに偏向される。
【0124】
図示されていないが、図示された赤色チャネル狭帯域反射性メタレンズ1625に、緑色および青色の狭帯域反射性メタレンズを追加することによって、完全なRGBイメージングシステムを生成することができる。本明細書に図示および説明された実施形態の多くは、RGBデジタルイメージングセンサおよび可視光の文脈において提供されている。しかしながら、メタレンズは、可視スペクトル外の波長における狭帯域で動作するように構成できることを理解されたい。例えば、メタレンズは、可視光の代わりに、または可視光に加えて、狭帯域の紫外光および/または赤外光を選択的に集束するように構成されてもよい。非可視帯域に基づいて生成されたイメージは、擬似カラー表示を用いて、人間が視認できるように表示することができる。
【0125】
図14Aは、一実施形態による、例示的な狭帯域周波数選択的フィルタの単位セル1400を示す。図示のように、複数の偏向器素子1450のディスク状アレイが、基板1425内に配置されている。一部の実施形態において、単位セル1400は、約370ナノメートルの素子間隔を有する一次元アレイまたは二次元アレイの一部として複製されてもよい。基板1425は、例えば、SiO
2から形成されてもよい。一部の実施形態において、複数の偏向器素子1450のディスクは、約100ナノメートルの高さを有する偏向器素子を含んでもよい。
【0126】
図14Bは、一実施形態による、
図14Aの複数の偏向器素子1450のディスク状アレイにおける、複数の受動偏向器素子のアレイの半径選択に対するマグニチュードのグラフ1460を示す。
【0127】
図14Cは、一実施形態による、
図14Aの複数の受動偏向器素子1450のディスク状アレイの様々な半径選択に対する位相シフト値のグラフ1475を示す。前述の実施形態と同様に、複数の受動偏向器素子1450のディスク状アレイの半径は、透過率および同調可能性(チューナビリティ:tunability)の標的機能性が達成されるように選択されてもよい。
【0128】
図14Dは、一実施形態による、複数のナノピラーのパターンを備える狭帯域偏光非依存性メタレンズ1401の一例を示す。複数のナノピラー(本明細書において、単に「複数のピラー」とも称される)は、図示の例では、複数の行および複数の列として配置されている。しかしながら、複数のピラーは、同心リング状またはその他のパターンで配置され得ることを理解されたい。以下の議論では、標的共鳴、狭帯域周波数選択的応答、複数のピラーの配置、間隔、およびその他のバリエーションが達成されるように、ピラーの構成および寸法の多数の変形形態、実施形態、および実施例が提供される。例えば、メタレンズ1401は、円または薄いディスクとして図示されているが、複数のナノピラーのパターンの代替実施形態は、長方形、正方形、または別の幾何学的形状をなしていてもよい。
【0129】
図14Eは、一実施形態による、長方形の薄プリズム(thin-prism)形状をなす複数のナノピラーのパターンを備える、狭帯域偏光非依存性メタレンズ1402の一例を示す。当該長方形の薄プリズム形状は、特定の周波数または狭い周波数帯域の受光された光放射を、例えば、対応する長方形デジタルイメージングセンサ上へ集束させ得る。
【0130】
図15Aは、一実施形態による、メタレンズ構造体のための複数の偏向器素子1510のパターンの例示的な表現の上面図を示す。図示の例には、隣り合う偏向器素子間の間隔が一様となるように、複数の偏向器素子1510の正方形グリッドが含まれる。偏向器素子1510は、一様な高さを有するように構成されてもよい。図示された例において、偏向器素子1510は、複数のピラー直径の繰り返しパターンに配置された複数の円形ピラーを含む。複数の偏向器素子1510の図示された行および列は、代わりに、円形メタレンズの一部として同心リングをなすように湾曲していてもよい。
【0131】
図15Bは、一実施形態による、
図15Aのメタレンズにおける複数の偏向器素子1510のパターンの例示的な表現の拡大斜視図を示す。図示のように、複数の偏向器素子1520のアレイは、基板から延在する複数の円形ピラーの、一様に離隔した配置構成を含む。複数の偏向器素子1520は、種々のピラー直径を有する。当該ピラー直径は、一方の次元(左から右)に沿って増加し、他方の次元(上から下)に沿って一定である。前述したように、複数のピラーは、円形メタレンズの一部として同心リング状に配置されてもよい。一部の実施形態において、複数のピラーの複数の行および複数の列は、本明細書に記載されているように、同心円の近似をなすようにずらされ、切り取られてもよい。
【0132】
図16Aは、一実施形態による、基板1650上に複数のナノピラー偏向器素子1630が配置されたメタレンズ1600の、側面視に係る例示的なブロック図を示す。図示のように、ナノピラー偏向器素子1630は、一様な高さH、および様々な直径Dを有してもよい。図示された例において、ナノピラー偏向器素子1630は、隣り合うナノピラーの中心間の距離Pで、均等に離隔している。本明細書に記載されているように、ナノピラーの寸法、パターンおよび間隔は、標的偏向パターン(例えば、偏向角、分散、コリメーション、収束等)および標的周波数応答(例えば、光放射の標的動作帯域幅)が達成されるように選択される。
【0133】
図16Bは、一実施形態による、入射光放射1670を標的偏向角に偏向された光放射1675として反射させるように機能する、
図16Aのメタレンズ1600の例示的なブロック図を示す。
【0134】
図16Cは、一実施形態による、入射光放射1671を標的偏向角に偏向された光放射1676として透過させて方向転換させる、
図16Aのメタレンズ1600の例示的なブロック図を示す。
【0135】
