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特表2024-509395アクリルアミドポリマーレオロジー調整剤組成物およびそれから誘導される建築用コーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】アクリルアミドポリマーレオロジー調整剤組成物およびそれから誘導される建築用コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240222BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240222BHJP
   C09D 7/43 20180101ALI20240222BHJP
   C09D 101/08 20060101ALI20240222BHJP
   C09D 133/26 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/02
C09D7/43
C09D101/08
C09D133/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551123
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2022017502
(87)【国際公開番号】W WO2022182746
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/152,587
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591223105
【氏名又は名称】ハーキュリーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタラム クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ジーナ コッツカッパリー チェリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン タイヤル
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038BA092
4J038CG172
4J038MA14
4J038NA24
4J038PB05
(57)【要約】
本開示の発明概念は、概して、0.05重量%~70.0重量%のアクリルアミドポリマーと、30.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとを含む流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー改質剤組成物に関する。さらに、本開示の発明概念は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の製造方法およびそれを含む水性コーティング組成物にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.05重量%~70.0重量%のアクリルアミドポリマーと
(ii)30.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとのブレンドを含む、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物。
【請求項2】
前記アクリルアミドポリマーが、非イオン性ホモポリマーまたはアニオン性コポリマーまたはカチオン性コポリマーである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項3】
前記アクリルアミドポリマーがカチオン性ポリマーである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項4】
前記アニオン性コポリマーが、S、N、O、およびPからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を有する、1つ以上の酸官能基もしくは無水物官能基またはそれらの組み合わせを有する少なくとも1つのモノマーを含む、請求項2に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項5】
前記モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または無水物、イタコン酸または無水物、クロトン酸、フマル酸、およびシトラコン酸からなる群から選択される、請求項4に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項6】
前記アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が、5万ダルトン~1500万ダルトンの範囲で変動する、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項7】
前記アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が、100万ダルトン~400万ダルトンの範囲で変動する、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項8】
前記アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が、400万ダルトン~800万ダルトンの範囲で変動する、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項9】
前記アクリルアミドポリマーの重量平均分子量が、800万ダルトン~1200万ダルトンの範囲で変動する、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項10】
前記セルロースエーテルが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、疎水修飾カルボキシメチルセルロース(HMCMC)、疎水修飾ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、疎水修飾エチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、疎水修飾カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(HMCMHEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HMHPHEC)、疎水修飾メチルセルロース(HMMC)、疎水修飾メチルヒドロキシプロピルセルロース(HMMHPC)、疎水修飾メチルヒドロキシエチルセルロース(HMMHEC)、疎水修飾カルボキシメチルメチルセルロース(HMCMMC)、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HEC)、カチオン性疎水修飾ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HMHEC)、および、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される、グリオキサール処理されたまたはグリオキサール処理されていないセルロースエーテルである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項11】
前記セルロースエーテルが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)単独、カルボキシメチルセルロース単独、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項12】
前記セルロースエーテルが、非グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロースである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項13】
前記セルロースエーテルが、グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロースである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項14】
前記セルロースエーテルが、流動化ポリマー懸濁液形態または乾燥粉末形態である、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項15】
前記レオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、前記アクリルアミドポリマーが0.05重量%~50.0重量%または0.05重量%~30.0重量%の量で存在し、前記セルロースエーテルが50.0重量%~99.95重量%または70.0重量%~99.95重量%の量で存在する、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項16】
疎水修飾エトキシル化ウレタンポリマー、疎水修飾ポリアセタールポリエーテルポリマー、疎水修飾アルカリ膨潤性エマルジョン、疎水修飾アミノプラスト、アルカリ膨潤性エマルジョン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの会合性ポリマーを更に含む、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項17】
