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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】耐荷重ベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/26 20060101AFI20240222BHJP
   B60R 22/36 20060101ALI20240222BHJP
   B60R 22/34 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B60R22/26
B60R22/36
B60R22/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552296
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022054609
(87)【国際公開番号】W WO2022184535
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102021105013.8
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ダールクイスト,ベント
(72)【発明者】
【氏名】ソーンチェン,アーント
(72)【発明者】
【氏名】ペッテルソン,レンナート
(72)【発明者】
【氏名】ジャバッシュ,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ラングホフ,ハンス ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】グラーセル,アントクリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シルステア,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】エラーズ,ジェンス
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018CA07
3D018CB05
3D018GA01
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、車両座席の座席構造体(40)のための耐荷重座席ベルトリトラクタ(10)に関するものである。座席ベルトリトラクタ(10)は、2つのハウジング半部(20、30)を有し、当該ハウジング半部の間には、座席ベルトリトラクタ(10)の機能モジュール(11、12、13、14、15、16、17、18、19)が配置されている。1つの機能モジュール(11)は、巻回軸(A)を有するベルトスプール(12)であり、機能モジュール(11、12、13、14、15、16、17、18、19)には、巻回軸(A)に垂直に配向された複数の支持プレート(21)が提供され、当該支持プレートはそれぞれ、少なくとも2つの係止ノーズ(22)を有し、係止ノーズ(22)は、2つのハウジング半部(20、30)の対応する係止孔(23)に係合する。ハウジング半部(20、30)は、機能モジュール(11、12、13、14、15、16、17、18、19)に向かって方向付けられたビード(24)及び/又は補強材を有し、機能モジュール(13、15)の少なくとも1つのセクション及び/又は支持プレート(21)のセクションは、巻回軸(A)に平行な少なくとも1つの方向においてビード(24)及び/又は補強材に接して支持されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両座席の座席構造体(40)のための耐荷重ベルトリトラクタ(10)であって、
-前記ベルトリトラクタ(10)が、2つのハウジング半部(20、30)を有し、前記ハウジング半部の間には、前記ベルトリトラクタ(10)の機能モジュール(11、12、13、14、15、16、17、18、19)が配置されており、
-1つの機能モジュール(11)が、巻回軸(A)を有するベルトスプール(12)であり、
-前記機能モジュール(11、12、13、14、15、16、17、18、19)には、前記巻回軸(A)に垂直に配向された複数の支持プレート(21)が提供されており、前記支持プレートのそれぞれが、少なくとも2つの係止ノーズ(22)を有し、前記係止ノーズ(22)が、前記2つのハウジング半部(20、30)の対応する係止孔(23)に係合しており、
