(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 9/00 20060101AFI20240222BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20240222BHJP
C23C 14/08 20060101ALI20240222BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B32B15/04 A
C23C14/08 E
C23C14/08 J
C23C14/08 A
H05K3/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550568
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 US2022015734
(87)【国際公開番号】W WO2022177782
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0023399
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】リ ヨン スク
(72)【発明者】
【氏名】ムン ヒョン ス
(72)【発明者】
【氏名】ソク ソンホ
【テーマコード(参考)】
4F100
4K029
5E314
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
積層体は、基板の第1主面上に配置された酸化物を備えることができる。酸化物層は、約40ナノメートル以下の厚さを含むことができる。酸化物層は、酸素と第1元素とを含むことができる。第1元素は、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含むことができる。酸化物層は更に、約1.5以下の酸素と第1元素との原子数比を含むことができる。積層体は、約1.3ニュートン/センチメートル以上の、基板と酸化物層との剥離強度を含むことができる。積層体の製造方法は、第1主面を含む基板を準備するステップと、酸素環境中で別の元素を含む元素ターゲットからスパッタリングすることによって基板の第1主面上に酸化物層を堆積するステップとを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
第1主面を含む基板と、
前記基板の前記第1主面上に配置された酸化物層であって、約40ナノメートル以下の厚さを含み、酸素と第1元素とを含み、前記第1元素が、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含み、前記酸化物層は更に、約1.5以下の酸素と前記第1元素との原子数比を含む、酸化物層と、
を備え、
前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との剥離強度は、IPC-TM-650.2.4.8 条件Aに準拠して20℃で測定した場合に、約1.3ニュートン/センチメートル以上である、積層体。
【請求項2】
前記酸化物の上に配置された金属層を更に備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記金属層は銅を含む、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記金属層は、約100ナノメートル~約20マイクロメートルの範囲にある厚さを含む、請求項2又は3に記載の積層体。
【請求項5】
前記金属層の前記厚さは、約2マイクロメートル~約15マイクロメートルの範囲にある、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記金属層は、前記酸化物層に直接接触する、請求項2~5の何れか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記金属層は、前記基板の前記第1主面上で不連続である、請求項2~6の何れか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記酸化物層は、前記基板の前記第1主表面上で実質的に連続である、請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
前記第1元素に対する酸素の前記原子数比は、約0.8以下である、請求項1~8の何れか1項に記載の積層体。
【請求項10】
前記酸化物層は酸化チタンを含み、前記第1元素はチタンを含み、チタンに対する酸素の原子数比は約1.5以下である、請求項1~8の何れか1項に記載の積層体。
【請求項11】
酸化チタンに関する酸素とチタンとの前記原子数比は、約0.8以下である、請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
前記酸化物層は、本質的に酸化チタンから成る、請求項1~11の何れか1項に記載の積層体。
【請求項13】
前記酸化物層は非導電性である、請求項1~12の何れか1項に記載の積層体。
【請求項14】
前記酸化物層の厚さは、約10ナノメートル~約30ナノメートルの範囲にある、請求項1~13の何れか1項に記載の積層体。
【請求項15】
前記金属層は、前記基板の前記第1主面に直接接触する、請求項1~14の何れか1項に記載の積層体。
【請求項16】
前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との前記剥離強度は、約2.5ニュートン/センチメートル~約7ニュートン/センチメートルの範囲にある、請求項1~15の何れか1項に記載の積層体。
【請求項17】
前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との前記剥離強度は、約4ニュートン/センチメートル以上である、請求項1~15の何れか1項に記載の積層体。
【請求項18】
前記基板はガラス材料を含む、請求項1~17の何れか1項に記載の積層体。
【請求項19】
前記基板はセラミック材料を含む、請求項1~17の何れか1項に記載の積層体。
【請求項20】
前記基板は、約25マイクロメートル~約2ミリメートルの範囲にある厚さを含む、請求項1~19の何れか1項に記載の積層体。
【請求項21】
前記第1主面の粗さ(Ra)は、約5nm以下である、請求項1~20の何れか1項に記載の積層体。
【請求項22】
積層体を製造する方法であって、
酸素含有環境内で第1元素を含む元素ターゲットからスパッタリングすることによって、基板の第1主面上に酸化物層を堆積するステップを含み、
前記酸化物層は、約40ナノメートル以下の厚さを含み、前記酸化物層は酸素と前記第1元素とを含み、前記第1元素が、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含み、前記酸化物層が更に、約1.5以下である酸素と前記第1元素との原子数比を含み、
前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との剥離強度は、IPC-TM-650.2.4.8 条件Aに準拠して20℃で測定した場合に、約1.3ニュートン/センチメートル以上である、方法。
【請求項23】
前記酸化物の上に金属層を堆積するステップを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記金属層の上に所定のパターンでマスク層を堆積するステップと、
前記マスク層を堆積した後、前記金属層の少なくとも一部をエッチングするステップと、
前記エッチング後に前記マスク層を除去するステップと、
を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記金属層は、前記基板の前記第1主面のフットプリント上で不連続であり、前記酸化物層は、前記基板の前記第1主面のフットプリント上で実質的に連続である、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属層は銅を含む、請求項23~25の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記金属層の前記厚さは、約2マイクロメートル~約15マイクロメートルの範囲にある、請求項22~26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記金属層は、前記酸化物層に直接接触する、請求項22~27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
約250℃~約400℃の範囲の温度で、約15分~約6時間の範囲にある時間の間、前記積層体を加熱するステップを更に含む、請求項22~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1元素に対する酸素の前記原子数比は、約0.8以下である、請求項22~29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記酸化物層は酸化チタンを含み、前記第1元素はチタンを含み、チタンに対する酸素の原子数比は約1.5以下である、請求項22~29の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
酸化チタンに関する酸素とチタンとの前記原子数比は、約0.8以下である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸化物層は、本質的に酸化チタンから成る、請求項22~32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記酸化物層は非導電性である、請求項22~33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記酸化物層の前記厚さは、約10ナノメートル~約30ナノメートルの範囲にある、請求項22~34の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記金属層は、前記基板の前記第1主面に直接接触する、請求項22~35の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との前記剥離強度は、約2.5ニュートン/センチメートル~約7ニュートン/センチメートルの範囲にある、請求項22~36の何れか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との前記剥離強度は、約4ニュートン/センチメートル以上である、請求項22~36の何れか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記基板はガラス材料を含む、請求項22~38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記基板はセラミック材料を含む、請求項22~38の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記基板は、約25マイクロメートル~約2ミリメートルの範囲にある厚さを含む、請求項22~40の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2021年2月22日出願の韓国特許出願第10-2021-0023399号の優先権の利益を主張するものであり、当該韓国特許出願の内容に依拠し、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に積層体及びその製造方法に関し、より詳細には、酸化物層を含む積層体とその積層体をスパッタリングで製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス材料及び/又はセラミック材料を含む積層体は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、及びプラズマディスプレイパネル(PDP)など、光発電用途又はディスプレイ用途で使用することができる。ガラスシートは通常、ガラス成形材料を成形デバイスに流すことで製造されるが、成形デバイスにより、例えばスロットドロー法、フロート法、ダウンドロー法、フュージョンダウンドロー法、ローリング法、チューブドロー法、又はアップドロー法など、様々なウェブ成形プロセスでガラスウェブを成形することができる。ガラスウェブは、周期的に切り離して個別的なガラスシートにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許出願第10-2021-0023399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコンウェハとその上に堆積させた導電層とを用いて積層体を形成することが知られている。このような積層体は、電子デバイスのプリント回路として使用することができる。しかしながら、ガラス材料及び/又はセラミック材料を含む基板を用いてこのような積層体を形成すると、特に基板が平滑である(例えば、表面粗さ(Ra)が約3ナノメートル(nm)以下である)場合に、積層体の層間密着力が不十分になる可能性がある。従って、基板がガラス材料及び/又はセラミック材料を含む場合、その層間に良好な密着力を有する積層体を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、本開示の簡易要約を提示して、詳細な説明に記載する一部の実施形態に関する基本的な理解を提供する
