(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】診断検査室システムおよび作動方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549826
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 US2022070700
(87)【国際公開番号】W WO2022178518
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】イャオ-ジェン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ラヤル・ラジュ・プラサド・ナラム・ヴェンカット
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エス・ポラック
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェク・スィング
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュ・ナラシマムルティ
(72)【発明者】
【氏名】アンカー・カプール
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GB10
2G058GE10
(57)【要約】
診断検査室システムを作動させる方法が、診断検査室システム内の物品に対して機能を実行するように構成されたモジュールを提供することと;機能または物品を監視し、監視に応答してセンサデータを生成するようにそれぞれ構成された複数のセンサを提供することと;複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることと;複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することと;修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることと、を含む。この方法を行うように構成されたミドルウェアサーバを含むシステムが、他の態様と同様に提供される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断検査室システムを作動させる方法であって:
診断検査室システム内の物品に対して機能を実行するように構成されたモジュールを提供することと;
機能または物品を監視し、監視に応答してセンサデータを生成するようにそれぞれ構成された複数のセンサを提供することと;
複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることと;
複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することと;
修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることと、
を含む前記方法。
【請求項2】
修正されたセンサデータを使用して機能の少なくとも一部を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
修正されたセンサデータを使用して物品を監視することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スケーリングすることは、第1のセンサの動作ステータスが所定の機能範囲を満たさないことに応答して、第1のセンサからのセンサデータを補完することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
スケーリングすることは、第1のセンサの動作ステータスが機能していないことに応答して、複数のセンサのうちの第1のセンサのセンサデータを補完することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
補完することは、1つまたはそれ以上の第2のセンサからのデータを使用して第1のセンサのデータを補完することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
スケーリングすることは、第1のセンサの動作ステータスが所定の機能範囲を満たさないことに応答して、第1のセンサからのセンサデータを無視することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
モジュールを提供することは、検体を分析するように構成されたモジュールを提供することを含み;
複数のセンサを提供することは、画像データを含む画像を取り込むように構成された少なくとも1つの撮像デバイスを提供することを含み;
センサデータを生成することは、少なくとも1つの撮像デバイスを使用して1つまたはそれ以上の画像を取り込むことを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数のセンサのうちの少なくとも1つの動作ステータスをチェックすることは、少なくとも1つの撮像デバイスによって生成される画像データを解析することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
センサデータをスケーリングすることは、少なくとも1つの撮像デバイスの動作ステータスのチェックに応答して、少なくとも1つの撮像デバイスによって生成された画像データを無視することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの撮像デバイスの動作状態をチェックすることは、少なくとも1つの撮像デバイスのうちの少なくとも1つによって生成された画像データがぼやけた画像を表しているかどうかを判定することを含み;
センサデータをスケーリングすることは、ぼやけた画像を鮮鋭にするために画像データを処理することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
モジュールを提供することは、液体を吸引するように構成された吸引モジュールを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数のセンサを提供することは、吸引モジュールが液体を吸引するのに応答して吸引圧を示すセンサデータを生成するように構成された圧力センサを提供することを含み;
センサデータを生成することは、吸引モジュールが液体を吸引するのに応答して、圧力センサを使用して圧力データを生成することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
圧力センサを使用して圧力トレースを生成することを含み、複数のセンサのうちの少なくとも1つの動作ステータスをチェックすることは、圧力トレースを解析することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
センサデータをスケーリングすることは、圧力センサによって生成された圧力データを無視することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
複数のセンサを提供することは、吸引された液体の画像を取り込むように構成された少なくとも1つの撮像デバイスを提供することをさらに含み、画像は画像データを含み;
センサデータを生成することは、吸引された液体の画像を表す画像データを生成することを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
複数のセンサのうちの少なくとも1つの動作ステータスをチェックすることは、少なくとも1つの撮像デバイスによって生成される画像データを解析することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの撮像デバイスを提供することは、少なくとも1つの光センサを設けることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
センサデータをスケーリングすることは、圧力センサによって生成された圧力データを無視することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
センサデータをスケーリングするステップは、撮像デバイスによって生成された画像データを無視することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
センサデータをスケーリングすることは:
第1の撮像デバイスによって生成された画像データを無視することと;
第2の撮像デバイスを使用して物品の第1の画像データを生成することと;
物品を移動させることと;
第2の撮像デバイスを使用して物品の第2の画像データを生成することと、
を含む請求項16に記載の方法。
【請求項22】
センサデータをスケーリングすることは、ユーザ入力に少なくとも一部基づいてセンサデータをスケーリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第1のセンサの動作ステータスに関するユーザ入力を受信することを含み、センサデータをスケーリングすることは、ユーザ入力に応答して第1のセンサによって生成されたセンサデータを少なくとも部分的に無視するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
第1のセンサの動作ステータスに関するユーザ入力を受信することを含み、センサデータをスケーリングすることは、ユーザ入力に基づいて第1のセンサによって生成されたセンサデータを少なくとも部分的にスケーリングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
物品は、検体または検体容器である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
診断検査室システムであって:
モジュール内の物品に対して機能を実行するように構成されたモジュールと;
機能または物品を監視し、監視に応答してセンサデータを生成するようにそれぞれが構成された複数のセンサと;
コンピュータと、を含み、該コンピュータが:
第1のセンサの動作ステータスをチェックし;
複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信し;
修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサによって生成されたセンサデータをスケーリングする、
ように構成される、
前記診断検査室システム。
【請求項27】