各繰り返しパターンにおけるピラーの個数は、特定の周波数および標的偏向角に従って変化し得る。中心間間隔P、高さHおよび直径Dの以下の具体例は、基板上の複数のナノピラーの図示された繰り返しパターンを含む、複数の偏向器素子の様々なパターンに関する。特定の一実施形態によれば、緑色メタレンズの複数の偏向器素子は、約550ナノメートルの波長を有する緑色光に対して、約260ナノメートルの高さH、および、約180ナノメートルの中心間間隔Pを有してもよい。高さHおよび中心間間隔Pは、緑色光の特定の周波数または周波数範囲に基づいて調節または特定されてもよい。
【0136】
一実施形態において、緑色メタレンズにおけるナノピラーの直径Dの範囲は、2π範囲を超える位相シフトが達成されるように、約80ナノメートル~約140ナノメートルであってもよい。緑色メタレンズにおける複数のナノピラーの複数の繰り返し行の二次元配置構成全体にわたる位相シフトの標的パターンは、緑色光の標的偏向パターンが達成されるように選択されてもよい。その他の周波数の光は、メタレンズによって影響されなくてもよい(例えば、偏向されずにメタレンズを通過する)。さらに、様々な直径の複数の繰り返しナノピラーの各列におけるナノピラーの個数は、標的偏向パターン、および緑色光の特定の周波数または周波数範囲に基づいて決定されてもよい。様々な直径の複数のナノピラーの複数の繰り返しパターンの行および列の総数は、緑色メタレンズの全長および全幅に依存していてもよい。例えば、メタレンズは、イメージングシステムの標的アパーチャまたは標的Fストップに従ってサイズ決定され得る。
【0137】
青色メタレンズの複数の偏向器素子は、約490ナノメートルの波長を有する青色光に対して、約260ナノメートルの高さH、および、約180ナノメートルの中心間間隔Pを有してもよい。やはり、高さH、および中心間間隔Pは、青色光の特定の周波数または周波数範囲に基づいて調節または特定されてもよい。青色メタレンズにおける複数のナノピラーの各繰り返し行内のナノピラーの直径Dの範囲は、2π範囲を超える位相シフトが達成されるように、約40ナノメートル~約140ナノメートルであってもよい。青色メタレンズにおける複数のナノピラーの複数の繰り返し行の二次元配置構成全体にわたる位相シフトの標的パターンは、標的偏向パターン(例えば、反射角、回折角、屈折角)が達成されるように選択されてもよい。さらに、様々な直径の複数の繰り返しナノピラーの各行におけるナノピラーの個数は、標的偏向パターン、および/または、青色光の特定の周波数または周波数範囲に基づいて決定されてもよい。様々な寸法の複数のナノピラーの複数の繰り返しパターンの行および列の総数は、青色メタレンズの全長および全幅に依存していてもよい。
【0138】
図示の例示的な実施形態において、赤色メタレンズの複数の偏向器素子は、約635ナノメートルの波長を有する赤色光に対して、約260ナノメートルの高さH、および、約230ナノメートルの中心間間隔Pを有してもよい。高さH、および中心間間隔Pは、赤色光の特定の周波数または周波数範囲に基づいて調整または指定されてもよい。赤色メタレンズの総サイズ(例えば、長さおよび幅または直径)は、イメージングシステム(例えば、望遠鏡またはカメラ)の標的アパーチャまたは標的Fストップが提供されるようにサイズ決定され得る。
【0139】
赤色メタレンズにおける複数のナノピラーの各繰り返し行内のナノピラーの直径Dの範囲は、2π範囲を超える位相シフトが達成されるように、約100ナノメートル~約210ナノメートルであってもよい。赤色メタレンズにおける複数のナノピラーの複数の繰り返し行の二次元配置構成全体にわたる位相シフトの標的パターンは、狭帯域の光に対して標的偏向パターン(例えば、反射角、回折角、屈折角)が達成されるように選択されてもよい。さらに、様々な直径の複数の繰り返しナノピラーの各行におけるナノピラーの個数は、標的偏向パターン、および/または、赤色光の特定の周波数または周波数範囲に基づいて決定されてもよい。様々な寸法の複数のナノピラーの複数の繰り返しパターンの行および列の総数は、赤色メタレンズ943の標的直径に依存していてもよい。
【0140】
図示の例では、上述したように、赤色メタレンズ、緑色メタレンズ、および青色メタレンズの各メタレンズに対するナノピラーの高さは同じである。代替実施形態において、異なる色の各メタレンズのナノピラーの高さは、異なっていてもよい。本明細書に記載された例示的メタレンズは、RGBデジタルイメージセンサのためのものである。しかしながら、4色以上の色を使用してイメージを再構成するデジタルイメージセンサ(例えば、RGBYのピクセルおよびサブピクセル、RGBWのピクセルおよびサブピクセル、またはRGBYCのピクセルおよびサブピクセルを用いたデジタルイメージセンサ等の、マルチプライマリ(MultiPrimary)デジタルイメージセンサ)等の、代替的なデジタルイメージセンサ配色が可能であることを理解されたい。
【0141】
本明細書に記載されているように、同心の複数のナノピラーの複数のリングは、隣接するリングにおける隣接する複数のナノピラーから、中心間間隔Pで離隔されていてもよく、これは一定であってもよい。一部の実施形態において、隣接する複数のリングにおける隣り合うナノピラーの中心間間隔Pは、偏向(例えば、屈折、回折、または反射)対象となる光の周波数の関数であってもよい。したがって、青色メタレンズに関する隣り合うナノピラーの中心間間隔Pは、赤色メタレンズまたは緑色メタレンズに関する隣り合うナノピラーの中心間間隔Pとは異なっていてもよい。
【0142】
隣り合う複数のナノピラーリングにおける複数のナノピラー間の間隔は、メタレンズの複数のナノピラーの個々のリング内の隣り合うナノピラーの中心間間隔Pと同じであってもよい。あるいは、複数のナノピラーの隣り合うリングにおける複数のナノピラー間の間隔は、メタレンズの複数のナノピラーの個々のリング内の隣り合うナノピラーの中心間間隔Pとは異なっていてもよい。
【0143】