【0007】
本開示の実施形態は、基板と酸化物層との間に良好な密着力を有する積層体を提供することができる 酸素と第1の元素とを含み、第1元素に対する酸素の原子数比が限定されている(例えば、約1.5以下、約1以下、約0.8以下)酸化物層を設けることで、良好な密着力が可能となる。一部の実施形態では、酸素と第1元素との非化学量論比を与えることにより、密着力を更に促進することができる。例えば酸化物層の酸素含有量を制限することによって、酸化物層の厚さを制限することで(例えば、約40nm以下、約30nm以下)、良好な密着力が可能となる。一部の実施形態では、ガラス及び/又はセラミックを含む基板は、例えば共有結合又は極性相互作用により、酸化物層と良好な密着性を有することができる。 更なる実施形態では、酸化物層の第1元素は、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含むことができ、これらは、ガラス及び/又はセラミックを含む基板との密着性を促進することができる。
【0008】
一部の実施形態では、積層体は、酸化物層の上に配置された金属層を含むことができる。金属層を設けることにより、金属層と酸化物層との良好な密着が可能になる。別の実施形態では、金属層と酸化物層との密着力は、酸化物層と基板との密着力よりも大きくなる可能性がある。例えば、金属属は銅を含むことができ、この銅は、酸化チタンを含む酸化物層中のチタンと負の混合エンタルピを有し、金属層と酸化物層との間に強力な密着力を提供する。別の実施形態では、金属層は導電性であり、基板の第1主面上に不連続層を形成するようにパターニングすることができ、例えば回路基板の一部として、配線接続部として機能することができる。更に別の実施形態では、酸化物層は非導電性とすることができ、これにより金属層の不連続部分を互いに電気的に絶縁することができる。
【0009】
本開示の実施形態は、酸素含有環境において元素ターゲットからの反応性スパッタリングを用いて基板上に酸化物層を堆積するステップを含む、積層体の製造方法を提供することができ、これにより、得られる酸化物層の酸素含有量の制御が可能になり、基板と酸化物層との密着性を促進することができる。一部の実施形態では、金属層(例えば、導電性)を酸化物層(例えば、非導電性)の上に配置して、対応する不連続な金属層の部分を除去することなく、第1主面上で不連続となるようにパターニングすることができ、これにより、例えば、積層体を製造するための処理時間及び全体コストを削減することで、積層体の処理を簡略化することができる。
【0010】
一部の実施形態では、積層体は、第1主面を含む基板を備えることができる。積層体は、基板の第1主面上に配置することができる酸化物層を備えることができる。酸化物層は、約40ナノメートル(nm)以下の厚さを含むことができる。酸化物層は、酸素と第1の元素とを含むことができる。第1元素は、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含むことができる。酸化物層は更に、約1.5以下とすることができる、第1元素に対する酸素の原子数比を含むことができる。積層体に関する基板と酸化物層との剥離強度は、IPC-TM-650.2.4.8 条件Aに準拠して20℃で測定した場合に、約1.3ニュートン/センチメートル(N/cm)以上とすることができる。
【0011】
一部の実施形態では、積層体は、酸化物層の上に配置された金属層を更に備えることができる。
【0012】
更に別の実施形態では、金属層は銅を含むことができる。
【0013】
更に別の実施形態では、金属層は、約100ナノメートル~約20マイクロメートル(μm)の範囲にあるとすることができる厚さを含む。
【0014】
更に別の実施形態では、金属層の厚さは、約2マイクロメートル~約15マイクロメートルの範囲にあるとすることができる。
【0015】
更に別の実施形態では、金属層は酸化物層に直接接触することができる。
【0016】
更に別の実施形態では、金属層は、基板の第1主面上で不連続とすることができる。
【0017】
更に別の実施形態では、酸化物層は、基板の第1主面上で実質的に連続とすることができる。
【0018】
別の実施形態では、第1元素に対する酸素の原子数比は、約0.8以下とすることができる。
【0019】
別の実施形態では、酸化物層は酸化チタンを含むことができる。第1元素はチタンを含むことができる。チタンに対する酸素の原子数比は、約1.5以下とすることができる。
【0020】
更に別の実施形態では、酸化チタンに関する酸素とチタンとの原子数比は、約0.8以下とすることができる。
【0021】
別の実施形態では、酸化物層は、本質的に酸化チタンから成るとすることができる。
【0022】
別の実施形態では、酸化物層は非導電性とすることができる。
【0023】
別の実施形態では、酸化物層の厚さは、約10ナノメートル~約30ナノメートルの範囲にあるとすることができる。
【0024】
別の実施形態では、酸化物層は、基板の第1主面に直接接触することができる。
【0025】
別の実施形態では、積層体に関する基板と酸化物層との剥離強度は、約2.5ニュートン/センチメートル~約7ニュートン/センチメートルの範囲にあるとすることができる。
【0026】
別の実施形態では、積層体に関する基板と酸化物層との剥離強度は、約4ニュートン/センチメートル以上とすることができる。
【0027】
別の実施形態では、基板はガラス材料を含むことができる。
【0028】
別の実施形態では、基板はセラミック材料を含むことができる。
【0029】
別の実施形態では、基板は、約25マイクロメートル~約2ミリメートルの範囲にあるとすることができる厚さを含む。
【0030】
一部の実施形態では、積層体の製造方法は、酸素含有要素内で第1元素を含む元素ターゲットからスパッタリングすることによって、基板の第1主面上に酸化物層を堆積するステップを含むことができる。酸化物層は、約40ナノメートル(nm)以下とすることができる厚さを含む。酸化物層は、酸素と第1元素とを含むことができる。第1元素は、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含むことができる。酸化物層は更に、約1.5以下とすることができる、第1元素に対する酸素の原子数比を含むことができる。積層体に関する基板と酸化物層との剥離強度は、IPC-TM-650.2.4.8 条件Aに準拠して20℃で測定した場合に、約1.3ニュートン/センチメートル(N/cm)以上とすることができる。
【0031】
別の実施形態では、本方法は、酸化物層の上に金属層を堆積するステップを更に含むことができる。
【0032】
更に別の実施形態では、本方法は、金属層の上に所定のパターンでマスク層を堆積するステップを更に含むことができる。本方法は、マスク層を堆積した後、金属層の少なくとも一部をエッチングするステップを更に含むことができる。本方法は、エッチング後にマスク層を除去するステップを更に含むことができる。
【0033】
更に別の実施形態では、金属層は、基板の第1主面上で不連続とすることができる。酸化物層は、基板の第1主表面上で実質的に連続とすることができる。
【0034】
更に別の実施形態では、金属層は銅を含むことができる。
【0035】
更に別の実施形態では、金属層の厚さは、約2マイクロメートル(μm)~約15マイクロメートルの範囲にあるとすることができる。
【0036】
更に別の実施形態では、金属層は酸化物層に直接接触することができる。
【0037】
別の実施形態では、本方法は、約250℃~約400℃の範囲の温度で、約15分~約6時間の範囲にある時間の間、積層体を加熱するステップを更に含むことができる。
【0038】
別の実施形態では、第1元素に対する酸素の原子数比は、約0.8以下とすることができる。
【0039】
別の実施形態では、酸化物層は酸化チタンを含むことができる。 第1元素はチタンを含むことができる。チタンに対する酸素の原子数比は、約1.5以下とすることができる。
【0040】
更に別の実施形態では、酸化チタンに関する酸素とチタンとの原子数比は、約0.8以下とすることができる。
【0041】
別の実施形態では、酸化物層は、本質的に酸化チタンから成るとすることができる。
【0042】
別の実施形態では、酸化物層は非導電性とすることができる。
【0043】
別の実施形態では、酸化物層の厚さは、約10ナノメートル~約30ナノメートルの範囲にあるとすることができる。
【0044】
別の実施形態では、金属層は、基板の第1主面に直接接触することができる。
【0045】
別の実施形態では、積層体に関する基板と酸化物層との剥離強度は、約2.5ニュートン/センチメートル~約7ニュートン/センチメートルの範囲にあるとすることができる。
【0046】
別の実施形態では、積層体に関する基板と酸化物層との剥離強度は、約4ニュートン/センチメートル以上とすることができる。
【0047】
別の実施形態では、基板はガラス材料を含むことができる。
【0048】
別の実施形態では、基板はセラミック材料を含むことができる。
【0049】
別の実施形態では、基板は、約25マイクロメートル~約2ミリメートルの範囲にあるとすることができる厚さを含む。
【0050】
本明細書に開示する実施形態の付加的な特徴及び利点を以下の詳細な説明に記載するが、一部はその説明から当業者には明らかとなり、或いは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含めて、本明細書に記載する実施形態を実践することによって認識されよう。前述の概要も以下の詳細な説明も、本明細書に開示する実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを与えることを意図した実施形態を提示するものであると理解されたい。添付図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。これらの図面は、本開示の様々な実施形態を示し、その記述と併せて本開示の原理及び働きを説明するものである。
これら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本開示の一部の実施形態に従って、積層体の例示的な実施形態を模式的に示す図である。
【
図2】本開示の一部の実施形態による
図1の線2-2に沿う積層体の平面図である。
【