-前記ハウジング半部(20、30)が、前記機能モジュール(11、12、13、14、15、16、17、18、19)に向かって方向付けられたビード(24)及び/又は補強材を有し、前記機能モジュール(13、15)の少なくとも1つのセクション及び/又は支持プレート(21)の1つのセクションが、前記巻回軸(A)に平行な少なくとも1つの方向において前記ビード(24)及び/又は補強材に支持されていることを特徴とする、耐荷重ベルトリトラクタ(10)。
【請求項2】
前記ビード(24)及び/又は補強材がチャネル状の補強材によって形成されており、前記チャネル状の補強材の上で機能モジュール(13、15)又は前記支持プレート(21)のセクションが、片側又は両側で前記巻回軸(A)に平行に支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項3】
少なくとも1つのハウジング部(20、30)が、前記機能モジュール(13、15)に向かってスタンピング加工されたものであり、切り欠き(25)を有する閉ビード(24)を有し、機能モジュール(13、15)のセクションが、前記ビード(24)の前記切り欠き(25)内で支持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項4】
少なくとも1つの係止孔(23)が、固定タング(31)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項5】
前記固定タング(31)が、前記巻回軸(A)に平行に配向されており、前記固定タング(31)の前記タング端部(32)が、前記ベルトスプール機能モジュール(12)から離れる方向に方向付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項6】
前記2つのハウジング半部(20、30)が、それぞれが固定タング(31)を有する複数の係止孔(23)を有し、前記2つのハウジング半部(20、30)の前記係止孔(23)内の全ての前記固定タング(31)の前記タング端部(32)が、同じ方向に配向されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項7】
前記固定タング(31)が、一定の幅を有することを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項8】
前記固定タング(31)が、前記タング端部(32)に向かって先細である幅を有することを特徴とする、請求項4~7のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項9】
機能モジュール(19)が、前記巻回軸(A)に平行に延在するタブ(27)を有し、前記ハウジング半部(20、30)がそれぞれ、前記機能モジュール(19)の前記タブ(27)が挿入される少なくとも1つの開ビード(26)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項10】
機能モジュール(13)のセクションが、ハウジング部(20、30)の少なくとも1つの閉ビード(28)の両側で支持されており、前記少なくとも1つの閉ビードが、前記機能モジュール(13)から離れる方向にスタンピング加工されたものであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項11】
少なくとも1つのビード(28)及び/又は補強材が、前記巻回軸(A)に垂直に配向されたリブによって形成されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項12】
前記座席ベルトリトラクタ(10)が、上にC字形状のクリップ(33)が配置された機能モジュール(12)を有し、前記C字形状のクリップ(33)の2つの脚部(34)が前記2つのハウジング半部(20、30)の内側に接してそれぞれ着座されており、座席バー(41)が前記クリップ(33)内へ挿入され、前記クリップ(33)及び前記2つのハウジング半部(20、30)に締結されることができることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項13】
1つのハウジング部(30)が、L字形状の輪郭で設計されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項14】
1つのハウジング部(20)が、カバー形状の輪郭として設計されており、15mm未満の全高さを有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【請求項15】