図17Aは、一実施形態による、赤色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セル1700を示す。図示のように、ポリ-Si円筒形偏向器素子1705は、280ナノメートルの高さを有するように、SiO
2基板1703から延在する。赤色メタレンズサブピクセルを形成する複数の単位セルのアレイの中心間素子間隔は、270ナノメートルであってもよい。赤色メタレンズサブピクセルには、2π範囲を超える位相シフトが達成されるように、80ナノメートル~180ナノメートルの範囲の直径を有する複数の偏向器素子1705を有する複数の単位セルが含まれてもよい。
【0144】
図17Bは、一実施形態による、約650ナノメートルの波長を有するLEDディスプレイの赤色サブピクセルに関するメタレンズの単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径(X軸)に対する透過効率値(Y軸)のグラフを示す。
【0145】
図17Cは、一実施形態による、赤色サブピクセルに関する円筒形偏向器素子の、様々な直径(X軸)に対する様々な位相シフト値(Y軸)のグラフを示す。図示のように、2πの位相シフト範囲が達成されるように、偏向器素子直径の様々な可能な範囲が用いられ得るだろう。
【0146】
図17Dは、
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。図示のように、一次回折の回折効率は、約80%である。
【0147】
図18Aは、一実施形態による、緑色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セル1800を示す。図示された例において、ポリ-Si円筒形偏向器素子1805は、280ナノメートルの高さを有するように、SiO
2基板1803から延在する。緑色メタレンズサブピクセルを形成する複数の単位セルのアレイの中心間素子間隔は、270ナノメートルであってもよい。このように、赤色偏向器素子(
図17Aにおける1703)の素子間隔および偏向器素子の高さ、および、緑色偏向器素子(
図18Aにおける1803)の素子間隔および偏向器素子の高さは、同じであってもよい。しかしながら、緑色メタレンズサブピクセルには、2π範囲に近い位相シフトが達成されるように、80ナノメートル~140ナノメートルの範囲の直径を有する複数の偏向器素子1805を有する複数の単位セルが含まれてもよい。2π未満の位相シフト範囲で十分である用途においては、より狭い直径の範囲が利用されてもよい。
【0148】
図18Bは、一実施形態による、約535ナノメートルの波長を有するLEDディスプレイの緑色サブピクセルに関するメタレンズの単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径(X軸)に対する透過効率値(Y軸)のグラフを示す。図示のように、比較的高い透過効率を維持しつつ、120ナノメートル~190ナノメートルの直径の範囲が用いられ得る。
【0149】
図18Cは、一実施形態による、緑色サブピクセルに関する円筒形偏向器素子の、様々な直径(X軸)に対する様々な位相シフト値(Y軸)のグラフを示す。
【0150】
図18Dは、
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。図示のように、一次回折の回折効率は、約80%である。
【0151】
図19Aは、一実施形態による、青色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セル1900を示す。図示された例において、ポリ-Si円筒形偏向器素子1905は、280ナノメートルの高さを有するように、SiO
2基板1903から延在する。青色メタレンズサブピクセルを形成する複数の単位セルのアレイの中心間素子間隔は、230ナノメートルであってもよい。青色メタレンズサブピクセルには、2π範囲に近い位相シフトが達成されるように、40ナノメートル~140ナノメートルの範囲の直径を有する複数の偏向器素子1905を有する複数の単位セルが含まれてもよい。
【0152】
図19Bは、一実施形態による、約490ナノメートルの波長を有するLEDディスプレイの青色サブピクセルに関するメタレンズの単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径(X軸)に対する透過効率値(Y軸)のグラフを示す。
【0153】
図19Cは、一実施形態による、青色サブピクセルに関する円筒形偏向器素子の、様々な直径(X軸)に対する様々な位相シフト値(Y軸)のグラフを示す。
【0154】
図19Dは、
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。図示のように、一次回折の回折効率は、青色単位セルに関して約85%である。
【0155】
図20A~
図20Gは、一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【0156】
図20Aは、クリーニングされる、溶融シリカ基板等の基板を示す。
【0157】
図20Bは、溶融シリカ上に堆積したポリシリコンを示す。例えば、低圧化学蒸着(low-pressure chemical vapor deposition:LPCVD)法(例えば、SiH4を利用するLPCVD法等)を用いて、溶融シリカ基板上にポリシリコン層を堆積させてもよい。示されるように、ポリシリコンは、吸収損失を低減させて完成メタレンズの透過効率を向上させるのに十分な時間、適切な温度でアニールされる。例えば、ポリシリコンは、ポリシリコンの厚さ、標的動作周波数帯域、およびその他の標的特性機能性に応じて、30分間~90分間にわたって、900℃~1100℃の温度でアニールされてもよい。例えば、ポリシリコンの光学的性質は、より短い波長における吸光係数が低下するように、不活性雰囲気ガス(例えば、アルゴン、N2等)中において1時間以上、1000℃を超える温度でポリシリコンをアニールすることによって、改善されてもよい。
