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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】外科用開創器デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549843
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 NO2022050050
(87)【国際公開番号】W WO2022182247
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】20210268
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523311498
【氏名又は名称】バイキング アーム メディカル エイエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ、オイビンド
(72)【発明者】
【氏名】アギレラ、ハンス マーティン
(72)【発明者】
【氏名】シェーン、テリエ
(72)【発明者】
【氏名】モ、イヴァール ビャーネ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
(57)【要約】
本発明は、ハウジング(7)と、ハウジングに枢動可能に結合された第1のプレス・アーム(2)と、ハウジングに枢動可能に結合された第2のプレス・アーム(3)とを備える外科的開創器デバイスであって、前記第1及び第2のアームが、第1の平面における回転運動を有する、外科的開創器デバイスに関する。各プレス・アームは、第1の平面と直角であり各プレス・アームの外端にある軸の周りを枢動する把持部材(4a、4b)と、アームの内端にある取付手段とを備え、ハウジングは開閉機構を備える。ハウジング(7)は、開閉機構(6)を備え、開閉機構は、プレス・アームの取付手段(5a、5b)をハウジング(7)に取り付けるための、外科的デバイスの中心線から対称に隔置された、回転可能な第1及び第2のプレス・アーム取付構造(10a、10b)と、回転可能な第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)と、回転を前記第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)から前記第1及び第2のプレス・アーム取付構造(10a、10b)に伝達するための伝達機構とを備える。デバイスは、開閉機構(6)を操作するための第1及び第2のハンドル(8、9)をさらに備える。第1及び第2のハンドル(8、9)は、前記ハンドルをそれぞれ前記第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)に取り付けるための、前記ハンドルの内端にあるハンドル取付手段(14a、14b)と、ユーザによって操作可能なハンドル構造とを備える。第1及び第2のハンドル(8、9)は、第1の平面における回転運動を有し、外科的デバイス(1)の中心線から対称に隔置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(7)と、
前記ハウジングに枢動可能に結合された第1のプレス・アーム(2)と、
前記ハウジングに枢動可能に結合された第2のプレス・アーム(3)であって、前記第1及び第2のアーム(2、3)は、第1の平面における回転運動を有する、第2のプレス・アーム(3)と
を備える外科的開創器デバイス(1)であって、
-各プレス・アームが、
-前記第1の平面と直角であり各プレス・アームの外端にある軸の周りを枢動する把持部材(4a、4b)と、
-前記アームの内端にある取付手段(5a、5b)とを備え、
-前記ハウジング(7)が、
開閉機構(6)を備え、前記機構が、
-前記プレス・アームの前記取付手段(5a、5b)を前記ハウジング(7)に取り付けるための、前記外科的デバイスの中心線から対称に隔置された、回転可能な第1及び第2のプレス・アーム取付構造(10a、10b)と、
-回転可能な第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)と、
-回転を前記第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)から前記第1及び第2のプレス・アーム取付構造(10a、10b)に伝達するための伝達機構とを備え、
前記デバイスが、前記開閉機構(6)を操作するための第1及び第2のハンドル(8、9)をさらに備え、各ハンドルが、
-前記ハンドルをそれぞれ前記第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)に取り付けるための、前記ハンドルの内端にあるハンドル取付手段(14a、14b)と、
-ユーザによって操作可能なハンドル構造とを備え、
-前記第1及び第2のハンドル(8、9)は、前記第1の平面における回転運動を有し、外科的デバイス(1)の前記中心線から対称に隔置されており、
-前記2つのハンドル(8、9)は開状態の方向にプレテンションが印加されており、
-前記第1及び第2のハンドル(8、9)の前記中心線方向への反対方向の回転運動は、前記第1及び第2のプレス・アーム(2、3)の、前記中心線から離れる反対方向の回転運動を生じさせる、外科的開創器デバイス(1)
【請求項2】
前記伝達機構が、
-各カム・アームが前記第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)にそれぞれ連結された第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)と、
-各起動アームが前記第1及び第2のアーム取付構造(10a、10b)にそれぞれ連結された第1及び第2の起動アーム(12a、12b)と、
-減速ギア、及び/又はピニオン・ギア(21)に連結された伝達ギア(20)を備えるギア・トレイン(19)であって、前記ピニオン・ギアはウォーム・ギア(22)に連結されている、ギア・トレイン(19)とを備え、
前記ギア・トレインは一端において、前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)のうちの少なくとも一方に回転可能に結合され、
