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特表2024-509397ポリペプチドの処理および解析のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ポリペプチドの処理および解析のための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240222BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/543 575
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551125
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022017642
(87)【国際公開番号】W WO2022182832
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,285
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】マーコット エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アンスリン エリック
(72)【発明者】
【氏名】スワミナサン ジャガンナート
(72)【発明者】
【氏名】バルド アンジェラ エム.
(57)【要約】
ポリペプチドおよびポリペプチド複合体を解析するための方法が、本明細書において提供される。本開示の方法は、ポリペプチド、ポリペプチド複合体、または凝集体中に存在するタンパク質サブユニットを同定するために使用され得る。これらの方法はまた、ポリペプチド、ポリペプチド複合体、または凝集体中のサブユニット(例えば、繰り返し単位の数、タンパク質モノマーの数、繰り返しドメインの数)を定量するためにも使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、対象に由来するポリペプチド複合体を解析するための方法:
(A)支持体に固定化された捕捉ユニットに結合されたポリペプチド複合体を提供する段階であって、該ポリペプチド複合体が、複数のポリペプチド分子を含む、段階;
(B)1つまたは複数のレポーター部分を該ポリペプチド複合体に結合させる段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が、複数の検出可能標識を含む、段階;
(C)該複数の検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階;および
(D)1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に、該複数の検出可能標識を供する段階。
【請求項2】
(E)前記(C)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリペプチド複合体からシグナルが検出されなくなるまで、前記(C)および(D)を少なくとも1回繰り返す段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットが、定量される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子に結合される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子が、1つまたは複数の結合ユニットを含み、該1つまたは複数の結合ユニットのうちの少なくとも1つの結合ユニットが、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分に結合される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットに結合される1つまたは複数の認識ユニットを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
レポーター部分が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識に結合されたスペーサーを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数のシグナルが、複数の検出可能標識に対応する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
スペーサーが、検出可能標識と認識ユニットとを接続する、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記(D)が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を光退色させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記(D)が、ポリペプチド複合体から、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を除去することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ポリペプチド複合体が、少なくとも2個のポリペプチド分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ポリペプチド複合体が、少なくとも5個のポリペプチド分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ポリペプチド複合体が、少なくとも10個のポリペプチド分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ポリペプチド複合体が、少なくとも20個のポリペプチド分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
捕捉ユニットが、1つ以下の抗体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ポリペプチド複合体がバイオマーカーである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
バイオマーカーの発現レベルが、疾患または障害を示す、請求項18記載の方法。
【請求項20】
疾患または障害が、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
バイオマーカーが、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンである、請求項18記載の方法。
【請求項22】
バイオマーカーが、神経変性疾患または神経変性障害に対応する、請求項18記載の方法。
【請求項23】
バイオマーカーの発現レベルが、定量され、かつ健康評価と相互に関係付けられる、請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記(A)が、対象に由来する試料に由来するポリペプチド複合体を提供することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
試料が、脳脊髄液、脳ホモジネート、組織ホモジネート、組織抽出物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、細胞溶解物、全血、血漿、血清、体の老廃物もしくは排泄物、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
対象の健康が、前記(C)で検出された1つまたは複数のシグナルの検出に基づいて評価される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
支持体が、ビーズ、ポリマーマトリックス、またはアレイである、請求項1記載の方法。
【請求項28】
アレイが顕微鏡用スライドである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
捕捉ユニットが、支持体に直接的に固定化されている、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記(C)または(D)が、エネルギー源を提供することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記(C)が、1つまたは複数の検出可能標識を光学的に検出可能にするのに十分な第1のエネルギー源を提供することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
1つまたは複数の検出可能標識が、光学的シグナルを放出する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
光学的シグナルが蛍光シグナルである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
第1のエネルギー源が、光またはレーザーである、請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記(D)が、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な第2のエネルギー源を提供することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項36】
第2のエネルギー源が、光またはレーザーである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
第1のエネルギー源および第2のエネルギー源が、同じエネルギー源である、請求項31~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
複数のポリペプチド分子が同種である、請求項1記載の方法。
【請求項39】
複数のポリペプチド分子が異種である、請求項1記載の方法。
【請求項40】
捕捉ユニットが、ポリペプチド複合体または該ポリペプチド複合体の個々のポリペプチド分子のいずれかに結合されている、請求項1記載の方法。
【請求項41】
ポリペプチド複合体が、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合されている、請求項1記載の方法。
【請求項42】
クロスリンカーがアミン特異的クロスリンカーである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
クロスリンカーがPEGリンカーである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
PEGリンカーが、1~10kDaのPEGリンカーである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
PEGリンカーが、二官能性のビオチンPEGリンカーである、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記(C)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、ポリペプチド分子カウントの頻度を決定する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項47】
ポリペプチド分子カウントの頻度分布の変化に少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、色素クエンチングを含む、請求項1記載の方法。
【請求項49】
1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、該1つまたは複数の検出可能標識の酵素的切断を含む、請求項1記載の方法。
【請求項50】
以下の段階を含む、対象に由来するポリペプチド複合体を解析するための方法:
(A)ポリペプチド複合体およびそれに結合された1つまたは複数のレポーター部分を提供する段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が複数の検出可能標識を含み、該ポリペプチド複合体が複数のポリペプチド分子を含む、段階;
(B)該複数の検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階;ならびに
(C)1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に、該1つまたは複数の検出可能標識を供する段階。
【請求項51】
(D)ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子の量を定量するために、少なくとも1つまたは複数のシグナルを使用する段階
をさらに含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
ポリペプチド複合体からシグナルが検出されなくなるまで、前記(B)および(C)を少なくとも1回繰り返す段階
をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットが、定量される、請求項52記載の方法。
【請求項54】
1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子に結合されている、請求項0記載の方法。
【請求項55】
複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子が、1つまたは複数の結合ユニットを含み、該1つまたは複数の結合ユニットのうちの少なくとも1つの結合ユニットが、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分に結合されている、請求項0記載の方法。
【請求項56】
1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットに結合された1つまたは複数の認識ユニットを含む、請求項0記載の方法。
【請求項57】
レポーター部分が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識に結合されたスペーサーを含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
1つまたは複数のシグナルが、複数の検出可能標識に対応する、請求項50記載の方法。
【請求項59】
スペーサーが、検出可能標識と認識ユニットとを接続する、請求項57記載の方法。
【請求項60】
前記(C)が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を光退色させることを含む、請求項0記載の方法。
【請求項61】
前記(C)が、ポリペプチド複合体から、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を除去することを含む、請求項0記載の方法。
【請求項62】
ポリペプチド複合体が、少なくとも2個のポリペプチド分子を含む、請求項0記載の方法。
【請求項63】
ポリペプチド複合体が、少なくとも5個のポリペプチド分子を含む、請求項0記載の方法。
【請求項64】
ポリペプチド複合体が、少なくとも10個のポリペプチド分子を含む、請求項0記載の方法。
【請求項65】
ポリペプチド複合体が、少なくとも20個のポリペプチド分子を含む、請求項0記載の方法。
【請求項66】
捕捉ユニットが、1つ以下の抗体を含む、請求項0記載の方法。
【請求項67】
(E)前記(C)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項68】
ポリペプチド複合体がバイオマーカーである、請求項0記載の方法。
【請求項69】
バイオマーカーの発現レベルが、疾患または障害を示す、請求項68記載の方法。
【請求項70】
疾患または障害が、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
バイオマーカーが、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンである、請求項68記載の方法。
【請求項72】
バイオマーカーが、神経変性疾患または神経変性障害に対応する、請求項68記載の方法。
【請求項73】
バイオマーカーの発現レベルが、定量され、かつ健康評価と相互に関係付けられる、請求項68記載の方法。
【請求項74】
前記(A)が、対象に由来する試料に由来するポリペプチド複合体を提供することを含む、請求項50記載の方法。
【請求項75】
試料が、脳脊髄液、脳ホモジネート、組織ホモジネート、組織抽出物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、細胞溶解物、全血、血漿、血清、体の老廃物もしくは排泄物、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項74記載の方法。
【請求項76】
対象の健康が、前記(B)で検出された1つまたは複数のシグナルの検出に基づいて評価される、請求項74記載の方法。
【請求項77】
ポリペプチド複合体が、支持体に固定化された捕捉ユニットに結合される、請求項50記載の方法。
【請求項78】
支持体が、ビーズ、ポリマーマトリックス、またはアレイである、請求項50記載の方法。
【請求項79】
アレイが顕微鏡用スライドである、請求項78記載の方法。
【請求項80】
捕捉ユニットが、支持体に直接的に固定化される、請求項77記載の方法。
【請求項81】
前記(B)および(C)が、エネルギー源を提供することをさらに含む、請求項50記載の方法。
【請求項82】
前記(B)が、1つまたは複数の検出可能標識を光学的に検出可能にするのに十分な第1のエネルギー源を提供することを含む、請求項81記載の方法。
【請求項83】
1つまたは複数の検出可能標識が、光学的シグナルを放出する、請求項82記載の方法。
【請求項84】
光学的シグナルが蛍光シグナルである、請求項83記載の方法。
【請求項85】
第1のエネルギー源が、光またはレーザーである、請求項82記載の方法。
【請求項86】
前記(C)が、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な第2のエネルギー源を提供することを含む、請求項81記載の方法。
【請求項87】
第2のエネルギー源が、光またはレーザーである、請求項86記載の方法。
【請求項88】
第1のエネルギー源および第2のエネルギー源が、同じエネルギー源である、請求項82~87のいずれか一項記載の方法。
【請求項89】
複数のポリペプチド分子が同種である、請求項50記載の方法。
【請求項90】
複数のポリペプチド分子が異種である、請求項50記載の方法。
【請求項91】
捕捉ユニットが、ポリペプチド複合体または該ポリペプチド複合体の個々のポリペプチド分子のいずれかに結合される、請求項50記載の方法。
【請求項92】
ポリペプチド複合体が、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合される、請求項50記載の方法。
【請求項93】
クロスリンカーがアミン特異的クロスリンカーである、請求項92記載の方法。
【請求項94】
クロスリンカーがPEGリンカーである、請求項92記載の方法。
【請求項95】
PEGリンカーが、1~10kDaのPEGリンカーである、請求項94記載の方法。
【請求項96】
PEGリンカーが、二官能性のビオチンPEGリンカーである、請求項94記載の方法。
【請求項97】
前記(B)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、ポリペプチド分子カウントの頻度を決定する段階
をさらに含む、請求項50記載の方法。
【請求項98】
ポリペプチド分子カウントの頻度分布の変化に少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、請求項50記載の方法。
【請求項99】
1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、色素クエンチングを含む、請求項50記載の方法。
【請求項100】
1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、該1つまたは複数の検出可能標識の酵素的切断を含む、請求項50記載の方法。
【請求項101】
対象の複数のポリペプチドを含むポリペプチド複合体を単一分子レベルで解析するための方法であって、
該複数のポリペプチドの個々のポリペプチドを少なくとも60%の感度で検出する段階
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2021年2月24日に出願された米国特許仮出願第63/153,285号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
タンパク質凝集は、多くの疾患(例えば神経変性疾患)でしばしば認められる特徴である。豊富な誤って折り畳まれたタンパク質は凝集体および/またはオリゴマーを生じ、これらは細胞に対して毒性であると思われ、細胞損傷、および最終的に細胞死を招く。タンパク質凝集によって引き起こされる疾患において、疾患の重症度は、しばしば、凝集体の発現レベルと相関関係がある。
【0003】
例えば、アミロイド形成タンパク質の蓄積は、アミロイドーシスとして公知である様々な疾患をもたらし得る。同様に、アルツハイマー病(AD)の神経病態は、中枢神経系におけるアミロイドβタンパク質の蓄積および/またはタウを含む神経原線維変化、シナプス喪失、ならびに神経細胞死を特徴とする。具体的には、アミロイドβタンパク質斑または可溶性アミロイドβオリゴマーとしてのアミロイドβの蓄積が、AD進行に関係付けられている。
【発明の概要】
【0004】
概要
ある局面において、本開示は、対象に由来するポリペプチド複合体を解析するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供する:(a)支持体に固定化された捕捉ユニットに結合されたポリペプチド複合体を提供する段階であって、該ポリペプチド複合体が、複数のポリペプチド分子を含む、段階;(b)1つまたは複数のレポーター部分を該ポリペプチド複合体に結合させる段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が、複数の検出可能標識を含む、段階;(c)該複数の検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階;および(d)1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に、該複数の検出可能標識を供する段階。
【0005】
いくつかの態様において、この方法は、(e)(c)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階をさらに含む。いくつかの態様において、この方法は、ポリペプチド複合体からシグナルが検出されなくなるまで、(c)および(d)を少なくとも1回繰り返す段階をさらに含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットが、定量される。
【0006】
いくつかの態様において、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分は、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子に結合される。いくつかの態様において、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子は、1つまたは複数の結合ユニットを含み、該1つまたは複数の結合ユニットのうちの少なくとも1つの結合ユニットは、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分に結合される。いくつかの態様において、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分は、複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットに結合される1つまたは複数の認識ユニットを含む。いくつかの態様において、レポーター部分は、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識に結合されたスペーサーを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のシグナルは、複数の検出可能標識に対応する。いくつかの態様において、スペーサーは、検出可能標識と認識ユニットとを接続する。いくつかの態様において、(d)は、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を光退色させることを含む。いくつかの態様において、(d)は、ポリペプチド複合体から、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を除去することを含む。