前記会合性ポリマーが、疎水修飾ポリアセタールポリエーテルポリマーである、請求項15に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項18】
界面活性剤;分散剤;増粘剤;固化防止剤;消泡剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;架橋剤;ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項19】
液体ブレンドである、請求項1に記載のレオロジー調整剤組成物。
【請求項20】
A.(i)0.05重量%~30.0重量%のアクリルアミドポリマー、および、(ii)70.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルを含む流動化ポリマー懸濁液をブレンドする工程;あるいは、
B.(i)少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つの懸濁化剤を含む安定化鉱油相を調製する工程、および、(ii)少なくとも1つのセルロースエーテルおよび少なくとも1つのアクリルアミドポリマーを連続撹拌下で添加して、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を得る工程を含む、請求項1に記載の組成物を調製する方法。
【請求項21】
前記工程B(ii)における前記セルロースエーテルが乾燥粉末形態である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記レオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、前記アクリルアミドポリマーが0.05重量%~50.0重量%または0.05重量%~30.0重量%の量で存在し、前記セルロースエーテルが50.0重量%~99.95重量%または70.0重量%~99.95重量%の量で存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
界面活性剤;分散剤;増粘剤;固化防止剤;消泡剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;架橋剤;ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をブレンドする工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
水性コーティングにおける流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の使用であって、前記レオロジー調整剤組成物は、当該レオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、(i)0.05重量%~30.0重量%のアクリルアミドポリマーと、(ii)70.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとのブレンドを含む、使用。
【請求項25】
前記レオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、前記アクリルアミドポリマーが0.05重量%~50.0重量%または0.05重量%~30.0重量%の量で存在し、前記セルロースエーテルが50.0重量%~99.95重量%または70.0重量%~99.95重量%の量で存在する、請求項24に記載のレオロジー調整剤組成物の使用。
【請求項26】
総重量に基づいて、
(i)0.05重量%~70.0重量%のアクリルアミドポリマーと30.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとのブレンドを含む、0.01重量%~10.0重量%の請求項1にポリマーの流動化ポリマー懸濁液ベースレオロジー調整剤組成物と;
(ii)5.0重量%~85.0重量%の少なくとも1つのフィルム形成ポリマーと;
(iii)5.0重量%~15.0重量%の水とを含む、水性コーティング組成物。
【請求項27】
前記セルロースエーテルが、流動化ポリマー懸濁液形態または乾燥粉末形態である、請求項26に記載の水性コーティング組成物。
【請求項28】
前記フィルム形成ポリマーが、アクリル、ビニルアクリル、およびスチレンアクリル、スチレンブタジエンコポリマー、酢酸ビニルエチレン、ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、エポキシド、ウレタン、ポリアミド、バーサチック酸のビニルエステル(VeoVa)、ならびに、ポリエステルからなる群から選択される、請求項26に記載の水性コーティング組成物。
【請求項29】
フタロシアニン、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、藍、水和酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、クレー、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を更に含む、請求項26に記載の水性コーティング組成物。
【請求項30】
15%~85%の範囲の顔料体積濃度(PVC)を有する、請求項29に記載の水性コーティング組成物。
【請求項31】
界面活性剤;分散剤;増粘剤;固化防止剤;消泡剤(anti-foaming agent);可塑剤;増量剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;架橋剤;殺虫剤;殺カビ剤;消泡剤(defoamer);共溶媒;合体剤;ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項26に記載の水性コーティング組成物。
【請求項32】
建築用コーティング組成物である、請求項26に記載の水性コーティング組成物。
【請求項33】
総重量に基づいて、
(i)0.01重量%~10.0重量%のアクリルアミドポリマー、(ii)少なくとも1つのセルロースエーテルを含む0.01重量%~10.0重量%の流動化ポリマー懸濁液、(iii)5.0重量%~85.0重量%の少なくとも1つのフィルム形成ポリマー、および、(iv)5.0重量%~15.0重量%の水を含む、水性コーティング組成物。
【請求項34】
前記アクリルアミドポリマーおよび前記セルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液が、両方とも、ブレンドとして前記コーティング組成物中に存在する、請求項33に記載の水性コーティング組成物。
【請求項35】
前記フィルム形成ポリマーが、アクリル、ビニルアクリル、およびスチレンアクリル、スチレンブタジエンコポリマー、酢酸ビニルエチレン、ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、エポキシド、ウレタン、ポリアミド、バーサチック酸のビニルエステル(VeoVa)、並びに、ポリエステルからなる群から選択される、請求項33に記載の水性コーティング組成物。
【請求項36】
フタロシアニン、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、藍、水和酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、クレー、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を更に含む、請求項33に記載の水性コーティング組成物。
【請求項37】
15%~85%の範囲の顔料体積濃度(PVC)を有する、請求項36に記載の水性コーティング組成物。
【請求項38】
界面活性剤;分散剤;増粘剤;固化防止剤;消泡剤(anti-foaming agent);可塑剤;増量剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;架橋剤;殺虫剤;殺カビ剤;消泡剤(defoamer);共溶媒;合体剤(coalescent);並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項33に記載の水性コーティング組成物。
【請求項39】
建築用コーティング組成物である、請求項33に記載の水性コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の方法、手順、方法、生成物、結果、および/または概念(以下、「本開示」と総称する)は、概して、流動化ポリマー懸濁液(fluidized polymer suspension; FPS)ベースのレオロジー調整剤組成物(rheology modifier composition)およびその用途に関する。本開示はさらに、レオロジー調整剤組成物に由来する建築用コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