前記ギア・トレイン(19)は他端において、前記第1及び第2の起動アーム(12a、12b)のうちの少なくとも一方に回転可能に結合され、
それによって、前記伝達機構は、回転運動を前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)のうちの少なくとも一方から前記第1及び第2の起動アーム(12a、12b)のうちの少なくとも一方に変換するように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記伝達機構が、
-各カム・アームが前記第1及び第2のハンドル取付構造(13a、13b)にそれぞれ連結された第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)と、
-各起動アームが前記第1及び第2のプレス・アーム取付構造(10a、10b)にそれぞれ連結された第1及び第2の起動アーム(12a、12b)と、
-ピストン・ロッド(16)及びシリンダ(11)を備える少なくとも油圧アクチュエータ(18)とを備え、
前記油圧アクチュエータ(18)は一端において、前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)のうちの少なくとも一方に結合され、
油圧アクチュエータ(18)は他端において、前記第1及び第2の起動アーム(12a、12b)のうちの少なくとも一方に結合され、
それによって、前記伝達機構が、回転運動を前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)から前記第1及び第2の起動アーム(12a、12b)に変換するように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記伝達機構が、
-さらなるピストン・ロッド(16’)及びさらなるシリンダ(11’)を有するさらなる油圧アクチュエータ(18’)をさらに備え、
前記さらなる油圧アクチュエータ(18’)は一端において、前記第2のカム・アーム(15b)に結合され、他端において、前記第2の起動アーム(12b)に結合され、
前記油圧アクチュエータ(18)は一端において、前記第1のカム・アーム(15a)に結合され、他端において、前記第1の起動アーム(12a)に結合され、
それによって、前記伝達機構が、回転運動を前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)から前記第1及び第2の起動アーム(12a、12b)にそれぞれ変換するように適合される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)のそれぞれが、
-前記ピストン・ロッド(16、16’)の端面を受けるように適合された突出面エリア(17、17’)と、
-歯又はコグを有する少なくとも部分的に歯を付けたエリア(23、23’)とを備え、
前記第1及び第2のカム・アーム(15a、15b)の前記少なくとも部分的に歯を付けたエリア(23、23’)は互いにかみ合って、前記第1及び第2のハンドル(8、9)が互いに連係して同期回転することを保証する、請求項3又は4に記載のデバイス。
【請求項6】
少なくともばね(25)が前記第1及び第2のハンドル(8、9)に、互いから離れる開状態の方向に、プレテンションを印加する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ハンドル取付手段(14a、14b)は取り外せるように取り付け可能であり、前記ハンドル取付手段(14a、14b)の表面は、前記ハンドル取付構造(13a、13b)の対応する表面を受けるように適合される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記アーム取付手段(5a、5b)は取り外せるように取り付け可能であり、前記アーム取付手段(5a、5b)の表面は、前記アーム取付構造(10a、10b)の対応する表面を受けるように適合される、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記開閉機構(6)は、開放弁スイッチ(24)と、前記油圧アクチュエータに流体結合された開放弁とを備え、それによって、前記開放弁スイッチ(24)は前記弁を開けて前記アクチュエータ(18、18’)内の圧力を開放し、以て前記第1及び第2のプレス・アーム(2、3)は、開状態から閉状態に向かって移動可能である、請求項3から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用開創器デバイスに関し、より詳細には、本発明は、外科的露出を実施する際に使用される外科用開創器デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
心胸郭手術、例えば胸骨切開術又は開胸術の分野において、自己保持型開創器を使用して対象の解剖学的部位にアクセスする必要がある。心胸郭手術における標準的な切開には胸骨切開術及び開胸術がある。開胸術の処置中に、開創器を使用して肋骨及び軟組織を広げ、それによって胸膜腔にアクセスできるようにする。完全な又は部分的な胸骨切開術が、胸骨に沿った正中線切開によって実施されると、胸骨の半体同士が胸骨開創器によって引き離されて、心臓及び関連する組織へのアクセスを実現する。これらの処置で使用される開創器は、単一の平面において開くジョーを有する。どのような外科的露出でも胸腔への十分なアクセスを行える可能性があるが、処置は患者を大きな緊張を受けた状態にする可能性があるため、露出の程度及びタイプは、罹患率と比較検討する必要がある。したがって、これらの処置は、術後の顕著な痛みの程度及び長期にわたる患者の回復時間と関連がある。
【0003】