前記2つのハウジング半部(20、30)が、挿入接続によってタング(35)及び対応するスロット(36)と直接接続されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の座席ベルトリトラクタ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のプリアンブルの特徴を有する、車両座席の座席構造体のための耐荷重座席ベルトリトラクタに関する。
【0002】
安全ベルト装置が組み込まれた車両座席は、例えば、コンバーチブルにおける前座席としての使用において既知であり、少なくとも、安全ベルト装置のベルトリトラクタは、車両座席の背もたれに締結されている。この場合、耐荷重Bピラーの欠如に起因して、及び後部座席へのアクセスに関する理由から、又は後部車両構造体からの距離に関する理由から、ベルトリトラクタが車両座席の背もたれに組み込まれているのが好ましく、したがって、これはまた、拘束の場合に作用する引張力を吸収するように設計されなければならない。ベルトリトラクタ自体は、それらの基本構造体において標準的なベルトリトラクタと同一であり、自己整合性慣性センサなどの、特に背もたれ内に設置するために設けられた様々な追加的サブアセンブリのみを装備する。
【0003】
車両座席の基本的設計において、車両座席は、車両座席を車両構造体に締結する役割を果たす、いくつかの耐荷重構造体部品からなる座席構造体を有する。座席構造体は座り心地を改善するためにばね及び緩衝材を装備し、座席構造体はまた、関連する電気モータを含む様々な座席調節機構などの更なる構成要素、並びに加熱装置、センサ、表示部、及びヘッドレストなどの更なる構成要素の締結のために使用される。
【0004】
自律運転システムを有する現代の車両では、車両の乗員が、例えば、他の乗員とのより有意義なコミュニケーション、長時間のより集中的な休息期間、又は更には仕事のために、自律運転によって得られる自由を使用することができ、これに応じて車両座席を配向することができるように、様々な配向及び位置における車両座席のより大きい調節性の要求が高まっている。結果として、安全ベルト装置、及び、特にベルトリトラクタは、以前のように車両構造体に締結される必要はなく、むしろ、例えばコンバーチブルの前座席の場合に既にあるように車両座席に締結される必要がある。
【0005】
座席ベルトリトラクタが配置される車両座席のための耐荷重構造体部品は、例えば独国特許出願公開第102018213279(A1)号から既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対して、本発明の目的は、座席構造体のための改善された、寸法安定性及び耐衝突性を有する座席ベルトリトラクタであって、簡単な組み立てを可能にする、座席ベルトリトラクタを特定することである。
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に記載の特徴を有する耐荷重座席ベルトリトラクタが提案される。本発明の更なる好ましい展開は、従属請求項、図面、及び関連する説明から得られ得る。
【0008】
本発明の基本概念によれば、車両座席の座席構造体のための耐荷重座席ベルトリトラクタが請求項1に従って提案され、本座席ベルトリトラクタは、2つのハウジング半部を有し、当該ハウジング半部の間には、座席ベルトリトラクタの機能モジュールが配置されている。機能モジュールのうちの1つは、巻回軸を有するベルトスプールであり、機能モジュールには、巻回軸に垂直に配向された複数の支持プレートが提供され、当該支持プレートはそれぞれ、少なくとも2つの係止ノーズを有し、当該係止ノーズは、2つのハウジング半部内の対応する係止孔に係合する。ハウジング半部が、機能モジュールに向かって方向付けられたビード及び/又は補強材を有し、機能モジュール及び/又は支持プレートが、巻回軸に平行な少なくとも1つの方向においてビード及び/又は補強材上で支持されることが提案される。
【0009】
ハウジング半部のビード及び補強材は、機能モジュール及び/又は支持プレートの支持によりベルトスプールの巻回軸に平行な荷重を受け、この方向において、係止ノーズよりも大きい力の伝達を可能にする。それによって、係止ノーズの荷重が軽減され、これは、更なる荷重の場合に対する耐荷重能力を高める。このようにして、座席ベルトリトラクタに機能モジュールを位置付けて固定するための簡単でコスト効率的な可能性も達成することができ、同時に、ハウジング部品又は座席ベルトリトラクタの剛性を高めることができる。
【0010】