【0158】
一部の実施形態において、プラズマ促進化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition:PECVD)法、高密度プラズマ化学蒸着(high-density plasma chemical vapor deposition:HDPCVD)法、および/または多種多様な任意の代替的な化学蒸着(chemical vapor deposition:CVD)法を利用して、溶融シリカ基板(または、別の適切な基板材料)上にポリ-Si層(または、別の適切な材料)を堆積してもよい。
【0159】
図20Cは、ポリシリコン上に堆積した、レジスト(例えば、フォトレジスト等)の塗布を示す。一部の実施形態において、Ma-N2403等のネガ型フォトレジストが利用される。しかしながら、マスキングプロセスおよびエッチングプロセスが反転またはその他の方法で変更され得るポジ型フォトレジストを含む、代替的なフォトレジストが利用され得ることを理解されたい。
【0160】
図20Dは、フォトレジストの電子ビームリソグラフィ(e-ビームリソグラフィ)、フォトレジストの現像、および(例えば、ハードベークされたフォトレジストパターンを生成するための)フォトレジストのハードベーキングを示す。フォトレジストは、完成メタレンズに関する複数のピラー直径の標的アレイに対応するマスクパターンを有するように、具体的に現像される。複数のピラーの標的アレイは、本明細書において想定および記載され、または、参照によって援用された先に引用した刊行物において想定および記載された、反射性メタレンズ設計、回折性メタレンズ設計、屈折性メタレンズ設計、またはフィルタリングメタレンズ設計のいずれかに従う、標的となる波長範囲に関して特定の偏向応答が達成されるように選択された複数の直径のパターンを有する複数のピラーの二次元アレイであってもよい。
【0161】
図20Eは、ポリシリコンの部分的エッチングを示す。この第1エッチングでは、頂部におけるフォトレジストのキャップによって保護されたピラーの間のポリシリコン材料の一部が除去されるが、溶融シリカ基板までポリシリコンがエッチングされることはない。このため、部分的に形成された隣り合うポリシリコンピラー(または、ナノピラー)の間にエッチングされていないポリシリコンの層のある、部分的に形成された当該ポリシリコンピラー(または、ナノピラー)が、この部分的エッチングによって生成される。様々な実施形態によれば、この第1エッチングには、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)法(例えば、HBrおよび/またはCl2を用いたRIE法等)が含まれてもよい。
【0162】
図20Fは、部分的に形成されたポリシリコンピラーとエッチングされていないポリシリコンの層とを基板に沿って露出させるための、フォトレジストマスク層の除去を示す。フォトレジスト除去プロセスには、例えば、02プラズマ除去、H2プラズマ除去、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)の適用、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)の適用、これらの組み合わせ、および/または代替的なフォトレジスト除去プロセスが含まれてもよい。
【0163】
図20Gは、ポリシリコンのエッチングされていない層を除去し、基板から延在する完成ポリシリコンピラーの形成を完了するための、ポリシリコンの第2エッチングを示す。ポリシリコンのこの第2エッチングは、
図20Fにおける部分的に形成されたポリシリコンピラーの高さをわずかに減少させ得る。さらに、これによって、残存するいかなるフォトレジストも、完成ポリシリコンピラーから完全に除去されることが保証される。この2工程エッチングプロセスは、第2エッチングによって、標的ピラー高さが得られるようにピラーの高さを設定することを可能にする。本明細書に詳述するように、フォトレジストは、第1エッチング(
図20E)と第2エッチング(
図20G)との間に除去される(
図20F)。
【0164】
図21A~
図21Fは、一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【0165】
図21Aにおいて、溶融シリカ基板がクリーニングされる。
図21Bにおいて、ポリ-Si層が溶融シリカ基板上に堆積される。例えば、ポリ-Si膜は、低圧化学蒸着(LPCVD)法を用いて堆積してもよい。他の実施形態において、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)法、高密度プラズマ化学蒸着(HDPCVD)法、および/または多種多様な任意の代替的な化学蒸着(CVD)法を利用して、溶融シリカ基板(または、別の適切な基板材料)上にポリ-Si層(または、別の適切な材料)を堆積してもよい。ポリ-Si層は、210ナノメートル~250ナノメートル(例えば、230ナノメートル)の厚さを有するように堆積されてもよい。
【0166】
次いで、吸収損失が低減することで、完成メタレンズの透過効率が向上するように、ポリシリコンがアニールされる。すなわち、単にポリシリコンが硬化または安定化するようにアニーリングがなされるのではなく、アニーリングプロセスは、標的動作帯域幅内における光放射の吸収損失を低減させるという特定の目的に関して適切な温度および十分な時間量で実施される。様々な実施形態において、光学周波数(optical frequencies)での使用に実用的であるとは一般に考えられていないポリシリコンは、吸収損失を35%も低減するようにアニールされ、それによって、ポリシリコンは、光学周波数での使用に適したものにされる。