外科医がデバイスを通じて外科的切開部に加える力は、Finochietto開創器の設計による手回しレバーの角度に従って変化する。手回しレバーの回転速度は、アームの開速度に線形比例せず、ユーザは開速度及び力に対する感覚がないままになる。伝統的な開創器の不利な面の1つは、力フィードバックがないことであり、このことが、外科医が解剖学的な関心部位にアクセスするときに加わる力の量を判断することを難しくさせる。これは、外科医が有する、どれだけの量の力が加わるかを知る能力が限定されていることを意味する。操作者が開創中に不必要な損傷を骨及び組織に与えることを回避することができるようにジョーの開度を精密に制御するのは有利である。伝統的な開創器には、開創中に働かせる力を微調整及び感じるために操作者ができることはない。Finochietto開創器は、最適に機能するために注油が必要な、動くメタルオンメタル部品を備え、デバイスの滅菌後に毎回注油を行わないと、デバイスは最適には機能しなくなる。さらに、Finochietto開創器は、一方の側に回転レバーを有し、レバーは、回転するときにデバイスと共に横断する。こうして、レバーは外科的切開部の横断平面に沿って動くが、このことが、操作時に開創中のレバーの横断偏位のために、デバイスに対してより大きな運動量を生じさせる。Finochietto開創器は、開状態にあるとき、ノッチを備えるバーが露出されて、不便に位置し得る。主に、露出されるノッチは、チューブ及びコードなどの外科的機器を妨げ損傷させると共に、手術中に外科的機器が自由に動くのを妨害するおそれがある。最悪の事例のシナリオは、レバーシステムが、混雑したペースメーカ・ケーブルをまたいだために、壊れやすいペースメーカ・ケーブルが切断されるときである。
【0004】
最後に、心胸郭手術の分野における下記の進歩、外科的切開部のさらなるタイプは、日常的に実施されている。伝統的な開創器は、交換できる部品がわずかしかなく、外科医の特殊な好み又は患者のニーズに必ずしも応えるわけではない。
【0005】
肋骨開創器のいくつかの他のタイプが、Finochietto開創器の不利な面を和らげるようとするために開発されてきた。
【0006】
米国特許第10603025B2号では、第1のショルダ70及び第2のショルダ74を備えるハウジングを有する外科的肋骨開創器が開示されている。開創器はさらに、第1及び第2のショルダに枢動可能に結合された第1及び第2のアーム・ユニット76、78を有する。外科的肋骨開創器はさらに、第1及び第2のアームを上下に枢動させるための第1及び第2のアーム・アクチュエータ80、82を有する。さらに、米国特許第10603025B2号の外科的肋骨開創器は、アーム76、78を広げるために単一のアクチュエータ84に連結された回転可能なノブ84を備える。
【0007】
米国特許第10603025B2号で開示された解決策の不利な面は、Finochietto開創器に対するものと同じであり、主に、操作ホイールをねじり、以て回転モーメントをかけることによって、力がデバイスを通じて斜めにかかることである。その上、ユーザは、手術後に開創器を閉じるために、操作ホイールを同じ回数、回転させなければならず、このことが不均一な力を患者に伝達させると共に手術が完了した後のデバイスの閉鎖を遅らせる。
【0008】
欧州特許EP2080480A1では、2つの胸骨半体間に挿入されるように構成され、前記半体に堅固に係合するように成形された一対のジョー1a、1b;20a、20bと、一対のジョー1a、1b;20a、20bの間に油圧シリンダ3及びピストン4を備える作動手段2とを備える胸骨開創器デバイスが開示されている。油圧シリンダはシリンジによって作動される。デバイスは、アクチュエータ及びアクチュエータ・アームが手術部位を隠すので、外科的露出に適さない。アクチュエータを作動させるためのシリンジの使用は、患者に加えられる力に関するフィードバックをユーザにもたらさない。さらに、一対のジョーが離れることを強いる部材は、ペースメーカ・ワイヤ及び管などの外科的機器を挟んで損傷させるおそれのあるヒンジ部及びスライド部を備える。
【0009】
文書国際公開第2012040206A1号では、枢動物のホルダ・アセンブリ104に結合された第1のプレス・アーム122、ホルダ・アセンブリ104に結合された第2のプレス・アーム126、及びホルダ・アセンブリ104に摺動可能に連結された第3のプレス・アーム(316)を含む外科的開創器デバイスが開示されている。国際公開第2012040206A1号において開示された解決策は、すべての機構をオペレーション部位に露出することにより、消毒を困難にし、手術部位を、患者を挟んで損傷を与えるおそれがある可動部品に露出し、手術部位を非滅菌の機器に露出する。
【0010】
したがって、本発明の目的は、1つの手で操作可能で、デバイスを操作するために加えられる力がアームの開きと同じ平面にあるデバイスであって、加えられる力がデバイスの回転運動をもたらさない、デバイスを提供することである。さらに、本発明の目的は、使い勝手がよく、デバイスを微調整する能力をユーザに提供し、操作に小さな力しか必要がなく、迅速な様式で閉じさせることができ、入力レバーを静止位置にしたままとするデバイスを達成することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、加えられる力に関するフィードバックをユーザに提供することができるデバイスを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、知られている従来技術の欠点を克服することである。
【0013】
これらの目的を達成するために、独立請求項によるデバイスが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第10603025B2号
【特許文献2】欧州特許EP2080480A1
【特許文献3】国際公開第2012040206A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、主請求項において説明され特徴付けられる一方、従属請求項は、本発明の他の特性を記述する。
【0016】