コンピュータは、動作ステータスおよびセンサデータに応答して、第1のセンサのセンサデータを補完するようにさらに構成される、請求項26に記載の診断検査室システム。
【請求項28】
複数のセンサのうちの少なくとも1つは、吸引または分注プロセス中に液体の圧力を測定するように構成された圧力センサである、請求項26に記載の診断検査室システム。
【請求項29】
複数のセンサのうちの少なくとも1つは、物品の画像を取り込むように構成された撮像デバイスであり、画像は画像データを含む、請求項26に記載の診断検査室システム。
【請求項30】
コンピュータは、ユーザ入力を受信するように構成され、コンピュータは、ユーザ入力に応答してセンサデータをスケーリングするように構成される、請求項26に記載の診断検査室システム。
【請求項31】
コンピュータは:
第1のセンサの動作ステータスに関連するユーザ入力を受信し;
ユーザ入力に応答して第1のセンサによって生成されたセンサデータを少なくとも部分的に無視することによって、センサデータをスケーリングする、
ように構成される、請求項26に記載の診断検査室システム。
【請求項32】
コンピュータは:
第1のセンサの動作ステータスに関連するユーザ入力を受信し;
ユーザ入力に基づいて第1のセンサによって生成されたセンサデータをスケーリングする、
ように構成されている、請求項26に記載の診断検査室システム。
【請求項33】
診断検査室システムを作動させる方法であって:
該診断検査室システムで検体に対する分析を行うように構成されたモジュールを提供することと;
分析中に検体を監視するようにそれぞれ構成された複数のセンサを提供することと;
複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることと;
複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することと;
修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることと、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月18日に出願された「DIAGNOSTIC LABORATORY SYSTEMS AND METHODS OF OPERATING」という名称の米国特許仮出願第63/150876号の利益を主張するものであり、その開示全体は、あらゆる目的で参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本開示の実施形態は、診断検査室システムの診断撮像システム、およびそのような診断撮像システムを作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
診断検査室システムは、血清、血漿、尿、間質液、脳脊髄液などの生体検体(検体)中の分析物または他の成分を同定するために臨床化学検査またはアッセイを実施する機器を含む。
【0004】
診断検査室システムの改良には、検体成分を分離するための検体の遠心分離、検体へのアクセスを容易にするためのキャップの取外し(キャップ除去)、アリコート調製、ならびに溶血、黄疸、および/または脂血、または正常(HILN)、および/または血餅、気泡、または泡沫など検体中のアーチファクトの存在の事前スクリーニングなど、自動分析前検体処理の対応する進歩が伴ってきた。撮像デバイスおよび圧力センサなどの1つまたはそれ以上のセンサは、診断検査室システム内で行われる分析または他のプロセスを監視することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、診断検査室システムを作動させる方法が提供される。この方法は、診断検査室システム内の物品に対して機能を実行するように構成されたモジュールを提供することと;機能または物品を監視し、監視に応答してセンサデータを生成するようにそれぞれ構成された複数のセンサを提供することと;複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることと;複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することと;修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることと、を含む。
【0006】
さらなる態様では、診断検査室システムが提供される。この診断検査室システムは、モジュール内の物品に対して機能を実行するように構成されたモジュールと;機能または物品を監視し、監視に応答してセンサデータを生成するようにそれぞれが構成された複数のセンサと;コンピュータと、を含み、コンピュータが:第1のセンサの動作ステータスをチェックし;複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信し;修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサによって生成されたセンサデータをスケーリングする、ように構成される。
【0007】
別の態様では、診断検査室システムを作動させる方法が提供される。この方法は、診断検査室システムで検体に対する分析を行うように構成されたモジュールを提供することと;分析中に検体を監視するようにそれぞれ構成された複数のセンサを提供することと;複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることと;複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することと;修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることと、を含む。
【0008】
本開示のさらなる他の態様、特徴、および利点は、本開示を実施するために考えられる最良の形態を含むいくつかの例示的実施形態の以下の説明および図示から容易に明らかになろう。本開示は、他の異なる実施形態も可能であり得て、そのいくつかの詳細は様々な点で修正することができ、それらはすべて本開示の範囲から逸脱しない。本開示は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に含まれるすべての修正形態、均等形態、および代替形態を網羅することを意図されている。
【0009】
以下で述べる図面は、例示を目的として提供されており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。したがって、図面および説明は、本質的に例示とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。図面は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1つまたはそれ以上の実施形態による複数のモジュールおよび機器を含む診断検査室システムのブロック図である。
【
図2A】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムに実装されるセンサ、センサチェックプログラム、センサスケーリングプログラム、およびユーザ構成プログラムの相互作用を示すシステムのブロック図である。
【
図2B】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムに実装される複数のセンサ、センサチェックプログラム、センサスケーリングプログラム、およびユーザ構成プログラムの相互作用を示すシステムのブロック図である。
【
図3A】1つまたはそれ以上の実施形態による、3つの撮像デバイスを含む撮像モジュールとして実装される診断検査室システムのモジュールの上面図である。
【
図3B】1つまたはそれ以上の実施形態による、誤動作状態での撮像デバイスを示す、
図3Aの撮像モジュールを示す図である。
【
図3C】1つまたはそれ以上の実施形態による、誤動作状態での2つの撮像デバイスを示す、
図3Aの撮像モジュールを示す図である。
【
図4A】検体を収容するキャップ付きの検体容器の側面図であり、検体容器は、1つまたはそれ以上の実施形態による診断検査室システム全体にわたって輸送されるように構成されている。
【
図4B】検体を収容するキャップを外した検体容器の側面図であり、検体容器は、1つまたはそれ以上の実施形態による診断検査室システム全体にわたって輸送されるように構成されている。
【
図5】1つまたはそれ以上の実施形態による、診断検査室システムで実装される吸引および分注モジュールのブロック図である。
【
図6】1つまたはそれ以上の実施形態による、機能している圧力センサのトレースと誤動作している圧力センサのトレース(点線)を示す、検体を吸引する吸引モジュールのピペットアセンブリによる検体吸引の圧力トレースを示すグラフである。
【
図7】1つまたはそれ以上の実施形態による診断検査室システムを作動させる方法を示すフローチャートである。
【
図8】1つまたはそれ以上の実施形態による診断検査室システムを作動させる別の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述したように、自動診断検査室システムなどの診断検査室システムは、生体検体中の分析物または他の成分を同定するために臨床化学検査および/またはアッセイを行う機器を含む。検体は、典型的には検体容器に収納され、検体容器は、処理および/または試験のために診断検査室システム内の特定の機器および/またはモジュールに輸送される。
【0012】
いくつかの診断検査室システムは、分析前の検体および/または検体容器処理を行う。例えば、診断検査室システムのいくつかのモジュールは、検体の遠心分離を行って、検体成分を分離することがある。診断検査室システムのいくつかのモジュールは、検体容器内にある検体へのアクセスを可能にするために、検体容器の管部分からのキャップの取外しを行うことがある。いくつかのモジュールは、アリコート調製を行うことがある。他のモジュールは、HILN、および/または血餅、気泡、泡沫など検体中のアーチファクトの存在について検体を事前スクリーニングすることがある。いくつかのモジュールは、コンピュータに連結された撮像デバイスなどの1つまたはそれ以上のセンサを使用して、上述したプロセスを行うことがある。例えば、撮像デバイスは、検体および/または検体容器の画像を取り込むことがあり、コンピュータは、撮像デバイスによって生成された画像データを解析して、上述したプロセスを行うことがある。
【0013】