【0167】
図21Cに示すように、リソグラフィのためのフォトレジストまたはその他のレジストを、堆積したポリ-Si層上に塗布してもよい。
図21Dにおいて、例えばEビームリソグラフィ(EBL)または別のナノリソグラフィ手法等のリソグラフィプロセスを用いて、メタレンズに含まれる複数の偏向器素子直径のパターンが定められる。本明細書に記載されているように、複数の偏向器素子直径のパターンは、1回以上繰り返されてもよく、複数の偏向器素子直径のパターンは、標的動作帯域幅内における光放射のための標的偏向パターンが提供されるように選択されてもよい。
【0168】
図21Eに示すように、反応性イオンエッチングを利用して、レジストが現像されなかったポリ-Siがエッチングされてもよい。
図21Fでは、レジストを除去して、溶融シリカ基板から延在するポリ-Siピラー(または、別の形状の偏向器素子)が現れるようにしてもよい。
図21A~
図21Eにおける側面図には複数のピラーの一次元行が示されているが、同じ方法を用いて、複数のピラーの二次元アレイを製造できることを理解されたい。この製造方法を用いて、各メタレンズピクセルまたは各メタレンズサブピクセルを別々に製造してもよく、その後、個々のメタレンズピクセルまたはメタレンズサブピクセルを接合することができる。あるいは、この製造方法を用いて、複数のメタレンズピクセルまたはメタレンズサブピクセルの完全な二次元アレイを、単一ユニットとして製造することができる。
【0169】
様々な実施形態によれば、メタレンズパターンには、標的反射パターンに対応する様々な直径の複数のピラーの長方形(例えば、正方形)アレイが含まれる。一部の場合において、製造手法によって、複数のピラーのアレイを有する長方形セルの最大サイズが制限され得る。例えば、各辺が約1センチメートルであるタイルは、所与の製造プロセス(例えば、CMOSプロセス)を用いて製造され得る。次いで、任意の数のこれらのタイルが、標的長さおよび標的幅を有する長方形アパーチャを有するメタレンズが形成されるように組み合わせられてもよい。電子ビームリソグラフィは、ミクロンスケールにおけるデバイス製造、または場合によってはミリメートルスケールにおけるデバイス製造に限定されることがあるが、同じピラー直径アレイを反復的にタイル(小片)張りして、隣接するタイルを組み合わせることで、はるかに大きなデバイスの製造が可能となる。
【0170】
例えば、複数のピラーのアレイは、ミクロンスケールまたはミリメートルスケールのアパーチャ内において適合する様々な直径を有するよう定められてもよい。はるかに大きなデバイスが生成されるよう、製造時、必要な回数だけパターンが繰り返されてもよい。例えば、CMOSプロセスを用いて、約1.2平方センチメートルのメタレンズが生成され得る。300ミリメートルのウェハをCMOSプロセスで使用して、約1平方センチメートルまでサイズが変化する、長方形の複数の個々のメタレンズが生成され得る。CMOS製造技法を使用して製造されるメタレンズは、より小型の電子機器(例えば、携帯電話、コンピュータ、パーソナル電子デバイス、カメラ等)で使用するために、適切にサイズ決定され得る。
【0171】
対照的に、深紫外線リソグラフィ(deep ultraviolet lithography)を用いて、300ミリメートルのウェハの表面全体上にメタレンズを生成してもよい。この場合にも、シリコンウェハの表面上に長方形メタレンズが生成されるように、非常に小さな(例えば、ミクロンスケールまたはミリメートルスケールの)正方形タイルが、深紫外線リソグラフィプロセスを用いて、必要な回数だけ複製され得る。衛星またはその他のイメージングデバイスのための表示光学系では、深紫外線リソグラフィ技法を使用して製造された、比較的大きなメタレンズが使用されてもよい。
【0172】
さらに他の実施形態において、ナノインプリントリソグラフィプロセスにおいてタイルを複製して、(例えば、デジタルディスプレイ用途、または大型光学イメージング用途のための)1平方メートル以上のメタレンズを生成してもよい。ナノインプリントリソグラフィプロセスによって、様々な直径を有する複数のピラーのアレイを定める基本タイルを、必要な回数だけ複製して、標的長さおよび標的幅を有するメタレンズを生成することができる。例えば、ナノインプリントリソグラフィを使用して、RGBディスプレイの上に直接、またはデジタルイメージングセンサの上に直接、メタレンズを作製してもよい。RGBディスプレイの上に作製されたメタレンズは、各々の個々のLEDからの光を、ディスプレイの平面に垂直な標的方向に偏向させ得る。このメタレンズは、各ピクセルの有効輝度(effective brightness)を増大させ、個々の赤色、緑色および青色のサブピクセル間のクロストークを低減させ得る。
【0173】
一部の実施形態において、青色サブピクセル(または、その他のカラーチャネルサブピクセル)と関連付けられたメタレンズは、RGBディスプレイのオフアングル視(off-angle viewing)において散乱される光の量を変更するように構成されてもよい。例えば、青色光は、赤色および緑色のカラーチャネルよりもオフアングルに(例えば、ディスプレイの平面に垂直な方向以外の方向に)散乱し得る。したがって、RGBディスプレイを見る人は、オフアングル視中に、青色スペクトルの方への色シフトを知覚し得る。このように、RGBディスプレイ上のメタレンズは、赤色、緑色、および青色の各サブピクセルからオフアングルに散乱された光の量を正規化(normalize)または等化(equalize)するように構成され得る。
【0174】