本発明の好ましい実施例において、デバイスは、ハウジングと、ハウジングに枢動可能に結合された第1のプレス・アームと、ハウジングに枢動可能に結合された第2のプレス・アームであって、前記第1及び第2のアームは、第1の平面における回転運動を有する、第2のプレス・アームとを備える。各プレス・アームは、第1の平面と直角であり各プレス・アームの外端にある軸の周りを枢動する把持部材と、アームの内端にある取付手段とを備える。ハウジングは開閉機構を備え、開閉機構は、プレス・アームの取付手段をハウジングに取り付けるための、外科的デバイスの中心線から対称に隔置され、回転可能な第1及び第2のプレス・アーム取付構造と、回転可能な第1及び第2のハンドル取付構造と、回転を前記第1及び第2のハンドル取付構造から前記第1及び第2のプレス・アーム取付構造に伝達するための伝達機構を備える。デバイスはさらに、開閉機構を操作するための第1及び第2のハンドルを備え、各ハンドルは、前記ハンドルをそれぞれ第1及び第2のハンドル取付構造に取り付けるための、ハンドルの内端にあるハンドル取付手段と、ユーザによって操作可能なハンドル構造とを備え、第1及び第2のハンドルは、第1の平面における回転運動を有し、外科的デバイスの中心線から対称に隔置されており、2つのハンドルは開状態の方向にプレテンションが印加されており、第1及び第2のハンドルの、中心線方向への反対方向の回転運動は、第1及び第2のプレス・アームの、中心線から離れる反対方向の回転運動を生じさせる。
【0017】
本発明の別の実施例において、伝達機構は、各カム・アームが第1及び第2のハンドル取付構造にそれぞれ連結された第1及び第2のカム・アームと、各起動アームが第1及び第2のアーム取付構造にそれぞれ連結された第1及び第2の起動アームと、減速ギア、及び/又はピニオン・ギアに連結された伝達ギアを備えるギア・トレインであって、前記ピニオン・ギアはウォーム・ギアに連結されている、ギア・トレインとを備える。ギア・トレインは一端において、第1及び第2のカム・アームのうちの少なくとも一方に回転可能に結合され、ギア・トレインは他端において、第1及び第2の起動アームのうちの少なくとも一方に回転可能に結合される。それによって、伝達機構は、回転運動を第1及び第2のカム・アームのうちの少なくとも一方から第1及び第2の起動アームのうちの少なくとも一方に変換するように適合される。
【0018】
発明のさらに別の実施例において、伝達機構は、各カム・アームが第1及び第2のハンドル取付構造にそれぞれ連結された第1及び第2のカム・アームと、各起動アームが第1及び第2のプレス・アーム取付構造にそれぞれ連結された第1及び第2の起動アームと、ピストン・ロッド及びシリンダを備える少なくとも油圧アクチュエータとを備え、油圧アクチュエータは一端において、第1及び第2のカム・アームのうちの少なくとも一方に結合され、油圧アクチュエータは他端において、第1及び第2の起動アームのうちの少なくとも一方に結合され、それによって、伝達機構が、回転運動を第1及び第2のカム・アームから第1及び第2の起動アームに変換するように適合される。
【0019】
発明のさらに別の実施例において、伝達機構はさらに、さらなるピストン・ロッド及びさらなるシリンダを有するさらなる油圧アクチュエータを備える。さらなる油圧アクチュエータは一端において、第2のカム・アームに結合され、他端において、第2の起動アームに結合され、油圧アクチュエータは一端において、第1のカム・アームに結合され、他端において、第1の起動アームに結合され、それによって、伝達機構は、回転運動を第1及び第2のカム・アームから第1及び第2の起動アームにそれぞれ変換するように適合される。
【0020】
発明のさらに別の実施例において、第1及び第2のカム・アームのそれぞれは、ピストン・ロッドの端面を受けるように適合された突出面エリアと、歯又はコグを備える少なくとも部分的に歯を付けたエリアとを備え、第1及び第2のカム・アームの少なくとも部分的に歯を付けたエリアは互いにかみ合って、第1及び第2のハンドルが互いに連係して同期回転することを保証する。
【0021】
発明のさらに別の実施例において、少なくともばねが第1及び第2のハンドルに、互いから離れる開状態の方向に、プレテンションを印加する。
【0022】
発明のさらに別の実施例において、ハンドル取付手段は取り外せるように取り付け可能であり、ハンドル取付手段の表面は、ハンドル取付構造の対応する表面を受けるように適合される。
【0023】
発明のさらに別の実施例において、アーム取付手段は取り外せるように取り付け可能であり、アーム取付手段の表面は、アーム取付構造の対応する表面を受けるように適合される。
【0024】
発明のさらに別の実施例において、開閉機構は開放弁スイッチと、油圧アクチュエータに流体結合された開放弁とを備え、それによって、開放弁スイッチは前記弁を開けてアクチュエータ内の圧力を開放し、以て第1及び第2のプレス・アームは、開状態から閉状態に向かって移動可能である。
【0025】
本発明のこれら及び他の特性は、添付の概略図を参照して、非限定的な実例として与えられる実施例の好ましい形態の下記の記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】閉状態における外科用開創器デバイスを示す図である。
図2】開状態における外科用開創器デバイスを示す図である。
図3】ハウジングの内部の仕組みが露出された外科用開創器デバイスを示す図である。
図4】ハウジングの内部の仕組みが露出されたハウジングの近接図である。
図5】開閉機構の内部の仕組みを伴うハウジングの近接図である。
図6】開閉機構の内部の仕組みの近接図である。
図7】開閉機構のギア・トレインの近接図である。
図8】ハンドルが開いた状態にある外科用開創器デバイスを示す図である。
図9】複数の状態にある外科用開創器デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の記述は、「水平方向の」、「垂直方向の」、「横方向の」、「前後方向の」、「上下方向の」、「上側」、「下側」、「内側」、「外側」、「前方の」、「後方の」などの用語を使用する。器具の中心軸は、ハウジングの中心軸及びプレス・アーム間の中心線に沿って水平方向に延びるように規定される。長手方向は、中心軸に沿った方向と規定される。これらの用語は全体として、図面において見られる、本発明の標準の使用に関連付けられた、図及び配向を指す。用語は読者の便宜のみのために使用され、限定するものではない。異なる図面に対する同様の符号は同じ特徴を記述する。アポストロフィが付いた符号は同じ符号によって表される追加の特徴を表し、例えば、番号11は、複数のうちの、又はすべての複数のうちの1つ又は1番目を表し、符号11’は、同じ特徴のうちの2番目又は複数の特徴のように、同じ特徴のうちの追加の又はさらなる特徴を表す。
【0028】