会合性レオロジー調整剤(associative rheology modifier)として一般に知られている疎水修飾エチレンオキシド系ポリウレタン(HEUR)などの疎水修飾非イオン性合成増粘剤(NSAT)は、塗料を増粘、すなわち塗料の粘度を増加させて、レベリング、耐たわみ性などの最適な塗布性をもたらすために広く使用されている。これらのレオロジー調整剤は、2種以上の疎水性物質を含有する。疎水性物質の機能は、バインダーラテックス粒子の表面と会合して個々のラテックス粒子を連結し、それにより、粘度を増加させる網目構造をもたらすことである。また、コーティング産業において使用されるのは、別のクラスの非会合性レオロジー調整剤である。非会合性レオロジー調整剤の例としては、水溶性ポリマー、例えばセルロース系(HEC)、デンプンなどが挙げられる。非会合性レオロジー調整剤は、水溶液中の高度に絡み合ったポリマー分子によって導入される増粘機構によって塗料の粘度を増加させ、したがって塗料の移動度を制限する。ポリアクリルアミドおよびセルロースエーテル、例えば、非会合性増粘剤としてのヒドロキシエチルセルロースの個々の使用は関連技術において知られているものの、それらはストリング状またはグロッピーレオロジー、不十分なレベリングおよび希釈耐性などの特定の欠点を有することが知られている。
【0003】
米国特許第4,425,469号明細書は、水性系における、吸着質としての、および流動調整剤としての、疎水性末端基を含むアクリルアミドの水溶性ビニル付加ポリマーの使用を開示している。該アクリルアミドのポリマーは、疎水性連鎖移動剤を介して導入される端末疎水性物質を有するホモポリマーまたはコポリマーである。
【0004】
中国特許第1225934号明細書は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリアクリルアミドを含有する高粘度粉末構造コーティングを開示している。
【0005】
ハーキュリーズ社の米国特許第9,834,695号明細書は、アーキテクチャコーティングに使用されるレオロジー調整剤組成物を開示しており、該レオロジー調整剤組成物は、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水修飾ヒドロキシエチルセルロースと;カチオンポリマー、例えば、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーと;分散剤とのブレンドを含む。
【0006】
米国特許第5,521,234号明細書は、ヒドロキシエチルセルロースおよび/またはアルキルもしくはアリールアルキル疎水修飾ヒドロキシエチルセルロースの流動化ポリマー懸濁液(FPS)増粘剤、ならびに水性コーティング組成物におけるその使用を教示している。
【0007】
したがって、アクリルアミドポリマーおよびセルロースエーテルの個々の使用に関連する欠点を克服するレオロジー調整剤組成物を提供し、また、増粘効率の改善、高いたるみ抵抗性および希釈耐性、ならびに使用時のコスト等のいくつかの予期せぬ利益を有する費用効果の高いレオロジー調整剤組成物を提供するという長年の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、(i)0.05重量%~70.0重量%のアクリルアミドポリマーと、(ii)30.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとのブレンドを含む流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を提供する。本開示の非限定的な一実施形態では、アクリルアミドポリマーは、非イオン性ホモポリマーまたはアニオン性コポリマーまたはカチオンポリマーを含む。本開示の別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドコポリマーはカチオン性ポリマーである。本開示の非限定的な一実施形態では、アクリルアミドポリマーの重量平均分子量は約5万ダルトン~約1500万ダルトンの範囲で変動する。本開示の非限定的な一実施形態では、セルロースエーテルはグリオキサール処理セルロースエーテルまたは非グリオキサール処理セルロースエーテルである。本開示の別の非限定的な実施形態では、セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース単独またはカルボキシメチルセルロース単独またはそれらの組み合わせである。本開示の別の非限定的な実施形態において、セルロースエーテルは、非グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロースである。本開示のさらに別の実施形態において、セルロースエーテルは、グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロースである。
【0009】
本開示の別の態様は、A.(i)0.05重量%~30.0重量%のアクリルアミドポリマー、および、(ii)70.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルを含む流動化ポリマー懸濁液をブレンドする工程;あるいは、B.(i)少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つの懸濁化剤を含む安定化鉱油相を調製する工程、および、(ii)少なくとも1つのセルロースエーテルおよび少なくとも1つのアクリルアミドポリマーを連続撹拌下で添加して、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を得る工程を含む、上記レオロジー調整剤組成物を調製する方法を提供する。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、(i)0.05重量%~70.0重量%のアクリルアミドポリマーと、(ii)30.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとのブレンドを含む、水性コーティングにおける流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の使用を提供する。
【0011】
本開示のさらに別の態様は、水性コーティング組成物であって、該水性コーティング組成物の総重量に基づいて、(ia)0.01重量%~10.0重量%の本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物、または(ib)0.01重量%~10.0重量%のアクリルアミドポリマー、および少なくとも1つのセルロースエーテルを含む0.01重量%~10.0重量%の流動化ポリマー懸濁液と;(ii)5.0重量%~85.0重量%の少なくとも1つのフィルム形成ポリマーと;(iii) 5. 0重量%~15. 0重量%の水とを含む、水性コーティング組成物を提供する。本開示の1つの非限定的な実施形態において、コーティング組成物は、建築用コーティング組成物である。本開示の別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドポリマー、および、少なくとも1つのセルロースエーテルを含む流動化ポリマー懸濁液は、両方とも、ブレンドとしてコーティング組成物中に存在する。本開示の1つの非限定的な実施形態において、水性コーティング組成物は、少なくとも1つの顔料をさらに含む。本開示の1つの非限定的な実施形態において、水性コーティング組成物は、建築用コーティング組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な図面、実験、結果、および実験手順によって本開示の概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示の概念は、その適用において、以下の説明に記載されるか、または図面、実験、および/または結果に示される構成要素の構成および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の概念は、他の実施形態が可能であるか、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。したがって、本明細書で使用される言語は可能な限り広い範囲および意味を与えられることが意図され、実施形態は例示的であることが意図され、網羅的ではない。また、本明細書で使用される表現および用語は説明を目的とするものであり、限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0013】
本明細書で別途定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載される化学に関連して利用される命名法、および化学の技術は当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。反応および精製技術は製造業者の仕様に従って、または当技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように実施される。
【0014】
本明細書で言及されるすべての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、本開示が関連する当業者の技術水準を示す。本出願の任意の部分において参照される全ての特許、公開された特許出願、および非米国特許公開は各個々の特許または公報が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたのと同じ程度に、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0015】