この文脈において、耐荷重は、座席ベルトから座席構造体内への力の導入に加えて、座席ベルトリトラクタが座席構造体自体の荷重も吸収及び伝達することができることを意味する。したがって、座席ベルトリトラクタは、上位の座席構造体の耐荷重構造体部品として適切である。
【0011】
座席ベルトリトラクタの1つの機能モジュールは、特に、上に巻回してベルト巻回体を形成することができる座席ベルトを有するベルトスプールである。別の機能モジュールは、特に阻止装置である。
【0012】
機能モジュールは、可逆的なベルトテンショナ、不可逆的なベルトテンショナ、力制限装置、センサ装置、更には制御装置であり得る。更に、機能モジュールは、座席ベルトリトラクタの様々な機能のために提供され得る電気モータであり得る。
【0013】
2つのハウジング半部の間に配置される座席ベルトリトラクタの機能モジュールは、好ましくは、ベルトスプールと同軸に又はその軸方向に直列に配置される。これは、狭く細長い設置空間における省スペースな構造体をもたらし、したがって、座席ベルトリトラクタを車両座席の背もたれ内に容易に配置することができる。ベルトスプールの回転軸の長手方向に関して、機能モジュールは、ベルトスプールの後方又は前方に配置される。ベルトスプールに加えて、他の機能モジュールは、ベルトスプールの回転軸に対して、軸方向に連続して、すなわち縦一列に配置することができ、よって、当該機能モジュールは、おそらく、外側に向かってわずかにベルト巻回体を越えて突出するだけであり、座席ベルトリトラクタの細長い設計が継続され、更に延在される。
【0014】
支持プレートは、座席ベルトリトラクタの1つ以上の機能モジュールを支持することができ、支持プレートは、機能モジュールの間に配置することができ、又は機能モジュールの一部若しくは機能モジュールのハウジングの一部とすることができる。支持プレートはまた、耐荷重座席ベルトリトラクタを補剛するためにも使用することができる。支持プレートは、特に、直列に配置された機能モジュールを有する座席ベルトリトラクタの細長い形状を可能にする。支持プレートは、好ましくは、当該支持プレートの面法線がベルトシャフトの回転軸又は巻回軸に平行な状態で配向される。
【0015】
ハウジング半部の係止孔は、組み立て中に、及び通常動作中に、更には拘束の場合に、機能モジュールの所定の位置決めを可能にするので、係止孔はまた、位置決め孔と称することができる。係止孔は、例えば、シートメタルから打ち抜き加工すること、又はレーザによって切り抜くことができる。
【0016】
好ましい実施形態では、互いに平行に、かつある距離を置いて延在する2つの座席バーを、挿入軸に沿って座席ベルトリトラクタ内へ挿入して締結することができる。座席ベルトリトラクタの2つのハウジング半部は、好ましくは、座席ベルトリトラクタの幅全体にわたって延在する。ハウジング半部はそれぞれ、車両座席の背もたれの横方向座席構造体を両側に形成する2つの座席バーを少なくとも部分的に取り囲むことができる。2つのハウジング半部は、好ましくは、座席ベルトリトラクタ内に2つのレセプタクルを形成し、2つの座席バーをそのレセプタクル内へ挿入することができる。これは、次に、組み立てプロセスにおいて、座席ベルトリトラクタを簡単な様式で背もたれの座席バー上へ合わせることができることを意味する。有利な実施形態では、ハウジング半部に貫通孔が提供され、当該貫通孔は更に、ねじ接続による座席バーの簡単な固定を可能にする。座席バーのために形成されたレセプタクルは、挿入方向とは異なる方向における力伝達及び/又はトルク伝達を可能にし、それにより、大きい接触面を介して、座席バーと座席ベルトリトラクタのハウジング半部との間で力を伝達することができる。したがって、ねじ接続への応力ピーク及び荷重を低減することができる。その結果、全体として、強固で安定すると同時に、簡単な接続を達成することができる。
【0017】
有利な実施形態では、ビード及び/又は補強材がチャネル状の補強材によって形成され、チャネル状の補強材の上で機能モジュール又は支持プレートのセクションが、片側又は両側で巻回軸に平行に支持される。チャネル状の補強材は、例えば成形プロセス及び/又はスタンピング加工によって、コスト効率的な様式で金属シート内へ導入することができる。
【0018】
更なる展開によれば、少なくとも1つのハウジング部品が、機能モジュールに向かってスタンピング加工され、切り欠きを有する閉ビードを有し、機能モジュールのセクションがビードの切り欠き内で支持されることが提案される。
【0019】