【0007】
いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも2個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも5個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも10個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも20個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、捕捉ユニットは、1つ以下の抗体を含む。
【0008】
いくつかの態様において、ポリペプチド複合体はバイオマーカーである。いくつかの態様において、バイオマーカーの発現レベルは、疾患または障害を示す。いくつかの態様において、疾患または障害は、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンである。いくつかの態様において、バイオマーカーは、神経変性疾患または神経変性障害に対応する。いくつかの態様において、バイオマーカーの発現レベルは、定量され、かつ健康評価と相互に関係付けられる。
【0009】
いくつかの態様において、(a)は、対象に由来する試料に由来するポリペプチド複合体を提供することを含む。いくつかの態様において、試料は、脳脊髄液、脳ホモジネート、組織ホモジネート、組織抽出物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、細胞溶解物、全血、血漿、血清、体の老廃物もしくは排泄物、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、対象の健康は、(c)で検出された1つまたは複数のシグナルの検出に基づいて評価される。
【0010】
いくつかの態様において、支持体は、ビーズ、ポリマーマトリックス、またはアレイである。いくつかの態様において、アレイは顕微鏡用スライドである。いくつかの態様において、捕捉ユニットは、支持体に直接的に固定化される。
【0011】
いくつかの態様において、(c)または(d)は、エネルギー源を提供することをさらに含む。いくつかの態様において、(c)は、1つまたは複数の検出可能標識を光学的に検出可能にするのに十分な第1のエネルギー源を提供することを含む。いくつかの態様において、該1つまたは複数の検出可能標識は、光学的シグナルを放出する。いくつかの態様において、光学的シグナルは蛍光シグナルである。いくつかの態様において、第1のエネルギー源は、光またはレーザーである。いくつかの態様において、(d)は、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な第2のエネルギー源を提供することを含む。いくつかの態様において、第2のエネルギー源は、光またはレーザーである。いくつかの態様において、第1のエネルギー源および第2のエネルギー源は、同じエネルギー源である。
【0012】
いくつかの態様において、複数のポリペプチド分子は、同種である。いくつかの態様において、複数のポリペプチド分子は、異種である。いくつかの態様において、捕捉ユニットは、ポリペプチド複合体またはポリペプチド複合体の個々のポリペプチド分子のいずれかに結合される。
【0013】
いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合される。いくつかの態様において、クロスリンカーは、アミン特異的クロスリンカーである。いくつかの態様において、クロスリンカーはPEGリンカーである。いくつかの態様において、PEGリンカーは、1~10kDaのPEGリンカーである。いくつかの態様において、PEGリンカーは、二官能性のビオチンPEGリンカーである。
【0014】
いくつかの態様において、方法は、(c)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、ポリペプチド分子カウントの頻度を決定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、ポリペプチド分子カウントの頻度分布の変化に少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階をさらに含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、色素クエンチングを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、該1つまたは複数の検出可能標識の酵素的切断を含む。
【0015】
別の局面において、本開示は、対象に由来するポリペプチド複合体を解析するための方法であって、以下の段階を含む方法を提供する:(a)ポリペプチド複合体およびそれに結合された1つまたは複数のレポーター部分を提供する段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が複数の検出可能標識を含み、該ポリペプチド複合体が複数のポリペプチド分子を含む、段階;(b)該複数の検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階;ならびに(c)1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に、該1つまたは複数の検出可能標識を供する段階。
【0016】
いくつかの態様において、方法は、(d)ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子の量を定量するために、少なくとも1つまたは複数のシグナルを使用する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、ポリペプチド複合体からシグナルが検出されなくなるまで、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す段階をさらに含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットが、定量される。
【0017】
いくつかの態様において、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分は、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子に結合される。いくつかの態様において、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子は、1つまたは複数の結合ユニットを含み、該1つまたは複数の結合ユニットのうちの少なくとも1つの結合ユニットは、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分に結合される。いくつかの態様において、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分は、複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットに結合される1つまたは複数の認識ユニットを含む。いくつかの態様において、レポーター部分は、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識に結合されたスペーサーを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のシグナルは、複数の検出可能標識に対応する。いくつかの態様において、スペーサーは、検出可能標識と認識ユニットとを接続する。
【0018】
いくつかの態様において、(c)は、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を光退色させることを含む。いくつかの態様において、(c)は、ポリペプチド複合体から、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を除去することを含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも2個のポリペプチド分子を含む。
【0019】
いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも5個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも10個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、少なくとも20個のポリペプチド分子を含む。いくつかの態様において、捕捉ユニットは、1つ以下の抗体を含む。
【0020】
いくつかの態様において、方法は、(e)(c)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階をさらに含む。いくつかの態様において、ポリペプチド複合体はバイオマーカーである。いくつかの態様において、バイオマーカーの発現レベルは、疾患または障害を示す。いくつかの態様において、疾患または障害は、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンである。いくつかの態様において、バイオマーカーは、神経変性疾患または神経変性障害に対応する。いくつかの態様において、バイオマーカーの発現レベルは、定量され、かつ健康評価と相互に関係付けられる。
【0021】
いくつかの態様において、(a)は、対象に由来する試料に由来するポリペプチド複合体を提供することを含む。いくつかの態様において、試料は、脳脊髄液、脳ホモジネート、組織ホモジネート、組織抽出物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、細胞溶解物、全血、血漿、血清、体の老廃物もしくは排泄物、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、対象の健康は、(b)で検出された1つまたは複数のシグナルの検出に基づいて評価される。
【0022】
いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、支持体に固定化された捕捉ユニットに結合される。いくつかの態様において、支持体は、ビーズ、ポリマーマトリックス、またはアレイである。いくつかの態様において、アレイは顕微鏡用スライドである。いくつかの態様において、捕捉ユニットは、支持体に直接的に固定化される。
【0023】
いくつかの態様において、(b)または(c)は、エネルギー源を提供することを含む。いくつかの態様において、(b)は、1つまたは複数の検出可能標識を光学的に検出可能にするのに十分な第1のエネルギー源を提供することを含む。いくつかの態様において、該1つまたは複数の検出可能標識は、光学的シグナルを放出する。いくつかの態様において、光学的シグナルは蛍光シグナルである。いくつかの態様において、第1のエネルギー源は、光またはレーザーである。いくつかの態様において、(c)は、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な第2のエネルギー源を提供することを含む。いくつかの態様において、第2のエネルギー源は、光またはレーザーである。いくつかの態様において、第1のエネルギー源および第2のエネルギー源は、同じエネルギー源である。
【0024】
いくつかの態様において、複数のポリペプチド分子は、同種である。いくつかの態様において、複数のポリペプチド分子は、異種である。いくつかの態様において、捕捉ユニットは、ポリペプチド複合体またはポリペプチド複合体の個々のポリペプチド分子のいずれかに結合される。
【0025】
いくつかの態様において、ポリペプチド複合体は、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合される。いくつかの態様において、クロスリンカーは、アミン特異的クロスリンカーである。いくつかの態様において、クロスリンカーはPEGリンカーである。いくつかの態様において、PEGリンカーは、1~10kDaのPEGリンカーである。いくつかの態様において、PEGリンカーは、二官能性のビオチンPEGリンカーである。
【0026】
いくつかの態様において、方法は、(b)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、ポリペプチド分子カウントの頻度を決定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、ポリペプチド分子カウントの頻度分布の変化に少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階をさらに含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、色素クエンチングを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、該1つまたは複数の検出可能標識の酵素的切断を含む。
【0027】
本開示の別の局面は、対象の複数のポリペプチドを含むポリペプチド複合体を単一分子レベルで解析するための方法であって、該複数のポリペプチドの個々のポリペプチドを少なくとも60%の感度で検出する段階を含む方法を提供する。
【0028】
本開示の別の局面は、1つまたは複数のコンピュータープロセッサーによって実行されると上記または本明細書の他の箇所の方法のいずれかを遂行する機械実行可能コードを含む、非一時的コンピューター可読媒体を提供する。
【0029】
本開示の別の局面は、1つまたは複数のコンピュータープロセッサーおよびそれに連結されたコンピューターメモリを含むシステムを提供する。コンピューターメモリは、1つまたは複数のコンピュータープロセッサーによって実行されると上記または本明細書の他の箇所の方法のいずれかを遂行する、機械実行可能コードを含む。
【0030】
本開示のさらなる局面および利点は、本開示の単に例示的な態様が示され説明される以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の態様および異なる態様を行うことが可能であり、そのいくつかの細部は、すべて本開示から逸脱することなく、種々の明白な点において修正することが可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的とみなされるべきであり、限定的とみなされるべきではない。
【0031】
参照による組入れ
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示される場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。参照により組み入れられる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する場合は、本明細書が、任意のそのような矛盾する事項に取って代わり、かつ/またはそれに優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において、詳細に説明される。本開示の特徴および/または利点についての、より深い理解は、本開示の原理が利用される例示的な態様を説明する下記の詳細な説明ならびに添付図面(本明細書において「図(Figure)」および「図(Fig.)」も同義)を参照することにより得られるであろう。
【0033】
図1A】ポリペプチド複合体を捕捉、標識、および/または検出するための方法を概略的に示す。
図1B】ポリペプチド分子を計数するための方法を概略的に示す。
図2】いくつかの態様による、ポリペプチド分子検出を捕捉および/または標識する例を示す。
図3】いくつかの態様による、ポリペプチド分子検出を捕捉および/または標識する別の例を示す。
図4】いくつかの態様による、ポリペプチド分子を捕捉および/または標識する別の例を示す。
図5A】いくつかの態様による、ポリペプチド複合体を捕捉および/または標識する例を示す。
図5B】いくつかの態様による、ポリペプチド複合体を捕捉および/または標識する例を示す。
図6】いくつかの態様による、ポリペプチド分子および/またはポリペプチド複合体を捕捉する例を示す。
図7A】いくつかの態様によるシグナル検出の例を示す。
図7B】いくつかの態様によるシグナル検出の例を示す。
図8A】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図8B】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図8C】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図9】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図10】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図11】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図12】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図13】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図14】いくつかの態様によるシグナル検出の別の例を示す。
図15】いくつかの態様によるシグナル検出の例を示す。
図16】いくつかの態様による抗体スクリーニングの例を概略的に示す。
図17】本明細書において提供される方法を遂行するようにプログラムされているかまたは別の様式で構成されている、コンピューターシステムを示す。
図18図18A~18Bは、多量体化されたストレプトアビジン/Atto647N-ビオチン複合体の低い非特異的レベルを示す、スライド不活性化の効果を示す。
図19図19A~19Cは、検出を伴う三量体化ストレプトアビジン/α-シヌクレインビオチンに対して実施された光退色および画像処理のアルゴリズムを示しており、これは3カウントデータを示した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
生物学的分子(例えば、タンパク質、生物学的凝集体、ポリペプチド、またはポリペプチド複合体)といった構成成分を定量するための方法が、本明細書において提供される。また、生物学的分子(例えば、タンパク質、生物学的凝集体、ポリペプチド、またはポリペプチド複合体)といった構成成分を定量することによって、疾患または障害を検出するための方法も、本明細書において提供される。
【0035】
診断技術、例えばタンパク質凝集体(オリゴマー)を検出するためのアッセイ法の改良により、疾患または障害を治療および/または管理するための方法は進歩し得る。本明細書において認識されるように、改良された検出方法は、細胞に対して毒性であり、かつ神経変性疾患などの疾患を引き起こし得るタンパク質凝集体を検出するために、有益であり得る。タンパク質凝集体を正確に検出および/または定量するための方法を使用して、これらの疾患について診断すること、病期を特定すること、および/または治療を見い出すこともしくは最適化することができる。
【0036】
例えば、タンパク質折り畳みの変化は、無定形、オリゴマー、アミロイド線維などの形態での、タンパク質蓄積または凝集体を招き得る。タンパク質凝集の程度(例えば、量、タイプ、および/または質)は、例えばプリオン病(例えば、タウオパチー、シヌクレイノパチーなど)における、タンパク質立体構造疾患またはタンパク質立体構造障害の進行または状態と相関関係があり得る。したがって、このようなタンパク質形成の存在もしくは非存在を特定し得、かつ/またはタンパク質の誤った折り畳みの程度(例えば、オリゴマー中のモノマー単位の数)を正確に測定し得る技術は、このような疾患を診断および/または治療する際に助けになり得る。これらの技術は、診断すること、疾患を診断すること、疾患の病期を特定すること、疾患の進行を追跡すること、様々な治療の有効性を測定すること、または治療レジメンを最適化することを助け得る。
【0037】
本発明の様々な態様を本明細書において示し説明してきたが、このような態様は単なる例として提供されるにすぎないことが、当業者には明らかであろう。多数の変形、変更、および/または代用が、本発明から逸脱することなく、当業者には思い浮かぶ可能性がある。本明細書において説明される本発明の態様に対する様々な代替案が使用され得ることが、理解されるべきである。
【0038】
「少なくとも」、「より多い」、または「以上」という用語が、ひと続きの2つまたはそれより多い数値における最初の数値の前にある時はいつでも、「少なくとも」、「より多い」、または「以上」という用語は、そのひと続きの数値における各数値に適用される。例えば、1、2、または3以上とは、1以上、2以上、または3以上と同義である。
【0039】
「多くとも」、「より少ない」、または「以下」という用語が、ひと続きの2つまたはそれより多い数値における最初の数値の前にある時はいつでも、「多くとも」、「より少ない」、または「以下」という用語は、そのひと続きの数値における各数値に適用される。例えば、3、2、または1以下とは、3以下、2以下、または1以下と同義である。
【0040】
本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明する目的のためにすぎず、いかなる態様も限定することは意図されない。本明細書において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および/または「その(the)」は、文脈において特に別段の指示がない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書において使用される場合、「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」という用語は、記載される特徴、整数、段階、操作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、段階、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在も追加も除外しないことが、さらに理解されるであろう。本明細書において使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意およびすべての組合せを含む。
【0041】
「個体」、「患者」、または「対象」という用語は、同義的に使用される。これらの用語のいずれも、医療従事者(例えば、医師、正看護師、ナースプラクティショナー、医師助手、病院用務員、またはホスピス従事者)の監督(例えば、常時または断続的)を特徴とする状況を必要ともせず、それに限定されもしない。さらに、これらの用語は、ヒト対象または動物対象を意味する。これらの用語は、疾患もしくは障害を有していると推測され得る個体、疾患もしくは障害を発症するリスク(例えば遺伝的素因)があり得る個体、障害もしくは疾患を発症するリスクが低い個体、または実質的に完全に個体を意味し得る。個体は、疾患または障害を有していてもよく、疾患または障害の治療下にあってもよく、疾患または障害から回復途中であってもよく、または疾患もしくは障害を発症するリスクがあってもよい。
【0042】
「複数」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、該複数が意味するもの(例えば、分子または構成成分)のうちの1つまたは複数を意味する。複数とは、少なくとも約2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、40個、50個、100個、1000個、10,000個、またはそれより多いものを意味し得る。例えば、複数の単量体とは、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれより多い単量体を意味し得る。
【0043】
「ポリペプチド」または「ポリペプチド分子」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、あるアミノ酸がペプチド結合によって別のアミノ酸に連結されていてよい、アミノ酸のポリマーを意味する。いくつかの例において、ポリペプチドはタンパク質である。アミノ酸は、天然アミノ酸または非天然アミノ酸(例えばアミノ酸類似体)であってよい。ポリマーは、直鎖状もしくは分枝状であってよく、かつ/または修飾アミノ酸を含んでよく、かつ/または非アミノ酸が割り込んでいてよい。ポリペプチドは、単一鎖または連結された鎖として存在し得る。ポリマーは、複数のアミノ酸を含んでよく、かつ/または二次構造および/もしくは三次構造(例えばタンパク質)を有してよい。いくつかの例において、ポリマーは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、100個、1000個、10,000個、またはそれより多いアミノ酸を含む。ポリペプチドは、より大きなポリペプチド(例えばポリペプチド複合体)の断片であってよい。