様々な実施形態によれば、各メタレンズの複数のピラーのアレイの設計は、特定の製造プロセスとの互換性に関して選択される。例えば、各ピラーの直径(または、幅)に対する各ピラーの高さの比は、3未満であってもよい。CMOSプロセスを使用して、かかるアスペクト比を有する特徴を、リソグラフィで定めてエッチングすることができる。同様に、ポリシリコンは、一般にCMOS互換的であると考えられる。一方、二酸化チタンのような他の材料は、製造プロセス互換性が保たれるよう、メタレンズの製造には使用されない。
【0175】
図22Aは、一実施形態による、イメージングセンサ上にオーバーレイされた、メタレンズを用いて実装されたベイヤー型カラーフィルタ2200の一例を示す。図示の例には、赤色、緑色、および青色のカラーフィルタが、種々のシェーディングを用いて示されている。一部の実施形態において、本明細書に記載されたメタレンズは、デジタルイメージングセンサの既存のカラーフィルタ(例えば、ベイヤー型カラーフィルタ等)を強化してもよい。例えば、緑色周波数応答を有する離散メタレンズは、デジタルイメージングセンサ上の既存のカラーフィルタアレイの緑色サブピクセルカラーフィルタ上に光放射を集束させるように対応付けられ得る。同様に、赤色周波数応答および青色周波数応答を有するメタレンズは、それぞれ、デジタルイメージングセンサ上またはLEDディスプレイ上の既存のカラーフィルタアレイの赤色サブピクセルカラーフィルタおよび青色サブピクセルカラーフィルタへ、光放射に集束その他の方向付けを与えるように対応付けることができる。
【0176】
図22Bは、一実施形態による、メタレンズを用いて実装された狭帯域ピクセルマッピングカラーフィルタ2201の一例を示す。メタレンズ、または複数のメタレンズのアレイは、従来のカラーフィルタアレイを有しないデジタルイメージングセンサと併せて利用され得る。図示の実施形態において、メタレンズの赤色、緑色および青色のピクセルの対応付けは、下にあるデジタルイメージングセンサのサブピクセル検出器へ、一対一の対応付けとなるよう用いられる。
【0177】
例えば、3つの赤色メタレンズ(黒色)の各々は、下にあるデジタルイメージングセンサの対応する赤色サブピクセル検出器素子(detector element)へ対応付けられる。同様に、3つの緑色メタレンズ(斜めクロスハッチング)の各々は、デジタルイメージングセンサの別個の緑色サブピクセル検出器素子へ対応付けられ、3つの青色メタレンズ(縦横クロスハッチング)の各々は、デジタルイメージングセンサの別個の青色サブピクセル検出器素子へ対応付けられる。有効帯域幅(例えば、各メタレンズの3Db帯域幅は、50~80ナノメートルの範囲内であり得る。したがって、650ナノメートルを中心とする赤色メタレンズは、例えば、625ナノメートル~675ナノメートルの光放射を伝播させ得る。例えば、それぞれ535ナノメートルおよび490ナノメートルを中心とする緑色メタレンズおよび青色メタレンズの各々は、下にあるデジタルイメージングセンサのサブピクセル検出器素子へ、同様の帯域幅の光放射を伝播させ得る。
【0178】
図23は、一実施形態による、メタレンズを用いて実装されたサブピクセルマルチバンドカラーフィルタ2300の一例を示す。サブピクセルマルチバンドカラーフィルタ2300では、
図22Bの各メタレンズは、9つのサブピクセルメタレンズのアレイで置き換えられている。下にあるデジタルイメージングセンサには、依然として9つのサブピクセル検出器素子のみが含まれ得る。このため、9つのサブピクセルメタレンズの各アレイは、デジタルイメージングセンサの単一のサブピクセル検出器素子上へ、光放射を方向付ける。
【0179】
例えば、
図22Bの赤色メタレンズ2210は、9つのサブピクセルメタレンズ2310のアレイと置き換えられる。中央のサブピクセルメタレンズは、650ナノメートルの中心動作帯域幅を示す。周囲の8つのサブピクセルメタレンズは、図示のように、中央のサブピクセルメタレンズから、-20ナノメートル、-15ナノメートル、-10ナノメートル、-5ナノメートル、+5ナノメートル、+10ナノメートル、+15ナノメートル、および+20ナノメートルだけずれた波長を中心とする動作帯域幅を有する。集合的に、9つのサブピクセルメタレンズ2310のアレイは、単一のメタレンズを使用して可能であるよりも広い帯域幅の光放射を、下にあるデジタルイメージングセンサのサブピクセル検出器素子へ伝達する(
図23のように)。50ナノメートルという例示的な有効動作帯域幅を上で用いると、図示の9つのサブピクセルメタレンズ2310は、605~695の光放射を、下にあるデジタルイメージングセンサのサブピクセル検出器素子へ伝達し得る。
【0180】
図23の各メタレンズは、N個のサブピクセルメタレンズのアレイと置き換えられ得ることを理解されたい。ここで、Nは、2より大きい整数値である。複数のサブピクセルメタレンズの各のサブピクセルメタレンズの同調周波数のずれは、標的となる集合的動作帯域幅が達成されるように選択され得る。
【0181】
図24は、一実施形態による、メタレンズを用いて実装されたサブ波長マルチバンドカラーフィルタ2400を示す。図示のように、サブ波長マルチバンドカラーフィルタ2400には、サイズがサブ波長である、赤色のためのメタレンズフィルタ、緑色のためのメタレンズフィルタ、および青色のためのメタレンズフィルタが含まれる。
図9A~
図9Cに関連して説明したように、サブ波長マルチバンドカラーフィルタ2400は、赤色の光放射、緑色の光放射、および青色の光放射を下にあるデジタルイメージングセンサの対応するサブピクセル検出器素子へ方向付ける複数のフラットプリズムの二次元アレイとして、効果的に機能し得る。
【0182】