図3】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法におけるステップを模式的に示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法における積層体及びステップを模式的に示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法における積層体及びステップを模式的に示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法におけるステップを模式的に示す図である。
【
図8】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法におけるステップを模式的に示す図である。
【
図9】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法におけるステップを模式的に示す図である。
【
図10】本開示の実施形態に従って、積層体の製造方法におけるステップを模式的に示す図である。
【
図11】一部の実施形態による例示的な電子デバイスの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、例示的な実施形態を示す添付図面を参照しながら、以下で実施形態を完全に説明する。可能な限り、同じ又は同様の部品に言及するために、同じ参照数字を図面全体に亘って使用する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈すべきではない。
【0053】
図1~2及び5~6は、本開示の実施形態による、基板103と酸化物層113とを備える積層体101、501、及び601の図を示す。一部の実施形態では、
図1~2及び6に示すように、積層体101及び601は、金属層123を更に備えることができる。特に断りのない限り、一積層体の実施形態の特徴に関する議論は、本開示に関するあらゆる実施形態の対応する特徴にも等しく適用することができる。例えば、本開示全体を通して同一である部品番号は、一部の実施形態では特定された特徴が互いに同一であること、並びに、一実施形態の特定された特徴に関する議論が、特に断りのない限り、本開示のあらゆる他の実施形態の特定された特徴にも等しく適用できることを表す場合がある。
【0054】
図2を参照すると、本開示の全体を通して、積層体101、501、及び/又は601の幅203は、方向204(例えば、幅203の方向204)において積層体の対向する端部間で取得される、積層体101、501、及び/又は601の寸法であると見なされる。更に、本開示の全体を通して、積層体101、501、及び/又は601の長さ203は、積層体101、501、及び/又は601の幅203と垂直な方向202(例えば、長さ201の方向202)において積層体の対向する端部間で取得される、積層体101、501、及び/又は601の寸法であると見なされる。一部の実施形態では、積層体101、501、601、及び/又は基板103の幅203及び/又は長さ201は、約20ミリメートル(mm)以上、約50mm以上、約100mm以上、約500mm以上、約1,000mm以上、約2,000mm以上、約3,000mm以上、又は約4,000mm以上とすることができるが、別の実施形態では他の幅を設ける場合もある。一部の実施形態では、基板103の幅203及び/又は長さ201は、約20mm~約4000mm、約50mm~約4000mm、約100mm~約4000mm、約500mm~約4,000mm、約1,000mm~約4,000mm、約2,000mm~約4,000mm、約3,000mm~約4,000mm、約20mm~約3,000mm、約50mm~約3,000mm、約100mm~約3,000mm、約500mm~約3,000mm、約1,000mm~約3,000mm、約2,000mm~約3,000mm、約2,000mm~約2,500mmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0055】
本開示の積層体101、501、及び601は、基板103を備える。一部の実施形態では、基板103は、ガラス材料及び/又はセラミック材料を含む基板を含むことができる。別の実施形態では、この基板は、8H以上、例えば9H以上の鉛筆硬度を含むことができる。本明細書で使用する場合、鉛筆硬度は、標準芯等級の鉛筆を用いてASTM D 3363-20を用いて測定される。別の実施形態では、基板103は、本質的にガラス材料から成るか、又は完全にガラス材料から成るとすることができる。別の実施形態では、基板103は、本質的にセラミック材料から成るか、又は完全にセラミック材料から成るとすることができる。一部の実施形態では、基板103は、酸化物含有材料及び/又はシリコン含有材料を含むことができる。
【0056】
一部の実施形態では、基板103はガラス材料を含むことができる。本明細書で使用する場合、「ガラス」とは、シリカ(SiO2)を少なくとも30モルパーセント(mol%)含む非晶質材料を指す。ガラス(例えば、ガラス材料)を含む基板は、ガラスとガラスセラミックの両方を含み、ガラスセラミックは、1又は2以上の結晶相と非晶質の残留ガラス相とを有する。ガラスを含む基板は、非晶質材料(例えば、ガラス)と必要に応じて1又は2以上の結晶性材料(例えば、セラミック)とを含む。非晶質材料及びガラスは、強化することができる。本明細書で使用する場合、用語「強化された」は、例えば、基板の表面でより大きなイオンをより小さなイオンとイオン交換することによって、化学的に強化された材料を指すとすることができる。しかしながら、例えば、熱的焼戻し、又は基板の部分間における熱膨張係数の不整合を利用して圧縮応力領域及び中心張力領域を作り出すことなど、他の強化方法を利用して、強化基板を形成することができる。例示的なガラス材料は、リチアの有無を問わず、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノ珪酸ガラス、アルカリ含有ホウ珪酸ガラス、アルカリ含有アルミノホウ珪酸ガラス、アルカリ含有リン珪酸ガラス、及びアルカリ含有アルミノリン珪酸ガラスを含むことができる。ガラス材料は、アルカリ含有ガラス又は無アルカリガラスを含むことができ、そのどちらもリチウムの有無は問わない。1又は2以上の実施形態では、ガラス材料は、モルパーセント(mol%)で、約40mol%~約80mol%の範囲にあるSiO2、約5mol%~約30mol%の範囲にあるAl2O3、約0mol%~約10mol%の範囲にあるB2O3、0mol%~約5mol%の範囲にあるZrO2、0mol%~約15mol%の範囲にあるP2O5、0mol%~約2mol%の範囲にあるTiO2、0mol%~約20mol%の範囲にあるR2O、0mol%~約15mol%の範囲にあるROを含むことができる。本明細書で使用する場合、R2Oは、例えば、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oなどのアルカリ金属酸化物、又はそれらの組み合わせを指すことができる。本明細書で使用する場合、ROは、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、又はそれらの組み合わせを指すことができる。一部の実施形態では、ガラス材料は、必要に応じて更に、0mol%~約2mol%の範囲で、Na2SO4、NaCl、NaF、NaBr、K2SO4、KC1、KF、KBr、As2O3、Sb2O3、SnO2、Fe2O3、MnO、MnO2、MnO3、Mn2O3、Mn3O4、及び/又はMn2O7をそれぞれ含むことができる。「ガラスセラミック」は、ガラスの結晶化を制御して製造された材料を含む。一部の実施形態では、ガラスセラミックは、約1%~約99%の結晶化度を含むことができる。適切なガラスセラミックの例として、Li20-Al2O3-SiO2系(すなわち、LAS系)ガラスセラミック、Mg0-Al2O3-SiO2系(すなわち、MAS系)ガラスセラミック、ZnO×A12O3×nSiO2(すなわち、ZAS系)、及び/又は、β-石英固溶体、β-スポジュメン、コージェライト、ペタライト、及び/又は二珪酸リチウムを含む主結晶相を含んだガラスセラミックを挙げることができる。ガラスセラミック基板は、化学強化プロセスを用いて強化することができる。1又は2以上の実施形態では、MAS系のガラスセラミック基板をLi2SO4溶融塩中で強化することができ、それによって2Li+からMg2+への交換が生じる可能性がある。
【0057】
一部の実施形態では、基板103はセラミック材料を含むことができる。本明細書で使用する場合、「セラミック」とは結晶相を指す。セラミック(例えば、セラミック材料)を含む基板は、セラミックとガラスセラミックの両方を含み、ガラスセラミックは、1又は2以上の結晶相と非晶質の残留ガラス相とを有する。セラミック材料は強化(例えば、化学強化)することができる。一部の実施形態では、セラミック材料は、ガラス材料を含む基板を加熱してセラミック(例えば、結晶)部分を形成することで形成することができる。別の実施形態では、セラミック材料は、結晶相(複数可)の形成を促進することができる1又は2以上の核生成剤を含むことができる。一部の実施形態では、セラミック材料は、1又は2以上の酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、ホウ化物、及び/又は珪化物を含むことができる。セラミック酸化物の例示的な実施形態には、ジルコニア(ZrO2)、ジルコン(ZrSiO4)、アルカリ金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム(Na2O))、アルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム(MgO))、チタニア(TiO2)、酸化ハフニウム(Hf20)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化鉄、酸化ベリリウム、酸化バナジウム(VO2)、溶融石英、ムライト(酸化アルミニウムと二酸化珪素の化合物を含む鉱物)、スピネル(MgAl2O4)が含まれる。窒化セラミックの例示的な実施形態には、窒化珪素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化ベリリウム(Be3N2)、窒化ホウ素(BN)、窒化タングステン(WN)、窒化バナジウム、アルカリ土類金属窒化物(例えば、窒化マグネシウム(Mg3N2))、窒化ニッケル、及び窒化タンタルが含まれる。酸窒化物セラミックの例示的な実施形態には、酸窒化珪素、酸窒化アルミニウム、及びサイアロン(アルミナと窒化珪素の化合物であり、例えば、Si12-m-nAlm+nOnN16-n、Si6-nAlnOnN8-n、又はSi2-nAlnO1+nN2-nなどの化学式を有することができ、ここで、m、n、及び結果として生じる添字は全て非負の整数である)が含まれる。 炭化物お及び炭素含有セラミックの例示的な実施形態には、炭化珪素(SiC)、炭化タングステン(WC)、炭化鉄、炭化ホウ素(B4C)、アルカリ金属炭化物(例えば、炭化リチウム(Li4C3))、アルカリ土類金属炭化物(例えば、炭化マグネシウム(Mg2C3))、及びグラファイトが含まれる。ホウ化物の例示的な実施形態には、ホウ化クロム(CrB2)、ホウ化モリブデン(M02B5)、ホウ化タングステン(W2B5)、ホウ化鉄、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、ホウ化ハフニウム(HfB2)、ホウ化バナジウム(VB2)、ホウ化ニオブ(NbB2)、及びホウ化ランタン(LaB6)が含まれる。珪化物の例示的な実施形態には、二珪化モリブデン(MoSi2)、二珪化タングステン(WSi2)、二珪化チタン(TiSi2)、ニッケル珪化物(NiSi)、アルカリ土類珪化物(例えば、ナトリウム珪化物(NaSi))、アルカリ金属珪化物(例えば、マグネシウム珪化物(Mg2Si))、二珪化ハフニウム(HfSi2)、及び珪化プラチナ(PtSi)が含まれる。