【0044】
特に記載もなく、文脈から明らかでもない限り、本明細書において使用される場合、数または数の範囲に関する「約」という用語は、記載された数および/もしくはその±10%の数、または範囲として列挙された値の場合は記載された下限値より10%少ない数および/もしくは記載された上限値より10%多い数、を意味すると理解される。あるいは、「約」という用語は、測定値につきものの誤差(例えば、秤または分光計など測定に使用される機器に関連する誤差)を意味する。
【0045】
「ポリペプチド複合体」、「タンパク質複合体」、または「オリゴマー」という用語は、本明細書において使用される場合、マルチサブユニット型複合体の形態で複数のポリペプチドが配列したもの(例えば、タンパク質、折り畳まれたポリペプチド鎖、または誤って折り畳まれたポリペプチド鎖)を意味する。ポリペプチド複合体は、タンパク質間の非共有結合性の相互作用によって連結されているタンパク質の四次集合体とみなされてよい。ポリペプチド複合体は、2つまたはそれより多いポリペプチド鎖(例えばタンパク質サブユニット)を含み得る。ポリペプチド複合体は、1つまたは複数のポリペプチド分子(例えば、単一タンパク質またはタンパク質ドメインの繰り返しサブユニット)を含み得る。ポリペプチド複合体は、同一のサブユニット、実質的に類似したサブユニット、類似したサブユニット、または異なるサブユニットをそれぞれ含む、ホモ多量体(例えばホモオリゴマー)またはヘテロ多量体(例えばヘテロオリゴマー)であってよい。ポリペプチド複合体は、無定形、オリゴマー、またはアミロイド線維の形態での、タンパク質蓄積または凝集体を意味し得る。ヘテロオリゴマーは、2つまたはそれより多いホモオリゴマー、ヘテロオリゴマー、またはそれらの組合せを含むコオリゴマーであってよい。
【0046】
「試料」、「生物試料」、「バイオ試料」、または「患者試料」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、ポリペプチド(例えば、凝集タンパク質、オリゴマーなど)を含むかまたは含むと推測される試料を意味する。例えば、試料は、1つまたは複数のポリペプチドを含む生物試料であってよい。生物試料は、血液(例えば全血)、脳脊髄液(CSF)、血漿、血清、尿、唾液、粘膜分泌物、痰、大便、もしくは涙から取得(例えば、抽出もしくは単離)されてよく、またはこれらを含んでよい。生物試料は、体液試料または組織試料(例えば脳脊髄液)であってよい。いくつかの例において、試料は、ホモジナイズされた組織試料(例えば、脳ホモジネート、肝臓ホモジネート、腎臓ホモジネート)に由来する。いくつかの態様において、試料は、特定のタイプの細胞(例えば、神経細胞、筋細胞、肝臓細胞、腎臓細胞)から採取される。いくつかの例において、試料は脳脊髄液に由来する。試料は、腰椎穿刺または「脊椎穿刺」によって脊椎から取得されてよい。試料は、罹患細胞または罹患組織(例えば、腫瘍細胞、壊死細胞)から取得されてよい。いくつかの例において、試料は、疾患に関連した含有物 (例えば、プラーク、バイオフィルム、腫瘍、非がん性腫瘍)に由来する。いくつかの例において、試料は、タンパク質立体構造障害(例えば、プリオン病、タウオパチー、シヌクレイノパチー)を有する患者から得られる。
【0047】
「標識」または「検出可能標識」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、測定可能なシグナルを生成する作用物質を意味する。このようなシグナルには、蛍光(例えば色素)、可視光、質量(例えば質量タグ)、放射線、または核酸配列(例えばバーコード)が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。「レポーター」は、「レポーター部分」を含み得る。いくつかの場合において、検出可能標識は、フルオロフォアである。検出可能なフルオロフォアは、例えば、Atto390、Atto425、Atto465、Atto488、Atto495、Atto520、Atto532、AttoRho6G、Atto550、Atto565、AttoRho3B、AttoRho11、AttoRho12、AttoThio12、AttoRho101、Atto590、Atto594、AttoRho13、Atto610、Atto611X、Atto620、AttoRho14、Atto633、Atto647、Atto647N、Atto655、AttoOxa12、Atto665、Atto680、Atto700、Atto725、またはAtto740であることができる。いくつかの態様において、検出可能なフルオロフォアは、Atto647Nである。いくつかの場合において、レポーター部分は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の検出可能標識を含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、1個の検出可能標識を含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、2個の検出可能標識を含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、2個の検出可能標識を含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、5個の検出可能標識を含み得る。
【0048】
「レポーター部分」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、別の分子に結合し得る分子構築物または高分子構築物を意味する。レポーター部分は、検出可能標識を有してよい。検出可能標識は、検出可能シグナルを提供し得る。シグナルは、蛍光、リン光、可視光、質量、放射線、または検出可能なアミノ酸配列の形態であってもよい。いくつかの場合において、レポーター部分は、タンパク質を含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、抗体を含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、アプタマーを含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、複数の認識ユニットおよび複数の検出可能標識を有する分子を含み得る。いくつかの態様において、レポーター部分は、α-シヌクレインに対する親和性を有する抗体、例えばMJFR1である。いくつかの態様において、レポーター部分はMJFRであり、その際、MFR1は、検出可能標識Atto647Nで標識されている。
【0049】
「捕捉ユニット」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、1つまたは複数のポリペプチド(例えば、モノマー、オリゴマー、または標的オリゴマー)に対して反応するか、結合する(bind)か、または結合する(couple)分子を意味する。捕捉ユニットは、1つまたは複数の捕捉部位を含み得る。ポリペプチド中の捕捉ドメインは、捕捉ユニット中の1つまたは複数の捕捉部位に結合し得る。捕捉ユニットは、抗体であってよい。
【0050】
「抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、免疫グロブリン分子および/または免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を意味する。例えば、免疫グロブリン分子は、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む。通常、この用語はまた、2つの免疫グロブリン重鎖および/または2つの免疫グロブリン軽鎖を含む抗体、ならびに完全長抗体および/またはその機能的断片を含む様々な形態も、意味し得る。
【0051】
「支持体」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、分子構築物が固定化され得る固体実体を意味する。非限定的な例として、支持体は、ビーズ、ポリマーマトリックス、アレイ、顕微鏡用スライド、ガラス表面、プラスチック表面、透明な表面、金属表面、磁石表面、マルチウェルプレート、ナノ粒子、微小粒子、機能化表面、またはそれらの組合せであってよい。ビーズは、例えば、大理石、ポリマービーズ(例えば、多糖ビーズ、セルロースビーズ、合成ポリマービーズ、天然ポリマービーズ)、シリカビーズ、機能化ビーズ、活性化ビーズ、バーコード化ビーズ、標識ビーズ、PCAビーズ、磁気ビーズ、またはそれらの組合せであってよい。ビーズは、機能的モチーフで機能化されていてよい。機能的モチーフのいくつかの非限定的な例には、捕捉試薬(例えば、ピリジンカルボキシアルデヒド(PCA))、ビオチン、ストレプトアビジン、strep-タグII、リンカー、または分子と反応し得る官能基(例えば、アルデヒド、ホスフェート、シリケート、エステル、酸、アミド、アルキン、アジド、アルデヒドジチオラン)が含まれる。
【0052】
「蛍光」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、異なる波長の吸収光を有する物質による、可視光の放出を意味する。蛍光は、特定の波長における蛍光発光に基づいて生物学的分子を追跡および/または解析する非破壊的方法を提供し得る。タンパク質、ポリペプチド分子、ポリペプチド複合体、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド(一本鎖および/もしくは二本鎖のプライマーを含む)、または抗体は、フルオロフォアと呼ばれる様々な外因性蛍光性分子で「標識」されてよい。
【0053】
「光退色」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、放射性の放射線を放出する分子のシグナル(例えば蛍光)をクエンチするプロセスを意味する。光退色のプロセスは、該分子によって放出されるシグナルを完全にクエンチし得る。光退色は、光子によって誘発される化学的損傷または共有結合の変化が原因で起こり得る。光退色は、エネルギー源(例えば、光、紫外光、レーザー)からのエネルギー移動がフルオロフォア分子を励起して励起一重項状態から励起三重項状態へ遷移させる場合に、起こることができる。フルオロフォアは、励起三重項状態にある他の分子と相互作用し得、かつ/または不可逆的な共有結合の変化をもたらし得る。
【0054】
「クエンチング」という用語は、本明細書において説明されるように、通常、所与の物質(例えばフルオロフォア)のシグナル強度を低下させるプロセスを意味する。クエンチングは、励起状態反応、エネルギー移動、複合体形成、または衝突クエンチングを含み得る。
【0055】
「切断可能なリンカー」という用語は、本明細書において使用される場合、通常、少なくとも2つの分子に分割され得る分子を意味する。切断可能なユニットを分割するための切断方法の非限定的な例は、以下を含み得る:酵素、求核試薬もしくは塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子試薬もしくは酸性試薬、有機金属試薬もしくは金属試薬、および/または酸化剤。
【0056】
「クロスリンカー」または「架橋試薬」という用語は、本明細書において説明される場合、通常、少なくとも2つの分子を連結する分子構築物を意味する。クロスリンカーは、少なくとも2つの分子に直接的にまたは間接的に結合する少なくとも2つの反応性末端を有する分子であってよい。架橋は、あるタンパク質を別の高分子(例えば別のタンパク質)または支持体に共有結合的に結合させることを含み得る。クロスリンカーは、1つまたは複数の反応性基を介して、タンパク質上の官能基、例えば、カルボキシル、アミン、および/またはスルフヒドリルに対して反応性であり得る。リンカーの反応性基は、イソチオシアナート、イソシアナート、アジド、NHSエステル(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、塩化スルホニル、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カルボナート、ハロゲン化アリール、イミドエステル、カルボジイミド、マレイミド、ハロアセチル、ピリジルジスルフィド、ジアジリン、または無水物を含み得る。
【0057】
「FRET」または「FET」という用語は、本明細書において説明される場合、フェルスター共鳴エネルギー移動を意味する。FRETは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、共鳴エネルギー移動(RET)、または電子エネルギー移動(EET)としても公知である。FRETプロセスは、2つまたはそれより多い分子、すなわちドナーとアクセプター(例えば、色素、発色団、蛍光性分子)との間のエネルギー移動を伴う。FRETにおいて、エネルギーは、励起状態のドナーからアクセプターへ非放射的に(光子の吸収も放出も伴わずに)移動される。FRETは、2つの分子が、互いから、ある特定の距離にあるかまたはそれより近い場合に、起こることができる。したがって、FRET効率を測定して、(例えば、タンパク質間相互作用における、タンパク質の立体構造変化における)分子の距離または局在化を調査することができる。FRETはまた、ドナーのエネルギーがアクセプター分子によってクエンチされる動的クエンチングメカニズムとみなすこともできる。
【0058】
タンパク質複合体の計数
タンパク質は、生物の分子機械である。タンパク質が正しい量で発現され、かつ/または適切に折り畳まれている場合、該タンパク質は、体内で、それらが有する機能を維持することができる。誤って折り畳まれたタンパク質および/または生物学的に不適切な量で発現されたタンパク質は、生物学的機能を有さない可能性があり、かつ/または疾患を招く可能性がある。タンパク質の誤った折り畳みと直接的に関係している疾患ファミリーは、タンパク質症、タンパク質立体構造障害、またはタンパク質折り畳み異常疾患としても公知のプロテオパチーである。プロテオパチーにおいて、しばしば、タンパク質は、正常な立体配置となるよう折り畳まれることに失敗し;この誤って折り畳まれた状態では、これらのタンパク質は、何らかの形で毒性になる可能性があり(毒性機能の獲得)、または正常な機能を失う可能性がある。
【0059】
タンパク質の誤った折り畳みは、他のタンパク質または類似の誤って折り畳まれたタンパク質と相互作用して凝集体および/またはタンパク質複合体を形成することができる、タンパク質の異常に粘着性の表面をもたらし得る。例えば、誤って折り畳まれたタンパク質は、露出した表面に疎水性表面を有し得るが、疎水性部分は、普通は、タンパク質の中心部に存在し得る。これらの異常なタンパク質複合体、相互作用、および/または凝集体が原因で、誤って折り畳まれたタンパク質は、細胞、組織、ならびに/または最終的には器官および/または全身に対して毒性になり得る。例えば、神経細胞においては、タンパク質クリアランスが、神経細胞の完全性を維持するために不可欠である;これらの細胞中の誤って折り畳まれたタンパク質(例えば、α-シヌクレインまたはアミロイドβ)の異常な凝集体は、(例えば、ユビキチン/プロテアソーム系またはオートファジー-リソソーム経路を介した)タンパク質分解および/または再利用に抵抗性であり得る。
【0060】
プロテオパチーにおいて、患者におけるタンパク質凝集体、異常なタンパク質相互作用、または複合体の早期検出は、疾患の早期発症を診断する助けとなり得る。さらに、様々な種類の異常な複合体および/または凝集体の数(例えばタンパク質サブユニットおよび/またはホモオリゴマーもしくはヘテロオリゴマー中のそれらの数)を定量することは、疾患の病期を予測する際に、および/または適切な治療(例えば、薬物の選択、治療の強度、または治療の頻度)を特定する際に、役立つことができる。
【0061】
本開示は、ポリペプチド、例えば、ポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)またはポリペプチド分子、例えばポリペプチド複合体中のサブユニット、を解析するための方法を提供する。本開示の方法は、タンパク質複合体または凝集体中に存在するポリペプチド複合体またはサブユニットを同定するために使用され得る。本発明の方法はまた、オリゴマー中のポリペプチド複合体またはサブユニットの量を定量する(例えば、繰り返し単位、タンパク質モノマー、繰り返しドメインの数を計数する)ためにも使用され得る。本明細書の別の箇所で説明されるように、オリゴマー中のサブユニットの存在もしくは非存在を検出することおよびオリゴマー中のサブユニットの数を定量することは、1種または複数種の疾患または障害(例えばプロテオパチー)を発見する際ならびにそれらの進行および/または治療をモニターする際に、役立ち得る。
【0062】
本明細書において説明される方法は、生物試料を解析する段階を含み得る。生物試料は、その存在または非存在が測定または特定され得る分子を含み得る。限定することを意図していないが、生物試料は、例えばポリペプチドまたはタンパク質などの高分子を含み得る。生物試料は、1種または複数種の構成成分(例えば、様々なポリペプチド、プロテオパチー患者のCSFに由来する異種試料)を含み得る。生物試料は、細胞もしくは組織の構成成分、細胞もしくは組織の抽出物、またはそれらの分画された溶解物を含み得る。生物試料は、単一実体の分子(例えば、ポリペプチド、オリゴマー、ポリペプチド分子の様々なオリゴマー)を含むように実質的に精製されてよい。
【0063】
本開示と一致する方法は、生物試料から生体分子、生体高分子構造(例えば、細胞小器官もしくはリボソーム)、細胞、または組織を単離、濃縮、または精製する段階を含み得る。方法は、関心対象の生物学的種の供給源として、生物試料を使用してよい。例えば、アッセイ法では、α-シヌクレインなどのタンパク質、血中循環腫瘍細胞(CTC)などの細胞、またはセルフリーDNAなどの核酸を、血液試料または血漿試料から得る場合がある。方法では、1つの生物試料から、複数の異なる生物学的種、例えば2種の異なるタイプの細胞を得る場合がある。このような場合、それらの異なる生物学的種は、解析のために分離されてもよく(例えば、大きさが異なる、α-シヌクレインの塊が、別々の解析のために分離されてよい)または共通の解析のためにまとめられてもよい。生物学的種は、解析する前に、ホモジナイズされるか、断片化されるか、または溶解されてよい。具体的な例では、ホモジネート、断片化産物、または溶解物の中から、1つの種または複数の種が、解析のために採取され得る。例えば、方法は、バフィコートから血中循環腫瘍細胞を採取する段階、任意で、個々の血中循環腫瘍細胞を単離する段階、該血中循環腫瘍細胞を溶解する段階、得られたホモジネートからα-シヌクレインの塊を単離する段階、および/またはα-シヌクレインの塊の大きさを決定する段階を含み得る。
【0064】
本開示と一致する方法は、シーケンシング、サザンブロット、またはエピジェネティック解析などの核酸解析を含み得る。核酸解析は、第2の解析方法、例えば、ペプチド複合体の免疫組織学的調査と並行して実施されてよい。第2の解析方法の核酸および/または対象は、同じ対象または同じ試料に由来してよい。例えば、方法は、血液試料(例えば、血漿試料もしくはバフィコート)からセルフリーDNAおよび/もしくはペプチド複合体を採取する段階、該セルフリーDNAを(例えば、がんマーカーを同定するために)核酸解析に供する段階、ならびに/または該ペプチド複合体を免疫組織学的アッセイ法に供する段階を含み得る。
【0065】
いくつかの場合において、試料中のポリペプチド複合体および/またはポリペプチド分子は、1つもしくは複数のポリペプチド複合体もしくはポリペプチド分子を捕捉する段階、該1つもしくは複数のポリペプチド複合体もしくはポリペプチド分子を標識する段階、および/または標識されたポリペプチドを検出する段階を含む方法を用いるシステムを使用して、視覚的に検出されてよい。例えば、図1Aに概略的に表されるように、タンパク質の混合物を含む生物試料(例えば、CSF、血液、唾液)は、支持体101上に固定化されてよい。支持体101は、例えば、スライドガラス、または表面が化学修飾されたスライドガラスであってよい。支持体は、例えば、ポリペプチド分子103またはポリペプチド複合体106などの1つまたは複数の関心対象の分子を捕捉するための捕捉分子102を支持体101の表面上に固定化することによって、修飾され得る。捕捉分子102は、1つもしくは複数のポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、またはそれらの組合せを含み得る。1つまたは複数の検出可能標識105(例えば、蛍光標識または放射性標識)を有する1つまたは複数のレポーター部分104は、1つまたは複数の関心対象の分子(例えば、ポリペプチド分子103またはポリペプチド複合体106)に特異的に結合するように構成され得る。いくつかの場合において、レポーター部分のうちの1つまたは複数は、ポリペプチド複合体106に結合され得る。
【0066】
1つまたは複数の関心対象の分子(例えば、単一のサブユニット103またはタンパク質複合体106)に結合されたレポーター部分104の1つまたは複数の検出可能標識105のシグナル(例えば蛍光)は、光学的装置を用いて検出され得る。いくつかの場合において、支持体101の全体に分布した関心対象の1つまたは複数の分子に結合されたレポーター部分のシグナルは、写真110に示されるように実質的に同時に記録することができる。薄い色の実線で囲まれた点は、支持体(101)の表面に固定化された捕捉分子(102)によって捕捉された、ポリペプチド分子(103)を示す。濃い色の破線で囲まれた点は、支持体(101)の表面に固定化された捕捉分子(102)によって捕捉された、ポリペプチド複合体(106)を示す。
【0067】
このように適用されることができる適切な光学的装置は、入手可能である。例えば、本明細書において開示される方法は、全反射照明蛍光法(TIRF)および増感型電荷結合素子(CCD)検出器が付属した顕微鏡を使用してよい(Braslavsky, et al., Proc. Nat'l Acad. Sci., 100: 3960-3964 (2003)を参照されたい;本明細書において開示される参照文献は、その全体が組み入れられる)。高感度CCDカメラによる画像化により、この機器が、表面の全体に分布した複数の個々のタンパク質(例えば、モノマーまたはオリゴマー)の蛍光強度を同時に記録することが可能になる。画像収集は、CCD表面上に2つの並んだ画像として記録されるように2つの帯域通過フィルター(各蛍光分子に対して1つが好適)を通るように光を方向付ける画像スプリッターを用いて、実施され得る。フローセル内の複数のステージ位置を画像化するために自動焦点調節を行う電動式顕微鏡ステージを使用することにより、1回の実験で数百万の個々のタンパク質(例えば、各オリゴマーまたはポリペプチド複合体中のモノマー)を検出することが可能になり得る。
【0068】
本明細書において提供される方法はまた、オリゴマー中のサブユニットの数を計数する段階などの、ポリペプチド複合体中のポリペプチド分子の数を定量する段階、ポリペプチド凝集の程度を測定する段階、またはタンパク質タンデムリピート中の繰り返し単位の数を計数する段階を含み得る。図1Bは、検出された標識を定量するための方法を概略的に表す。1つまたは複数の検出可能標識105に由来するシグナルの強度が、ポリペプチド分子、ポリペプチド複合体、またはそれらの組合せの数を定量するために使用され得る。ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体の数を定量する段階は、検出可能標識に由来するシグナルを除去すること120をさらに含み得る。
【0069】
例えば光退色を用いて、または検出可能標識をレポーター部分から切断除去することによって、検出可能標識のサブセットを検出不可能にしてよい。次いで、検出可能標識の残っているサブセットのシグナル強度が測定され、グラフ121として示されてよい。次に、検出可能標識の第2のサブセットを検出不可能にし、続いて、検出可能標識のシグナル強度を測定してよい。110中の、検出された各シグナルのシグナル強度は、検出可能シグナルのサブセットを検出不可能にする前および/または後に記録されてよい。このプロセスは、測定されるシグナル強度がベースラインまたはバックグラウンドのシグナル強度以下になるまで、繰り返されてよい。ベースラインまたはバックグラウンドのシグナル強度122は、関心対象の1つまたは複数の分子に結合されたレポーター部分のシグナル強度に関連していなくてよい、試料中で測定されたシグナル強度、であってよい。上側の検出可能標識は、図1Aの試料から得られたシグナルを示し、ここで、ポリペプチド分子(103)は、支持体(101)の表面に固定化されている捕捉分子(102)によって捕捉されており、薄い色の実線で囲まれた点として110中に示されている。下側の検出可能標識は、図1Aの試料から得られたシグナルを示し、ここで、ポリペプチド複合体(106)は、支持体(101)の表面に固定化されている捕捉分子(102)によって捕捉されており、灰色の点線で囲まれた点として110中に示されている。