本明細書中で開示されかつ特許請求項された全ての組成物および/または方法は、本開示に照らして過度の実験を伴わずに作製され得そして実行され得る。本開示の組成物および方法は好ましい態様に関連して記載されているが、本開示の概念、意図、および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載の組成物および/または方法ならびにその方法の工程または工程の順序に改変を加え得ることは当業者に明らかであろう。当業者に明らかな全てのそのような類似の代替物および改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の概念の趣旨、範囲および概念内にあると見なされる。
【0016】
本開示に従って利用される場合、以下の用語は別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
【0017】
1つ(「a」または「an」)という用語は、特許請求の範囲および/または明細書中の「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」の意味と一致する。特許請求の範囲中の「または」という用語の使用は代替物のみを指すか、または代替物が相互に排他的であることが明示的に示されない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は代替物のみを指す定義および「および/または」を支持する。本出願を通して、「約」という用語は値が装置、値を決定するために使用される方法、および/または研究対象の間に存在する変動の固有の誤差の変動を含むことを示すために使用さ。用語「少なくとも1つ」の使用は2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含むが、これらに限定されない、1つ、ならびに1つを超える任意の量を含むと理解される。用語「少なくとも1つ」はそれが添付される用語に応じて、100または1000またはそれ以上まで拡張することができ、加えて、100/1000の量は、より高い限界も満足な結果をもたらし得るので、限定的であると見なされるべきではない。加えて、用語「X、YおよびZの少なくとも1つ」の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびにX、YおよびZの任意の組み合わせを含むと理解される。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲において、「含む(comprising)」(およびその任意の形態)、「有する(having)」(およびその任意の形態)、「含む(including)」(およびその任意の形態)、または「含む(contain)」(およびその任意の形態)の語は、包括的または開放的であり、追加的な記載されていない要素または方法ステップを排除するものではない。
【0019】
本明細書で使用される「またはそれらの組み合わせ」という用語は、その用語に先行する列挙された項目のすべての順列および組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の状況において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含む。この例を続けると、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つまたは複数の項目または用語の繰り返しを含む組合せが明示的に含まれる。当業者は文脈から他に明らかでない限り、典型的には、任意の組み合わせにおけるアイテムまたは用語の数に制限がないことを理解するのであろう。
【0020】
本明細書で使用するとき、「アクリルアミドポリマー」という語は、アクリルアミドベースの繰り返し単位を重合することによって形成されるポリマーを意味し、ここで、アクリルアミドベースの繰り返し単位は、アクリルアミド、または、アルファ炭素原子または窒素原子上で置換されたアクリルアミドであり得る。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「水性コーティング」は、水が揮発相の50%超、好ましくは少なくとも80%を構成する場合、少量の共溶媒および他の揮発性有機材料の含有を可能にする、それらの技術分野で認識されている意味を有する。その結果、有機溶媒が存在していても、液体コーティング組成物中に存在する揮発性溶媒の大部分は水であることから、これらのコーティングは依然として水性とみなされる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「建築用コーティング」は、樹脂性バインダーが、主に水である連続相と一般に呼ばれる水相中で可溶化、分散または乳化されていることを特徴とする水系塗料を指す。好適な水系バインダーとしては、デンプン、加工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン/アクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリルアミドコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマーおよびポリアクリロニトリルなどの材料を挙げることができる。非水溶性バインダーの好適かつ非限定的な例としては、ポリアクリレート、メタクリレート、ビニルアクリル、スチレンアクリルなどが挙げられる。
【0023】
本開示の一態様は、流動化ポリマー懸濁液ベースの(FPSベースの)レオロジー調整剤組成物を提供する。本開示のFPSベースのレオロジー調整剤組成物は、アクリルアミドポリマーとセルロースエーテルとのブレンドを含む。
【0024】
本開示のレオロジー調整剤組成物において有用なアクリルアミドポリマーは、非イオン性ホモポリマー、アニオン性コポリマーもしくはカチオン性コポリマー、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。本開示の非限定的な一実施形態では、アクリルアミドポリマーはホモポリマーである。本開示の別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドポリマーはアニオン性コポリマーである。本開示のさらに別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドポリマーはカチオン性ポリマーである。本開示によるアニオン性コポリマーは、S、N、O、およびPからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を有する、1つ以上の複数の酸官能基もしくは無水物官能基、またはそれらの任意の組み合わせを有する少なくとも1つのモノマー単位を含む。このようなモノマーの適切な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または無水物、イタコン酸または無水物、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、カチオン性ポリマーの好適な例としては、3-アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3-メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
さらに、本開示の組成物に使用されるアクリルアミドポリマーは、約5万ダルトン~約1500万ダルトンの範囲の平均分子量を有することができる。本開示の非限定的な一実施形態では、アクリルアミドポリマーの分子量は約100万ダルトン~約400万ダルトンの範囲で変動し得る。本開示の別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドポリマーの分子量は約400万ダルトン~約800万ダルトン、または約800万ダルトン~約1200万ダルトンの範囲で変動し得る。
【0026】
本開示の目的に有用なアクリルアミドポリマーは、従来公知の方法によって調製することができる。あるいは、市販のアクリルアミドポリマーを入手することもできる。このような市販のポリマーの適切な例としては、FLOPAM(登録商標)920 VHM、FA 920 VHR、FA 920 SH、FA 920 SD、FA 920 SHD、FA 920 HD、AN 905 SH、AN 905 SHU、AN 905 SHU、AN 910 SHU、AN 910 SHU、AN 913 SHU、AN 913 SHU、AN 923 SHU、AN 923 SHU、AN 926 SHなど(SNFから入手可能);およびPRAESTOL、例えば2500/2500TR、2510、2515/2515TR、2520、2530/2530TR、2540/2540TR、2640、644 BC、650 BCなど(Solenisから入手可能)が挙げられる。
【0027】