いくつかの実施形態では、診断分析器システムは、検体の分析試験を行うように構成された臨床化学検査および/またはアッセイ機器を含むモジュールを含む。試験は、検体に含まれる分析物または他の成分の存在および/または濃度を決定するために読み取ることができる蛍光または発光などの変化を生成する反応を含むことがある。いくつかのモジュールは、コンピュータに連結された1つまたはそれ以上の撮像デバイスなどの1つまたはそれ以上のセンサを含むことがあり、コンピュータは、1つまたはそれ以上の撮像デバイスによって生成された画像データを解析して、分析物の濃度および/または存在を決定する。
【0014】
上述したように、診断検査室システムは複数のセンサを含むことがあり、これらのセンサは、前述の撮像デバイスを含むことがある。いくつかの診断検査室システムは、吸引および/または分注プロセス中、ピペットアセンブリ内の圧力など吸引および/または分注圧を測定するように構成された1つまたはそれ以上の圧力センサを含むことがある。温度センサは、検体、分析物、培養デバイス、機械類、および他の構成要素の温度を測定することがある。電圧センサは、様々な機械類および/または検体の電圧を測定することがある。音響センサおよび振動センサは、診断検査室システム内の機械類および他の構成要素の音響ノイズおよび振動をそれぞれ測定することがある。
【0015】
衝突センサは、診断検査室システム内での衝突の発生を示すデータを生成することがある。例えば、衝突センサは、診断検査室システム内でのロボットアームおよび他の可動構成要素の衝突を示すデータを生成することがある。距離センサおよび近接センサは、診断検査室システム内での検体容器を含む可動構成要素の相対位置を決定することがある。容量性センサとして実装することができる触覚センサは、診断検査室システム内の可動構成要素が移動するときにデータ(例えば信号)を生成することがある。
【0016】
上述したように、診断検査室システムは、複数の異なるセンサを含むことがある。センサは、診断検査室システムを自動化することができる能力を改善し、検体試験の精度を改善することができる。
【0017】
しかし、1つのセンサが誤動作するとき、誤動作するセンサを含む機器またはモジュールも誤動作することがある。いくつかの実施形態では、単一のセンサの誤動作によって引き起こされる単一のモジュールまたは構成要素の誤動作によって、診断検査室システム全体が動作不能になることがある。したがって、このとき、診断検査室システムまたはそのモジュールもしくは機器は無効にされることがある、または少なくともより低い効率で動作することがある。したがって、改善された診断検査室システム、および誤動作するセンサを有する診断検査室システムを作動させる方法が求められている。
【0018】
本明細書で述べる診断検査室システム、モジュール、構成要素、および方法は、1つまたはそれ以上のセンサの誤動作または劣化時の代替センサ構成および/または使用法を提供する。センサチェックプログラムは、例えば、第1のセンサの健全性またはステータスを決定する。第1のセンサのステータスが劣化される場合、または第1のセンサが誤動作している場合、センサスケーリングプログラムは、第1のセンサへの依拠を低減または排除することがある。診断検査室システムは、1つまたはそれ以上の第2のセンサを利用して、第1のセンサのデータを補足または置換することがある。例えば、他のセンサによって生成されるセンサデータをプロセス中に使用して、通常であれば第1のセンサによって生成されるデータを補足することができる。他の実施形態では、通常であれば第1のセンサによって生成されるデータが、1つまたはそれ以上の他のセンサによって生成されるデータで補完(impute)されることがある。したがって、診断検査室システムならびにそのモジュールおよび機器は、センサが劣化または誤動作するときに動作し続けることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、診断検査室システムは、ユーザがセンサチェックプログラムおよび/またはセンサスケーリングプログラムを手動で構成することを可能にする、ユーザ制御可能なユーザ構成プログラムを含むことがある。ユーザ構成プログラムは、診断検査室システムのユーザが、性能精度、エネルギー消費、動作時間、コスト、および予算などの様々な動作因子に基づいて特定のセンサを有効および/または無効にすることを可能にすることがある。いくつかの実施形態では、センサを無効にすることは、センサによって生成されるデータを無視することを意味する。いくつかの実施形態では、センサデータをスケーリングすることは、ユーザ入力に応答して、センサによって生成されるセンサデータを少なくとも一部無視することを含む。したがって、1つまたはそれ以上のセンサが劣化した場合、ユーザは、1つまたはそれ以上のセンサをすぐに交換するのではなく、1つまたはそれ以上のセンサを無効にすることができる。例えば、劣化した1つまたはそれ以上のセンサは、診断検査室システムが分析の実施を停止しない時点で、または1つまたはそれ以上のセンサを交換することができる予算がある時点で交換することができる。
【0020】
これらおよび他の診断検査室システム、構成要素、モジュール、機器、方法、およびプログラムについて、
図1~8を参照して本明細書で述べる。
【0021】
ここで
図1を参照すると、
図1は、生体検体(例えば生体液)に対して試験および/またはアッセイを行う診断検査室システム100のブロック図を示す。試験およびアッセイは、検体に対して行われる分析と呼ばれることもある。検体は、患者から採取された血清、尿、および上述した他の液体を含むことがある。検体は患者から収集され、検体容器102(そのうちのいくつかに符号が付されている)に収納され、検体容器102は、診断検査室システム100全体にわたって輸送されるように構成される。検体に対して行うべき試験およびアッセイを含む試験指令は、本明細書で述べる診断検査室システム100で電子的に受信することができる。
【0022】
診断検査室システム100は、検体容器102を処理し、検体容器102内にある検体に対する試験を行うことができる複数の機器104およびモジュール106を含むことがある。
図1の実施形態では、診断検査室システム100は4つの機器104を含み、4つの機器104は、個別に第1の機器104A、第2の機器104B、第3の機器104C、および第4の機器104Dと呼ばれる。診断検査室システム100は、複数のモジュール106を含むことがあり、モジュール106のうちのいくつかは、第1のモジュール106A、第2のモジュール106B、第3のモジュール106C、および第4のモジュール106Dとして符号を付されている。機器104はそれぞれ、2つ以上のモジュール(例えばサブモジュール)を含むことがあり、サブモジュールのいくつかは、モジュール106のうちの1つまたはそれ以上によって実行される機能と同一または同様の機能を実行することがある。
【0023】
第4の機器104Dを参照すると、第4の機器104Dは、他の機器と同様または同一でよい。第4の機器104Dは3つのサブモジュール108を含み、サブモジュール108は、処理モジュール108Aと、1つまたはそれ以上の分析モジュール108Bとを含むことがある。処理モジュール108Aは、試験用の検体を調製することができ、第4の機器108Dに受け取られた検体容器を識別することができる。分析モジュール108Bは、検体に対して試験を行うことができる。機器104およびモジュール106は、本明細書で述べるように複数のセンサ(
図1には示されていない)を含むことがある。
【0024】
診断検査室システム100は、診断検査室システム100の機器104および/またはモジュール106の内外へ検体容器102を輸送するように、または検体容器102の輸送を可能にするように構成されたトラック110を含むことがある。トラック110は、例えば、レール付きトラック(例えば、モノレールまたはマルチレール)、コンベヤベルトの集合体、コンベヤチェーン、可動プラットフォーム、磁気輸送、または任意の他の適切なタイプの搬送メカニズムを含むことがある。いくつかの実施形態では、検体容器102は、トラック110を移動するリニアモータなどの自走式デバイスに連結されることがある。
【0025】
いくつかの実施形態では、診断検査室システム100は、トラック110に近接して位置される1つまたはそれ以上の位置センサ112(そのうちのいくつかに符号が付されている)を含むことがある。位置センサ112は、検体容器102に貼付されたバーコードやRFIDラベルなどの識別標示を読み取ることができる。したがって、位置センサ112は、検体容器102(および容器内の検体)、および診断検査室システム100での検体容器102の位置を識別する情報を提供することが可能であり得る。例えば、検体容器102の位置は、検体容器102のうちの特定のものを識別した位置センサ112によって決定されることがある。
【0026】
診断検査室システム100は、機器104、モジュール106、位置センサ112、ならびに本明細書で述べる他のセンサおよび構成要素と通信することができるコンピュータ114を含むことがある。いくつかの実施形態では、コンピュータ114は、機器104およびモジュール106に近接していることがあり、他の実施形態では、コンピュータ114は、機器104およびモジュール106から離れていることがある。コンピュータ114は、プロセッサ116およびメモリ118を含むことがあり、プロセッサ116は、メモリ118に記憶することができる実行可能コードを含むプログラムを実行する。
【0027】
メモリ118に記憶されているプログラムの1つは、本明細書で述べる診断検査室システム100内のセンサのうちの1つまたはそれ以上のステータスをチェックするように構成されたセンサチェックプログラム120Aでよい。別のプログラムは、センサチェックプログラム120Aによって生成されたデータに応答して、センサの1つまたはそれ以上によって生成されるセンサデータをスケーリングするように構成されることがあるセンサスケーリングプログラム120Bでよい。別のプログラムは、診断検査室システム100のユーザがセンサのスケーリングを構成することを可能にするように構成されることがあるユーザ構成プログラム120Cでよい。例えば、センサデータは、ユーザ入力に少なくとも一部基づいてスケーリングされることがある。上述のプログラムについては本明細書でより詳細に述べる。メモリ118は、1つまたはそれ以上の他のプログラムを記憶することもある。
【0028】
さらに
図2Aを参照すると、
図2Aは、センサ監視および修正システムなどのシステム224のブロック図を示し、センサチェックプログラム120A、センサスケーリングプログラム120B、およびユーザ構成プログラム120Cの相互作用の一実施形態を示す。システム224は、単一のセンサでもよいセンサ226からデータを受信し、本明細書で述べるようにセンサデータを処理する。センサ226は、本明細書で述べる診断検査室システム100での任意のセンサでよい。いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120A、センサスケーリングプログラム120B、およびユーザ構成プログラム120Cは、単一のプログラムで実装されることがある。例えば、上述のプログラムは、メモリ118に記憶され、プロセッサ116によって実行される単一のプログラムに実装されるモジュールでもよい。