【0070】
関心対象の分子(例えば、ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体)に結合した実質的にすべての検出可能標識を検出不可能にするために必要とされるシグナルクエンチング段階の回数または頻度は、関心対象の分子(例えば、ポリペプチド分子、タンパク質凝集体またはタンパク質オリゴマーなどのポリペプチド複合体)中のサブユニット(例えば、ポリペプチド分子、タンパク質タンデムリピート中のタンパク質リピートサブユニット)の数と相関関係があり得る。図1Bのグラフの下側のパネルに示されるように、シグナルクエンチング観察の頻度は、罹患試料130と比べて、(例えば健常対象から得られた)対照試料では異なっている。例えば、罹患試料(例えば、がん患者から得られた試料)のオリゴマーの強度低下段階の数と比べて、対照試料では、オリゴマーの強度低下の段階または数は非常に少ない。シグナルクエンチング観察の頻度が異なることを利用して、疾患もしくは病態またはその重症度もしくは状態を診断することができる。
【0071】
ポリペプチド解析
ポリペプチドを解析および/または定量するための方法が、本明細書において提供される。本明細書において開示される方法は、対象の複数のポリペプチドを含むポリペプチド複合体を単一分子レベルで解析するために使用され得、該方法は、該複数のポリペプチドの個々のポリペプチドを少なくとも60%の感度で検出する段階を含む。いくつかの場合において、本開示の方法は、対象の複数のポリペプチドを単一分子レベルで定量するために使用され得、該方法は、該複数のポリペプチドの個々のポリペプチドを少なくとも60%の感度で検出する段階を含む。いくつかの場合において、本明細書において開示される方法は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の感度を有することができる。
【0072】
1つまたは複数のポリペプチド分子を含むポリペプチド複合体は、捕捉ユニットを介して支持体に固定化されてよい。いくつかの場合において、ポリペプチド複合体は、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合され得る。さらに、1つまたは複数の検出可能標識を含む1つまたは複数のレポーター部分が、1つまたは複数のポリペプチド分子に結合され得る。1つまたは複数のポリペプチド複合体に結合された1つまたは複数の検出可能標識に対応するシグナルは、適切な方法を用いて検出され得る。さらに、1つまたは複数の検出された標識を十分な条件下で光退色させることが、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットが検出不可能になるように、実施される。さらに、光退色は、ポリペプチド複合体に結合された1つまたは複数の検出された標識に対応するシグナルが検出できなくなるまで、繰り返されてよい。
【0073】
図2は、本明細書において開示される方法のいくつかの態様による、ポリペプチド分子を捕捉および/または標識する例を示す。ポリペプチド分子220は、捕捉ユニット210上の捕捉部位213および/またはポリペプチド分子220上の捕捉ドメイン222を介して、捕捉ユニット210に結合され得る。レポーター部分230は、ポリペプチド分子220上の結合ユニット224および/またはレポーター部分230上の認識ユニット232を介して、ポリペプチド分子220に結合され得る。レポーター部分230は、レポーター分子234および/または検出可能標識238をさらに含み得る。レポーター部分230はまた、スペーサー236も含み得、該スペーサーは、レポーター分子234および/または検出可能標識238に結合されている。
【0074】
スペーサーは、レポーター部分とポリペプチド分子(例えば、モノマー、またはオリゴマー中のポリペプチド分子)とを接続するために使用され得る。スペーサーは、機能性(例えばFRET)を最適化するために、2つの実体、例えば2つの検出可能標識を、互いから距離をおいて配置することができる。この距離によって、シグナルが互いを隠すこともクエンチすることも防止され得る。この距離によって、FRETが促進され得る。スペーサーは、密集または立体干渉を防ぐために組み込まれてよい。スペーサーは、ポリマー、バイオポリマー、または非ポリマー、ヘテロ原子鎖、ポリアミン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、またはポリアミド鎖から構成されることができる。
【0075】
捕捉ユニット210は、ポリペプチドに結合することができる分子であってよい。捕捉ユニット210は、抗体であってよい。捕捉ユニット210は、支持体201に結合されることができる。捕捉ユニット210は、非共有結合性相互作用(例えば、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、および/もしくはπ-π相互作用)または共有結合性相互作用(212)によって、支持体201に結合されることができる。捕捉ユニット210は、例えば、免疫グロブリン分子、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、F(ab)2、Fv、scFv、IgGΔCH2、F(ab')2、scFv2CH3、F(ab)、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2、ジスルフィド結合Fv、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ、多重特異性抗体、二重特異性の抗体、抗イディオタイプ抗体、二重特異性抗体、任意のアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG、もしくはIgMを非限定的に含む)、修飾抗体、および/または合成抗体(非枯渇性IgG抗体、Tボディ、または抗体の他のFcバリアントもしくはFabバリアントを非限定的に含む)を含み得る。捕捉ユニットは、1つまたは複数の抗体を含み得る。捕捉ユニットは、1つ以下の抗体を含み得る。本明細書において説明される方法は、1つまたは複数の異なる捕捉ユニット、例えば様々な抗体を含み得る。
【0076】
捕捉ユニット210は、支持体201に結合されることができる。支持体201は、ビーズ、ポリマーマトリックス、アレイ、またはそれらの任意の組合せであってよい。支持体は、スライドであることができる。スライドは、単一分子の画像化に適した顕微鏡用スライドであることができる。支持体(例えばスライド)は、表面を含むことができる。表面は、支持体への捕捉ユニットの結合を促進するために、官能基を用いて機能化することができる。官能基は、アミン、スルフヒドリル、酸、アルコール、臭化物、マレアミド、スクシンイミジルエステル(NHS)、スルホスクシンイミジルエステル、ジスルフィド、アジド、アルキン、イソチオシアナート(ITC)、またはそれらの組合せを含み得る。支持体は、アジド、アミン、ビオチン、またはそれらの組合せを用いて機能化することができる。支持体は、アジドを用いて機能化することができる。支持体は、アミンを用いて機能化することができる。支持体は、ビオチンを用いて機能化することができる。支持体は、保護された官能基、例えば、Boc、Fmoc、アルキルエステル、Cbz、またはそれらの組合せを含み得る。
【0077】
支持体は、固体支持体または半固体支持体であってよい。固体支持体または半固体支持体は、ビーズであってよい。ビーズは、ゲルビーズであってよい。ビーズは、ポリマービーズであってよい。支持体は、樹脂であってよい。非限定的な支持体は、例えば、アガロース、セファロース、ポリスチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの任意の組合せを含み得る。支持体は、ポリスチレンビーズであってよい。支持体は、PEGA樹脂であってよい。支持体は、アミノPEGA樹脂であってよい。ビーズは、金属コアを含み得る。ビーズは、ポリマー磁性ビーズであってよい。ポリマー磁性ビーズは、金属酸化物を含み得る。支持体は、少なくとも1つの酸化鉄コアを含み得る。
【0078】
捕捉ユニット(例えば抗体)は、非共有結合性相互作用(例えば、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、および/もしくはπ-π相互作用)または共有結合性相互作用によって、支持体に固定化されることができる。非共有結合性相互作用を用いる固定化には、不活性化としても公知のパッシブ吸着が含まれ得る。支持体は、PEGまたはウシ血清アルブミン(BSA)を用いて不活性化された表面を含み得る。非共有結合性相互作用を用いる固定化には、ビオチン-ストレプトアビジン系が含まれ得る。
【0079】
捕捉ユニット(例えば抗体)は、共有結合性相互作用によって支持体に固定化され得る。共有結合性相互作用を用いる固定化には、架橋が含まれ得る。クロスリンカーまたは架橋剤は、少なくとも2つの反応性基を含み得る;少なくとも1つの反応性基が支持体に結合し得、少なくとも1つの他方の反応性基が、実質的に同時にポリペプチド分子に結合することができる。クロスリンカー中の反応性基は、イソチオシアナート、イソシアナート、アジド、NHSエステル(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、塩化スルホニル、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カルボナート、ハロゲン化アリール、イミドエステル、カルボジイミド、マレイミド、ハロアセチル、ピリジルジスルフィド、ジアジリン、または無水物を含み得る。いくつかの態様において、クロスリンカーはジスクシンイミジルスルホキシド(DSSO)を含む。共有結合性固定化についての別の非限定的な例には、クリックケミストリー(例えば、アジドが銅の存在下でアルキンと反応して5員のヘテロ原子環を形成することができる)が含まれ得る。支持体201への捕捉ユニット210(例えば抗体)の固定化についての他の非限定的な例には、炭水化物結合、分子インプリンティング、Ig結合ペプチド、カリックスアレーン誘導体、マテリアル結合性ペプチド、またはそれらの組合せが含まれ得る。
【0080】
捕捉ユニットは、あらかじめ定められた密度(約4000個の分子/[200×200μm2])で支持体に結合され得る。支持体の表面積1平方ミリメートルごとに、それに結合された約1000~10,000,000個の捕捉ユニット(例えば抗体分子)が存在し得る。支持体表面上の捕捉ユニット分子の密度は、1平方ミリメートル当たり少なくとも約1000個、5000個、10000個、20000個、40000個、60000個、80000個、100000個、150000個、200000個、250000個、300000個、350000個、400000個、450000個、500000個、550000個、600000個、650000個、700000個、750000個、800000個、850000個、900000個、950000個、1000000個、またはそれより多い個数の分子、であってよい。支持体表面上の捕捉ユニット分子の密度は、1平方ミリメートル当たり最大で約1000000個、950000個、900000個、850000個、800000個、750000個、700000個、650000個、600000個、550000個、500000個、450000個、400000個、350000個、300000個、250000個、200000個、150000個、100000個、80000個、60000個、40000個、20000個、10000個、5000個、1000個、またはそれより少ない個数の分子、であってよい。支持体表面上の捕捉ユニット分子の密度は、1平方ミリメートル当たり約1000個の分子~1平方ミリメートル当たり約1000000個の分子であってよい。いくつかの態様において、支持体表面上の捕捉ユニット分子の密度は、200μm×200μmの面積当たり約1000個の分子~約2000個の分子である。
【0081】
本明細書において提供される方法は、1つまたは複数のポリペプチド分子を含むポリペプチド複合体を提供する段階を含み得る。ポリペプチド複合体は、誤って折り畳まれたタンパク質またはタンパク質凝集体(例えば、α-シヌクレイン凝集体、オリゴマー、アミロイド線維)を含み得る。誤って折り畳まれたタンパク質またはタンパク質凝集体は、対象において疾患および/または障害を引き起こし得る。ポリペプチド複合体は、1つまたは複数のポリペプチド分子(例えば、単一タンパク質またはタンパク質ドメインの繰り返しサブユニット)を含み得る。ポリペプチド複合体は、ホモ多量体(例えばホモオリゴマー)またはヘテロ多量体(例えばヘテロオリゴマー)であってよい。ポリペプチド複合体は、オリゴマーであってよい。オリゴマーは、類似したポリペプチド分子を含むホモオリゴマーであってよい。オリゴマーは、異なるポリペプチド分子を含むヘテロオリゴマーであってよい。オリゴマーは、1つまたは複数のポリペプチド分子(例えば、モノマー、繰り返し単位、タンパク質サブユニット)を含み得る。オリゴマーは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、40個、50個、100個、またはそれより多いポリペプチド分子を含み得る。オリゴマーは、最大で100個、50個、40個、30個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、または2個のポリペプチド分子を含み得る。ポリペプチド複合体は、少なくとも2 個のポリペプチド分子を含み得る。ポリペプチド複合体は、少なくとも5個のポリペプチド分子を含み得る。ポリペプチド複合体は、少なくとも10 個のポリペプチド分子を含み得る。ポリペプチド複合体は、少なくとも20個のポリペプチド分子を含み得る。
【0082】
いくつかの場合において、ポリペプチド複合体は、少なくとも20個のポリペプチド分子を含むことができる。いくつかの場合において、ポリペプチド複合体は、バイオマーカーであってよい。いくつかの場合において、バイオマーカーは、疾患または障害を示し得る。いくつかの場合において、疾患または障害は、神経形成に関連する疾患またはシヌクレイノパチーである。いくつかの場合において、疾患または障害には、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病が含まれ得る。いくつかの場合において、疾患または障害には、細胞内でのα-シヌクレインの凝集またはα-シヌクレインオリゴマーの形成を伴うシヌクレイノパチーが含まれ得る。いくつかの場合において、本明細書において開示される方法は、α-シヌクレインと脂質との相互作用を調整し得る。参照により本明細書に組み入れられるKillinger, Bryan A., et al. "Endogenous alpha-synuclein monomers, oligomers and resulting pathology: Let’s talk about the lipids in the room." npj Parkinson's Disease 5.1 (2019): 1-8を参照して頂きたい。
【0083】
いくつかの場合において、疾患または障害は、がんであってよい。α-シヌクレイン、β-シヌクレイン、および/またはγ-シヌクレインの異常な発現は、様々ながん腫、神経節膠腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、神経細胞腫、乳がん、および/または食道がんを含む、幅広いがんにおいて現れる可能性がある。シヌクレイン発現はまた、転移にも寄与し得、したがって、がん進行に関する有用なマーカーとして役立つことができる。したがって、本開示の方法は、細胞試料または組織試料を解析して対象におけるがんの状態を特定する段階を含み得る。該方法は、血液試料または組織試料などの生物試料から細胞を単離または濃縮する段階を含み得る。本開示のいくつかの方法は、がんのタイプの特定だけでなく、がんの病期の特定も可能にする。例えば、松果体芽細胞腫のいくつかの症例の病期は、シヌクレイン過剰発現の程度によって区別され得る。
【0084】
本開示と一致する方法の例は、血液試料から血中循環腫瘍細胞(CTC)を単離または濃縮する段階、任意で、該血中循環腫瘍細胞を溶解する段階、および/または該血中循環腫瘍細胞(もしくはその溶解物)に由来するタンパク質もしくはタンパク質複合体を解析することによって該血中循環腫瘍細胞のがんのタイプもしくは病期を決定する段階を含む。方法はまた、生物試料から細胞(例えば血中循環腫瘍細胞)を単離もしくは濃縮する段階、細胞の表面上に配置されたタンパク質もしくはタンパク質複合体を解析する段階、および/または該解析に基づいて疾患の状態もしくは病期を特定する段階を含み得る。方法は、単一の試料から2種の生物学的種(例えば、2種の異なるタイプの細胞)を採取する段階を含み得る。いくつかの場合において、第1の生物学的種は、疾患状態に関連しており、第2の生物学的種は、健康な(例えば非がん性またはアルツハイマー病ではない)状態に関連している。
【0085】
方法はまた、第1の生物試料から第1の生物学的種を採取(例えば単離)する段階および第2の生物試料から第2の生物学的種を採取する段階を含み得る。例えば、がんアッセイ法は、患者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を、および非がん性組織から健常細胞を、採取する段階を含み得る。第1の生物学的種および第2の生物学的種は、個別に解析されてよく、かつ/またはこれらの種の一方もしくは両方についての解析が、疾患状態(例えば、疾患のタイプもしくは病期)を特定するために使用され得る。
【0086】
本明細書において提供される方法は、1つまたは複数のポリペプチド分子を含むポリペプチド複合体およびそれに結合された1つまたは複数のレポーター部分を提供する段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が1つもしくは複数の検出可能標識を含み、かつ/または該ポリペプチド複合体が捕捉ユニットに結合されている、段階を含み得る。本明細書において提供される方法は、1つまたは複数のポリペプチド分子を含むポリペプチド複合体およびそれに結合された1つまたは複数のレポーター部分を提供する段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が1つもしくは複数の検出可能標識を含み、かつ/または該ポリペプチド複合体が捕捉ユニットに結合されている、段階を含み得る。
【0087】
捕捉部位は、捕捉ドメイン、例えばポリペプチド分子(例えばモノマー)またはポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)に特異的に結合するように構成され得る。捕捉部位は、ポリペプチド分子(例えばモノマー)またはポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)上の1つまたは複数の領域に結合するように構成され得る(例えばポリクローナル抗体)。捕捉部位は、ポリペプチド分子(例えばモノマー)またはポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)上のあらかじめ定められた領域に結合するように構成され得る(例えばモノクローナル抗体)。捕捉ユニットは、1つまたは複数の捕捉部位を含み得る。捕捉ユニットは、少なくとも約1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれより多い捕捉部位を含み得る。捕捉ユニットは、最大で約20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個の捕捉部位を含み得る。捕捉ユニット中の複数の捕捉部位は、類似した捕捉部位であってもよく、またはそれらは互いに異なってもよい。図4に示されるように、捕捉ユニット410中の複数の類似した捕捉部位413a~cは、1つもしくは複数のポリペプチド分子421a~c中の類似した捕捉ドメイン422a~cに結合し得;または図5Aに示されるように、捕捉ユニット510中の複数の類似した捕捉部位513a~cは、オリゴマー520中の1つもしくは複数のポリペプチド分子(例えばモノマー)521a~c中の類似した捕捉ドメイン522a~cに結合し得る。捕捉ユニット中の複数の異なる捕捉部位は、オリゴマー中の異なる捕捉ドメイン(例えば、異なるポリペプチド分子、異なるモノマー)に結合し得る(図6、捕捉部位610および/または620))。
【0088】
捕捉ユニット中の複数の捕捉部位は、異なる捕捉部位であってよい。捕捉ユニット中の複数の捕捉部位は、類似した捕捉ドメインに結合し得る。捕捉ユニット中の複数の捕捉部位は、それぞれ、異なる捕捉ドメインに結合し得る。いくつかの場合において、ポリペプチド中の捕捉ドメインは、捕捉ユニット中の1つまたは複数の捕捉部位に結合し得、かつ捕捉ユニットは抗体であってよい。いくつかの場合において、捕捉ドメインは、抗体の1つまたは複数の抗原結合部位に結合し得る。いくつかの場合において、捕捉ドメインは、抗体の2つまたはそれより多い抗原結合部位に結合し得、ここで、これらの抗原結合部位は類似しており、かつ同じ抗原種に結合する。いくつかの場合において、捕捉ドメインは、抗体の2つまたはそれより多い抗原結合部位に結合し得、ここで、抗体のこれらの抗原結合部位は、異なる抗原結合部位である。いくつかの場合において、第1の捕捉ユニットは、第2の捕捉ユニットよりも多い捕捉部位を有し得る。いくつかの場合において、複数の捕捉ユニットは、異なる数の捕捉部位を含み得る。ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体と捕捉ユニットとは、架橋剤を用いて架橋され得る。架橋は、温度、インキュベーション時間などを含む、あらかじめ定められた条件で実施され得る。架橋は、室温で実施され得る。あらかじめ定められたインキュベーション時間は、架橋プロセスが実質的に完全に実際されるために必要とされる場合がある。あらかじめ定められたインキュベーション時間は、約1分(min)~5分、5分~10分、10分~15分、15分~20分、20分~30分、30分~60分、またはそれらを超える期間もしくはそれらの間の期間であってよい。
【0089】
本明細書において提供される方法は、1つまたは複数のポリペプチド分子を含むポリペプチド複合体およびそれに結合された1つまたは複数のレポーター部分を提供する段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が1つまたは複数の検出可能標識を含む、段階を含み得る。レポーター部分(例えば、図2~6、図8図9、および図11~14の230、330、430、530、630、830、930、1130、1230、1330、または1430)は、認識ユニット(例えば、図2~6の232、332、432、532、または632)および検出可能標識(図2~6、図8図9、および図11~14の238、338、438、538、638、710、840、938、1030、1135、1235、1335、または1435)を有するレポーター分子(例えば、図2~7の234、334、434、534、634、または705)を含み得る。検出可能標識は、レポーター部分に直接的に結合され得る。レポーター部分は、スペーサー(例えば、図2~5および図7の236、336、436、536、または706)をさらに含んでよく、ここで、該検出可能標識は、該スペーサーを介して該レポーター部分に結合され得る。スペーサーは、検出可能標識と認識ユニットとを接続し得る。レポーター部分は、タンパク質を含み得る。レポーター部分は、抗体を含み得る。レポーター部分は、1つまたは複数の認識ユニットおよび1つまたは複数の検出可能標識を有する分子を含み得る。
【0090】