本開示のレオロジー調整剤組成物において使用されるセルロースエーテルは、ヒドロキシアルキルセルロースエーテルであり得る。かかるセルロースエーテルの適切な例としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、疎水修飾カルボキシメチルセルロース(HMCMC)、疎水修飾ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、疎水修飾エチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、疎水修飾カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(HMCMHEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HMHPHEC)、疎水修飾メチルセルロース(HMMC)、疎水修飾メチルヒドロキシプロピルセルロース(HMMHPC)、疎水修飾メチルヒドロキシエチルセルロース(HMMHEC)、疎水修飾カルボキシメチルメチルセルロース(HMCMMC)、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HEC)、カチオン性疎水修飾ヒドロキシエチルセルロース(カチオン性HMHEC)、および、それらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本開示の目的に有用なセルロースエーテルは、グリオキサール処理セルロースエーテルまたは非グリオキサール処理セルロースエーテルであり得る。本開示の1つの非限定的な実施形態において、セルロースエーテルは、グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロースであり得る。本開示の別の非限定的な実施形態では、セルロースエーテルは、非グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロースであり得る。本開示の別の非限定的な実施形態では、セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース単独またはカルボキシメチルセルロース単独、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0028】
さらに、本開示の目的に有用なセルロースエーテルは、流動化ポリマー懸濁液(FPS)形態で存在することができる。セルロースエーテルのこのようなFPS形態は当技術分野で公知の方法、例えば、Aqualon社の米国特許第5,521,234号明細書に記載されている方法によって調製することができる。あるいは、これらのFPS形態のセルロースエーテルは市販の製品から入手することができる。かかる製品の適切な例としては、FPS Natrosol HEC 250 HHRP、FPS Natrosol HEC 250 HHBR、FPS Natrosol Plus 330、FPS Natrosol 250 H4BR、およびFPS Natrosol 250HBR(全てAshland LLCからFPS形態で入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
さらに、アクリルアミドポリマーは、レオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、約0.05重量%~約70.0重量%の量で存在することができる。同様に、セルロースエーテルの量(FPS形態の全固体ポリマー含有量に基づく)は、レオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、約30.0重量%~99.95重量%の範囲で変動し得る。アクリルアミドポリマーおよびセルロースエーテルの量は、流動化ポリマー懸濁液形態における全固体ポリマー含有量に基づく。
【0030】
本開示の非限定的な一実施形態では、アクリルアミドポリマーはレオロジー調整剤組成物の総重量の約0.05重量%~約50.0重量%、または約0.05重量%~約30.0重量%の範囲の量で存在することができる。本開示の別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドポリマーはカチオン性ポリマーであり、レオロジー調整剤組成物の総重量の約0.05重量%~約50.0重量%、または約0.05重量%~約30.0重量%の量で存在することができる。本開示の別の非限定的な実施形態では、セルロースエーテルはレオロジー調整剤組成物の総重量の約50.0重量%~約99.95重量%、または約70.0重量%~約99.95重量%の量で存在することができる。セルロースエーテルがヒドロキシエチルセルロースとカルボキシメチルセルロースとの組み合わせである本開示の一実施形態では、それらの総量はレオロジー調整剤組成物の総重量の約50.0重量%~約99.95重量%、または約70.0重量%~約99.95重量%の範囲で変動し得る。
【0031】
本開示のレオロジー調整剤組成物は、疎水修飾エトキシル化ウレタンポリマー、疎水修飾ポリアセタールポリエーテルポリマー、疎水修飾アルカリ膨潤性エマルジョン、疎水修飾アミノプラスト、アルカリ膨潤性エマルジョン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの会合性ポリマー(associative polymer)をさらに含むことができる。本開示の非限定的な一実施形態では、会合性ポリマーは疎水修飾ポリアセタールポリエーテルポリマーである。
【0032】
本開示のレオロジー調整剤組成物は、界面活性剤;分散剤;増粘剤;固化防止剤;消泡剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;安定剤、架橋剤;ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。
【0033】
分散剤の適切な例としては、ポリカルボン酸、カルボキシル化高分子電解質塩、トリポリリン酸塩およびピロリン酸テトラカリウム、エトキシル化脂肪アルコール、アミノアルコール、アクリルコポリマー、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド付加物、スルホン化脂肪酸、大豆レシチン、ポリエチレングリコールジロエート、大豆レシチン、PEGジロエート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、モノステアレートポリエチレングリコール、ジステアレートポリエチレングリコール、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
さらに、本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物は、アクリルアミドポリマーとセルロースエーテルとの液体ブレンドである。本開示の一実施形態では、液体ブレンドは、アクリルアミドポリマーと、セルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液(FPS)とをブレンドすることによって調製することができる。当業者に周知の任意の公知のブレンド技術または装置を、本開示のレオロジー調整剤組成物を調製するために適切に使用することができる。本開示の別の非限定的な実施形態では、アクリルアミドポリマーは、セルロースエーテルのFPS形態の設計および製造中にセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液(FPS)とブレンドすることができる。本開示のこの特定の実施形態では、アクリルアミドポリマーを、キャリア流体、少なくとも1つの分散剤、少なくとも1つの懸濁化剤、および他の添加剤の存在下で、セルロースエーテルとブレンドして、本開示の流動ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を調製することができる。さらに、本開示のこの特定の実施形態において使用されるセルロースエーテルは、乾燥粉末形態であり得る。
【0035】
本開示の別の態様は、本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を調製する方法を提供する。上述したように、本開示の1つの非限定的な実施形態において、該組成物は、アクリルアミドポリマーとセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液(FPS)とをブレンドすることによって調製することができる。アクリルアミドポリマーとセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液とをブレンドして、本開示のレオロジー調整剤組成物を調製するために、当業者に周知の任意の公知のブレンド技術または装置を適切に使用することができる。この実施形態では、セルロースエーテルの任意の市販の流動化ポリマー懸濁液を使用することができる。上記セルロースエーテルの適切な例としては、FPS Natrosol HEC 250 HHRP、FPS Natrosol HEC 250 HHBR、FPS Natrosol Plus 330、FPS Natrosol 250 H4BR、FPS Natrosol 250HBR(全てAshland LLCからFPS形態で入手可能)などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、セルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液の量は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、約50.0重量%~約99.95重量%、または約70.0重量%~約99.95重量%の範囲で変動し得る。セルロースエーテルの量は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物中の全固体ポリマー含有量に基づく。
【0036】