図1は閉状態の外科的開創器デバイス1を示す。デバイスは、水密であるハウジング7と、ハウジングに枢動可能に結合された第1のプレス・アーム2と、ハウジングに枢動可能に結合された第2のプレス・アーム3とを備え、前記第1及び第2のアーム2、3は第1の平面における回転運動を有する。各プレス・アームは、第1の平面と直角であり各プレス・アームの外端にある軸の周りを枢動する把持部材4a、4b又はジョーを備える。把持部材4a、4bは、外科的切開部の中へ挿入されるように適合される。第1及び第2のアーム2、3と連係した把持部材4a、4bの枢動は、アーム2、3が離れさせられるとき、外科的切開部の把持側に対して常に平行であることを保証する。アームはさらに、アームをハウジング7又はその部品に取り外せるように取り付けるために、アームの内端においてそれぞれの取付手段5a、5bを備える。把持部材4a、4bは、異なる形状及びサイズのものに交換でき、異なるニーズに応えることができる。把持部材4a、4bは、比較的平坦又は四角い形状に示されているが、細長く、湾曲した、より深い形状でもよい。把持部材4a、4bは、引き離している表面を確実に把持するためにより深い又はより浅い把持面を備えてもよい。
【0029】
開閉機構6はハウジングの内部に位置する。ハウジングは、滅菌を容易にし、開閉機構からのオイル、ダスト、及び油脂などの不純物を封じ込めるために、水密でなければならない。ハウジング7が水密であるためには、ハウジングの材料は水密材料であってもよく、任意の開口部又は過剰部は、いかなる不純物又は流体の浸入又は噴出も防止するためにガスケット及び/又はシールを備えてもよい。ハウジングは、加えられる力に耐えるように、好ましくは構造的に堅い材料で作られていてもよい。機構6の目的は、プレス・アーム2、3を制御可能な、正確な、及び確実な様式で開閉することである。図2では、デバイスが開状態にあることを示しており、プレス・アーム2、3の開創により手術部位が露出される。図2に示されるように、デバイスが開位置にあるときに、プレス・アーム2、3は、デバイスの中心線に向かって湾曲しており、すなわち、各アームは中心線に対して突形状を有し、したがって胸又は手術場所の中央領域に手術スペースを残したままとする。さらに、デバイスにとって必要なすべての注油はハウジング7の内部に限定され、デバイスのどのような外側滅菌も開閉機構6の注油を必要としない。
【0030】
開閉機構は、手動操作又は操作者によって制御される電源によって起動されなければならない。機構は、プレス・アームの取付手段5a、5bをハウジング7に取り付けるための、外科的器具の中心線から対称に隔置され、回転可能な第1及び第2のプレス・アーム取付構造10a、10bを備える。アーム取付手段5a、5bは、デバイスの滅菌及び洗浄の便宜のためにアーム取付構造に取り外し可能に取り付け可能であってもよい。アーム2、3は、異なるニーズに応えるために、異なる角度を有する異なる長さのアーム2、3で置き換えられてもよい。アーム2、3は、第1の平面において及び第1の平面と何らかの関係においてさらに角度付けされてもよい。アーム取付手段5a、5bの表面は、アーム取付構造10a、10bの対応する表面を、相対的に回転させない様式で受けるように適合される。アーム取付手段5a、5bの表面は、多角形の中空又は凹形状であってもよく、アーム取付構造10a、10bの表面は、前記第1の形状の突出する又は凸の対応する表面であってもよく、又は逆であってもよく、それによって凸突出は、穴又はへこみへと入ることができるが、第1の平面において互いに対して相対的に回転しない。ハンド及びアームの両方の取付構造及び取付手段は、取付部を固定するために、安全ピン又はロック・ピンなどの固定機構を備えてもよい。
【0031】
開閉機構はさらに、回転可能な第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bを備える。第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bは、ハウジングから突出し、開閉機構6を動作させるために、それぞれ第1及び第2のハンドル8、9をそれぞれ受けるように適合される。第1及び第2のハンドル8、9は、前記ハンドルを第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bにそれぞれ取り付けるための、ハンドルの内端にあるそれぞれのハンドル取付手段14a、14bを備える。ハンドル取付手段14a、14bの表面は、相対的な回転をさせない様式でハンドル取付構造13a、13bの対応する表面を受けるように適合される。ハンドル取付手段13a、13bは、デバイスの滅菌及び洗浄の便宜のため、及びユーザのニーズに応えるように異なる形状のハンドルに変更するためにハンドル取付構造に取り外し可能に取り付け可能であってもよい。ハンドル取付手段14a、14bの表面は、多角形の中空又は凹形状であってもよく、ハンドル取付構造13a、13bの表面は、前記第1の形状の突出する又は凸の対応する表面であってもよく、又は逆であってもよく、それによって凸突出は、穴又はへこみへと入ることができるが、第1の平面において互いに対して相対的に回転しない。各ハンドル8、9は、1つの手でユーザによって操作可能なように適合されたハンドル構造を備える。ハンド及びアームの両方の取付構造及び取付手段は、取付部を固定するために、安全ピン又はロック・ピンなどの固定機構を備えてもよい。さらに、ハンドル取付手段(14a、14b)は、ハンドル取付構造に取り外し可能に取り付け可能であってもよい。
【0032】
ユーザが閉の第1の状態のデバイスを、プレス・アーム2、3が押し広げられた開の第2の状態に移行させなければならないとき、第1及び第2のハンドルは互いに向かって回転され、それによって、伝達機構は、前記第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bを介して、ユーザによって操作されたハンドル8、9からの回転を前記第1及び第2のプレス・アーム取付構造10a、10bに伝達する。これを達成するために、第1及び第2のハンドル8、9は、第1の平面における回転運動を有し、外科的器具の中心線から対称に隔置されている。2つのハンドル8、9は、開状態の方向にプレテンションが印加される、つまりハンドル8、9間に少なくとも正の角度があるまま互いに対して相対的に位置し、第1及び第2のハンドル8、9の、中心線に向かう反対方向の回転運動は、第1及び第2のプレス・アーム2、3の、中心線から離れる反対方向の回転運動を生じさせる。第1及び第2のハンドル8、9の反対方向の回転運動は、それぞれのハンドル取付構造13a、13bには取り付けられていない第1及び第2のハンドル8、9の端部、すなわち外端を互いに向かって締め付ける又は押圧することによって生じる運動であると理解されるべきである。2つのハンドルには、開状態の方向にプレテンションが印加され、こうしてポンピング作用を生じさせることができ、ポンピング作用は、開閉機構6によるプレス・アーム2、3の制御された運動に伝達される。両方のハンドルは、中心線の周りに対称に動く。