【0029】
システム224は、診断検査室システム100(
図1)内のセンサ226によって生成されるセンサデータを受信する入力224Iを含む。
図2Aに示されるセンサ226は、一般的なセンサでよく、診断検査室システム100内の任意のセンサを表すものである。いくつかの実施形態では、センサ226は、例えば、撮像デバイス、圧力センサ、温度センサ、位置センサ、振動センサ、電圧または電流センサなどでよい。センサ226は、画像、圧力、温度、位置、振動、電圧、電流、および/またはセンサ226によって生成される他のパラメータなど、測定されるパラメータを示すセンサデータを出力する。
【0030】
入力224Iは、センサチェックプログラム120Aおよびセンサスケーリングプログラム120Bに連結される。センサチェックプログラム120Aへの入力は、例えばセンサ226のセルフテスト中に生成されるセンサデータでよい。他の実施形態では、センサチェックプログラム120Aへの入力は、診断検査室システム100の動作中に生成されるセンサデータでもよい。いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、様々なセンサのステータスを記憶することがある。特定のセンサがシステム224にセンサデータを出力するとき、センサチェックプログラム120Aは、本明細書で述べるように、特定のセンサの動作ステータス(動作ステータスデータ)をスケーリングプログラム120Bに出力することがある。センサスケーリングプログラム120Bは、本明細書で述べるように、センサチェックプログラム120Aによって生成された動作ステータスデータに応答してセンサデータを処理することがある。
【0031】
いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aによって生成される動作ステータスデータは、センサ226が適切に機能しているかどうかを示すバイナリ値でもよい。例えば、センサ226がシステム224にセンサデータを出力するとき、センサチェックプログラム120Aは、センサ226が適切に機能していることを示す値1、またはセンサ226が適切に動作していないことを示す値0を有するセンサステータスデータを出力することがある。いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、センサ226のステータスをより詳述するデータを受信することがある。例えば、センサチェックプログラム120Aは、センサ226の動作性のパーセンテージを提供するデータ、および/またはセンサ226に関する1つまたはそれ以上の特定の問題を示すデータを受信することがある。
【0032】
いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、センサ226に対して1つまたはそれ以上の試験を行うことがあり、またはセンサ226に1つまたはそれ以上のセルフテストもしくは他のセンサ診断を行わせることがある。他の実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、センサ226によって生成されたセンサデータを解析して、センサ226のステータスを決定することがある。これらおよび他の実施形態については以下でより詳細に述べる。
【0033】
ユーザ構成プログラム120Cは、ユーザが、センサ226など1つまたはそれ以上のセンサの特定のパラメータを設定することを可能にすることがある。通常であればセンサチェックプログラム120Aに入力される、またはセンサチェックプログラム120Aによって生成されるセンサデータまたは動作ステータスデータは、診断検査室システム100のユーザによって、ユーザ構成プログラム120Cを介して入力(例えば手動入力)されることがある。例えば、センサ226で障害(誤動作)が検出されたとき、ユーザは、ユーザ構成プログラム120Cを介して、センサ226および/または他のセンサで検出された障害に関するユーザデータを入力することができる。ユーザデータにより、システム224は、センサ226によって生成されたセンサデータを無視する、ユーザ入力ごとにセンサデータをスケーリングする、またはセンサ226によって生成されるセンサデータの代わりにセンサデータを提供することがある。ユーザ構成プログラム120Cの実施形態については以下でより詳細に述べる。
【0034】
センサスケーリングプログラム120Bは、センサ226によって生成されたセンサデータと、センサチェックプログラム120Aによって生成されたセンサステータスとを受信することがある。センサデータおよびセンサステータスに応答して、センサスケーリングプログラム120Bは、修正されたセンサデータを生成することができ、このデータは出力224Oを介して出力される。センサスケーリングプログラム120Bは、以下でより詳細に述べるように、センサデータを処理または無視するなど、スケーリングされたセンサデータを生成するために複数の操作を行うことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、システム224は、補完プログラム220を含むことがある。
図2Aおよび2Bの実施形態では、補完プログラム220は、センサスケーリングプログラム120Bに実装されて示されている。しかし、補完プログラム220は、別個のプログラムでもよい、または他の場所に実装されてもよい。補完プログラム220は、機能していないセンサからのセンサデータを補完することがある。例えば、センサ226が誤動作している場合、補完プログラム220は、例えば、通常であればセンサ226によって生成されるセンサデータを、他のセンサから受信されたセンサデータに少なくとも一部基づいて補完することができる。
【0036】
図2Bをさらに参照すると、
図2Bは、複数のセンサ228に連結されたシステム224の一実施形態を示す。
図2Bの実施形態では、システム224は3つのセンサに連結されることがあり、3つのセンサは、個別にセンサ1、センサ2、およびセンサ3として表されている。センサチェックプログラム120Aおよびセンサスケーリングプログラム120Bなど、システム224内の構成要素は、どのセンサがシステム224にセンサデータを送信しているかを決定することができ、センサデータを送信するセンサまたはセンサタイプに特有の上述の機能を実行することができる。したがって、システム224は、異なるタイプのセンサでもよい複数のセンサと対話することがある。
【0037】
図3Aをさらに参照すると、
図3Aは、複数のセンサを含むことがあるモジュール330を示す。
図3Aの実施形態では、モジュール330は、HILまたはアーチファクトの存在をチェックするための撮像モジュールなど、撮像モジュールとして実装される。モジュール330に位置されたセンサは、センサ226(
図2A)および/またはセンサ228(
図2B)と同一または同様の方法で動作することができる。モジュール330は、センサ226および/またはセンサ228として実装される複数の撮像デバイス332を含むことがある。
【0038】
図3Aの実施形態では、モジュール330は、個別に第1の撮像デバイス332A、第2の撮像デバイス332B、および第3の撮像デバイス332Cと呼ばれる3つの撮像デバイス332を含む。撮像デバイス332は、キャリア(例えばキャリア303)などでモジュール330を通して輸送される検体容器(例えば検体容器302)の画像を取り込むように構成されることがある。他のデバイスおよび方法を使用して、検体容器302をモジュール330に、またはモジュール330を通して輸送することもできる。取り込まれた画像は画像データの形式であり、本明細書で述べるセンサデータとして処理することができる。
【0039】
撮像デバイス332は、検体容器302が撮像位置334に位置されているときに、検体容器302および/または容器内にある検体を表す画像データを生成する。撮像位置334は、撮像デバイス332のうちの1つまたはそれ以上が検体容器302および/または容器内にある検体の画像を取り込むことができるモジュール330内の位置である。
図3Aに示されるように、撮像デバイス332は、検体容器302の複数の視点から画像を取り込むように撮像位置334の周囲に配置される。
図3Aの実施形態では、撮像デバイス332の構成は、検体容器302の360°の視野を取り込むことを可能にする。この撮像は、検体容器302に付されたラベルが撮像デバイス332のうちの少なくとも1つによって取り込まれることを可能にする。この撮像は、さらに、例えば遮られていない血清や血漿の画像など、遮られていない検体の画像を取り込むことを可能にすることができる。
【0040】
モジュール330の構成要素は、モジュール330によって生成されるセンサデータ(例えばピクセル化された画像データ)も処理することがあるコンピュータ333によって制御されることがある。コンピュータ333は、モジュール330のローカルにあっても、モジュール330からリモートであってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ333は、コンピュータ114(
図1)に実装されることがある。いくつかの実施形態では、コンピュータ333は、コンピュータ114(
図1)と電子通信することがある。コンピュータ333は、撮像デバイス332によって生成される画像データ、および/またはモジュール330の他のセンサによって生成されるセンサデータを処理することがある。いくつかの実施形態では、コンピュータ333は、撮像デバイス332および/または他のセンサによって生成された画像データをコンピュータ114(
図1)に送信することを容易にすることができる。
【0041】
図4Aをさらに参照すると、
図4Aは、検体442を含む検体容器302の一実施形態の側面図を示す。検体容器302は、管444を封止するように構成されたキャップ446を被せられた管444を含むことがある。
図4Aに示される検体442は、検体442の成分を分離するために遠心分離プロセスを受けている。遠心分離プロセスに応答して、検体442中のより重い成分は検体容器302の底部に向かって沈降し、より軽い成分は管444の上部に向かって上昇している。
図4Aの実施形態では、検体442は血液試料でよい。遠心分離プロセス中、血清または血漿442Aを赤血球442Bから分離することができる。分離器442C(例えばゲル分離器)は、血清または血漿442Aを赤血球442Bから分離することができる。