本開示の別の非限定的な実施形態では、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を調製する方法は、油相、少なくとも1つの分散剤、および少なくとも1つの懸濁化剤の存在下で、アクリルアミドポリマーを乾燥粉末形態のセルロースエーテルとブレンドすることを含む。本開示による方法は、典型的には、(i)少なくとも1つのキャリア流体を提供する工程;(ii)少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つの懸濁化剤をキャリア流体中で、連続撹拌下で混合して安定化相を得る工程;および(iii)少なくとも1つのセルロースエーテルおよび少なくとも1つのアクリルアミドポリマーを連続撹拌下で安定化相中でブレンドして、本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を得る工程を含むことができる。
【0037】
本方法の混合工程(ii)は、典型的には700rpm~1000rpmの範囲で、約1分~5分間実施して安定化相を得ることができる。同様に、本方法のブレンド工程(iii)は、1000rpm~1500rpmで、約1分~30分間実施して、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を得ることができる。オーバーヘッド撹拌機またはホモジナイザー、例えばIKA RW20などの任意の適切なブレンド装置を、混合またはブレンド工程のために使用することができる。さらに、本開示のプロセスに有用なキャリア流体は、油ベースのキャリア流体であり得る。したがって、「油ベースのキャリア流体」という用語は、合成油または非合成油をベースとする連続相を有する流体を指すために使用され得る。油性キャリア流体の適切な例としては、限定されるものではないが、Power oil Topaz L70、Power oil Topaz L60(APAR Industriesから入手可能)、Calsol 806、Calsol 810(Refining LLCから入手可能)、ならびにEcolane 130(Totalfinaから入手可能)が挙げられる。さらに、油相は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、約20.0重量%~約60.0重量%、または約25.0重量%~約55.0重量%、または約30.0重量%~約50.0重量%の量で使用することができる。
【0038】
同様に、本開示のプロセスに有用な懸濁化剤は、関連技術分野の当業者に周知の任意の懸濁化剤、例えば有機粘土ベースの懸濁化剤であり得る。このような懸濁剤の適切な例としては、限定されるものではないが、Southern Clay Products(CLAYTONE(登録商標))、Sud-Chemie(TIXOGEL(登録商標))、BARAGEL(登録商標)3000(Elementis Globalから入手可能)、BENTONE(Rheox Companyから入手可能)、およびGELTONEが挙げられる。さらに、懸濁化剤は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約6.0重量%、または約1.0重量%~約5.0重量%の量で添加することができる。
【0039】
同様に、本開示のプロセスに有用な分散剤は、ポリカルボン酸、カルボキシル化高分子電解質塩、トリポリリン酸塩およびピロリン酸テトラカリウム、エトキシル化脂肪アルコール、アミノアルコール、アクリルコポリマー、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド付加物、スルホン化脂肪酸、大豆レシチン、ポリエチレングリコールジロエート、大豆レシチン、PEGジロエート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、モノステアレートポリエチレングリコール、ジステアレートポリエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。さらに、分散剤は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約4.0重量%、または約0.2重量%~約2.0重量%の量で使用することができる。
【0040】
さらに、本開示のこの実施形態で使用されるセルロースエーテルは、乾燥粉末形態で添加される。このようなセルロースエーテルの乾燥粉末形態は当技術分野で公知の方法によって調製することができ、または任意の市販品、例えば、NATROSOL 250 HHBR、NATROSOL 250 H4BR、NATROSOL 250 MHBR、BLANOSE CMC 7H9(Ashland LLCから入手可能)などから入手することもできる。セルロースエーテル(乾燥粉末形態)は、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物中の混合(combined)固体高分子の重量に基づいて、約30.0重量%~約99.95重量%、または約50.0重量%~約99.97重量%、または約70.0重量%~約99.95重量%の量で使用することができる。
【0041】
同様に、本開示の目的に有用なアクリルアミドポリマーとしては、FLOPAM(登録商標)、例えば、FA 920 VHM、FA 920 VHR、FA 920 SH、FA 920 SHR、FA 920 SD、FA 920 SHD、FA 920、FA 920 HD、AN 905 SH、AN 905 SHU、AN 910 SH、AN 910 SHU、AN 913 SH、AN 913 SHU、AN 923 SH、AN 923 SHU、AN 926 SHなど(SNFから入手可能);およびPRAESTOL、例えば2500/2500TR、2510、2515/2515TR、2520、2525、2530/2530TR、2540/2540TR、2640、644 BC、650 BCなど(Solenisから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、アクリルアミドポリマーは、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物中の混合(combined)固体高分子の重量に基づいて、約0.05重量%~約70.0重量%、または約0.05重量%~約50.0重量%、または約0.05重量%~約30.0重量%の量で使用することができる。
【0042】
さらに、本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の調製中に、追加の添加剤を添加することもできる。このような添加剤は、界面活性剤;分散剤;増粘剤;固化防止剤;消泡剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;架橋剤;ならびにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことができる。
【0043】
本開示のレオロジー調整剤組成物は、水性コーティング組成物中に使用することができる。特に、本開示のレオロジー調整剤組成物は、装飾および保護コーティングなどのあらゆる種類のコーティング、ならびに紙コーティングにおいて有用である。水性ベースのコーティング組成物はラテックス塗料または分散塗料として一般に知られており、かなりの数年にわたって知られている。水性コーティング組成物に使用されるレオロジー調整剤は、特定の処理条件および最終使用状況下で必要なレベルで粘度を増加および維持する。水性コーティング組成物は、レオロジー調整剤の選択により、良好なレベリングおよび優れた耐垂れ性を提供する必要がある。本開示の別の態様は、(i)0.05重量%~30.0重量%のアクリルアミドポリマーと、(ii)70.0重量%~99.95重量%の少なくとも1つのセルロースエーテルとのブレンドを含む、水性ベースのコーティングにおける本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の使用を提供する。
【0044】
本開示の別の態様は、上述の本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を含む水性コーティング組成物を提供する。水性コーティング組成物は、アクリルアミドポリマー、少なくとも1つのセルロースエーテル、少なくとも1つのフィルム形成ポリマー、および水を含む流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物を含むか、またはそれからなるか、または本質的にそれからなる。
【0045】
本開示の水性コーティング組成物において使用されるレオロジー調整剤組成物の量は、水性コーティング組成物に所望の増粘およびレオロジー特性を提供するのに有効な量であり、したがって、所望のレオロジー特性および使用される分散液の両方に依存する。さらに、流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物は、本開示の水性コーティング組成物中にアクリルアミドポリマーとセルロースエーテルとの液体ブレンドとして添加することができる。上記のように、液体ブレンドはアクリルアミドポリマーとセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液とをブレンドまたは混合することによって調製するか、または、アクリルアミドポリマーと乾燥粉末形態のセルロースエーテルとを、キャリア流体、分散剤および懸濁剤の存在下でブレンドすることによって調製することもできる。あるいは、アクリルアミドポリマーおよびセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液は、本開示の水性コーティング組成物中に個々に添加することができ、水性コーティング組成物中において、アクリルアミドポリマーおよびセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液は両方ともブレンドとして存在する。