レポーター部分中の1つまたは複数の認識ユニットは、1つまたは複数のポリペプチド分子上の1つまたは複数の結合ユニットへの結合を可能にして、結合強度を高め得る。いくつかの場合において、レポーター部分中の1つまたは複数の認識ユニットは、1つまたは複数のポリペプチド分子上の異なる結合ユニットに結合し得る。これにより、レポーター部分中の1つまたは複数の認識ユニットにとって認識可能な結合ユニットを有するポリペプチド分子を含む特定のポリペプチド複合体を認識し、かつ/またはさらに標識することが、可能になり得る。レポーター部分中の1つまたは複数の異なる認識ユニットはまた、異なる結合ユニットを有する1つまたは複数のポリペプチド分子に結合し得、かつ/またはさらに標識し得る。このことは、様々なポリペプチド分子および/またはポリペプチド複合体の混合物を含む異種試料中のポリペプチド分子を標識するために使用され得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の認識ユニットを含み得る。いくつかの態様において、レポーター部分は、少なくとも1個の認識ユニットを含む。いくつかの態様において、レポーター部分は、少なくとも2個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のレポーター分子を含み得、各レポーター分子は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、1個のレポーター分子を含み得、ここで、該1個のレポーター分子は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、1個のレポーター分子を含み得、ここで、該1個のレポーター分子は、1個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、1個のレポーター分子を含み得、ここで、該1個のレポーター分子は、3個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、1個のレポーター分子を含み得、ここで、該1個のレポーター分子は、5個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、3個のレポーター分子を含み得、ここで、該3個のレポーター分子のそれぞれは、1個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、5個のレポーター分子を含み得、ここで、該5個のレポーター分子のそれぞれは、1個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、10個のレポーター分子を含み得、ここで、該10個のレポーター分子のそれぞれは、1個の認識ユニットを含む。いくつかの場合において、レポーター部分は、10個のレポーター分子を含み得、ここで、該10個のレポーター分子のそれぞれは、5個の認識ユニットを含む。
【0091】
レポーター部分中の1つまたは複数の検出可能標識は、各ポリペプチド複合体中のポリペプチド分子の数を計数するために使用され得る。例えば、1つもしくは複数の検出可能標識を、1つもしくは複数の段階で1つずつ検出不可能にしてよく;かつ/または該1つもしくは複数の検出可能標識に由来するシグナルの強度を測定した後に、各段階において該標識を検出不可能にしてよい。標識を検出不可能にするために必要とされる段階の数は、ポリペプチド複合体を含む試料中のポリペプチド分子の数と相互に関係付けるために使用され得る。1つまたは複数の検出可能標識はまた、1つまたは複数の類似したまたは異なる関心対象の分子を標識し、かつ/またはさらに同時に検出するために使用され得、ここで、該関心対象の分子は、ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体であってよい。
【0092】
レポーター部分は、励起されるとシグナルを放出し得る。励起は、電磁放射線(例えば光)の形態で提供されてよい。レポーター部分はまた、励起されるとシグナルを減少させ得るかまたは失い得る。レポーター部分(またはその上に配置された検出可能標識)から放出されるシグナルは、検出可能であり得る。シグナルは、光学的シグナル、化学的シグナル、放射測定的シグナル、電子的シグナル、情報的シグナル、またはそれらの組合せであってよい。光学的シグナルは、発光性(例えば、化学発光性、生物発光性、電場発光性、音ルミネセンス、光ルミネセンス、放射線ルミネセンス、または熱発光性)であってよい。光ルミネセンスの光学的シグナルのいくつかの例には、蛍光性シグナルまたはリン光性シグナルが含まれる。光学的シグナルは、発色団(例えば、フルオロフォア、蛍光色素)から生じ得る。光学的シグナルは、光子を放出することができる任意の分子、高分子、または分子構築物であってよい。光学的シグナルは、励起に応答して放出され得る。光学的シグナルは、例えば色によって、互いから区別可能であり得る。いくつかの例において、単一の系、方法、またはキットにおいて複数の光学的シグナルを使用することが有利である。例えば、1つまたは複数のフルオロフォアであって、その一部または全部が、区別可能な光学的シグナルを放出することができる該1つまたは複数のフルオロフォア、を提供することが有利であり得る。複数の光学的シグナルは、例えば、複数の色を含み得る。1種の色、2種の色、3種の色、4種の色、5種の色、またはそれより多い数の色を生じる蛍光色素を提供することが、有利であり得る。20種の色またはそれより多い数の色を生じる蛍光色素を提供することが、有利であり得る。フルオロフォアは、1つまたは複数のクラスの色素、例えばローダミンまたはAtto647Nを含み得る。フルオロフォアには、例えば、フルオロフォア-ヨードアセトアミド(例えばAtto647N-ヨードアセトアミド);フルオロフォア-スクシンイミジルエステル(例えばAtto647N-NHS)、フルオロフォア-アミン(例えばAtto647N-アミン)、ジチオラン-フルオロフォア(例えば、カスタム合成されたフルオロフォア、酸化ジチオラン-フルオロフォア、還元ジチオラン-フルオロフォア)、フルオロフォア-アジド(例えばAtto647N-アジド)、オレゴングリーン(OG)-ヨードアセトアミド、OG488-NHS、OG488-アジド、OG488-テトラジン、OG514-NHS、Janelia Fluor(JF)-NHS、JF-遊離酸、JF-アジド、JF-ジチオラン、Atto647N-アルキン、Atto647N-遊離酸、Atto425-NHS、Atto425-遊離酸、Atto425-アミン、Atto425-アジド、Atto425-DBCO、SF554-NHS、またはTexasRed-NHSが含まれ得る。光学的シグナルはまた、光学的シグナルの非存在もしくは消失(例えば、光退色、光クエンチング)または光学的シグナルの変化(例えば、FRET、BRET、ホモFRET、または他のエネルギー移動発光、例えば、Alexa fluors、BODIPY色素、キサンテン色素、もしくはシアニン色素)も含み得る。
【0093】
いくつかの場合において、本開示の方法は、捕捉ユニット、ポリペプチド分子、およびレポーター部分を含むポリペプチド複合体を提供する段階を含み得る。いくつかの場合において、捕捉ユニットは、支持体に結合され得、かつ/またはポリペプチド分子の捕捉ドメインに結合する捕捉部位を含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、捕捉ユニットの捕捉部位に結合する捕捉ドメインを含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、レポーター分子の認識ユニットに結合する結合ユニットを含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、ポリペプチド分子に結合する認識ユニットを含むレポーター分子を含み得る。いくつかの場合において、レポーター分子は、例えば共有結合によってレポーター分子に結合される検出可能標識をさらに含み得る。
【0094】
図2に示されるように、ポリペプチド220(例えば、ポリペプチド分子、ポリペプチド複合体)は、捕捉ユニット210上の捕捉部位213および/または該ポリペプチド分子220上の捕捉ドメイン222を介して、捕捉ユニット210に結合され得る。方法200は、認識ユニット232を使うことができ、該認識ユニット232は、ポリペプチド分子220中の結合ユニット224に結合するように構成され得る。レポーター部分230は、ポリペプチド複合体中の少なくとも1つまたは複数のポリペプチド分子に結合するように構成されている認識ユニット232を含み得る。レポーター部分230は、ポリペプチド分子220上の結合ユニット224および/またはレポーター部分230上の認識ユニット232を介してポリペプチド分子220に結合され得る。レポーター部分230は、レポーター分子234および/または検出可能標識238をさらに含み得る。レポーター部分230はまた、スペーサー236も含み得、該スペーサーは、レポーター分子234および/または検出可能標識238に結合されている。
【0095】
いくつかの場合において、本開示の方法は、捕捉ユニット、複数の捕捉ドメインおよび/または複数の結合ユニットを含むポリペプチド分子、ならびにレポーター部分を含む、ポリペプチド複合体、を提供する段階を含み得る。いくつかの場合において、捕捉ユニットは、支持体に結合され得、かつ/またはポリペプチド分子の複数の捕捉ドメインのうちの1つに結合する捕捉部位を含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、複数の捕捉ドメインを含み得、該複数の捕捉ドメインのうちの1つが、捕捉ユニットの捕捉部位に結合する。いくつかの場合において、ポリペプチドは、レポーター分子の認識ユニットに結合する複数の結合ユニットを含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、複数の結合ユニットを含むポリペプチド分子に結合する認識ユニットを含むレポーター分子を含み得る。いくつかの場合において、レポーター分子は、例えば共有結合によってレポーター分子に結合される検出可能標識をさらに含み得る。
【0096】
図3に示されるように、方法300は、支持体301、捕捉ユニット310、ポリペプチド複合体320、および/またはレポーター部分330を含み得る。ポリペプチド複合体320は、少なくとも1つの捕捉ドメイン、例えば、322a、322b、または322cを含み得る。ポリペプチド複合体320は、捕捉分子312ならびに/または複数の捕捉ドメイン322a~cおよび/もしくは複数の結合ユニット324a~cを含み得る。捕捉ユニット310は捕捉部位313を含み得る。捕捉部位313は、ポリペプチド複合体320中の少なくとも1つの捕捉ドメイン322a、322b、または322cに特異的に結合するように構成され得る。捕捉部位313は、1つの捕捉ドメインまたは複数の捕捉ドメイン、例えば、322a、322b、または322cに結合するように構成され得る。同様に、レポーター部分330は、ポリペプチド複合体320中の複数の結合ユニット324a~cのうちの少なくとも1つに結合するように構成されている認識ユニット332を含み得る。認識ユニット332は、ポリペプチド複合体320中の1つの結合ユニットに結合するように構成され得る。レポーター部分330に類似した1つまたは複数のレポーター部分は、結合のために利用可能であり得る複数の結合ユニット(例えば324b~c)に由来する1つまたは複数の結合ユニットに結合し得る。レポーター部分330は、クロスリンカー336を介してレポーター分子334に結合されている検出可能標識338を含み得る。検出可能標識および/または認識ユニットは、クロスリンカーを用いずにレポーター分子に結合されてもよい。レポーター部分330は、抗体を含み得る。レポーター部分330は、オリゴマーであってよい(例えば、複数の結合されたレポーター、例えば、複数のフルオロフォア標識抗体を含んでよい)。
【0097】
いくつかの場合において、本開示の方法は、捕捉ユニット、ポリペプチド分子、およびレポーター部分を含むポリペプチド複合体を提供する段階を含み得る。いくつかの場合において、捕捉ユニットは、支持体に結合され得、かつ/またはポリペプチド分子の複数の捕捉ドメインに結合する複数の捕捉部位を含み得る。いくつかの場合において、捕捉ユニットは、共有結合されたクロスリンカーを介して固体支持体に結合され得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、捕捉ユニットの複数の捕捉部位に結合する複数の捕捉ドメインを含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、レポーター分子の認識ユニットに結合する複数の結合ユニットを含み得る。いくつかの場合において、レポーター分子は、ポリペプチド分子に結合する認識ユニットを含み得る。いくつかの場合において、レポーター分子は、例えば共有結合によってレポーター分子に結合される検出可能標識をさらに含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、複数のレポーター分子、複数の認識ユニット、および複数の検出可能標識を含み得る。
【0098】
図4は、本明細書において開示される方法の別の態様を示す。方法400は、支持体401、捕捉ユニット410、複数のポリペプチド分子420、および/またはレポーター部分430を含み得る。複数のポリペプチド分子は、1つまたは複数の類似したポリペプチド分子を含み得る。複数のポリペプチド分子は、1つまたは複数の異なるポリペプチド分子を含み得る。複数のポリペプチド分子は、ポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)またはタンパク質凝集体を含み得る。捕捉ユニット410は、捕捉分子412および/または複数の捕捉部位、例えば413a~cを含み得る。捕捉ユニット412は、クロスリンカー414によって支持体401上に固定化されてよい。複数の捕捉部位413a、413b、または413cは、ポリペプチド分子421a~c中の捕捉ドメイン422a~cに結合し得る。ポリペプチド分子は、類似した捕捉ドメインを含み得る。ポリペプチド分子421a~cは、捕捉ドメイン領域以外の領域中に、類似したまたは異なるアミノ酸配列を含み得る。ポリペプチド分子421a~cはまた、結合ユニット424a~cも含み得る。複数の捕捉部位413a~cは、類似したまたは異なるポリペプチド分子中の異なる捕捉ドメイン422a~cに結合するように構成され得る。これにより、異なる捕捉ドメインを用いて、類似したポリペプチド分子を捕捉することが可能になり得、この結果として、捕捉部位と捕捉ドメインの様々なペア間での結合親和性の潜在的な違いを特定することが可能になり得るか;またはこれを用いて、関心対象の類似したポリペプチド分子の差異(例えば、類似したポリペプチド分子における様々な変異または折り畳みの違い)が特定され得る。
【0099】
レポーター部分430は、複数のレポーター分子434a~c、複数の認識ユニット432a~c、および/または複数の検出可能標識438a~cを含み得る。レポーター部分430はまた、複数のスペーサー436a~cも含み得、ここで、複数のレポーター分子434a~cおよび複数の検出可能標識438a~cは、該複数のスペーサーを介して結合されていてよい。複数の認識ユニットは、類似したまたは異なるポリペプチド分子中の類似した結合ユニットに結合するように構成され得る。例えば、ポリペプチド分子421aおよび421bは、互いに異なり得るが、それらは、類似した結合ユニット424aおよび424bを含み得る。複数の認識ユニットは、類似したまたは異なるポリペプチド分子中の異なる結合ユニットに結合するように構成され得る。別の例において、ポリペプチド分子421aおよび421cは、互いに異なり得、かつ/または、それらはまた、異なる結合ユニット424aおよび424cを含み得る。これにより、異なるポリペプチド分子を標識することが可能になり得る。別の例において、結合ユニット424bおよび424cは、類似したポリペプチド分子421bおよび421c中の異なる結合ユニットであってよい。したがって、認識ユニット432bおよび432cは、類似したポリペプチド分子421bおよび421c中の異なる結合ユニット424bおよび424cを認識するように、かつ/またはそれらに結合するように、構成され得る。これにより、類似したポリペプチド分子の様々な差異(例えば、類似したポリペプチド分子における様々な変異または折り畳みの違い)を標識することが可能になり得る。
【0100】
本明細書において説明される方法はまた、関心対象の類似したまたは異なる分子を標的とするための、異なる認識ユニットおよび/または結合ユニットの結合強度を測定するためにも使用され得る。関心対象の分子は、ポリペプチド分子(例えば、凝集されたタンパク質中のタンパク質サブユニットまたはタンパク質タンデムリピート中のタンパク質リピート)であることができる。検出可能標識438a、438b、438cはそれぞれ、類似したポリペプチド分子および/または異なるポリペプチド分子を実質的に同時に検出することを可能にする、異なる検出可能シグナルを含み得る。検出可能標識438a、438b、438cは、FRETアッセイ法で使用されてよい。例えば、検出可能標識438a~cのうちの2つまたはそれより多くに由来するシグナルを検出することによって、ポリペプチド分子421a~cのうちの2つまたはそれより多くを検出することは、FRETによって生成される少なくとも1つのシグナルをもたらし得、その際、そのFRETシグナルは、検出可能標識438a~cのそれぞれから検出され得るシグナルとは異なっている。
【0101】
いくつかの場合において、本開示の方法は、捕捉ユニット、ポリペプチド分子、およびレポーター部分を含むポリペプチド複合体を提供する段階を含み得る。いくつかの場合において、捕捉ユニットは、支持体に結合され得、かつ/またはポリペプチド分子の複数の捕捉ドメインに結合する複数の捕捉部位を含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、捕捉ユニットの複数の捕捉部位に結合する複数の捕捉ドメインを含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、レポーター部分またはレポーター分子の複風の認識ユニットに結合する複数の結合ユニットを含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、ポリペプチド分子の複数の結合ユニットに結合する複数の認識ユニットを含むレポーター分子を含み得る。いくつかの場合において、レポーター分子は、例えば共有結合によってレポーター分子に結合される検出可能標識をさらに含み得る。
【0102】
図5Aは、本明細書において開示される方法の別の態様を示す。方法500aは、支持体501、捕捉ユニット510、ポリペプチド複合体520、および/またはレポーター部分530を含み得る。捕捉ユニット510は、捕捉分子512および/または複数の捕捉部位513a~cを含み得る。捕捉ユニット510は、支持体501に直接的に結合され得る。捕捉ユニット510は、図4に示される構築物410に類似したクロスリンカーを用いて、支持体501に結合され得る。複数の捕捉部位513a~cは、ポリペプチド複合体520中の複数のポリペプチド分子521a~c(例えば、オリゴマー中のモノマー)の1つまたは複数の捕捉ドメイン522a~cに結合するように構成され得る。複数のポリペプチド分子521a~cはまた、複数の結合ユニット524a~cも含み得る。1つまたは複数の捕捉ドメイン522a~cは、互いに類似していてもよく、または異なってもよい。1つまたは複数の類似した捕捉ドメインを使用することは、より安定な捕捉のために結合の強度を高めるのに役立ち得る。類似した捕捉ドメインは、ポリペプチド複合体中の類似したまたは異なるポリペプチド分子中に存在し得る。したがって、捕捉ユニット510は、あるポリペプチド複合体の類似したまたは異なるサブユニット中の複数の類似したまたは異なる捕捉ドメインに結合することによって、そのポリペプチド複合体を捕捉し得る。
【0103】
レポーター部分530は、複数の認識ユニット532a~c、レポーター分子534、および/または検出可能標識538を含み得る。レポーター部分530はまた、スペーサー536も含み得、その際、レポーター分子534および検出可能標識538は、該スペーサー536を介して互いに結合され得る。複数の認識ユニット532a~cは、ポリペプチド複合体520中の複数の結合ユニット524a~cに結合するように構成され得る。1つまたは複数の結合ユニット524a~cは、互いに類似していてもよく、または異なってもよい。複数の認識ユニット532a~cは、より親和性の高い結合を実現するために、類似した結合ユニット524a~cに結合するために使用され得;または何らかの場合には、所定の数のサブユニットを有する関心対象のポリペプチド複合体へのレポーター部分の特異的結合のために使用され得る。複数の認識ユニット532a~cを用いて結合ユニット524a~c(ここで、各結合ユニットは互いに異なっている)に結合することにより、関心対象のポリペプチド複合体にレポーター部分を特異的に結合させることが可能になり得る。
【0104】
図5Bは、本明細書において開示される方法の別の態様を示す。方法500bは、支持体501、捕捉ユニット560、ポリペプチド複合体570(例えばポリペプチドリピート)、および/またはレポーター部分580を含み得る。ポリペプチド複合体は、タンパク質リピートであってよい。捕捉ユニット560は、捕捉分子562および/または複数の捕捉部位563a~dを含み得る。複数の捕捉部位563a~dは、ポリペプチド複合体570(例えばポリペプチドタンデムリピート)中の1つまたは複数の捕捉ドメイン572a~dに結合するように構成され得る。複数の捕捉部位563a~dのそれぞれは、タンパク質複合体570(例えばポリペプチドタンデムリピート)中の複数の捕捉ドメイン572a~dにおける1つの捕捉ドメインに結合するように構成され得る。捕捉ユニット560は、複数の捕捉部位563a~dを用いて、より高い特異性でポリペプチド複合体570に結合し得る。例えば、該複数の捕捉部位に適合しない構造または折り畳みを有するポリペプチド複合体は、捕捉されることができないため、より高い特異性が実現する。ポリペプチド複合体570は、複数の結合ユニット574a~dを含み得る。レポーター部分580は、複数の認識ユニット582a~d、レポーター分子584、または検出可能標識588を含み得る。レポーター部分580はまた、スペーサー586も含み得、その際、レポーター分子584および検出可能標識588は、該スペーサー586を介して結合され得る。複数の認識ユニット582a~dは、ポリペプチド複合体570(例えばポリペプチドタンデムリピート)中の1つまたは複数の結合ユニット574a~dに結合するように構成され得る。複数の認識ユニット582a~dのそれぞれは、ポリペプチド複合体570(例えばポリペプチドリピート)中の複数の結合ユニット574a~dのうちの1つの結合ユニットに結合するように構成され得る。
【0105】
いくつかの場合において、本開示の方法は、基板、複数の捕捉ユニット、複数のポリペプチド分子、および複数のレポーター部分を含むポリペプチド複合体を提供する段階を含み得る。いくつかの場合において、基板は、固体支持体に直接的に結合されることができ、または共有結合されたクロスリンカーを介して固体支持体に結合されることができる。いくつかの場合において、基板は、複数の捕捉ユニットを含み得る。いくつかの場合において、複数の捕捉ユニットは、直接的にまたは共有結合されたクロスリンカーによって、基板に結合されることができる。いくつかの態様において、基板は、機能化された捕捉抗体を有するPDMSインプリントである。いくつかの場合において、複数の捕捉ユニットのそれぞれは、1つまたは複数のポリペプチド分子の1つまたは複数の捕捉ドメインに結合する1つまたは複数の捕捉部位を含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチド分子は、捕捉ユニットの1つまたは複数の捕捉部位に結合する1つまたは複数の捕捉ドメインを含み得る。いくつかの場合において、ポリペプチドは、レポーター部分の1つまたは複数の認識ユニットに結合する1つまたは複数の結合ユニットを含み得る。いくつかの場合において、レポーター部分は、ポリペプチド分子に結合する1つまたは複数の認識ユニットを含む1つまたは複数のレポーター分子を含み得る。いくつかの場合において、1つまたは複数のレポーター分子は、例えば共有結合によって1つまたは複数のレポーター分子に結合される1つまたは複数の検出可能標識を、さらに含み得る。
【0106】
図6は、複数の異なるおよび/または類似したポリペプチド分子および/またはポリペプチド複合体が、捕捉および/または標識され得る、本明細書において説明される方法の別の態様を示す。これらのポリペプチド分子および/またはポリペプチド複合体は、1種または複数種の試料に由来してよい。いくつかの場合において、方法600は、異種試料(例えば、血液、CSF、血漿、血清、尿、唾液、粘膜分泌物、痰、大便、または涙)中の複数の関心対象の分子(例えば、ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体)を捕捉するために使用され得る。方法600は、支持体601、基板602、複数の捕捉ユニット610a~c、複数のポリペプチド分子もしくはポリペプチド複合体620a~d、または複数のレポーター部分630a~cを含み得る。基板602は、クロスリンカー614を用いて、支持体601に結合され得る。複数の捕捉ユニット610a~cは、複数の類似したまたは異なるポリペプチド分子および/またはポリペプチド複合体を捕捉し得る。いくつかの場合において、捕捉ユニット610aなどの類似した捕捉ユニットは、ポリペプチド分子620a、ポリペプチド複合体620b、またはポリペプチド複合体620dを捕捉するために使用され得る。ポリペプチド複合体620cなどのより大きなポリペプチド複合体を捕捉することは、捕捉ユニット610aなどの単一の捕捉部位を有する捕捉ユニットが提供でき得るよりも高い結合強度(例えば結合親和性)を必要とし得る。いくつかの場合において、1つまたは複数の捕捉部位を有する捕捉ユニット、例えば捕捉ユニット610bまたは610cは、関心対象のより大きな分子、例えば620b~dを捕捉するための、より高い結合強度を得るために使用され得る。いくつかの場合において、1つまたは複数の捕捉部位を有する捕捉ユニットはまた、より高い結合特異性を得るためにも使用され得る。例えば、捕捉ユニット610cは、所定の折り畳みまたは構造を有するポリペプチド複合体(例えばタンパク質タンデムリピート)に結合するように構成され得る。