【0033】
少なくともばね25がプレテンションを第1及び第2のハンドル8、9に印加して、互いに開状態の方向に離れさせる。図4、5では、ばね25は、少なくとも、長手方向に向けて移動可能であるピストン・ロッド16の一部を取り囲んでハウジング7の中に据えられており、ピストン・ロッド16をカム・アーム15a、15bの方向に押圧し、以て第1及び第2のハンドル8、9を押し広げる。図示されていない実施例において、ばね25は直接的にカム・アーム15a、15bを押圧しており、別の実施例では、ばね25は、第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bのうちの少なくとも一方、又は第1及び第2のハンドル8、9のうちの少なくとも一方若しくはその部品を直接的に押圧するものである。
【0034】
デバイス1を開く、及び患者の肋骨又は胸骨を後退させるために必要とされる力は、手が1つの閉じる動作で生成する力よりも大きい可能性があるので、デバイスは、本発明の実施例において、ハンドル8、9に入力された力をプレス・アーム2、3に伝達し増倍させる伝達機構を有する。これは、ハンドル8、9を複数回押圧すると、第1及び第2のハンドル8、9を1回押圧するごとにアームがある距離押し広げられるように強いられることになることを意味する。患者からアーム2、3に作用する力が増大するにつれて、ユーザはハンドル8、9に対して、患者に加えられる力の触覚の及び触知できる感覚をユーザに与える、増大した抵抗を受けることになる。機構は機械的ギア及びラチェット・メカニズムであってもよく、油圧機構であってもよい。
【0035】
図3は内部の仕組みが露出されたデバイスを示す。図3では、本発明の実施例は、伝達機構が第1及び第2のカム・アーム15a、15bを備える場合を示している。各カム・アームは、第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bにそれぞれ連結される。第1のカム・アーム15aは第1のハンドル取付構造13aに連結され、第2のカム・アーム15bは第2のハンドル取付構造13bに連結されることを理解すべきである。カム・アーム15a、15bは、それぞれのハンドル取付構造13a、13bに、固定された様式で、すなわち、カム・アームとそのハンドル取付構造との間の相対的な回転をさせない様式で連結されるので、ハンドル取付構造13a、13bがハンドル8、9のうちの一方によって回転されるとき、カム・アームも回転する。図3に示される伝達機構はさらに、第1及び第2の起動アーム12a、12bを備える。各起動アームは、第1及び第2のプレス・アーム取付構造10a、10bにそれぞれ連結される。第1及び第2のプレス・アーム2及び3は、閉状態の方向にプレテンションが印加される、つまり一緒に押圧されるようにプレテンションが印加される。これは、少なくとも、一端においてハウジング7に、又はその一部に連結され、他端においてアーム取付構造10a、10bの少なくとも一方に、又はその一部に連結されるアームばね26、26’によって達成される。
【0036】
本発明の例示される実施例において、機構はさらにピストン・ロッド16及びシリンダ11を有する油圧アクチュエータ18を備える。油圧アクチュエータ18は、第1及び第2のカム・アーム15a、15bの両方を背にして据え付けられることによって、一端において第1及び第2のカム・アーム15a、15bの両方に結合され、第1及び第2の起動アーム12a、12bの両方を背にして据え付けられることによって、他端において第1及び第2の起動アーム12a、12bの両方に結合される。それによって伝達機構は、回転運動を第1及び第2のカム・アーム15a、15bから第1及び第2の起動アーム12a、12bに変換するように適合される。各起動アーム12a、12bは第1及び第2のアーム取付構造10a、10bにそれぞれ連結される。これは、第1の起動アーム12aが第1のアーム取付構造10aに連結され、第2の起動アーム15bが第2のアーム取付構造10bに連結されると理解されるべきである。起動アーム12a、12bはそれぞれのアーム取付構造10a、10bに、固定された回転の様式、すなわち、起動アームとそのアーム取付構造との間の相対的な回転をさせない様式で連結されるので、油圧アクチュエータ18が伸張して起動アーム12a、12bを押圧するとき、以て起動アーム12a、12bをそれぞれの取付構造を通り抜ける軸の周りに回転させ、起動アーム12a、12bは、回転可能なアーム取付構造10a、10bを回転させ、それによってプレス・アーム2、3を押し広げる。
【0037】
図4はハウジング7の内部の仕組みを備えるデバイスを示す。図4では、本発明の実施例は、伝達機構が第1及び第2の油圧アクチュエータ18、18’を備える場合を示している。複数の油圧アクチュエータを開示するとき、油圧アクチュエータ18及び1つのさらなる油圧アクチュエータ18’は、少なくとも第1の油圧アクチュエータ18及び第2の油圧アクチュエータ18’と等価であると理解されるべきである。実施例では、アクチュエータはピストン・ロッド16及びさらなるシリンダ11を備え、さらなる油圧アクチュエータ18’は、さらなるピストン・ロッド16’及びさらなるシリンダ11’を備える。さらなる油圧アクチュエータ18’は、一端において第2のカム・アーム15bに結合され、他端において第2の起動アーム12bに結合される。油圧アクチュエータ18は、一端において第1のカム・アーム15aに結合され、他端において第1の起動アーム12aに結合される。それによって、ハンドル8、9が一緒に押圧されるときに、伝達機構は、回転運動を第1及び第2のカム・アーム15a、15bから第1及び第2の起動アーム12a、12bにそれぞれ変換するように適合される。図4では、第1及び第2のハンドル8、9は、開状態であり、対称に離隔されて示されている。