閉ビードの形状は、例えば切り欠きがビードの中央に配置された場合に、高い剛性を可能にし、それにより、切り欠きによって2つの部分に分けられたビードが安定し続ける。切り欠きは、その中で支持される機能モジュールのセクションを正確に位置付けることを可能にする。加えて、切り欠きによって、2つの対向する方向において、特にベルトシャフトの回転軸に沿った又はベルトスプールの巻回軸に沿った両方向において、支持が行われ得ることを達成することができる。閉ビードにおける切り欠きの組み合わせはまた、ハウジング半部又は機能モジュールの組み立てが、それによって切り欠きに対するビード内の機能モジュール又は支持プレートの事前整列のタイプのおかげで簡素化されるので、組み立て手順に関しても有利である。
【0020】
更なる展開によれば、ハウジング部品の少なくとも1つの係止孔が固定タングを有することが提案される。固定タングは、固定タングのばね荷重による変形のおかげで係止孔内に挿入される係止ノーズの固定を可能にする。固定タングは、好ましくは、係止ノーズが係止孔に係合するときに支持プレートの係止ノーズの壁厚が固定タングの変形を生じさせる程度まで、係止孔内に突出する。これは、装着中の簡単な固定を可能にし、これは、機能モジュール自体の装着を簡素化し、かつ製造公差の影響を低減する。
【0021】
更に、固定タングが巻回軸に平行に配向され、固定タングのタング端部がベルトスプール機能モジュールから離れる方向に方向付けられることが提案される。
【0022】
更に、2つのハウジング半部が、それぞれが固定タングを有する複数の係止孔を有し、2つのハウジング半部の係止孔内の全ての固定タングのタング端部が、同じ方向に配向されること、好ましくは、ベルトスプール機能モジュールから離れる方向に方向付けられることが提案される。
【0023】
したがって、固定された係止ノーズ又は支持プレートは、基部として機能モジュールに対して装着することができる。異なる機能モジュール及び/又は支持プレートのために、複数の係止孔を提供することができる。したがって、1つの可能な実施形態では、固定タングは、巻回軸に平行に方向付けられ、タング端部は、基部としてモータ又は電気モータ機能モジュールに向けられる。機能モジュールとしての電気モータは、軸方向に又は同軸配置で端部に有利に装着することができ、電気モータは、座席ベルトリトラクタのベルトスプールの反対側の他方の端部に位置付けることができる。また、固定タングを有する複数の係止孔に加えて、固定タングのない他の係止孔を2つのハウジング半部に提供することができる。
【0024】
有利な一実施形態では、固定タングは、一定の幅を有する。したがって、大きな固定効果を達成することができる。タングの幅は、好ましくは、係止ノーズの幅よりも狭い。更に、装着力及び達成可能な固定効果は、とりわけ、係止ノーズの幅及びタングのオーバーサイズによって調節することができる。
【0025】
更なる展開によれば、機能モジュールが、巻回軸に平行に延在するタブを有し、ハウジング半部がそれぞれ、機能モジュールのタブが挿入される少なくとも1つの開ビードを有することが提案される。
【0026】
これは、機能モジュールが、いくつかの軸内の位置に固定されること、及び同時に、機能モジュールを2つのハウジング半部内へ挿入することによって簡単に装着することを可能にし、これはまた、例えば、2つのハウジング半部の間の他の機能モジュールの装着を簡単にすることができる。可能な実施形態では、機能モジュールのタブは、ベルトスプールの巻回軸に平行に配向して、2つのハウジング部品の対応する開ビード内へ挿入することができる。
【0027】
モータモジュールは、一般に、機能モジュールの同軸整列の端部に配置され、これが組み立てを容易にするので、タブを有する機能モジュールとしてのモータモジュール又は電気モータが特によく適する。一般に、同軸配置の他方の端部に提供される機能モジュールはベルトスプールであり、これは、その機能のおかげで、提供されたベルト巻回体のため、対応して配向されたタブの配置にあまり適さない。
【0028】
1つの可能な実施形態では、少なくとも1つのハウジング部は、巻回軸に平行に延在するタブを有することができ、当該タブは、好ましくはモータモジュール又は電気モータである機能モジュールの対応する開ビード内へ挿入される。
【0029】
別の有利な実施形態では、固定タングは、タング端部に向かって先細である幅を有する。その結果、組み立て中の初期抵抗を低減することができる。
【0030】
更なる展開によれば、機能モジュールのセクションが、ハウジング部の少なくとも1つの閉ビードの両側で巻回軸に平行に支持され、当該少なくとも1つの閉ビードが、機能モジュールから離れる方向にスタンピング加工されたものであることが提案される。これはまた、関心の機能モジュール及び/又は任意選択の対応する支持プレートの事前整列のタイプおかげで、機能モジュールを有するハウジング半部の組み立てを簡単にすることができる。