【0107】
関心対象の捕捉される分子は、複数のレポーター部分630a~cのうちの1つまたは複数を用いて標識され得る。各レポーター部分は、少なくとも1つの検出可能標識を有し得る。検出可能標識635a~cは、互いに異なっていてよくまたは類似していてよい検出可能シグナルを生成し得る。いくつかの場合において、2つまたはそれより多いレポーター部分は、関心対象の分子(例えばポリペプチド複合体)に結合し得;その場合、該2つまたはそれより多いレポーター部分に結合された検出可能標識は、検出可能シグナルをFRETによって生成するのに十分な近さになり得る。複数の検出可能標識から検出される異なるシグナルを用いて、関心対象の分子を同定および/または識別することができる。捕捉され標識された分子(例えば、ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体)中のサブユニットの数は、例えば、検出可能標識を本明細書において説明されるように検出不可能にすることによって、定量することができる。
【0108】
検出可能標識は、エネルギー源を用いて(例えばレーザーによって)励起するとシグナルを放出するように構成され得る。シグナルは、検出可能シグナルであることができる。例えば、シグナルは、蛍光性シグナルまたはリン光性シグナルなどの光学的シグナルであることができる。検出可能標識は、色素を含み得る。検出可能標識は、電気的シグナル、放射性シグナル、または化学的シグナルを生成し得る。レポーター部分は、スペーサーに結合され得る。スペーサーは、レポーター部分と検出可能標識とを接続し得る。
【0109】
本明細書において説明される方法は、ポリペプチド複合体に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階をさらに含み、該1つまたは複数のシグナルは、複数の検出可能標識に対応する。
【0110】
ポリペプチド複合体に由来する1つまたは複数のシグナルを検出するために、ポリペプチド複合体中の少なくとも1つのポリペプチド分子に結合されたレポーター部分の少なくとも1つの検出可能標識を、励起エネルギー源(例えば、光またはレーザー)を用いて励起させる。励起エネルギー源を用いて励起された検出可能標識に由来する検出可能シグナルの量を用いて、ポリペプチド分子またはポリペプチド複合体の量を定量することができる。いくつかの場合において、レポーター部分は、ポリペプチド複合体中の1つまたは複数のポリペプチド分子に結合し得る1つまたは複数の認識ユニットを含み得る。レポーター部分は、1つの認識ユニットにつき1つまたは複数の検出可能標識をさらに含み得る。したがって、励起エネルギー源を用いて励起された検出可能標識から検出された1つまたは複数のシグナルを用いて、ポリペプチド複合体中の1つまたは複数のポリペプチド分子の量を定量することができる。
【0111】
本明細書において説明される方法はまた、1つまたは複数の検出可能標識を、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に供する段階も含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、光退色を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、段階的な光退色を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、色素クエンチングを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件は、該検出可能標識の酵素的切断を含む。検出可能標識は、光切断によってレポーター部分から物理的に切り離されるかまたは結合を解かれてよい。検出可能標識を、第1のエネルギー源(例えば、光またはレーザー)に供して、検出可能標識に光退色を引き起こすことができる。検出可能標識を、第2のエネルギー源を用いて励起した際に検出不可能にし、続いてレポーター部分に由来する検出可能シグナルを検出することができる。第1のエネルギー源は、第2のエネルギー源より多い量のエネルギーを提供し得る。第1のエネルギー源および第2のエネルギー源は、光退色をもたらす可能性があるレーザーで、視野(例えば顕微鏡画像化)を照らし得る。第1のエネルギー源は、1つまたは複数の検出可能標識についての少なくとも1つのサブセットを検出不可能にし得る。1つまたは複数の検出可能標識に由来する検出可能シグナルの強度の変化は、ポリペプチド複合体中に存在するポリペプチド分子の数と関連付けることができる。第1のエネルギー源および第2のエネルギー源は、同じであってもよい。第1のエネルギー源および第2のエネルギー源は、異なってもよい。その後の光退色と、それに続く検出可能シグナルの検出を、実施してよい。光退色および/または検出のプロセスは、検出可能標識の実質的にすべてを検出不可能にできるまで、繰り返してよい。光退色および/または検出のプロセスは、1つまたは複数の検出可能標識の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、92%、94%、96%、98%を検出不可能にできるまで、繰り返してよい。光退色および/または検出のプロセスは、1つまたは複数の検出可能標識の少なくとも約50%を検出不可能にできるまで、繰り返してよい。光退色および/または検出のプロセスは、1つまたは複数の検出可能標識の少なくとも約75%を検出不可能にできるまで、繰り返してよい。光退色および/または検出のプロセスは、1つまたは複数の検出可能標識の少なくとも約80%を検出不可能にできるまで、繰り返してよい。光退色および/または検出のプロセスは、1つまたは複数の検出可能標識の少なくとも約90%を検出不可能にできるまで、繰り返してよい。光退色および/または検出のプロセスは、1つまたは複数の検出可能標識の少なくとも約99%を検出不可能にできるまで、繰り返してよい。
【0112】
図7Aは、本明細書において開示される方法の1つの態様による光退色の例を示す。検出可能標識710は、励起エネルギー源720を用いて励起され得る。シグナル730は、励起された検出可能標識710から検出され得る。励起エネルギー源720は、レーザーであってよい。検出可能標識は、フルオロフォア色素を含む分子であってよい。シグナル730は、蛍光シグナルであってよい。エネルギー源741は、検出可能標識710を検出不可能標識751にするために使用され得る。
【0113】
いくつかの場合において、検出可能標識は、検出可能標識をレポーター部分から切断することによって、レポーター部分との結合を解かれ得る。検出可能標識は、切断可能なリンカー(例えばスペーサー)によってレポーター部分に結合され得る。切断可能なリンカーは、酵素によって切断可能であってよい。切断可能なリンカーは、化学的に切断可能なリンカーであってよい。切断可能なリンカーは、光切断可能なリンカーであってよい。切断可能なリンカーは、pH変化によって切断されることが可能であり得る。切断可能なリンカーを分離するための切断条件の非限定的な例には、酵素、求核性試薬もしくは塩基性試薬、還元剤、光照射、求電子性試薬もしくは酸性試薬、有機金属試薬もしくは金属試薬、または酸化剤が含まれ得る。
【0114】
図7Bは、本明細書において開示される方法の1つの態様によるポリペプチドの処理の例を示す。検出可能標識710は、励起エネルギー源720を用いて励起されることができる。シグナル730は、励起された検出可能標識710から検出され得る。励起エネルギー源720は、レーザーであることができる。検出可能標識は、フルオロフォア色素を含む分子であることができる。シグナル730は、蛍光シグナルであることができる。検出可能標識710は、検出可能標識710とレポーター分子705との結合を解くことによって、検出不可能にされ得る。検出可能標識710は、切断系によって、レポーター分子705との結合を解かれ得る。この切断系は、スペーサー706(例えばクロスリンカー)を切断して、検出可能標識710を検出不可能標識752に変え得る。この切断プロセスは、光切断反応を含み得る。光切断反応は、例えば、励起されたエステルに由来するイオン対を含み得、対応するアルコールは、エネルギー(例えば、光またはレーザー)を加えることによって分離され得る。この切断プロセスは、例えば酵素(例えば制限酵素)を用いる、化学的切断反応を含み得る。
【0115】
いくつかの場合において、タンパク質凝集体(例えばオリゴマー)中のポリペプチド分子(例えばモノマー)を、少なくとも1つのレポーター部分に結合させることができる。他方で、レポーター部分が、少なくとも1つの検出可能標識を有してもよく、またはそれに結合されてもよい。したがって、検出可能標識に由来するシグナルを定量することによって、試料中のポリペプチド分子の数(例えば、試料におけるモノマーカウント)および/またはポリペプチド複合体中のポリペプチド分子の数(例えば、オリゴマーの大きさを示す、オリゴマーにおけるモノマーカウント)を定量することができる。他のいくつかの場合において、ポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)を少なくとも1つのレポーター部分に結合することができ、そして該レポーター部分は、少なくとも1つの検出可能標識に結合されてよく、またはそれを有してよい。したがって、検出可能標識に由来するシグナルを定量することによって、試料中に存在するオリゴマーの数を定量することができる(例えばオリゴマーカウント)。
【0116】
いくつかの場合において、シグナルの強度を用いて、ポリペプチド複合体に由来する検出可能シグナルを定量することができる。いくつかの場合において、実質的にすべての検出可能標識を検出不可能にするのに十分な、シグナルを検出不可能にする繰り返しサイクルの回数を数えることによって、シグナルを定量することができる。いくつかの場合において、検出されるシグナルの強度は、ポリペプチド複合体の大きさ(例えば、オリゴマー中のポリペプチドの数)と相互に関係付けることができる。いくつかの場合において、検出されるシグナルの強度を用いて、ポリペプチド複合体中または試料中に存在し得るポリペプチド分子の数を算出することができる。ポリペプチド分子は、個別に(例えば単一モノマー)またはポリペプチド複合体(例えば、2つもしくはそれより多いモノマーを有するオリゴマー)中のいずれかで、試料中に存在し得る。例えば、異種試料には、単一モノマー、および異なる数のモノマーを含む1つまたは複数のオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体としてそれぞれ公知である、2つ、3つ、4つ、または5つのサブユニットを有するオリゴマー)が含まれ得る。試料中のポリペプチドの数には、異種試料中の単一モノマー、二量体、三量体、四量体、五量体、および/またはより大きなポリペプチド複合体の数が含まれ得る。
【0117】
複数のパラメーターを、検出されるシグナルと相互に関係付けるか、または直接的に測定することができる。複数のパラメーターは、モノマーカウント、オリゴマーカウント、オリゴマーの大きさ(例えば、2個、3個、4個、5個、もしくはそれより多いモノマーを有するオリゴマー)、ポリペプチド分子カウントの頻度、モノマーカウントの頻度の分布、モノマーカウントの頻度の分布様式、および/または他のパラメーターを含み得る。モノマーカウントの頻度の分布様式は、ひいては分布の変化も含み得る。モノマーカウントの頻度分布の変化はまた、検出されるシグナルから間接的に相互に関係付けられ得るかまたは測定され得るパラメーターであることができる。検出されるシグナルから直接的に測定されるかまたは相互に関係付けられる複数のパラメーターは、診断能力を有する定量的指標として使用することができる。複数のパラメーターは、疾患もしくは障害の臨床症状、疾患もしくは障害の病期、疾患もしくは障害の進行、および/または疾患もしくは障害に対する治療選択を含めて、疾患または障害と相互に関係付けるかまたは関連付けることができる。
【0118】
図8A~Cは、ポリペプチド複合体に結合されたレポーター部分の検出可能標識に由来するシグナルを定量する例を示す。図8Aに示される方法800において、ポリペプチド複合体820は、複数のポリペプチド分子を含み得る。次いで、1つまたは複数のレポーター部分830は、ポリペプチド複合体820中の複数のポリペプチド分子のうちの1つまたは複数に結合され得る。各レポーター部分は、検出可能標識を含み得る。複数の検出可能標識840a~cは、シグナルを生じ得、そして、該シグナルを用いて検出され得る。次に、エネルギー源850を提供して、複数の検出可能標識840a~cのうちの多くとも1つを、検出不可能状態860にすることができる。このプロセスは、光退色を含み得る。いくつかの場合において、エネルギー源850は、複数の検出可能標識のうちの少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多い量を検出不可能にするために十分であり得る。エネルギー源850は、複数の検出可能標識のうちの多くとも約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、またはそれより少ない量を検出不可能にするために十分であり得る。検出段階および/または光退色段階は、本質的にすべての検出可能標識が検出不可能になるまで繰り返されてよい。
【0119】
例えば、図8Bは、検出可能標識を検出不可能にするための態様を示す。複数のレポーター部分が、ポリペプチド複合体に結合され得る。第1のエネルギー源850aは、複数の標識に由来する第1の検出可能標識840aを、検出不可能状態860aにするために、適用され得る。次に、第2のエネルギー源850bは、複数の標識に由来する第2の検出可能標識840bを検出不可能状態860bにするために、適用され得る。第3のエネルギー源850cは、複数の標識に由来する第3の検出可能標識840cを検出不可能状態860cにするために、適用され得る。図8Bに示されるように、本明細書において説明される方法のいずれかの態様を限定することは意図されないが、シグナル除去段階(例えば、クエンチングまたは光退色)を3回繰り返すことが、検出可能標識840a~cを検出不可能にするために必要とされ得る。このことは、検出されつつあるポリペプチド複合体中のポリペプチド分子の数と、相互に関係し得る。
【0120】
図8Cは、前述の検出および/または光退色の繰り返しサイクルの定量を示す。ポリペプチド複合体820に由来する1つまたは複数のシグナルの最初の検出を、最大値または検出される100%の相対的蛍光レベル870とみなしてよい。第1のエネルギー源を提供して、検出可能標識のサブセットを(例えば光退色によって)検出不可能にした後、検出されるシグナルは、第2の相対的蛍光レベル871に低下し得る。次に、第2のエネルギー源が、残っている検出可能標識のサブセットを検出不可能にするために、適用され得る。検出されるシグナルは、第3の相対的蛍光レベル872に低下し得る。残っている検出可能標識のサブセットを部分的に光退色させるためにエネルギー源を適用するサイクルは、ポリペプチド複合体からシグナルを本質的に検出できなくなるまで、継続することができる。例えば、図8Bに示されるように、第3のエネルギー源もまた、適用することができる。この時点で、図8Cに示されるように、検出されるシグナルは、ベースラインの相対的蛍光レベル873と等価な相対的蛍光レベルまで低下させることができる。ベースラインは、シグナル除去段階(例えば、クエンチングまたは光退色)(シグナルが、ポリペプチド複合体に結合された検出可能標識から除去される(例えば、光退色または光切断))の前に検出される最大値または100%のシグナルと比べて、少なくとも約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、またはそれより多い蛍光シグナルであることができる。
【0121】
図9は、ポリペプチド複合体を検出する別の態様を示す。方法900は、1つまたは複数のポリペプチド分子を含み得るポリペプチド複合体920を検出するために使用され得る。ポリペプチド複合体は、(例えば、クロスリンカーを用いることによって)支持体901上に固定化されている捕捉ユニット910に、結合されてよい。この方法は、1つまたは複数の認識ユニットを含むレポーター部分930を、さらに含み得る。これら1つまたは複数の認識ユニットは、複合体920中の1つまたは複数のポリペプチド分子に結合するように構成され得る。レポーター部分930中の認識ユニットは、ポリペプチド複合体920に選択的に結合するように構成され得る。レポーター部分はまた、レポーター部分938も含み得る。ポリペプチド複合体920は、検出可能標識938から放出されるシグナルを検出することによって、検出され得る。検出可能標識938は、エネルギー源940を用いて、検出不可能状態950にされ得る。これにより、標識された他の分子を含む試料中のポリペプチド複合体920を検出することが可能になり得る。例えば、ポリペプチド複合体は、複合体920中の1つまたは複数のポリペプチド分子と類似した複数のポリペプチド分子を含み得る。より大きなポリペプチド複合体は、複合体920より2倍、3倍、4倍、またはそれより大きくてよい(例えば、類似したサブユニットを有するタンパク質凝集体、または類似した繰り返しサブユニットを有するタンパク質タンデムリピート)。続いて、より大きなポリペプチド複合体は、レポーター部分930に類似した2個またはそれより多いレポーター部分で標識されてよい。ポリペプチド複合体に結合された1つの検出可能標識を検出不可能にするのに十分なエネルギー源を提供することによって、標識938を有するポリペプチド複合体920は、シグナル950を失う可能性があり、一方、2個またはそれより多い検出可能標識を有する、より大きなポリペプチド複合体は、検出可能である場合がある。
【0122】
図10は、ポリペプチド分子を検出するための方法の態様を示す。方法1000は、1つまたは複数のポリペプチド分子1020a~cを検出する段階を含み得る。1つまたは複数のポリペプチド分子1020a~cは、複数のポリペプチド分子を捕捉するように構成され得る捕捉ユニット1010を用いて、捕捉され得る。この捕捉ユニットは、クロスリンカー1014を介して支持体1001に結合され得る。捕捉ユニット1010は、捕捉ユニット410に類似していてよい。検出可能標識(例えば検出可能標識1030a~c)を有するレポーター部分は、1つまたは複数のポリペプチド分子1020a~cのそれぞれに結合されてよい。検出可能標識1030a~cは、光退色プロセス1040に供されてよい。光退色プロセス1040は、エネルギー源(例えば、光またはレーザー)を提供する1つまたは複数の段階を含み得る。光退色1040の各段階は、少なくとも1つの検出可能標識を検出不可能(例えば検出不可能標識1050)にし得る。検出可能標識から検出されるシグナルの変化は、捕捉および/または標識されるポリペプチド分子の数と相関関係があり得る。いくつかの場合において、実質的にすべての検出可能標識を検出不可能にするための光退色プロセス1040におけるいくつかの繰り返し段階は、捕捉および/または標識されるポリペプチド分子の数と相関関係があり得る。
【0123】
図11は、ポリペプチド複合体を検出する別の態様を示す。ポリペプチド複合体1120は、捕捉ユニット1110によって捕捉され得る。捕捉ユニットは、ポリペプチド複合体1120中の複数のポリペプチド分子に該捕捉ユニットが結合することを可能にし得る複数の捕捉部位を含み得る。ポリペプチド複合体は、結合ユニット1124を含み得る。捕捉ユニット1110は、あらかじめ定められた数のポリペプチド分子を有するポリペプチド複合体(例えば、3個、4個、またはそれより多いサブユニットを有するオリゴマー)を特異的に捕捉し得る。ポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)は、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、40個、50個、100個、またはそれより多いポリペプチド分子(例えば、タンデムリピートまたはモノマーサブユニット)を含み得る。次に、検出可能標識(例えば検出可能標識1135)を有する複数のレポーター部分を、ポリペプチド複合体1120に結合してよい。検出可能標識を、最初に検出し、次いで、エネルギー源1140に供して、少なくとも1つの検出可能標識(例えば検出可能標識1135)を検出不可能(例えば、検出不可能標識1150)にしてよい。検出および/または光退色は、ポリペプチド複合体からシグナルを実質的に検出できなくなるまで、繰り返してよい。実質的にすべての検出可能標識を検出不可能にするために必要とされるサイクルの数を、定量することができ、かつ/または該サイクルの数を、ポリペプチド複合体1120中のポリペプチド分子の数と相互に関係付けることができる。
【0124】
図12に示されるように、1つの検出可能標識1235を有するレポーター部分を用いて、ポリペプチド複合体1120を標識してよい。レポーター部分は、ポリペプチド複合体1120に選択的に結合するように構成され得る。したがって、検出可能標識1235に由来するシグナルを検出する段階は、試料中のポリペプチド複合体1120を検出するために使用され得る。検出可能標識1235は、1回の光退色段階1240において検出不可能状態1250にされ得る。
【0125】
図13図14、および図15は、ポリペプチド複合体を検出する段階の例を概略的に示し、ここで、該ポリペプチド複合体は、タンパク質タンデムリピート1320の配列物であってよい。図13に示されるように、ポリペプチド複合体1320(例えば、タンパク質タンデムリピートの配列物)は、複数のポリペプチド分子(例えば、配列物中のタンパク質タンデムリピートのユニット)を含み得る。ポリペプチド複合体1320は、捕捉ユニット1310を介して捕捉され得る。捕捉ユニット1310は、ポリペプチド複合体1320中の少なくとも1つのポリペプチド分子に結合することによって、ポリペプチド複合体1320を捕捉し得る。この方法は、1つまたは複数の認識ユニットを含むレポーター部分1330を、さらに含み得る。1つまたは複数の認識ユニットはまた、検出可能標識1335を含むこともできる。検出可能標識1335から放出されるシグナルを検出することによって、ポリペプチド複合体1320を検出することができる。検出可能標識1335は、エネルギー源1340を用いて、検出不可能状態1350にされ得る。
【0126】
図14に示されるように、複数の認識ユニット(例えば認識ユニット1431)を有するレポーター部分1430が、ポリペプチド複合体1420を標識するために使用され得る;ここで、該レポーター部分1430は、ポリペプチド複合体1420中の複数のポリペプチド分子に同時に結合され得る。これにより、レポーター部分1431とポリペプチド複合体1420との一層強力な結合が可能になり得る。また、ポリペプチド複合体1420の選択的標識も可能になり得る。例えば、レポーター部分1430は、ポリペプチド複合体1420とは異なるタンパク質折り畳みおよび/またはタンパク質構造を有し得るポリペプチド複合体には、それらのポリペプチド分子の類似性にもかかわらず、結合することができない。いくつかの場合において、レポーター部分1430は、1420よりも多くのポリペプチド分子を有するポリペプチド複合体(例えば、類似したタンパク質タンデムサブユニットの、異なるアレイ)を標識するために使用され得る。複数のレポーター部分1330中の個々のレポーター部分のそれぞれが、検出可能標識(例えば検出可能標識1435)を有して、ポリペプチド複合体1320を複数の検出可能標識で標識し得る。エネルギー源1440を適用して、少なくとも1つの検出可能標識を検出不可能(例えば検出不可能標識1450)にしてよい。このプロセスは、複数回、繰り返してよい。実質的にすべての検出可能標識を検出不可能にするために繰り返され得るこのプロセスの回数は、ポリペプチド複合体1420中のポリペプチド分子の数と相互に関係付けることができる。レポーター部分1430は、検出可能シグナル1435を有してよく、かつエネルギー源1440を用いて検出不可能状態1450にされてよい。
【0127】