【0038】
図5は伝達機構の詳細図を示している。図5に示す本発明の図示された実施例では、伝達機構は2つの油圧アクチュエータ18、18’を備える。各アクチュエータは可動ピストン・ロッド16、16’を備え、ピストン・ロッドは、カム・アーム15a、15bのそれぞれ突出面エリア17、17’のうちの少なくとも一方を背にして据え付けられた、したがって表面エリア17、17’のうちの少なくとも一方に移動可能に結合された端面を有する。ピストン・ロッド16、16’の反対端は、ピストン・チャンバによって限定された作動液容積をシールするシール部分を備え、前記ピストン・チャンバは逆止弁と流体接触している。逆止弁はさらに、主シリンダ11、11’と、主シリンダ11、11’内の主シリンダ・ロッド27、27’のシール端部分とによって限定された流体容積29、29’に流体結合される。主シリンダ11、11’は、主シリンダ・ロッド27、27’と連係して並進運動することができる。別の図示されていない実施例において、シリンダ・ロッドはハンドル取付構造13a、13bを押圧し、主シリンダ11、11’は静止する。
【0039】
ユーザがプレス・アーム2、3を開くための方法は、ユーザが第1及び第2ハンドル8、9を一緒に押圧する-前記ハンドルは第1及び第2のハンドル取付構造13a、13bに連結されている-ことによって開始され、第1及び第2のカム・アーム15a、15bは回転され、それによってピストン・ロッド16、16’が押圧されて、それによって前記ロッドの並進運動が引き起こされ、ピストン・チャンバ内の作動液容積が減少する。次いで、ピストン・チャンバ内の作動液の少なくとも一部が押圧されて逆止弁を通り抜け、主シリンダ11、11’内の容積29、29’へと入る。これにより、シリンダ11、11’及び主シリンダ・ロッド27,27’が互いに連係して伸張し-主シリンダ11、11’内の作動液容積が増大するにつれ-主シリンダ11、11’は、シリンダ・ロッド27、27’から押し退けられて起動アーム12a、12bに向かうと共に起動アーム12a、12bを背にする。それによって、アーム取付構造10a、10bは回転され、以てプレス・アーム2、3が開く。
【0040】
ハンドル8、9が開放されると、ばね25、25’がピストン16、16’を逆方向に押圧し、以てピストン・ロッド16、16’の並進運動がカム・アーム15a、15bに抗して引き起こされる。これによりハンドル8、9が回転し、同時に作動液が流体リザーバ28から第2の逆止弁を通じてピストン・チャンバの増大中の容積へと導入される。ハンドル8、9に対する追加の締め付けにより、上記のシーケンスの別のシーケンス反復がもたらされ、プレス・アーム2、3はさらなる広さに押し広げられることになる。ハンドル8、9に対する締め付けの反復により、ユーザはプレス・アーム2、3を所望の幅に広げることができる。ハンドル8、9の使用中、中心線に沿った対称が維持されることになる。プレス・アームに対して外部から、外科創傷又は類似したものから加えられる力が大きくなると、ユーザによってハンドルに対して加えられることが必要な力も大きくなる。これにより、ユーザが患者又は物体に対してアーム2、3によって加えられる力を感じ評価することが保証される。本発明の例示されていない実施例において、デバイスは、アーム2、3に作用中の力、すなわち、デバイスに作用中の身体からの抵抗を測定するための歪ゲージ及び/又は運動量計及び/又はトルク測定デバイスを備えることができる。デバイスはさらに、目盛りを備える視覚インジケータとして、又はアーム2、3に対するある特定の力に到達したときにハンドル8、9が起動されるのを阻止するインジケータとしてのどちらかとして、力又は運動量インジケータを備える。このインジケーションは、偏向ビームタイプのインジケータ、スリッパタイプのインジケータ、クリック・タイプのインジケータ、又は歪ゲージを含む電子デバイスなどのトルク・レンチタイプの計器によって達成することができる。前記インジケーションは、プレス・アーム2、3の達成された圧力を指示するために作業液の圧力を指示することもできる。
【0041】
ユーザがデバイス1を閉状態に戻す、すなわち、プレス・アーム2、3を一緒に閉じるための方法は、ユーザが開放弁スイッチ24を起動させることを含む。開放弁スイッチ24は開放弁と連通しており、開放弁は主シリンダ11、11’及びリザーバ28、28’に流体結合している。開放弁スイッチ24が起動されると、開放弁が完全に開き、作動液が主シリンダ11、11’から流体リザーバ28、28’に流れ込み、主シリンダ11、11’内の流体圧力を再列挙する。その後、プレテンションが印加されたアームばね26、16’は、アーム2、3に作用する可能性がある任意の外部の力と共にアーム2、3を共に引っぱる。図5では、第1及び第2のハンドル8、9は閉状態にあり、共に対称に示されている。開放弁スイッチ24及び対応する開放弁は、アーム2、3の円滑且つ素早い閉まりを保証する。開放弁スイッチ24は、アーム2、3が、1回の流体の運動又は段階的な閉鎖のどちらかで部分的に閉じる又は完全に閉じるように作動され得る。以て、ユーザはアーム2、3を部分的に閉じる又は完全に閉じ、調節が必要な場合、以てハンドル8、9を係合してアーム2、3を開く。開放弁の起動による主シリンダ11、11’の内部圧力の瞬時の開放は、アーム2、3の素早い閉鎖をもたらし、そのことは、デバイスが手術のために、どのような外科創傷でも絶対的な必要性よりも長く露出されないように使用される場合、有益であり得る。
【0042】
図5では、ばね26、26’は、一端において、ハウジング7(図示せず)又はその部品に連結され、他端において、アーム取付構造10a、10bから突出している取付手段30、30’を介してアーム取付構造10a、10bのうちの少なくとも一方に連結されている。
【0043】