【0042】
血清または血漿442Aは高さHSPを有するものとして示され、分離器442Cは高さHGSを有するものとして示され、赤血球442Bは高さHCを有するものとして示されている。いくつかの実施形態では、血清または血漿442Aが分析(例えば撮像)され、したがって血清または血漿442Aの高さHSPが測定される。高さHSPにより、プロセッサなどは、検体容器302内の血清または血漿442Aの体積を決定することが可能になり得る。高さHSPを使用して、例えば血清または血漿の吸引を可能にするためにプローブ(ピペット)が検体容器302内に延びる必要があり得る深さに関する情報を他のモジュールに提供することもできる。
【0043】
キャップ446の形状および/または色は、検体容器302のタイプおよび/または検体容器302内にある化学物質の標示を提供することがある。1つまたはそれ以上の撮像デバイス(例えば
図3Aの撮像デバイス332)は、キャップ446を表すカラーピクセル化画像データを生成することがあり、このデータは、本明細書で述べるようにセンサデータとして処理されることがある。例えば、ソフトウェアは、画像データを解析して、キャップ446の色および/または形状を決定することができる。キャップ446の他の特徴を決定することもできる。
【0044】
検体容器302には、ラベル447が貼付されることがある。ラベル447は、検体442、検体442に対して実施される試験、および/または検体容器302のタイプを示す情報を含むことがある。ラベル447の情報は、1つまたはそれ以上の撮像デバイス(例えば
図3Aの撮像デバイス332)によって読み取られ、ラベル447を表す画像データを生成することがある。ソフトウェアは、画像データを解析して、ラベル447の情報を読み取ることができる。
図4Aの実施形態では、ラベル442にバーコード447Aが付され、バーコード447Aが、1つまたはそれ以上の撮像デバイスによって撮像され、上述のソフトウェアによって読み取られる。さらに
図4Bを参照すると、
図4Bは、キャップ446を取り外された検体容器302が示されている。
図4Bに示されるように、管444は高さHTおよび幅Wを有し、これらはどちらも、撮像デバイス332のうちの1つまたはそれ以上によって生成される画像データを解析することによって測定される。
【0045】
検体容器302に対して行われる他の測定に加えて、モジュール330内の検体容器302の1つまたはそれ以上の画像を解析することによって、モジュール330内の検体容器302の位置を測定することもできる。いくつかの実施形態では、検体容器302の1つまたはそれ以上の画像を解析することによって、検体容器302の姿勢を測定することができる。いくつかの実施形態では、キャリア303内の検体容器302の位置は、検体容器302およびキャリア303の1つまたはそれ以上の画像を解析することによって測定される。
【0046】
いくつかの実施形態では、検体容器302、検体442、管444、および撮像デバイス332によって撮像される他の物品の寸法を正確に計算するには、撮像デバイス332の位置が分かっている必要がある。例えば、撮像デバイス332は、較正プロセス中にモジュール330内の特定または所定の位置に設置される。撮像デバイス332のうちの1つまたはそれ以上が移動する場合、コンピュータ333および/または他のコンピュータは、上述の寸法を正確に計算することが可能でないことがある。
【0047】
モジュール330は、検体容器302および/またはキャリア303を移動させる、あるいは検体容器302および/またはキャリア303をモジュール330全体にわたって移動させることを可能にするトラック336を含むこともある。いくつかの実施形態では、トラック336は、検体容器302および/またはキャリア303を移動させるベルト(図示せず)などのコンベヤを含むことがある。いくつかの実施形態では、モータ338は、コンベヤを移動させる、あるいはトラック336でキャリア303を移動させるように構成される。モータの速度および/または方向は、コンピュータ333によって生成される命令によって制御される。電流センサ340は、モータ338によって引き出される電流を測定することができ、測定された電流は、コンピュータ333によって受信および/または処理される。いくつかの実施形態では、測定された電流は、本明細書で述べるようにセンサデータとして処理される。モータ338によって引き出される異常な電流または過剰な電流は、モジュール330における問題または差し迫った問題の示唆であり得る。場合により、電圧センサを使用することもできる。
【0048】
モジュール330は、撮像デバイス332に光を提供する1つまたはそれ以上の光反射器および/または照明源を含むことがある。
図3A~3Cの実施形態では、モジュール330は、第1の照明源342A、第2の照明源342B、および光反射器344を含む。第1の照明源342Aおよび第2の照明源342Bは、コンピュータ333によって生成される命令に応答して、所定の強度および波長を有する光を放射することがある。第1の照明源342A、第2の照明源342B、および光反射器344は、モジュール330内の所定および/または固定の位置にあり得る。例えば、第1の照明源342A、第2の照明源342B、および光反射器344の位置は、モジュール330の組立ておよび/または較正中に設定される。場合により、光反射器344は照明源でもよい。
【0049】
さらに
図5を参照すると、
図5は、本明細書では吸引モジュールと呼ぶこともある吸引および分注モジュール530の一実施形態のブロック図を示す。吸引および分注モジュール530は、診断検査室システム100(
図1)の機器104(
図1)および/またはモジュール120(
図1)のうちの少なくとも1つに実装される。吸引および分注モジュール530の他の実施形態は、診断検査室システム100(
図1)で使用される。
【0050】
吸引および分注モジュール530は、検体(例えば検体442)や試薬などを吸引および分注して、機器104(
図1)およびモジュール(
図1)が検体442に対して化学分析を行うことを可能にする、または単に吸引し、次いで検体を別の容器もしくはベッセルに再分注する。吸引および分注モジュール530は、吸引および分注モジュール530内でピペットアセンブリ534を移動させるように構成されたロボット532を含むことがある。
図5の実施形態では、試薬パケット540から試薬538を吸引する準備が整った、ピペットアセンブリ534のプローブ(ピペット)536が示されている。
図5では、検体容器302が、キャップ446(
図4)を取り外されて示されており、この取外しは、キャップ除去モジュール(図示せず)によって既に行われていることがある。ピペットアセンブリ534は、検体容器302から血清または血漿442Aを吸引するようにプローブ536を位置決めするように構成される。
【0051】
試薬538、他の試薬、および血清または血漿442Aの一部は、キュベットまたは他の適切な容器など反応ベッセル542に分注される。反応ベッセル542は、断面が長方形として示されている。しかし、反応ベッセル542は、行う分析に応じて他の形状を有することもできる。いくつかの実施形態では、反応ベッセル542は、数マイクロリットルの液体542Aを保持するように構成される。キュベット542は、本明細書で述べるような1つまたはそれ以上の撮像デバイスによる測光分析のために光を通す材料で作られる。いくつかの実施形態では、材料は、例えば180nm~2000nmのスペクトル(例えば波長)を有する光を通すことができる。血清または血漿442Aの一部のみが反応ベッセル542に分注され、血清または血漿442Aの他の部分が他の反応ベッセル(図示せず)に分注されることに留意されたい。さらに、他の試薬を、場合によっては他の液体および/または磁性粒子と共に反応ベッセル542に分注することもできる。
【0052】
吸引および分注モジュール530のいくつかの構成要素は、コンピュータ546に電気的に連結される。
図5の実施形態では、コンピュータ546は、プロセッサ546Aおよびメモリ546Bを含むことがある。プログラム546Cはメモリ546Bに記憶され、プロセッサ546Aで実行される。コンピュータ546は、メモリ546Bに記憶されたプログラム546Cなどのプログラムによって制御される位置コントローラ546Eおよび吸引/分注コントローラ546Dを含むこともある。いくつかの実施形態では、コンピュータ546およびその構成要素は、コンピュータ114(
図1)に実装される。位置コントローラ546Eおよび/または吸引/分注コントローラ546Dは、いくつかの実施形態では別個のデバイス(例えばコンピュータ)に実装される。
【0053】
プログラム546Cは、位置コントローラ546Eおよび/または吸引/分注コントローラ546Dなど、吸引および分注モジュール530内の構成要素を制御および/または監視するアルゴリズムを含むことがある。本明細書で述べるように、構成要素のうちの1つまたはそれ以上は、プログラム546Cのうちの1つによって監視される1つまたはそれ以上のセンサを含むことがある。プログラム546Cは、センサでセルフテストルーチンを実行することもできる。セルフテストルーチンの結果は、システム224(
図2A~2B)に送信される。1つまたはそれ以上のセンサによって生成されるセンサデータも、システム224(
図2A~2B)に送信される。
【0054】
ロボット532は、吸引および分注モジュール530内でピペットアセンブリ534を移動させるように構成された1つまたはそれ以上のアームおよびモータを含むことがある。
図5の実施形態では、ロボット532は、第1のモータ552とピペットアセンブリ534との間に連結されたアーム550を含むことがある。第1のモータ552は、コンピュータ546に電気的に連結され、位置コントローラ546Eによって生成される命令を受信することがある。命令は、第1のモータ552の方向および速度に関して第1のモータ552に命令することができる。第1のモータ552は、アーム550を移動させて、本明細書で述べるようにプローブ536が検体および/または試薬を吸引および/または分注することを可能にするように構成される。第1のモータ552は、第1のモータ552によって引き出される電流を測定するように構成された電流センサを含む、または電流センサに関連付けられることがある。電流センサによって生成されるセンサデータ(例えば、測定された電流)は、コンピュータ546に送信される。
【0055】