図15に示されるように、ポリペプチド複合体1520は、捕捉ユニット1510を介して捕捉され得る。捕捉ユニット1510は、ポリペプチド複合体1520中の複数のポリペプチド分子を捕捉するための、複数の捕捉部位(例えば捕捉部位1515)を含み得る。これにより、捕捉ユニットとポリペプチド複合体との結合親和性を一層強くすることができ、かつ/または異種試料中のポリペプチド複合体1520の選択的捕捉を促進することができる。異種試料は、2種またはそれより多い種類の、異なるポリペプチド複合体を含み得る。捕捉ユニット1510は、抗体を含み得る。ポリペプチド複合体1520を標識および/または検出するために、1つまたは複数のレポーター部分を、ポリペプチド複合体1520中の1つまたは複数のポリペプチド分子に結合させることができる。複数のレポーター部分1530中の個々のレポーター部分は、ポリペプチド複合体1520中の各ポリペプチド分子に結合され得る。
【0128】
疾患または障害を検出すること
対象における疾患または障害を検出するための方法が、本明細書において提供される。これらの方法は、複数のポリペプチド分子を含む、対象に由来するポリペプチド複合体を提供する段階を含み得、ここで、該ポリペプチド複合体は、支持体に固定化された捕捉ユニットに結合され得る。次いで、複数の検出可能標識を含む複数のレポーター部分が、ポリペプチド複合体に結合され得る。次に、複数の検出可能標識に対応する1つまたは複数のシグナルを、ポリペプチド複合体から検出することができる。複数の検出可能標識は、複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に供されてよい。対象における疾患または障害は、ポリペプチド複合体から検出され得る、複数の検出可能標識に対応する1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、検出することができる。
【0129】
いくつかの態様において、複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に複数の検出可能標識を供することを含む、標識を除去する段階を、繰り返すことができる。標識を除去する段階は、ポリペプチド複合体に結合され得る複数のレポーター部分中の検出可能標識の強さを弱め得る。ポリペプチド複合体(例えばオリゴマー)中のポリペプチド分子の数は、ポリペプチド複合体に結合され得るレポーター部分中の実質的にすべての標識が検出不可能になるまで除去段階を繰り返すことによって、決定することができる。例えば、ポリペプチド複合体を表す、支持体(例えば、蛍光画像化スライド)上のある位置で検出され得る蛍光シグナルの強度の低下の数を用いて、ポリペプチド複合体中のポリペプチド分子の数を計数することができる。対象に由来する試料中のポリペプチド複合体におけるポリペプチド分子の数の分布を、対照試料または参照試料と比較してよい。対照試料または参照試料は、健常個体または同じ対象の健常組織に由来してよい。対照試料または参照試料と比較しての、対象に由来する試料中のポリペプチド分子の数の分布の違いは、タンパク質の折り畳みおよび/またはポリペプチド分子のオリゴマー形成における異常を示し得る。
【0130】
限定することを意図していないが、オリゴマーカウントを測定する段階を含む本明細書において説明される方法は、ある個体が神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)を罹患しているかどうかを明らかにするために使用され得る。本明細書において説明される方法を用いて、個体の生物試料中の複合体または凝集体中のα-シヌクレインのオリゴマーカウントを測定することができる。いくつかの場合において、方法は、α-シヌクレイン、β-シヌクレイン、γ-シヌクレイン、またはそれらの組合せを同定する。いくつかの場合において、方法は、α-シヌクレインレベルとβ-シヌクレインレベル、α-シヌクレインレベルとγ-シヌクレインレベル、またはβ-シヌクレインレベルとγ-シヌクレインレベルの比を特定する。いくつかの場合において、本明細書において説明される方法は、α-シヌクレインの凝集が疾患の前兆となる疾患に個体が罹患しているかどうかを決定するために使用され得る。例えば、α-シヌクレインの凝集は、シヌクレイノパチー、例えば、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、および/または多系統萎縮症(MSA)の発生の前兆となる。いくつかの場合において、本明細書において説明される方法は、疾患の病期を決定するために使用され得る。いくつかの場合において、本明細書において説明される方法は、個体が前述の疾患の早期発症型に罹患しているかを決定するために使用され得る。
【0131】
バイオマーカー
α-シヌクレイン
患者の生物試料中の複合体または凝集体中のα-シヌクレインのオリゴマーカウントを測定するための臨床的アッセイ法が、本明細書において提供される。α-シヌクレインの凝集は、シヌクレイノパチー、例えば、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、および/または多系統萎縮症(MSA)の発生の前兆となり得る。パーキンソン病。アッセイ法は、(a)単一タンパク質の大規模な異種混合物中のオリゴマーの集団を測定することと(b)著しく直線的な応答を提供することを含む、単一分子サンドイッチELISA法を使用してよい。いくつかの場合において、デュアルモード単一分子蛍光アッセイ法が、生物試料中の複合体または凝集体中のα-シヌクレインのオリゴマーカウントを測定するために使用され得る。いくつかの場合において、デュアルモード単一分子蛍光アッセイ法は、以下を用いて、オリゴマーカウント数についての独立した2つの測定値を並行して獲得することができる:1)標的に結合された標識されたプローブの蛍光強度に由来し得る、結合した検出可能標識の数;および2)α-シヌクレインオリゴマー間の物理的直線距離。例えば、参照により組み入れられるCannon B, Pan C, Chen L, Hadd AG, Russell R (2013) A dual-mode single-molecule fluorescence assay for the detection of expanded CGG repeats in Fragile X syndrome. Mol Biotechnol 53: 19-28. pmid:22311273を参照されたい。本明細書において説明されるアッセイ法は、タンパク質の誤った折り畳みに関連する他の障害および/または疾患、例えばタウオパチーを検出するために、タウタンパク質などの他のタンパク質凝集体を対象にできるように、一般化することができる。
【0132】
様々な疾患または障害についてのバイオマーカーとして使用され得る他のポリペプチド複合体を、本明細書において説明される方法を用いて検出することができる。これら他のポリペプチド複合体には、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンが含まれ得る。
【0133】
コンピューターシステム
本開示は、本開示の方法を遂行するようにプログラムされたコンピューターシステムを提供する。図17は、本明細書において提供される方法または方法の一部を遂行するようにプログラムされるかまたは別の様式で構成されているコンピューターシステム1701を示す。コンピューターシステム1701は、本開示の様々な局面を調節して、例えば、エネルギー源を制御して1つまたは複数の検出可能標識を励起すること、検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出および/または定量すること、エネルギー源を制御して1つまたは複数の検出可能標識を検出不可能にすること、検出可能シグナルの変化を測定すること、検出可能シグナルの変化とポリペプチド分子および/またはオリゴマーの量とを相互に関係付けること、励起、光退色もしくは光切断、および/またはシグナル検出のサイクルの繰り返しを制御することができる。コンピューターシステム1701は、ユーザーの電子装置または該電子装置から遠く離れて位置しているコンピューターシステムであってよい。電子装置は、持ち運び可能な電子装置であってよい。
【0134】
コンピューターシステム1701は、中央処理装置(CPU、本明細書において「プロセッサー」および/または「コンピュータープロセッサー」ともいう)1705を含み、該中央処理装置は、シングルコアプロセッサーもしくはマルチコアプロセッサー、または並列処理のための複数のプロセッサーであってよい。コンピューターシステム1701はまた、メモリもしくはメモリロケーション1710(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット1715(例えばハードディスク)、1つもしくは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース1720(例えばネットワークアダプター)、ならびに/または周辺装置1725、例えば、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置、および/もしくは電子ディスプレイアダプターも含む。メモリ1710、記憶ユニット1715、インターフェース1720、および/または周辺装置1725は、マザーボードなどの通信バス(実線)を通じてCPU1705と通信している。記憶ユニット1715は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(またはデータリポジトリー)であってもよい。コンピューターシステム1701は、通信インターフェース1720の助けを借りてコンピューターネットワーク(「ネットワーク」)1730に機能的に連結されてよい。ネットワーク1730は、インターネット、ネットワーク間のネットワーク(an internet)および/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信しているイントラネットおよび/もしくはエクストラネットであってもよい。いくつかの場合において、ネットワーク1730は、電気通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク1730は、1つまたは複数のコンピューターサーバーを含んでよく、該コンピューターサーバーは、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にし得る。ネットワーク1730は、コンピューターシステム1701の助けを借りるいくつかの場合において、ピアツーピアネットワークを遂行し得、該ピアツーピアネットワークは、コンピューターシステム1701に連結された装置がクライアントまたはサーバーとして動作することを可能にし得る。
【0135】
CPU1705は、プログラムまたはソフトウェアにおいて具現化され得る、機械可読の一続きの命令を実行することができる。これらの命令は、メモリ1710などのメモリロケーションに記憶されてよい。これらの命令は、CPU1705に向けて送られてよく、その後、本開示の方法を遂行するようにCPU1705をプログラムするかまたは別の様式で構成し得る。CPU1705によって実施される動作の例には、フェッチ、デコード、実行、および/またはライトバックが含まれ得る。
【0136】
CPU1705は、集積回路などの回路の一部であってよい。システム1701の1つまたは複数の他の構成要素が、該回路に含まれてよい。いくつかの場合において、該回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0137】
記憶ユニット1715は、ドライバー、ライブラリ、および/または保存されたプログラムなどのファイルを記憶し得る。記憶ユニット1715は、ユーザーデータ、例えば、ユーザーの好みおよび/またはユーザープログラムを記憶し得る。いくつかの場合において、コンピューターシステム1701は、コンピューターシステム1701の外部にある1つまたは複数の付加的なデータ記憶ユニット、例えば、イントラネットまたはインターネットを通じてコンピューターシステム1701と通信するリモートサーバー上に配置されたもの、を含んでよい。
【0138】
コンピューターシステム1701は、ネットワーク1730を通じて1つまたは複数のリモートコンピューターシステムと通信し得る。例えば、コンピューターシステム1701は、ユーザーのリモートコンピューターシステム(例えば、蛍光イメージング機器、顕微鏡、蛍光分光計)と通信し得る。リモートコンピューターシステムの例には、パーソナルコンピューター(例えば携帯型PC)、スレートPCもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、または携帯情報端末が含まれる。ユーザーは、ネットワーク1730を通じてコンピューターシステム1701にアクセスすることができる。
【0139】
本明細書において説明される方法は、コンピューターシステム1701の電子的記憶場所に、例えばメモリ1710または電子記憶ユニット1715に記憶された、機械(例えばコンピュータープロセッサー)が実行可能なコードによって、遂行され得る。機械が実行可能または機械可読のコードは、ソフトウェアの形態で提供されてよい。使用中、コードはプロセッサー1705によって実行され得る。いくつかの場合において、コードは、記憶ユニット1715から取り出され得、プロセッサー1705が容易にアクセスできるようにメモリ1710に記憶され得る。いくつかの状況では、電子記憶ユニット1715は除外されてよく、かつ/または機械が実行可能な命令がメモリ1710に記憶される。
【0140】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサーを有する機械で使用するために事前コンパイルされ、かつ/もしくは構成されてもよく、または実行時間中にコンパイルされてもよい。コードは、事前コンパイルされた様式または同時にコンパイルされる様式でコードが実行されるのを可能にするように選択され得るプログラミング言語で、提供され得る。
【0141】
本明細書において提供されるシステムおよび方法の局面、例えばコンピューターシステム1701は、プログラミングにおいて具現化され得る。この技術の様々な局面は、典型的には、あるタイプの機械可読媒体上に保持されるかまたはあるタイプの機械可読媒体において具現化される、機械(またはプロセッサー)が実行可能なコードおよび/または関連データの形態の、「製品」または「製造品」であると考えられ得る。機械が実行可能なコードは、電子記憶ユニット、例えば、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスク上に記憶され得る。「記憶」型媒体には、コンピューターの有形メモリもしくはプロセッサーなど、またはそれらの関連モジュール、例えば、様々な半導体メモリ、テープドライブ、およびディスクドライブなど、のいずれかまたはすべてが含まれてよく、これらはソフトウェアプログラミングのために、いつでも非一過性記憶を提供し得る。ソフトウェアのすべてまたは一部分は、時には、インターネットまたは他の様々な電気通信ネットワークを通じて通信され得る。例えば、このような通信は、1つのコンピューターまたはプロセッサーから別のコンピューターまたはプロセッサーへの、例えば、管理サーバーまたはホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームへの、ソフトウェアのローディングを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を有し得る別のタイプの媒体には、例えば、ローカルデバイス間の物理インターフェースを横断して、有線および/もしくは光学的地上通信線ネットワークを通じて、ならびに/または様々なエアリンクを通じて使用される、光波、電波、および/または電磁波が含まれる。このような波を伝える物理的要素、例えば、有線リンクもしくは無線リンク、または光リンクなどもまた、ソフトウェアを有する媒体とみなしてよい。本明細書において使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定される場合を除いて、コンピューターまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のために命令をプロセッサーに提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0142】
したがって、コンピューター実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形態をとることができる。非揮発性記憶媒体には、例えば、図に示される、データベースなどを遂行するために使用され得るような任意のコンピューターなどにおける記憶デバイスのいずれかなどの光ディスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータープラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリが含まれる。有形伝送媒体には、同軸ケーブル、銅線および/または光ファイバーが含まれ、コンピューターシステム内のバスを構成するワイヤが含まれる。搬送波伝送媒体は、無線周波数(RF)および/または赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなど、電気信号もしくは電磁信号または音波もしくは光波の形態をとることができる。したがって、コンピューター可読媒体の一般的な形態には、例えば以下のものが含まれる:フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、他の任意の光学的媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する他の任意の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブルもしくはリンク、または他の任意の媒体であって、それからコンピューターがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができる、該媒体。これらの形態のコンピューター可読媒体の多くは、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを、実行のためにプロセッサーに搬送することに関与し得る。
【0143】
コンピューターシステム1701は、例えば、光退色または光切断のパラメーター(例えば、持続時間、エネルギー源の強度、エネルギー源のタイプ)を制御するための指示および/または選択肢を提供するためのユーザーインターフェース(UI)1740を備える電子ディスプレイ1735を含んでよく、またはそれと通信してもよい。UIの例には、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)および/またはウェブベースのユーザーインターフェースが、非限定的に含まれる。
【0144】
本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって遂行され得る。アルゴリズムは、中央処理装置1705による実行時にソフトウェアによって遂行され得る。アルゴリズムは、例えば、本明細書において説明される方法の一部分を遂行し得る。
【実施例
【0145】
実施例1:個々のオリゴマー複合体中のモノマーを計数するためのアッセイ法
サンドイッチELISAアッセイ法が、個々の各オリゴマー複合体中のモノマーを計数するために実施される(図1Aおよび図1B)。α-シヌクレインオリゴマー103を含む生物学的液体(例えば、CSF、血液、唾液)を、共通のα-シヌクレイン特異的抗体102で機能化されたスライドガラス101上に添加する。次いで、単一のフルオロフォア105で標識された検出二次抗体104を流して通過させて、単一分子サンドイッチELISAアッセイ法を行う。オリゴマー複合体106は、複数の二次抗体に結合すると考えられる。個々の蛍光スポット110を光退色させることなどによって個々のフルオロフォアを除去することにより、個々の強度軌跡および/または蛍光強度120の段階的低下が生じ得る。蛍光強度121の各段階的低下は、フルオロフォアの光破壊と相関関係があり、段階の数は、フルオロフォアまたは二次抗体の総数に相当する。個々のオリゴマー複合体当たりの段階的低下の数を調べることによって、単一分子感度におけるオリゴマー複合体のモノマー分布の統計学的変化を観察することができる130。例えば、このアッセイ法は、数百万個の捕捉されたα-シヌクレイン種におけるモノマーカウントの頻度分布を得るために使用され得る。この分布の顕著な変化は、異常性の存在を示す場合がある。この分布の顕著な変化は、疾患または障害を検出するための定量的指標となり得る。
【0146】
実施例2:二次抗体を選択するためのアッセイ法
複合体中(例えば、α-シヌクレイン中)の複数のモノマーを数えるために、各モノマーに、単一の二次抗体が結合される場合がある。そうであるから、二次抗体のパラメーターのセットは、(a)密に詰まったモノマー(例えばエピトープ)への接近および/もしくは結合に影響する、二次抗体の大きさおよび/もしくは形状に起因する立体障害、(b)フルオロフォアのコンジュゲーションに起因する、二次抗体の結合親和性に対する作用、ならびに/または(c)フルオロフォア間の非特異的疎水性相互作用を含むように、選択することができる。図16は、組換えα-シヌクレインがストレプトアビジンで三量体化され、機能化表面上に固定化された、アッセイ法を示す。このアッセイ法は、特異的かつ強い結合を求めて、(例えばプロテインG標識を介して)蛍光標識された抗体を選択するために、使用され得る。四量体化されたストレプトアビジン1604およびビオチンにコンジュゲートされたα-シヌクレイン1605a~cは、特異的かつ強い結合を示す、プロテインG標識1607a~cを介して蛍光標識1608a~cと結合した抗体1606a~cを選択するために使用される。アッセイ法1600は、蛍光標識された二次抗体の混み合い効果を除外するように構成され得る。アッセイ法1600は、標識された二次抗体と共にインキュベートした後に蛍光低下カウントを画像化および測定し、したがって、様々な二次抗体ならびに二次抗体の結合を再現するための洗浄条件および画像化条件を迅速に試験するために、使用され得る。
【0147】
プロテインGのN末端標識および二次抗体との結合:Atto647Nまたはローダミンなどの水溶性かつ正電荷を持つフルオロフォアを、長いPEG(10)リンカーを介してピリジンカルボキシアルデヒド(PCA)官能基にコンジュゲートして、PCA-フルオロフォア試薬を作製することができる。このPCA試薬は、プロテインGにコンジュゲートされ、精製されてよい。次いで、図16に示されるように、この個々に標識されたプロテインG試薬1607を用いて、Fcセグメントへの結合を介してすべての二次抗体1606を標識することができる。アッセイ法1600を用いて、様々な抗体の混合物から、オリゴマーを効果的に標識するための抗体(例えば、モノマー1個につき1つだけの抗体)を選択することができる。
【0148】
ストレプトアビジンを介した、α-シヌクレインの表面多量体化:ストレプトアビジンを、4当量のビオチン化α-シヌクレインと混合し、ビオチン機能化PEGで不活性化された表面上でインキュベートして、3つのα-シヌクレインタンパク質を含み得るストレプトアビジンクラスターを生じさせることができる。ストレプトアビジン複合体の複雑性および多量体化は、準化学量論的当量(例えば、0.25~0.5当量)の二官能性ビオチンPEGリンカーをビオチン化α-シヌクレインと混合することによって、さらに2倍に高めることができる。
【0149】
表面に結合されたα-シヌクレインの多量体状態を再現するための、蛍光結合二次抗体の迅速なスクリーニング:蛍光結合二次抗体を表面上の多量体化α-シヌクレインと共にインキュベートした後に、画像化システム(例えば共焦点蛍光顕微鏡)を用いて画像を得ることができる。この混合物(例えば試料)は、緩衝液、エネルギー源(例えばレーザー)、および試料を光退色させるためのカメラを含む画像化条件に供され得る。次いで、各蛍光スポットに関連する強度軌跡を測定することができる。顕微鏡の回折限界の性質を用いると、十分に希釈された場合、各蛍光スポットは、単一のストレプトアビジン/α-シヌクレイン/二次抗体複合体からの蛍光シグナルであり得る。すべての個々のスポットについての段階的低下数は、すべてのストレプトアビジンタンパク質上のα-シヌクレインの予想される分布(カウント中央値)と相関関係があり得る。スクリーニング設定のためのこのアッセイ法は、合理化することができ、比較測定基準としての単一の相関スコアと共に、このアッセイ法を使用して、二次抗体を実質的に迅速に選択することができる。アッセイ法1600によって同定された二次抗体は、標的タンパク質(例えばα-シヌクレイン)に対して選択的であり得、同じ複合体への他の結合事象を立体的に妨害する可能性はなく、かつ蛍光タグ化プロテインGの存在下での結合に対して高い親和性を示し得る。試料中に頻繁に存在し得るポリペプチドは、同定された二次抗体が標的タンパク質に対して高い選択性を有することを確認するために、アッセイ法1600における陰性対照として使用され得る。CSF中の最も豊富なタンパク質の1つであるビオチン化アルブミンタンパク質を、陰性対照として使用して、選択された抗体がα-シヌクレインに対して高い選択性を有することを確認することができる。