【0058】
本明細書で使用する場合、シリコン含有材料とは、少なくとも30モルパーセント(mol%)のシリコン(Si)を含む材料を意味する。上述したように、シリコンは、酸素、窒素、炭素、アルミニウム、ハフニウム、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、白金、ナトリウム、チタン、タングステン、及び/又はジルコニウムなどの他の元素と合わせてガラス材料にもセラミック材料にも見出すことができる。本明細書で使用する場合、酸素含有材料は、酸素(O)を少なくとも15モルパーセント(mol%)含む材料を意味する。 上述のように、酸素は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、ビスマス、炭素、ガリウム、鉛、窒素、リン、シリコン、硫黄、セレン、及び/又はスズなど、他の元素と合わせて、ガラス材料にもセラミック材料にも見出すことができる。
【0059】
本開示全体を通して、基板103(例えば、ガラス材料、セラミック材料、シリコン含有材料、酸素含有材料)及び/又は酸化物層113の弾性率(例えば、ヤング率)は、ASTM E2546-15に準拠した押込み法を用いて測定される。一部の実施形態では、基板103は、約10ギガパスカル(GPa)以上、約50GPa以上、約60GPa以上、約70GPa以上、約100GPa以下、又は約80GPa以下の弾性率を含むことができる。一部の実施形態では、基板103は、約10GPa~約100GPa、約50GPa~約100GPa、約50GPa~約80GPa、約60GPa~約80GPa、約70GPa~約80GPaの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にある弾性率を含むことができる。
【0060】
一部の実施形態では、基板103は光学的に透明とすることができる。本明細書で使用する場合、「光透過性」又は「光学的に透明」とは、厚さ1.0mmの材料片を通過した時に、400nm~700nmの波長範囲で70%以上の平均透過率を意味する。一部の実施形態では、「光透過性材料」又は「光学的に透明な材料」は、厚さ1.0mmの材料片を通過した時に、400nm~700nmの波長範囲で75%以上、80%以上、85%以上、又は90%以上、92%以上、94%以上、96%以上の平均透過率を有することができる。400nm~700nmの波長範囲での平均透過率は、約400nmから約700nmまでの整数波長の透過率測定値を平均することによって算出される。
【0061】
図1及び5~6に示すように、基板103は、第1主面105と、第1主面105に対向する第2主面107とを含むことができる。
図1に示すように、第1主面105は、第1平面104に沿って延びることができる。第2主面107は、第2平面106に沿って延びることができる。一部の実施形態では、図示するように、第2平面106は第1平面104と平行とすることができる。本明細書で使用する場合、基板の厚さは、第1主面105と第2主面107との間に、第1平面104と第2平面106との距離として規定することができる。一部の実施形態では、
図1に示すように、基板厚さ109は、長さ201の方向202及び幅203の方向204に対して垂直な方向110に測定することができる。一部の実施形態では、基板厚さ109は、約10マイクロメートル(μm)以上、約25μm以上、約40μm以上、約60μm以上、約80μm以上、約100μm以上、125μm以上、約150μm以上、約3ミリメートル(mm)以下、約2mm以下、約1mm以下、約800μm以下、約500μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約180μm以下、又は約160μm以下とすることができる。一部の実施形態では、基板厚さ109は、約10μm~約3mm、約10μm~約2mm、約25μm~約2mm、約40μm~約2mm、約60μm~約2mm、約80μm~約2mm、約100μm~約2mm、約100μm~約1mm、約100μm~約800μm、約100μm~約500μm、約125μm~約500μm、約125μm~約300μm、約125μm~約200μm、約150μm~約200μm、約150μm~約160μmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。一部の実施形態では、基板厚さ109は、約80μm~約2mm、約80μm~約1mm、約80μm~約500μm、約80μm~約300μm、約200μm~約2mm、約200μm~約1mm、約200μm~約500μm、約500μm~約2mm、約500μm~約1mmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0062】
基板103の第1主面105は、表面粗さ(Ra)を含むことができる。本開示全体を通して、本開示に記載する全ての表面粗さ値は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した場合に、10μm×10μmの検査領域の表面に垂直な方向における平均位置からの表面プロファイルの絶対偏差に関する算術平均を用いて計算された表面粗さ(Ra)である。一部の実施形態では、基板103の第1主面105及び/又は第2主面107の表面粗さ(Ra)は、約5nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下、約0.9nm以下、約0.5nm以下、又は約0.3nm以下とすることができる。一部の実施形態では、基板103の第1主面105及び/又は第2主面107の表面粗さ(Ra)は、約0.1nm~約5nm、約0.1nm~約3nm、約0.1nm~約2nm、約0.1nm~約1nm、約0.1nm~約0.9nm、約0.1nm~約0.5nm、約0.1nm~約0.3nm、約0.15nm~約5nm、約0.15nm~約3nm、約0.15nm~約2nm、約0.15nm~約1nm、約0.15nm~約0.9nm、約0.15nm~約0.5nm、約0.15nm~約0.3nm、約0.2nm~約5nm、約0.2nm~約3nm、約0.2nm~約2nm、約0.2nm~約1nm、約0.2nm~約0.9nm、約0.2nm~約0.5nm、約0.2nm~約0.3nmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0063】
図1~2及び5~6に示すように、積層体101、501、及び601は、第3主面115と、第3主面115に対向する第4主面117とを含むことのできる酸化物層113を含む。一部の実施形態では、第3主面115は、第3平面に沿って延びることができる。一部の実施形態では、第4主面117は、第4平面に沿って延びることができる。一部の実施形態では、
図1及び5~6に示すように、第3主面115は、第4主面117と平行とすることができる。本明細書で使用する場合、酸化物層113の厚さ119は、第3主面115と第4主面117との間に、基板103の第1主面105に亘って平均化された第3平面と第4平面との距離として規定することができる。一部の実施形態では、
図1に示すように、酸化物層113の厚さ119は、方向110(例えば、長さ201の方向202及び幅203の方向204に対して垂直な、基板厚さ109と同じ方向)に測定することができる。本明細書で使用する場合、酸化物層113の厚さ119は、
図1に示すものと同様な断面について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定される。一部の実施形態では、酸化物層113の厚さ119は、約1ナノメートル(nm)以上、約5nm以上、約10nm以上、約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約40nm以下、約35nm以下、又は約30nm以下とすることができる。一部の実施形態では、酸化物層113の厚さ119は、約1nm~約40nm、約5nm~約40nm、約5nm~約35nm、約10nm~約35nm、約10nm~約30nm、約15nm~約30nm、約20nm~約30nm、約25nm~約30nmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0064】
図1及び5~6に示すように、酸化物層113は、基板103の第1主面105の上に配置することができる。一部の実施形態では、図示するように、酸化物層113の第4主面117は、基板103の第1主面105に面することができる。別の実施形態では、図示するように、酸化物層113は、例えば、酸化物層113の第4主面117が基板103の第1主面105に直接接触することにより、基板103に直接接触することができる。一部の実施形態では、
図1及び5~6に示すように、酸化物層113は、実質的に連続している、及び/又は基板103の第1主面105の上で連続しているとすることができる。本明細書で使用する場合、「連続している」とは、層材料を含む層の表面上にある各点対が、完全に層材料を通り抜ける経路で連結されることを意味する。例えば、
図1~2に示すように、酸化物層113の第3主面115上にある第1の点116aと第2の点116bは、酸化物層113の材料を完全に通り抜ける経路(例えば、第1の点116aから第2の点116bまで方向202に延びる)で連結されており、酸化物層113の第3主面115上にあるこのような点対は全て、酸化物層113の材料を完全に通り抜ける経路で連結される。本明細書で使用する場合、「実質的に連続している」とは、1対の点を連結する経路を妨げて層材料を完全に通り抜けさせない、層の部分間の分離が約10ナノメートル以下であることを別にすれば、材料が連続していることを意味する。一部の実施形態では、実質的に連続した酸化物層113における約10ナノメートル以下の分離は、例えば、スパッタリングされた酸化物層のばらつき、及び/又はエッチングステップ(例えば、酸化物層上に堆積された金属層をエッチングする)中に除去される材料の量のばらつきなどの、製造欠陥である可能性がある。一部の実施形態は、
図1に示すように、酸化物層113は、基板103の第1主面105全体に亘って継ぎ目なく延びるモノリシック層及び/又は実質的にモノリシックな層とすることができる。本明細書で使用する場合、酸化物層113の材料が基板103の第1主表面105の領域と同一の広がりを有し、酸化物層113内に隙間がないならば、酸化物層113はモノリシックである。本明細書で使用する場合、酸化物層113で被覆されない第1主面105の周囲境界、及び/又は、酸化物層113の材料内の製造欠陥であって、その各々が、基板103の第1主面105を覆う、約10,000平方ナノメートル(nm
2)以下の面積を含む製造欠陥を別にして、酸化物層が基板103の第1主面105を覆ってモノリシックであるならば、酸化物層113は実質的にモノリシックである。
【0065】
酸化物層113は、酸素と第1元素とを含む酸化物を含む。一部の実施形態では、第1元素は、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含む。例えば、酸化物層113は、酸化チタン、酸化タンタル、酸化シリコン、及び/又は酸化アルミニウムを含むことができる。別の実施形態では、酸化物層113は、本質的に1又は2以上の酸化物から成る。別の実施形態では、酸化物層113は、本質的に酸化チタンから成るとすることができる。別の実施形態では、酸化物層113は、本質的に酸化タンタルから成るとすることができる。別の実施形態では、酸化物層113は、本質的に酸化シリコンから成るとすることができる。別の実施形態では、酸化物層113は、本質的に酸化アルミニウムから成るとすることができる。
【0066】