【0031】
これは、火工式テンショナがトリガされるときに生じる荷重がハウジング部によって表面を通じて吸収することができるように、機能モジュールが火工式テンショナホイールを有するときに特に有利である。
【0032】
有利な一実施形態では、少なくとも1つのビード及び/又は補強材は、巻回軸に垂直に配向されたリブによって形成される。これは、機能モジュール及び/又は支持プレートの簡単な支持を係止ノーズから独立させることを可能にする。特に、ビード及び/又は補強材が機能モジュールから離れる方向にスタンピング加工されたものである場合、機能モジュールは、両側で巻回軸に平行に支持することができる。
【0033】
有利な一実施形態では、座席ベルトリトラクタは、C字形状のクリップが配置されて、C字形状のクリップの2つの脚部が2つのハウジング半部の内側にそれぞれ着座される機能モジュールと、クリップ内へ挿入して、クリップ及び2つのハウジング半部に締結することができる座席バーと、を有する。
【0034】
したがって、クリップのそれぞれの脚は、好ましくは、ハウジング部と接触するための接触面を形成する。更に、クリップは、好ましくは、ベルトスプール機能モジュールの上に、特に下に、座席バーを挿入することができるレセプタクルを形成する。座席ベルトリトラクタの2つのハウジング半部は、C字形状のクリップを、好ましくはいくつかの側面から取り囲む。このようにして、機能モジュール、特にベルトスプール機能モジュールは、挿入されて締結された座席バー内へ力を直接導入することができる。特に拘束の場合、これは、阻止されたベルトスプールと車両に接続された更なる座席構造体との間の直接的な力伝達を可能にする。
【0035】
有利な実施形態では、ハウジング半部の貫通孔に対応する貫通孔がクリップに提供され、当該貫通孔は更に、ねじ接続による座席バーの簡単な固定を可能にする。
【0036】
更なる展開によれば、1つのハウジング部がL字形状の輪郭で設計されることが提案される。ハウジング部は、2つの平行な離間された座席バーに締結することができる。
【0037】
好ましくは、ベルトスプールの巻回軸に平行に延在するL字形状の輪郭は、座席ベルトリトラクタの剛性に対して好ましい効果を有し、簡単な様式でシートメタルから製作することができる。好ましくは、互いに本質的に直角であるL字形状の輪郭の2つの脚の間の屈曲もまた、例えば、2つの屈曲線によって達成することができる。
【0038】
1つのハウジング部のL字形状の輪郭は、特に、L字形状の輪郭のそれぞれの脚上の開ビード内へ2つのタブを有する機能モジュールを挿入することを可能にし、それによって、ハウジング内に機能モジュールを締結することが更に改善される。
【0039】
1つのハウジング部が、カバー形状の輪郭として設計され、15mm未満の全高さを有することが更に提案される。
【0040】
カバー形状の輪郭を有するハウジング部は、本質的に平坦であり、座席ベルトリトラクタの幅全体にわたって延在する。L字形状の輪郭を有するハウジング部とともに、好ましくは、機能モジュールが配置されるU字形状の輪郭が形成される。U字形状の輪郭は、座席バーが受容されることを意図する方向に開いている。すなわち、座席ベルトリトラクタが車両座席の背もたれの上端部に設置される典型的な場合、座席ベルトリトラクタのハウジングは、底部が開いている。
【0041】
L字形状の輪郭を有するハウジング部、及びカバー形状の輪郭を有するハウジング部は、例えば、パンチング加工及び成形加工によって、シートメタルから製作することができる。
【0042】
更なる展開によれば、2つのハウジング半部が、挿入接続によってタング及び対応するスロットと直接接続されることが提案される。
【0043】
それによって、比較的長い接触領域にわたる、特に座席ベルトリトラクタの幅に沿った、複数の軸における2つのハウジング半部の間の力伝達は、簡単な様式で達成することができる。タング及びスロットは、従来のシートメタル加工方法を使用してコスト効率よく製作することができる。
【0044】
可能な有利な一実施形態では、タングは、座席バーの挿入軸に平行に配向される。これは、挿入軸とは異なる全ての方向における2つのハウジング半部の良好な形状係止接続を可能にする。
【0045】
更に、車両座席の座席構造体が提案され、当該座席構造体は、2つの座席バーを有し、車両座席の背もたれにおいて互いに平行に、ある距離を置いて延在する。座席バーは、提案される耐荷重座席ベルトリトラクタ内に挿入されて、座席ベルトリトラクタに締結される。
【0046】
したがって、座席ベルトリトラクタは、背もたれの垂直座席バーの間の構造的クロスストラットとして耐荷重である。