【0150】
実施例3:スライド不活性化
単一分子画像化研究のためのスライド不活性化の効果は、蛍光標識された生体分子の非特異的結合を防ぐために不可欠である。不活性シラン(メチルトリメトキシシラン)とビオチン化シラン(シランPEGビオチン)との最適比が、バックグラウンドの不活性領域に適切な機能的部位を提供するという仮説のもとで、スライドガラスの不活性化を改善するための実験を実施した。表面にコンジュゲートされたストレプトアビジン-ビオチンと蛍光性Atto647N-ビオチンとの間の相互作用を研究し、表面と非特異的に相互作用するAtto647N-ビオチンと対比させた。
【0151】
実験方法:(a)スライド調製:メタノール/2%酢酸の溶液中で、ビオチン化シランと不活性シランとを様々なモル比(1:1~1:50)で混合することによって、Bioptechs Inc最適スライドのスライドガラス(45mm)を調製した。次いで、このスライドをナノピュア水ですすぎ、真空オーブン中110℃で保存処理した。陰性対照(ビオチン化シランを含まない)もまた、調製した。(b)蛍光性生体分子の固定化:スライドを、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に溶かしたストレプトアビジン(2nM)溶液に10分間浸して、ビオチンとストレプトアビジンとの反応を完了させた。スライドを水で洗浄し、続いて、リン酸緩衝液(pH7.5)に溶かした2pMのAtto647N-ビオチンで洗浄し、30分間インキュベートした。スライドを洗浄し、画像化した。(c)全内部蛍光顕微鏡画像化:ガラススライドをFCS2 Bioptechsチャンバー内に組み合わせ、405nm、488nm、561nm、および647nmのレーザー、60×1.49NA油浸対物レンズ、ならびにiXon EMCCDカメラを備えたNikon Ti-E倒立型TIRF顕微鏡を用いて画像化した。Atto647Nが結合したスライドを画像化し、特定用途向けの画像処理スクリプトを用いて、実験スライドおよび不活性スライド上の単一蛍光分子を計数した。
【0152】
ビオチン化シラン/不活性シランの最適モル比は、1:20であることが判明した。図18A~B(150μm×150μmの画像化顕微鏡写真)で認められるように、蛍光生体分子のカウントを、2つのスライド(不活性、左パネル)とビオチン化表面(右パネル)との間で対比することができる。図18A~18Bは、スライド不活性化の効果を示し、多量体化ストレプトアビジン/Atto647N-ビオチン複合体の低い非特異的レベルを示している。表面におけるビオチンとストレプトアビジン複合体との相互作用を通じて表面上に固定化されたAtto647N-ビオチンの低いカウント(図18A)とは対照的な、5:1のAtto647N-ビオチン:ストレプトアビジン比のカウント(図18B)を明確に認めることができる。
【0153】
実施例4:三量体化ストレプトアビジン/α-シヌクレインの解析
ストレプトアビジン分子は、4つのビオチン結合部位を有する。1つの部位は、表面ビオチンの結合によって占有されているため、α-シヌクレイン-ビオチン結合に利用可能な3つの潜在的な空いた部位が存在する。実験の目標は、α-シヌクレイン、二次的標識抗体のインキュベーション時間および濃度を最適化することによって三量体化α-シヌクレインを形成させることであった。
【0154】
実験方法:(a)スライド上でのストレプトアビジン-α-シヌクレインの結合:(実施例3で説明したように)不活性化されビオチン化されたスライドを使用して、表面にストレプトアビジンを結合させた。ビオチン化α-シヌクレインを、1:1~1:100のストレプトアビジンとビオチン化α-シヌクレインという様々な濃度でインキュベートした。これらのスライドを1%Tween含有リン酸緩衝液で洗浄して、余分な未反応α-シヌクレインを除去した。(b)検出器抗体結合:Alexa-488で標識された検出器抗体を、スライド上で30分間、インキュベートした。リン酸緩衝液(0.1%Tween、50mM NaCl)による複数回の洗浄を実施して、余分な抗体を除去した。(c)画像化:実施例3で説明したようなTIRF顕微鏡設定を用いて、1秒の取得で2分間、488レーザーをスライドに照射することによって、画像ファイルを光退色させた。(d)画像処理:各個々のスポットを、特定用途向けの画像解析スクリプトを用いて解析し、蛍光強度を経時的に測定した。強度の段階的低下は光退色事象に対応し、その結果として、生体分子の存在と相関関係があった。強度の3段階の低下は、3つのフルオロフォア、例えば、3つのα-シヌクレイン結合の存在を示した。段階的低下の数が異なる分子のカウントについてのヒストグラムをプロットした。
【0155】
データから、1:50のストレプトアビジン/α-シヌクレインビオチンのモル比が、3段階低下分子を最大数生じるのに最適であることが示された。図19A~19Cは、検出抗体を伴う三量体化ストレプトアビジン/α-シヌクレインビオチンに対して実施された光退色および画像処理のアルゴリズムが3カウントデータを示したことを示す。図19Aは、単一ペプチド分子の光退色軌跡を示す。図19Bは、複合体を形成させるために第2の蛍光標識された検出器抗体(Alexa647で標識された)に結合されたストレプトアビジン/α-シヌクレインビオチンの単一分子の代表的視野を示す。図19Cは、右側のヒストグラムによって示されるように、3カウントデータに対するカウント/強度の分布を示す。データは、最大カウント3または三量体化されたα-シヌクレインおよびストレプトアビジンが観察されたことを示す。
【0156】
好ましい態様を本明細書において示し説明してきたが、このような態様は単なる例として提供されるにすぎないことが、当業者には明らかであろう。本開示の試薬、組成物、システム、および方法は、本明細書内で提供される具体的な例によって限定されることは意図されない。上述の明細書を参照して様々な態様を説明してきたが、本明細書における態様の説明および図解は、限定的な意味で解釈されることを意図されていない。本開示の実施可能な範囲から逸脱することなく、多数の変形、変更、および代用が、当業者にはすぐに思い浮かぶであろう。さらに、本開示のすべての局面は、様々な条件および変動要素に依存する、本明細書に記載されている具体的な記述、構成、または相対的比率に限定されないことが理解されるべきである。開示された概念を実践する際に、本開示の態様に対する様々な代替案が使用され得ることが、理解され得る。したがって、実施可能な開示の範囲は、このような任意の代替案、修正、変形、または等価物も包含することが企図される。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を定めること、およびこれらの特許請求の範囲内の方法および構造物ならびにそれらの等価物がそれに包含されることが、意図される。
【0157】
態様
以下の非限定的な態様は、本発明の例示的な例を提供するが、本発明の範囲を限定しない。
【0158】
態様1. 以下の段階を含む、対象に由来するポリペプチド複合体を解析するための方法:
(a)支持体に固定化された捕捉ユニットに結合されたポリペプチド複合体を提供する段階であって、該ポリペプチド複合体が、複数のポリペプチド分子を含む、段階;
(b)1つまたは複数のレポーター部分を該ポリペプチド複合体に結合させる段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が、複数の検出可能標識を含む、段階;
(c)該複数の検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階;および
(d)1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に、該複数の検出可能標識を供する段階。
態様2. (e)前記(c)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、態様1の方法。
態様3. ポリペプチド複合体からシグナルが検出されなくなるまで、前記(c)および(d)を少なくとも1回繰り返す段階
をさらに含む、態様1または2の方法。
態様4. ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットが、定量される、態様1~3のいずれか1つの方法。
態様5. 1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子に結合される、態様1~4のいずれか1つの方法。
態様6. 複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子が、1つまたは複数の結合ユニットを含み、該1つまたは複数の結合ユニットのうちの少なくとも1つの結合ユニットが、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分に結合される、態様1~5のいずれか1つの方法。
態様7. 1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットに結合される1つまたは複数の認識ユニットを含む、態様1~6のいずれか1つの方法。
態様8. レポーター部分が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識に結合されたスペーサーを含む、態様7の方法。
態様9. 1つまたは複数のシグナルが、複数の検出可能標識に対応する、態様1~8のいずれか1つの方法。
態様10. スペーサーが、検出可能標識と認識ユニットとを接続する、態様8の方法。
態様11. 前記(d)が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を光退色させることを含む、態様1~10のいずれか1つの方法。
態様12. 前記(d)が、ポリペプチド複合体から、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を除去することを含む、態様1~10のいずれか1つの方法。
態様13. ポリペプチド複合体が、少なくとも2個のポリペプチド分子を含む、態様1~12のいずれか1つの方法。
態様14. ポリペプチド複合体が、少なくとも5個のポリペプチド分子を含む、態様1~12のいずれか1つの方法。
態様15. ポリペプチド複合体が、少なくとも10個のポリペプチド分子を含む、態様1のいずれか1つの方法。
態様16. ポリペプチド複合体が、少なくとも20個のポリペプチド分子を含む、態様1のいずれか1つの方法。
態様17. 捕捉ユニットが、1つ以下の抗体を含む、態様1~16のいずれか1つの方法。
態様18. ポリペプチド複合体がバイオマーカーである、態様1~17のいずれか1つの方法。
態様19. バイオマーカーの発現レベルが、疾患または障害を示す、態様18の方法。
態様20. 疾患または障害が、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病である、態様19の方法。
態様21. バイオマーカーが、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンである、態様18の方法。
態様22. バイオマーカーが、神経変性疾患または神経変性障害に対応する、態様18~21のいずれか1つの方法。
態様23. バイオマーカーの発現レベルが、定量され、かつ健康評価と相互に関係付けられる、態様18~21のいずれか1つの方法。
態様24. 前記(a)が、対象に由来する試料に由来するポリペプチド複合体を提供することを含む、態様1~23のいずれか1つの方法。
態様25. 試料が、脳脊髄液、脳ホモジネート、組織ホモジネート、組織抽出物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、細胞溶解物、全血、血漿、血清、体の老廃物もしくは排泄物、またはそれらの任意の組合せを含む、態様24の方法。
態様26. 対象の健康が、前記(c)で検出された1つまたは複数のシグナルの検出に基づいて評価される、態様1~25のいずれか1つの方法。
態様27. 支持体が、ビーズ、ポリマーマトリックス、またはアレイである、態様1~26のいずれか1つの方法。
態様28. アレイが顕微鏡用スライドである、態様27の方法。
態様29. 捕捉ユニットが、支持体に直接的に固定化されている、態様1~28のいずれか1つの方法。
態様30. 前記(c)または(d)が、エネルギー源を提供することをさらに含む、態様1~29のいずれか1つの方法。
態様31. 前記(c)が、1つまたは複数の検出可能標識を光学的に検出可能にするのに十分な第1のエネルギー源を提供することを含む、態様1~30のいずれか1つの方法。
態様32. 1つまたは複数の検出可能標識が、光学的シグナルを放出する、態様31の方法。
態様33. 光学的シグナルが蛍光シグナルである、態様32の方法。
態様34. 第1のエネルギー源が、光またはレーザーである、態様31の方法。
態様35. 前記(d)が、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な第2のエネルギー源を提供することを含む、態様1~34のいずれか1つの方法。
態様36. 第2のエネルギー源が、光またはレーザーである、態様35の方法。
態様37. 第1のエネルギー源および第2のエネルギー源が、同じエネルギー源である、態様31~36のいずれか1つの方法。
態様38. 複数のポリペプチド分子が同種である、態様1~37のいずれか1つの方法。
態様39. 複数のポリペプチド分子が異種である、態様1~37のいずれか1つの方法。
態様40. 捕捉ユニットが、ポリペプチド複合体または該ポリペプチド複合体の個々のポリペプチド分子のいずれかに結合されている、態様1~39のいずれか1つの方法。
態様41. ポリペプチド複合体が、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合されている、態様1~40のいずれか1つの方法。
態様42. クロスリンカーがアミン特異的クロスリンカーである、態様41の方法。
態様43. クロスリンカーがPEGリンカーである、態様41の方法。
態様44. PEGリンカーが、1~10kDaのPEGリンカーである、態様43の方法。
態様45. PEGリンカーが、二官能性のビオチンPEGリンカーである、態様43の方法。
態様46. 前記(c)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、ポリペプチド分子カウントの頻度を決定する段階
をさらに含む、態様1~45のいずれか1つの方法。
態様47. ポリペプチド分子カウントの頻度分布の変化に少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、態様46の方法。
態様48. 1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、色素クエンチングを含む、態様1~10、12~30、または38~48のいずれか1つの方法。
態様49. 1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、該1つまたは複数の検出可能標識の酵素的切断を含む、態様1~10、12~30、または38~48のいずれか1つの方法。
態様50. 以下の段階を含む、対象に由来するポリペプチド複合体を解析するための方法:
(a)ポリペプチド複合体およびそれに結合された1つまたは複数のレポーター部分を提供する段階であって、該1つまたは複数のレポーター部分が複数の検出可能標識を含み、該ポリペプチド複合体が複数のポリペプチド分子を含む、段階;
(b)該複数の検出可能標識に由来する1つまたは複数のシグナルを検出する段階;ならびに
(c)1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件に、該1つまたは複数の検出可能標識を供する段階。
態様51. (d)ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子の量を定量するために、少なくとも1つまたは複数のシグナルを使用する段階
をさらに含む、態様50の方法。
態様52. ポリペプチド複合体からシグナルが検出されなくなるまで、前記(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す段階
をさらに含む、態様51の方法。
態様53. ポリペプチド複合体中の複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットが、定量される、態様50~52のいずれか1つの方法。
態様54. 1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子に結合されている、態様50~53のいずれか1つの方法。
態様55. 複数のポリペプチド分子のうちの1つのポリペプチド分子が、1つまたは複数の結合ユニットを含み、該1つまたは複数の結合ユニットのうちの少なくとも1つの結合ユニットが、1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分に結合されている、態様50~54のいずれか1つの方法。
態様56. 1つまたは複数のレポーター部分のうちの1つのレポーター部分が、複数のポリペプチド分子についての少なくとも1つのサブセットに結合された1つまたは複数の認識ユニットを含む、態様50~55のいずれか1つの方法。
態様57. レポーター部分が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識に結合されたスペーサーを含む、態様56の方法。
態様58. 1つまたは複数のシグナルが、複数の検出可能標識に対応する、態様50~57のいずれか1つの方法。
態様59. スペーサーが、検出可能標識と認識ユニットとを接続する、態様57の方法。
態様60. 前記(c)が、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を光退色させることを含む、態様50~59のいずれか1つの方法。
態様61. 前記(c)が、ポリペプチド複合体から、1つまたは複数の検出可能標識のうちの1つの検出可能標識を除去することを含む、態様50~59のいずれか1つの方法。
態様62. ポリペプチド複合体が、少なくとも2個のポリペプチド分子を含む、態様50~61のいずれか1つの方法。
態様63. ポリペプチド複合体が、少なくとも5個のポリペプチド分子を含む、態様50~61のいずれか1つの方法。
態様64. ポリペプチド複合体が、少なくとも10個のポリペプチド分子を含む、態様50~61のいずれか1つの方法。
態様65. ポリペプチド複合体が、少なくとも20個のポリペプチド分子を含む、態様50~61のいずれか1つの方法。
態様66. 捕捉ユニットが、1つ以下の抗体を含む、態様50~65のいずれか1つの方法。
態様67. (e)前記(c)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、態様51~66のいずれか1つの方法。
態様68. ポリペプチド複合体がバイオマーカーである、態様50~67のいずれか1つの方法。
態様69. バイオマーカーの発現レベルが、疾患または障害を示す、態様68の方法。
態様70. 疾患または障害が、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)、アルツハイマー病(AD)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症(CTE)、ハンチントン病、脆弱X症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クリオグロブリン血症、アミロイドーシス、プリオン病、伝達性海綿状脳症、またはクロイツフェルト・ヤコブ病である、態様69の方法。
態様71. バイオマーカーが、アミロイドタンパク質、アミロイド線維、アミロイドβ、アミロイド前駆体タンパク質、タウタンパク質、微小管関連タンパク質タウ、α-シヌクレイン、免疫グロブリン、膵島アミロイドポリペプチド、ハンチンチンタンパク質、FMRP、ポリグルタミンリピートタンパク質、ジペプチドリピートタンパク質、TDP-43、マトリン-3、またはプリオンである、態様68または69の方法。
態様72. バイオマーカーが、神経変性疾患または神経変性障害に対応する、態様68または69の方法。
態様73. バイオマーカーの発現レベルが、定量され、かつ健康評価と相互に関係付けられる、態様68または69の方法。
態様74. 前記(a)が、対象に由来する試料に由来するポリペプチド複合体を提供することを含む、態様50~73のいずれか1つの方法。
態様75. 試料が、脳脊髄液、脳ホモジネート、組織ホモジネート、組織抽出物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、細胞溶解物、全血、血漿、血清、体の老廃物もしくは排泄物、またはそれらの任意の組合せを含む、態様74の方法。
態様76. 対象の健康が、前記(b)で検出された1つまたは複数のシグナルの検出に基づいて評価される、態様50~74のいずれか1つの方法。
態様77. ポリペプチド複合体が、支持体に固定化された捕捉ユニットに結合される、態様50~76のいずれか1つの方法。
態様78. 支持体が、ビーズ、ポリマーマトリックス、またはアレイである、態様50~77のいずれか1つの方法。
態様79. アレイが顕微鏡用スライドである、態様78の方法。
態様80. 捕捉ユニットが、支持体に直接的に固定化される、態様77の方法。
態様81. 前記(b)および(c)が、エネルギー源を提供することをさらに含む、態様50~80のいずれか1つの方法。
態様82. 前記(b)が、1つまたは複数の検出可能標識を光学的に検出可能にするのに十分な第1のエネルギー源を提供することを含む、態様50~81のいずれか1つの方法。
態様83. 1つまたは複数の検出可能標識が、光学的シグナルを放出する、態様82の方法。
態様84. 光学的シグナルが蛍光シグナルである、態様83の方法。
態様85. 第1のエネルギー源が、光またはレーザーである、態様82の方法。
態様86. 前記(c)が、1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な第2のエネルギー源を提供することを含む、態様50~81のいずれか1つの方法。
態様87. 第2のエネルギー源が、光またはレーザーである、態様86の方法。
態様88. 第1のエネルギー源および第2のエネルギー源が、同じエネルギー源である、態様82~87のいずれか1つの方法。
態様89. 複数のポリペプチド分子が同種である、態様50~88のいずれか1つの方法。
態様90. 複数のポリペプチド分子が異種である、態様50~88のいずれか1つの方法。
態様91. 捕捉ユニットが、ポリペプチド複合体または該ポリペプチド複合体の個々のポリペプチド分子のいずれかに結合される、態様50~90のいずれか1つの方法。
態様92. ポリペプチド複合体が、クロスリンカーを介して捕捉ユニットに結合される、態様50~91のいずれか1つの方法。
態様93. クロスリンカーがアミン特異的クロスリンカーである、態様92の方法。
態様94. クロスリンカーがPEGリンカーである、態様92の方法。
態様95. PEGリンカーが、1~10kDaのPEGリンカーである、態様94の方法。
態様96. PEGリンカーが、二官能性のビオチンPEGリンカーである、態様94の方法。
態様97. 前記(b)で検出された1つまたは複数のシグナルに少なくとも一部基づいて、ポリペプチド分子カウントの頻度を決定する段階
をさらに含む、態様50~96のいずれか1つの方法。
態様98. ポリペプチド分子カウントの頻度分布の変化に少なくとも一部基づいて、対象における疾患または障害を検出する段階
をさらに含む、態様50~97のいずれか1つの方法。
態様99. 1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、色素クエンチングを含む、態様50~59、61~80、および89~98のいずれか1つの方法。
態様100. 1つまたは複数の検出可能標識についての多くとも1つのサブセットを検出不可能にするのに十分な条件が、該1つまたは複数の検出可能標識の酵素的切断を含む、態様50~59、61~80、および89~98のいずれか1つの方法。
態様101. 対象の複数のポリペプチドを含むポリペプチド複合体を単一分子レベルで解析するための方法であって、
該複数のポリペプチドの個々のポリペプチドを少なくとも60%の感度で検出する段階
を含む、方法。
態様102. 対象の複数のポリペプチドを含むポリペプチド複合体を単一分子レベルで解析するための方法であって、
該複数のポリペプチドの個々のポリペプチドを少なくとも60%の感度で検出する段階
を含む、方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
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図19
【国際調査報告】