第2のモータ554は、アーム550とピペットアセンブリ534との間に連結され、本明細書で述べるように液体を吸引および/または分注するためにプローブ536を垂直方向(例えばZ方向)に移動させるように構成される。第2のモータ554は、プログラム546Cによって生成された命令に応答してプローブ536を移動させることができる。例えば、第2のモータ554は、プローブ536が検体容器302、反応ベッセル542、および/または試薬パケット540に出入りすることを可能にすることがある。次いで、液体は、本明細書で述べるように吸引および/または分注される。第2のモータ554は、第2のモータ554によって引き出される電流を測定するように構成された電流センサを含む、または電流センサに関連付けられることがある。電流センサによって生成されるセンサデータ(例えば、測定された電流)は、コンピュータ546に送信される。
【0056】
吸引および分注モジュール530は、位置センサ556を含むことがある。
図5の実施形態では、位置センサ556は、ロボット532に機械的に連結される。いくつかの実施形態では、位置センサ556は、吸引および分注モジュール530の他の構成要素に連結される。位置センサ556は、ロボット532の1つまたはそれ以上の構成要素、またはピペットアセンブリ534など吸引および分注モジュール530内の他の構成要素の位置を感知するように構成される。
図5の実施形態では、位置センサ556は、アーム550、ピペットアセンブリ534、および/またはプローブ536の位置を測定することがあり、本明細書で述べるセンサデータとして処理することができる位置データを生成することがある。位置データは、コンピュータ546に送信され、最終的にはシステム224(
図2A~2B)に入力されるセンサデータでもよい。
【0057】
吸引および分注モジュール530は、導管562に機械的に連結され、吸引/分注コントローラ546Dに電気的に連結されたポンプ560を含むこともある。ポンプ560は、導管562内に真空または負圧(例えば吸引圧)を生成して、液体を吸引することができる。ポンプ560は、導管562内に正圧(例えば分注圧)を生成して、液体を分注することもできる。いくつかの実施形態では、ポンプ560は、高速ポンプと低速ポンプとの両方を含むことがある。
【0058】
圧力センサ564は、導管562内の圧力を測定し、その圧力を示す圧力データを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力センサ564は、吸引圧を測定し、圧力データを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力センサ564は、分注圧を測定し、圧力データを生成するように構成される。圧力データは、以下の
図6を参照して述べるように、時間の関数としての圧力トレースの形式でもよい。圧力データは、最終的にコンピュータ114(
図1)に送信され、センサデータとしてシステム224に入力される。例えば、センサデータは、圧力センサ564のステータスを決定するためにセンサチェックプログラム120Aによって使用される。
【0059】
さらに
図6を参照すると、
図6は、圧力センサ564によって測定されたピペットアセンブリ534の圧力トレースを示すグラフ600である。
図6の実施形態では、圧力トレースは、液体を吸引するピペットアセンブリ534を示し、機能しているシステムと、誤動作しているシステムとを示す。システムの誤動作は、圧力センサ564の故障および/またはポンプ560の故障によるものであり得る。例示の目的で、誤動作は、故障中の圧力センサ564によるものとして述べる。圧力トレース602は、吸引中に測定された高真空を示す、機能している圧力センサ564のトレースを示す。圧力トレース604は、吸引中に高真空が測定されない、故障中の圧力センサ564のトレースを示す。例えば、圧力トレース604は低真空を示しており、これは、故障中の圧力センサ564を示すことがある。分注動作中、故障中の圧力センサ564は、不良の圧力データを生成することがある。圧力トレースは、システム224(
図2A~2B)に入力されたセンサデータであり得る。
【0060】
再び
図5を参照すると、吸引および分注モジュール530は、プローブ536の画像を取り込むように構成された撮像デバイス566を含むことがある。例えば、プローブ536は透明であり、撮像デバイス566がプローブ536内にある液体の画像を取り込むことができる。取り込まれた画像は、コンピュータ546に送信され、コンピュータ546によって解析される画像データを含むことができる。プログラム546Cは、画像データを解析して、プローブ536内の液体の品質を決定することができる。例えば、プログラム546Cは、プローブ536内の液体が気泡または血塊を含むかどうかを判定することができる。画像データ、および/または撮像デバイス566のステータスは、システム224(
図2A~2B)に入力され、本明細書で述べるようにセンサデータとして処理される。
【0061】
いくつかの実施形態では、吸引および分注モジュール530は、プローブ536内の液体を感知するように構成された1つまたはそれ以上の光センサとして実装された1つまたはそれ以上の撮像デバイスを含むことがある。
図5の実施形態では、吸引および分注モジュール530は、第1の光センサ570および第2の光センサ572を含むことがある。いくつかの実施形態では、吸引および分注モジュール530は、第1の光センサ570、第2の光センサ572、または撮像デバイス566のうちの少なくとも1つを含むことがある。
【0062】
第1の光センサ570は、第1の送信機570Aおよび第1の受信機570Bを含むことがある。第1の送信機570Aは、プローブ536を通して光を送信するように構成されたレーザまたは発光ダイオード(LED)などの光源を含むことがある。プローブ536を通過する光は、第1の受信機570Bによって受信される。第1の受信機570Bは、コンピュータ546に連結され、第1の受信機570Bによって生成された画像データを処理することができる。第1の受信機570Bによって生成される画像データは、第1の受信機570Bによって受信された光の強度を示すデータでもよい。第2の光センサ572は、第1の光センサ572と同一または実質的に同様でもよく、第1の光センサ572から垂直方向に離間されて位置される。
【0063】
第1の受信機570Bおよび/または第2の受信機572Bによって生成される画像データは、プローブ536が第1の受信機570Bおよび/または第2の受信機572Bに対して移動するときに生成される。画像データの遷移部は、プローブ536内の空気と液体との間の遷移部を示すことができ、プローブ内の液体レベルを示す。例えば、プローブ536は、液体が存在しない領域で、より多くの光を透過することができる。プローブ536の垂直位置を画像データの遷移部と相関させることによって、プローブ536内の液体の高さを計算することができる。
【0064】
吸引プロセス中、導管562内の圧力を圧力センサ564によって測定して、吸引された液体の体積を決定することができる。撮像デバイス566を使用して、吸引された液体中に気泡が存在するかどうかを判定することができる。光センサ570、572は、プローブ536内の液体の高さを測定することができる。圧力感知法と撮像法とは相補的である。なぜなら、圧力感知は、典型的には、吸引された液体中の気泡を検出できず、撮像デバイス566を使用する撮像は、吸引された液体の表面でのメニスカスにより、正確な体積測定値を得ることができないからである。圧力センサ564、光センサ570、572、および撮像デバイス566が信頼できるデータを生成しているとき、コンピュータ546および診断検査室システム100(
図1)は、吸引された液体の体積について確信できる。
【0065】
圧力センサ564、光センサ570、572、または撮像デバイス566のうちのいくつかが利用可能でないとき、コンピュータ546および/または診断検査室システム100は、コンピュータ546に実装されるシステム224(
図2A~2B)を使用して、吸引体積の重大な逸脱事象を検出することが可能である。例えば、システム224は、ピペッタ操作の大部分が期待通りに行われているという仮定に依拠することがある。
【0066】
図2A~2Bを参照すると、センサチェックプログラム120Aは、診断検査室システム100の1つまたはそれ以上のセンサのステータスを決定する。いくつかの実施形態では、他のプログラムは、1つまたはそれ以上のセンサ226、228に対してセルフテストなどの診断試験を行い、診断データを生成することができる。センサチェックプログラム120Aは、診断データを受信し、診断データを処理する、または診断データを本明細書で述べる動作ステータスデータとしてセンサスケーリングプログラム120Bに送信することができる。診断試験は、例えば較正プロセス中に行われる。
【0067】
センサ226、228が撮像デバイス332(
図3A~
図3C)、光センサ570、572、および/または撮像デバイス566(
図5)などの撮像デバイスを含む実施形態では、較正および/または診断試験は、所定の照明条件などの所定の条件下で既知の物体の画像を取り込むことを含むことがある。画像を表す画像データの解析が、センサチェックプログラム120Aまたは別のプログラムによって行われて、診断データを生成することができる。撮像デバイスの動作ステータスは、診断データの解析に応答して決定される。いくつかの実施形態では、撮像デバイスは、ある期間にわたってその周囲の画像を取り込むことがある。画像を相互に比較して、撮像デバイスが劣化中である、または既に劣化しているかどうかを判定することができる。画像を相互に比較して、撮像デバイスが移動したかどうかを判定することもできる。この位置データは、センサスケーリングプログラム120Bに送信される動作ステータスデータを生成するために、センサチェックプログラム120Aによって使用される。
【0068】
センサチェックプログラム120Aは、診断データを解析して撮像デバイスのステータスを生成することができる。いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイスが完全には機能していないことを決定することがあり、そのような動作ステータスデータをセンサスケーリングプログラム120Bに送信することがある。例えば、画像データが撮像デバイスから受信されない場合、または画像データがすべて同じ値である場合、センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイスが故障しているまたは機能していないことを示す動作ステータスデータをセンサスケーリングプログラム120Bに送信することがある。
【0069】
いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイスが画像を取り込むことが可能であるが、取り込まれた画像の品質が最適ではないと判定することがある。例えば、画像が劣化中である、または長期間にわたって劣化している場合、センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイスのステータスをセンサスケーリングプログラム120Bに送信することがある。いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイスがぼやけた画像を生成していると判定することがあり、このデータをセンサスケーリングプログラム120Bに送信することがある。
【0070】
上述したように、センサスケーリングプログラム120Bは、センサチェックプログラム120Aからのセンサステータスと、センサによって生成されたセンサデータとを受信する。センサスケーリングプログラム120Bは、センサデータをスケーリングして、および/またはセンサデータを補完して、修正されたセンサデータを生成することができる。いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、本明細書でより詳細に述べるように、センサデータを処理または修正するために、診断検査室システム100内の構成要素に1つまたはそれ以上の命令を送信することがある。
【0071】
再び
図3Aを参照すると、いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、撮像デバイス332のうちの1つまたはそれ以上を無効にすることがある。本明細書で述べるように、いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、撮像デバイス332のうちの1つまたはそれ以上が無効にされた状態で機能するように診断検査室システム100に命令することがある。
図3Bを参照すると、
図3Bは、第2の撮像デバイス332Bが無効にされているモジュール330を示す。
図3Cも参照すると、
図3Cは、第2の撮像デバイス332Bおよび第3の撮像デバイス332Cが無効にされているモジュール330を示す。したがって、センサスケーリングプログラム120Bは、本明細書で述べるように、すべての撮像デバイス332が有効にされていないまたは機能していない場合でも、モジュール330が動作または少なくとも一部動作することを可能にする。
【0072】
図3Bを参照すると、検体容器302の中心オフセットが、撮像デバイス332のうちの2つを使用して推定される。例えば、センサスケーリングプログラム120Bは、第1の撮像デバイス332Aおよび第3の撮像デバイス332Cから画像データを受信し、三角測量を行って、検体容器302の中心オフセットを推定することができる。2つの撮像デバイスをアクティブにして生成された中心オフセットおよび他のデータは、修正されたセンサデータとしてセンサスケーリングプログラム120Bによって出力される。
図3Cを参照すると、第3の撮像デバイス332Cの視線方向に垂直なオフセットを推定して、修正されたセンサデータとしてスケーリングセンサプログラム120Bから出力することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、補完プログラム220を使用してセンサデータを補完し、補完されたセンサデータに基づいて、修正されたセンサデータを生成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、第2の撮像デバイス332Bなどの撮像デバイスが機能していないと判定することがある。いくつかの実施形態では、補完プログラム220は、通常であれば1つの撮像デバイスによって生成される画像データを、別の撮像デバイスによって生成される画像データに基づいて生成するアルゴリズムを実行することがある。例えば、補完プログラム220は、通常であれば第2の撮像デバイス332Bによって生成される画像データを、第1の撮像デバイス332Aおよび/または第3の撮像デバイス332Cによって生成される画像データに基づいて構築する、オートエンコーダなどの人工知能を使用する訓練された画像対画像合成器を含むことがある。いくつかの実施形態では、構築される画像データは完全ではなく、完全な画像を生成しないことがある。構築された画像のステータスはコンピュータ114(
図1)に送信され、コンピュータ114は、不完全な画像に基づいて処理および/または解析を行うことがある。いくつかの実施形態では、オートエンコーダは、ニューラルネットワークおよび/または条件付き敵対的ネットワークを含む、またはそれらを用いて実装される。他の人工知能アルゴリズムを使用することもできる。
【0074】
いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイスがぼやけた画像を取り込んでいると判定することがある。画像のぼやけは、例えば、撮像デバイスのレンズに付いた汚れおよび/または液体によるものであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサチェックプログラム120Aは、画像を表す画像データが所定数の鮮鋭な遷移部を含まないと判定することがある。センサチェックプログラム120Aがぼやけた画像を検出したことに応答して、センサスケーリングプログラム120Bは、補完プログラム220を実行して、撮像デバイスによって生成された画像データを処理して画像を鮮鋭化することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、超解像方法を使用して、ぼやけた画像を鮮鋭化することができる。これらの方法は、バイリニアダウンサンプリングによって、またはダウンサンプリングにより生じるぼやけによって人工的に生成された低解像度画像の解像度を高めるために使用される超解像方法と同一または同様でよい。鮮鋭化された画像は、修正された画像データとして処理することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、画像鮮鋭化方法は2段階プロセスを含むことがあり、最初に、高解像度画像を劣化させてダウンサンプリングする方法を学習するために高-低の敵対的生成ネットワーク(GAN)を訓練する。訓練後、高-低GANの出力は、画像の超解像度のために低-高GANを訓練するために使用される。低-高GANを使用して、ぼやけた画像の品質を高めることができる。他の方法および/またはアルゴリズムを使用して画像のぼやけを低減することもできる。結果として得られる画像(例えば、結果として得られる画像データ)は、システム224の修正されたセンサ出力でよく、ぼやけた画像を生成している撮像デバイスによって生成された画像データ(センサデータ)を置換することがある。
【0077】
いくつかの実施形態では、補完プログラム220は、モジュール330(
図3A~3C)などのモジュールおよび/または診断検査室システム100に特定の操作を実行するように命令することができ、機能していない撮像デバイスに関係なくモジュールおよび/または診断検査室システム100が動作し続けるようにする。いくつかのタイプのモジュールを含むいくつかの実施形態では、撮像デバイスが機能していないことに応答して、補完プログラム220は、検体容器302(
図4A~4B)を回転させる命令を生成することがある。例えば、これらの命令は、ロボットなどに、検体容器302を回転させることができる。いくつかの実施形態では、これらの命令は、検体容器302をモジュールに輸送させることができ、このモジュールは、検体容器302を回転させ、その後、検体容器302をそのモジュールに戻す。次いで、機能している撮像デバイスのうちの1つまたはそれ以上が、機能していない撮像デバイスによって取り込むことができなかった検体容器302の部分の画像を取り込むことができる。ここで、システム224(
図2A~2B)によって出力される修正されたセンサデータは、機能している撮像デバイスによって生成される画像データでもよい。
【0078】
次に、システム224(
図2A~2B)の動作を、吸引および分注モジュール530(
図5)と関連付けて述べる。さらに
図2Bを参照すると、センサ228は、吸引および分注モジュール530のセンサでよい。例えば、センサ1は撮像デバイス566でよく、センサ2は圧力センサ564でよく、センサ3は位置センサ556でよい。光センサ570、572などの他のセンサを使用することもできる。センサチェックプログラム120Aは、センサ228のそれぞれを試験する、および/またはセンサ228によって生成されたセンサデータを受信することがある。試験は、各センサ228の機能範囲を決定することができる。いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、第1のセンサの動作ステータスが所定の機能範囲を満たさないことに応答して、第1のセンサ(例えば、圧力センサまたは撮像デバイス)からのセンサデータを無視する。いくつかの実施形態では、センサデータは、少なくとも一部無視される。いくつかの実施形態では、センサデータは、本明細書で述べるように操作または補足される。
【0079】
上述したように、圧力センサ564は、吸引および/または分注動作中に導管562内の圧力を測定することがある。撮像デバイス566および光センサ570、572は、プローブ536および/またはプローブ536内にある液体の画像を取り込むことがあり、プローブ536および/または液体を表す画像データを生成することがある。
【0080】
圧力センサ564のステータスに関連する診断データが、較正中に生成される。例えば、
図6での圧力トレースなどの圧力トレースが、所定の粘性を有する液体を吸引および/または分注することによって生成される。結果として生じる圧力トレースは、診断データとなり得て、センサチェックプログラム120Aに送信される。圧力トレースを生成する圧力センサのステータスは、診断データの解析に応答して決定される。いくつかの実施形態では、圧力トレースを経時的に解析して、測定される圧力が低下中であるかどうかを判定することができ、これは、センサチェックプログラム120Aによって圧力センサ564の故障または導管562の漏れとして解釈される。
【0081】
撮像デバイス566の動作に関連する診断データも、撮像デバイス332(
図3A~3C)を参照して上述したように生成される。いくつかの実施形態では、診断データまたは追加の診断データは、プローブが所定の位置にあるときにプローブ536を撮像することによって生成される。例えば、第2のモータ554は、プローブ536を所定の位置に移動させることができ、これは位置センサ556によって検証される。画像デバイス566によって生成される画像データは、所定の位置にあるプローブ536を示すはずである。プローブ536が所定の位置にない場合、撮像デバイス566が動いた、または位置センサ556が故障している可能性がある。この診断データは、システム224(