図3において、1つの油圧アクチュエータ18を使用する本発明の実施例が図示されている。前記実施例向けの伝達機構は、1つの油圧アクチュエータ18を備えることを除いて、図5に示される上記の開示された実施例と同じ特徴を有し得、可動ピストン・ロッド16であって、カム・アーム15a、15bのそれぞれの突出面エリア17、17’のうちの少なくとも一方を背にして据え付けられ、したがって、突出面エリア17、17’のうちの少なくとも一方に移動可能に結合された端面を有する可動ピストン・ロッド16を備える。ピストン・ロッド16の反対端は、ピストン・チャンバによって限定された作業液容積をシールするシール部分(図示せず)を備え、前記ピストン・チャンバは逆止弁と流体接触している。逆止弁はさらに、主シリンダ11と、主シリンダ11内の主シリンダ・ロッド(図示せず)のシール端部分とによって限定された流体容積に流体結合される。主シリンダ11は、主シリンダ・ロッド27と連係して並進運動することができる。
【0044】
図6は、本発明の実施例においてハウジング7の内部の仕組みを備えるデバイスを示し、本発明は、ユーザが第1及び第2のハンドル8、9を同じ速度及び距離で回転させることを保証する手段を含む。これにより、プレス・アーム2、3が同じ速度、且つ中心線から同じ距離で開かれることが保証される。ユーザは、デバイスを操作するために左手又は右手の両方の手を使用してもよいが、一方のハンドルが他方のハンドルに対して静止していたかのように、デバイスはどちらかの手を選好するものではない。さらなる圧力が両手から伝達機構を通じてプレス・アーム2、3に変換されることを保証するために、第1及び第2のカム・アーム15a、15bのそれぞれは、歯又はコグを有する少なくとも部分的に歯を付けたエリア23、23’を含む。それぞれの部分的に歯を付けたエリア23、23’は、ハンドル取付構造13a、13bから離隔されて突出し、第1及び第2のカム・アーム15a、15bの少なくとも部分的に歯を付けたエリア23、23’は互いにかみ合って、第1及び第2のハンドル8、9が互いに連係して同期回転することを保証する。
【0045】
図7において、第1及び第2のカム・アーム15a、15bのそれぞれが、油圧アクチュエータ18、18’の端部を受けるように適合されたそれぞれの突出面エリア17、17’を備えることがさらに示されている。図示されている実例では、油圧アクチュエータ18、18’はそれぞれ、カム・アーム15a、15bの突出面エリア17、17’を背にして据え付けられ、したがって、突出面エリア17、17’に移動可能に結合されるように適合されたピストン・ロッド16、16’上の端面を備える。
【0046】
図7は、本発明の代替の実施例においてハウジング7の内部の仕組みを備えるデバイスを示し、伝達機構はギア・トレイン19を備え、前記ギア・トレイン19は、減速ギア、及び/又はピニオン・ギア21に連結された伝達ギア20を備え、前記ピニオン・ギアはウォーム・ギア22に連結されている。ギア・トレイン19は一端において、外周の歯を付けたエリア23、23’を介して第1及び第2のカム・アーム15a、15bのうちの少なくとも一方に回転可能に結合される。ギア・トレイン19は他端において、第1及び第2の起動アーム12a、12bうちの少なくとも一方に回転可能に結合され、第1及び第2の起動アーム12a、12bのうちの少なくとも一方は、ウォーム・ギア・スクリューに対応する歯を付けた区画を備える。ギア・トレイン19を備える伝達機構は、回転運動を第1及び第2のカム・アーム15a、15bのうちの少なくとも一方から第1及び第2の起動アーム12a、12bのうちの少なくとも一方に変換するように適合される。ハンドル取付構造は、プレス・アーム2、3を開くための、ハンドルの反復される締め付け向けの爪及び歯止め機構(図示せず)を備えてもよい。
【0047】
図8には、第1及び第2のハンドル8、9が完全に開位置にあるデバイス1が示されているが、これにより、ハンドルは完全に開いているか、又は部分的にハウジング7の上に若しくは下に折り畳まれている。このように、前記目的のために使用される場合、ハンドルはハウジングの縁から最小限に突出するが、それによってチューブ及びワイヤなどの任意の外科的機器を妨げても引っ掛けてもいない。
【0048】
図9は、プレス・アーム2、3が開と閉との間の状態にある、完全に閉じた状態、完全に開いた状態、部分的に開いて閉じた状態にあるデバイスを示す。図8では、中心線CLが示されているが、アーム2、3は、開状態において中心線の周りに対称に位置し、把持部材4a、4bは、閉状態において中心線で接触する。
【0049】
図示されていないが、ハンドル取付構造13a、13b及びアーム取付構造10a、10b、したがってアーム2、3及びハンドル8、9は、ハウジングの上向き側でも下向き側でも同じ側においてハウジング7から突出してもよく、若しくは、アーム取付構造10a、10bが上向き側においてハウジング7から突出し、アーム取付構造10a、10bが下向き側においてハウジング7から突出するように、反対側においてハウジング7から突出していてもよく、又はその逆でもよい。アーム2、3及びハンドルの両方は、ユーザの動きを妨げないように、及び、他の手段のために使用されるチューブ又はコードの邪魔にならないように位置してもよい。アーム2、3及びハンドル8、9は、また、ハウジング7の側部部分から伸張してもよい。
【0050】
本発明の特定の実施例は本明細書において記述され説明されたが、修正形態及び変形形態を当業者が容易に思いつくことが認識され、その結果、特許請求の範囲はそのような修正形態及び等価物をカバーするように解釈されると意図される。
【符号の説明】
【0051】
1 外科的開創器器具
2 第1のプレス・アーム
3 第2のプレス・アーム
4a、4b 把持部材
5a、5b アーム取付手段
6 開閉機構
7 ハウジング
8 第1のハンドル
9 第2のハンドル
10a、10b アーム取付構造
11、11’ 主シリンダ
12a、12b 第1及び第2の起動アーム
13a、13b ハンドル取付構造
14a、14b ハンドル取付手段
15a、15b 第1及び第2のカム・アーム
16、16’ ピストン・ロッド
17、17’ カムの突出面エリア
18、18’ 油圧アクチュエータ
19 ギア・トレイン
20 ギア
21 ピニオン・ギア
22 ウォーム・ギア
23、23’ 歯を付けたエリア
24 開放弁スイッチ
25 レバーばね
26 アームばね
27、27’ 主シリンダ・ロッド
28、28’ 作動液リザーバ
29、29’ 主シリンダ内の限定された流体容積
30、30’ ばね取付手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】