酸化物層113は、第1元素に対する酸素の原子数比を含むことができる。本明細書で使用する場合、酸化物層の原子数比とは、原子百分率(at%)単位での酸化物層中の酸素量を、at%単位での酸化物層中の第1元素量で割ったものを指す。同様に、酸素と第1元素とを含む特定酸化物の原子数比とは、原子百分率(at%)単位での特定酸化物中の酸素量を、at%単位での特定酸化物中の第1元素量で割ったものを指す。理論に縛られることを望まなければ、酸化物層は、第1元素に対する酸素の非化学量論比を含むことのできる酸化物を含むことができる。本明細書で使用する場合、非化学量論比を備えた酸化物とは、酸素と第1元素との比率を1と5の間の整数を用いて表現できない酸化物を指す。理論に縛られることを望まなければ、酸化物層は、例えば、第1元素と酸素の部分的な(不完全な)反応を通じて、自然に生じる酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、シリカ)に対応しない酸化物(例えば、第1元素に対する酸素の非化学量論比を含む)を含むことができる。理論に縛られることを望まなければ、第1元素に対する酸素の原子数比を制限することで、酸化物と基板の結合、及び/又は酸化物と基板の分子間相互作用を促進することにより、ガラス材料、セラミック材料、酸素含有材料、及び/又はシリコン含有材料を含む基板との密着力を高めることができる。例えば、第1元素に対する酸素の原子数比が制限された酸化物は、エネルギ的に不安定又は準安定な構成(例えば、配位数)を含むことができるので、基板の第1主面での材料との相互作用が促進される可能性がある。
【0067】
一部の実施形態では、酸化物層113の原子数比は、約1.5以下、約1.3以下、約1.1以下、約1.0以下、約1.0以下、約0.9以下、約0.8以下、約0.6以下、約0.5以下、又は約0.4以下、約0.1以上、約0.25以上、約0.35以上、約0.5以上、約0.7以上、約1.0以上、又は約1.1以上とすることができる。一部の実施形態では、酸化物層113の原子数比は、約0.1~約1.5、約0.25~約1.5、約0.35~約1.5、約0.5~約1.5、約0.7~約1.5、約1.0~約1.5、約1.1~約1.5、約1.1~約1.3の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。一部の実施形態では、酸化物層113の原子数比は、約0.1~約1.3、約0.25~約1.3、約0.35~約1.3、約0.5~約1.3、約0.5~約1.0、約0.5~約0.9、約0.7~約0.9、約0.7~約0.8の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。一部の実施形態では、酸化物層113の原子数比は、約0.1~約1.1、約0.1~約1.0、約0.1~約0.9、約0.1~約0.8、約0.25~約0.8、約0.25~約0.6、約0.35~約0.6、約0.35~約0.5、約0.35~約0.4の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0068】
一部の実施形態では、酸化物層113は、本質的に酸化チタンから成るとすることができる。別の実施形態では、酸化チタンの原子数比は約1.5以下とすることができる。例えば、酸化チタンは、酸化チタン(II)(TiO)、酸化チタン(III)(Ti2O3)、酸化二チタン(Ti2O)、酸化三チタン(Ti3O)、及び/又は、チタニア(TiO2)の代わりに酸化チタンの非化学量論的形態を含むことができる。更に別の実施形態では、酸化チタンの原子数比は約0.8以下である(例えば、Ti2O、Ti3O)、又は酸化チタンの非化学量論的形態とすることができる。
【0069】
一部の実施形態では、酸化物層113は非導電性とすることができる。本明細書で使用する場合、「非導電性」とは、約100ジーメンス/メートル(S/m)以下の電気伝導率(すなわち、約0.01オームメートル(Ω・m)以上の電気抵抗率)を備えた材料を指す。特に指定のない限り、電気伝導率はASTM 1004-17に準拠して20℃で測定される。
【0070】
別の実施形態では、酸化物層は、約10S/m以下、約1S/m以下、約0.1S/m以下、約10-3S/m以下、約10-20S/m以上、約10-18S/m以上、約10-12S/m以上、又は約10-6S/m以上の電気伝導率を含むことができる。別の実施形態では、酸化物層は、約10-20S/m~約100S/m、約10-18S/m~約10S/m、約10-18S/m~約1S/m、約10-12S/m~約1S/m、約10-12S/m~約0.1S/m、約10-6S/m~約0.1S/m、約10-6S/m~約10-3S/mの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0071】
一部の実施形態では、
図1~2及び6に示すように、積層体101及び601は、酸化物層の上に配置された金属層123を備えることができる。別の実施形態では、
図1及び6に示すように、金属層123は、第5表面領域125と、第5表面領域125に対向する第6表面領域127とを含むことができる。更に別の実施形態では、金属層123は、第5表面領域125と第6表面領域127との平均距離として、第5表面領域125と第6表面領域127との間に規定された厚さ129を含むことができる。更に別の実施形態では、
図1に示すように、金属層123の厚さ129は、方向110(例えば、長さ201の方向202及び幅203の方向204に対して垂直な、基板厚さ109及び/又は酸化物層113の厚さ119と同じ方向)に測定することができる。更に別の実施形態では、厚さ129は、約100nm以上、約500nm以上、約1μm以上、約2μm以上、約5μm以上、約20μm以下、約18μm以下、約15μm以下、約12μm以下、約10μm以下とすることができる。更に別の実施形態では、厚さ129は、約100nm~約20μm、約500nm~約20μm、約500nm~約18μm、約1μm~約18μm、約1μm~約15μm、約2μm~約15μm、約2μm~約12μm、約5μm~約12μm、約5μm~約10μmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0072】
一部の実施形態では、
図1及び6に示すように、金属層123の第6表面領域127は、酸化物層113の第3主表面115に面することができる。別の実施形態では、図示するように、金属槽123は、例えば、金属層123の第6表面領域127が酸化物層113の第3主面115に直接接触することにより、酸化物層113に直接接触することができる。一部の実施形態では、
図1~2に示すように、金属層123は、基板103の第1主面105の上方で不連続とすることができる。本明細書で使用する場合、層の第1部分が、層材料を通り抜ける経路で層の第2部分に連結されず、基板の第1主面に亘って測定された部分間の最小距離が約20ナノメートル以上である時に、層は不連続である。例えば、
図1及び2に示すように、金属層123は基板103の第1主面の上方で不連続であるが、これは、金属層123の第1部分123aが、金属層123の材料を通り抜ける経路で金属層123の第2部分123bに連結されず、1対の点124a及び124bの間で測定された第1部分123aと第2部分123bとの最小距離126が、約20ナノメートル以上であるからである。同様に、図示するように、対応する最小距離が約20ナノメートル以上であれば、金属層の第1部分123aは第3部分123cに連結されず、第2部分123bは第3部分123cに連結されない。一部の実施形態では、金属層123の不連続部分(例えば、部分123a、123b)間の最小距離126は、約50ナノメートル以上、約100ナノメートル以上、約500ナノメートル以上、約1μm以上、又は10μm以上とすることができる。一部の実施形態では、
図2に示すように、金属層123は、金属層123の材料を通り抜ける経路で互いに連結されない複数の部分123a~fを含むことができる。
【0073】
一部の実施形態では、金属層123は遷移金属を含むことができる。別の実施形態では、金属層123は、銅、コバルト、カドミウム、クロム、金、イリジウム、鉄、鉛、モリブデン、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、銀、及び/又は亜鉛を含むことができる。更に別の実施形態では、金属層123は銅を含むことができる。更に別の実施形態では、金属層123は本質的に銅から成るとすることができる。一部の実施形態では、金属層123は、アルミニウム、ベリリウム、マグネシウム、及び/又は銅を含むことができる。一部の実施形態では、金属層123と酸化物層113の第1元素との混在(例えば、酸化物層の第1元素としてのチタンと、銅及び金属層との混在)は、エンタルピ的に有利となる可能性がある。
【0074】
金属層123は、約103ジーメンス/メートル(S/m)以上の電気伝導率(すなわち、約10-3オームメートル(Ω・m)以下の電気抵抗率)を有することができる。別の実施形態では、金属層は、約105S/m以上、約106S/m以上、約107S/m以上、約1020S/m以下、約1015S/m以下、約1012S/m以下、約109S/m以下、又は約107S/m以下の電気伝導率を含むことができる。別の実施形態では、金属層123は、約103S/m~約1020S/m、約103S/m~約1015S/m、約105S/m~約1015S/m、約106S/m~約1012S/m、約107S/m~約1012S/m、約107S/m~約109S/mの範囲、或いはこれらの間にある範囲又は部分範囲にある電気伝導率を含むことができる。
【0075】
積層体101、501、及び/又は601は、剥離強度を含むことができる。本開示の全体を通して、剥離強度は、IPC-TM-650.2.4.8「金属クラッド積層板の剥離強度」条件Aに準拠して20℃で測定される。本明細書で使用する場合、積層体の剥離強度とは、基板(例えば、第1主面)と酸化物層(例えば、第4主面)との間の剥離強度を指す。理論に縛られることを望まなければ、基板と酸化物層との間の密着力(例えば、剥離強度として測定される)は、積層体の他層間(例えば、酸化物層と金属層との間)の密着力よりも、設けられている場合に、弱い可能性がある。一部の実施形態では、剥離強度は、約1.3ニュートン/センチメートル(N/cm)以上、約2.5N/cm以上、約4N/cm以上、約5N/cm以上、約12N/cm以下、約9N/cm以下、約7N/cm以下、又は約6N/cm以下とすることができる。一部の実施形態では、剥離強度は、約1.3N/cm~約12N/cm、約1.3N/cm~約9N/cm、約2.5N/cm~約9N/cm、約2.5N/cm~約7N/cm、約4N/cm~約7N/cm、約4N/cm~約6N/cm、約5N/cm~約6N/cmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。
【0076】
一部の実施形態では、本開示の実施形態の積層体101、501、及び/又は601は、アプリケーション(例えば、ディスプレイ用途、電子デバイス)に組み込むことができる。例えば、本積層体は、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチセンサ、光発電、家電製品などを含む、幅広い用途で使用することができる。このようなディスプレイは、例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、時計、ウェアラブル機器、及び/又はタッチ対応モニタ又はディスプレイに組み込むことができる。例えば、本積層体は、例えば、回路基板、プロセッサ(例えば、アプリケーションプロセッサ、マイクロプロセッサ)、及び/又はアンテナ(例えば、ミリ波)など、ディスプレイ、無線通信、及び/又はコンピュータ操作を含む幅広い用途での回路基板として使用することができる。
【0077】
電子製品、例えば民生用電子製品は、前面、背面、及び側面を備えたハウジングと、少なくとも部分的にハウジング内にある電気部品であって、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを備える電気部品と、ハウジングの前面にある又はそれに隣接するディスプレイと、を含むことができ、その場合、ハウジングの一部又はカバー基板の少なくとも一方は、本明細書に記載する積層体を備える。