【0046】
本開示の一実施形態では、レオロジー調整剤組成物が水性コーティング組成物中の液体ブレンドとして添加され得る場合、添加されるレオロジー調整剤組成物の量は、水性コーティング組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~10.0重量%の範囲で変動し得る。本開示の別の非限定的な実施形態では、上記量は水性コーティング組成物の総重量の約0.05重量%~約5.0重量%の範囲で変動し得る。
【0047】
本開示の一実施形態において、アクリルアミドポリマーおよびセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液が個々に添加される場合、それぞれの量は、典型的には、水性コーティング組成物の総重量の約0.01重量%~10重量%の範囲で変動し得る。アクリルアミドポリマーおよびセルロースエーテルの流動化ポリマー懸濁液は、水性コーティング組成物中に個々に添加される場合、その相乗的ブレンドとして存在する。この場合でさえ、それらの総重量割合は、水性コーティング組成物の総重量の0.01重量%~10重量%、または約0.05重量%~約5重量%の範囲で変動する。
【0048】
本開示の水性コーティング組成物は、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含む水性ポリマー分散液である。本開示の水性コーティング組成物に使用されるフィルム形成ポリマーは、関連技術分野で公知の多種多様なポリマーから選択することができる。例えば、これらのフィルム形成ポリマーは、エチレンモノマー、ビニルモノマー、およびアクリルモノマーなどの様々なエチレン性不飽和モノマーから誘導することができる。そのようなモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、α-メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ウレイドメタクリレート、酢酸ビニル、分岐第三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。1,3-ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンなどのC4-C8共役ジエンを含むこともできる。フィルム形成ポリマーはまた、いくつかの所望の特性を達成するために、特に揮発性有機化合物(VOC)がほとんどまたは全くないラテックス塗料における用途のために、2種以上のモノマーの共重合生成物であってもよい。好適なフィルム形成ポリマーの例としては、酢酸ビニル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、スチレン、エチレン、塩化ビニル、バーサチック酸のビニルエステル(VeoVa)、プロピオン酸ビニル、ブタジエン、アクリロニトリル、マレイン酸、およびフマル酸のホモポリマーまたはコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の非限定的な一実施形態では、フィルム形成ポリマーは、アクリル、ビニルアクリルおよびスチレンアクリル、スチレンブタジエンコポリマー、酢酸ビニルエチレン、ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、エポキシド、ウレタン、ポリアミド、バーサチック酸のビニルエステル(VeoVa)、およびポリエステルからなる群から選択される。
【0049】
他の好適なフィルム形成ポリマーの例としては、アルキッド、セルロース系(硝酸セルロースおよびセルロースエステル)、クマロンインデン、エポキシ、エステル、炭化水素、メラミン、天然樹脂、オレオ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ロジン、シリコーン、テルペン、尿素、およびウレタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本開示の水性コーティング組成物中のフィルム形成ポリマーの量は、水性コーティング組成物の総重量に基づいて、約5.0重量%~約85.0重量%の範囲で変動する。1つの非限定的な実施形態では、フィルム形成ポリマーの量は、水性組成物の総重量に基づいて、約40.0重量%~約70.0重量%、または約50.0重量%~約70.0重量%で変動し得る。
【0051】
本開示の水性コーティング組成物は、少なくとも1つの顔料をさらに含むことができる。顔料は、フタロシアニン、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、藍、水和酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、クレー、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。多くの場合、水性コーティング組成物に使用される二酸化チタンのグレードは、ケイ酸塩、アルミン酸塩およびジルコン酸塩などの各種無機酸化物で表面改質される。ケイ酸アルミニウム、ネペリンシェナイト、マイカ、炭酸カルシウム、および/または珪藻土も使用することができる。
【0052】
本開示の水性コーティング組成物中に存在する顔料の種類および量は、乾燥フィルムの光沢、透過性、耐スクラブ性、引張強度などの性能特性を決定する。したがって、コーティングは、その顔料体積濃度(pigment volume concentration;PVC)によって特徴付けられる。PVCは百分率であり、乾燥フィルム中に存在する全固形分に対する顔料の体積比を表す。PVCは以下のように定義される:
【0053】
PVC%=顔料体積/(顔料体積+ラテックス体積)×100
【0054】
顔料粒子間の全ての空隙が膜形成ポリマーで充填される点は、臨界顔料体積濃度(critical pigment-volume concentration;CPVC)と呼ばれる。
【0055】
本開示の水性コーティング組成物は、約85重量%のPVC上限を有する。本開示の1つの非限定的な実施形態では、水性コーティング組成物は約75重量%のPVC上限を有する。本開示の別の非限定的な実施形態では、水性保護コーティングは約65重量%のPVC上限を有する。同様に、本開示の水性コーティング組成物は、約10重量%のPVC下限を有する。本開示の別の非限定的な実施形態では、水性コーティング組成物は約20重量%のPVC下限を有する。より具体的には、ラテックス塗料が高光沢塗料である場合、PVCは約15重量%~約30重量%であり、塗料が半光沢塗料である場合、PVCは約20重量%~約35重量%であり、フラット塗料である場合、PVCは約40重量%~約85重量%である。顔料は、乾燥粉末形態またはスラリー形態で水性コーティング組成物に添加することができる。
【0056】
水性コーティング組成物の残部は水である。水はフィルム形成ポリマー分散液中に、および水性コーティング組成物の他の成分中に存在することができる。あるいは、水を別々に水性コーティング組成物に添加することもできる。
【0057】
本開示の水性コーティング組成物は、少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤の例としては、界面活性剤;分散剤、例えばポリリン酸塩、アミノアルコール、およびアクリルコポリマー;増粘剤;固化防止剤;消泡剤(anti-foaming agent)、例えば非シリコーンおよびシリコーン型;可塑剤;増量剤;防腐剤;ワックス、シリコーン、および炭化水素を含む、疎水性の剤;相溶化剤;接着促進剤;架橋剤;殺菌剤;殺カビ剤;消泡剤(defoamer)、例えば非シリコーンおよびシリコーン型;共溶媒;合体剤(coalescent)、例えばグリコールエーテル/エステル;ならびにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加剤は、従来の水性コーティング組成物の技術分野で公知の方法および量で使用することができる。
【0058】
本明細書に記載の水性コーティング組成物は、様々な用途に使用することができる。特に、本開示のレオロジー調整剤組成物は、建築表面、例えば、壁、天井、ドア、トリムなどのための装飾および保護コーティング;紙コーティング;乾式壁、石造、木材、金属、プラスチック、および下塗り表面などのためのコーティングなどの、あらゆる種類のコーティングに有用である。本開示の1つの非限定的な実施形態では、コーティング組成物は建築内装および/または建築外装のための建築用コーティング組成物である。
【0059】
本開示の別の態様は、本開示の水性コーティング組成物を調製する方法を提供し、該方法は、少なくとも1つのフィルム形成ポリマー、本開示のレオロジー調整剤組成物、および水を撹拌下で混合またはブレンドすることを含む。顔料は、水性建築コーティングを提供するために有利に添加することができる。上述の添加剤は、フィルム形成ポリマー、本開示のレオロジー調整剤組成物、顔料、またはそれらの組み合わせに対して、任意の適切な順序で添加することもできる。
【0060】