【0047】
更なる展開によれば、2つの座席バーがそれぞれ1つのねじによって座席ベルトリトラクタに締結され、当該ねじは、座席バーの、及び2つのハウジング半部の貫通孔を通して送給されることが提案される。
【0048】
このようにして、座席バーに対する座席ベルトリトラクタの簡単な、安定した、コスト効率的な固定を達成することができる。更に、機能モジュールのC字形状のクリップが、ハウジング半部と少なくとも1つの座席バーの間に配置され、C字形状のクリップが、2つのハウジング半部及び座席バーと一緒にねじで締結するための対応する貫通孔を有することが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明について、添付の図を参照して、好ましい実施形態を使用して以下で説明する。以下を図示する。
図1図1は、耐荷重座席ベルトリトラクタの分解図である。
図2図2は、耐荷重座席ベルトリトラクタの後方からの分解図である。
図3図3は、座席バーを有する耐荷重座席ベルトリトラクタの分解図である。
図4図4は、耐荷重座席ベルトリトラクタの上方からの分解図である。
図5図5は、固定タング及び挿入された係止ノーズを有する係止孔である。
図6図6は、別の固定タング及び挿入された係止ノーズを有する係止孔である。
図7図7は、固定タング及び挿入された係止ノーズを有する係止孔の側面図である。
【0050】
図1は、耐荷重座席ベルトリトラクタ10の例示的な一実施形態の分解図を示す。座席ベルトリトラクタ10は、積み重ねた配置で縦一列に構築される、複数の機能モジュール11、12、13、14、15、16、17、18、19を有する。これは、座席ベルトリトラクタを車両座席の背もたれの上部に配置することを可能にする、細長い設計をもたらす。機能モジュール11、12、13、14、15、16、17、18、19は、例えば、駆動装置ばね11が提供される、座席ベルト(図示せず)のためのベルトスプール12である。ベルトスプール12は、その周りに座席ベルトを巻回してベルト巻回体を形成することができる、巻回軸Aを有する。更に、火工式ベルトテンショニングを達成することができる、テンショナ駆動ホイール13が提供される。力制限装置14(force-limiting apparatus、LLA)は、関連付けられたスイッチング装置15の隣に配置される。阻止爪を有するプロファイルヘッド16は、阻止爪を阻止するための歯部を有するフレーム17の軸方向に隣接して提供される。更に、例えば、伝動機構18、特に遊星伝動機構18が軸方向に提供され、伝動機構の上には、モータ19、特に電気モータを提供することができる。
【0051】
いくつかの機能モジュールは、支持プレート21を有し、当該支持プレートは、一体であるか、又は2つの機能モジュールの間に装着され、2つのハウジング半部20、30から本質的に形成されたハウジング内で機能モジュールを支持する。2つのハウジング半部20、30はそれぞれ、巻回軸Aに対して横方向に配置され、機能モジュール11、12、13、14、15、16、17、18、19を取り囲み、それにより、当該機能モジュールが、2つのハウジング半部20、30内で保持及び支持される。ハウジング半部20、30は、少なくとも部分的に互いに補完して、完全に閉じたプロファイルを形成し、これは、機能モジュールをそれらの外周全体にわたって支持することを可能にする。
【0052】
支持プレート21は、複数の係止ノーズ22を有し、これらは、組み立てられた状態で、2つのハウジング半部20、30に提供された係止孔23に係合して、巻回軸Aに沿って関心の支持プレート21を軸方向に固定する。支持プレート21は、ハウジング部20、30のハウジング内側でその周辺縁部によって巻回軸Aに垂直な方向に支持することができる。
【0053】
機能モジュール11、12、13、14、15、16、17、18、19を固定するための係止孔23に加えて、2つのハウジング半部20、30は、内向きに、すなわち、機能要素に向かって成形され、外側から見たときにチャネル状である補強材を形成する、ビード24を有する。図2も参照されたい。内向きに成形されたビード24は、機能モジュール13、15のセクション又は一部が巻回軸Aに平行な2つの方向で支持される切り欠き25を有することができる。これらのビード24は、例えば、チャネルの様式で巻回軸Aに平行に配向される。更に、これらのビード24は、それらの軸方向端部に開口部又はパンチアウト部を有しない、閉ビード24である。同時に、ビード24は、ハウジング半部20、30のそれぞれの補強材としての役割を果たす。
【0054】