【0078】
本明細書に開示する積層体は、例えば、ディスプレイを備えた物品(又はディスプレイ用品)(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム、ウェアラブルデバイス(例えば、時計)などを含む、民生用電子機器)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、電車、航空機、船舶など)、又は家電製品など、別の物品に組み込むことができる。本明細書に開示する積層体の何れかを組み込んだ例示的な物品が、
図11及び12に示してある。具体的には、
図11及び12は、前面1004、背面1006、及び側面1008を備えたハウジング1002と、少なくとも部分的にハウジングの内側に又は完全にハウジングの内部にある電気部品(図示せず)であって、少なくともコントローラ、メモリ、及びハウジングの前面に又はそれに隣接するディスプレイ1010を含む電気部品と、ハウジングの前面に又はその上方にあってディスプレイを覆うようになっているカバー基板1012と、を含む電子デバイス1000を示す。一部の実施形態では、電気部品又はハウジング1002は、本明細書に開示する積層体の何れかを含むことができる。
【0079】
一部の実施形態では、電子製品を製造する方法は、少なくとも部分的にハウジング内に電気部品を配置するステップを含むことができ、ハウジングは前面、背面、及び側面を含み、電気部品はコントローラ、メモリ、及びコントローラを備え、ディスプレイは、ハウジングの前面に又はそれに隣接して配置される。この方法は更に、ディスプレイの上方にカバー基板を置くステップを含むことができる。電気部品の一部又はハウジングの内の少なくとも一方は、本開示の方法の何れかによって製造された積層体を備える。
【0080】
本開示の実施形態による積層体の製造方法の実施形態について、
図3のフローチャート、並びに
図4~10に示す例示的な方法ステップを参照しながら説明する。
【0081】
本開示の方法の第1ステップ301では、方法は、基板103を準備することから開始することができる。一部の実施形態では、基板を購入するか又は別の方法で入手することにより、或いは基板を形成することによって、基板103を準備することができる。一部の実施形態では、基板103は、ガラス材料及び/又はセラミック基板を含むことができる。別の実施形態では、ガラス基板及び/又はセラミック基板は、様々なリボン形成プロセス、例えば、スロットドロー法、ダウンドロー法、フュージョンダウンドロー法、アップドロー法、プレスロール法、リドロー法又はフロート法を用いて形成することによって準備することができる。別の実施形態では、ガラス基板を加熱して1又は2以上のセラミック結晶を結晶化させることによって、セラミック基板を準備することができる。別の実施形態では、基板103は、酸素含有材料及び/又はシリコン含有材料を含むことができる。基板103は、平面に沿って延びることのできる第2主面107(
図1及び5~6を参照)を含むことができる。第2主面107は、第1主面105に対向することができる。
【0082】
ステップ301の後、
図4に示すように、方法は、酸素含有環境において第1元素を含む元素ターゲット407a、407bからのスパッタリングを含むステップ303に進むことができる。理論に縛られることを望まなければ、スパッタリングは、基板上に堆積される材料をターゲットから放出するステップを含む。一部の実施形態では、
図5に示すように、スパッタリングにより、基板103の第1主面105を覆って酸化物層113を堆積することができる。一部の実施形態では、
図4に示すように、スパッタリングは、例えば、基板103に対向して位置決めされた元素ターゲット407a、407bを含むスパッタリングチャンバ403内で、スパッタリング装置401を用いて行うことができる。別の実施形態では、元素ターゲット407a、407bは、1又は2以上の元素ターゲット、例えば、図示の2つの元素ターゲットを含むことができる。別の実施形態では、図示するように、元素ターゲット407a、407bのスパッタリング表面409a、409bは、基板103の第1主面105の方を向くことができる。別の実施形態では、元素ターゲット407a、407bは、基板103の第1主面105の上に堆積される酸化物層の第1元素に対応する第1元素を含むことができる。例えば、元素ターゲット407a、407bは、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムから成ることができる。
図4に示すように、元素ターゲット407a、407bからスパッタリングされた材料は、基板103の第1主面105の上に酸化物層113として堆積される前に、雲形411として模式的に示すように、酸素含有環境内で酸素と反応することができる。
【0083】
更に実施形態では、図示のように、スパッタリングチャンバ403は、チャンバ内の環境を制御するために使用できる開口部405a、405bを含むことができる。更に別の実施形態では、開口部405a、405bを用いて、スパッタリングチャンバ内に減圧(例えば、大気圧未満、部分真空)を提供することができる。更に別の実施形態では、開口部405a、405bを用いて、スパッタリングチャンバ403を通る連続的なガス流を供給し、例えば、スパッタリングチャンバ403内で酸素の所定分圧を維持することができる。更に別の実施形態では、スパッタリングチャンバ内の環境は酸素を含むことができる。更に別の実施形態では、スパッタリングチャンバ内の環境における酸素の分圧は、約100パスカル(Pa)以上、約200Pa以上、約500Pa以上、約15,000Pa以下、約10,000Pa以下、約5,000Pa以下、又は約2,000Pa以下とすることができる。更に別の実施形態では、スパッタリングチャンバ内の環境における酸素の分圧は、約100Pa~約15,000Pa、約100Pa~約10,000Pa、約200Pa~約10,000Pa、約200Pa~約5,000Pa、約500Pa~約5,000Pa、約500Pa~約2,000Paの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。更に別の実施形態では、スパッタリングチャンバ内の環境における酸素の分圧は、約0.001Pa以上、約0.01Pa以上、約0.05Pa以上、約100Pa以下、約10Pa以下、約1Pa以下、又は約0.1Pa以下とすることができる。更に別の実施形態では、スパッタリングチャンバ内の環境における酸素の分圧は、約0.001Pa~約100Pa、約0.001Pa~約10Pa、約0.01Pa~約10Pa、約0.01Pa~約10Pa、約0.01Pa~約1Pa、約0.05Pa~約1Pa、約0.05Pa~約0.1Paの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。更に別の実施形態では、この環境(例えば、酸素含有環境)は、1又は2以上の不活性ガス(例えば、アルゴン、キセノン、クリプトン)を含むことができる。更に別の実施形態では、この環境は、本質的に酸素と、アルゴン、キセノン、又はクリプトンの内の1又は2以上とから成るとすることができる。
【0084】
一部の実施形態では、スパッタリングは、基板103及び/又はスパッタリングチャンバ403を約20℃以上、約30℃以上、約80℃以上、約400℃以下、約300℃以下、約200℃以下、又は約100℃という温度にして行うことができる。一部の実施形態では、スパッタリングは、基板103及び/又はスパッタリングチャンバ403を、約20℃~約400℃、約30℃~約400℃、約30℃~約300℃、約80℃~約300℃、約80℃~約200℃、約80℃~約100℃の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲の温度にして行うことができる。
【0085】
一部の実施形態では、スパッタリングは、強い電磁場を用いて荷電粒子(例えば、環境(例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン、酸素)を構成する物質のプラズマ、イオン)をスパッタリング表面409a、409bに向ける、マグネトロンを含むことができる。別の実施形態では、マグネトロンは直流(DC)電源を備えることができる。更に別の実施形態では、DCマグネトロンスパッタリングをパルス化することができる(例えば、パルス反応性スパッタリング)。更に別の実施形態では、マグネトロン(例えば、1又は2以上のマグネトロン)への電力をパルス化する場合、元素ターゲット407a及び407bからの材料放出を、元素ターゲット407aと407bとの間で交互に行うことができる。別の実施形態では、マグネトロンの動作は、約13.56メガヘルツ(MHz)の周波数(例えば、無線周波数(RF))を含むことのできる交流(AC)をアノードとカソードの間に含むことができるが、他の周波数も可能である。一部の実施形態では、元素ターゲット407a、407bを基板103に対して回転させることができる。エネルギ、荷電粒子の流れ、及び/又は酸素分圧などのパラメータは、例えば、スパッタリングチャンバ403の容積、スパッタリングチャンバ403の圧力、元素ターゲット407a、407bのサイズ、元素ターゲット407a、407bの向き、及び/又は元素ターゲット407a、407bから基板までの距離に基づくことができることを理解されたい。上記の考慮事項に加えて、堆積された酸化物層の厚さは、元素ターゲット407a、407bから放出される材料の割合とスパッタリングプロセスの持続時間とによって制御できることを理解されたい。
【0086】
前述のように、第1主面上に堆積された酸化物層113は、酸化物層113の厚さ119と、酸素と第1元素との原子数比とを含むことができる。一部の実施形態では、酸化物層113の厚さ119は、酸化物層113の厚さ119について前述した範囲の内の1又は2以上に入るとすることができる。一部の実施形態では、酸化物層113の第1元素に対する酸素の原子数比は、酸化物層113について前述した範囲の内の1又は2以上に入るとすることができる。理論に縛られることを望まなければ、酸化物層の厚さが増加するにつれて、原子数比は増加する可能性がある。従って、一部の実施形態では、酸化物層の厚さを制限する(例えば、約40μm以下、約30μm以下)ことで、酸化物の原子数比を制限することができ、これにより、基板103と酸化物層113の密着を促進することができる。一部の実施形態では、別の方法(例えば、化学気相成長法(CVD)(例えば、低圧CVD、プラズマ強化CVD)、物理気相成長法(PVD)(例えば、蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシ、イオンプレーティング)、原子層堆積法(ALD)、噴霧熱分解法、化学浴析出法、ゾルゲル堆積法)を用いて酸化物層113を形成することができる。
【0087】
ステップ303の後、方法は、酸化物層113の上に金属層123を堆積させて、
図6に示す積層体601を製造するステップを含むステップ305に進むことができる。一部の実施形態では、金属層123は、単一ステップを用いて、例えばスパッタリングを用いて堆積することができる。一部の実施形態では、金属層123は、単一ステップを用いて、例えばスパッタリングを用いて堆積することができる。別の実施形態では、金属層123の最初の部分を、第1の方法を用いて初期厚さで堆積した後、第2の方法を用いて金属層の残りを堆積することができる。更に別の実施形態では、初期厚さは、約10nm以上、約50nm以上、約100nm以上、約300nm以上、約2μm以下、約1μm以下、又は約700nm以下とすることができる。更に別の実施形態では、初期厚さは、約10nm~約2μm、約50nm~約2μm、約50nm~約1μm、約100nm~約1μm、約100nm~約700nm、約300nm~約700nmの範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。更に別の実施形態では、初期厚さは、スパッタリング(例えば、不活性環境で)を用いて堆積することができるが、別の方法(例えば、化学気相成長法(CVD)(例えば、低圧CVD、プラズマ強化CVD)、物理気相成長法(PVD)(例えば、蒸着、分子線エピタキシ、イオンプレーティング)、原子層堆積法(ALD)、噴霧熱分解法、化学浴析出法、ゾルゲル堆積法)を用いることもできる。更に別の実施形態では、第2の方法は、電気めっき及び/又は無電解めっき(例えば、浸漬塗布)を含むことができる。一部の実施形態では、金属層123の金属厚さ129は、金属厚さ129について前述した範囲の内の1又は2以上に入る厚さを含むことができる。別の実施形態では、金属層123は、金属層123について前述した材料(例えば、銅)の内の1又は2以上を含むことができる。