水性コーティング組成物は、保護コーティングとして多種多様な表面材料に適用することができる安定な流体である。このような材料の例としては、紙、木、コンクリート、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、プラスター、および屋根基材、例えばアスファルトコーティング、屋根フェルト、発泡ポリウレタン絶縁;または予め塗装、下塗り、下塗り、摩耗、または風化された基材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本開示のさらに別の態様は、本開示の水性コーティング組成物を様々な表面に塗布する方法を提供する。水性コーティング組成物は、当業者に公知の様々な従来の方法によって1つ以上の表面に適用することができる。上記適用法の例としては、エアロゾルスプレー、刷毛、ローラー、エアレススプレー、エアアシストスプレー、静電スプレー、高容量低圧(HVLP)スプレーなどによる適用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本開示のレオロジー調整剤組成物は、増粘効率、たるみ抵抗などの塗料配合物の特定のレオロジー特性に有益に影響を及ぼす。本発明者らは、驚くべきことに、アクリルアミドポリマーとセルロースエーテルとのブレンドを含むこれらの流動化懸濁ポリマーベースの組成物が、純粋なアクリルアミドポリマーまたはセルロース系のような従来の非会合性増粘剤と比較して、より良好な希釈耐性および改善された隠蔽性などの類似または改善された適用性能を有しつつ、改善された効率(使用時のコスト)および増粘効率などのいくつかのユニークな予期しない属性を示すことを見出した。これらのレオロジー調整剤組成物は、塗料配合物の全体的な増粘効率(ストーマー粘度、ブルックフィールド粘度およびICI)を向上または改善し、また、酢酸ビニルエチレン(VAE)ラテックス塗料などの難増粘化塗料配合物に特に適している。加えて、本開示のレオロジー調整剤組成物は、建築用塗料において、耐たわみ性の改善などの多くの構造を提供する。
【0063】
以下の実施例は、特に明記しない限り、本明細書に開示および/または特許請求の範囲に記載の発明概念、重量による部およびパーセンテージを例示する。各実施例は、現在開示されているおよび/またはクレームされている発明の概念の限定ではなく、現在開示されているおよび/またはクレームされている発明の概念の説明として提供される。実際、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、本開示および/または特許請求の範囲に記載された発明概念に種々の変形および変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、別の実施形態で使用されて、さらに別の実施形態をもたらすことができる。したがって、本開示および/または特許請求される発明概念は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるような修正および変形を包含することが意図される。
【実施例
【0064】
試験方法
特に明記しない限り、以下の試験方法を以下の実施例において利用した。
・増粘効率測定
【0065】
増粘効率は、実施例から得られたポリマー試料を0.15重量%(活性物基準)で表2に列挙される建築用コーティング配合物に添加することによって測定された。増粘効率は、増粘した建築用コーティング組成物のブルックフィールド粘度、ストーマー粘度(KU)およびICI粘度によって測定した。
【0066】
ブルックフィールド粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて、スピンドル#5を用いて、30 RPMおよび25oCで測定した。ブルックフィールド粘度はmPa.s.で表される。
【0067】
ICI粘度は、ICIコーンおよび板粘度計を用いて、標準試験方法ASTM D4287に従って測定した。ICI粘度はmPa.s.で表される。
【0068】
ストーマー粘度は、標準試験方法ASTM D562に従ってストーマー粘度計を用いて測定した。ストーマー粘度はクレブ単位(Kreb Units;KU)で表される。
【0069】
表1に示されるように多種多様なアクリルアミドポリマー(PAM)およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)ポリマーの流動化ポリマー懸濁液(FPS)をブレンドすることによって、本開示の流動化ポリマー懸濁液ベースのレオロジー調整剤組成物の様々なサンプルを調製した。
【表1】
【0070】
実施例1
この実施例では、非イオン性アクリルアミドポリマー粉末(FLOPAM FA920VHM)を、ヒドロキシエチルセルロース流動化ポリマー懸濁液(FPS H4BR)と、表3に示される重量比でブレンドして、様々なレオロジー調整剤組成物を製造した。重量割合は、アクリルアミドポリマーおよびHECポリマーの活性ポリマー固形分に基づく。典型的な実験において、ヒドロキシエチルセルロースの流動化ポリマー懸濁液(FPS H4BR)を、8オンスのガラスジャー中でアクリルアミドポリマーと混合し、それらの均質な混合物が得られるまで、Harbil混合機を用いてブレンドした。これらの組成物を0.15重量%で塗料配合物に添加した(表2Aおよび表2Bに示す)。これらの組成物を用いた塗料のストーマー粘度およびブルックフィールド粘度のデータを表3に示す。
【表2】
【表3】
【0071】
実施例2
この実施例では、非イオン性アクリルアミドポリマー粉末(FLOPAM FA 920SH)を、ヒドロキシエチルセルロース流動化ポリマー懸濁液(FPS H4BR)と、表4に示される重量比でブレンドして、様々なレオロジー調整剤組成物を製造した。ブレンドは、実施例1に記載したのと同じ方法で行った。これらの組成物を0.15重量%で塗料配合物(表2Aおよび表2Bに示す)に添加した。これらの組成物を使用した塗料のストーマー粘度、ブルックフィールド粘度、およびICI粘度のデータを表4に示す。
【表4】
【0072】
実施例3
この実施例では、非イオン性アクリルアミドポリマー粉末(FLOPAM FA 920VHM)を、ヒドロキシエチルセルロース流動化ポリマー懸濁液(FPS HBR)と、表5に示される重量比でブレンドして、様々なレオロジー調整剤組成物を製造した。ブレンドは、実施例1に記載したのと同じ方法で行った。これらのレオロジー調整剤組成物を、塗料配合物(表2Aおよび表2Bに示す)に0.15重量%で添加した。これらの組成物を用いた塗料のストーマー粘度(KU)およびブルックフィールド粘度のデータを表5に示す。
【表5】
【0073】
実施例4
この実施例では、アクリルアミドポリマー粉末(FLOPAM FA920 SH)を、ヒドロキシエチルセルロース流動化ポリマー懸濁液(FPS HBR)と、表6に示される重量比でブレンドして、様々なレオロジー調整剤組成物を製造した。ブレンドは、実施例1に記載したのと同じ方法で行った。これらのレオロジー調整剤組成物を、塗料配合物(表2Aおよび表2Bに示す)に0.15重量%で添加した。これらの組成物を用いた塗料のストーマー粘度(KU)、ブルックフィールド粘度、およびICI粘度のデータを表6に示す。
【表6】
【0074】
実施例5
この実施例では、アクリルアミドポリマー粉末(FLOPAM AN 923VLM)を、ヒドロキシエチルセルロース流動化ポリマー懸濁液(FPS H4BR)と、表7に示される重量比でブレンドして、様々なレオロジー調整剤組成物を製造した。ブレンドは、実施例1に記載したのと同じ方法で行った。これらのレオロジー調整剤組成物を、塗料配合物(表2Aおよび表2Bに示す)に0.15重量%で添加した。これらの組成物を使用した塗料のストーマー粘度(KU)、ブルックフィールド粘度、およびICI粘度のデータを表7に示す。
【表7】
【0075】
実施例6
この実施例では、アクリルアミドポリマー粉末(FLOPAM AN 923VLM)を、ヒドロキシエチルセルロース流動化ポリマー懸濁液(FPS HBR)と、表8に示される重量比でブレンドして、異なるレオロジー調整剤組成物を形成した。ブレンドは、実施例1に記載したのと同じ方法で行った。これらのレオロジー調整剤組成物を、0.15重量%で塗料配合物(表2Aおよび表2Bに示す)に添加した。これらの組成物を使用した塗料のストーマー粘度(KU)、ブルックフィールド粘度およびICI粘度データを表8に示す。
【表8】
【0076】
実施例7
この実施例では、流動化ポリマー懸濁液(FPS)形態のセルロースエーテルを調製しながら、レオロジー調整剤組成物をその場(in situ)で調製した。FPS形態ベースのレオロジー調整剤組成物を調製するために使用される様々な成分およびそれらの量を表9に示す。典型的な実験では、鉱油を200mlのプラスチックビーカーに入れ、オーバーヘッド撹拌機(IKA RW20)を用いて700rpmで撹拌した。次いで、Claytoneを連続撹拌下で添加し、撹拌をさらに1分間継続して、確実にClaytoneを均一に分散させた。その後、レシチンを添加し、撹拌を5分間続けて、その均質なブレンドを得た。続いて、非グリオキサール処理ヒドロキシエチルセルロース粉末(グリオキサールフリーHEC)を連続撹拌下で添加し、次いで撹拌速度を1000rpmに上げた。次の工程において、カルボキシメチルセルロース粉末、続いてカチオン性アクリルアミドポリマー粉末(PRAESTOL 644 BC)を添加した。次いで、撹拌速度をさらに1500rpmに増加させた。最後に、モノPEG分散剤を添加し、撹拌をさらに30分間続けて、FPS配合を得た。次いで、得られたFPS配合物を室温に冷却した。
【表9】
【0077】
次いで、実施例7のFPSベースのレオロジー調整剤組成物を、75PVC塗料配合物(表10に示す)中に0.43重量%および0.5重量%で添加した。次いで、塗料配合物のストーマー粘度(KU)、ブルックフィールド粘度、およびICIのデータを記録し、表11に示した。
【表10】
【表11】


【国際調査報告】