図25は、一実施形態による、導波路2560と併せて入力メタレンズカプラ2565および出力メタレンズカプラ2566を利用する、例示的なディスプレイシステム2500を示す。図示のように、コントローラ2501およびRGBレーザアセンブリ2503は、RGBディスプレイを生成するディスプレイエンジン2570に、光放射を伝達する。入力メタレンズカプラ2565は、生成されたRGB光放射を結合して、導波路2560の長さ(方向)に沿って伝達させる。出力メタレンズカプラ2566は、伝達された光放射を受光し、それを導波路2560から分離して、(例えば、標的平面への周波数選択的集束を介して、)ユーザの眼2514に視覚化させる。
【0183】
本開示は、最良の形態を含む様々な実施形態を参照してなされたものである。しかしながら、当業者ならば、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して変更および修正を行い得ることを認識するだろう。本開示の原理を様々な実施形態において示してきたが、構造、配置構成、比率、素子、材料および構成要素の多くの修正が、本開示の原理および範囲から逸脱することなく、特定の環境および/または動作要件に適合され得る。これらの変更または修正およびその他の変更または修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0184】
本開示は、限定的な意味ではなく例示的なものとしてみなされるべきものであり、かかる全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、利益、その他の利点、および課題に対する解決手段が、様々な実施形態に関して上述されてきた。しかしながら、利益、利点、課題に対する解決手段、および、任意の利益、利点または解決手段を生じさせ得る(1以上の)任意の要素、もしくは、任意の利益、利点または解決手段をより著しいものとし得る(1以上の)任意の要素は、重大な、必須のまたは不可欠な特徴または要素として解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【
図1A】ケプラー式屈折望遠鏡における光路の例示的な図を示す。
【
図1B】主焦点反射望遠鏡における光路の例示的な図を示す。
【
図1C】地球を撮像するための光学系を有する大型の観測衛星の例示的な図である。
【
図2】一実施形態による、地球を撮像するための光学系を有する小型の観測衛星の例示的な図である。
【
図3】一実施形態による、2つのメタマテリアルレンズと、デジタルイメージセンサと、を含む、屈折型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【
図4A】一実施形態による、メタレンズの中心からの距離に対する、双曲メタレンズの位相応答のグラフを示す。
【
図4B】一実施形態による、種々の入射角で双曲メタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。
【
図4C】一実施形態による、基板上における比較的狭い視野を有する双曲メタレンズのブロック図を示す。
【
図5A】一実施形態による、メタレンズの中心からの距離に対する、魚眼メタレンズの位相応答のグラフを示す。
【
図5B】一実施形態による、種々の入射角で魚眼メタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。
【
図5C】一実施形態による、基板上における比較的広い視野を有する魚眼メタレンズのブロック図を示す。
【
図6A】一実施形態による、それぞれの各メタレンズの中心からの距離に対する、ダブレット構成における各メタレンズの位相応答のグラフを示す。
【
図6B】一実施形態による、種々の入射角でダブレットメタレンズによって集束された、例示的な光線経路を示す。
【
図6C】一実施形態による、基板の互いに反対側の表面上に2つのメタレンズを有する、ダブレットメタレンズのブロック図を示す。
【
図7A】一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズと、デジタルイメージセンサと、を含む、反射型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【
図7B】一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズと、中心からずらされたデジタルイメージセンサと、を含む、反射型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【
図8】一実施形態による、単一のメタマテリアルレンズと、3つの別個のカラーチャネルの各々のための別個のイメージセンサと、を含む、別の反射型イメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【
図9A】一実施形態による、フラットプリズムとして機能するメタレンズ小型レンズの図を示す。
【
図9B】一実施形態による、フラットプリズムメタレンズ小型レンズの機能の正面図を示す。
【
図9C】一実施形態による、フラットプリズムメタレンズ小型レンズの機能の側面図を示す。
【
図10A】一実施形態による、狭帯域の光放射を集束させる、透過性メタレンズフィルタの一例を示す。
【
図10B】一実施形態による、フィルタリングおよび集束された光放射の正規化パワーの、波長に対するグラフを示す。
【
図11】一実施形態による、共面狭帯域メタレンズを用いたイメージングシステムの光路のブロック図を示す。
【
図12】一実施形態による、それぞれのイメージングセンサ上に緑色光、青色光、および赤色光を順次集束させる、マルチチャネルメタレンズフィルタを示す。
【
図13A】一実施形態による、狭帯域の光放射を集束させる、反射性メタレンズフィルタを示す。
【
図13B】一実施形態による、フィルタリングおよび集束された光放射の正規化パワーの、波長に対するグラフを示す。
【
図14A】一実施形態による、例示的な狭帯域周波数選択的フィルタの単位セルを示す。