更に、巻回軸Aに垂直に配向された閉ビード28がハウジング半部20のうちの1つに提供される。ビード28は、外向きに、すなわち、機能モジュール又は機能モジュールから離れる方向に形成されている。機能モジュール13は、巻回軸Aに沿って両方向に、更には巻回軸Aに直角に、ビード28において支持することができる。
【0055】
モータ機能モジュール19には、巻回軸Aに平行に配向され、ベルトスプール12の方を指す、3つのタブ27が提供される。これらのタブ27は、2つのハウジング半部20、30に提供された3つの対応する開ビード26内へ挿入される。
【0056】
ベルトスプール12は、ベルトスプール12のフレームに及び/又はベルトスプール12の支持プレート21に装着されたC字形状のクリップ33を備えている。クリップ33は、2つの脚部34を有し、当該脚部はそれぞれ、ハウジング半部20、30のハウジング内側に対して着座される。可能な例示的な実施形態では、座席ベルトリトラクタ10の他方の側の機能モジュール19は、同様に、対応するC字形状のクリップ33を有することができる。
【0057】
ハウジング半部20、30は、ハウジング半部20、30上のタング35及び他の対応するスロット36の挿入接続による、形状係止係合によって接続することができる。図中の実例に見ることができるように、この形状係止係合は、好ましくは、座席ベルトリトラクタ10の頂部で行われる。
【0058】
一方のハウジング半部30は、L字形状であるか、又はL字形状の輪郭を有し、この例示的な実施形態では、ベルトスプール12の領域内に、シートベルトのための開口部(図示せず)を有する。他のハウジング半部20は、カバーとして、又はカバー形状の輪郭として設計され、したがって、基本的には、L字形状の輪郭の2つの脚部を有するハウジング半部30よりも平坦である。
【0059】
図3は、座席構造体40の一部が車両座席の背もたれの2つの座席バー41の形態である、耐荷重座席ベルトリトラクタ10を示す。座席ベルトリトラクタ10は、対応する貫通孔を使用して、上側から及び巻回軸Aに垂直に座席バー41の上へ嵌合され、当該座席バーにねじ止めすることができ、したがって、座席ベルトリトラクタ10は、座席構造体40の耐荷重要素を形成する。C字形状の1つのクリップ33又は複数のクリップ33は、2つのハウジング半部20、30と座席バー41との間に配置されて、それらとともにねじ止めされる。
【0060】
図5及び図6は、ハウジング半部20、30の、係止ノーズ22が挿入される係止孔23の上面図を示す。2つの例示的な実施形態では、固定タング31が提供され、当該固定タングは、係止ノーズ22を押圧し、したがって、係止ノーズ22が係止孔23の対向する縁部に押圧される。したがって、支持プレート上の係止ノーズ22は、係止孔23から引き出す方向に固定され、これは、組み立てを簡単にし、かつガタつき音の発生を防止する。特に、係止孔23内の固定タング31によって、軸方向に積み重ねられた機能モジュール11、12、13、14、15、16、17、18、19の装着中の公差補償を達成することができる。有利な例示的な一実施形態では、全ての係止孔23は、ベルトスプール12の反対側の他方の端部において機能モジュール19の方を指す方向を指し、それにより、基部に関する公差補償を行うことができる。
【0061】
図5の例示的な実施形態のロッキングタング31は、係止ノーズ22との接点に向かって先細であり、それにより、固定タング31は、タング端部32において係止タング31の基部よりも大幅に狭くなる。図6は、一定の幅を有する係止タング31を示す。
【0062】
図7は、図5及び図6の例示的な実施形態の断面図を示し、この断面図では、固定タング31の偏向及び変形が、固定タング31のタング端部32を係止ノーズ22に押圧することを達成する。
【0063】
特に、固定タング31は、それらが全ての機能モジュール11、12、13、14、15、16、17、18、19を同じ方向に押し込んで、コンパクトな設計を形成するような方法で、一様に配向される。この例示的な実施形態では、これは、座席ベルトリトラクタの端部に固定された電気モータ19に向かう方向である。
【0064】
力制限装置14のための切り替え装置15は、ここでは約2cmの幅を有する比較的幅の広いプラスチックプレートで構成され、したがって、この幅により、2つのハウジング半部20、30の間で、ある角度に特に良好に配向することができる。加えて、位置決めの後、切り替え装置15は、ねじによって、配向位置に取り付けることができる。ねじ止めは、好ましくは外側から行われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】