図2A~2B)に送信され、本明細書で述べるようにシステム224によって処理される。
【0082】
光センサ570、572の動作に関連する診断データは、例えば、送信機570A、572Aと受信機570B、572Bとの間の光路外にプローブ536を移動させることによって生成される。結果として得られる画像データは、所定の値を有する、または所定の限度内にある。データは、センサチェックプログラム120Aおよび/またはセンサスケーリングプログラム120Bに通信される。
【0083】
いくつかの実施形態では、撮像デバイス566および/または光センサ570、572の動作ステータスは、上述したように試験される。いくつかの実施形態では、撮像デバイス566の較正は、撮像デバイス566の動作ステータスを決定するために使用され、背景の画像を取り込むことを含むことがある。いくつかの実施形態では、撮像デバイス566は、吸引および分注モジュール530内の固定位置にあるターゲットの画像を取り込むことがある。撮像デバイス566は、継続的に画像を取り込み、画像データを解析して、画像に何らかの変化があったかどうかを判定することができる。画像は、撮像デバイス566の動作ステータスを生成するために、センサチェックプログラム120Aに通信される。画像に変化がない場合、撮像デバイス566は、吸引および分注モジュール530内の固定位置に留まっている。センサチェックプログラム120Aは、撮像デバイス566の動作ステータスが機能していることを示すことがある。画像間に変化がある場合、その変化量をセンサチェックプログラム120Aによって解析して、撮像デバイス566の動作ステータスを決定することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、撮像デバイス566は、各画像が取り込まれるときに、プローブ536および/またはピペットアセンブリ534が同じ位置のままで、ある期間にわたってプローブ536および/またはピペットアセンブリ534の他の部分の画像を取り込むこともある。プローブ536および/またはピペットアセンブリ534の画像が経時的に撮像デバイス566に対して移動している場合、撮像デバイス566は、吸引および分注モジュール530内で移動している可能性がある。他の場合には、位置センサ556が適切に機能していない可能性がある。上述したように、異なる画像を解析して、少なくとも撮像デバイス566または位置センサ556の動作ステータスを決定することができる。
【0085】
位置センサ556が試験され、関連する診断データがセンサチェックプログラム120Aによって生成される。例えば、コンピュータ546は、ピペットアセンブリ534を所定の位置に移動させるための命令を生成することがある。撮像デバイス566、および/または光センサ570、572のうちの1つまたはそれ以上は、プローブ536および/またはピペットアセンブリ534が所定の位置にあるかどうかを判定するために、プローブ536および/またはピペットアセンブリ534の画像データを生成することがある。撮像デバイス566および光センサ570、572が機能していない場合、または吸引および分注モジュール530内で移動した場合、位置センサ556の前述の試験が達成されないことがあることに留意されたい。この動きは、診断データとしてセンサチェックモジュール120Aに通信され、撮像デバイス566、光センサ570、572、および/または位置センサ556の動作ステータスを決定するために使用される。
【0086】
圧力センサ564は、圧力センサ564の動作ステータスを決定するために、上述したように試験される。例えば、ピペットアセンブリ534は、既知の粘性を有する液体を吸引および/または分注することがあり、導管562内の圧力を測定することがある。圧力センサ564によって生成された圧力データは、圧力センサ564の動作ステータスを決定するためにセンサチェックプログラム120Aに通信される。
【0087】
センサチェックプログラム120Aは、センサ228の診断データを受信して解析することができる。解析に応答して、センサチェックプログラム120Aは、本明細書で述べるように、センサの動作ステータスデータを生成することができ、動作ステータスデータをセンサスケーリングプログラム120Bに転送することができる。センサスケーリングプログラム120Bは、本明細書で述べるようにセンサデータをスケーリングすることができる。例えば、撮像デバイス566が故障している(例えば機能していない)場合、センサスケーリングプログラム120Bは、撮像デバイス566によって生成される画像データを無視する、または少なくとも部分的に無視することがある。位置センサ556および圧力センサ564が機能している場合、システム224は、画像データが無視されるべきであることを示す修正されたセンサデータを出力することがある。センサスケーリングプログラム120Bは、圧力センサデータを使用して、吸引された液体中に気泡が存在するかどうかを判定することがある。
【0088】
圧力センサ564が故障している、または機能していない場合、センサスケーリングプログラム120Bは、圧力センサデータを無視することがある。いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、プローブ536を表す画像データを使用して、プローブ536内の液体の体積を計算することができる。この計算された体積は、圧力センサ564の修正されたセンサデータとして出力され、正確ではないものとして留意される。
【0089】
位置センサ556が故障している、または機能していない場合、センサスケーリングプログラム120Bは、撮像デバイス566および/または光センサ570、572によって生成された画像データを使用して、プローブ536の位置を決定することができる。例えば、光センサ570、572は、プローブ536の底部またはプローブ536の他の領域の位置を識別することができる。センサスケーリングプログラム120Bは、このプローブ位置を修正されたセンサデータとして出力し、修正されたセンサデータが正確でない可能性があることを示すことがある。
【0090】
上述したように、システム224は、ユーザがセンサステータスに関するデータを入力することを可能にすることがあるユーザ構成プログラム120Cを含むことがある。例えば、診断検査室システム100のオペレータまたは技術者などのユーザは、センサステータスを手動で変更することが可能であり得る。そのようなステータス変更は、無視(センサのアンインストールなど)、センサのインストール、および特定のセンサのスケーリングの設定を含む。いくつかの実施形態では、ユーザは、性能精度、エネルギー消費、動作時間、コスト、および予算などの動作因子に基づいてセンサのステータスを手動で変更することができる。例えば、ユーザは、正常に機能していないセンサを交換するのではなく、正常に機能していないセンサのセンサデータを無効にすると判断してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、ユーザ入力に応じてセンサデータを少なくとも一部無視することによってセンサデータをスケーリングすることができる。
【0091】
本明細書で述べる修正されたセンサデータを使用することによって、修正されたセンサデータが生成されたモジュールが動作し続けることができる。したがって、センサの故障がモジュールまたは診断検査室システム全体の致命的な故障を引き起こすことはない。むしろ、モジュールおよび/または診断検査室システムは、故障したセンサが修理されるまで、制限された能力で動作し続けることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、センサスケーリングプログラム120Bは、機能していないセンサのセンサデータを補足、置換、または補完するために使用する特定のセンサデータを決定することができる。いくつかの実施形態では、テーブルなどを使用して、機能していないセンサのセンサデータを補足、置換、または補完するためにどのセンサデータを使用することができるかを決定することができる。
【0093】
ここで
図7を参照すると、
図7は、診断検査室システム(例えば、診断検査室システム100)を作動させる方法700を示すフローチャートである。方法700は、702で、診断検査室システム内の物品(例えば、検体442、検体容器302)に対して機能を実行するように構成されたモジュール(例えば、モジュール330、モジュール530)を提供することを含む。この方法は、704で、複数のセンサ(例えば、センサ226、センサ228)を提供することを含み、複数のセンサはそれぞれ、機能または物品を監視し、監視に応答してセンサデータを生成するように構成される。方法700は、706で、複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることを含む。方法700は、708で、複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することを含む。方法700は、710で、修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることを含む。
【0094】
ここで
図8を参照すると、
図8は、診断検査室システム(例えば、診断検査室システム100)を作動させる方法800を示すフローチャートである。方法800は、802で、診断検査室システム内の検体(例えば、検体442)に対して分析を実行するように構成されたモジュール(例えば、モジュール330、モジュール530)を提供することを含む。方法800は、804で、複数のセンサ(例えば、センサ226、センサ228)を提供することを含み、複数のセンサはそれぞれ、分析中に試料を監視するように構成される。方法800は、806で、複数のセンサのうちの第1のセンサの動作ステータスをチェックすることを含む。方法800は、808で、複数のセンサのうちの少なくとも1つからセンサデータを受信することを含む。方法800は、810で、修正されたセンサデータを生成するために、動作ステータスおよびセンサデータに応答して第1のセンサからのセンサデータをスケーリングすることを含む。
【0095】
本開示は様々な修正および代替形態が可能であるが、特定の方法および装置の実施形態を例として図面に示し、本明細書で詳細に述べる。しかし、本明細書に開示される特定の方法および装置は、本開示を限定することを意図されてはおらず、逆に、特許請求の範囲の範囲内に含まれるすべての修正形態、均等形態、および代替形態を網羅することを意図されていることを理解されたい。
【国際調査報告】