【
図14B】一実施形態による、複数の受動偏向器素子のアレイの半径選択に対するマグニチュードのグラフを示す。
【
図14C】一実施形態による、複数の受動偏向器素子のアレイの様々な半径選択に対する位相シフトのグラフを示す。
【
図14D】一実施形態による、周波数選択的フィルタの円形単位セルにおいて使用するための複数の受動偏向器素子のアレイの例示的なブロック図を示す。
【
図14E】一実施形態による、周波数選択的フィルタの長方形単位セルにおいて使用するための複数の受動偏向器素子のアレイの例示的なブロック図を示す。
【
図15A】一実施形態による、メタレンズ構造体のための複数の偏向器素子のパターンの例示的な表現の上面図を示す。
【
図15B】一実施形態による、
図15Aのメタレンズにおける複数の偏向器素子のパターンの例示的な表現の拡大斜視図を示す。
【
図16A】一実施形態による、基板上に複数のナノピラー偏向器が配置されたメタレンズの、側面視に係る例示的なブロック図を示す。
【
図16B】一実施形態による、入射光放射を反射させるように機能する
図16Aのメタレンズの例示的なブロック図を示す。
【
図16C】一実施形態による、入射光放射を透過させて方向転換させる、
図16Aのメタレンズの例示的なブロック図を示す。
【
図17A】一実施形態による、赤色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セルを示す。
【
図17B】一実施形態による、
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する透過率値を示す。
【
図17C】一実施形態による、
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する位相シフト値を示す。
【
図17D】
図17Aの例示的な赤色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。
【
図18A】一実施形態による、緑色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セルを示す。
【
図18B】一実施形態による、
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する透過率値を示す。
【
図18C】一実施形態による、
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する位相シフト値を示す。
【
図18D】
図18Aの例示的な緑色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。
【
図19A】一実施形態による、青色メタレンズサブピクセルの例示的な単位セルを示す。
【
図19B】一実施形態による、
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する透過率値を示す。
【
図19C】一実施形態による、
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な直径に対する位相シフト値を示す。
【
図19D】
図19Aの例示的な青色メタレンズサブピクセルに関する単位セルにおける、円筒形偏向器素子の様々な回折次数における回折効率を示す。
【
図20A】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図20B】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図20C】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図20D】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図20E】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図20F】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図20G】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための例示的なプロセスを示す。
【
図21A】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図21B】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図21C】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図21D】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図21E】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図21F】一実施形態による、基板から延在する様々な直径を有する複数の受動偏向器素子のアレイを有するメタレンズを製造するための、例示的なプロセスを示す。
【
図22A】一実施形態による、イメージングセンサ上を覆う、メタレンズを用いて実装されたベイヤー型カラーフィルタの一例を示す。
【
図22B】一実施形態による、メタレンズを用いて実装された狭帯域ピクセルマッピングカラーフィルタの一例を示す。
【
図23】一実施形態による、メタレンズを用いて実装されたサブピクセルマルチバンドカラーフィルタの一例を示す。
【
図24】一実施形態による、メタレンズを用いて実装されたサブ波長マルチバンドカラーフィルタを示す。
【
図25】一実施形態による、入力メタレンズおよび出力メタレンズを導波路と併せて利用する、例示的なディスプレイシステムを示す。
【国際調査報告】