【0088】
ステップ305の後、本方法は、金属層123の1又は2以上の部分の上にマスク層を堆積するステップを含むステップ307に進むことができる。一部の実施形態では、このマスクは、フォトリソグラフィを用いて形成されたフォトレジストを含むことができる。一部の実施形態では、
図7に示すように、ステップ307は、金属層123の1又は2以上の部分の上に第1の液体701を堆積するステップを含むことができる。別の実施形態では、図示しないが、容器(例えば、導管、可撓性チューブ、マイクロピペット、又はシリンジ)を使用して、金属層123の1又は2以上の部分の上に第1液体701を堆積することができる。別の実施形態では、図示するように、金属層123の第5表面領域125の上に、第1液体701を配置することができる。別の実施形態では、
図7に示すように、放射光705(例えば、紫外(UV)光、可視光)を用いて、第1液体701の一部を硬化させ、マスクを形成することができる。更に別の実施形態では、図示のように、第1液体701の硬化させない部分は、パターン付き放射光遮断材料703a、703bを用いて放射線から遮蔽することができる。
図7~8に示されるように、放射光に曝された第1液体701の部分は、マスク層801のマスク部分807a、807b、又は807cを形成することができる。一部の実施形態では、別の方法(例えば、化学気相成長法(CVD)(例えば、低圧CVD、プラズマ強化CVD)、物理気相成長法(PVD)(例えば、蒸着、分子線エピタキシ、イオンプレーティング)、原子層堆積法(ALD)、スパッタリング、噴霧熱分解法、化学浴析出法、ゾルゲル堆積法)を用いてマスク(例えば、マスク部分807a、807b、807cを含むマスク層801)を形成することができる。
図8に示すように、ステップ307の結果は、金属層123の第5表面領域125の上に配置されたマスク部分807a、807b、807cを含むマスク層801を含むことができる。別の実施形態では、
図8に示すように、マスク部分807a、807b、807cを含むマスク層801は、金属層123の第5の表面領域125の一部と接触することができる。一部の実施形態では、マスクの材料は光硬化性樹脂(例えば、高分子材料)を含むことができる。一部の実施形態では、マスク層801を形成するステップは、ステップ307中に第1液体701及び/又はマスク層801を加熱するステップを含むことができる。
【0089】
ステップ307の後、
図8に示すように、方法は、マスク層801を堆積した後に金属層123の少なくとも一部をエッチングするステップを含むステップ309に進むことができる。一部の実施形態では、図示するように、金属層123の第5表面領域125の部分125a、125bは、マスク層801に覆われない(例えば、接触している)第5表面領域125の部分に対応することができる。一部の実施形態では、図示するように、エッチングは、金属層123の第5表面領域125の少なくとも一部125a、125bをエッチャント805に曝すステップを含むことができる。別の実施形態では、図示するように、エッチャント805は、マスク層801の部分807a、807b、807cで画定されるエッチャント浴に含まれる液体エッチャントとすることができる。エッチャント浴は、部分807a、807b、807cの間の領域を容器803(例えば、導管、可撓性チューブ、マイクロピペット、又はシリンジ)からのエッチャントで満たすことによって準備することができる。更に別の実施形態では、エッチング溶液は、1又は2以上の鉱酸(例えば、HCl、HF、H
2SO
4、HNO
3)及び/又は別の材料(例えば、塩化鉄)を含むことができる。一部の実施形態では、エッチャント805は、約20℃以上、約50℃以上、約100℃以下、約80℃以下、又は約30℃以下の温度を含むことができる。一部の実施形態では、エッチャント805は、約20℃~約100℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、又は約20℃~約30℃の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にある温度を含むことができる。一部の実施形態では、エッチャント805は、約1秒以上、約10秒以上、約30秒以上、約1分以上、約3分以上、約30分以下、約15分、約10分以下、又は約5分以下の間、積層体と接触することができる。一部の実施形態では、エッチング液805は、約1秒~約15分、約10秒~約15分、約10秒~約10分、約30秒~約10分、約30秒~約5分、約1分~約5分、約3分~約5分の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にある時間の間、積層体と接触することができる。一部の実施形態では、エッチャントは、金属層のエッチング速度と酸化物層のエッチング速度との選択性に基づいて選択することができる。
【0090】
ステップ309の後、
図9に示すように、方法は、ステップ309でのエッチング後にマスク層801を除去するステップを含むステップ311に進むことができる。一部の実施形態では、
図9に示すように、マスク層801(例えば、マスク部分807a、807b、807c)を除去するステップは、金属層123の表面(例えば、第5表面領域125)に亘って方向902にツール901を動かすステップを含むことができる。更に別の実施形態では、ツールの使用は、掃く、擦る、研削する、押すなどのステップを含むことができる。別の実施形態では、マスク層801(例えば、マスク部分807a、807b、807c)は、金属層123の表面(例えば、第5表面領域125)を溶剤で洗浄することによって除去することができる。
【0091】
ステップ303、305、又は311の後、
図10に示すように、本開示の方法は、積層体101を第1の温度で第1の時間の間、加熱するステップを含むステップ313に進むことができる。一部の実施形態では、図示するように、積層体101は、第1の温度に維持されたオーブン1001内に配置することができる。別の実施形態では、第1の温度は、約250℃以上、約275℃以上、約300℃以上、約325℃以下、約400℃以下、又は約375℃以下、又は約350℃以下とすることができる。一部の実施形態では、第1の温度は、約250℃~約400℃、約275℃~約400℃、約275℃~約375℃、約300℃~約375℃、約325℃~約375℃、約325℃~約350℃の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。一部の実施形態では、第1の時間は、約15分以上、約30分以上、約45分以上、約1時間以上、約6時間以下、約4時間以下、又は約3時間以下、又は約1.5時間以下とすることができる。一部の実施形態では、第1の温度は、約15分~約6時間、約30分~約6時間、約30分~約4時間、約45分~約4時間、約45分~約4時間、45分~約3時間、約1時間~約3時間、約1時間~約1.5時間の範囲、或いはこれらの間にある何れかの範囲又は部分範囲にあるとすることができる。約250℃以上の第1の温度で積層体を加熱することで、酸素含有量の減少(例えば、第1元素に対する酸素の原子数比の減少)が促進され、これにより、酸化物層と基板との密着力(例えば、剥離強度)を増加させることができる。約400℃以下の第1の温度で積層体を加熱することで、積層体の特性に有害な可能性のある、積層体内での顕著な結晶化又は他の変化を伴うことなく、酸素含有量の減少(例えば、第1元素に対する酸素の原子数比の減少)が促進される。
【0092】
ステップ301、311、又は313の後、本開示の方法は、ステップ315に進むことができる。一部の実施形態では、ステップ315は、後続プロセスの開始を含むことができる。別の実施形態では、ステップ315は、アプリケーションにおける将来の組立及び/又は更なる処理のために積層体を保管するステップを含むことができる。 一部の実施形態では、ステップ315は、前述のように、アプリケーション(例えば、ディスプレイ用途、電子デバイス)に積層体を組み立てるステップを含むことができる。一部の実施形態では、本開示の方法は、ステップ315に到達した時点で完了とすることができる。一部の実施形態では、折畳み式装置の製造に関する
図3のフローチャートに従った本開示の方法は、ステップ315で完了とすることができる。
【0093】
一部の実施形態では、本開示の実施形態による折畳み式装置の製造方法は、前述のように、
図3のフローチャートのステップ301、303、305、307、309、311、313、及び315に沿って、順次進行することができる。一部の実施形態では、例えば積層体が金属層を備えない場合、又は積層体の更なる処理で金属層を堆積することになっている場合には、
図3に示すように、ステップ303から、酸化物皮膜を備えた積層体を加熱するステップを含むステップ313へ矢印304を辿ることができる。一部の実施形態では、例えば、積層体が連続した金属層を含む場合、又は積層体の更なる処理で金属層をパターニングする(例えば、エッチングする)ことになっている場合には、ステップ305から、酸化物皮膜を備えた積層体を加熱するステップを含むステップ313へ矢印310を辿ることができる。一部の実施形態では、例えば、ステップ303又はステップ315の終わりに積層体が完全に組み立てられる場合、方法は、ステップ303からステップ315へ矢印302を辿ることができる。一部の実施形態では、例えば、ステップ305又はステップ315の終わりに積層体が完全に組み立てられる場合、方法は、ステップ305からステップ315へ矢印308を辿ることができる。一部の実施形態では、例えば、ステップ311又はステップ315の終わりに積層体が完全に組み立てられる場合、方法は、ステップ311からステップ315へ矢印306を辿ることができる。上記選択肢の何れかを組み合わせて、本開示の実施形態による折畳み式装置を製造することができる。
【実施例】
【0094】
様々な実施形態は、以下の実施例によって更に明らかとなろう。 酸化物層の特性、並びに実施例A~Hの積層体の結果として得られる剥離強度を表1~2に示す。実施例A~Hは、ガラス材料(mol%単位で63.6のSiO2;15.7のAl2O3;10.8のNa2O;6.2のLi2O;1.16のZnO;0.04のSnO2;及び2.5のP2O5という公称組成を有する組成物1)、基板厚さ150μm、並びに表面粗さ(Ra)0.3nmを含む基板を含む。各実施例について、35個の試料を調製して測定し、報告する剥離強度及び/又は原子数比を決定した。 実施例A~Hでは、表1~2に提示する厚さの酸化物層を備えた酸化チタンから成る酸化物層を、基板の第1主表面上に堆積した。実施例A~Hでは、500nmの銅層をスパッタリングした後に電気めっきすることによって、金属厚12μmを備えた銅から成る金属層を酸化物層上に堆積した。実施例A~Gは熱処理を備えなかった。実施例A~Gでは、100℃で酸素分圧を500Paに維持した状態で、直径100ミリメートル(mm)を備えた元素ターゲットからチタンをスパッタリングするために、50%のデューティサイクルで10kHzにパルス化されたマグネトロンによるパルスDC反応性スパッタリングを用いて、酸化物層を堆積した。実施例Hでは、アルゴンを含む不活性環境において100℃で直径100mmを備えたTiO2から成るターゲットから二酸化チタン(TiO2)をスパッタリングするために、50%のデューティサイクルで10kHzにパルス化されたマグネトロンによるDC反応性スパッタリングを用いて、酸化物層を堆積した。
【0095】
実施例A~Eの剥離強度を表1に示す。実施例A~Cでは、酸化物層の厚さが10nmから30nmへ向かうにつれて剥離強度は増大し、対応して2.82N/cmから5.68N/cmまでの剥離強度となる。30nmを超える、酸化物層厚さの更なる増加(実施例D~E)は、剥離強度における、30nmで5.68N/cmから、40nmで1.68N/cm、1.36N/cmで1.62N/cmまでの低下と関係する。 酸化物層の厚さを100nmに増加させると、剥離強度の大きな変動をもたらす。
表1:実施例A~Eの特性
表2:実施例C,E,及びG~Hに対する原子数比
【0096】
実施例C及びE~Hの原子数比、並びに剥離強度を表2に示す。酸化物層のチタンに対する酸素の原子数比は、透過型電子顕微鏡(TEM)エネルギ分散型X線分光法(EDS)を用いて測定した。実施例Hは、2.00の原子数比(元素チタンのターゲットではなくTiO2ターゲットからのスパッタリングで形成された)と、0.20N/cmの剥離強度とを備えていた。原子数比の1.38への減少(実施例E)は、剥離強度の1.36N/cmへの増加と関係する。原子数比の0.74への更なる減少(実施例C)は、剥離強度の5.68N/cmへの更なる増加と関係する。 従って、チタンに対する酸素の原子数比の減少により、特に約1.50未満で、剥離強度が増加する。更に、酸素含有環境における元素チタンのターゲットからの反応性スパッタリングは、TiO2ターゲットからのスパッタリングよりも、低い原子数比とより大きな密着力とを生み出すことができる。
【0097】
実施例A~Fの内、厚さ30nmの酸化物層を備える実施例Cが、最大の剥離強度(5.68N/cm)を有する。実施例Hは、オーブン内で350℃、1時間、更に熱処理した実施例Cの積層体を含む。 熱処理により、原子数比が0.74(実施例C)から0.37(実施例G)に減少し、一方、剥離強度は5.68N/cm(実施例C)から6.80N/cm(実施例G)に増加した。結果として、積層体を加熱することで、酸化物層の原子数比が更に減少し、積層体の剥離強度が増加する可能性がある。
【0098】
本開示の実施形態は、基板と酸化物層との間に良好な密着力を備えた積層体を提供することができる。酸素と第1元素とを、第1元素に対する酸素の限定された原子数比(例えば、約1.5以下、約1以下、約0.8以下)で含む酸化物層を設けることで、良好な密着性を可能にすることができる。一部の実施形態では、第1元素に対する酸素の非化学量論比を設けることにより、密着性を更に促進することができる。酸化物層の厚さを制限すること(例えば、約40nm以下、約30nm以下)により、例えば酸化物層の酸素含有量を制限することによって、良好な密着性を可能にすることができる。一部の実施形態では、ガラス及び/又はセラミックを含む基板は、例えば共有結合又は極性相互作用により、酸化物層との良好な密着性を有することができる。更なる実施形態では、酸化物層の第1元素は、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含むことができ、これらは、ガラス及び/又はセラミックを含む基板との密着性を促進することができる。
【0099】
一部の実施形態では、積層体は、酸化物層の上に配置された金属層を備えることができる。金属層を設けることにより、金属層と酸化物層と良好な密着性を可能にすることができる。別の実施形態では、金属層と酸化物層との密着力は、酸化物層と基板との密着力よりも大きくなる可能性がある。例えば、金属層は銅を含むことができ、この銅は、酸化チタンを含む酸化物層中のチタンと負の混合エンタルピを有し、金属層と酸化物層との間に強力な密着力を提供する。別の実施形態では、金属層は導電性であり、基板の第1主面上に不連続層を形成するようにパターニングすることができ、例えば回路基板の一部として、配線接続部として機能することができる。更に別の実施形態では、酸化物層は非導電性とすることができ、これにより金属層の不連続部分を互いに電気的に絶縁することができる。
【0100】
本開示の実施形態は、酸素含有環境において元素ターゲットからの反応性スパッタリングを用いて基板上に酸化物層を堆積するステップを含む、積層体の製造方法を提供することができ、これにより、得られる酸化物層の酸素含有量の制御が可能になり、基板と酸化物層との密着性を促進することができる。一部の実施形態では、金属層(例えば、導電性)を酸化物層(例えば、非導電性)の上に配置して、対応する不連続な金属層の部分を除去することなく、第1主面上で不連続となるようにパターニングすることができ、これにより、例えば、積層体を製造するための処理時間及び全体コストを削減することで、積層体の処理を簡略化することができる。
【0101】
本明細書で使用する場合、「その(The)」、「1つの(a)」、又は「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つ」を意味し、そうでないと明示的に示されない限り、「ただ1つ」に限定すべきではない。従って、例えば、「1つの構成要素」への言及は、文脈上明らかに他に指示しない限り、2又は3以上のそのような構成要素を有する実施形態を含む。
【0102】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の量及び特性が正確でなく、正確である必要もないが、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて、近似的である及び/又はより大きい又はより小さい可能性があることを意味する。範囲の値又は終点を記述する際に用語「約」が使用される場合、本開示は、言及する特定の値又は終点を含むと理解すべきである。本明細書における数値又は範囲の終点が「約」と記載されている場合、その数値又は範囲の終点は、2つの実施形態を含むように意図される:「約」によって修飾されるもの、並びに「約」によって修飾されないもの。更に、各範囲の端点は、他方の端点と関係して、並びに他方の端点と無関係に、重要であることが理解されよう。
【0103】
本明細書で使用する用語「実質的な」、「実質的に」、及びその変形は、記述された特徴が値又は記述と等しい或いはほぼ等しいことに言及するように意図される。例えば、「実質的に平面状の」表面は、平面状である又はほぼ平面状である表面を表すように意図される。更に、「実質的に類似した」とは、2つの値が等しい又はほぼ等しいことを表すように意図される。一部の実施形態では、「実質的に類似した」とは、互いの約10%以内、例えば互いの約5%以内、又は互いの約2%以内の値を表すとすることができる。
【0104】
本明細書で使用する場合、用語「備える」及び「含む」、並びにそれらの変形は、特に指示のない限り、同義であり非限定であると解釈するものとする。移行句「備える」又は「含む」に続く要素のリストは、非排除的なリストであるため、このリスト内に具体的に列挙されたものの他にも要素が存在する可能性がある。
【0105】
様々な実施形態をその特定の例示的で且つ具体的な実施形態に関して詳細に説明してきたが、特許請求の範囲から逸脱することなく、開示した特徴に関する数多くの修正及び組み合わせが可能であるため、本開示は、それらに限定されるものと見なすべきではない。
【符号の説明】
【0106】
101 積層体
103 基板
104 第1平面
105 第1主面
106 第2平面
107 第2主面
109 基板厚さ
110 長さ方向及び幅方向に対して垂直な方向
113 酸化物層
115 第3主面
116a,b 第3主面上にある第1の点、第2の点
117 第4主面
119 酸化物層の厚さ
123 金属層
123a~c 金属層の第1~3部分
125 第5表面領域
127 第6表面領域
129 金属層の厚さ
201 積層体の長さ
202 長さ方向
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
第1主面を含む基板と、
前記基板の前記第1主面上に配置された酸化物層であって、40ナノメートル以下の厚さを含み、酸素と第1元素とを含み、前記第1元素が、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含み、前記酸化物層は更に、1.5以下の酸素と前記第1元素との原子数比を含む、酸化物層と、
を備え、
IPC-TM-650.2.4.8 条件Aに準拠して20℃で測定した前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との剥離強度はに、1.3ニュートン/センチメートル以上である、積層体。
【請求項2】
前記酸化物の上に配置された金属層を更に備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記金属層は銅を含む、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記金属層は、100ナノメートル~20マイクロメートルの範囲にある厚さを含む、請求項2又は3に記載の積層体。
【請求項5】
前記金属層は、前記基板の前記第1主面上で不連続である、請求項2~4の何れか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記酸化物層は、前記基板の前記第1主表面上で連続である、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
前記第1元素に対する酸素の前記原子数比は、0.8以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記酸化物層は酸化チタンを含み、前記第1元素はチタンを含み、チタンに対する酸素の原子数比は1.5以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の積層体。
【請求項9】
積層体を製造する方法であって、
酸素含有環境内で第1元素を含む元素ターゲットからスパッタリングすることによって、基板の第1主面上に酸化物層を堆積するステップを含み、
前記酸化物層は、約40ナノメートル以下の厚さを含み、前記酸化物層は酸素と前記第1元素とを含み、前記第1元素が、チタン、タンタル、シリコン、又はアルミニウムの内の少なくとも1つを含み、前記酸化物層は、酸素と前記第1元素との原子数比が約1.5以下であり、
IPC-TM-650.2.4.8 条件Aに準拠して20℃で測定した前記積層体に関する前記基板と前記酸化物層との剥離強度は、1.3ニュートン/センチメートル以上である、方法。
【請求項10】
前記酸化物の上に金属層を堆積するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属層の上に所定のパターンでマスク層を堆積するステップと、
前記マスク層を堆積した後、前記金属層の少なくとも一部をエッチングするステップと、
前記エッチング後に前記マスク層を除去するステップと、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属層は、前記基板の前記第1主面のフットプリント上で不連続であり、前記酸化物層は、前記基板の前記第1主面のフットプリント上で連続である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属層の前記厚さは、2マイクロメートル~15マイクロメートルの範囲にある、請求項9~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
250℃~400℃の範囲の温度で、15分~6時間の範囲にある時間の間、前記積層体を加熱するステップを更に含む、請求項9~13の何れか1項に記載の方法。
【国際調査報告】